錠剤を形成する方法
錠剤を形成する方法は、粘着性を帯びやすい活性薬剤成分及びブレンド添加剤を、第1の混合力でプレブレンディングしプレブレンド混合物を形成するステップであって、前記第1の混合力及び少なくとも1の賦形剤を前記プレブレンド混合物と混合することから生じる第2の混合力が、直接圧縮に好適なブレンドを形成するステップと、前記ブレンドを圧縮して錠剤を形成するステップとを含む。前記第1の混合力を得る方法の1つは、長時間プレブレンドすることである。前記方法は、造粒ステップ又はローラ圧縮の必要なくブレンドを直接圧縮できる。粘着性を帯びやすいそのような活性薬剤成分の1つはイブプロフェンである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2006年12月4日に出願された米国特許出願番号第11/633,322号の一部継続出願である、2007年10月1日に出願された米国特許出願番号第11/906,303号に対応する国際出願であり、その両方が参照により本明細書に取り込まれる。
【0002】
米国特許出願番号第11/633,322号は、2005年9月29日に出願された米国特許出願番号第11/238,802号並びに2004年9月30日に出願された米国仮出願番号第60/614,932号及び2005年6月10日に出願された同第60/689,631号に基づく優先権を主張するが、本願はこれらの出願に基づく優先権を主張しない。米国特許出願番号第11/238,802号、同第60/614,932号及び同第60/689,631号は参照により本明細書に取り込まれる。
【0003】
本発明は、活性薬剤及びブレンド添加剤を含む錠剤を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
医薬組成物の圧縮は、従来好都合な結合特性及び流動特性を有する活性薬剤に限定されるか、或いは圧縮を容易にする結合剤及び流動化剤などのブレンド添加剤と共に活性薬剤を造粒する過程を経て達成される。打錠プロセスにおいて粘着性を帯びやすい活性薬剤の剤形のほとんどは、造粒ステップ又はローラ圧縮の利用を必要とする。そのようなプロセスは、比較的単純な製剤の製造にすらコスト及び複雑さを加え、インビボの性能及び安定性に影響を与えることがある。
【0005】
この問題の代表は、薬剤的に活性なイブプロフェンである。イブプロフェンは、2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸であり、非ステロイド性抗炎症化合物(NSAID)であり、関節リウマチ及び骨関節炎並びに他の炎症性疾患の有効な治療に必要な、高レベルの抗炎症活性、鎮痛活性および解熱活性を示す。イブプロフェンは直接圧縮可能ではなく、直接イブプロフェンを製造する試みは、打錠プレスの表面に固着し、脆すぎて貯蔵や輸送ができず、或いは打錠プレスから排出される際2つ以上の部分に割れる錠剤またはその部分を生み出す。
【0006】
これらの製造問題を回避するため、当業者は打錠の前に造粒ステップを利用するが、そのステップでは活性薬剤がブレンド添加剤などの賦形剤と湿式造粒され、活性薬剤とブレンド添加剤を含む粒状組成物を形成する。次いで、この粒状組成物をさらなる賦形剤と混合することができ、かつ/又は好適な固形剤形の製造のために直接圧縮可能であってよい。したがって、粘着性を帯びやすい活性薬剤成分を含む錠剤の調製を容易にする造粒の代替方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
この目的及び他の目的を達成するため、その目的に鑑み、本発明の一実施形態は、粘着性を帯びやすい活性薬剤及びブレンド添加剤を、第1の混合力でプレブレンディングして、プレブレンド混合物を形成するステップであって、前記第1の混合力及び少なくとも1の賦形剤を前記プレブレンド混合物と混合することから生じる第2の混合力が、直接圧縮に好適なブレンドを形成するステップと、前記ブレンドを圧縮して錠剤を形成するステップとを含む、錠剤を形成する方法を提供する。
【0008】
本発明の実施形態は、a)粘着性を帯びやすい活性薬剤成分及びブレンド添加剤を、第1の混合力でプレブレンディングして、プレブレンド混合物を形成するステップと;b)前記プレブレンドを少なくとも1の賦形剤と第2の混合力でブレンディングするステップと;c)ステップbの前記ブレンドを第2のブレンド添加剤と第3の混合力でブレンディングするステップであって、前記第1の混合力、前記第2の混合力及び前記第3の混合力が、直接圧縮に好適なブレンドを形成するステップと;d)ステップcの前記ブレンドを圧縮して錠剤を形成するステップとを含む、錠剤を形成する方法を含む。
【0009】
本発明の別の実施形態は、イブプロフェン及び二酸化ケイ素のみを第1の混合力でプレブレンディングして、プレブレンド混合物を形成するステップであって、前記第1の混合力及び少なくとも1の賦形剤を前記プレブレンド混合物と混合することから生じる第2の混合力が、直接圧縮に好適なブレンドを形成するステップと、前記ブレンドを圧縮して錠剤を形成するステップとを含む、錠剤を形成する方法を含む。
【0010】
本発明の別の実施形態は、実質的にイブプロフェンと二酸化ケイ素のみを第1の混合力でプレブレンディングしてプレブレンド混合物を形成するステップと;得られたプレブレンド混合物を少なくとも1の賦形剤と第2の混合力でブレンディングするステップと;得られたブレンドを少なくとも1のブレンド添加剤と第3の混合力でブレンディングするステップであって、前記第1の混合力、前記第2の混合力及び前記第3の混合力が、直接圧縮に好適なブレンドを形成するステップと;及び前記ブレンドを圧縮して錠剤を形成するステップとからなる、錠剤を形成する方法を含む。
【0011】
前記の一般的説明及び以下の詳細な説明の両方が本発明を例示するものであり、限定的でないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明は、添付する図面と関連して読まれる場合、以下の詳細な説明から一番よく理解される。図面には以下の図が含まれる。
【0013】
【図1】図1は、実施例1の未ブレンドのイブプロフェンの倍率500倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図2】図2は、実施例1の未ブレンドのイブプロフェンの倍率5000倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】図3は、実施例1の未ブレンドのイブプロフェンの倍率25000倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】図4は、実施例1の未ブレンドの二酸化ケイ素の倍率500倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図5】図5は、実施例1の未ブレンドの二酸化ケイ素の倍率5000倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図6】図6は、実施例1の未ブレンドの二酸化ケイ素の倍率25000倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図7】図7は、実施例1のイブプロフェン/二酸化ケイ素ブレンドの5分後の倍率500倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図8】図8は、実施例1のイブプロフェン/二酸化ケイ素ブレンドの5分後の倍率5000倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図9】図9は、実施例1のイブプロフェン/二酸化ケイ素ブレンドの5分後の倍率25000倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図10】図10、実施例1のイブプロフェン/二酸化ケイ素ブレンドの10分後の倍率500倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図11】図11は、実施例1のイブプロフェン/二酸化ケイ素ブレンドの10分後の倍率5000倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図12】図12は、実施例1のイブプロフェン/二酸化ケイ素ブレンドの10分後の倍率25000倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図13】図13は、実施例1のイブプロフェン/二酸化ケイ素ブレンドの20分後の倍率500倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図14】図14は、実施例1のイブプロフェン/二酸化ケイ素ブレンドの20分後の倍率5000倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図15】図15は、実施例1のイブプロフェン/二酸化ケイ素ブレンドの20分後の倍率25000倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図16】図16は、実施例1のイブプロフェン/二酸化ケイ素ブレンドの40分後の倍率500倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図17】図17は、実施例1のイブプロフェン/二酸化ケイ素ブレンドの40分後の倍率5000倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図18】図18は、実施例1のイブプロフェン/二酸化ケイ素ブレンドの40分後の倍率25000倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図19】図19は、実施例1のイブプロフェン/二酸化ケイ素ブレンドの60分後の倍率500倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図20】図20は、実施例1のイブプロフェン/二酸化ケイ素ブレンドの60分後の倍率5000倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図21】図21は、実施例1のイブプロフェン/二酸化ケイ素ブレンドの60分後の倍率25000倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図22】図22は、イブプロフェンのSiO2の被覆率を示すグラフである。
【図23】図23は、実施例3の錠剤の放出特性を示すグラフである。
【図24】図24は、実施例4の錠剤の放出特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、以下の開示、例及び以下の議論を参照してさらに説明及び記載される。以下の実施例及び議論において、特定の有効成分、ブレンド添加剤、賦形剤、結合剤、流動促進剤及び流動化剤の使用は、例示のためのみに与えられており、本発明の範囲を限定するものではない。
【0015】
本発明の一実施形態は、a)粘着性を帯びやすい活性薬剤成分及びブレンド添加剤を、第1の混合力でプレブレンディングして、プレブレンド混合物を形成するステップと;b)前記プレブレンドを少なくとも1の賦形剤と第2の混合力でブレンディングするステップと;c)ステップbの前記ブレンドを第2のブレンド添加剤と第3の混合力でブレンディングするステップであって、前記第1の混合力、前記第2の混合力及び前記第3の混合力が、直接圧縮に好適なブレンドを形成するステップと;d)ステップcの前記ブレンドを圧縮し錠剤を形成するステップとを含む、錠剤を形成する方法を含む。本発明の別の実施形態によると、前記方法は、造粒またはローラ圧縮などの追加ステップを排除する点で、実質的にこれら4ステップからなると考えることができる。
【0016】
本発明の実施形態に使用される活性薬剤成分には、粘着性を帯びやすい医薬成分がある。粘着性は、打錠プロセスにおいて活性薬剤のブレンドを圧縮する間、ブレンドをべとつかせ工作機械を汚す性質である。別な言い方では、粘着性があると、ブレンドが打錠型の圧縮面に固着する。打錠の数学的モデル、力−時間、力−距離及び抜き型−壁力パラメータを使用して、圧縮の仕事、弾性、可塑性及び時間依存変形挙動並びに結合指数、脆性破壊指数及び歪み指数などの打錠性能の種々の指数を使用して、粘着性という特質を有する物質に見られる、べとつき固着する傾向を含む圧縮問題を予測することができる。Patel,S.et al,Compression Physics in the Formation Development of Tablets Crit Rev Ther Drug Carrier Syst.2006;23(1):1−65を参照。多くの活性薬剤が上記などの方法でまだ特性化されていないか、従来の調剤が圧縮の前に湿式増粒又は別の処理ステップを利用するので粘着性による製造問題を有すると知られていないこともある。
【0017】
粘着性を帯びやすいと考えられることの多い活性薬剤成分には、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ケトプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬;クラリスロマイシンなどの抗生物質;及びグルコサミン及びコンドロイチンなどの機能性食品がある。
【0018】
本発明は、化合物の粘着性のため望ましくないべとつき及び固着を示すどのような活性薬剤成分にも潜在的に適用できる。これは、圧縮して錠剤にされる、公知で薬剤的に有用な薬品、機能性食品及び他の栄養補助食品並びに打錠用途に開発されつつある将来の類似品の両方を含む。
【0019】
本発明の一実施形態において、粘着性を帯びやすい活性薬剤成分はイブプロフェンである。上述のとおり、そのような活性薬剤成分を含む錠剤を調製するプロセスには、典型的には、造粒ステップ又はローラ圧縮の利用が必要であった。
【0020】
本発明によると、従来のブレンドステップと共に利用される場合、上記でステップb及びcと称されたプレブレンドステップは、造粒ステップ又はローラ圧縮なしに粘着性を帯びやすい活性薬剤成分を含む錠剤の調製を可能にする。これは、ブレンド添加剤の存在下で、上で「第1の混合力」と記載された追加の混合力を活性薬剤成分に加えることによりなされる。本願で使用される混合力は、混合される成分に加えられる仕事の尺度である。従って、混合力は、数ある中でも、混合時間、使用される成分の体積、特定の活性薬剤成分(その粘着性の程度を含む)、ブレンダの大きさ、ブレンダの種類、ブレンディングの速度並びにブレンダ中で使用されるパドルの種類およびデザインを含む多くの因子の関数である。直接圧縮に好適なブレンドを形成するのに十分な累積的な混合力(すなわち、圧縮の前に成分に加えられる全混合力の和)を得るために、特定の活性薬剤成分及びブレンド系を仮定すれば、プレブレンドステップの時間が、所望の結果を得るために変更可能な独立変数であることが見いだされた。特に、プレブレンド時間を変えることにより、べとつきなしに錠剤の形成を容易に最適化できる。より詳細には、プレブレンド時間が短すぎてもプレブレンド時間が長すぎても、許容できないレベルのべとつきが生じることが分かった。この文脈を考慮すれば、存在する変数を仮定してどの程度のべとつきがあるかを測定する試行圧縮試験により、最適時間を経験的に決めることができる。本発明の潜在的な効用を決める試験には、ある製品に適当な実際の商業規模への打錠のスケールアップにおいて、活性薬剤成分及び賦形剤の試行打錠試験が含まれることがある。打錠プロセスがプロセスのどの時点において望ましくないべとつき及び固着を示す場合でも、本発明は活性薬剤成分の粘着性によるべとつき及び固着のレベルを下げることができ、本開示の範囲内である。望ましくないレベルのべとつきとは、あるパーセンテージの錠剤がべとつきのため販売に向かないものであり、特定の有効成分、活性薬剤成分のコスト、製造効率の必要、オペレーターの存在又は製剤の製造に関する他の任意の基準により変動するであろう。例えば、典型的には、べとつきのため販売に許容されないと考えられる錠剤が10%を超えれば許容されないであろう。好ましくは、製造された錠剤の5%未満、より好ましくは1%未満、最も好ましくは0.1%未満が販売に向かないと考えられる。
【0021】
従来、プレブレンド混合物の少なくとも1の賦形剤とのブレンディングは、内容物の均一性が得られるまで続けられる。さらに、得られたブレンドとブレンド添加剤とのブレンディングは、従来はるかに短時間(例えば時間の20分の1)行われている。これらの従来ステップは上記のステップb及びcとして反映されている。ある実施形態において、従来のステップb及びcの前に、ブレンド添加剤の従来のブレンディングよりもわずかに長い時間プレブレンドステップを実施することが好ましいことが分かった。
【0022】
いかなる理論にも拘束されないが、以下の図に関連して記載するとおり、ブレブレンドステップは、活性薬剤成分の粘着粒子がブレンド添加剤により実質的に被覆されることを可能にしているようである。以下の実施例は、プレブレンドステップの時間増加と共に、二酸化ケイ素(すなわちブレンド添加剤)によるイブプロフェン結晶の被覆率が上昇する前進的なパターンを明らかにした。好ましい実施形態において、プレブレンディングは、イブプロフェン及び二酸化ケイ素のみを含む。別の実施形態において、プレブレンディングは、イブプロフェン、二酸化ケイ素及びケイ化微結晶セルロース又は二酸化ケイ素とケイ化微結晶セルロース(SiO2に結合したMCC)の組み合わせを含む。任意に、追加の賦形剤がプレブレンドステップに含まれてもよい。
【0023】
特定の活性薬剤成分、ブレンド系及びステップb及びcのブレンド時間を仮定すれば、プレブレンド時間を変えて、ステップcの後で直接圧縮に好適なブレンドが形成されるような望ましい第1の混合力を得ることができる。一実施形態において、すなわち、1)活性薬剤成分としてイブプロフェン、ブレンド添加剤として二酸化ケイ素を使用し;2)36rpmで16qt V型ブレンダ(<1ft3)を使用し;3)ステップb及びcのそれぞれに、内容物の均一性を得るに十分な20乃至60分及び2乃至15分の混合時間を持つと、20乃至90分、好ましくは40乃至60分のプレブレンド時間が、べとつきが最低限である錠剤の調製を最適化することを見いだした。別の実施形態において、すなわち、1)活性薬剤としてイブプロフェン、ブレンド添加剤として二酸化ケイ素を使用し;2)10rpmで40ft3 V型ブレンダ(<1ft3)を使用し;3)ステップb及びcのそれぞれに、20乃至60分及び2乃至15分の混合時間を持つと、20乃至90分、好ましくは40乃至60分のプレブレンド時間が、べとつきが最低限である錠剤の調製を最適化することを見いだした。
【0024】
認識できるとおり、第1の混合力は第2の混合力と同じでも異なっていてもよい。同様に、一実施形態において、第1の混合力と第3の混合力は同じでも異なっていてもよい。別の実施形態において、第2の混合力と第3の混合力は同じ力でも、単一の混合力でもよい。さらに、ブレブレンドステップ及びブレンドステップは従来の装置を利用して実施できる。
【0025】
この方法で形成される錠剤は、持続放出錠及び即時放出錠を含むが、これらに限定されない種々の錠剤があり得る。
【0026】
本発明のプレブレンドステップaまたはブレンドステップcに使用されるブレンド添加剤には、二酸化ケイ素、ケイ化微結晶セルロースまたはそれらの組み合わせがある。一実施形態において、二酸化ケイ素がブレンド添加剤である。種々の粒径の微結晶セルロース(MCC)、例えばMCC105(約20μmの粒径)、MCC200(約180μmの粒径)及びMCC302(約90μmの粒径)などが使用できる。他のブレンド添加剤、例えば、Prosolv90(約110μmの粒径)及びProsolv50(約60μmの粒径);噴霧乾燥ラクトース(Lactopress(登録商標))などのラクトース;リン酸二カルシウム;シリカ;α化デンプン;及びそれらの組み合わせなどが使用できる。活性薬剤成分の粒子の外部表面を実質的に被覆するに必要なだけの量のブレンド添加剤を与えることが望ましい。一実施形態において、ブレンド添加剤は、活性薬剤成分の重量の0.1%乃至10%の範囲の濃度で存在する。好ましい実施形態において、ブレンド添加剤は、活性薬剤成分の重量の0.5%乃至1.5%の範囲の濃度で存在する。
【0027】
他のブレンド添加剤には、ステアリン酸カルシウム及び三ケイ酸マグネシウムなどの他の公知の流動促進剤;アスパルテーム、ブドウ糖、果糖、マルトデキストリン、加水分解デンプン、麦芽糖、マンニトール、グアーガム、ソルビトール、デンプンショ糖、セラック、タルク及びキシリトールなどの従来の圧縮助剤;塩化ナトリウム及び炭酸カルシウムなどの電解質;ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びエチルセルロースなどの親水性ポリマ;クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ジェランガムL−HPC、デンプングリコール酸ナトリウム及びカラギーナンガムなどの崩壊剤;パルミチン酸とステアリン酸の混合物を含む、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム及び植物性脂肪酸などの潤滑剤;並びにビニルピロリドンを含む、カルボポール、キサンタンガム、ポビドン及び酢酸ビニルなどの結合剤があるが、これらに限定されない。
【0028】
第1及び第2のブレンド添加剤は同じブレンド添加剤でも、異なるブレンド添加剤でも、添加剤の組み合わせでもよい。一実施形態において、第2のブレンド添加剤は、第1のブレンド添加剤と同じブレンド添加剤である。別の実施形態において、第2のブレンド添加剤は、二酸化ケイ素とケイ化微結晶セルロースの組み合わせであり、第1のブレンド添加剤は二酸化ケイ素である。別の実施形態において、第2のブレンド添加剤及び第1のブレンド添加剤は二酸化ケイ素である。
【0029】
プレブレンド混合物は、混合力から生じた活性薬剤成分とブレンド添加剤の混合物を含む。一実施形態において、プレブレンド混合物は、イブプロフェン及び二酸化ケイ素を含む。別の実施形態において、プレブレンド混合物は、イブプロフェン及びイブプロフェンの重量の0.5乃至1.5%の濃度で二酸化ケイ素を含む。
【0030】
上記のブレンドステップb及びcに使用される賦形剤には、流動化剤、結合剤、添加剤、流動促進剤及び打錠助剤があるが、これらに限定されない。賦形剤の例には、公知の流動促進剤;アスパルテーム、ブドウ糖、果糖、マルトデキストリン、加水分解デンプン、麦芽糖、マンニトール、グアーガム、ソルビトール、デンプンショ糖、セラック、タルク及びキシリトールなどの従来の圧縮助剤;塩化ナトリウム及び炭酸カルシウムなどの電解質;ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びエチルセルロースなどの親水性ポリマ;クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ジェランガムL−HPC、デンプングリコール酸ナトリウム及びカラギーナンガムなどの崩壊剤;パルミチン酸とステアリン酸の混合物を含む、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム及び植物性脂肪酸などの潤滑剤;並びにビニルピロリドンを含む、カルボポール、キサンタンガム、ポビドン及び酢酸ビニルなどの結合剤があるが、これらに限定されない。
【0031】
本発明による圧縮は造粒ステップまたはローラ圧縮なしに起こり、それにより混合ステップから生じたブレンドが従来の圧縮技術を利用して直接圧縮される。
【0032】
本発明の別の実施形態は、粘着性を帯びやすい活性薬剤成分及びブレンド添加剤を、第1の混合力でプレブレンディングして、プレブレンド混合物を形成するステップであって、前記第1の混合力及び少なくとも1の賦形剤を前記プレブレンド混合物と混合することから生じる第2の混合力が、直接圧縮に好適なブレンドを形成するステップと、前記ブレンドを圧縮して錠剤を形成するステップとを含む錠剤の形成方法を含む。
【0033】
この実施形態において、第2の混合力は、上記の実施形態に定義された第2の混合力とは異なって定義される。この実施形態において、第2の混合力は、多数の混合ステップを含んでよく、それにより第2の混合力が、プレブレンドステップと直接圧縮の間に少なくとも1つの中間混合ステップを含む。上記の実施形態で議論されたこの実施形態の残りの特徴は、上記のその記載と一致する。
【0034】
本発明のプロセス態様によると、イブプロフェン錠剤の製造は、イブプロフェンを二酸化ケイ素又は二酸化ケイ素と微結晶セルロース形態の組み合わせとプレブレンディングすることにより向上した。イブプロフェンを二酸化ケイ素又は二酸化ケイ素と微結晶セルロースの組み合わせとプレブレンディングするプロセスは、剤形の製造性を向上させ、剤形が割れる傾向または圧縮機の表面に固着する傾向を低減させる。プレブレンド時間は、約15分乃至約60分でよいが、ブレンド時間が少なくとも30乃至40分に延びると著しい向上がある。ブレンディングは、いくつかの異なる大きさのV型ブレンダで、いくつかの異なる速度で実施できる。一実施形態において、ブレンディングは16qt V型ブレンダ(<1ft3)で36rpmで実施できるが、別の実施形態において、ブレンディングは40ft3V型ブレンダで10rpmで実施できる。好適には微粒子粉体の形態である、得られた乾燥プレブレンドは、次いで、残りの賦形剤とブレンドされ、得られた組成物が直接圧縮されて、満足のいく錠剤化された剤形になる。
【実施例】
【0035】
特定の活性薬剤及びブレンド添加剤の使用は、本発明の範囲を限定するものではなく、例示的であるだけである。
【実施例1】
【0036】
イブプロフェン99%及び二酸化ケイ素1%
イブプロフェン(90−グレード、BASF)及び二酸化ケイ素をV型ブレンダで60分間ブレンドした。5分、10分、20分、40分及び60分にサンプルをV型ブレンダから除去した。除去した全てのサンプルを分析のために確保した。
【0037】
分析は、FEI Sirion走査型電子顕微鏡で行った。コントロール及び実験サンプルをSEM支持台上で両面テープに載せ、SPIスパッターコーターにより5nmでAu/Ptコートした。図1−21に示したデータは500倍、5000倍、25000倍で観察したものであり、種々の時間間隔で二酸化ケイ素とともにプレブレンドされたイブプロフェン結晶のSEM分析を表している。
【0038】
SEM分析を反映するグラフである図22に示すとおり、このプロセスの生成物は、プレブレンドステップでの時間が増すにつれ二酸化ケイ素によるイブプロフェン結晶の被覆率の増加という前進的なパターンを明らかにした。図22は、混合時間と二酸化ケイ素によるイブプロフェン結晶の表面積被覆率の正の相関を混合時間の増加と共に増加するものとして表す。粘着性を帯びやすいイブプロフェン結晶の二酸化ケイ素による表面積被覆率の増加は混合物中の粘着性を低減し、したがって造粒ステップ無しで直接圧縮を容易にする。
【0039】
道具としてのSEMは、イブプロフェンと二酸化ケイ素の間を、その2成分の明らかな形態的な違いにより区別できるようである。例えば、図1乃至3において、イブプロフェン結晶はなめらかで平らな外観を有するが、図4乃至6において二酸化ケイ素は球体形状として現れる。同じ装置で高分解能での元素分析の追加の特徴は形態的な違いを確認する。混合時間の増加と共にイブプロフェン/二酸化ケイ素の塊の外観に順次の変化がある。イブプロフェンの類似の結晶の類似の側面からとった低分解能及び高分解能画像の両方で被覆率は著しく増加しているようである。高分解能画像では、被覆は質的な側面でも変化し、二酸化ケイ素が最初のコロイド状球体構造からその外観を変えている。図7乃至9に示されるとおり、ブレンド時間の後の方では二酸化ケイ素は、図19乃至21で示されるとおりイブプロフェン結晶を全体的に被覆する板状またはシート状構造を採用しているようである。
【実施例2】
【0040】
プレブレンドステップ、2つのブレンドステップ及び錠剤圧縮を含む錠剤製造プロセスにおいて一実施形態を利用した。この実施形態において、イブプロフェン及び二酸化ケイ素のみを、ブレンドステップ1に示すとおり、プレブレンドステップで使用した。
【0041】
錠剤処方は、さらに、Hypermellose(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)K4M及びK100LV、微結晶セルロース、(Prosolv)SMCC50及びSMCC90、クロスカルメロースナトリウム(AcDiSol)、グリシン、ステアリン酸及び追加の二酸化ケイ素を含んだ。
【0042】
【表1】
【0043】
これらの成分を30メッシュの篩に通した。次いで、篩われた成分をV型ブレンダで60分間ブレンドした。
【0044】
【表2】
【0045】
プレブレンドステップ1内に含まれていない成分を30メッシュの篩に通した。次いで、内容物の均一性が得られるまで、全成分をV型ブレンダでブレンドした。
【0046】
【表3】
【0047】
プレブレンドステップ内に含まれていない成分を30メッシュの篩に通した。次いで、全成分をV型ブレンダで5分間ブレンドした。この実施形態において、ブレンドステップ2に含まれているシリカはブレンド添加剤というよりは流動促進剤として使用した。
【0048】
錠剤圧縮
次いで、ブレンドステップ3から得た未圧縮の錠剤処方を、ロータリ式打錠機に入れ、追加の処理ステップを必要とせずに加圧成形及び圧縮した。
【実施例3】
【0049】
別の実施形態において、処方は、イブプロフェン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC K4M)、炭酸ナトリウム、アルギニン、流動化剤及び打錠助剤を含み、圧縮された一体の錠剤中に、HPMC K4Mはイブプロフェンの重量の32%の濃度で存在し、炭酸ナトリウムはイブプロフェンの重量の17%の濃度で存在し、アルギニンはイブプロフェンの重量の17%の濃度で存在した。
【0050】
【表4】
【0051】
微結晶セルロースPH 105と5.5mgのシリカをイブプロフェンと共にV型ブレンダ中でプレブレンドし、プレブレンド粉体を形成した。得られたプレブレンド粉体と残りの賦形剤をブレンドした。得られた錠剤処方を、従来の技術を利用して錠剤に圧縮した。
【0052】
図23に示すとおり、この実施例の結果は、噴出効果、それに次ぐ残りの物質の持続した放出を含むインビトロ放出特性を示す。初期の放出は2時間未満に20%を超えるイブプロフェンであり、14時間にわたりおよそ90%の放出である。
【実施例4】
【0053】
別の実施形態において、処方は、2種の粘度のHPMC、2種の粒径のケイ化MCCを、クロスカルメロース及びグリシン及びステアリン酸潤滑剤とともに含み、合わせたHPMCは処方中に存在するイブプロフェンに基づき約32%で存在しており、HPMC K100LV及びHPMC K4Mはそれぞれ約2:1の重量比で存在し、ケイ化MCCは、Prosolv50及びProsolv90として約2:1の重量比で、一体となった錠剤中の処方に存在するイブプロフェンに基づき、合わせた濃度約50%で存在していた。
【0054】
【表5】
【0055】
全ての成分を30メッシュの篩に通した。イブプロフェンは、約1:100の比で6mgのシリカとV型ブレンダ中でプレブレンドした。得られたプレブレンドされたイブプロフェン粉体を、残りの賦形剤とブレンドした。得られた粉体を従来の技術を利用して錠剤に圧縮した。図24に示すこの実施例の結果は、本発明が、噴出効果、それに次ぐ残りの物質の16時間にわたる持続した放出を含み、30%を超える放出で2.0時間以内に起こるインビトロ放出特性が可能であることを示している。
【0056】
特定の具体的な実施形態を参照して本願中に説明及び記載したが、本発明は示される詳細に限定されるものではない。むしろ、請求項の等価物の領域及び範囲内で本発明の精神から逸脱せずに、詳細における種々の変更ができる。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2006年12月4日に出願された米国特許出願番号第11/633,322号の一部継続出願である、2007年10月1日に出願された米国特許出願番号第11/906,303号に対応する国際出願であり、その両方が参照により本明細書に取り込まれる。
【0002】
米国特許出願番号第11/633,322号は、2005年9月29日に出願された米国特許出願番号第11/238,802号並びに2004年9月30日に出願された米国仮出願番号第60/614,932号及び2005年6月10日に出願された同第60/689,631号に基づく優先権を主張するが、本願はこれらの出願に基づく優先権を主張しない。米国特許出願番号第11/238,802号、同第60/614,932号及び同第60/689,631号は参照により本明細書に取り込まれる。
【0003】
本発明は、活性薬剤及びブレンド添加剤を含む錠剤を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
医薬組成物の圧縮は、従来好都合な結合特性及び流動特性を有する活性薬剤に限定されるか、或いは圧縮を容易にする結合剤及び流動化剤などのブレンド添加剤と共に活性薬剤を造粒する過程を経て達成される。打錠プロセスにおいて粘着性を帯びやすい活性薬剤の剤形のほとんどは、造粒ステップ又はローラ圧縮の利用を必要とする。そのようなプロセスは、比較的単純な製剤の製造にすらコスト及び複雑さを加え、インビボの性能及び安定性に影響を与えることがある。
【0005】
この問題の代表は、薬剤的に活性なイブプロフェンである。イブプロフェンは、2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸であり、非ステロイド性抗炎症化合物(NSAID)であり、関節リウマチ及び骨関節炎並びに他の炎症性疾患の有効な治療に必要な、高レベルの抗炎症活性、鎮痛活性および解熱活性を示す。イブプロフェンは直接圧縮可能ではなく、直接イブプロフェンを製造する試みは、打錠プレスの表面に固着し、脆すぎて貯蔵や輸送ができず、或いは打錠プレスから排出される際2つ以上の部分に割れる錠剤またはその部分を生み出す。
【0006】
これらの製造問題を回避するため、当業者は打錠の前に造粒ステップを利用するが、そのステップでは活性薬剤がブレンド添加剤などの賦形剤と湿式造粒され、活性薬剤とブレンド添加剤を含む粒状組成物を形成する。次いで、この粒状組成物をさらなる賦形剤と混合することができ、かつ/又は好適な固形剤形の製造のために直接圧縮可能であってよい。したがって、粘着性を帯びやすい活性薬剤成分を含む錠剤の調製を容易にする造粒の代替方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
この目的及び他の目的を達成するため、その目的に鑑み、本発明の一実施形態は、粘着性を帯びやすい活性薬剤及びブレンド添加剤を、第1の混合力でプレブレンディングして、プレブレンド混合物を形成するステップであって、前記第1の混合力及び少なくとも1の賦形剤を前記プレブレンド混合物と混合することから生じる第2の混合力が、直接圧縮に好適なブレンドを形成するステップと、前記ブレンドを圧縮して錠剤を形成するステップとを含む、錠剤を形成する方法を提供する。
【0008】
本発明の実施形態は、a)粘着性を帯びやすい活性薬剤成分及びブレンド添加剤を、第1の混合力でプレブレンディングして、プレブレンド混合物を形成するステップと;b)前記プレブレンドを少なくとも1の賦形剤と第2の混合力でブレンディングするステップと;c)ステップbの前記ブレンドを第2のブレンド添加剤と第3の混合力でブレンディングするステップであって、前記第1の混合力、前記第2の混合力及び前記第3の混合力が、直接圧縮に好適なブレンドを形成するステップと;d)ステップcの前記ブレンドを圧縮して錠剤を形成するステップとを含む、錠剤を形成する方法を含む。
【0009】
本発明の別の実施形態は、イブプロフェン及び二酸化ケイ素のみを第1の混合力でプレブレンディングして、プレブレンド混合物を形成するステップであって、前記第1の混合力及び少なくとも1の賦形剤を前記プレブレンド混合物と混合することから生じる第2の混合力が、直接圧縮に好適なブレンドを形成するステップと、前記ブレンドを圧縮して錠剤を形成するステップとを含む、錠剤を形成する方法を含む。
【0010】
本発明の別の実施形態は、実質的にイブプロフェンと二酸化ケイ素のみを第1の混合力でプレブレンディングしてプレブレンド混合物を形成するステップと;得られたプレブレンド混合物を少なくとも1の賦形剤と第2の混合力でブレンディングするステップと;得られたブレンドを少なくとも1のブレンド添加剤と第3の混合力でブレンディングするステップであって、前記第1の混合力、前記第2の混合力及び前記第3の混合力が、直接圧縮に好適なブレンドを形成するステップと;及び前記ブレンドを圧縮して錠剤を形成するステップとからなる、錠剤を形成する方法を含む。
【0011】
前記の一般的説明及び以下の詳細な説明の両方が本発明を例示するものであり、限定的でないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明は、添付する図面と関連して読まれる場合、以下の詳細な説明から一番よく理解される。図面には以下の図が含まれる。
【0013】
【図1】図1は、実施例1の未ブレンドのイブプロフェンの倍率500倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図2】図2は、実施例1の未ブレンドのイブプロフェンの倍率5000倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】図3は、実施例1の未ブレンドのイブプロフェンの倍率25000倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】図4は、実施例1の未ブレンドの二酸化ケイ素の倍率500倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図5】図5は、実施例1の未ブレンドの二酸化ケイ素の倍率5000倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図6】図6は、実施例1の未ブレンドの二酸化ケイ素の倍率25000倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図7】図7は、実施例1のイブプロフェン/二酸化ケイ素ブレンドの5分後の倍率500倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図8】図8は、実施例1のイブプロフェン/二酸化ケイ素ブレンドの5分後の倍率5000倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図9】図9は、実施例1のイブプロフェン/二酸化ケイ素ブレンドの5分後の倍率25000倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図10】図10、実施例1のイブプロフェン/二酸化ケイ素ブレンドの10分後の倍率500倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図11】図11は、実施例1のイブプロフェン/二酸化ケイ素ブレンドの10分後の倍率5000倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図12】図12は、実施例1のイブプロフェン/二酸化ケイ素ブレンドの10分後の倍率25000倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図13】図13は、実施例1のイブプロフェン/二酸化ケイ素ブレンドの20分後の倍率500倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図14】図14は、実施例1のイブプロフェン/二酸化ケイ素ブレンドの20分後の倍率5000倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図15】図15は、実施例1のイブプロフェン/二酸化ケイ素ブレンドの20分後の倍率25000倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図16】図16は、実施例1のイブプロフェン/二酸化ケイ素ブレンドの40分後の倍率500倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図17】図17は、実施例1のイブプロフェン/二酸化ケイ素ブレンドの40分後の倍率5000倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図18】図18は、実施例1のイブプロフェン/二酸化ケイ素ブレンドの40分後の倍率25000倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図19】図19は、実施例1のイブプロフェン/二酸化ケイ素ブレンドの60分後の倍率500倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図20】図20は、実施例1のイブプロフェン/二酸化ケイ素ブレンドの60分後の倍率5000倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図21】図21は、実施例1のイブプロフェン/二酸化ケイ素ブレンドの60分後の倍率25000倍での走査型電子顕微鏡写真である。
【図22】図22は、イブプロフェンのSiO2の被覆率を示すグラフである。
【図23】図23は、実施例3の錠剤の放出特性を示すグラフである。
【図24】図24は、実施例4の錠剤の放出特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、以下の開示、例及び以下の議論を参照してさらに説明及び記載される。以下の実施例及び議論において、特定の有効成分、ブレンド添加剤、賦形剤、結合剤、流動促進剤及び流動化剤の使用は、例示のためのみに与えられており、本発明の範囲を限定するものではない。
【0015】
本発明の一実施形態は、a)粘着性を帯びやすい活性薬剤成分及びブレンド添加剤を、第1の混合力でプレブレンディングして、プレブレンド混合物を形成するステップと;b)前記プレブレンドを少なくとも1の賦形剤と第2の混合力でブレンディングするステップと;c)ステップbの前記ブレンドを第2のブレンド添加剤と第3の混合力でブレンディングするステップであって、前記第1の混合力、前記第2の混合力及び前記第3の混合力が、直接圧縮に好適なブレンドを形成するステップと;d)ステップcの前記ブレンドを圧縮し錠剤を形成するステップとを含む、錠剤を形成する方法を含む。本発明の別の実施形態によると、前記方法は、造粒またはローラ圧縮などの追加ステップを排除する点で、実質的にこれら4ステップからなると考えることができる。
【0016】
本発明の実施形態に使用される活性薬剤成分には、粘着性を帯びやすい医薬成分がある。粘着性は、打錠プロセスにおいて活性薬剤のブレンドを圧縮する間、ブレンドをべとつかせ工作機械を汚す性質である。別な言い方では、粘着性があると、ブレンドが打錠型の圧縮面に固着する。打錠の数学的モデル、力−時間、力−距離及び抜き型−壁力パラメータを使用して、圧縮の仕事、弾性、可塑性及び時間依存変形挙動並びに結合指数、脆性破壊指数及び歪み指数などの打錠性能の種々の指数を使用して、粘着性という特質を有する物質に見られる、べとつき固着する傾向を含む圧縮問題を予測することができる。Patel,S.et al,Compression Physics in the Formation Development of Tablets Crit Rev Ther Drug Carrier Syst.2006;23(1):1−65を参照。多くの活性薬剤が上記などの方法でまだ特性化されていないか、従来の調剤が圧縮の前に湿式増粒又は別の処理ステップを利用するので粘着性による製造問題を有すると知られていないこともある。
【0017】
粘着性を帯びやすいと考えられることの多い活性薬剤成分には、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ケトプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬;クラリスロマイシンなどの抗生物質;及びグルコサミン及びコンドロイチンなどの機能性食品がある。
【0018】
本発明は、化合物の粘着性のため望ましくないべとつき及び固着を示すどのような活性薬剤成分にも潜在的に適用できる。これは、圧縮して錠剤にされる、公知で薬剤的に有用な薬品、機能性食品及び他の栄養補助食品並びに打錠用途に開発されつつある将来の類似品の両方を含む。
【0019】
本発明の一実施形態において、粘着性を帯びやすい活性薬剤成分はイブプロフェンである。上述のとおり、そのような活性薬剤成分を含む錠剤を調製するプロセスには、典型的には、造粒ステップ又はローラ圧縮の利用が必要であった。
【0020】
本発明によると、従来のブレンドステップと共に利用される場合、上記でステップb及びcと称されたプレブレンドステップは、造粒ステップ又はローラ圧縮なしに粘着性を帯びやすい活性薬剤成分を含む錠剤の調製を可能にする。これは、ブレンド添加剤の存在下で、上で「第1の混合力」と記載された追加の混合力を活性薬剤成分に加えることによりなされる。本願で使用される混合力は、混合される成分に加えられる仕事の尺度である。従って、混合力は、数ある中でも、混合時間、使用される成分の体積、特定の活性薬剤成分(その粘着性の程度を含む)、ブレンダの大きさ、ブレンダの種類、ブレンディングの速度並びにブレンダ中で使用されるパドルの種類およびデザインを含む多くの因子の関数である。直接圧縮に好適なブレンドを形成するのに十分な累積的な混合力(すなわち、圧縮の前に成分に加えられる全混合力の和)を得るために、特定の活性薬剤成分及びブレンド系を仮定すれば、プレブレンドステップの時間が、所望の結果を得るために変更可能な独立変数であることが見いだされた。特に、プレブレンド時間を変えることにより、べとつきなしに錠剤の形成を容易に最適化できる。より詳細には、プレブレンド時間が短すぎてもプレブレンド時間が長すぎても、許容できないレベルのべとつきが生じることが分かった。この文脈を考慮すれば、存在する変数を仮定してどの程度のべとつきがあるかを測定する試行圧縮試験により、最適時間を経験的に決めることができる。本発明の潜在的な効用を決める試験には、ある製品に適当な実際の商業規模への打錠のスケールアップにおいて、活性薬剤成分及び賦形剤の試行打錠試験が含まれることがある。打錠プロセスがプロセスのどの時点において望ましくないべとつき及び固着を示す場合でも、本発明は活性薬剤成分の粘着性によるべとつき及び固着のレベルを下げることができ、本開示の範囲内である。望ましくないレベルのべとつきとは、あるパーセンテージの錠剤がべとつきのため販売に向かないものであり、特定の有効成分、活性薬剤成分のコスト、製造効率の必要、オペレーターの存在又は製剤の製造に関する他の任意の基準により変動するであろう。例えば、典型的には、べとつきのため販売に許容されないと考えられる錠剤が10%を超えれば許容されないであろう。好ましくは、製造された錠剤の5%未満、より好ましくは1%未満、最も好ましくは0.1%未満が販売に向かないと考えられる。
【0021】
従来、プレブレンド混合物の少なくとも1の賦形剤とのブレンディングは、内容物の均一性が得られるまで続けられる。さらに、得られたブレンドとブレンド添加剤とのブレンディングは、従来はるかに短時間(例えば時間の20分の1)行われている。これらの従来ステップは上記のステップb及びcとして反映されている。ある実施形態において、従来のステップb及びcの前に、ブレンド添加剤の従来のブレンディングよりもわずかに長い時間プレブレンドステップを実施することが好ましいことが分かった。
【0022】
いかなる理論にも拘束されないが、以下の図に関連して記載するとおり、ブレブレンドステップは、活性薬剤成分の粘着粒子がブレンド添加剤により実質的に被覆されることを可能にしているようである。以下の実施例は、プレブレンドステップの時間増加と共に、二酸化ケイ素(すなわちブレンド添加剤)によるイブプロフェン結晶の被覆率が上昇する前進的なパターンを明らかにした。好ましい実施形態において、プレブレンディングは、イブプロフェン及び二酸化ケイ素のみを含む。別の実施形態において、プレブレンディングは、イブプロフェン、二酸化ケイ素及びケイ化微結晶セルロース又は二酸化ケイ素とケイ化微結晶セルロース(SiO2に結合したMCC)の組み合わせを含む。任意に、追加の賦形剤がプレブレンドステップに含まれてもよい。
【0023】
特定の活性薬剤成分、ブレンド系及びステップb及びcのブレンド時間を仮定すれば、プレブレンド時間を変えて、ステップcの後で直接圧縮に好適なブレンドが形成されるような望ましい第1の混合力を得ることができる。一実施形態において、すなわち、1)活性薬剤成分としてイブプロフェン、ブレンド添加剤として二酸化ケイ素を使用し;2)36rpmで16qt V型ブレンダ(<1ft3)を使用し;3)ステップb及びcのそれぞれに、内容物の均一性を得るに十分な20乃至60分及び2乃至15分の混合時間を持つと、20乃至90分、好ましくは40乃至60分のプレブレンド時間が、べとつきが最低限である錠剤の調製を最適化することを見いだした。別の実施形態において、すなわち、1)活性薬剤としてイブプロフェン、ブレンド添加剤として二酸化ケイ素を使用し;2)10rpmで40ft3 V型ブレンダ(<1ft3)を使用し;3)ステップb及びcのそれぞれに、20乃至60分及び2乃至15分の混合時間を持つと、20乃至90分、好ましくは40乃至60分のプレブレンド時間が、べとつきが最低限である錠剤の調製を最適化することを見いだした。
【0024】
認識できるとおり、第1の混合力は第2の混合力と同じでも異なっていてもよい。同様に、一実施形態において、第1の混合力と第3の混合力は同じでも異なっていてもよい。別の実施形態において、第2の混合力と第3の混合力は同じ力でも、単一の混合力でもよい。さらに、ブレブレンドステップ及びブレンドステップは従来の装置を利用して実施できる。
【0025】
この方法で形成される錠剤は、持続放出錠及び即時放出錠を含むが、これらに限定されない種々の錠剤があり得る。
【0026】
本発明のプレブレンドステップaまたはブレンドステップcに使用されるブレンド添加剤には、二酸化ケイ素、ケイ化微結晶セルロースまたはそれらの組み合わせがある。一実施形態において、二酸化ケイ素がブレンド添加剤である。種々の粒径の微結晶セルロース(MCC)、例えばMCC105(約20μmの粒径)、MCC200(約180μmの粒径)及びMCC302(約90μmの粒径)などが使用できる。他のブレンド添加剤、例えば、Prosolv90(約110μmの粒径)及びProsolv50(約60μmの粒径);噴霧乾燥ラクトース(Lactopress(登録商標))などのラクトース;リン酸二カルシウム;シリカ;α化デンプン;及びそれらの組み合わせなどが使用できる。活性薬剤成分の粒子の外部表面を実質的に被覆するに必要なだけの量のブレンド添加剤を与えることが望ましい。一実施形態において、ブレンド添加剤は、活性薬剤成分の重量の0.1%乃至10%の範囲の濃度で存在する。好ましい実施形態において、ブレンド添加剤は、活性薬剤成分の重量の0.5%乃至1.5%の範囲の濃度で存在する。
【0027】
他のブレンド添加剤には、ステアリン酸カルシウム及び三ケイ酸マグネシウムなどの他の公知の流動促進剤;アスパルテーム、ブドウ糖、果糖、マルトデキストリン、加水分解デンプン、麦芽糖、マンニトール、グアーガム、ソルビトール、デンプンショ糖、セラック、タルク及びキシリトールなどの従来の圧縮助剤;塩化ナトリウム及び炭酸カルシウムなどの電解質;ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びエチルセルロースなどの親水性ポリマ;クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ジェランガムL−HPC、デンプングリコール酸ナトリウム及びカラギーナンガムなどの崩壊剤;パルミチン酸とステアリン酸の混合物を含む、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム及び植物性脂肪酸などの潤滑剤;並びにビニルピロリドンを含む、カルボポール、キサンタンガム、ポビドン及び酢酸ビニルなどの結合剤があるが、これらに限定されない。
【0028】
第1及び第2のブレンド添加剤は同じブレンド添加剤でも、異なるブレンド添加剤でも、添加剤の組み合わせでもよい。一実施形態において、第2のブレンド添加剤は、第1のブレンド添加剤と同じブレンド添加剤である。別の実施形態において、第2のブレンド添加剤は、二酸化ケイ素とケイ化微結晶セルロースの組み合わせであり、第1のブレンド添加剤は二酸化ケイ素である。別の実施形態において、第2のブレンド添加剤及び第1のブレンド添加剤は二酸化ケイ素である。
【0029】
プレブレンド混合物は、混合力から生じた活性薬剤成分とブレンド添加剤の混合物を含む。一実施形態において、プレブレンド混合物は、イブプロフェン及び二酸化ケイ素を含む。別の実施形態において、プレブレンド混合物は、イブプロフェン及びイブプロフェンの重量の0.5乃至1.5%の濃度で二酸化ケイ素を含む。
【0030】
上記のブレンドステップb及びcに使用される賦形剤には、流動化剤、結合剤、添加剤、流動促進剤及び打錠助剤があるが、これらに限定されない。賦形剤の例には、公知の流動促進剤;アスパルテーム、ブドウ糖、果糖、マルトデキストリン、加水分解デンプン、麦芽糖、マンニトール、グアーガム、ソルビトール、デンプンショ糖、セラック、タルク及びキシリトールなどの従来の圧縮助剤;塩化ナトリウム及び炭酸カルシウムなどの電解質;ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びエチルセルロースなどの親水性ポリマ;クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ジェランガムL−HPC、デンプングリコール酸ナトリウム及びカラギーナンガムなどの崩壊剤;パルミチン酸とステアリン酸の混合物を含む、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム及び植物性脂肪酸などの潤滑剤;並びにビニルピロリドンを含む、カルボポール、キサンタンガム、ポビドン及び酢酸ビニルなどの結合剤があるが、これらに限定されない。
【0031】
本発明による圧縮は造粒ステップまたはローラ圧縮なしに起こり、それにより混合ステップから生じたブレンドが従来の圧縮技術を利用して直接圧縮される。
【0032】
本発明の別の実施形態は、粘着性を帯びやすい活性薬剤成分及びブレンド添加剤を、第1の混合力でプレブレンディングして、プレブレンド混合物を形成するステップであって、前記第1の混合力及び少なくとも1の賦形剤を前記プレブレンド混合物と混合することから生じる第2の混合力が、直接圧縮に好適なブレンドを形成するステップと、前記ブレンドを圧縮して錠剤を形成するステップとを含む錠剤の形成方法を含む。
【0033】
この実施形態において、第2の混合力は、上記の実施形態に定義された第2の混合力とは異なって定義される。この実施形態において、第2の混合力は、多数の混合ステップを含んでよく、それにより第2の混合力が、プレブレンドステップと直接圧縮の間に少なくとも1つの中間混合ステップを含む。上記の実施形態で議論されたこの実施形態の残りの特徴は、上記のその記載と一致する。
【0034】
本発明のプロセス態様によると、イブプロフェン錠剤の製造は、イブプロフェンを二酸化ケイ素又は二酸化ケイ素と微結晶セルロース形態の組み合わせとプレブレンディングすることにより向上した。イブプロフェンを二酸化ケイ素又は二酸化ケイ素と微結晶セルロースの組み合わせとプレブレンディングするプロセスは、剤形の製造性を向上させ、剤形が割れる傾向または圧縮機の表面に固着する傾向を低減させる。プレブレンド時間は、約15分乃至約60分でよいが、ブレンド時間が少なくとも30乃至40分に延びると著しい向上がある。ブレンディングは、いくつかの異なる大きさのV型ブレンダで、いくつかの異なる速度で実施できる。一実施形態において、ブレンディングは16qt V型ブレンダ(<1ft3)で36rpmで実施できるが、別の実施形態において、ブレンディングは40ft3V型ブレンダで10rpmで実施できる。好適には微粒子粉体の形態である、得られた乾燥プレブレンドは、次いで、残りの賦形剤とブレンドされ、得られた組成物が直接圧縮されて、満足のいく錠剤化された剤形になる。
【実施例】
【0035】
特定の活性薬剤及びブレンド添加剤の使用は、本発明の範囲を限定するものではなく、例示的であるだけである。
【実施例1】
【0036】
イブプロフェン99%及び二酸化ケイ素1%
イブプロフェン(90−グレード、BASF)及び二酸化ケイ素をV型ブレンダで60分間ブレンドした。5分、10分、20分、40分及び60分にサンプルをV型ブレンダから除去した。除去した全てのサンプルを分析のために確保した。
【0037】
分析は、FEI Sirion走査型電子顕微鏡で行った。コントロール及び実験サンプルをSEM支持台上で両面テープに載せ、SPIスパッターコーターにより5nmでAu/Ptコートした。図1−21に示したデータは500倍、5000倍、25000倍で観察したものであり、種々の時間間隔で二酸化ケイ素とともにプレブレンドされたイブプロフェン結晶のSEM分析を表している。
【0038】
SEM分析を反映するグラフである図22に示すとおり、このプロセスの生成物は、プレブレンドステップでの時間が増すにつれ二酸化ケイ素によるイブプロフェン結晶の被覆率の増加という前進的なパターンを明らかにした。図22は、混合時間と二酸化ケイ素によるイブプロフェン結晶の表面積被覆率の正の相関を混合時間の増加と共に増加するものとして表す。粘着性を帯びやすいイブプロフェン結晶の二酸化ケイ素による表面積被覆率の増加は混合物中の粘着性を低減し、したがって造粒ステップ無しで直接圧縮を容易にする。
【0039】
道具としてのSEMは、イブプロフェンと二酸化ケイ素の間を、その2成分の明らかな形態的な違いにより区別できるようである。例えば、図1乃至3において、イブプロフェン結晶はなめらかで平らな外観を有するが、図4乃至6において二酸化ケイ素は球体形状として現れる。同じ装置で高分解能での元素分析の追加の特徴は形態的な違いを確認する。混合時間の増加と共にイブプロフェン/二酸化ケイ素の塊の外観に順次の変化がある。イブプロフェンの類似の結晶の類似の側面からとった低分解能及び高分解能画像の両方で被覆率は著しく増加しているようである。高分解能画像では、被覆は質的な側面でも変化し、二酸化ケイ素が最初のコロイド状球体構造からその外観を変えている。図7乃至9に示されるとおり、ブレンド時間の後の方では二酸化ケイ素は、図19乃至21で示されるとおりイブプロフェン結晶を全体的に被覆する板状またはシート状構造を採用しているようである。
【実施例2】
【0040】
プレブレンドステップ、2つのブレンドステップ及び錠剤圧縮を含む錠剤製造プロセスにおいて一実施形態を利用した。この実施形態において、イブプロフェン及び二酸化ケイ素のみを、ブレンドステップ1に示すとおり、プレブレンドステップで使用した。
【0041】
錠剤処方は、さらに、Hypermellose(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)K4M及びK100LV、微結晶セルロース、(Prosolv)SMCC50及びSMCC90、クロスカルメロースナトリウム(AcDiSol)、グリシン、ステアリン酸及び追加の二酸化ケイ素を含んだ。
【0042】
【表1】
【0043】
これらの成分を30メッシュの篩に通した。次いで、篩われた成分をV型ブレンダで60分間ブレンドした。
【0044】
【表2】
【0045】
プレブレンドステップ1内に含まれていない成分を30メッシュの篩に通した。次いで、内容物の均一性が得られるまで、全成分をV型ブレンダでブレンドした。
【0046】
【表3】
【0047】
プレブレンドステップ内に含まれていない成分を30メッシュの篩に通した。次いで、全成分をV型ブレンダで5分間ブレンドした。この実施形態において、ブレンドステップ2に含まれているシリカはブレンド添加剤というよりは流動促進剤として使用した。
【0048】
錠剤圧縮
次いで、ブレンドステップ3から得た未圧縮の錠剤処方を、ロータリ式打錠機に入れ、追加の処理ステップを必要とせずに加圧成形及び圧縮した。
【実施例3】
【0049】
別の実施形態において、処方は、イブプロフェン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC K4M)、炭酸ナトリウム、アルギニン、流動化剤及び打錠助剤を含み、圧縮された一体の錠剤中に、HPMC K4Mはイブプロフェンの重量の32%の濃度で存在し、炭酸ナトリウムはイブプロフェンの重量の17%の濃度で存在し、アルギニンはイブプロフェンの重量の17%の濃度で存在した。
【0050】
【表4】
【0051】
微結晶セルロースPH 105と5.5mgのシリカをイブプロフェンと共にV型ブレンダ中でプレブレンドし、プレブレンド粉体を形成した。得られたプレブレンド粉体と残りの賦形剤をブレンドした。得られた錠剤処方を、従来の技術を利用して錠剤に圧縮した。
【0052】
図23に示すとおり、この実施例の結果は、噴出効果、それに次ぐ残りの物質の持続した放出を含むインビトロ放出特性を示す。初期の放出は2時間未満に20%を超えるイブプロフェンであり、14時間にわたりおよそ90%の放出である。
【実施例4】
【0053】
別の実施形態において、処方は、2種の粘度のHPMC、2種の粒径のケイ化MCCを、クロスカルメロース及びグリシン及びステアリン酸潤滑剤とともに含み、合わせたHPMCは処方中に存在するイブプロフェンに基づき約32%で存在しており、HPMC K100LV及びHPMC K4Mはそれぞれ約2:1の重量比で存在し、ケイ化MCCは、Prosolv50及びProsolv90として約2:1の重量比で、一体となった錠剤中の処方に存在するイブプロフェンに基づき、合わせた濃度約50%で存在していた。
【0054】
【表5】
【0055】
全ての成分を30メッシュの篩に通した。イブプロフェンは、約1:100の比で6mgのシリカとV型ブレンダ中でプレブレンドした。得られたプレブレンドされたイブプロフェン粉体を、残りの賦形剤とブレンドした。得られた粉体を従来の技術を利用して錠剤に圧縮した。図24に示すこの実施例の結果は、本発明が、噴出効果、それに次ぐ残りの物質の16時間にわたる持続した放出を含み、30%を超える放出で2.0時間以内に起こるインビトロ放出特性が可能であることを示している。
【0056】
特定の具体的な実施形態を参照して本願中に説明及び記載したが、本発明は示される詳細に限定されるものではない。むしろ、請求項の等価物の領域及び範囲内で本発明の精神から逸脱せずに、詳細における種々の変更ができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着性を帯びやすい活性薬剤成分及びブレンド添加剤を、第1の混合力でプレブレンディングして、プレブレンド混合物を形成するステップであって、前記第1の混合力と、少なくとも1の賦形剤を前記プレブレンド混合物と混合することから生じる第2の混合力とが、直接圧縮に好適なブレンドを形成するステップと、前記ブレンドを圧縮して前記錠剤を形成するステップとを含むことを特徴とする、錠剤を形成する方法。
【請求項2】
前記活性薬剤成分がイブプロフェンを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ブレンド添加剤が二酸化ケイ素、ケイ化微結晶セルロースまたはそれらの組み合わせを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ブレンド添加剤が二酸化ケイ素を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記プレブレンドステップが、20分乃至90分の時間のプレブレンディングステップを含むことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記プレブレンドステップが、40分乃至60分の時間のプレブレンディングステップを含むことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記ブレンド添加剤が、前記活性薬剤成分の0.1乃至10重量%の範囲の濃度で存在することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ブレンド添加剤が、前記活性薬剤成分の0.5乃至1.5重量%の範囲の濃度で存在することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
錠剤を形成する方法であって:
a.粘着性を帯びやすい活性薬剤成分及びブレンド添加剤を、第1の混合力でプレブレンディングして、プレブレンド混合物を形成するステップと;
b.前記プレブレンドを少なくとも1の賦形剤と第2の混合力でブレンディングするステップと;
c.ステップbの前記ブレンドを第2のブレンド添加剤と第3の混合力でブレンディングするステップであって、前記第1の混合力、前記第2の混合力及び前記第3の混合力が、直接圧縮に好適なブレンドを形成するステップと;
d.ステップcの前記ブレンドを圧縮して、前記錠剤を形成するステップと;
を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記活性薬剤成分がイブプロフェンを含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ブレンド添加剤が二酸化ケイ素、ケイ化微結晶セルロースまたはそれらの組み合わせを含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記ブレンド添加剤が二酸化ケイ素を含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記プレブレンドステップが、20分乃至90分の時間のプレブレンディングステップを含む、ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記プレブレンドステップが、40分乃至60分の時間のプレブレンディングステップを含むことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記ブレンド添加剤が、前記活性薬剤成分の0.1乃至10重量%の範囲の濃度で存在することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記ブレンド添加剤が、前記活性薬剤成分の0.5乃至1.5重量%の範囲の濃度で存在することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
イブプロフェン及び二酸化ケイ素のみを、第1の混合力でプレブレンディングして、プレブレンド混合物を形成するステップであって、前記第1の混合力と、少なくとも1の賦形剤を前記プレブレンド混合物と混合することから生じる第2の混合力とが、直接圧縮に好適なブレンドを形成するステップと、前記ブレンドを圧縮して前記錠剤を形成するステップとを含むことを特徴とする、錠剤を形成する方法。
【請求項18】
前記プレブレンドステップが、40分乃至60分の時間のプレブレンディングステップを含むことを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記二酸化ケイ素が、前記イブプロフェンの0.5乃至1.5重量%の範囲の濃度で存在することを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
錠剤を形成する方法であって、実質的に:
a.イブプロフェン及び二酸化ケイ素のみを、第1の混合力でプレブレンディングして、プレブレンド混合物を形成するステップと;
b.前記得られたプレブレンド混合物を少なくとも1の賦形剤と第2の混合力でブレンディングするステップと;
c.ステップbの前記ブレンドを少なくとも1のブレンド添加剤と第3の混合力でブレンディングするステップであって、前記第1の混合力、前記第2の混合力及び前記第3の混合力が、直接圧縮に好適なブレンドを形成するステップと;
d.ステップcの前記ブレンドを圧縮して、前記錠剤を形成するステップと;
からなることを特徴とする方法。
【請求項21】
錠剤を形成する方法であって、実質的に:
a.イブプロフェン及びブレンド添加剤のみを、第1の混合力でプレブレンディングして、プレブレンド混合物を形成するステップと;
b.前記得られたプレブレンド混合物を少なくとも1の賦形剤と第2の混合力でブレンディングして、圧縮に好適なブレンドを形成するステップと;
c.ステップbの前記ブレンドを圧縮して、前記錠剤を形成するステップと;
からなることを特徴とする方法。
【請求項22】
前記ブレンド添加剤が二酸化ケイ素を含むことを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記二酸化ケイ素が、前記イブプロフェンの0.01重量%の量で存在することを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ブレンド添加剤が、微結晶セルロース及び二酸化ケイ素から実質的になることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記プレブレンドステップが、15分乃至60分の時間のプレブレンディングステップを含むことを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項1】
粘着性を帯びやすい活性薬剤成分及びブレンド添加剤を、第1の混合力でプレブレンディングして、プレブレンド混合物を形成するステップであって、前記第1の混合力と、少なくとも1の賦形剤を前記プレブレンド混合物と混合することから生じる第2の混合力とが、直接圧縮に好適なブレンドを形成するステップと、前記ブレンドを圧縮して前記錠剤を形成するステップとを含むことを特徴とする、錠剤を形成する方法。
【請求項2】
前記活性薬剤成分がイブプロフェンを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ブレンド添加剤が二酸化ケイ素、ケイ化微結晶セルロースまたはそれらの組み合わせを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ブレンド添加剤が二酸化ケイ素を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記プレブレンドステップが、20分乃至90分の時間のプレブレンディングステップを含むことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記プレブレンドステップが、40分乃至60分の時間のプレブレンディングステップを含むことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記ブレンド添加剤が、前記活性薬剤成分の0.1乃至10重量%の範囲の濃度で存在することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ブレンド添加剤が、前記活性薬剤成分の0.5乃至1.5重量%の範囲の濃度で存在することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
錠剤を形成する方法であって:
a.粘着性を帯びやすい活性薬剤成分及びブレンド添加剤を、第1の混合力でプレブレンディングして、プレブレンド混合物を形成するステップと;
b.前記プレブレンドを少なくとも1の賦形剤と第2の混合力でブレンディングするステップと;
c.ステップbの前記ブレンドを第2のブレンド添加剤と第3の混合力でブレンディングするステップであって、前記第1の混合力、前記第2の混合力及び前記第3の混合力が、直接圧縮に好適なブレンドを形成するステップと;
d.ステップcの前記ブレンドを圧縮して、前記錠剤を形成するステップと;
を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記活性薬剤成分がイブプロフェンを含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ブレンド添加剤が二酸化ケイ素、ケイ化微結晶セルロースまたはそれらの組み合わせを含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記ブレンド添加剤が二酸化ケイ素を含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記プレブレンドステップが、20分乃至90分の時間のプレブレンディングステップを含む、ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記プレブレンドステップが、40分乃至60分の時間のプレブレンディングステップを含むことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記ブレンド添加剤が、前記活性薬剤成分の0.1乃至10重量%の範囲の濃度で存在することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記ブレンド添加剤が、前記活性薬剤成分の0.5乃至1.5重量%の範囲の濃度で存在することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
イブプロフェン及び二酸化ケイ素のみを、第1の混合力でプレブレンディングして、プレブレンド混合物を形成するステップであって、前記第1の混合力と、少なくとも1の賦形剤を前記プレブレンド混合物と混合することから生じる第2の混合力とが、直接圧縮に好適なブレンドを形成するステップと、前記ブレンドを圧縮して前記錠剤を形成するステップとを含むことを特徴とする、錠剤を形成する方法。
【請求項18】
前記プレブレンドステップが、40分乃至60分の時間のプレブレンディングステップを含むことを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記二酸化ケイ素が、前記イブプロフェンの0.5乃至1.5重量%の範囲の濃度で存在することを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
錠剤を形成する方法であって、実質的に:
a.イブプロフェン及び二酸化ケイ素のみを、第1の混合力でプレブレンディングして、プレブレンド混合物を形成するステップと;
b.前記得られたプレブレンド混合物を少なくとも1の賦形剤と第2の混合力でブレンディングするステップと;
c.ステップbの前記ブレンドを少なくとも1のブレンド添加剤と第3の混合力でブレンディングするステップであって、前記第1の混合力、前記第2の混合力及び前記第3の混合力が、直接圧縮に好適なブレンドを形成するステップと;
d.ステップcの前記ブレンドを圧縮して、前記錠剤を形成するステップと;
からなることを特徴とする方法。
【請求項21】
錠剤を形成する方法であって、実質的に:
a.イブプロフェン及びブレンド添加剤のみを、第1の混合力でプレブレンディングして、プレブレンド混合物を形成するステップと;
b.前記得られたプレブレンド混合物を少なくとも1の賦形剤と第2の混合力でブレンディングして、圧縮に好適なブレンドを形成するステップと;
c.ステップbの前記ブレンドを圧縮して、前記錠剤を形成するステップと;
からなることを特徴とする方法。
【請求項22】
前記ブレンド添加剤が二酸化ケイ素を含むことを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記二酸化ケイ素が、前記イブプロフェンの0.01重量%の量で存在することを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ブレンド添加剤が、微結晶セルロース及び二酸化ケイ素から実質的になることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記プレブレンドステップが、15分乃至60分の時間のプレブレンディングステップを含むことを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公表番号】特表2010−511613(P2010−511613A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539301(P2009−539301)
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【国際出願番号】PCT/US2007/024489
【国際公開番号】WO2008/069938
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(509153722)スコラー ファーマ,インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【国際出願番号】PCT/US2007/024489
【国際公開番号】WO2008/069938
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(509153722)スコラー ファーマ,インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】
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