説明

鋼の連続鋳造用モールドフラックス及び連続鋳造方法

【課題】Cu、Ni、Cr、Mo、Nb、V、Ti、B等の合金元素を含有する亜包晶鋼の鋳造の場合であっても、鋳片表面の縦割れ発生を効果的に防止する。
【解決手段】CaO、SiO2、アルカリ金属酸化物、およびフッ素化合物を基本成分とする鋼の連続鋳造用モールドフラックスである。塩基度が1.6以上で、酸化鉄分としてのTotal.Fe濃度が0.5質量%以下である、或いは、不可避的に含有される酸化鉄分以外の酸化鉄原料を含まず、不可避的に含有される酸化物の還元剤として金属Siあるいは金属Al、Ca‐Si合金、Ca‐Al合金等を含有する。
【効果】鋳型内の潤滑性を維持しながら、従来以上の緩冷却効果を得ることが可能となり、Cu、Ni、Cr、Mo、Nb、V、Ti、B等の合金元素を含有する亜包晶鋼鋳片の表面に発生する縦割れを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳片表面に発生する縦割れを防止するためのモールドフラックス、及びこのモールドフラックスを使用した連続鋳造方法に関するものである。特にCu、Ni、Cr、Mo、Nb、V、Ti、B等の合金元素を含有する亜包晶鋼の鋳造に適したモールドフラックスと、このモールドフラックスを使用した連続鋳造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
C濃度が0.08〜0.18質量%である亜包晶鋼を連続鋳造する場合、鋳型内溶鋼が凝固して形成する凝固殻の厚みが不均一になりやすい。そして、この不均一な厚みに起因して、製造された鋳片の表面に縦割れが発生しやすくなる。
【0003】
鋳型内で形成される凝固殻の厚みを均一にするためには、鋳型内溶鋼の表面上へ供給するモールドフラックスを利用して、凝固殻の先端部を緩やかに冷却することが有効である。以下、このような緩やかな冷却を緩冷却という。
【0004】
モールドフラックスは、鋳型内溶鋼からの熱供給により溶融して、溶鋼表面上で溶融層を形成する。この溶融したフラックスは、鋳型に沿って凝固殻との間隙に流入してフィルムを形成する。このフィルムは、鋳造開始直後、鋳型からの冷却によりガラス状に凝固するが、時間の経過とともにガラス中から結晶が析出する結果、鋳型側から凝固殻側へ向かって順に結晶相およびガラス相、液相の各相により層状に構成される様になる。
【0005】
このフィルムの結晶化を促進させると、フィルムの鋳型側表面の粗度が増大するため、鋳型とフィルムの界面熱抵抗が増大する。あるいは、フィルム中の輻射伝熱も抑制されるため、これらの効果により、フィルムに接した溶鋼および凝固殻が緩冷却される。
【0006】
前記フィルム中に析出する一般的な結晶の組成はカスピダイン(cuspidine:Ca4Si2F2O7)であり、このフィルムの結晶化を促進するに際し、これまで、以下の様な方法が提案されている。
【0007】
モールドフラックスの融体物性の制御として、凝固点を高めることが結晶化の有効な促進方法である。そこで、特許文献1では、モールドフラックスの凝固点を1150〜1250℃に高めて、結晶性を強める方法が開示されている。
【0008】
また、モールドフラックス中の成分による結晶化促進の制御として、CaOのSiO2に対する質量濃度比率(CaO/SiO2。以下、塩基度という。)を上昇させることが有効である。また、MgO濃度の低減も有効である。そこで、特許文献2では、塩基度を1.2〜1.6とした上で、MgO濃度を1.5質量%以下にすることがフィルムの結晶化に有効であることが開示されている。
【0009】
一方、特許文献3或いは4では、モールドフラックス中に鉄或いは遷移金属の酸化物を添加することにより、フィルム中の輻射伝熱を抑制する方法が開示されている。
【0010】
また、特許文献5では、カスピダインの析出しやすいモールドフラックスの組成範囲が、CaO−SiO2−CaF2−NaFの四元系において開示されている。この特許文献5で開示された組成範囲は、その後、非特許文献1で報告されたカスピダインの初晶領域と実質的に一致するものである。
【0011】
また、特許文献6では、前記特許文献5で開示された範囲内に調整された基本組成に対して、遷移金属酸化物を添加することにより、緩冷却効果を損なうことなく凝固点を低下させる方法が開示されている。
【0012】
これら特許文献1〜6で開示された方法は、亜包晶鋼を連続鋳造する場合に鋳片表面に発生する縦割れの防止には効果を有する。
【0013】
しかしながら、Cu、Ni、Cr、Mo、Nb、V、Ti、B等の合金元素を含有する亜包晶鋼の鋳造に際し、溶鋼の過熱度(液相線からの温度上昇量)が大きな場合には、縦割れがさらに発生し易くなるので、前記特許文献1〜6で開示された方法によっても、十分な効果を得られない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平8−197214号公報
【特許文献2】特開平8−141713号公報
【特許文献3】特開平7−185755号公報
【特許文献4】特開平8−33962号公報
【特許文献5】特開2001−179408号公報
【特許文献6】特開2006−289383号公報
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】ISIJ International、42(5), (2002)、489-497
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明が解決しようとする問題点は、Cu、Ni、Cr、Mo、Nb、V、Ti、B等の合金元素を含有する亜包晶鋼の鋳造の場合は、縦割れがさらに発生し易くなるので、従来の方法によっても、十分な効果を得られない場合があるという点である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、Cu、Ni、Cr、Mo、Nb、V、Ti、B等の合金元素を含有する亜包晶鋼の鋳造の場合であっても、鋳片表面の縦割れ発生を効果的に防止することを目的に成されたものである。特に、鋳型内の潤滑性を維持しながら、従来以上の緩冷却効果を得ることを目的に成されたものである。
【0018】
すなわち、本発明の鋼の連続鋳造用モールドフラックスは、
CaO、SiO2、アルカリ金属酸化物、およびフッ素化合物を基本成分とし、
塩基度が1.6以上で、
酸化鉄分としてのTotal.Fe濃度が0.5質量%以下である、或いは、不可避的に含有される酸化鉄分以外の酸化鉄原料を含まず、不可避的に含有される酸化物の還元剤として金属Siあるいは金属Al、Ca‐Si合金、Ca‐Al合金等を含有することを最も主要な特徴としている。
【0019】
本発明のモールドフラックスは、元々カスピダインが結晶化しやすい組成をベースとし、その塩基度を1.6以上に高め、酸化鉄分を低減或いは削除するので、カスピダインの結晶化が促進され、緩冷却化が図れる。
【0020】
本発明の鋼の連続鋳造用モールドフラックスを使用して、鋳造中、鋳型内の溶融層中のTotal.Fe濃度を0.5質量%以下にすれば、Cu、Ni、Cr、Mo、Nb、V、Ti、B等の合金元素を含有する亜包晶鋼の鋳造に際し、溶鋼の過熱度が大きな場合でも鋳面表面に発生する縦割れを効果的に防止することができる。これが本発明の鋼の連続鋳造方法である。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、鋳型内の潤滑性を維持しながら、従来以上の緩冷却効果を得ることが可能となり、Cu、Ni、Cr、Mo、Nb、V、Ti、B等の合金元素を含有する亜包晶鋼鋳片の表面に発生する縦割れを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
特許文献3に記載されているように、酸化鉄をモールドフラックスに積極的に添加することにより、フラックスのフィルム中における放射光の吸収係数を増大させ、放射伝熱を抑制することが、従来より一般的に知られた知見である。
【0023】
また、フィルムにおいて、この放射光の吸収は、酸化鉄分を含んだ液相中で既に起こり、その外側(鋳型側)への放射光の透過は十分に小さいため、結晶相の厚み(結晶析出量)が小さくても、それが再溶融することなく安定して存在し、低く安定な抜熱状態になるとされている。
【0024】
ところが、発明者らが基礎研究を遂行した結果、吸収係数を増大させた状態において、フィルム中に吸収された放射光は、そのままフィルム中に吸収され続けるのではなく、いずれ二次的に、フィルムから鋳型へ向かって、再び放射されるので、実際には、フィルム中に放射光を吸収することが、必ずしも放射伝熱の抑制に効果的ではない、ということがわかった。
【0025】
そして、発明者らは、特に酸化鉄分は光の吸収に効果的な成分であり、むしろ、フラックス中の酸化鉄分の濃度をできるだけ低減し、結晶相を確保することにより、フィルムを介した輻射伝熱を効果的に抑制できることを見出した。
【0026】
また、モールドフラックスの塩基度を1.6以上に高めると、酸化鉄分の濃度を極力低減することにより、カスピダインの結晶化を促進する効果が引き出されることを見出した。
【0027】
すなわち、発明者らは、モールドフラックス中に存在する酸化鉄分を削除或いは低減することにより、鋳型内の輻射伝熱を画期的に抑制させることが可能であること、また、モールドフラックスの塩基度を1.6以上に高めると、酸化鉄分の低減或いは削除により、カスピダインの結晶化を促進する効果を引き出すことが可能であることを見出した。
【0028】
本発明は、以上の知見に基づきなされたもので、Cu、Ni、Cr、Mo、Nb、V、Ti、B等の合金元素を含有する亜包晶鋼鋳片の表面に発生する縦割れを防止するという目的を、塩基度を1.6以上に高め、酸化鉄分を低減或いは削除することで実現した。
【0029】
すなわち、本発明の鋼の連続鋳造用モールドフラックスは、
CaO、SiO2、アルカリ金属酸化物、およびフッ素化合物を基本成分とし、
塩基度が1.6以上で、
酸化鉄分としてのTotal.Fe濃度が0.5質量%以下であることを最も主要な特徴としている。
【0030】
つまり、本発明の鋼の連続鋳造用モールドフラックスは、基本的な成分を、カスピダインの構成成分であるCaO、SiO2、フッ素化合物としている。そして、アルカリ金属の酸化物を添加することで、凝固点を比較的容易に調整できるようにしている。
【0031】
本発明において、塩基度を1.6以上とするのは、1.6未満であると、カスピダインの結晶化が十分に進行しないからである。塩基度の上限は特に限定しないが、塩基度が2.5より高い場合にも、やはり、カスピダインの結晶化が十分に進行しないので、2.5以下にすることが望ましい。
【0032】
更に、塩基度を1.6〜2.5の範囲に保ちながら、CaO、SiO2、フッ素化合物およびアルカリ金属酸化物の各濃度を下記の範囲に調整すると、カスピダインの結晶化はより促進される。
【0033】
1.1≦f(1)≦1.9 …(1)
0.10≦f(2)≦0.40 …(2)
0≦f(3)≦0.25 …(3)
f(1)=(CaO)h/(SiO2)h
f(2)=(CaF2)h/((CaO)h+(SiO2)h+(CaF2)h)
f(3)=(アルカリ金属のフッ化物)h/((CaO)h+(SiO2)h+(アルカリ金属のフッ化物)h)
(CaO)h=(WCaO−(CaF2)h×0.718)
(SiO2)h=WSiO2
(CaF2)h=(WF−WLi2O×1.27−WNa2O×0.613−WK2O×0.403)×2.05
(アルカリ金属のフッ化物)h=WLi2O×1.74+WNa2O×1.35+WK2O×1.23
ここで、Wiは、モールドフラックス中成分iの質量濃度(質量%)。
【0034】
CaO、SiO2、フッ素化合物およびアルカリ金属酸化物の各濃度が上記の条件を満たすように調整することにより、モールドフラックス組成をカスピダインの初晶範囲に維持することが可能となる。
【0035】
f(1)の更に望ましい範囲は1.2〜1.8、更には1.3〜1.7である。
また、f(2)の更に望ましい範囲は0.12〜0.35、更には0.15〜0.30である。
また、f(3)の更に望ましい範囲は0.05〜0.20、更には0.05〜0.15である。
【0036】
前記本発明の鋼の連続鋳造用モールドフラックスにおいて、モールドフラックス中の酸化鉄分濃度を低減するほど、その緩冷却効果が優れる。従って、鋳造中、鋳型内の溶融層中の酸化鉄分濃度を0.5質量%以下にすることが望ましい。これが本発明の鋼の連続鋳造方法である。望ましくは、0.3質量%以下、更に望ましくは0.1質量%以下とする。但し、0.01質量%未満にすることは、モールドフラックスの実際の製造上、困難である。
【0037】
配合原料の事情などにより、不可避的に含有される酸化鉄分の濃度が比較的高い場合には、金属Siあるいは金属Al、Ca‐Si合金、Ca‐Al合金等を配合することにより、鋳造中における溶融層中の酸化鉄分を還元することができる。例えば、Ca‐Si合金の場合、2〜15質量%の割合で配合するのが望ましい。2質量%未満では効果が小さく、15質量%を超えると、鋳型内での溶融速度を適正な状態に維持することが困難になるからである。
【0038】
本発明のモールドフラックスの凝固点は、1200℃以上、1300℃以下が望ましい。1200℃より低いと、十分な緩冷却効果が得られず、1300℃より高いと、潤滑性不良の懸念が生じるからである。
【0039】
また、カスピダインが結晶化しやすい組成をベースにしている本発明のモールドフラックスは、1300℃における粘度は1poise以下であることが望ましい。1poise以下の低い粘度により、潤滑性を維持することが可能になるからである。
【0040】
場合により、本発明のモールドフラックスの凝固点或いは粘度、表面張力等の物性を調整するために、MgO、Al2O3、BaO、B2O3等を添加するのも良い。但し、カスピダインの晶出を促進するためには、これらの濃度は低い方が望ましく、合計濃度で10質量%を超えないようにすることが望ましい。通常の原料を使用する場合、不可避的に含有されるこれらの合計濃度は2〜5質量%程度であるが、プリメルト基材等の人工原料を使用することにより、それ以下にすることもできる。
【実施例1】
【0041】
下記表1に示すような、塩基度および酸化鉄分濃度の異なるモールドフラックスを用意した。
【0042】
発明例Aは、酸化鉄分を含まないように成分調整を施した原料を使用し、モールドフラックス中の酸化鉄分濃度を、鉄分換算の濃度(以下、Total.Fe濃度という。)で0.1質量%未満とした。発明例Bは、配合原料としてポルトランドセメント等の一般的な原料を使用し、Total.Fe濃度は0.7質量%であったが、Ca‐Si合金を全体の3質量%分添加した。発明例A,Bのいずれも、塩基度は1.8とした。
【0043】
一方、比較例aでは、酸化鉄分を含まないように成分調整を施した原料を使用してTotal.Fe濃度は0.1質量%未満としたが、塩基度は1.1と、発明例に対して低い塩基度を設定した。また、比較例bでは、発明例Bと同様に、ポルトランドセメント等の一般的な原料を使用して塩基度1.8、Total.Fe濃度が0.8質量%のモールドフラックスとしたが、発明例Bとは異なり、金属原料は配合しなかった。
【0044】
【表1】

【0045】
発明例および比較例を、下記表2に示す組成の亜包晶鋼の連続鋳造に使用して、結果を比較した。ここでは、3トンの溶鋼を幅800mmおよび厚み100mmの鋳型へ供給して、1.3m/分の速度で鋳造し、長さ4m程度のスラブを得た。
【0046】
【表2】

【0047】
そして、鋳造直後に鋳型内からモールドフラックスのフィルムを採取し、成分濃度を分析した。分析の結果を下記表3に示す。
【0048】
【表3】

【0049】
発明例の場合、フィルム中のTotal.Fe濃度はいずれも0.5質量%以下となった。特に、発明例Aの場合は、鋳造中にもTotal.Fe濃度は0.1質量%未満を維持していた。一方、比較例では、aおよびbのいずれの場合においても、Total.Fe濃度は0.5質量%よりも高くなった。
【0050】
また、採取したフィルムを粉末状にしてX線回折試験に供し、カスピダインの結晶化量を評価した。
【0051】
結晶化量の評価には、フィルムの粉末1gに対して、内部標準試料として二酸化マンガンを0.3g混合した。カスピダインと二酸化マンガンについて、各相の第一ピークにおけるX線回折強度の比をとり、結晶化度と定義した。
【0052】
また、鋳型銅板中の温度と冷却水の温度を計測し、それらの温度差を基にして、長辺面の幅中央でメニスカス下50mmの位置の熱流束を評価した。
フィルムの結晶化度および鋳型内の熱流束を下記表4に示す。
【0053】
【表4】

【0054】
発明例AおよびBでは、フィルムの結晶化度がいずれも13以上であり、鋳型内の熱流束はそれぞれ1.70、1.75MW/m2で、比較例a,bよりも緩冷却化が図れていた。特に、Total.Fe濃度が0.1質量%未満であった発明例Aでは、よりフィルムの結晶化度が大きく、鋳型内の熱流束は小さかった。
【0055】
一方、比較例aは、塩基度が1.1と低かったため、結晶化度は小さく、熱流束は大きくなった。また、比較例bは、塩基度が1.8と発明例と同等に高いものの、Total.Fe濃度が1質量%以上と高いので、結晶化度は発明例よりは低く、熱流束は小さくなった。
【実施例2】
【0056】
実施例1で試験したモールドフラックスのうち、発明例Bを用いて、実施例1より大規模な連続鋳造機を用いた鋳造試験を行った。それぞれのモールドフラックスを用いた各鋳造には、前記表2に示す成分組成の亜包晶鋼の溶鋼300トンを供し、幅2300mm、厚み250mm、長さ6m程度のスラブ11本を速度1.1m/minで鋳造した。その結果、表面に縦割れのなく良好なスラブ11本を安定に鋳造し、そのまま圧延工程へ供給することができた。
【0057】
本発明は上記の例に限らず、各請求項に記載された技術的思想の範疇であれば、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CaO、SiO2、アルカリ金属酸化物、およびフッ素化合物を基本成分とし、
塩基度(CaO/SiO2)が1.6以上で、酸化鉄分としてのTotal.Fe濃度が0.5質量%以下であることを特徴とする鋼の連続鋳造用モールドフラックス。
【請求項2】
CaO、SiO2、アルカリ金属酸化物、およびフッ素化合物を基本成分とし、
塩基度(CaO/SiO2)が1.6以上で、不可避的に含有される酸化鉄分以外の酸化鉄原料を含まず、不可避的に含有される酸化物の還元剤として金属Siあるいは金属Al、Ca‐Si合金、Ca‐Al合金等を含有することを特徴とする鋼の連続鋳造用モールドフラックス。
【請求項3】
モールドフラックス中CaO、SiO2、アルカリ金属酸化物、およびフッ素化合物の質量濃度から換算される下記のf(1)およびf(2)、f(3)が下記の(1)式および(2)式、(3)式を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼の連続鋳造用モールドフラックス。
1.1≦f(1)≦1.9 …(1)
0.10≦f(2)≦0.40 …(2)
0≦f(3)≦0.25 …(3)
f(1)=(CaO)h/(SiO2)h
f(2)=(CaF2)h/((CaO)h+(SiO2)h+(CaF2)h)
f(3)=(アルカリ金属の弗化物)h/((CaO)h+(SiO2)h+(アルカリ金属の弗化物)h)
(CaO)h=(WCaO−(CaF2)h×0.718)
(SiO2)h=WSiO2
(CaF2)h=(WF−WLi2O×1.27−WNa2O×0.613−WK2O×0.403)×2.05
(アルカリ金属の弗化物)h=WLi2O×1.74+WNa2O×1.35+WK2O×1.23
ここで、Wiは、モールドフラックス中成分iの質量濃度(質量%)。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載のモールドフラックスを使用することにより、鋳造中、鋳型内の溶融層中Total.Fe濃度を0.5質量%以下にすることを特徴とする鋼の連続鋳造方法。

【公開番号】特開2013−66913(P2013−66913A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207365(P2011−207365)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000006655)新日鐵住金株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】