鋼管杭、その製造方法および杭の施工方法
【課題】貫入抵抗を抑制して施工性の向上を図りつつ構造の複雑化や製造コストの増加を防止することができる鋼管杭、その製造方法および杭の施工方法を提供すること。
【解決手段】鋼管杭1の先端に縮径部12を形成したことで、管内閉塞を防止して鋼管杭1の貫入抵抗を低減させることができるとともに、縮径部12のテーパ面部123の投影面積分だけ杭先端面積が大きくなることで、鋼管杭1の先端支持力を増大させることができる。さらに、縮径部12の先端開口端縁122が貫入方向と傾斜しているので、支持層が傾斜したような地盤に貫入する場合でも、先端開口端縁122の最先端部124が支持層の高い側を確実に掘削することで、鋼管杭1の傾斜を確実に矯正して直進性を向上させることができる。
【解決手段】鋼管杭1の先端に縮径部12を形成したことで、管内閉塞を防止して鋼管杭1の貫入抵抗を低減させることができるとともに、縮径部12のテーパ面部123の投影面積分だけ杭先端面積が大きくなることで、鋼管杭1の先端支持力を増大させることができる。さらに、縮径部12の先端開口端縁122が貫入方向と傾斜しているので、支持層が傾斜したような地盤に貫入する場合でも、先端開口端縁122の最先端部124が支持層の高い側を確実に掘削することで、鋼管杭1の傾斜を確実に矯正して直進性を向上させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼管杭、その製造方法および杭の施工方法に関し、詳しくは、回転圧入により地盤に貫入される鋼管杭、このような鋼管杭の製造方法、および鋼管杭を用いた杭の施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、地盤に貫入される既成杭の一種に鋼管杭が利用されており、このような鋼管杭として、鋼管本体の先端を斜めに切断した斜め刃部と、鋼管本体内部にて斜め刃部の傾斜と逆方向に傾斜する斜め蓋部とを有した鋼管杭ものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の鋼管杭では、先端の斜め刃部によって地盤に貫入しやすくなっているとともに、斜め刃部が地盤から受ける抵抗を斜め蓋部でバランスさせることによって、鋼管杭を地盤に真っ直ぐに貫入させる、つまり鋼管杭の直進性が高められるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−243250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された従来の鋼管杭では、鋼管本体内部に斜め蓋部が設けられているため、内部に入り込んだ土砂が斜め蓋部で圧縮されて管内閉塞が発生することから、鋼管杭の貫入抵抗が増大して回転圧入の施工性が低下してしまうという問題がある。このため、従来の鋼管杭では、管内閉塞した土砂を上方に押し上げられるだけの荷重を施工時に鋼管に与える必要が起るため、過大な施工装置を用いたり、鋼管本体における斜め蓋部よりも下側に土砂を排出するための孔を形成したり、斜め蓋部に代えて斜め帯部を設けて鋼管本体内面との間に隙間を形成したりなど、管内閉塞の発生を抑制するための工夫が必要となり、鋼管杭の構造が複雑化して製造コストが増加するという新たな問題が生じる。
【0005】
本発明の目的は、貫入抵抗を抑制して施工性の向上を図りつつ構造の複雑化や製造コストの増加を防止することができる鋼管杭、その製造方法および杭の施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の鋼管杭は、回転圧入により地盤に貫入される鋼管杭であって、長尺円筒状の鋼管本体と、この鋼管本体の先端部に設けられて杭先端に向かって縮径する縮径部とを備え、前記縮径部は、前記鋼管本体の軸方向と直交する軸直交平面内にて当該鋼管本体に接合される接合側端縁と、前記鋼管本体の軸方向および前記軸直交平面と傾斜する軸傾斜面に沿うとともに杭先端側に開口する先端開口端縁と、これらの接合側端縁と先端開口端縁とに渡り略円錐面に沿って形成されるテーパ面部とを備えて構成されていることを特徴とする。
【0007】
以上の本発明によれば、鋼管杭の杭先端部に縮径部を設け、この縮径部の杭先端側に先端開口端縁を形成したことで、この先端開口端縁の開口部から内部に入り込む土砂の量を制御することができ、管内閉塞を防止して貫入抵抗を抑制することにより施工性を向上させることができる。すなわち、鋼管本体よりも縮径した縮径部の先端開口端縁は、その開口部投影面積が鋼管本体の内部断面積よりも小さくなることから、入り込んだ土砂が鋼管本体の内部で圧縮されずにスムーズに杭頭側へ上昇することとなるため、管内閉塞を確実に防止することができる。従って、鋼管杭に様々な加工を施して構造を複雑化しなくても貫入抵抗を効果的に抑制することができ、製造コストを抑制しつつ施工性の向上を図ることができる。
また、縮径部のテーパ面部が鋼管杭の貫入方向(鋼管本体の軸方向)と傾斜していることから、テーパ面部の貫入方向への投影面積分だけ杭先端面積を大きくすることができ、鋼管杭の先端支持力を増大させることができる。さらに、地盤に貫入する際にテーパ面部が土砂を外側に押し拡げながら下降することで、鋼管杭周辺の地盤が押し固められることとなり、鋼管杭の周面摩擦力を高めることができ、先端支持力と合わせて鋼管杭の支持力を向上させることができる。
【0008】
また、本発明では、鋼管杭の杭先端部に単なる円錐台形状の縮径部を設けただけではなく、その先端開口端縁を鋼管本体の軸方向および軸直交平面と傾斜する軸傾斜面に沿わせた、つまり先端開口端縁が貫入方向に傾斜して形成されているので、回転圧入される鋼管杭の直進性を向上させることができる。
ここで、例えば、軸直交平面に沿った先端開口を有した鋼管杭を支持層が傾斜した地盤に貫入する場合(あるいは支持層は水平でも斜杭として施工する場合)において、鋼管杭が所定の貫入方向から傾斜してしまう、つまり傾斜した支持層の低い側に杭先端が逃げるように傾斜してしまうことがある。このような鋼管杭の傾斜が生じた場合には、傾斜とは反対方向に鋼管杭を傾けて貫入するような施工方法が用いられるものの、鋼管杭の傾斜を矯正することは容易ではなく、直進性の確保が困難な場合があった。
このような回転圧入施工時における鋼管杭の傾斜に対する施工方法を本発明の鋼管杭に適用した場合には、先端開口端縁が軸傾斜面に沿って形成されていることから、鋼管杭を傾斜と反対方向に傾けても先端開口端縁のうちの最も杭先端寄りの部分(最先端部)が支持層の高い側に当たりやすくでき、この最先端部で支持層の高い側を掘削することによって、支持層の低い側に杭先端が逃げることが防止できる。従って、支持層が傾斜した地盤に貫入する場合であっても、鋼管杭の傾斜を容易かつ確実に矯正することができ、その直進性を向上させることができる。
【0009】
この際、本発明の鋼管杭では、前記軸傾斜面は、前記軸直交平面と所定の勾配で交差する平面で構成され、前記勾配が1/10以上1/2以下に設定されていることが好ましい。
このような構成によれば、地盤のボーリング調査等によって予め支持層の傾斜角度が確認されている場合において、その傾斜角度に応じて軸傾斜面の勾配を適宜に設定して先端開口端縁を形成することで、回転圧入施工時の鋼管杭の傾斜を矯正しやすくして直進性を向上させることができる。
【0010】
さらに、本発明の鋼管杭では、前記先端開口端縁には、複数の掘削ビットが設けられ、少なくとも1つの掘削ビットが当該先端開口端縁のうちの最も杭先端寄りの位置に固定されていることが好ましい。
このような構成によれば、先端開口端縁のうちの最も杭先端寄りの位置(最先端部)に掘削ビットを固定することで、この掘削ビットによって傾斜した支持層の高い側を確実に掘削することができ、鋼管杭の傾斜をより確実に矯正することができる。
【0011】
また、本発明の鋼管杭では、前記鋼管本体の外周面には、螺旋状の羽根または板状で傾斜した傾斜板が固定されていてもよい。
このような構成によれば、螺旋状の羽根や傾斜板からの掘進力が得られることから、回転圧入する際の押し下げ力を軽減させることができ、過大な施工装置を用いなくても確実に鋼管杭を地盤に貫入させることができる。
【0012】
一方、本発明の鋼管杭の製造方法は、前記いずれかの鋼管杭の製造方法であって、長尺円筒状の鋼管本体と、平板状の鋼板とを準備し、前記鋼板から所定形状の縮径部用鋼板を切り出し、切り出した縮径部用鋼板を曲げ加工するとともに、環状となるように一対の側端縁同士を溶接接合して縮径部を製造し、前記鋼管本体の先端部に前記縮径部の接合側端縁を溶接接合する各工程を備え、前記鋼板から切り出す前記縮径部用鋼板は、前記接合側端縁を形成する扇形の円弧辺と、この円弧辺の両端から当該扇形の径方向に延びて前記側端縁を形成する一対の径部辺と、これら一対の径部辺の端部同士を結んで前記縮径部の先端開口端縁を形成する弦部辺と、を有して形成されていることを特徴とする。
このような本発明によれば、縮径部を形成する縮径部用鋼板が円弧辺と径部辺と弦部辺とを有することから、一枚の鋼板から複数の縮径部用鋼板を切り出す際に、一の縮径部用鋼板の円弧辺と他の縮径部用鋼板の弦部辺とが隣り合うようにすることで、複数の縮径部用鋼板を密に配置することができ、鋼板の無駄を削減して製造コストをさらに抑制することができる。
【0013】
また、本発明の杭の施工方法は、前記いずれかの鋼管杭を用いた杭の施工方法であって、前記鋼管杭を回転圧入により地盤に貫入する際に、当該鋼管杭に一方向への傾斜が生じた場合には、一旦鋼管杭を所定量だけ引き上げて前記一方向と逆方向へ傾けてから、当該鋼管杭の回転圧入を再開することを特徴とする。
このような本発明によれば、前述したように、縮径部の先端開口端縁が貫入方向と傾斜して形成されていることから、鋼管杭を傾けても先端開口端縁の最先端部を支持層の高い側に当てて掘削することができ、支持層の低い側に杭先端が逃げて傾斜することが防止できることから、鋼管杭の傾斜を容易かつ確実に矯正して直進性を向上させることができる。
【0014】
また、本発明の杭の施工方法は、前記いずれかの鋼管杭を用いた杭の施工方法であって、前記鋼管杭を回転圧入により地盤に貫入する際に、当該地盤中における傾斜した特定の地層に当該鋼管杭の先端開口端縁の最先端部が当接したら、当該地層の高い側に前記最先端部を向けてから当該最先端部を中心に略半回転の範囲で当該鋼管杭を往復回転させ、前記先端開口端縁の最上端部が地層に到達したら、当該鋼管杭の通常の回転圧入を再開することを特徴とする。
このような本発明によれば、縮径部の先端開口端縁の最先端部を支持層などの地層の高い側に当てて半回転程度の往復回転させ、地層の高い側を掘削することで、地層の低い側に杭先端が逃げて傾斜することが防止でき、鋼管杭の傾斜を防いで直進性を向上させることができる。さらに、貫入途中の鋼管杭を地盤内部で上下させなくてもよいことから、地盤を乱すことが防止でき、施工後の杭の支持力を確実に発揮させることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のような本発明の鋼管杭、その製造方法および杭の施工方法によれば、杭先端に縮径部を形成したことで、先端開口から内部に入り込んだ土砂による管内閉塞を防止することができ、鋼管杭の貫入抵抗を抑制することにより施工性を向上させることができる。さらに、縮径部のテーパ面部の投影面積分だけ杭先端面積が大きくなることで鋼管杭の先端支持力を増大させることができるとともに、テーパ面部が押し拡げた周辺地盤が押し固められることで周面摩擦力を高めることもでき、鋼管杭の支持力を向上させることができる。また、縮径部の先端開口端縁が貫入方向と傾斜して形成されていることから、支持層が傾斜した地盤に貫入する場合に、鋼管杭を傾けても先端開口端縁の最先端部が支持層の高い側を確実に掘削することで、鋼管杭の傾斜を容易かつ確実に矯正して直進性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る鋼管杭の施工状況を示す側面図である。
【図2】前記鋼管杭の先端部を拡大して示す斜視図である。
【図3】前記鋼管杭の先端部を示す断面図である。
【図4】前記鋼管杭の施工手順を説明する図である。
【図5】図4に続く前記鋼管杭の施工手順を説明する図である。
【図6】比較例の鋼管杭の施工手順を説明する図である。
【図7】図6に続く比較例の鋼管杭の施工手順を説明する図である。
【図8】前記実施形態の鋼管杭の製造方法を説明する図である。
【図9】前記実施形態および比較例の鋼管杭の製造方法を説明する図である。
【図10】前記鋼管杭の他の施工手順を説明する図である。
【図11】図10に続く前記鋼管杭の施工手順を説明する図である。
【図12】本発明の変形例に係る鋼管杭を示す側面図および断面図である。
【図13】本発明の他の変形例に係る鋼管杭を示す側面図および断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図3において、本実施形態の鋼管杭1は、回転圧入装置2によって回転圧入されることで地盤Gに貫入されるものであり、長尺円筒状の鋼管本体11と、この鋼管本体11の先端部に設けられて杭先端に向かって縮径する縮径部12とを備えて構成され、縮径部12の先端部には、複数(例えば、4個)の掘削ビット13が固定されている。これらの掘削ビット13のうち、1つは後述する縮径部12の最先端部124に固定されている。また、回転圧入装置2は、適宜な架台に設けられて鋼管杭1を回転させるとともに下方に押し下げる回転圧入部21と、架台を上下移動自在に支持する複数(例えば、4箇所)のジャッキ部22と、架台に載置されて鋼管杭1への押し下げ力を生じさせるカウンターウェイト23とを有して構成されている。このような回転圧入装置2は、複数のジャッキ部22を個別に伸縮させることで架台に傾斜を付与し、鋼管杭1の貫入方向を鉛直方向に対して適宜に傾斜させることができるようになっている。
【0018】
鋼管杭1の縮径部12は、鋼管本体11の軸方向(図2、3のZ方向)と直交する軸直交平面に沿って鋼管本体11に接合される接合側端縁121と、鋼管本体11の軸方向および軸直交平面Eと傾斜する軸傾斜面Fに沿うとともに杭先端側に開口する先端開口端縁122と、これらの接合側端縁121と先端開口端縁122とに渡り略円錐面に沿って形成されるテーパ面部123とを備えて構成されている。軸傾斜面Fは、先端開口端縁122のうち、最も杭先端寄りの位置である最先端部124と、最も杭頭寄りの位置である最上端部125とを含む平面で構成され、軸直交平面Eに対して傾斜角度α1だけ傾斜して設けられている。また、鋼管本体11および接合側端縁121は、外径R1を有した円形に形成され、先端開口端縁122は、最先端部124から最上端部125までの水平距離R2を有した略楕円形に形成されている。さらに、最先端部124から最上端部125までは、鉛直距離Lだけの段差を有し、従って、軸傾斜面Fの傾斜角度α1は、水平距離R2と鉛直距離Lとの比率である勾配L/R2で表されることとなる。このような勾配L/R2は、1/10以上1/2以下に設定されていることが好ましい。
【0019】
以上の鋼管杭1を地盤Gに打設する施工方法について、図4、図5も参照して説明する。
ここで、地盤Gは、砂や粘土やシルトなどから構成される比較的軟質な表層地盤G1と、砂礫層や岩盤などで構成されて硬質な支持層G2とを有して構成され、本施工方法では、鋼管杭1の先端を所定の長さ(例えば、杭の外径R1の5倍程度の長さ)だけ支持層G2に貫入させるものとする。また、支持層G2は水平面に対して任意の傾斜を有しており、図4、図5において、図の左側を支持層G2の高い側とし、図の右側を支持層G2の低い側として以下説明する。
【0020】
回転圧入装置2を用いて鋼管杭1を表層地盤G1に回転圧入して、図4に示すように、鋼管杭1の先端が支持層G2に到達した際に、支持層G2が傾斜していることから、鋼管杭1の先端には、支持層G2の低い側へ逃げる方向に反力が作用し、図中二点鎖線で示すような傾斜が鋼管杭1に生じることとなる。このような傾斜が生じた場合には、先ず、回転圧入装置2の回転圧入部21を逆回転させて所定量だけ鋼管杭1を引き上げる。次に、複数のジャッキ部22を適宜に調節し、鋼管杭1の先端が支持層G2の高い側を向くように鋼管杭1を逆方向へ傾けてから、回転圧入部21による鋼管杭1の回転圧入を再開し、図5に示すように、鋼管杭1の先端を支持層G2に当接させて掘削を継続する。この際、鋼管杭1を上下に進退させつつ回転させて支持層G2を掘削してもよいし、支持層G2位置で上下移動を停止させて鋼管杭1に回転のみを加えて支持層G2を掘削してもよい。そして、縮径部12の先端開口端縁122がZ方向と傾斜を有しているため、先端開口端縁122のうちの最先端部124(および最先端部124に固定した掘削ビット13)が支持層G2の高い側に当接し、この支持層G2の高い側を確実に掘削できるようになっている。このように支持層G2の高い側を掘削することによって、鋼管杭1の先端が支持層G2の低い側に逃げることを防止し、鋼管杭1の傾きが矯正できるようになっている。
【0021】
一方、図6、図7に示す比較例としての鋼管杭1Aのように、縮径部12Aの先端開口端縁122Aが傾斜していない(つまり、Z方向と直交する軸直交平面FAに沿って設けられる)鋼管杭1Aを用いた場合の施工方法を説明する。この鋼管杭1Aでは、先端開口端縁122Aが傾斜していないため、先端開口端縁122Aの全周が最先端部124Aとなり、鋼管杭1のような最上端部125が形成されていない。
このような鋼管杭1Aの先端が支持層G2に到達し、図6中の二点鎖線で示すように支持層G2の低い側へ鋼管杭1Aが傾斜した場合に、前述と同様に、ジャッキ部22を調節して鋼管杭1Aを逆方向へ傾けたとしても、図7に示すように、先端開口端縁122Aの最先端部124Aが支持層G2の低い側に当接して掘削してしまう可能性があるため、支持層G2の高い側を確実に掘削することができず、鋼管杭1Aの傾斜を矯正することが困難になってしまう。
【0022】
以上のような鋼管杭1の製造方法について、図8、図9も参照して説明する。
鋼管杭1の製造手順としては、鋼管本体11と縮径部12とを別々に製造してから、鋼管本体11の先端に縮径部12の接合側端縁121を溶接接合して製造する。縮径部12の製造手順としては、図8(A)に示すような形状の縮径部用鋼板3を準備し、この縮径部用鋼板3を曲げ加工して側端縁同士を溶接接合し、図8(B)に示すような環状の縮径部12を製造する。縮径部用鋼板3は、接合側端縁121を形成する扇形の円弧辺31と、この円弧辺31の両端から扇形の径方向(円の中心)に向かって延びて一対の径部辺(側端縁)32と、これら一対の径部辺32の端部同士を直線的に結んで先端開口端縁122を形成する弦部辺33とを有して形成されている。なお、図8(A)において、二点鎖線で示す部分は、前述した比較例の鋼管杭1Aにおける縮径部12Aを形成する場合の縮径部用鋼板3Aを示し、その弦部辺33Aは、円弧辺31と同心円であって縮径部12Aの先端開口端縁122Aを形成するものである。
【0023】
また、本実施形態の縮径部用鋼板3は、図9(A)に示すように、平板状の鋼板4から複数(例えば、4枚)の縮径部用鋼板3を切り出して形成される。一方、比較例の縮径部用鋼板3Aは、図9(B)に示すように、隣り合う縮径部用鋼板3Aの互いに対向する円弧状の円弧辺31と弦部辺33Aとを離隔させて配置する必要があることから、同一サイズの鋼板4から切り出すことができる枚数が例えば3枚となり、本実施形態の縮径部用鋼板3の場合と比較して、鋼板4の無駄になる部分が多くなってしまう。これに対して、本実施形態の縮径部用鋼板3では、弦部辺33が直線状に形成されていることから、隣り合う縮径部用鋼板3の対向する円弧辺31との間隔を小さくすることができ、同一サイズの鋼板4から切り出すことができる枚数が多くできて鋼板4の無駄を削減することができる。
【0024】
以上のような本実施形態の鋼管杭1によれば、以下の効果が得られる。
すなわち、鋼管杭1の先端に縮径部12を形成したことで、その先端開口から鋼管杭1内部に入り込む土砂の量を抑制することができ、管内閉塞を防止することにより鋼管杭1の貫入抵抗を低減して施工性を向上させることができる。さらに、縮径部12のテーパ面部123をZ方向に投影した投影面積分だけ杭先端面積が大きくなることで、鋼管杭1の先端支持力を増大させることができるとともに、テーパ面部123が押し拡げた周辺地盤が押し固められることで、鋼管本体11の周面摩擦力を高めることもでき、鋼管杭1の支持力を向上させることができる。また、縮径部12の先端開口端縁122が貫入方向(Z方向)と傾斜して形成されていることから、支持層G2が傾斜したような地盤Gに貫入する場合に、鋼管杭1を傾けても先端開口端縁122の最先端部124が支持層G2の高い側を確実に掘削することで、鋼管杭1の傾斜を容易かつ確実に矯正して直進性を向上させることができる。
【0025】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、前記実施形態においては、支持層G2が水平面に対して傾斜した地盤Gに鋼管杭1を回転圧入する場合を説明したが、このような地盤に限らず、比較的硬質な中間層が傾斜したような地盤であって、その中間層を鋼管杭1で貫通する場合にも本発明の鋼管杭1およびその施工方法は有効に機能する。さらに、水平面に対して略平行な支持層G2や中間層を有した地盤であっても、鋼管杭1を斜め方向に貫入させる斜杭の場合にも本発明の鋼管杭1およびその施工方法は有効に機能し、所定の貫入方向に向かう直進性が確保できるようになっている。
【0026】
また、鋼管杭1の施工方法としては、前記実施形態で説明した方法に限らず、図10、図11に示すような施工方法が採用できる。
先ず、図10に示すように、鋼管杭1を回転圧入により表層地盤G1に回転圧入して杭先端が支持層G2に到達したら、先端開口端縁122のうちの最先端部124を支持層G2の高い側に向ける。ここで、支持層G2の深さ位置は、事前のボーリング調査による柱状図等に基づいて算出してもよいし、鋼管杭1を回転圧入する際の回転圧入装置2に作用する施工反力(回転トルクや圧入力など)を計測するようにしてもよい。次に、支持層G2の高い側に向けた最先端部124の位置を中心に鋼管杭1を略半回転(±90°程度)の範囲で往復回転させ、最先端部124側から先端開口端縁122を支持層G2に貫入させる。次に、図11に示すように、先端開口端縁122の最上端部125が支持層G2に到達したら、鋼管杭1の通常の回転圧入を再開し、先端開口端縁122全体で支持層G2の掘削を継続する。このような施工方法によっても、最先端部124による支持層G2の高い側の掘削を先行することによって、鋼管杭1の先端が支持層G2の低い側に逃げることを防止し、鋼管杭1の直進性が向上できるようになっている。また、鋼管杭1を傾斜させたり地盤G中で上下させたりする必要がないことから、地盤Gを乱すことが防止でき、施工後の杭の支持力を確実に発揮させることができる。
【0027】
また、前記実施形態では、平板状の鋼板4から縮径部用鋼板3を切り出し、この縮径部用鋼板3を曲げ加工して縮径部12を製造し、この縮径部12を鋼管本体11に溶接接合して鋼管杭1を製造する手順を説明したが、鋼管杭1の製造方法は、前記実施形態に限定されるものではない。すなわち、鋼管本体11と縮径部12とを別々に製造して接合せずに、鋼管本体11の先端部を圧延等によって曲げ加工して縮径部12を形成してもよいし、鋼管本体11を製造するための圧延工程で同時に縮径部12を形成してもよい。
また、縮径部12の先端開口端縁122は、軸傾斜面Fの平面に沿ったものに限らず、先端開口端縁122が3次元曲面に沿った形状であってもよい。
また、本発明の鋼管杭1において掘削ビット13は必須ではなく、適宜に省略してもよいし、掘削ビット13に代えて先端開口端縁122に掘削用の刃などが形成されたものであってもよい。
【0028】
また、前記実施形態では、先端開口端縁122に複数の掘削ビット13が固定された鋼管杭1を例示したが、本発明の鋼管杭は、図12に示すように、鋼管本体11の外周に固定された螺旋状の羽根14を有したものであってもよいし、図13に示すように、鋼管本体11の外周に固定された板状かつ一対の傾斜鋼板15を有したものであってもよい。このような羽根14や傾斜鋼板15を有した鋼管杭1によれば、鋼管杭1を回転させることで地盤Gに対して羽根14や傾斜鋼板15からの掘進力が得られることから、回転圧入装置2の押し下げ力を軽減させることができ、具体的にはカウンターウェイト23の重量を増加させなくても鋼管杭1を地盤Gに貫入することができる。
【0029】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0030】
1…鋼管杭、3…縮径部用鋼板、4…鋼板、11…鋼管本体、12…縮径部、13…掘削ビット、14…羽根、15…傾斜鋼板、31…円弧辺、32…径部辺、33…弦部辺、121…接合側端縁、122…先端開口端縁、123…テーパ面部、E…軸直交平面、F…軸傾斜面、G…地盤。
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼管杭、その製造方法および杭の施工方法に関し、詳しくは、回転圧入により地盤に貫入される鋼管杭、このような鋼管杭の製造方法、および鋼管杭を用いた杭の施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、地盤に貫入される既成杭の一種に鋼管杭が利用されており、このような鋼管杭として、鋼管本体の先端を斜めに切断した斜め刃部と、鋼管本体内部にて斜め刃部の傾斜と逆方向に傾斜する斜め蓋部とを有した鋼管杭ものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の鋼管杭では、先端の斜め刃部によって地盤に貫入しやすくなっているとともに、斜め刃部が地盤から受ける抵抗を斜め蓋部でバランスさせることによって、鋼管杭を地盤に真っ直ぐに貫入させる、つまり鋼管杭の直進性が高められるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−243250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された従来の鋼管杭では、鋼管本体内部に斜め蓋部が設けられているため、内部に入り込んだ土砂が斜め蓋部で圧縮されて管内閉塞が発生することから、鋼管杭の貫入抵抗が増大して回転圧入の施工性が低下してしまうという問題がある。このため、従来の鋼管杭では、管内閉塞した土砂を上方に押し上げられるだけの荷重を施工時に鋼管に与える必要が起るため、過大な施工装置を用いたり、鋼管本体における斜め蓋部よりも下側に土砂を排出するための孔を形成したり、斜め蓋部に代えて斜め帯部を設けて鋼管本体内面との間に隙間を形成したりなど、管内閉塞の発生を抑制するための工夫が必要となり、鋼管杭の構造が複雑化して製造コストが増加するという新たな問題が生じる。
【0005】
本発明の目的は、貫入抵抗を抑制して施工性の向上を図りつつ構造の複雑化や製造コストの増加を防止することができる鋼管杭、その製造方法および杭の施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の鋼管杭は、回転圧入により地盤に貫入される鋼管杭であって、長尺円筒状の鋼管本体と、この鋼管本体の先端部に設けられて杭先端に向かって縮径する縮径部とを備え、前記縮径部は、前記鋼管本体の軸方向と直交する軸直交平面内にて当該鋼管本体に接合される接合側端縁と、前記鋼管本体の軸方向および前記軸直交平面と傾斜する軸傾斜面に沿うとともに杭先端側に開口する先端開口端縁と、これらの接合側端縁と先端開口端縁とに渡り略円錐面に沿って形成されるテーパ面部とを備えて構成されていることを特徴とする。
【0007】
以上の本発明によれば、鋼管杭の杭先端部に縮径部を設け、この縮径部の杭先端側に先端開口端縁を形成したことで、この先端開口端縁の開口部から内部に入り込む土砂の量を制御することができ、管内閉塞を防止して貫入抵抗を抑制することにより施工性を向上させることができる。すなわち、鋼管本体よりも縮径した縮径部の先端開口端縁は、その開口部投影面積が鋼管本体の内部断面積よりも小さくなることから、入り込んだ土砂が鋼管本体の内部で圧縮されずにスムーズに杭頭側へ上昇することとなるため、管内閉塞を確実に防止することができる。従って、鋼管杭に様々な加工を施して構造を複雑化しなくても貫入抵抗を効果的に抑制することができ、製造コストを抑制しつつ施工性の向上を図ることができる。
また、縮径部のテーパ面部が鋼管杭の貫入方向(鋼管本体の軸方向)と傾斜していることから、テーパ面部の貫入方向への投影面積分だけ杭先端面積を大きくすることができ、鋼管杭の先端支持力を増大させることができる。さらに、地盤に貫入する際にテーパ面部が土砂を外側に押し拡げながら下降することで、鋼管杭周辺の地盤が押し固められることとなり、鋼管杭の周面摩擦力を高めることができ、先端支持力と合わせて鋼管杭の支持力を向上させることができる。
【0008】
また、本発明では、鋼管杭の杭先端部に単なる円錐台形状の縮径部を設けただけではなく、その先端開口端縁を鋼管本体の軸方向および軸直交平面と傾斜する軸傾斜面に沿わせた、つまり先端開口端縁が貫入方向に傾斜して形成されているので、回転圧入される鋼管杭の直進性を向上させることができる。
ここで、例えば、軸直交平面に沿った先端開口を有した鋼管杭を支持層が傾斜した地盤に貫入する場合(あるいは支持層は水平でも斜杭として施工する場合)において、鋼管杭が所定の貫入方向から傾斜してしまう、つまり傾斜した支持層の低い側に杭先端が逃げるように傾斜してしまうことがある。このような鋼管杭の傾斜が生じた場合には、傾斜とは反対方向に鋼管杭を傾けて貫入するような施工方法が用いられるものの、鋼管杭の傾斜を矯正することは容易ではなく、直進性の確保が困難な場合があった。
このような回転圧入施工時における鋼管杭の傾斜に対する施工方法を本発明の鋼管杭に適用した場合には、先端開口端縁が軸傾斜面に沿って形成されていることから、鋼管杭を傾斜と反対方向に傾けても先端開口端縁のうちの最も杭先端寄りの部分(最先端部)が支持層の高い側に当たりやすくでき、この最先端部で支持層の高い側を掘削することによって、支持層の低い側に杭先端が逃げることが防止できる。従って、支持層が傾斜した地盤に貫入する場合であっても、鋼管杭の傾斜を容易かつ確実に矯正することができ、その直進性を向上させることができる。
【0009】
この際、本発明の鋼管杭では、前記軸傾斜面は、前記軸直交平面と所定の勾配で交差する平面で構成され、前記勾配が1/10以上1/2以下に設定されていることが好ましい。
このような構成によれば、地盤のボーリング調査等によって予め支持層の傾斜角度が確認されている場合において、その傾斜角度に応じて軸傾斜面の勾配を適宜に設定して先端開口端縁を形成することで、回転圧入施工時の鋼管杭の傾斜を矯正しやすくして直進性を向上させることができる。
【0010】
さらに、本発明の鋼管杭では、前記先端開口端縁には、複数の掘削ビットが設けられ、少なくとも1つの掘削ビットが当該先端開口端縁のうちの最も杭先端寄りの位置に固定されていることが好ましい。
このような構成によれば、先端開口端縁のうちの最も杭先端寄りの位置(最先端部)に掘削ビットを固定することで、この掘削ビットによって傾斜した支持層の高い側を確実に掘削することができ、鋼管杭の傾斜をより確実に矯正することができる。
【0011】
また、本発明の鋼管杭では、前記鋼管本体の外周面には、螺旋状の羽根または板状で傾斜した傾斜板が固定されていてもよい。
このような構成によれば、螺旋状の羽根や傾斜板からの掘進力が得られることから、回転圧入する際の押し下げ力を軽減させることができ、過大な施工装置を用いなくても確実に鋼管杭を地盤に貫入させることができる。
【0012】
一方、本発明の鋼管杭の製造方法は、前記いずれかの鋼管杭の製造方法であって、長尺円筒状の鋼管本体と、平板状の鋼板とを準備し、前記鋼板から所定形状の縮径部用鋼板を切り出し、切り出した縮径部用鋼板を曲げ加工するとともに、環状となるように一対の側端縁同士を溶接接合して縮径部を製造し、前記鋼管本体の先端部に前記縮径部の接合側端縁を溶接接合する各工程を備え、前記鋼板から切り出す前記縮径部用鋼板は、前記接合側端縁を形成する扇形の円弧辺と、この円弧辺の両端から当該扇形の径方向に延びて前記側端縁を形成する一対の径部辺と、これら一対の径部辺の端部同士を結んで前記縮径部の先端開口端縁を形成する弦部辺と、を有して形成されていることを特徴とする。
このような本発明によれば、縮径部を形成する縮径部用鋼板が円弧辺と径部辺と弦部辺とを有することから、一枚の鋼板から複数の縮径部用鋼板を切り出す際に、一の縮径部用鋼板の円弧辺と他の縮径部用鋼板の弦部辺とが隣り合うようにすることで、複数の縮径部用鋼板を密に配置することができ、鋼板の無駄を削減して製造コストをさらに抑制することができる。
【0013】
また、本発明の杭の施工方法は、前記いずれかの鋼管杭を用いた杭の施工方法であって、前記鋼管杭を回転圧入により地盤に貫入する際に、当該鋼管杭に一方向への傾斜が生じた場合には、一旦鋼管杭を所定量だけ引き上げて前記一方向と逆方向へ傾けてから、当該鋼管杭の回転圧入を再開することを特徴とする。
このような本発明によれば、前述したように、縮径部の先端開口端縁が貫入方向と傾斜して形成されていることから、鋼管杭を傾けても先端開口端縁の最先端部を支持層の高い側に当てて掘削することができ、支持層の低い側に杭先端が逃げて傾斜することが防止できることから、鋼管杭の傾斜を容易かつ確実に矯正して直進性を向上させることができる。
【0014】
また、本発明の杭の施工方法は、前記いずれかの鋼管杭を用いた杭の施工方法であって、前記鋼管杭を回転圧入により地盤に貫入する際に、当該地盤中における傾斜した特定の地層に当該鋼管杭の先端開口端縁の最先端部が当接したら、当該地層の高い側に前記最先端部を向けてから当該最先端部を中心に略半回転の範囲で当該鋼管杭を往復回転させ、前記先端開口端縁の最上端部が地層に到達したら、当該鋼管杭の通常の回転圧入を再開することを特徴とする。
このような本発明によれば、縮径部の先端開口端縁の最先端部を支持層などの地層の高い側に当てて半回転程度の往復回転させ、地層の高い側を掘削することで、地層の低い側に杭先端が逃げて傾斜することが防止でき、鋼管杭の傾斜を防いで直進性を向上させることができる。さらに、貫入途中の鋼管杭を地盤内部で上下させなくてもよいことから、地盤を乱すことが防止でき、施工後の杭の支持力を確実に発揮させることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のような本発明の鋼管杭、その製造方法および杭の施工方法によれば、杭先端に縮径部を形成したことで、先端開口から内部に入り込んだ土砂による管内閉塞を防止することができ、鋼管杭の貫入抵抗を抑制することにより施工性を向上させることができる。さらに、縮径部のテーパ面部の投影面積分だけ杭先端面積が大きくなることで鋼管杭の先端支持力を増大させることができるとともに、テーパ面部が押し拡げた周辺地盤が押し固められることで周面摩擦力を高めることもでき、鋼管杭の支持力を向上させることができる。また、縮径部の先端開口端縁が貫入方向と傾斜して形成されていることから、支持層が傾斜した地盤に貫入する場合に、鋼管杭を傾けても先端開口端縁の最先端部が支持層の高い側を確実に掘削することで、鋼管杭の傾斜を容易かつ確実に矯正して直進性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る鋼管杭の施工状況を示す側面図である。
【図2】前記鋼管杭の先端部を拡大して示す斜視図である。
【図3】前記鋼管杭の先端部を示す断面図である。
【図4】前記鋼管杭の施工手順を説明する図である。
【図5】図4に続く前記鋼管杭の施工手順を説明する図である。
【図6】比較例の鋼管杭の施工手順を説明する図である。
【図7】図6に続く比較例の鋼管杭の施工手順を説明する図である。
【図8】前記実施形態の鋼管杭の製造方法を説明する図である。
【図9】前記実施形態および比較例の鋼管杭の製造方法を説明する図である。
【図10】前記鋼管杭の他の施工手順を説明する図である。
【図11】図10に続く前記鋼管杭の施工手順を説明する図である。
【図12】本発明の変形例に係る鋼管杭を示す側面図および断面図である。
【図13】本発明の他の変形例に係る鋼管杭を示す側面図および断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図3において、本実施形態の鋼管杭1は、回転圧入装置2によって回転圧入されることで地盤Gに貫入されるものであり、長尺円筒状の鋼管本体11と、この鋼管本体11の先端部に設けられて杭先端に向かって縮径する縮径部12とを備えて構成され、縮径部12の先端部には、複数(例えば、4個)の掘削ビット13が固定されている。これらの掘削ビット13のうち、1つは後述する縮径部12の最先端部124に固定されている。また、回転圧入装置2は、適宜な架台に設けられて鋼管杭1を回転させるとともに下方に押し下げる回転圧入部21と、架台を上下移動自在に支持する複数(例えば、4箇所)のジャッキ部22と、架台に載置されて鋼管杭1への押し下げ力を生じさせるカウンターウェイト23とを有して構成されている。このような回転圧入装置2は、複数のジャッキ部22を個別に伸縮させることで架台に傾斜を付与し、鋼管杭1の貫入方向を鉛直方向に対して適宜に傾斜させることができるようになっている。
【0018】
鋼管杭1の縮径部12は、鋼管本体11の軸方向(図2、3のZ方向)と直交する軸直交平面に沿って鋼管本体11に接合される接合側端縁121と、鋼管本体11の軸方向および軸直交平面Eと傾斜する軸傾斜面Fに沿うとともに杭先端側に開口する先端開口端縁122と、これらの接合側端縁121と先端開口端縁122とに渡り略円錐面に沿って形成されるテーパ面部123とを備えて構成されている。軸傾斜面Fは、先端開口端縁122のうち、最も杭先端寄りの位置である最先端部124と、最も杭頭寄りの位置である最上端部125とを含む平面で構成され、軸直交平面Eに対して傾斜角度α1だけ傾斜して設けられている。また、鋼管本体11および接合側端縁121は、外径R1を有した円形に形成され、先端開口端縁122は、最先端部124から最上端部125までの水平距離R2を有した略楕円形に形成されている。さらに、最先端部124から最上端部125までは、鉛直距離Lだけの段差を有し、従って、軸傾斜面Fの傾斜角度α1は、水平距離R2と鉛直距離Lとの比率である勾配L/R2で表されることとなる。このような勾配L/R2は、1/10以上1/2以下に設定されていることが好ましい。
【0019】
以上の鋼管杭1を地盤Gに打設する施工方法について、図4、図5も参照して説明する。
ここで、地盤Gは、砂や粘土やシルトなどから構成される比較的軟質な表層地盤G1と、砂礫層や岩盤などで構成されて硬質な支持層G2とを有して構成され、本施工方法では、鋼管杭1の先端を所定の長さ(例えば、杭の外径R1の5倍程度の長さ)だけ支持層G2に貫入させるものとする。また、支持層G2は水平面に対して任意の傾斜を有しており、図4、図5において、図の左側を支持層G2の高い側とし、図の右側を支持層G2の低い側として以下説明する。
【0020】
回転圧入装置2を用いて鋼管杭1を表層地盤G1に回転圧入して、図4に示すように、鋼管杭1の先端が支持層G2に到達した際に、支持層G2が傾斜していることから、鋼管杭1の先端には、支持層G2の低い側へ逃げる方向に反力が作用し、図中二点鎖線で示すような傾斜が鋼管杭1に生じることとなる。このような傾斜が生じた場合には、先ず、回転圧入装置2の回転圧入部21を逆回転させて所定量だけ鋼管杭1を引き上げる。次に、複数のジャッキ部22を適宜に調節し、鋼管杭1の先端が支持層G2の高い側を向くように鋼管杭1を逆方向へ傾けてから、回転圧入部21による鋼管杭1の回転圧入を再開し、図5に示すように、鋼管杭1の先端を支持層G2に当接させて掘削を継続する。この際、鋼管杭1を上下に進退させつつ回転させて支持層G2を掘削してもよいし、支持層G2位置で上下移動を停止させて鋼管杭1に回転のみを加えて支持層G2を掘削してもよい。そして、縮径部12の先端開口端縁122がZ方向と傾斜を有しているため、先端開口端縁122のうちの最先端部124(および最先端部124に固定した掘削ビット13)が支持層G2の高い側に当接し、この支持層G2の高い側を確実に掘削できるようになっている。このように支持層G2の高い側を掘削することによって、鋼管杭1の先端が支持層G2の低い側に逃げることを防止し、鋼管杭1の傾きが矯正できるようになっている。
【0021】
一方、図6、図7に示す比較例としての鋼管杭1Aのように、縮径部12Aの先端開口端縁122Aが傾斜していない(つまり、Z方向と直交する軸直交平面FAに沿って設けられる)鋼管杭1Aを用いた場合の施工方法を説明する。この鋼管杭1Aでは、先端開口端縁122Aが傾斜していないため、先端開口端縁122Aの全周が最先端部124Aとなり、鋼管杭1のような最上端部125が形成されていない。
このような鋼管杭1Aの先端が支持層G2に到達し、図6中の二点鎖線で示すように支持層G2の低い側へ鋼管杭1Aが傾斜した場合に、前述と同様に、ジャッキ部22を調節して鋼管杭1Aを逆方向へ傾けたとしても、図7に示すように、先端開口端縁122Aの最先端部124Aが支持層G2の低い側に当接して掘削してしまう可能性があるため、支持層G2の高い側を確実に掘削することができず、鋼管杭1Aの傾斜を矯正することが困難になってしまう。
【0022】
以上のような鋼管杭1の製造方法について、図8、図9も参照して説明する。
鋼管杭1の製造手順としては、鋼管本体11と縮径部12とを別々に製造してから、鋼管本体11の先端に縮径部12の接合側端縁121を溶接接合して製造する。縮径部12の製造手順としては、図8(A)に示すような形状の縮径部用鋼板3を準備し、この縮径部用鋼板3を曲げ加工して側端縁同士を溶接接合し、図8(B)に示すような環状の縮径部12を製造する。縮径部用鋼板3は、接合側端縁121を形成する扇形の円弧辺31と、この円弧辺31の両端から扇形の径方向(円の中心)に向かって延びて一対の径部辺(側端縁)32と、これら一対の径部辺32の端部同士を直線的に結んで先端開口端縁122を形成する弦部辺33とを有して形成されている。なお、図8(A)において、二点鎖線で示す部分は、前述した比較例の鋼管杭1Aにおける縮径部12Aを形成する場合の縮径部用鋼板3Aを示し、その弦部辺33Aは、円弧辺31と同心円であって縮径部12Aの先端開口端縁122Aを形成するものである。
【0023】
また、本実施形態の縮径部用鋼板3は、図9(A)に示すように、平板状の鋼板4から複数(例えば、4枚)の縮径部用鋼板3を切り出して形成される。一方、比較例の縮径部用鋼板3Aは、図9(B)に示すように、隣り合う縮径部用鋼板3Aの互いに対向する円弧状の円弧辺31と弦部辺33Aとを離隔させて配置する必要があることから、同一サイズの鋼板4から切り出すことができる枚数が例えば3枚となり、本実施形態の縮径部用鋼板3の場合と比較して、鋼板4の無駄になる部分が多くなってしまう。これに対して、本実施形態の縮径部用鋼板3では、弦部辺33が直線状に形成されていることから、隣り合う縮径部用鋼板3の対向する円弧辺31との間隔を小さくすることができ、同一サイズの鋼板4から切り出すことができる枚数が多くできて鋼板4の無駄を削減することができる。
【0024】
以上のような本実施形態の鋼管杭1によれば、以下の効果が得られる。
すなわち、鋼管杭1の先端に縮径部12を形成したことで、その先端開口から鋼管杭1内部に入り込む土砂の量を抑制することができ、管内閉塞を防止することにより鋼管杭1の貫入抵抗を低減して施工性を向上させることができる。さらに、縮径部12のテーパ面部123をZ方向に投影した投影面積分だけ杭先端面積が大きくなることで、鋼管杭1の先端支持力を増大させることができるとともに、テーパ面部123が押し拡げた周辺地盤が押し固められることで、鋼管本体11の周面摩擦力を高めることもでき、鋼管杭1の支持力を向上させることができる。また、縮径部12の先端開口端縁122が貫入方向(Z方向)と傾斜して形成されていることから、支持層G2が傾斜したような地盤Gに貫入する場合に、鋼管杭1を傾けても先端開口端縁122の最先端部124が支持層G2の高い側を確実に掘削することで、鋼管杭1の傾斜を容易かつ確実に矯正して直進性を向上させることができる。
【0025】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、前記実施形態においては、支持層G2が水平面に対して傾斜した地盤Gに鋼管杭1を回転圧入する場合を説明したが、このような地盤に限らず、比較的硬質な中間層が傾斜したような地盤であって、その中間層を鋼管杭1で貫通する場合にも本発明の鋼管杭1およびその施工方法は有効に機能する。さらに、水平面に対して略平行な支持層G2や中間層を有した地盤であっても、鋼管杭1を斜め方向に貫入させる斜杭の場合にも本発明の鋼管杭1およびその施工方法は有効に機能し、所定の貫入方向に向かう直進性が確保できるようになっている。
【0026】
また、鋼管杭1の施工方法としては、前記実施形態で説明した方法に限らず、図10、図11に示すような施工方法が採用できる。
先ず、図10に示すように、鋼管杭1を回転圧入により表層地盤G1に回転圧入して杭先端が支持層G2に到達したら、先端開口端縁122のうちの最先端部124を支持層G2の高い側に向ける。ここで、支持層G2の深さ位置は、事前のボーリング調査による柱状図等に基づいて算出してもよいし、鋼管杭1を回転圧入する際の回転圧入装置2に作用する施工反力(回転トルクや圧入力など)を計測するようにしてもよい。次に、支持層G2の高い側に向けた最先端部124の位置を中心に鋼管杭1を略半回転(±90°程度)の範囲で往復回転させ、最先端部124側から先端開口端縁122を支持層G2に貫入させる。次に、図11に示すように、先端開口端縁122の最上端部125が支持層G2に到達したら、鋼管杭1の通常の回転圧入を再開し、先端開口端縁122全体で支持層G2の掘削を継続する。このような施工方法によっても、最先端部124による支持層G2の高い側の掘削を先行することによって、鋼管杭1の先端が支持層G2の低い側に逃げることを防止し、鋼管杭1の直進性が向上できるようになっている。また、鋼管杭1を傾斜させたり地盤G中で上下させたりする必要がないことから、地盤Gを乱すことが防止でき、施工後の杭の支持力を確実に発揮させることができる。
【0027】
また、前記実施形態では、平板状の鋼板4から縮径部用鋼板3を切り出し、この縮径部用鋼板3を曲げ加工して縮径部12を製造し、この縮径部12を鋼管本体11に溶接接合して鋼管杭1を製造する手順を説明したが、鋼管杭1の製造方法は、前記実施形態に限定されるものではない。すなわち、鋼管本体11と縮径部12とを別々に製造して接合せずに、鋼管本体11の先端部を圧延等によって曲げ加工して縮径部12を形成してもよいし、鋼管本体11を製造するための圧延工程で同時に縮径部12を形成してもよい。
また、縮径部12の先端開口端縁122は、軸傾斜面Fの平面に沿ったものに限らず、先端開口端縁122が3次元曲面に沿った形状であってもよい。
また、本発明の鋼管杭1において掘削ビット13は必須ではなく、適宜に省略してもよいし、掘削ビット13に代えて先端開口端縁122に掘削用の刃などが形成されたものであってもよい。
【0028】
また、前記実施形態では、先端開口端縁122に複数の掘削ビット13が固定された鋼管杭1を例示したが、本発明の鋼管杭は、図12に示すように、鋼管本体11の外周に固定された螺旋状の羽根14を有したものであってもよいし、図13に示すように、鋼管本体11の外周に固定された板状かつ一対の傾斜鋼板15を有したものであってもよい。このような羽根14や傾斜鋼板15を有した鋼管杭1によれば、鋼管杭1を回転させることで地盤Gに対して羽根14や傾斜鋼板15からの掘進力が得られることから、回転圧入装置2の押し下げ力を軽減させることができ、具体的にはカウンターウェイト23の重量を増加させなくても鋼管杭1を地盤Gに貫入することができる。
【0029】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0030】
1…鋼管杭、3…縮径部用鋼板、4…鋼板、11…鋼管本体、12…縮径部、13…掘削ビット、14…羽根、15…傾斜鋼板、31…円弧辺、32…径部辺、33…弦部辺、121…接合側端縁、122…先端開口端縁、123…テーパ面部、E…軸直交平面、F…軸傾斜面、G…地盤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転圧入により地盤に貫入される鋼管杭であって、
長尺円筒状の鋼管本体と、この鋼管本体の先端部に設けられて杭先端に向かって縮径する縮径部とを備え、
前記縮径部は、前記鋼管本体の軸方向と直交する軸直交平面内にて当該鋼管本体に接合される接合側端縁と、前記鋼管本体の軸方向および前記軸直交平面と傾斜する軸傾斜面に沿うとともに杭先端側に開口する先端開口端縁と、これらの接合側端縁と先端開口端縁とに渡り略円錐面に沿って形成されるテーパ面部とを備えて構成されていることを特徴とする鋼管杭。
【請求項2】
請求項1に記載の鋼管杭において、
前記軸傾斜面は、前記軸直交平面と所定の勾配で交差する平面で構成され、前記勾配が1/10以上1/2以下に設定されていることを特徴とする鋼管杭。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の鋼管杭において、
前記先端開口端縁には、複数の掘削ビットが設けられ、少なくとも1つの掘削ビットが当該先端開口端縁のうちの最も杭先端寄りの位置に固定されていることを特徴とする鋼管杭。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の鋼管杭において、
前記鋼管本体の外周面には、螺旋状の羽根または板状で傾斜した傾斜板が固定されていることを特徴とする鋼管杭。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の鋼管杭の製造方法であって、
長尺円筒状の鋼管本体と、平板状の鋼板とを準備し、
前記鋼板から所定形状の縮径部用鋼板を切り出し、切り出した縮径部用鋼板を曲げ加工するとともに、環状となるように一対の側端縁同士を溶接接合して縮径部を製造し、前記鋼管本体の先端部に前記縮径部の接合側端縁を溶接接合する各工程を備え、
前記鋼板から切り出す前記縮径部用鋼板は、
前記接合側端縁を形成する扇形の円弧辺と、この円弧辺の両端から当該扇形の径方向に延びて前記側端縁を形成する一対の径部辺と、これら一対の径部辺の端部同士を結んで前記縮径部の先端開口端縁を形成する弦部辺と、を有して形成されていることを特徴とする鋼管杭の製造方法。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の鋼管杭を用いた杭の施工方法であって、
前記鋼管杭を回転圧入により地盤に貫入する際に、当該鋼管杭に一方向への傾斜が生じた場合には、一旦鋼管杭を所定量だけ引き上げて前記一方向と逆方向へ傾けてから、当該鋼管杭の回転圧入を再開することを特徴とする杭の施工方法。
【請求項7】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の鋼管杭を用いた杭の施工方法であって、
前記鋼管杭を回転圧入により地盤に貫入する際に、当該地盤中における傾斜した特定の地層に当該鋼管杭の先端開口端縁の最先端部が当接したら、当該地層の高い側に前記最先端部を向けてから当該最先端部を中心に略半回転の範囲で当該鋼管杭を往復回転させ、前記先端開口端縁の最上端部が地層に到達したら、当該鋼管杭の通常の回転圧入を再開することを特徴とする杭の施工方法。
【請求項1】
回転圧入により地盤に貫入される鋼管杭であって、
長尺円筒状の鋼管本体と、この鋼管本体の先端部に設けられて杭先端に向かって縮径する縮径部とを備え、
前記縮径部は、前記鋼管本体の軸方向と直交する軸直交平面内にて当該鋼管本体に接合される接合側端縁と、前記鋼管本体の軸方向および前記軸直交平面と傾斜する軸傾斜面に沿うとともに杭先端側に開口する先端開口端縁と、これらの接合側端縁と先端開口端縁とに渡り略円錐面に沿って形成されるテーパ面部とを備えて構成されていることを特徴とする鋼管杭。
【請求項2】
請求項1に記載の鋼管杭において、
前記軸傾斜面は、前記軸直交平面と所定の勾配で交差する平面で構成され、前記勾配が1/10以上1/2以下に設定されていることを特徴とする鋼管杭。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の鋼管杭において、
前記先端開口端縁には、複数の掘削ビットが設けられ、少なくとも1つの掘削ビットが当該先端開口端縁のうちの最も杭先端寄りの位置に固定されていることを特徴とする鋼管杭。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の鋼管杭において、
前記鋼管本体の外周面には、螺旋状の羽根または板状で傾斜した傾斜板が固定されていることを特徴とする鋼管杭。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の鋼管杭の製造方法であって、
長尺円筒状の鋼管本体と、平板状の鋼板とを準備し、
前記鋼板から所定形状の縮径部用鋼板を切り出し、切り出した縮径部用鋼板を曲げ加工するとともに、環状となるように一対の側端縁同士を溶接接合して縮径部を製造し、前記鋼管本体の先端部に前記縮径部の接合側端縁を溶接接合する各工程を備え、
前記鋼板から切り出す前記縮径部用鋼板は、
前記接合側端縁を形成する扇形の円弧辺と、この円弧辺の両端から当該扇形の径方向に延びて前記側端縁を形成する一対の径部辺と、これら一対の径部辺の端部同士を結んで前記縮径部の先端開口端縁を形成する弦部辺と、を有して形成されていることを特徴とする鋼管杭の製造方法。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の鋼管杭を用いた杭の施工方法であって、
前記鋼管杭を回転圧入により地盤に貫入する際に、当該鋼管杭に一方向への傾斜が生じた場合には、一旦鋼管杭を所定量だけ引き上げて前記一方向と逆方向へ傾けてから、当該鋼管杭の回転圧入を再開することを特徴とする杭の施工方法。
【請求項7】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の鋼管杭を用いた杭の施工方法であって、
前記鋼管杭を回転圧入により地盤に貫入する際に、当該地盤中における傾斜した特定の地層に当該鋼管杭の先端開口端縁の最先端部が当接したら、当該地層の高い側に前記最先端部を向けてから当該最先端部を中心に略半回転の範囲で当該鋼管杭を往復回転させ、前記先端開口端縁の最上端部が地層に到達したら、当該鋼管杭の通常の回転圧入を再開することを特徴とする杭の施工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−57378(P2012−57378A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202758(P2010−202758)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】
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