説明

鏡餅飾り具

【課題】例えば薄型テレビの上などの幅の狭い場所にも飾ることができる鏡餅飾り具を提供する。
【解決手段】鏡餅容器を保持すると共に自立して前記鏡餅容器を展示することのできるパッケージが、鏡餅容器が前方に露出されるように保持する正面部と、前記正面部の上部と連結され、正面部と重ね合った位置から連結部位を支軸として開かれた位置まで、前後方向に開閉自在な背面部と、正面部及び背面部のいずれか一方と連結されると共に、背面部を開いたときに正面部及び背面部の他方側に係止して、前記開かれた状態を保持する少なくとも左右一対の側面部と、前記背面部と連結されると共に、折り曲げられて正面部と背面部との間に収納されており、幅の狭い場所にパッケージを載置する際に引き出される転倒防止用の舌片部と、を有し、前記舌片部を載置場所に固定する粘着シートをさらに備えるか、又は、前記舌片部の一面に粘着層が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば正月に飾り付けられる鏡餅を模した鏡餅飾り具に関する。
【背景技術】
【0002】
鏡餅は、代々継承されている日本の伝統として、正月に家庭や店舗などで飾られている。近年においては、鏡餅の形状を模した容器に餅を包装した商品が販売等されており、消費者は、この商品を正月に鏡餅として飾った後、容器から餅を取り出して食することができる(例えば、特許文献1〜4を参照)。
【0003】
パッケージ化された鏡餅飾り具は、テレビの上などに飾られることも多い。しかしながら、かつて鏡餅飾り具の置き場として好まれていたテレビは、薄型化が進んでおり、特許文献1〜4のように奥行きのある鏡餅飾り具では飾り付けることが難しくなっている。すなわち、従来の鏡餅飾り具は、飾り付ける場所が制限されるという問題がある。
【0004】
また、従来の鏡餅飾り具は、特許文献1の鏡餅飾り具のように壁掛けにするか、あるいは特許文献2及び3の鏡餅飾り具のように自立させて飾るかのどちらかである。すなわち、従来の鏡餅飾り具は、飾り付ける方式に自由度がない。
【0005】
特許文献4の鏡餅飾り具については、自立方式と吊下げ方式のどちらでも飾り付けできる構成ではある。しかし、自立させて飾るときにはクリップが邪魔になり、クリップで吊下げて飾るときには鏡餅が下を向いてしまう場合がある。すなわち、自立方式と吊下げ方式のどちらでも飾り付け可能な構成とした反面、どちらの方式を選択しても、他方の方式に起因する欠点が浮かび上がる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3049460号公報
【特許文献2】特開平11−235267号公報
【特許文献3】特開2001−10633号公報
【特許文献4】実用新案登録第3140227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、例えばパッケージ化された鏡餅飾り具において、例えば薄型テレビの上など、幅の狭い場所にも飾ることができ、飾り付ける場所に制限が少ない鏡餅飾り具を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、自立方式と吊下げ方式のどちらでも飾り付けることが可能であり、どちらの方式を選択しても、他方の方式に起因する欠点がないか、あっても僅かである鏡餅飾り具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の鏡餅飾り具は、鏡餅を模した形状をなす鏡餅容器と、この鏡餅容器を保持すると共に自立して前記鏡餅容器を展示することのできるパッケージと、を含む鏡餅飾り具であって、前記パッケージが、所定形状をなす一枚又は複数枚のシートを組み立てることによって構成され、且つ、前記鏡餅容器が前方に露出されるように保持する正面部と、前記正面部の上部と連結され、正面部と重ね合った位置から連結部位を支軸として前後方向に開閉自在な背面部と、正面部及び背面部のいずれか一方と連結されると共に、背面部を開いたときに正面部及び背面部の他方側に係止して、前記開かれた状態を保持する少なくとも左右一対の側面部と、前記背面部と連結されると共に、折り曲げられて正面部と背面部との間に収納されており、幅の狭い場所にパッケージを載置する際に引き出される転倒防止用の舌片部と、を有し、前記舌片部を載置場所に固定する粘着シートをさらに備えるか、又は、前記舌片部の一面に粘着層が形成されていることを特徴とする。
【0010】
幅の狭い場所に安定して飾り付けるために、背面部を開いて側面部が正面部側と係止したときに、横方向からみた底辺が「への字状」となっていることが好ましい。また、前記転倒防止用の舌片部が、その長さ方向の途中で舌片部を折り曲げるための折曲線を少なくとも1以上有していることが好ましい。さらに、剥がれを防止するために、前記粘着シートが凸字状の平面形状をなし、凸部の裾の部分が曲線状,円弧状,矩形状あるいは多角形状に切り欠かれていることが好ましい。
【0011】
さらに前記鏡餅飾り具は、例えば、前記正面部又は背面部と連結され、正面部と背面部を閉じた状態の鏡餅飾り具を吊下げるための吊下片をさらに備えており、壁掛け方式、自立方式、あるいはテレビの上などの幅の狭い場所に自立させる方式のいずれでも飾ることが可能である。
【0012】
前記パッケージを構成するシートとしては、例えば、一枚の厚紙によって形成されており、鏡餅容器が嵌め込まれる開口部が面内に形成され、その外形が矩形状をなす正面部と、正面部の上辺に折り曲げ自在に連結され、その外形が矩形状をなす背面部と、前記背面部の側辺に折り曲げ自在に連結され、その外形が背面部の上部から底部に向かって拡がる三角形状をなし、且つ、その外方側の側辺に係止部が折り曲げ自在に連結されている側面部と、前記背面部の底辺に折り曲げ自在に連結された転倒防止用の舌片部と、正面部の底辺に折り曲げ自在に連結され、前記側面部の係止部が係止される開口部が面内に形成されている被係止面部と、正面部の側辺に折り曲げ自在に連結され、前記被係止面部の角部が差し込まれる開口部が面内に形成され、前記鏡餅容器を後方から支持する支持面部と、を備えている形状とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の鏡餅飾り具によれば、鏡餅容器を保持するパッケージが、所定形状をなす一枚又は複数枚のシートを組み立てることによって構成され、且つ、前記鏡餅容器が前方に露出されるように保持する正面部と、前記正面部の上部と連結され、正面部と重ね合った位置から連結部位を支軸として扇状に開かれた位置まで、前後方向に開閉自在な背面部と、正面部及び背面部のいずれか一方と連結されると共に、背面部を開いたときに正面部及び背面部の他方側に係止して、前記開かれた状態を保持する少なくとも左右一対の側面部と、前記背面部と連結されると共に、折り曲げられて正面部と背面部との間に収納されており、幅の狭い場所にパッケージを載置する際に引き出される転倒防止用の舌片部と、を有し、前記舌片部を載置場所に固定する粘着シートをさらに備えるか、又は、前記舌片部の一面に粘着層が形成されている構成としたことによって、飾り付ける場所が幅の広いところに制限されず、例えば薄型テレビの上など、幅の狭いところにも安定して飾り付けることが可能となった。
【0014】
さらに本願発明の鏡餅飾り具によれば、前述のパッケージを備えたことにより、壁掛けにするときには正面部と背面部とを閉じた状態とし、自立させるときには背面部を開いた状態とする。さらに、幅の狭い場所に自立させるときには転倒防止用の舌片部を引出して載置場所に固定する。このように、本願発明の鏡餅飾り具は、飾り付ける方式および場所に応じてパッケージが変形するので、採用しなかった他方の方式等に起因する問題が少ない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の好ましい実施形態に従う鏡餅飾り具である。
【図2】上記鏡餅飾り具が実現する3つの飾り付け方式を示す図である。
【図3】上記鏡餅飾り具が有する鏡餅容器である。
【図4】上記鏡餅飾り具が有するパッケージの展開図である。
【図5】上記パッケージの組み立て手順を示す図である。
【図6】上記鏡餅飾り具を薄型テレビの上に載置した状態を示す図である。
【図7】上記鏡餅飾り具の変化パターンを示す図である。
【図8】上記鏡餅飾り具を薄型テレビの上に載置した状態を示す図である。
【図9】上記鏡餅飾り具を薄型テレビの上に載置した状態を示す図である。
【図10】上記パッケージの変形例を示す展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施形態に従う鏡餅飾り具について、添付図面を参照しながら詳しく説明する。但し、以下に説明する実施形態によって本発明の技術的範囲は何ら限定解釈されることはない。
【0017】
図1は、本実施形態に従う鏡餅飾り具の外観図であり、正面図と側面図を示している。図1に示されるように、鏡餅飾り具1は、二段重ねにした鏡餅の外形を模した鏡餅容器2と、この鏡餅容器2を保持した状態で飾り付けられる保持具としてのパッケージ3とを有し、例えば水引41,御幣42および扇43などの飾り4が装飾されている。なお、飾り4は任意の構成であり、必ずしも有しなくともよい。さらに、図1に示したような水引41,御幣42および扇43に限らず、正月にちなんだ他の飾り4によって装飾されていてもよい。
【0018】
鏡餅容器2は、例えば鏡餅を縦半分にした形状である。鏡餅容器4は、その内部空間に食用の餅(不図示)を収納することができる。また、パッケージ3は、鏡餅容器2を保持する正面部31と、正面部31の上部(例えば、上辺)に連結されると共に、この連結部分を支軸にして前後方向に開閉自在な背面部32を有する。図1は、正面部31と背面部32を重ねた状態(すなわち、パッケージ3を閉じた状態)を示している。鏡餅飾り具1は、この閉じた状態で透明の包装袋(不図示)に収容され、店頭などに陳列して販売することができる。
【0019】
本実施形態の鏡餅飾り具1は、図2に模式的に示される3つのパターンで飾り付けることができる。まず第1のパターンとして、図2(a)に示されるように、パッケージ3を閉じた状態において、パッケージ3の上部に収容されていた吊下片33を引き起こし、この吊下片33に形成されている孔を、例えば壁に設けられたピンや紐などに通すことによって壁掛けにすることができる。
【0020】
次に、第2のパターンとして、図2(b)に示されるように、背面部32を後方に引っ張ってパッケージ3を開いた状態とし、例えば台の上などの幅の広い場所に鏡餅飾り具1を自立させて飾り付けることができる。本実施形態の鏡餅飾り具1は、従来品に比して奥行きが小さいため、窓枠の棚,神棚,台所などのちょっとした場所に飾り付けることが可能である。なお詳しくは後述するが、パッケージ3を開いた状態にすると、正面部31と背面部32との間に収容されていた側面部34が出現し、この開かれた状態が保持される。
【0021】
次に、第3のパターンとして、図2(c)に示されるように、パッケージ3を開いた状態から更に転倒防止用の舌片部(転倒防止部)35を後方に引出し、例えば薄型テレビTなどの幅の狭い場所に鏡餅飾り具1を自立させることができる。後方に引出した舌片部35は、パッケージ3に同封されている粘着シート5を用いてテレビTに固定することができる。すなわち、鏡餅飾り具1は、餅を収納した鏡餅容器2が前方寄りに位置しているので、その重心も前方寄りにある。従って、後方に引出した舌片部35をテレビTに固定することによって、薄型テレビTの上に安定して飾り付けることが可能である。なお、幅の狭い場所に載置するにおいては、図2(c)のように正面部31の裏面(厳密には、後述する被係止面部)と側面部34の底辺とが接地する場合だけでなく、図2(b)と同様に正面部31と背面部32の底辺が接地する場合もある。
【0022】
続いて、本実施形態に従う鏡餅容器2とパッケージ3について、図3及び図4を参照しながら詳細に説明する。図3には、鏡餅容器2の正面図と縦断面図を示す。図4には、パッケージ3の展開図を示す。
【0023】
鏡餅容器2は、例えば厚さ数ミリの材料によって形成された容器であって、図3に示すように、鏡餅の外形を模した部分21と、その周囲に形成されている縁部22を有する。鏡餅の外形を模した部分21は、鏡餅を縦半分にした形状となっており、その内側領域が食用の餅(不図示)を収容する空間を形成している。このような鏡餅容器2は、例えばプラスチックなどの樹脂材料によって成形することができる。なお、鏡餅容器2が模する鏡餅は、二段重ねにした鏡餅に制限されることはない。
【0024】
パッケージ3は、例えば厚みが数ミリ程度の厚紙や樹脂などのシートを用い、一例として図4に示す展開図のように形成されている。なお、図中の一点破線は、それぞれ折目線を示しており、この折目線のところで折り曲げてパッケージ3を組み立てるようになっている。パッケージ3は、図4に示すように、縦長の長方形状に形成された正面部31を有する。この正面部31には、鏡餅容器2の鏡餅を模した部分21が嵌め込まれる開口部31aが形成されている。鏡餅容器2は、正面部31の裏面側から前方に露出するように嵌め込まれ、その縁部22が正面部31に接することで止まるようになっている。正面部31の表面は、図示は省略するが、絵や文字が描かれて装飾されていてもよい。
【0025】
正面部31の上辺には、正面部31と同じ大きさか、或いは長手方向が正面部31よりも若干短い背面部32が折り曲げ自在に連結されている。背面部32の上辺側には、パッケージ3を吊下げる際に引き起こされる吊下片33が形成されている。吊下片33の面内には、例えばピンや紐などを通すための孔33aが形成されている。
【0026】
また、背面部32の長手方向の側辺には、三角形状の側面部36が折り曲げ自在に連結されている。側面部36は、例えば概ね直角三角形の形状を有し、その斜辺が背面部32の側辺と同じ長さになっている。さらに、直角三角形の隣辺の部分には、爪状の係止部36aが折り曲げ自在に連結されている。側面部36に形成されている切り欠き36bは、パッケージ3を開いた際に水引41を支持する紐が干渉しないようにするためのものである(図2(b)参照)。このような三角形状の部分と係止部36aを有する側面部36は、背面部32の両側に左右対称に形成され、一対の側面部36を構成している。
【0027】
さらに、背面部32の底辺には、転倒防止用の舌片部35が折り曲げ自在に連結されている。舌片部35は、一例として、その底辺が背面部32の底辺と同じになるように裾拡がりに形成されている。さらに、舌片部35は、その長さ方向の途中で舌片部35を折り曲げるための折曲線35aを有する。この折曲線35aは、詳しくは後述するが、載置場所(例えば、テレビTの幅や形状)に応じて舌片部35を変形させるために設けられている。図4の舌片部35は、1本の折目線35aを有しているが、2本以上あってもよい。
【0028】
一方、正面部31の底辺には、概ね長方形状の被係止面部37が折り曲げ自在に連結されている。被係止面部37の面内には、パッケージ3を開いたときに側面部36の係止部36aが係止される左右一対の開口部37aが形成されている。図4に示す開口部37aの形状は、パッケージ3を組み立てる際に側面部36を差し込んでおくと、パッケージ3を開いた際に係止部36aが約90度折れ曲がった状態となって係止するように設計されたものである。従って、例えば購入者は、背面部32を手で引っ張るだけで簡単にパッケージ3を開いた状態(図2(b)参照)にすることができ、しかも係止部36aが係止されることによってその状態が保持される。
【0029】
さらに、正面部31の側辺には、概ね長方形状の支持面部38が折り曲げ自在に連結されている。支持面部38は、開口部31aに鏡餅容器2が嵌め込まれた後に折り曲げられ、鏡餅容器2及び内部の餅が脱落しないように後方から蓋をする役割がある。さらに、支持面部38の面内には、円弧状の開口部と、直線状の切り込みによる差込部38aが形成されている。この差込部38aは、折り曲げた被係止面部37の角部37bを差し込むことによって被係止面部37を固定するためのものである。さらに、支持面部38から正面部31に跨るように円形の開口部38bが形成されている。この開口部38bは、支持面部38を折り曲げることによって半円形の切り欠きを形成し、この切り欠き内に水引41を支持する紐が配置される(図5(c)参照)。
【0030】
このような形状を有するパッケージ3は、例えば図5に示すような手順で組み立てることができる。すなわち、まず、餅を収容した鏡餅容器2を開口部31aに嵌め込んだ後、図5(a)に示すように、正面部31側では支持面部38を折り曲げて鏡餅容器2に裏面側から蓋をする。一方、背面部32側では舌片部35を折り曲げる。
【0031】
次に、図5(b)に示すように、正面部31側では被係止面部37を折り曲げて、差込部38aに角部37bを差し込む。一方、背面部32側では側面部36を折り曲げる。次に、図5(c)に示すように、水引41を支持する紐41aを装着する。この紐41aは、例えば芯材にゴムを用いた伸縮性の紐を用いることができる。勿論、水引41で装飾しない場合、この工程は省略される。
【0032】
次に、図5(d)に示すように、背面部32を折り返しながら係止部36aおよび側面部36の一部を開口部37aに差し込んでいき、正面部31に重なるまで背面部32を折り曲げる。最後に、図示は省略するが、御幣42や扇43などの飾り4を取り付けることによって、図1に示した鏡餅飾り具1が完成する。御幣42や扇43は、例えは粘着剤や粘着テープなどを用いて取り付けることができるが、これに限定はされない。
【0033】
続いて、転倒防止用の舌片部35を固定するのに用いられる粘着シート5について、図6を参照しながら説明する。粘着シート5は、図6に示されるように、平面形状が概ね凸字状に形成され、凸部5aの裾の部分が切り欠かれている(5b)。切り欠き5bの形状は、特に限定されず、例えば曲線状,円弧状,矩形状あるいは多角形状などに切り欠くことができる。粘着シート5は、例えば厚みが数ミリの樹脂シートの一面に粘着層を形成した構成とすることができる。粘着層は、例えば粘着剤をシートの一面に塗布することによって形成することができる。既述したように、鏡餅飾り具1は、餅を収納した鏡餅容器2が前方寄りに位置しているので、その重心も前方寄りにある。そのため、テレビTの上では舌片部35が飾り具1本体に引っ張られる傾向にある。従って、例えば単純な四角形状の粘着シート5を用いると剥がれてしまうことが多い。図6に示した粘着シート5の形状は、本発明者らの試行錯誤の成果として導き出されたものであり、長期に渡って剥がれを防止することができる。
【0034】
すなわち、平面形状を凸字状とし、且つ、凸部の裾の部分に切り欠き5bを形成したことにより、図6(b)に模式的に示すように、テレビTの表面からの剥がれ(100)が拡がっていくことが抑えられる。ここで、粘着シート5は、鏡餅飾り具1を飾り付けている期間中はしっかりと張り付いていることが望まれる一方で、取り外すときには簡単に剥がれ、しかも粘着剤がテレビTの表面に残らないことが望まれる。そのため、使用する粘着剤の配慮は重要であり、本実施形態では好ましい一例として、アクリル系再剥離(弱粘着)タイプの粘着剤を用いる。
【0035】
以上のように構成された本実施形態の鏡餅飾り具1は、図2(a)〜(c)に示したような3つのパターンで飾り付けることができる。すなわち、壁掛け方式,幅の広い場所でのスタンド方式,および幅の狭い場所でのスタンド方式である。そして本実施形態の鏡餅飾り具1は、図7に示すように、これら3つの方式に適合するようにパッケージ3が変形自在であるという特長がある。その結果、本実施形態の鏡餅飾り具1は、選択した方式できれいに飾り付けることが可能であり、しかも選択しなかった方式に起因する欠点が浮かび上がることが少ない。選択しなかった方式に起因する欠点とは、例えば本明細書の「背景技術」に記載したようなものが一例として挙げられる。
【0036】
さらに、本実施形態の鏡餅飾り具1によれば、図4に例示した展開図のパッケージ3を用いたことによって、背面部32を引っ張ってパッケージ3を開いたときに、図8に模式的に示すように底辺が「への字状」になる。より詳しくは、側面部36と被係止面部37とによって形成され、正面部31寄りにその頂点が位置する「への字状」である。このような底部を形成した結果、同図に示されるように、種々の幅のテレビTに適合させることが可能である。
【0037】
さらには、長さ方向に折り曲げ自在な舌片部35を備えたことにより、図9に模式的に示すように、種々の形状を有するテレビTに適合させることが可能である。
【0038】
なお、パッケージ3は、鏡餅容器2が前方に露出されるように保持する正面部31と、前記正面部31の上部と連結され、正面部31と重ね合った位置から連結部位を支軸として開かれた位置まで、前後方向に開閉自在な背面部32と、背面部32と連結されると共に、背面部32を開いたときに正面部31に係止して前記開かれた状態を保持する少なくとも左右一対の側面部36と、背面部32と連結されると共に、折り曲げられて正面部31と背面部32との間に収納されており、幅の狭い場所にパッケージ3を載置する際に引き出される転倒防止用の舌片部35と、を有していればよく、図4に示した展開図の形状に限定されることはない。他の展開図の一例としては、図10に示すような形状を挙げることができる。さらに、必ずしも一枚のシートによって構成されなくともよく、複数枚のシートを組み合わせて構成されていてもよい。
【0039】
さらに、図4及び図9に示したパッケージ3は、側面部36が背面部32と連結されており、正面部31側に係止する構成であるが、正面部31と連結し、背面部32側に係止する構成としてもよい。
【0040】
また、粘着シート5を用いて舌片部35を固定する構成に限定されることはなく、例えば舌片部35の一面に粘着層を形成するようにしてもよい。さらに、舌片部35と吊下部33を省略して図7(b)のみの飾付け方式としてもよく、舌片部35のみ省略して図7(a)と(b)の2つのパターンでの飾付け方式としてもよい。
【0041】
以上、本発明を具体的な実施形態に則して詳細に説明したが、形式や細部についての種々の置換、変形、変更等が、特許請求の範囲の記載により規定されるような本発明の精神及び範囲から逸脱することなく行われることが可能であることは、当該技術分野における通常の知識を有する者には明らかである。従って、本発明の範囲は、前述の実施形態及び添付図面に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載及びこれと均等なものに基づいて定められるべきである。
【符号の説明】
【0042】
1 鏡餅飾り具
2 鏡餅容器
3 パッケージ
31 正面部
32 背面部
34 側面部
35 舌片部
4 飾り
5 粘着シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鏡餅を模した形状をなす鏡餅容器と、この鏡餅容器を保持すると共に自立して前記鏡餅容器を展示することのできるパッケージと、を含む鏡餅飾り具であって、
前記パッケージが、所定形状をなす一枚又は複数枚のシートを組み立てることによって構成され、且つ、
前記鏡餅容器が前方に露出されるように保持する正面部と、
前記正面部の上部と連結され、正面部と重ね合った位置から連結部位を支軸として前後方向に開閉自在な背面部と、
正面部及び背面部のいずれか一方と連結されると共に、背面部を開いたときに正面部及び背面部の他方側に係止して、前記開かれた状態を保持する少なくとも左右一対の側面部と、
前記背面部と連結されると共に、折り曲げられて正面部と背面部との間に収納されており、幅の狭い場所にパッケージを載置する際に引き出される転倒防止用の舌片部と、を有し、
前記舌片部を載置場所に固定する粘着シートをさらに備えるか、又は、前記舌片部の一面に粘着層が形成されていることを特徴とする鏡餅飾り具。
【請求項2】
背面部を開いて側面部が正面部側と係止したときに、横方向からみた底辺が「への字状」となることを特徴とする請求項1に記載の鏡餅飾り具。
【請求項3】
前記転倒防止用の舌片部が、その長さ方向の途中で舌片部を折り曲げるための折曲線を少なくとも1以上有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の鏡餅飾り具。
【請求項4】
前記粘着シートが凸字状の平面形状をなし、凸部の裾の部分が曲線状,円弧状,矩形状あるいは多角形状に切り欠かれていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の鏡餅飾り具。
【請求項5】
前記正面部又は背面部と連結され、正面部と背面部を閉じた状態の鏡餅飾り具を吊下げるための吊下片をさらに備えており、
壁掛け方式、自立方式、あるいはテレビの上などの幅の狭い場所に自立させる方式のいずれでも飾ることができる請求項1〜4のいずれか1項に記載の鏡餅飾り具。
【請求項6】
前記パッケージを構成するシートが、一枚の厚紙によって形成されており、
鏡餅容器が嵌め込まれる開口部が面内に形成され、その外形が矩形状をなす正面部と、
正面部の上辺に折り曲げ自在に連結され、その外形が矩形状をなす背面部と、
前記背面部の側辺に折り曲げ自在に連結され、その外形が背面部の上部から底部に向かって拡がる三角形状をなし、且つ、その外方側の側辺に係止部が折り曲げ自在に連結されている側面部と、
前記背面部の底辺に折り曲げ自在に連結された転倒防止用の舌片部と、
正面部の底辺に折り曲げ自在に連結され、前記側面部の係止部が係止される開口部が面内に形成されている被係止面部と、
正面部の側辺に折り曲げ自在に連結され、前記被係止面部の角部が差し込まれる開口部が面内に形成され、前記鏡餅容器を後方から支持する支持面部と、
を備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の鏡餅飾り具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−5514(P2012−5514A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141422(P2010−141422)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(592221920)株式会社きむら食品 (6)
【Fターム(参考)】