説明

鏡型情報提供装置、情報提供方法、およびプログラム

【課題】 鏡の表面概観が通常の鏡と同等の視覚的特性を示し、鏡内に提示された情報を鏡面に触れることなく操作でき、携帯電話との情報連携が可能である、鏡型情報提供技術を実現する。
【解決手段】 鏡21をハーフミラー11とディスプレイ12で構成し、鏡21の前方を撮像するイメージセンサ13、ネットワーク20に接続するコンピュータ14からなる鏡型情報提供装置であり、コンピュータ14は、イメージセンサ13から入力される映像から、ユーザの携帯端末が送信する光信号の位置、光信号のID等を検出する光信号検出手段15、光信号検出手段15が検出した光信号の位置、光信号のID等に対応する処理を行う制御手段16を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鏡にネットワーク上の情報を提供する機能を付加した技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ユビキタスコンピューティングの研究においては、屋内の壁や家具などに埋め込まれたコンピュータが多様な形で人間の活動を支援するシステムが数多く提案されており、鏡にコンピュータを装着し、鏡内に多様な情報を提示し操作するシステムがいくつか開発されている。
【0003】
例えば、鏡内に仮想的に提示した画像情報を鏡内の自己像の手でポインティングすることにより情報操作を行うシステムが提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。このようなシステムでは、鏡内に提示された画像情報と自己像の位置関係の計算を可能にするため、システム前面を撮影するカメラ映像をディスプレイに表示したビデオミラーを用いている。
【0004】
また、鏡内に複数の映像を重畳して表示できるように、特殊な光学系を用いて構成された鏡型情報提示装置が提案されている(例えば、非特許文献2参照。)。
【非特許文献1】細谷英一、北端美紀、佐藤秀則、原田育夫、野島久雄、森澤文晴、武藤伸一郎、「実世界インタラクションのためのミラーインタフェース」、インタラクション2003論文集、pp.95−96、2003年
【非特許文献2】牛田啓太、田中悠、苗村健、原島博、「鏡メタファに基づくインタラクション/情報環境 i-mirror」、日本バーチャルリアリティ学会論文誌、Vol.8、No.4、pp.421−431、2003年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既存の鏡と同じように利用可能な鏡型情報提供装置を実現するためには、鏡の機能そのものを完全に有していることが重要である。鏡をモチーフとした既存のシステムでは、いずれもビデオミラーまたは通常の鏡とは異なる特殊な光学系を用いている。鏡には極めて特有な視覚効果がある。建物の内装コーディネートにおいてはこの視覚効果を考慮して鏡を配置する場合が多い。したがって、既存の鏡の視覚効果を完全に備えていなければ、それにとって代わって利用できる鏡型情報提供装置とはなり得ない。
【0006】
また、ユーザにとって元来鏡とは見るためだけのものである。一方、鏡内に提示された情報コンテンツをポインティングし情報端末に取得する操作は、従来にない鏡とのインタラクションである。このような特性を有する鏡との新しいインタラクションの実装においては、鏡本来の役割に十分配慮し、適切なユーザインタフェースを設計する必要がある。
【0007】
ユーザの目の前にあるディスプレイをポインティングするには、タッチパネルによる方法が操作性において優れている。しかし、鏡はその本来の用途上、表面に傷や汚れがつくことは望ましくない。このため、鏡表面を直接触れるような操作方法は適切ではない。
【0008】
かかる事情に鑑みて、本発明はなされたもので、その目的は、 (1)鏡の表面概観が通常の鏡と同等の視覚的特性を示し、(2)鏡内に提示された情報を鏡面に触れることなく操作でき、(3)携帯電話との情報連携が可能である、鏡型情報提供技術を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の鏡型情報提供装置では、既存の鏡と同様の表面概観を実現するために、ハーフミラーを用いる。鏡内への情報提示は、ハーフミラーの背面に密着されたディスプレイにより行う。ディスプレイがブラックアウトしている時点では、表面概観は通常の鏡と同等になる。さらに、光信号により鏡内の情報を操作するために、イメージセンサ、光信号検出手段、ネットワークに接続されたコンピュータを具備する。光信号検出手段は、イメージセンサにより入力される映像から光信号の位置とそのIDを検出し、コンピュータが前記光信号検出位置とIDに対応する処理を行う。
【0010】
鏡内の提示情報をユーザが光信号を用いてポインティングするためには、何らかの視覚的フィードバックが必要になる。そのために前記コンピュータは、前記光信号が検出された位置に対応するディスプレイ中の位置にカーソルを提示する処理を行う。
【0011】
また、ユーザが鏡内の提示情報を光信号によりクリックした際に、その関連情報を光信号の発信元になった携帯端末に送信するために、前記光信号により、光信号の発信元である携帯端末を特定するための携帯端末IDを伝達しこれを利用する。
【0012】
すなわち、前記コンピュータは、ネットワーク上の情報コンテンツに対応する複数のサムネイル画像をディスプレイ中に表示しておき、いずれかのサムネイル画像上に対応する位置において携帯端末IDを伝達する光信号が検出された場合に、携帯端末IDによって特定される携帯端末にサムネイル画像に対応する情報(情報コンテンツのURLなど)を送信する。
【0013】
さらに、ユーザが鏡内に任意の画像情報を貼り付けることができるようにするために、光信号が伝達するIDを、所定の情報コンテンツを特定するためのコンテンツIDとしても用いる。
【0014】
この場合、コンピュータは、コンテンツIDを伝達する光信号が検出された場合に、光信号が検出された位置に対応するディスプレイ上の位置に、コンテンツIDによって特定される情報コンテンツのサムネイル画像を表示する。
【0015】
さらに、本発明の鏡型情報提供装置が具備する光信号検出手段は、光信号として、複数の色を用いる色点滅信号を検出するように実装される。例えば、既存携帯端末に具備されるカラーディスプレイを光源として発信できる色相差光信号を検出できるように実装される。
【0016】
これにより、既存携帯端末は、それらに何ら特殊なデバイスを付加することなく、本発明の鏡型情報提供装置に連携される。
【発明の効果】
【0017】
本発明による鏡型情報提供装置は、ハーフミラーとディスプレイを貼り付けた構成とすることにより、表面概観は通常の鏡に相違ない。薄型軽量の液晶ディスプレイを用いることにより、体積も小さく実装でき、十分に屋内の壁などに設置できる。
【0018】
また、鏡内の提示情報の操作に光信号を用いるようにしたことで、鏡面に直接触れること無く操作できる。すなわち、鏡面を汚さずに操作ができる。
【0019】
また、光信号を用いる場合、鏡側には、光信号検出用の小さなイメージセンサを具備すればよく、タッチパネル装置を具備する場合に比べ、装置コスト、小型化の面で有利である。
【0020】
また、光信号として、携帯電話のカラーディスプレイを用いて発信できる色相差を用いた光信号を利用できる。
【0021】
また、一部の携帯電話にもともと具備されている赤外線光源を用いた光信号を利用できる。したがって、既存携帯電話に何ら変更を加えること無く、それらを本発明の鏡型情報提供装置に連携できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(実施形態1)
本発明の鏡型情報提供装置の基本的な構成例を図1に示す。
【0023】
図1に示すように、鏡型情報提供装置はハーフミラー11とディスプレイ12とから構成される鏡21、イメージセンサ13、およびネットワーク20に接続するコンピュータ14によって構成され、コンピュータ14は、光信号検出手段15、制御手段16、メモリ17、画像出力手段18、およびネットワークインタフェース19から構成される。
【0024】
ディスプレイ12の表示部は、ハーフミラー11の背面に密着される。したがって、ハーフミラー11の表面概観はディスプレイ12がブラックアウトした時点では、通常の鏡と相違がない。
【0025】
イメージセンサ13はハーフミラー11とディスプレイ12とからなる鏡21に、鏡21の前方を撮像するように設置される。
【0026】
コンピュータ14は、汎用のパーソナルコンピュータ等が具備する一連のハードウェアおよびソフトウェアを有する。さらに、イメージセンサ13が撮像する映像を処理し、光信号を検出する光信号検出手段を具備する点が特徴である。
【0027】
また、光信号検出手段15はDSP(Digital Signal Processor)などのハードウェアとして実装してもよい。なお、DSPとは、音声や画像などの処理に特化したマイクロプロセッサであり、モデムやパソコンなどに搭載されて所定の処理を高速に行うハードウェアである。また、光信号検出手段15はコンピュータOS上で動作するソフトウェアとしても実装できる。
【0028】
コンピュータ14が有する制御手段16は、ネットワーク20を経由して取得される各種情報コンテンツに対応するサムネイル画像を画像出力手段18によりディスプレイ12に表示する。この結果、鏡21内に各種情報が提示されることになる。さらにコンピュータ14は、光信号検出手段15により検出された光信号に基づき、提示された各種情報に対する処理を行う。
【0029】
図2に実際に開発した鏡型情報提供装置の概観図を示す。図2に示すように、ディスプレイ11およびコンピュータ14を壁に埋め込んだ構成にすることができる。
【0030】
以下に、鏡型情報提供装置の利用について、図面を用いて説明する。
【0031】
(カーソルの提示)
まず、コンピュータ14は、鏡21内に提示した任意のサムネイル画像を光信号によりユーザがポインティングできるように、ユーザがどの位置をポインティングしているかを示すカーソルを鏡21内に提示する。このカーソル提示をコンピュータ14がどのように処理するかを図3を用いて説明する。
【0032】
図3に示すように、ユーザ31は、携帯電話等の携帯端末の光信号の光源32を手元に持ち、ハーフミラー11とディスプレイ12とからなる鏡21に向けて光信号を発信する。この光信号としては、単純な輝度差点滅信号や、色相差を用いて色点滅信号が利用可能である。
【0033】
具体的には、下記の技術1〜4に記載されている光信号を利用できる。
(技術1)松下伸行、日原大輔、後輝行、吉村真一、暦本純一、「ID Cam:シーンとIDを同時に取得可能なスマートカメラ」、情報処理学会論文誌vol.43、No.12、pp.3664−3674、Dec.2002
(技術2)D.J.Moore、R.Want、et al.「Implementing Phicons:Combining Computer Vision with Infrared Technology for Interactive Physical Icon」、Proceedings of ACM UIST’99、Ashville、N.C.、November 8th−10th、pp.67−68、1999
(技術3)青木恒、「カメラで読み取る赤外線タグとその応用」インタラクティブシステムとソフトウェアVIII,pp.131−136,近代科学社、2000
(技術4)宮奥健人、東野豪、外村佳伸、「C−Blink:携帯電話ディスプレイによる色相差光信号マーカ」、インタラクション2004論文集、pp.153−160、2004 。
【0034】
特に、技術4に記載の、色相差光信号方式を利用する場合、光源として携帯端末のカラーディスプレイを利用することができる。
【0035】
イメージセンサ13の入力映像は、まず、光信号処理手段15に送られる。そして、左右反転処理がなされた後、連続する映像フレームを処理し、光信号の位置およびIDを検出する。
【0036】
具体的な処理内容は利用する光信号により異なる。光信号により、それぞれ、技術1〜技術4に記載される処理を行い、位置およびIDを検出する。
【0037】
一方、連続した点滅信号ではなく、所定の形状マーカを提示する光信号も利用できる。例えば、
(技術5)暦本純一、「2次元マトリックスコードを利用した拡張現実感の構成手法」、インタラクティブとソフトウェアIV、pp.199−208、近代科学社、1996
に記載されるような2次元マトリックスコードを光信号として利用することができる。その他にも、IDを一意に識別でき、画像中からその位置を検出可能な特徴形状を有する幾何模様、キャラクター漫画などを光信号として用いることが可能である。
【0038】
上記の手順により、光信号検出手段15により光信号の領域並びに重心若しくは中心座標が検出された後、制御手段16は重心または中心座標に対応するディスプレイ12上の座標にカーソル33を提示する処理を行う。例えば、入力映像のサイズが160×120であり、ディスプレイ12の解像度が1600×1200であれば、映像中の座標(X、Y)に対応するディスプレイ12上の座標とは、(X×10、Y×10)となる。
【0039】
以上の手順をコンピュータ14はリアルタイムに実施する。結果、ユーザが手元の光信号源を動かすと、提示されるカーソルもその動きに応じて移動する。なお、カーソル提示に用いられる光信号は、カーソル用の信号であることを示すIDを伝達する、または、ID情報を含まないものとする。
【0040】
(情報提示の携帯端末への取得)
次に、鏡21内に提示されたサムネイル画像に関連する情報を、光信号の光源となる携帯端末32に取得する機能について説明する。鏡型情報提供装置では、コンピュータ14内で動作する情報提供アプリケーションソフトウェアにより、随時自動的にネットワーク20上の新着情報などが提示される。情報提供アプリケーションソフトウェアとは、いわゆるWebブラウザとそのコンテンツであってよい。また、
(技術6)渡邊恵太、安村通晃、「Memorium:眺めるインターフェースの提案とその試作」、WISS2002論文集、pp.99−104、2002
で提案されているようなユーザに情報の存在を気付かせることを意図した情報表示方法を用いるアプリケーションであってよい。
【0041】
この際に、ディスプレイ14には、図4に示すように、複数のサムネイル画像41が提示される。また、カーソル提示用の光信号が検出された位置にカーソル33が提示される。その結果、図5に示すように鏡21内に情報が提示される。
【0042】
ここで、鏡21内に提示された、サムネイル画像41の一つをクリックし、その関連情報(URL)を光源である携帯端末32に取得する処理について図6を用いて説明する。
【0043】
ユーザ31は、鏡21内に提示されるカーソル33を手元の携帯端末32を動かして所望のサムネイル画像41上へ移動する。そして、携帯端末32上の所定のボタンを押すことにより、携帯端末32を特定するID(携帯端末ID)送信する光信号を発信する。
【0044】
光信号検出手段15は、カーソル提示のための光信号の検出と同様の手順で、携帯端末IDを送信する光信号をイメージセンサ映像中から検出し、その位置座標(領域の重心または中心)と携帯端末IDを制御手段16に通知する。
【0045】
制御手段16は、通知された位置座標に対応するディスプレイ12上座標において携帯端末IDによって特定される携帯端末32によりクリックが発生したこととしてこれを処理する。
【0046】
すなわち、制御手段16によって制御される情報提供アプリケーションソフトウェアは、ディスプレイ12上に複数のサムネイル画像41を表示しており、そのうちの一つのサムネイル画像41上で、携帯端末IDによって特定される携帯端末32によりクリックが発生したというイベントを処理する。
【0047】
ここで、このイベントに伴う処理内容として、情報提供アプリケーションの実装により、より多様な処理を対応づけることができる。
【0048】
クリックされた情報を携帯端末32に取得させる機能を実現するために、制御手段16は下記の処理を行う。
【0049】
まず、制御手段16またはその上で動作する情報提供アプリケーションソフトウェアは、図7に示すような各携帯端末IDに対応した携帯端末アドレスを管理する。そして、上記の手順により、携帯端末IDが検出された場合に、まず、検出位置座標に対応するディスプレイ12上の座標に表示されているサムネイル画像41を検出する。制御手段16または情報提供アプリケーションソフトウェアは、各サムネイル画像に対応するURLも同様に管理しており、携帯端末IDを伝達する光信号によりクリックされたサムネイル画像に対応するURLを携帯端末IDに対応するアドレスにネットワーク20を介して送信する。
【0050】
図7では、各携帯端末アドレスは、e−mailアドレスとして管理されている。したがって、この例では、URL情報はe−mailとして送信される。なお、各携帯端末アドレスをIPアドレスとして管理し、IPパケットとして送信することも可能である。
【0051】
この他にも、利用するネットワーク20のプロトコルに応じたアドレスと送信方式が利用可能である。
【0052】
また、各携帯端末IDに対応する携帯端末アドレス情報は、コンピュータ14そのものが保持せず、ネットワーク上の所定のサーバに保持され、必要に応じて、コンピュータ14がアクセスして利用するように実装されていても良い。
【0053】
(携帯端末から鏡内への情報の貼り付け)
携帯端末32によって鏡21内に画像情報を貼り付ける機能について図8を用いて説明する。図8に示すように、ユーザ31は、鏡21内に提示されるカーソル33を手元の携帯端末32によって動かして、画像情報を貼り付けたい位置へカーソル33を移動させる。そして、携帯端末32上の所定のボタンを押すことにより、画像情報を特定するコンテンツIDを送信する光信号を発信する。
【0054】
光信号検出手段15は、カーソル提示のための光信号の検出と同様の手順で、コンテンツIDを送信する光信号をイメージセンサ13映像中から検出し、その位置座標(領域の重心または中心)とコンテンツIDを制御手段16に通知する。
【0055】
制御手段16は、位置座標に対応するディスプレイ12上の座標においてコンテンツIDによって特定される画像情報を貼り付ける操作が発生したことを検知し、これを処理する。
【0056】
具体的には、図9に示すような、コンテンツIDとサムネイル画像41の対応関係を保持し、コンテンツIDに対応する画像を、コンテンツIDの光信号の検出位置座標に対応するディスプレイ12上の位置に提示する。
【0057】
上述した提示情報の携帯端末32への取得機能および携帯端末32からの鏡21内への情報の貼り付け機能は、基本的に、(技術4)に記載されているディスプレイ12への光信号を用いたインタラクション機能と同じ仕組みにて実装できる。
【0058】
上述の例では、情報の取得貼り付けについて述べたが、鏡21内に通常のWebコンテンツを表示し、光信号によりそのアンカーをクリックするような処理を実装することも可能である。例えば、携帯端末IDを送信する光信号が検出された位置座標に対応するディスプレイ12上の位置座標においていわゆるクリックが発生したものとして処理することにより実装することができる。
【0059】
これらの処理以外にも、光信号を用いたドラッグやダブルクリックなどの操作を実施できるようにコンピュータ14内の光信号検出手段15、制御手段16および制御手段16上のアプリケーションが実装されても良い。
【0060】
基本的に光信号検出手段15は、光信号を利用したポインティングデバイスとして機能することから、その実装は通常のポインティングデバイスにおける処理と同様である。ただし、いずれの操作を行うにしても光信号を用いたことにより、鏡面に触れることなく操作を実施できる。
【0061】
(実施形態2)
図10は、本発明の実施形態2を示す鏡型情報提供装置の構成図である。
【0062】
鏡型情報提供装置はいわゆるホームネットワークシステムの端末として利用されることを前提としている。したがって、図10に示すようなホームネットワークシステムの一部として利用される。
【0063】
図10に示す、鏡型情報提供装置タイプ1は、図1を用いて説明した構成と同等であり、有線LANによりホームサーバ101およびインターネットに接続されている。
【0064】
一方、鏡型情報提供装置タイプ2および鏡型情報提供装置タイプ3は、装置の可搬性の向上、小型化を意図した別の構成を示している。
【0065】
すなわち、鏡型情報提供装置タイプ2は、図1に示した構成に加え、さらに、無線通信手段102を具備し、無線でネットワークに接続される構成となっている。多くの既存鏡は可搬性が有り、家の中の任意の場所に移動し設置できる。そのような通常の鏡と同様の可搬性を実現するための構成である。
【0066】
また、鏡型情報提供装置タイプ3は、さらに小型化を図るために、コンピュータ部分を分離し、ホームサーバ101内に具備させたものである。この構成例では、図1中のコンピュータ14部分は、ホームサーバ101内に取り込まれている。そして、鏡部分は、ハーフミラー11、ディスプレイ12、イメージセンサ13および無線通信手段102から構成され、イメージセンサ13の入力映像とディスプレイ12に出力される画像情報はホームサーバ101との間の通信により送受信される。なお、この構成の場合のコンピュータが具備する手段および処理内容はその入力先が鏡部分との通信手段に換わる他は上述の説明の通りである。
【0067】
なお、本発明に示した装置の一部又は全部の処理機能をプログラムとして構成してコンピュータを用いて実現することができる。また、コンピュータでその各部の処理機能を実現するためのプログラム、あるいはコンピュータにその処理手順を実行させるためのプログラムを、そのコンピュータが読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、MO、ROM、メモリカード、CD、DVD、リムーバブルディスクなどに記録して、保存したり、提供したりすることが可能であり、また、インターネットのような通信ネットワークを介して配布したりすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】鏡型情報提供装置の基本構成図。
【図2】鏡型情報提供装置の概観図。
【図3】鏡型情報提供装置におけるカーソル提示処理の説明図。
【図4】鏡型情報提供装置のディスプレイ表示例を示す図。
【図5】鏡型情報提供装置の鏡内情報提示例を示す図。
【図6】鏡型情報提供装置における情報処理の説明図。
【図7】携帯端末IDと送信先アドレスの対応表の例を示す図。
【図8】鏡型情報提供装置における情報貼り付けの説明図。
【図9】コンテンツIDと関連情報の対応表の例を示す図。
【図10】ホームネットワークに接続される鏡型情報提供装置の構成例を示す図。
【符号の説明】
【0069】
11…ハーフミラー
12…ディスプレイ
13…イメージセンサ
14…コンピュータ
15…光信号検出手段
16…制御手段
17…メモリー
18…画像出力手段
19…ネットワークインターフェース
20…インターネット、LAN等のネットワーク
21…鏡
31…ユーザ
32…携帯端末
33…カーソル
41…サムネイル画像
101…ホームサーバ
102…無線通信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハーフミラーと当該ハーフミラーの背面に設置されたディスプレイとからなる情報を表示する鏡と、
前記鏡の前方を撮像するイメージセンサと、
ネットワークに接続するコンピュータと、からなる鏡型情報提供装置であって、
前記コンピュータは、
前記イメージセンサから入力される映像から、少なくとも、ユーザの携帯端末が送信する光信号の位置、光信号のID、および光信号ポインティングを検出する光信号検出手段と、
前記光信号検出手段が検出した光信号の位置、光信号のID、および光信号ポインティングに対応する処理を行う制御手段と、
を有することを特徴とする鏡型情報提供装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記光信号が検出された位置に対応する前記ディスプレイ中の位置にカーソルを提示する処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の鏡型情報提供装置。
【請求項3】
前記光信号のIDを、当該光信号を発信する携帯端末を特定するための携帯端末IDとして用いることを特徴とする請求項1または2に記載の鏡型情報提供装置。
【請求項4】
前記コンピュータは、ネットワーク上の情報コンテンツに対応するサムネイル画像をディスプレイ中に表示し、
前記光信号によるポインティング位置がサムネイル画像の位置に対応しているときは、前記制御手段が当該光信号IDから特定される携帯端末に前記サムネイル画像に対応する情報を送信することを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の鏡型情報提供装置。
【請求項5】
前記光信号が伝達するIDを、所定の情報コンテンツを特定するためのコンテンツIDとして用いることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の鏡型情報提供装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記コンテンツIDを特定する光信号によるポインティングを検出した場合には、当該光信号が検出された位置に対応するディスプレイ上の位置に、前記コンテンツIDによって特定される情報コンテンツのサムネイル画像を表示することを特徴とする請求項5に記載の鏡型情報提供装置。
【請求項7】
前記光信号検出手段が検出する光信号は、複数の色を用いて構成される色点滅光信号であることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の鏡型情報提供装置。
【請求項8】
ハーフミラーと当該ハーフミラーの背面に設置されたディスプレイとからなる情報を表示する鏡と、
前記鏡の前方を撮像するイメージセンサと、
ネットワークに接続するコンピュータと、からなる鏡型情報提供装置における情報提供方法であって、
前記コンピュータは、
光信号検出手段により、前記イメージセンサから入力される映像から、少なくとも、ユーザの携帯端末が送信する光信号の位置、光信号のID、および光信号ポインティングを検出し、
制御手段により、前記光信号検出手段が検出した光信号の位置、光信号のID、および光信号ポインティングに対応する処理を行う、
ことを有することを特徴とする情報提供方法。
【請求項9】
前記制御手段は、前記光信号が検出された位置に対応する前記ディスプレイ中の位置にカーソルを提示する処理を行うことを特徴とする請求項8に記載の情報提供方法。
【請求項10】
前記光信号のIDを、当該光信号を発信する携帯端末を特定するための携帯端末IDとして用いることを特徴とする請求項8または9に記載の情報提供方法。
【請求項11】
前記コンピュータは、ネットワーク上の情報コンテンツに対応するサムネイル画像をディスプレイ中に表示し、
前記光信号によるポインティング位置がサムネイル画像の位置に対応しているときは、前記制御手段が当該光信号IDから特定される携帯端末に前記サムネイル画像に対応する情報を送信することを特徴とする請求項8〜10いずれかに記載の情報提供方法。
【請求項12】
前記光信号が伝達するIDを、所定の情報コンテンツを特定するためのコンテンツIDとして用いることを特徴とする請求項8〜11いずれかに記載の情報提供方法。
【請求項13】
前記制御手段は、前記コンテンツIDを特定する光信号によるポインティングを検出した場合には、当該光信号が検出された位置に対応するディスプレイ上の位置に、前記コンテンツIDによって特定される情報コンテンツのサムネイル画像を表示することを特徴とする請求項12に記載の情報提供方法。
【請求項14】
前記光信号検出手段が検出する光信号は、複数の色を用いて構成される色点滅光信号であることを特徴とする請求項8〜13いずれかに記載の情報提供方法。
【請求項15】
上記の請求項1〜14のいずれか1項に記載の鏡型情報提供装置または情報提供方法を、コンピュータプログラムで記載してそれを実行可能にしたことを特徴とするプログラム。

【図4】
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【図7】
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【図9】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−40083(P2006−40083A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−221093(P2004−221093)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】