鋼管貫入装置
【課題】少ない労力で、効率良く、鋼管保持体に貫入対象鋼管を装着し、対象地盤に貫入設置し、地盤補強を効率よく低コストでなし得るようにする。
【解決手段】鋼管Cを粘性土地盤Bに貫入する鋼管貫入装置Aであって、貫入する鋼管Cを装脱可能に保持する鋼管保持体40と、この鋼管保持体40を昇降させる昇降手段31とを備えており、前記鋼管保持体40が、前記鋼管Cを装脱可能に装着し得ると共に、当該鋼管Cを回転させながら地盤Bに貫入した後、当該貫入鋼管Cから抜き外し得るロッド43を備えており、該ロッド43が、ロッド本体部43aと、当該ロッド本体部43aの下端部側に当該ロッド本体部43aの軸線に直交する向きの回動軸線43cで回動可能に備えられている屈曲ロッド部43bとを備えており、この屈曲ロッド部43bに前記鋼管Cを装脱可能に装着し得るようにしてある。
【解決手段】鋼管Cを粘性土地盤Bに貫入する鋼管貫入装置Aであって、貫入する鋼管Cを装脱可能に保持する鋼管保持体40と、この鋼管保持体40を昇降させる昇降手段31とを備えており、前記鋼管保持体40が、前記鋼管Cを装脱可能に装着し得ると共に、当該鋼管Cを回転させながら地盤Bに貫入した後、当該貫入鋼管Cから抜き外し得るロッド43を備えており、該ロッド43が、ロッド本体部43aと、当該ロッド本体部43aの下端部側に当該ロッド本体部43aの軸線に直交する向きの回動軸線43cで回動可能に備えられている屈曲ロッド部43bとを備えており、この屈曲ロッド部43bに前記鋼管Cを装脱可能に装着し得るようにしてある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地盤の支持力の増加と基礎の沈下の低減をはかるために、粘性土地盤に対して比較的細径の鋼管を一定間隔毎に貫入設置し、その上に布基礎やべた基礎等の基礎を設けるようにした比較的小規模建築物を対象とする粘性土地盤の改良に用いられる鋼管貫入装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の建造物の建築に際して、基礎底面に接する地盤に必要とされる支持力が期待されない場合、岩盤等の安定した支持地盤に届くように杭を打ち、この安定した支持地盤に支持され杭を利用して建造物を構築することが通例なされている。
【0003】
しかしながら、かかる杭基礎工法は、パイル等と称されるコンクリート杭を安定した支持地盤に到るように埋設したり、安定した支持地盤まで打ち込んだ鋼管杭の上部側をコンクリート等で固める必要があり、杭の設置に多くの作業手間、作業空間等を要し、同時に、排出残土の処理を要し、さらに、多くの場合、杭の設置に伴う振動や打撃音の発生等が避けがたいものであった。
【0004】
しかしながら、かかる岩盤等の安定した地盤に届くように杭を設けることは膨大な施工コストや工期等を要し、小規模建築物の地盤補強には不向きであり、この種の小規模建築物の地耐力を増す手段として、一定密度で、粘性土地盤に対して所用長さの細径鋼管を貫入し、この粘性土地盤に貫入された細径鋼管で当該粘性土地盤の補強をすることが試みられている(例えば、特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】特開平8−134883号公開特許公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この種の細径鋼管を用いた地耐力増強方法およびその装置では、対象地盤に鋼管を貫入する際に、各貫入鋼管を一本ずつ、貫入装置における回転軸の下端に装着してある連結手段に対して、当該細径鋼管を起立した状態で連結する必要があり、鋼管の貫入処理に多くの手間と労力とを必要とされていた。
【0007】
かかる地盤補強に用いられる細径鋼管は、例えば、7mに近い、長尺であり、例えば、肉厚が2.4mmの一般構造用炭素鋼等からなり、相当の重量を備えており、しかも、対象地盤に対して所定密度で相当本数を貫入設置する必要があり、各施工現場毎で、相当数の細径鋼管を、逐一、起立状態に保持しながら鋼管保持体に連結しながら貫入設置する必要があり、粘性土地盤の改良に比較的多くの労力と作業日数を要する不具合があった。
【0008】
この発明は、かかる従前における細径鋼管の貫入処理における不具合を解消し、少ない労力で、効率良く、鋼管保持体に貫入対象鋼管を装着し、対象地盤に貫入設置し、地盤補強を効率よく低コストでなし得るようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、前記課題を解決するために、鋼管を粘性土地盤に貫入する鋼管貫入装置であって、
貫入する鋼管を装脱可能に保持する鋼管保持体と、
この鋼管保持体を昇降させる昇降手段とを備えており、
前記鋼管保持体が、前記鋼管を装脱可能に装着し得ると共に、当該鋼管を回転させながら地盤に貫入した後、当該貫入鋼管から抜き外し得るロッドを備えており、
該ロッドが、ロッド本体部と、当該ロッド本体部の下端部側に当該ロッド本体部の軸線に直交する向きの回動軸線で回動可能に備えられている屈曲ロッド部とを備えており、
この屈曲ロッド部に前記鋼管を装脱可能に装着し得るようにしてあることを特徴とする鋼管貫入装置としてある。
【0010】
このように構成される鋼管貫入装置にあっては、鋼管による補強対象とされる地盤に向けて貫入される鋼管を、ほぼ垂直に維持しながら鋼管保持体に垂設状態に組み付ける必要がなく、まず、貫入対象鋼管を横向きにした状態で、当該鋼管における垂設時に上方に位置づけられる側にある鋼管側端を鋼管保持体におけるロッドに装着し易い位置まで、鋼管保持体を下方に移動し、この下方に移動した鋼管保持体における屈曲ロッド部を横向きになすと共に、この横向きとされてた屈曲ロッド部に前記の横向きに用意された鋼管の端部を組み付け、ついで、この鋼管の組み付けられた鋼管保持体を上方に移動することで、当該鋼管保持体のロッドに組み付けた貫入対象鋼管をほぼ垂直の状態にすることができる。
【0011】
このように貫入対象鋼管の上端部側をロッドに組み付けられた鋼管を要請される条件等を維持するようにしながらロッドを回転させつつ前記鋼管保持体を下方に移動することで、当該ロッドに組み付けられているロッドを対象地盤の所要深さまで貫入して貫入処理を繰り返して、対象地盤に所要数の鋼管を貫入設置できることから、鋼管の貫入による対象地盤の補強処理が、少ない労力で、円滑、かつ、容易に、迅速になすことができる。
【0012】
前記鋼管が円筒管であり、当該鋼管の上部内側の直径方向にわたってピンが設けてあると共に、
前記屈曲ロッドの前記鋼管に対する嵌め入れ部が該鋼管に回転可能に嵌め入れうるようにしてあり、当該鋼管に嵌め込まれる先端面から前記ロッド本体部との接続側に向けて前記ピンを受け入れる支持溝を備えており、
かつ、当該支持溝内に受け入れた前記ピンを前記鋼管を回した際に受け入れる保持溝を該支持溝に直交する向きに該支持溝に連続するように設けてあることを特徴とする鋼管貫入装置としてある。
【0013】
このように構成される鋼管貫入装置にあっては、前記特長に併せて、鋼管保持体に対する鋼管の装着及び脱装が容易になし得ると共に、当該鋼管保持体に装着した鋼管を当該鋼管保持体を上方に移動した際においても、当該鋼管保持体に装着された鋼管は当該鋼管保持体で確実に保持されながら、その装着端側を上方に引き上げられて、所期の、例えば、当該鋼管を鉛直状態にセットすることができる。
【0014】
また、このようにロッドに備えられている支持溝内に鋼管のピンを位置づけ、かつ、この嵌め入れ鋼管をロッドの嵌め入れ部を軸として回動させ、ピンを保持溝内に位置づけることで、鋼管保持体に支持した鋼管を安定に、かつ、確実に移動できると共に、対象地盤に対して必要圧のもとで、回転貫入させることができる。
【0015】
前記構成に係る鋼管貫入装置にあって、ロッド本体部に被嵌筒体が備えてあり、このロッド本体部に備えられている被嵌筒体が、前記ロッド本体部と当該ロッド本体部の軸線の延長線上に軸線を揃えるようにされた前記屈曲ロッド部とにわたるように移動可能としてある鋼管貫入装置では、当該ロッドにおける屈曲ロッド部に鋼管を装着した際に、この屈曲ロッド部をロッド本体部に備えられている被嵌筒体によって一体に覆うように当該被嵌筒体を移動させることで、ロッド本体部とロッド屈曲部とが、同一の軸線上に位置づけられた一本棒的な構成とされ、鋼管保持体に備えられるているロッドに取り付けられる鋼管を、より的確に垂直状態、必要に応じて鉛直状態にセットし、かつ、維持することができる。
【0016】
また、前記構成に係る鋼管貫入装置にあって、前記ロッドが、前記屈曲ロッド部を、前記ロッド本体部に直交する向きに維持する姿勢保持手段を備えている鋼管貫入装置では、下方に引き下げた鋼管貫入装置におけるロッドの屈曲ロッド部を鋼管の装着し易い角度にセットし、当該所定角度にセットした屈曲ロッド部における嵌め入れ部に対して、鋼管の側端部分を被嵌状態に組み入れセットすることができ、鋼管の鋼管貫入装置に対する組み付けが、より容易かつ確実になすことができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明に係る鋼管貫入装置は、地盤補強用の鋼管を、容易かつ確実に装着でき、補強対象地盤に対して比較的短期間で、必要量の鋼管を、正確に、貫入セット得きるものであって、粘性土地盤の補強を、短期間に、低コストで低労力でなすことができる利点を備えている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明を実施するための最良の形態に係る鋼管貫入装置Aについて具体的に説明する。
【0019】
図1〜図15は、この発明を実施するための最良の形態に係る典型的な鋼管貫入装置Aを示すものであって、図1は、典型的な鋼管貫入装置Aを側方から示したものであって、建柱車10と、当該建柱車10上に装備されている伸縮自在なブーム20と、当該ブーム20の先端側に、地表面に垂直をなすように立設可能に備えられるリーダー30と、当該リーダー30に沿って昇降可能に備えられる鋼管保持体40と、当該鋼管保持体40に備えられるロッド43を回転自在とするモーター等を備えて、鋼管Cを前記鋼管保持体40におけるロッド43に装着した状態を示している。図2は、かかる鋼管保持体40を下方に移動させながらロッド43を回転しながら前記装着鋼管Cを対象地盤Bに貫入している状態を示している。
【0020】
図3〜図7は、鋼管貫入装置Aにおける要部、特に、鋼管保持体40部分を理解し易いように示したものであって、図3では、貫入対象とされる鋼管Cを前記鋼管保持体40に装着する一過程を示しており、当該貫入対象とされる鋼管Cをロッド43に装着し易い位置まで当該鋼管保持体40をリーダー30の下方に移動し、この下方に移動した鋼管保持体40における被嵌筒体44を上方に移動した状態で、屈曲ロッド部43bを横向きに回動すると共に、この横向きに回動された屈曲ロッド部43bを姿勢保持手段45を用いて所定角度に保持した状態を側方から見て、図4では、屈曲ロッド部43bの嵌め入れ部43b’と、これに被嵌状態に組み付けられる鋼管Cの要部を斜め上方から見て、図5では、この鋼管保持体40におけるロッド43に鋼管Cを装着すると共に当該鋼管保持体40をリーダー30の上方に移動する状態を正面側から見て、図6では、当該鋼管保持体40をリーダー30の上方に引き上げ、被嵌筒体44を下方に移動してロッド本体部43aと屈曲ロッド部43bの各軸線を同一線上にした状態に位置づけるようにして、これを側方から見て示しており、この状態で鋼管保持体40に備えられているモーターを駆動して鋼管Cを装着したロッド43を回転させながら当該鋼管保持体40を下方に向けて移動し、鋼管Cの貫入をなす。なお、図7はロッド43に鋼管Cを装着した状態を断面して示したものであって、屈曲ロッド部43bにおける嵌め入れ部43b’の支持溝46にピンCaを収め入れるように被嵌した鋼管Cを当該支持溝46に連続して備えられている保持溝47に向けて回す直前の状態を示したものであって、この保持溝47においてピンCaをほぼ90度回し込みうる保持溝47を備えた状態を示している。
【0021】
図8〜図14は、鋼管Cを装着〜貫入〜脱装する一例を側方から見て示したものであって、図8では、リーダー30に沿って鋼管保持体40を下方に移動し、この下方に移動した鋼管保持体40におけるロッド43の屈曲ロッド部43bを当該鋼管貫入装置Aの前方側に向けて屈曲させると共に、この前方に向けて横向きとされた屈曲ロッド部43bにおける嵌め入れ部43b’に、横向きに支持した鋼管Cの一方側端を被嵌状態にして組み付けた状態を側方から見て、図9では、この屈曲ロッド部43bの姿勢保持手段45による姿勢保持を解除して、組み付けた鋼管Cの組み付け側と反対側部分が接地している状態を側方から見て、図10では、このように鋼管保持体40に鋼管Cを組み付けた状態で、当該鋼管保持体40をリーダー30に沿って上方に移動している状態を側方から見て、図11では、この鋼管保持体40によって引き上げられた鋼管Cが垂直状態、より典型的には、鉛直状態をなすようにセットされた状態を側方から見て、図12では、この垂直に維持された鋼管Cを油圧モーター42で回転させながら当該鋼管Cの組み付けられている鋼管保持体40を下方に移動して、この鋼管保持体40に組み付けられている鋼管Cを対象地盤Bに貫入している状態を要部を破断して側方から見て、図13では、かかる鋼管貫入装置Aを用いて鋼管Cを対象地盤B内に埋設状態に貫入した状態を要部を破断して側方から見て、図14では、対象地盤Bに貫入された鋼管Cを当該対象地盤B内に残して鋼管保持体40を上方に移動した状態を、要部を破断して側方から見て示している。
【0022】
図15は、このように対象地盤Bに埋設状態に貫入された鋼管Cの上に基礎Bdを設けた状態を要部を破断して側方から見て示している。
【0023】
まず、この発明を実施するための最良の形態に係る鋼管貫入装置Aについて具体的に説明する。
【0024】
ここに示される鋼管貫入装置Aは、鋼管Cを粘性土地盤Bに貫入する鋼管貫入装置Aであって、貫入する鋼管Cを装脱可能に保持する鋼管保持体40と、
この鋼管保持体40を昇降させる昇降手段31とを備えており、
前記鋼管保持体40が、前記鋼管Cを装脱可能に装着し得ると共に、当該鋼管Cを回転させながら地盤Bに貫入した後、当該貫入鋼管Cから抜き外し得るロッド43を備えており、
該ロッド43が、ロッド本体部43aと、当該ロッド本体部43aの下端部側に当該ロッド本体部43aの軸線に直交する向きの回動軸線43cで回動可能に備えられている屈曲ロッド部43bとを備えており、
この屈曲ロッド部43bに前記鋼管Cを装脱可能に装着し得るようにしてある。
【0025】
ここで用いられる鋼管貫入装置Aは、建築物における基礎を構成する地盤Bの改良のために、当該地盤Bに鋼管Cを貫入してなす装置であれば、いかなる形態に構成してあってもよく、鋼管Cを装脱可能に保持する鋼管保持体40と、この鋼管保持体40を昇降させる昇降手段31と、前記鋼管保持体40が、前記鋼管Cを装脱可能に装着し得ると共に、当該鋼管Cを回転させながら地盤Bに貫入した後、当該貫入鋼管Cから抜き外し得るロッド43を備え、しかも、このロッド43が、ロッド本体部43aと、当該ロッド本体部43aの下端部側に当該ロッド本体部43aの軸線に直交する向きの回動軸線43cで回動可能に備えられている屈曲ロッド部43bとを備えておって、この屈曲ロッド部43bに前記鋼管Cを装脱可能に装着し得るようにしてあるものであれば、いかなる構成の鋼管貫入装置Aであってもよい。
【0026】
ここで用いられる鋼管保持体40は、鋼管Cを装脱可能に保持して、適宜の昇降手段31で昇降できるように構成してあれば、いかなる構成の鋼管保持体40であってもよい。
【0027】
また、この鋼管保持体40を昇降させる昇降手段31は、この鋼管保持体40を上下方向に安定に案内し得るものであれば、いかなる昇降手段31であってもよく、例えば、各種のガイド手段に沿って当該鋼管保持体40を昇降させる手段等であれば、例えば、鋼管保持体40を案内するガイドフレームに、当該鋼管保持体40に備えられる駆動モーターのギヤに歯合されるラックを備えて構成してあっても、また、当該ガイドフレームに備えられている駆動スプロケットと従動スプロケットとの間に張設される駆動チェーンに当該鋼管保持体40を備え付けて構成してあってもよく、この鋼管保持体40を安定に昇降させうるものであれば、いかなる構成の昇降手段31であってもよい。
【0028】
前記鋼管保持体40に備えられるロッド43は、前記鋼管Cを装脱可能に装着し得ると共に、当該鋼管Cを回転させながら地盤Bに貫入した後、当該貫入鋼管Cから抜き外し得るものであって、ロッド本体部43aと、当該ロッド本体部43aの下端部側に当該ロッド本体部43aの軸線に直交する向きの回動軸線43cで回動可能に備えられている屈曲ロッド部43bとを備えるものであれば、いかなる素材によって構成してあっても、また、いかなる態様に構成してあってもよい。
【0029】
また、ここで用いられる鋼管Cは、対象地盤Bに対する補強の態様に適合する材質、構成を備えたものが用いられ、対象地盤Bの補強の態様に適合する管径、管長、肉厚を備えたものが用いられる。
【0030】
このように構成される鋼管貫入装置Aにあっては、鋼管Cによる補強対象とされる地盤Bに向けて貫入される鋼管Cを、ほぼ垂直に維持しながら鋼管保持体40に垂設状態に組み付ける必要がなく、まず、貫入対象鋼管Cを横向きにした状態で、当該鋼管Cにおける垂設時に上方に位置づけられる側にある鋼管C側端を鋼管保持体40におけるロッド43に装着し易い位置まで、鋼管保持体40を下方に移動し、この下方に移動した鋼管保持体40における屈曲ロッド部43bを横向きになすと共に、この横向きとされてた屈曲ロッド部43bに前記の横向きに用意された鋼管Cの端部を組み付け、ついで、この鋼管Cの組み付けられた鋼管保持体40を上方に移動することで、当該鋼管保持体40のロッド43に組み付けた貫入対象鋼管Cをほぼ垂直の状態に持ち上げうるように構成してある。
【0031】
このように貫入対象鋼管Cの上端部側をロッド43に組み付けられた鋼管Cを、要請される条件等を維持するようにしながらロッド43を回転させつつ前記鋼管保持体40を下方に移動することで、当該ロッド43に組み付けられているロッド43を対象地盤Bの所要深さまで貫入し、当該貫入処理を繰り返して、対象地盤Bに所要数の鋼管Cを貫入設置するものであって、鋼管Cの貫入による対象地盤Bの補強処理が、少ない労力で、円滑、かつ、容易に、しかも、迅速になすことができる。
【0032】
また、より典型的には、前記鋼管Cを円筒管とし、当該鋼管Cの上部内側の直径方向にわたってピンCaを設け、前記屈曲ロッド部43bの前記鋼管Cに対する嵌め入れ部43b’を該鋼管Cに回転可能に嵌め入れうる構成とし、当該鋼管Cに嵌め込まれる先端面から前記ロッド本体部43aとの接続側に向けて前記ピンCaを受け入れる支持溝46を備え、当該支持溝46内に受け入れた前記ピンCaを前記鋼管Cを回した際に受け入れる保持溝47を該支持溝46に直交する向きに、かつ、該支持溝46に連続するように備えた構成としてある。より典型的には、この支持溝46の底部に受け入れられたピンCaを前記鋼管Cを回した際に受け入れ得るように、当該支持溝46の底部に連続するように保持溝47を設けてある。
【0033】
このように構成される鋼管貫入装置Aにあっては、鋼管保持体40に対する鋼管Cの装着及び脱装が容易になし得ると共に、当該鋼管保持体40に装着した鋼管Cを当該鋼管保持体40を上方に移動した際においても、当該鋼管保持体40に装着された鋼管Cは当該鋼管保持体40で確実に保持されながら、その装着端側を上方に引き上げられて、所期の、例えば、当該鋼管Cを鉛直状態にセットすることができる。
【0034】
また、このようにロッド43に備えられている支持溝46内に鋼管CのピンCaを位置づけ、かつ、この嵌め入れ鋼管Cをロッド43に対して回動させ、ピンCaを保持溝47内に位置づけることで、鋼管保持体40に支持した鋼管Cを安定に、かつ、確実に移動できると共に、対象地盤Bに対して必要圧のもとで、回転貫入させることができる。
【0035】
また、典型的には、前記構成に係る鋼管貫入装置Aにおけるロッド本体部43aに被嵌筒体44が備えてあり、このロッド本体部43aに備えられている被嵌筒体44が、前記ロッド本体部43aと当該ロッド本体部43aの軸線の延長線上に軸線を揃えるようにされた前記屈曲ロッド部43bとにわたるように移動可能とした鋼管貫入装置Aでは、当該ロッド43における屈曲ロッド部43bに鋼管Cを装着した際に、この屈曲ロッド部43bをロッド本体部43aに備えられている被嵌筒体44によって一体に覆うように当該被嵌筒体44を移動させることで、ロッド本体部43aとロッド屈曲部とが、同一の軸線上に位置づけられた一本棒的な構成とされ、鋼管保持体40に備えられるているロッド43に取り付けられる鋼管Cを、より的確に垂直状態、必要に応じて鉛直状態にセットし、かつ、維持することができる。
【0036】
また、前記構成に係る鋼管貫入装置Aにあって、前記ロッド43が、前記屈曲ロッド部43bを、前記ロッド本体部43aに直交する向きに維持する姿勢保持手段45を備えている鋼管貫入装置Aでは、下方に引き下げた鋼管貫入装置Aにおけるロッド43の屈曲ロッド部43bを鋼管Cの装着し易い角度にセットし、当該所定角度にセットした屈曲ロッド部43bにおける嵌め入れ部43b’に対して、鋼管Cの側端部分を被嵌状態に組み入れセットすることができ、鋼管Cの鋼管貫入装置Aに対する組み付けが、より容易かつ確実になすことができる。
【0037】
かかる鋼管貫入装置Aを図示例について具体的に説明する。
【0038】
この図示例に係る鋼管貫入装置Aは、当該鋼管貫入装置Aの典型例として、小規模建築物を対象とした地盤Bの補強、すなわち、地盤Bの支持力増加と基礎の沈下低減を、粘性土地盤B中に細径の鋼管Cを鉛直に所定密度で貫入し、埋設状態に設けた貫入鋼管Cの上部に布基礎、べた基礎等の基礎を構築する際に、当該鋼管Cの貫入に用いるものである。
【0039】
かかる地耐力の増強に用いられる鋼管Cは、例えば、防錆処理の施された一般構造用炭素鋼からなる外径48.6mm、肉厚2.4mm、管長700cm以下とし、対象地盤Bに求められている地耐力をもたらす密度で、対象地盤Bに鉛直に埋設状態に貫入される。
【0040】
この貫入鋼管Cの貫入深度は、地震等の水平力が当該鋼管Cに作用されないように、根切り底Baから捨てコンクリートBc下端迄の間、捨てコンクリートBcが無い場合には根切り底Baから基礎Bd底面迄の間とする。
【0041】
かかる鋼管Cを地盤Bに貫入する装置は、鋼管保持体40と、この鋼管保持体40を昇降可能に案内するリーダー30と、この鋼管保持体40を備えるリーダー30の搬送及び立設に用いられるブーム20と、当該ブーム20を備える建柱車10等の諸設備を備えて構成されていると共に、この図示例にあっては鋼管保持体40をリーダー30に沿って昇降させる昇降手段31と、当該鋼管保持体40にあって、鋼管Cを支持し、かつ、この支持した鋼管Cを回転させながら対象地盤Bに貫入させるロッド43と、このロッド43を正反転駆動させる回転付与手段としての油圧モーター42等を備えて構成してある。
【0042】
ここで用いられる建柱車10は、伸縮自在なブーム20を起伏自在に備えており、施工現場において適宜リフトアップすることで走行車輪を浮かせて、支脚10a〜10aで鋼管貫入装置Aを設置し得る構成としたもので、鋼管Cの貫入施工現場まで当該鋼管貫入装置Aを移動し、かつ、当該施工現場において鋼管Cを鋼管保持体40等を用いて対象地盤Bに貫入し得るように前記各支脚10aを下方に伸ばし、この支脚10aで、当該装置を支持し得るように構成してある。
【0043】
かかる建柱車10のブーム20は、この図示例では伸縮自在としてあり、当該ブーム20の先端に回動軸線30bでリーダー30を回動可能に設けてあり、鋼管Cの貫入施工現場において前記支脚10aによるリフトアップで走行車輪を地面から浮上された建柱車10に備えられている当該ブーム20を伸ばした状態で、リーダー30を垂直状態になるように前記回動軸線30bで回動し、このリーダー30の下端が施工地盤B面に対してほぼ鉛直状態に接地されるように当該ブーム20を回動し、当該リーダー30の下端をピン30aで対象地盤Bに固定して鋼管Cの貫入処理等をなすようにしてある。(図1参照)
【0044】
このように建柱車10の支脚10aによる浮上セッテングと、ブーム20操作とによって、鋼管Cの貫入対象地盤B面に鉛直に立設されるリーダー30は、前記鋼管保持体40を昇降可能に案内するものであって、例えば、前側面に鋼管保持体40の保持アームの移動される割溝30dを開口するように備える角筒体等で構成されており、この角筒体等のリーダー30内に鋼管保持体40を昇降させる昇降手段31を備えて構成される。
【0045】
かかるリーダー30は、この種の細径鋼管Cの貫入による地盤補強装置において用いられている各種のリーダー30を用いることができ、当該リーダー30に備えられる鋼管保持体40の昇降手段31も、この種リーダー30に備えられる各種の昇降手段31、例えば、当該リーダー30の内側の上部側に設けられる駆動モーターで駆動される駆動スプロケット31aと、内側の下部側に備えられる従動スプロケット31bとにチェーン31cを歯合するように架け回して、このチェーン31cに前記鋼管保持体40を止着すると共に、この鋼管保持体40を止着したチェーン31cを前記駆動スプロケット31aの駆動、より具体的には、当該駆動スプロケット31aを正反転させる駆動モーター、例えば油圧モーター等の駆動手段(図示省略)で移動させることで、当該チェーン31cに止着されている鋼管保持体40を上下方向に向けて任意に移動させる等、適宜の昇降手段31で構成することができる。
【0046】
かかるリーダー30に備えられる昇降手段31に組み付けられて当該リーダー30に沿って昇降される鋼管保持体40は、上部に備えられている油圧モーター42で垂直向きに備えられているロッド43を正反転するようにしてあり、アーム41によってリーダー30に備えられているチェーン31c等の昇降手段31に止着されて、当該リーダー30に沿って上下動するようにしてある。
【0047】
この鋼管保持体40は、ほぼ平断面が角筒状をなす鋼管からなるリーダー30における前側面、この図示例ではブーム20の取り付け側と反対側の面に上下に連通するように割溝30dが開口してあり、この割溝30dでリーダー30の内外が連通された状態としてあり、当該リーダー30の内側の上部側に備えられている駆動スプロケット31aと、内側の下部側に備えられている従動スプロケット31bとに歯合するようにかけ回したチェーン31cに対して、前記割溝30dを介して鋼管保持体40をアーム41で止着してあり、このチェーン31cを、駆動スプロケット31aで駆動することで当該チェーン31cに止着されている鋼管保持体40を上下方向に、随時、随意に移動させることができる。
【0048】
また、この駆動スプロケット31aと従動スプロケット31b間に張設してあるチェーン31cは、例えば、正反転可能な油圧モーター(図示省略)で、任意方向に移動可能としてあり、鋼管Cを貫入に都合の良い鉛直状態に垂設しうる位置まで当該チェーン31cに支持されている鋼管保持体40をリーダー30に沿って上方に移動すると共に、この鋼管保持体40に都合良く貫入し得るようにセットされた鋼管Cを、補強対象地盤に向けて所要の深さまで貫入し得る位置まで当該鋼管保持体40を押し下げ得るようにリーダー30に設けてある。
【0049】
かかるリーダー30に備えられているチェーン31cにアーム41で止着されている鋼管保持体40は、ロッド43を垂直向きに備えており、このロッド43を油圧モーター42で、正反転できるようにしてある。
【0050】
この鋼管保持体40から下方に向けて突き出すように備えられているロッド43に、貫入対象鋼管Cを装脱可能に組み付けて、対象地盤Bに貫入し、かつ、貫入した鋼管Cを地盤B内に残すようにして当該鋼管保持体40を上方に移動させ、順次に、必要量の鋼管Cを補強対象地盤Bに貫入設置する。
【0051】
かかる鋼管保持体40に備えられるロッド43は、前記油圧モーター42で正反転自在に回転されるロッド本体部43aと、このロッド本体部43aの下端部に回動可能に連設されている屈曲ロッド部43bとを備えて構成してあり、この屈曲ロッド部43bはロッド本体部43aの下端部に当該ロッド本体部43aの軸線に直角に交叉する向きの回動軸線43cで組み付けてあり、当該ロッド本体部43aに対して、平行な状態から真っ直ぐな一本棒のように直線をなす状態までの任意の角度で用い得るようにしてある。
【0052】
この図示例にあっては、ロッド本体部43aと屈曲ロッド部43bとを姿勢保持手段45で適宜連結して、ロッド本体部43aに対して屈曲ロッド部43bを所定の角度に維持するようにしてあり、より具体的には、当該ロッド本体部43aに回動可能に設けた弾性バー45aの孔45a’に、ほぼ直角に屈曲した屈曲ロッド部43bに植設されているピン45bを掛合して当該屈曲ロッド部43bをロッド本体部43aに直角状態に維持すると共に、当該掛合を外して屈曲ロッド部43bとロッド本体部43aとを真っ直ぐにした際に、前記ピン45bが前記弾性バー45aより下方に位置づけられるように構成してあり、当該屈曲ロッド部43bをロッド本体部43aに対して、随時、随意に屈曲状態または直線状態にして鋼管Cの装着をなし得るようにしてある。(図3参照)
【0053】
このように、リーダー30に沿って下方に移動されて、貫入対象鋼管Cを横向きに屈曲ロッド部43bに装着し得る状態にして、貫入対象鋼管Cを当該屈曲ロッド部43bに随時、装着して、鋼管Cの貫入準備をする。
【0054】
かかる鋼管Cの屈曲ロッド部43bに対する装着は、より典型的には、屈曲ロッド部43bを前記姿勢保持手段45をなす弾性バー45aの孔45a’を、ほぼ、90度に屈曲した屈曲ロッド部43bのピン45bに掛合させて、ロッド本体部43aに対して当該屈曲ロッド部43bを直角状態に維持してなすことが作業上、好ましい。(図8参照)
【0055】
かかる鋼管Cの屈曲ロッド部43bに対する被嵌状の組み付けは、屈曲ロッド部43bの先端面からロッド本体部43aに対する組み付け部側に割設されている支持溝46に、当該屈曲ロッド部43bに被嵌状態に組み付けられる鋼管Cの内側に、その直径方向にわたって備えられているピンCaを納め入れるように被嵌してなされる。
【0056】
従って、円管状の鋼管Cとして用意される管入鋼管Cに差し込み易いように、当該屈曲ロッド部43bの先端側に備えられる嵌め入れ部43b’は、当該円管状をなす鋼管Cに嵌め入れ、かつ、回転し得る形状、例えば、円棒状に構成してあり、この嵌め入れ部43b’が、貫入用鋼管Cに対して、ほぼ、がたなく嵌め入れ得る軸径としてある。
【0057】
また、この屈曲ロッド部43bにおける前記支持溝46には、当該支持溝46に受け入れたピンCaを、前記鋼管Cを回動した際に受け入れる保持溝47が、この支持溝46に連続するように設けてある。
【0058】
この保持溝47は、屈曲ロッド部43bにおける嵌め入れ部43b’に被嵌状態に装着した鋼管Cが鋼管保持体40が上方に移動された際に、当該嵌め入れ部43b’から脱落しないように、この被嵌状態に装着した鋼管Cを回動することで、鋼管CのピンCaを支持溝46から保持溝47に移動し、鋼管Cがロッド43に吊り下がるようにしたものであって、前記支持溝46に連続した状態で、しかも、この支持溝46に直交する向きに設けてある。
【0059】
かかる保持溝47は、この図示例では、前記支持溝46の底面の中心点を中心にして、当該中心点を中心にして屈曲ロッド部43bに対して被嵌鋼管Cを一方向に回転した際に、当該被嵌鋼管CにおけるピンCaを受け入れる向きに、当該支持溝46の底部に連続して備えられる一対の扇形をなす点対称をなす溝47として構成してある。
【0060】
なお、この各扇形をなす保持溝47における最奥部の下面側、すなわち、鋼管Cの取り付け側には、支持溝46の中心点を中心にしてピンCaが回動された態様で受け入れられる受け溝47aが凹設してあり、この受け溝47aに、回動された鋼管CにおけるピンCaが納まるように構成してあり、この受け溝47aにピンCaを支持させることで、鋼管Cは、ロッド43に対して、より確実に保持され、予期しない脱落を防ぐことができる。
【0061】
なを、この図示例にあっては、前記保持溝47が、支持溝46に入れ込まれるピンCaの押し入れ最奥面に構成してあり、鋼管Cのひねり回しによって、ピンCaが支持溝46から保持溝47に都合良く受け入れうるようにしてある。
【0062】
また、この図示例にあっては、前記ロッド43に被嵌筒体44を移動可能に被嵌状態に装着してあり、この被嵌筒体44を必要に応じて移動し得るようにしてある。かかる被嵌筒体44は、屈曲ロッド部43bを屈曲した状態にして用いる際には、姿勢保持手段45の弾性バー45a等の妨げとならないようにロッド本体部43aの上部側に押し上げられた状態で当該ロッド本体部43aに設けてあり、当該ロッド本体部43aと屈曲ロッド部43bとを一連の連続した棒状をなすように当該被嵌筒体44で覆おう場合には、屈曲ロッド部43bにおける嵌め入れ部43b’に対する鋼管Cの嵌め入れの妨げとならないように嵌め入れ部43b’との境界に設けた外周鍔43dに、当該被嵌筒体44の下端を突き当て、この外周鍔43dから先にある嵌め入れ部43b’側を当該被嵌筒体44が覆うことなく、当該外周鍔43dからロッド本体部43aの連設側にある屈曲ロッド部43bと、当該屈曲ロッド部43bに連設されているロッド本体部43aとを当該被嵌筒体44で覆う構成としてある。
【0063】
この図示例にあっては、ロッド43における屈曲ロッド部43bを屈曲させた際に、当該被嵌筒体44がロッド本体部43aに被嵌状態に備えられ、屈曲ロッド部43bにおける軸線をロッド本体部43aの軸線に一致させて、ロッド本体部43aと屈曲ロッド部43bとの各軸線が同一直線上に位置づけられた際に、この被嵌筒体44が当該ロッド本体部43aと共に、屈曲ロッド部43bの嵌め入れ部43b’を除く屈曲ロッド部43bを被嵌状態に保持し、ロッド本体部43aに対して屈曲ロッド部43bが屈曲されないようにしてある。
【0064】
なお、この被嵌筒体44には、その下端側から上方に向けて逃げ溝44aが設けてあり、当該被嵌筒体44を屈曲ロッド部43bに向けて移動した際に、前記姿勢保持手段45である弾性バー45aを、その向きが下向きとなるように回動させながら納め入れ得るようにしてある。
【0065】
なお、前記支持溝46に連続して備えられる保持溝47は、支持溝46に案内された鋼管CにおけるピンCaの脱落を防止し得るものであれば、いかなる態様に構成してあってもよく、例えば、支持溝46からピンCaが、ほぼ45度分回動し得るように保持溝47を構成してあっても、図7に示されるように、当該支持溝46からピンCaを、ほぼ90度分、回動し得るように保持溝47を構成するようにしてあってもよい。
【0066】
かかる構成からなる鋼管貫入装置Aを、鋼管Cの貫入予定位置に図1に示すようにセットする。この際、建柱車10の支脚10aをそれぞれ伸ばして建柱車10の各走行車輪を地面から浮上させて、鋼管貫入装置Aを安定に当該各支脚10a〜10aで作業地面に設置する。
【0067】
ついで、ブーム20を伸ばして、ブーム20先端側に備えられているリーダー30が垂直となるようにセットし、当該リーダー30をピン30aで固定して、鉛直に維持する。
【0068】
かかる状態で鋼管保持体40を昇降手段31でリーダー30の下方に移動し、屈曲ロッド部43bを前方に向けて、ほぼ水平にし、この状態を弾性バー45aを用いて維持するようになす。
【0069】
かかる前処理をした状態で、この水平に保持されている屈曲ロッド部43bの嵌め入れ部43b’に、鋼管CのピンCaを支持溝46に入れ込むように当該鋼管Cを被嵌し、かつ、この被嵌した鋼管Cを回して該鋼管CのピンCaを保持溝47に入れ込むことで、鋼管Cを鋼管保持体40に装着する。(図8参照)
【0070】
この状態で、前記姿勢保持手段45である弾性バー45aをピン45bから抜くことで、屈曲ロッド部43bが水平状態から、鋼管Cの自重で傾かせ、鋼管CのピンCaが保持溝47に引っ掛かる状態となるように、屈曲ロッド部43bに対する取り付け側と反対の側を下方に傾いた状態にする。(図9参照)
【0071】
かかる状態で、鋼管保持体40をリーダー30に沿って昇降手段31で上方に移動することで、鋼管Cは前記保持溝47に引っ掛けられているピンCaで起立方向に持ち上げられる。(図10参照)
【0072】
さらに、鋼管保持体40を引き上げて、ロッド43に装着した鋼管Cを鉛直状態にし、当該鉛直状態にあるか否かの測定をする。また、被嵌筒体44を屈曲ロッド部43bにわたるように移動し、ロッド本体部43aと屈曲ロッド部43bの各軸線が同一直線上に位置づけられるようにする。(図11参照)
【0073】
このようにセットした鋼管貫入装置Aにおける鋼管保持体40をリーダー30に沿って下方に、昇降手段31、例えば、チェーン31cで移動しながら、油圧モーター42を用いて鋼管Cを装着したロッド43を回転しながら、鋼管Cを対象地盤Bに貫入する。(図12参照)
【0074】
かかる鋼管貫入装置Aによって、貫入対象鋼管Cを対象地盤Bの所定深度に達する迄、貫入した時点で、鋼管保持体40を貫入鋼管Cから脱装する。(図13参照)
【0075】
かかる鋼管Cの貫入を、基礎の構成地盤Bに必要とされる地耐力が備えられる本数分なし、当該本数の鋼管Cの貫入処理の完了をまって、鋼管保持体40を昇降手段31でリーダー30の上方に移動し、さらに、当該リーダー30をブーム20と共に建柱車10に納め入れて、鋼管Cの貫入処理を終了する。(図14参照)
【0076】
このように対象地盤Bに貫入された鋼管Cには、必要に応じてキャップCbを被せ、根切り底Baに敷き砂利Bbを敷き込み、捨てコンクリートBcを打設する等して、布基礎、べた基礎等の基礎部Bdを構成する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】典型的な鋼管貫入装置を用いて鋼管の貫入し得る状態にセットした状態の要部を破断して示す側面図
【図2】同鋼管の貫入状態を要部を破断して示す側面図
【図3】同鋼管の取り付け状態の要部を示す側面図
【図4】同鋼管の取り付け状態の要部を示す斜視図
【図5】同鋼管の引き上げ状態の要部を示す正面図
【図6】同鋼管を貫入し得る状態にセットした状態の要部を示す側面図
【図7】同鋼管の取り付け部の一例を示す断面図
【図8】同鋼管の取り付けの一過程の要部を破断して示す側面図
【図9】同鋼管の取り付けの次の過程の要部を破断して示す側面図
【図10】同鋼管の取り付けの更に次の過程の要部を破断して示す側面図
【図11】同鋼管を貫入し得る状態にセットした状態の要部を破断して示す側面図
【図12】同鋼管を貫入している一過程の要部を破断して示す側面図
【図13】同鋼管を貫入している次の一過程の要部を破断して示す側面図
【図14】同鋼管を貫入し、鋼管保持体を上方に移動した状態の要部を破断して示す側面図
【図15】同貫入した鋼管上に基礎を設けた状態の要部を破断して示す側面図
【符号の説明】
【0078】
A 鋼管貫入装置
B 地盤
C 鋼管
31 昇降手段
40 鋼管保持体
43 ロッド
43a ロッド本体部
43b 屈曲ロッド部
43c 回動軸線
【技術分野】
【0001】
この発明は、地盤の支持力の増加と基礎の沈下の低減をはかるために、粘性土地盤に対して比較的細径の鋼管を一定間隔毎に貫入設置し、その上に布基礎やべた基礎等の基礎を設けるようにした比較的小規模建築物を対象とする粘性土地盤の改良に用いられる鋼管貫入装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の建造物の建築に際して、基礎底面に接する地盤に必要とされる支持力が期待されない場合、岩盤等の安定した支持地盤に届くように杭を打ち、この安定した支持地盤に支持され杭を利用して建造物を構築することが通例なされている。
【0003】
しかしながら、かかる杭基礎工法は、パイル等と称されるコンクリート杭を安定した支持地盤に到るように埋設したり、安定した支持地盤まで打ち込んだ鋼管杭の上部側をコンクリート等で固める必要があり、杭の設置に多くの作業手間、作業空間等を要し、同時に、排出残土の処理を要し、さらに、多くの場合、杭の設置に伴う振動や打撃音の発生等が避けがたいものであった。
【0004】
しかしながら、かかる岩盤等の安定した地盤に届くように杭を設けることは膨大な施工コストや工期等を要し、小規模建築物の地盤補強には不向きであり、この種の小規模建築物の地耐力を増す手段として、一定密度で、粘性土地盤に対して所用長さの細径鋼管を貫入し、この粘性土地盤に貫入された細径鋼管で当該粘性土地盤の補強をすることが試みられている(例えば、特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】特開平8−134883号公開特許公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この種の細径鋼管を用いた地耐力増強方法およびその装置では、対象地盤に鋼管を貫入する際に、各貫入鋼管を一本ずつ、貫入装置における回転軸の下端に装着してある連結手段に対して、当該細径鋼管を起立した状態で連結する必要があり、鋼管の貫入処理に多くの手間と労力とを必要とされていた。
【0007】
かかる地盤補強に用いられる細径鋼管は、例えば、7mに近い、長尺であり、例えば、肉厚が2.4mmの一般構造用炭素鋼等からなり、相当の重量を備えており、しかも、対象地盤に対して所定密度で相当本数を貫入設置する必要があり、各施工現場毎で、相当数の細径鋼管を、逐一、起立状態に保持しながら鋼管保持体に連結しながら貫入設置する必要があり、粘性土地盤の改良に比較的多くの労力と作業日数を要する不具合があった。
【0008】
この発明は、かかる従前における細径鋼管の貫入処理における不具合を解消し、少ない労力で、効率良く、鋼管保持体に貫入対象鋼管を装着し、対象地盤に貫入設置し、地盤補強を効率よく低コストでなし得るようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、前記課題を解決するために、鋼管を粘性土地盤に貫入する鋼管貫入装置であって、
貫入する鋼管を装脱可能に保持する鋼管保持体と、
この鋼管保持体を昇降させる昇降手段とを備えており、
前記鋼管保持体が、前記鋼管を装脱可能に装着し得ると共に、当該鋼管を回転させながら地盤に貫入した後、当該貫入鋼管から抜き外し得るロッドを備えており、
該ロッドが、ロッド本体部と、当該ロッド本体部の下端部側に当該ロッド本体部の軸線に直交する向きの回動軸線で回動可能に備えられている屈曲ロッド部とを備えており、
この屈曲ロッド部に前記鋼管を装脱可能に装着し得るようにしてあることを特徴とする鋼管貫入装置としてある。
【0010】
このように構成される鋼管貫入装置にあっては、鋼管による補強対象とされる地盤に向けて貫入される鋼管を、ほぼ垂直に維持しながら鋼管保持体に垂設状態に組み付ける必要がなく、まず、貫入対象鋼管を横向きにした状態で、当該鋼管における垂設時に上方に位置づけられる側にある鋼管側端を鋼管保持体におけるロッドに装着し易い位置まで、鋼管保持体を下方に移動し、この下方に移動した鋼管保持体における屈曲ロッド部を横向きになすと共に、この横向きとされてた屈曲ロッド部に前記の横向きに用意された鋼管の端部を組み付け、ついで、この鋼管の組み付けられた鋼管保持体を上方に移動することで、当該鋼管保持体のロッドに組み付けた貫入対象鋼管をほぼ垂直の状態にすることができる。
【0011】
このように貫入対象鋼管の上端部側をロッドに組み付けられた鋼管を要請される条件等を維持するようにしながらロッドを回転させつつ前記鋼管保持体を下方に移動することで、当該ロッドに組み付けられているロッドを対象地盤の所要深さまで貫入して貫入処理を繰り返して、対象地盤に所要数の鋼管を貫入設置できることから、鋼管の貫入による対象地盤の補強処理が、少ない労力で、円滑、かつ、容易に、迅速になすことができる。
【0012】
前記鋼管が円筒管であり、当該鋼管の上部内側の直径方向にわたってピンが設けてあると共に、
前記屈曲ロッドの前記鋼管に対する嵌め入れ部が該鋼管に回転可能に嵌め入れうるようにしてあり、当該鋼管に嵌め込まれる先端面から前記ロッド本体部との接続側に向けて前記ピンを受け入れる支持溝を備えており、
かつ、当該支持溝内に受け入れた前記ピンを前記鋼管を回した際に受け入れる保持溝を該支持溝に直交する向きに該支持溝に連続するように設けてあることを特徴とする鋼管貫入装置としてある。
【0013】
このように構成される鋼管貫入装置にあっては、前記特長に併せて、鋼管保持体に対する鋼管の装着及び脱装が容易になし得ると共に、当該鋼管保持体に装着した鋼管を当該鋼管保持体を上方に移動した際においても、当該鋼管保持体に装着された鋼管は当該鋼管保持体で確実に保持されながら、その装着端側を上方に引き上げられて、所期の、例えば、当該鋼管を鉛直状態にセットすることができる。
【0014】
また、このようにロッドに備えられている支持溝内に鋼管のピンを位置づけ、かつ、この嵌め入れ鋼管をロッドの嵌め入れ部を軸として回動させ、ピンを保持溝内に位置づけることで、鋼管保持体に支持した鋼管を安定に、かつ、確実に移動できると共に、対象地盤に対して必要圧のもとで、回転貫入させることができる。
【0015】
前記構成に係る鋼管貫入装置にあって、ロッド本体部に被嵌筒体が備えてあり、このロッド本体部に備えられている被嵌筒体が、前記ロッド本体部と当該ロッド本体部の軸線の延長線上に軸線を揃えるようにされた前記屈曲ロッド部とにわたるように移動可能としてある鋼管貫入装置では、当該ロッドにおける屈曲ロッド部に鋼管を装着した際に、この屈曲ロッド部をロッド本体部に備えられている被嵌筒体によって一体に覆うように当該被嵌筒体を移動させることで、ロッド本体部とロッド屈曲部とが、同一の軸線上に位置づけられた一本棒的な構成とされ、鋼管保持体に備えられるているロッドに取り付けられる鋼管を、より的確に垂直状態、必要に応じて鉛直状態にセットし、かつ、維持することができる。
【0016】
また、前記構成に係る鋼管貫入装置にあって、前記ロッドが、前記屈曲ロッド部を、前記ロッド本体部に直交する向きに維持する姿勢保持手段を備えている鋼管貫入装置では、下方に引き下げた鋼管貫入装置におけるロッドの屈曲ロッド部を鋼管の装着し易い角度にセットし、当該所定角度にセットした屈曲ロッド部における嵌め入れ部に対して、鋼管の側端部分を被嵌状態に組み入れセットすることができ、鋼管の鋼管貫入装置に対する組み付けが、より容易かつ確実になすことができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明に係る鋼管貫入装置は、地盤補強用の鋼管を、容易かつ確実に装着でき、補強対象地盤に対して比較的短期間で、必要量の鋼管を、正確に、貫入セット得きるものであって、粘性土地盤の補強を、短期間に、低コストで低労力でなすことができる利点を備えている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明を実施するための最良の形態に係る鋼管貫入装置Aについて具体的に説明する。
【0019】
図1〜図15は、この発明を実施するための最良の形態に係る典型的な鋼管貫入装置Aを示すものであって、図1は、典型的な鋼管貫入装置Aを側方から示したものであって、建柱車10と、当該建柱車10上に装備されている伸縮自在なブーム20と、当該ブーム20の先端側に、地表面に垂直をなすように立設可能に備えられるリーダー30と、当該リーダー30に沿って昇降可能に備えられる鋼管保持体40と、当該鋼管保持体40に備えられるロッド43を回転自在とするモーター等を備えて、鋼管Cを前記鋼管保持体40におけるロッド43に装着した状態を示している。図2は、かかる鋼管保持体40を下方に移動させながらロッド43を回転しながら前記装着鋼管Cを対象地盤Bに貫入している状態を示している。
【0020】
図3〜図7は、鋼管貫入装置Aにおける要部、特に、鋼管保持体40部分を理解し易いように示したものであって、図3では、貫入対象とされる鋼管Cを前記鋼管保持体40に装着する一過程を示しており、当該貫入対象とされる鋼管Cをロッド43に装着し易い位置まで当該鋼管保持体40をリーダー30の下方に移動し、この下方に移動した鋼管保持体40における被嵌筒体44を上方に移動した状態で、屈曲ロッド部43bを横向きに回動すると共に、この横向きに回動された屈曲ロッド部43bを姿勢保持手段45を用いて所定角度に保持した状態を側方から見て、図4では、屈曲ロッド部43bの嵌め入れ部43b’と、これに被嵌状態に組み付けられる鋼管Cの要部を斜め上方から見て、図5では、この鋼管保持体40におけるロッド43に鋼管Cを装着すると共に当該鋼管保持体40をリーダー30の上方に移動する状態を正面側から見て、図6では、当該鋼管保持体40をリーダー30の上方に引き上げ、被嵌筒体44を下方に移動してロッド本体部43aと屈曲ロッド部43bの各軸線を同一線上にした状態に位置づけるようにして、これを側方から見て示しており、この状態で鋼管保持体40に備えられているモーターを駆動して鋼管Cを装着したロッド43を回転させながら当該鋼管保持体40を下方に向けて移動し、鋼管Cの貫入をなす。なお、図7はロッド43に鋼管Cを装着した状態を断面して示したものであって、屈曲ロッド部43bにおける嵌め入れ部43b’の支持溝46にピンCaを収め入れるように被嵌した鋼管Cを当該支持溝46に連続して備えられている保持溝47に向けて回す直前の状態を示したものであって、この保持溝47においてピンCaをほぼ90度回し込みうる保持溝47を備えた状態を示している。
【0021】
図8〜図14は、鋼管Cを装着〜貫入〜脱装する一例を側方から見て示したものであって、図8では、リーダー30に沿って鋼管保持体40を下方に移動し、この下方に移動した鋼管保持体40におけるロッド43の屈曲ロッド部43bを当該鋼管貫入装置Aの前方側に向けて屈曲させると共に、この前方に向けて横向きとされた屈曲ロッド部43bにおける嵌め入れ部43b’に、横向きに支持した鋼管Cの一方側端を被嵌状態にして組み付けた状態を側方から見て、図9では、この屈曲ロッド部43bの姿勢保持手段45による姿勢保持を解除して、組み付けた鋼管Cの組み付け側と反対側部分が接地している状態を側方から見て、図10では、このように鋼管保持体40に鋼管Cを組み付けた状態で、当該鋼管保持体40をリーダー30に沿って上方に移動している状態を側方から見て、図11では、この鋼管保持体40によって引き上げられた鋼管Cが垂直状態、より典型的には、鉛直状態をなすようにセットされた状態を側方から見て、図12では、この垂直に維持された鋼管Cを油圧モーター42で回転させながら当該鋼管Cの組み付けられている鋼管保持体40を下方に移動して、この鋼管保持体40に組み付けられている鋼管Cを対象地盤Bに貫入している状態を要部を破断して側方から見て、図13では、かかる鋼管貫入装置Aを用いて鋼管Cを対象地盤B内に埋設状態に貫入した状態を要部を破断して側方から見て、図14では、対象地盤Bに貫入された鋼管Cを当該対象地盤B内に残して鋼管保持体40を上方に移動した状態を、要部を破断して側方から見て示している。
【0022】
図15は、このように対象地盤Bに埋設状態に貫入された鋼管Cの上に基礎Bdを設けた状態を要部を破断して側方から見て示している。
【0023】
まず、この発明を実施するための最良の形態に係る鋼管貫入装置Aについて具体的に説明する。
【0024】
ここに示される鋼管貫入装置Aは、鋼管Cを粘性土地盤Bに貫入する鋼管貫入装置Aであって、貫入する鋼管Cを装脱可能に保持する鋼管保持体40と、
この鋼管保持体40を昇降させる昇降手段31とを備えており、
前記鋼管保持体40が、前記鋼管Cを装脱可能に装着し得ると共に、当該鋼管Cを回転させながら地盤Bに貫入した後、当該貫入鋼管Cから抜き外し得るロッド43を備えており、
該ロッド43が、ロッド本体部43aと、当該ロッド本体部43aの下端部側に当該ロッド本体部43aの軸線に直交する向きの回動軸線43cで回動可能に備えられている屈曲ロッド部43bとを備えており、
この屈曲ロッド部43bに前記鋼管Cを装脱可能に装着し得るようにしてある。
【0025】
ここで用いられる鋼管貫入装置Aは、建築物における基礎を構成する地盤Bの改良のために、当該地盤Bに鋼管Cを貫入してなす装置であれば、いかなる形態に構成してあってもよく、鋼管Cを装脱可能に保持する鋼管保持体40と、この鋼管保持体40を昇降させる昇降手段31と、前記鋼管保持体40が、前記鋼管Cを装脱可能に装着し得ると共に、当該鋼管Cを回転させながら地盤Bに貫入した後、当該貫入鋼管Cから抜き外し得るロッド43を備え、しかも、このロッド43が、ロッド本体部43aと、当該ロッド本体部43aの下端部側に当該ロッド本体部43aの軸線に直交する向きの回動軸線43cで回動可能に備えられている屈曲ロッド部43bとを備えておって、この屈曲ロッド部43bに前記鋼管Cを装脱可能に装着し得るようにしてあるものであれば、いかなる構成の鋼管貫入装置Aであってもよい。
【0026】
ここで用いられる鋼管保持体40は、鋼管Cを装脱可能に保持して、適宜の昇降手段31で昇降できるように構成してあれば、いかなる構成の鋼管保持体40であってもよい。
【0027】
また、この鋼管保持体40を昇降させる昇降手段31は、この鋼管保持体40を上下方向に安定に案内し得るものであれば、いかなる昇降手段31であってもよく、例えば、各種のガイド手段に沿って当該鋼管保持体40を昇降させる手段等であれば、例えば、鋼管保持体40を案内するガイドフレームに、当該鋼管保持体40に備えられる駆動モーターのギヤに歯合されるラックを備えて構成してあっても、また、当該ガイドフレームに備えられている駆動スプロケットと従動スプロケットとの間に張設される駆動チェーンに当該鋼管保持体40を備え付けて構成してあってもよく、この鋼管保持体40を安定に昇降させうるものであれば、いかなる構成の昇降手段31であってもよい。
【0028】
前記鋼管保持体40に備えられるロッド43は、前記鋼管Cを装脱可能に装着し得ると共に、当該鋼管Cを回転させながら地盤Bに貫入した後、当該貫入鋼管Cから抜き外し得るものであって、ロッド本体部43aと、当該ロッド本体部43aの下端部側に当該ロッド本体部43aの軸線に直交する向きの回動軸線43cで回動可能に備えられている屈曲ロッド部43bとを備えるものであれば、いかなる素材によって構成してあっても、また、いかなる態様に構成してあってもよい。
【0029】
また、ここで用いられる鋼管Cは、対象地盤Bに対する補強の態様に適合する材質、構成を備えたものが用いられ、対象地盤Bの補強の態様に適合する管径、管長、肉厚を備えたものが用いられる。
【0030】
このように構成される鋼管貫入装置Aにあっては、鋼管Cによる補強対象とされる地盤Bに向けて貫入される鋼管Cを、ほぼ垂直に維持しながら鋼管保持体40に垂設状態に組み付ける必要がなく、まず、貫入対象鋼管Cを横向きにした状態で、当該鋼管Cにおける垂設時に上方に位置づけられる側にある鋼管C側端を鋼管保持体40におけるロッド43に装着し易い位置まで、鋼管保持体40を下方に移動し、この下方に移動した鋼管保持体40における屈曲ロッド部43bを横向きになすと共に、この横向きとされてた屈曲ロッド部43bに前記の横向きに用意された鋼管Cの端部を組み付け、ついで、この鋼管Cの組み付けられた鋼管保持体40を上方に移動することで、当該鋼管保持体40のロッド43に組み付けた貫入対象鋼管Cをほぼ垂直の状態に持ち上げうるように構成してある。
【0031】
このように貫入対象鋼管Cの上端部側をロッド43に組み付けられた鋼管Cを、要請される条件等を維持するようにしながらロッド43を回転させつつ前記鋼管保持体40を下方に移動することで、当該ロッド43に組み付けられているロッド43を対象地盤Bの所要深さまで貫入し、当該貫入処理を繰り返して、対象地盤Bに所要数の鋼管Cを貫入設置するものであって、鋼管Cの貫入による対象地盤Bの補強処理が、少ない労力で、円滑、かつ、容易に、しかも、迅速になすことができる。
【0032】
また、より典型的には、前記鋼管Cを円筒管とし、当該鋼管Cの上部内側の直径方向にわたってピンCaを設け、前記屈曲ロッド部43bの前記鋼管Cに対する嵌め入れ部43b’を該鋼管Cに回転可能に嵌め入れうる構成とし、当該鋼管Cに嵌め込まれる先端面から前記ロッド本体部43aとの接続側に向けて前記ピンCaを受け入れる支持溝46を備え、当該支持溝46内に受け入れた前記ピンCaを前記鋼管Cを回した際に受け入れる保持溝47を該支持溝46に直交する向きに、かつ、該支持溝46に連続するように備えた構成としてある。より典型的には、この支持溝46の底部に受け入れられたピンCaを前記鋼管Cを回した際に受け入れ得るように、当該支持溝46の底部に連続するように保持溝47を設けてある。
【0033】
このように構成される鋼管貫入装置Aにあっては、鋼管保持体40に対する鋼管Cの装着及び脱装が容易になし得ると共に、当該鋼管保持体40に装着した鋼管Cを当該鋼管保持体40を上方に移動した際においても、当該鋼管保持体40に装着された鋼管Cは当該鋼管保持体40で確実に保持されながら、その装着端側を上方に引き上げられて、所期の、例えば、当該鋼管Cを鉛直状態にセットすることができる。
【0034】
また、このようにロッド43に備えられている支持溝46内に鋼管CのピンCaを位置づけ、かつ、この嵌め入れ鋼管Cをロッド43に対して回動させ、ピンCaを保持溝47内に位置づけることで、鋼管保持体40に支持した鋼管Cを安定に、かつ、確実に移動できると共に、対象地盤Bに対して必要圧のもとで、回転貫入させることができる。
【0035】
また、典型的には、前記構成に係る鋼管貫入装置Aにおけるロッド本体部43aに被嵌筒体44が備えてあり、このロッド本体部43aに備えられている被嵌筒体44が、前記ロッド本体部43aと当該ロッド本体部43aの軸線の延長線上に軸線を揃えるようにされた前記屈曲ロッド部43bとにわたるように移動可能とした鋼管貫入装置Aでは、当該ロッド43における屈曲ロッド部43bに鋼管Cを装着した際に、この屈曲ロッド部43bをロッド本体部43aに備えられている被嵌筒体44によって一体に覆うように当該被嵌筒体44を移動させることで、ロッド本体部43aとロッド屈曲部とが、同一の軸線上に位置づけられた一本棒的な構成とされ、鋼管保持体40に備えられるているロッド43に取り付けられる鋼管Cを、より的確に垂直状態、必要に応じて鉛直状態にセットし、かつ、維持することができる。
【0036】
また、前記構成に係る鋼管貫入装置Aにあって、前記ロッド43が、前記屈曲ロッド部43bを、前記ロッド本体部43aに直交する向きに維持する姿勢保持手段45を備えている鋼管貫入装置Aでは、下方に引き下げた鋼管貫入装置Aにおけるロッド43の屈曲ロッド部43bを鋼管Cの装着し易い角度にセットし、当該所定角度にセットした屈曲ロッド部43bにおける嵌め入れ部43b’に対して、鋼管Cの側端部分を被嵌状態に組み入れセットすることができ、鋼管Cの鋼管貫入装置Aに対する組み付けが、より容易かつ確実になすことができる。
【0037】
かかる鋼管貫入装置Aを図示例について具体的に説明する。
【0038】
この図示例に係る鋼管貫入装置Aは、当該鋼管貫入装置Aの典型例として、小規模建築物を対象とした地盤Bの補強、すなわち、地盤Bの支持力増加と基礎の沈下低減を、粘性土地盤B中に細径の鋼管Cを鉛直に所定密度で貫入し、埋設状態に設けた貫入鋼管Cの上部に布基礎、べた基礎等の基礎を構築する際に、当該鋼管Cの貫入に用いるものである。
【0039】
かかる地耐力の増強に用いられる鋼管Cは、例えば、防錆処理の施された一般構造用炭素鋼からなる外径48.6mm、肉厚2.4mm、管長700cm以下とし、対象地盤Bに求められている地耐力をもたらす密度で、対象地盤Bに鉛直に埋設状態に貫入される。
【0040】
この貫入鋼管Cの貫入深度は、地震等の水平力が当該鋼管Cに作用されないように、根切り底Baから捨てコンクリートBc下端迄の間、捨てコンクリートBcが無い場合には根切り底Baから基礎Bd底面迄の間とする。
【0041】
かかる鋼管Cを地盤Bに貫入する装置は、鋼管保持体40と、この鋼管保持体40を昇降可能に案内するリーダー30と、この鋼管保持体40を備えるリーダー30の搬送及び立設に用いられるブーム20と、当該ブーム20を備える建柱車10等の諸設備を備えて構成されていると共に、この図示例にあっては鋼管保持体40をリーダー30に沿って昇降させる昇降手段31と、当該鋼管保持体40にあって、鋼管Cを支持し、かつ、この支持した鋼管Cを回転させながら対象地盤Bに貫入させるロッド43と、このロッド43を正反転駆動させる回転付与手段としての油圧モーター42等を備えて構成してある。
【0042】
ここで用いられる建柱車10は、伸縮自在なブーム20を起伏自在に備えており、施工現場において適宜リフトアップすることで走行車輪を浮かせて、支脚10a〜10aで鋼管貫入装置Aを設置し得る構成としたもので、鋼管Cの貫入施工現場まで当該鋼管貫入装置Aを移動し、かつ、当該施工現場において鋼管Cを鋼管保持体40等を用いて対象地盤Bに貫入し得るように前記各支脚10aを下方に伸ばし、この支脚10aで、当該装置を支持し得るように構成してある。
【0043】
かかる建柱車10のブーム20は、この図示例では伸縮自在としてあり、当該ブーム20の先端に回動軸線30bでリーダー30を回動可能に設けてあり、鋼管Cの貫入施工現場において前記支脚10aによるリフトアップで走行車輪を地面から浮上された建柱車10に備えられている当該ブーム20を伸ばした状態で、リーダー30を垂直状態になるように前記回動軸線30bで回動し、このリーダー30の下端が施工地盤B面に対してほぼ鉛直状態に接地されるように当該ブーム20を回動し、当該リーダー30の下端をピン30aで対象地盤Bに固定して鋼管Cの貫入処理等をなすようにしてある。(図1参照)
【0044】
このように建柱車10の支脚10aによる浮上セッテングと、ブーム20操作とによって、鋼管Cの貫入対象地盤B面に鉛直に立設されるリーダー30は、前記鋼管保持体40を昇降可能に案内するものであって、例えば、前側面に鋼管保持体40の保持アームの移動される割溝30dを開口するように備える角筒体等で構成されており、この角筒体等のリーダー30内に鋼管保持体40を昇降させる昇降手段31を備えて構成される。
【0045】
かかるリーダー30は、この種の細径鋼管Cの貫入による地盤補強装置において用いられている各種のリーダー30を用いることができ、当該リーダー30に備えられる鋼管保持体40の昇降手段31も、この種リーダー30に備えられる各種の昇降手段31、例えば、当該リーダー30の内側の上部側に設けられる駆動モーターで駆動される駆動スプロケット31aと、内側の下部側に備えられる従動スプロケット31bとにチェーン31cを歯合するように架け回して、このチェーン31cに前記鋼管保持体40を止着すると共に、この鋼管保持体40を止着したチェーン31cを前記駆動スプロケット31aの駆動、より具体的には、当該駆動スプロケット31aを正反転させる駆動モーター、例えば油圧モーター等の駆動手段(図示省略)で移動させることで、当該チェーン31cに止着されている鋼管保持体40を上下方向に向けて任意に移動させる等、適宜の昇降手段31で構成することができる。
【0046】
かかるリーダー30に備えられる昇降手段31に組み付けられて当該リーダー30に沿って昇降される鋼管保持体40は、上部に備えられている油圧モーター42で垂直向きに備えられているロッド43を正反転するようにしてあり、アーム41によってリーダー30に備えられているチェーン31c等の昇降手段31に止着されて、当該リーダー30に沿って上下動するようにしてある。
【0047】
この鋼管保持体40は、ほぼ平断面が角筒状をなす鋼管からなるリーダー30における前側面、この図示例ではブーム20の取り付け側と反対側の面に上下に連通するように割溝30dが開口してあり、この割溝30dでリーダー30の内外が連通された状態としてあり、当該リーダー30の内側の上部側に備えられている駆動スプロケット31aと、内側の下部側に備えられている従動スプロケット31bとに歯合するようにかけ回したチェーン31cに対して、前記割溝30dを介して鋼管保持体40をアーム41で止着してあり、このチェーン31cを、駆動スプロケット31aで駆動することで当該チェーン31cに止着されている鋼管保持体40を上下方向に、随時、随意に移動させることができる。
【0048】
また、この駆動スプロケット31aと従動スプロケット31b間に張設してあるチェーン31cは、例えば、正反転可能な油圧モーター(図示省略)で、任意方向に移動可能としてあり、鋼管Cを貫入に都合の良い鉛直状態に垂設しうる位置まで当該チェーン31cに支持されている鋼管保持体40をリーダー30に沿って上方に移動すると共に、この鋼管保持体40に都合良く貫入し得るようにセットされた鋼管Cを、補強対象地盤に向けて所要の深さまで貫入し得る位置まで当該鋼管保持体40を押し下げ得るようにリーダー30に設けてある。
【0049】
かかるリーダー30に備えられているチェーン31cにアーム41で止着されている鋼管保持体40は、ロッド43を垂直向きに備えており、このロッド43を油圧モーター42で、正反転できるようにしてある。
【0050】
この鋼管保持体40から下方に向けて突き出すように備えられているロッド43に、貫入対象鋼管Cを装脱可能に組み付けて、対象地盤Bに貫入し、かつ、貫入した鋼管Cを地盤B内に残すようにして当該鋼管保持体40を上方に移動させ、順次に、必要量の鋼管Cを補強対象地盤Bに貫入設置する。
【0051】
かかる鋼管保持体40に備えられるロッド43は、前記油圧モーター42で正反転自在に回転されるロッド本体部43aと、このロッド本体部43aの下端部に回動可能に連設されている屈曲ロッド部43bとを備えて構成してあり、この屈曲ロッド部43bはロッド本体部43aの下端部に当該ロッド本体部43aの軸線に直角に交叉する向きの回動軸線43cで組み付けてあり、当該ロッド本体部43aに対して、平行な状態から真っ直ぐな一本棒のように直線をなす状態までの任意の角度で用い得るようにしてある。
【0052】
この図示例にあっては、ロッド本体部43aと屈曲ロッド部43bとを姿勢保持手段45で適宜連結して、ロッド本体部43aに対して屈曲ロッド部43bを所定の角度に維持するようにしてあり、より具体的には、当該ロッド本体部43aに回動可能に設けた弾性バー45aの孔45a’に、ほぼ直角に屈曲した屈曲ロッド部43bに植設されているピン45bを掛合して当該屈曲ロッド部43bをロッド本体部43aに直角状態に維持すると共に、当該掛合を外して屈曲ロッド部43bとロッド本体部43aとを真っ直ぐにした際に、前記ピン45bが前記弾性バー45aより下方に位置づけられるように構成してあり、当該屈曲ロッド部43bをロッド本体部43aに対して、随時、随意に屈曲状態または直線状態にして鋼管Cの装着をなし得るようにしてある。(図3参照)
【0053】
このように、リーダー30に沿って下方に移動されて、貫入対象鋼管Cを横向きに屈曲ロッド部43bに装着し得る状態にして、貫入対象鋼管Cを当該屈曲ロッド部43bに随時、装着して、鋼管Cの貫入準備をする。
【0054】
かかる鋼管Cの屈曲ロッド部43bに対する装着は、より典型的には、屈曲ロッド部43bを前記姿勢保持手段45をなす弾性バー45aの孔45a’を、ほぼ、90度に屈曲した屈曲ロッド部43bのピン45bに掛合させて、ロッド本体部43aに対して当該屈曲ロッド部43bを直角状態に維持してなすことが作業上、好ましい。(図8参照)
【0055】
かかる鋼管Cの屈曲ロッド部43bに対する被嵌状の組み付けは、屈曲ロッド部43bの先端面からロッド本体部43aに対する組み付け部側に割設されている支持溝46に、当該屈曲ロッド部43bに被嵌状態に組み付けられる鋼管Cの内側に、その直径方向にわたって備えられているピンCaを納め入れるように被嵌してなされる。
【0056】
従って、円管状の鋼管Cとして用意される管入鋼管Cに差し込み易いように、当該屈曲ロッド部43bの先端側に備えられる嵌め入れ部43b’は、当該円管状をなす鋼管Cに嵌め入れ、かつ、回転し得る形状、例えば、円棒状に構成してあり、この嵌め入れ部43b’が、貫入用鋼管Cに対して、ほぼ、がたなく嵌め入れ得る軸径としてある。
【0057】
また、この屈曲ロッド部43bにおける前記支持溝46には、当該支持溝46に受け入れたピンCaを、前記鋼管Cを回動した際に受け入れる保持溝47が、この支持溝46に連続するように設けてある。
【0058】
この保持溝47は、屈曲ロッド部43bにおける嵌め入れ部43b’に被嵌状態に装着した鋼管Cが鋼管保持体40が上方に移動された際に、当該嵌め入れ部43b’から脱落しないように、この被嵌状態に装着した鋼管Cを回動することで、鋼管CのピンCaを支持溝46から保持溝47に移動し、鋼管Cがロッド43に吊り下がるようにしたものであって、前記支持溝46に連続した状態で、しかも、この支持溝46に直交する向きに設けてある。
【0059】
かかる保持溝47は、この図示例では、前記支持溝46の底面の中心点を中心にして、当該中心点を中心にして屈曲ロッド部43bに対して被嵌鋼管Cを一方向に回転した際に、当該被嵌鋼管CにおけるピンCaを受け入れる向きに、当該支持溝46の底部に連続して備えられる一対の扇形をなす点対称をなす溝47として構成してある。
【0060】
なお、この各扇形をなす保持溝47における最奥部の下面側、すなわち、鋼管Cの取り付け側には、支持溝46の中心点を中心にしてピンCaが回動された態様で受け入れられる受け溝47aが凹設してあり、この受け溝47aに、回動された鋼管CにおけるピンCaが納まるように構成してあり、この受け溝47aにピンCaを支持させることで、鋼管Cは、ロッド43に対して、より確実に保持され、予期しない脱落を防ぐことができる。
【0061】
なを、この図示例にあっては、前記保持溝47が、支持溝46に入れ込まれるピンCaの押し入れ最奥面に構成してあり、鋼管Cのひねり回しによって、ピンCaが支持溝46から保持溝47に都合良く受け入れうるようにしてある。
【0062】
また、この図示例にあっては、前記ロッド43に被嵌筒体44を移動可能に被嵌状態に装着してあり、この被嵌筒体44を必要に応じて移動し得るようにしてある。かかる被嵌筒体44は、屈曲ロッド部43bを屈曲した状態にして用いる際には、姿勢保持手段45の弾性バー45a等の妨げとならないようにロッド本体部43aの上部側に押し上げられた状態で当該ロッド本体部43aに設けてあり、当該ロッド本体部43aと屈曲ロッド部43bとを一連の連続した棒状をなすように当該被嵌筒体44で覆おう場合には、屈曲ロッド部43bにおける嵌め入れ部43b’に対する鋼管Cの嵌め入れの妨げとならないように嵌め入れ部43b’との境界に設けた外周鍔43dに、当該被嵌筒体44の下端を突き当て、この外周鍔43dから先にある嵌め入れ部43b’側を当該被嵌筒体44が覆うことなく、当該外周鍔43dからロッド本体部43aの連設側にある屈曲ロッド部43bと、当該屈曲ロッド部43bに連設されているロッド本体部43aとを当該被嵌筒体44で覆う構成としてある。
【0063】
この図示例にあっては、ロッド43における屈曲ロッド部43bを屈曲させた際に、当該被嵌筒体44がロッド本体部43aに被嵌状態に備えられ、屈曲ロッド部43bにおける軸線をロッド本体部43aの軸線に一致させて、ロッド本体部43aと屈曲ロッド部43bとの各軸線が同一直線上に位置づけられた際に、この被嵌筒体44が当該ロッド本体部43aと共に、屈曲ロッド部43bの嵌め入れ部43b’を除く屈曲ロッド部43bを被嵌状態に保持し、ロッド本体部43aに対して屈曲ロッド部43bが屈曲されないようにしてある。
【0064】
なお、この被嵌筒体44には、その下端側から上方に向けて逃げ溝44aが設けてあり、当該被嵌筒体44を屈曲ロッド部43bに向けて移動した際に、前記姿勢保持手段45である弾性バー45aを、その向きが下向きとなるように回動させながら納め入れ得るようにしてある。
【0065】
なお、前記支持溝46に連続して備えられる保持溝47は、支持溝46に案内された鋼管CにおけるピンCaの脱落を防止し得るものであれば、いかなる態様に構成してあってもよく、例えば、支持溝46からピンCaが、ほぼ45度分回動し得るように保持溝47を構成してあっても、図7に示されるように、当該支持溝46からピンCaを、ほぼ90度分、回動し得るように保持溝47を構成するようにしてあってもよい。
【0066】
かかる構成からなる鋼管貫入装置Aを、鋼管Cの貫入予定位置に図1に示すようにセットする。この際、建柱車10の支脚10aをそれぞれ伸ばして建柱車10の各走行車輪を地面から浮上させて、鋼管貫入装置Aを安定に当該各支脚10a〜10aで作業地面に設置する。
【0067】
ついで、ブーム20を伸ばして、ブーム20先端側に備えられているリーダー30が垂直となるようにセットし、当該リーダー30をピン30aで固定して、鉛直に維持する。
【0068】
かかる状態で鋼管保持体40を昇降手段31でリーダー30の下方に移動し、屈曲ロッド部43bを前方に向けて、ほぼ水平にし、この状態を弾性バー45aを用いて維持するようになす。
【0069】
かかる前処理をした状態で、この水平に保持されている屈曲ロッド部43bの嵌め入れ部43b’に、鋼管CのピンCaを支持溝46に入れ込むように当該鋼管Cを被嵌し、かつ、この被嵌した鋼管Cを回して該鋼管CのピンCaを保持溝47に入れ込むことで、鋼管Cを鋼管保持体40に装着する。(図8参照)
【0070】
この状態で、前記姿勢保持手段45である弾性バー45aをピン45bから抜くことで、屈曲ロッド部43bが水平状態から、鋼管Cの自重で傾かせ、鋼管CのピンCaが保持溝47に引っ掛かる状態となるように、屈曲ロッド部43bに対する取り付け側と反対の側を下方に傾いた状態にする。(図9参照)
【0071】
かかる状態で、鋼管保持体40をリーダー30に沿って昇降手段31で上方に移動することで、鋼管Cは前記保持溝47に引っ掛けられているピンCaで起立方向に持ち上げられる。(図10参照)
【0072】
さらに、鋼管保持体40を引き上げて、ロッド43に装着した鋼管Cを鉛直状態にし、当該鉛直状態にあるか否かの測定をする。また、被嵌筒体44を屈曲ロッド部43bにわたるように移動し、ロッド本体部43aと屈曲ロッド部43bの各軸線が同一直線上に位置づけられるようにする。(図11参照)
【0073】
このようにセットした鋼管貫入装置Aにおける鋼管保持体40をリーダー30に沿って下方に、昇降手段31、例えば、チェーン31cで移動しながら、油圧モーター42を用いて鋼管Cを装着したロッド43を回転しながら、鋼管Cを対象地盤Bに貫入する。(図12参照)
【0074】
かかる鋼管貫入装置Aによって、貫入対象鋼管Cを対象地盤Bの所定深度に達する迄、貫入した時点で、鋼管保持体40を貫入鋼管Cから脱装する。(図13参照)
【0075】
かかる鋼管Cの貫入を、基礎の構成地盤Bに必要とされる地耐力が備えられる本数分なし、当該本数の鋼管Cの貫入処理の完了をまって、鋼管保持体40を昇降手段31でリーダー30の上方に移動し、さらに、当該リーダー30をブーム20と共に建柱車10に納め入れて、鋼管Cの貫入処理を終了する。(図14参照)
【0076】
このように対象地盤Bに貫入された鋼管Cには、必要に応じてキャップCbを被せ、根切り底Baに敷き砂利Bbを敷き込み、捨てコンクリートBcを打設する等して、布基礎、べた基礎等の基礎部Bdを構成する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】典型的な鋼管貫入装置を用いて鋼管の貫入し得る状態にセットした状態の要部を破断して示す側面図
【図2】同鋼管の貫入状態を要部を破断して示す側面図
【図3】同鋼管の取り付け状態の要部を示す側面図
【図4】同鋼管の取り付け状態の要部を示す斜視図
【図5】同鋼管の引き上げ状態の要部を示す正面図
【図6】同鋼管を貫入し得る状態にセットした状態の要部を示す側面図
【図7】同鋼管の取り付け部の一例を示す断面図
【図8】同鋼管の取り付けの一過程の要部を破断して示す側面図
【図9】同鋼管の取り付けの次の過程の要部を破断して示す側面図
【図10】同鋼管の取り付けの更に次の過程の要部を破断して示す側面図
【図11】同鋼管を貫入し得る状態にセットした状態の要部を破断して示す側面図
【図12】同鋼管を貫入している一過程の要部を破断して示す側面図
【図13】同鋼管を貫入している次の一過程の要部を破断して示す側面図
【図14】同鋼管を貫入し、鋼管保持体を上方に移動した状態の要部を破断して示す側面図
【図15】同貫入した鋼管上に基礎を設けた状態の要部を破断して示す側面図
【符号の説明】
【0078】
A 鋼管貫入装置
B 地盤
C 鋼管
31 昇降手段
40 鋼管保持体
43 ロッド
43a ロッド本体部
43b 屈曲ロッド部
43c 回動軸線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼管を粘性土地盤に貫入する鋼管貫入装置であって、
貫入する鋼管を装脱可能に保持する鋼管保持体と、
この鋼管保持体を昇降させる昇降手段とを備えており、
前記鋼管保持体が、前記鋼管を装脱可能に装着し得ると共に、当該鋼管を回転させながら地盤に貫入した後、当該貫入鋼管から抜き外し得るロッドを備えており、
該ロッドが、ロッド本体部と、当該ロッド本体部の下端部側に当該ロッド本体部の軸線に直交する向きの回動軸線で回動可能に備えられている屈曲ロッド部とを備えており、
この屈曲ロッド部に前記鋼管を装脱可能に装着し得るようにしてあることを特徴とする鋼管貫入装置。
【請求項2】
前記鋼管が円筒管であり、当該鋼管の上部内側の直径方向にわたってピンが設けてあると共に、
前記屈曲ロッドの前記鋼管に対する嵌め入れ部が該鋼管に回転可能に嵌め入れうるようにしてあり、当該鋼管に嵌め込まれる先端面から前記ロッド本体部との接続側に向けて前記ピンを受け入れる支持溝を備えており、
かつ、当該支持溝内に受け入れた前記ピンを前記鋼管を回した際に受け入れる保持溝を該支持溝に直交する向きに該支持溝に連続するように設けてあることを特徴とする請求項1に記載の鋼管貫入装置。
【請求項3】
前記ロッド本体部に被嵌筒体が備えてあり、このロッド本体部に備えられている被嵌筒体が、前記ロッド本体部と当該ロッド本体部の軸線の延長線上に軸線を揃えるようにされた前記屈曲ロッド部とにわたるように移動可能としてあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鋼管貫入装置。
【請求項4】
前記ロッドが、前記屈曲ロッド部を、前記ロッド本体部に直交する向きに維持する姿勢保持手段を備えていることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の鋼管貫入装置。
【請求項1】
鋼管を粘性土地盤に貫入する鋼管貫入装置であって、
貫入する鋼管を装脱可能に保持する鋼管保持体と、
この鋼管保持体を昇降させる昇降手段とを備えており、
前記鋼管保持体が、前記鋼管を装脱可能に装着し得ると共に、当該鋼管を回転させながら地盤に貫入した後、当該貫入鋼管から抜き外し得るロッドを備えており、
該ロッドが、ロッド本体部と、当該ロッド本体部の下端部側に当該ロッド本体部の軸線に直交する向きの回動軸線で回動可能に備えられている屈曲ロッド部とを備えており、
この屈曲ロッド部に前記鋼管を装脱可能に装着し得るようにしてあることを特徴とする鋼管貫入装置。
【請求項2】
前記鋼管が円筒管であり、当該鋼管の上部内側の直径方向にわたってピンが設けてあると共に、
前記屈曲ロッドの前記鋼管に対する嵌め入れ部が該鋼管に回転可能に嵌め入れうるようにしてあり、当該鋼管に嵌め込まれる先端面から前記ロッド本体部との接続側に向けて前記ピンを受け入れる支持溝を備えており、
かつ、当該支持溝内に受け入れた前記ピンを前記鋼管を回した際に受け入れる保持溝を該支持溝に直交する向きに該支持溝に連続するように設けてあることを特徴とする請求項1に記載の鋼管貫入装置。
【請求項3】
前記ロッド本体部に被嵌筒体が備えてあり、このロッド本体部に備えられている被嵌筒体が、前記ロッド本体部と当該ロッド本体部の軸線の延長線上に軸線を揃えるようにされた前記屈曲ロッド部とにわたるように移動可能としてあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鋼管貫入装置。
【請求項4】
前記ロッドが、前記屈曲ロッド部を、前記ロッド本体部に直交する向きに維持する姿勢保持手段を備えていることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の鋼管貫入装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−180014(P2009−180014A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−20759(P2008−20759)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000183428)住友林業株式会社 (540)
【出願人】(506285541)スミリンベーステクノ株式会社 (11)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000183428)住友林業株式会社 (540)
【出願人】(506285541)スミリンベーステクノ株式会社 (11)
【Fターム(参考)】
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