説明

長尺な押出成形品とその製造方法

【課題】安定した形状に押出成形可能で、突出部の弾性反発力の程度を調節することができる押出成形品及び製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の押出成形品(ベルトモール50)は、本体部52と、該本体部と一体的に成形される突出部56,62とを備え、該突出部には、弾性反発力の程度を調節する分離部60,66が長手方向にわたって形成されている。そして、突出部は、突出部の厚さ方向の肉厚が押出成形時の所定の厚さである基礎肉厚部60W,66Wと押出後に該厚さ方向に肉の一部または全部を分離することにより形成された分離部とが組み合わされて構成されている。これにより、分離部が形成された部分の突出部の長手方向における単位長さ当たりの弾性反発力は、突出部全てが基礎肉厚部により形成されている状態の弾性反発力と比較して小さくなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー材料製の長尺な押出成形品とその製造方法に関する。詳しくは、被取付体に取り付けられる本体部から離れる方向に突出する弾性体から成る突出部を備える押出成形品とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
長尺な押出成形品は様々な産業分野において種々の用途に利用されている。例えば下記のような押出成形品を典型例として挙げることができる。
(1)外壁パネルの端縁間の目地に差し込んで、当該目地を外側から覆う目的に使用される主として建築用途の長尺な目地材、自動車等の車両の車体の溝部、例えば車体のルーフに設けられたルーフ溝に差し込んでルーフ溝を上側から覆う長尺なルーフモールディング。
かかる用途の目地材やルーフモールディングは、頭部と脚部を有して横断面形状が略T字形である長尺状に成形された成形部材であり、さらに脚部と一体的に形成され該脚部から離れる方向に突出する突出部を備える。そして、前記脚部が目地やルーフ溝に圧入して差し込まれたとき、前記突出部がパネルの端面やルーフ溝の側壁に接触して脚部に近づく方向に弾性変形し、該突出部の弾性反発力により目地材やルーフモールディングを所定の位置に保持して固定するものである。
(2)自動車等の車両に設けられる窓枠(ドアパネルに設けられた場合はドア枠ともいう。)の窓開口縁の下側の縁(ドアパネルの上側の縁)に装着され窓開口縁と昇降動する窓板との間を遮蔽する車内側及び車外側のベルトモール(ウエストモールとも言う。)、窓枠に形成された溝に沿って装着され窓枠と昇降動する窓板との間をシールすると共に昇降動する窓板を案内するガラスランチャンネル、車体パネルのドア開口縁に沿って装着され、ドアとドア開口縁の間をシールするドアオープニングシール。
かかる用途のベルトモールやガラスランチャンネル及びドアオープニングシールは、窓枠の開口縁のフランジや窓枠の溝に装着される本体部と、該本体部と一体的に本体部から離れる方向に突出する弾性ポリマー材料製の突出部又は、前記ドア開口縁のフランジを両面から挟んで保持するシールリップや保持リップとなる突出部を有する長尺成形部材であり、開口縁や窓枠に装着されたとき、前記突出部が昇降窓板に接触して本体部に近づく方向に弾性変形し、該突出部の弾性反発力により窓板との間を遮蔽したりシールするものである。
上記(1)や(2)に記載の長尺な押出成形品は、一般に種々のポリマー材料を押出成形型に供給して成形を行ういわゆる押出成形法により製造されている。特許文献1には、ルーフ溝に対する挿入力が小さく、ルーフ溝からの耐抜出力が大きい構造を有することにより、組付け作業が容易となるルーフモールに関する一つの技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−29328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記(1)の例では、目地材やルーフモールディング等の頭部や突出部の形状および幅寸法は長手方向で同一であるが、目地(ルーフ溝)の幅寸法が異なる複数の幅寸法となる場合がある。この場合に、異なる複数の幅寸法の中間寸法に設定した一種類の成形品を製造し、これを異なる複数の幅寸法の目地やルーフ溝に装着しようとすると、目地等の幅寸法が大きい目地では突出部の弾性反発力が小さくなりパネルの端面やルーフ溝の側壁に十分に保持するだけの力が得られず、抜け落ちる虞がある。一方、目地等の幅寸法が小さい目地では脚部を目地やルーフ溝に圧入して装着する時に突出部の弾性反発力が大きくなり、装着が困難となる虞がある。
従って、このような場合には、全体形状は類似しているが異なる幅寸法毎に突出部の突出寸法(幅寸法)が異なる横断面形状に対応した押出成形型を複数個製作して用いることで対応するのが一般的に行われている。
【0005】
更に、押出成形によって前記突出部を成形する際に、突出部の弾性反発力が所定の値を発揮するように突出部の一部(典型的には突出部の根元部分)に連続した凹溝を形成して幅方向の隣接部分よりも厚さが薄くなるように成形することが行われる。この場合に、突出部が熱可塑性ポリマー材料のときは押出成形型のオリフィスから押出された直後の溶融ポリマー材料の突出部は自己保形力が弱く自重により好ましくない変位(変形)をすることがある。前記熱可塑性ポリマー材料がオレフィン系熱可塑性エラストマーの場合、前記変位が特に顕著に現れる。一方、突出部がEPDM製のゴム材料のときは加熱による加硫工程で材料が一次的に軟化して自己保形力が弱まり突出部が自重により好ましくない変位(変形)をすることがある。以下、前記の変位を自重変位という。
【0006】
また、車両のルーフモールディングでは、ルーフモールディングが装着されるルーフ溝は、ルーフモールディングの前端側と後端側の少なくともいずれかが車両の幅方向の中心線に対して幅方向で離れる方向(車外側)に長手方向に沿って湾曲して形成されている。前記湾曲した溝に直線状のルーフモールディングを押し込んで装着するとルーフモールディングは該溝に沿って強制的に曲げられた状態で装着される。従って、突出部の前述した自重変位の不具合に加えてルーフモールディングには曲げられた部分において元の直線状態に戻ろうとするルーフモールディングの本体部分と突出部との弾性復元力が内蔵されることとなり、本体部分と突出部である係止部に内蔵された夫々の加算された弾性復元力により、ルーフ溝の湾曲した部分と他の部分(例えばルーフモールディングの長手方向の中心部分のルーフ溝がほぼ直線状の部分。)とでは、ルーフ溝を基準にしたときに該溝に対して車体の幅方向で位置ずれが発生する虞があり、車両としての外観品質を低下させることとなる。
【0007】
前記(2)の例では、昇降移動する窓板とガラスランチャンネルとの摺動抵抗を小さくするために、突出部の根元の厚さを薄くして該突出部の弾性反発力を小さくすると、前述した自重変位、即ち、ガラスランチャンネルの押出成形時にシールリップである突出部の自重に耐えられず該突出部が重力方向で下方に垂れ下がり、所定の横断面形状に保つのが難しくなる。一方で突出部の自重に耐えて該突出部の垂れ下がりが生じない程度の厚さを保って押出成形すると、完成したガラスランチャンネルのシールリップの弾性反発力が大きくなりすぎて、移動する窓板とシールストリップとの摺動抵抗を増大させることとなる。
【0008】
また、ドアオープニングシールの取り付け部分は横断面形状が略U字形に成形され、前記取付け部分のU字形部分の内側に保持リップとなる突出部が形成されているものがある。取り付け部分の開口溝にフランジ等を差し込んで、フランジを両側から挟むことにより取り付ける形式のドアオープニングシールでは、2枚のフランジが重ねて接合された部分と強度向上のために3枚以上のフランジが積層された部分があり、積層された部分では実質のフランジの厚さが大きくなっている部分が長手方向の一部分で連続していることがある。このためにフランジ2枚の部分を基準としてシールストリップを形成すると、3枚以上の複数枚のフランジ部分では保持リップ(突出部)の弾性反発力が大きくなり挿入が困難となる虞がある。一方で前記3枚以上の複数枚のフランジの部分を基準として保持リップを形成すると、フランジ2枚の部分では保持リップの弾性反発力が小さくなりフランジを両側から挟み込む十分な力が得られず、ドアオープニングシールが抜け落ちる虞がある。
【0009】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み創出されたものであり、以下に示す技術的課題の少なくとも一つを解決することを目的とする。
(1)異なる溝幅に共用できるように、押出成形時には安定して所定の横断面形状に成形可能で、溝の幅寸法が異なっていても、異なる幅寸法に共通して適用できる目地材やルーフモールディング等の押出成形品とその製造方法を提供することである。
(2)弾性反発力を一律に低減できるように、押出成形時には安定して所定の横断面形状に成形可能で、その成形の後に押出成形時における突出部の弾性反発力よりも小さい弾性反発力を呈することができるベルトモールやガラスランチャンネル及びドアオープニングシール等の成形品とその製造方法を提供することである。
(3)弾性反発力を部分的に低減できるように、押出成形時には安定して所定の横断面形状に成形可能で、突出部の長手方向の一部分と他の部分とで単位長さ当たりの弾性反発力が強弱に変化しているベルトモールやガラスランチャンネル及びドアオープニングシール等の成形品とその製造方法を提供することである。
【0010】
上記目的を実現するべく本発明によってポリマー材料製の長尺な押出成形品が提供される。
即ち、本発明のポリマー材料製の長尺な押出成形品は、請求項1に記載のとおり、被取付体に取り付け可能な本体部と、該本体部と一体的に成形され且つ該本体部から離れる方向に突出する弾性材料製の突出部とを備えており、前記本体部が被取付体の所定の位置に取り付けられた際に、前記突出部は、曲げられて弾性変形し得ると共に曲げられたときに該突出部の内部に弾性反発力を内蔵した状態で取り付けられる横断面形状が一定の長尺な押出成形品である。
前記突出部には、前記弾性反発力の程度を調節する分離部が長手方向の少なくとも一部分に形成されている。
前記分離部は、分離部が形成される前の所定肉厚を有する突出部の基礎肉厚部に該厚さ方向に肉の一部または全部を分離することにより形成され、前記突出部は前記分離部に隣接する部分において前記突出部の長手方向と幅方向と厚さ方向のうちの少なくとも一つの方向で分離部が形成されない残余の部分で長手方向に連結されている。そして、前記分離部が形成された部分において前記突出部の長手方向における単位長さ当たりの前記弾性反発力は、前記分離部が形成されたことによって、全体が全て前記基礎肉厚部により形成されている状態の弾性反発力と比較して小さくなっていることを特徴とする。
【0011】
かかる構成の本発明の押出成形品では、本体部と突出部からなる横断面の外形状(横断面形状という)が一定の押出成形品の突出部に分離部が形成されている。そして、該分離部が形成されたことによって、全体が全て前記基礎肉厚部により形成されている状態と比較して突出部の単位長さ当たりの弾性反発力は低下するように調節されている。
このことにより、本発明の押出成形品によると、分離部の形状(寸法)、数その他の条件との組合せにより、突出部の全体が全て所定肉厚である基礎肉厚部により構成されている状態よりも低下された弾性反発力を所定の部分に発揮させることができる。また、押出成形品の製造に際して、最終的な製品になる前(分離部が形成される前)の中間材の押出成形工程では、自重によって突出部が変位(変形)を生じない強度(自己保形強度)を有する厚さを保持して突出部を成形できるので、中間材を正確な形状に安定して押出成形することができる。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の押出成形品において、前記分離部は、前記突出部の長手方向の全長に亘り連続して形成されていることを特徴とする。
かかる構成の請求項2の押出成形品では、前記突出部の長手方向の全長に亘り均一に前記突出部の弾性反発力を小さくすることができる。
【0013】
また、請求項3の発明は、請求項1の押出成形品において、前記分離部は、前記突出部の長手方向に沿って、所定の間隔を隔てて複数箇所に形成され、前記複数箇所のそれぞれの分離部間に前記基礎肉厚部を介在させていることを特徴とする。
かかる構成の請求項3の押出成形品では、前記弾性反発力を低下させたい範囲の前記突出部に的確に前記分離部を形成することにより、該範囲において適切な弾性反発力を得ることができる。このため、成形品を被取付体へ装着する際の困難性を軽減すると共に、成形品が被取付体から抜け落ちること等を防止することができる。
【0014】
また、請求項4の発明は、請求項2又は3の押出成形品において、前記分離部として前記厚さ方向の肉の分離程度が異なる少なくとも2つの分離部をそれぞれ長手方向の異なる部位に備えていることを特徴とする。
かかる構成の請求項4の押出成形品では、前記突出部の長手方向の異なる部位で分離部の厚さ方向の肉の分離程度を変えることにより長手方向の一部分を他の異なる部分に対して前記弾性反発力の強弱を調節することができる。
【0015】
また、請求項5の発明は、請求項3の押出成形品において、前記複数箇所に形成されているそれぞれの分離部は、前記突出部の長手方向で同一の長さ及び/又は前記突出部の厚さ方向で同一の深さに形成されていることを特徴とする。
かかる構成の請求項5の押出成形品では、前記突出部の長手方向の複数箇所における分離部の長さと深さを同一とすることにより、前記突出部の長手方向のほぼ全長に亘り弾性反発力が小さくなった弾性反発力の均一部分が形成されることとなる。
【0016】
また、請求項6の発明は、請求項3の押出成形品において、前記複数箇所に形成されているそれぞれの分離部は、前記突出部の長手方向で異なる長さ及び/又は前記突出部の厚さ方向で異なる深さに形成されていることを特徴とする。
かかる構成の請求項6の押出成形品では、前記突出部の長手方向の複数箇所における分離部の長さ及び/又は深さを変えることにより、前記弾性反発力の強弱が異なる部分を形成することができる。
【0017】
また、請求項7の発明は、請求項3から6のいずれかの押出成形品において、前記複数の分離部は、その少なくとも一つが前記突出部をその厚さ方向に貫く前記貫通孔として形成されていることを特徴とする。
かかる構成の請求項7の押出成形品では、前記突出部の長手方向に貫通孔の分離部が形成されているので、例えば押出成形品をベルトモールに適用すると、水滴や塵等のゴミが貫通孔を通って下方に流れ、これらの排出に役立つという効果を奏する。
【0018】
また、請求項8の発明は、請求項3から6のいずれかの押出成形品において、前記複数の分離部は、その少なくとも一つが前記突出部をその厚さ方向に部分的に貫くスリット又は非貫通孔として形成されていることを特徴とする。
かかる構成の請求項8の押出成形品では、該押出成形品を被取付体に装着した状態で前記突出部に形成された前記分離部を外部から目視されることが好ましくない場合に、外部から目視されない面側に該分離部を形成すれば外観品質が損なわれないという効果を奏する。
【0019】
また、請求項9の発明は、請求項1から8のいずれかの押出成形品において、前記押出成形品は、車両本体の側面に設けられる窓開口部の縁部に沿って取り付け可能で、前記窓開口部内を移動する窓板と弾性接触するシールリップである前記突出部を備えるベルトモールであることを特徴とする。
かかる構成の請求項9の押出成形品では、長手方向の一部分の所定位置に分離部を形成すれば被取付体であるフランジの曲がりに沿い曲げられて取付られても、突出部の窓板に対する長手方向における押圧力の相違を小さくすることができるので、従来よりも窓板の拭き取り性にバラツキが生じないという効果を奏する。さらに、ベルトモールの長手方向の端末部分と中央部分におけるフランジの位置とベルトモールの位置との幅方向のズレを従来よりも小さくすることができる。
【0020】
また、請求項10の発明は、請求項1から8のいずれかの押出成形品において、前記押出成形品は、車両のルーフに形成されたルーフ溝に沿って装着可能で、弾性反発力で前記ルーフ溝の側壁に係止する係止部である突出部を備えるルーフモールディングであることを特徴とする。
かかる構成の請求項10の押出成形品では、車両のルーフ溝が長手方向に沿ってルーフ溝の幅方向に湾曲していても、湾曲部分に形成した分離部の作用により装着が容易となる。さらに、ルーフモールディングの長手方向の端末部分と中央部分におけるルーフモールディングの位置とルーフ溝の位置との幅方向のズレを従来よりも小さくすることができる。このため外観品質の低下を防止するという効果を奏する。
【0021】
また、請求項11の発明は、請求項1から8のいずれかの押出成形品において、前記押出成形品は、車両の窓枠に沿って装着可能で、窓板に弾性接触するシールリップである突出部を備え、前記窓板の昇降移動を案内するガラスランチャンネルであることを特徴とする。
かかる構成の請求項11の押出成形品では、シールリップの根元部分に分離部を形成することにより窓板を押圧するシールリップの弾性反発力を適切な大きさとすることができる。このため窓板の昇降移動の際の摺動抵抗を過度に大きくせず適切な案内性能を備えたガラスランチャンネルの実現が可能となる。
【0022】
また、請求項12の発明は、請求項1から8のいずれかの押出成形品において、前記押出成形品は、車両の窓枠部に装着される窓板の外周縁と、その窓枠部の周壁部との間の隙間に沿って取り付け可能で、前記周壁部と弾性接触し前記隙間を遮蔽する遮蔽リップである突出部を備えるウインドウモールであることを特徴とする。
かかる構成の請求項12の押出成形品では、車体パネルと窓板周縁との間にある溝の幅寸法が複数種類に及ぶ場合でも所定の部分に調節部分を形成することにより、元の一種類のウインドウモールを幅寸法が異なる複数種類の溝に適用させることができる。
【0023】
また、請求項13の発明は、請求項1から8のいずれかの押出成形品において、前記押出成形品は、車体のドア開口縁部に装着可能で、前記開口縁部を挟んで保持する保持リップである突出部を備えるドアオープニングシールであることを特徴とする。
かかる構成の請求項13の押出成形品では、ドア開口のフランジの厚さに対応してフランジの厚さが他の部分よりも厚くなっている部分を挟む突出部に分離部を形成することにより突出部の弾性反発力を小さくする。このため、前記突出部に分離部が形成されたドアオープニングシールでは適切な保持力を維持すると共にドアオープニングシールをドア開口フランジにはめこむのが容易になるという効果を奏する。
【0024】
また、請求項14の発明は、請求項1から8のいずれかの押出成形品において、前記押出成形品は、被取付体に設けられた目地に沿って挿入可能で、該目地を遮蔽し弾性反発力で前記目地の側壁に係止する係止部である突出部を備える目地材であることを特徴とする。
かかる構成の請求項14の押出成形品では、意図して、又は取付誤差等により被取付体の目地の幅寸法が許容範囲内で複数種類に及ぶ場合でも所定の部分に分離部を形成することにより、元の一種類の目地材を幅寸法の異なる複数種類の目地に適用させることができる。
【0025】
また、請求項15の発明は、請求項1から14のいずれかの押出成形品において、前記突出部が曲げられて弾性変形するとき、該突出部の少なくとも曲率半径外側となる面にスリット又は非貫通孔からなる前記分離部が形成されていることを特徴とする。
かかる構成の請求項15の押出成形品では、突出部の幅方向で引張応力が生じる曲率半径外側に分離部が形成されるので突出部が容易に曲げられる。
【0026】
さらに、上記目的を実現するべく本発明によってポリマー材料製の長尺な押出成形品の製造方法が提供される。
即ち、本発明のポリマー材料製の長尺な押出成形品の製造方法は、請求項16に記載のとおり、被取付体に取り付け可能な本体部と、該本体部と一体的に成形され且つ該本体部から離れる方向に突出する弾性材料製の突出部とを備え、
前記本体部が被取付体の所定の位置に取り付けられた際に前記突出部は、曲げられて弾性変形し得ると共に曲げられたときに該突出部の内部に弾性反発力を内蔵した状態で取り付けられる横断面形状が一定の長尺な押出成形品を製造する方法である。
そして、硬化又は固化したときに弾性を呈するポリマー材料から少なくとも前記突出部を押出成形し、その後に該ポリマー材料を硬化又は固化させて成る該突出部を含む前記押出成形品の中間材を準備する工程と、
前記中間材における前記突出部の突出先端部と前記本体部との間に、前記弾性反発力の程度を調節する分離部を形成するに際し、前記突出部の厚さ方向の肉厚が前記押出成形した際の同方向の肉厚に対応する所定の厚さである基礎肉厚部に該厚さ方向に肉の一部または全部を分離し、該長手方向と幅方向に肉の一部を分離することにより分離部を形成する工程とを含むことを特徴とする。
【0027】
かかる構成の本発明の押出成形品の製造方法では、ポリマー材料を押出すことにより本体部と突出部からなる横断面の外形状(横断面形状という)が一定の押出成形品の中間材を押出成形する準備工程と、該押出成形品の中間材の突出部に基礎肉厚部と分離部との組合せを形成する工程とにより、該分離部において突出部の単位長さ当たりの弾性反発力を小さくなるよう調節した押出成形品を形成することができる。
このことにより、本発明の製造方法によると、中間材を押出成形し該中間材の突出部が硬化又は固化した後に、突出部に弾性反発力を小さく調節することを目的とした分離部を形成するので、中間材を押出成形する際に該突出部の自重により該突出部が下方に垂れ下がる等の好ましくない変形が発生するのを防止することができるとともに、該突出部に正確な形状の該分離部を安定して形成することができる。
【0028】
また、請求項17の発明は、請求項16の製造方法において、前記中間材を準備する工程は、前記突出部が自己保形強度を有する厚さに保って前記中間材を押出成形する工程を包含し、ここで該工程において前記分離部の形成を該押出成形に同期して且つ前記ポリマー材料が硬化又は固化した後に行うことを特徴とする。
かかる構成の請求項17の製造方法では、前記中間材を押出成形する際には、前記突出部の自重による変形又は変位が生じない強度を有する厚さに保って該突出部を形成するので、正確な形状の中間材を安定して形成することができる。
【0029】
また、請求項18の発明は、請求項17の製造方法において、円板の外周に沿って複数の凸部である切断刃と凹部を交互に有する円板状切断刃を使用し、該凸部である切断刃を前記中間材における前記突出部の先端と前記本体部との間で、突出部に厚さ方向に切り込ませるとともに該刃を回転させることにより、該切断刃によって該突出部の長手方向に沿って複数箇所の分離部を断続的に形成することを特徴とする。
かかる構成の請求項18の製造方法では、前記分離部を有する押出成形品を効率的に製造することができる。また、前記切断刃の凸部の段差寸法を調節することにより又は円板状切断刃と突出部間の寸法を調節することにより前記分離部の厚さ方向の深さを調節することができる。さらに、前記切断刃の凸部の周方向寸法を調節することにより前記分離部の長手方向の長さを調節することができる。これにより、前記分離部において前記突出部の前記弾性反発力が小さくなるよう調節した押出成形品を効率的に製造することができる。
【0030】
また、請求項19の発明は、請求項16の製造方法において、所定の長さに切断された前記中間材を用意し、該中間材の前記突出部の先端と前記本体部との間に、該突出部の長手方向に沿って、単一の刃部若しくは相互に間隔を開けて形成された複数の刃部を有する切断工具の刃を押し付けることにより、該突出部の長手方向に沿って該刃部の押し付け部位に対応して形成される単一の又は複数の前記分離部を形成することを特徴とする。
かかる構成の請求項19の製造方法では、プレス型のパンチやトムソン刃のような公知の切断手段を用いることにより前記分離部を前記突出部に一回の動作で、所定の形態(位置、深さ、形状)に容易に形成することができる。これにより、前記分離部において前記突出部の前記弾性反発力が小さくなるよう調節した押出成形品を製造することができる。
【0031】
また、請求項20の発明は、請求項18又は19の製造方法において、前記複数の分離部として、前記刃部を押し付けて前記厚み方向に貫通した貫通孔を形成することを特徴とする。
かかる構成の請求項20の製造方法では、前記突出部の前記弾性反発力を減少させたい部分に貫通孔からなる分離部を容易に形成することができる。これにより、前記分離部においてゴミ等の排出口を兼ねさせることもできると共に前記突出部の前記弾性反発力が小さくなるよう調節した押出成形品を製造することができる。
【0032】
また、請求項21の発明は、請求項18又は19の製造方法において、前記複数の分離部を、前記突出部の長手方向に所定の間隔を保って前記突出部の厚さ方向の一方の面側から他方の面側に向けて該他方の面には達しないスリット又は非貫通孔として形成することを特徴とする。
かかる構成の請求項21の製造方法では、押出成形品を被取付体に装着した状態で前記突出部に形成された前記分離部を外部から目視されることが好ましくない場合に、外部から目視されない面側に該分離部を形成した押出成形品を製造することができる。このため、外観品質が損なわれないという効果を奏する。
【0033】
また、請求項22の発明は、請求項18又は19の製造方法において、前記複数の分離部それぞれの前記長手方向の寸法及び前記厚さ方向の深さが同一となるように、間隔を開けて長手方向に形成された複数の切断刃又は複数の刃部の、該長手方向のそれぞれの寸法及び突出長が同一である複数の切断刃を有する円板状切断刃又は複数の刃部を有する長尺な切断工具を用いて、前記複数の分離部を形成することを特徴とする。
かかる構成の請求項22の製造方法では、前記突出部の長手方向において、前記複数の分離部それぞれの前記長手方向の寸法及び前記厚さ方向の深さを同一となるように形成することにより、前記突出部の長手方向のほぼ全長に亘り弾性反発力が小さくなった弾性反発力の均一部分が形成されることとなる。
【0034】
また、請求項23の発明は、請求項18又は19の製造方法において、前記突出部の長さ方向において、前記突出部の厚さ方向の肉の分離程度が異なる及び/又は前記突出部の長さ方向における形成長さが異なる少なくとも2つの形態の分離部が形成されるように、前記切断工具として、間隔を開けて長手方向に形成された複数の切断刃又は複数の刃部の少なくとも一つの切断刃又は刃部の該長手方向の寸法及び/又は突出長が他の切断刃又は刃部とは異なるように形成されたことを特徴とする複数の切断刃を有する円板状切断刃又は複数の刃部を有する長尺な切断工具を用いて、前記複数の分離部を形成することを特徴とする。
かかる構成の請求項23の製造方法では、前記突出部の厚さ方向の肉の分離程度が相互に異なる及び/又は前記突出部の長手方向における形成長さが相互に異なる少なくとも2つの分離部を形成することにより、前記突出部における前記弾性反発力が部分的に異なるように調節された複数の分離部を有する押出成形品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態に係る押出成形品が取り付けられた自動車を模式的に示す部分的斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る押出成形品の構成と装着状態を模式的に示すもので、図1中のII−II線断面図である。
【図3】図2中のIII−III線断面図である。
【図4A】本発明の実施形態に係る突出部の構成を模式的に示す平面図である。
【図4B】本発明の実施形態に係る突出部の構造に関する一変更例を模式的に示す平面図である。
【図4C】本発明の実施形態に係る突出部の構造に関する一変更例を模式的に示す平面図である。
【図4D】本発明の実施形態に係る突出部の構成を模式的に示す断面図である。
【図4E】本発明の実施形態に係る突出部の構造に関する一変更例を模式的に示す断面図である。
【図4F】本発明の実施形態に係る突出部の構造に関する一変更例を模式的に示す断面図である。
【図4G】本発明の実施形態に係る突出部の構造に関する一変更例を模式的に示す平断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る押出成形品の製造方法を示す概略説明図である。
【図6】本発明の製造方法を実施するための分離部形成機の構成を模式的に示す側面図である。
【図7】本発明の製造方法を実施するための分離部形成機の構成に関する一変更例を模式的に示す側面図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る押出成形品の構成と装着状態を模式的に示すもので、図1中のVIII−VIII線断面図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る押出成形品の構成と装着状態を模式的に示すもので、図1中のIX−IX線断面図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係る押出成形品の構成と装着状態を模式的に示すもので、図1中のX−X線断面図である。
【図11】本発明の第5実施形態に係る押出成形品の構成と装着状態を模式的に示すもので、図1中のXI−XI線断面図である。
【図12】本発明の第6実施形態に係る押出成形品の構成と装着状態を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば押出成形法による長尺モールディングの製造に関する一般的な事項)は、従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書及び図面によって開示されている事項と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
以下、図面を参照しつつ本発明の長尺な押出成形品の好適な一実施形態(第1実施形態)を詳細に説明する。
【0037】
図1は、被取付体である自動車(車両)1に取り付けられる本実施形態の長尺な押出成形品の取付位置を模式的に示す部分的斜視図である。自動車1は一般的な車両と同様に、ルーフ3、センターピラー11、フロントピラー13、フロントドア15及びリアドア27を備えている。フロントドア15は、大まかにいって、ドア本体を構成するドアアウターパネル17及び図1に示していないドアインナーパネル、ならびに該パネル17の上方に形成された窓枠19から構成されており、窓枠19には窓板20が装着されている。さらに、ドアアウターパネル17に形成されたドアパネル上縁23(車外側の窓開口部21の縁部)に沿ってフランジ(被取付体)25(図2参照)が設けられている。そして、本実施形態に係る長尺な押出成形品であるベルトモール50は、該フランジ25に沿って取り付けられる。なお、自動車1には、長尺な押出成形品の一実施形態として、ルーフモールディング100(図8参照)、ガラスランチャンネル150(図9参照)、ウインドウモール200(図10参照)及びドアオープニングシール250(図11参照)が装着されているがこれらは他の実施形態として後述する。
また、本発明において、前方及び後方は車両の前後方向を指す。
【0038】
図2は、図1におけるII−II線断面図であり、この図に基づいて本実施形態に係るベルトモール50を説明する。図に示すように、ベルトモール50は略U字形状の一定の横断面形状の本体部52を備えている。かかる本体部52は、溝73をなすように各々突出する車内側側壁部54及び車外側側壁部70とを有している。そして、車外側側壁部70から溝73内に向けて突出し、フランジ(被取付体)25の側面に弾接可能であり、車外側側壁部70、車内側側壁部54との間に空間を保って折返し状に延びるように本体部52と一体的に成形されている上側及び下側のフランジ保持シールリップ72,72を有している。さらに、車内側側壁部54から窓板20の表面に対して所定の角度で交差するように突出し、窓板20の表面に弾接可能な本実施形態に係る突出部である下側の第1シールリップ56、上側の第2シールリップ62が本体部52と一体的にそれぞれ押出成形されている。さらにまた、車内側側壁部54の上端部から窓板20の表面に対して所定の角度で交差するように突出し、窓板20の表面には接触しないような長さの遮蔽リップ68が本体部52と一体的に形成されている。
また、本実施形態に係るベルトモール50は、第1シールリップ56において、第1シールリップ56の車内側側壁部54側の根元に後述する本実施形態に係る分離部である所定長さ寸法と所定幅寸法を有する円形又は長手方向で長円形の貫通孔60が、第1シールリップ56の厚さ方向の肉の全部を除去又は分離(以下、分離という)することにより形成されている。これにより、第1シールリップ56の分離部60に隣接してシールリップの幅方向で分離されないで残っている基礎肉厚部(押出成形されたときの肉厚部)60Wが形成され、第1シールリップ56を長手方向に連結している。このように、分離部の端末を円形又は半円形に形成するとノッチ効果がなくベルトモールの使用中に前記スリット部から亀裂が生じないので有効である。同様に、第2シールリップ62において、第2シールリップ62の車内側側壁部54側の根元に本実施形態に係る分離部であるスリット66が、第2シールリップ62の厚さ方向の肉を下側から上側に向けて一部分離し、長手方向と幅方向の肉を一部分離することにより形成されている。これにより第2シールリップ62の分離部に隣接してほぼ上半分には肉厚方向で分離されないで残っている連結部(押出成形されたときの肉厚部である基礎肉厚部66Wよりも薄肉の肉厚部)66Tが薄肉状に形成され、第2シールリップ62を長手方向に連結している。なお、分離部が貫通孔で形成されているときは、孔の大きさを長手方向だけでなく幅方向にも大小変更して後述する弾性反発力を調節できる。
【0039】
次に、上記構成のベルトモール50のフランジ25への装着状態を説明する。図3は、図2におけるIII−III線断面図であり、ベルトモール50をフランジ25に取り付けた状態を模式的に示す。図に示すように、曲率半径R(普通乗用車で曲率半径Rは5mから十数m)で車外側へ凸形状となるように湾曲しているフランジ25に沿って直線状のベルトモール50を曲げて取り付けると、ベルトモール50には長手方向で元の直線形状に復元しようとする内部応力が発生してベルトモール50を僅かに元の直線状の形状に近づいた形状(曲率半径Rよりも大きい曲率半径で湾曲する形状)を維持して装着される。この結果、ベルトモール50の長手方向の中央部分と車両前方部分と車両後方部分とにおける窓板20の表面からベルトモール50までの寸法をそれぞれd1,d2,d3とすると、それぞれの寸法に差(d1<d2、d1<d3)が生じることになる。従って、従来のベルトモールでは、中央部分におけるシールリップが窓板の表面を押圧する弾性反発力は、前方部分の応力および後方部分の応力よりも大きくなり、中央部分ではシールリップと窓板の表面との摺動抵抗が大きくなりスムーズな窓板の昇降移動を妨げることとなると共に摺動抵抗の大小偏在に伴い異音の発生や局部的に磨耗を生じることがある。
【0040】
しかし、本実施形態に係るベルトモール50によると、シールリップ56,62には長手方向の少なくとも中央部分に形成された長手方向で所定寸法を有する少なくとも1箇所の分離部60,66と、分離部に隣接して分離されずに残る幅方向の基礎肉厚部60Wと、分離部に隣接して厚さ方向の上部に分離されないで残っている連結部66T及び後述する長手方向の基礎肉厚部(分離部が長手方向で複数箇所ある場合はその分離部と分離部の間の基礎肉厚部を含む)との組合せがそれぞれ形成されている。これにより、中央部分における、シールリップ56,62が窓板20の表面を押圧する弾性反発力は従来のベルトモールと比較して小さくなり、且つ長手方向の全長に亘って単位長さ当たりの押圧力の差が小さくなるので、窓板20の表面に対して局部的に過度の力が作用されずスムーズな窓板20の昇降移動を実現することができる。これにより、シールリップ(突出部)56,62は押出成形時に自重変形を生じず、また使用時には窓板20の車外側表面に付着した雨水や泥等の異物を効果的に拭き取ることができる。なお、本実施形態では第1シールリップ56において一つの分離部として円形又は長手方向に延びる長円形の貫通孔60を形成し、第2シールリップ62において一つの分離部としてスリット66を形成しているが、それぞれのシールリップ56,62においてスリット66又は貫通孔60のどちらか一方からなる分離部をそれぞれ形成すればよく、その組合せは自由である。ベルトモール50において分離部として貫通孔60を形成すると、シールリップ56,62の弾性反発力を同一長さのスリット66の場合よりも小さくさせることができるとともに、シールリップ56,62の上に堆積した塵や水滴等のゴミが貫通孔60を通って下方に流れ、これらを排出することができる。但し、第2シールリップ62において分離部として貫通孔60を形成することにより外部から視認できる場合には、ベルトモール50の外観品質が損なわれる虞があるので分離部としてスリット66を形成することが好ましい。本実施形態では、第2シールリップ62の分離部としてのスリット66は、第2シールリップの裏面側(下側の面)に設けられた非貫通孔であり表面側(上側の面)にまで達していない。そのため外観品質が損なわれることがない。また、これにより突出部の曲率半径外側に発生する弾性反発力を効果的に小さくすることができる。
本実施形態に係る車外側(アウター)のベルトモール50は自動車(車両)1の左側面部に装着されるフロントドア15への装着にのみ限定されない。例えば、車両の左側リアドア27や右側の前後のドアにも同様に適用できる。更に、車内側(インナー)のベルトモールにも適用できる。この車内側のベルトモールの場合には、本体部をドアインナーパネルの縁や、ドアトリム(ドアの内張り)の縁に取り付けることができる。
【0041】
次に、ベルトモールの本体部52と一体的に成形される第1シールリップ56及び/又は第2シールリップ62に形成される本実施形態に係る分離部について図面を参照しつつ説明する。図4A〜図4Cは、特に第2シールリップ62を挙げて本実施形態に係る分離部の構成の変形例を模式的に示す平面図である。また、図4D〜図4Gは、本実施形態に係る分離部の構成の変形例を模式的に示す断面図である。なお、第1シールシップ56においても同様の構成の分離部が形成されるが、重複するので説明は省略する。
【0042】
図4Aは、第2シールリップ(突出部)62の長手方向の全長を仮想の領域又は範囲である前部分L1、中央部分L2、後部分L3に分け、前記各部分に断続する複数の分離部(貫通孔により形成された分離部または第2シールリップ62の厚さ方向の肉厚が同一となるようにスリットにより形成された分離部)が形成された状態を示す平面図である。前部分L1の範囲では長さdaの分離部86Aと、前記分離部86Aの長手方向の端末に隣接して分離部86Aが形成されていない残余の部分に基礎肉厚部(突出部の厚さ方向の肉厚が該突出部が押出成形された際の同方向の肉厚に対応する所定の厚さである部分。)87ALと分離部86Aの幅方向に隣接して基礎肉厚部66Wが形成されシールリップ62が長手方向に連結されている。図に示すように、第2シールリップ62の長手方向の仮想の領域又は範囲としての前側部分(長さをL1とする。)と前記と同様の後側部分(長さをL3とする。)では長さdaの分離部86Aと分離部86Aに隣接してこれを周囲から取り囲むように形成されたシールリップの幅方向の基礎肉厚部66W及び長手方向では長さdaの基礎肉厚部87ALが交互に複数設けられている。一方、第2シールリップ62の長手方向の中央部分(長さをL2とする。)では長さda1の分離部86AAと分離部86AAを取り囲んで幅方向及び長さda2の基礎肉厚部87AALがda1>da2となるように交互に複数設けられ、幅方向では前述した基礎肉厚部66Wが前側部分(L1)から連続している。
この場合、中央部分における第2シールリップ62の長手方向の単位長さ当たりの分離部の長さの割合は、前側部分と後側部分それぞれにおける第2シールリップ62の長手方向の単位長さ当たりの分離部の長さの割合よりも大きい。従って、前側部分L1、後側部分L3における第2シールリップ62の単位長さ当たりの弾性反発力は分離部が形成される前の弾性反発力よりも小さくなり、かつ中央部分における第2シールリップ62の長手方向の単位長さ当たりの弾性反発力は、前側部分と後側部分それぞれにおける該弾性反発力よりも小さくなる。この例のような構成のシールリップを前述したベルトモールに適用すると、中央部分において窓板20の表面に過度の押圧力が作用されずスムーズな窓板20の昇降移動を実現することができる。
【0043】
また、図4Bは、第2シールリップ(突出部)62の長手方向の全長に亘って一列に複数の分離部86Bと長手方向の基礎肉厚部87BLが相互に形成され、幅方向で基礎肉厚部66Wが形成されており、第2シールリップ62の中央部分L2において第2シールリップ62の先端側に更に追加して一列の分離部86BBと基礎肉厚部87BBLが相互に形成されている第2シールリップ62を模式的に示した平面図である。
図に示すように、第2シールリップ62の長手方向の前側部分L1、中央部分L2と後側部分L3においては、全長に亘って任意の長さdbの分離部86Bと任意の長さdbの基礎肉厚部87BLが交互に一列をなして複数設けられている。長手方向の中央部分L2においては更に任意の長さdb1の分離部86BBと任意の長さdb2の基礎肉厚部87BBLが交互に一列をなして複数設けられている。
この場合、中央部分L2における第2シールリップ62の長手方向の単位長さ当たりの各列の分離部の長さを合計した割合は、前側部分L1と後側部分L3それぞれにおける第2シールリップ62の長手方向の単位長さ当たりの分離部の長さの割合よりも大きい。従って、中央部分における第2シールリップ62の長手方向の単位長さ当たりの弾性反発力は、前側部分と後側部分それぞれにおける該弾性反発力よりも小さくなる。この例の様な構成のシールリップも前述したベルトモールに適用すると中央部分において窓板20の表面に過度の押圧力が作用されずスムーズな窓板20の昇降移動を実現することができる。
【0044】
また、図4Cは、第2シールリップ62の長手方向の中央部分L2において断続する分離部86Cと基礎肉厚部87Cとの組合せが形成されている第2シールリップ62を模式的に示した平面図である。図に示すように、第2シールリップ62の長手方向の中央部分(長さをL2とする。)では長さdc1の分離部86Cと長さdc2の基礎肉厚部87Cが一列をなして交互に複数設けられている。ここで、これらの長さdc1,dc2の程度は任意である。一方、前側部分L1と後側部分L3には分離部が形成されておらず、当該部分は基礎肉厚部66Wのみから構成されている。
この場合、中央部分にのみ分離部86Cが形成されている。従って、中央部分における第2シールリップ62の長手方向の単位長さ当たりの弾性反発力は、分離部86Cが形成されていない前側部分および後側部分それぞれにおける該弾性反発力よりも小さくなる。この例のような構成のシールリップを前述したベルトモールに適用しても中央部分において窓板20の表面に過度の押圧力が作用されずスムーズな窓板20の昇降移動を実現することができる。
【0045】
次に、図4Dは、第2シールリップ62の長手方向の全長に亘って断続する複数の分離部96D,96DD及び基礎肉厚部97Dと肉厚方向の連結部66Tの組合せが形成されている第2シールリップ62を模式的に示した縦断面図である。図に示すように、基礎肉厚部97Dの厚さtの第2シールリップ62の長手方向の前側部分(長さをL1とする。)と後側部分(長さをL3とする。)では長さdd且つ深さt1の分離部96Dと、前記分離部96Dの長手方向の端末に隣接して分離部96Dが形成されていない残余の部分に長さddの長手方向の基礎肉厚部97Dが交互に複数設けられ、肉厚方向の連結部66Tとで第2シールリップ62が長手方向に連結されている。一方、第2シールリップ62の長手方向の中央部分(長さをL2とする。)では長さdd且つ深さt2の分離部(t>t2>t1)96DDと長さddの基礎肉厚部97Dが交互に複数設けられている。
この場合、中央部分における第2シールリップ62の長手方向の単位長さ当たりの分離部の面積の割合は、前側部分と後側部分それぞれにおける第2シールリップ62の長手方向の単位長さ当たりの分離部の面積の割合よりも大きい。従って、中央部分における第2シールリップ62の長手方向の単位長さ当たりの弾性反発力は、前側部分と後側部分それぞれにおける該弾性反発力よりも小さくなる。この例のような構成のシールリップを前述したベルトモールに適用すると中央部分において窓板20の表面に過度の押圧力が作用されずスムーズな窓板20の昇降移動を実現することができる。
【0046】
また、図4E〜図4Gは、第2シールリップ62の一定の長さLと一定の厚さTで定まる単位面積当たり(第2シールリップ62の厚さをT且つ長さをLとする。)の分離部と分離部が形成されないで残る基礎肉厚部の単位面積に対する割合を模式的に示した断面図である。図4Eに示すように、第2シールリップ62に長さde且つ深さteの分離部96Eと長手方向の基礎肉厚部97Eが複数形成され、肉厚方向で分離されず残っている残余の連結部66Tとでシールリップ62が長手方向に連結されている。さらに、図4Fに示すように、第2シールリップ62に長さdf(de>df)且つ深さteの分離部96Fと基礎肉厚部97Fが複数形成されている。さらにまた、図4Gに示すように、第2シールリップ62に長さde且つ深さtg(te<tg)の分離部96Gと、基礎肉厚部97Gが複数形成され、前述したのと同様の厚さ方向の連結部66Tとでシールリップ62が長手方向に連結されている。
ここで、図4Eの第2シールリップ62と図4Fの第2シールリップ62とを比較すると、形成された分離部の深さが同一の場合は、単位面積に対し形成された分離部の総面積の割合が大きくなるとそれに伴い第2シールリップ62の弾性反発力が小さくなる。この場合、図4Fの分離部の総面積が図4Eの分離部の総面積よりも大きく設定されているので図4Fにおける第2シールリップ62の長手方向の単位長さ当たりの弾性反発力は図4Eの第2シールリップ62の長手方向の単位長さ当たりの弾性反発力と比べて小さくなる。
同様に、図4Eの第2シールリップ62と図4Gの第2シールリップとを比較すると、形成された分離部の長さが同一且つ分離部の数が同一の場合は、形成された分離部の厚さ方向の深さが大きく分離部の総面積が大きくなるとそれに伴い第2シールリップの弾性反発力が小さくなる。この場合、図4Gの分離部の深さは図4Eの分離部の深さよりも大きい(tg>te)ので図4Gにおける第2シールリップ62の長手方向の単位長さ当たりの弾性反発力は図4Eの第2シールリップ62の弾性反発力と比べて小さくなる。
【0047】
以上より、シールリップを押出成形する際に、自重変形を防止して正確な形状に形成できるのに加えて、分離部の長手方向の長さと厚さ方向の深さを適宜組み合わせることにより、第1シールリップ56及び第2シールリップ62のそれぞれの長手方向所定部分に所望の弾性反発力を有する分離部60,66を形成することができる。これにより、第1シールリップ56及び第2シールリップ62の全長に亘って均一な弾性反発力を得る場合にも、長手方向で部分的に異なる弾性反発力を得る場合にも適用できるベルトモール50が得られる。
かかるベルトモール50により、直線状のベルトモール50がフランジ25の曲がりに沿って曲げられて取り付けられても、第1シールリップ及び第2シールリップの中央部分で弾性反発力が他の部分と比較して大きくならない。従って、ベルトモールの全長に亘って窓板に対する第1シールリップ及び第2シールリップの長手方向の押圧力の相違を小さくすることができるので、長手方向における拭き取り性にバラツキが生じない。
【0048】
次に、本発明の製造方法において好適に使用される材料について説明する。
ここで開示される製造方法において突出部に使用されるポリマー材料としては、要求される品質と機能の実現可能なポリマー材料であれば特に制限なく使用することができる。好適な具体例として、ポリマー成分が、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、ゴム材であるものが挙げられる。
熱可塑性樹脂は、汎用樹脂でもエンジニアリング樹脂(所謂エンプラ)でも良く、結晶性樹脂でも非晶質(非結晶性)樹脂でも良い。例えば、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリルエチレンプロピレンゴムスチレン共重合体(AES)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリアセタール(POM)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリフェニレンオキサイド(PPO)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等の各種熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの他、種々のグレードのポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の樹脂を用いることが可能である。環境に優しいという観点からは塩素等のハロゲンを含まない樹脂が好ましく、さらにはリサイクル性等の観点からポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂が特に好ましい。
また、種々の熱可塑性エラストマー(例えばオレフィン系、スチレン系、ビニル系)を好適に用いることができる。特に、環境への配慮やリサイクル性の観点から、例えばハードセグメントがオレフィン系樹脂であるオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)が好ましい。また、ソフトセグメントとしてEPM、EPDM、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)等のようなゴム成分を含有する熱可塑性エラストマーも好ましい。
また、ゴム材としては、例えば、天然ゴム(NR)、エチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等を用いることが可能である。環境に対する配慮がされるときには塩素等のハロゲンを含まないゴムが好ましい。特にEPDMは、反発弾性が良好なことから自動車用ゴム製品、工業用ゴム製品、建築用ゴム製品等に好ましく用いることができる。
本発明の実施にあたっては、上記のようなポリマー(熱可塑性樹脂、ゴム、エラストマー等)の1種類をマトリックス成分とするポリマー材料(成形材料)を用いてもよく、或いは、2種類又は3種類以上のポリマーから成るポリマーコンプレックスやポリマーアロイをマトリックス成分とするポリマー材料を用いてもよい。
さらには、上記のポリマー材料の品質と機能を高めるために副成分として種々の添加材料を混合したポリマー材料を好ましく使用することができる。かかる添加材料としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー、マイカ、タルク、水酸化マグネシウム等の無機充填剤が挙げられる。また、カーボンブラック、二酸チタン、各種の有機染料、顔料等の着色剤が挙げられる。また、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等のプロセスオイルが挙げられる。或いはまた、含有するポリマー成分に応じて、ジブチル錫マレート系、ジブチル錫メルカプト系等の有機錫系安定剤等の安定剤が挙げられる。その他、PTFE等の潤滑剤、フタル酸誘電体(DOP(フタル酸ビス)、DIDP(フタル酸ジイソデシル),DINP(フタル酸ジイソノニル)、DOA(アジピン酸ビス))等の可塑剤、粉末硫黄、アシル系パーオキサイド等の有機過酸化物等の加硫剤、グアニジン類、チアゾール類、チオウレア類、チウラム類等の加硫促進剤などが挙げられる。
【0049】
次に、図面を参照にしつつ本発明の押出成形品の製造方法の好適な一実施形態を詳細に説明する。なお、図5は、本実施形態に係る製造方法を好適に実施する押出製造ラインと該ラインを構成する各装置を示す概略説明図である。なお、本発明に関する以下の説明において上流および下流という場合は、押出方向に関しての上流と下流、即ち、後述する中間材404が押出成形機400(上流)側から切断機442(下流)側へ流れる場合の位置関係を指す。図に示すように、本実施形態に係る押出製造ラインは、大まかにいって、押出成形機400、処理層420、本実施形態に係る分離部を形成する分離部形成機422、引取機440及び切断機442を備える。
【0050】
押出成形品を製造する場合には、まず、中間材成形工程を実行する。この中間材成形工程では、押出成形機400に中間材404を形成する上述のポリマー材料を供給して、押出成形機400で本体部(図示せず)と、本体部と一体的に成形される突出部408からなる所定の横断面形状の中間材404を押出成形する。
この後、押出成形機400から押し出されてきたポリマー材料から成る中間材404は、処理層420において硬化させる若しくは固化させる処理、即ち架橋促進処理や冷却処理等が行われる。処理槽420は、例えば熱可塑性樹脂を主体とするポリマー材料を冷却することにより該ポリマー材料を固化させる処理(加熱されて溶融状態で押し出されたポリマー材料を冷却固化させる処理であってもよい。)を行うものであり得る。また、加硫可能な未加硫ゴム(EPDM等)を加熱し且つ加硫することにより該ゴム材料を硬化させる処理を行うものであり得る。
【0051】
そして、硬化又は固化処理を終えた中間材404を分離部形成機422に連続して供給して、中間材404の突出部408に分離部412と分離されないで残る基礎肉厚部414を形成する工程を実行する。そして、分離部形成機422の下流側に設けられた引取機440は、分離部が形成された中間材404を表裏両面側から挟んで回転しながら引き取る引取ベルト又はローラー440A,440Bを備える。
引取機440の下流側に設けられた切断機442は、切断刃であるカッター442A、ダイ442Bおよび位置センサー442Cを備えている。そして、引取機440を通過してきた中間材404の先端を位置センサー442Cが検知した時点でカッター442Aを作動させて当該中間材404を所定の長さに切断する。これにより、突出部の自重変形を防止して正確な形状に保って所定の長さの押出成形品を連続的に製造することができる。
なお、上述した分離部形成機422を除く各装置については、何れも従来使用されているものと同様であればよく、本発明を特徴付けるものではないため、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0052】
次に、本実施形態に係る分離部形成機422について詳細に説明する。図6に示すように、分離部を形成する工程で使用する分離部形成機422は、円板状の回転駆動ローラー424と円板状の回転駆動受けローラー434とから構成されており、該ローラー424,434が中間材404を上下方向に挟むようにして配置されている。
円板状の回転駆動ローラー424は、円板の外周に沿って所定の間隔を隔てて複数の凸形状の切断刃(凸部である切断刃)428と凹部430を交互に有する円板状切断刃426を備えている。この凸形状の切断刃428の先端と凹部430の底との段差寸法を調節することにより、若しくは両方の軸432,436の軸間寸法を調節することにより中間材404の突出部408に形成される分離部412の厚さ方向の深さ及び厚さ方向の残余の肉厚が決定される。以上のとおり、所望の弾性反発力に対応させて突出部408の厚さ方向の肉厚の一部を分離させてスリット(分離部)412を形成又は突出部408の厚さ方向の肉厚の全部を分離させて貫通孔(分離部)412を形成することができる。また、該凸形状の切断刃428の周方向の長さ寸法を調節することにより、中間材404の突出部408に形成される分離部412の長手方向の長さが決定される。なお、切断刃の形状428は所望の分離部412の形状に応じて適宜変更可能であり、図において周方向の複数の切断刃428の形状は同一であるがそれぞれ異なる形状に形成してもよい。一方、この実施形態においては円板状の回転駆動受けローラー434は、切断刃を備えておらず受けローラー434により中間材404を送りだす機能を果たしているが、周方向に沿ってローラー424と同様に凹凸部を形成して一方のローラーの凸部が他方のローラーの凹部に食い込んで嵌り合うようにしてもよい。
【0053】
それぞれのローラー424,434は、中間材404の押出速度と同期した周速度でそれぞれの回転軸432,436を駆動させて回転する。そして、回転駆動ローラー424の切断刃428を中間材404の突出部408の厚さ方向に切り込ませるとともに円板状切断刃426を回転させることにより、突出部408の厚さ方向の肉厚を突出部の幅方向で分離することができ、突出部408の長手方向に沿って分離部412を断続的に形成することできる。これにより、分離部412と基礎肉厚部414の組合せを形成することができる。なお、分離部形成機422を構成する回転駆動受けローラー434は中間材404を送りだす機能を有していればローラー438でなくてもよいことは前述のとおりである。さらに、本実施形態は前記分離部形成工程を押出成形と同期して行う場合であり、引取工程の前で行う例について説明したが、これに代えて引取工程の後であってもよく、または、中間材を所定の長さに切断した後に別途の工程で中間材の一本毎に行ってもよい。
【0054】
分離部形成機422は、上述した実施形態のものに限定されない。例えば、以下に説明するような変更例が挙げられる。図7は、第1の変更例である分離部形成機444の構成を模式的に示す側面図である。かかる分離部形成機444による分離部を形成する工程は、押出成形に同期して中間材成形工程で行ってもよいが、好ましくは硬化又は固化処理工程及び切断工程を経た後に実行される。
【0055】
分離部形成機444は、ラムとボルスターを有するプレス機に装着して用いるもので図7に示すように、本実施形態に係る切断工具であるパンチ446とダイ454から構成されている(なお、図7に示すダイ454は貫通孔を形成する例を前提として図示している)。そして、パンチ446を上型、ダイ454を下型として分かれて配置されている。パンチ446の下部には長手方向に沿って、複数の凸形状の切断刃(刃部)448と凹部450を交互に備えている。そして、中間材404をダイ454に押しつけて固定すると共に分離部が形成された中間材をパンチ446から離すためのストリッパー452を備えている。
【0056】
前記した円板状切断刃426と同様にパンチ446が備えている切断刃448の段差寸法を調節することにより、若しくはパンチ446の移動ストロークを調節することにより、中間材404の突出部408に形成される分離部412の厚さ方向の肉厚が決定される。所望の弾性反発力に対応させて突出部408の厚さ方向の肉厚の一部を分離させてスリット(分離部)412を形成又は突出部408の厚さ方向の肉厚の全部を分離させて貫通孔(分離部)412を形成することができる。また、該凸形状の切断刃448の長さ寸法を調節することにより、中間材404の突出部408に形成される分離部412の長手方向の長さが決定される。なお、切断刃448の形状は所望の分離部412の形状に応じて適宜変更可能であり、図においてパンチ446の中央部分(L2)における各切断刃448の間隔は、前方部分(L1)及び後方部分(L3)における間隔よりも小さくなるように形成されているが、全長に亘って全ての間隔を同一にしてもよいし、長手方向で切断刃448のそれぞれの間隔を異なるものとしてもよい。更に、長手方向の一部の範囲でスリットを他の範囲で貫通孔を形成するなど、求められる弾性反発力に応じて適宜選択すればよい。
【0057】
一方、パンチ446がピアス型(孔明型)の場合はパンチ446を突出部408に押し付けて貫通孔(分離部)412を形成するので突出部408から切りカスが発生する。従って、ダイ454にはピアス型のパンチ446が入り込むと共に該切りカスを排出するためのダイ穴456がパンチ446の切断刃448に対応する位置に設けられている。なお、パンチ446がトムソン刃の場合には突出部408の厚さ方向を貫通するスリット(分離部)412のみが形成されることとなり切りカスが発生しないので、ダイ454にはダイ穴456を設ける必要はない。
【0058】
所定の長さに切断された中間材404をダイ454の上部にセットし、パンチ446を上から中間材404の突出部408に押し付けることで、パンチ446に備えられた凸形状の切断刃(刃部)448が突出部408の厚さ方向の肉厚を分離することとなり、突出部408の長手方向に沿って分離部412を断続的に形成することができる。これにより、分離部412と分離されないで残る残余の基礎肉厚部414の組合せを備えた押出成形品を製造することができる。
なお、分離部412を形成して分離部412と基礎肉厚部414との組合せを形成する方法は、上述した分離部形成機422,444だけに限定するものではなく、他の公知方法、例えば、回転切削工具、レーザー光線の照射による形成等も適用することができる。
【0059】
以上より、本発明に係る製造方法によれば、突出部408の根元部分において、自重による変形が生じない程度の厚さを保つ突出部408を備える中間材404を安定して押出成形することができる。そして、中間材404の突出部408を硬化又は固化させる処理をした後、突出部408の所定部分に分離部412と基礎肉厚部414とを形成することにより所望の弾性反発力を有する押出成形品を安定して製造することができる。
【0060】
上述の第1実施形態では、押出成形品はベルトモール50であったが、そのような形態に限定されない。
以下、第2実施形態として、押出成形品がルーフモールディング100である場合の好適な例を図面を参照にしつつ説明する。
【0061】
本実施形態に係るルーフモールディング100は、硬度の異なる2種類のオレフィン系やスチレン系の熱可塑性エラストマー材料やゴム材料から押出成形された押出成形品である。図1に示すように、ルーフモールディング100は、本実施形態に係るルーフ(被取付体)3を構成するセンタールーフパネル5とサイドルーフパネル7との境界に沿って車両の長手方向に沿って形成されているルーフ溝9に装着される。
【0062】
図8は、図1における左側のルーフモールディング100のVIII−VIII線断面図である。図8に示すように、本実施形態に係るルーフモールディング100は、大まかにいって、本体部が頭部102と幹部108と脚部114とから構成されている。
頭部102は、ルーフ溝9の開口を覆う本体部104と、該本体部104の表面に積層一体化された薄肉のカバー層106とから構成されている。そして、頭部102の裏面の幅方向のほぼ中央付近からほぼ垂直に突出する幹部108が一体的に成形されており、該幹部108の両側面にはそれぞれ突部110が成形されている。また、該幹部108には補強部材112として帯板状の金属製芯材が長手方向に沿って埋設されている。さらに、幹部108の先端には脚部114が一体的に形成され、該脚部114の車両幅方向の車外側端末からルーフ溝9を形成するサイドルーフパネル7の側壁7Aと所定の角度で交差するように突出する本実施形態に係る突出部である車外側係止リップ124、車内側端末からセンタールーフパネル5の側壁5Aと所定の角度で交差するように突出する本実施形態に係る突出部である車内側係止リップ116がそれぞれ一体的に成形されている。
また、車内側係止リップ116及び車外側係止リップ124において、該係止リップ116,124の根元に本実施形態に係る分離部であるスリット120,128が該係止リップの厚さ方向の肉を一部分離することによりそれぞれ形成されている。
【0063】
次に、上記構成のルーフモールディング100のルーフ溝9への装着状態を説明する。図8に示すように、ルーフ溝9の形状に対応させてルーフモールディング100の車内側係止リップ116及び車外側係止リップ124を上側に向けて弾性変形させながら脚部114をルーフ溝9側に向けてルーフ溝9に上側から押し込む。押し込まれたルーフモールディング100の車内側係止リップ116及び車外側係止リップ124に弾性反発力が発生し、これを内蔵した状態でルーフ溝9内の側壁5A,7Aに圧接されることにより、ルーフモールディング100はルーフ溝9に係止される。
【0064】
以下、図8に基づいてルーフ溝の幅寸法K2を有する一つの車種とルーフ溝の幅寸法だけがK2より小さいK1を有する他の車種に共通して適用できるルーフモールディングについて説明する。
本実施形態に係るルーフモールディング100によると、係止リップを正確な形状に保って成形できるのに加え,図に示すように、ルーフ溝9の幅寸法がK1(K1は、実用的には、基準幅寸法K2に対して−5%〜−10%程度)のルーフ溝に対してK2のものに適用するように製造されたルーフモールディングを幅寸法K1のものに適用するために、車内側係止リップ116の根元部分と車外側係止リップ124の根元部分との少なくとも一方の全長に亘ってそれぞれ分離部120と基礎肉厚部との組合せが形成されている。これにより、車内側係止リップ116と車外側係止リップ124の少なくともいずれか一方における単位長さ当たりの弾性反発力を小さくすることができるので、幅寸法K2に適合するように形成されたルーフモールディング100を幅寸法K1のルーフ溝9へ共用して装着することができる。
【0065】
また、ルーフ溝9が車両1の長手方向に沿って車体の幅方向中心側が曲率半径の外側となるように車幅方向に湾曲している場合に、従来の直線状のルーフモールディングをルーフ溝9に装着するとルーフモールディングは本体部分の弾性復元力に加えて係止リップの弾性復元力が加わって元の直線形状に復元しようとする内部応力が発生して僅かに元の直線形状に近づいた形状に曲がって装着される。これにより、ルーフ溝9を基準としたときに、特にルーフモールディングの長手方向の端末で該溝に対して車幅方向で位置ズレが発生することがある。
しかし、本実施形態に係るルーフモールディング100によると、ルーフモールディング100の車両前方部分と車両後方部分において、ルーフモールディング100の車外側係止リップ(曲率半径内側に位置する係止リップ)124においてスリット(分離部)128と基礎肉厚部とが組み合わされて形成されている。同様に、更に好ましくはルーフモールディング100の車両の前後方向の中央部分において、ルーフモールディング100の車内側係止リップ(曲率半径外側に位置する係止リップ)116においてスリット(分離部)120と基礎肉厚部が組み合わされて形成されている。従って、ルーフモールディングの係止リップには、長手方向の両端部分では曲率半径の内側になる係止リップ124に、中央部分では曲率半径外側になる係止リップ116に分離部がそれぞれ形成されるので分離部が形成されたそれぞれの係止リップ116,124における弾性反発力を分離部が形成される前の係止リップよりも小さくすることができるので、ルーフモールディング100の長手方向における位置ズレを従来よりも小さくすることが可能である。
【0066】
以上、第1及び第2実施形態を図面を参照しつつ詳細に説明したが、上述の第1及び第2実施形態に本発明は限定されない。以下、第3実施形態として、押出成形品がガラスランチャンネル150である場合の好適な例を図面を参照にしつつ説明する。
【0067】
図1に示すように、自動車(車両)1のフロントドア15には窓枠(被取付体)19が一体的に形成され、窓枠19の内側の溝19J内には窓板(窓ガラス)20の昇降移動を案内するガラスランチャンネル150が装着されている。
図9は、図1におけるIX−IX線断面図である。図に示すように、窓枠19は、車内側壁19Aと車外側壁19Eとが自動車1の幅方向で略平行に配置されるように折り曲げられたスチール板によって形成されており、該二つの側壁19A,19Eと底壁19Iにより窓枠19の長手方向に沿って溝19Jが形成されている。詳細に述べると、図9に示すように、窓枠19内の溝19Jの周囲は、車内側壁19Aと車外側壁19Eと底壁19Iとによって構成されている。
【0068】
また、車内側壁19Aの底壁19I寄りの部分は、溝19J内部空間(車内側壁19Aと車外側壁19Eとの間隔)が溝19Jの開口縁19K付近よりも拡大されるように、車内側壁19Aの開口縁19K寄りの内周壁部19Bと同程度に凹んだ拡大壁部19Cとして形成されており、該拡大壁部19Cと内周壁部19Bとの間には車外側壁19E方向に突出した段差部19Dが形成されている。同様に、車外側壁19Eの底壁19I寄りの部分は、車外側壁19Eの開口縁19K寄りの外周壁部19Fよりも凹んだ拡大壁部19Gとして形成されており、該拡大壁部19Gと外周壁部19Fとの間には段差部19Hが形成されている。
【0069】
一方、図9に示すように、本実施形態に係るガラスランチャンネル150は、窓枠19の溝19Jに装着された状態において、略U字形状の一定の横断面形状の本体部152を備えている。かかる本体部152は、ガラスランチャンネル150に案内されて昇降動する窓板20の端面と対向する位置に配置される基底部154と、該基底部154の幅方向の両方の端部から溝をなすように各々突出する車内側側壁部156及び車外側側壁部166とを有している。さらに、ガラスランチャンネル150は、車内側側壁部156及び車外側側壁部166それぞれの開口縁19K側(突出先端側)から一体に基底部154の幅方向中心側に向けて折り返し状に各々突出し、昇降する窓板20の側面に弾接可能であり、該側壁部156,166との間に空間を保って折返し状に延びる本実施形態に係る突出部である車内側シールリップ158及び車外側シールリップ168をそれぞれ有している。さらにまた、車内側側壁部156の車内側シールリップ158寄りの端部には、車内側遮蔽リップ164が外方に張り出すように形成されている。同様に、車外側側壁部166の車外側シールリップ168寄りの端部には、車外側遮蔽リップ174が外方に張り出すように形成されている。
【0070】
図9に示すように、本実施形態に係るガラスランチャンネル150は、車内側シールリップ158(突出部)において、車内側シールリップ158の目視されない裏面側(溝176に面する側)の根元に本実施形態に係る分離部であるスリット162が、車内側シールリップ158の厚さ方向の肉を一部分離することにより形成されている。同様に、車外側シールリップ168(突出部)において、車外側シールリップ168裏面側(溝176に面する側)の根元に本実施形態に係る分離部であるスリット172が、車外側シールリップ168の厚さ方向の肉を一部分離することにより形成されている。
【0071】
従って、本実施形態のガラスランチャンネルによると、押出成形時にシールリップを正確な形状に保って成形できるのに加えて車内側シールリップ158と車外側シールリップ168のそれぞれに分離部162,172と分離されない残余の基礎肉厚部(図示せず)の組み合せが形成されているので、シールリップ158,168における弾性反発力は分離部が形成されない状態(分離部が形成される前の状態)に比べて小さくなり、窓板20が窓開口部21を昇降移動する際に、車内側シールリップ158と窓板20の表面及び車外側シールリップ168と窓板20の表面のそれぞれの摺動抵抗を過大にさせずスムーズな窓板20の昇降を実現することができる。なお、本実施形態ではシールリップ158,168の裏面側(溝176に面する側)にそれぞれ分離部としてスリット162,172を形成しているが、該スリット162,172はシールリップ158,168の表面(車両前方側)に達しない範囲にとどめるのが好ましい。これにより、外部から視認可能なシールリップ158,168の根元部分の外観品質が損なわれることのない所望のガラスランチャンネル150を得ることができる。他の実施形態では突出部が曲げられて弾性変形するときに突出部の曲率半径外側となる面に分離部が形成されているが、本実施形態では突出部の曲率半径内側となる面に分離部が形成されている。それでも突出部に発生する弾性反発力を効果的に小さくすることができる。
なお、本実施形態に係るガラスランチャンネル150は、自動車(車両)1のフロントドア15の窓枠に装着することに限定されない。例えば、車両の左側側面に装着されるリアドア27、車両の右側側面に装着されるフロントドア、リアドアなど、窓板が開閉移動する車両の窓枠に適用することができる。
【0072】
以上、第1〜第3実施形態を図面を参照しつつ詳細に説明したが、上述の第1〜第3実施形態に本発明は限定されない。以下、第4実施形態として、押出成形品がウインドウモール200である場合の好適な例を図面を参照にしつつ説明する。
【0073】
図1に示すように、自動車(車両)1には、ルーフ3とフロントピラー13から構成される窓開口縁を形成するフロント窓枠部(被取付体)220が形成されている。そして、本実施形態に係るウインドウモール200は、該窓枠部220に装着されるフロント窓板(窓板)224の外周縁と、該窓枠部220の周壁部222との間の隙間226を覆うように装着される。
図10は、図1におけるX−X線断面図であり、ウインドウモール200は頭部204と脚部206とから形成される略U字形状の一定の横断面形状の本体部202を備えている。そして、本体部202から窓枠部220の周壁部222の表面に対して所定の角度で交差するように突出し、周壁部222の表面と弾接可能な遮蔽リップ(突出部)208が本体部202と一体的に成形されている。なお、遮蔽リップ(突出部)208は本体部202よりも軟質で弾性の高いポリマー材料から形成されている。また、本実施形態に係るウインドウモール200は、遮蔽リップ208において、少なくとも遮蔽リップ208の根元部分(遮蔽リップ208の幅方向に複数の分離部が設けられていても良い。)に本実施形態に係る分離部であるスリット212が、遮蔽リップ208の目視されない裏面側に厚さ方向の肉を一部分離することにより形成されている。
【0074】
ウインドウモール200は、予め窓板の周縁に沿って装着されていて、窓板と共に窓開口縁に押し込む。このとき、ウインドウモール200の遮蔽リップ208を弾性変形させながらフロント窓板224を押し込んで遮蔽リップ208で隙間226を遮蔽する。なお、二点差線は装着前の遮蔽リップ208の位置を示している。そして、押し込まれた遮蔽リップ208が周壁部222の側壁に圧接されることにより、ウインドウモール200は隙間226に係止される。
従って、本実施形態のウインドウモール200によると、遮蔽リップ208を正確な形状に保って押出成形できるのに加え窓枠部220の周壁部222とフロント窓板224の外周縁との間に生じる隙間226の寸法に対応させて、遮蔽リップ208に分離部212を形成することにより元の一種類のウインドウモール200を幅寸法が小さい他の車種用にも適応させることができる。さらに、一つの車種であっても車体寸法と窓板寸法の誤差の累積により前記隙間226の寸法が大小に変動することがある。前記隙間が小さい場合であっても遮蔽リップ208に分離部を形成して弾性反発力を小さくしておくと、前記の窓板の装着作業が容易であるだけでなく、窓板を装着した後に窓板の面方向に過度の圧縮応力を作用させないので窓板の変形や位置ずれを防止できる。なお、本実施形態に係るウインドウモール200は、窓開口縁のフロント窓枠部220に装着することに限定されない。例えば、車両後部の窓板(リアウインドウガラス)、車両側部の窓板(サイドウインドウガラス)等、任意の窓板に沿って装着することもできる。
更に、本体部の形状は前記に限られず、窓板の表面にのみ固着された脚部206が本体部となり、この脚部206から遮蔽リップ208が突出するウインドウモールであってもよい。
【0075】
以上、第1〜第4実施形態を図面を参照しつつ詳細に説明したが、上述の第1〜第4実施形態に本発明は限定されない。以下、第5実施形態として、押出成形品がドアオープニングシール250である場合の好適な例を図面を参照にしつつ説明する。
【0076】
図1に示すように、ドアオープニングシール250は、自動車(車両)1のフロントドア(ドア)15に対応する車体パネル(図示せず)の開口縁部に設けられたドア開口フランジ(被取付体)(図11)14に差し込まれかつ該フランジ14を両側から挟みこむように装着される。ここで、ドア開口フランジ14は車外側パネル14Aと車内側パネル14Bにより構成されているが、ドア開口フランジ14には開口縁の長手方向に沿って部分的に補強パネル14Cが重ねて接合されており、該部分でフランジ14が厚くなる。
図11は、図1におけるXI−XI線断面図であり、ドアオープニングシール250は略U字形状の一定の横断面形状の本体部252を備えている。かかる本体部252は、ドア開口フランジ14端面と対向する位置に配置される基底部272と、該基底部272の幅方向の両方の端部から溝274を形成するように各々突出する車内側側壁部256と車外側側壁部264とを有している。さらに、車内側側壁部256及び車外側側壁部264のそれぞれから一体に基底部272の幅方向の中心側に向けて各々突出し、ドア開口フランジ14と弾接可能な車内側フランジ保持リップ(突出部)258及び車外側フランジ保持リップ(突出部)266をそれぞれ有している。そして、本体部252には、補強部材254として帯板状の金属製芯材が長手方向に沿って埋設されている。また、ドアオープニングシール250は、ドア15が閉じたときにドア15の裏面と接触して弾性変形し弾性反発力によりフロントドア15と車体パネル(図示せず)との間の隙間をシールする中空状シール部278が車外側側壁部264に形成されている。さらにまた、本体部252の基底部272裏面から車内側に向けて所定の角度で交差するように突出する遮蔽リップ280が本体部252と一体的に形成されている。
【0077】
また、補強パネル14Cが接合されて厚く形成されたフランジ14部分に対応するドアオープニングシール250のフランジ保持リップ258,266の少なくとも根元部分(フランジ保持リップ258,266の幅方向に複数列の分離部が設けられていても良い。)に本実施形態に係る分離部であるスリット262,270が、それぞれのフランジ保持リップ258,266の厚さ方向の肉を一部分離することにより形成されている。なお、本実施形態に係る分離部は上記のスリットに限定されず、長手方向に所定の間隔を隔てた複数箇所にフランジ保持リップ258,266の厚さ方向の肉を全部分離することにより形成される複数の貫通孔でもよい。
【0078】
ドアオープニングシール250は、フランジ保持リップ258,266を弾性変形させながら本体部252をドア開口フランジ14に差し込む。そして、フランジ保持リップ258,266の一部がフランジ14の側壁を車内側と車外側の両側から圧接することにより、ドアオープニングシール250はドア開口フランジ14に装着される。そして、ドアオープニングシール250がドア開口フランジ14に装着された際に、遮蔽リップ280と車内側側壁部256との間に、車内の内装部材(図示せず)の端末が差し込み状に覆われるようになっている。
従って、本実施形態のドアオープニングシール250によると、押出成形時にフランジ保持リップを正確な形状に保って成形できるのに加えて、ドア開口フランジ14の長手方向の一部分の厚さが他の部分の厚さよりも厚くなっていても、ドア開口フランジ14の厚さに対応させて、フランジ保持リップ258,266のそれぞれに分離部262,270と基礎肉厚部(図示せず)との組合せが形成されているので、フランジ保持リップ258,266の弾性反発力を部分的に小さくすることができる。これにより、ドアオープニングシール250はフランジ14を十分に挟み込む力を備えるとともに、フランジ14への挿入が容易となる。なお、本実施形態に係るドアオープニングシール250は、フロントドア15への装着にのみ限定されない。例えば、車両の左側側面に装着されるリアドア27、車両の右側側面に装着されるフロントドア及びリアドア、車両後部のバックドア(ハッチバック)、トランクなど、任意のドアに適用することができる。
【0079】
以上、第1〜第5実施形態を図面を参照しつつ詳細に説明したが、上述の第1〜第5実施形態に本発明は限定されない。以下、第6実施形態として、押出成形品が建築用途の目地材300である場合の好適な例を図面を参照にしつつ説明する。
【0080】
図12は、目地材300をパネル壁(被取付体)304に沿って形成された目地302に装着したときの状態を示す模式的な横断面図である。図に示すように、本実施形態に係る目地材300は、略T字形状の一定の横断面形状の本体部306を備えている。そして、本体部306からパネル壁304の側面に向けて所定の角度で交差するように突出し、パネル壁304の側面に弾接可能な突出部310が本体部306と一体的に形成されている。また、該本体部306には補強部材308として帯板状の金属製芯材が長手方向に沿って埋設されている。さらにまた、突出部310において、該突出部310の根元に本実施形態に係る分離部であるスリット314が該突出部310の厚さ方向の肉を一部分離することにより形成されている。
【0081】
次に、上記構成の目地材300の目地302への装着状態を説明する。図に示すように、目地302の形状に対応させて目地材300の突出部310を弾性変形させながら本体部306を目地302に差し込む。差し込まれた本体部306の突出部310が目地302内でパネル壁304の側面に圧接されることにより、目地材300は目地302に係止される。
【0082】
従って、本実施形態に係る目地材300によると、図に示すように、外壁パネル壁の建付の誤差等に起因して目地302の幅寸法がM1(M1は、実用的には、基準幅寸法M2に対して上下(+,−)10%ないし15%程度))の範囲で変動する目地302において、前記M2を基準として製造された目地材300を装着する場合には、それぞれの突出部310の全長に亘って分離部314と基礎肉厚部(図示せず)との組合せが形成されている。これにより、押出成形時に突出部を正確な形状に保って成形できるのに加えて突出部310における弾性反発力を小さく調節することができるので、目地302の幅寸法が基準寸法M2よりも小さくなった場合でも目地材300の目地302への装着が容易となる。
【0083】
以上、本発明の具体例を図面を参照しつつ詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【符号の説明】
【0084】
1 自動車(車両)
3 ルーフ(被取付体)
5 センタールーフパネル
5A 側壁
7 サイドルーフパネル
7A 側壁
9 ルーフ溝
11 センターピラー
13 フロントピラー
14 ドア開口フランジ(被取付体)
14A 車外側パネル
14B 車内側パネル
14C 補強パネル
15 フロントドア(ドア)
17 ドアアウターパネル
19 窓枠(被取付体)
19A 車内側壁
19B 内周壁部
19C 拡大壁部
19D 段差部
19E 車外側壁
19F 外周壁部
19G 拡大壁部
19H 段差部
19I 底壁
19J 溝
19K 開口縁
20 窓板(窓ガラス)
21 窓開口部
23 ドアパネル上縁(窓開口部の縁部)
25 フランジ(被取付体)
27 リアドア
50 ベルトモール
52 本体部
54 車内側側壁部
56 第1シールリップ(突出部)
60 貫通孔(分離部)
60W 基礎肉厚部
62 第2シールリップ(突出部)
66 スリット(分離部)
66T 連結部
66W 基礎肉厚部
68 遮蔽リップ
70 車外側側壁部
72 フランジ保持シールリップ
73 溝
86A,86AA,86B,86BB,86C 分離部
87AL,87AAL,87BL,87BBL,87C 基礎肉厚部
96D,96DD,96E,96F,96G 分離部
97D,97E,97F,97G 基礎肉厚部
100 ルーフモールディング
102 頭部
104 本体部
106 カバー層
108 幹部
110 突部
112 補強部材
114 脚部
116 車内側係止リップ(突出部)
120 スリット(分離部)
124 車外側係止リップ(突出部)
128 スリット(分離部)
150 ガラスランチャンネル
152 本体部
154 基底部
156 車内側側壁部
158 車内側シールリップ(突出部)
162 スリット(分離部)
164 車内側遮蔽リップ
166 車外側側壁部
168 車外側シールリップ(突出部)
172 スリット(分離部)
174 車外側遮蔽リップ
176 溝
200 ウインドウモール
202 本体部
204 頭部
206 脚部
208 遮蔽リップ(突出部)
212 分離部
220 フロント窓枠部(窓枠部)(被取付体)
222 周壁部
224 フロント窓板(窓板)
226 隙間
250 ドアオープニングシール
252 本体部
254 補強部材
256 車内側側壁部
258 車内側フランジ保持リップ(突出部)
262 スリット(分離部)
264 車外側側壁部
266 車外側フランジ保持リップ(突出部)
270 スリット(分離部)
272 基底部
274 溝
278 中空状シール部
280 遮蔽リップ
300 目地材
302 目地
304 パネル壁(被取付体)
306 本体部
308 補強部材
310 突出部
314 スリット(分離部)
400 押出成形機
404 中間材
408 突出部
412 分離部
414 基礎肉厚部
420 処理層
422 分離部形成機
424 回転駆動ローラー
426 円板状切断刃
428 凸形状の切断刃(凸部である切断刃)
430 凹部
432 回転軸
434 回転駆動受けローラー
436 回転軸
438 ローラー
440 引取機
440A,440B 引取ローラー
442 切断機
442A カッター
442B ダイ
442C 位置センサー
444 分離部形成機
446 パンチ(切断工具)
448 凸形状の切断刃(刃部)
450 凹部
452 ストリッパー
454 ダイ
456 ダイ穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付体に取り付け可能な本体部と、該本体部と一体的に成形され且つ該本体部から離れる方向に突出する弾性材料製の突出部とを備え、
前記本体部が被取付体の所定の位置に取り付けられた際に前記突出部は、曲げられて弾性変形し得ると共に曲げられたときに該突出部の内部に弾性反発力を内蔵した状態で取り付けられる横断面形状が一定の長尺な押出成形品であって、
前記突出部には、前記弾性反発力の程度を調節する分離部が長手方向の少なくとも一部分に形成されており、
該分離部は、分離部が形成される前の所定肉厚を有する突出部の基礎肉厚部に該厚さ方向に肉の一部または全部を分離することにより形成され、前記突出部は前記分離部に隣接する部分において前記突出部の長手方向と幅方向と厚さ方向のうちの少なくとも一つの方向で分離部が形成されない残余の部分で長手方向に連結され、
前記分離部が形成された部分において前記突出部の長手方向における単位長さ当たりの前記弾性反発力は、前記分離部が形成されたことによって、全体が全て前記基礎肉厚部により形成されている状態の弾性反発力と比較して小さくなっていることを特徴とする押出成形品。
【請求項2】
前記分離部は、前記突出部の長手方向の全長に亘り連続して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の押出成形品。
【請求項3】
前記分離部は、前記突出部の長手方向に沿って、所定の間隔を隔てて複数箇所に形成され、前記複数箇所のそれぞれの分離部間に前記基礎肉厚部を介在させていることを特徴とする請求項1に記載の押出成形品。
【請求項4】
前記分離部として前記厚さ方向の肉の分離程度が異なる少なくとも2つの分離部をそれぞれ長手方向の異なる部位に備えていることを特徴とする請求項2又は3に記載の押出成形品。
【請求項5】
前記複数箇所に形成されているそれぞれの分離部は、前記突出部の長手方向で同一の長さ及び/又は前記突出部の厚さ方向で同一の深さに形成されていることを特徴とする請求項3に記載の押出成形品。
【請求項6】
前記複数箇所に形成されているそれぞれの分離部は、前記突出部の長手方向で異なる長さ及び/又は前記突出部の厚さ方向で異なる深さに形成されていることを特徴とする請求項3に記載の押出成形品。
【請求項7】
前記複数の分離部は、その少なくとも一つが前記突出部をその厚さ方向に貫く貫通孔として形成されていることを特徴とする請求項3から6のいずれか一項に記載の押出成形品。
【請求項8】
前記複数の分離部は、その少なくとも一つが前記突出部をその厚さ方向に部分的に貫くスリット又は非貫通孔として形成されていることを特徴とする請求項3から6のいずれか一項に記載の押出成形品。
【請求項9】
前記押出成形品は、車両本体の側面に設けられる窓開口部の縁部に沿って取り付け可能で、前記窓開口部内を移動する窓板と弾性接触するシールリップである前記突出部を備えるベルトモールであることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の押出成形品。
【請求項10】
前記押出成形品は、車両のルーフに形成されたルーフ溝に沿って装着可能で、弾性反発力で前記ルーフ溝の側壁に係止する係止部である突出部を備えるルーフモールディングであることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の押出成形品。
【請求項11】
前記押出成形品は、車両の窓枠に沿って装着可能で、窓板に弾性接触するシールリップである突出部を備え、前記窓板の昇降移動を案内するガラスランチャンネルであることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の押出成形品。
【請求項12】
前記押出成形品は、車両の窓枠部に装着される窓板の外周縁と、その窓枠部の周壁部との間の隙間に沿って取り付け可能で、前記周壁部と弾性接触し前記隙間を遮蔽する遮蔽リップである突出部を備えるウインドウモールであることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の押出成形品。
【請求項13】
前記押出成形品は、車体のドア開口縁部に装着可能で、前記開口縁部を挟んで保持する保持リップである突出部を備えるドアオープニングシールであることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の押出成形品。
【請求項14】
前記押出成形品は、被取付体に設けられた目地に沿って挿入可能で、該目地を遮蔽し弾性反発力で前記目地の側壁に係止する係止部である突出部を備える目地材であることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の押出成形品。
【請求項15】
前記突出部が曲げられて弾性変形するとき、該突出部の少なくとも曲率半径外側となる面にスリット又は非貫通孔からなる前記分離部が形成されていることを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の押出成形品。
【請求項16】
被取付体に取り付け可能な本体部と、該本体部と一体的に成形され且つ該本体部から離れる方向に突出する弾性材料製の突出部とを備え、
前記本体部が被取付体の所定の位置に取り付けられた際に前記突出部は、曲げられて弾性変形し得ると共に曲げられたときに該突出部の内部に弾性反発力を内蔵した状態で取り付けられる横断面形状が一定の長尺な押出成形品を製造する方法であって、
硬化又は固化したときに弾性を呈するポリマー材料から少なくとも前記突出部を押出成形し、その後に該ポリマー材料を硬化又は固化させて成る該突出部を含む前記押出成形品の中間材を準備する工程と、
前記中間材における前記突出部の突出先端部と前記本体部との間に、前記弾性反発力の程度を調節する分離部を形成するに際し、前記突出部の厚さ方向の肉厚が前記押出成形した際の同方向の肉厚に対応する所定の厚さである基礎肉厚部に該厚さ方向に肉の一部または全部を分離し、該長手方向と幅方向に肉の一部を分離することにより分離部を形成する工程と、
を含むことを特徴とする押出成形品の製造方法。
【請求項17】
前記中間材を準備する工程は、前記突出部が自己保形強度を有する厚さに保って前記中間材を押出成形する工程を包含し、
ここで該工程において、前記分離部の形成を該押出成形に同期して且つ前記ポリマー材料が硬化又は固化した後に行うことを特徴とする請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
円板の外周に沿って複数の凸部である切断刃と凹部を交互に有する円板状切断刃を使用し、該凸部である切断刃を前記中間材における前記突出部の先端と前記本体部との間で、突出部に厚さ方向に切り込ませるとともに該刃を回転させることにより、該切断刃によって該突出部の長手方向に沿って複数箇所の分離部を断続的に形成することを特徴とする請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
所定の長さに切断された前記中間材を用意し、該中間材の前記突出部の先端と前記本体部との間に、該突出部の長手方向に沿って、単一の刃部若しくは相互に間隔を開けて形成された複数の刃部を有する切断工具の刃を押し付けることにより、該突出部の長手方向に沿って該刃部の押し付け部位に対応して形成される単一の又は複数の前記分離部を形成することを特徴とする請求項16に記載の製造方法。
【請求項20】
前記複数の分離部として、前記刃部を押し付けて前記厚み方向に貫通した貫通孔を形成することを特徴とする請求項18又は19に記載の製造方法。
【請求項21】
前記複数の分離部を、前記突出部の長手方向に所定の間隔を保って前記突出部の厚さ方向の一方の面側から他方の面側に向けて該他方の面には達しないスリット又は非貫通孔として形成することを特徴とする請求項18又は19に記載の製造方法。
【請求項22】
前記複数の分離部それぞれの前記長手方向の寸法及び前記厚さ方向の深さが同一となるように、間隔を開けて長手方向に形成された複数の切断刃又は複数の刃部の該長手方向のそれぞれの寸法及び突出長が同一である複数の切断刃を有する円板状切断刃又は複数の刃部を有する長尺な切断工具を用いて、前記複数の分離部を形成することを特徴とする請求項18又は19に記載の製造方法。
【請求項23】
前記突出部の長さ方向において、前記突出部の厚さ方向の肉の分離程度が異なる及び/又は前記突出部の長さ方向における形成長さが異なる少なくとも2つの形態の分離部が形成されるように、前記切断工具として、間隔を開けて長手方向に形成された複数の切断刃又は複数の刃部の少なくとも一つの切断刃又は刃部の該長手方向の寸法及び/又は突出長が他の切断刃又は刃部とは異なるように形成されたことを特徴とする複数の切断刃を有する円板状切断刃又は複数の刃部を有する長尺な切断工具を用いて、前記複数の分離部を形成することを特徴とする請求項18又は19に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−221649(P2010−221649A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−74224(P2009−74224)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000219705)東海興業株式会社 (147)
【Fターム(参考)】