説明

鏡像異性的に富化されたα,ω−アミノアルコール誘導体、その製造および昆虫およびダニ忌避剤としての使用

本発明は、式(1)(式中、Xは水素、COR11またはR13を表し、R13はC−Cアルキルを表し、Rは、C−Cアルキル、C−CアルケニルまたはC−Cアルキニルを表し、R、R11、R13は同一かまたは異なり、かつC−CアルキルまたはC−Cアルケニルを表し、R〜Rは同一かまたは異なり、かつ水素またはC−Cアルキルを表し、但し、RおよびRまたはRおよびRまたはRおよびRまたはRおよびRがさらに、それらが結合する原子と共に5員または6員単環式環を形成してもよい)の少なくとも1種類の鏡像異性的に富化された置換α,ω−アミノアルコール誘導体の含有によって特徴付けられる、昆虫およびダニ忌避剤に関する。前記薬剤を製造する方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昆虫およびダニ忌避剤としての鏡像異性的に富化された置換α,ω−アミノアルコール誘導体の製造および使用に関する。本発明はさらに、新規な置換α,ω−アミノアルコール誘導体を提供する。
【0002】
昆虫またはダニ忌避剤は、有害または厄介な節足動物が引き寄せられる表面、例えば動物および人の皮膚において、該表面がかかる忌避剤で予め処置されている場合に、それら節足動物が触れ、さらには刺し、吸血し、または刺咬するのを防ぐ役割を有する。
【背景技術】
【0003】
既に多くの活性成分が忌避剤として提案されている(例えば、非特許文献1を参照)。
【0004】
長い間使用されている、特によく知られている例は、N,N−ジエチル−3−メチルベンズアミド(DEET)、ジメチルフタレートおよび2−エチルヘキサン−1,3−ジオールであり、特にDEETは実際にかなりの重要性を獲得している(例えば、非特許文献2を参照)。
【0005】
公知の忌避剤の著しい不利点は時として、その作用持続時間が比較的短いことである(数時間のみ)。
【0006】
以下の式(1)によって定義される化合物の一部は、そのラセミ化合物の形で知られている(この論題については、特許文献1の第2欄、式1(R=メチルで定義される)を参照のこと)。これは、鎮静薬として使用され(この論題については、特許文献2、P43の化合物No.37参照)、抗生作用化合物を製造するための中間体としての役割を果たす、エチルN−(3−カルバモイルオキシアルキル)カルバメートを製造するための中間体である。
【0007】
同様に、特許文献3に、薬物として使用される、類似の構造のいくつかの化合物が開示されている。
【0008】
しかしながら、これらの化合物の昆虫およびダニ忌避作用は、今まで知られていない。
【0009】
式(1)
【化1】

[式中、
Xは、水素、COR11またはR13であり、但しR13はC−Cアルキルであり、
は、分岐状または直鎖状C−Cアルキル、C−CアルケニルまたはC−Cアルキニルであり、
は、C−CアルキルまたはC−Cアルケニルであり、
〜Rは、同一かまたは異なり、かつそれぞれが水素またはC−Cアルキルであり、但し、RおよびRまたはRおよびRまたはRおよびRまたはRおよびRがさらに、それらが結合する原子と共に5員または6員単環式環を形成してもよい]
の置換α,ω−アミノアルコール誘導体は、化学合成(特許文献4)で得られる個々の鏡像異性体のそのラセミ混合物の形でも知られている。
【0010】
さらに有効な昆虫およびダニ忌避剤を提供することが発明の目的であった。
【0011】
式1のこれらのアミノアルコールの個々の光学異性体は、昆虫およびダニ忌避剤として異なる作用を有することが現在判明している。
【0012】
ラセミ異性体混合物の形で使用される場合でさえ、これらは強い昆虫およびダニ忌避作用を示す。
【0013】
光学異性体で存在するすべての物質の場合と同様に、個々の鏡像異性体の生物学的作用はかなり異なるため、個々の光学異性体を製造し、かつその生物活性を確認することは有利であると考えられる。
【0014】
したがって最も有効な異性体を、富化された形または鏡像異性的に富化された形で製造することができ、より有効な昆虫およびダニ忌避剤として市販することができる。この手順の利点は、使用量の有意な低減および効果が低いまたは効果のない異性体の「除外」である。これによって、鏡像異性体混合物と比較して、効率の増加に加えて、より大きな不要な副作用を有する可能性を有する効果のない異性体が使用されないようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】独国特許第1 288 587号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0 144 825 A1号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第1 150 973号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第A 289 842号明細書
【特許文献5】欧州公開第2005/049570号パンフレット
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】K.H.Buechel in Chemie der Pflanzenschutz− und Schaedlingsbekampfungsmittel;[Chemistry of Crop Protectants and Pesticides];editor:R.Wegler,vol.1,Springer Verlag Berlin,Heidelberg,New York,1970,p.487ff.
【非特許文献2】R.K.Kocker,R.S.Dixit,C.I.Somaya;Indian J.Med.Res.62,1(1974)
【非特許文献3】C.Ferri,Reaktionen der organischen Synthese[Reactions in Organic Synthesis],Georg Thieme Verlag Stuttgart,1978,p.211ff.and 496,497.
【非特許文献4】S.M.Kupchun et al.J.Am.Chem.Soc.82(1960)2616.
【非特許文献5】B.Cesare Ferri,Reaktionen der org.Synthese,Georg Thieme Verlag Stuttgart,1978,p.211ff.または496−497.
【非特許文献6】K.H.Buechel in Chemie der Pflanzenschutz− und Schaedlingsbekaempfungsmittel;editor:R.Wegler,vol.1,Springer Verlag Berlin,Heidelberg,New York,1970,p.487ff.
【非特許文献7】S.M.Kupchan et al.J.Am.Chem.Soc.82(1960)2616.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、昆虫およびダニ忌避剤としての鏡像異性的に富化された置換α,ω−アミノアルコール誘導体の製造および使用に関する。本発明はさらに、新規な置換α,ω−アミノアルコール誘導体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
したがって、本発明は、式(1)
【化2】

[式中、
Xは、水素、COR11またはR13であり、R13は、C−Cアルキルであり、
は、C−Cアルキル、C−CアルケニルまたはC−Cアルキニルであり、
、R11、R13は同一かまたは異なり、かつそれぞれがC−CアルキルまたはC−Cアルケニルであり、
〜Rは同一かまたは異なり、かつそれぞれが水素またはC−Cアルキルであり、但し、RおよびRまたはRおよびRまたはRおよびRまたはRおよびRがさらに、それらが結合する原子と共に5員または6員単環式環を形成してもよい]
の少なくとも1種類の鏡像異性的に富化された置換α,ω−アミノアルコール誘導体の含有を特徴とする、昆虫およびダニ忌避剤を提供する。
【0019】
一般式(1)の化合物は、公知の方法およびプロセスによってラセミ混合物と類似に製造することができる(例えば、非特許文献3を参照)。
【0020】
したがって、公知のプロセス(例えば、(S)−または(R)−2−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン→非特許文献4を参照)によって製造可能な式(2)
【化3】

[式中、
〜Rは、それぞれ、式(1)に規定されたように定義される]
の光学活性α,ω−アミノアルコールを最初に、式(3)
【化4】

(式中、Rは、光学活性ラジカル、例えば(R)−または(S)−s−ブチルであり、そうでなければ式(1)で規定されるように定義される)のそれ自体公知のクロロ炭酸エステルと、任意に酸受容体、例えばトリエチルアミンまたは炭酸カリウムの存在下にて、かつ任意に希釈剤、例えばトルエン、CHCl、テトラヒドロフランまたはアセトニトリルを用いて、温度−40〜110℃で反応させた場合に、式(1)の化合物が得られる。
【0021】
およびRが、それらが結合する原子と共に、6員環(ピペリジン)を形成することができる場合、式(2)のキラルアミノアルコールは、新規な方法によって、相当するピリジンのキラル環水素化により製造することができる(特許文献5を参照)。
【0022】
一般式(1)(Xは水素以外である)の化合物の製造については、第2反応段階において、任意に遊離OH基を有する中間体の単離後に、
式(1)(X=COR11)の化合物を製造するために、式(4)
11COCl (4)
のそれ自体公知のカルボニルクロライドで、または
式(1)(X=R13)の化合物を製造するために、式(6)
13−Y (6)
のアルキルハロゲン化物で、任意に酸受容体、例えばトリエチルアミンまたは炭酸カリウム、または水素化ナトリウムまたはブチルリチウムなどの塩基の存在下にて、任意に希釈剤、例えばトルエン、テトラヒドロフランまたはアセトニトリルを用いて、温度−78〜110℃で更なるアシル化/アルキル化が行われる(式(4)、(6)中、Yは、塩素、臭素またはヨウ素、好ましくは臭素またはヨウ素であり、R11およびR13はそれぞれ上記で定義されるとおりである)。
【0023】
b)式(10)
【化5】

[式中、R〜Rはそれぞれ、式(1)で規定されたように定義され、X’は水素またはR13である]
のそれ自体公知の、または公知のプロセスにより製造可能なα,ω−アミノアルコールまたはα,ω−アミノエーテルを最初に、式(3)のそれ自体公知のクロロ炭酸エステル(光学活性アルキルラジカルRを有する)と、任意に酸受容体、例えばトリエチルアミンまたは炭酸カリウムの存在下にて、または任意に希釈剤、例えばトルエン、CHCl、テトラヒドロフランまたはアセトニトリルを使用して、温度−40〜110℃で反応させた場合にも、式(1)の化合物が得られる。
【0024】
第2反応段階において、式(1)(XはR13または水素ではない)の化合物の製造に関して、任意に遊離OH基を有する中間体を単離した後、式(1)(式中、X=COR11である)の化合物を製造するために、式(4)(式(4)におけるR11は上記で規定されたように定義される)のそれ自体公知のカルボニルクロライドで、任意に酸受容体、例えばトリエチルアミンまたは炭酸カリウムの存在下にて、または任意に希釈剤、例えばトルエン、テトラヒドロフランまたはアセトニトリルを用いて、温度−78〜110℃にて、更なるアシル化が行われる。第3反応段階において、任意に遊離NH基を有する中間体を単離した後、式(11)
−Y’ (11)
(式中、Y’は、塩素、臭素またはヨウ素であり、好ましくは臭素またはヨウ素であり、Rは上記で規定されたように定義される)
のアルキルハロゲン化物で、任意に塩基、例えば水素化ナトリウムまたはブチルリチウムの存在下にて、任意に希釈剤、例えばトルエンまたはテトラヒドロフランを用いて、温度−78〜110℃で更なるN−アルキル化が行われ、式(1)の化合物が製造される。
【0025】
通例の方法によって、例えば、水で希釈された反応混合物から塩化メチレンまたはトルエンで生成物を抽出し、有機相を水で洗浄し、乾燥させ、蒸留することによって、またはいわゆる「初期蒸留」、つまり最後の揮発性成分の生成物を除去するために減圧下で適度な高温に長時間加熱することによって、ワークアップが行われる。
【0026】
溶離剤として、例えばヘキサン:アセトン=7:3を用いて、シリカゲルでのクロマトグラフィーによって、更なる精製を行うことができる。NMRスペクトル、屈折率、融点、Rfまたは沸点を用いて、化合物が特徴付けられる。光学純度は、公知の方法、例えばキラルシフト試薬が添加されるNMRによって、またはキラル担体材料を用いたカラムでのガスクロマトグラフィーによって決定される。
【0027】
本発明は、式(7)
【化6】

[式中、
Xは、水素、COR11またはR13であって、R13はC−Cアルキルであり、
は、C−Cアルキル、C−CアルケニルまたはC−Cアルキニルであり、
、R11、R13は、同一かまたは異なり、かつそれぞれがC−CアルキルまたはC−Cアルケニルであり、
〜Rは、同一かまたは異なり、かつそれぞれが水素またはC−Cアルキルであり、但し、同様にRおよびRまたはRおよびRまたはRおよびRまたはRおよびRがさらに、それらが結合する原子と共に5員または6員単環式環を形成してもよい]
の新規な光学活性置換アミノアルコール誘導体にも関する。
【0028】
これは、以下の置換基の組み合わせa)〜f):
a)X=水素、R=メチルおよびR=t−ブチル
b)X=水素、R=エチル、R=エチル、R=エチル
c)X、R、R、R、R=水素、R、R、R=エチル、R=メチル
d)X、R、R、R=水素、R、R、R、R=エチル、R=メチル
e)X、R、R、R、R=水素、R、R、R、R=エチル
f)X、R、R、R、R=水素、R、R、R=エチル、R=n−プロピル
が除外される。
【0029】
a)それ自体公知の、または公知のプロセス(例えば、非特許文献5を参照)によって製造可能な次式:
【化7】

[式中、
〜Rはそれぞれ、式(7)において規定されたように定義される]
のキラルα,ω−アミノアルコールを最初に、それ自体公知の式(9)
【化8】

[式中、
は、式7において規定されたように定義され、Yは、ハロゲンまたはアミド化反応において通例の脱離基、好ましくは活性化エステルラジカルまたは基である]
の炭酸誘導体と、
【化9】

任意に希釈剤の存在下にて、かつ任意に塩基を添加して反応させた場合に、式(7)の化合物が得られる。
【0030】
一般式(7)(式中、Xは水素以外である)の化合物を製造については、第2反応段階において、任意に遊離OH基を有する中間体を単離した後、式(7)(X=COR11)の化合物を製造するために、それ自体公知の式(4)
11COCl (4)
のカルボニルクロライドで、または式(1)(X=R13)の化合物を製造するために、式(6)
13−Y (6)
のアルキルハロゲン化物で、更なるアシル化/アルキル化が行われ(式(4)、(6)中、Yは、塩素、臭素またはヨウ素、好ましくは臭素またはヨウ素であり、R11およびR13はそれぞれ上記で定義されるとおりである)、その反応は任意に、酸受容体、例えばトリエチルアミンまたは炭酸カリウム、または水素化ナトリウムまたはブチルリチウムなどの塩基の存在下にて、任意に希釈剤、例えばトルエン、テトラヒドロフランまたはアセトニトリルを用いて、温度−78〜110℃にて行われる。
【0031】
b)それ自体公知の、または公知のプロセスによって製造可能な式(12)
【化10】

[式中、
〜Rは、それぞれ、式(7)に規定されたように定義され、X’は水素またはR13であり、R13は任意に置換されているアルキルまたはアルケニルである]
のキラルα,ω−アミノアルコールまたはα,ω−アミノエーテルを最初に、それ自体公知の式(3)のキラルクロロ炭酸エステルと、任意に酸受容体、例えばトリエチルアミンまたは炭酸カリウムの存在下にて、かつ任意に希釈剤、例えばトルエン、CHCl、テトラヒドロフランまたはアセトニトリルを用いて、好ましくは温度−40〜110℃で反応させた場合に、式(7)の化合物が得られる。
【0032】
第2反応段階において、式(7)(XはR13または水素ではない)の化合物の製造については、任意に遊離OH基を有する中間体を単離した後に、式(7)(X=COR11である)の化合物を製造するために、それ自体公知の式(4)(式(4)におけるR11およびR12はそれぞれ、上記で規定されたように定義される)のカルボニルクロライドで、任意に酸受容体、例えばトリエチルアミンまたは炭酸カリウムの存在下にて、任意に希釈剤、例えばトルエン、テトラヒドロフランまたはアセトニトリルを用いて、温度−78〜110℃にて、更なるアシル化が行われる。
【0033】
第3の反応において、任意に遊離NH基を有する中間体を単離した後に、式(7)(式中、Y’は、塩素、臭素またはヨウ素、好ましくは臭素またはヨウ素であり、Rは上記で規定されたように定義される)の化合物を製造するために、式(11)
−Y’ (11)
のアルキルハロゲン化物で、任意に塩基、例えば水素化ナトリウムまたはブチルリチウムの存在下にて、任意に希釈剤、例えばトルエンまたはテトラヒドロフランを用いて、温度−78〜110℃にて、更なるNアルキル化が行われる。
【0034】
通例の方法によって、例えば、水で希釈された反応混合物から塩化メチレンまたはトルエンで生成物を抽出し、有機相を水で洗浄し、乾燥させ、蒸留することによって、またはいわゆる「初期蒸留」、つまり最後の揮発性成分を除去するために減圧下で適度な高温に長時間加熱することによって、ワークアップが行われる。
【0035】
溶離剤として、例えばヘキサン:アセトン=7:3を用いて、シリカゲルでのクロマトグラフィーによって、更なる精製を行うことができる。
【0036】
一般式(7)の新規な光学活性置換α,ω−アミノアルコール誘導体は、強い昆虫およびダニ忌避作用で注目に値する。それらは、他の忌避剤との相乗効果的な混合物で使用することもできる。
【0037】
式(7)で規定されるラジカルは好ましくは、それぞれ以下のとおり定義される。
【0038】
〜R13ラジカルにおけるアルキル基の例としては、メチル、エチル、n−およびi−プロピル、n−、i−、s−およびt−ブチル、n−ペンチルおよびn−ヘキシルが挙げられる。
【0039】
アルケニルの例としては、2−プロペニル、2−ブテニルおよび3−ブチニルが挙げられる。
【0040】
一般式(7)
(式中、Xは水素またはR13であり、R13はC−Cアルキルであり、
は、C−CアルキルまたはC−Cアルケニルであり、
〜Rは同一かまたは異なり、かつそれぞれ水素またはC−Cアルキルであり、
およびRはさらに、それらが結合する原子と共に5員または6員単環式環を形成してもよい)
の化合物が特に好ましい。
【0041】
さらに、式(7)(Rは、C−Cアルキル、C−CアルケニルまたはC−Cアルキニルであり、Xは、水素、COR11またはR13であり、RおよびR11は同一かまたは異なり、かつそれぞれC−Cアルキルであり、R〜Rは同一かまたは異なり、かつそれぞれ水素またはC−Cアルキルであり、R13はC−Cアルキルである)
の化合物が好ましく、以下の置換基の組み合わせa)〜f):
a)X=水素、R=メチルおよびR=t−ブチル、
b)X=水素、R=エチル、R=エチル、R=エチル
c)X、R、R、R、R=水素、R、R、R=エチル、R=メチル
d)X、R、R、R=水素、R、R、R、R=エチル、R=メチル
e)X、R、R、R、R=水素、R、R、R、R=エチル
f)X、R、R、R、R=水素、R、R、R=エチル、R=n−プロピル
が除外される。
【0042】
例えば、S−(+)−2−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジンおよびs−ブチル(R)−(−)−クロロホルメートを出発原料として使用した場合、これらの化合物の反応は、以下の式のスキームによって略述することができる:
【化11】

【0043】
1−[(S)−s−ブチルオキシカルボニル]−2−(S)−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン、1−[(R)−s−ブチルオキシカルボニル]−2−(R)−(+)−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン、1−[(S)−s−ブトキシカルボニル]−2−(R)−(+)−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジンまたは1−[(R)−s−ブチルオキシカルボニル)−2−(S)−(+)−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジンの群からのものであることを特徴とする、式(7)の鏡像異性的に富化された置換α,ω−アミノアルコール誘導体が特に好ましい。1−[(R)−s−ブチルオキシカルボニル)−2−(S)−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジンおよび1−[(R)−s−ブチルオキシカルボニル)−2−(R)−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジンが特に好ましい。
【0044】
一般式(1または7)の忌避剤の作用は長時間効果がある。したがって、この忌避剤は、有害または厄介な吸血昆虫および刺咬昆虫およびダニの忌避に良い成果をあげて使用される。
【0045】
吸血昆虫としては本質的に蚊(例えば、ヤブカ属、イエカおよびハマダラカ属)、スナバエ(フレボトムス)、ヌカカ類(サシバエ属)、ブユ類(ブユ属)、サシバエ(例えば、Stomoxys calcitrans)、ツェツェバエ(ツェツェバエ属)、アブ(アブ属、Haematopota属およびメクラアブ属)、一般的なイエバエ(例えば、Muca domesticaおよびヒメイエバエ)、ニクバエ(例えば、Sarcophaga carnaria)、ハエ幼虫症を引き起こすハエ(例えば、ヒツジキンバエ、Chrysomyia chloropyga、ウシバエ、キスジウシバエ、ヒトヒフバエ、ヒツジバエ、ウマバエ、ラセンウジバエ)、カメムシ(例えば、トコジラミ、ベネズエラサシガメ、ブラジルサシガメ)、シラミ(例えば、ヒトジラミ、ブタジラミ、ウシハジラミ)、シラミバエ(例えば、ヒツジシラミバエ)、ノミ(例えば、ヒトノミ、イヌノミ、ケオプスネズミノミ)およびスナノミ(例えば、Dermatophilus penetrans)が挙げられる。
【0046】
刺咬昆虫としては本質的に、ゴキブリ(例えば、チャバネゴキブリ、ワモンゴキブリ、Blatta orientalis、Supella supellectilium)、甲虫類(例えば、コクゾウムシ、チャイロコメノゴミムシダマシ、オビカツオブシムシ、ジンサンシバンムシ、Anobium punctactum、オウシュウイエカミキリ)、シロアリ(例えば、ヤマトシロアリ)、およびアリ(例えば、トビイロケアリ)が挙げられる。
【0047】
ダニとしては、(例えば、カズキダニ、タネガタマダニ、オウシマダニ、Amblyomma hebreum)、および下位概念におけるダニ(例えば、ヒゼンダニ、ワクモ)が挙げられる。
【0048】
このように、本発明は、昆虫およびダニ忌避のための一般式1の光学活性置換α,ω−アミノアルコール誘導体の製造および使用に関する。
【0049】
本発明はさらに、一般式(1)または(7)の少なくとも1種類の置換α,ω−アミノアルコール誘導体の含有によって特徴付けられる昆虫およびダニ忌避剤に関する。
【0050】
式(1)または(7)の少なくとも1種類の誘導体を含有する本発明の忌避剤は、更なる昆虫忌避剤も含み得る。実際には、通例のすべての忌避剤が本明細書において有用である(例えば、非特許文献6を参照)。
【0051】
忌避剤を組み合わせる場合には、一般式1の置換α,ω−アミノアルコール誘導体を忌避剤カルボキサミド、1,3−アルカンジオールおよびカルボン酸エステルと共に使用することが好ましい。具体的な例としては、N,N−ジエチル−3−メチルベンズアミド(DEET)、2−エチルヘキサン−1,3−ジオール(Rutgers 612)およびジメチルフタレートが挙げられる。
【0052】
本発明に従って使用可能な置換α,ω−アミノアルコール誘導体は、一般式(1)によって特徴付けられる。
【0053】
忌避剤として、一般式(1)
[式中、
Xは水素またはR13であり、R13はC−Cアルキルであり、
は、直鎖状または分岐状C−CアルキルまたはC−Cアルケニルであり、
〜Rは、同一かまたは異なり、かつそれぞれ水素またはC−Cアルキルであり、
およびRは、それらが結合する原子と共に5員または6員単環式環を形成する]
の鏡像異性的に富化された化合物を使用することが好ましい。
【0054】
はC−CアルキルまたはC−Cアルケニルであり、XはCOR11またはR13であり、RおよびR11は同一かまたは異なり、かつそれぞれC−Cアルキルであり、R〜Rは同一かまたは異なり、かつそれぞれ水素またはC−Cアルキルであり、R13はC−Cアルキルである、化合物がさらに好ましい。
【0055】
さらに詳しくは、使用される忌避剤は、一般式(1)(式中、RはC−Cアルキルであり、R、R11およびR13は同一かまたは異なり、かつそれぞれC−Cアルキルであり、R〜Rは水素であり、Xは水素、COR11またはR13であり、R11およびR13はそれぞれ上記で定義されるとおりである)の化合物である。
【0056】
使用される忌避剤はさらに、最も好ましくは、一般式(1)(式中、RはC−Cアルキルであり、RおよびRは、それが結合する原子と共に6員環を形成し、R〜Rはそれぞれ水素であり、Xは水素またはR13であり、R13はC−Cアルキルである)の化合物である。
【0057】
希釈せず使用することができる、または好ましくは希釈して使用することができる、本発明の活性成分は、忌避剤で一般的な配合物に変換することができる。それらは、化粧品に一般的なすべての投与形態で、例えば溶液、エマルジョン、ゲル、軟膏、ペースト、クリーム、粉末、スティック、スプレー缶からのスプレーまたはエアロゾルの形で使用することができる。
【0058】
化粧品以外の分野での使用に関しては、例えば、顆粒、オイルスプレーまたは徐放性配合物に活性成分を組み込むことができる。
【0059】
公知の手法において、本発明の活性成分を溶媒(例えば、キシレン、クロロベンゼン、パラフィン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、水)、担体(例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、アルキルスルホネート、アリールスルホネート)および分散剤(例えば、リグニン、亜硫酸パルプ廃液、メチルセルロース)と混合または希釈することによって、配合物を製造することができる。
【0060】
本発明の活性成分は、互いに混合された配合物で、または他の公知の活性成分(例えば、日焼け止め)との混合物で使用することができる。配合物は一般に、活性成分を0.1〜95質量%、好ましくは0.5〜90質量%含有する。
【0061】
吸血昆虫またはマダニに対して保護するために、本発明の活性成分は、ヒトもしくは動物の皮膚に塗布されるか、あるいは衣料品または他の物品がそれで処理される。本発明の活性成分は、例えば繊維織物、衣料品、包装材料の含浸剤の添加剤として、および艶出し剤、クリーナーおよび窓用クリーナーの添加剤としても適している。
【0062】
以下の配合物および本発明の活性成分の使用の例は、本発明をさらに説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】非水素原子の番号付けを有する、2−(S)−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジニウムα−カンファースルホネートのオルテッププロット(50%)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
[実施例]
A)配合物の実施例
[配合物の実施例1]
本発明の活性成分20部、香料1.5部、イソプロパノール78.5部を混合することによって、皮膚に塗布されるローション状の忌避剤を製造する。イソプロパノールの代わりにエタノールを使用することができる。
【0065】
[配合物の実施例2]
本発明の活性成分のうちの1種類30部、香料1.5部、イソプロパノール68.5部からなる活性成分溶液50%をFrigen 11/12(=噴射剤ガスとしてのハロゲン化炭化水素)50%と配合することによって、スプレー缶調合物として、皮膚にスプレーされるエアロゾル状の忌避剤を製造する。Frigenの代わりに一酸化二窒素またはブタンを使用することができる。
【0066】
[配合物の実施例3]
他のスプレー缶調合物は、本発明の活性成分のうちの1種類20部、香料1部、イソプロパノール79部からなる活性成分溶液40%と、プロパン/ブタン(比15:85)60%とで構成される。
【0067】
以下の活性成分:調合物実施例1、2、3、4による化合物を用いて、配合物の実施例1、2および3に相当する個々の配合物を製造した。
【0068】
忌避剤の試験:
A)モルモットでの忌避試験
試験動物:ネッタイシマカ(成虫)
溶媒:エタノール(99.8%)
【0069】
溶媒100体積部に活性成分3質量部を溶解する。
【0070】
剃られた部分のみに蚊が接触可能なように、背中を50cmの範囲で剃られたモルモットを箱に収容する。その部分を活性成分溶液0.4mlで処置した後に、溶媒が蒸発した後、砂糖水のみ与えられた両方の性別の蚊を収容している、大きさ60×60×60cmのケージにモルモットを入れる。
【0071】
モルモットを刺す蚊の数を10分間観察する。続いて、モルモットを取り出し、1時間後に試験を繰り返し行う。最大9時間、または効果が失われるまで、この実験を行う。
【0072】
【表1】

【0073】
B)ヒトの腕での蚊に対する使用に関する配合物の忌避有効性
活発に刺咬している集団(両方の性別の蚊約1000匹)として、正面に2つの軽い布のゲートを有するケージ(長さ90cm、幅30cm、高さ40cm、ガーゼ製の側壁)に昆虫を入れた。昆虫には砂糖水(10%Dextropur)のみを与えていた。昆虫の年齢は少なくとも7日齢である。昆虫の数は、3日齢の完全に成長した昆虫によって、1週につき2倍となる。
【0074】
未処置の腕を昆虫にさらすことにより、試験の間、継続的に1時間毎に刺咬行動を調べる(選択されたボランティアによって、その他の内標準製品が使用される)。
【0075】
ケージの低照度電気照明は、6am〜6pmまでアクティブであり、6pm〜6amに照明を付ける。温度は25〜27℃であり;大気相対湿度は50〜70%である。
【0076】
被検者の前腕を無香料石鹸で洗い、水ですすぎ、次いでエタノール70%および水30%の溶液ですすぎ、タオルで乾燥させた。
【0077】
被検者の各前腕90cmに試験製品150μl(または150mg)を均一に擦り込んでおく。配合物が乾燥するとすぐに(約5分後)、開口部が完全に、処置表面の上に重なるように、3.1〜8cm(25cm)の開口部を有する袖を腕周りに固定した。袖の開口部の角に同様に、角を刺されないようにするために、幅1cmで試験材料(200μl)を擦り込んでおく。袖の上の部分は、蚊が通り抜けることができないタオルで保護しておく。手はゴム手袋で保護する。
【0078】
布のゲートを通して、ケージに両腕を差し込み、1本の腕当たりの刺咬数(および、必要であれば、腕に止まった数)を3分間の試験時間内に記録する。8時間まで、試験を1時間毎繰り返し行うか、または効果が失われた場合には、前もって試験を終了する(3分以内または2つの連続した試験シーケンスの間に刺咬数3回以上)。各試験は、被験者3〜5名からなる。
【0079】
ラセミ混合物と比較して、本発明の鏡像異性的に富化された化合物の保護時間の増加を表Bに報告する。
【0080】
【表2】

【0081】
B)調合物実施例
[実施例1]
1−[(S)−s−ブチルオキシカルボニル]−2−(S)−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン
(a)2−(S)−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジンカンファースルホネート
エタノール50ml中のdl−2−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン25.5gの溶液をエタノール80ml中の(1S)−(+)−カンファー−10−スルホン酸一水和物64gの溶液に0〜10℃で一滴ずつゆっくりと添加した。混合物を一晩静置し、次いでエタノール25mlを蒸留除去した。冷却した後、ジエチルエーテル600mlで沈殿させた。溶液で濾過し、乾燥キャビネット内で乾燥させた後、融点125〜130℃(文献118〜120)のほぼ無色の固形物86gを得た。次いで、その固形物をエタノール87mlに65℃で溶解し、ほぼ透明な溶液を得て、温かいまま濾過した。母液を一晩、室温に戻し、吸引濾過した。融点137〜145℃を有する、得られた固形物27gを70℃でエタノール60mlに再び溶解した。わずかに濁るまで、混合物をジエチルエーテルと混合し、一晩室温に温めた。沈殿物を吸引濾過で除去した後、融点158〜160℃を有するKBR9527−1 13.7gが得られた。70℃でエタノール30mlに再び溶解し、わずかに濁るまでジエチルエーテルと混合することによって、吸引濾過し、乾燥させた後に、融点168℃を有するd−2−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジンd−10−カンファースルホネート9gが得られた(文献:168°C,非特許文献7を参照)。
【0082】
(b)X線構造解析による絶対配置の決定
飽和アセトン溶液をゆっくりと蒸発させることによって、上記で得られた物質のいくつかの結晶を結晶化した。キラル残基P2を用いて、単斜晶系単位格子によって、提案(1)に相当する構造を有する溶液を得た。最終的な配置は、標準偏差0.04と共にFlackパラメーター−0.03に基づいて、S(C2);R(C5)、R(C11)によって固定される。期待される測定値は、補正に対して0であり、鏡像構造に対して+1であった。
【0083】
オルテップ(Ortep)プロットおよび正確なデータを図1に示す。
【0084】
(c)1−[(S)−s−ブチルオキシカルボニル]−2−(S)−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン
1(a)で得られた(+)−カンファースルホネート3.6g(0.0996mol)を最初に、トルエン50mlに装入した。20℃にて、1N水酸化ナトリウム溶液50ml(0.05mol)を激しく攪拌しながら一滴ずつ添加した。5分間絶え間なく攪拌した後、(S)−(+)−s−ブチルクロロホルメート1.5g(0.01099mol)を20℃で一滴ずつ添加した。攪拌を1時間続け、有機相を除去し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で完全に濃縮する。
【0085】
収量:1−[(S)−s−ブチルオキシカルボニル]−2−(S)−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン1.95g(理論値85%)
[α]D25:−13.2°(CHCl
【0086】
他の鏡像異性体が、以下の経路によって類似の手法で得られた:
2−(R)−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジンの(−)−カンファースルホネートおよびR−(−)−s−ブチルクロロホルメートからの1−[(R)−s−ブチルオキシカルボニル]−2−(R)−(+)−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン
[α]D25:+12.6°(CHCl
(−)−カンファースルホネートおよび(R)−(+)−s−ブチルクロロホルメートからの1−[(S)−s−ブチルオキシカルボニル]−2−(R)−(+)−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン
[α]D25:+49.6°(CHCl
(+)−カンファースルホネートおよび(R)−(−)−s−ブチルクロロホルメートからの1−[(R)−s−ブチルオキシカルボニル]−2−(S)−(+)−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン
[α]D25:−50.6℃(CHCl
【0087】
【表3】

【0088】
【表4】

【0089】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)
【化1】

[式中、
Xは、水素、COR11またはR13であり、R13はC−Cアルキルであり、
は、C−Cアルキル、C−CアルケニルまたはC−Cアルキニルであり、
、R11、R13は、同一かまたは異なり、かつそれぞれがC−CアルキルまたはC−Cアルケニルであり、
〜Rは、同一かまたは異なり、かつそれぞれが水素またはC−Cアルキルであり、但し、RおよびRまたはRおよびRまたはRおよびRまたはRおよびRがさらに、それらが結合する原子と共に5員または6員単環式環を形成してもよい]
の少なくとも1種類の鏡像異性的に富化された置換α,ω−アミノアルコール誘導体の含有を特徴とする、昆虫およびダニ忌避剤。
【請求項2】
式(7)
【化2】

[式中、
Xは、水素、COR11またはR13であり、R13はC−Cアルキルであり、
は、C−Cアルキル、C−CアルケニルまたはC−Cアルキニルであり、
、R11、R13は、同一かまたは異なり、かつそれぞれがC−CアルキルまたはC−Cアルケニルであり、
〜Rは、同一かまたは異なり、かつそれぞれが水素またはC−Cアルキルであり、但し、同様にRおよびRまたはRおよびRまたはRおよびRまたはRおよびRがさらに、それらが結合する原子と共に5員または6員単環式環を形成してもよいが、
以下の置換基の組み合わせa)〜f):
a)X=水素、R=メチルおよびR=t−ブチル
b)X=水素、R=エチル、R=エチル、R=エチル
c)X、R、R、R、R=水素、R、R、R=エチル、R=メチル
d)X、R、R、R=水素、R、R、R、R=エチル、R=メチル
e)X、R、R、R、R=水素、R、R、R、R=エチル
f)X、R、R、R、R=水素、R、R、R=エチル、R=n−プロピル
を除外する]
の鏡像異性的に富化された置換α,ω−アミノアルコール誘導体。
【請求項3】
Xが水素またはR13であり、R13がC−Cアルキルであり、
が、C−CアルキルまたはC−Cアルケニルであり、
〜Rが、同一かまたは異なり、かつそれぞれが水素またはC−Cアルキルであり、
およびRがさらに、それらが結合する原子と共に5員または6員単環式環を形成してもよい、
請求項2に記載の式(7)の鏡像異性的に富化された置換α,ω−アミノアルコール誘導体。
【請求項4】
が、C−Cアルキル、C−CアルケニルまたはC−Cアルキニルであり、
Xが、水素、COR11またはR13であり、
およびR11が、同一かまたは異なり、かつそれぞれがC−Cアルキルであり、
〜Rが、同一かまたは異なり、かつそれぞれが水素またはC−Cアルキルであり
13がC−Cアルキルであるが、
以下の置換基の組み合わせa)〜f):
a)X=水素、R=メチルおよびR=t−ブチル、
b)X=水素、R=エチル、R=エチル、R=エチル
c)X、R、R、R、R=水素、R、R、R=エチル、R=メチル
d)X、R、R、R=水素、R、R、R、R=エチル、R=メチル
e)X、R、R、R、R=水素、R、R、R、R=エチル
f)X、R、R、R、R=水素、R、R、R=エチル、R=n−プロピル
を除外する、請求項2に記載の式(7)の鏡像異性的に富化された置換α,ω−アミノアルコール誘導体。
【請求項5】
1−[(R)−s−ブチルオキシカルボニル]−2−(+)−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン、1−[(R)−s−ブチルオキシカルボニル]−2−(R)−(+)−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン、1−[(S)−s−ブチルオキシカルボニル]−2−(R)−(+)−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジンまたは1−[(R)−s−ブチルオキシカルボニル]−2−(R)−(+)−2−ヒドロキシエチル)ピペリジンの群からのものであることを特徴とする、式(7)の鏡像異性的に富化された置換α,ω−アミノアルコール誘導体。
【請求項6】
一般式(7)
【化3】

[式中、
Xは、水素、COR11またはR13であり、R13はC−Cアルキルであり、
は、C−Cアルキル、C−CアルケニルまたはC−Cアルキニルであり、
、R11、R13は、同一かまたは異なり、かつそれぞれC−CアルキルまたはC−Cアルケニルであり、
〜Rは、同一かまたは異なり、かつそれぞれが水素またはC−Cアルキルであり、但し、同様にRおよびRまたはRおよびRまたはRおよびRまたはRおよびRがさらに、それらが結合する原子と共に5員または6員単環式環を形成してもよいが、
以下の置換基の組み合わせa)〜f):
a)X=水素、R=メチルおよびR=t−ブチル、
b)X=水素、R=エチル、R=エチル、R=エチル
c)X、R、R、R、R=水素、R、R、R=エチル、R=メチル
d)X、R、R、R=水素、R、R、R、R=エチル、R=メチル
e)X、R、R、R、R=水素、R、R、R、R=エチル
f)X、R、R、R、R=水素、R、R、R=エチル、R=n−プロピル
を除外する]
の鏡像異性的に富化された置換α,ω−アミノアルコール誘導体を製造する方法であって、
a)式(8)
【化4】

(式中、R〜Rはそれぞれ、式(7)で規定されたように定義される)
の鏡像異性的に富化されたα,ω−アミノアルコール誘導体を、式(9)
【化5】

(式中、Rは式(7)で定義されるとおりであり、
Yは、ハロゲンまたはアミド反応において一般的な脱離基である)
のキラル炭酸誘導体と、任意に希釈剤の存在下にて、かつ任意に塩基を添加して反応させ、式(7)(Xは水素である)の得られた化合物を任意に単離し、かつ式(7)(XはCOR11である)の化合物を得るために、式(4)
11−COCl (4)
のカルボニルクロライドと任意に反応させるか、あるいは式(7)(XはR13である)の化合物を得るために、式(6)
13−Y (6)
(式中、Yは塩素、臭素またはヨウ素である)
のアルキルハロゲン化物と任意に反応させること;
b)式(12)
【化6】

(式中、R〜Rはそれぞれ、式(7)で規定されたように定義され、X’は水素またはR13であり、R13はC−Cアルキルである)のキラルα,ω−アミノアルコール誘導体またはキラルα,ω−アミノエーテルを最初に、式(9)
【化7】

(式中、Rは、式(7)で規定されたように定義されるキラルラジカルである)のキラルクロロ炭酸エステルと、任意に酸受容体の存在下にて、かつ任意に希釈剤を用いて反応させ、次いで第2反応段階において、任意に遊離OH基を有する中間体(X’=H)を単離した後に、式(7)(X=COR11であり、R11は上記で定義されるとおりである)の化合物を製造するために、式(4)
11COCl(4)
のカルボニルクロライドと反応させ、かつ任意に遊離NH基を有する中間体を単離した後、式(11)
−Y’(12)
[式中、Rは上記で規定されたように定義され、Y’は塩素、臭素またはヨウ素である]
の化合物とも、任意に塩基の存在下にて、かつ任意に希釈剤を用いて反応させること;
を特徴とする、方法。
【請求項7】
式(1)または(7)の鏡像異性的に富化された置換α,ω−アミノアルコール誘導体を、昆虫および/またはダニおよび/またはそれらの生息地に作用させることを特徴とする、昆虫およびダニの防除方法。
【請求項8】
昆虫および/またはダニを防除するための、式(1)または(7)の鏡像異性的に富化された置換α,ω−アミノアルコール誘導体の使用。
【請求項9】
式(1)または(7)の鏡像異性的に富化された置換α,ω−アミノアルコール誘導体が、増量剤および/または界面活性剤と混合されることを特徴とする、昆虫およびダニ忌避剤を製造する方法。

【図1】
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【公表番号】特表2010−507574(P2010−507574A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−532807(P2009−532807)
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際出願番号】PCT/EP2007/061164
【国際公開番号】WO2008/046889
【国際公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(506207853)サルティゴ・ゲーエムベーハー (35)
【Fターム(参考)】