説明

鏡機能付き壁パネル

【課題】 鏡の取り付け箇所の汚れの発生を防止でき、掃除の手間暇を一掃できるだけではなく、取付用の金具や鏡の角で怪我をしたり、また鏡の破損事故の発生を防止できるようにする。
【解決手段】 表面2に鏡3を設ける。この鏡3を含めて表面2の全体を、透明の保護膜4で被覆する。この場合本発明は、表面2に鏡3を重合状に設け、この鏡3の周辺部3aを、外方に向かうに従って次第に表面2の側に傾斜させて傾斜面状に形成するのが良い。また本発明は、表面2に鏡3の固定位置を示す模様6を表示し、この模様6を目安にして模様6の位置に鏡3が配置されているのが良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば浴室、洗面脱衣室、トイレ等の衛生設備室に使用する壁パネルに関し、更に詳しくは衛生設備室用の鏡機能付き壁パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室等で使用する防曇鏡としては、例えば金属板からなるベース基板の表面に、厚さ2mm以下の鏡面ガラス板からなるミラー板を支持させてなるものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ところで従来、例えば浴室の壁面に取り付けられる鏡は、専用の金具で支持されているのが通例である。従って従来は、鏡と金具、また鏡や金具が壁と接触する箇所にカビが発生し易く、この箇所が汚れ易い、という問題点があった。
また従来は、鏡や金具が壁面から段差状に突き出ているのが通例のため、この鏡や金具の角に手を過ってぶつけたり、また鏡がガラス製の場合は割れたり、ひびが入り、破損する惧れがあった。
【特許文献1】特開平9−313315号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような従来の実情に鑑み、提案されたものである。
従って本発明の解決しようとする技術的課題は、鏡の取り付け箇所の汚れの発生を防止でき、掃除の手間暇を一掃できるだけではなく、取付用の金具や鏡の角で怪我をしたり、また鏡の破損事故の発生を防止できるよう形成した鏡機能付き壁パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するため、次のような技術的手段を採る。
即ち本発明の壁パネル1は、図1等に示されるように、表面2に鏡3が設けられ、この鏡3を含めて表面2の全体が透明の保護膜4で被覆されていることを特徴とする(請求項1)。
【0006】
本発明の場合、鏡3は、通常、シート状、フィルム状の、例えばステンレス等の金属材や合成樹脂材をベースに、その表面に、アルミニウム又は銀等の被膜が、真空蒸着等の手段で施されることで形成される。また鏡3は、通常、本発明の壁パネル1より小さく形成されるが、これに限定されるものではなく、例えば同じ大きさに形成され、壁パネル1の全体がミラー状に形成されているのでも良い。また本発明の場合、透明の保護膜4は、例えば紫外線硬化型樹脂や、乾燥硬化型樹脂を表面2に塗布したり、熱収縮性樹脂フィルムで表面2を被覆することで形成される。
【0007】
また本発明の壁パネル1は、図3に示されるように、表面2に鏡3が重合状に設けられ、この鏡3の周辺部3aが外方に向かうに従って次第に表面2の側に傾斜して傾斜面状に形成されているのが好ましい(請求項2)。
なぜならこれによると、鏡3の周囲の段差を極めて小さく抑えることができ、保護膜4を途切れさせることなく、滑らかに被覆し易いことからである。またこの場合は、周辺部3aが鏡3の枠のように表現されるため、鏡3の位置、鏡3の存在を明確に把握し易くなり、その分、使い勝手が良くなることからである。
【0008】
また本発明は、図4〜図6に示されるように、表面2に鏡3の固定位置を示す模様6が表示され、この模様6を目安にして模様6の位置に鏡3が配置されているのが好ましい(請求項3)。
なぜならこれによると、模様6を目安に、鏡3を、簡単、迅速に取り付けることができ、また模様6が表面2のデザイン性を高めるのに役立つことからである。なお本発明の場合、模様6の表示は、通常、印刷により行われるが、その他例えばシールやテープなどの面状材を、表面2に貼り付けることにより実現するのでも良い。
【0009】
またこの本発明の場合は、鏡3の固定位置を示す模様6を鏡3の輪郭にし、この輪郭を鏡3の周縁から食み出させて鏡3を縁取る大きさに表示するのが好ましい(請求項4)。
なぜならこれによると、模様6としての輪郭が鏡3の周縁を装飾し、鏡3の位置、鏡3の存在が明確化し、またデザイン上の斬新性や面白味を生じ、商品価値の向上に役立つことからである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の壁パネルは、このように表面に鏡を設け、この鏡を含めて表面の全体を透明の保護膜で被覆しているものである。
従って本発明によれば、鏡の周縁が保護膜で覆われるため、鏡と壁等の境や隙間にカビが発生することを防止でき、この箇所の掃除の手間暇を一掃できる。
また本発明の場合は、取付金具が不要であり、鏡の角が覆われているため、これによれば、金具や鏡の角で怪我をすることを防止できる。
また本発明は、鏡の全体が保護膜で覆われている。従ってこれによれば、鏡に加わる衝撃を緩和でき、鏡の破損事故の防止にも役立つ、という効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明の壁パネル1は、例えば浴室、洗面脱衣室、トイレ等の衛生設備室に用いられるものであり、図1等に示されるように、表面2に鏡3が設けられている。そして、この鏡3を含めて表面2の全体が透明の保護膜4で被覆されている。壁パネル1は、SMC(シートモールディングコンパウンド)層1a、発泡スチロール層1b、アルミニウム層1cの3層構造に形成されている。
【0012】
鏡3は、この実施形態では肉厚が、0.2mmに選定され、ステンレスの面状材の表面を研磨することで形成されている。また鏡3は、壁パネル1より小さく形成され、壁パネル1の表面2に、例えば接着剤で貼り付けられ、重合状に設けられている。
【0013】
また透明の保護膜4は、この実施形態ではやや粘度の高い紫外線硬化型樹脂を塗布することにより形成されている。この保護膜4の厚さは、0.1mm〜0.4mm位に、薄く選定される。5は、縞模様等の装飾模様である。この装飾模様5は、例えばシルクスクリーン印刷で施されている。
【0014】
次に本発明の壁パネル1の製造例を、図2等に従って説明する。
本発明品は、先ず表面2に化粧用の装飾模様5が、例えば印刷される(同図A参照)。次に作業者は、表面2の任意の位置に、鏡3を接着等の手段で固定する(同図B参照)。そして紫外線硬化型樹脂を、鏡3を含め表面2の全体に塗布し、紫外線を照射して樹脂を硬化させる。樹脂が硬化すると、鏡3と表面2とが一体状にクリアコーティングされた本発明の壁パネル1が完成する(同図C参照)。
【0015】
以上の処において、本発明は、例えば図3に示されるように、周辺部3aが外方に向かうに従って次第に表面2の側に傾斜して傾斜面状に形成されているのでも良い。この実施形態の場合、鏡3は、樹脂板をベースに、厚さが2mmに選定されている。この本発明の場合は、周辺部3aが、このように傾斜面状に形成されているから、保護膜4が被覆されると、鏡3と表面2とが滑らかにつながった体裁の良い本発明品を提供できる。またこれによると、保護膜4の膜厚を均一化でき、見る位置が異なっても鏡の見え方に差を生じさせることがない。
【0016】
また本発明は、図4に示されるように、表面2に、鏡3の固定位置を示す模様6が表示され、この模様6を目安にして模様6の位置に鏡3が配置されているのでも良い。
この実施形態では、縦長状の長方形の鏡3に合わせ、鏡3の固定位置を示す模様6としての輪郭が、表面2に長方形状に印刷されている。またこの輪郭は、鏡3の周縁から食み出すよう、鏡3の大きさより幾分大きく表示されている。作業者は、輪郭に合わせて鏡3を配置し、鏡3を表面2に例えば接着して固定し、その後、上例と同様、クリアコーティングして壁パネル1を完成させる。なおこの実施形態では、鏡3の固定位置を示す模様6としての輪郭につなげて装飾模様5が表面2に印刷されている。
【0017】
而してこの本発明品によると、模様6としての輪郭が鏡3を取り付けるときのガイドとなるため、鏡3の位置決めが容易となる。また輪郭が、鏡3の周縁から食み出すため、鏡3が縁取られ、デザイン上のアクセントになるだけではなく、鏡3を使用するとき、映し出すことができる範囲が明確になるから、その分、使い勝手が良くなるものである。なおこの本発明品の場合、鏡3の裏に対応する表面2の部分には、装飾模様5のインク層を省略してある。従ってこれによると、鏡3を表面2に密着させることができ、鏡3が例えばフィルム状の場合でも、インク層が鏡面の平面度に悪影響を及ぼすことを防止できる。
【0018】
また上例では、鏡3の固定位置を示す模様6が輪郭であるが、本発明は、図5、図6に示されるように表現されるのでも良い。即ち、図5の実施形態は、鏡3の固定位置を示す模様6が、鏡3の四隅の位置を示す鉤括弧状に形成されているものである。鏡3は、同図Bに示されるように、その角が鉤括弧状の模様6の内側の角に位置決められて固定される。従ってこれによると、模様6が鏡3を支持する金具状に見え、デザイン上の斬新性、面白味が生まれ、商品価値の高い本発明品を提供できる。なおこの場合、模様6を立体状に表現すると、鏡3が金具等で支持されているように見えることから、一層、趣きのある本発明品を提供できる。
【0019】
また図6Aの実施形態は、模様6が、円を1/4カットした状態であり、同図Bは鏡3が楕円形のとき、その上下の弧に合った湾曲形状に形成されている場合である。何れの場合も、鏡3は模様6にあてがわれて固定されると、図5に係る本発明の場合と同様、模様6が支持具状に見え、面白味のある本発明品を提供できる。なおこの模様6は、壁パネル1の表面2の色や装飾模様5に合わせて適宜着色されているのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の壁部材の好適な一実施形態を示す要部縦断面図である。
【図2】同上壁パネルの製造工程を示し、A、B、Cとも要部縦断面図である。
【図3】同上壁パネルの他の実施形態を示し、Aは正面図、Bは鏡を取り付けたときの要部縦断面図、CはAのC−C線における要部縦断面図である。
【図4】同上壁パネルの他の実施形態を示し、Aは正面図、BはAのB−B線における要部縦断面図である。
【図5】同上壁パネルの他の実施形態を示し、Aは正面図、Bは鏡を取り付けた状態の正面図である。
【図6】A、Bとも、同上壁パネルの更に他の実施形態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 壁パネル
2 表面
3 鏡
4 保護膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に鏡が設けられ、この鏡を含めて表面の全体が透明の保護膜で被覆されていることを特徴とする鏡機能付き壁パネル。
【請求項2】
請求項1記載の鏡機能付き壁パネルであって、表面に鏡が重合状に設けられ、この鏡の周辺部が外方に向かうに従って次第に表面の側に傾斜して傾斜面状に形成されていることを特徴とする鏡機能付き壁パネル。
【請求項3】
請求項1又は2記載の鏡機能付き壁パネルであって、表面に鏡の固定位置を示す模様が表示され、この模様を目安にして模様の位置に鏡が配置されていることを特徴とする鏡機能付き壁パネル。
【請求項4】
請求項3記載の鏡機能付き壁パネルであって、鏡の固定位置を示す模様が鏡の輪郭であり、この輪郭が鏡の周縁から食み出して鏡を縁取る大きさに表示されていることを特徴とする鏡機能付き壁パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−75327(P2008−75327A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−255297(P2006−255297)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】