説明

鍵盤楽器の譜面立て構造

【課題】 譜面立て部材および鍵盤蓋の操作性が良く、外観的にもデザイン的にも好ましい鍵盤楽器の譜面立て構造を提供する。
【解決手段】 楽器本体1内に鍵盤蓋12をスライドさせて収納すると、この収納された鍵盤蓋12によってロック部材22が楽器本体1の天板6上に設けられた譜面立て部材18に対する係止を解除するので、譜面立て部材18を簡単に且つ容易に楽器本体1上に起立させることができる。また、鍵盤蓋12をスライドさせて鍵盤部7を覆った際には、譜面立て部材18を楽器本体1の天板6上に横倒させて配置することができるので、譜面立て部材18を楽器本体1上に、自然な状態で違和感がなく、良好に配置することができる。このため、譜面立て部材18および鍵盤蓋12の操作性が良く、外観的にもデザイン的にも好ましいものを提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子ピアノや電子オルガンなどの鍵盤楽器の譜面立て構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鍵盤楽器においては、特許文献1に記載されているように、楽器本体内に設けられた鍵盤部を開閉可能に覆う鍵盤蓋を備え、この鍵盤蓋がスライドして楽器本体内に収納されて鍵盤部を開放した際に、この鍵盤蓋上に譜面立て部材を起立させるように構成されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−26974号公報
【0004】
この種の鍵盤楽器の譜面立て構造は、鍵盤蓋上に譜面立て部材を上下方向に回転可能に取り付け、鍵盤蓋をスライドさせて楽器本体内に収納する前に、譜面立て部材を上方に回転させて鍵盤蓋上に起立させ、この状態で鍵盤蓋をスライドさせて譜面立て部材の裏面を楽器本体の上部に位置する天板の前端部に当接させることにより、譜面立て部材を起立させた状態で保持するように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の鍵盤楽器における譜面立て構造では、鍵盤蓋をスライドさせて楽器本体内に収納する前に、譜面立て部材を鍵盤蓋上に起立させ、この状態で鍵盤蓋をスライドさせなければならないため、鍵盤蓋および譜面立て部材の操作が煩雑で、操作性が悪いばかりか、鍵盤蓋を閉じた際に譜面立て部材が鍵盤蓋上に常に露出して配置されているため、鍵盤楽器として、不自然で違和感があり、外観的にもデザイン的にも好ましくないという問題がある。
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、譜面立て部材および鍵盤蓋の操作性が良く、外観的にもデザイン的にも好ましい鍵盤楽器の譜面立て構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記課題を解決するために、次のような構成要素を備えている。
請求項1に記載の発明は、鍵盤部が設けられた楽器本体と、この楽器本体にスライド可能に設けられて前記鍵盤部を開閉可能に覆うと共に、前記楽器本体内にスライドして収納される鍵盤蓋と、前記楽器本体上に上下方向に回転可能に取り付けられた譜面立て部材と、この譜面立て部材が前記楽器本体上に横倒して配置された際に前記譜面立て部材を係脱可能に係止し、前記楽器本体内に前記鍵盤蓋が収納された際にこの収納された鍵盤蓋によって前記譜面立て部材に対する係止を解除するロック部材とを備えていることを特徴とする鍵盤楽器の譜面立て構造である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記譜面立て部材が、前記楽器本体上に設けられた固定軸に上下方向に回転可能に取り付けられていると共に、ばね部材によって前記楽器本体上に起立する方向に向けて付勢されていることを特徴とする請求項1に記載の鍵盤楽器の譜面立て構造である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記ロック部材が、前記楽器本体内に設けられた支持軸に回転可能に取り付けられ、その一端部に設けられたフック部が前記譜面立て部材を係脱可能に係止し、他端部に設けられた当接突起が前記鍵盤蓋によって押された際に、前記ロック部材が前記支持軸を中心に回転して前記フック部による前記譜面立て部材に対する係止を解除することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鍵盤楽器の譜面立て構造である。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記ロック部材が、前記楽器本体内に設けられた保持部材に前記楽器本体の前後方向にスライド可能に取り付けられ、その一端部に設けられたフック部が前記譜面立て部材を係脱可能に係止し、他端部に設けられた当接突起が前記鍵盤蓋によって押された際に、前記ロック部材がスライドして前記フック部による前記譜面立て部材に対する係止を解除することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鍵盤楽器の譜面立て構造である。
【0011】
請求項5に記載の発明は、前記ロック部材の前記フック部が前記譜面立て部材を係止する方向に向けて前記ロック部材を付勢するばね部材を備えていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の鍵盤楽器の譜面立て構造である。
【0012】
請求項6に記載の発明は、前記鍵盤蓋に、前記ロック部材によるロックを解除させるロック解除部と、前記ロック部材によるロックを解除しない非ロック解除部とを有するロック解除選択部材が、前記鍵盤蓋のスライド方向と直交する方向に移動可能に設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の鍵盤楽器の譜面立て構造である。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、楽器本体内に鍵盤蓋をスライドさせて収納すると、この収納された鍵盤蓋によってロック部材が楽器本体上に配置された譜面立て部材に対する係止を解除するので、譜面立て部材を簡単に且つ容易に楽器本体上に回転させて起立させることができる。また、鍵盤蓋をスライドさせて鍵盤部を覆った際には、譜面立て部材を楽器本体上に横倒させた状態で配置することができるので、譜面立て部材を楽器本体上に、自然な状態で違和感がなく、良好に配置することができる。このため、譜面立て部材および鍵盤蓋の操作性が良く、外観的にもデザイン的にも好ましい鍵盤楽器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明を適用した鍵盤楽器の実施形態1を示した断面図である。
【図2】図1の鍵盤楽器において鍵盤蓋を閉じて譜面立て部材を収納した状態における一部を破断して示した平面図である。
【図3】図1の鍵盤楽器において鍵盤蓋を楽器本体に収納して譜面立て部材を起立させた状態を示した断面図である。
【図4】図1の鍵盤楽器におけるA部を示した拡大断面図である。
【図5】図4のロック部材において楽器本体内に収納された鍵盤蓋に設けられたロック解除選択部材によってロックが解除された状態を示した拡大断面図である。
【図6】図4のロック部材において楽器本体内に収納された鍵盤蓋に設けられたロック解除選択部材によってロックが解除されない状態を示した拡大断面図である。
【図7】図2の鍵盤蓋の後部を示した拡大斜視図である。
【図8】図7の鍵盤蓋の後部とこれに取り付けられるロック解除選択部材とを示した分解斜視図である。
【図9】図8のロック解除選択部材を示し、(a)はその平面図、(b)はその側面図、(c)はその正面図である。
【図10】この発明を適用した鍵盤楽器の実施形態2を示した断面図である。
【図11】図10の鍵盤楽器において鍵盤蓋を楽器本体に収納して譜面立て部材を起立させた状態を示した断面図である。
【図12】図10の鍵盤楽器におけるB部を示した拡大断面図である。
【図13】図12のロック部材を示した拡大図である。
【図14】図13のロック部材を前側から見た拡大正面図である。
【図15】図12のロック部材において楽器本体内に収納された鍵盤蓋に設けられたロック解除選択部材によってロックが解除された状態を示した拡大断面図である。
【図16】図12のロック部材において楽器本体内に収納された鍵盤蓋に設けられたロック解除選択部材によってロックが解除されない状態を示した拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施形態1)
以下、図1〜図9を参照して、この発明を適用した鍵盤楽器の実施形態1について説明する。
この鍵盤楽器は、図1に示すように、楽器本体1を備えている。この楽器本体1は、底板2を備えている。この底板2の前端部(図1では左端部)には、前板3が起立して設けられており、この底板2の後端部(図1では右端部)には、後板4が起立して設けられている。また、この底板2の両側部(図2では左右両側)には、図1および図2に示すように、一対の側板5が起立して設けられている。
【0016】
この一対の側板5は、その前後方向(図1では左右方向)における中間部よりも後側に位置する後部が後板4と同じ高さに形成され、中間部よりも前側に位置する前部が前側(図1では左側)に向けて傾斜し、この傾斜した前端部が前板3とほぼ同じ高さに形成されている。また、この一対の側板5の後部および後板4における各上部には、天板6が設けられている。これにより、楽器本体1は、天板6の前側が上方に開放されたほぼ箱形状に形成されている。
【0017】
この楽器本体1内には、図1および図3に示すように、鍵盤部7が上方に露出可能な状態で設けられている。この鍵盤部7は、楽器本体1内の底板2上における前部側(図1では左側)に配置された鍵盤シャーシ8と、この鍵盤シャーシ8上に上下方向に回転可能に配置された複数の鍵9と、この複数の鍵9の押鍵操作に応じて各鍵9にアクション荷重を付与する複数のハンマー部材10と、複数の鍵9の各押鍵操作に応じてそれぞれスイッチ信号を出力するスイッチ部11とを備えている。
【0018】
この場合、複数の鍵9は、図1および図3に示すように、白鍵および黒鍵からなり、これらが音階順に配列されている。複数のハンマー部材10は、複数の鍵9の下側にそれぞれ対応した状態で、鍵盤シャーシ8にそれぞれ上下方向に回転可能に取り付けられている。このハンマー部材10は、各鍵9の押鍵操作に応じてそれぞれ押し下げられる際に、各ハンマー部材10の重量に抗して回転することにより、各鍵9にそれぞれアクション荷重を付与するように構成されている。
【0019】
また、この楽器本体1には、図1〜図3に示すように、鍵盤部7の上方を開閉可能に覆う鍵盤蓋12がスライド可能に設けられている。この鍵盤蓋12は、その前端部が前側ガイド13によって楽器本体1の前後方向にガイドされ、後端部が後側ガイド部14によって楽器本体1の前後方向にガイドされるように構成されている。
【0020】
この場合、前側ガイド部13は、図1および図3に示すように、鍵盤蓋12の前端下部に設けられたガイド軸15を支持しながらガイドするガイド溝であり、楽器本体1の側板5の内面に設けられている。すなわち、この前側ガイド部13は、鍵盤部7の前端部に対応する側板5の箇所から斜め上方に向けて緩やかに湾曲して鍵盤部7の後部上方に位置する側板5の箇所、つまり天板6の前端部の下側に位置する側板5の箇所に亘って連続して設けられている。
【0021】
また、後側ガイド部14は、図1および図3に示すように、鍵盤蓋12の後端下部に設けられたピニオンギア16を回転可能に支持しながらガイドするラックギア14aを備え、楽器本体1の側板5の内面に設けられている。すなわち、この後側ガイド部14は、鍵盤部7の後部上方に対応する側板5の箇所から斜め下方に向けて僅かに傾斜して楽器本体1内の後部に対応する側板5の箇所に亘って連続して設けられている。
【0022】
これにより、鍵盤蓋12は、図1に示すように、前端下部のガイド軸15が前側ガイド部13によって前側に向けてガイドされて前側ガイド部13の前端部に位置すると共に、後端下部のピニオンギア16が後側ガイド部14のラックギア14aに噛み合って回転しながら前側に向けて移動して後側ガイド部14の前端部に位置した際に、鍵盤部7の上方に配置されて鍵盤部7を覆うように構成されている。
【0023】
また、この鍵盤蓋12は、図3に示すように、前端下部のガイド軸15が前側ガイド部13によって後側に向けてガイドされて前側ガイド部13の後端部に位置すると共に、後端下部のピニオンギア16が後側ガイド部14のラックギア14aに噛み合って回転しながら後側に向けて移動して後側ガイド部14の後端部に位置した際に、天板6の下側に対応した状態で楽器本体1内に収納されるように構成されている。
【0024】
ところで、楽器本体1の天板6上には、図1〜図3に示すように、譜面立て部材18が起立横倒可能な状態、つまり上下方向に回転可能な状態で設けられている。この譜面立て部材18は、図2に示すように、ほぼ長方形の平板状に形成されている。また、天板6の上面には、図1および図2に示すように、譜面立て部材18を挿脱可能に収納する収納凹部19が上方に開放されて設けられている。
【0025】
譜面立て部材18は、図1および図3に示すように、その前端部(図1では左端部)が収納凹部19内に設けられた固定軸20に上下方向に回転自在に取り付けられている。また、この譜面立て部材18は、収納凹部19内に設けられた板ばね21によって起立する方向、つまり固定軸20を中心に上方に向けて回転する方向に付勢されている。これにより、譜面立て部材18は、板ばね21のばね力に抗して下側に回転して横倒することにより、天板6の収納凹部19内に配置されるように構成されている。
【0026】
一方、楽器本体内における後側上部には、図4〜図6に示すように、天板6の収納凹部19内に横倒して収納された譜面立て部材18を係脱可能に係止するロック部材22が設けられている。このロック部材22は、楽器本体1内に設けられた支持軸23に回転可能に取り付けられ、その上端部に設けられたフック部22aが譜面立て部材18を係脱可能に係止し、下端部に設けられた当接突起22bが鍵盤蓋12によって押された際に、支持軸23を中心に回転して上端部のフック部22aによる譜面立て部材18に対する係止を解除するように構成されている。
【0027】
すなわち、このロック部材22は、図4〜図6に示すように、上端部のフック部22aが天板6に設けられた貫通孔6aを通して天板6の収納凹部19内に突出し、この突出したフック部22aが譜面立て部材18に設けられた係合ピン24を係脱可能に係止するように構成されている。この場合、譜面立て部材18には、ロック部材22のフック部22aが挿入する挿入凹部18aが設けられており、この挿入凹部18a内における後部(図4では右側)には、係合ピン24が設けられている。
【0028】
また、このロック部材22は、図4〜図6に示すように、ばね部材25によって上端部のフック部22aが譜面立て部材18の係合ピン24を係止する方向(図4では時計回り方向)に向けて付勢されている。すなわち、このばね部材25は、コイルばねであり、一端部(図4では右端部)が楽器本体1内の後部に取り付けられ、他端部(図4では左端部)がロック部材22における支持軸23の上方に位置する箇所に取り付けられ、この状態でロック部材22を時計回りに回転させるように構成されている。
【0029】
ところで、鍵盤蓋12の後端部(図2では上辺部)におけるロック部材22と対応する箇所には、図2および図7に示すように、ロック解除選択部材26が、鍵盤蓋12のスライド方向と直交する方向、つまり鍵盤蓋12の後端部に沿って移動可能に設けられている。このロック解除選択部材26は、図7〜図9に示すように、金属板を断面コ字形状に折り曲げたものであり、その上部における内面には、一対のガイド突起27が設けられている。
【0030】
このロック解除選択部材26は、鍵盤蓋12の後端部に嵌め込まれて、一対のガイド突起27が鍵盤蓋12の上面に設けられた一対のガイド溝28に挿入され、この状態で一対のガイド突起27が一対のガイド溝28に沿って鍵盤蓋12のスライド方向と直交する方向に移動するように構成されている。この場合、鍵盤蓋12の後端部における一対のガイド溝28間に位置する箇所には、ロック部材22の当接突起部22bが挿入する切込み部29が設けられている。
【0031】
また、ロック解除選択部材26は、鍵盤蓋12の切込み部29に対応してロック部材22の当接突起部22bが挿入することにより、ロック部材22によるロックを解除しない非ロック解除部30と、この非ロック解除部30の両側に位置してロック部材22の当接突起部22bを押して移動させることにより、ロック部材22によるロックを解除するロック解除部31とが設けられている。
【0032】
すなわち、非ロック解除部30は、ロック解除選択部材26の中間部に設けられた切込み部であり、ロック解除選択部材26がスライドして鍵盤蓋12の切込み部29に対応した状態で、鍵盤蓋12が楽器本体1内に収納されると、ロック部材22の当接突起部22bを鍵盤蓋12の切込み部29内に挿入させることにより、ロック部材22を回転させないように構成されている。
【0033】
また、ロック解除部31は、ロック解除選択部材26の切込み部である非ロック解除部30の両側に位置し、ロック解除選択部材26がスライドして鍵盤蓋12の切込み部29に対応して塞いだ状態で、鍵盤蓋12が楽器本体1内に収納されると、ロック部材22の当接突起部22bを押圧して移動させることにより、ロック部材22を回転させるように構成されている。
【0034】
この場合、ロック解除選択部材26は、図1および図2に示すように、鍵盤蓋12が楽器本体1内から引き出されて鍵盤部7の上方に配置された際に、ロック解除選択部材26の前端部が天板6の前端部の下側から楽器本体1の外部に露出することにより、楽器本体1の外部からスライド操作されるように構成されている。
【0035】
次に、このような鍵盤楽器の動作について説明する。
鍵盤楽器を使用しない場合には、図1に示すように、鍵盤蓋12を楽器本体1の前側に移動させて鍵盤部7の上方に配置する。このときには、鍵盤蓋12の前端下部のガイド軸15が前側ガイド部13によって前側に向けてガイドされて前側ガイド部13の前端部に位置すると共に、後端下部のピニオンギア16が後側ガイド部14のラックギア14aに噛み合って回転しながら前側に向けて移動して後側ガイド部14の前端部に位置する。
【0036】
これにより、鍵盤蓋12が楽器本体1内から引き出されて鍵盤部7の上方に配置されて鍵盤部7を覆う。このときには、鍵盤蓋12の後端部に設けられたロック解除選択部材26がロック部材22から離れた位置に配置される。この状態では、譜面立て部材18を楽器本体1の天板6に設けられた収納凹部19内に横倒させて収納することができる。すなわち、収納凹部19内の固定軸20を中心に譜面立て部材18を板ばね21のばね力に抗して下側(時計回り)に回転させることにより、譜面立て部材18を天板6の収納凹部19内に横倒させて収納する。
【0037】
このときには、譜面立て部材18に設けられた係合ピン24がロック部材22にロックされる。すなわち、譜面立て部材18が収納凹部19内に収納されるときには、譜面立て部材18の挿入凹部18a内にロック部材22の上端部のフック部22aが相対的に挿入すると共に、この挿入凹部18a内に設けられた係合ピン24がロック部材22のフック部22aをばね部材25のばね力に抗して回転させて乗り越える。すると、ばね部材25のばね力によってロック部材22が時計回りに回転して、フック部22aが係合ピン24を係止する。
【0038】
次に、この鍵盤楽器を使用する場合について説明する。このときには、まず、鍵盤蓋12のロック解除選択部材26をスライドさせてロック解除部31を鍵盤蓋12の切込み部29に対応させる。すなわち、ロック解除選択部材26は、図7〜図9に示すように、非ロック解除部30とロック解除部31とを備えているため、ロック解除選択部材26に設けられた一対のガイド突起27を鍵盤蓋12の切込み部29の両側に設けられた一対のガイド溝28に沿ってスライドさせることにより、ロック解除部31を鍵盤蓋12の切込み部29に対応させて切込み部29を塞いでおく。
【0039】
この状態で、鍵盤蓋12の前端部を持ち上げながら楽器本体1の後部に向けて移動させる。すると、鍵盤蓋12は、前端下部のガイド軸15が前側ガイド部13によって後側に向けてガイドされて前側ガイド部13の後端部に位置すると共に、後端下部のピニオンギア16が後側ガイド部14のラックギア14aに噛み合って回転しながら後側に向けて移動して後側ガイド部14の後端部に位置した際に、天板6の下側に対応した状態で楽器本体1内に収納される。
【0040】
このように鍵盤蓋12が楽器本体1内に収納されると、図5に示すように、鍵盤蓋12の後端部に設けられたロック解除選択部材26がロック部材22の当接突起22bに当接してロック部材22を反時計回りに回転させる。すなわち、ロック解除選択部材26は、そのロック解除部31が鍵盤蓋12の後端部に設けられた切込み部29を塞いだ状態で配置されているので、鍵盤蓋12が楽器本体1内に収納されると、図5に示すように、ロック解除選択部材26のロック解除部31がロック部材22の当接突起22bに当接して、この当接突起22bをばね部材25のばね力に抗して押圧する。
【0041】
すると、ロック部材22が支持軸23を中心に反時計回り回転する。これにより、図5に示すように、ロック部材22の上端部のフック部22aが譜面立て部材18の挿入凹部18内に設けられた係合ピン24から離脱し、ロック部材22のフック部22aによる譜面立て部材18の係合ピン24に対するロックを解除する。すると、譜面立て部材18は、図3に示すように、板ばね21のばね力によって固定軸20を中心に上方に向けて回転し、後方に傾いた状態で天板6上に起立する。
【0042】
ところで、鍵盤蓋12を楽器本体1内に収納しても、譜面立て部材18を天板6上に起立させない場合には、予め、図7に示すように、鍵盤蓋12のロック解除選択部材26をスライドさせて非ロック解除部30を鍵盤蓋12の切込み部29に対応させて、図6に示すように、ロック部材22の当接突起22bが非ロック解除部30を通して鍵盤蓋12の切込み部29に挿入可能な状態にしておく。
【0043】
この状態で、鍵盤蓋12を楽器本体1内に収納すると、図6に示すように、鍵盤蓋12のロック解除選択部材26がロック部材22に到達してもロック部材22を回転させることがない。すなわち、鍵盤蓋12が楽器本体1内に収納されると、ロック解除選択部材26の非ロック解除部30にロック部材22の当接突起22bが挿入して鍵盤蓋12の切込み部29内に挿入するので、ロック部材22は回転することがない。
【0044】
このため、ロック部材22の上端部のフック部22aが譜面立て部材18の挿入凹部18内に設けられた係合ピン24を係止したロック状態を維持するので、鍵盤蓋12が楽器本体1内に収納されても、譜面立て部材18は、板ばね21のばね力によって固定軸20を中心に回転して天板6上に起立することがなく、天板6の収納凹部19内に収納された状態を維持する。
【0045】
このように、この鍵盤楽器の譜面立て構造によれば、鍵盤部7が設けられた楽器本体1にスライド可能に設けられて鍵盤部7を開閉可能に覆うと共に楽器本体1内にスライドして収納される鍵盤蓋12と、楽器本体1上に上下方向に回転可能に取り付けられた譜面立て部材18と、この譜面立て部材18が楽器本体1上に横倒して配置された際に譜面立て部材18を係脱可能に係止し、楽器本体1内に鍵盤蓋12が収納された際にこの収納された鍵盤蓋12によって譜面立て部材18に対する係止を解除するロック部材22とを備えた構成であるから、譜面立て部材18および鍵盤蓋12の操作性が良く、外観的にもデザイン的にも好ましい鍵盤楽器を提供することができる。
【0046】
すなわち、この鍵盤楽器の譜面立て構造では、楽器本体1内に鍵盤蓋12をスライドさせて収納すると、この収納された鍵盤蓋12によってロック部材22が楽器本体1の天板6上に設けられた譜面立て部材18に対する係止を解除するので、楽器本体1上に譜面立て部材18を簡単に且つ容易に回転させて起立させることができる。
【0047】
また、鍵盤蓋12をスライドさせて鍵盤部7を覆った際には、譜面立て部材18を楽器本体1の天板6上に横倒させて配置することができるので、譜面立て部材18を楽器本体1上に自然な状態で違和感がなく、良好に配置することができる。このため、譜面立て部材18および鍵盤蓋12の操作性が良く、外観的にもデザイン的にも好ましいものを提供することができる。
【0048】
この場合、譜面立て部材18は、楽器本体1の天板6における収納凹部19内に設けられた固定軸20に上下方向に回転自在に取り付けられていると共に、板ばね21によって起立する方向に付勢されているので、鍵盤蓋12を楽器本体1内に収納して、ロック部材22による譜面立て部材18に対するロックを解除するだけで、板ばね21のばね力によって譜面立て部材18を自動的に天板6上に起立させることができる。また、鍵盤蓋12を引き出して鍵盤部7上を覆った際には、板ばね21のばね力に抗して譜面立て部材18を横倒するだけ、天板6の収納凹部19内に簡単に収納することができる。
【0049】
また、この譜面立て構造では、ロック部材22が楽器本体1内に設けられた支持軸23に回転可能に取り付けられ、このロック部材22の上端部に設けられたフック部22aが譜面立て部材18の係合ピン24を係脱可能に係止し、ロック部材22の下端部に設けられた当接突起22bが鍵盤蓋12によって押された際に、ロック部材22が支持軸23を中心に回転してフック部22aによる譜面立て部材18に対する係止を解除する構成であるから、簡単な構造で、天板6の収納凹部19内に収納された譜面立て部材18の係合ピン24をロック部材22のフック部22aによって係脱可能に係止して確実にロックすることができ、また鍵盤蓋12をスライドさせて楽器本体1内に収納するだけで、ロック部材22による譜面立て部材18に対するロックを確実に解除することができる。
【0050】
また、この譜面立て構造では、ロック部材22の上端部のフック部22aが譜面立て部材18の係合ピン24を係止する方向に向けてロック部材22を付勢するばね部材25を備えているので、譜面立て部材18を横倒させて楽器本体1の天板6の収納凹部19内に収納した際に、譜面立て部材18の係合ピン24がロック部材22のフック部22aをばね部材25のばね力に抗して乗り越えることにより、ロック部材22のフック部22aがばね部材25のばね力によって譜面立て部材18の係合ピン24を確実に係止させることができ、これにより譜面立て部材18の操作性が良いばかりか、譜面立て部材18を楽器本体1の天板6の収納凹部19内に収納した状態で確実に保持することができる。
【0051】
さらに、この譜面立て構造では、鍵盤蓋12にそのスライド方向と直交する方向に移動可能に設けられたロック解除選択部材26が、ロック部材22によるロックを解除させるロック解除部31と、ロック部材22によるロックを解除しない非ロック解除部30とを備えているので、ロック解除選択部材26をスライドさせて、ロック解除部31と非ロック解除部30とのいずれかを選択することにより、鍵盤蓋12を楽器本体1内に収納した際に、譜面立て部材18に対するロック部材22によるロックを解除する状態とロックを解除しない状態とのいずれかを選択することができる。
【0052】
すなわち、鍵盤蓋12を楽器本体1内に収納した際に、譜面立て部材18に対するロック部材22によるロックを解除する場合には、ロック解除選択部材26をスライドさせ、鍵盤蓋12に設けられた切込み部29にロック解除部31を対応させて鍵盤蓋12の切込み部29をロック解除部31で塞ぐことにより、鍵盤蓋12を楽器本体1内に収納した際に、ロック解除部31がロック部材22の当接突起22bに当接してロック部材22を回転させることができ、これにより譜面立て部材18に対するロック部材22によるロックを解除することができる。
【0053】
また、鍵盤蓋12を楽器本体1内に収納した際に、譜面立て部材18に対するロック部材22によるロックを解除しない場合には、ロック解除選択部材26をスライドさせ、鍵盤蓋12に設けられた切込み部29に非ロック解除部30を対応させて鍵盤蓋12の切込み部29を開放させることにより、鍵盤蓋12を楽器本体1内に収納した際に、ロック部材22の当接突起22bが非ロック解除部30を通して鍵盤蓋12の切込み部29に挿入し、ロック部材22が回転しないようにすることができ、これによりロック部材22による譜面立て部材18に対するロックを解除しないようにすることができる。
【0054】
(実施形態2)
次に、図10〜図16を参照して、この発明を適用した鍵盤楽器の実施形態2について説明する。なお、図1〜図9に示された実施形態1と同一部分には同一符号を付して説明する。
この鍵盤楽器は、図10および図11に示すように、譜面立て部材18をロックするロック部材40が実施形態1と異なる構成であり、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
【0055】
すなわち、このロック部材40は、図10〜図16に示すように、楽器本体1内に設けられた一対の保持部材41間に鍵盤蓋12のスライド方向に沿ってスライド可能に取り付けられ、上端部に設けられたフック部40aが譜面立て部材18を係脱可能に係止し、下端部に設けられた当接突起40bが鍵盤蓋12によって押されてスライドした際に、上端部のフック部40aによる譜面立て部材18に対する係止を解除するように構成されている。
【0056】
この場合、一対の保持部材41は、図12〜図16に示すように、楽器本体1内における後部(図10では右側部)に、鍵盤蓋12のスライド方向と直交する方向において互いに対向して設けられ、この互いに対向する部分における上下部に一対のガイド溝42がそれぞれ鍵盤蓋12のスライド方向に沿って細長く形成されている。
【0057】
ロック部材40は、図14に示すように、一対の保持部材41間に配置され、その上下方向における中間部に一対のガイド突起43が左右に突出した状態で上下に位置して設けられ、この一対のガイド突起部41が一対の保持部材41の各ガイド溝42内にスライド可能に挿入されて保持されるように構成されている。
【0058】
また、このロック部材40は、図12および図13に示すように、上端部のフック部40aが天板6に設けられた貫通孔6aを通して天板6の収納凹部19内に突出し、この突出したフック部40aが譜面立て部材18に設けられた係合ピン24を係脱可能に係止するように構成されている。この場合にも、譜面立て部材18には、図12に示すように、ロック部材22のフック部22aが挿入する挿入凹部18aが設けられており、この挿入凹部18a内における前部(図12では左側)には、係合ピン24が設けられている。
【0059】
また、このロック部材40は、図12〜図16に示すように、ばね部材44によって上端部のフック部40aが譜面立て部材18の係合ピン24を係止する方向(図12では左側)に向けて付勢されている。すなわち、このばね部材44は、コイルばねであり、一端部(図12では左端部)が楽器本体1内における一対の保持部材41の前側(図12では左側)に設けられた取付片45に取り付けられ、他端部(図12では右端部)がロック部材40に取り付けられ、この状態でロック部材40を楽器本体1の前側(図12では左側)に向けて移動させるように構成されている。
【0060】
次に、このようなロック部材40の作用について説明する。
まず、このロック部材40によって譜面立て部材18をロックする場合には、図10に示すように、楽器本体1の天板6上に設けられた収納凹部19内の固定軸20を中心に譜面立て部材18を板ばね21のばね力に抗して下側(時計回り)に回転させることにより、譜面立て部材18を天板6の収納凹部19内に横倒させて収納すると、譜面立て部材18に設けられた係合ピン24をロック部材40がロックする。
【0061】
すなわち、譜面立て部材18が収納凹部19内に収納されるときには、譜面立て部材18の挿入凹部18a内にロック部材40の上端部のフック部40aが相対的に挿入すると共に、この挿入凹部18a内に設けられた係合ピン24がロック部材40のフック部40aをばね部材44のばね力に抗してスライドして乗り越える。すると、図12に示すように、ロック部材22がばね部材44のばね力によって楽器本体1の前側に向けてスライドし、フック部40aが係合ピン24を係止する。これにより、譜面立て部材18が収納凹部19内に収納されて保持される。
【0062】
また、ロック部材40による譜面立て部材18のロックを解除する場合には、図11に示すように、鍵盤蓋12を楽器本体1内に収納させる。すると、収納された鍵盤蓋12の後端部に設けられたロック解除選択部材26のロック解除部31が、ロック部材40の下端部の当接突起40bをばね部材44のばね力に抗して押圧する。これにより、ロック部材40が楽器本体1内の後方に向けてスライドし、ロック部材40のフック部40aによる譜面立て部材18のロックを解除する。
【0063】
この場合には、実施形態1と同様、予め鍵盤蓋12のロック解除選択部材26をスライドさせてロック解除部31を鍵盤蓋12の切込み部29に対応させる。この状態で、鍵盤蓋12を楽器本体1内に収納すると、図15に示すように、鍵盤蓋12の後端部に設けられたロック解除選択部材26のロック解除部31がロック部材40の当接突起40bをばね部材44のばね力に抗して楽器本体1内の後方(図15では右側)に向けてスライドさせる。
【0064】
すると、ロック部材40のガイド突起43が保持部材41のガイド溝42に沿って楽器本体1内の後部側にスライドする。これにより、図15に示すように、ロック部材40の上端部のフック部40aが譜面立て部材18の挿入凹部18内に設けられた係合ピン24から離脱し、ロック部材40のフック部40aによる譜面立て部材18の係合ピン24に対するロックを解除する。すると、譜面立て部材18は、実施形態1と同様、板ばね21のばね力によって固定軸20を中心に回転して天板6上に起立する。
【0065】
また、鍵盤蓋12を楽器本体1内に収納しても、譜面立て部材18を天板6上に起立させない場合には、実施形態1と同様、予め、鍵盤蓋12のロック解除選択部材26をスライドさせて非ロック解除部30を鍵盤蓋12の切込み部29に対応させて、ロック部材40の当接突起40bが非ロック解除部30を通して鍵盤蓋12の切込み部29に挿入可能な状態にしておく。
【0066】
この状態では、図16に示すように、鍵盤蓋12を楽器本体1内に収納すると、ロック解除選択部材26の非ロック解除部30にロック部材40の当接突起40bが挿入して鍵盤蓋12の切込み部29に挿入するので、ロック部材40がスライドすることがない。このため、ロック部材40のフック部40aが譜面立て部材18の係合ピン24を係止したロック状態を維持するので、鍵盤蓋12を楽器本体1内に収納しても、譜面立て部材18が、板ばね21のばね力によって天板6上に起立することがなく、天板6の収納凹部19内に収納された状態を維持する。
【0067】
このように、この鍵盤楽器の譜面立て構造においても、実施形態1と同様、楽器本体1内に鍵盤蓋12をスライドさせて収納すると、この収納された鍵盤蓋12によってロック部材22が楽器本体1の天板6上に設けられた譜面立て部材18に対する係止を解除するので、楽器本体1上に譜面立て部材18を簡単に且つ容易に回転させて起立させることができる。
【0068】
また、鍵盤蓋12をスライドさせて鍵盤部7を覆った際には、譜面立て部材18を楽器本体1の天板6上に横倒させて配置することができるので、譜面立て部材18を楽器本体1上に自然な状態で違和感がなく、良好に配置することができる。このため、譜面立て部材18および鍵盤蓋12の操作性が良く、外観的にもデザイン的にも好ましいものを提供することができる。
【0069】
この場合にも、譜面立て部材18は、楽器本体1の天板6における収納凹部19内に設けられた固定軸20に上下方向に回転自在に取り付けられていると共に、板ばね21によって起立する方向に付勢されているので、鍵盤蓋12を楽器本体1内に収納して、ロック部材22による譜面立て部材18に対するロックを解除するだけで、板ばね21のばね力によって譜面立て部材18を自動的に天板6上に起立させることができる。また、鍵盤蓋12を引き出して鍵盤部7上を覆った際には、板ばね21のばね力に抗して譜面立て部材18を横倒するだけ、天板6の収納凹部19内に簡単に収納することができる。
【0070】
また、この譜面立て構造では、ロック部材40が楽器本体1内に設けられた一対の保持部材41にスライド可能に取り付けられ、このロック部材40の上端部に設けられたフック部40aが譜面立て部材18の係合ピン24を係脱可能に係止し、ロック部材40の下端部に設けられた当接突起40bが鍵盤蓋12によって押された際に、ロック部材40がスライドしてフック部40aによる譜面立て部材18に対する係止を解除する構成であるから、簡単な構造で、天板6の収納凹部19内に収納された譜面立て部材18の係合ピン24をロック部材40のフック部40aによって係脱可能に係止して確実にロックすることができ、また鍵盤蓋12を楽器本体1内にスライドさせて収納するだけで、ロック部材40による譜面立て部材18に対するロックを確実に解除することができる。
【0071】
また、この譜面立て構造では、ロック部材40の上端部のフック部40aが譜面立て部材18の係合ピン24を係止する方向に向けてロック部材40を付勢するばね部材44を備えているので、譜面立て部材18を横倒させて楽器本体1の天板6の収納凹部19内に収納した際に、譜面立て部材18の係合ピン24がロック部材40のフック部40aをばね部材44のばね力に抗して乗り越えることにより、ロック部材40のフック部40aがばね部材44のばね力によって譜面立て部材18の係合ピン24を確実に係止させることができ、これにより譜面立て部材18の操作性が良いばかりか、譜面立て部材18を楽器本体1の天板6の収納凹部19内に収納した状態で確実に保持することができる。
【0072】
さらに、この譜面立て構造では、実施形態1と同様、鍵盤蓋12にそのスライド方向と直交する方向に移動可能に設けられたロック解除選択部材26が、ロック部材40によるロックを解除させるロック解除部31と、ロック部材40によるロックを解除しない非ロック解除部30とを備えているので、ロック解除選択部材26をスライドさせて、ロック解除部31と非ロック解除部30とのいずれかを選択することにより、実施形態1と同様、鍵盤蓋12を楽器本体1内に収納した際に、譜面立て部材18に対するロック部材40によるロックを解除する状態とロックを解除しない状態とのいずれかを選択することができる。
【0073】
なお、上述した実施形態1、2では、鍵9が押鍵操作された際にハンマー部材10が回転して鍵9にアクション荷重を付与する構成の鍵盤部7を備えた鍵盤楽器に適用した場合について述べたが、必ずしも鍵盤部はハンマー部材10を備えている必要はなく、ハンマー部材10を備えていない簡易型の鍵盤部を備えた鍵盤楽器にも適用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 楽器本体
2 底板
3 前板
4 後板
5 側板
6 天板
7 鍵盤部
12 鍵盤蓋
13 前側ガイド部
14 後側ガイド部
15 ガイド軸
16 ピニオンギア
19 収納凹部
20 固定軸
21 板ばね
22、40 ロック部材
22a、40a フック部
22b、40b 当接突起
23 支持軸
24 係合ピン
25、44 ばね部材
26 ロック解除選択部材
29 切込み部
30 非ロック解除部
31 ロック解除部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍵盤部が設けられた楽器本体と、
この楽器本体にスライド可能に設けられて前記鍵盤部を開閉可能に覆うと共に、前記楽器本体内にスライドして収納される鍵盤蓋と、
前記楽器本体上に上下方向に回転可能に取り付けられた譜面立て部材と、
この譜面立て部材が前記楽器本体上に横倒して配置された際に前記譜面立て部材を係脱可能に係止し、前記楽器本体内に前記鍵盤蓋が収納された際にこの収納された鍵盤蓋によって前記譜面立て部材に対する係止を解除するロック部材と
を備えていることを特徴とする鍵盤楽器の譜面立て構造。
【請求項2】
前記譜面立て部材は、前記楽器本体上に設けられた固定軸に上下方向に回転可能に取り付けられていると共に、ばね部材によって前記楽器本体上に起立する方向に向けて付勢されていることを特徴とする請求項1に記載の鍵盤楽器の譜面立て構造。
【請求項3】
前記ロック部材は、前記楽器本体内に設けられた支持軸に回転可能に取り付けられ、その一端部に設けられたフック部が前記譜面立て部材を係脱可能に係止し、他端部に設けられた当接突起が前記鍵盤蓋によって押された際に、前記支持軸を中心に回転して前記フック部による前記譜面立て部材に対する係止を解除することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鍵盤楽器の譜面立て構造。
【請求項4】
前記ロック部材は、前記楽器本体内に設けられた保持部材に前記楽器本体の前後方向にスライド可能に取り付けられ、その一端部に設けられたフック部が前記譜面立て部材を係脱可能に係止し、他端部に設けられた当接突起が前記鍵盤蓋によって押された際に、スライドして前記フック部による前記譜面立て部材に対する係止を解除することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鍵盤楽器の譜面立て構造。
【請求項5】
前記ロック部材の前記フック部が前記譜面立て部材を係止する方向に向けて前記ロック部材を付勢するばね部材を備えていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の鍵盤楽器の譜面立て構造。
【請求項6】
前記鍵盤蓋には、前記ロック部材によるロックを解除させるロック解除部と、前記ロック部材によるロックを解除しない非ロック解除部とを有するロック解除選択部材が、前記鍵盤蓋のスライド方向と直交する方向に移動可能に設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の鍵盤楽器の譜面立て構造。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−164459(P2011−164459A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28840(P2010−28840)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】