説明

鋼製橋梁のFRP防護板及び防護構造

【課題】軽量で強度と剛性が高く、腐食することがない、鋼製橋梁のFRP防護板及びそれを用いた防護構造を提供する。
【解決手段】鋼製橋梁の桁間に配置する鋼製橋梁のFRP防護板1であって、矩形の平板11と、前記平板の長手方向に亘って配置する、前記平板から突設したリブ12と、前記平板の幅方向の一方の端部に、上方に折曲して前記平板の幅方向に延出して設ける目板部13とからなり、FRPを引き抜き成形して構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腐食環境に構築された鋼製橋梁に用いるFRP防護板及びそれを用いた防護構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
飛来塩分や車の排気ガスが多い、湿度が高い等、腐食が予測される環境に構築された鋼製橋梁は、桁間の腐食が顕著である。
このため、桁間に板材を防護板として配置し、飛来塩分や排気ガス、湿気等の腐食因子の桁間への侵入を遮断して腐食を防止している(図6)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の防護板は鉄製の板体であるため、以下の問題が生じる。
(1)鉄製の板体は重量があるため、施工が容易ではない。
(2)鉄製の板体そのものも腐食因子により腐食する可能性がある。
(3)鉄製の板体そのものに、腐食防止のための防食が必要となる。
(4)塗装の場合には設置後も定期的な塗り替えが必要となり、維持管理費用の増大によりライフサイクルコストが大きくなる。
【0004】
本発明は、軽量で強度が高く、腐食することがない、鋼製橋梁のFRP防護板及びそれを用いた防護構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた本願の第1発明は、鋼製橋梁の桁間に配置する鋼製橋梁のFRP防護板であって、矩形の平板と、前記平板の長手方向に亘って配置する、前記平板から突設したリブと、前記平板の幅方向の一方の端部に、上方に折曲して前記平板の幅方向に延出して設ける目板部と、からなり、FRPを引き抜き成形して構成することを特徴とする、鋼製橋梁のFRP防護板を提供する。
本願の第2発明は、第1発明のFRP防護板を用いた鋼製橋梁の防護構造であって、前記リブが鋼製橋梁の桁間を渡設するように前記FRP防護板を複数枚を並列して配置し、隣接する前記FRP防護板の一方の前記目板部を、他方の前記FRP防護板の端部に重合して重合部を形成することを特徴とする、鋼製橋梁の防護構造を提供する
本願の第3発明は、第2発明の鋼製橋梁の防護構造であって、前記重合部には、一方の前記FRP防護板の前記目板部と、他方の前記FRP防護板の端部との間に、シール材を配置することを特徴とする、鋼製橋梁の防護構造を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、上記した課題を解決するための手段により、次のような効果の少なくとも一つを得ることができる。
(1)FRP製の防護板であるため、軽量であり、施工が容易である。
(2)FRP製の防護板であるため、鉄製とは異なり、飛来塩分や排気ガス、湿気等の腐食因子により腐食することがない。
(3)腐食因子により腐食することがないため、構築時の防食や、設置後の定期的な塗装の塗り替え作業などが不要であり、維持管理費用が小さくなり、ライフサイクルコストを低減できる。
(4)リブを設けることにより曲げ強度を増加し、上部を歩行可能な防護構造とすることができる。
(5)目板部を設けることにより、隣接するFRP防護板どうしの接合が容易となる。
(6)重合部にシール材を設けることにより、腐食因子の桁間への侵入を遮断する効果を増し、桁の腐食を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の鋼製橋梁のFRP防護板の説明図
【図2】リブの形状の説明図
【図3】本発明の鋼製橋梁の防護構造の説明図
【図4】本発明の鋼製橋梁の防護構造の説明図
【図5】重合部の説明図
【図6】従来の鋼製橋梁の防護板の説明図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図に示す実施例に基づき、本発明を詳細に説明する。
【実施例】
【0009】
[1]FRP防護板の構成
本発明のFRP防護板1は、矩形の板体であり、平板11上にリブ12及び目板部13を設けたものである。(図1)
FRP防護板1は、FRP(Fiber Reinforced Plastics:繊維強化プラスチック)材であるため、軽量で強度が高く、耐食性に優れている。
【0010】
(1)平板
平板11は、矩形の板体である。
平板11はFRPを引き抜き成形して構成したものであるため、FRP材の中でも高剛性、高強度である。
【0011】
(2)リブ
リブ12は平板11に立設する部材である。
リブ12は、矩形の平板11の長手方向に亘って立設する。
リブ12は一本又は複数本を平行に立設する。
リブ12の断面形状はT字形でもよいし、I字形、コ字形、L字形でもよい(図2a〜d)。
リブ12を設けることにより、平板11の曲げ強度が増加し、高強度・高剛性なFRP防護板1となる。
【0012】
(3)目板部
目板部13は、平板11の幅方向の端部に亘って設ける部材である。
目板部13は、平板11の端部から上方に折曲して立設し、下方に空間を設けるように平板11の幅方向に突出して、目板状とする。
目板部13を設けることにより、平板11の曲げ強度と剛性が増加し、接合部も高強度・高剛性なFRP防護板1となる。
【0013】
[2]防護構造の構成
本発明の防護構造は、上述したFRP防護板1を組み合わせて構成する(図3)。
本発明の防護構造は、鋼製橋梁の桁2間に配置し、飛来塩分や排気ガス、湿気等の腐食因子3の桁2間への侵入を遮断して腐食を防止する(図4)。
【0014】
(1)FRP防護板の並列
防護構造は、複数枚のFRP防護板1を並列して構成する。
FRP防護板1は、リブ12が桁2間を渡設するように配置する。
FRP防護板1と桁2とは、ボルト等の公知の手段により連結し、FRP防護板1を桁2上に固定する。
防護構造を構成するFRP防護板1はFRP製であるため、軽量であり、並列するのみであるため、施工が容易である。また、鉄製の板体とは異なり、腐食因子3により腐食することがないため、構築時の防食や、設置後の定期的な塗装の塗り替え作業などが不要であり、維持管理費用が小さくなり、ライフサイクルコストを低減できる。
防護構造は、FRP防護板1のリブ12が桁2間を渡設するように配置して構成するため、風などによる下方から上方への作用力に対する抵抗が増加し、さらに上部を歩行することもできる。
【0015】
(2)隣接するFRP防護板の接合
隣接するFRP防護板1a、1bは、一方のFRP防護板1aの端部に、他方のFRP防護板1bの目板部13を重合し、重合部を形成して接合する(図5)。
目板部13と端部とによりFRP防護板1bの位置決めが可能であり、隣接するFRP防護板1a、1bどうしの接合が容易となる。
また、目板部13がリブ12と同様にFRP防護板1の曲げ強度を増すことにより、接合部も強度の高い防護構造とすることができる。
【0016】
(3)重合部の構造
重合部には、一方のFRP防護板1aの端部と、他方のFRP防護板1bの目板部13とは、両者を貫通するリベット4を設けてFRP防護板1a、1bを接合する。リベット接合であるため、隣接するFRP防護板1a、1bどうしを容易に接合できる。
また、重合部には、一方のFRP防護板1aの端部と、他方のFRP防護板1bの目板部13との間に、ゴムや樹脂からなるシール材5を配置してもよい。シール材5を配置することにより、重合部から腐食因子3の桁間への侵入を遮断する効果を増し、桁の腐食を防止することができる。
【符号の説明】
【0017】
1 FRP防護板
11 平板
12 リブ
13 目板部
2 桁
3 腐食因子
4 リベット
5 シール材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼製橋梁の桁間に配置する、鋼製橋梁のFRP防護板であって、
矩形の平板と、
前記平板の長手方向に亘って配置する、前記平板から突設したリブと、
前記平板の幅方向の一方の端部に、上方に折曲して前記平板の幅方向に延出して設ける目板部と、からなり、
FRPを引き抜き成形して構成することを特徴とする、
鋼製橋梁のFRP防護板。
【請求項2】
請求項1に記載のFRP防護板を用いた、鋼製橋梁の防護構造であって、
前記リブが鋼製橋梁の桁間を渡設するように前記FRP防護板を複数枚並列して配置し、
隣接する前記FRP防護板の一方の前記目板部を、他方の前記FRP防護板の端部に重合して重合部を形成することを特徴とする、
鋼製橋梁の防護構造。
【請求項3】
請求項2に記載の鋼製橋梁の防護構造において、
前記重合部には、一方の前記FRP防護板の前記目板部と、他方の前記FRP防護板の端部との間に、シール材を配置することを特徴とする、
鋼製橋梁の防護構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−188819(P2012−188819A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51419(P2011−51419)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000161356)宮地エンジニアリング株式会社 (11)
【Fターム(参考)】