錠前におけるハンドルカム用ロック部材の状態検出装置
【課題】長箱状錠箱の内部空間を有効的に活用すること。また操作部材のロック及びアンロック状態の信号を誤動作することがなく確実に検出すること。
【解決手段】すくなくとも電気的駆動源又は機械的駆動源の一方を備えた長箱状の錠箱と、この長箱状錠箱に水平状態に設けられかつフロントより進退自在な錠片と、この錠片の後端部に係合すると共に把手の操作力により一方向に回転して該錠片を錠箱内に引き戻す腕状係合部を有するハンドルカムと、錠片よりも上方に位置する固定軸にその中心部が軸支され該中心部から上方に延在する第1係合部及び該中心部より横方向あるいは斜め方向へと延在する第2係合部を有し、駆動源の駆動力で一方向に回転すると、ハンドルカムの腕状係合部を第2係合部でもって係止するロック部材と、このロック部材の第1係合部に固定された永久磁石と、第1係合部及び第2係合部の間の空間領域に配設され、かつ永久磁石が接近した時に作動するロック部材位置検出手段とを備える錠前におけるハンドルカム用ロック部材の状態検出装置。
【解決手段】すくなくとも電気的駆動源又は機械的駆動源の一方を備えた長箱状の錠箱と、この長箱状錠箱に水平状態に設けられかつフロントより進退自在な錠片と、この錠片の後端部に係合すると共に把手の操作力により一方向に回転して該錠片を錠箱内に引き戻す腕状係合部を有するハンドルカムと、錠片よりも上方に位置する固定軸にその中心部が軸支され該中心部から上方に延在する第1係合部及び該中心部より横方向あるいは斜め方向へと延在する第2係合部を有し、駆動源の駆動力で一方向に回転すると、ハンドルカムの腕状係合部を第2係合部でもって係止するロック部材と、このロック部材の第1係合部に固定された永久磁石と、第1係合部及び第2係合部の間の空間領域に配設され、かつ永久磁石が接近した時に作動するロック部材位置検出手段とを備える錠前におけるハンドルカム用ロック部材の状態検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠前におけるハンドルカム用ロック部材の状態検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、出願人が提案したものである。特許文献1には、電気錠のスイッチ機構として非接触式の磁気感度スイッチを採用するものが記載されている。すなわち、特許文献1には、スイッチの耐久性及びスイッチの確実性・信頼性を得る目的で、「デットボルトの内端部に磁石を設け、一方、この磁石の位置に対応して、デットボルトの施錠信号及び解錠信号をそれぞれ検出するために、非接触式の磁気感度スイッチをプリント基板の内端部に水平方向に一対配設した電気錠のスイッチ機構」が開示されている。
【0003】
また、特許文献2の段落0025、段落0026等と図面には、「円筒カム20に対して角度監視手段50が配設され、該角度監視手段50は、前記円筒カム20に向かい合うように上下の間隔を有して配設された2個の非接触型スイッチ51,52と、これらのスイッチをON、OFFさせるために前記円筒カム20の外面の上下に固定された合計2個の作動子(永久磁石)とから成るドアロックのスイッチ機構」が開示されている。
【0004】
さらに、特許文献3の段落0016及び図4には、「配線基盤17における補助リング部18の周囲に施錠位置検出リードスイッチ48、解錠位置検出リードスイッチ48等を配設すること」が記載されている。
【0005】
上記特許文献1乃至特許文献3に記載されているとように、錠前の施錠状態及び解錠状態を検出するために、非接触型の磁気感応スイッチを用いることは周知事項である。
ところで、例えば特許文献1の発明の課題は、デットボルト(本施錠片)が扉枠側の受け具に係合した施錠位置及び該デットボルトが錠箱に後退動した解錠位置を検出することを目的としたもので、例えば内外のレバーハンドル、内外のプッシュプルハンドル等の内外の操作部材をそれぞれ自由に操作して扉を開くことができるものか、それとも外の操作部材だけがロックされていて、内の操作部材はアンロック状態であり、内側からは自由に扉を開くことができるものか、それとも内外の操作部材はそれぞれ同時にロック状態であるのか、といったようなハンドルのロック状態の信号を検出するものではなかった。
【0006】
そこで、現在、長箱状の錠箱の内部空間を有効的に活用することを前提としてハンドルのロック状態の信号を確実に検出する装置の出現が要望されている。
なお、例えば特許文献4の図11、特許文献5の図2には、本発明の要部に関連する事項(駆動源、駆動片、従動片等)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−132088号公報
【特許文献2】特開2003−74231号公報
【特許文献3】特開2003−74230号公報
【特許文献4】特開2009−270307号公報
【特許文献5】特開2009−256907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願発明の所期の目的は、長箱状の錠箱の内部空間を有効的に活用することを前提として、ハンドルのロック状態の信号を確実に検出する装置を提供することである。第2の目的は、内外の操作部材のロック及びアンロック状態の態様を、誤動作することがなく確実に検出することである。第3の目的は、錠片をハンドルカム部材で直接後退動させる錠前に適用することができることである。その他、電気錠に適用することができることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の錠前におけるハンドルカム用ロック部材の状態検出装置は、すくなくとも電気的駆動源又は機械的駆動源の一方を備えた長箱状の錠箱と、この長箱状錠箱に水平状態に設けられかつフロントより進退自在な錠片と、この錠片の後端部に係合すると共に把手の操作力により一方向に回転して該錠片を錠箱内に引き戻す腕状係合部を有するハンドルカムと、前記錠片よりも上方に位置する固定軸にその中心部が軸支され該中心部から上方に延在する第1係合部及び該中心部より横方向あるいは斜め方向へと延在する第2係合部を有し、前記駆動源の駆動力で前記第1係合部を介して一方向に回転すると、前記ハンドルカムの腕状係合部を前記第2係合部でもって係止するロック部材と、このロック部材の前記第1係合部に固定された永久磁石と、前記第1係合部及び第2係合部の間の空間領域(特に、第1係合部が接近する位置)に配設され、かつ前記永久磁石が接近した時に作動するロック部材位置検出手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
また本発明の錠前におけるハンドルカム用ロック部材の状態検出装置は、内外の操作部材の操作力により回転することができるように軸支された内外のハンドルカムと、これら内外のハンドルカムにそれぞれ係合し、かつこれら内外のハンドルカムのいずれかによって長箱状の錠箱内へと引き戻される一つの錠片と、中央部が固定軸を介して軸支されていると共に、上方の第1係合部が駆動源の駆動片で位置変位する従動片の下端部にそれぞれ係合し、一方、それぞれの下方の第2係合部が前記内外のハンドルカムの各腕状係合部にそれぞれ係脱(ロックとアンロック状態)する内外のロック部材と、これら内外のロック部材のそれぞれの上方の第1係合部に互いに上下方向に位置をずらして配設され、かつ互いの極性が異なる内外の永久磁石と、これらの永久磁石が前記駆動源の駆動力によって回転する前記内外のロック部材を介してそれぞれ接近した時に、これらの永久磁石に対応する部位にそれぞれ設けられた内外用の各磁気感応スイッチがそれぞれ独立して「オン」となるロック部材位置検出手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
(a)請求項1に記載の発明は、長箱状錠箱の内部空間を有効的に活用することを前提として、ハンドルのロック状態の信号を確実に検出することができる。また、錠片をハンドルカム部材で直接後退動させる錠前に適用することができる。
(b)請求項2、請求項3及び請求項4に記載の発明は、前記(a)の効果の他、内外の操作部材のロック及びアンロック状態の態様を、誤動作することがなく確実に検出することができる。
(c)請求項5に記載の発明は、ハンドルのロック状態の信号を介して錠前の施・解錠状態を確認することができる。
(d)請求項6に記載の発明は、電気的駆動源の作動杆が長箱状錠箱の後壁側を指向していても、錠前のモードを切替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1乃至図13は本発明の第1実施形態を示す各説明図である。図14乃至図18は本発明の第2実施形態、第3実施形態等を示す各概略説明図。
【図1】本発明を適用する錠前の一例を示し、ロック部材がハンドルカム部材をロックしている状態の概略説明図。
【図2】通電時施錠モードの概略説明図。
【図3】駆動片と従動片の説明図。
【図4】主切替えレバーと補助切替えレバーの説明図。
【図5】図2のモードに於いて、電源をOFFにし、解錠状態になった概略説明図。
【図6】要部(駆動片、従動片、補助切替えレバー)の平面視からの概略説明図。
【図7】要部(内外の従動片、内外のロック部材、内外のハンドルカム)の斜視からの概略説明図。
【図8】内外のロック部材の斜視からの概略説明図。
【図9】極性が異なる内外の永久磁石と、これに対応するロック部材位置検出手段の内外用の各磁気感応スイッチの概略説明図。
【図10】内外のロック部材が内外のハンドルカムにそれぞれ係合している状態の説明図(内外用の各磁気感応スイッチがそれぞれON)。
【図11】内のロック部材が内のハンドルカムから外れたアンロックの状態の説明図(内用の磁気感応スイッチがOFF)。
【図12】外のロック部材が外のハンドルカムから外れたアンロックの状態の説明図(外用の磁気感応スイッチがOFF)。
【図13】内外のロック部材が内外のハンドルカムからそれぞれ外れたアンロックの状態の説明図(内外用の各磁気感応スイッチがそれぞれOFF)。
【図14】本発明の第2実施形態の概略説明図。
【図15】第2実施形態の要部の説明図。
【図16】第3実施形態の概略説明図。
【図17】第4実施形態の概略説明図。
【図18】第5実施形態の概略説明図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(1)本発明を適用する錠前
図1は、本発明のハンドルカム用ロック部材の状態検出装置Yを備えた錠前Xの一例で、ロック部材13がハンドルカム部材3をロックしている状態の概略説明図である。ロック部材13がハンドルカム部材3を係止している場合には、ロック部材位置検出手段18は、図示しないハンドルのロック状態の信号を確実に検出することができる。
【0014】
まず、錠前Xの構成部材を説明する。この錠前Xは幾つかの機構を内装する長箱状の錠箱1を有し、該長箱状錠箱1は、その上端部側を省略しているものの、フロント1a、裏板1b、後壁1c、上壁1d、底壁1eでもって形成されている。フロント1aは裏板1bから取り外すことができ、該フロント1aを裏板1bから取り外すと、裏板1bの開口部に設けた後述の回転自在な可動枠体82及び上下方向に切替え可能な主切替えレバー66の先端部66aが見える(図2参照)。なお、本発明は主切替えレバー66等を含む切替え手段65は、発明の本質的事項ではない。切替え手段65は発明の実施環境を理解する意味で記載している。
【0015】
さて、本実施形態の細長状錠箱1は、扉(例えばガラス扉)の幅の狭い縦框cに取り付けられる。したがって、この錠箱1は、例えば、前記狭縦框の幅に対応して形成されている。
【0016】
次に、2は錠箱1に進退動自在に設けられた錠片(例えば、デッドラッチ、ラッチボルト、錠ボルトなど称される係合部材)で、該錠片2はその後端部2aにハンドルカム部材3と係合する貫通状あるいは凹所状の不番の係合部を有する。ハンドルカム部材3は、その基端部3aが錠片2よりも下方に位置する第1固定軸4(実施形態によってはハンドル軸)に軸支され、該基端部3aの下側には、図示しない内外の操作部材(例えば、プッシュ・プルハンドル)の内端部にそれぞれ設けられた内外の突片5,6と係合する短片状第1係合部3bが半径外方向に延在している。また該基端部3aの上側には、腕状第2係合部3cが延在し、該腕状第2係合部3cは前述した錠片2の後端部2aの係合部と貫通状態に係合する。そして、腕状第2係合部3cの錠片2から突出する先細り状先端部3dには、小さなローラ7が回転自在に設けられている。
【0017】
11は、錠片2よりも多少上方に位置する第2固定軸12に軸支された錠片用ストッパー片で、この錠片用ストッパー片11の下辺に形成した下向き弧状の切欠状係合部には、前述したハンドルカム部材3の小ローラ7が係脱する。
【0018】
13は、錠片用ストッパー片11と同様に前記第2固定軸12に軸支されたハンドルカム部材用ロック部材で、このロック部材13は、いわば、右手の親指と人差指とを左向きに開いた格好のL型状に形成され、錠片2の施錠時、前記右手の親指に相当する、或は左右方向(斜め方向も含む)を指向する下方の第2係合部13bは、ハンドルカム部材3の先細り状先端部3dに係合して該ハンドルカム部材3の回転を阻止する。
【0019】
一方、前記人差指に相当する、或は上方向を指向する上方の第1係合部13aの上端部には、水平方向に突出する可動ピン14が設けられ、該可動ピン14は後述の従動片61の指先状下端部61cと係合する。15は中央部が第2固定軸12に巻装された状態でロック部材13をハンドルカム部材3に係合(ロック)する方向に常時付勢するバネ部材である。
【0020】
ここで、説明の便宜上、図1を参照にして、図示しないレバーハンドル、プッシュブルハンドル等の操作部材の操作力によって、前述の錠片用ストッパー片11がどのように作動するかについて簡単に説明する。
【0021】
上記構成に於いて、例えば外側の操作部材を操作すると、外側の突片6がハンドルカム部材3の短片状第1係合部3bの側面を押圧し、また同様に、内側の操作部材を操作すると、内側の突片5がハンドルカム部材3の短片状第1係合部3bを押圧する。図1では、内外の突片5、6のいずれかが操作部材の操作力によって左方向へと水平移動し、これによりハンドルカム部材3が第1固定軸4を支点に反時計方向である矢印A方向へと回転することになる。
【0022】
したがって、ハンドルカム部材3に対するロック部材13が存在しない限り、ハンドルカム部材3の小ローラ7が錠片用ストッパー片11の弧状切欠状係合部を滑動して該錠片用ストッパー片11を、第2固定軸12を支点にして上方へと押し上げるので、錠片用ストッパー片11の係合先端部は錠片2の上辺に段差状に形成した被係合部から矢印Bの上方方向へと離れ、ハンドルカム部材3は矢印Aの時計方向へと回転可能となり、その結果、錠片2は、ハンドルカム部材3の腕状第2係合部3cを介して矢印Cの方向へと後退動可能である。
【0023】
しかしながら、図1の施錠状態では、ハンドルカム部材用ロック部材13の下方の第2係合部13bがハンドルカム部材3の先細り状先端部3dに係合し、該ハンドルカム部材3の回転を阻止している。そこで、錠片2を施錠状態から解錠状態にするためには、その前提条件として、後述の電気的駆動源(例えばソレノイド)51の駆動力により、ハンドルカム部材3に対するロック部材13のロック状態が解消する必要がある。
【0024】
そこで、本発明の主要部及び該主要部に関連する事項を説明する。なお、縦長状錠箱1の内部空間には、シリンダ錠又はサムターン側の操作力により回転するダルマを含む付勢手段、ダルマの回転力を直線運動に変換する動力変換部材、ロック部材のロック状態の解消を一時的に支持する維持片、該維持片等を案内する案内手段等の多数の部材が組み込まれているが、本発明の限定要件に関係しないので、これらの説明は割愛する。
【0025】
(2)本発明の主要部に関連する事項
図2乃至図6を参照にして、本発明の主要部に関連する事項を説明する。なお、本発明の本発明の主要部に関連する事項の説明に当って、電気的駆動源51、該駆動源に連結される駆動片55及び従動片61の具体的構成は、特許文献4、特許文献5等に記載によって周知事項なので、該周知事項の詳細は極力割愛し、その相違点を指摘する。
【0026】
また、図1、図2等では、一つの駆動片55に対して手前側に一つの従動片61を、一方、該駆動片の向こう側に他の従動片を省略して、一つの切替え手段(主切替えレバーと補助切替えレバー)を描いているが、これは発明の技術的思想を理解するために、便宜上、他の従動片及び切替え手段を省略している。
【0027】
実施化レベルでは、例えば図6で示すように、一つの駆動片55に、一つの従動片61(この実施形態の場合には、下端部側に内外のロック部材13の上方の第1係合部13a、13aに係合する二股状の係合部が形成されている。)、又は内外の従動片61、61が存在し、また、一つの従動片61又は内外の従動片61、61にそれぞれ係合するように内外の切替え手段の補助切替えレバー70、70の一部が前記一つの駆動片55内に併設状態に入り込んでいる。
【0028】
したがって、図7で示すように、内外の従動片61、61がそれぞれ係合するロック部材13、13も内外に独立して存在し、これら内外のロック部材13、13がそれぞれ係脱するハンドルカム部材3、3も内外に独立して存在する。
【0029】
まず図2は、通電時施錠モード(Rモード)の概略説明図である。これに対して、図5は、前記Rモードに於いて、電源をOFFにし、解錠状態になった概略説明図である。特許文献4、特許文献5等の記載されているように、通電時施錠モード(Rモード)以外に通電時解錠モード(Tモード)等の態様も存在するが、本実施形態では、通電時施錠モード(Rモード)を例にして説明する。
【0030】
図2のRモード、及び図示しないTモードの各態様は、特許文献4や特許文献5と同様に、「非通電状態」の場合に於いて、それぞれ電気信号を印加した時に、駆動源51の作動杆52が、復帰用圧縮バネ53のバネ力に抗して矢印方向へと伸縮したことを示す。
【0031】
したがって、図5のRモードの場合に於いて、電源が「OFF」になれば、駆動源51の作動杆52は、復帰用圧縮バネ53のバネ力によって矢印方向とは反対方向に伸縮する。実施形態では、駆動源51は長箱状錠箱1の内部空間の略中央部に固定的に横設され、該駆動源51の作動杆52は、錠箱1の後壁1cに対して水平状態に指向している(特許文献4等と異なる点)。なお、特許文献4等では、さらに、アンチパニックモード(Aモード)についても言及をしているが、もちろん、本発明の実施形態に該Aモードの切替え手段等を加味しても良い。
【0032】
さて、駆動源51は電磁プランジャを採用している。もちろん、電磁プランジャに代えて駆動モータ、伝導歯車等を用いることもできる。特許文献4に記載されているように、電磁プランジャのソレノイドに電気信号を印加することで、その作動杆52は水平方向に所定量移動する。駆動片(特許文献4の図11の駆動コネクタ147と同様)55は、全体の縦断面形状がピストル形状であり、握り部に相当の横方向に突出する連結部55aは、作動杆52の突出先端部に連結されている。したがって、駆動片55は該駆動源51の作動杆52と共働する。
【0033】
この駆動片55が特許文献4の駆動コネクタ147と主に異なる所は、垂直長孔56を有する縦長駆動板部分(側壁)55bの上端部の一側に、該垂直長孔56の垂直線上に縦溝57が形成されている点である(図3参照)。また、前記駆動片55が水平方向に所定量伸縮動するのを許容する比較的大径の逃がし穴58が前記垂直長孔56に連通形成され、かつ該逃がし穴58を横方向の固定軸60が遊びを有して貫通している点である。
【0034】
次に図3は、駆動片55と従動片61の説明図である。従動片61は、駆動片55の少なくとも一側面(垂直側面)に併設された状態で駆動片55の逃がし穴57を貫通する固定軸60に回転自在に軸支されている。この従動片61は、特許文献4と同様に軸孔62を有する中心部位61aと、該中心部位に耳状に形成されていると共に、くの字形状の従動長孔63を有する連設部位61bと、該連設部位よりも下方に延在する指状下端部(連結爪161に相当)61cとから成る点で、この点は特許文献4の図11の切替えカム159と略同様であり、また駆動源51の駆動力で駆動片55と共に水平方向に位置変位する。
【0035】
しかしながら、この従動片61が特許文献4の切替えカム159と異なる点は、該従動片61の指状下端部(下端係合部)61cは下方を指向し、ハンドルロック部材13の上方向の第1係合部13aの可動ピン14と係合或は連係する点である。
【0036】
次に図4は、切替え手段65を構成する主切替えレバー66と補助切替えレバー70の説明図である。切替え手段65は、少なくとも内外用に一対存在する。したがって、前述したように、内外の補助切替えレバー70は、例えばそれぞれ内外の従動片61を介して駆動片55の両側面に併設される(図6)。なお、一つの駆動片55の大きさや形態は、内外の従動片の形状・構造を考慮して適宜に設計される。
【0037】
しかして、図4、図5を参照にすると、切替え手段65は、その先端部66aが錠箱1の裏板1bに形成した開口に直接、又は裏板1bの開口に矩形状の支持枠80が固定的に装着されている(実施形態)場合には、該支持枠80の開口81内に位置(裏板1bの開口に間接的に位置)し、かつ中央部或は中央部寄りの部位66bが横軸67に軸支された長片状の主切替えレバー66と、該主切替えレバーの後端部66cと連係部(係合突起、係合穴)を介して連係する補助切替えレバー70とから成り、前記補助切替えレバー70は、その下端部70aに従動片61の従動長孔63及び駆動片55の垂直長孔56の両方に係合する係合突起71、中間部に前記駆動片55の垂直長孔56の垂直線上に形成された縦溝57に係合する案内突起72及び上端部に連係長孔73をそれぞれ有する。そして、望ましくは、補助切替えレバー70は、略直角状体のアングル形状に形成される。
【0038】
ところで、前記支持枠80には、図5で示すように、上端部が軸支され、かつ切替えられた主切替えレバー66の先端部66aを選択的に支持する格子状可動枠体82が設けられている。この格子状可動枠体82及び前記長片状の主切替えレバー66は公知事項である(特開2003−239586)が、該公知事項の切替えレバーと主に異なる事項は、本願発明の切替え手段65は新規な補助切替えレバー70が存在する点である。なお、主切替えレバー66に設けたリクック片66dや錠箱1内に設けられたクリック感用の突起部分85は公知事項なので、詳細な説明は割愛する。
【0039】
(3)本発明の主要部
本発明の主要部は、ハンドルカム用ロック部材の状態検出装置Y(以下、「状態検出装置Y」という。)である。この状態検出装置Yは、すくなくとも電気的駆動源51又は機械的駆動源の一方を備えた長箱状の錠箱1と、この長箱状錠箱に水平状態に設けられかつフロント1aより進退自在な錠片2と、この錠片の後端部2aに係合すると共に、図示しない把手の操作力により一方向に回転して該錠片2を錠箱内に引き戻す腕状係合部3cを有するハンドルカム3と、前記錠片2よりも上方に位置する固定軸12にその中心部が軸支され該中心部から上方に延在する第1係合部13a及び該中心部より横方向あるいは斜め方向へと延在する第2係合部13bを有し、前記駆動源の駆動力で前記第1係合部を介して一方向に回転すると、前記ハンドルカム3の腕状係合部3cを前記第2係合部13bでもって係止するロック部材13と、このロック部材の前記第1係合部13aに固定された永久磁石(16又は/及び17)と、前記第1係合部13a及び第2係合部13bの間の空間領域に配設され、かつ前記永久磁石が接近した時に作動するロック部材位置検出手段18とを備える。
【0040】
そこで、特に、図7乃至13を参照にして、内外のロック部材13、13を有する第1実施形態を例にして説明する。第1実施形態では、一つの電気的駆動源51と、一つの或は内外の従動片61、61と、内外のロック部材13、13と、内外の永久磁石16、17と、一つのプリント基板に配設された内外用の磁気感応スイッチ18a、18bを有するロック部材位置検出手段18と、一つの錠片2と、内外のハンドルカム3、3が存在する。
【0041】
これらの部材に、望ましくは、さらに、図1、図6等で示すように、前記一つの駆動片55の一対の側壁55b、55bに形成された縦溝57,57に内外の短い案内突起72、72がそれぞれ係合すると共に、内外の長い係合突起71、71が前記駆動片55の側壁55b、55bに形成された垂直長孔56、56にそれぞれ係合する内外の補助切替えレバー70、70と、前記ロック部材位置検出手段18が検出した検出信号を貰う制御部20が加味され、前記内外の補助切替えレバー70、70は、錠箱1のフロント裏板に形成された開口に直接又は間接的にその先端部が位置する内外の主切替えレバー66,66の後端部にそれぞれ連係する。
【0042】
付言すると、本発明の状態検出装置Yは、内外のハンドル操作部材の操作力により独立に回転することができるように軸支4された内外のハンドルカム3、3と、これら内外のハンドルカムにそれぞれ係合し、かつこれら内外のハンドルカムのいずれかによって錠箱1内へと引き戻される一つの錠片2と、中央部が固定軸12を介して軸支されていると共に、上方の第1係合部13aが一つの駆動源51の駆動片55で位置変位する一つの或は内外の従動片61、61の指状下端部61c、61cにそれぞれ係合し、一方、それぞれの下方の第2係合部13b、13bが前記内外のハンドルカム3、3の各腕状係合部3c、3cにそれぞれ係脱(ロックとアンロック状態)する内外のロック部材13、13と、これら内外のロック部材のそれぞれの上方の第1係合部13a、13aの一側に形成された切欠部分19,19に互いに上下方向に位置をずらして配設され、かつ互いの極性が異なる内外の永久磁石16,17と、これらの永久磁石が前記駆動源51の駆動力によって回転する前記内外のロック部材13、13を介してそれぞれ接近した時に、これらの永久磁石16,17に対応する部位にそれぞれ設けられた内外用の各磁気感応スイッチ18a、18bがそれぞれ独立して「オン(作動)」となるロック部材位置検出手段18とを備えている。そして、前記ロック部材位置検出手段18が検出した検出信号は、錠前の内外部に配設された制御部(IC)20に入力され、電気錠として用いることができる。
【0043】
そこで、図9は極性が異なる内外の永久磁石と、これに対応するロック部材位置検出手段の内外用の各磁気感応スイッチの概略説明図であり、図10乃至図13は、内外のハンドル操作部材が「自由」か、それとも「不自由」の態様を示している。
【実施例】
【0044】
実施形態では、錠前Xの細部的事項、例えばプッシュプルハンドル、レバーハンドル等の操作部材、該操作部材用復帰バネ、錠片用案内手段、固着具等は省略してある。また、錠前のフロント裏板部から手動で錠前のモードを簡単、かつ確実に切替えることができる次世代型の施・解錠モード切替え装置についての説明も省略してある。その他、本発明の特定要件に関係のない事項も割愛している。
【0045】
次に、図14乃至図18は本発明の第2実施形態、第3実施形態等を示す各概略説明図である。第1実施形態とこれら各実施形態と同一の部分の説明は割愛する。
図14及び15で示す第2実施形態が第1実施形態と主に異なる事項は、(a)切替え手段65が発明の特定要件ではない点、(b)駆動片55Aの形状及び構造が異なると共に、該下端部に横方向に突出する係合突起71が設けられている点、(c)従動片61Aの形状及び構造が異なると共に、耳状連設部位に前記係合突起71が係合する比較的短い従動長孔63が形成されている点である。
【0046】
図16で示す第3実施形態が第1実施形態、或は前記第2実施形態と主に異なる事項は、(あ)従動片が存在せず、電気的駆動源51の作動杆52の板状突出先端部52aが直接ハンドル用ロック部材13Aの第1係合部13aに係合する点、(い)ハンドル用ロック部材13Aの第1係合部13aが第2係合部13bよりも長い長杆状に形成され、電気的駆動源51の作動杆52の板状突出先端部52aまで延在している点である。
【0047】
図17で示す第4実施形態が第1実施形態、或は前記第2実施形態、或はまた前記第3実施形態と主に異なる事項は、(イ)駆動源51Aが機械式駆動源である点、付言すると、室内側のサムターン装置又は/及び室外側のシリンダ装置である点。(ロ)したがって、駆動片55Bはサムターン装置又はシリンダ装置の回転可能なダルマの半径外方向に延在する係合腕であり、該係合腕55Bの先端部に係合突起71が設けられている。(ハ)であるから、一つの或は内外の従動片61Bは、機械的駆動源51Aの駆動力によって一方向に回転し、ハンドル用ロック部材13のロックを解く。
【0048】
最後に図18で示す第5実施形態が第1実施形態、前記第2実施形態等と主に異なる事項は、(A)第4実施形態と同様に駆動源51Aが機械式駆動源である点、付言すると、第4実施形態と同様に、室内側のサムターン装置又は/及び室外側のシリンダ装置である点。(B)従動片が存在せず、機械式駆動源51Aのダルマの半径外方向に延在する係合腕55Bが直接ハンドル用ロック部材13の第1係合部13aに係合する点である。なお、各図面に於いて、符号9は、錠片2を突出方向に付勢する付勢手段である。
【0049】
以上の各実施形態も、第1実施形態と同様に、部品点数を少なくして長箱状錠箱の内部空間を有効的に活用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、錠前や建具の分野で利用される。
【符号の説明】
【0051】
X…錠前、Y…ハンドルカム用ロック部材の状態検出装置、1…錠箱、1b…裏板、2…錠片、3…内外のハンドルカム部材、4…支軸、5…内側の突片、6…外側の突片、11…錠片用ストッパー片、12…固定軸、13、13A…ハンドル用ロック部材、13a…第1係合部、13b…第2係合部、15…バネ部材。16,17…内外の永久磁石、18…ロック部材位置検出手段、18a、18b…内外用の磁気感応スイッチ、19…内外の切欠部分、51、51A…駆動源、52…作動杆、53…復帰用圧縮バネ、55、55A、55B…駆動片、56…垂直長孔、57…縦溝、58…逃がし穴、60…固定軸、61、61A、61B…一つの或は内外の従動片、61c…指状下端部、63…従動長孔、65…切替え手段、66…主切替えレバー、70…補助切替えレバー、71…係合突起、72…案内突起、73…連係部(連係長孔)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠前におけるハンドルカム用ロック部材の状態検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、出願人が提案したものである。特許文献1には、電気錠のスイッチ機構として非接触式の磁気感度スイッチを採用するものが記載されている。すなわち、特許文献1には、スイッチの耐久性及びスイッチの確実性・信頼性を得る目的で、「デットボルトの内端部に磁石を設け、一方、この磁石の位置に対応して、デットボルトの施錠信号及び解錠信号をそれぞれ検出するために、非接触式の磁気感度スイッチをプリント基板の内端部に水平方向に一対配設した電気錠のスイッチ機構」が開示されている。
【0003】
また、特許文献2の段落0025、段落0026等と図面には、「円筒カム20に対して角度監視手段50が配設され、該角度監視手段50は、前記円筒カム20に向かい合うように上下の間隔を有して配設された2個の非接触型スイッチ51,52と、これらのスイッチをON、OFFさせるために前記円筒カム20の外面の上下に固定された合計2個の作動子(永久磁石)とから成るドアロックのスイッチ機構」が開示されている。
【0004】
さらに、特許文献3の段落0016及び図4には、「配線基盤17における補助リング部18の周囲に施錠位置検出リードスイッチ48、解錠位置検出リードスイッチ48等を配設すること」が記載されている。
【0005】
上記特許文献1乃至特許文献3に記載されているとように、錠前の施錠状態及び解錠状態を検出するために、非接触型の磁気感応スイッチを用いることは周知事項である。
ところで、例えば特許文献1の発明の課題は、デットボルト(本施錠片)が扉枠側の受け具に係合した施錠位置及び該デットボルトが錠箱に後退動した解錠位置を検出することを目的としたもので、例えば内外のレバーハンドル、内外のプッシュプルハンドル等の内外の操作部材をそれぞれ自由に操作して扉を開くことができるものか、それとも外の操作部材だけがロックされていて、内の操作部材はアンロック状態であり、内側からは自由に扉を開くことができるものか、それとも内外の操作部材はそれぞれ同時にロック状態であるのか、といったようなハンドルのロック状態の信号を検出するものではなかった。
【0006】
そこで、現在、長箱状の錠箱の内部空間を有効的に活用することを前提としてハンドルのロック状態の信号を確実に検出する装置の出現が要望されている。
なお、例えば特許文献4の図11、特許文献5の図2には、本発明の要部に関連する事項(駆動源、駆動片、従動片等)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−132088号公報
【特許文献2】特開2003−74231号公報
【特許文献3】特開2003−74230号公報
【特許文献4】特開2009−270307号公報
【特許文献5】特開2009−256907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願発明の所期の目的は、長箱状の錠箱の内部空間を有効的に活用することを前提として、ハンドルのロック状態の信号を確実に検出する装置を提供することである。第2の目的は、内外の操作部材のロック及びアンロック状態の態様を、誤動作することがなく確実に検出することである。第3の目的は、錠片をハンドルカム部材で直接後退動させる錠前に適用することができることである。その他、電気錠に適用することができることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の錠前におけるハンドルカム用ロック部材の状態検出装置は、すくなくとも電気的駆動源又は機械的駆動源の一方を備えた長箱状の錠箱と、この長箱状錠箱に水平状態に設けられかつフロントより進退自在な錠片と、この錠片の後端部に係合すると共に把手の操作力により一方向に回転して該錠片を錠箱内に引き戻す腕状係合部を有するハンドルカムと、前記錠片よりも上方に位置する固定軸にその中心部が軸支され該中心部から上方に延在する第1係合部及び該中心部より横方向あるいは斜め方向へと延在する第2係合部を有し、前記駆動源の駆動力で前記第1係合部を介して一方向に回転すると、前記ハンドルカムの腕状係合部を前記第2係合部でもって係止するロック部材と、このロック部材の前記第1係合部に固定された永久磁石と、前記第1係合部及び第2係合部の間の空間領域(特に、第1係合部が接近する位置)に配設され、かつ前記永久磁石が接近した時に作動するロック部材位置検出手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
また本発明の錠前におけるハンドルカム用ロック部材の状態検出装置は、内外の操作部材の操作力により回転することができるように軸支された内外のハンドルカムと、これら内外のハンドルカムにそれぞれ係合し、かつこれら内外のハンドルカムのいずれかによって長箱状の錠箱内へと引き戻される一つの錠片と、中央部が固定軸を介して軸支されていると共に、上方の第1係合部が駆動源の駆動片で位置変位する従動片の下端部にそれぞれ係合し、一方、それぞれの下方の第2係合部が前記内外のハンドルカムの各腕状係合部にそれぞれ係脱(ロックとアンロック状態)する内外のロック部材と、これら内外のロック部材のそれぞれの上方の第1係合部に互いに上下方向に位置をずらして配設され、かつ互いの極性が異なる内外の永久磁石と、これらの永久磁石が前記駆動源の駆動力によって回転する前記内外のロック部材を介してそれぞれ接近した時に、これらの永久磁石に対応する部位にそれぞれ設けられた内外用の各磁気感応スイッチがそれぞれ独立して「オン」となるロック部材位置検出手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
(a)請求項1に記載の発明は、長箱状錠箱の内部空間を有効的に活用することを前提として、ハンドルのロック状態の信号を確実に検出することができる。また、錠片をハンドルカム部材で直接後退動させる錠前に適用することができる。
(b)請求項2、請求項3及び請求項4に記載の発明は、前記(a)の効果の他、内外の操作部材のロック及びアンロック状態の態様を、誤動作することがなく確実に検出することができる。
(c)請求項5に記載の発明は、ハンドルのロック状態の信号を介して錠前の施・解錠状態を確認することができる。
(d)請求項6に記載の発明は、電気的駆動源の作動杆が長箱状錠箱の後壁側を指向していても、錠前のモードを切替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1乃至図13は本発明の第1実施形態を示す各説明図である。図14乃至図18は本発明の第2実施形態、第3実施形態等を示す各概略説明図。
【図1】本発明を適用する錠前の一例を示し、ロック部材がハンドルカム部材をロックしている状態の概略説明図。
【図2】通電時施錠モードの概略説明図。
【図3】駆動片と従動片の説明図。
【図4】主切替えレバーと補助切替えレバーの説明図。
【図5】図2のモードに於いて、電源をOFFにし、解錠状態になった概略説明図。
【図6】要部(駆動片、従動片、補助切替えレバー)の平面視からの概略説明図。
【図7】要部(内外の従動片、内外のロック部材、内外のハンドルカム)の斜視からの概略説明図。
【図8】内外のロック部材の斜視からの概略説明図。
【図9】極性が異なる内外の永久磁石と、これに対応するロック部材位置検出手段の内外用の各磁気感応スイッチの概略説明図。
【図10】内外のロック部材が内外のハンドルカムにそれぞれ係合している状態の説明図(内外用の各磁気感応スイッチがそれぞれON)。
【図11】内のロック部材が内のハンドルカムから外れたアンロックの状態の説明図(内用の磁気感応スイッチがOFF)。
【図12】外のロック部材が外のハンドルカムから外れたアンロックの状態の説明図(外用の磁気感応スイッチがOFF)。
【図13】内外のロック部材が内外のハンドルカムからそれぞれ外れたアンロックの状態の説明図(内外用の各磁気感応スイッチがそれぞれOFF)。
【図14】本発明の第2実施形態の概略説明図。
【図15】第2実施形態の要部の説明図。
【図16】第3実施形態の概略説明図。
【図17】第4実施形態の概略説明図。
【図18】第5実施形態の概略説明図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(1)本発明を適用する錠前
図1は、本発明のハンドルカム用ロック部材の状態検出装置Yを備えた錠前Xの一例で、ロック部材13がハンドルカム部材3をロックしている状態の概略説明図である。ロック部材13がハンドルカム部材3を係止している場合には、ロック部材位置検出手段18は、図示しないハンドルのロック状態の信号を確実に検出することができる。
【0014】
まず、錠前Xの構成部材を説明する。この錠前Xは幾つかの機構を内装する長箱状の錠箱1を有し、該長箱状錠箱1は、その上端部側を省略しているものの、フロント1a、裏板1b、後壁1c、上壁1d、底壁1eでもって形成されている。フロント1aは裏板1bから取り外すことができ、該フロント1aを裏板1bから取り外すと、裏板1bの開口部に設けた後述の回転自在な可動枠体82及び上下方向に切替え可能な主切替えレバー66の先端部66aが見える(図2参照)。なお、本発明は主切替えレバー66等を含む切替え手段65は、発明の本質的事項ではない。切替え手段65は発明の実施環境を理解する意味で記載している。
【0015】
さて、本実施形態の細長状錠箱1は、扉(例えばガラス扉)の幅の狭い縦框cに取り付けられる。したがって、この錠箱1は、例えば、前記狭縦框の幅に対応して形成されている。
【0016】
次に、2は錠箱1に進退動自在に設けられた錠片(例えば、デッドラッチ、ラッチボルト、錠ボルトなど称される係合部材)で、該錠片2はその後端部2aにハンドルカム部材3と係合する貫通状あるいは凹所状の不番の係合部を有する。ハンドルカム部材3は、その基端部3aが錠片2よりも下方に位置する第1固定軸4(実施形態によってはハンドル軸)に軸支され、該基端部3aの下側には、図示しない内外の操作部材(例えば、プッシュ・プルハンドル)の内端部にそれぞれ設けられた内外の突片5,6と係合する短片状第1係合部3bが半径外方向に延在している。また該基端部3aの上側には、腕状第2係合部3cが延在し、該腕状第2係合部3cは前述した錠片2の後端部2aの係合部と貫通状態に係合する。そして、腕状第2係合部3cの錠片2から突出する先細り状先端部3dには、小さなローラ7が回転自在に設けられている。
【0017】
11は、錠片2よりも多少上方に位置する第2固定軸12に軸支された錠片用ストッパー片で、この錠片用ストッパー片11の下辺に形成した下向き弧状の切欠状係合部には、前述したハンドルカム部材3の小ローラ7が係脱する。
【0018】
13は、錠片用ストッパー片11と同様に前記第2固定軸12に軸支されたハンドルカム部材用ロック部材で、このロック部材13は、いわば、右手の親指と人差指とを左向きに開いた格好のL型状に形成され、錠片2の施錠時、前記右手の親指に相当する、或は左右方向(斜め方向も含む)を指向する下方の第2係合部13bは、ハンドルカム部材3の先細り状先端部3dに係合して該ハンドルカム部材3の回転を阻止する。
【0019】
一方、前記人差指に相当する、或は上方向を指向する上方の第1係合部13aの上端部には、水平方向に突出する可動ピン14が設けられ、該可動ピン14は後述の従動片61の指先状下端部61cと係合する。15は中央部が第2固定軸12に巻装された状態でロック部材13をハンドルカム部材3に係合(ロック)する方向に常時付勢するバネ部材である。
【0020】
ここで、説明の便宜上、図1を参照にして、図示しないレバーハンドル、プッシュブルハンドル等の操作部材の操作力によって、前述の錠片用ストッパー片11がどのように作動するかについて簡単に説明する。
【0021】
上記構成に於いて、例えば外側の操作部材を操作すると、外側の突片6がハンドルカム部材3の短片状第1係合部3bの側面を押圧し、また同様に、内側の操作部材を操作すると、内側の突片5がハンドルカム部材3の短片状第1係合部3bを押圧する。図1では、内外の突片5、6のいずれかが操作部材の操作力によって左方向へと水平移動し、これによりハンドルカム部材3が第1固定軸4を支点に反時計方向である矢印A方向へと回転することになる。
【0022】
したがって、ハンドルカム部材3に対するロック部材13が存在しない限り、ハンドルカム部材3の小ローラ7が錠片用ストッパー片11の弧状切欠状係合部を滑動して該錠片用ストッパー片11を、第2固定軸12を支点にして上方へと押し上げるので、錠片用ストッパー片11の係合先端部は錠片2の上辺に段差状に形成した被係合部から矢印Bの上方方向へと離れ、ハンドルカム部材3は矢印Aの時計方向へと回転可能となり、その結果、錠片2は、ハンドルカム部材3の腕状第2係合部3cを介して矢印Cの方向へと後退動可能である。
【0023】
しかしながら、図1の施錠状態では、ハンドルカム部材用ロック部材13の下方の第2係合部13bがハンドルカム部材3の先細り状先端部3dに係合し、該ハンドルカム部材3の回転を阻止している。そこで、錠片2を施錠状態から解錠状態にするためには、その前提条件として、後述の電気的駆動源(例えばソレノイド)51の駆動力により、ハンドルカム部材3に対するロック部材13のロック状態が解消する必要がある。
【0024】
そこで、本発明の主要部及び該主要部に関連する事項を説明する。なお、縦長状錠箱1の内部空間には、シリンダ錠又はサムターン側の操作力により回転するダルマを含む付勢手段、ダルマの回転力を直線運動に変換する動力変換部材、ロック部材のロック状態の解消を一時的に支持する維持片、該維持片等を案内する案内手段等の多数の部材が組み込まれているが、本発明の限定要件に関係しないので、これらの説明は割愛する。
【0025】
(2)本発明の主要部に関連する事項
図2乃至図6を参照にして、本発明の主要部に関連する事項を説明する。なお、本発明の本発明の主要部に関連する事項の説明に当って、電気的駆動源51、該駆動源に連結される駆動片55及び従動片61の具体的構成は、特許文献4、特許文献5等に記載によって周知事項なので、該周知事項の詳細は極力割愛し、その相違点を指摘する。
【0026】
また、図1、図2等では、一つの駆動片55に対して手前側に一つの従動片61を、一方、該駆動片の向こう側に他の従動片を省略して、一つの切替え手段(主切替えレバーと補助切替えレバー)を描いているが、これは発明の技術的思想を理解するために、便宜上、他の従動片及び切替え手段を省略している。
【0027】
実施化レベルでは、例えば図6で示すように、一つの駆動片55に、一つの従動片61(この実施形態の場合には、下端部側に内外のロック部材13の上方の第1係合部13a、13aに係合する二股状の係合部が形成されている。)、又は内外の従動片61、61が存在し、また、一つの従動片61又は内外の従動片61、61にそれぞれ係合するように内外の切替え手段の補助切替えレバー70、70の一部が前記一つの駆動片55内に併設状態に入り込んでいる。
【0028】
したがって、図7で示すように、内外の従動片61、61がそれぞれ係合するロック部材13、13も内外に独立して存在し、これら内外のロック部材13、13がそれぞれ係脱するハンドルカム部材3、3も内外に独立して存在する。
【0029】
まず図2は、通電時施錠モード(Rモード)の概略説明図である。これに対して、図5は、前記Rモードに於いて、電源をOFFにし、解錠状態になった概略説明図である。特許文献4、特許文献5等の記載されているように、通電時施錠モード(Rモード)以外に通電時解錠モード(Tモード)等の態様も存在するが、本実施形態では、通電時施錠モード(Rモード)を例にして説明する。
【0030】
図2のRモード、及び図示しないTモードの各態様は、特許文献4や特許文献5と同様に、「非通電状態」の場合に於いて、それぞれ電気信号を印加した時に、駆動源51の作動杆52が、復帰用圧縮バネ53のバネ力に抗して矢印方向へと伸縮したことを示す。
【0031】
したがって、図5のRモードの場合に於いて、電源が「OFF」になれば、駆動源51の作動杆52は、復帰用圧縮バネ53のバネ力によって矢印方向とは反対方向に伸縮する。実施形態では、駆動源51は長箱状錠箱1の内部空間の略中央部に固定的に横設され、該駆動源51の作動杆52は、錠箱1の後壁1cに対して水平状態に指向している(特許文献4等と異なる点)。なお、特許文献4等では、さらに、アンチパニックモード(Aモード)についても言及をしているが、もちろん、本発明の実施形態に該Aモードの切替え手段等を加味しても良い。
【0032】
さて、駆動源51は電磁プランジャを採用している。もちろん、電磁プランジャに代えて駆動モータ、伝導歯車等を用いることもできる。特許文献4に記載されているように、電磁プランジャのソレノイドに電気信号を印加することで、その作動杆52は水平方向に所定量移動する。駆動片(特許文献4の図11の駆動コネクタ147と同様)55は、全体の縦断面形状がピストル形状であり、握り部に相当の横方向に突出する連結部55aは、作動杆52の突出先端部に連結されている。したがって、駆動片55は該駆動源51の作動杆52と共働する。
【0033】
この駆動片55が特許文献4の駆動コネクタ147と主に異なる所は、垂直長孔56を有する縦長駆動板部分(側壁)55bの上端部の一側に、該垂直長孔56の垂直線上に縦溝57が形成されている点である(図3参照)。また、前記駆動片55が水平方向に所定量伸縮動するのを許容する比較的大径の逃がし穴58が前記垂直長孔56に連通形成され、かつ該逃がし穴58を横方向の固定軸60が遊びを有して貫通している点である。
【0034】
次に図3は、駆動片55と従動片61の説明図である。従動片61は、駆動片55の少なくとも一側面(垂直側面)に併設された状態で駆動片55の逃がし穴57を貫通する固定軸60に回転自在に軸支されている。この従動片61は、特許文献4と同様に軸孔62を有する中心部位61aと、該中心部位に耳状に形成されていると共に、くの字形状の従動長孔63を有する連設部位61bと、該連設部位よりも下方に延在する指状下端部(連結爪161に相当)61cとから成る点で、この点は特許文献4の図11の切替えカム159と略同様であり、また駆動源51の駆動力で駆動片55と共に水平方向に位置変位する。
【0035】
しかしながら、この従動片61が特許文献4の切替えカム159と異なる点は、該従動片61の指状下端部(下端係合部)61cは下方を指向し、ハンドルロック部材13の上方向の第1係合部13aの可動ピン14と係合或は連係する点である。
【0036】
次に図4は、切替え手段65を構成する主切替えレバー66と補助切替えレバー70の説明図である。切替え手段65は、少なくとも内外用に一対存在する。したがって、前述したように、内外の補助切替えレバー70は、例えばそれぞれ内外の従動片61を介して駆動片55の両側面に併設される(図6)。なお、一つの駆動片55の大きさや形態は、内外の従動片の形状・構造を考慮して適宜に設計される。
【0037】
しかして、図4、図5を参照にすると、切替え手段65は、その先端部66aが錠箱1の裏板1bに形成した開口に直接、又は裏板1bの開口に矩形状の支持枠80が固定的に装着されている(実施形態)場合には、該支持枠80の開口81内に位置(裏板1bの開口に間接的に位置)し、かつ中央部或は中央部寄りの部位66bが横軸67に軸支された長片状の主切替えレバー66と、該主切替えレバーの後端部66cと連係部(係合突起、係合穴)を介して連係する補助切替えレバー70とから成り、前記補助切替えレバー70は、その下端部70aに従動片61の従動長孔63及び駆動片55の垂直長孔56の両方に係合する係合突起71、中間部に前記駆動片55の垂直長孔56の垂直線上に形成された縦溝57に係合する案内突起72及び上端部に連係長孔73をそれぞれ有する。そして、望ましくは、補助切替えレバー70は、略直角状体のアングル形状に形成される。
【0038】
ところで、前記支持枠80には、図5で示すように、上端部が軸支され、かつ切替えられた主切替えレバー66の先端部66aを選択的に支持する格子状可動枠体82が設けられている。この格子状可動枠体82及び前記長片状の主切替えレバー66は公知事項である(特開2003−239586)が、該公知事項の切替えレバーと主に異なる事項は、本願発明の切替え手段65は新規な補助切替えレバー70が存在する点である。なお、主切替えレバー66に設けたリクック片66dや錠箱1内に設けられたクリック感用の突起部分85は公知事項なので、詳細な説明は割愛する。
【0039】
(3)本発明の主要部
本発明の主要部は、ハンドルカム用ロック部材の状態検出装置Y(以下、「状態検出装置Y」という。)である。この状態検出装置Yは、すくなくとも電気的駆動源51又は機械的駆動源の一方を備えた長箱状の錠箱1と、この長箱状錠箱に水平状態に設けられかつフロント1aより進退自在な錠片2と、この錠片の後端部2aに係合すると共に、図示しない把手の操作力により一方向に回転して該錠片2を錠箱内に引き戻す腕状係合部3cを有するハンドルカム3と、前記錠片2よりも上方に位置する固定軸12にその中心部が軸支され該中心部から上方に延在する第1係合部13a及び該中心部より横方向あるいは斜め方向へと延在する第2係合部13bを有し、前記駆動源の駆動力で前記第1係合部を介して一方向に回転すると、前記ハンドルカム3の腕状係合部3cを前記第2係合部13bでもって係止するロック部材13と、このロック部材の前記第1係合部13aに固定された永久磁石(16又は/及び17)と、前記第1係合部13a及び第2係合部13bの間の空間領域に配設され、かつ前記永久磁石が接近した時に作動するロック部材位置検出手段18とを備える。
【0040】
そこで、特に、図7乃至13を参照にして、内外のロック部材13、13を有する第1実施形態を例にして説明する。第1実施形態では、一つの電気的駆動源51と、一つの或は内外の従動片61、61と、内外のロック部材13、13と、内外の永久磁石16、17と、一つのプリント基板に配設された内外用の磁気感応スイッチ18a、18bを有するロック部材位置検出手段18と、一つの錠片2と、内外のハンドルカム3、3が存在する。
【0041】
これらの部材に、望ましくは、さらに、図1、図6等で示すように、前記一つの駆動片55の一対の側壁55b、55bに形成された縦溝57,57に内外の短い案内突起72、72がそれぞれ係合すると共に、内外の長い係合突起71、71が前記駆動片55の側壁55b、55bに形成された垂直長孔56、56にそれぞれ係合する内外の補助切替えレバー70、70と、前記ロック部材位置検出手段18が検出した検出信号を貰う制御部20が加味され、前記内外の補助切替えレバー70、70は、錠箱1のフロント裏板に形成された開口に直接又は間接的にその先端部が位置する内外の主切替えレバー66,66の後端部にそれぞれ連係する。
【0042】
付言すると、本発明の状態検出装置Yは、内外のハンドル操作部材の操作力により独立に回転することができるように軸支4された内外のハンドルカム3、3と、これら内外のハンドルカムにそれぞれ係合し、かつこれら内外のハンドルカムのいずれかによって錠箱1内へと引き戻される一つの錠片2と、中央部が固定軸12を介して軸支されていると共に、上方の第1係合部13aが一つの駆動源51の駆動片55で位置変位する一つの或は内外の従動片61、61の指状下端部61c、61cにそれぞれ係合し、一方、それぞれの下方の第2係合部13b、13bが前記内外のハンドルカム3、3の各腕状係合部3c、3cにそれぞれ係脱(ロックとアンロック状態)する内外のロック部材13、13と、これら内外のロック部材のそれぞれの上方の第1係合部13a、13aの一側に形成された切欠部分19,19に互いに上下方向に位置をずらして配設され、かつ互いの極性が異なる内外の永久磁石16,17と、これらの永久磁石が前記駆動源51の駆動力によって回転する前記内外のロック部材13、13を介してそれぞれ接近した時に、これらの永久磁石16,17に対応する部位にそれぞれ設けられた内外用の各磁気感応スイッチ18a、18bがそれぞれ独立して「オン(作動)」となるロック部材位置検出手段18とを備えている。そして、前記ロック部材位置検出手段18が検出した検出信号は、錠前の内外部に配設された制御部(IC)20に入力され、電気錠として用いることができる。
【0043】
そこで、図9は極性が異なる内外の永久磁石と、これに対応するロック部材位置検出手段の内外用の各磁気感応スイッチの概略説明図であり、図10乃至図13は、内外のハンドル操作部材が「自由」か、それとも「不自由」の態様を示している。
【実施例】
【0044】
実施形態では、錠前Xの細部的事項、例えばプッシュプルハンドル、レバーハンドル等の操作部材、該操作部材用復帰バネ、錠片用案内手段、固着具等は省略してある。また、錠前のフロント裏板部から手動で錠前のモードを簡単、かつ確実に切替えることができる次世代型の施・解錠モード切替え装置についての説明も省略してある。その他、本発明の特定要件に関係のない事項も割愛している。
【0045】
次に、図14乃至図18は本発明の第2実施形態、第3実施形態等を示す各概略説明図である。第1実施形態とこれら各実施形態と同一の部分の説明は割愛する。
図14及び15で示す第2実施形態が第1実施形態と主に異なる事項は、(a)切替え手段65が発明の特定要件ではない点、(b)駆動片55Aの形状及び構造が異なると共に、該下端部に横方向に突出する係合突起71が設けられている点、(c)従動片61Aの形状及び構造が異なると共に、耳状連設部位に前記係合突起71が係合する比較的短い従動長孔63が形成されている点である。
【0046】
図16で示す第3実施形態が第1実施形態、或は前記第2実施形態と主に異なる事項は、(あ)従動片が存在せず、電気的駆動源51の作動杆52の板状突出先端部52aが直接ハンドル用ロック部材13Aの第1係合部13aに係合する点、(い)ハンドル用ロック部材13Aの第1係合部13aが第2係合部13bよりも長い長杆状に形成され、電気的駆動源51の作動杆52の板状突出先端部52aまで延在している点である。
【0047】
図17で示す第4実施形態が第1実施形態、或は前記第2実施形態、或はまた前記第3実施形態と主に異なる事項は、(イ)駆動源51Aが機械式駆動源である点、付言すると、室内側のサムターン装置又は/及び室外側のシリンダ装置である点。(ロ)したがって、駆動片55Bはサムターン装置又はシリンダ装置の回転可能なダルマの半径外方向に延在する係合腕であり、該係合腕55Bの先端部に係合突起71が設けられている。(ハ)であるから、一つの或は内外の従動片61Bは、機械的駆動源51Aの駆動力によって一方向に回転し、ハンドル用ロック部材13のロックを解く。
【0048】
最後に図18で示す第5実施形態が第1実施形態、前記第2実施形態等と主に異なる事項は、(A)第4実施形態と同様に駆動源51Aが機械式駆動源である点、付言すると、第4実施形態と同様に、室内側のサムターン装置又は/及び室外側のシリンダ装置である点。(B)従動片が存在せず、機械式駆動源51Aのダルマの半径外方向に延在する係合腕55Bが直接ハンドル用ロック部材13の第1係合部13aに係合する点である。なお、各図面に於いて、符号9は、錠片2を突出方向に付勢する付勢手段である。
【0049】
以上の各実施形態も、第1実施形態と同様に、部品点数を少なくして長箱状錠箱の内部空間を有効的に活用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、錠前や建具の分野で利用される。
【符号の説明】
【0051】
X…錠前、Y…ハンドルカム用ロック部材の状態検出装置、1…錠箱、1b…裏板、2…錠片、3…内外のハンドルカム部材、4…支軸、5…内側の突片、6…外側の突片、11…錠片用ストッパー片、12…固定軸、13、13A…ハンドル用ロック部材、13a…第1係合部、13b…第2係合部、15…バネ部材。16,17…内外の永久磁石、18…ロック部材位置検出手段、18a、18b…内外用の磁気感応スイッチ、19…内外の切欠部分、51、51A…駆動源、52…作動杆、53…復帰用圧縮バネ、55、55A、55B…駆動片、56…垂直長孔、57…縦溝、58…逃がし穴、60…固定軸、61、61A、61B…一つの或は内外の従動片、61c…指状下端部、63…従動長孔、65…切替え手段、66…主切替えレバー、70…補助切替えレバー、71…係合突起、72…案内突起、73…連係部(連係長孔)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
すくなくとも電気的駆動源又は機械的駆動源の一方を備えた長箱状の錠箱と、この長箱状錠箱に水平状態に設けられかつフロントより進退自在な錠片と、この錠片の後端部に係合すると共に把手の操作力により一方向に回転して該錠片を錠箱内に引き戻す腕状係合部を有するハンドルカムと、前記錠片よりも上方に位置する固定軸にその中心部が軸支され該中心部から上方に延在する第1係合部及び該中心部より横方向あるいは斜め方向へと延在する第2係合部を有し、前記駆動源の駆動力で前記第1係合部を介して一方向に回転すると、前記ハンドルカムの腕状係合部を前記第2係合部でもって係止するロック部材と、このロック部材の前記第1係合部に固定された永久磁石と、前記第1係合部及び第2係合部の間の空間領域に配設され、かつ前記永久磁石が接近した時に作動するロック部材位置検出手段とを備える錠前におけるハンドルカム用ロック部材の状態検出装置。
【請求項2】
請求項1に於いて、ロック部材は、フロントの幅方向に併設した状態で内外に設けられ、これら内外のロック部材の各第1係合部に、内外の永久磁石が上下方向に位置をずらして配設されていることを特徴とする錠前におけるハンドルカム用ロック部材の状態検出装置。
【請求項3】
請求項2に於いて、内外の永久磁石は、互いの極性が異なり、一方の上方の第1係合部の上端部に固定された永久磁石が「S極」であり、他方の第1係合部の上端部寄りの部位に固定された永久磁石が「N極」であることを特徴とする錠前におけるハンドルカム用ロック部材の状態検出装置。
【請求項4】
内外の操作部材の操作力により回転することができるように軸支された内外のハンドルカムと、これら内外のハンドルカムにそれぞれ係合し、かつこれら内外のハンドルカムのいずれかによって長箱状の錠箱内へと引き戻される一つの錠片と、中央部が固定軸を介して軸支されていると共に、上方の第1係合部が駆動源の駆動片で位置変位する従動片の下端部にそれぞれ係合し、一方、それぞれの下方の第2係合部が前記内外のハンドルカムの各腕状係合部にそれぞれ係脱(ロックとアンロック状態)する内外のロック部材と、これら内外のロック部材のそれぞれの上方の第1係合部に互いに上下方向に位置をずらして配設され、かつ互いの極性が異なる内外の永久磁石と、これらの永久磁石が前記駆動源の駆動力によって回転する前記内外のロック部材を介してそれぞれ接近した時に、これらの永久磁石に対応する部位にそれぞれ設けられた内外用の各磁気感応スイッチがそれぞれ独立して「オン」となるロック部材位置検出手段とを備える錠前におけるハンドルカム用ロック部材の状態検出装置。
【請求項5】
請求項4に於いて、ロック部材を軸支する固定軸には、錠片を施錠する錠片用ストッパー片の基端部が同軸上に軸支され、該錠片用ストッパー片は、内外のハンドルカムのいずれかによって、その施錠が解かれることを特徴とする錠前におけるハンドルカム用ロック部材の状態検出装置。
【請求項6】
請求項4に於いて、電気的駆動源の作動杆と共働する駆動片と、駆動片の少なくとも一側に直接又は間接的に併設された状態で該駆動片に形成された逃がし穴内に位置する固定軸に軸支されていると共に、下端部がロック部材の上方の第1係合部と係合或は連係し、かつ該駆動片の駆動力で位置変位する従動片と、下端部に前記従動片の従動長孔及び前記駆動片の垂直長孔の両方に係合する係合突起、中間部に前記駆動片の垂直長孔の垂直線上の縦溝に係合する案内突起、及び上端部に連係部を有する補助切替えレバーと、該補助切替えレバーの前記連係部に後端部が係合すると共に、中央部或は中央部寄りの部位が軸支された長片状の主切替えレバーを備え、前記主切替えレバーの先端部を上下方向に切替えると、前記固定軸を基準として、前記補助切替えレバーの係合突起が上下方向に位置変位し、錠前の施・解錠モードが切替ることを特徴とする錠前におけるハンドルカム用ロック部材の状態検出装置。
【請求項1】
すくなくとも電気的駆動源又は機械的駆動源の一方を備えた長箱状の錠箱と、この長箱状錠箱に水平状態に設けられかつフロントより進退自在な錠片と、この錠片の後端部に係合すると共に把手の操作力により一方向に回転して該錠片を錠箱内に引き戻す腕状係合部を有するハンドルカムと、前記錠片よりも上方に位置する固定軸にその中心部が軸支され該中心部から上方に延在する第1係合部及び該中心部より横方向あるいは斜め方向へと延在する第2係合部を有し、前記駆動源の駆動力で前記第1係合部を介して一方向に回転すると、前記ハンドルカムの腕状係合部を前記第2係合部でもって係止するロック部材と、このロック部材の前記第1係合部に固定された永久磁石と、前記第1係合部及び第2係合部の間の空間領域に配設され、かつ前記永久磁石が接近した時に作動するロック部材位置検出手段とを備える錠前におけるハンドルカム用ロック部材の状態検出装置。
【請求項2】
請求項1に於いて、ロック部材は、フロントの幅方向に併設した状態で内外に設けられ、これら内外のロック部材の各第1係合部に、内外の永久磁石が上下方向に位置をずらして配設されていることを特徴とする錠前におけるハンドルカム用ロック部材の状態検出装置。
【請求項3】
請求項2に於いて、内外の永久磁石は、互いの極性が異なり、一方の上方の第1係合部の上端部に固定された永久磁石が「S極」であり、他方の第1係合部の上端部寄りの部位に固定された永久磁石が「N極」であることを特徴とする錠前におけるハンドルカム用ロック部材の状態検出装置。
【請求項4】
内外の操作部材の操作力により回転することができるように軸支された内外のハンドルカムと、これら内外のハンドルカムにそれぞれ係合し、かつこれら内外のハンドルカムのいずれかによって長箱状の錠箱内へと引き戻される一つの錠片と、中央部が固定軸を介して軸支されていると共に、上方の第1係合部が駆動源の駆動片で位置変位する従動片の下端部にそれぞれ係合し、一方、それぞれの下方の第2係合部が前記内外のハンドルカムの各腕状係合部にそれぞれ係脱(ロックとアンロック状態)する内外のロック部材と、これら内外のロック部材のそれぞれの上方の第1係合部に互いに上下方向に位置をずらして配設され、かつ互いの極性が異なる内外の永久磁石と、これらの永久磁石が前記駆動源の駆動力によって回転する前記内外のロック部材を介してそれぞれ接近した時に、これらの永久磁石に対応する部位にそれぞれ設けられた内外用の各磁気感応スイッチがそれぞれ独立して「オン」となるロック部材位置検出手段とを備える錠前におけるハンドルカム用ロック部材の状態検出装置。
【請求項5】
請求項4に於いて、ロック部材を軸支する固定軸には、錠片を施錠する錠片用ストッパー片の基端部が同軸上に軸支され、該錠片用ストッパー片は、内外のハンドルカムのいずれかによって、その施錠が解かれることを特徴とする錠前におけるハンドルカム用ロック部材の状態検出装置。
【請求項6】
請求項4に於いて、電気的駆動源の作動杆と共働する駆動片と、駆動片の少なくとも一側に直接又は間接的に併設された状態で該駆動片に形成された逃がし穴内に位置する固定軸に軸支されていると共に、下端部がロック部材の上方の第1係合部と係合或は連係し、かつ該駆動片の駆動力で位置変位する従動片と、下端部に前記従動片の従動長孔及び前記駆動片の垂直長孔の両方に係合する係合突起、中間部に前記駆動片の垂直長孔の垂直線上の縦溝に係合する案内突起、及び上端部に連係部を有する補助切替えレバーと、該補助切替えレバーの前記連係部に後端部が係合すると共に、中央部或は中央部寄りの部位が軸支された長片状の主切替えレバーを備え、前記主切替えレバーの先端部を上下方向に切替えると、前記固定軸を基準として、前記補助切替えレバーの係合突起が上下方向に位置変位し、錠前の施・解錠モードが切替ることを特徴とする錠前におけるハンドルカム用ロック部材の状態検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−44095(P2013−44095A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180417(P2011−180417)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(390037028)美和ロック株式会社 (868)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(390037028)美和ロック株式会社 (868)
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