説明

錠剤のコーティング方法

本発明は、
a)0.5〜90重量%の1,500〜20,000g/モルの範囲の重量平均分子量を有するポリエチレングリコール(成分A)、
b)0.5〜20重量%の12〜90の範囲のフィケンチャーに従うK値を有する水溶性ポリビニルピロリドン(成分B)、
c)0〜95重量%の溶媒(L)、及び
d)0〜70重量%の1種以上の非高分子助剤(成分C)
を含む、固体基体(S)をコーティングするためのポリマー組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基体(例えば、錠剤)をコーティングするための方法、及び固体基体(例えば、錠剤)をコーティングするための組成物に関する。固体剤形(例えば、錠剤)を各種のフィルム形成ポリマーでコーティングすることは、現在の薬物製剤化及び錠剤製造において長年にわたり広く使用されている技術である。所謂フィルムコーティングの使用は様々な目的を有している。すなわち、例えば剤形の色及び外観を変更したり、苦味を隠したりすることができ、或いは活性成分を光から保護し、または胃液に対する耐性を改善する目的もある。
【背景技術】
【0002】
フィルムコーティングが満たすべき重要な要件は、粘性でないこと、基体表面に十分に接着すること、機械的応力に対して安定であり、貯蔵時に亀裂を示さないこと、並びに優れた平滑性及び光沢を示すことである。加えて、フィルムコーティング溶液のポリマーは迅速且つ容易に製造され、溶媒(例えば、水)中に溶解できなければならない。更に、フィルムコーティング溶液は、例えば噴霧過程で良好な加工性を確保するために十分に高い固体含量で低い粘度を有していなければならない。
【0003】
錠剤をコーティングするためにフィルム形成ポリマー、例えばセルロース誘導体(例:ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、メタクリル酸コポリマーまたは他のポリビニルアルコールコポリマーが長年にわたり使用されている。コーティング組成物中のフィルム形成成分としてポリエチレングリコールやポリビニルピロリドンのようなポリマーを使用することも公知である。
【0004】
例えば、英国特許第1,021,178号明細書は1964年に、ポリビニルピロリドン及びポリエチレングリコールからなるワックスコーティング錠剤に対する保護錠剤コーティングを記載している。記載されている方法では、上記ポリマーを有機溶媒(例えば、アセトン、エタノールまたはトリクロロエタン)中に溶解し、固体基体に対して噴霧する。このコーティング中の固体含量は3〜18%であり、混合物中のポリエチレングリコールのポリビニルピロリドンに対する比は1:1〜9:1である。英国特許第1,021,178号明細書に記載されているフィルムコーティングは主として下にあるワックスコーティングを保護するように働き、その貯蔵安定性を向上させることが意図されている。フィルムコーティングの光沢向上効果は記載されていない。
【0005】
米国特許第4,060,598号明細書(1975)は、活性成分含有担体にポリマーコーティングが設けられているコーティング錠剤の製造方法を記載しており、そのコーティングは水性組成物を水不溶性及び水溶性成分を用いて適用することにより実施される。生じたコーティングは水不溶性多孔性樹脂のマトリックスと前記マトリックス孔中の水溶性ポリマー材料のマトリックスを形成する。このコーティングは胃液に対して耐性でない活性成分を保護するように働き、更に水性コーティング方法で実施し得る。米国特許第4,060,598号明細書において挙げられている水溶性成分中のポリマーの例は特にポリエチレングリコール及びポリビニルピロリドンである。米国特許第4,060,598号明細書はポリエチレングリコール及びポリビニルピロリドンの両方を含む製剤を記載している。しかしながら、これらの水性製剤はいずれも更にポリマー成分(例えば、ポリ酢酸ビニル及びポリビニルアルコール)、充填剤及び糖をも含んでいる。
【0006】
国際公開第2006/102446号パンフレットは、修飾された溶解挙動を有する複数のコーティングを有する医薬製剤を記載している。この場合、製剤のコア中の活性成分(例えば、5-アミノサリチル酸)は第1コーティングにより胃酸による攻撃から保護されている。第2の外側コーティングは胃酸耐性第1層を保護するように意図されており、各種ポリマーから構成され得、ポリビニルピロリドン及びポリエチレングリコールも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】英国特許第1,021,178号明細書
【特許文献2】米国特許第4,060,598号明細書
【特許文献3】国際公開第2006/102446号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の組成物は、基体、好ましくは固体担体、好ましくは医薬、化粧または農薬デリバリー形態、種子、栄養補助食品及び/または食品のコーティングを可能にすることを意図している。組成物は1,500〜20,000g/モルの範囲の重量平均分子量Mwを有するポリエチレングリコール(成分A)、12〜90の範囲のK値を有するポリビニルピロリドン(成分B)、及び場合により更に非高分子助剤(成分C)の水溶液からなることが好ましい。本発明は更に、コーティングされた、好ましくは固体基体を製造するための改善された方法を提供することを意図している。基体が医薬デリバリー形態ならば、例えば1種以上の薬物化合物を含有してもよい。
【0009】
公知のポリマー組成物は、基体(例えば、錠剤)に適用したときしばしば無光沢で魅力的でない粗な表面を生ずる欠点を有している。前記基体上により魅力的で光沢のある外観を与えるために、また例えば患者がコーティング錠剤をより容易に飲み込めるように、基体を(場合により、追加の)平滑で光沢のあるフィルムでコーティングすることが考えられる。この目的を達成するために、基体に対して光沢をつけるまたは向上させるコーティングを設け、適用することが考えられる。組成物を容易に、且つ好ましくは水溶液を用いて適用するための方法を実施できなければならない。コーティングは慣用されているフィルムコーティング方法に従っても実施し得る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
驚くことに、特に無光沢で粗な基体(例えば、フィルムコーティング錠剤)に特定の水溶性ポリエチレングリコール(PEG)及びポリビニルピロリドン(PVP)の水溶液をコーティングすると基体(例えば、錠剤)の光沢が明確に向上する効果が得られることが知見された。
【0011】
本発明の組成物は、成分を溶媒(特に、水)中に溶解させることにより非常に簡単に且つ迅速に製造することができ、低粘度を有し、比較的高い固体濃度でも例えば慣用のコーティング方法で良好な適用率で固体基体に適用され得る。本発明のフィルムコーティングは、優れた光沢及び平滑性だけでなく、低い粘着性及び良好な貯蔵安定性によっても区別される。
【0012】
本発明の組成物は、光沢を明確に例えば最高285%増加させる効果を有している。ポリビニルピロリドン及びポリエチレングリコールの組合せは、以下に示すように個々の成分の溶液よりも光沢を明確に向上させる効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】コーティング装置(Accela Cota 24",Manesty)の略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
固体基体(S)をコーティングするための本発明の組成物は、
a)0.5〜90重量%の1,500〜20,000g/モルの範囲の重量平均分子量を有するポリエチレングリコール(成分A)、
b)0.5〜20重量%の12〜90の範囲のフィケンチャーK値を有する水溶性ポリビニルピロリドン(成分B)、
c)0〜95重量%の溶媒(L)、及び
d)0〜70重量%の1種以上の非高分子助剤(成分C)
を含む、またはこれらから好ましくは構成される。
【0015】
a)5〜20重量%の1,500〜20,000g/モルの範囲の重量平均分子量を有するポリエチレングリコール(成分A)、
b)0.5〜5重量%の12〜90の範囲のフィケンチャーK値を有する水溶性ポリビニルピロリドン(成分B)、
c)65〜95重量%の溶媒(L)、及び
d)0〜10重量%の1種以上の非高分子助剤(成分C)
を含む、またはこれらから好ましくは構成される医薬錠剤などの固体基体(S)をコーティングするための組成物が好ましい。
【0016】
更なる実施形態は、
a)5〜20重量%の4,000〜20,000g/モルの範囲の重量平均分子量を有するポリエチレングリコール(成分A)、
b)0.5〜5重量%の12〜30の範囲のフィケンチャーK値を有する水溶性ポリビニルピロリドン(成分B)、
c)75〜95重量%の溶媒(L)としての水
を含む、またはこれらから好ましくは構成される固体基体をコーティングするための組成物に関する。
【0017】
成分Bは12〜90、好ましくは12、17、30、90、特に12、17または30のK値を有する1種以上のポリビニルピロリドンから選択されることが好ましい。
【0018】
更なる実施形態は、溶液が5〜20重量%、特に7〜15重量%の範囲のポリマー含量を有し、ポリエチレングリコール及びポリビニルピロリドンが15:1〜7:1、特に約9:1の重量比で存在する固体基体をコーティングするための組成物に関する。
【0019】
a)8〜10重量%の6,000g/モルの重量平均分子量を有するポリエチレングリコール(PEG 6000)(成分A)、
b)0.5〜2重量%の17のフィケンチャーK値を有する水溶性ポリビニルピロリドン(成分B)、及び
c)88〜95重量%の水
を含む、またはこれらから構成される組成物が固体基体をコーティングするために特に適していると判明した。
【0020】
本発明は、少なくとも1種の上記した組成物を固体基体(S)に適用したコーティング固体基体(例えば、錠剤)の製造方法にも関する。
【0021】
この方法は、好ましくは
a)成分A及びBと溶媒Lを混合してコーティング溶液を調製するステップ、
b)コーティング溶液を適当な方法を用いて基体(S)に対して適用するステップ、
c)適切ならば、20〜80℃の範囲の温度のガスを適用することによりコーティング基体を乾燥させるステップ、及び
d)適切ならば、コーティングし、乾燥させた基体を研磨するステップ
を含み得る。
【0022】
本発明はまた、基体(S)を固体の医薬、化粧及び農薬デリバリー形態、種子、栄養補助食品、並びに食品から選択する、コーティング固体基体の製造方法に関する。
【0023】
本発明はまた、基体(S)が少なくとも1つのポリマーフィルムコーティングが既に設けられている固体医薬剤形(例えば、錠剤)からなる、コーティング固体基体の製造方法に関する。
【0024】
本発明はまた、コーティング医薬、化粧または農薬デリバリー形態、コーティング種子、コーティング栄養補助食品、或いはコーティング食品を製造するための組成物の使用に関する。
【0025】
本発明の更なる態様は、上記した組成物でコーティングされているコーティング基体である。このコーティング基体は、例えば医薬、化粧及び農薬デリバリー形態、種子、栄養補助食品、並びに食品から選択される基体(S)をベースとし得る。
【0026】
成分Aとして、1,500〜20,000g/モル、特に1,500〜10,000g/モルの範囲の平均分子量Mwを有する水溶性ポリエチレングリコール(PEG)が特に使用される。以下のポリエチレングリコール:
1,500g/モルの平均分子量Mwを有するポリエチレングリコール(PEG 1500)
2,000g/モルの平均分子量Mwを有するポリエチレングリコール(PEG 2000)
4,000g/モルの平均分子量Mwを有するポリエチレングリコール(PEG 4000)
6,000g/モルの平均分子量Mwを有するポリエチレングリコール(PEG 6000)
20,000g/モルの平均分子量Mwを有するポリエチレングリコール(PEG 20000)
が好ましく使用される。
【0027】
ポリエチレングリコールPEG 6000が特に好ましく使用される。
【0028】
成分Bとして、特に12〜90、好ましくは17〜30の範囲のフィケンチャーK値、特に好ましくはK=17を有するポリビニルピロリドン(PVP)を使用することができる。
【0029】
ポリビニルピロリドン(PVP)は、少なくとも50%のポリビニルピロリドンモノマー単位、及び場合により更なるモノマー単位(例えば、酢酸ビニル(VAc))の比率を有するポリマー化合物を意味する。実質的に完全にビニルピロリドン単位から構成されるポリビニルピロリドンが好ましい。
【0030】
更に、12、17、30、90のK値を有するポリビニルピロリドン(PVP)を含む組成物が好ましい。以下のポリビニルピロリドン:
Kollidon(登録商標)12(BASF,Ludwigshafen DE) K=12を有するPVP
Kollidon(登録商標)17PF(BASF,Ludwigshafen DE) K=17を有するPVP
Kollidon(登録商標)30(BASF,Ludwigshafen DE) K=30を有するPVP
Kollidon(登録商標)90F(BASF,Ludwigshafen DE) K=90を有するPVP
が好ましく使用される。
【0031】
ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマー、例えばBASFから市販されているKollidon(登録商標)VA64(PVP-酢酸ビニル(VAc)コポリマー)も使用できる。
【0032】
本発明の組成物中の成分Bとして、以下のポリビニルピロリドン:
Kollidon(登録商標)17PF(BASF,Ludwigshafen DE) K=17を有するPVP
Kollidon(登録商標)30(BASF,Ludwigshafen DE) K=30を有するPVP
が特に好ましく使用される。
【0033】
K=17を有するポリビニルピロリドンが非常に特に好ましく使用される。
【0034】
ポリビニルピロリドン成分Bの平均分子量を実際フィケンチャーK値により表示することが好ましく、フィケンチャーK値は適当に希釈したポリマー溶液の粘度を測定することにより比較的容易に求められ得る。K値はフィケンチャー方程式
【数1】

【0035】
(式中、
ηr=溶液の動的粘度/溶媒の動的粘度、
c=溶液中のポリマーの質量濃度(g/cm3))
により相対粘度ηrから計算される。
【0036】
よって、フィケンチャーK値は粘度平均分子量の尺度である。
【0037】
使用されるポリビニルピロリドン(PVP)の、例えば光散乱測定により確認され得る重量平均分子量Mwに基づく適当な分子量範囲を以下に示す:
12のK値を有するPVP:Mw 2,000〜3,000g/モル
17のK値を有するPVP:Mw 7,000〜11,000g/モル
30のK値を有するPVP:Mw 44,000〜54,000g/モル
90のK値を有するPVP:Mw 1,000,000〜1,500,000g/モル。
【0038】
好ましく使用される溶媒(L)は水、特に脱イオン水であるが、水と他の極性溶媒(例えば、一価または多価アルコール、アルキルハライド、エステルまたはケトン)との混合物を使用することもできる。好ましい極性有機溶媒(L)は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、n-ブタノール、イソプロパノール、クロロホルムまたはジクロロメタンの群から選択される。
【0039】
本発明の組成物は、場合により成分Cとして錠剤コーティング成分として使用されている非高分子賦形剤を含み得る。賦形剤として特に1種以上の以下の成分:
a)着色顔料、例えば酸化鉄及び水溶性または水不溶性形態の染料、例えばキノリンイエローレーキ、タートラジンレーキ、オレンジ-イエローレーキ、FD&C黄色アルミニウムレーキ、コチニールレッドレーキ、エリスロシンレーキ、アゾルビンレーキ、インディゴティンレーキ、エリスロシン、ブリリアントブラック、パテントブルー、ブリリアントブルー、コチニールレッド、オレンジ-イエローカラー、アマランス、FD&C青色1号、インディゴティン、β-カロテン及び真珠箔顔料;
b)コーティングの被覆力を改善するための白色顔料、例えば二酸化チタン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム;
c)非粘着物質、例えばタルク、ステアリン酸マグネシウム、モノステアリン酸グリセロール;
d)充填剤、例えばリン酸水素カルシウム;
e)発泡抑制または破壊物質、例えばシメチコン、オクタノール;
f)湿潤挙動及び拡散を改善するための界面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタン脂肪酸エステルまたはエトキシル化ソルビタン脂肪酸エステル、水素化ヒマシ油のエトキシル化エステル、エトキシル化脂肪酸エステル、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム;
g)pH調節物質及びバッファー、例えばクエン酸ナトリウム、クエン酸、リン酸バッファー、酢酸バッファー;
h)可塑剤;
i)保護コロイド;
j)矯臭及び/または着臭剤;
を選択することができる。
【0040】
本発明の組成物は、負の副作用を生じさせる恐れがある可塑剤または界面活性剤のような追加助剤を通常必要としない利点を有する。好ましい実施形態では、更なる賦形剤(成分C)は組成物中に存在しない。
【0041】
本発明はまた、成分AとB及び場合によりCの乾燥混合物、またはこの乾燥混合物から作成され、その後本発明の光沢をつけるフィルムコーティング溶液を調製するために使用され得る成分AとB(及び場合によりC)の顆粒に関する。本発明はまた、その後コーティング組成物を調製するために使用者により使用される組成物の個々の成分からなるキットに関する。
【0042】
コーティング基体の製造方法は、例えば
a)攪拌しながら成分AとB及び場合によりCを溶媒Lに添加することにより、または場合により固体成分AとB及び場合によりCを混合し、その後固体混合物を溶媒L中に溶解することにより、または場合により成分A、B及び場合によりCを溶媒Lの一部ごとに溶解もしくは分散させ、その後溶液を合わせることにより、コーティング溶液を調製するステップ;
b)コーティング溶液を適当な噴霧方法を用いて基体に対して適用するステップ;
c)30〜80℃の範囲の温度の空気を導入することによりフィルムコーティングを徐々に乾燥させる、コーティングを乾燥させるステップ、
c)場合により、コーティングし、乾燥させた基体を研磨するステップを実施するステップ
を含み得る。
【0043】
ステップa)について
組成物(フィルムコーティング溶液)を成分AとB及び場合によりCを溶媒L中に攪拌しながらゆっくり添加し、完全に溶解させることにより調製することが好ましい。通常、調製中溶液を加熱する必要はない。
【0044】
更に好ましい実施形態では、まず成分AとB及び場合によりCを混合し、可能ならば顆粒化する。次いで、固体混合物を攪拌しながら溶媒Lに添加することにより組成物を調製する。
【0045】
ステップb)について
原則、すべての固体基体を本発明のコーティング方法によりポリマーフィルムでコーティングすることができる。コーティングされ得る例は固体の医薬、化粧及び農薬デリバリー形態、種子、栄養補助食品、並びに食品である。コーティングしようとする医薬剤形は、例えば錠剤、カプセル、押出物、ペレット、顆粒、結晶または粉末の形態であり得る。
【0046】
更に、異なる形状の表面を有する固体基体をコーティングすることができ、固体基体の表面が例えば湾曲状、凸状または凹状であってもよい。よって、刻印のある固体基体であっても、本発明の組成物により刻印を光沢コーティングで実質的に完全に被覆することができる。固体基体は各種形状、例えば円形、多角形、楕円形またはフットボール形状を有していてもよい。
【0047】
好ましい実施形態では、コーティングしようとする基体(S)は固体の医薬、化粧及び農薬デリバリー形態、種子、栄養補助食品、並びに食品から選択される。
【0048】
少なくとも1つのポリマーコーティング(ベースコーティング)が既に設けられている医薬剤形(例えば、錠剤)からなる固体基体に対してコーティングを実施することが特に好ましい。
【0049】
この場合、光沢をつけるフィルムコーティングはベースコーティングまたは複数のベースコーティングの後に直接適用し得るので本発明の方法の適用は容易に実施される。追加の装置を必要とせず、適用時間はベースコーティングプロセスに比して短い。
【0050】
この場合、ベースコーティングは例えば活性成分を例えば水、酸素、プロトン、コーティングの化学成分から保護するために、胃腸内容物の成分から保護するために、または医薬剤形を着色するために機能し得る。
【0051】
各種適応エリアの活性成分、例えば活性医薬成分(ヒト用薬物及び動物用薬物)、ビタミン、カロテノイド、機能性食品、栄養補助食品、ミネラル及び微量栄養素が医薬剤形のコア中に(または、基体の表面上に)使用され得る。活性成分は単独でまたは組み合わせて使用され得、異なる薬理学的及び物理化学的特性(例えば、親油性、溶解性、粒子サイズ、粒子構造及び表面積)を有し得る。
【0052】
本発明のコーティングをこの目的に適したコーティングデバイスで実施され得る噴霧方法で適用することが好ましい。挙げられている例は水平ドラムコーター、流動床コーター、交換価値コーター(exchange value coater)及びコーティングパンである。ポリマー溶液を例えば2液ノズルを用いてアトマイズする。
【0053】
これに関連して、本発明のコーティングを基体(例えば、医薬剤形)に第1コーティングを施した直後に同じコーティング装置を用いて実施することもできる。本発明の溶液を試験したすべての色及び試験したすべてのフィルム形成ポリマーに適用することができた。
【0054】
例えば、最高30重量%の固体含量を有する噴霧溶液を適用することができる。最適適用率は0.2〜2mg/cm2の範囲である。
【0055】
ステップc)について
乾燥及び冷却時間は、好ましくは(生成物またはコア床)温度が20〜50℃、特に30〜50℃の範囲の場合2〜20分の範囲である。噴霧圧力は通常1〜3バールの範囲である。
【0056】
ステップd)について
コーティングを作成した後に、場合により研磨ステップを続けてもよい。少ない回転及び低い流入空気温度でのその後の処理(研磨)により、幾つかの製剤で光沢が更に改善される効果が得られる。
【0057】
本発明の好ましい実施形態では、ポリエチレングリコール/ポリビニルアルコールコポリマーからなる少なくとも1つのベースコーティングで既にコーティングされている固体医薬剤形に、前のコーティングを施した直後に噴霧方法で
9重量%の6000g/モルの重量平均分子量を有するポリエチレングリコール(PEG 6000)(成分A)、
1重量%の17のフィケンチャーK値を有する水溶性ポリビニルピロリドン(PVP-17)(成分B)、及び
90重量%の水(L)
からなる組成物をコーティングする。
【0058】
以下の実施例は、既にフィルムコーティングされており、各種形状、色及び各種ベースコーティングを有する錠剤に対する本発明の各種組成物の光沢発生効果を示す。
【実施例】
【0059】
表1に記載されている成分を使用した。
【表1】


【0060】
別段の記載がない限り、%データはすべて重量%に関し、KはフィケンチャーK値を指し、Mwは重量平均分子量を指す。
【0061】
以下の装置を使用した:
・自動錠剤コーティング装置;Accela Cota 24"タイプ(英国リバプールに所在のManesty製)の水平ドラムコーター、
・高剪断ミキサー,Ultra Turrax(ドイツ国シュタウフェンに所在のIKA-Werke GmbH製)、
・ドライブを有するブレード攪拌機、
・磁気攪拌機、
・ガラス器具。
【0062】
方法のために有用なコーティング装置(Accela Cota 24",Manesty)の略図を図1に示す。流入空気流(1)では、流入空気速度(1a)、流入空気温度(1b)及び流入空気水分(1c)を測定する。流出空気流(2)では、流出空気速度(2a)及び流出空気水分(2c)を測定する。噴霧ノズル(3)も描かれており、噴霧速度(3a)及び噴霧圧力(3b)を測定することができる。コーティングパン(4)はパン速度で回転する。図1に描かれている部品及びコーティングパラメーターのリストを以下に再記する:
(1) 流入空気
(1a) 流入空気速度
(1b) 流入空気温度
(1c) 流入空気水分
(2) 流出空気
(2a) 流出空気速度
(2c) 流出空気水分
(3) 噴霧ノズル
(3a) 噴霧速度
(3b) 噴霧圧力
(4) コーティングパン。
【0063】
光沢は慣用されている湾曲表面のための光沢計、例えばNovo-Curve(商標)400タイプ(英国マンチェスターに所在のElcometer Instruments製)の光沢計を用いて測定した。測定は60°の測定角度、室温(20℃)で実施した。光沢は光沢単位[GU]として無次元で示す。それぞれ、サンプルの10個の異なる錠剤に対する10回の測定値から平均を求めた。
【0064】
実施例1:ベースコーティングのためのコーティング溶液(フィルムコーティング溶液)の調製
a)水溶性染料を含むタイプIIのベースコーティング
ベースコーティングのために使用される混合物は、Kollicoat(登録商標)IRホワイト及び染料Sicovit(登録商標)オレンジ-イエローを脱イオン水中に溶解させることにより調製した。この目的のために、パドル攪拌機を用いて攪拌しながら成分を一緒に脱イオン水中に溶または分散させた。溶液を磁気攪拌機を用いて低速で一晩脱気させた。ポリマーフィルムは92.9%のKollicoat(登録商標)IRホワイト及び7.1%の染料 Sicovit(登録商標)オレンジ-イエローから構成されていた。溶液は20%の全固体含量を有していた。
【0065】
b)水不溶性染料を含むタイプIII〜VIのベースコーティング
Kollicoat(登録商標)IRホワイトを脱イオン水の一部に攪拌しながら分散させた。別に、適当な着色顔料を脱イオン水の別の部分に高剪断ミキサー(Ultra-Turrax)を用いて分散させた。2つの混合物を攪拌しながら合わせ、緩やかに攪拌しながら一晩脱気させた。
【0066】
c)水不溶性染料を含むタイプVII及びVIIのベースコーティング
ベースコーティングのために使用されるポリマー溶液は、脱イオン水中にタイプVIIまたはタイプVIIIのポリマーを溶解させ、着色顔料の二酸化チタン、カディン、酸化鉄(Sicovit(登録商標)レッド)を分散させることにより調製した。この目的のために、ポリマーを脱イオン水の一部に溶解させ、顔料を脱イオン水の別の部分に高剪断ミキサー(Ultra Turrax)を用いて分散させた。2つの混合物をパドル攪拌機により攪拌しながら合わせた。溶液を磁気攪拌機を用いて低速で一晩脱気させた。
【0067】
タイプVIIのポリマーフィルムは25%のKollicoat(登録商標)プロテクト、67%のカディン、2%の二酸化チタン及び6%の酸化鉄(Sicovit(登録商標)レッド)から構成されていた。溶液は25%の全固体含量を有していた。
【0068】
タイプVIIIのポリマーフィルムは75%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、10%のカディン、5%の二酸化チタン及び10%のポリエチレングリコール6000から構成されていた。溶液は12%の全固体含量を有していた。
【0069】
実施例2:ベースコーティングの適用
実施例1a)〜c)に記載されている溶液または分散液を別々に、錠剤コーティング装置(24"Accela Cota)を用いて以下に詳記する適用条件下で、99.5%のLudipress LCE(登録商標)(BASF)及び0.5%のステアリン酸マグネシウムからなるプラセボコアに対して適用した。使用した噴霧ノズルは1mmボアを有する慣用されているノズル(モデル930,ドイツ国ウンタージーマウに所在のDusen-Schlick製)であった。コーティング装置(Manesty 24"Accela Cota)の略図を図1に示す。
【0070】
ベースコーティングのための適用プロセスの条件:
噴霧圧力 2.0バール
パターン空気圧力 1.0バール
ドラム速度 15rpm
流入空気速度 60L/s
流出空気速度 110L/s
流入空気温度 62℃
流出空気温度 45℃
生成物温度 37℃
噴霧速度 25g/min
乾燥/冷却時間 10分間
適用率 4.5mg/cm2
バッチサイズ 5kg。
【0071】
このプロセス後、少なくとも10個の錠剤のサンプルを光沢測定のために採取した。フィルム錠剤の光沢測定は慣用の光学測定装置(Novo-Curve(商標)タイプ400)を用いて60°の測定角度、室温で実施した。光沢は通常通り光沢単位[GU]として無次元で示す。
【0072】
実施例3:光沢コーティングのための組成物の調製
各種組成物(フィルムコーティング溶液)は、ポリエチレングリコール及びポリビニルピロリドン(または、ポリビニルピロリドン-ポリ酢酸ビニルコポリマー)を脱イオン水中にゆっくり添加し、完全に溶解させることにより調製した。調製中溶液を磁気攪拌機を用いて攪拌した。調製中溶液を加熱する必要はなかった。組成物(フィルムコーティング溶液)のポリマー含量は好ましくは10%であった。各種ポリエチレングリコール及びポリビニルピロリドン(または、ポリビニルピロリドンコポリマー)を使用し、異なる量の比率で試験した。
【0073】
実施例4:(光沢フィルムコーティングの)組成物の適用
実施例2からのベースコーティングされているフィルムコーティング錠剤を冷却した直後に、実施例3において調製した組成物(フィルムコーティング溶液)を適当なコーティング装置(24"Accela Cota)を用いて以下に詳記する適用条件で適用した。適用プロセス及び研磨プロセス直後に少なくとも10個の錠剤をサンプルとして抜き取り、その光沢を測定した。研磨プロセスの詳細も以下に示す。フィルムコーティング錠剤の光沢測定は慣用の光学測定装置(Novo-Curve(商標)タイプ400)を用いて60°の測定角度、室温で実施した。光沢は通常通り光沢単位[GU]として無次元で示す。
【0074】
コーティングプロセスの条件:
噴霧圧力 2.0バール
パターン空気圧力 1.0バール
ドラム速度 10rpm
流入空気速度 60L/s
流出空気速度 110L/s
流入空気温度 62℃
流出空気温度 45℃
生成物温度 37℃
噴霧速度 10g/min
乾燥/冷却時間 5分間
適用率 0.5mg/cm2
バッチサイズ 5kg。
【0075】
研磨プロセスの条件:
ドラム速度 2〜3rpm
流入空気速度 -
流出空気速度 -
生成物温度 37〜25℃
プロセス時間 30分間。
【0076】
実施例5:例示プロセスの詳細説明
脱イオン水中の20%濃度のタイプIIIのコーティング溶液(1kg)をベースコーティングのために調製した。
【0077】
脱気したPEG-PVAコポリマー(タイプIII)溶液を錠剤コーティング装置(Accela Cotaタイプ24"の水平ドラムコーター,Manesty)を用いて99.5重量%のLudipress LCE及び0.5重量%のステアリン酸マグネシウムの組成を有するプラセボコア(円形、湾曲状、直径9mm)(5kg)に対して噴霧した。
【0078】
噴霧条件:
噴霧圧力 2.0バール
パターン空気圧力 1.0バール
ドラム速度 15rpm
流入空気速度 60L/s
流出空気速度 110L/s
流入空気温度 62℃
流出空気温度 45℃
生成物温度 37℃
噴霧速度 25g/min
乾燥/冷却時間 5分間
適用率 4.5mg/cm2
噴霧時間 28分間。
【0079】
ベースコーティングを施した後、すべての錠剤に均一で均質なカーマイン色フィルムをコーティングした。少なくとも10個の錠剤を光沢の測定のためのサンプルとして採取した。
【0080】
コーティング溶液(光沢フィルムコーティング溶液)は、90部の水に攪拌しながら配合させた9部のPEG 6000及び1部のKollidon(登録商標)17から構成された。固体物質をゆっくり添加し、約10分後完全に溶解した。
【0081】
ベースコーティング錠剤を乾燥後、170gの透明なコーティング溶液(光沢フィルムコーティング溶液)をコーティング装置(24"Accela Cota)を用いて約36℃のコア床温度で以下に示す条件下で適用した。
【0082】
噴霧条件:
噴霧圧力 2.0バール
パターン空気圧力 1.0バール
ドラム速度 15rpm
流入空気速度 60L/s
流出空気速度 110L/s
流入空気温度 62℃
流出空気温度 45℃
生成物温度 36℃
噴霧速度 10g/min
乾燥/冷却時間 5分間
適用率 0.5mg/cm2
【0083】
光沢コーティングとフィルムコーティングをした乾燥錠剤の少なくとも10個の錠剤のサンプルを同様に光沢の測定のために採取した。残りのフィルムコーティング錠剤をドラムにおいて以下に示す条件(研磨プロセス)下で低速で冷却する。
【0084】
研磨条件:
ドラム速度 2〜3rpm
流入空気速度 -
流出空気速度 -
生成物温度 37〜25℃
プロセス時間 30分間。
【0085】
研磨プロセス後、冷却したフィルムコーティング錠剤をドラムから取り出す。10個の錠剤について光沢を測定する。
【0086】
光沢の測定は実施例1に記載されているように実施した。
【0087】
実施例6:光沢コーティングについての各種組成物の比較
ベースコーティングのために、タイプIIの溶液を実施例1に記載されているように調製し、実施例2に記載されているように9mmの直径を有する円形湾曲状プラセボコア(99.5%のLudipress(登録商標)LCE(BASF)及び0.5%のステアリン酸Mg)に適用した。
【0088】
それぞれ下表2a)〜g)に示されているPEG及びPVPを指定されている比で用いて、光沢コーティングのための組成物(フィルムコーティング溶液)を実施例3に記載されているように調製し、コーティングを実施例4に記載されているように実施した。
【0089】
光沢の測定は実施例1に記載されているように実施した。9mmの直径を有する円形湾曲状プラセボコア上の対応するフィルムコーティング溶液の光沢[GU]を表2a)〜g)に列記する。
【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【0090】
PEG及びPVPの水溶液を適用すると、いずれも光沢が明確に向上する効果が得られる。このことは試験したすべての組合せに当てはまる。PVP及びPEGの組合せにより、個々の成分の溶液に比して光沢が明確に向上する効果が得られる。その後、低い回転及び低い流入空気温度で処理(研磨)すると、幾つかの組成物で光沢が向上する効果が得られる。光沢コーティングのための組成物はベースコーティングを施した直後に適用され得る。追加の装置は必要とせず、適用時間はベースコーティングプロセスに比して短い。
【0091】
実施例7:各種の色及びベースコーティングに対する光沢コーティングの比較
ベースコーティングのために、タイプI〜VIIIのコーティング溶液を実施例1に記載されているように調製した。コーティングを実施例2に記載されているように9mmの直径を有する丸い湾曲状プラセボコア(99.5%のLudipress(登録商標)LCE(BASF)及び0.5%のステアリン酸Mg)に対して実施した。
【0092】
光沢コーティングのための組成物は、実施例3に記載されているように9部のPEG 6000、1部のPVP Kollidon(登録商標)17(BASF)及び90部の脱イオン水から調製した。コーティング溶液を実施例4に記載されているように上記したベースコーティング錠剤に適用した。
【0093】
光沢の測定は実施例1に記載されているように実施した。コーティング錠剤の光沢を表3に示す。
【表9】

【0094】
PEG及びPVPからなる水性組成物(フィルムコーティング溶液)を適用すると、いずれも光沢が明確に向上する効果が得られる。このことは製造のために使用される基体に適用できる試験したすべての組合せに当てはまる。溶液は試験したすべての色及び試験したすべてのフィルム形成ポリマーに対して適用可能であり、光沢を非常に大きく最高371.4%向上させる効果を有している。その後、低い回転及び低い流入空気温度で処理(研磨)すると、幾つかの組成物で光沢が更に向上する効果が得られる。
【0095】
実施例8:各種錠剤形状に対する光沢コーティングの比較
ベースコーティングのためにタイプIIのコーティング溶液を実施例1に記載されているように調製し、錠剤形状:
・円形、湾曲状、6mm
・円形、湾曲状、9mm
・楕円形、8.5mm
の、99.5重量%のLudipress(登録商標)LCE(BASF)及び0.5重量%のステアリン酸Mgからなるプラセボコアに対して実施例2に記載されているように適用した。
【0096】
光沢コーティングのための組成物は、実施例3に記載されているように9部のPEG 6000、1部のPVP Kollidon(登録商標)17(BASF)及び90部の水から調製した。コーティング溶液を実施例4に記載されているように上記したベースコーティング錠剤に適用した。
【0097】
光沢の測定を実施例1に記載されているように実施した。コーティング錠剤の光沢を表5に示す。
【表10】

【0098】
PEG及びPVPからなる光沢フィルムコーティング溶液を適用すると、いずれも光沢が明確に向上する効果が得られる。溶液は試験したすべての錠剤形状に対して適用され得、光沢を大きく向上させる効果を有していた。その後、低い回転及び低い流入空気温度で処理(研磨)すると、光沢が更に向上する効果が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)0.5〜90重量%の1,500〜20,000g/モルの範囲の重量平均分子量を有するポリエチレングリコール(成分A)、
b)0.5〜20重量%の12〜90の範囲のフィケンチャーK値を有する水溶性ポリビニルピロリドン(成分B)、
c)0〜95重量%の溶媒(L)、及び
d)0〜70重量%の1種以上の非高分子助剤(成分C)
を含む、固体基体(S)をコーティングするための組成物。
【請求項2】
a)5〜20重量%の1,500〜20,000g/モルの範囲の重量平均分子量を有するポリエチレングリコール(成分A)、
b)0.5〜5重量%の12〜90の範囲のフィケンチャーK値を有する水溶性ポリビニルピロリドン(成分B)、
c)65〜95重量%の溶媒(L)、及び
d)0〜10重量%の1種以上の非高分子助剤(成分C)
を含む、請求項1に記載の固体基体(S)をコーティングするための組成物。
【請求項3】
a)5〜20重量%の4,000〜20,000g/モルの範囲の重量平均分子量を有するポリエチレングリコール(成分A)、
b)0.5〜5重量%の12〜30の範囲のフィケンチャーK値を有する水溶性ポリビニルピロリドン(成分B)、
c)75〜95重量%の溶媒(L)
を含む、請求項1または2に記載の固体基体をコーティングするための組成物。
【請求項4】
成分Bが12、17、30、90のK値を有する1種以上のポリビニルピロリドンから選択される、請求項1〜3のいずれかに記載の固体基体をコーティングするための組成物。
【請求項5】
溶液が5〜20重量%の範囲のポリマー含量を有し、ポリエチレングリコール及びポリビニルピロリドンが約9:1の重量比で存在する、請求項1〜4のいずれかに記載の固体基体をコーティングするための組成物。
【請求項6】
a)8〜10重量%の6,000g/モルの重量平均分子量を有するポリエチレングリコール(PEG 6000)(成分A)、
b)0.5〜2重量%の17のフィケンチャーK値を有する水溶性ポリビニルピロリドン(成分B)、及び
c)88〜95重量%の水
からなる、請求項1〜5のいずれかに記載の固体基体をコーティングするための組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の少なくとも1種の組成物を固体基体(S)に対して適用する、コーティング固体基体の製造方法。
【請求項8】
a)成分A及びBと溶媒Lを混合することによりコーティング溶液を調製するステップ、
b)コーティング溶液を適当な方法を用いて基体(S)に適用するステップ、
c)適切ならば、20〜80℃の範囲の温度のガスを適用することによりコーティング基体を乾燥させるステップ、及び
c)適切ならば、コーティングし、乾燥させた基体を研磨するステップ
を含む、請求項7に記載のコーティング固体基体の製造方法。
【請求項9】
基体(S)が固体の医薬、化粧及び農薬デリバリー形態、種子、栄養補助食品、並びに食品から選択される、請求項7または8に記載のコーティング固体基体の製造方法。
【請求項10】
基体(S)が、少なくとも1つのポリマーフィルムコーティングが既に設けられている固体医薬剤形からなる、請求項7〜9のいずれかに記載のコーティング固体基体の製造方法。
【請求項11】
コーティング医薬、化粧もしくは農薬デリバリー形態、コーティング種子、コーティング栄養補助食品、またはコーティング食品を製造するための請求項1〜6のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項12】
請求項1〜6のいずれかに記載の組成物でコーティングしたコーティング基体。
【請求項13】
基体(S)が医薬、化粧及び農薬デリバリー形態、種子、栄養補助食品、並びに食品から選択される、請求項12に記載のコーティング基体。

【図1】
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【公表番号】特表2011−526598(P2011−526598A)
【公表日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515454(P2011−515454)
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【国際出願番号】PCT/EP2009/058278
【国際公開番号】WO2010/000783
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】