説明

錠剤ケース

【課題】 1個、または所望する複数個の錠剤を取出口より取出すことができる薄型の錠剤ケースを提供すること。
【解決手段】 スライド部材を装着したケース本体と、取出口と案内孔を設けた蓋体とからなる錠剤ケースであって、ケース本体は、スライド部材を案内するガイド部材と、錠剤を保持する複数の保持板とを配設しており、スライド部材は、蓋板と、収納室側に挿入開口を設けた側壁と、先端に挿入開口に続く遮蔽板を具備し、蓋板の上面に、操作部を突設していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤ケース、とくに所望する個数の錠剤を取出すことができる薄型の錠剤ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ケース本体に、錠剤ガイド部材と錠剤保持部材を内装し、取出口を設けた錠剤取出し蓋を装着し、錠剤を1個ずつ取出せるようにした錠剤ケースは、従来より知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、錠剤容器として、定量の錠剤を計量して計量皿に保持し、容器の蓋体を開蓋し、一定量の錠剤を取出すようにした錠剤容器も知られている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、容器の広巾の側皿に取出口を形成するようにした薄肉の錠剤容器も、従来より知られている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平8−119349号公報
【特許文献2】特開平11−208702号公報
【特許文献3】特開2004−51207号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1、2記載の錠剤ケースは、ケースから1個、または複数個の所望する個数の錠剤を計量して取出すことはできないという問題があり、また、円形容器であるので携帯に不便であった。
特許文献3記載の錠剤ケースは、携帯に便利で、取出口を開閉して錠剤を取出すことはできるが、所望する個数の錠剤を計量して取出すことはできないという問題があった。
【0004】
本発明は、上記の問題点を解決することを課題とし、1個、または所望する複数個の錠剤を取出口より取出すことができる薄型の錠剤ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するため、錠剤ケースとして、スライド部材を装着したケース本体と、取出口と案内孔を設けた蓋体とからなる錠剤ケースであって、ケース本体は、スライド部材を案内するガイド部材と、錠剤を保持する複数の保持板とを配設しており、スライド部材は、蓋板と、収納室側に挿入開口を設けた側壁と、先端に挿入開口に続く遮蔽板を具備し、蓋板の上面に、操作部を突設していることを特徴とする構成を採用する。
【0006】
ガイド部材の実施例として、ガイド部材が、外方のガイドと、内方のガイド、および遮蔽板を案内する弧状ガイドとを具備していることを特徴とする。
【0007】
スライド部材の実施例として、スライド部材の操作部の側壁面に、突起が設けられ、蓋体の案内孔に所望する錠剤に対応する複数個の凹部が設けられていることを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0008】
錠剤ケースを、スライド部材を装着したケース本体と、取出口を設けた蓋体によって構成し、ケース本体に、複数の錠剤を保持する保持部と、スライド部材のガイド部材を設け、スライド部材と蓋板と、挿入開口を設けた側壁と遮蔽板を設けているので、スライド部材が、所定位置で、蓋板で取出口を閉じるとともに、収納室から挿入開口を通って保持部で複数の錠剤を保持させ、スライド部材を移動させることによって、移動に応じて取出口を開き、取出口を下方に向けることによって所望する個数の錠剤を取出すことができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明錠剤ケースの実施形態について、図面を参照して説明する。
図1〜4において、Aはケース本体A1と蓋体A2とからなる錠剤ケース、Bはスライド部材である。
【0010】
ケース本体A1は、底壁1と側周壁2とからなり、側周壁2は、上下左右の側周壁2a、2b、2c、2dとから構成されている。
蓋体A2は、頂壁3と、ケース本体A1の側周壁2に係合する側周壁4とから構成されている。
ケース本体A1と蓋体A2は、蝶番A3によって連結されており、ケース本体A1の底壁1の所定の位置には、ボス5が立設され、蓋体A2には、ボス5に嵌合する軸ピンが垂設され、ケース本体A1と蓋体A2は、一体化されている。
【0011】
ケース本体A1の底壁1には、スライド部材Bを案内するガイド6と、錠剤Tをガイドする傾斜板7を連設したガイド8が立設されており、上方には、スライド部材Bの後述する遮蔽板を案内する弧状ガイド9が立設されている。
【0012】
また、底壁1には、ガイド6、8の上方部の所定位置に、錠剤Tを位置決め保持する保持板10a、10b、10c、10dが立設され、錠剤Tの保持部10が形成されている。
保持板10aの右端からは、弧状ガイド9に平行して案内ガイド11が立設されており、保持板10dは、ガイド8の上端にほぼ一致している。
保持板10b、10cの右側には、錠剤Tの導入板12a、12bが立設されている。
そして、底壁1と、側周壁2a、2b、2dと傾斜板7、ガイド8と弧状ガイド9を結ぶ線によって、錠剤Tの収納室aが形成される。
【0013】
蓋体A2には、保持板10aと保持板10dとの間隔に対応する長円状の取出口15が穿設されており、その下方には、側端の所定位置に、複数の凹部16a、16b、16c、16dを設けた案内孔17が穿設されている。
【0014】
図4に示すように、スライド部材Bは、蓋板20と、蓋板20の外縁から垂設された左側と下側の側壁21a、21b、および上端との間に挿入開口22を設けた側壁21c、および蓋板20の上端右側に連設された遮蔽板23とから構成されている。
蓋板20の下方部上面には、操作部24が突設され、該操作部24の上面には、左右に延びるローレット25が設けられ、側面には、案内孔17に設けた凹部16に係合する突起26が設けられている。
操作部24の下方には、蓋板20下面から樹脂ばね27が垂設されている。
【0015】
本発明の錠剤容器の組立は、ケース本体A1に錠剤Tを収納し、スライド部材Bをガイド6、8の間に装着し、遮蔽板23を弧状ガイド9と案内ガイド11との間に挿入し、蓋板20の先端が、保持板10aを越え、遮蔽板23の根本部が弧状ガイド9の下端に達するまで押込み、蓋板20が各保持板10を覆うようにする。
【0016】
次に、蓋体A2を、ケース本体A1に被蓋する。
その際、操作部24は、案内孔17に嵌挿され、案内孔17の上端に位置している。
【0017】
次に、本発明錠剤ケースの使用態様と、作用効果について説明する。
図5に示すように、前記組立状態で、錠剤ケースを左上側を下にして傾けると、錠剤Tは、弧状ガイド9、導入板12a、12b等の間を通じて保持板10a、10b、10c、10dの間に導入される。
【0018】
そして、蓋板20は、錠剤Tを覆うとともに、取出口15を閉鎖する。
次いで、操作部24の突起26を、蓋体A2の案内孔17の次の凹部16bに係合されるまで、スライド部材Bを下方に引き下げると、蓋板20の先端が保持板10bに位置するまで下がり、錠剤1個分の取出口15を開くとともに、遮蔽板23が引き下げられ、保持板10aと保持板10bとの間と、ケース本体A1内部とを遮断する。
【0019】
また、操作部24の突起26を案内孔17の次の凹部16cに係合させるまで、スライド部材Bを引下げると、錠剤2個分の取出口15を開放するとともに、遮蔽板23が保持板10cまでケース本体内部を遮断する。
さらに、突起26を凹部16dに係合させるまでスライド部材Bを引下げると、3個分の取出口15を開放するとともに、遮蔽板23が保持板10dまでのケース本体A1内部を遮断する。
そして、錠剤ケースAを反転して取出口15を下方に向けると、1粒、または2粒、3粒の錠剤Tを取出すことができる。
【0020】
前記実施形態では、ケース本体A1と蓋体A2を蝶番A3によって連結しているが、それぞれ別個に成形し、一体化するようにしてもよい。
また、取出口15を蓋体A2の上面に設けたが、錠剤ケースAの側面に設けるようにしてもよい。
【0021】
前記実施形態では、1〜3個の錠剤を取出せるように、ケース本体に四つの保持板を設け、スライド部材の移動位置を3個所とし、取出口の長さも錠剤3個分の長さとしたが、保持板の数、スライド部材の移動位置、取出口の長さ等は、実施例に限定されず、所望する錠剤の数に応じて設定することができる。
【0022】
また、前記実施形態では、スライド部材の操作部24の内方側に突起26を設け、案内孔17の内方側に凹部を設けたが、突起26と凹部16は、それぞれの外方側に設けてもよく、また、操作部24に凹部を設け、案内孔17に突起を設けるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の錠剤ケースは、1個、または所望する複数の錠剤を取出すことができ、錠剤として、薬剤、食物、その他の扁平粒状物を利用でき、収納ケースとして、広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明錠剤ケースの斜視図である。
【図2】錠剤ケースの説明図で、(a)は上面図、(b)は蓋体を開いた本体ケースの平面図である。
【図3】図1(b)のA−A線における断面図である。
【図4】スライド部材の説明図で、(a)は上面図、(b)は側面図、(c)は斜視図である。
【図5】スライド部材の引下げ時の説明図である。
【符号の説明】
【0025】
A 錠剤ケース
A1 ケース本体
A2 蓋体
A3 蝶番
B スライド部材
a 収納室
T 錠剤
1 底壁
2、2a、2b、2c、2d、4 側周壁
3 頂壁
5 ボス
6、8 ガイド
7 傾斜板
9 弧状ガイド
10 保持部
10a、10b、10c、10d 保持板
11 案内ガイド
12a、12b 導入板
15 取出口
16、16a、16b、16c、16d 凹部
17 案内孔
20 蓋板
21a、21b、21c 側壁
22 挿入開口
23 遮蔽板
24 操作部
25 ローレット
26 突起
27 樹脂ばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライド部材を装着したケース本体と、取出口と案内孔を設けた蓋体とからなる錠剤ケースであって、
ケース本体は、スライド部材を案内するガイド部材と、錠剤を保持する複数の保持板とを配設しており、
スライド部材は、蓋板と、収納室側に挿入開口を設けた側壁と、先端に挿入開口に続く遮蔽板を具備し、
蓋板の上面に、操作部を突設していることを特徴とする錠剤ケース。
【請求項2】
ガイド部材が、外方のガイドと、内方のガイド、および遮蔽板を案内する弧状ガイドとを具備していることを特徴とする請求項1記載の錠剤ケース。
【請求項3】
スライド部材の操作部の側壁面に、突起が設けられ、蓋体の案内孔に所望する錠剤に対応する複数個の凹部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の錠剤ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−213865(P2008−213865A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−51192(P2007−51192)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】