説明

鍵盤蓋の開閉装置

【課題】 簡単な構造で、鍵盤蓋の開閉操作が容易にでき、且つ楽器全体の小型化をも図ることができる鍵盤蓋の開閉装置を提供する。
【解決手段】 鍵盤蓋10の後端部に設けられた支持軸11と、楽器本体1の後部側面にその後部下側に向けて傾斜した状態で設けられて支持軸11を移動可能にガイドする軸ガイド溝13と、楽器本体1の後端上部に設けられて鍵盤蓋10の開閉動作をガイドする蓋ガイド部17とを備えた。従って、鍵盤蓋10を所定角度に開く際に、蓋ガイド部17によって軸ガイド溝13の第1支点部14に位置する支持軸11を中心に鍵盤蓋10を回動させることができ、また鍵盤蓋10が所定角度に開くと、支持軸11を軸ガイド溝13に沿って斜め後側下部に移動させて第2支点部15に当接させるこができ、この状態で第2支点部15に位置する支持軸11を中心に鍵盤蓋10を開く方向に回動させて斜め後方に傾斜させた状態で起立させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子ピアノなどの鍵盤楽器に用いられる鍵盤蓋の開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鍵盤楽器における鍵盤蓋の開閉装置においては、特許文献1に記載されているように、楽器本体内に設けられた鍵盤部を開閉可能に覆う鍵盤蓋を前蓋と後蓋とに分割し、この分割された前蓋と後蓋とを折り畳み可能に連結すると共に、後蓋を楽器ケース内に設けられたガイドレールに沿って楽器本体内の後部側にスライドさせて収納するように構成したものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−314435号公報 このような鍵盤蓋の開閉装置では、鍵盤楽器を使用しないときに、前蓋と後蓋とを鍵盤部の上側に引き出した状態で、前蓋を後蓋に対して回動させて平坦状に開くことにより、前蓋と後蓋とで鍵盤部の上側を覆い、また鍵盤楽器を使用する際に、前蓋を後蓋上に折り畳んで重ね合わせ、この状態で後蓋を前蓋と共にガイドレールに沿って移動させることにより、鍵盤蓋を楽器本体内の後部側に収納している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の鍵盤蓋の開閉装置においては、鍵盤楽器を使用する際に、前蓋を後蓋上に折り畳んで重ね合わせ、この状態で楽器本体内の後部側に移動させて収納する構成であるから、鍵盤蓋およびその開閉構造が複雑で、鍵盤蓋の開閉作業が面倒であるばかりか、前蓋と後蓋とを折り畳んだ状態で楽器本体内の後部側に収納する構成であるから、楽器本体の奥行きが長くなり、楽器全体が大型化するという問題がある。
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、簡単な構造で、鍵盤蓋の開閉操作が容易にでき、且つ楽器全体の小型化をも図ることができる鍵盤蓋の開閉装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決するために、次のような構成要素を備えている。
請求項1に記載の発明は、楽器本体内に設けられた鍵盤部を開閉自在に覆う鍵盤蓋の開閉装置において、前記鍵盤蓋の後端部に設けられて前記楽器本体内の側面に向けて突出する支持軸と、前記楽器本体内の側面後部にその後部下側に向けて傾斜した状態で設けられて前記支持軸を移動可能にガイドするための軸ガイド部と、前記楽器本体の後端上部に設けられて前記鍵盤蓋の開閉動作をガイドするための蓋ガイド部とを備え、前記軸ガイド部は、その上端部に位置して前記鍵盤蓋を閉じた状態から所定角度に開く際に前記支持軸を回動可能に位置規制する第1支点部と、前記軸ガイド部の下端部に位置して前記鍵盤蓋が前記所定角度に開いて前記支持軸が前記軸ガイド部に沿って斜め後側下部に移動した際に当接して前記支持軸を回動可能に保持し、この状態で前記鍵盤蓋を斜め後方に傾斜させて起立させるための第2支点部とを備えていることを特徴とする鍵盤蓋の開閉装置である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記楽器本体の後端部に、前記鍵盤蓋が前記第2支点部に位置する前記支持軸を中心に開く方向に回動して斜め後方に傾斜した状態で起立した際に、前記鍵盤蓋の後端部が当接するストッパ部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の鍵盤蓋の開閉装置である。
【0008】
請求項3に記載の発明は、前記蓋ガイド部が、前記鍵盤蓋を閉じた状態から前記所定角度に開く際に、前記鍵盤蓋の後部側の内面をガイドしながら前記支持軸を前記軸ガイド部の前記第1支点部に位置規制し、この位置規制された前記支持軸を中心に前記鍵盤蓋を開く方向に回動させるための第1角部と、前記鍵盤蓋が前記所定角度に開いた際に、前記支持軸を前記軸ガイド部に沿って斜め後側下部に移動させて前記軸ガイド部の前記第2支点部に到達させるための傾斜面とを備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鍵盤蓋の開閉装置である。
【0009】
請求項4に記載の発明は、前記蓋ガイド部が、前記鍵盤蓋を斜め後方に傾斜させて起立させた状態から前記鍵盤蓋が前記軸ガイド部の前記第2支点部に位置する前記支持軸を中心に回動して閉じる際に、前記鍵盤蓋の後部側の内面をガイドしながら前記鍵盤蓋を閉じる方向に回動移動させることにより、斜め上方に向けて徐々に押上げられた前記鍵盤蓋の後部側の内面を前記蓋ガイド部の前記傾斜面に対面させるための第2角部を更に備えていることを特徴とする請求項3に記載の鍵盤蓋の開閉装置である。
【0010】
請求項5に記載の発明は、前記鍵盤蓋を前記楽器本体に対して開閉する際に、前記鍵盤蓋の開閉動作を制動するためのダンパ装置を更に備えていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の鍵盤蓋の開閉装置である。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、鍵盤蓋を閉じた状態から所定角度に開く際に、蓋ガイド部によって軸ガイド部の第1支点部に位置する支持軸を中心に鍵盤蓋を回動させることができ、また鍵盤蓋が所定角度に開くと、支持軸を軸ガイド部に沿って斜め後側下部に移動させて軸ガイド部の第2支点部に当接させるこができ、この状態で第2支点部に位置する支持軸を中心に鍵盤蓋を開く方向に回動させて斜め後方に傾斜させた状態で起立させることができる。
【0012】
このため、鍵盤蓋を分割する必要がないので、鍵盤蓋の構造が簡単になり、また鍵盤蓋の支持軸を中心に鍵盤蓋を回動させるだけの操作であるから、鍵盤蓋の開閉操作が容易にでき、且つ楽器本体内に鍵盤蓋を収納する必要がないので、楽器本体の奥行きを短くすることができると共に、楽器本体の厚みをも薄くすることができるほか、楽器本体内のスペースが鍵盤蓋による影響をほとんど受けることがないので、楽器全体の大幅な小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明を適用した鍵盤楽器の実施形態1において要部を分解して示した斜視図である。
【図2】図1の鍵盤楽器において鍵盤蓋が閉じた状態を示した拡大断面図である。
【図3】図2の鍵盤楽器において鍵盤蓋の前部側を持ち上げた状態を示した拡大断面図である。
【図4】図3の鍵盤楽器において鍵盤蓋が第1支点部に位置する支持軸を中心に更に開く方向に回動して所定角度に開いた状態を示した拡大断面図である。
【図5】図4の鍵盤楽器において鍵盤蓋が所定角度に開いて後部下側に向けて支持軸と共に移動した状態を示した拡大断面図である。
【図6】図5の鍵盤楽器において鍵盤蓋が第2支点部に位置する支持軸を中心に開く方向に回動する状態を示した拡大断面図である。
【図7】図6の鍵盤楽器において鍵盤蓋が斜め後方に傾いて起立した状態を示した拡大断面図である。
【図8】図7の鍵盤楽器において鍵盤蓋が閉じる方向に回動することにより、鍵盤蓋が斜め前側上方に向けて徐々に押上げられる状態を示した拡大断面図である。
【図9】この発明を適用した鍵盤楽器の実施形態2において要部を分解して示した斜視図である。
【図10】図9の鍵盤楽器におけるダンパ装置を示した要部の拡大図である。
【図11】図9の鍵盤楽器において鍵盤蓋が第1支点部に位置する支持軸を中心に回動する際におけるダンパ装置の動作状態を示した拡大図である。
【図12】図11の鍵盤楽器において鍵盤蓋が第2支点部に位置する支持軸を中心に回動する際におけるダンパ装置の動作状態を示した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施形態1)
以下、図1〜図8を参照して、この発明を鍵盤楽器に適用した実施形態1について説明する。
この鍵盤楽器は、図1および図2に示すように、楽器本体1を備えている。この楽器本体1は、左右両側に位置して脚部を兼ねる一対の側板2(図1および図2では一方のみを示す)と、この一対の側板2間における上部側に設けられた底板3と、この底板3の前端部(図2では右側部)に起立して設けられた前板4と、底板3の後端部(図2では左側部)に起立して設けられた背面板5とを備えている。
【0015】
これにより、この楽器本体1は、その上部が開放された構成になっている。この楽器本体1の内部には、図1および図2に示すように、鍵盤部6が設けられている。この鍵盤部6は、楽器本体の底板3上に配置された鍵盤シャーシ7と、この鍵盤シャーシ7上に上下方向に回動可能に配列された複数の鍵8と、この複数の鍵8の押鍵操作に応じて各鍵8にそれぞれアクション荷重を付与する複数のハンマー部材9と、複数の鍵8の各押鍵操作に応じてそれぞれスイッチ信号を出力するスイッチ部SWとを備えている。
【0016】
この場合、複数の鍵8は、図1および図2に示すように、白鍵および黒鍵からなり、これらが音階順に複数配列された構成になっている。複数のハンマー部材9は、図2に示すように、複数の鍵8の下側にそれぞれ対応した状態で、鍵盤シャーシ7にそれぞれ回動可能に取り付けられ、各鍵8の押鍵操作に応じてそれぞれ押し下げられる際に、各ハンマー部材9がその重量に抗してそれぞれ回動することにより、各鍵8にそれぞれアクション荷重を付与するように構成されている。
【0017】
また、この楽器本体1の上部には、図1および図2に示すように、鍵盤部6を覆って楽器本体1の上部を塞ぐ鍵盤蓋10が開閉自在に設けられている。すなわち、この鍵盤蓋10の後部両側には、一対の支持軸11がそれぞれ取付部材12を介して取り付けられている。この支持軸11は、鍵盤蓋10の後部両側から側方に突出した状態で、楽器本体1の両側に位置する一対の側板2における各内面の上部(図1および図2では一方のみを示す)に位置する箇所にそれぞれ対応するように構成されている。
【0018】
この側板2の内面上部には、図1および図2に示すように、支持軸11の先端部が挿入することにより、その支持軸11を移動可能にガイドする軸ガイド溝13が、後部下側(図2では左下側)に向けて傾斜した状態で、ほぼ直線的に設けられている。この軸ガイド溝13には、支持軸11を回転可能に位置規制するための第1支点部14と第2支点部15とが設けられている。第1支点部14は、軸ガイド溝13の上端部に位置し、鍵盤蓋10を閉じた状態から図4に示す所定角度θ(例えば50°前後)に開く際に、支持軸11を回転可能に位置規制するように構成されている。
【0019】
第2支点部15は、図1および図2に示すように、軸ガイド溝13の下端部に位置し、鍵盤蓋10が図5に示す所定角度θ(例えば50°前後)に開いて支持軸11が軸ガイド溝13に沿って斜め後側下部(図5では斜め左下側)に移動した際に、図6および図7に示すように、支持軸11が当接し、この状態で支持軸11を回転可能に保持して鍵盤蓋10を斜め後方(図7では斜め左上側)に傾斜させた状態で起立させるように構成されている。
【0020】
この場合、楽器本体1の上部、つまり背面板5の後面上部には、図2および図7に示すように、鍵盤蓋10が第2支点部15に位置する支持軸11を中心に開く方向に回動して斜め後方に傾斜した状態で起立した際に、鍵盤部10の後端部10aが当接するストッパ部16が設けられている。また、楽器本体1の後端上部、つまり背面板5の後端上部(図2では左端上部)における両側には、図1および図2に示すように、鍵盤蓋10の開閉動作を規制しながらガイドするための一対の蓋ガイド部17が設けられている。
【0021】
この蓋ガイド部17は、図3および図4に示すように、鍵盤蓋10が閉じた状態から開く際に、鍵盤蓋10の後部側の内面(図3では下面)をガイドしながら支持軸11を軸ガイド溝13の第1支点部14に位置規制し、この位置規制された支持軸11を中心に鍵盤蓋10を開く方向(図3では反時計回り)に回動させ、図4に示すように、鍵盤蓋10が所定角度θ(例えば50°前後)に開いた際に、支持軸11を軸ガイド溝13に沿って斜め後側下部(図5では斜め左下側)に移動させ、図6に示すように、支持軸11を軸ガイド溝13の第2支点部15に到達させるように構成されている。
【0022】
また、この蓋ガイド部17は、図8に示すように、鍵盤蓋10が斜め後方(図8では斜め左上側)に傾斜して起立した状態から、鍵盤蓋10が軸ガイド溝13の第2支点部15に位置する支持軸11を中心に回転して閉じる際に、鍵盤蓋10の後部側の内面をガイドしながら鍵盤蓋10を閉じる方向(図8では時計回り)に回動移動させることにより、斜め上方に向けて徐々に押上げられた鍵盤蓋10の後部側の内面を傾斜面17cに対面させ、支持軸11を軸ガイド溝13の第2支点部15から第1支点部14に向けて移動可能な状態にするように構成されている。
【0023】
すなわち、この蓋ガイド部17は、図2〜図8に示すように、鍵盤蓋10の後部側の内面がほぼ水平な状態で当接する水平部17aと、鍵盤蓋10を開閉する際に鍵盤蓋10の後部側の内面をガイドしながら回動移動させるための上側角部17bと、鍵盤蓋10を上下方向に向けて斜めに移動させるための傾斜面17cと、鍵盤蓋10を開閉する際に鍵盤蓋10の後部側の内面をガイドしながら回動移動するためのほぼ円弧状の下側角部17dとを備えている。
【0024】
水平部17aは、図2に示すように、鍵盤蓋10が鍵盤部2を覆って閉じた状態のときに、鍵盤蓋10の後部側の内面(図2では下面)がほぼ水平な状態で当接して、鍵盤蓋10の後部側を支持するように構成されている。この場合、鍵盤蓋10は、図2に示すように、その前側部が側板2の内面に設けられた前受部2aによって支持されることにより、楽器本体1の上部に配置されて鍵盤部6を覆うように構成されている。
【0025】
上側角部17bは、図3および図4に示すように、鍵盤蓋10が鍵盤部2を覆って閉じた状態から開く際に、鍵盤蓋10の後部側の内面をガイドしながら支持軸11を軸ガイド溝13の第1支点部14に位置規制し、この位置規制された支持軸11を中心に鍵盤蓋10を開く方向(図4では反時計回り)に回動させるように構成されている。また、この上側角部17bは、鍵盤蓋10を閉じる際にも、ほぼ同様に機能する。
【0026】
傾斜面17cは、図4および図5に示すように、鍵盤蓋10が所定角度θ(例えば50°前後)に開いた際に、鍵盤蓋10の内面(図4では下面)がほぼ平行な状態になることにより、鍵盤蓋10を斜め後側下部(図5では斜め左下側)に向けて移動させると共に、支持軸11を軸ガイド溝13に沿って斜め後側下部に移動させるように構成されている。
【0027】
この傾斜面17cは、図4および図5に示すように、その傾斜角度が鍵盤蓋10の所定の開き角度(例えば50°前後の所定角度θ)とほぼ同じか、それよりも少し小さい角度で傾斜している。これにより、傾斜面17cは、支持軸11が軸ガイド溝13に沿って斜め後側下部(図4では斜め左下側)に移動する際に、鍵盤蓋10の後部側の内面がほとんど接触せずに鍵盤蓋10を斜め後側下部に移動させるように形成されている。
【0028】
すなわち、この傾斜面17cは、図2に示すように、上側角部17b側に位置する上部と第1支点部14との距離L1が、支持軸11と鍵盤蓋10の内面との距離Lよりも少し小さく(L1<L)形成されていると共に、下側角部17d側に位置する下部と第2支点部15との距離L2よりも少し小さく(L1<L2)形成されている。また、下側角部17d側に位置する下部と第2支点部15との距離L2は、支持軸11と鍵盤蓋10の内面との距離Lとほぼ同じか、それよりも少し小さく(L2≦L)形成されている。
【0029】
これにより、鍵盤蓋10は、図4および図5に示すように、所定角度θに開いた状態で第1支点部14に位置する支持軸11を中心に回動する際に、支持軸11と鍵盤蓋10の内面との距離Lが上側角部17b側に位置する上部と第1支点部14との距離L1よりも大きく、且つ下側角部17d側に位置する下部と第2支点部15との距離L2が上側角部17b側に位置する上部と第1支点部14との距離L1よりも大きいことにより、鍵盤蓋10が傾斜面17cにほとんど接触せずに斜め後側下部に向けて移動するように構成されている。
【0030】
一方、下側角部17dは、図6〜図8に示すように、第2支点部15に位置する支持軸11を中心に鍵盤蓋10が開く方向(図7では反時計回り)に回動する際に、鍵盤部10の後部側の内面(図7では右側面)をガイドしながら鍵盤蓋10を回動させて、鍵盤蓋10の後部側の内面を楽器本体1のストッパ部16に当接させるように構成されている。
【0031】
また、この下側角部17dは、図8に示すように、鍵盤蓋10の後部側の内面が楽器本体1のストッパ部16に当接して鍵盤蓋10が斜め後方(図8では斜め左上側)に傾斜して起立した状態から、第2支点部15に回転可能に保持された支持軸11を中心に、鍵盤蓋10を閉じる方向(図8では時計回り)に回動させる際に、鍵盤蓋10の後部側の内面をガイドしながら、斜め上方に向けて徐々に押上げられた鍵盤蓋10の後部側の内面を蓋ガイド部17の傾斜面17cに対面させるように構成されている。
【0032】
これにより、鍵盤蓋10は、図8に示すように、第2支点部15に位置する支持軸11を中心に閉じる方向(図8では時計回り)に回動すると、斜め上方に向けて徐々に押上げられ、鍵盤蓋10の後部側の内面が蓋ガイド部17の傾斜面17cに対面し、この傾斜面17cに沿って斜め上方に移動可能な状態になると共に、支持軸11が軸ガイド溝13の第2支点部15から第1支点部14に向けて移動可能な状態になるように構成されている。
【0033】
すなわち、この鍵盤蓋10は、図5に示すように、鍵盤蓋10の後部側の内面が蓋ガイド部17の傾斜面17cに対面すると、上側角部17b側に位置する上部と第1支点部14との距離L1が、下側角部17d側に位置する下部と第2支点部15との距離L2よりも少し小さく(L1<L2)形成されていることにより、蓋ガイド部17の上側角部17bを中心に閉じる方向に回動可能な状態になり、これにより蓋ガイド部17の上側角部17bを中心に閉じる方向に回動されると、支持軸11を軸ガイド溝13の第2支点部15から第1支点部14に向けて移動させるように構成されている。
【0034】
次に、この鍵盤楽器における鍵盤蓋10の開閉装置の作用について説明する。
鍵盤蓋10を閉じた状態から開く場合には、図3に示すように、鍵盤蓋10の前側を持ち上げる。このときには、図3および図4に示すように、鍵盤蓋10の後部側の内面が蓋ガイド部17の上側角部17bにガイドされるので、支持軸11が軸ガイド溝13の第1支点部14に位置規制され、この位置規制された支持軸11を中心に鍵盤蓋10が開く方向に回動する。
【0035】
そして、図5に示すように、鍵盤蓋10が所定角度θ、例えば50°前後に開くと、鍵盤蓋10の後部側の内面が蓋ガイド部17の傾斜面17cとほぼ平行になるので、支持軸11が軸ガイド溝13に沿って斜め後側下部に向けて移動可能な状態になる。これにより、鍵盤蓋10が斜め後側下部に向けて移動すると共に、支持軸11が軸ガイド溝13に沿って斜め下側に向けて移動し、図6に示すように、支持軸11が第2支点部15に到達して回転可能に保持される。
【0036】
この状態で、図7に示すように、支持軸11を中心に鍵盤蓋10を反時計回りに回動させて、楽器本体1の後部側に向けて傾ける。すると、鍵盤蓋10の後端部10aが背面板5のストッパ部16に当接して、鍵盤蓋10が後方に傾斜した状態で起立する。これにより、鍵盤蓋10が安定した状態で起立して保持され、楽器本体1の上部が開放されて鍵盤部2が露呈するので、鍵盤部2を操作して良好に演奏することができる。
【0037】
一方、鍵盤蓋10を閉じる場合には、図8に示すように、軸ガイド溝13の第2支点部15に位置して保持された支持軸11を中心に、鍵盤蓋10を時計回りに回動させる。このときには、鍵盤蓋10の後部側の内面が蓋ガイド部17の下側角部17dにガイドされながら閉じる方向に向けて回転移動し、鍵盤蓋10が徐々に押上げられる。
【0038】
そして、鍵盤蓋10が所定角度θ、例えば50°前後に傾くと、鍵盤蓋10の後部側の内面が蓋ガイド部17の傾斜面17cに対面する。これにより、鍵盤蓋10の後部側の内面が蓋ガイド部17の傾斜面17cに沿って斜め上方に向けて移動可能な状態になると共に、支持軸11が軸ガイド溝13に沿って第2支点部15から第1支点部14に向けて斜め上方に移動可能な状態になる。
【0039】
また、このときには、鍵盤蓋10の後部側の内面が蓋ガイド部17の傾斜面17cに対面することにより、蓋ガイド部17の上側角部17bを中心に、鍵盤蓋10が閉じる方向に回動可能な状態になる。このため、上側角部17bを中心に鍵盤蓋10を閉じる方向に回動させると、鍵盤蓋10が徐々に前側に移動しながら、支持軸11を自動的に軸ガイド溝13に沿って第2支点部15から第1支点部14に向けて斜め上方に移動させる。
【0040】
そして、鍵盤蓋10が閉じる方向に回動して、支持軸11が第1支点部14に到達すると、図4に示すように、鍵盤蓋10の後部側の内面が蓋ガイド部17の上側角部17bにガイドされる状態になるので、支持軸11が第1支点部14に位置規制され、この位置規制された支持軸11を中心に鍵盤蓋10が閉じる方向に回動可能な状態になる。この状態で、鍵盤蓋10を更に閉じる方向に回動させると、図2に示すように、鍵盤蓋10が楽器本体1の上部に配置されて鍵盤部6を覆った状態で楽器本体1の上部を塞ぐ。
【0041】
このように、この鍵盤蓋10の開閉装置では、鍵盤蓋10を閉じた状態から所定角度θに開く際に、蓋ガイド部17によって支持軸11が軸ガイド溝13の第1支点部14に位置規制され、この位置規制された支持軸11を中心に鍵盤蓋10を回動させることができる。また、鍵盤蓋10が所定角度θに開くと、鍵盤蓋10を斜め後側下部に向けて移動させることができると共に、支持軸11を軸ガイド溝13に沿って斜め後側下部に向けて移動させて軸ガイド溝13の第2支点部15に当接させることができる。この状態で、第2支点部15に位置する支持軸11を中心に鍵盤蓋10を開く方向に回動させることにより、鍵盤蓋10を斜め後方に傾斜させた状態で起立させることができる。
【0042】
このため、この鍵盤蓋10の開閉装置によれば、鍵盤蓋10を前蓋と後蓋とに分割する必要がないので、鍵盤蓋10の構造が簡単になり、また鍵盤蓋10の支持軸11を中心に鍵盤蓋10を回動させるだけの操作であるから、鍵盤蓋10の開閉操作が容易にでき、且つ楽器本体1内に鍵盤蓋10を収納する必要がないので、楽器本体1の奥行きを短くすることができると共に、楽器本体1の上下方向の厚みを薄くすることができるほか、楽器本体1内のスペースが鍵盤蓋10による影響をほとんど受けることがないので、楽器全体を大幅に小型化することができる。
【0043】
この場合、楽器本体1の後端部つまり背面板5の後面上部には、鍵盤蓋10が第2支点部15に位置する支持軸11を中心に回動して斜め後方に傾斜した状態で起立した際に、鍵盤部10の後端部10aが当接するストッパ部16が設けられているので、鍵盤蓋10が第2支点部15に位置する支持軸11を中心に回動して斜め後方に傾斜した状態で起立しても、ストッパ部16によって安定した状態で鍵盤蓋10を後方に傾けて起立させることができる。
【0044】
また、蓋ガイド部17は、鍵盤蓋10が鍵盤部2を覆った状態から開く際に、鍵盤蓋10の後部側の内面をガイドするための上側角部17bを備えているので、この上側角部17bによって支持軸11を軸ガイド溝13の第1支点部14に位置規制することができ、この位置規制された支持軸11を中心に鍵盤蓋10を開く方向に回動させることができるので、鍵盤蓋10を開く方向に安定させた状態で円滑に且つ良好に回動させることができる。
【0045】
また、この蓋ガイド部17は、鍵盤蓋10が所定角度に開いた際に、鍵盤蓋10を斜め下側に向けて移動させるための傾斜面17cを備えているので、鍵盤蓋10が所定角度に開いた際に、傾斜面17cに沿って鍵盤蓋10を斜め下側に向けて移動させることができると共に、支持軸11を軸ガイド溝13に沿って斜め後側下部に移動させて軸ガイド溝13の第2支点部15に到達させることができ、これにより鍵盤蓋10を安定した状態で円滑に且つ良好に開くことができる。
【0046】
さらに、この蓋ガイド部17は、鍵盤蓋10が斜め後方に傾斜して起立した状態から鍵盤蓋10が軸ガイド溝13の第2支点部15に位置する支持軸11を中心に回動して閉じる際に、鍵盤蓋10をガイドして蓋ガイド部17の傾斜面17cに対面させるための下側角部17dを更に備えているので、第2支点部15に位置する支持軸11を中心に鍵盤蓋10を閉じる方向に回動させると、鍵盤蓋10が斜め上方に向けて徐々に押上げられて、鍵盤蓋10の後部側の内面を蓋ガイド部17の傾斜面17cに対面させることができる。
【0047】
このため、鍵盤蓋10が斜め後方に傾斜して起立した状態で、誤って鍵盤蓋10が軸ガイド溝13の第2支点部15に位置する支持軸11を中心に閉じる方向に回動して、鍵盤蓋10が楽器本体1の前側に向けて傾いても、鍵盤蓋10の後部側の内面を蓋ガイド部17の傾斜面17cに当接させることができるので、鍵盤蓋10が勝手に楽器本体1の上部に倒れるのを防ぐことができ、これにより安全性の高いものを提供することができる。
【0048】
また、鍵盤蓋10の後部側の内面が蓋ガイド部17の傾斜面17cに対面した際には、蓋ガイド部17の傾斜面17cの上部に位置する上側角部17bが、鍵盤蓋10を閉じる方向にガイドする状態になるので、上側角部17bを中心に鍵盤蓋10を閉じる方向に回動させると、鍵盤蓋10が徐々に前側に移動しながら、支持軸11を自動的に軸ガイド溝13に沿って第2支点部15から第1支点部14に向けて移動させることができる。これにより、鍵盤蓋10を閉じる際に鍵盤蓋10を安定した状態で円滑に且つ良好に閉じることができる。
【0049】
(実施形態2)
次に、図9〜図12を参照して、この発明を鍵盤楽器に適用した実施形態2について説明する。なお、図1〜図8に示された実施形態1と同一部分には同一符号を付して説明する。
この鍵盤楽器における鍵盤蓋10の開閉装置は、図10に示すように、鍵盤蓋10を開閉する際に、鍵盤蓋10の開閉動作を制動するダンパ装置20を備えた構成であり、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
【0050】
すなわち、このダンパ装置20は、図9および図10に示すように、ダンパ部材21と、このダンパ部材21内に制動可能に設けられたダンパ軸22と、このダンパ軸22に取り付けられたダンパ歯車23と、鍵盤蓋10の支持軸11に設けられてダンパ歯車23に噛み合う従動歯車24とを備え、ダンパ軸22に負荷を加えてダンパ歯車23の回転を制動することにより、従動歯車24および支持軸11の回転を制動して鍵盤蓋10の開閉動作を制動するように構成されている。
【0051】
この場合、ダンパ部材21は、図9および図10に示すように、楽器本体1の側板2の内面に取付軸26によって上下方向に回動可能に取り付けられた支持アーム部25に取り付けられ、この状態でダンパ歯車23が支持軸11の従動歯車24に噛み合うように構成されている。また、従動歯車24は、扇形状に形成され、鍵盤蓋10に設けられた支持軸11に固定されている。さらに、ダンパ部材21のダンパ軸22と支持軸11とは、図9および図10に示すように、連結部材27によって連結されている。
【0052】
これにより、ダンパ装置20は、図11および図12に示すように、鍵盤蓋10が開閉する際に、その開閉動作に応じて従動歯車24が回転すると、その回転によってダンパ歯車23が制動されながら回転すると共に、鍵盤蓋10の支持軸11が軸ガイド溝13に沿って斜め下側に向けて移動する際に、連結部材27によって保持アーム部25が取付軸26を中心に上下方向に回動することにより、ダンパ歯車23と従動歯車24とが常に噛み合って回転するように構成されている。
【0053】
次に、この鍵盤蓋10の開閉装置の作用について説明する。
鍵盤蓋10を閉じた状態から鍵盤蓋10の前側を持ち上げて開く場合には、図11に示すように、鍵盤蓋10が蓋ガイド部17によってガイドされながら軸ガイド溝13の第1支点部14に位置する支持軸11を中心に回転する。このときには、支持軸11と共に従動歯車24が回転し、その回転がダンパ部材21のダンパ歯車23に伝達され、このダンパ歯車23のダンパ軸22が制動されることにより、鍵盤蓋10の回動動作が制動される。
【0054】
そして、鍵盤蓋10が所定角度θ、例えば50°前後に開くと、実施形態1と同様、鍵盤蓋10の後部側の内面が蓋ガイド部17の傾斜面17cとほぼ平行になるので、鍵盤蓋10が斜め後側下部に向けて移動すると共に、支持軸11が軸ガイド溝13に沿って斜め後側下部に向けて移動する。これにより、支持軸11が軸ガイド溝13の第2支点部15に到達し、この支持軸11が第2支点部15に回転可能に保持される。
【0055】
このときには、図12に示すように、ダンパ歯車23と従動歯車24とが噛み合った状態で、連結部材27が保持アーム部25を下側に向けて移動させる。この状態で、第2支点部15に保持された支持軸11を中心に鍵盤蓋10を反時計回りに回動させて後部側に向けて傾ける。このときにも、支持軸11と共に従動歯車24が回転し、その回転がダンパ部材21のダンパ歯車23に伝達され、このダンパ歯車23のダンパ軸22が制動されることにより、鍵盤蓋10の回動動作が制動される。
【0056】
そして、鍵盤蓋10の後端部10aが背面板5のストッパ部16に当接すると、鍵盤蓋10が後方に傾斜した状態で起立する。これにより、鍵盤蓋10が安定した状態で後方に傾いて起立すると共に、楽器本体1の上部が開放されて鍵盤部2が露呈するので、実施形態1と同様、鍵盤部2を操作して良好に演奏することができる。
【0057】
また、鍵盤蓋10を閉じる場合には、軸ガイド溝13の第2支点部15に保持された支持軸11を中心に、鍵盤蓋10を時計回りに回動させると、図12に示すように、鍵盤蓋10の後部側の内面が蓋ガイド部17の下側角部17dにガイドされて閉じる方向に向けて回転移動する。このときにも、支持軸11と共に従動歯車24が回転し、その回転がダンパ部材21のダンパ歯車23に伝達され、このダンパ歯車23のダンパ軸22が制動されることにより、鍵盤蓋10の回動動作が制動される。
【0058】
この後、鍵盤蓋10が所定角度θ、例えば50°前後に傾くと、鍵盤蓋10の後部側の内面が蓋ガイド部17の傾斜面17cに対面するので、実施形態1と同様、蓋ガイド部17の上側角部17bを中心に、鍵盤蓋10を閉じる方向に回動させると、支持軸11が軸ガイド溝13に沿って第2支点部15から第1支点部14に向けて斜め上方に移動する。このときには、ダンパ歯車23と従動歯車24とが噛み合った状態で、連結部材27が保持アーム部25を上側に向けて移動させる。
【0059】
そして、支持軸11が第1支点部14に到達すると、この第1支点部14に位置する支持軸11を中心に鍵盤蓋10が閉じる方向に回動する。このときにも、支持軸11と共に従動歯車24が回転し、その回転がダンパ部材21のダンパ歯車23に伝達され、このダンパ歯車23のダンパ軸22が制動されることにより、鍵盤蓋10の回動動作が制動される。これにより、図2に示したように、鍵盤蓋10が楽器本体1の上部に配置されるので、鍵盤蓋10が鍵盤部2を覆った状態で楽器本体1の上部を塞ぐ。
【0060】
このように、この鍵盤蓋10の開閉装置によれば、実施形態1と同様の作用効果があるほか、鍵盤蓋10を開閉する際に、鍵盤蓋10の開閉動作を制動するためのダンパ装置20を備えているので、鍵盤蓋10を開閉する際に、ダンパ装置20によって鍵盤蓋10が急激に開閉動作するのを防ぐことができるので、実施形態1よりも安全に鍵盤蓋10を開閉することができる。
【0061】
すなわち、ダンパ装置20は、ダンパ部材21と、このダンパ部材21内に制動可能に設けられたダンパ軸22と、このダンパ軸22に取り付けられたダンパ歯車23と、鍵盤蓋10の支持軸11に設けられてダンパ歯車23に噛み合う従動歯車24とを備えているので、ダンパ軸22に負荷を加えてダンパ歯車23の回転を制動することにより、従動歯車24および支持軸11の回転を制動することができ、これにより鍵盤蓋10の回動動作を確実且つ良好に制動することができる。
【0062】
なお、前述した実施形態2では、鍵盤蓋10を開くときにも閉じるときにも、ダンパ装置20が鍵盤蓋10の回動動作を制動するように構成した場合について述べたが、これに限らず、鍵盤蓋10を閉じるときにダンパ装置20が鍵盤蓋10の回動動作を制動するように、ダンパ部材21のダンパ軸22に一方向のみの負荷を加えた構成にしても良い。このように構成すれば、鍵盤蓋10を閉じるときに鍵盤蓋10の回動動作を制動することができるので、閉じるときに鍵盤蓋10を安全に閉じることができると共に、鍵盤蓋10を軽い力で容易に開くことができ、これにより使い勝手の良いものを提供することができる。
【0063】
また、前述した実施形態2では、ダンパ装置20が鍵盤蓋10の支持軸11の回転動作を制動するように構成した場合について述べたが、これに限らず、例えば取付軸26を中心に支持アーム部25が上下方向に回動する際に、その支持アーム部25の上下方向の回動を制動するためのばね部材などのダンパ部材を設けて、鍵盤蓋10の支持軸11が軸ガイド溝13に沿って移動して鍵盤蓋10が上下方向に斜めに移動する際に、その移動動作をも制動するように構成しても良い。
【0064】
さらに、前述した実施形態1、2では、鍵盤蓋10の支持軸11をガイドする軸ガイド溝13が後部下側に向けて直線的に傾斜し、これに伴って蓋ガイド部17の傾斜面17cも平面的に形成されている場合について述べたが、これに限らず、軸ガイド溝を後部側に向けて凸となるように湾曲させて形成し、これに伴って蓋ガイド部17の傾斜面17cも後側に向けて凸となる湾曲面に形成した構成であっても良い。このように構成すれば、鍵盤蓋10の支持軸11が軸ガイド溝に沿って移動する際に、鍵盤蓋10を円滑に且つ良好に移動させることができる。
【0065】
さらに、前述した実施形態1、2では、押鍵操作時に各鍵8にそれぞれアクション荷重を付与する複数のハンマー部材9を備えた鍵盤楽器に適用した場合について述べたが、必ずしもハンマー部材9を備えた鍵盤楽器である必要はなく、ハンマー部材9を用いない簡易型の鍵盤楽器にも広く適用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 楽器本体
2 側板
3 底板
4 前板
5 背面板
6 鍵盤部
10 鍵盤蓋
10a 鍵盤蓋の後端部
11 支持軸
13 軸ガイド溝
14 第1支点部
15 第2支点部
16 ストッパ部
17 蓋ガイド部
17a 水平部
17b 上側角部
17c 傾斜面
17d 下側角部
20 ダンパ装置
21 ダンパ部材
22 ダンパ軸
23 ダンパ歯車
24 従動歯車
25 支持アーム部
27 連結部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽器本体内に設けられた鍵盤部を開閉自在に覆う鍵盤蓋の開閉装置において、
前記鍵盤蓋の後端部に設けられて前記楽器本体内の側面に向けて突出する支持軸と、前記楽器本体内の側面後部にその後部下側に向けて傾斜した状態で設けられて前記支持軸を移動可能にガイドするための軸ガイド部と、前記楽器本体の後端上部に設けられて前記鍵盤蓋の開閉動作をガイドするための蓋ガイド部とを備え、
前記軸ガイド部は、その上端部に位置して前記鍵盤蓋を閉じた状態から所定角度に開く際に前記支持軸を回動可能に位置規制する第1支点部と、前記軸ガイド部の下端部に位置して前記鍵盤蓋が前記所定角度に開いて前記支持軸が前記軸ガイド部に沿って斜め後側下部に移動した際に当接して前記支持軸を回動可能に保持し、この状態で前記鍵盤蓋を斜め後方に傾斜させて起立させるための第2支点部とを備えていることを特徴とする鍵盤蓋の開閉装置。
【請求項2】
前記楽器本体の後端部には、前記鍵盤蓋が前記第2支点部に位置する前記支持軸を中心に開く方向に回動して斜め後方に傾斜した状態で起立した際に、前記鍵盤蓋の後端部が当接するストッパ部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の鍵盤蓋の開閉装置。
【請求項3】
前記蓋ガイド部は、前記鍵盤蓋を閉じた状態から前記所定角度に開く際に、前記鍵盤蓋の後部側の内面をガイドしながら前記支持軸を前記軸ガイド部の前記第1支点部に位置規制し、この位置規制された前記支持軸を中心に前記鍵盤蓋を開く方向に回動させるための第1角部と、前記鍵盤蓋が前記所定角度に開いた際に、前記支持軸を前記軸ガイド部に沿って斜め後側下部に移動させて前記軸ガイド部の前記第2支点部に到達させるための傾斜面とを備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鍵盤蓋の開閉装置。
【請求項4】
前記蓋ガイド部は、前記鍵盤蓋が斜め後方に傾斜して起立した状態から前記鍵盤蓋が前記軸ガイド部の前記第2支点部に位置する前記支持軸を中心に回動して閉じる際に、前記鍵盤蓋の後部側の内面をガイドしながら前記鍵盤蓋を閉じる方向に回動移動させることにより、斜め上方に向けて徐々に押上げられた前記鍵盤蓋の後部側の内面を前記蓋ガイド部の前記傾斜面に対面させるための第2角部を更に備えていることを特徴とする請求項3に記載の鍵盤蓋の開閉装置。
【請求項5】
前記鍵盤蓋を前記楽器本体に対して開閉する際に、前記鍵盤蓋の開閉動作を制動するためのダンパ装置を更に備えていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の鍵盤蓋の開閉装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−286634(P2010−286634A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−139905(P2009−139905)
【出願日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】