説明

鋼管杭の接合構造

【課題】 現場溶接を必要とすることなく、信頼性、施工性および作業性に優れ、しかも接合部を構成する部材点数が少なく且つ継手部の加工が容易な鋼管杭の接合構造。
【解決手段】 第1鋼管杭(1)の端部(11)は、その軸線方向に突出するように周方向に間隔を隔てて形成された複数の凸部(11a)を有し、第2鋼管杭(2)の端部(12)は、第1鋼管杭の端部の形状とほぼ相補的な形状を有する。第1鋼管杭の端部と第2鋼管杭の端部との嵌合状態において互いに隣接する凸部(11a,12a)の間には所定形状の孔が形成され、この孔に挿入されたピン部材(13)を介して第1鋼管杭と第2鋼管杭とが連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼管杭の接合構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、鋼管杭の接合構造としては、一対の鋼管杭を現場溶接により接合する溶接継ぎ手構造が大半を占めている。なお、現場溶接を用いない無溶接継ぎ手構造として、ねじ式の継ぎ手構造や、フランジ端板を外部から覆って締め付けるタイプの継ぎ手構造等が提案されているが、実際にはほとんど使用されていないのが実情である。一般に、現場溶接による鋼管杭の接合構造の場合、一対の鋼管杭を接合するための現場溶接に数十分の時間を要し、施工性が悪く且つ信頼性も低い。また、溶接作業は水を嫌い雨天での作業ができないため、作業性が低い。
【0003】
また、近年、先端がスクリュー状に羽根を広げた形態を有し、大きな支持力を得ることのできるタイプの鋼管杭(「つばさ杭」などと呼称されている)が開発され、普及しつつある。この種の鋼管杭の施工方法は、一般的な鋼管杭の工法、すなわちオーガーによる中堀工法とは異なり、杭に回転力を与えることにより先端のスクリュー状の羽根を地盤にめり込ませる(ねじ込ませる)工法である。したがって、この種の鋼管杭では、杭に逆回転力を与えることにより、一旦地盤にめり込ませた杭を抜くことも可能である。
【0004】
このような技術的背景に基づいて、先端がスクリュー状に羽根を広げた形態を有するタイプの鋼管杭を含むあらゆる鋼管杭に適用可能で、現場溶接を必要としない無溶接の接合構造が要望されていた。そこで、本出願人は、現場溶接を必要とすることなく、信頼性、施工性および作業性に優れた鋼管杭の接合構造を提案している(たとえば特許文献1を参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−52333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に開示された鋼管杭の従来の接合構造では、比較的複雑な形状を有する継手部を工場溶接により鋼管杭の端部に取り付け、複数の円弧状帯部材と複数の締結部材(ボルト・ナット)とを用いて継手部同士を現場で連結している。その結果、上記特許文献1の従来の接合構造では、接合部を構成する部材の点数(種類数)が比較的多く、継手部の加工が比較的複雑である。
【0007】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、現場溶接を必要とすることなく、信頼性、施工性および作業性に優れ、しかも接合部を構成する部材点数が少なく且つ継手部の加工が容易な鋼管杭の接合構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明の第1発明では、一対の鋼管杭を接合する構造において、
第1鋼管杭の端部は、その軸線方向に突出するように周方向に間隔を隔てて形成された複数の凸部を有し、
第2鋼管杭の端部は、前記第1鋼管杭の端部の形状とほぼ相補的な形状を有し、
前記第1鋼管杭の端部と前記第2鋼管杭の端部との嵌合状態において互いに隣接する凸部の間には所定形状の孔が形成され、該孔に挿入されたピン部材を介して前記第1鋼管杭と前記第2鋼管杭とが連結されることを特徴とする接合構造を提供する。
【0009】
第1発明の好ましい態様によれば、前記互いに隣接する凸部の間には前記軸線方向に間隔を隔てて複数の孔が形成される。また、前記孔は、径方向に延びる円形状の貫通孔であることが好ましい。この場合、前記互いに隣接する凸部の間に形成される境界面は、前記円形状の貫通孔の中心軸線を含んで前記軸線方向に延びる平面とほぼ一致していることが好ましい。
【0010】
また、第1発明の好ましい態様によれば、前記ピン部材が前記孔から抜け落ちるのを防止するための防止手段を備えていることが好ましい。この場合、前記防止手段は、前記孔の少なくとも一部を覆うように前記第1鋼管杭の端部の内側に取り付けられた裏当て部材を有することが好ましい。あるいは、前記防止手段は、前記ピン部材が前記孔に挿入されたときに前記第1鋼管杭の端部および前記第2鋼管杭の端部の少なくとも一方と係合するように前記ピン部材に設けられた係合部材を有することが好ましい。
【0011】
また、第1発明の好ましい態様によれば、前記第1鋼管杭の端部には、前記複数の凸部が形成された第1継手部が工場溶接により取り付けられ、前記第2鋼管杭の端部には、前記複数の凸部が形成された第2継手部が工場溶接により取り付けられていることが好ましい。この場合、前記第1継手部と前記第2継手部とは互いに同じ形状を有することが好ましい。
【0012】
本発明の第2形態では、第1形態の前記第1継手部および前記第2継手部の製造方法であって、所定の長さを有する継手用鋼管に対して、その周方向に間隔を隔てた複数の前記所定形状の孔を形成する孔形成工程と、前記複数の孔が形成された前記継手用鋼管を前記第1継手部と前記第2継手部との境界線に対応した凹凸状に切断する切断工程とを含むことを特徴とする製造方法を提供する。この場合、前記孔形成工程に先立って鋼管を前記所定の長さに切断する工程をさらに含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、現場溶接を必要とすることなく、信頼性、施工性および作業性に優れ、しかも接合部を構成する部材点数が少なく且つ継手部の加工が容易な鋼管杭の接合構造を実現することができる。本発明にかかる鋼管杭の接合構造は、要求される力学的性能を十分に確保することのできる構成を有するので、先端がスクリュー状に羽根を広げた形態を有するタイプの鋼管杭を含むあらゆる鋼管杭に適用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態にかかる鋼管杭の接合構造を示す図であって、鋼管杭の端部に取り付けられた継手部の構成を概略的に示す斜視図である。また、図2は、図1に示す一対の鋼管杭の端部が互いに嵌合した状態においてピン部材を取り付けた接合状態を概略的に示す斜視図である。また、図3は、図2におけるピン部材の取り付け状態を説明する図であって、(a)は展開側面図を、(b)は(a)の線A−Aに沿った断面図を示している。
【0015】
なお、図1において、各鋼管杭の端部構造は基本的に同じであるため、第2鋼管杭にかかる部分についてはその参照符号を括弧内に示している。図1を参照すると、互いに接合すべき一対の鋼管杭、すなわち第1鋼管杭1および第2鋼管杭2の端部には、第1継手部11および第2継手部12が、たとえば工場溶接(溶接部を参照符合21および22でそれぞれ示す)によりそれぞれ取り付けられている。
【0016】
第1継手部11および第2継手部12はともに、第1鋼管杭1および第2鋼管杭2の軸線方向に突出するように周方向に等間隔を隔てて形成された複数の凸部11aおよび12aと、これらの間に形成された複数の凹部11bおよび12bとをそれぞれ有する。ここで、第1継手部11に形成された各凸部11aおよび第2継手部12に形成された各凸部12aは、互いに同じ形状、すなわち軸線方向に沿った2つの辺と周方向に沿った2つの辺とにより規定されるような全体的に矩形状の形態を有する。
【0017】
また、第1継手部11に形成された凸部11aおよび凹部11bと第2継手部12に形成された凹部12bおよび凸部12aとが互いに嵌合するように、第1継手部11と第2継手部12とはほぼ相補的な形状を有する。さらに詳細には、第1継手部11と第2継手部12とは互いに同じ形状を有する。また、第1継手部11の各凸部11aおよび第2継手部12の各凸部12aにおいて、鋼管の軸線方向に沿った辺のほぼ中央に対応する位置には、半円状の切欠き部11cおよび12cがそれぞれ形成されている。
【0018】
これらの切欠き部11cおよび12cは、後述するように、第1継手部11と第2継手部12との嵌合状態においてピン部材13を収容するための円形状の貫通孔を構成することになる。こうして、第1継手部11の凸部11aと第2継手部12の凹部12bとが対向し且つ第1継手部11の凹部11bと第2継手部12の凸部12aとが対向するように第1鋼管杭1と第2鋼管杭2とを位置決めし、第1鋼管杭1と第2鋼管杭2とを相対的に近接させることにより、図2および図3に示すような嵌合状態が得られる。
【0019】
このとき、第1継手部11の凸部11aの先端面と第2継手部12の凹部12bの基底面とが近接対向し、第2継手部12の凸部12aの先端面と第1継手部11の凹部11bの基底面とが近接対向する。また、第1継手部11の凸部11aの側面と第2継手部12の凸部12aの側面とが近接対向する。本実施形態では、凸部11a,12aの先端面と凹部12b,11bの基底面、および凸部11aの側面と凸部12aの側面とがわずかな間隔を隔てて当接しないが、この点については第1継手部11および第2継手部12の製造方法に関連して後述する。
【0020】
第1継手部11と第2継手部12との嵌合状態において、互いに隣接する凸部11aと12aとの間には、切欠き部11cおよび12cにより円形状の貫通孔が形成される。これらの円形状の貫通孔は、たとえば径方向に延びている。また、互いに隣接する凸部11aと12aとの間に形成される境界面は、円形状の貫通孔の中心軸線を含んで軸線方向に延びる平面とほぼ一致している。本実施形態の接合構造では、円形状の各貫通孔にシェアーキーとしてのピン部材13を挿入することにより、ピン部材13を介して第1継手部11と第2継手部12とを連結し、ひいては第1鋼管杭1と第2鋼管杭2とを連結(接合)する。
【0021】
第1継手部11および第2継手部12の製造に際しては、たとえば第1鋼管杭1や第2鋼管杭2よりも実質的に厚板の鋼管を所定の長さ(図3(a)において寸法L1で示す)に切断して継手用鋼管を準備する。ただし、厚板の鋼管を切断することなく、適当な成形手法などを用いて継手用鋼管を準備することもできる。次いで、たとえばドリルのような穿孔手段を用いて、継手用鋼管に対して、その周方向に間隔を隔てた複数の円形状の貫通孔を形成する。
【0022】
ここで、円形状の貫通孔の直径と挿入されるピン部材13の直径との差を必要最小限の大きさ(たとえば0.5mm〜1mm)に設定し、所望寸法の直径を有する円形状の貫通孔を精度良く順次形成することは容易である。最後に、複数の円形状の貫通孔が形成された継手用鋼管を、たとえばガスまたはレーザを用いて第1継手部11と第2継手部12との境界線に対応した凹凸状に自動切断する。
【0023】
この場合、ガス切断またはレーザ切断により、ピン部材13を介した連結状態において第1継手部11と第2継手部12との間に例えば2mm〜3mmの隙間が生じることになる。しかしながら、後述するように、接合部における力の伝達が円形状の貫通孔に挿入されたピン部材13のみにより行われるので、第1継手部11と第2継手部12との間に隙間があっても問題はない。このように、本実施形態では、第1継手部11および第2継手部12の形状が比較的単純であり、その製造も比較的容易である。
【0024】
一般に、鋼管杭の接合構造において要求される力学的性能は、圧縮耐力、引張耐力、剪断耐力、曲げモーメント耐力、回転ねじれ耐力である。本実施形態では、円形状の貫通孔に挿入されたピン部材13のみにより、すなわちピン部材13の外周面と凸部11aおよび12aに形成された切欠き部11cおよび12cの内周面との当接により、所望の圧縮耐力、所望の引張耐力、所望の剪断耐力、所望の曲げモーメント耐力、および所望の回転ねじれ耐力を確保することができる。
【0025】
こうして、本実施形態では、現場溶接を必要とすることなく、信頼性、施工性および作業性に優れ、しかも接合部を構成する部材点数が少なく且つ継手部の加工が容易な鋼管杭の接合構造を実現することができる。なお、上述したように、本実施形態の鋼管杭の接合構造は、要求される力学的性能(圧縮耐力、引張耐力、剪断耐力、曲げモーメント耐力、回転ねじれ耐力)を十分に確保することができるので、先端がスクリュー状に羽根を広げた形態を有するタイプの鋼管杭を含むあらゆる鋼管杭に適用可能である。
【0026】
特に、本実施形態の接合構造では、従来技術にしたがう他の接合構造とは異なり、鋼管の径方向に偏心の無い形態で力の伝達が行われるので、鋼管の面外方向への付加曲げモーメントが実質的に発生しないという利点がある。この点は、直径の比較的大きい鋼管杭すなわち大径鋼管杭の接合に際して非常に有利である。
【0027】
また、本実施形態の接合構造では、円形状の貫通孔とピン部材13とのクリアランスに対してのみ比較的高い精度が要求されるだけであり、他の部分について要求される精度は低いという利点がある。なお、継手部(11,12)に関する上述の製造方法を採用すれば、ピン部材13に対して所望寸法の直径を有する円形状の貫通孔を精度良く形成することは容易である。
【0028】
ところで、本実施形態の接合構造では、力の伝達に際して鋼管の径方向に沿った力がピン部材13に作用することはないが、施工時にピン部材13が貫通孔から抜け落ちるのを防止するための防止手段を設けることが好ましい。防止手段として、図4(a)に示すように、貫通孔を覆うように(原理的には貫通孔の少なくとも一部を覆うように)第1継手部11および/または第2継手部12の内側に取り付けられた裏当て部材31を用いることができる。
【0029】
この場合、たとえば円柱状の形態を有するピン部材13aを貫通孔に挿入した後に、貫通孔を覆うように(原理的には貫通孔の少なくとも一部を覆うように)第1継手部11および/または第2継手部12の外側にカバー部材32を取り付ける。なお、例えば工場溶接(溶接部を参照符合31aで示す)により裏当て部材31を取り付け、例えば止めボルト(不図示)によりカバー部材32を現場で取り付けることができる。また、円柱状の形態を有するピン部材13aは、たとえば円形状の断面を有する鋼棒を所定の長さに切断することにより得られる。
【0030】
あるいは、防止手段として、図4(b)に示すように、先端に係合部材13baを内蔵するボルト状のピン部材13bを用いることもできる。この場合、ピン部材13bを貫通孔に挿入すると、バネなどの作用により付勢された係合部材13baがピン部材13bの円柱状の本体部分から外側へ突出して第1継手部11および/または第2継手部12と係合するとともに、ピン部材13bのヘッド部分13bbが第1継手部11および/または第2継手部12にほぼ当接する。
【0031】
なお、上述の実施形態では、第1継手部11と第2継手部12とが互いに同じ形状を有するが、これに限定されることなく、第1継手部11および第2継手部12の形状については様々な変形例が可能である。
【0032】
また、上述の実施形態では、第1継手部11に形成された各凸部11aおよび第2継手部12に形成された各凸部12aが全体的に矩形状の形態を有するが、これに限定されることなく、各凸部11a,12aの形態については様々な変形例が可能である。
【0033】
また、上述の実施形態では、鋼管杭(1,2)の外側面と継手部(11,12)の外側面とがほぼ一致するように鋼管杭(1,2)と継手部(11,12)とを溶接している。しかしながら、これに限定されることなく、たとえばオーガーによる中堀工法を用いる場合、図3(b)において破線で示すように、鋼管杭(1,2)の内側面と継手部(11,12)の内側面とがほぼ一致するように鋼管杭(1,2)と継手部(11,12)とを溶接することもできる。一般に、継手部(11,12)に対する鋼管杭(1,2)の溶接位置については様々な変形例が可能である。
【0034】
また、上述の実施形態では、第1継手部11と第2継手部12との嵌合状態において互いに隣接する凸部11aと12aとの間に1つの円形状の貫通孔がそれぞれ構成されるが、これに限定されることなく、互いに隣接する凸部11aと12aとの間に形成される孔の形状、形態、数などについては様々な変形例が可能である。具体的に、たとえば図5〜図7に示す変形例のように、互いに隣接する凸部11aと12aとの間に鋼管の軸線方向に間隔を隔てて一対の(一般には複数の)貫通孔を形成することもできる。
【0035】
図5〜図7に示す変形例では、継手部(11,12)の各凸部(11a,12a)において鋼管の軸線方向に沿った辺の部分に、2つの半円状の切欠き部(11c,12c)が間隔を隔てて形成されている。これらの半円状の切欠き部(11c,12c)は、上述の製造方法にしたがって、たとえばドリルを用いて継手用鋼管に円形状の貫通孔を順次形成することにより容易に得られる。図5〜図7に示す変形例は、特に大きな断面積を有する鋼管杭(1,2)の接合構造において所要の大きな力を伝達するのに有利である。
【0036】
また、上述の実施形態では、一対の鋼管杭、すなわち第1鋼管杭1と第2鋼管杭2との接合に対して本発明を適用しているが、これに限定されることなく、3本以上の鋼管杭の接合に対して本発明を適用することができることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施形態にかかる鋼管杭の接合構造を示す図であって、鋼管杭の端部に取り付けられた継手部の構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】図1に示す一対の鋼管杭の端部が互いに嵌合した状態においてピン部材を取り付けた接合状態を概略的に示す斜視図である。
【図3】図2におけるピン部材の取り付け状態を説明する図であって、(a)は展開側面図を、(b)は(a)の線A−Aに沿った断面図を示している。
【図4】本実施形態の接合状態においてピン部材が貫通孔から抜け落ちるのを防止するための防止手段の構成を概略的に示す図である。
【図5】本実施形態の変形例にかかる鋼管杭の接合構造を示す図であって、鋼管杭の端部に取り付けられた継手部の構成を概略的に示す斜視図である。
【図6】図5に示す一対の鋼管杭の端部が互いに嵌合した状態においてピン部材を取り付けた接合状態を概略的に示す斜視図である。
【図7】図6におけるピン部材の取り付け状態を説明する図であって、(a)は展開側面図を、(b)は(a)の線A−Aに沿った断面図を示している。
【符号の説明】
【0038】
1 第1鋼管杭
2 第2鋼管杭
11 第1継手部
12 第2継手部
11a,12a 凸部
11b,12b 凹部
11c,12c 凸部の切欠き部
13 ピン部材(シェアーキー)
21,22 工場溶接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の鋼管杭を接合する構造において、
第1鋼管杭の端部は、その軸線方向に突出するように周方向に間隔を隔てて形成された複数の凸部を有し、
第2鋼管杭の端部は、前記第1鋼管杭の端部の形状とほぼ相補的な形状を有し、
前記第1鋼管杭の端部と前記第2鋼管杭の端部との嵌合状態において互いに隣接する凸部の間には所定形状の孔が形成され、該孔に挿入されたピン部材を介して前記第1鋼管杭と前記第2鋼管杭とが連結されることを特徴とする接合構造。
【請求項2】
前記互いに隣接する凸部の間には前記軸線方向に間隔を隔てて複数の孔が形成されることを特徴とする請求項1に記載の接合構造。
【請求項3】
前記孔は、径方向に延びる円形状の貫通孔であることを特徴とする請求項1または2に記載の接合構造。
【請求項4】
前記互いに隣接する凸部の間に形成される境界面は、前記円形状の貫通孔の中心軸線を含んで前記軸線方向に延びる平面とほぼ一致していることを特徴とする請求項3に記載の接合構造。
【請求項5】
前記ピン部材が前記孔から抜け落ちるのを防止するための防止手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の接合構造。
【請求項6】
前記防止手段は、前記孔の少なくとも一部を覆うように前記第1鋼管杭の端部の内側に取り付けられた裏当て部材を有することを特徴とする請求項5に記載の接合構造。
【請求項7】
前記防止手段は、前記ピン部材が前記孔に挿入されたときに前記第1鋼管杭の端部および前記第2鋼管杭の端部の少なくとも一方と係合するように前記ピン部材に設けられた係合部材を有することを特徴とする請求項5に記載の接合構造。
【請求項8】
前記第1鋼管杭の端部には、前記複数の凸部が形成された第1継手部が工場溶接により取り付けられ、
前記第2鋼管杭の端部には、前記複数の凸部が形成された第2継手部が工場溶接により取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の接合構造。
【請求項9】
前記第1継手部と前記第2継手部とは互いに同じ形状を有することを特徴とする請求項8に記載の接合構造。
【請求項10】
請求項8または9に記載の前記第1継手部および前記第2継手部の製造方法であって、
所定の長さを有する継手用鋼管に対して、その周方向に間隔を隔てた複数の前記所定形状の孔を形成する孔形成工程と、
前記複数の孔が形成された前記継手用鋼管を前記第1継手部と前記第2継手部との境界線に対応した凹凸状に切断する切断工程とを含むことを特徴とする製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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