長手方向インク供給流路を有する印字ヘッドチップ
【課題】優れた印字ヘッド集積回路を提供する。
【解決手段】印字ヘッド集積回路が提供される(74)。印字ヘッド集積回路(74)は、(a)基板の表側に形成された、それぞれが各々のノズル注入口(73)を有する複数のノズル(801)と、(b)複数のインク供給流路(67)とを備える。各インク供給流路(67)は、インクを基板の裏側からノズル注入口(73)の対応するグループに供給するように構成される。さらには、各インク供給流路(67)は、インクを成形インクマニホールド中の1つまたは複数の放出口(27)から受け取るように寸法決めされる。相対的に幅広いインク供給流路(67)は、印字ヘッド集積回路(74)が成形インクマニホールドに直接接着されることを可能とし、位置合わせを容易にしかつ漏出を回避する。
【解決手段】印字ヘッド集積回路が提供される(74)。印字ヘッド集積回路(74)は、(a)基板の表側に形成された、それぞれが各々のノズル注入口(73)を有する複数のノズル(801)と、(b)複数のインク供給流路(67)とを備える。各インク供給流路(67)は、インクを基板の裏側からノズル注入口(73)の対応するグループに供給するように構成される。さらには、各インク供給流路(67)は、インクを成形インクマニホールド中の1つまたは複数の放出口(27)から受け取るように寸法決めされる。相対的に幅広いインク供給流路(67)は、印字ヘッド集積回路(74)が成形インクマニホールドに直接接着されることを可能とし、位置合わせを容易にしかつ漏出を回避する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプリンタに関し、特にインクジェットプリンタに関する。本発明の特定の態様は、プリンタ用カートリッジ、印字ヘッドの設計および保守ばかりでなく、プリンタ動作の他の側面にも関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
以下の特許および本発明の出願人または譲受人によって出願された出願が、相互参照により本明細書に組み込まれる。
【表1】
【表2】
幾つかの出願が整理番号によって列挙されている。これらは、願番が知られるところとなった時点で置き換えられる。
【背景技術】
【0003】
従来、殆どの市販のインクジェットプリンタは、プリンタの一般的な構造および設計の一部を形成する印刷機構を有する。この点に関して、プリンタユニットの本体は、印字ヘッドおよび関連する媒体送達機構を収容するように典型的に作製され、かつこれらの機能構造はプリンタユニットと一体である。
【0004】
これは、媒体が少しずつ逐次にプリンタユニットに通して前送りされるとき、媒体を左右に横切る印字ヘッドを使用するインクジェットプリンタに関して特に該当する。このような場合に、往復動する印字ヘッドは、それが媒体入力ローラと媒体出力ローラとの間のプリンタユニットの幅を横切り得るように、プリンタユニットの本体に典型的に搭載されており、媒体入力および出力ローラは、プリンタユニットの構造の一部を形成する。このようなプリンタユニットでは、交換のために印字ヘッドを取り外すことが可能であり得るが、媒体輸送ローラ、制御回路、および保守台など、印刷機構の他の部品は、プリンタユニットの内部に典型的に固定され、これらの部品の交換は、プリンタユニット全体を交換しないことには不可能である。
【0005】
往復動型の印字ヘッドを使用するプリンタユニットは、その設計構造の中に固定されているばかりでなく、特に全色および/または写真品質の印刷作業を実行するときには、相当に低速である。これは、印字ヘッドが、媒体の表面にインクを堆積するために、静止している媒体を連続的に横切らねばならず、かつ画像の1本の線を堆積するために印字ヘッドの幾本もの帯筋を必要とし得ることによる。
【0006】
最近では、媒体が印字ヘッドを通過して輸送されるとき、印字ヘッドが静止状態に留まり得るように、印刷媒体の全幅に延びる印字ヘッドを設けることが可能になった。このようなシステムは、もはや印字ヘッドが画像の線を堆積するために幾本もの帯筋を実行する必要がなく、その代わりに媒体が高速で通り過ぎていくときに、印字ヘッドが媒体上にインクを堆積できるので、印刷が行われ得る速度を大幅に向上させる。このような印字ヘッドは、毎分60ページ近くの速度で、すなわち、これまで従来のインクジェットプリンタでは達成し得ない速度で、全色1600dpi印刷の実行を可能にした。
【0007】
このようなページ幅印字ヘッドは、典型的に高精度および高速度の用紙移動を必要とし、したがって、印刷機構全体(印字ヘッド、用紙操作機構、および制御回路等)が、それに応じて高品質の出力を保証するように構成されねばならない。
【0008】
したがって、プリンタユニットの標準的な本体の内部で容易に使用されることが可能であり、安定性のある高速印刷を可能とするように必要なすべての部品が構成されることを保証する様態で作製されるページ幅印字ヘッドを有する印刷機構を提供する必要性が存在する。
【発明の開示】
【0009】
一態様によれば、本発明はインクジェットプリンタ用のカートリッジユニットを提供し、カートリッジユニットは、
インク貯蔵隔室と、インク噴射ノズルのアレイを有する印字ヘッド組立体に連結するインク供給システムとを備え、
インク貯蔵隔室は、可変貯蔵容積と、この隔室内部に負の圧力を生成するために可変貯蔵容積を拡張するように偏倚された変位可能な壁区間とを有し、
インクがインク噴射ノズルから偶発的に漏出しないようになっている。
【0010】
負の圧力が存在しないと、インクのメニスカスがノズルから膨らみ得る。メニスカスは、ノズル口の縁に「くぎ付け」状態になり、インクの漏出を阻止する程に十分に強くなり得る。しかし、用紙粉塵または他の異物が、膨らむメニスカスがノズルリムにくぎ付け状態になることを最終的に阻止し、漏出が生じる。インク貯蔵容積中の負の圧力が、メニスカスをノズル口の中へ後退させる。メニスカスがノズルから外に膨れないので、ノズル表面上の用紙粉塵が表面張力を破壊して漏出を引き起こすことはない。
【0011】
幾つかの実施形態では、インク貯蔵隔室は、可変インク貯蔵容積を画定するように柔軟な壁配置によって連結された対向壁区間を有し、対向壁区間の一方が、変位可能であり、可変インク貯蔵容積を拡張するように偏倚されるようになっている。対向壁区間は、一定の力のばねで偏倚され得る。
【0012】
オプションとして、印字ヘッド組立体は、一緒に取り外しおよび交換するためにカートリッジユニットに固定される。別のオプションでは、印字ヘッド組立体はページ幅印字ヘッド組立体である。
【0013】
第1の態様では、本発明は、インクジェットプリンタ用のカートリッジユニットを提供し、カートリッジユニットは、
インク貯蔵隔室と、インク噴射ノズルのアレイを有する印字ヘッド組立体に連結するインク供給システムとを備え、
インク貯蔵隔室は、可変貯蔵容積と、この隔室内部に負の圧力を生成するために可変貯蔵容積を拡張するように偏倚された変位可能な壁区間とを有する。
【0014】
オプションとして、インク貯蔵隔室は、可変インク貯蔵容積を画定するように柔軟な壁配置によって連結された対向壁区間を有し、対向壁区間の一方が、変位可能であり、可変インク貯蔵容積を拡張するように偏倚されるようになっている。
【0015】
オプションとして、対向壁区間は、一定の力のばねで偏倚される。
【0016】
オプションとして、印字ヘッド組立体は、一緒に取り外しおよび交換するためのカートリッジユニットに固定される。
【0017】
オプションとして、印字ヘッド組立体はページ幅印字ヘッド組立体である。
【0018】
他の態様では、カートリッジユニットが提供されており、
負の圧力が印加されたインク貯蔵隔室は、このインク貯蔵隔室を補充する補充ユニットを受け入れる接合面を有し、接合面は注入口弁を有し、その弁は閉鎖構成に偏倚され、
充填ユニットは、
一定量のインクを収容する本体と、
接合面を解除可能に係合する係合構成と、
補充ユニットがインク接合面に係合するとき、本体中のインクがインク貯蔵隔室と流体連通するように、注入口弁を開放する注入口弁駆動部と、を備える。
【0019】
他の態様では、カートリッジユニットが提供されており、
負の圧力が印加されたインク貯蔵隔室は、このインク貯蔵隔室を補充するインク補充ユニットを受け入れる接合面を有し、接合面は、通常は閉鎖された注入口弁と通常は開放されている放出口弁とを有し、両方がインク貯蔵隔室と流体連通しており、
充填ユニットは、
一定量のインクを収容する本体と、
インク放出口および弁駆動部構成を有する合体部分と、を備え、合体部分は、使用時に、カートリッジがインク貯蔵隔室中の負の圧力のために本体からのインクで充満するように、注入口弁および放出口弁を駆動するために接合面に解除可能に係合する。
【0020】
他の態様では、カートリッジユニットが提供されており、
負の圧力が印加されたインク貯蔵隔室は、通常は開放されている放出口弁を経由して補充ユニットによって補充されるように配置され、
補充ユニットは、
一定量のインクを収容する本体と、
インク貯蔵隔室に解除自在に係合する係合構成と、
補充ユニットがインク貯蔵隔室に係合するときに放出口弁を閉鎖する放出口弁駆動部と、を備える。
【0021】
他の態様では、カートリッジユニットが提供されており、
インク貯蔵隔室は、補充ユニットによって補充されるように配置され、
補充ユニットは、
一定量のインクを収容する本体と、
インク放出口と、
再加圧配置と、を備え、この配置は、補充ユニットがインク貯蔵隔室に係合すると、本体からのインクが、負の圧力によって、圧力が均等化するまで、インク放出口を介してインク貯蔵隔室の中へ引き込まれるときに、ユニットの一部が内向きに押し込まれることをもたらし、かつ引き続いて補充ユニットがインク貯蔵隔室から切り離されると、負の圧力を再確立するために、内向きに押し込まれたインク貯蔵隔室の一部を解放する。
【0022】
他の態様では、カートリッジユニットが提供されており、
インク貯蔵隔室は、可変貯蔵容積を画定するために柔軟な壁構成によって連結された対向壁区間を有し、
カートリッジユニットは、ノズルのアレイを有する印字ヘッドにインクを供給するインク供給システムを備え、
対向壁区間の一方が、変位可能であり、ノズルからの偶発的なインク漏出を回避するために負の圧力をインク貯蔵隔室の中に創出するように、可変貯蔵容積を拡張するように偏倚される。
【0023】
他の態様では、カートリッジユニットが提供されており、
インク貯蔵隔室は、このインク貯蔵隔室を補充する補充ユニットと解除可能に係合する接合面を有し、接合面は、インクが貯蔵隔室に流入し、かつそこから流出するのを制御する弁を有し、
補充ユニットは、
一定量のインクを収容する本体と、
インク放出口と、
補充ユニットが接合面に係合するときに弁を駆動する弁駆動部と、を備え、この弁駆動部は弁を所定の順序で駆動するようになっている。
【0024】
他の態様では、カートリッジユニットを補充する補充ユニットに解除可能に係合する接合面をさらに備えるカートリッジユニットが提供されており、
インクジェットプリンタは、印字ヘッド、制御回路、および補充ユニットを組み込み、補充ユニットは、
一定量のインクを収容する本体と、
インク放出口と、
少なくとも1つのインク特性に関連する情報を格納するメモリ回路と、を備え、このメモリ回路は、使用時に、補充ユニット中のインクがプリンタに適切であるかどうかを確認するために、制御回路がこのメモリ回路に対して応答信号を送信することを可能とする。
【0025】
インクジェットプリンタのインクジェット印字ヘッド用の印字ヘッド保守組立体を組み込むカートリッジユニットが提供されており、印字ヘッドは、ノズルのアレイが内部に形成されたノズル板を有し、
印字ヘッド保守組立体は、
印字ヘッドが使用されていないときにノズルのアレイに蓋をする着蓋器と、
ノズル板に係合しかつノズルを横切って拭い作業する掃除器と、を備え、この掃除器は着蓋器の両端間に位置決めされる。
【0026】
他の態様では、カートリッジユニットが提供されており、インクジェットプリンタは、
ノズルのアレイを有する印字ヘッドと、
保守組立体であって、この組立体がノズルのアレイに蓋をする着蓋位置とノズルのアレイから離間された脱蓋位置との間で移動する保守組立体と、
保守組立体を着蓋位置と脱蓋位置との間で移動させる電動式駆動装置と、を備える。
【0027】
他の態様では、カートリッジを補給するインク補充ユニットに係合する接合面をさらに備えるカートリッジユニットが提供されており、インク補充ユニットは、
インク貯蔵隔室と、
カートリッジの接合面に係合し、接合面上の注入口穴に連結するインク放出口を備える基部板を有する合体部分と、
接合面に解除可能に係合する係合構成と、を備え、係合構成は基部板の横断中心線上に形成され、インク放出口の中心は横断中心線から離間されている。
【0028】
他の態様では、カートリッジを補給するインク補充ユニットに係合する接合面をさらに備えるカートリッジユニットが提供されており、
インク貯蔵隔室は、管状柔軟壁によって一部が画定され、
カートリッジユニットは、柔軟管状壁を所定量だけ締め付ける締付け機構をさらに備え、
インク補充ユニットは、
一定量のインクを収容する本体と、
カートリッジの接合面に係合する合体部分と、備え、合体部分は、接合面上の注入口穴に連結するインク放出口と、インク補充ユニットが接合面に係合するときに締付け機構を駆動し、かつインク補充ユニットが接合面から切り離れるときに締付け機構を解放する複数の締付け駆動部とを有する。
【0029】
他の態様では、補充ユニットと、カートリッジを補給するインク補充ユニットに係合する接合面とをさらに備えるカートリッジユニットが提供されており、インク補充ユニットは、
一定量のインクを収容する本体と、
接合面中の相補的なインク注入口に係合するインク放出口と、
接合面中の開口の中に挿入するために本体から延びる差込み端と、を備え、
差込み端の横断面は、インク補充がカートリッジと正確に一致することを保証するために、開口によって画定された形状にキー止めされる。
【0030】
他の態様では、カートリッジを補給するインク補充ユニットに係合可能なカートリッジユニットが提供されており、インク補充ユニットは、
インクを収容する本体と、
カートリッジ中の相補的なインク注入口に係合するインク放出口と、
所定量のインクが補充ユニットからカートリッジの中へ流入したとき、視覚的表示を提供する視覚的表示器と、を備える。
【0031】
他の態様では、カートリッジユニットが提供され、
インクジェットプリンタは、
内部にアクセスするためのヒンジ留めパネルを有する外部筐体と、
インクカートリッジを支持するために、外部筐体の内部に収納された架台と、を備え、この架台はインクカートリッジの挿入および取出しを可能とするように開くヒンジ留め蓋を有し、
蓋のヒンジ軸およびパネルのヒンジ軸は平行であり、
蓋およびパネルは両方とも同じ方向へ開く。
【0032】
他の態様では、カートリッジユニットが提供されており、インクジェットプリンタは、
ノズルのアレイを有する交換可能なページ幅印字ヘッドと電力および印刷データをノズルに伝達する印字ヘッド接点と、
電力および印刷データを印字ヘッド接点に供給する対応する接点と、
印字ヘッド接点および対応する接点が、印刷時に偏倚されて係合し、かつ印字ヘッドの搭載または脱着時に偏倚係合から解除されるようになっている選択的な偏倚機構と、を備える。
【0033】
他の態様では、カートリッジユニットが提供されており、インクジェットプリンタは、
ノズルのアレイを有する交換可能なページ幅印字ヘッドと電力および印刷データをノズルに伝達する印字ヘッド接点と、
電力および印刷データを印字ヘッド接点に供給する対応する接点と、
開放位置と閉鎖位置との間で移動する蓋部材と、を備え、開放位置で印字ヘッドが搭載または脱着可能であり、蓋部材は印刷時に閉鎖位置にあり、蓋部材が閉鎖位置へ移動されるとき、印字ヘッド接点および対応する接点は移動されて係合し、蓋部材が開放位置へ移動されるとき、印字ヘッド接点および対応する接点は切り離れるようになっている。
【0034】
他の態様では、
インクをインク隔室から印字ヘッドに供給するインク供給システムと、
1つまたは複数の保守機能を実行するために印字ヘッドに係合する保守台と、をさらに備えるカートリッジユニットが提供される。
【0035】
他の態様では、架台によってインクジェットプリンタの内部に保持されるように配置されたカートリッジユニットが提供されており、架台は、貯蔵隔室にそれぞれ対応する複数の接合面を備え、各接合面は、対応するインク貯蔵隔室を補給するインク補充ユニットを受け入れるように構成される。
【0036】
他の態様では、カートリッジユニットが提供されており、プリンタは、
リソグラフィによるマスクエッチングおよび堆積技法を使用して、ウェーハ基板上に形成された印字ヘッド集積回路と、
媒体送り経路に隣接してプリンタの中に取り付けるための集積回路支持構造と、
集積回路支持構造と印字ヘッド集積回路との間にあって、印字ヘッド集積回路を集積回路支持構造に固定する重合体封止薄膜と、
を備える印字ヘッドを組み込む。
【0037】
他の態様では、カートリッジユニットが提供されており、プリンタは、
基板上に形成されたインク噴射ノズルのアレイを有する印字ヘッド集積回路と、
少なくとも1つのインク貯蔵隔室との流体連通を確立する複数のインク供給導管と、
インク供給導管と印字ヘッド集積回路との間の重合体封止薄膜と、を備える印字ヘッドを組み込み、重合体薄膜は、噴射ノズルがインク供給導管と流体連通するように穴のアレイを有し、重合体封止薄膜は、厚さが25ミクロンを上回る。
【0038】
別の態様では、本発明はインクジェットプリンタ用のカートリッジユニットを提供し、カートリッジユニットは、
インク貯蔵隔室と、インク噴射ノズルのアレイを有する印字ヘッド組立体に連結するインク供給システムとを備え、
インク貯蔵隔室は、可変貯蔵容積と、この隔室内部に負の圧力を生成するために可変貯蔵容積を拡張するように偏倚される変位可能な壁区間とを有し、
インクがインク噴射ノズルから偶発的に漏出しないようになっている。
【0039】
別の態様では、本発明はインクを印字ヘッド組立体に供給する負の圧力が印加されたインク貯蔵隔室を補充する補充ユニットを提供し、インク貯蔵隔室は補充ユニットを受け入れる接合面を有し、接合面は閉鎖構成に偏倚された注入口弁を有し、補充ユニットは、
一定量のインクを収容する本体と、
接合面に解除可能に係合する係合構成と、
本体の中のインクがインク貯蔵隔室と流体連通するように、補充ユニットがインク接合面に係合するときに注入口弁を開放する注入口弁駆動部と、を備える。
【0040】
別の態様では、本発明はインクカートリッジ用のインク補充ユニットを提供し、インクカートリッジは、インクを印字ヘッド組立体に供給する、負の圧力が印加されたインク貯蔵隔室と補充ユニットを受け入れる接合面とを有し、接合面は、通常は閉鎖された注入口弁と、通常は開放されている放出口弁とを有し、両方がインク貯蔵隔室と流体連通しており、補充ユニットは、
一定量のインクを収容する本体と、
インク放出口および弁駆動部構成を有する合体部分と、を備え、使用時に、合体部分は、インク貯蔵隔室中の負の圧力のために、本体からのインクでカートリッジが満杯になるように、注入口弁および放出口弁を駆動するために接合面に解除可能に係合する。
【0041】
別の態様では、本発明は、通常は開放されている放出口弁を経由してインクを印字ヘッド組立体に供給する、負の圧力が印加されたインク貯蔵隔室を補充する補充ユニットを提供し、補充ユニットは、
一定量のインクを収容する本体と、
インク貯蔵隔室に解除可能に係合する係合構成と、
補充ユニットがインク貯蔵隔室に係合するときに放出口弁を閉鎖する放出口弁駆動部と、を備える。
【0042】
別の態様では、本発明は、ノズルのアレイを有する印字ヘッド組立体を補給するインク貯蔵隔室を補充する補充ユニットを提供し、使用時に、インク貯蔵隔室は、ノズルからの偶発的なインクの漏出を回避するために負の圧力に維持され、補充ユニットは、
一定量のインクを収容する本体と、
インク放出口と、
再加圧配置と、を備え、
補充ユニットがインク貯蔵隔室と係合すると、再加圧配置は、本体からのインクが負の圧力によって、圧力が均等化するまで、インク放出口を介してインク貯蔵隔室の中へ引き込まれるとき、カートリッジの一部が内向きに押し込まれることをもたらし、
引き続いて補充ユニットがインク貯蔵隔室から係合解除されると、再加圧配置は、負の圧力を再確立するために、内向きに押し込まれたインク貯蔵隔室の一部を解放する。
別の態様では、本発明はインクジェットプリンタ用のインクカートリッジを提供し、カートリッジは、
可変インク貯蔵容積を画定するために柔軟壁配置によって連結された対向壁区間を有するインク貯蔵隔室と、
ノズルのアレイを有する印字ヘッドにインクを供給するインク供給システムと、を備え、
対向壁区間の一方が、変位可能であり、ノズルからの偶発的なインクの漏出を回避するために、可変インク貯蔵容積を拡張してインク貯蔵隔室の中に負の圧力を創出するように偏倚される。
【0043】
別の態様では、本発明は、補充ユニットと解除可能に係合する接合面を有するインク貯蔵隔室を補充する補充ユニットを提供し、接合面は、インクが貯蔵隔室の中へ流入しかつそこから流出するのを制御する弁を有し、補充ユニットは、
一定量のインクを収容する本体と、
インク放出口と、
補充ユニットが接合面に係合するとき弁を駆動する弁駆動部と、を備え、
弁駆動部は弁を所定の順序で駆動するようになっている。
【0044】
別の態様では、本発明は、インクジェットプリンタの一部を形成するインクカートリッジを補充する補充ユニットを提供し、プリンタはまた、印字ヘッド、制御回路、および補充ユニットに解除可能に係合する接合面を有し、補充ユニットは、
一定量のインクを収容する本体と、
インク放出口と、
少なくとも1つのインク特性に関連する情報を格納するメモリ回路と、を備え、
このメモリ回路は、使用時に、補充ユニット中のインクがプリンタに適切であるかどうかを確認するために、制御回路がメモリ回路に対して応答信号を送信することを可能とする。
【0045】
別の態様では、本発明は、インクジェット印字ヘッド用の印字ヘッド保守組立体を提供し、印字ヘッドは、ノズルのアレイが内部に形成されたノズル板を有し、印字ヘッド保守組立体は、
印字ヘッドが使用されていないときに、ノズルのアレイに蓋をする着蓋器と、
ノズル板に係合しかつノズルを横切って拭い作業する掃除器と、を備え、
掃除器は着蓋器の両端間に位置決めされる。
【0046】
別の態様では、本発明は、
ノズルのアレイを有する印字ヘッドと、
ノズルのアレイに蓋をする着蓋位置と、ノズルのアレイから離間された脱蓋位置との間で移動する保守組立体と、
保守組立体を着蓋位置と脱蓋位置との間で移動させる電導式駆動装置と、を備えるインクジェットプリンタを提供する。
【0047】
別の態様では、本発明は、インクジェットプリンタ中のインクカートリッジを補給するインク補充ユニットを提供し、
インクカートリッジは、インク補充ユニットに係合する接合面を有し、インク補充ユニットは、
インク貯蔵隔室と、
カートリッジの接合面に係合する合体部分であって、接合面上の注入口穴に連結するインク放出口を備える基部板を有する合体部分と、
基部板の横断中心線上に形成されている、接合面に解除可能に係合する係合構成と、を備え、
インク放出口の中心が横断中心線から離間されている。
【0048】
別の態様では、本発明は、インクジェットプリンタ中のインクカートリッジを補給するインク補充ユニットを提供し、
インクカートリッジは、インク補充容器に係合する接合面と、一部が管状柔軟壁によって画定されたインク貯蔵隔室と、柔軟管状壁を所定量だけ締め付ける締付け機構とを有し、インク補充ユニットは、
一定量のインクを収容する本体と、
カートリッジの接合面に係合する合体部分と、を備え、合体部分は、接合面上の注入口穴に連結するインク放出口と、インク補充ユニットが接合面に係合するときに締付け機構を駆動し、かつインク補充ユニットが接合面から切り離れるときに締付け機構を解放する複数の締付け駆動部とを有する。
【0049】
別の態様では、本発明は、インクジェットプリンタ中のインクカートリッジを補給するインク補充ユニットを提供し、
インクカートリッジはインク補充ユニットに係合する接合面を有し、インク補充ユニットは、
一定量のインクを収容する本体と、
接合面中の相補的なインク注入口に係合するインク放出口と、
接合面中の開口の中に挿入するために本体から延びる差込み端と、を備え、
差込み端の横断面は、インク補充容器がカートリッジと正確に一致することを保証するために、開口によって画定された形状にキー止めされる。
【0050】
別の態様では、本発明は、インクジェットプリンタ中のインクカートリッジを補給するインク補充ユニットを提供し、
インク補充ユニットは、
インクを収容する本体と、
カートリッジ中の相補的なインク注入口に係合するインク放出口と、
所定量のインクが補充ユニットからカートリッジの中へ流入したとき、視覚的表示を提供する視覚的表示器と、を備える。
【0051】
別の態様では、本発明は、
内部にアクセスするための、ヒンジ留めパネルを有する外部筐体と、
インクカートリッジを支持するために外部筐体の内部に収納された架台と、を備え、架台は、インクカートリッジの挿入および取出しを可能とするように開くヒンジ留め蓋を有し、
蓋のヒンジ軸およびパネルのヒンジ軸は平行であり、
蓋およびパネルは両方とも同じ方向へ開くインクジェットプリンタを提供する。
【0052】
別の態様では、本発明は、
ノズルのアレイを有する交換可能なページ幅印字ヘッドと電力および印刷データをノズルに伝達する印字ヘッド接点と、
電力および印刷データを印字ヘッド接点に供給する対応する接点と、
選択的な偏倚機構と、を備え、
印字ヘッド接点および対応する接点が、印刷時に偏倚されて係合し、かつ印字ヘッドの搭載または脱着時に偏倚係合から解除されるようになっている、インクジェットプリンタを提供する。
【0053】
別の態様では、本発明は、
ノズルのアレイを有する交換可能なページ幅印字ヘッドと電力および印刷データをノズルに伝達する印字ヘッド接点と、
電力および印刷データを印字ヘッド接点に供給する対応する接点と、
開放位置と閉鎖位置との間で移動する蓋部材と、を備え、
開放位置で印字ヘッドが搭載または脱着可能であり、蓋部材は、印刷時に閉鎖位置にあり、
蓋部材が閉鎖位置に移動されるとき、印字ヘッド接点および対応する接点は移動されて係合し、蓋部材が開放位置に移動されるとき、印字ヘッド接点および対応する接点は切り離れるようになっている、インクジェットプリンタを提供する。
【0054】
別の態様では、本発明はインクジェットプリンタ用のカートリッジを提供し、カートリッジは、
少なくとも1つのインク貯蔵隔室と、
インクを該または各インク隔室から印字ヘッドに供給するインク供給システムと、
1つまたは複数の保守機能を実行するために印字ヘッドに係合する保守台と、を備える。
【0055】
別の態様では、本発明は、インクカートリッジをインクジェットプリンタの内部に保持する架台を提供し、カートリッジは複数のインク貯蔵隔室を有し、架台は、
インク貯蔵隔室にそれぞれ対応する複数の接合面を備え、
各接合面は、対応するインク貯蔵隔室を補給するインク補充ユニットを受け入れるように構成される。
【0056】
別の態様では、本発明は、
リソグラフィによるマスクエッチングおよび堆積技法を使用して、ウェーハ基板上に形成された印字ヘッド集積回路と、
媒体送り経路に隣接してプリンタの中に取り付けるための集積回路支持構造と、
集積回路支持構造と印字ヘッド集積回路との間にあって、印字ヘッド集積回路を集積回路支持構造に固定する重合体封止薄膜と、を備える印字ヘッドを提供する。
【0057】
別の態様では、本発明は、インクジェットプリンタ用の印字ヘッドを提供し、印字ヘッドは、
基板上に形成されたインク噴射ノズルのアレイを有する印字ヘッド集積回路と、
少なくとも1つのインク貯蔵隔室との流体連通を確立する複数のインク供給導管と、
インク供給導管と印字ヘッド集積回路との間の重合体封止薄膜と、を備え、重合体薄膜は、噴射ノズルがインク供給導管と流体連通するように穴のアレイを有し、
重合体封止薄膜は、厚さが25ミクロンを上回る。
【0058】
別の態様では、本発明は、
基板の表側に形成された、それぞれが各々のノズル注入口を有する複数のノズルと、
インクを基板の裏側からノズル注入口の対応するグループに供給するように構成される複数のインク供給流路と、を備え、
各インク供給流路は、成形されたインクマニホールド中の1つまたは複数の放出口からインクを受け取るように寸法決めされる、印字ヘッド集積回路を提供する。
【0059】
別の態様では、本発明は、
基板の表側に形成された、基板に沿って長手方向へ延びる横列で配置され、それぞれが各々のノズル注入口を有する複数のノズルと、
基板の裏側に沿って長手方向へ延び、それぞれがインクを裏側からノズル注入口の対応する少なくとも1つの横列に供給するように構成されている複数のインク供給流路と、を備え、
各インク供給流路は、その長さに沿って1つまたは複数の横断ブリッジによって中断される、印字ヘッド集積回路を提供する。
【0060】
別の態様では、本発明は
基板の表側に形成された、それぞれが各々のノズル注入口を有する複数のノズルと、
それぞれがインクを基板の裏側からノズル注入口の対応するグループに供給するように構成される複数のインク供給流路と、を備え、
各インク供給流路は4:1未満の縦横比を有し、縦横比は、流路深さと流路幅との比によって画定される、印字ヘッド集積回路を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
ここで、添付の図に示された好ましい実施形態を参照して、本発明が例示としてのみ説明される。
【0062】
図1は、本発明を実施するプリンタユニット2を示す。媒体供給トレイ3が、印刷機構(プリンタ筐体の内部に隠れている)によって印刷されるべき媒体8を支持しかつ供給する。媒体8の印刷された用紙が、印刷機構から回収用の媒体出力トレイ4に送られる。使用者インターフェース5はLCD接触画面であり、使用者がプリンタユニット2の動作を制御することを可能とする。
【0063】
図2は、内部空洞6の中に位置決めされた印刷機構1を露出させるようにプリンタユニット2の蓋7が開いた状態で示す。取り上げ器機構9が入力トレイ3(明瞭さのために図示せず)の中の媒体に係合し、個々の用紙を印刷機構1に送る。印刷機構1は、印刷およびそれに続いて媒体出力トレイ4(引っ込めた状態で示す)に送達するために、個々の用紙を捕らえ、印字ヘッド組立体(下で説明される)に通過させて用紙を送る。
【0064】
図3は、どのようにプリンタユニット2が、一枚の用紙などの印刷媒体にコンピュータシステム702などの外部源から受け取った文書を印刷するために配置されるかを模式的に示す。この点に関して、プリンタユニット2は、予め処理されたデータを受け取るためにコンピュータシステム702との電気接続を含む。図示の特定の状況では、外部コンピュータシステム702は、文書を受け取り(ステップ703)、それをバッファリングし(ステップ704)かつそれをラスター化し(ステップ706)、次いでプリンタユニット2に伝達するためにそれを圧縮する(ステップ708)ステップを含む、文書の印刷に関わる様々なステップを実行するようにプログラムされる。
【0065】
本発明の一実施形態に係るプリンタユニット2は、外部コンピュータシステム702から、圧縮された多層ページ画像の形態で文書を受け取るが、その場合に、制御電子機器766が画像をバッファリングし(ステップ710)、次いでさらに処理するために画像を展開する(ステップ712)。展開された連続階調層はディザリングされ(ステップ714)、次いで展開ステップからの黒色層が、ディザリングされた連続階調層に重ねて合成される(ステップ716)。コード化されたデータも、人間の眼には実質的に不可視である赤外線インクを使用して印刷されるように(所望であれば)、追加層を形成するために表示され得る(ステップ718)。黒色層、ディザリングされた連続階調層、および赤外線層は、印刷用印字ヘッドに供給されるページを形成する(ステップ722)ために組み合わされる(ステップ720)。
【0066】
この特定の配置では、印刷されるべき文書に関連するデータは、テキストおよび線画用の高解像度の二水準マスク層と、画像または背景色用の中解像度の連続階調カラー画像層とに分割される。オプションとして、カラーテキストが、画像またはフラットカラーから取られたカラーデータによってテキストおよび線画に質感を与えるために、中解像度から高解像度までの連続階調質感層を追加することによって対応され得る。印刷アーキテクチャは、これらの連続階調層を画像データまたはフラットカラーデータとも呼び得る抽象的な「画像」および「質感」層で表現することによって、これらの連続階調層を一般化する。このように内容に基づくデータの層分割は、当業者には理解されるように、基本モードのミクストラスタコンテント(MRC)モードに従う。MRC基本モードと同様に、印刷アーキテクチャは、印刷されるべきデータが重なるとき、幾つかの場合に折衷を行う。特に、1つの形態では、すべての重なりが、明示的に折衷を実施する過程(衝突解消)で3層表現に低減される。
【0067】
図4は、印刷機構制御装置766による印刷データ処理を詳述する。前述のように、データは、圧縮された多層ページ画像の形態でプリンタユニット2に送達されるが、この画像の前処理は、主としてソフトウェアに基づくコンピュータシステム702によって実行される。次いで、印刷機構制御装置766は、このデータを主としてハードウェアに基づくシステムを使用して処理する。
【0068】
データを受け取ると、ディストリビュータ730が、プロプラエタリ表現からハードウェアに特定的な表現にデータを変換し、かつデータが適正なハードウェア装置に送られ、他方では、これらの装置へのデータ送信に対する制約条件または必要条件をいずれも遵守することを保証する。ディストリビュータ730は、変換されたデータを複数のパイプライン732の適切な1つに配布する。これらのパイプラインは相互に同一であり、本質的には、印刷可能なドット出力の組を生成するために圧縮機能、スケーリング機能、およびドット合成機能を行う。
【0069】
各パイプライン732は、データを受け取るためのバッファ734を含む。連続階調デコンプレッサ736はカラー連続階調プレーンを復元し、マスクデコンプレッサは単調(テキスト)層を復元する。連続階調およびマスクスケーラ740および742が、ページが印刷されるべき媒体のサイズを考慮に入れるために、復元された連続階調プレーンおよびマスクプレーンをそれぞれスケーリングする。
【0070】
次に、スケーリングされた連続階調プレーンは、ディザラ744によってディザリングされる。1つの形態では、確率的分散ドットディザが使用される。クラスタドット(または振幅変調)ディザとは異なり、分散ドット(または周波数変調)ディザは、眼によって空間的に統合されるとき、殆どドット解像度の限界まで高い空間周波数(すなわち、画像細部)を再現し、他方では、同時にその完全なカラー深度まで、より低い空間周波数を再現する。確率的なディザマトリックスが、画像全体に並べられるとき、好ましくない低い周波数のパターンが相対的になくなるように慎重に設計される。したがって、そのサイズは、特定の輝度レベル数に対応するために必要とされる最小サイズを典型的に超える(例えば、257輝度レベルでは16×16×8ビット)。
【0071】
次に、ディザリングされたプレーンは、印刷に適切なドットデータを供給するために、ドット毎にドットコンポジタ746の中で合成される。このデータは、データ配布および駆動電子素子748に送られ、次に、これらの電子素子はデータを適正なノズル駆動部750に配布し、次に、これらの駆動部は、本明細書の後段でさらに詳細に説明される様態で、適正な時間に、インクを適正なノズル752から噴射させる。
【0072】
理解されるように、印刷用の画像を処理するために印刷機構制御装置766の内部で使用される構成要素は、データが提示される様態に大きく依存する。この点に関して、印刷機構制御装置766が、より多くの処理を追加的なソフトウェアおよび/またはハードウェア構成要素を使用してプリンタユニット2の内部で実行し、よってコンピュータシステム702に対する依存度を低下させ得る。別法として、印刷機構制御装置766は、ソフトウェアおよび/またはハードウェア構成要素の数を減らして実行する処理量を減らし、よってデータをプリンタユニット2に送る前に画像をより高度な程度まで処理するために、コンピュータシステム702に依存してもよい。
【0073】
図5は、上述の作業を実行するために必要な構成要素のブロック図を示す。この配置では、ハードウェアパイプライン732は、小規模/自宅兼用事務所用のプリンタ機構チップ(SoPEC)766で実施される。図示のように、SoPEC装置は、3つの別個のサブシステム、すなわち、中央演算処理装置(CPU)サブシステム771、動的ランダムアクセス記憶装置(DRAM)サブシステム772、および印刷機構パイプライン(PEP)サブシステム773から成る。
【0074】
CPUサブシステム771は、他のサブシステムのすべての態様を制御しかつ構成するCPU 775を含む。それは、印刷機構1のすべての要素をインターフェースしかつ同期するために全体的に対応する。それはまた、QAチップ(下で説明される)への低速通信も制御する。CPUサブシステム771は、また、汎用入出力(GPIO、これはモータ制御部を含む)、割込み制御装置ユニット(ICU)、LSSマスタ、および一般計時機構など、CPU775を補助するための様々な周辺装置も内蔵する。CPUサブシステム上のシリアル通信ブロック(SCB)は、ホストに全速USB 1.1インターフェースを設けるばかりでなく、他のSoPEC装置(図示せず)にSoPEC間インターフェース(ISI)も設ける。
【0075】
DRAMサブシステム772は、CPU、シリアル通信ブロック(SCB)、およびPEPサブシステム内部のブロックから要求を受け取る。DRAMサブシステム772、特にDRAMインターフェースユニット(DIU)は、様々な要求を調停し、かつどの要求がDRAMへのアクセスを勝ち取るべきかを判断する。DIUは、すべての要求側にDRAMへの十分なアクセスを許容するために、構成されたパラメータに基づいて調停する。DIUはまた、ページサイズ、バンク数、および再生速度など、DRAMの実施態様細目を秘匿する。
【0076】
印刷機構パイプライン(PEP)サブシステム773は、圧縮されたページをDRAMから受け取り、印字ヘッドと直接的に通信する印字ヘッドインターフェース(PHI)向けの所与の印字行に関して、これらのページを二水準ドットにする。ページ展開パイプラインの第1の段階は、連続階調解読器ユニット(CDU)、無損失二水準解読器(LBD)、および、必要であれば、タグ符号器(TE)である。CDUは、JPEG圧縮連続階調(典型的にはCMYK)層を展開し、LBDは圧縮二水準層(典型的にはK)を展開し、かつTEは、プリンタユニット2がネットページ(Netpage)能力(ネットページシステムの詳細な説明に関しては相互参照文献を参照されたい)を有する場合には、後の描画(典型的にはIRまたはKインクで)のために任意のネットページタグを符号化する。第1の段階からの出力は、バッファの組、すなわち、連続階調FIFO(先入れ先出し)ユニット(CFU)、スポットFIFOユニット(SFU)、およびタグFIFOユニット(TFU)である。CFUおよびSFUバッファはDRAMで実施される。
【0077】
第2の段階は、中間階調コンポジタユニット(HCU)であり、これは、連続階調層をディザリングし、得られる二水準のディザリングされた層に重ねて位置タグおよび二水準スポット層を合成する。
【0078】
幾つもの合成オプションが、SoPEC装置が使用される印字ヘッドに応じて実施され得る。すべてのチャンネルが印字ヘッドに存在し得るわけではないが、この段階から二水準データの6チャンネルまでが作成される。例えば、印字ヘッドは、KがCMYチャンネルの中に押し込まれ、かつIRが無視された状態で、CMYのみであってもよい。別法として、IRインクが使用可能でなければ(またはテスト目的のために)、任意の符号化されたタグがKで印刷されてもよい。
【0079】
第3の段階では、空きノズル補償器(DNC)が、カラー冗長と、空きノズルデータを周囲ドットの中へエラー拡散することとによって、空きノズルを補償する。
【0080】
得られる二水準の5チャンネルのドットデータ(典型的にはCMYK、赤外線)がバファリングされ、ドットラインライタユニット(DWU)によってDRAMに格納されたラインバッファの組に書き出される。
【0081】
最後に、ドットデータが、DRAMから再びロードされ、ドットFIFOによって印字ヘッドインターフェースに送られる。ドットFIFOは、システムクロックレイト(pclk)でラインローダユニット(LLU)からデータを受け取り、他方では、印字ヘッドインターフェース(PHI)が、このFIFOからデータを取り出して、それをシステムクロックレイトの2/3倍の速度で印字ヘッドに送る。
【0082】
好ましい形態では、DRAMはサイズが2.5メガバイトであり、その中の約2メガバイトが、圧縮されたページ格納データのために使用可能である。圧縮されたページが2つ以上のバンドで受け取られるが、幾つかのバンドが記憶装置に格納されている。ページのバンドが、印刷のためにPEPサブシステム773によって消費されると、新たなバンドがダウンロードされ得る。この新たなバンドは、現在のページまたは次のページ用であり得る。
【0083】
バンディングを使用して、完全な圧縮されたページがダウンロードされる前に、ページを印刷することが可能であるが、データが常に印刷に使用可能であることを保証するために注意を払わねばならず、さもないとバッファアンダランが発生する恐れがある。
【0084】
埋め込まれたUSB 1.1デバイスが、圧縮されたページデータおよび制御コマンドをホストPCから受け取り、かつDRAMに(または、下で説明されるように、マルチSoPECシステム中の別のSoPEC装置に)対するデータ移送を容易にする。
【0085】
マルチSoPEC装置は、別法の実施形態で使用されることが可能であり、かつ特定の実施態様に応じて様々な機能を果たし得る。例えば、幾つかの場合では、SoPEC装置が、その実装されているDRAM用のみに使用されことが可能であり、他方で、別のSoPEC装置が、上で説明された様々な復元およびフォーマット機能を受け持つ。これはバッファアンダランの機会を減少させ得るものであり、このような機会は、プリンタが、ページ用のすべてのデータが受け取られる前に当該ページの印刷を開始し、かつ他のデータの受け取りが間に合わない場合に発生し得る。そのメモリバッファリング能力のために余分のSoPEC装置を追加すると、追加的なチップのその他の能力が利用されない場合であっても、バッファされ得るデータの量を倍増させる。
【0086】
各SoPECシステムは、プリンタ機構の品質と、印字ヘッドノズルが印刷中に損なわれないようにインク供給の品質と、印字ヘッドおよび機構が損なわれないように保証するソフトウェアの品質とを保証するために、相互に協働するように設計された幾つかの品質保証(QA)装置を有し得る。
【0087】
通常、各印刷SoPECが、関連するプリンタユニットQAを有し、それは、最大印刷速度などのプリンタユニット属性に関連する情報を格納する。カートリッジユニットはまた、インク残存量などのカートリッジ情報を格納するQAチップを内蔵してもよく、かつ空きノズルマッピングおよび印字ヘッド特徴などの印字ヘッドに特定的な情報を格納するROMとして(効果的にはEEPROMとして)働くように構成されてもよい。補充ユニットもQAチップを内蔵してもよく、それは、インクの種類/色および補充用に存在するインク量などの補充インク情報を格納する。SoPEC装置中のCPUは、オプションとして、効果的にシリアルEEPROMとして働くQAチップから、プログラムコードをロードしかつ実行し得る。最後に、SoPEC装置中のCPUは、論理QAチップ(すなわち、ソフトウェアQAチップ)を実行する。
【0088】
通常、本システム中のすべてのQAチップは物理的に同一であり、フラッシュメモリの内容のみが相互を区別する。
【0089】
各SoPEC装置は、システム認証およびインク使用課金用のQA装置と通信し得る2つのLSSシステムバスを有する。1つのバス当たり多くのQA装置が使用されてもよく、かつ、本システム中のそれらの位置は、プリンタQAおよびインクQA装置が別個のLSSバス上に存在すべきである点を除けば、制約されることはない。
【0090】
使用に際して、論理QAは、残存インクを測定するためにインクQAと通信する。インクQAからの応答は、プリンタQAを参照して認証される。プリンタQAからの確認自体は、論理QAによって認証され、それによって、追加的な認証水準をインクQAからの応答に間接的に追加する。
【0091】
QAチップ間で受け渡されたデータが、デジタル署名によって認証される。好ましい実施形態では、HMAC−SHA1認証がデータ用に使用され、かつRSAがプログラムコード用に使用されるが、これらの代わりに他の方式が使用されてもよい。
【0092】
理解されるように、SoPEC装置は、したがって、印刷機構1の動作全体を制御し、かつ本質的なデータ処理を実行するばかりでなく、下で論じられるように、印刷媒体の取り扱いを容易にするために印刷機構1の個々の構成要素の動作も同期および制御する。
【0093】
印刷機構
印刷機構1が、図6および7に詳細に示されており、2つの主要部品、すなわち、カートリッジユニット10および架台ユニット12から成る。
【0094】
カートリッジユニット10は、架台ユニット12の内部に収納されるように形作られかつサイズ決めされ、架台ユニットに装着された蓋組立体11によって定位置に固定される。次に、架台ユニット12は、上で論じられたように、印刷を容易にするためにプリンタユニット2の内部に固定されるように構成される。
【0095】
図7は、カートリッジユニット10が架台ユニット12の中に固定され、蓋組立体11が閉じられた、その組み立てられた形態で印刷機構1を示す。印刷機構1は、プリンタユニット2の使用者インターフェース5からの使用者入力に応答して、印刷に関連する様々な態様を制御する。これらの態様には、制御された様式で印字ヘッドに通過させて媒体を輸送すること、および通過する媒体の表面上への制御されたインクの噴射が含まれる。
【0096】
カートリッジユニット
カートリッジユニット10が、図8および9に詳細に示されている。図9の分解組立図を参照すると、カートリッジユニット10は、一般に主要本体20、インク貯蔵モジュール組立体21、印字ヘッド組立体22、および保守組立体23から成る。
【0097】
これらの部品のそれぞれが一体に組み立てられて、インク貯蔵手段をインク噴射手段と一体に組み合わせる一体型ユニットを形成する。このような配置は、印刷するために、必要に応じてインクが印字ヘッド組立体22に直接供給され、インク貯蔵組立体または印字ヘッド組立体のいずれかまたは両方を交換する必要が存在すれば、それはカートリッジユニット10全体を交換することによって容易に行える。
【0098】
しかし、印字ヘッドの動作寿命は、インク供給源によって限定されるものではない。カートリッジユニット10の頂部表面42は、必要なときにインク貯蔵モジュール45を補給するために、インクの補充用供給源と合体するための接合面61を有する。インクの補充ユニットおよびカートリッジとの合体過程は、下でさらに詳細に論じられる。印字ヘッドの寿命をさらに延ばすために、カートリッジユニットは、印字ヘッドに蓋をし、拭い、かつ湿らせる一体型の印字ヘッド保守組立体23を担持する。この組立体も下でさらに詳細に説明される。
【0099】
主要本体
カートリッジユニット10の主要本体20が、図10にさらに詳細に示されており、開いた頂部および開いた長手方向へ延びる側壁を有する実質的に長方形の枠組25を備える。1対の支柱26が、枠組の下側の両端から突出する。これらの支柱26は、下で説明される様態で保守組立体23を主要本体10に取り付けるために設けられる。
【0100】
インク放出口成形部27は、主要本体20の中に収納されるべきインク貯蔵モジュール45のそれぞれに対応するインク放出口(図示せず)をその下側に有する。インク放出口のそれぞれが、1対の内向きに延びるシリコーン製のリング封止体を有する。これらのリング封止体は、インク放出口成形部27と一緒に成形され、下で説明される印字ヘッド組立体に至るインク注入口に対接して封止する。インク放出口成形部27は、長方形の枠組25の下側に超音波溶接される。
【0101】
一連のインク縦樋30が、枠組25の一方の長手方向壁に沿って存在する。各縦樋30は、その上方端に、各インク貯蔵モジュール(下で説明される)のインク放出口と封止連結を形成するためにOリング封止体29を有する。インク放出口成形部27が本体20に溶接されるとき、各インク縦樋30が、成形部27の下側の中の各インク放出口と流体連通する。
【0102】
空気スリーブ31が加圧された空気源(図示せず)に連結され、空気流を印字ヘッド組立体の中へ供給するが、その組立体では、空気流は、用紙粉塵の詰まりを回避するために印字ヘッドノズルを横切って誘導される(下でさらに論じられる)。
【0103】
インク充填口35が、各インク縦樋30の下方部分の中に形成される。これらの充填口は、インク貯蔵組立体21の初期充填専用である。インク貯蔵組立体の以後の補充はいずれも、下で説明されるインク補充ユニットを使用する。初期充填過程を補助するために、カートリッジユニット10の頂部表面42の中の通気穴41(図9参照)に真空が印加される。通気穴41は、各インク貯蔵モジュール45の中のインクバッグ(下で説明される)の内部に連結される。インクは、充填口35を介して供給され、インク縦樋30を上ってインク貯蔵容積の中へ引き込まれる。充填過程中、カートリッジユニットは、通気穴41が各々のインクバッグのそれぞれにおける最も高い点であるように傾けられ、真空が通気穴41を介してインクを引き込むまで充填される。これは、各インクバッグが完全に充填されかつ空気が抜かれることを保証する。印字ヘッドに向かうインク流によって閉じ込められた気泡がノズルの動作に害を与え得ることを当業者は理解しよう。
【0104】
図15から17に示されているように、下方部材65の一端に複数のプライミング注入口85が設けられる。各プライミング注入口85は、流路67の1つと直接連通し、出荷および使用の前にインク貯蔵モジュール45をインクとプライミングするための別のまたは追加的な手段を設ける。
【0105】
インク貯蔵モジュールが満杯であるとき、重合体封止球33が充填口35および通気穴41の中へ挿入される。
【0106】
金属板34が、カートリッジユニット10に構造的な剛性を与えるために、枠組25および放出口成形部30の下側に取り付く。その金属板は、移動止め38を枠組25の後壁中の細穴(図示せず)の中へ引っ掛け、かつ逆目スナップ固締形成部32の列が開口37の外側の列の中へ留まるまで板34を回転させることによって、定位置にスナップ固締される。
【0107】
板34は、放出口成形部27の下方表面から突出するインク放出口(図示せず)を受け入れる穴39を有する。プレス加工された金属板34はまた、枠組25に対して下向きに突出する突縁部分40を有し、その部分は、下でさらに詳細に論じられる負荷支持表面として働く。
【0108】
カートリッジユニット10のインク貯蔵組立体の蓋21が、図11から14に詳細に示されている。蓋21は、密閉ユニットを形成するために主要本体20の枠組25と嵌め合うように構成される。図11に最も適切に示されているように、インク貯蔵モジュール45は、蓋21の下側に取り付けられ、主要本体20によって設けられた個々の空洞36の中へ延びる(図10参照)。
【0109】
インク貯蔵モジュール45の1つが、切り離されて図12、13、および14に示されている。インクバッグ46は、インクが加圧状態で内部に保持されることを可能とする、マイラ(Mylar)(登録商標)などの柔軟性のある、空気不透過の熱可塑性薄膜から作製される。柔軟バッグ46は、それにインクが充填されると拡張し、インクが消費されると潰れ得る。これは、図54Aから54Dに示されている補充過程に関連して後段でさらに詳細に論じられる。
【0110】
インクバッグ46は、上板部材47と下板部材48との間に延びる。このインクバッグは、気密封止するために板47および48に熱溶接(または同様に)される。上板部材47は、弁挿入体49を受け入れるように配置される。この弁挿入体は、注入口弁16および放出口弁18を有する。弁挿入体49は、それがインクをインク補充ユニットから受け取るために頂部表面42の中に形成された穴51と、インクを印字ヘッド組立体22に送達するための放出口52とに直接連通し得るように位置決めされる。図14に最も適切に示されているように、注入口弁15は、上表面42の中の穴51の中に位置決めされた溝穴に通してインク補充ユニットのインク送達針(後段で論じられる)を受け入れる。注入口弁16は閉じた状態に偏倚されており、補充ユニット(下で論じられる)がカートリッジユニット10と合体するときに開く。
【0111】
逆に、放出口弁18は開いた状態に偏倚されており、補充ユニットが合体するときに閉じる。フィルタ215が、上板部材47の中の放出口弁に至る入口を覆う。このフィルタは、固体異物および気泡を除去するようにサイズ決めされる。上で論じられたように、圧縮可能な気泡はノズルの動作を妨げ得る。
【0112】
放出口弁は、縦樋襟部216につながる、蓋21の下側の導管52に連結する。インク貯蔵組立体21が主要本体20の中へ配置されるとき、襟部216は、縦樋30の端部上のOリング封止体29に被さって封止する。
【0113】
上板47は、弁挿入体49を定位置に保持するために蓋21の下側に取り付けられる。下板48は、襟部57と、蓋21の下側から延びる4本の支柱19の内側縁との内部で滑動する。板48は、バッグ46が満杯になって拡張するとき、支柱19を滑り下りる。逆に、その板は、バッグ46が空になるとき蓋21に向かって滑り戻る。バッグ46の長さは、下板48が保持棒55に達する前に、この板の移動を制限する。一定の力のばね54が、この板48を保持棒55に向かって偏倚するために、保持棒55と埋込みペグ53との間に延びる。次に、このような偏倚は、バッグ46を偏倚して拡張させ、それによってバッグ内部のインクを負の圧力に維持する。これは、インクが印字ヘッドノズルから漏出するのを回避する。
【0114】
バッグ締付け器
各インク貯蔵モジュール45は、各補充動作後にインク中の負の圧力を再確立するためにバッグ締付け器43を有する。締付け器43は、支柱19の端部に当接する下方襟部57を有し、保持棒55によって定位置に保持される。下板48は、インクバッグ46が空になるとき下方襟部57の内部を上に向かって滑動する。4枚の曲がりパネル58が、下方襟部57から上方襟部59まで上向きに延びる。パネル58は、僅かに内向きに曲がる。インク補充ユニット(下で説明される)は、4つの締付け器駆動部を有する。補充がカートリッジユニットと合体するとき、締付け器駆動部は、上方襟部59を下方襟部57に向かって押すように蓋21の中の開口60を貫通する。これは、バッグ46の各側面を圧迫するように、パネル58の内向きの曲がりをさらに引き起こす。
【0115】
補充中、インクバッグ46中の負の圧力はインクを補充ユニットから抜き出す。この負の圧力は、下板48を保持棒55に向かって偏倚する一定の力のばね54によって生成される。インクバッグが満杯になるとき、負の圧力は消滅する。インクバッグ46中の負の圧力が存在しないと、インクがノズルから漏出する恐れがある。負の圧力は、補充ニットがカートリッジから取り外されるとき、バッグ46の中に再確立される。4つの締付け器駆動部が蓋21の中の開口60を通って後退するとき、曲がりパネル58は、上方襟部59を上板部材47に向かって押し戻すことができる。パネル58は、これらがバッグ46の側面をそれほど圧迫している状態ではないように真っ直ぐになる。これはバッグ46を僅かに膨らませ、注入口弁16が閉ざされるとき、バッグの容積が僅かに増大して負の圧力を回復する。
【0116】
印字ヘッド組立体
印字ヘッド組立体22が図15から18にさらに詳細に示されており、インクを放出口成形部27(図10)から受け取るように主要本体20の下側に装着されるように適合される。
【0117】
印字ヘッド組立体22は、支柱26間で主要本体20の下方に延びるように構成される細長い上方部材62を一般に備える。複数のU字形クリップ63が上方部材62から突出する。これらは、剛性板34の中に設けられた凹部37を貫通し、印字ヘッド組立体22を固定するために、主要本体20の中に形成されたラグ(図示せず)によって捕捉される。
【0118】
上方要素62は、印字ヘッド組立体22が主要本体20に固定するとき、放出口成形部27の中の放出口内部に受け入れられる複数の供給管64を有する。供給管64には、インク漏出に対する防護のために外部被覆が設けられてもよい。
【0119】
上方部材62は、幾つもの利点をもたらす液晶重合体(LCP)から作製される。この部材は、その熱膨張係数(CTE)がシリコンの熱膨張率と同様であるように成形され得る。印字ヘッド集積回路74(下で論じられる)および下に横たわる成形部におけるCTEの大きな差は、構造全体の曲がりを引き起こし得ることが理解されよう。しかし、成形方向におけるLCPのCTEが、非成形方向におけるCTEよりも遙かに小さいとき(〜20ppm/℃に比べて〜5ppm/℃)、LCP成形部の成形方向が、印字ヘッド集積回路(IC)74の長手方向の広がりと一方向であることを保証するために注意が払われねばならない。LCPはまた、ポリカボネート、スチレン、ナイロン、PET、およびポリプロピレンなどの「通常のプラスチック」の弾性率の典型的には5倍の弾性率を有する相対的に高い剛性を有する。
【0120】
図16に最も適切に示されているように、上方部材62は、接着薄膜66によってこの構造に接着される下方部材65を受け入れるための開口流路構造を有する。下方部材65もLCPから作製され、その長さに沿って形成された複数のインク流路67を有する。各インク流路67は、インクを供給管64の1つから受け取り、そのインクを印字ヘッド組立体22の長さに沿って分配する。これらの流路は1mm幅であり、0.75mmの厚さの壁によって分離される。
【0121】
図示の実施形態では、下方部材65は、その長さに沿って延びる5本の流路67を有する。各流路67は、異なる色のインクを混合する危険を低下させるために、インクを5本の供給管64の1本のみから受け取り、次に、この供給管はインクをインク貯蔵モジュール45(図10参照)の1個から受け取る。この点に関して、接着薄膜66はまた、下方部材65が上方部材62に組み付けられるとき、インクの交差流路混合を防止するために個々のインク流路67を封止するように働く。
【0122】
各流路67の底には、下方部材65の底表面中に5つの横列の穴69を設けるために一連の等間隔穴69(図17で最も適切に理解される)が存在する。穴69の中心横列は、印字ヘッドIC 74の直ぐ上方で、下方部材65の中心線に沿って延びる。図22Aで最も適切に理解されるように、中心横列の両側にある穴69の他の横列は、インクが印字ヘッドIC 74に供給され得るように、各穴69から中心に達する導管70を必要とする。
【0123】
図18を参照すると、印字ヘッドIC 74が、重合体封止薄膜71によって下方部材65の下側に取り付けられる。この薄膜は、PETまたはポリサルホン薄膜などの熱可塑性薄膜でもよいし、またはそれはエーエル テクノロジーズ社(AL technologies)およびロジャーズ コーポレーション社(Rogers Corporation)によって製造されたものなど、熱硬化性の薄膜の形態にあってもよい。重合体封止薄膜71は、中心薄膜の両側に接着層を有する積層板であり、下方部材65の下側に積層される。図17、22A、および22Bに示されているように、複数の穴72が、印字ヘッドIC 74と流路67との間を流体連通するために、中心に配置されたインク送達点(穴69の中心の横列および導管70の端部)と一致するように接着薄膜71を貫通してレーザ穿孔される。
【0124】
重合体封止薄膜71の厚さは、それが設けるインク封止体の有効性にとって重大である。図21から22Bで最も適切に理解されるように、重合体封止薄膜は、印字ヘッドIC 74の裏側のエッチングされた流路77ばかりでなく、薄膜の他方側の導管70も封止する。しかし、薄膜71が導管70の開放端を横切って封止するとき、その薄膜もまた膨らんだりまたは導管の中へ落ち込んだりし得る。導管70の中へ落ち込む薄膜の区間は、印字ヘッドIC 74中の幾本かのエッチングされた流路77を横切って延びる。この落ち込みは、エッチングされた流路77のそれぞれを分離する壁間に間隙をもたらし得る。明白なことであるが、これは封止体を破り、インクが印字ヘッドIC 74からおよび/またはエッチングされた流路77間から漏出することを許す。
【0125】
これに対して防護するために、重合体封止薄膜71は、導管70の中へ落ち込むことを考慮し、他方ではエッチングされた流路77全体にわたって封止体を維持するほどに十分な厚さであるべきである。重合体封止薄膜71の最小限度の厚さは、
1. 薄膜が落ち込む導管の幅と、
2. 薄膜の積層板構造中の接着層の厚さと、
3. 印字ヘッドIC 74が接着層の中へ押し込まれているときの接着層の「剛性」と、
4. 積層板の中心薄膜材料の弾性率とに依存することになる。
【0126】
25ミクロンの重合体封止薄膜71の厚さが、図示された印字ヘッド組立体22に適切である。しかし、厚さが50、100、または200ミクロンにさえ達するまで増大すると、それに対応して、設けられた封止体の信頼性が増大することになる。
【0127】
インク送達注入口73が、印字ヘッドIC 74の「前」表面中に形成される。注入口73は、これらの注入口に位置決めされた各々のノズル801(図23から36を参照して下で説明される)にインクを供給する。インクは、それぞれのおよびすべての個々の注入口73にインクを供給するようにICに送達されねばならない。したがって、個々の印字ヘッドIC 74の内部の注入口73は、インク供給の複雑さおよび配線の複雑さを軽減するために物理的にグループ分けされる。それらはまた、電力消費を最小化しかつ様々な印刷速度を可能とするために論理的にもグループ分けされる。
【0128】
各印字ヘッドIC 74は、5つの異なるインクの色(C、M、Y、K、およびIR)を受け取りかつ印刷するように構成され、色毎に1280個のインク注入口を含み、これらのノズルが偶数および奇数ノズル(それぞれに640個)に分割されている。各色用の偶数および奇数ノズルが、印字ヘッドIC 74上の異なる横列に設けられ、真の1600dpi印刷を実行するように垂直に位置合わせされており、つまりは、ノズル801が、図19に明確に示されているように、10個の横列で配置されている。単一の横列の2つの隣接するノズル801間の水平距離は31.75ミクロンであり、他方でノズルの横列間の垂直距離は、ノズルの発射順序に基づくが、横列は、典型的にはドット線の厳密な数に加えて、用紙が横列発射時の間に移動する距離に対応するドット線の数分の1ほどだけ分離される。同様に、所与の色に関するノズルの偶数および奇数横列は、下で説明されるように、それらがインク流路を共有し得るようになっていなければならない。
【0129】
先に暗示されたように、本発明は、ページ幅印刷に関し、したがって印字ヘッドIC 74は、印字ヘッド組立体22の幅に差し渡して水平に延びるように配置される。これを実現するために、個々の印字ヘッドIC 74は、図16および17に示されているように、接着層71の表面全体にわたって当接配置で互いに結合される。印字ヘッドIC 74は、接着層の融点を超えてICを加熱することによって重合体封止薄膜71に付着されることが可能であり、次いでそれらを封止体薄膜71の中に圧入するか、またはそれらを薄膜の中に圧入する前にレーザによってICの下の接着層を融解する。別のオプションは、ICを薄膜71の中へ圧入する前に、IC(接着剤の融点を超えない)および接着層を両方とも加熱することである。
【0130】
個々の印字ヘッドIC 74の長さは、約20〜22mmである。A4/米国手紙サイズのページを印刷するために、11〜12個の個々の印字ヘッドIC 74が連続して相互に結合される。個々の印字ヘッドIC 74の数は、他の幅の用紙に適応するように変更されてもよい。
【0131】
印字ヘッドIC 74は、様々な方式で互いに結合され得る。IC 74を結合する1つの特定の様式が、図20に示されている。この配置では、IC 74の端部が、互いに結合してICの水平な線を形成するように形作られ、隣接するIC間に垂直のずれは存在しない。実質的に45°の角度を有する傾斜接合部がIC間に設けられる。この接合縁は、直線的ではなく、位置決めを容易にするために鋸歯の外形を有し、IC 74は、接合縁に垂直に測定して約11ミクロン離間されることが企図されている。この配置では、各横列の最も左のインク送達ノズル73が、10ラインピッチだけ下げられ、三角形構成で配置される。この配置は、接合部で、ある程度のノズルの重なりを与え、インクの液滴が印刷区域に沿って安定的に送達されることを保証するためにノズルのピッチを維持する。この配置はまた、十分な結合を確保するために、より多くのシリコンがIC 74の縁に設けられることを保証する。ノズルの動作の制御がSoPEC装置(本明細書の後段で論じられる)によって実行される一方で、ノズルに対する補正が印字ヘッドの中で実行されてもよいし、または、貯蔵要件に応じてSoPEC装置によって実行されてもよい。この点に関して、IC 74の一端に配置されたノズルの下げられた三角形配置は、最小限の印字ヘッド上の貯蔵要件を与えることが理解されよう。しかし、貯蔵要件の重要性がより低い場合には、三角形以外の形状が使用され得るが、例えば、下げられた横列が台形の形態を取ってもよい。
【0132】
印字ヘッドICの上表面には、その縁に沿って、SoPEC装置からノズル73の動作を制御するためにデータまたは電力を受け取る手段を提供する幾つもの接着パッド75が設けられている。IC 74を接着層71の表面上に適正に位置決めし、かつIC 74が接着層71の中に形成された穴72と適正に位置合わせするように、これらのICを位置合わせする際の補助のために、基準76もIC 74の表面上に設けられる。基準76は、隣接するICおよび接着層71の表面に対してIC 74の真の位置を示すための適切な位置決め機器によって容易に識別可能であり、かつIC 74の縁におよび接着層71の長さに沿って有利に位置決めされる標識の形態にある。
【0133】
重合体封止薄膜71の中に形成された穴72からインクを受け取り、そのインクをインク注入口73に分配するために、各印字ヘッドIC 74の下側が図21に示されたように構成される。幾つものエッチングされた流路77が設けられ、各流路77が、1つの特定の色または種類のインクの送達専用の注入口73の1対の横列と流体連通している。流路77は、重合体封止薄膜71の中の穴72の幅と均等である約80ミクロン幅であり、かつIC 74の長さにわたって延びる。
【0134】
流路77は、シリコンブリッジまたは壁78によって区間に分割されるが、それらは印字ヘッドICに、長手流路77に対して横方向の追加的な強度を与える。シリコン壁78間の流路77の各区間は、それらの各々の注入口73を経由して約128個のノズル801(64個のノズル対)を補給する。
【0135】
流路77は、印字ヘッドIC 74の厚さに応じて、約100から200ミクロンの深さを典型的に有し、注入口73の対になった横列と出会うが、各注入口は約20ミクロンの深さを有する。注入口73は、約14×28ミクロンの幅/長さ寸法を有し、インクを各々のノズル801に供給する。注入口73は、印字ヘッドIC 74の裏側で相対的に広い流路77の中へ開くので、印字ヘッドIC 74と下方部材65との間に中間的な微小成形部の必要がない。流路77は、接着層71中のレーザ穿孔72を経由してインクを下方部材65の放出口から受け取るのに適切な寸法を有する。
【0136】
しかも、流路77の配置は、これらの流路を画定するために使用される裏面エッチング処理を簡素化する。使用された印字ヘッド製造過程では、注入口73は、ウェーハの表側からエッチングされ、次いでフォトレジストが詰められる。次に、ノズル801が、MEMS技法によって詰められた注入口に形成される。表側にノズル801が作製された後で、インク供給流路が、詰められた注入口と出会うようにウェーハの裏面からエッチングされる。最後に、フォトレジストの詰め物が灰化されて除去され、それによって表側ノズルと裏面インク供給流路との間を流体連通させる(印字ヘッドIC製造過程のさらに詳細な説明に関しては、本出願人の同時係属であり、参照によりその内容が本明細書に組み込まれる米国特許出願第10/728970号明細書および第10/3022742号明細書を参照されたい)。
【0137】
裏面エッチングには、各ノズルからインク供給流路までの流体連通を確保するために注入口73との正確な位置合わせが必要であることが理解されよう。従来、各注入口73は、裏面からエッチングされた注入口と同様の幅/長さ寸法の個々のインク供給流路を有していた。これは、高度に異方性のエッチング処理を維持する点で、および各注入口73との正確な位置合わせを実現する点で、裏面エッチング処理に対してかなり厳しい要求を課した。
【0138】
図21に示された裏面流路配置は、従来の個別化された流路配置を凌ぐ幾つかの利点を有する。1つの利点は、流路77のエッチング時における表側と裏面との間の位置合わせ精度が、各注入口に対して個々のインク供給流路を有する配置よりも厳しくないことである。別の利点は、インクを注入口73の対になった横列に供給する各流路77が、裏面エッチング処理に対する要求がより少ない相対的に低い縦横比を有することである。縦横比は、流路深さと流路幅との比として定義され、典型的には3:1未満または2:1未満である。低い縦横比は、より迅速なエッチング速度という追加的な利点を暗示し、かつ特化された異方性エッチング条件に対する必要性を潜在的に軽減し、それがさらにエッチング速度を上昇させる。さらには、低い縦横比は、注入口73を詰めるために使用されるフォトレジストの上に蓄積し得る電荷の散逸を許容する。このような電荷を散逸することによって、裏面エッチング最前部が詰められた注入口73と出会うとき、エッチフレアリング(等方性エッチング)が回避される。このようなエッチフレアリングは問題が多く、インク供給流路中に望ましくないスパイク突起をもたらし得る。
【0139】
図22Bは、どのようにインクが、ノズル73に供給するために、IC 74の下側の中に形成されたエッチング流路77に供給されるかをさらに明白に示す。図示されたように、重合体封止薄膜71を貫通して形成された穴72が、シリコン壁78が流路77を区間に分割する箇所で、流路77の1つに位置合わせされる。穴72は幅が約80ミクロンであり、その幅は、1つの穴72がインクを流路77の2つの区間に供給するように、流路77の幅と実質的に同じである。これは、重合体封止薄膜71の中に必要とされる穴72の密度を半減させることが理解されよう。
【0140】
各印字ヘッドIC 74を重合体封止薄膜71の表面に装着しかつ位置合わせすることに続いて、可撓PCB 79(図18参照)が、ノズル801を制御しかつ動作させるために制御信号および電力を接合パッド75に供給され得るように、IC 74の縁に沿って装着される。図15にさらに詳細に示されているように、可撓PCB 79は、印字ヘッド組立体22から延びて、印字ヘッド組立体22の周囲で折り曲げられる。
【0141】
可撓PCB 79はまた、受け取られた電力およびデータ信号を制御するために、その長さに沿って配置された複数の減結合コンデンサ81も有し得る。図16に最も適切に示されたように、可撓PCB 79は、架台ユニット12の制御回路から電力およびまたはデータ信号を受け取るために、その長さに沿って形成された複数の電気接点180を有する。複数の穴80も可撓PCB 79の遠位縁に沿って形成され、これらの穴は、可撓PCBを主要本体20の剛性板34の突縁部分40に装着する手段を設ける。可撓PCB 79の電気接点が架台ユニット12の電力およびデータ接点に接触する様態は、後段で説明される。
【0142】
図18に示されているように、媒体遮蔽体82が、通過する媒体と接触することによって生じ得る損傷から印字ヘッドIC 74を保護する。媒体遮蔽体82は、適切なクリップ固締配置または接着剤によって印字ヘッドIC 74の上流で上方部材62に装着される。このような様態で装着されるとき、印字ヘッドIC 74は、通過する媒体の経路から外れた、媒体遮蔽体82の表面の下方に位置する。
【0143】
空間83が、媒体遮蔽体82と上方62および下方65部材との間に設けられ、この空間は、空気圧縮機または同様物から圧縮された空気を収容し得る。この空間83は、印字ヘッド組立体22の長さに沿って延びるので、圧縮された空気は、印字ヘッド組立体22の両端から空間83に供給され、かつこの組立体に沿って均一に分配され得る。媒体遮蔽体82の内表面には、媒体遮蔽体82の長さに沿って均一に分配された複数の排気口を画定する一連のフィン84が設けられるが、この遮蔽体を通過して、圧縮された空気が流れ、かつ媒体送達方向へ印字ヘッドIC 74を横切って誘導される。この配置は、媒体と一緒に運ばれた粉塵および他の粒子物質(ノズルを詰まらせかつ損傷し得る)が印字ヘッドICの表面上に付着するのを防止する役目をする。
【0144】
インク送達ノズル
ここで、図23から32を参照して、ノズルおよび対応する駆動部を備える、本発明に適切な種類のインク送達ノズル配置の一実施例が説明される。図32は、シリコン基板8015の上に形成されたインク送達ノズル配置801のアレイを示す。各ノズル配置801は同一であるが、ノズル配置801のグループが、異なる色のインクまたは固定剤が供給されるように配置される。この点に関して、ノズル配置は横列で配置され、かつ相互に対して千鳥に配列されて、ノズルの単一横列によって可能であるよりも、印刷中のインクドットのより近接した隙間を可能とする。このような配置は高いノズル密度を設けることを可能とし、例えば、5000個を超えるノズルが複数の千鳥配列された横列で配列されて、それぞれが、各横列中のノズル間で約32ミクロンおよび隣接する横列間で約80ミクロンの隙間を有する。多横列は冗長(所望であれば)も見込み、それによって1個のノズル当たりの所定の故障率を見込む。
【0145】
各ノズル配置801は、集積回路製造技法の産物である。特に、ノズル配置801は微小電子機械システム(MEMS)を画定する。
【0146】
説明を明瞭にしかつ容易にするために、図23から31を参照して、単一のノズル配置801の構造および動作が説明される。
【0147】
インクジェット印字ヘッド集積回路74はシリコンウェーハ基板8015を有し、その上に0.35ミクロンの1 P4M 12ボルトCMOS超小型演算処理電子素子が位置決めされている。
【0148】
二酸化珪素(または別法としてガラス)層8017が、基板8015の上に位置決めされる。二酸化珪素層8017はCMOS誘電体層を画定する。CMOS最上位金属が、二酸化珪素層8017の上に位置決めされた、1対の位置合わせされたアルミニウム電極接点層8030を画定する。シリコンウェーハ基板8015および二酸化珪素層8017は共に、概ね円形の断面(平面図で)を有するインク注入口流路8014を画定するようにエッチングされる。CMOS金属1、CMOS金属2/3、およびCMOS最上位金属のアルミニウム拡散障壁8028が、インク注入口流路8014周りの二酸化珪素層8017の中に位置決めされる。拡散障壁8028は、水酸基イオンが駆動電子素子層8017のCMOS酸化物層を通って拡散するのを阻止する役目をする。
【0149】
窒化珪素の層8031の形態にある不活性化層が、アルミニウム接点層8030および二酸化珪素層8017の上に位置決めされる。接点層8030の上に位置決めされた不活性化層8031の各部分は、接点8030に対するアクセスを設けるために、内部に開口8032が画定されている。
【0150】
ノズル配置801は、環状ノズル壁8033によって画定されたノズルチャンバ8029を含み、このノズル壁は、ノズルルーフ8034の中の上端および平面図では円形である径方向の内部ノズルリム804で終端する。インク注入口流路8014は、ノズルチャンバ8029と流体連通している。ノズル壁の下端には、移動封止体リップ8040を含む移動リム8010が配置されている。周囲壁8038が、可動ノズルを包囲し、かつ、図26に示されているようにノズルが休止しているとき、移動リム8010に隣接する静止封止体リップ8039を含む。流体封止体8011が、静止封止体リップ8039と移動封止体リップ8040との間に閉じ込められたインクの表面張力により形成される。これは、チャンバからのインクの漏出を防止し、他方で周囲壁8038とノズル壁8033との間に小さい抵抗結合をもたらす。
【0151】
図30に最も適切に示されているように、径方向に延びる複数の凹部8035が、ノズルリム804周りにルーフ8034の中に画定される。これらの凹部8035は、インクがノズルリム804を通過して逃げる結果としての径方向のインク流を封じ込める役目をする。
【0152】
ノズル壁8033は、窒化珪素の層8031に装着された基部8037を備える、概ねU字形の外形を有する担持体8036に取り付けられているレバー配置の一部を形成する。
【0153】
このレバー配置はまた、ノズル壁から延びて、横方向剛化梁8022を組み込むレバーアーム8018も含む。レバーアーム8018は、窒化チタン(TiN)から形成されており、図26および31に最も適切に示されているように、ノズル配置の両側に位置決めされた1対の受動梁806に装着される。受動梁806の他端は担持体8036に装着される。
【0154】
レバーアーム8018はまた、TiNから形成された駆動部梁807にも装着される。このような駆動梁への装着は、受動梁806への装着部よりも高い、小さいが重要な距離を置いた箇所で行われることに留意される。
【0155】
図23および29に最も適切に示されているように、駆動部梁807は、平面図では実質的にU字形状であり、電極809と対向する電極8041との間の電流経路を画定する。電極809および8041のそれぞれは、接点層8030中の各々の点に電気接続される。駆動部梁はまた、接点809を経由して電気接続されるばかりでなく、アンカ808に機械的に繋止される。アンカ808は、ノズル配置が動作中であるとき、図26から28の左側への駆動部梁807の動きを拘束するように構成される。
【0156】
駆動部梁807中のTiNは導電性であるが、それは、電流が電極809と8041との間に流されるとき、自己加熱を経るのに十分な高い電気抵抗を有する。電流が受動梁806を通って流れることはなく、したがってこれらの梁は膨張しない。
【0157】
使用に際して、休止中の本装置には、表面張力の作用下でメニスカス803を画定するインク8013が充填される。インクは、メニスカスによってチャンバ8029の中に保持され、何らかの他の物理的作用が存在しなければ一般的に漏れ出すことはない。
【0158】
図24に示されているように、インクをノズルから発射するために、駆動部梁807を通過する電流が、接点809と8041との間に流される。その抵抗による梁807の自己加熱が、梁を膨張させる。駆動部梁807の寸法および設計は、膨張の大部分が図23から25に関して水平方向であることを意味する。この膨張は、アンカ808によって左が拘束され、したがって、レバーアーム8018に隣接する駆動部梁807の端部が右に押しやられる。
【0159】
受動梁806の相対的な水平方向の剛直性は、これらの梁が、レバーアーム8018を水平方向へ大きく変位させることを防止する。しかし、受動梁および駆動部梁のレバーアームへの各取り付け点の相対的な変位が、レバーアーム8018を概ね下向きに移動させる捻り移動を引き起こす。このような移動は、事実上、枢動式またはヒンジ式の移動である。しかし、真の枢軸点が存在しないことは、回転が受動梁806の曲がりによって画定された枢軸領域付近であることを意味する。
【0160】
レバーアーム8018の下向き移動(および僅かな回転)は、受動梁806からノズル壁8033までの距離によって増幅される。ノズル壁およびルーフの下向き移動は、チャンバ8029の内部の圧力増大を引き起こし、メニスカスを図24に示されたように膨らませる。インクの表面張力は、このような移動によって、流体封止体8011が、インクを漏出させることなく伸ばされることを意味することに留意されよう。
【0161】
図25に示されているように、適切な時点で、駆動電流が停止され、かつ駆動部梁807は急速に冷却して収縮する。この収縮は、レバーアームに、その静止位置への戻りを開始させ、それによって、次にはチャンバ8029の中の圧力の低下をもたらす。膨らむインクおよびその固有の表面張力の運動量と、ノズルチャンバ8029の上向き移動によって引き起こされた負の圧力との相互作用は、隣接する印刷媒体に接触するまで上昇を続けるインク液滴802を画定するように、膨らむメニスカスの薄化、および最終的な跳ね出しを引き起こす。
【0162】
液滴802が分離した直後、メニスカス803は、図25に示された凹形状を形成する。表面張力は、インクが注入口8014を通って上向きに吸い込まれてしまい、それによってノズル配置およびインクを図23に示された静止状態に戻すまで、チャンバ8029の中の圧力を相対的に低い状態に留まらせる。
【0163】
ここで、本発明に適切な印字ヘッドノズル配置の別の種類が図33を参照して説明される。再び、説明の明瞭さおよび容易さのために、単一のノズル配置1001の構造および動作が説明される。
【0164】
ノズル配置1001は、気泡を形成する加熱器要素駆動部型であり、内部にノズル1003を有するノズル板1002を備え、このノズルはノズルリム1004と、このノズル板を貫通する開口1005とを有する。ノズル板1002は窒化シリコン構造からプラズマエッチングされるが、この構造は、引き続きエッチングされる犠牲材料の上に化学蒸着法(CVD)によって堆積される。
【0165】
このノズル配置は、各ノズル1003に関して、ノズル板が支持されている側壁1006と、壁およびノズル板1002によって画定されるチャンバ1007と、多層基板1008と、多層基板を貫通してこの基板の遠面(図示せず)に達する注入口通路1009とを含む。輪状の細長い加熱器要素1010がチャンバ1007の内部に懸架されており、この要素は懸架梁の形態にあるようになっている。図示されたノズル配置は、リソグラフィ処理によって形成される微小電子機械システム(MEMS)構造である。
【0166】
ノズル配置が使用されているとき、貯槽(図示せず)からのインク1011は、注入口通路1009を経由してチャンバ1007に進入して、このチャンバを充填するようになっている。その後で、1マイクロ秒を少し下回る間、加熱器要素1010が加熱されるが、この加熱は熱パルスの形態にある。加熱器要素1010は、この要素が加熱されるとき、それによってインクの中に蒸気気泡を生成させるように、チャンバ1007の中のインク1011と熱接触していることが理解されよう。したがって、インク1011は気泡形成液を構成する。
【0167】
気泡1012は、一旦生成されると、チャンバ1007の内部の圧力を増大させ、それによって、次にノズル1003を介してインク1011の液滴1016を噴射させる。リム1004は、液滴の誤誘導の機会を最小化するために、液滴1016が噴射されるとき、その誘導を補助する。
【0168】
1つの注入口通路1009当たり唯一のノズル1003およびチャンバ1007が存在する理由は、要素1010の加熱および気泡1012の形成時に、チャンバの内部で生成された圧力波が、隣接するチャンバおよびそれに対応するノズルに影響を与えないようになっているためである。
【0169】
チャンバ1007内部の圧力の増大は、ノズル1003を介してインク1011を押し出すばかりでなく、注入口通路1009を介して多少のインクを押し戻す。しかし、注入口通路1009は、長さが約200から300ミクロンであり、直径が約16ミクロンにすぎない。したがって、実質的に粘性抗力が存在する。その結果、チャンバ1007中の圧力上昇の支配的な効果は、注入口通路1009を介してインクを戻すのではなく、ノズル1003を介して、噴射された液滴1016としてインクを強制的に押し出すことである。
【0170】
図33に示されているように、インク液滴1016が噴射されているところが、液滴がちぎれる前のその「くびれ局面」時において示されている。この段階では、気泡1012は、既にその最大サイズに達しており、次に崩壊点1017に向かって崩壊し始めている。
【0171】
崩壊点1017に向かって気泡1012が崩壊していくと、多少のインク1011がノズル1003の内部から(液滴の側面1018から)引き込まれ、かつ多少のインクが注入口通路1009から崩壊点に向かって引き込まれることが生じる。このような様態で引き込まれたインク1011の殆どは、ノズル1003から引き込まれ、液滴1016がちぎれる前に、この液滴の基部に環状の首1019を形成する。
【0172】
液滴1016は、ちぎれるためには、表面張力の力に打ち勝つためのある一定の運動量を必要とする。インク1011が気泡1012の崩壊によってノズル1003から引き出されるとき、液滴がノズルから放出されるときの液滴の運動量が液滴のちぎれを許容するのに十分であるように、首1019の直径が減少し、それによって液滴を保持する表面張力の総量を減少させる。
【0173】
液滴1016がちぎれるとき、気泡1012が崩壊点1017に向かって崩壊していくと、矢印1020によって示された空洞現象力が引き起こされる。空洞現象が影響を及ぼす崩壊点1017の近傍には堅固な表面は存在しないことに留意されよう。
【0174】
ここで、本発明に適切な印字ヘッドノズル配置のさらに別の種類が図34〜36を参照して説明される。この種類は、インクを内蔵するノズルチャンバを有するインク送達ノズル配置と、チャンバ内部に位置決めされたパドルに連結された熱曲げ駆動部とを典型的に設ける。熱駆動部装置は、インクをノズルチャンバから噴射するように駆動される。好ましい本実施形態は、導電性トレースを導電加熱するための一連のテーパ付き部分を含む特定の熱曲げ駆動部を含む。この駆動部は、ノズルチャンバの溝穴付き壁に通して収容されたアームによってパドルに連結される。この駆動部アームは、ノズルチャンバ壁中の溝穴の表面と実質的に嵌め合うように嵌め合い形状を有する。
【0175】
最初に図34(a)〜(c)に注目すると、本実施形態のノズル配置の基本的な動作の模式図が提供されている。ノズルチャンバ501には、ノズルチャンバ501が上に位置するウェーハ基板を貫通してエッチングされ得るインク注入口流路503によって、インク502が充填されている。ノズルチャンバ501は、インクのメニスカスが周囲に生じるインク噴射口504をさらに含む。
【0176】
ノズルチャンバ501の内側に、ノズルチャンバ501の壁中の溝穴に通して駆動部508が相互連結されるパドル型装置507が存在する。この駆動部508は、支柱510の端部に隣接して配置された加熱器手段、例えば、509を含む。支柱510は基板に固定される。
【0177】
液滴をノズルチャンバ501から噴射することが所望されるとき、図34(b)に例示されたように、加熱器手段509が、熱膨張を経るように加熱される。好ましくは、加熱器手段509自体または駆動部508の他の部分は、高い曲げ効率を有する材料から構築されるが、その場合に曲げ効率は次にように定義される。
曲げ効率=(ヤング係数×(熱膨張率))/(密度×比熱容量)
加熱器要素に適切な材料は、ガラス材料を曲げるように構成され得る銅ニッケル合金である。
【0178】
加熱器手段509は、支柱510付近の小さい熱膨張がパドル端の大きな動きをもたらすように駆動作用がパドル端507で拡大されるように、支柱510の端部に隣接して理想的に配置される。
【0179】
加熱器手段509およびそれによって引き起こされるパドルの動きは、図34(b)に例示されたように、急速な様態で膨張するインクのメニスカス505の周囲の圧力増大を引き起こす。加熱器電流はパルス式であり、インクは、インク流路503からの流入に加えて、口504から噴射される。
【0180】
引き続いて、パドル507が、その静止位置に再び戻るように動作停止される。動作停止は、一般に、インクをノズルチャンバの中へ再流入させる。ノズルリム外側のインクの前向き運動量と、それに対応する逆流とが、一般に、印刷媒体に向かって進む液滴512のくびれおよびちぎれをもたらす。崩壊したメニスカス505は、一般に、インク流の流路503を経由してインクをノズルチャンバ502の中へ吸い込む。遅れることなく、ノズルチャンバ501は、図34(a)の位置に再び達するように補充され、引き続いて、ノズルチャンバはインクの別の液滴を噴射する準備が整う。
【0181】
図35は、ノズル配置の側方斜視図を例示する。図36は、図35のノズル配置のアレイを通る断面図を例示する。これらの図では、先に導入された要素の数字付けが保持されている。
【0182】
最初に、駆動部508は、窒化チタン層517の頂部に形成された上方ガラス部分(非晶質二酸化珪素)516を含む一連のテーパ付き駆動部ユニット、例えば、515を含む。別法として、より高い曲げ効率を有する銅ニッケル合金層(以後キュプロニッケルと呼ばれる)が使用され得る。
【0183】
窒化チタン層517はテーパ付き形態にあり、したがって、抵抗性加熱が支柱510の端部付近に生じる。隣接する窒化チタン/ガラス部分515が、駆動部508に機械的な構造支持体も設けるブロック部分519で相互連結される。
【0184】
加熱器手段509は、加熱時に、駆動部508の軸に沿って発揮される曲げ力が最大化されるように、細長で離間された複数のテーパ付き駆動部ユニット515を理想的に含む。溝穴が、隣接するテーパ付きユニット515の間に画定され、各駆動部508が隣接する駆動部508に対して僅かに差異的に動作することを可能とする。
【0185】
ブロック部分519はアーム520に相互連結される。次に、アーム520は、ノズルチャンバ501の内側に形成された溝穴、例えば、522によって、ノズルチャンバ501の内側のパドル507に連結される。溝穴522は、一般に、アーム520の周囲のインクが流出する機会を最小化するようにアーム520の表面と嵌り合うように設計される。インクは、一般に、溝穴522の周囲の表面張力作用によってノズルチャンバ501の内部に保持される。
【0186】
アーム520を駆動することが所望されるとき、導電電流が、ノズル配置に必要な電力および制御回路を設ける下方CMOS層506に接続するブロック部分519の内部の窒化チタン層517を通って流される。この導電電流は、一般に、アーム20の上向きの曲がりをもたらし、その結果としてインクがノズル504から噴射されることをもたらす、支柱510に隣接する窒化物層517の加熱をもたらす。噴射された液滴は、先に説明されたように、インクジェットプリンタ用に通常の様態でページに印刷される。
【0187】
ノズル配置のアレイが、単一の印字ヘッドを創出するように形成され得る。例えば、図36には、印字ヘッドのアレイを形成するように交互配置で配列された多インク噴射ノズル配置を備える、一部が切断された様々なアレイの図が例示されている。当然のことであるが、全色アレイ等を含めて、アレイの異なる種類が考案され得る。
【0188】
説明された印字ヘッドシステムの構造は、「Image Creation Method and Apparatus(IJ41)」と題され、その内容が相互参照により完全に組み込まれる米国特許第6243113号に記載されたステップを適切に変更することにより、標準的なMEMS技法を利用して進展し得る。
【0189】
集積回路74は、この集積回路の長さおよび必要とされる所望の印刷特性に応じて、その表面に沿って配置された、上に説明のインク送達ノズルを5000から100000個の間で有するように配置され得る。例えば、幅の狭い媒体では、所望の印刷結果を実現するために、印字ヘッド組立体の表面に沿って配置された5000個のノズルのみで済ますことが可能であり、他方では、幅の広い媒体では、所望の印刷結果を実現するために、最小限10000、20000、または50000個のノズルが、印字ヘッド組立体の長さに沿って設けられる必要があり得る。A4または米国手紙サイズの媒体上の1600dpiのまたは約1600dpiの全色写真品質画像では、集積回路74は、1色当たり13824個のノズルを有し得る。したがって、印字ヘッド組立体22が4色(C、M、Y、K)で印刷できる場合には、集積回路74は、その表面に沿って配置された約53396個のノズルを有し得る。さらには、印字ヘッド組立体22が6つの印刷流体(C、M、Y、K、IR、および固定剤)を印刷できる場合では、これは、82944個のノズルが集積回路74の表面に設けられることになり得る。このようなすべての配置では、各ノズルに対応する電子素子は同じである。
【0190】
ここで、個々のインク送達ノズル配置が印字ヘッド組立体22の内部で制御され得る様態が図37〜40を参照して説明される。
【0191】
図37は、集積回路74と、印刷機構1の制御電子機器内部に設けられたSoPEC装置(上で論じられた)対するその接続とを全体的に示す。上に論じられたように、集積回路74は、各ノズルを発射するための反復論理回路を内蔵するノズルコアアレイ901と、ノズルを発射するためにタイミング信号を生成するためのノズル制御論理回路902とを含む。ノズル制御論理回路902は、高速リンクを経由してデータをSoPEC装置から受け取る。
【0192】
ノズル制御論理回路902は、電気コネクタの形態にあり得るリンク907を経由して、シリアルデータを印刷用ノズルアレイコアに送信するように構成される。ノズルアレイコア901に関する状態および他の動作情報が、同様に電気コネクタに設けられ得る別のリンク908を経由してノズル制御論理回路902に再び通信される。
【0193】
ノズルアレイコア901は、図38および39にさらに詳細に示される。図38では、ノズルアレイコア901がノズル列911のアレイを含むことが分かる。このアレイは、発射/選択シフトレジスタ912および6色までのチャンネルを含み、これらのそれぞれが対応するドットシフトレジスタ913によって表されている。
【0194】
図39に示されているように、発射/選択シフトレジスタ912は、順方向経路発射シフトレジスタ930、逆方向経路発射シフトレジスタ931、および選択シフトレジスタ932を含む。各ドットシフトレジスタ913は、奇数ドットシフトレジスタ933および偶数ドットシフトレジスタ934を含む。奇数および偶数ドットシフトレジスタ933および934は、データが奇数シフトレジスタ933によって一方向へクロックされ、次いで偶数シフトレジスタ934によって逆方向へクロックされるように、一端が接続される。最終的な偶数ドットシフトレジスタ以外のすべての出力は、多重変換装置935の一方の入力に供給される。この多重変換装置の当該入力は、製造後検査時に信号(コアスキャン)によって選択される。通常の動作では、コアスキャン信号が、多重変換装置935の他方の入力に供給されるドットデータ入力ドット[x]を選択する。これは、各色に関するドット[x]が、各々のドットシフトレジスタ913に供給されることをもたらす。
【0195】
ここで、単一の列Nが図40を参照して説明される。図示された実施形態では、列Nが、6つのドットシフトレジスタのそれぞれに関する奇数データ値936および偶数データ値937を含む12個のデータ値を有する。列Nはまた、順方向発射シフトレジスタ930からの奇数発射値938および逆方向発射シフトレジスタ931からの偶数発射値939を含み、これらの値は入力として多重変換装置940に供給される。多重変換装置940の出力は、選択シフトレジスタ932の中の選択値941によって制御される。この選択値がゼロであるとき、奇数発射値が出力であり、選択値が1であるとき、偶数発射値が出力である。
【0196】
奇数および偶数データ値936および937のそれぞれが、対応する奇数および偶数ドットラッチ942および943の各々に入力として提供される。
【0197】
各ドットラッチおよびその関連するデータ値が、ユニットセル944などのユニットセルを形成する。ユニットセルが、図40にさらに詳細に示されている。ドットラッチ942は、奇数ドットシフトレジスタ933の要素を形成するD型フリップフロップ944によって保持されるデータ値936の出力を受け取るD型フリップフロップである。フリップフロップ944に対するデータ入力が、奇数ドットシフトレジスタの中の先行する要素の出力から提供される(但し、考慮下の要素がシフトレジスタ中の第1の要素ではなく、その場合に、その入力はドット[x]値である)。LsyncLに供給された負のパルスが受け取られると、データがフリップフロップ944の出力からラッチ942の中へクロックされる。
【0198】
ラッチ942の出力は、3入力ANDゲート945に対する入力の1つとして提供される。ANDゲート945に対する他の入力は、Fr信号(多重変換器940の出力からの)およびパルスプロファイル信号Prである。ノズルの発射時間は、パルスプロファイル信号Prによって制御され、かつ、例えば、低電力供給(着脱式電源の実施形態における)により生じる低電圧状況を考慮するために延長され得る。これは、各ノズルが発射されるとき、インクの相対的に一定した量が、そこから効率的に噴射されることを保証することである。説明された実施形態では、プロファイル信号Prは各ドットシフトレジスタに関して同じであり、それによって複雑さ、費用、および性能間の均衡をもたらす。しかし、他の実施形態では、Pr信号は、全体的に印加され得るか(すなわち、すべてのノズルに関して同じである)、または各ユニットセルにまたは各ノズルに対してであっても個々に適応され得る。
【0199】
一旦、データがラッチ942の中へロードされると、発射イネーブルFrおよびパルスプロファイルPr信号がANDゲート945に印加され、論理回路1を内蔵する各ラッチ942に関してインクのドットを噴射するためのノズルをトリガに組み合わせる。
【0200】
各ノズルチャンネルに関する信号は次表に要約される。すなわち、
【表3】
図40に示されているように、現在の列中の1つの色、次の列の次の色、等々の発射を可能にするために、発射信号Frが対角線上に経路指定される。これは、時間遅延様式で現在の要求を6つの列にわたって拡散することによって、それを平均化する。
【0201】
ドットラッチと、様々なシフトレジスタを形成するラッチとは、本実施形態では完全に静的であり、かつCMOS系である。ラッチの設計および構造は、集積回路工学および設計の当業者にはよく知られており、したがって本文書では詳細に説明されない。
【0202】
ノズル速度は、約60ppmで、より高い速度ではそれ以上でも印刷が可能なプリンタユニット2では、20kHzほどであり得る。ノズル速度の当該域では、印字ヘッド組立体22全体によって噴射され得るインク量は、毎秒少なくとも5千万個の液滴である。しかし、より高速でより高い品質の印刷を提供するためにノズルの数が増やされるとき、毎秒少なくとも1億個の液滴、好ましくは毎秒少なくとも5億個の液滴、さらに好ましくは毎秒10億個の液滴が送達され得る。このような速度では、インクの液滴は、ノズルによって、1個の液滴当たり約250ナノジュールの最大液滴噴射エネルギーで噴射される。
【0203】
したがって、これらの速度における印刷に対応するために、制御電子機器は、同じ速度で、ノズルがインクの液滴を噴射すべきかどうかを判断できねばならない。この点に関して、幾つかの場合では、制御電子機器は、ノズルが、毎秒少なくとも5千万回の判断速度で、インクの液滴を噴射するかどうかを判断できねばならない。これは、毎秒少なくとも1億回の判断または毎秒少なくとも5億回の判断に、多くの場合では、より高速かつより高品質の印刷用途では、毎秒少なくとも10億回の判断にまで増加し得る。
【0204】
本発明のプリンタユニット2では、ノズル発射速度および印刷速度と共に、印字ヘッド組立体22に設けられたノズル数の上述の範囲は、毎秒少なくとも50cm2の面積印刷速度をもたらし、印刷速度によっては、毎秒少なくとも100cm2、好ましくは毎秒少なくとも200cm2、より高い速度では、毎秒少なくとも500cm2をもたらすことがさらに好ましい。このような配置は、従来のプリンタユニットでは過去に実現不可能であった速度で媒体の面積を印刷できるプリンタユニット2を提供する。
【0205】
保守組立体
保守組立体23が、図41〜44に詳細に示されており、先に図8で示されたように、この組立体は、印字ヘッド組立体22に隣接して位置決めされるように、主要本体20の支柱26間に取り付けられる。
【0206】
保守組立体23は、一般に組立体の様々な構成要素を内部に収容する保守台座88から成る。保守台座88は、その端部に1対の上向きに延びる舌部分89を有する開放端型流路の形態にあり、この舌部分は、主要本体20の支柱26の上に嵌るように形作られ、保守組立体23を定位置に固定するために、主要本体に設けられた保持突起と係合する。保守台座88は、プレス加工された鋼板などの剛性および弾性を有する適切な金属材料から作製される。
【0207】
保守台座88の基部は、図43により明白に示されており、中心配置除去部分90と、窓部分92と、窓部分92の両側から延びるばねアーム91とを含む。一体型ばねアーム91は、台座88の内側で角度が付けられ、台座の板金をプレス加工することによって形成される。当然のことであるが、このばねアーム91は、台座88の開放流路の中へ配置された別個の挿入体であってもよい。
【0208】
剛性の挿入体93が、保守組立体23に追加された剛性を与えるために台座88の内部に嵌るように設けられる。留め具要素94が、剛性挿入体の基部から突出し、剛性挿入体93が台座88の内部に配置されるとき、台座88の中心配置除去部分90の中へ延びる。留め具要素94は、下で説明されるように、着蓋状態と脱蓋状態との間で保守組立体を移動させるように設けられる。下方保守成形部95が挿入体93の内部に配置され、下方保守成形部95の側面に沿って形成された幾つかの突出物96を挿入体93の側面に沿って設けられた対応する細穴97に係合することによって、挿入体の内部に保持される。下方保守成形部95は、適切なプラスチック材料から作製され、閉鎖端および開放頂部を有する本体を形成する。下方保守成形部93の端部には、通気口98が設けられる。通気口98からの空気は、保守組立体を通気するためにフィルタ181を通過する。
【0209】
2本のピン要素99が、下方保守成形部95の基部から延びる。ピン要素99は、下方保守成形部の基部に対するピン要素99の多方向相対移動を可能とするようにゴムなどの柔軟ウェブによって基部に連結される。ピン要素99は、剛性挿入体93の基部中の2つの円形開口100を貫通して、保守台座88の窓部分92の中に達する。
【0210】
保持体挿入体101が、下方保守成形部95の内部にピン要素99の上で支持される。保持体挿入体101は、被覆された鋼であり、内部に保持された吸収剤媒体102の細片に剛性の支持体を設ける。吸収剤媒体102は、別個の部分(2つの実質的に水平部分の間から上向きに延びる薄い垂直部分)の概ね逆T字形の組立体である。吸収剤媒体102は、ウレタン発泡体または同様物などの、インクを吸収しかつ保持できる任意の種類の材料から作製され得る。
【0211】
マイクロファイバ布地103が、2つの水平部分の周囲で、薄い垂直部分の上に嵌り、次いで、吸収剤媒体102を保持するための保持体挿入体101に付着する。マイクロファイバ布地103は吸収剤媒体102を引き込む。
【0212】
上方保守成形部104が、下方保守成形部95の上に嵌り、これらの間にマイクロファイバ布地103、吸収剤媒体102、および保持体挿入体101を閉じ込める。上方保守成形部104は、その底表面に沿って適切な接着剤によって下方保守成形部95の表面に付着される。上向きに突出するリム部分105が、マイクロファイバ布地103によって覆われた吸収剤媒体102の薄い垂直部分を越えて延びる。リム部分105は、上方保守成形部104が印字ヘッド組立体に蓋をするように接触されるとき、印字ヘッド組立体22のノズルを封止するための開口周辺封止体を画定する。
【0213】
本配置では、上方保守成形部104、マイクロファイバ布地103、吸収剤媒体102、保持体挿入体101、下方保守成形部95、および剛性挿入体93が、保守台座88の内部に嵌るように適合され、かつ台座のばねアームの上で支持される蓋ユニットを形成する。このユニットの内部では、マイクロファイバ布地103、吸収剤媒体102、および保持体挿入体101が、ピン要素99の上で支持され、かつ下方保守成形部95および上方保守成形部104によって画定された空間の内部で可動式のサブユニットを形成する。
【0214】
図41に示されているように、この蓋ユニットは、上方保守成形部104の上に嵌り、かつ台座88に固定する保持体要素106によって定位置に保持される。保持体要素106は、その上表面に沿って形成された溝穴107を有する開放端流路の形態にあり、この溝穴を通って、上方保守成形部104のリム部分105が突き出し、印字ヘッド組立体22に蓋をするように係合し得る。保持体要素106の上表面は湾曲しており、印刷時に媒体案内装置として働く。
【0215】
保守組立体23の構成要素は、このような様態で組み立てられるとき、上方保守成形部104が、印字ヘッド組立体22に蓋をするために保持体要素106に対して移動可能であり、かつマイクロファイバ布地103および吸収剤媒体102が、印字ヘッド組立体22のノズルの表面に接触してそれを拭うために上方保守成形部に対して移動可能であるように、保持体要素106および台座88の内部に収容される。
【0216】
保守組立体23が主要本体20の支柱26に組み付けられかつ装着されると、剛性挿入体の留め具要素94が、台座88の中心除去部分90から延びる。ばねアーム91の作用により、保守ユニット23(先に画定された)は、上方保守成形部104のリム部分105が保持体要素106の溝穴107を貫通し、印字ヘッド組立体22に接触して蓋をするように、台座88の基部から持ち上げられる。この状態が図44に示されており、着蓋状態と呼ばれ、それによって印字ヘッドのノズルは、リム部分105の内部で殆ど閉鎖された環境で封止され、インクが完全に乾燥してインクによって詰まる可能性は低い。この環境は殆ど閉鎖されているが、完全には閉鎖されておらず、したがって、リム15の内部で生成された中程度真空の故に、保守組立体は、脱蓋状態に移動することを妨げられない。
【0217】
印字ヘッド組立体22のノズルの近傍に存在する用紙粉塵または他の粒子物質をいずれも除去するために、印字ヘッドの表面は、マイクロファイバ布地103によって拭き取られ得る。これを実行するために、架台ユニットの中に存在するワイパ駆動部が、台座88の窓部分92の中へ延び、下方保守成形部95の基部の中に設けられたピン要素99に接触する。ワイパ駆動部によってピン99に対して与えられた上向きの力はいずれも、これらのピンを保持体挿入体101に対接してさらに突出させ、それによってマイクロファイバ布地103が被覆されている吸収剤媒体102の垂直部分が、ノズルに近接する印字ヘッド組立体22の表面に接触するまで、この垂直部分を上方保守成形部104のリム部分105の中へかつそれを越えて突出させる。マイクロファイバ布地103が存在することによって、接触が最小限にされることを保証し、かつ吸収剤媒体102の内部に保持されるべき、印字ヘッド組立体22の表面に存在するインクまたは湿り気をいずれも引き付ける。ピン99が任意の方向へ自由に動くので、ワイパ駆動部の横移動はいずれもノズル表面を横切ってマイクロファイバ布地103を横方向へ移動させ、よって拭い取りまたは掃除機能を実行する。次いで、ワイパ駆動部が切り離されると、本配置を、マイクロファイバ布地103および吸収剤媒体102がリム部分105の表面の下方にある位置に戻らせる。
【0218】
印刷を実行するために、保守組立体23は、着蓋状態から印刷状態に移動されねばならない。これは、保守駆動部が、台座88の中心除去部分90を通って突き出す留め具要素94を把持し、かつこの要素に下向きの力を印加することによって実現される。この下向きの力は、剛性挿入体93を台座88のばねアーム91に対抗して台座の基部に向かって移動させる。この動きは、上方蓋成形部104の上方リム部分105が保持体要素106の外表面と面一になり、そこから突出しないように、このリム部分を保持体要素106の中に形成された溝穴107の中へ後退させる。保持体要素106は移動することがなく、定位置に固定されていることが理解されよう。これは、保持体要素106と印字ヘッド組立体22との間に間隙を創出し、この間隙を通って媒体が印刷のために通過し得る。印刷状態または脱蓋状態では、保持体要素106は媒体案内装置として働き、媒体は、保持体要素に接触しており、媒体が印刷のために印字ヘッド組立体を通過するとき、保持体要素106の表面で支持される。
【0219】
架台ユニット
架台ユニット12が図6および7に関連して示されており、一般にカートリッジユニット10を収容するための開口14を画定する主要本体13と、カートリッジユニット10を架台ユニット12内部の定位置に固定するために開口を閉じるように適合される蓋組立体11とから成る。
【0220】
架台ユニット12の主要本体13は、図45Aおよび45Bに示された枠組構造110を含む。枠組構造110は、一般に2枚の端板111と、これらの端板111のそれぞれと連結する基部板112とを備える。カートリッジユニット10が主要本体13の内部に保持されるとき、このカートリッジユニットが駆動ローラ113と出口ローラ114との間に位置するように、駆動ローラ113および出口ローラ114の両端が端板111の間に装着される。駆動ローラ113および出口ローラ114はそれぞれが、端板111の一方に取り付けられ、駆動ベルトなどの駆動機構116によって駆動および出口ローラのそれぞれを駆動するブラシレスDCモータ115によって駆動される。このようなシステムは、媒体が印刷機構1を通り、カートリッジユニット10の印字ヘッド組立体22を過ぎて円滑かつ安定的に通過することを保証するように、駆動ローラ113および出口ローラ114の両方が同じ速度で駆動されることを保証する。
【0221】
保守駆動組立体117が、DCモータ115に対向して、他方の端板111に取り付けられる。保守駆動組立体117は、保守歯車119とワイパ歯車120とに作用的に連結されるモータ118を備える。次に保守歯車119は、基部板112の内部で、ある一定の距離に延在して、鈎状端を有する棒の形態にある保守駆動部121に連結される。保守駆動部121の鈎状端は、上方リム部分105を着蓋状態と印刷状態との間で持ち上げ/降ろすために、保守組立体23の留め具要素94の内部に受け入れられるように形作られる。ワイパ歯車120は、1対の突起が延びる棒の形態にあるワイパ駆動部122に同様に連結される。ワイパ駆動部122は、同様に基部板112の内部に延び、突起は、それらが保守組立体23のピン要素99に接触するために、保守台座88の基部の中に形成された窓部分92と位置合わせされるように、ワイパ駆動部122に沿って位置決めされる。
【0222】
保守駆動組立体117が、図46Aおよび46Bに分離して示されている。モータ118は二方向性であるので、モータが一方向へ動作すると、ワイパ歯車120を図46Aに示されているように、反時計回りに移動させる。ワイパ歯車120は、その表面に形成された隆起部分123を有し、ワイパ歯車120が回転するとき、その隆起部分がワイパ駆動部のアーム124と接触する。隆起部分123がアーム124に接触するとき、ワイパ駆動部122は、その上に形成された突起が保守台座88の中の窓部分92を通り、かつピン要素99に対接して上向き方向へ移動し、それによってマイクロファイバ布地103を印字ヘッド組立体の表面に対接させるように枢動する。ワイパ歯車120がさらに回転すると、アーム124がその中立位置に戻ることになる。アーム124が乗り上げる、ワイパ歯車120上に形成された追加的な角度付き隆起部分125が存在することにより、横方向への動きがワイパ駆動部122に与えられることが可能であり、この横方向の動きは、戻りばね126に対抗してワイパ駆動部全体を横方向へ移動させる。感知器要素127が、印字ヘッドの状態が容易に測定され得るように、ワイパ駆動部の位置を感知するために設けられる。
【0223】
印字ヘッド組立体22の着蓋状態を制御するために、モータ118が逆転され、ワイパ歯車120が、図46Aに示される時計回りおよび図46Bに示される反時計回りに移動することになる。この方向へワイパ歯車120が回転すると、ワイパ駆動部が、保守組立体23から離れて下向き方向へ枢動することを保証する。しかし、図46Bにさらに明白に示されているように、この回転は、ワイパ歯車120の内表面に設けられたフリッパ歯車128を保守歯車119に噛み合わせ、次に、保守歯車119を反時計回り方向へ(図46Bに示されているように)回転させる。同様に、保守歯車119の内表面に形成された突起129が、保守駆動部121の枢動アーム130に接触し、それによって保守駆動部の鈎状端を下向き方向へ移動させ、それは、次に、保守組立体23の留め具要素94を把持し、上方リム部分105を後退させて印刷状態を取らせる。同様に、感知器要素127は、モータ118の動作、したがって印字ヘッドの望ましい状態を制御するために、保守駆動部の位置を感知することができる。
【0224】
再び図45Aおよび45Bを参照すると、1対のカートリッジユニット案内装置131が、カートリッジユニット10を架台ユニット12の中へ受け入れかつ案内するのを補助するために、端板111に装着される。案内装置131は、カートリッジユニット10が架台ユニット12に対して正確に向けられるようにカートリッジユニット10の表面を受け入れるように角度が付けられている。
【0225】
印刷機構と印字ヘッド組立体22のIC 50との動作を制御するための制御電子素子が、プリント回路基板(PCB)132の上に設けられる。図45Aに示されているように、PCB 132の一方の面は、SoPEC装置133と、外部源から受け取ったデータおよび電力を受け取りかつ分配するための関連構成要素134とを含み、他方ではPCBの他方の面が、その下方縁に沿って電気接点135の横列を含み、この接点は、印字ヘッド組立体22のノズルを制御するために可撓PCB 79の上の対応する電気接点に電力およびデータ信号を送信する手段を設ける。
【0226】
図47に分離して示されているように、PCB 132は、PCB組立体140の一部を形成し、2本のアーム136の間に取り付けられ、これらのアームのそれぞれがPCB 132を定位置に受け入れかつ保持するために鈎爪部137を有する。図48に示されているように、各アーム136は、その上方部分の中に形成された、張力ばね142の鈎状部を受け入れるための溝141を有するが、この張力ばねの目的は下で説明される。
【0227】
PCB 132が2本のアーム136の間に取り付けられるとき、このPCBに安定性を与えるために、支持体棒138が、SoPEC装置133および関連構成要素134を含む面側に、PCB 132の底縁に沿って、アーム136およびPCBに固定される。支持体棒138は、その下方表面に沿って複数の星形車139を有する。図45Aに示されているように、PCB組立体140が端板111に取り付けられるとき、星形車は、これらの星形車が出口ローラ114の表面を把持するために支持体棒の下方表面に対して移動できるようにばね押しされる。
【0228】
図49Aに示されているように、熱遮蔽体143が、SoPEC装置133を実質的に覆い、プリンタユニット2の近傍の内部に存在し得るEMIのいずれからもSoPEC装置を保護するようにPCB 132に装着される。熱遮蔽体143はまた、その内部に設けられ、図49Aに示されているように、蓋組立体11を閉鎖位置に固定するために蓋組立体の上に設けられたクリップと嵌め合うラッチ機構144を有する。
【0229】
PCB組立体140は、アーム136の底に設けられた枢動点141で端板111に枢支される。この配置では、PCB組立体140は、電気接点135が可撓PCB 79の電気接点から隔たり、かつカートリッジユニット10が架台ユニット12から容易に取り外され得る開放位置と、電気接点135が、印字ヘッド組立体22のノズルから、印刷を円滑にする制御データおよび電力を送信するために、可撓PCB 79上に設けられた電気接点と作用的に接触している閉鎖位置との間で、その枢動点141回りに揺動することができる。
【0230】
図49Bに示されているように、遊びローラ組立体145が、架台ユニット12の後部で端板111に固定され、駆動ローラ113の表面に接触しかつそれと一緒に回転するように位置決めされる複数のローラ車146を含む。遊びローラ組立体145は、プリンタユニット2の取り上げ器機構9から印刷機構1に渡される媒体がいずれも、印刷のためにカートリッジユニット10の印字ヘッド組立体22を通過して輸送するために、駆動ローラ113と遊びローラ組立体1145のローラ車146との間に把持されることを保証する。
【0231】
蓋組立体11が、その閉鎖位置で図49Aおよび49Bに示されており、端板111に、その上方後部で枢支される。1対の装着板147が、蓋組立体をピン148によって端板111に装着するために蓋組立体11から延びる。装着板147は、ピン148を越えて延び、その内部には穴が形成されており、その穴の中へ図48に関連して先に論じられた張力ばね142の自由端が受け入れられる。
【0232】
蓋組立体11が、図49Bに示されているように閉鎖位置にあるとき、このばねは完全緊張の状態にあり、それは、次に、図50Aに断面で示されているように、PCB組立体40を閉鎖位置に向かって枢動させる。この位置では、PCB 132の電気接点135は印字ヘッド組立体22の可撓PCB 79の対応する電気接点と作用的に接触しており、電力およびデータ信号が、これらの接点間で移送され得るようになっている。
【0233】
蓋組立体が、図49Cに示されているように、その開放位置に移動されるとき、装着板147が架台組立体の前面に向かって枢動し、それによってばね142の中の緊張が解放され、ばねを緩んだ状態にさせる。これは、次に、PCB組立体が、離れるように図50Bに示された開放位置へ枢動することを可能とする。当該位置では、PCB 132の電気接点135は、印字ヘッド組立体22の可撓PCB 79の対応する接点から切り離れ、それによってカートリッジユニット10が架台ユニット12から取り外されるのを可能とする。
【0234】
この点に関して、蓋組立体11の開/閉動作はまた、カートリッジユニット10と架台ユニット12との間の電気接続の切/入機能を実行する。
【0235】
再び図49A〜49Cを参照すると、蓋組立体11が、その上表面の中に形成された幾つもの合体口149を含む。図示された実施形態では、5つの合体口149が存在しており、各合体口がインク貯蔵モジュール45の1つに対応する。各合体口149は、補充インクをインク貯蔵モジュール45に供給するためにインク補充ユニットを受け入れるように形作られている上向きに突出するリップ部分を有する。図49Cにさらに明白に示されているように、各合体口149には、大きな、実質的に円形の開口151と2つの小さい円形開口152とが内部に設けられており、これらは、インクの送達が、インク補充ユニットとカートリッジユニット10との間で、下に説明される様態で行われることを可能とする。
【0236】
4つのT字形開口182が、補充容器上のバッグ締付け器駆動部を受け入れるために、各合体部分149のかどに位置決めされる。これらは、インク貯蔵モジュール45に関連して上で簡単に論じられたが、下でさらに詳細に論じられる。
【0237】
補充ユニット
図51A〜51Cは、補充インクをカートリッジユニット10に供給するためのインク補充ユニット155を示す。インク補充ユニット155は、内部インク補充構成要素を収容する基部組立体156と、この基部組立体156の上に嵌る蓋157とを備えるユニットとして提供される。基部組立体および蓋は、プラスチック材料から成形可能であり、基部組立体156は単体としてまたは部分で成形されてもよい。
【0238】
基部組立体156の下側が、図51Bにさらに詳細に示されており、インク補充ユニットを合体位置に保持するために、この基部組立体から突出し、蓋組立体11の中に形成された合体口149と嵌め合う畝部分160を含む。実質的に円筒形のインク放出口158も、インクをカートリッジユニット10の中へ送達するために、基部組立体の下側から突出する。2つの弁駆動ピン159も、インク貯蔵モジュール45の注入口弁および放出口弁をそれぞれ駆動するために、基部組立体156の下側から突出する。図示された実施形態では、2つの弁駆動ピン159は、適切な一方向曲がり抵抗および座屈強度のために三角星形断面を有する。QAチップ161も、基部組立体156の下側から突出するように設けられ、その上に複数のQAチップ接点162が露出されており、これらの接点は、インク補充ユニット155が蓋組立体11と合体されるとき、この蓋組立体の中に設けられたQAチップ読み取り器によって読み取られる。
【0239】
締付け器駆動部190が、基部組立体156の各かどに隣接するところから突出する。締付け器駆動部190は、それらの端部が僅かに弓形になり、丸味が付けられている。カートリッジユニット10の頂部42の中の締付け器口60(図14参照)は、それに対応して弓形である。丸味が付けられた端部および弓形断面は、使用者が1つの締付け器駆動部190をその対応する口60と容易に位置合わせすることを可能とし、湾曲した表面は、その他の締付け器駆動部190をそれらの各々の口60と位置合わせ状態に直感的に案内する。これは、迅速にかつ使用者による最小限の細かい位置決めによって、補充ユニットを接合面61と合体する助けとなる。図51Bに最も適切に示されているように、各締付け器駆動部190は、控補強材191を有する。これは、使用者が補充ユニットを合体口と位置合わせするときに過剰な力を印加する場合に大きな横方向の力に耐えるために、締付け器駆動部190に高い曲げ強さを与える。
【0240】
図12を参照して上で説明されたように、締付け器駆動部190は、インク貯蔵モジュール45のバッグ締付け器43を駆動する。
【0241】
基部組立体156はまた、充填口192を有する。バッグ163は、この口を介してその最初のインク充填量を収容し、この口は、次いでプラスチック封止球193によって封止される。
【0242】
図51Cの分解組立図を参照すると、インクバッグ163が、その内部に補充インクを貯蔵するために基部組立体156の内表面に封止され、インクがインク補充ユニット155に供給され/そこから取り出されるとき、インクバッグ163が拡張し/潰れることを可能とする変型可能な材料から作製される。インク送達針164が、バッグ163と基部組立体156との間に設けられた空間の中に延び、インクが放出口158に流れるための通路を設ける。インク送達針164の端部は、円筒形放出口158の中へ延び、円筒形放出口158の開放端の内部の圧縮ばね166によってばね押しされる封止体リング165によって包囲される。インク補充ユニット155がカートリッジユニット10と合体されていないとき、送達針は封止体リング165によって保護される。さらなる予防策として、プラスチックキャップ187が、放出口に被るように滑らされ、僅かな干渉嵌めによって定位置に保持される。
【0243】
インク水準表示器167もインク補充ユニット155の蓋157の内部に設けられる。インク水準表示器167は、着色区間などの表示部分168を有する柔軟な細片を備える。この細片は、バッグ163の内部のインク供給量が消耗されるとき、すなわち、バッグが実質的に空であるとき、表示部分168が蓋157の頂部表面中に設けられた透明な窓169と位置合わせされるように、その細片の端部が変形可能なインクバッグ163の上表面に、かつその中心が蓋157の下側に付着される。この点に関して、他の任意の時点で、すなわち、バッグが実質的に空ではないとき、表示部分が視野から隠される。
【0244】
インクが定量分配されるとき、インクバッグ材料の性質が、非均一様態でバッグを変形させかつ潰れさせる。バッグの上表面の各縁は同じ率で潰れる可能性は低い。したがって、インク水準表示器167の長さは、一旦、変形可能なバッグの上表面のすべての縁が完全に潰れたら、表示器部分168のみが蓋157の中の窓169と位置合わせすることを保証する。インク水準表示器細片282は、最初に折り畳まれた状態にあり、表示部分168は、バッグ163が満杯のとき、窓169から隠されるように細片282の上に配置されている。細片167は、両端が、バッグの上表面の対向する縁に付着される。これらの端部の中間の点(図示せず)が、透明な窓169の下方に固定される。バッグ46が完全に潰れるとき、細片167は長くなりかつ広がる。これによって、以前には隠されていた表示部分168が、窓169を介して視野に入る。インク水準表示器167の使用は、1つの補充ユニット155が完全には消耗されていない場合に、その補充ユニットが反復補充動作のために使用され得ることを意味する。これは、1回の動作でカートリッジユニット10の対応するインク貯蔵モジュール45を補充するのに必要なインクの量が、補充ユニットの容量よりも少ないときに行われ得る。
【0245】
蓋157は、インクバッグ163およびインク水準表示器167を封入するために基部組立体156の一部の上に嵌る。同様に、U字形の合体止め具183が、合体されるときに、その脚部がカートリッジユニット10に係合するために基部組立体156を越えて延びるように蓋157の上に嵌る。止め具183の対向脚部のクリップ170が、カートリッジユニット10の側面上にスナップ固締する。これによって、インクを確実にかつ効率的に移送するために、補充ユニット155を蓋組立体11に対して実質的に固着された状態で保持する。
【0246】
1対の対向する板ばね184が、蓋157の側面を押し付けるためにU字形止め具の各脚部の内側から延びる。各板ばねに隣接して、枢軸185が、蓋157の側面上の支点棚部186に係合するように設計される。この板ばねは脚部を外向きに押すが、枢軸185が支点186に係合すると、クリップは、カートリッジユニット10との係合を維持するように内向きに梃子によって動かされる。
【0247】
標識パネル188が、止め具183の外表面に取り付けられる。標識パネル188は、商標および他の情報を表示することができる。そのパネルまた、補充容器内部のインクと一致するように色分けされ得る。標識パネル188はまた、各脚部上に指掛かりパッド189を有する。指掛かりパッド189は、これらの箇所における指の圧力が、クリップ170をカートリッジユニット10との係合から切り離すために、板ばね184の力に打ち勝つように位置決めされる。次いで、補充ユニット155は、蓋組立体11の合体口149から引き離される。
【0248】
図52は、カートリッジユニット10のインク貯蔵モジュール組立体11の接合面61の1つと直接合体された補充ユニット155を示す。蓋組立体11および架台ユニットの他の部分は、明瞭にするために割愛されている。補充ユニット155は、それが1つの特定の向きのみで合体口149の内部に受け入れられるように形作られるか、または「キー止めされる」。U字形止め具183の各脚部の端部は、使用者がユニット155を後ろ前に合体しようとする可能が低いようにかなり幅が異なる。円筒形インク放出口158は、同様に補充ユニット155を後ろ前に合体しないように防護するために、横断中心線からずらされている。先に論じられたように、合体口149の基部は、円筒形インク放出口158が中へ受け入れられる大きな円形開口151と、弁駆動部159が中へ受け入れられる2つのより小さい開口152とを有する。これらの相互作用要素のそれぞれの断面は、特定の各インク貯蔵モジュール45を補充するために、適正に色分けされたインク補充ユニットのみが適正な向きで使用され得るように形作られている。例えば、弁駆動部159の2つの三角星形断面はそれぞれが、対応する三角星形口のみと嵌る数多くの組合せを与え、各組合せが一致する回転向きを有するように回転され得る。
【0249】
補充ユニット155のQAチップ161のQAチップ接点162と嵌め合い、かつQAチップに格納された情報の読み取りおよび受け取りを行うために、QAチップ読み取り器172も合体口149の基部の中に設けられる。このような情報には、補充ユニット155の貯蔵容量(例えば、約30から約50ml)、補充ユニット155の内部に収容されたインクの色、およびインク補充ユニット155の内部に収容されたインクの供給元が含まれ得る。この情報は、補充ユニット155が合体口149の内部の定位置に合体されるとき、架台ユニット12の制御回路に直ちに転送され得る。例えば、架台ユニット12の制御回路は、補充を容易にするために、インク貯蔵モジュール45のどれが補充を必要としているか、ならびに補充ユニット155がインクの適正な種類/色および分量を収容しているかどうかを判断することができる。
【0250】
図53にさらに明白に示されているように、各インク貯蔵モジュール45(図10参照)の弁挿入体49は、インク注入口15が、合体口149の中に形成された大きな円形開口151と位置合わせされ、かつインク注入口および放出口弁16および18(三角星開口152によって不明瞭になっている)が、より小さい円形開口152と位置合わせされるようにそれぞれ配置される。インク補充ユニット155が合体口149の内部で定位置に置かれるとき、補充ユニット155のインク放出口158は、インク貯蔵組立体45のインク注入口15に接触し、弁駆動部ピン159は、インク注入口弁16およびインク放出口弁18のそれぞれに接触する。
【0251】
当該位置では、インク送達針164は、ばね押し封止体リング165が、インク注入口15の表面周囲に緊密な封止体を形成するように円筒形インク放出口158内部に後退するとき、弁挿入体49のインク注入口15を突き通す。封止体リング165は、インク送達針164に「乗り」上げることが可能であり、補充ユニット155が合体口149から取り外されると、この封止体リングは、封止体ばね166によってその保護位置に戻される。
【0252】
先に論じられたように、インク貯蔵モジュール45のインクバッグ46の内部に保持されたインクは、インクバッグ46に一定の拡張力を印加するばね要素54により一定の負の圧力状態にある。これはインクの中に負の圧力または背圧を生成し、それによってインクが印字ヘッド組立体22のノズルから漏出するのを防止する。この背圧はまた、補充ユニットが定位置に合体されるとき、補充インクを補充ユニット155から引き込む簡素な手段を設ける。補充ユニット155のインクバッグ(大気圧にある)とインク貯蔵モジュール45のインクバッグとの間の圧力勾配により、インク送達針164がインク注入口15を突き通すとき、補充インクは、単に補充ユニット155からインク貯蔵モジュール45のインクバッグ46の中へ流入するだけである。
【0253】
補充動作と印刷動作とを交互に行うために、かつインクが補充時にノズルから漏出しないように印字ヘッド組立体22の中のインクを一定の背圧状態に維持するために、上で論じられたように、弁16および18が弁挿入体の中に設けられる。両方の弁は、補充ユニットが合体口149と定位置に合体されるとき、弁駆動部ピン159によって制御される。これらの弁が制御される様態が、図54A〜54Dに関連して示される。
【0254】
図54Aおよび54Bは、図53の線A−Aおよび線B−Bの各々に沿った異なる断面図を示し、補充前の弁配置の状態を例示し、図54Cおよび54Dは、補充中の弁配置の状態を例示する図54Aおよび54Bの図をそれぞれ示す。
【0255】
図54Aおよび54Bに示されているように、補充前では、インク注入口弁16が閉鎖位置にあり、それによってインクまたは空気の通路がインク注入口15に進入しかつインクバッグ46の中へ進むことを防止する。これが図54Bに示されているが、その図では、インク注入口15とインク注入口弁16との間の通路の中に存在するインクはいずれも当該空間の中に留まる。Oリング封止体が、補充ユニット155のインク送達針164の周囲に気密封止体を維持するためにインク注入口15に設けられる。この状態では、インク放出口弁18が開放位置になり、それによってインクがインク放出口52から流出し、インク縦樋30を下降して、印字ヘッド組立体22に達するように通路を設ける。論じられたように、ばね要素54は、インクバッグ46の内部に背圧の状態を確立し、印字ヘッド22は、印刷中に当該背圧に対抗してインクをインクバッグ46から引き出す。
【0256】
図54Cおよび54Dに示されているように、補充中では、インク補充ユニット155は、インク放出口158が弁挿入体49のインク注入口15と係合され、かつ弁駆動部ピン159が弁16および18と係合するように合体口149の中へ合体される。図54Cに示されているように、弁駆動部ピンがインク放出口弁18と接触すると、この弁18が押下させられて閉じ、それによってインクがインク放出口52から印字ヘッド組立体22にそれ以上流れるのを防止する。この点に関して、閉じたインク放出口弁18から印字ヘッド組立体22に至る通路の中に存在するインクは、インク放出口弁18が開くまで静止状態に留まる。
【0257】
図54Dにさらに明白に示されているように、弁駆動部ピン159が、インク注入口弁16に接触して弁を押下するときに、弁が開いて、インクが補充ユニット155からインクバッグ46に流れるための通路を可能とする。インクバッグ46の中に存在する背圧により、インクは差圧によりインクバッグの中へ引き込まれ、インクバッグ46が満杯になってインクで拡張するとき、ばね要素54は、インクバッグ46と保持要素55との間に一定の力を維持し、それによって、インクバッグ46の中のインク内部の一定の背圧も維持する。これは、インクバッグ46がその最大容量に達し、それによってインクバッグ46の中に存在するインクの圧力が補充ユニット155のインクの圧力と均等化し、それ以上のインクが補充ユニット155から引き込まれなくなるまで続く。
【0258】
バッグ締付け器駆動部190が、側部パネル58を内側に曲げてバッグ46を締め付けるために、上方締付け器襟部59を下方締付け器襟部57に向かって押すように開口60を貫通する。図12を参照して上で論じられたように、バッグ締付け器43は、補充ユニットが取り外されるとき、締付けを解除することによってインクバッグ46中の負の圧力を再確立する。
【0259】
本発明が、その典型的な実施形態を参照して例示および説明されたが、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、様々な変更が当業者には明白であり、かつ当業者によって様々な変更が容易に実施され得る。したがって、本明細書に添付された特許請求の範囲を本明細書に記載された説明に限定することが企図されているのではなく、その請求範囲が広く解釈されることを企図するものである。
【0260】
以下のパラグラフの組(A)および(B)は、本出願の開示に関連する様々な態様を説明する。これらは、特許請求された主題の一部を形成するものと解釈されるべきではない。
【0261】
パラグラフの組(A)
1.基板の表側に形成された、基板に沿って長手方向へ延びる横列で配置され、それぞれが各々のノズル注入口を有する複数のノズルと、
基板の裏側に沿って長手方向へ延び、それぞれがインクを裏側からノズル注入口の対応する少なくとも1つの横列に供給するように構成されている複数のインク供給流路と、を備え、
各インク供給流路は、その長さに沿って1つまたは複数の横断ブリッジによって中断される印字ヘッド集積回路。
2.流路区間が、各インク供給流路に沿って離間された複数の横断ブリッジによって画定される、パラグラフ1に説明された印字ヘッド集積回路。
3.各横断ブリッジ間の長手方向距離が少なくとも1000ミクロンである、パラグラフ3に説明された印字ヘッド集積回路。
4.各横断ブリッジは、各流路区間が、その隣接する流路区間から封止されるように構成される、パラグラフ2に説明された印字ヘッド集積回路。
5.各横断ブリッジは、インクが隣接する流路区間と流路区間との間を長手方向へ流れるように構成される、パラグラフ2に説明された印字ヘッド集積回路。
6.ノズルは、横列の対で配置され、それぞれの対になった横列が表側に沿って長手方向へ延び、各インク供給流路は、裏側に沿って長手方向へ延び、かつインクを裏側からノズル注入口の対応する対になった横列に供給するように構成されている、パラグラフ1に説明された印字ヘッド集積回路。
7.各インク供給流路は少なくとも50ミクロンの幅寸法を有する、パラグラフ1に説明された印字ヘッド集積回路。
8.各インク供給流路は少なくとも70ミクロンの幅寸法を有する、パラグラフ1に説明された印字ヘッド集積回路。
9.各インク供給流路は4:1未満の縦横比を有し、縦横比は、流路深さと流路幅との比によって画定される、パラグラフ1に説明された印字ヘッド集積回路。
10.各インク供給流路は2:1未満の縦横比を有する、パラグラフ9に説明された印字ヘッド集積回路。
11.基板は100から500ミクロンの範囲内の厚さを有する、パラグラフ1に説明された印字ヘッド集積回路。
12.基板は120から250ミクロンの範囲内の厚さを有する、パラグラフ1に説明された印字ヘッド集積回路。
13.パラグラフ1に説明された複数の印字ヘッド集積回路を備えるページ幅インクジェット印字ヘッド。
14.基板の表側に形成された、基板に沿って長手方向へ延びる横列で配置され、それぞれが各々のノズル注入口を有する複数のノズルと、
基板の裏側に沿って長手方向へ延び、それぞれがインクを裏側からノズル注入口の対応する横列に供給するように構成されている複数のインク供給流路と、を備え、
各インク供給流路は、その長さに沿って1つまたは複数の横断ブリッジによって中断されるページ幅インクジェット印字ヘッド。
15.パラグラフ14に説明された印字ヘッドと、
それぞれがインク供給流路と位置合わせされる複数の放出口を有する、印字ヘッドの裏側に接着された成形インクマニホールドと、を備えるページ幅インクジェット印字ヘッド組立体。
16.印字ヘッドは、印字ヘッドとインクマニホールドとの間でサンドイッチ状に挟まれた接着薄膜によって、インクマニホールドに接着される、パラグラフ15に説明された印字ヘッド組立体。
17.複数の穴が接着薄膜の中に画定され、各穴は、インクが該放出口の1つからインク供給流路に流れることを可能とするように位置決めされる、パラグラフ16に説明された印字ヘッド組立体。
18.各放出口および各穴は、インクがインクマニホールドから横断ブリッジの両側の2つの流路区間に供給されるように、横断ブリッジにわたして位置決めされる、パラグラフ17に説明された印字ヘッド組立体。
19.パラグラフ15に従う印字ヘッド組立体を備えるプリンタ。
20.ページ幅インクジェットプリンタである、パラグラフ19に説明されたプリンタ。
【0262】
パラグラフの組(B)
1.基板の表側に形成された、基板に沿って長手方向へ延びる横列で配置され、それぞれが各々のノズル注入口を有する複数のノズルと、
基板の裏側に沿って長手方向へ延び、それぞれがインクを裏側からノズル注入口の対応する少なくとも1つの横列に供給するように構成されている複数のインク供給流路と、を備え、
各インク供給流路は、その長さに沿って1つまたは複数の横断ブリッジによって中断される印字ヘッド集積回路。
2.流路区間が、各インク供給流路に沿って離間された複数の横断ブリッジによって画定される、パラグラフ1に説明された印字ヘッド集積回路。
3.各横断ブリッジ間の長手方向距離が少なくとも1000ミクロンである、パラグラフ3に説明された印字ヘッド集積回路。
4.各横断ブリッジは、各流路区間が、その隣接する流路区間から封止されるように構成される、パラグラフ2に説明された印字ヘッド集積回路。
5.各横断ブリッジは、インクが隣接する流路区間と流路区間との間を長手方向へ流れるように構成される、パラグラフ2に説明された印字ヘッド集積回路。
6.ノズルは、横列の対で配置され、それぞれの対になった横列が表側に沿って長手方向へ延び、各インク供給流路は、裏側に沿って長手方向へ延び、かつインクを裏側からノズル注入口の対応する対になった横列に供給するように構成されている、パラグラフ1に説明された印字ヘッド集積回路。
7.各インク供給流路は少なくとも50ミクロンの幅寸法を有する、パラグラフ1に説明された印字ヘッド集積回路。
8.各インク供給流路は少なくとも70ミクロンの幅寸法を有する、パラグラフ1に説明された印字ヘッド集積回路。
9.各インク供給流路は4:1未満の縦横比を有し、縦横比は、流路深さと流路幅との比によって画定される、パラグラフ1に説明された印字ヘッド集積回路。
10.各インク供給流路は2:1未満の縦横比を有する、パラグラフ9に説明された印字ヘッド集積回路。
11.基板は100から500ミクロンの範囲内の厚さを有する、パラグラフ1に説明された印字ヘッド集積回路。
12.基板は120から250ミクロンの範囲内の厚さを有する、パラグラフ1に説明された印字ヘッド集積回路。
13.請求項1に説明された複数の印字ヘッド集積回路を備えるページ幅インクジェット印字ヘッド。
14.基板の表側に形成された、基板に沿って長手方向へ延びる横列で配置され、それぞれが各々のノズル注入口を有する複数のノズルと、
基板の裏側に沿って長手方向へ延び、それぞれがインクを裏側からノズル注入口の対応する横列に供給するように構成されている複数のインク供給流路と、を備え、
各インク供給流路は、その長さに沿って1つまたは複数の横断ブリッジによって中断されるページ幅インクジェット印字ヘッド。
15.請求項14に説明された印字ヘッドと、
それぞれがインク供給流路と位置合わせされる複数の放出口を有する、印字ヘッドの裏側に接着された成形インクマニホールドと、を備えるページ幅インクジェット印字ヘッド組立体。
16.印字ヘッドは、印字ヘッドとインクマニホールドとの間でサンドイッチ状に挟まれた接着薄膜によって、インクマニホールドに接着される、パラグラフ15に説明された印字ヘッド組立体。
17.複数の穴が接着薄膜の中に画定され、各穴は、インクが該放出口の1つからインク供給流路に流れることを可能とするように位置決めされる、パラグラフ16に説明された印字ヘッド組立体。
18.各放出口および各穴は、インクがインクマニホールドから横断ブリッジの両側の2つの流路区間に供給されるように、横断ブリッジにわたして位置決めされる、パラグラフ17に説明された印字ヘッド組立体。
19.パラグラフ15に説明された印字ヘッド組立体を備えるプリンタ。
20.ページ幅インクジェットプリンタである、パラグラフ19に説明されたプリンタ。
【図面の簡単な説明】
【0263】
【図1】入力トレイの中に用紙を備え、回収トレイが引き出されているプリンタを示す正面斜視図である。
【図2】内部を露出するために筐体が開放されている、図1のプリンタユニット(入力トレイに用紙はなく、回収トレイが引っ込めてある)を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る印刷システムにおける文書データの流れを示す模式図である。
【図4】図3の印刷システムで使用されるアーキテクチャを示すさらに詳細な模式図である。
【図5】図3の印刷システムで使用される制御電子機器の実施形態を示すブロック図である。
【図6】開いている蓋組立体を備える架台と、そこから取り外されたカートリッジユニットを示す斜視図である。
【図7】蓋組立体がその閉鎖位置にある、図6の架台ユニットを示す図である。
【図8】図6のカートリッジユニットを示す正面斜視図である。
【図9】図8のカートリッジユニットを示す分解組立斜視図である。
【図10】図9に示されたカートリッジユニットの主要本体を示す分解組立正面斜視図である。
【図11】図9に示された主要本体中に位置するインク貯蔵モジュール組立体を示す底面斜視図である。
【図12】図11に示されたインク貯蔵モジュールの1つを示す分解組立斜視図である。
【図13】図12に示されたインク貯蔵モジュールの底面斜視図である。
【図14】図12に示されたインク貯蔵モジュールの上面斜視図である。
【図15】図9に示された印字ヘッド組立体を示す上面斜視図である。
【図16】図15に示された印字ヘッド組立体を示す分解組立図である。
【図17】図15に示された印字ヘッド組立体を示す逆転した分解組立図である。
【図18】図15の印字ヘッド組立体を示す断面端面図である。
【図19】図16から18に示された印字ヘッド集積回路モジュールの下がった三角形端を示す拡大部分斜視図である。
【図20】図16から19に示された2つの印字ヘッド集積回路モジュール間の接合箇所を示す拡大斜視図である。
【図21A】図19に示された印字ヘッド集積回路を示す裏面図である。
【図21B】図21Aに示されたインク流路を示す斜視横断面図である。
【図22A】図15の印字ヘッド組立体を示す透明上面図を示す図であり、特に、インクを印字ヘッド集積回路に供給するインク導管を示す。
【図22B】図22Aの部分拡大図である。
【図23】本発明に使用するための、最初の状態におけるインク噴射用の単一ノズルを示す垂直断面図である。
【図24】最初の駆動局面時における、図23のノズルを示す垂直断面図である。
【図25】駆動局面後の、図24のノズルを示す垂直断面図である。
【図26】図25に示された駆動状態における、図23のノズルを示す斜視部分垂直断面図である。
【図27】インクが割愛されている、図23のノズルを示す斜視垂直断面図である。
【図28】図27のノズルを示す垂直断面図である。
【図29】図24に示された駆動状態における、図23のノズルを示す斜視部分垂直断面図である。
【図30】図23のノズルを示す平面図である。
【図31】明瞭にするためにレバーアームおよび可動式ノズルが除去されている、図23のノズルを示す平面図である。
【図32】図23に示された種類の複数のノズル配置を組み込む印字ヘッドチップの一部を示す斜視垂直断面図である。
【図33】気泡形成加熱器要素駆動部型のインク噴射インク用の単一ノズルのインクチャンバを通る模式的な断面図である。
【図34A】熱曲げ駆動部の基本的な動作原理を示す図である。
【図34B】熱曲げ駆動部の基本的な動作原理を示す図である。
【図34C】熱曲げ駆動部の基本的な動作原理を示す図である。
【図35】図34に従って構成された単一のインクジェットノズル配置を示す3次元図である。
【図36】図35に示されたノズル配置のアレイを示す図である。
【図37】本発明のプリンタに使用するためのCMOS駆動装置および制御ブロックを示す模式図である。
【図38】図37のCMOSブロックにおけるノズル列とドットシフトレジスタとの間の関係を示す模式図である。
【図39】ユニットセルと、図38のノズル列とドットシフトレジスタに対するその関係とを示すさらに詳細な模式図である。
【図40】本発明のプリンタ中の単一のプリンタノズルに関する論理回路を示す回路図である。
【図41】図9に示されたカートリッジユニットの保守組立体を示す正面斜視図である。
【図42】図41の保守組立体を示す分解組立正面斜視図である。
【図43】図41の保守組立体の下側を示す分解組立正面斜視図である。
【図44】着蓋状態にある、本発明のカートリッジユニットに作用的に取り付けられた保守組立体を示す断面図である。
【図45A】本発明の一実施形態に係る架台ユニットの枠組構成を示す正面および背面斜視図である。
【図45B】本発明の一実施形態に係る架台ユニットの枠組構成を示す正面および背面斜視図である。
【図46A】図45Aおよび45Bの枠組構成から離されている、本発明の保守駆動部組立体を示す左側および右側斜視図である。
【図46B】図45Aおよび45Bの枠組構成から離されている、本発明の保守駆動部組立体を示す左側および右側斜視図である。
【図47】PCB組立体に組み付けられた、図45Aおよび45Bの支持体棒組立体を示す斜視図である。
【図48】蓋組立体に関連するばね要素に連結された、図47の支持体棒組立体のアームを示す斜視側面図である。
【図49A】本発明の一実施形態に係る架台ユニットを示す様々な図である。
【図49B】本発明の一実施形態に係る架台ユニットを示す様々な図である。
【図49C】本発明の一実施形態に係る架台ユニットを示す様々な図である。
【図50A】蓋組立体がそれぞれ閉鎖位置および開放位置にある架台ユニットを示す断面側面図である。
【図50B】蓋組立体がそれぞれ閉鎖位置および開放位置にある架台ユニットを示す断面側面図である。
【図51A】本発明の一実施形態に係るインク補充ユニットを示す上面および下面斜視図である。
【図51B】本発明の一実施形態に係るインク補充ユニットを示す上面および下面斜視図である。
【図51C】図51Aおよび51Bのインク補充ユニットを示す分解組立図である。
【図52】蓋組立体の合体口と合体された、図51Aおよび51Bのインク補充ユニットを示す斜視図である。
【図53】カートリッジが内側にあり、かつ蓋が閉鎖された架台を示す平面図である。
【図54A】図53の線A−Aに沿ったインク補充ユニットおよび印刷機構を示す断面図である。
【図54B】図53の線B−Bに沿ったインク補充ユニットおよび印刷機構を示す断面図である。
【図54C】図53の線C−Cに沿った、印刷機構との合体位置にあるインク補充ユニットを示す断面図である。
【図54D】図53の線D−Dに沿った、印刷機構との合体位置にあるインク補充ユニットを示す断面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明はプリンタに関し、特にインクジェットプリンタに関する。本発明の特定の態様は、プリンタ用カートリッジ、印字ヘッドの設計および保守ばかりでなく、プリンタ動作の他の側面にも関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
以下の特許および本発明の出願人または譲受人によって出願された出願が、相互参照により本明細書に組み込まれる。
【表1】
【表2】
幾つかの出願が整理番号によって列挙されている。これらは、願番が知られるところとなった時点で置き換えられる。
【背景技術】
【0003】
従来、殆どの市販のインクジェットプリンタは、プリンタの一般的な構造および設計の一部を形成する印刷機構を有する。この点に関して、プリンタユニットの本体は、印字ヘッドおよび関連する媒体送達機構を収容するように典型的に作製され、かつこれらの機能構造はプリンタユニットと一体である。
【0004】
これは、媒体が少しずつ逐次にプリンタユニットに通して前送りされるとき、媒体を左右に横切る印字ヘッドを使用するインクジェットプリンタに関して特に該当する。このような場合に、往復動する印字ヘッドは、それが媒体入力ローラと媒体出力ローラとの間のプリンタユニットの幅を横切り得るように、プリンタユニットの本体に典型的に搭載されており、媒体入力および出力ローラは、プリンタユニットの構造の一部を形成する。このようなプリンタユニットでは、交換のために印字ヘッドを取り外すことが可能であり得るが、媒体輸送ローラ、制御回路、および保守台など、印刷機構の他の部品は、プリンタユニットの内部に典型的に固定され、これらの部品の交換は、プリンタユニット全体を交換しないことには不可能である。
【0005】
往復動型の印字ヘッドを使用するプリンタユニットは、その設計構造の中に固定されているばかりでなく、特に全色および/または写真品質の印刷作業を実行するときには、相当に低速である。これは、印字ヘッドが、媒体の表面にインクを堆積するために、静止している媒体を連続的に横切らねばならず、かつ画像の1本の線を堆積するために印字ヘッドの幾本もの帯筋を必要とし得ることによる。
【0006】
最近では、媒体が印字ヘッドを通過して輸送されるとき、印字ヘッドが静止状態に留まり得るように、印刷媒体の全幅に延びる印字ヘッドを設けることが可能になった。このようなシステムは、もはや印字ヘッドが画像の線を堆積するために幾本もの帯筋を実行する必要がなく、その代わりに媒体が高速で通り過ぎていくときに、印字ヘッドが媒体上にインクを堆積できるので、印刷が行われ得る速度を大幅に向上させる。このような印字ヘッドは、毎分60ページ近くの速度で、すなわち、これまで従来のインクジェットプリンタでは達成し得ない速度で、全色1600dpi印刷の実行を可能にした。
【0007】
このようなページ幅印字ヘッドは、典型的に高精度および高速度の用紙移動を必要とし、したがって、印刷機構全体(印字ヘッド、用紙操作機構、および制御回路等)が、それに応じて高品質の出力を保証するように構成されねばならない。
【0008】
したがって、プリンタユニットの標準的な本体の内部で容易に使用されることが可能であり、安定性のある高速印刷を可能とするように必要なすべての部品が構成されることを保証する様態で作製されるページ幅印字ヘッドを有する印刷機構を提供する必要性が存在する。
【発明の開示】
【0009】
一態様によれば、本発明はインクジェットプリンタ用のカートリッジユニットを提供し、カートリッジユニットは、
インク貯蔵隔室と、インク噴射ノズルのアレイを有する印字ヘッド組立体に連結するインク供給システムとを備え、
インク貯蔵隔室は、可変貯蔵容積と、この隔室内部に負の圧力を生成するために可変貯蔵容積を拡張するように偏倚された変位可能な壁区間とを有し、
インクがインク噴射ノズルから偶発的に漏出しないようになっている。
【0010】
負の圧力が存在しないと、インクのメニスカスがノズルから膨らみ得る。メニスカスは、ノズル口の縁に「くぎ付け」状態になり、インクの漏出を阻止する程に十分に強くなり得る。しかし、用紙粉塵または他の異物が、膨らむメニスカスがノズルリムにくぎ付け状態になることを最終的に阻止し、漏出が生じる。インク貯蔵容積中の負の圧力が、メニスカスをノズル口の中へ後退させる。メニスカスがノズルから外に膨れないので、ノズル表面上の用紙粉塵が表面張力を破壊して漏出を引き起こすことはない。
【0011】
幾つかの実施形態では、インク貯蔵隔室は、可変インク貯蔵容積を画定するように柔軟な壁配置によって連結された対向壁区間を有し、対向壁区間の一方が、変位可能であり、可変インク貯蔵容積を拡張するように偏倚されるようになっている。対向壁区間は、一定の力のばねで偏倚され得る。
【0012】
オプションとして、印字ヘッド組立体は、一緒に取り外しおよび交換するためにカートリッジユニットに固定される。別のオプションでは、印字ヘッド組立体はページ幅印字ヘッド組立体である。
【0013】
第1の態様では、本発明は、インクジェットプリンタ用のカートリッジユニットを提供し、カートリッジユニットは、
インク貯蔵隔室と、インク噴射ノズルのアレイを有する印字ヘッド組立体に連結するインク供給システムとを備え、
インク貯蔵隔室は、可変貯蔵容積と、この隔室内部に負の圧力を生成するために可変貯蔵容積を拡張するように偏倚された変位可能な壁区間とを有する。
【0014】
オプションとして、インク貯蔵隔室は、可変インク貯蔵容積を画定するように柔軟な壁配置によって連結された対向壁区間を有し、対向壁区間の一方が、変位可能であり、可変インク貯蔵容積を拡張するように偏倚されるようになっている。
【0015】
オプションとして、対向壁区間は、一定の力のばねで偏倚される。
【0016】
オプションとして、印字ヘッド組立体は、一緒に取り外しおよび交換するためのカートリッジユニットに固定される。
【0017】
オプションとして、印字ヘッド組立体はページ幅印字ヘッド組立体である。
【0018】
他の態様では、カートリッジユニットが提供されており、
負の圧力が印加されたインク貯蔵隔室は、このインク貯蔵隔室を補充する補充ユニットを受け入れる接合面を有し、接合面は注入口弁を有し、その弁は閉鎖構成に偏倚され、
充填ユニットは、
一定量のインクを収容する本体と、
接合面を解除可能に係合する係合構成と、
補充ユニットがインク接合面に係合するとき、本体中のインクがインク貯蔵隔室と流体連通するように、注入口弁を開放する注入口弁駆動部と、を備える。
【0019】
他の態様では、カートリッジユニットが提供されており、
負の圧力が印加されたインク貯蔵隔室は、このインク貯蔵隔室を補充するインク補充ユニットを受け入れる接合面を有し、接合面は、通常は閉鎖された注入口弁と通常は開放されている放出口弁とを有し、両方がインク貯蔵隔室と流体連通しており、
充填ユニットは、
一定量のインクを収容する本体と、
インク放出口および弁駆動部構成を有する合体部分と、を備え、合体部分は、使用時に、カートリッジがインク貯蔵隔室中の負の圧力のために本体からのインクで充満するように、注入口弁および放出口弁を駆動するために接合面に解除可能に係合する。
【0020】
他の態様では、カートリッジユニットが提供されており、
負の圧力が印加されたインク貯蔵隔室は、通常は開放されている放出口弁を経由して補充ユニットによって補充されるように配置され、
補充ユニットは、
一定量のインクを収容する本体と、
インク貯蔵隔室に解除自在に係合する係合構成と、
補充ユニットがインク貯蔵隔室に係合するときに放出口弁を閉鎖する放出口弁駆動部と、を備える。
【0021】
他の態様では、カートリッジユニットが提供されており、
インク貯蔵隔室は、補充ユニットによって補充されるように配置され、
補充ユニットは、
一定量のインクを収容する本体と、
インク放出口と、
再加圧配置と、を備え、この配置は、補充ユニットがインク貯蔵隔室に係合すると、本体からのインクが、負の圧力によって、圧力が均等化するまで、インク放出口を介してインク貯蔵隔室の中へ引き込まれるときに、ユニットの一部が内向きに押し込まれることをもたらし、かつ引き続いて補充ユニットがインク貯蔵隔室から切り離されると、負の圧力を再確立するために、内向きに押し込まれたインク貯蔵隔室の一部を解放する。
【0022】
他の態様では、カートリッジユニットが提供されており、
インク貯蔵隔室は、可変貯蔵容積を画定するために柔軟な壁構成によって連結された対向壁区間を有し、
カートリッジユニットは、ノズルのアレイを有する印字ヘッドにインクを供給するインク供給システムを備え、
対向壁区間の一方が、変位可能であり、ノズルからの偶発的なインク漏出を回避するために負の圧力をインク貯蔵隔室の中に創出するように、可変貯蔵容積を拡張するように偏倚される。
【0023】
他の態様では、カートリッジユニットが提供されており、
インク貯蔵隔室は、このインク貯蔵隔室を補充する補充ユニットと解除可能に係合する接合面を有し、接合面は、インクが貯蔵隔室に流入し、かつそこから流出するのを制御する弁を有し、
補充ユニットは、
一定量のインクを収容する本体と、
インク放出口と、
補充ユニットが接合面に係合するときに弁を駆動する弁駆動部と、を備え、この弁駆動部は弁を所定の順序で駆動するようになっている。
【0024】
他の態様では、カートリッジユニットを補充する補充ユニットに解除可能に係合する接合面をさらに備えるカートリッジユニットが提供されており、
インクジェットプリンタは、印字ヘッド、制御回路、および補充ユニットを組み込み、補充ユニットは、
一定量のインクを収容する本体と、
インク放出口と、
少なくとも1つのインク特性に関連する情報を格納するメモリ回路と、を備え、このメモリ回路は、使用時に、補充ユニット中のインクがプリンタに適切であるかどうかを確認するために、制御回路がこのメモリ回路に対して応答信号を送信することを可能とする。
【0025】
インクジェットプリンタのインクジェット印字ヘッド用の印字ヘッド保守組立体を組み込むカートリッジユニットが提供されており、印字ヘッドは、ノズルのアレイが内部に形成されたノズル板を有し、
印字ヘッド保守組立体は、
印字ヘッドが使用されていないときにノズルのアレイに蓋をする着蓋器と、
ノズル板に係合しかつノズルを横切って拭い作業する掃除器と、を備え、この掃除器は着蓋器の両端間に位置決めされる。
【0026】
他の態様では、カートリッジユニットが提供されており、インクジェットプリンタは、
ノズルのアレイを有する印字ヘッドと、
保守組立体であって、この組立体がノズルのアレイに蓋をする着蓋位置とノズルのアレイから離間された脱蓋位置との間で移動する保守組立体と、
保守組立体を着蓋位置と脱蓋位置との間で移動させる電動式駆動装置と、を備える。
【0027】
他の態様では、カートリッジを補給するインク補充ユニットに係合する接合面をさらに備えるカートリッジユニットが提供されており、インク補充ユニットは、
インク貯蔵隔室と、
カートリッジの接合面に係合し、接合面上の注入口穴に連結するインク放出口を備える基部板を有する合体部分と、
接合面に解除可能に係合する係合構成と、を備え、係合構成は基部板の横断中心線上に形成され、インク放出口の中心は横断中心線から離間されている。
【0028】
他の態様では、カートリッジを補給するインク補充ユニットに係合する接合面をさらに備えるカートリッジユニットが提供されており、
インク貯蔵隔室は、管状柔軟壁によって一部が画定され、
カートリッジユニットは、柔軟管状壁を所定量だけ締め付ける締付け機構をさらに備え、
インク補充ユニットは、
一定量のインクを収容する本体と、
カートリッジの接合面に係合する合体部分と、備え、合体部分は、接合面上の注入口穴に連結するインク放出口と、インク補充ユニットが接合面に係合するときに締付け機構を駆動し、かつインク補充ユニットが接合面から切り離れるときに締付け機構を解放する複数の締付け駆動部とを有する。
【0029】
他の態様では、補充ユニットと、カートリッジを補給するインク補充ユニットに係合する接合面とをさらに備えるカートリッジユニットが提供されており、インク補充ユニットは、
一定量のインクを収容する本体と、
接合面中の相補的なインク注入口に係合するインク放出口と、
接合面中の開口の中に挿入するために本体から延びる差込み端と、を備え、
差込み端の横断面は、インク補充がカートリッジと正確に一致することを保証するために、開口によって画定された形状にキー止めされる。
【0030】
他の態様では、カートリッジを補給するインク補充ユニットに係合可能なカートリッジユニットが提供されており、インク補充ユニットは、
インクを収容する本体と、
カートリッジ中の相補的なインク注入口に係合するインク放出口と、
所定量のインクが補充ユニットからカートリッジの中へ流入したとき、視覚的表示を提供する視覚的表示器と、を備える。
【0031】
他の態様では、カートリッジユニットが提供され、
インクジェットプリンタは、
内部にアクセスするためのヒンジ留めパネルを有する外部筐体と、
インクカートリッジを支持するために、外部筐体の内部に収納された架台と、を備え、この架台はインクカートリッジの挿入および取出しを可能とするように開くヒンジ留め蓋を有し、
蓋のヒンジ軸およびパネルのヒンジ軸は平行であり、
蓋およびパネルは両方とも同じ方向へ開く。
【0032】
他の態様では、カートリッジユニットが提供されており、インクジェットプリンタは、
ノズルのアレイを有する交換可能なページ幅印字ヘッドと電力および印刷データをノズルに伝達する印字ヘッド接点と、
電力および印刷データを印字ヘッド接点に供給する対応する接点と、
印字ヘッド接点および対応する接点が、印刷時に偏倚されて係合し、かつ印字ヘッドの搭載または脱着時に偏倚係合から解除されるようになっている選択的な偏倚機構と、を備える。
【0033】
他の態様では、カートリッジユニットが提供されており、インクジェットプリンタは、
ノズルのアレイを有する交換可能なページ幅印字ヘッドと電力および印刷データをノズルに伝達する印字ヘッド接点と、
電力および印刷データを印字ヘッド接点に供給する対応する接点と、
開放位置と閉鎖位置との間で移動する蓋部材と、を備え、開放位置で印字ヘッドが搭載または脱着可能であり、蓋部材は印刷時に閉鎖位置にあり、蓋部材が閉鎖位置へ移動されるとき、印字ヘッド接点および対応する接点は移動されて係合し、蓋部材が開放位置へ移動されるとき、印字ヘッド接点および対応する接点は切り離れるようになっている。
【0034】
他の態様では、
インクをインク隔室から印字ヘッドに供給するインク供給システムと、
1つまたは複数の保守機能を実行するために印字ヘッドに係合する保守台と、をさらに備えるカートリッジユニットが提供される。
【0035】
他の態様では、架台によってインクジェットプリンタの内部に保持されるように配置されたカートリッジユニットが提供されており、架台は、貯蔵隔室にそれぞれ対応する複数の接合面を備え、各接合面は、対応するインク貯蔵隔室を補給するインク補充ユニットを受け入れるように構成される。
【0036】
他の態様では、カートリッジユニットが提供されており、プリンタは、
リソグラフィによるマスクエッチングおよび堆積技法を使用して、ウェーハ基板上に形成された印字ヘッド集積回路と、
媒体送り経路に隣接してプリンタの中に取り付けるための集積回路支持構造と、
集積回路支持構造と印字ヘッド集積回路との間にあって、印字ヘッド集積回路を集積回路支持構造に固定する重合体封止薄膜と、
を備える印字ヘッドを組み込む。
【0037】
他の態様では、カートリッジユニットが提供されており、プリンタは、
基板上に形成されたインク噴射ノズルのアレイを有する印字ヘッド集積回路と、
少なくとも1つのインク貯蔵隔室との流体連通を確立する複数のインク供給導管と、
インク供給導管と印字ヘッド集積回路との間の重合体封止薄膜と、を備える印字ヘッドを組み込み、重合体薄膜は、噴射ノズルがインク供給導管と流体連通するように穴のアレイを有し、重合体封止薄膜は、厚さが25ミクロンを上回る。
【0038】
別の態様では、本発明はインクジェットプリンタ用のカートリッジユニットを提供し、カートリッジユニットは、
インク貯蔵隔室と、インク噴射ノズルのアレイを有する印字ヘッド組立体に連結するインク供給システムとを備え、
インク貯蔵隔室は、可変貯蔵容積と、この隔室内部に負の圧力を生成するために可変貯蔵容積を拡張するように偏倚される変位可能な壁区間とを有し、
インクがインク噴射ノズルから偶発的に漏出しないようになっている。
【0039】
別の態様では、本発明はインクを印字ヘッド組立体に供給する負の圧力が印加されたインク貯蔵隔室を補充する補充ユニットを提供し、インク貯蔵隔室は補充ユニットを受け入れる接合面を有し、接合面は閉鎖構成に偏倚された注入口弁を有し、補充ユニットは、
一定量のインクを収容する本体と、
接合面に解除可能に係合する係合構成と、
本体の中のインクがインク貯蔵隔室と流体連通するように、補充ユニットがインク接合面に係合するときに注入口弁を開放する注入口弁駆動部と、を備える。
【0040】
別の態様では、本発明はインクカートリッジ用のインク補充ユニットを提供し、インクカートリッジは、インクを印字ヘッド組立体に供給する、負の圧力が印加されたインク貯蔵隔室と補充ユニットを受け入れる接合面とを有し、接合面は、通常は閉鎖された注入口弁と、通常は開放されている放出口弁とを有し、両方がインク貯蔵隔室と流体連通しており、補充ユニットは、
一定量のインクを収容する本体と、
インク放出口および弁駆動部構成を有する合体部分と、を備え、使用時に、合体部分は、インク貯蔵隔室中の負の圧力のために、本体からのインクでカートリッジが満杯になるように、注入口弁および放出口弁を駆動するために接合面に解除可能に係合する。
【0041】
別の態様では、本発明は、通常は開放されている放出口弁を経由してインクを印字ヘッド組立体に供給する、負の圧力が印加されたインク貯蔵隔室を補充する補充ユニットを提供し、補充ユニットは、
一定量のインクを収容する本体と、
インク貯蔵隔室に解除可能に係合する係合構成と、
補充ユニットがインク貯蔵隔室に係合するときに放出口弁を閉鎖する放出口弁駆動部と、を備える。
【0042】
別の態様では、本発明は、ノズルのアレイを有する印字ヘッド組立体を補給するインク貯蔵隔室を補充する補充ユニットを提供し、使用時に、インク貯蔵隔室は、ノズルからの偶発的なインクの漏出を回避するために負の圧力に維持され、補充ユニットは、
一定量のインクを収容する本体と、
インク放出口と、
再加圧配置と、を備え、
補充ユニットがインク貯蔵隔室と係合すると、再加圧配置は、本体からのインクが負の圧力によって、圧力が均等化するまで、インク放出口を介してインク貯蔵隔室の中へ引き込まれるとき、カートリッジの一部が内向きに押し込まれることをもたらし、
引き続いて補充ユニットがインク貯蔵隔室から係合解除されると、再加圧配置は、負の圧力を再確立するために、内向きに押し込まれたインク貯蔵隔室の一部を解放する。
別の態様では、本発明はインクジェットプリンタ用のインクカートリッジを提供し、カートリッジは、
可変インク貯蔵容積を画定するために柔軟壁配置によって連結された対向壁区間を有するインク貯蔵隔室と、
ノズルのアレイを有する印字ヘッドにインクを供給するインク供給システムと、を備え、
対向壁区間の一方が、変位可能であり、ノズルからの偶発的なインクの漏出を回避するために、可変インク貯蔵容積を拡張してインク貯蔵隔室の中に負の圧力を創出するように偏倚される。
【0043】
別の態様では、本発明は、補充ユニットと解除可能に係合する接合面を有するインク貯蔵隔室を補充する補充ユニットを提供し、接合面は、インクが貯蔵隔室の中へ流入しかつそこから流出するのを制御する弁を有し、補充ユニットは、
一定量のインクを収容する本体と、
インク放出口と、
補充ユニットが接合面に係合するとき弁を駆動する弁駆動部と、を備え、
弁駆動部は弁を所定の順序で駆動するようになっている。
【0044】
別の態様では、本発明は、インクジェットプリンタの一部を形成するインクカートリッジを補充する補充ユニットを提供し、プリンタはまた、印字ヘッド、制御回路、および補充ユニットに解除可能に係合する接合面を有し、補充ユニットは、
一定量のインクを収容する本体と、
インク放出口と、
少なくとも1つのインク特性に関連する情報を格納するメモリ回路と、を備え、
このメモリ回路は、使用時に、補充ユニット中のインクがプリンタに適切であるかどうかを確認するために、制御回路がメモリ回路に対して応答信号を送信することを可能とする。
【0045】
別の態様では、本発明は、インクジェット印字ヘッド用の印字ヘッド保守組立体を提供し、印字ヘッドは、ノズルのアレイが内部に形成されたノズル板を有し、印字ヘッド保守組立体は、
印字ヘッドが使用されていないときに、ノズルのアレイに蓋をする着蓋器と、
ノズル板に係合しかつノズルを横切って拭い作業する掃除器と、を備え、
掃除器は着蓋器の両端間に位置決めされる。
【0046】
別の態様では、本発明は、
ノズルのアレイを有する印字ヘッドと、
ノズルのアレイに蓋をする着蓋位置と、ノズルのアレイから離間された脱蓋位置との間で移動する保守組立体と、
保守組立体を着蓋位置と脱蓋位置との間で移動させる電導式駆動装置と、を備えるインクジェットプリンタを提供する。
【0047】
別の態様では、本発明は、インクジェットプリンタ中のインクカートリッジを補給するインク補充ユニットを提供し、
インクカートリッジは、インク補充ユニットに係合する接合面を有し、インク補充ユニットは、
インク貯蔵隔室と、
カートリッジの接合面に係合する合体部分であって、接合面上の注入口穴に連結するインク放出口を備える基部板を有する合体部分と、
基部板の横断中心線上に形成されている、接合面に解除可能に係合する係合構成と、を備え、
インク放出口の中心が横断中心線から離間されている。
【0048】
別の態様では、本発明は、インクジェットプリンタ中のインクカートリッジを補給するインク補充ユニットを提供し、
インクカートリッジは、インク補充容器に係合する接合面と、一部が管状柔軟壁によって画定されたインク貯蔵隔室と、柔軟管状壁を所定量だけ締め付ける締付け機構とを有し、インク補充ユニットは、
一定量のインクを収容する本体と、
カートリッジの接合面に係合する合体部分と、を備え、合体部分は、接合面上の注入口穴に連結するインク放出口と、インク補充ユニットが接合面に係合するときに締付け機構を駆動し、かつインク補充ユニットが接合面から切り離れるときに締付け機構を解放する複数の締付け駆動部とを有する。
【0049】
別の態様では、本発明は、インクジェットプリンタ中のインクカートリッジを補給するインク補充ユニットを提供し、
インクカートリッジはインク補充ユニットに係合する接合面を有し、インク補充ユニットは、
一定量のインクを収容する本体と、
接合面中の相補的なインク注入口に係合するインク放出口と、
接合面中の開口の中に挿入するために本体から延びる差込み端と、を備え、
差込み端の横断面は、インク補充容器がカートリッジと正確に一致することを保証するために、開口によって画定された形状にキー止めされる。
【0050】
別の態様では、本発明は、インクジェットプリンタ中のインクカートリッジを補給するインク補充ユニットを提供し、
インク補充ユニットは、
インクを収容する本体と、
カートリッジ中の相補的なインク注入口に係合するインク放出口と、
所定量のインクが補充ユニットからカートリッジの中へ流入したとき、視覚的表示を提供する視覚的表示器と、を備える。
【0051】
別の態様では、本発明は、
内部にアクセスするための、ヒンジ留めパネルを有する外部筐体と、
インクカートリッジを支持するために外部筐体の内部に収納された架台と、を備え、架台は、インクカートリッジの挿入および取出しを可能とするように開くヒンジ留め蓋を有し、
蓋のヒンジ軸およびパネルのヒンジ軸は平行であり、
蓋およびパネルは両方とも同じ方向へ開くインクジェットプリンタを提供する。
【0052】
別の態様では、本発明は、
ノズルのアレイを有する交換可能なページ幅印字ヘッドと電力および印刷データをノズルに伝達する印字ヘッド接点と、
電力および印刷データを印字ヘッド接点に供給する対応する接点と、
選択的な偏倚機構と、を備え、
印字ヘッド接点および対応する接点が、印刷時に偏倚されて係合し、かつ印字ヘッドの搭載または脱着時に偏倚係合から解除されるようになっている、インクジェットプリンタを提供する。
【0053】
別の態様では、本発明は、
ノズルのアレイを有する交換可能なページ幅印字ヘッドと電力および印刷データをノズルに伝達する印字ヘッド接点と、
電力および印刷データを印字ヘッド接点に供給する対応する接点と、
開放位置と閉鎖位置との間で移動する蓋部材と、を備え、
開放位置で印字ヘッドが搭載または脱着可能であり、蓋部材は、印刷時に閉鎖位置にあり、
蓋部材が閉鎖位置に移動されるとき、印字ヘッド接点および対応する接点は移動されて係合し、蓋部材が開放位置に移動されるとき、印字ヘッド接点および対応する接点は切り離れるようになっている、インクジェットプリンタを提供する。
【0054】
別の態様では、本発明はインクジェットプリンタ用のカートリッジを提供し、カートリッジは、
少なくとも1つのインク貯蔵隔室と、
インクを該または各インク隔室から印字ヘッドに供給するインク供給システムと、
1つまたは複数の保守機能を実行するために印字ヘッドに係合する保守台と、を備える。
【0055】
別の態様では、本発明は、インクカートリッジをインクジェットプリンタの内部に保持する架台を提供し、カートリッジは複数のインク貯蔵隔室を有し、架台は、
インク貯蔵隔室にそれぞれ対応する複数の接合面を備え、
各接合面は、対応するインク貯蔵隔室を補給するインク補充ユニットを受け入れるように構成される。
【0056】
別の態様では、本発明は、
リソグラフィによるマスクエッチングおよび堆積技法を使用して、ウェーハ基板上に形成された印字ヘッド集積回路と、
媒体送り経路に隣接してプリンタの中に取り付けるための集積回路支持構造と、
集積回路支持構造と印字ヘッド集積回路との間にあって、印字ヘッド集積回路を集積回路支持構造に固定する重合体封止薄膜と、を備える印字ヘッドを提供する。
【0057】
別の態様では、本発明は、インクジェットプリンタ用の印字ヘッドを提供し、印字ヘッドは、
基板上に形成されたインク噴射ノズルのアレイを有する印字ヘッド集積回路と、
少なくとも1つのインク貯蔵隔室との流体連通を確立する複数のインク供給導管と、
インク供給導管と印字ヘッド集積回路との間の重合体封止薄膜と、を備え、重合体薄膜は、噴射ノズルがインク供給導管と流体連通するように穴のアレイを有し、
重合体封止薄膜は、厚さが25ミクロンを上回る。
【0058】
別の態様では、本発明は、
基板の表側に形成された、それぞれが各々のノズル注入口を有する複数のノズルと、
インクを基板の裏側からノズル注入口の対応するグループに供給するように構成される複数のインク供給流路と、を備え、
各インク供給流路は、成形されたインクマニホールド中の1つまたは複数の放出口からインクを受け取るように寸法決めされる、印字ヘッド集積回路を提供する。
【0059】
別の態様では、本発明は、
基板の表側に形成された、基板に沿って長手方向へ延びる横列で配置され、それぞれが各々のノズル注入口を有する複数のノズルと、
基板の裏側に沿って長手方向へ延び、それぞれがインクを裏側からノズル注入口の対応する少なくとも1つの横列に供給するように構成されている複数のインク供給流路と、を備え、
各インク供給流路は、その長さに沿って1つまたは複数の横断ブリッジによって中断される、印字ヘッド集積回路を提供する。
【0060】
別の態様では、本発明は
基板の表側に形成された、それぞれが各々のノズル注入口を有する複数のノズルと、
それぞれがインクを基板の裏側からノズル注入口の対応するグループに供給するように構成される複数のインク供給流路と、を備え、
各インク供給流路は4:1未満の縦横比を有し、縦横比は、流路深さと流路幅との比によって画定される、印字ヘッド集積回路を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
ここで、添付の図に示された好ましい実施形態を参照して、本発明が例示としてのみ説明される。
【0062】
図1は、本発明を実施するプリンタユニット2を示す。媒体供給トレイ3が、印刷機構(プリンタ筐体の内部に隠れている)によって印刷されるべき媒体8を支持しかつ供給する。媒体8の印刷された用紙が、印刷機構から回収用の媒体出力トレイ4に送られる。使用者インターフェース5はLCD接触画面であり、使用者がプリンタユニット2の動作を制御することを可能とする。
【0063】
図2は、内部空洞6の中に位置決めされた印刷機構1を露出させるようにプリンタユニット2の蓋7が開いた状態で示す。取り上げ器機構9が入力トレイ3(明瞭さのために図示せず)の中の媒体に係合し、個々の用紙を印刷機構1に送る。印刷機構1は、印刷およびそれに続いて媒体出力トレイ4(引っ込めた状態で示す)に送達するために、個々の用紙を捕らえ、印字ヘッド組立体(下で説明される)に通過させて用紙を送る。
【0064】
図3は、どのようにプリンタユニット2が、一枚の用紙などの印刷媒体にコンピュータシステム702などの外部源から受け取った文書を印刷するために配置されるかを模式的に示す。この点に関して、プリンタユニット2は、予め処理されたデータを受け取るためにコンピュータシステム702との電気接続を含む。図示の特定の状況では、外部コンピュータシステム702は、文書を受け取り(ステップ703)、それをバッファリングし(ステップ704)かつそれをラスター化し(ステップ706)、次いでプリンタユニット2に伝達するためにそれを圧縮する(ステップ708)ステップを含む、文書の印刷に関わる様々なステップを実行するようにプログラムされる。
【0065】
本発明の一実施形態に係るプリンタユニット2は、外部コンピュータシステム702から、圧縮された多層ページ画像の形態で文書を受け取るが、その場合に、制御電子機器766が画像をバッファリングし(ステップ710)、次いでさらに処理するために画像を展開する(ステップ712)。展開された連続階調層はディザリングされ(ステップ714)、次いで展開ステップからの黒色層が、ディザリングされた連続階調層に重ねて合成される(ステップ716)。コード化されたデータも、人間の眼には実質的に不可視である赤外線インクを使用して印刷されるように(所望であれば)、追加層を形成するために表示され得る(ステップ718)。黒色層、ディザリングされた連続階調層、および赤外線層は、印刷用印字ヘッドに供給されるページを形成する(ステップ722)ために組み合わされる(ステップ720)。
【0066】
この特定の配置では、印刷されるべき文書に関連するデータは、テキストおよび線画用の高解像度の二水準マスク層と、画像または背景色用の中解像度の連続階調カラー画像層とに分割される。オプションとして、カラーテキストが、画像またはフラットカラーから取られたカラーデータによってテキストおよび線画に質感を与えるために、中解像度から高解像度までの連続階調質感層を追加することによって対応され得る。印刷アーキテクチャは、これらの連続階調層を画像データまたはフラットカラーデータとも呼び得る抽象的な「画像」および「質感」層で表現することによって、これらの連続階調層を一般化する。このように内容に基づくデータの層分割は、当業者には理解されるように、基本モードのミクストラスタコンテント(MRC)モードに従う。MRC基本モードと同様に、印刷アーキテクチャは、印刷されるべきデータが重なるとき、幾つかの場合に折衷を行う。特に、1つの形態では、すべての重なりが、明示的に折衷を実施する過程(衝突解消)で3層表現に低減される。
【0067】
図4は、印刷機構制御装置766による印刷データ処理を詳述する。前述のように、データは、圧縮された多層ページ画像の形態でプリンタユニット2に送達されるが、この画像の前処理は、主としてソフトウェアに基づくコンピュータシステム702によって実行される。次いで、印刷機構制御装置766は、このデータを主としてハードウェアに基づくシステムを使用して処理する。
【0068】
データを受け取ると、ディストリビュータ730が、プロプラエタリ表現からハードウェアに特定的な表現にデータを変換し、かつデータが適正なハードウェア装置に送られ、他方では、これらの装置へのデータ送信に対する制約条件または必要条件をいずれも遵守することを保証する。ディストリビュータ730は、変換されたデータを複数のパイプライン732の適切な1つに配布する。これらのパイプラインは相互に同一であり、本質的には、印刷可能なドット出力の組を生成するために圧縮機能、スケーリング機能、およびドット合成機能を行う。
【0069】
各パイプライン732は、データを受け取るためのバッファ734を含む。連続階調デコンプレッサ736はカラー連続階調プレーンを復元し、マスクデコンプレッサは単調(テキスト)層を復元する。連続階調およびマスクスケーラ740および742が、ページが印刷されるべき媒体のサイズを考慮に入れるために、復元された連続階調プレーンおよびマスクプレーンをそれぞれスケーリングする。
【0070】
次に、スケーリングされた連続階調プレーンは、ディザラ744によってディザリングされる。1つの形態では、確率的分散ドットディザが使用される。クラスタドット(または振幅変調)ディザとは異なり、分散ドット(または周波数変調)ディザは、眼によって空間的に統合されるとき、殆どドット解像度の限界まで高い空間周波数(すなわち、画像細部)を再現し、他方では、同時にその完全なカラー深度まで、より低い空間周波数を再現する。確率的なディザマトリックスが、画像全体に並べられるとき、好ましくない低い周波数のパターンが相対的になくなるように慎重に設計される。したがって、そのサイズは、特定の輝度レベル数に対応するために必要とされる最小サイズを典型的に超える(例えば、257輝度レベルでは16×16×8ビット)。
【0071】
次に、ディザリングされたプレーンは、印刷に適切なドットデータを供給するために、ドット毎にドットコンポジタ746の中で合成される。このデータは、データ配布および駆動電子素子748に送られ、次に、これらの電子素子はデータを適正なノズル駆動部750に配布し、次に、これらの駆動部は、本明細書の後段でさらに詳細に説明される様態で、適正な時間に、インクを適正なノズル752から噴射させる。
【0072】
理解されるように、印刷用の画像を処理するために印刷機構制御装置766の内部で使用される構成要素は、データが提示される様態に大きく依存する。この点に関して、印刷機構制御装置766が、より多くの処理を追加的なソフトウェアおよび/またはハードウェア構成要素を使用してプリンタユニット2の内部で実行し、よってコンピュータシステム702に対する依存度を低下させ得る。別法として、印刷機構制御装置766は、ソフトウェアおよび/またはハードウェア構成要素の数を減らして実行する処理量を減らし、よってデータをプリンタユニット2に送る前に画像をより高度な程度まで処理するために、コンピュータシステム702に依存してもよい。
【0073】
図5は、上述の作業を実行するために必要な構成要素のブロック図を示す。この配置では、ハードウェアパイプライン732は、小規模/自宅兼用事務所用のプリンタ機構チップ(SoPEC)766で実施される。図示のように、SoPEC装置は、3つの別個のサブシステム、すなわち、中央演算処理装置(CPU)サブシステム771、動的ランダムアクセス記憶装置(DRAM)サブシステム772、および印刷機構パイプライン(PEP)サブシステム773から成る。
【0074】
CPUサブシステム771は、他のサブシステムのすべての態様を制御しかつ構成するCPU 775を含む。それは、印刷機構1のすべての要素をインターフェースしかつ同期するために全体的に対応する。それはまた、QAチップ(下で説明される)への低速通信も制御する。CPUサブシステム771は、また、汎用入出力(GPIO、これはモータ制御部を含む)、割込み制御装置ユニット(ICU)、LSSマスタ、および一般計時機構など、CPU775を補助するための様々な周辺装置も内蔵する。CPUサブシステム上のシリアル通信ブロック(SCB)は、ホストに全速USB 1.1インターフェースを設けるばかりでなく、他のSoPEC装置(図示せず)にSoPEC間インターフェース(ISI)も設ける。
【0075】
DRAMサブシステム772は、CPU、シリアル通信ブロック(SCB)、およびPEPサブシステム内部のブロックから要求を受け取る。DRAMサブシステム772、特にDRAMインターフェースユニット(DIU)は、様々な要求を調停し、かつどの要求がDRAMへのアクセスを勝ち取るべきかを判断する。DIUは、すべての要求側にDRAMへの十分なアクセスを許容するために、構成されたパラメータに基づいて調停する。DIUはまた、ページサイズ、バンク数、および再生速度など、DRAMの実施態様細目を秘匿する。
【0076】
印刷機構パイプライン(PEP)サブシステム773は、圧縮されたページをDRAMから受け取り、印字ヘッドと直接的に通信する印字ヘッドインターフェース(PHI)向けの所与の印字行に関して、これらのページを二水準ドットにする。ページ展開パイプラインの第1の段階は、連続階調解読器ユニット(CDU)、無損失二水準解読器(LBD)、および、必要であれば、タグ符号器(TE)である。CDUは、JPEG圧縮連続階調(典型的にはCMYK)層を展開し、LBDは圧縮二水準層(典型的にはK)を展開し、かつTEは、プリンタユニット2がネットページ(Netpage)能力(ネットページシステムの詳細な説明に関しては相互参照文献を参照されたい)を有する場合には、後の描画(典型的にはIRまたはKインクで)のために任意のネットページタグを符号化する。第1の段階からの出力は、バッファの組、すなわち、連続階調FIFO(先入れ先出し)ユニット(CFU)、スポットFIFOユニット(SFU)、およびタグFIFOユニット(TFU)である。CFUおよびSFUバッファはDRAMで実施される。
【0077】
第2の段階は、中間階調コンポジタユニット(HCU)であり、これは、連続階調層をディザリングし、得られる二水準のディザリングされた層に重ねて位置タグおよび二水準スポット層を合成する。
【0078】
幾つもの合成オプションが、SoPEC装置が使用される印字ヘッドに応じて実施され得る。すべてのチャンネルが印字ヘッドに存在し得るわけではないが、この段階から二水準データの6チャンネルまでが作成される。例えば、印字ヘッドは、KがCMYチャンネルの中に押し込まれ、かつIRが無視された状態で、CMYのみであってもよい。別法として、IRインクが使用可能でなければ(またはテスト目的のために)、任意の符号化されたタグがKで印刷されてもよい。
【0079】
第3の段階では、空きノズル補償器(DNC)が、カラー冗長と、空きノズルデータを周囲ドットの中へエラー拡散することとによって、空きノズルを補償する。
【0080】
得られる二水準の5チャンネルのドットデータ(典型的にはCMYK、赤外線)がバファリングされ、ドットラインライタユニット(DWU)によってDRAMに格納されたラインバッファの組に書き出される。
【0081】
最後に、ドットデータが、DRAMから再びロードされ、ドットFIFOによって印字ヘッドインターフェースに送られる。ドットFIFOは、システムクロックレイト(pclk)でラインローダユニット(LLU)からデータを受け取り、他方では、印字ヘッドインターフェース(PHI)が、このFIFOからデータを取り出して、それをシステムクロックレイトの2/3倍の速度で印字ヘッドに送る。
【0082】
好ましい形態では、DRAMはサイズが2.5メガバイトであり、その中の約2メガバイトが、圧縮されたページ格納データのために使用可能である。圧縮されたページが2つ以上のバンドで受け取られるが、幾つかのバンドが記憶装置に格納されている。ページのバンドが、印刷のためにPEPサブシステム773によって消費されると、新たなバンドがダウンロードされ得る。この新たなバンドは、現在のページまたは次のページ用であり得る。
【0083】
バンディングを使用して、完全な圧縮されたページがダウンロードされる前に、ページを印刷することが可能であるが、データが常に印刷に使用可能であることを保証するために注意を払わねばならず、さもないとバッファアンダランが発生する恐れがある。
【0084】
埋め込まれたUSB 1.1デバイスが、圧縮されたページデータおよび制御コマンドをホストPCから受け取り、かつDRAMに(または、下で説明されるように、マルチSoPECシステム中の別のSoPEC装置に)対するデータ移送を容易にする。
【0085】
マルチSoPEC装置は、別法の実施形態で使用されることが可能であり、かつ特定の実施態様に応じて様々な機能を果たし得る。例えば、幾つかの場合では、SoPEC装置が、その実装されているDRAM用のみに使用されことが可能であり、他方で、別のSoPEC装置が、上で説明された様々な復元およびフォーマット機能を受け持つ。これはバッファアンダランの機会を減少させ得るものであり、このような機会は、プリンタが、ページ用のすべてのデータが受け取られる前に当該ページの印刷を開始し、かつ他のデータの受け取りが間に合わない場合に発生し得る。そのメモリバッファリング能力のために余分のSoPEC装置を追加すると、追加的なチップのその他の能力が利用されない場合であっても、バッファされ得るデータの量を倍増させる。
【0086】
各SoPECシステムは、プリンタ機構の品質と、印字ヘッドノズルが印刷中に損なわれないようにインク供給の品質と、印字ヘッドおよび機構が損なわれないように保証するソフトウェアの品質とを保証するために、相互に協働するように設計された幾つかの品質保証(QA)装置を有し得る。
【0087】
通常、各印刷SoPECが、関連するプリンタユニットQAを有し、それは、最大印刷速度などのプリンタユニット属性に関連する情報を格納する。カートリッジユニットはまた、インク残存量などのカートリッジ情報を格納するQAチップを内蔵してもよく、かつ空きノズルマッピングおよび印字ヘッド特徴などの印字ヘッドに特定的な情報を格納するROMとして(効果的にはEEPROMとして)働くように構成されてもよい。補充ユニットもQAチップを内蔵してもよく、それは、インクの種類/色および補充用に存在するインク量などの補充インク情報を格納する。SoPEC装置中のCPUは、オプションとして、効果的にシリアルEEPROMとして働くQAチップから、プログラムコードをロードしかつ実行し得る。最後に、SoPEC装置中のCPUは、論理QAチップ(すなわち、ソフトウェアQAチップ)を実行する。
【0088】
通常、本システム中のすべてのQAチップは物理的に同一であり、フラッシュメモリの内容のみが相互を区別する。
【0089】
各SoPEC装置は、システム認証およびインク使用課金用のQA装置と通信し得る2つのLSSシステムバスを有する。1つのバス当たり多くのQA装置が使用されてもよく、かつ、本システム中のそれらの位置は、プリンタQAおよびインクQA装置が別個のLSSバス上に存在すべきである点を除けば、制約されることはない。
【0090】
使用に際して、論理QAは、残存インクを測定するためにインクQAと通信する。インクQAからの応答は、プリンタQAを参照して認証される。プリンタQAからの確認自体は、論理QAによって認証され、それによって、追加的な認証水準をインクQAからの応答に間接的に追加する。
【0091】
QAチップ間で受け渡されたデータが、デジタル署名によって認証される。好ましい実施形態では、HMAC−SHA1認証がデータ用に使用され、かつRSAがプログラムコード用に使用されるが、これらの代わりに他の方式が使用されてもよい。
【0092】
理解されるように、SoPEC装置は、したがって、印刷機構1の動作全体を制御し、かつ本質的なデータ処理を実行するばかりでなく、下で論じられるように、印刷媒体の取り扱いを容易にするために印刷機構1の個々の構成要素の動作も同期および制御する。
【0093】
印刷機構
印刷機構1が、図6および7に詳細に示されており、2つの主要部品、すなわち、カートリッジユニット10および架台ユニット12から成る。
【0094】
カートリッジユニット10は、架台ユニット12の内部に収納されるように形作られかつサイズ決めされ、架台ユニットに装着された蓋組立体11によって定位置に固定される。次に、架台ユニット12は、上で論じられたように、印刷を容易にするためにプリンタユニット2の内部に固定されるように構成される。
【0095】
図7は、カートリッジユニット10が架台ユニット12の中に固定され、蓋組立体11が閉じられた、その組み立てられた形態で印刷機構1を示す。印刷機構1は、プリンタユニット2の使用者インターフェース5からの使用者入力に応答して、印刷に関連する様々な態様を制御する。これらの態様には、制御された様式で印字ヘッドに通過させて媒体を輸送すること、および通過する媒体の表面上への制御されたインクの噴射が含まれる。
【0096】
カートリッジユニット
カートリッジユニット10が、図8および9に詳細に示されている。図9の分解組立図を参照すると、カートリッジユニット10は、一般に主要本体20、インク貯蔵モジュール組立体21、印字ヘッド組立体22、および保守組立体23から成る。
【0097】
これらの部品のそれぞれが一体に組み立てられて、インク貯蔵手段をインク噴射手段と一体に組み合わせる一体型ユニットを形成する。このような配置は、印刷するために、必要に応じてインクが印字ヘッド組立体22に直接供給され、インク貯蔵組立体または印字ヘッド組立体のいずれかまたは両方を交換する必要が存在すれば、それはカートリッジユニット10全体を交換することによって容易に行える。
【0098】
しかし、印字ヘッドの動作寿命は、インク供給源によって限定されるものではない。カートリッジユニット10の頂部表面42は、必要なときにインク貯蔵モジュール45を補給するために、インクの補充用供給源と合体するための接合面61を有する。インクの補充ユニットおよびカートリッジとの合体過程は、下でさらに詳細に論じられる。印字ヘッドの寿命をさらに延ばすために、カートリッジユニットは、印字ヘッドに蓋をし、拭い、かつ湿らせる一体型の印字ヘッド保守組立体23を担持する。この組立体も下でさらに詳細に説明される。
【0099】
主要本体
カートリッジユニット10の主要本体20が、図10にさらに詳細に示されており、開いた頂部および開いた長手方向へ延びる側壁を有する実質的に長方形の枠組25を備える。1対の支柱26が、枠組の下側の両端から突出する。これらの支柱26は、下で説明される様態で保守組立体23を主要本体10に取り付けるために設けられる。
【0100】
インク放出口成形部27は、主要本体20の中に収納されるべきインク貯蔵モジュール45のそれぞれに対応するインク放出口(図示せず)をその下側に有する。インク放出口のそれぞれが、1対の内向きに延びるシリコーン製のリング封止体を有する。これらのリング封止体は、インク放出口成形部27と一緒に成形され、下で説明される印字ヘッド組立体に至るインク注入口に対接して封止する。インク放出口成形部27は、長方形の枠組25の下側に超音波溶接される。
【0101】
一連のインク縦樋30が、枠組25の一方の長手方向壁に沿って存在する。各縦樋30は、その上方端に、各インク貯蔵モジュール(下で説明される)のインク放出口と封止連結を形成するためにOリング封止体29を有する。インク放出口成形部27が本体20に溶接されるとき、各インク縦樋30が、成形部27の下側の中の各インク放出口と流体連通する。
【0102】
空気スリーブ31が加圧された空気源(図示せず)に連結され、空気流を印字ヘッド組立体の中へ供給するが、その組立体では、空気流は、用紙粉塵の詰まりを回避するために印字ヘッドノズルを横切って誘導される(下でさらに論じられる)。
【0103】
インク充填口35が、各インク縦樋30の下方部分の中に形成される。これらの充填口は、インク貯蔵組立体21の初期充填専用である。インク貯蔵組立体の以後の補充はいずれも、下で説明されるインク補充ユニットを使用する。初期充填過程を補助するために、カートリッジユニット10の頂部表面42の中の通気穴41(図9参照)に真空が印加される。通気穴41は、各インク貯蔵モジュール45の中のインクバッグ(下で説明される)の内部に連結される。インクは、充填口35を介して供給され、インク縦樋30を上ってインク貯蔵容積の中へ引き込まれる。充填過程中、カートリッジユニットは、通気穴41が各々のインクバッグのそれぞれにおける最も高い点であるように傾けられ、真空が通気穴41を介してインクを引き込むまで充填される。これは、各インクバッグが完全に充填されかつ空気が抜かれることを保証する。印字ヘッドに向かうインク流によって閉じ込められた気泡がノズルの動作に害を与え得ることを当業者は理解しよう。
【0104】
図15から17に示されているように、下方部材65の一端に複数のプライミング注入口85が設けられる。各プライミング注入口85は、流路67の1つと直接連通し、出荷および使用の前にインク貯蔵モジュール45をインクとプライミングするための別のまたは追加的な手段を設ける。
【0105】
インク貯蔵モジュールが満杯であるとき、重合体封止球33が充填口35および通気穴41の中へ挿入される。
【0106】
金属板34が、カートリッジユニット10に構造的な剛性を与えるために、枠組25および放出口成形部30の下側に取り付く。その金属板は、移動止め38を枠組25の後壁中の細穴(図示せず)の中へ引っ掛け、かつ逆目スナップ固締形成部32の列が開口37の外側の列の中へ留まるまで板34を回転させることによって、定位置にスナップ固締される。
【0107】
板34は、放出口成形部27の下方表面から突出するインク放出口(図示せず)を受け入れる穴39を有する。プレス加工された金属板34はまた、枠組25に対して下向きに突出する突縁部分40を有し、その部分は、下でさらに詳細に論じられる負荷支持表面として働く。
【0108】
カートリッジユニット10のインク貯蔵組立体の蓋21が、図11から14に詳細に示されている。蓋21は、密閉ユニットを形成するために主要本体20の枠組25と嵌め合うように構成される。図11に最も適切に示されているように、インク貯蔵モジュール45は、蓋21の下側に取り付けられ、主要本体20によって設けられた個々の空洞36の中へ延びる(図10参照)。
【0109】
インク貯蔵モジュール45の1つが、切り離されて図12、13、および14に示されている。インクバッグ46は、インクが加圧状態で内部に保持されることを可能とする、マイラ(Mylar)(登録商標)などの柔軟性のある、空気不透過の熱可塑性薄膜から作製される。柔軟バッグ46は、それにインクが充填されると拡張し、インクが消費されると潰れ得る。これは、図54Aから54Dに示されている補充過程に関連して後段でさらに詳細に論じられる。
【0110】
インクバッグ46は、上板部材47と下板部材48との間に延びる。このインクバッグは、気密封止するために板47および48に熱溶接(または同様に)される。上板部材47は、弁挿入体49を受け入れるように配置される。この弁挿入体は、注入口弁16および放出口弁18を有する。弁挿入体49は、それがインクをインク補充ユニットから受け取るために頂部表面42の中に形成された穴51と、インクを印字ヘッド組立体22に送達するための放出口52とに直接連通し得るように位置決めされる。図14に最も適切に示されているように、注入口弁15は、上表面42の中の穴51の中に位置決めされた溝穴に通してインク補充ユニットのインク送達針(後段で論じられる)を受け入れる。注入口弁16は閉じた状態に偏倚されており、補充ユニット(下で論じられる)がカートリッジユニット10と合体するときに開く。
【0111】
逆に、放出口弁18は開いた状態に偏倚されており、補充ユニットが合体するときに閉じる。フィルタ215が、上板部材47の中の放出口弁に至る入口を覆う。このフィルタは、固体異物および気泡を除去するようにサイズ決めされる。上で論じられたように、圧縮可能な気泡はノズルの動作を妨げ得る。
【0112】
放出口弁は、縦樋襟部216につながる、蓋21の下側の導管52に連結する。インク貯蔵組立体21が主要本体20の中へ配置されるとき、襟部216は、縦樋30の端部上のOリング封止体29に被さって封止する。
【0113】
上板47は、弁挿入体49を定位置に保持するために蓋21の下側に取り付けられる。下板48は、襟部57と、蓋21の下側から延びる4本の支柱19の内側縁との内部で滑動する。板48は、バッグ46が満杯になって拡張するとき、支柱19を滑り下りる。逆に、その板は、バッグ46が空になるとき蓋21に向かって滑り戻る。バッグ46の長さは、下板48が保持棒55に達する前に、この板の移動を制限する。一定の力のばね54が、この板48を保持棒55に向かって偏倚するために、保持棒55と埋込みペグ53との間に延びる。次に、このような偏倚は、バッグ46を偏倚して拡張させ、それによってバッグ内部のインクを負の圧力に維持する。これは、インクが印字ヘッドノズルから漏出するのを回避する。
【0114】
バッグ締付け器
各インク貯蔵モジュール45は、各補充動作後にインク中の負の圧力を再確立するためにバッグ締付け器43を有する。締付け器43は、支柱19の端部に当接する下方襟部57を有し、保持棒55によって定位置に保持される。下板48は、インクバッグ46が空になるとき下方襟部57の内部を上に向かって滑動する。4枚の曲がりパネル58が、下方襟部57から上方襟部59まで上向きに延びる。パネル58は、僅かに内向きに曲がる。インク補充ユニット(下で説明される)は、4つの締付け器駆動部を有する。補充がカートリッジユニットと合体するとき、締付け器駆動部は、上方襟部59を下方襟部57に向かって押すように蓋21の中の開口60を貫通する。これは、バッグ46の各側面を圧迫するように、パネル58の内向きの曲がりをさらに引き起こす。
【0115】
補充中、インクバッグ46中の負の圧力はインクを補充ユニットから抜き出す。この負の圧力は、下板48を保持棒55に向かって偏倚する一定の力のばね54によって生成される。インクバッグが満杯になるとき、負の圧力は消滅する。インクバッグ46中の負の圧力が存在しないと、インクがノズルから漏出する恐れがある。負の圧力は、補充ニットがカートリッジから取り外されるとき、バッグ46の中に再確立される。4つの締付け器駆動部が蓋21の中の開口60を通って後退するとき、曲がりパネル58は、上方襟部59を上板部材47に向かって押し戻すことができる。パネル58は、これらがバッグ46の側面をそれほど圧迫している状態ではないように真っ直ぐになる。これはバッグ46を僅かに膨らませ、注入口弁16が閉ざされるとき、バッグの容積が僅かに増大して負の圧力を回復する。
【0116】
印字ヘッド組立体
印字ヘッド組立体22が図15から18にさらに詳細に示されており、インクを放出口成形部27(図10)から受け取るように主要本体20の下側に装着されるように適合される。
【0117】
印字ヘッド組立体22は、支柱26間で主要本体20の下方に延びるように構成される細長い上方部材62を一般に備える。複数のU字形クリップ63が上方部材62から突出する。これらは、剛性板34の中に設けられた凹部37を貫通し、印字ヘッド組立体22を固定するために、主要本体20の中に形成されたラグ(図示せず)によって捕捉される。
【0118】
上方要素62は、印字ヘッド組立体22が主要本体20に固定するとき、放出口成形部27の中の放出口内部に受け入れられる複数の供給管64を有する。供給管64には、インク漏出に対する防護のために外部被覆が設けられてもよい。
【0119】
上方部材62は、幾つもの利点をもたらす液晶重合体(LCP)から作製される。この部材は、その熱膨張係数(CTE)がシリコンの熱膨張率と同様であるように成形され得る。印字ヘッド集積回路74(下で論じられる)および下に横たわる成形部におけるCTEの大きな差は、構造全体の曲がりを引き起こし得ることが理解されよう。しかし、成形方向におけるLCPのCTEが、非成形方向におけるCTEよりも遙かに小さいとき(〜20ppm/℃に比べて〜5ppm/℃)、LCP成形部の成形方向が、印字ヘッド集積回路(IC)74の長手方向の広がりと一方向であることを保証するために注意が払われねばならない。LCPはまた、ポリカボネート、スチレン、ナイロン、PET、およびポリプロピレンなどの「通常のプラスチック」の弾性率の典型的には5倍の弾性率を有する相対的に高い剛性を有する。
【0120】
図16に最も適切に示されているように、上方部材62は、接着薄膜66によってこの構造に接着される下方部材65を受け入れるための開口流路構造を有する。下方部材65もLCPから作製され、その長さに沿って形成された複数のインク流路67を有する。各インク流路67は、インクを供給管64の1つから受け取り、そのインクを印字ヘッド組立体22の長さに沿って分配する。これらの流路は1mm幅であり、0.75mmの厚さの壁によって分離される。
【0121】
図示の実施形態では、下方部材65は、その長さに沿って延びる5本の流路67を有する。各流路67は、異なる色のインクを混合する危険を低下させるために、インクを5本の供給管64の1本のみから受け取り、次に、この供給管はインクをインク貯蔵モジュール45(図10参照)の1個から受け取る。この点に関して、接着薄膜66はまた、下方部材65が上方部材62に組み付けられるとき、インクの交差流路混合を防止するために個々のインク流路67を封止するように働く。
【0122】
各流路67の底には、下方部材65の底表面中に5つの横列の穴69を設けるために一連の等間隔穴69(図17で最も適切に理解される)が存在する。穴69の中心横列は、印字ヘッドIC 74の直ぐ上方で、下方部材65の中心線に沿って延びる。図22Aで最も適切に理解されるように、中心横列の両側にある穴69の他の横列は、インクが印字ヘッドIC 74に供給され得るように、各穴69から中心に達する導管70を必要とする。
【0123】
図18を参照すると、印字ヘッドIC 74が、重合体封止薄膜71によって下方部材65の下側に取り付けられる。この薄膜は、PETまたはポリサルホン薄膜などの熱可塑性薄膜でもよいし、またはそれはエーエル テクノロジーズ社(AL technologies)およびロジャーズ コーポレーション社(Rogers Corporation)によって製造されたものなど、熱硬化性の薄膜の形態にあってもよい。重合体封止薄膜71は、中心薄膜の両側に接着層を有する積層板であり、下方部材65の下側に積層される。図17、22A、および22Bに示されているように、複数の穴72が、印字ヘッドIC 74と流路67との間を流体連通するために、中心に配置されたインク送達点(穴69の中心の横列および導管70の端部)と一致するように接着薄膜71を貫通してレーザ穿孔される。
【0124】
重合体封止薄膜71の厚さは、それが設けるインク封止体の有効性にとって重大である。図21から22Bで最も適切に理解されるように、重合体封止薄膜は、印字ヘッドIC 74の裏側のエッチングされた流路77ばかりでなく、薄膜の他方側の導管70も封止する。しかし、薄膜71が導管70の開放端を横切って封止するとき、その薄膜もまた膨らんだりまたは導管の中へ落ち込んだりし得る。導管70の中へ落ち込む薄膜の区間は、印字ヘッドIC 74中の幾本かのエッチングされた流路77を横切って延びる。この落ち込みは、エッチングされた流路77のそれぞれを分離する壁間に間隙をもたらし得る。明白なことであるが、これは封止体を破り、インクが印字ヘッドIC 74からおよび/またはエッチングされた流路77間から漏出することを許す。
【0125】
これに対して防護するために、重合体封止薄膜71は、導管70の中へ落ち込むことを考慮し、他方ではエッチングされた流路77全体にわたって封止体を維持するほどに十分な厚さであるべきである。重合体封止薄膜71の最小限度の厚さは、
1. 薄膜が落ち込む導管の幅と、
2. 薄膜の積層板構造中の接着層の厚さと、
3. 印字ヘッドIC 74が接着層の中へ押し込まれているときの接着層の「剛性」と、
4. 積層板の中心薄膜材料の弾性率とに依存することになる。
【0126】
25ミクロンの重合体封止薄膜71の厚さが、図示された印字ヘッド組立体22に適切である。しかし、厚さが50、100、または200ミクロンにさえ達するまで増大すると、それに対応して、設けられた封止体の信頼性が増大することになる。
【0127】
インク送達注入口73が、印字ヘッドIC 74の「前」表面中に形成される。注入口73は、これらの注入口に位置決めされた各々のノズル801(図23から36を参照して下で説明される)にインクを供給する。インクは、それぞれのおよびすべての個々の注入口73にインクを供給するようにICに送達されねばならない。したがって、個々の印字ヘッドIC 74の内部の注入口73は、インク供給の複雑さおよび配線の複雑さを軽減するために物理的にグループ分けされる。それらはまた、電力消費を最小化しかつ様々な印刷速度を可能とするために論理的にもグループ分けされる。
【0128】
各印字ヘッドIC 74は、5つの異なるインクの色(C、M、Y、K、およびIR)を受け取りかつ印刷するように構成され、色毎に1280個のインク注入口を含み、これらのノズルが偶数および奇数ノズル(それぞれに640個)に分割されている。各色用の偶数および奇数ノズルが、印字ヘッドIC 74上の異なる横列に設けられ、真の1600dpi印刷を実行するように垂直に位置合わせされており、つまりは、ノズル801が、図19に明確に示されているように、10個の横列で配置されている。単一の横列の2つの隣接するノズル801間の水平距離は31.75ミクロンであり、他方でノズルの横列間の垂直距離は、ノズルの発射順序に基づくが、横列は、典型的にはドット線の厳密な数に加えて、用紙が横列発射時の間に移動する距離に対応するドット線の数分の1ほどだけ分離される。同様に、所与の色に関するノズルの偶数および奇数横列は、下で説明されるように、それらがインク流路を共有し得るようになっていなければならない。
【0129】
先に暗示されたように、本発明は、ページ幅印刷に関し、したがって印字ヘッドIC 74は、印字ヘッド組立体22の幅に差し渡して水平に延びるように配置される。これを実現するために、個々の印字ヘッドIC 74は、図16および17に示されているように、接着層71の表面全体にわたって当接配置で互いに結合される。印字ヘッドIC 74は、接着層の融点を超えてICを加熱することによって重合体封止薄膜71に付着されることが可能であり、次いでそれらを封止体薄膜71の中に圧入するか、またはそれらを薄膜の中に圧入する前にレーザによってICの下の接着層を融解する。別のオプションは、ICを薄膜71の中へ圧入する前に、IC(接着剤の融点を超えない)および接着層を両方とも加熱することである。
【0130】
個々の印字ヘッドIC 74の長さは、約20〜22mmである。A4/米国手紙サイズのページを印刷するために、11〜12個の個々の印字ヘッドIC 74が連続して相互に結合される。個々の印字ヘッドIC 74の数は、他の幅の用紙に適応するように変更されてもよい。
【0131】
印字ヘッドIC 74は、様々な方式で互いに結合され得る。IC 74を結合する1つの特定の様式が、図20に示されている。この配置では、IC 74の端部が、互いに結合してICの水平な線を形成するように形作られ、隣接するIC間に垂直のずれは存在しない。実質的に45°の角度を有する傾斜接合部がIC間に設けられる。この接合縁は、直線的ではなく、位置決めを容易にするために鋸歯の外形を有し、IC 74は、接合縁に垂直に測定して約11ミクロン離間されることが企図されている。この配置では、各横列の最も左のインク送達ノズル73が、10ラインピッチだけ下げられ、三角形構成で配置される。この配置は、接合部で、ある程度のノズルの重なりを与え、インクの液滴が印刷区域に沿って安定的に送達されることを保証するためにノズルのピッチを維持する。この配置はまた、十分な結合を確保するために、より多くのシリコンがIC 74の縁に設けられることを保証する。ノズルの動作の制御がSoPEC装置(本明細書の後段で論じられる)によって実行される一方で、ノズルに対する補正が印字ヘッドの中で実行されてもよいし、または、貯蔵要件に応じてSoPEC装置によって実行されてもよい。この点に関して、IC 74の一端に配置されたノズルの下げられた三角形配置は、最小限の印字ヘッド上の貯蔵要件を与えることが理解されよう。しかし、貯蔵要件の重要性がより低い場合には、三角形以外の形状が使用され得るが、例えば、下げられた横列が台形の形態を取ってもよい。
【0132】
印字ヘッドICの上表面には、その縁に沿って、SoPEC装置からノズル73の動作を制御するためにデータまたは電力を受け取る手段を提供する幾つもの接着パッド75が設けられている。IC 74を接着層71の表面上に適正に位置決めし、かつIC 74が接着層71の中に形成された穴72と適正に位置合わせするように、これらのICを位置合わせする際の補助のために、基準76もIC 74の表面上に設けられる。基準76は、隣接するICおよび接着層71の表面に対してIC 74の真の位置を示すための適切な位置決め機器によって容易に識別可能であり、かつIC 74の縁におよび接着層71の長さに沿って有利に位置決めされる標識の形態にある。
【0133】
重合体封止薄膜71の中に形成された穴72からインクを受け取り、そのインクをインク注入口73に分配するために、各印字ヘッドIC 74の下側が図21に示されたように構成される。幾つものエッチングされた流路77が設けられ、各流路77が、1つの特定の色または種類のインクの送達専用の注入口73の1対の横列と流体連通している。流路77は、重合体封止薄膜71の中の穴72の幅と均等である約80ミクロン幅であり、かつIC 74の長さにわたって延びる。
【0134】
流路77は、シリコンブリッジまたは壁78によって区間に分割されるが、それらは印字ヘッドICに、長手流路77に対して横方向の追加的な強度を与える。シリコン壁78間の流路77の各区間は、それらの各々の注入口73を経由して約128個のノズル801(64個のノズル対)を補給する。
【0135】
流路77は、印字ヘッドIC 74の厚さに応じて、約100から200ミクロンの深さを典型的に有し、注入口73の対になった横列と出会うが、各注入口は約20ミクロンの深さを有する。注入口73は、約14×28ミクロンの幅/長さ寸法を有し、インクを各々のノズル801に供給する。注入口73は、印字ヘッドIC 74の裏側で相対的に広い流路77の中へ開くので、印字ヘッドIC 74と下方部材65との間に中間的な微小成形部の必要がない。流路77は、接着層71中のレーザ穿孔72を経由してインクを下方部材65の放出口から受け取るのに適切な寸法を有する。
【0136】
しかも、流路77の配置は、これらの流路を画定するために使用される裏面エッチング処理を簡素化する。使用された印字ヘッド製造過程では、注入口73は、ウェーハの表側からエッチングされ、次いでフォトレジストが詰められる。次に、ノズル801が、MEMS技法によって詰められた注入口に形成される。表側にノズル801が作製された後で、インク供給流路が、詰められた注入口と出会うようにウェーハの裏面からエッチングされる。最後に、フォトレジストの詰め物が灰化されて除去され、それによって表側ノズルと裏面インク供給流路との間を流体連通させる(印字ヘッドIC製造過程のさらに詳細な説明に関しては、本出願人の同時係属であり、参照によりその内容が本明細書に組み込まれる米国特許出願第10/728970号明細書および第10/3022742号明細書を参照されたい)。
【0137】
裏面エッチングには、各ノズルからインク供給流路までの流体連通を確保するために注入口73との正確な位置合わせが必要であることが理解されよう。従来、各注入口73は、裏面からエッチングされた注入口と同様の幅/長さ寸法の個々のインク供給流路を有していた。これは、高度に異方性のエッチング処理を維持する点で、および各注入口73との正確な位置合わせを実現する点で、裏面エッチング処理に対してかなり厳しい要求を課した。
【0138】
図21に示された裏面流路配置は、従来の個別化された流路配置を凌ぐ幾つかの利点を有する。1つの利点は、流路77のエッチング時における表側と裏面との間の位置合わせ精度が、各注入口に対して個々のインク供給流路を有する配置よりも厳しくないことである。別の利点は、インクを注入口73の対になった横列に供給する各流路77が、裏面エッチング処理に対する要求がより少ない相対的に低い縦横比を有することである。縦横比は、流路深さと流路幅との比として定義され、典型的には3:1未満または2:1未満である。低い縦横比は、より迅速なエッチング速度という追加的な利点を暗示し、かつ特化された異方性エッチング条件に対する必要性を潜在的に軽減し、それがさらにエッチング速度を上昇させる。さらには、低い縦横比は、注入口73を詰めるために使用されるフォトレジストの上に蓄積し得る電荷の散逸を許容する。このような電荷を散逸することによって、裏面エッチング最前部が詰められた注入口73と出会うとき、エッチフレアリング(等方性エッチング)が回避される。このようなエッチフレアリングは問題が多く、インク供給流路中に望ましくないスパイク突起をもたらし得る。
【0139】
図22Bは、どのようにインクが、ノズル73に供給するために、IC 74の下側の中に形成されたエッチング流路77に供給されるかをさらに明白に示す。図示されたように、重合体封止薄膜71を貫通して形成された穴72が、シリコン壁78が流路77を区間に分割する箇所で、流路77の1つに位置合わせされる。穴72は幅が約80ミクロンであり、その幅は、1つの穴72がインクを流路77の2つの区間に供給するように、流路77の幅と実質的に同じである。これは、重合体封止薄膜71の中に必要とされる穴72の密度を半減させることが理解されよう。
【0140】
各印字ヘッドIC 74を重合体封止薄膜71の表面に装着しかつ位置合わせすることに続いて、可撓PCB 79(図18参照)が、ノズル801を制御しかつ動作させるために制御信号および電力を接合パッド75に供給され得るように、IC 74の縁に沿って装着される。図15にさらに詳細に示されているように、可撓PCB 79は、印字ヘッド組立体22から延びて、印字ヘッド組立体22の周囲で折り曲げられる。
【0141】
可撓PCB 79はまた、受け取られた電力およびデータ信号を制御するために、その長さに沿って配置された複数の減結合コンデンサ81も有し得る。図16に最も適切に示されたように、可撓PCB 79は、架台ユニット12の制御回路から電力およびまたはデータ信号を受け取るために、その長さに沿って形成された複数の電気接点180を有する。複数の穴80も可撓PCB 79の遠位縁に沿って形成され、これらの穴は、可撓PCBを主要本体20の剛性板34の突縁部分40に装着する手段を設ける。可撓PCB 79の電気接点が架台ユニット12の電力およびデータ接点に接触する様態は、後段で説明される。
【0142】
図18に示されているように、媒体遮蔽体82が、通過する媒体と接触することによって生じ得る損傷から印字ヘッドIC 74を保護する。媒体遮蔽体82は、適切なクリップ固締配置または接着剤によって印字ヘッドIC 74の上流で上方部材62に装着される。このような様態で装着されるとき、印字ヘッドIC 74は、通過する媒体の経路から外れた、媒体遮蔽体82の表面の下方に位置する。
【0143】
空間83が、媒体遮蔽体82と上方62および下方65部材との間に設けられ、この空間は、空気圧縮機または同様物から圧縮された空気を収容し得る。この空間83は、印字ヘッド組立体22の長さに沿って延びるので、圧縮された空気は、印字ヘッド組立体22の両端から空間83に供給され、かつこの組立体に沿って均一に分配され得る。媒体遮蔽体82の内表面には、媒体遮蔽体82の長さに沿って均一に分配された複数の排気口を画定する一連のフィン84が設けられるが、この遮蔽体を通過して、圧縮された空気が流れ、かつ媒体送達方向へ印字ヘッドIC 74を横切って誘導される。この配置は、媒体と一緒に運ばれた粉塵および他の粒子物質(ノズルを詰まらせかつ損傷し得る)が印字ヘッドICの表面上に付着するのを防止する役目をする。
【0144】
インク送達ノズル
ここで、図23から32を参照して、ノズルおよび対応する駆動部を備える、本発明に適切な種類のインク送達ノズル配置の一実施例が説明される。図32は、シリコン基板8015の上に形成されたインク送達ノズル配置801のアレイを示す。各ノズル配置801は同一であるが、ノズル配置801のグループが、異なる色のインクまたは固定剤が供給されるように配置される。この点に関して、ノズル配置は横列で配置され、かつ相互に対して千鳥に配列されて、ノズルの単一横列によって可能であるよりも、印刷中のインクドットのより近接した隙間を可能とする。このような配置は高いノズル密度を設けることを可能とし、例えば、5000個を超えるノズルが複数の千鳥配列された横列で配列されて、それぞれが、各横列中のノズル間で約32ミクロンおよび隣接する横列間で約80ミクロンの隙間を有する。多横列は冗長(所望であれば)も見込み、それによって1個のノズル当たりの所定の故障率を見込む。
【0145】
各ノズル配置801は、集積回路製造技法の産物である。特に、ノズル配置801は微小電子機械システム(MEMS)を画定する。
【0146】
説明を明瞭にしかつ容易にするために、図23から31を参照して、単一のノズル配置801の構造および動作が説明される。
【0147】
インクジェット印字ヘッド集積回路74はシリコンウェーハ基板8015を有し、その上に0.35ミクロンの1 P4M 12ボルトCMOS超小型演算処理電子素子が位置決めされている。
【0148】
二酸化珪素(または別法としてガラス)層8017が、基板8015の上に位置決めされる。二酸化珪素層8017はCMOS誘電体層を画定する。CMOS最上位金属が、二酸化珪素層8017の上に位置決めされた、1対の位置合わせされたアルミニウム電極接点層8030を画定する。シリコンウェーハ基板8015および二酸化珪素層8017は共に、概ね円形の断面(平面図で)を有するインク注入口流路8014を画定するようにエッチングされる。CMOS金属1、CMOS金属2/3、およびCMOS最上位金属のアルミニウム拡散障壁8028が、インク注入口流路8014周りの二酸化珪素層8017の中に位置決めされる。拡散障壁8028は、水酸基イオンが駆動電子素子層8017のCMOS酸化物層を通って拡散するのを阻止する役目をする。
【0149】
窒化珪素の層8031の形態にある不活性化層が、アルミニウム接点層8030および二酸化珪素層8017の上に位置決めされる。接点層8030の上に位置決めされた不活性化層8031の各部分は、接点8030に対するアクセスを設けるために、内部に開口8032が画定されている。
【0150】
ノズル配置801は、環状ノズル壁8033によって画定されたノズルチャンバ8029を含み、このノズル壁は、ノズルルーフ8034の中の上端および平面図では円形である径方向の内部ノズルリム804で終端する。インク注入口流路8014は、ノズルチャンバ8029と流体連通している。ノズル壁の下端には、移動封止体リップ8040を含む移動リム8010が配置されている。周囲壁8038が、可動ノズルを包囲し、かつ、図26に示されているようにノズルが休止しているとき、移動リム8010に隣接する静止封止体リップ8039を含む。流体封止体8011が、静止封止体リップ8039と移動封止体リップ8040との間に閉じ込められたインクの表面張力により形成される。これは、チャンバからのインクの漏出を防止し、他方で周囲壁8038とノズル壁8033との間に小さい抵抗結合をもたらす。
【0151】
図30に最も適切に示されているように、径方向に延びる複数の凹部8035が、ノズルリム804周りにルーフ8034の中に画定される。これらの凹部8035は、インクがノズルリム804を通過して逃げる結果としての径方向のインク流を封じ込める役目をする。
【0152】
ノズル壁8033は、窒化珪素の層8031に装着された基部8037を備える、概ねU字形の外形を有する担持体8036に取り付けられているレバー配置の一部を形成する。
【0153】
このレバー配置はまた、ノズル壁から延びて、横方向剛化梁8022を組み込むレバーアーム8018も含む。レバーアーム8018は、窒化チタン(TiN)から形成されており、図26および31に最も適切に示されているように、ノズル配置の両側に位置決めされた1対の受動梁806に装着される。受動梁806の他端は担持体8036に装着される。
【0154】
レバーアーム8018はまた、TiNから形成された駆動部梁807にも装着される。このような駆動梁への装着は、受動梁806への装着部よりも高い、小さいが重要な距離を置いた箇所で行われることに留意される。
【0155】
図23および29に最も適切に示されているように、駆動部梁807は、平面図では実質的にU字形状であり、電極809と対向する電極8041との間の電流経路を画定する。電極809および8041のそれぞれは、接点層8030中の各々の点に電気接続される。駆動部梁はまた、接点809を経由して電気接続されるばかりでなく、アンカ808に機械的に繋止される。アンカ808は、ノズル配置が動作中であるとき、図26から28の左側への駆動部梁807の動きを拘束するように構成される。
【0156】
駆動部梁807中のTiNは導電性であるが、それは、電流が電極809と8041との間に流されるとき、自己加熱を経るのに十分な高い電気抵抗を有する。電流が受動梁806を通って流れることはなく、したがってこれらの梁は膨張しない。
【0157】
使用に際して、休止中の本装置には、表面張力の作用下でメニスカス803を画定するインク8013が充填される。インクは、メニスカスによってチャンバ8029の中に保持され、何らかの他の物理的作用が存在しなければ一般的に漏れ出すことはない。
【0158】
図24に示されているように、インクをノズルから発射するために、駆動部梁807を通過する電流が、接点809と8041との間に流される。その抵抗による梁807の自己加熱が、梁を膨張させる。駆動部梁807の寸法および設計は、膨張の大部分が図23から25に関して水平方向であることを意味する。この膨張は、アンカ808によって左が拘束され、したがって、レバーアーム8018に隣接する駆動部梁807の端部が右に押しやられる。
【0159】
受動梁806の相対的な水平方向の剛直性は、これらの梁が、レバーアーム8018を水平方向へ大きく変位させることを防止する。しかし、受動梁および駆動部梁のレバーアームへの各取り付け点の相対的な変位が、レバーアーム8018を概ね下向きに移動させる捻り移動を引き起こす。このような移動は、事実上、枢動式またはヒンジ式の移動である。しかし、真の枢軸点が存在しないことは、回転が受動梁806の曲がりによって画定された枢軸領域付近であることを意味する。
【0160】
レバーアーム8018の下向き移動(および僅かな回転)は、受動梁806からノズル壁8033までの距離によって増幅される。ノズル壁およびルーフの下向き移動は、チャンバ8029の内部の圧力増大を引き起こし、メニスカスを図24に示されたように膨らませる。インクの表面張力は、このような移動によって、流体封止体8011が、インクを漏出させることなく伸ばされることを意味することに留意されよう。
【0161】
図25に示されているように、適切な時点で、駆動電流が停止され、かつ駆動部梁807は急速に冷却して収縮する。この収縮は、レバーアームに、その静止位置への戻りを開始させ、それによって、次にはチャンバ8029の中の圧力の低下をもたらす。膨らむインクおよびその固有の表面張力の運動量と、ノズルチャンバ8029の上向き移動によって引き起こされた負の圧力との相互作用は、隣接する印刷媒体に接触するまで上昇を続けるインク液滴802を画定するように、膨らむメニスカスの薄化、および最終的な跳ね出しを引き起こす。
【0162】
液滴802が分離した直後、メニスカス803は、図25に示された凹形状を形成する。表面張力は、インクが注入口8014を通って上向きに吸い込まれてしまい、それによってノズル配置およびインクを図23に示された静止状態に戻すまで、チャンバ8029の中の圧力を相対的に低い状態に留まらせる。
【0163】
ここで、本発明に適切な印字ヘッドノズル配置の別の種類が図33を参照して説明される。再び、説明の明瞭さおよび容易さのために、単一のノズル配置1001の構造および動作が説明される。
【0164】
ノズル配置1001は、気泡を形成する加熱器要素駆動部型であり、内部にノズル1003を有するノズル板1002を備え、このノズルはノズルリム1004と、このノズル板を貫通する開口1005とを有する。ノズル板1002は窒化シリコン構造からプラズマエッチングされるが、この構造は、引き続きエッチングされる犠牲材料の上に化学蒸着法(CVD)によって堆積される。
【0165】
このノズル配置は、各ノズル1003に関して、ノズル板が支持されている側壁1006と、壁およびノズル板1002によって画定されるチャンバ1007と、多層基板1008と、多層基板を貫通してこの基板の遠面(図示せず)に達する注入口通路1009とを含む。輪状の細長い加熱器要素1010がチャンバ1007の内部に懸架されており、この要素は懸架梁の形態にあるようになっている。図示されたノズル配置は、リソグラフィ処理によって形成される微小電子機械システム(MEMS)構造である。
【0166】
ノズル配置が使用されているとき、貯槽(図示せず)からのインク1011は、注入口通路1009を経由してチャンバ1007に進入して、このチャンバを充填するようになっている。その後で、1マイクロ秒を少し下回る間、加熱器要素1010が加熱されるが、この加熱は熱パルスの形態にある。加熱器要素1010は、この要素が加熱されるとき、それによってインクの中に蒸気気泡を生成させるように、チャンバ1007の中のインク1011と熱接触していることが理解されよう。したがって、インク1011は気泡形成液を構成する。
【0167】
気泡1012は、一旦生成されると、チャンバ1007の内部の圧力を増大させ、それによって、次にノズル1003を介してインク1011の液滴1016を噴射させる。リム1004は、液滴の誤誘導の機会を最小化するために、液滴1016が噴射されるとき、その誘導を補助する。
【0168】
1つの注入口通路1009当たり唯一のノズル1003およびチャンバ1007が存在する理由は、要素1010の加熱および気泡1012の形成時に、チャンバの内部で生成された圧力波が、隣接するチャンバおよびそれに対応するノズルに影響を与えないようになっているためである。
【0169】
チャンバ1007内部の圧力の増大は、ノズル1003を介してインク1011を押し出すばかりでなく、注入口通路1009を介して多少のインクを押し戻す。しかし、注入口通路1009は、長さが約200から300ミクロンであり、直径が約16ミクロンにすぎない。したがって、実質的に粘性抗力が存在する。その結果、チャンバ1007中の圧力上昇の支配的な効果は、注入口通路1009を介してインクを戻すのではなく、ノズル1003を介して、噴射された液滴1016としてインクを強制的に押し出すことである。
【0170】
図33に示されているように、インク液滴1016が噴射されているところが、液滴がちぎれる前のその「くびれ局面」時において示されている。この段階では、気泡1012は、既にその最大サイズに達しており、次に崩壊点1017に向かって崩壊し始めている。
【0171】
崩壊点1017に向かって気泡1012が崩壊していくと、多少のインク1011がノズル1003の内部から(液滴の側面1018から)引き込まれ、かつ多少のインクが注入口通路1009から崩壊点に向かって引き込まれることが生じる。このような様態で引き込まれたインク1011の殆どは、ノズル1003から引き込まれ、液滴1016がちぎれる前に、この液滴の基部に環状の首1019を形成する。
【0172】
液滴1016は、ちぎれるためには、表面張力の力に打ち勝つためのある一定の運動量を必要とする。インク1011が気泡1012の崩壊によってノズル1003から引き出されるとき、液滴がノズルから放出されるときの液滴の運動量が液滴のちぎれを許容するのに十分であるように、首1019の直径が減少し、それによって液滴を保持する表面張力の総量を減少させる。
【0173】
液滴1016がちぎれるとき、気泡1012が崩壊点1017に向かって崩壊していくと、矢印1020によって示された空洞現象力が引き起こされる。空洞現象が影響を及ぼす崩壊点1017の近傍には堅固な表面は存在しないことに留意されよう。
【0174】
ここで、本発明に適切な印字ヘッドノズル配置のさらに別の種類が図34〜36を参照して説明される。この種類は、インクを内蔵するノズルチャンバを有するインク送達ノズル配置と、チャンバ内部に位置決めされたパドルに連結された熱曲げ駆動部とを典型的に設ける。熱駆動部装置は、インクをノズルチャンバから噴射するように駆動される。好ましい本実施形態は、導電性トレースを導電加熱するための一連のテーパ付き部分を含む特定の熱曲げ駆動部を含む。この駆動部は、ノズルチャンバの溝穴付き壁に通して収容されたアームによってパドルに連結される。この駆動部アームは、ノズルチャンバ壁中の溝穴の表面と実質的に嵌め合うように嵌め合い形状を有する。
【0175】
最初に図34(a)〜(c)に注目すると、本実施形態のノズル配置の基本的な動作の模式図が提供されている。ノズルチャンバ501には、ノズルチャンバ501が上に位置するウェーハ基板を貫通してエッチングされ得るインク注入口流路503によって、インク502が充填されている。ノズルチャンバ501は、インクのメニスカスが周囲に生じるインク噴射口504をさらに含む。
【0176】
ノズルチャンバ501の内側に、ノズルチャンバ501の壁中の溝穴に通して駆動部508が相互連結されるパドル型装置507が存在する。この駆動部508は、支柱510の端部に隣接して配置された加熱器手段、例えば、509を含む。支柱510は基板に固定される。
【0177】
液滴をノズルチャンバ501から噴射することが所望されるとき、図34(b)に例示されたように、加熱器手段509が、熱膨張を経るように加熱される。好ましくは、加熱器手段509自体または駆動部508の他の部分は、高い曲げ効率を有する材料から構築されるが、その場合に曲げ効率は次にように定義される。
曲げ効率=(ヤング係数×(熱膨張率))/(密度×比熱容量)
加熱器要素に適切な材料は、ガラス材料を曲げるように構成され得る銅ニッケル合金である。
【0178】
加熱器手段509は、支柱510付近の小さい熱膨張がパドル端の大きな動きをもたらすように駆動作用がパドル端507で拡大されるように、支柱510の端部に隣接して理想的に配置される。
【0179】
加熱器手段509およびそれによって引き起こされるパドルの動きは、図34(b)に例示されたように、急速な様態で膨張するインクのメニスカス505の周囲の圧力増大を引き起こす。加熱器電流はパルス式であり、インクは、インク流路503からの流入に加えて、口504から噴射される。
【0180】
引き続いて、パドル507が、その静止位置に再び戻るように動作停止される。動作停止は、一般に、インクをノズルチャンバの中へ再流入させる。ノズルリム外側のインクの前向き運動量と、それに対応する逆流とが、一般に、印刷媒体に向かって進む液滴512のくびれおよびちぎれをもたらす。崩壊したメニスカス505は、一般に、インク流の流路503を経由してインクをノズルチャンバ502の中へ吸い込む。遅れることなく、ノズルチャンバ501は、図34(a)の位置に再び達するように補充され、引き続いて、ノズルチャンバはインクの別の液滴を噴射する準備が整う。
【0181】
図35は、ノズル配置の側方斜視図を例示する。図36は、図35のノズル配置のアレイを通る断面図を例示する。これらの図では、先に導入された要素の数字付けが保持されている。
【0182】
最初に、駆動部508は、窒化チタン層517の頂部に形成された上方ガラス部分(非晶質二酸化珪素)516を含む一連のテーパ付き駆動部ユニット、例えば、515を含む。別法として、より高い曲げ効率を有する銅ニッケル合金層(以後キュプロニッケルと呼ばれる)が使用され得る。
【0183】
窒化チタン層517はテーパ付き形態にあり、したがって、抵抗性加熱が支柱510の端部付近に生じる。隣接する窒化チタン/ガラス部分515が、駆動部508に機械的な構造支持体も設けるブロック部分519で相互連結される。
【0184】
加熱器手段509は、加熱時に、駆動部508の軸に沿って発揮される曲げ力が最大化されるように、細長で離間された複数のテーパ付き駆動部ユニット515を理想的に含む。溝穴が、隣接するテーパ付きユニット515の間に画定され、各駆動部508が隣接する駆動部508に対して僅かに差異的に動作することを可能とする。
【0185】
ブロック部分519はアーム520に相互連結される。次に、アーム520は、ノズルチャンバ501の内側に形成された溝穴、例えば、522によって、ノズルチャンバ501の内側のパドル507に連結される。溝穴522は、一般に、アーム520の周囲のインクが流出する機会を最小化するようにアーム520の表面と嵌り合うように設計される。インクは、一般に、溝穴522の周囲の表面張力作用によってノズルチャンバ501の内部に保持される。
【0186】
アーム520を駆動することが所望されるとき、導電電流が、ノズル配置に必要な電力および制御回路を設ける下方CMOS層506に接続するブロック部分519の内部の窒化チタン層517を通って流される。この導電電流は、一般に、アーム20の上向きの曲がりをもたらし、その結果としてインクがノズル504から噴射されることをもたらす、支柱510に隣接する窒化物層517の加熱をもたらす。噴射された液滴は、先に説明されたように、インクジェットプリンタ用に通常の様態でページに印刷される。
【0187】
ノズル配置のアレイが、単一の印字ヘッドを創出するように形成され得る。例えば、図36には、印字ヘッドのアレイを形成するように交互配置で配列された多インク噴射ノズル配置を備える、一部が切断された様々なアレイの図が例示されている。当然のことであるが、全色アレイ等を含めて、アレイの異なる種類が考案され得る。
【0188】
説明された印字ヘッドシステムの構造は、「Image Creation Method and Apparatus(IJ41)」と題され、その内容が相互参照により完全に組み込まれる米国特許第6243113号に記載されたステップを適切に変更することにより、標準的なMEMS技法を利用して進展し得る。
【0189】
集積回路74は、この集積回路の長さおよび必要とされる所望の印刷特性に応じて、その表面に沿って配置された、上に説明のインク送達ノズルを5000から100000個の間で有するように配置され得る。例えば、幅の狭い媒体では、所望の印刷結果を実現するために、印字ヘッド組立体の表面に沿って配置された5000個のノズルのみで済ますことが可能であり、他方では、幅の広い媒体では、所望の印刷結果を実現するために、最小限10000、20000、または50000個のノズルが、印字ヘッド組立体の長さに沿って設けられる必要があり得る。A4または米国手紙サイズの媒体上の1600dpiのまたは約1600dpiの全色写真品質画像では、集積回路74は、1色当たり13824個のノズルを有し得る。したがって、印字ヘッド組立体22が4色(C、M、Y、K)で印刷できる場合には、集積回路74は、その表面に沿って配置された約53396個のノズルを有し得る。さらには、印字ヘッド組立体22が6つの印刷流体(C、M、Y、K、IR、および固定剤)を印刷できる場合では、これは、82944個のノズルが集積回路74の表面に設けられることになり得る。このようなすべての配置では、各ノズルに対応する電子素子は同じである。
【0190】
ここで、個々のインク送達ノズル配置が印字ヘッド組立体22の内部で制御され得る様態が図37〜40を参照して説明される。
【0191】
図37は、集積回路74と、印刷機構1の制御電子機器内部に設けられたSoPEC装置(上で論じられた)対するその接続とを全体的に示す。上に論じられたように、集積回路74は、各ノズルを発射するための反復論理回路を内蔵するノズルコアアレイ901と、ノズルを発射するためにタイミング信号を生成するためのノズル制御論理回路902とを含む。ノズル制御論理回路902は、高速リンクを経由してデータをSoPEC装置から受け取る。
【0192】
ノズル制御論理回路902は、電気コネクタの形態にあり得るリンク907を経由して、シリアルデータを印刷用ノズルアレイコアに送信するように構成される。ノズルアレイコア901に関する状態および他の動作情報が、同様に電気コネクタに設けられ得る別のリンク908を経由してノズル制御論理回路902に再び通信される。
【0193】
ノズルアレイコア901は、図38および39にさらに詳細に示される。図38では、ノズルアレイコア901がノズル列911のアレイを含むことが分かる。このアレイは、発射/選択シフトレジスタ912および6色までのチャンネルを含み、これらのそれぞれが対応するドットシフトレジスタ913によって表されている。
【0194】
図39に示されているように、発射/選択シフトレジスタ912は、順方向経路発射シフトレジスタ930、逆方向経路発射シフトレジスタ931、および選択シフトレジスタ932を含む。各ドットシフトレジスタ913は、奇数ドットシフトレジスタ933および偶数ドットシフトレジスタ934を含む。奇数および偶数ドットシフトレジスタ933および934は、データが奇数シフトレジスタ933によって一方向へクロックされ、次いで偶数シフトレジスタ934によって逆方向へクロックされるように、一端が接続される。最終的な偶数ドットシフトレジスタ以外のすべての出力は、多重変換装置935の一方の入力に供給される。この多重変換装置の当該入力は、製造後検査時に信号(コアスキャン)によって選択される。通常の動作では、コアスキャン信号が、多重変換装置935の他方の入力に供給されるドットデータ入力ドット[x]を選択する。これは、各色に関するドット[x]が、各々のドットシフトレジスタ913に供給されることをもたらす。
【0195】
ここで、単一の列Nが図40を参照して説明される。図示された実施形態では、列Nが、6つのドットシフトレジスタのそれぞれに関する奇数データ値936および偶数データ値937を含む12個のデータ値を有する。列Nはまた、順方向発射シフトレジスタ930からの奇数発射値938および逆方向発射シフトレジスタ931からの偶数発射値939を含み、これらの値は入力として多重変換装置940に供給される。多重変換装置940の出力は、選択シフトレジスタ932の中の選択値941によって制御される。この選択値がゼロであるとき、奇数発射値が出力であり、選択値が1であるとき、偶数発射値が出力である。
【0196】
奇数および偶数データ値936および937のそれぞれが、対応する奇数および偶数ドットラッチ942および943の各々に入力として提供される。
【0197】
各ドットラッチおよびその関連するデータ値が、ユニットセル944などのユニットセルを形成する。ユニットセルが、図40にさらに詳細に示されている。ドットラッチ942は、奇数ドットシフトレジスタ933の要素を形成するD型フリップフロップ944によって保持されるデータ値936の出力を受け取るD型フリップフロップである。フリップフロップ944に対するデータ入力が、奇数ドットシフトレジスタの中の先行する要素の出力から提供される(但し、考慮下の要素がシフトレジスタ中の第1の要素ではなく、その場合に、その入力はドット[x]値である)。LsyncLに供給された負のパルスが受け取られると、データがフリップフロップ944の出力からラッチ942の中へクロックされる。
【0198】
ラッチ942の出力は、3入力ANDゲート945に対する入力の1つとして提供される。ANDゲート945に対する他の入力は、Fr信号(多重変換器940の出力からの)およびパルスプロファイル信号Prである。ノズルの発射時間は、パルスプロファイル信号Prによって制御され、かつ、例えば、低電力供給(着脱式電源の実施形態における)により生じる低電圧状況を考慮するために延長され得る。これは、各ノズルが発射されるとき、インクの相対的に一定した量が、そこから効率的に噴射されることを保証することである。説明された実施形態では、プロファイル信号Prは各ドットシフトレジスタに関して同じであり、それによって複雑さ、費用、および性能間の均衡をもたらす。しかし、他の実施形態では、Pr信号は、全体的に印加され得るか(すなわち、すべてのノズルに関して同じである)、または各ユニットセルにまたは各ノズルに対してであっても個々に適応され得る。
【0199】
一旦、データがラッチ942の中へロードされると、発射イネーブルFrおよびパルスプロファイルPr信号がANDゲート945に印加され、論理回路1を内蔵する各ラッチ942に関してインクのドットを噴射するためのノズルをトリガに組み合わせる。
【0200】
各ノズルチャンネルに関する信号は次表に要約される。すなわち、
【表3】
図40に示されているように、現在の列中の1つの色、次の列の次の色、等々の発射を可能にするために、発射信号Frが対角線上に経路指定される。これは、時間遅延様式で現在の要求を6つの列にわたって拡散することによって、それを平均化する。
【0201】
ドットラッチと、様々なシフトレジスタを形成するラッチとは、本実施形態では完全に静的であり、かつCMOS系である。ラッチの設計および構造は、集積回路工学および設計の当業者にはよく知られており、したがって本文書では詳細に説明されない。
【0202】
ノズル速度は、約60ppmで、より高い速度ではそれ以上でも印刷が可能なプリンタユニット2では、20kHzほどであり得る。ノズル速度の当該域では、印字ヘッド組立体22全体によって噴射され得るインク量は、毎秒少なくとも5千万個の液滴である。しかし、より高速でより高い品質の印刷を提供するためにノズルの数が増やされるとき、毎秒少なくとも1億個の液滴、好ましくは毎秒少なくとも5億個の液滴、さらに好ましくは毎秒10億個の液滴が送達され得る。このような速度では、インクの液滴は、ノズルによって、1個の液滴当たり約250ナノジュールの最大液滴噴射エネルギーで噴射される。
【0203】
したがって、これらの速度における印刷に対応するために、制御電子機器は、同じ速度で、ノズルがインクの液滴を噴射すべきかどうかを判断できねばならない。この点に関して、幾つかの場合では、制御電子機器は、ノズルが、毎秒少なくとも5千万回の判断速度で、インクの液滴を噴射するかどうかを判断できねばならない。これは、毎秒少なくとも1億回の判断または毎秒少なくとも5億回の判断に、多くの場合では、より高速かつより高品質の印刷用途では、毎秒少なくとも10億回の判断にまで増加し得る。
【0204】
本発明のプリンタユニット2では、ノズル発射速度および印刷速度と共に、印字ヘッド組立体22に設けられたノズル数の上述の範囲は、毎秒少なくとも50cm2の面積印刷速度をもたらし、印刷速度によっては、毎秒少なくとも100cm2、好ましくは毎秒少なくとも200cm2、より高い速度では、毎秒少なくとも500cm2をもたらすことがさらに好ましい。このような配置は、従来のプリンタユニットでは過去に実現不可能であった速度で媒体の面積を印刷できるプリンタユニット2を提供する。
【0205】
保守組立体
保守組立体23が、図41〜44に詳細に示されており、先に図8で示されたように、この組立体は、印字ヘッド組立体22に隣接して位置決めされるように、主要本体20の支柱26間に取り付けられる。
【0206】
保守組立体23は、一般に組立体の様々な構成要素を内部に収容する保守台座88から成る。保守台座88は、その端部に1対の上向きに延びる舌部分89を有する開放端型流路の形態にあり、この舌部分は、主要本体20の支柱26の上に嵌るように形作られ、保守組立体23を定位置に固定するために、主要本体に設けられた保持突起と係合する。保守台座88は、プレス加工された鋼板などの剛性および弾性を有する適切な金属材料から作製される。
【0207】
保守台座88の基部は、図43により明白に示されており、中心配置除去部分90と、窓部分92と、窓部分92の両側から延びるばねアーム91とを含む。一体型ばねアーム91は、台座88の内側で角度が付けられ、台座の板金をプレス加工することによって形成される。当然のことであるが、このばねアーム91は、台座88の開放流路の中へ配置された別個の挿入体であってもよい。
【0208】
剛性の挿入体93が、保守組立体23に追加された剛性を与えるために台座88の内部に嵌るように設けられる。留め具要素94が、剛性挿入体の基部から突出し、剛性挿入体93が台座88の内部に配置されるとき、台座88の中心配置除去部分90の中へ延びる。留め具要素94は、下で説明されるように、着蓋状態と脱蓋状態との間で保守組立体を移動させるように設けられる。下方保守成形部95が挿入体93の内部に配置され、下方保守成形部95の側面に沿って形成された幾つかの突出物96を挿入体93の側面に沿って設けられた対応する細穴97に係合することによって、挿入体の内部に保持される。下方保守成形部95は、適切なプラスチック材料から作製され、閉鎖端および開放頂部を有する本体を形成する。下方保守成形部93の端部には、通気口98が設けられる。通気口98からの空気は、保守組立体を通気するためにフィルタ181を通過する。
【0209】
2本のピン要素99が、下方保守成形部95の基部から延びる。ピン要素99は、下方保守成形部の基部に対するピン要素99の多方向相対移動を可能とするようにゴムなどの柔軟ウェブによって基部に連結される。ピン要素99は、剛性挿入体93の基部中の2つの円形開口100を貫通して、保守台座88の窓部分92の中に達する。
【0210】
保持体挿入体101が、下方保守成形部95の内部にピン要素99の上で支持される。保持体挿入体101は、被覆された鋼であり、内部に保持された吸収剤媒体102の細片に剛性の支持体を設ける。吸収剤媒体102は、別個の部分(2つの実質的に水平部分の間から上向きに延びる薄い垂直部分)の概ね逆T字形の組立体である。吸収剤媒体102は、ウレタン発泡体または同様物などの、インクを吸収しかつ保持できる任意の種類の材料から作製され得る。
【0211】
マイクロファイバ布地103が、2つの水平部分の周囲で、薄い垂直部分の上に嵌り、次いで、吸収剤媒体102を保持するための保持体挿入体101に付着する。マイクロファイバ布地103は吸収剤媒体102を引き込む。
【0212】
上方保守成形部104が、下方保守成形部95の上に嵌り、これらの間にマイクロファイバ布地103、吸収剤媒体102、および保持体挿入体101を閉じ込める。上方保守成形部104は、その底表面に沿って適切な接着剤によって下方保守成形部95の表面に付着される。上向きに突出するリム部分105が、マイクロファイバ布地103によって覆われた吸収剤媒体102の薄い垂直部分を越えて延びる。リム部分105は、上方保守成形部104が印字ヘッド組立体に蓋をするように接触されるとき、印字ヘッド組立体22のノズルを封止するための開口周辺封止体を画定する。
【0213】
本配置では、上方保守成形部104、マイクロファイバ布地103、吸収剤媒体102、保持体挿入体101、下方保守成形部95、および剛性挿入体93が、保守台座88の内部に嵌るように適合され、かつ台座のばねアームの上で支持される蓋ユニットを形成する。このユニットの内部では、マイクロファイバ布地103、吸収剤媒体102、および保持体挿入体101が、ピン要素99の上で支持され、かつ下方保守成形部95および上方保守成形部104によって画定された空間の内部で可動式のサブユニットを形成する。
【0214】
図41に示されているように、この蓋ユニットは、上方保守成形部104の上に嵌り、かつ台座88に固定する保持体要素106によって定位置に保持される。保持体要素106は、その上表面に沿って形成された溝穴107を有する開放端流路の形態にあり、この溝穴を通って、上方保守成形部104のリム部分105が突き出し、印字ヘッド組立体22に蓋をするように係合し得る。保持体要素106の上表面は湾曲しており、印刷時に媒体案内装置として働く。
【0215】
保守組立体23の構成要素は、このような様態で組み立てられるとき、上方保守成形部104が、印字ヘッド組立体22に蓋をするために保持体要素106に対して移動可能であり、かつマイクロファイバ布地103および吸収剤媒体102が、印字ヘッド組立体22のノズルの表面に接触してそれを拭うために上方保守成形部に対して移動可能であるように、保持体要素106および台座88の内部に収容される。
【0216】
保守組立体23が主要本体20の支柱26に組み付けられかつ装着されると、剛性挿入体の留め具要素94が、台座88の中心除去部分90から延びる。ばねアーム91の作用により、保守ユニット23(先に画定された)は、上方保守成形部104のリム部分105が保持体要素106の溝穴107を貫通し、印字ヘッド組立体22に接触して蓋をするように、台座88の基部から持ち上げられる。この状態が図44に示されており、着蓋状態と呼ばれ、それによって印字ヘッドのノズルは、リム部分105の内部で殆ど閉鎖された環境で封止され、インクが完全に乾燥してインクによって詰まる可能性は低い。この環境は殆ど閉鎖されているが、完全には閉鎖されておらず、したがって、リム15の内部で生成された中程度真空の故に、保守組立体は、脱蓋状態に移動することを妨げられない。
【0217】
印字ヘッド組立体22のノズルの近傍に存在する用紙粉塵または他の粒子物質をいずれも除去するために、印字ヘッドの表面は、マイクロファイバ布地103によって拭き取られ得る。これを実行するために、架台ユニットの中に存在するワイパ駆動部が、台座88の窓部分92の中へ延び、下方保守成形部95の基部の中に設けられたピン要素99に接触する。ワイパ駆動部によってピン99に対して与えられた上向きの力はいずれも、これらのピンを保持体挿入体101に対接してさらに突出させ、それによってマイクロファイバ布地103が被覆されている吸収剤媒体102の垂直部分が、ノズルに近接する印字ヘッド組立体22の表面に接触するまで、この垂直部分を上方保守成形部104のリム部分105の中へかつそれを越えて突出させる。マイクロファイバ布地103が存在することによって、接触が最小限にされることを保証し、かつ吸収剤媒体102の内部に保持されるべき、印字ヘッド組立体22の表面に存在するインクまたは湿り気をいずれも引き付ける。ピン99が任意の方向へ自由に動くので、ワイパ駆動部の横移動はいずれもノズル表面を横切ってマイクロファイバ布地103を横方向へ移動させ、よって拭い取りまたは掃除機能を実行する。次いで、ワイパ駆動部が切り離されると、本配置を、マイクロファイバ布地103および吸収剤媒体102がリム部分105の表面の下方にある位置に戻らせる。
【0218】
印刷を実行するために、保守組立体23は、着蓋状態から印刷状態に移動されねばならない。これは、保守駆動部が、台座88の中心除去部分90を通って突き出す留め具要素94を把持し、かつこの要素に下向きの力を印加することによって実現される。この下向きの力は、剛性挿入体93を台座88のばねアーム91に対抗して台座の基部に向かって移動させる。この動きは、上方蓋成形部104の上方リム部分105が保持体要素106の外表面と面一になり、そこから突出しないように、このリム部分を保持体要素106の中に形成された溝穴107の中へ後退させる。保持体要素106は移動することがなく、定位置に固定されていることが理解されよう。これは、保持体要素106と印字ヘッド組立体22との間に間隙を創出し、この間隙を通って媒体が印刷のために通過し得る。印刷状態または脱蓋状態では、保持体要素106は媒体案内装置として働き、媒体は、保持体要素に接触しており、媒体が印刷のために印字ヘッド組立体を通過するとき、保持体要素106の表面で支持される。
【0219】
架台ユニット
架台ユニット12が図6および7に関連して示されており、一般にカートリッジユニット10を収容するための開口14を画定する主要本体13と、カートリッジユニット10を架台ユニット12内部の定位置に固定するために開口を閉じるように適合される蓋組立体11とから成る。
【0220】
架台ユニット12の主要本体13は、図45Aおよび45Bに示された枠組構造110を含む。枠組構造110は、一般に2枚の端板111と、これらの端板111のそれぞれと連結する基部板112とを備える。カートリッジユニット10が主要本体13の内部に保持されるとき、このカートリッジユニットが駆動ローラ113と出口ローラ114との間に位置するように、駆動ローラ113および出口ローラ114の両端が端板111の間に装着される。駆動ローラ113および出口ローラ114はそれぞれが、端板111の一方に取り付けられ、駆動ベルトなどの駆動機構116によって駆動および出口ローラのそれぞれを駆動するブラシレスDCモータ115によって駆動される。このようなシステムは、媒体が印刷機構1を通り、カートリッジユニット10の印字ヘッド組立体22を過ぎて円滑かつ安定的に通過することを保証するように、駆動ローラ113および出口ローラ114の両方が同じ速度で駆動されることを保証する。
【0221】
保守駆動組立体117が、DCモータ115に対向して、他方の端板111に取り付けられる。保守駆動組立体117は、保守歯車119とワイパ歯車120とに作用的に連結されるモータ118を備える。次に保守歯車119は、基部板112の内部で、ある一定の距離に延在して、鈎状端を有する棒の形態にある保守駆動部121に連結される。保守駆動部121の鈎状端は、上方リム部分105を着蓋状態と印刷状態との間で持ち上げ/降ろすために、保守組立体23の留め具要素94の内部に受け入れられるように形作られる。ワイパ歯車120は、1対の突起が延びる棒の形態にあるワイパ駆動部122に同様に連結される。ワイパ駆動部122は、同様に基部板112の内部に延び、突起は、それらが保守組立体23のピン要素99に接触するために、保守台座88の基部の中に形成された窓部分92と位置合わせされるように、ワイパ駆動部122に沿って位置決めされる。
【0222】
保守駆動組立体117が、図46Aおよび46Bに分離して示されている。モータ118は二方向性であるので、モータが一方向へ動作すると、ワイパ歯車120を図46Aに示されているように、反時計回りに移動させる。ワイパ歯車120は、その表面に形成された隆起部分123を有し、ワイパ歯車120が回転するとき、その隆起部分がワイパ駆動部のアーム124と接触する。隆起部分123がアーム124に接触するとき、ワイパ駆動部122は、その上に形成された突起が保守台座88の中の窓部分92を通り、かつピン要素99に対接して上向き方向へ移動し、それによってマイクロファイバ布地103を印字ヘッド組立体の表面に対接させるように枢動する。ワイパ歯車120がさらに回転すると、アーム124がその中立位置に戻ることになる。アーム124が乗り上げる、ワイパ歯車120上に形成された追加的な角度付き隆起部分125が存在することにより、横方向への動きがワイパ駆動部122に与えられることが可能であり、この横方向の動きは、戻りばね126に対抗してワイパ駆動部全体を横方向へ移動させる。感知器要素127が、印字ヘッドの状態が容易に測定され得るように、ワイパ駆動部の位置を感知するために設けられる。
【0223】
印字ヘッド組立体22の着蓋状態を制御するために、モータ118が逆転され、ワイパ歯車120が、図46Aに示される時計回りおよび図46Bに示される反時計回りに移動することになる。この方向へワイパ歯車120が回転すると、ワイパ駆動部が、保守組立体23から離れて下向き方向へ枢動することを保証する。しかし、図46Bにさらに明白に示されているように、この回転は、ワイパ歯車120の内表面に設けられたフリッパ歯車128を保守歯車119に噛み合わせ、次に、保守歯車119を反時計回り方向へ(図46Bに示されているように)回転させる。同様に、保守歯車119の内表面に形成された突起129が、保守駆動部121の枢動アーム130に接触し、それによって保守駆動部の鈎状端を下向き方向へ移動させ、それは、次に、保守組立体23の留め具要素94を把持し、上方リム部分105を後退させて印刷状態を取らせる。同様に、感知器要素127は、モータ118の動作、したがって印字ヘッドの望ましい状態を制御するために、保守駆動部の位置を感知することができる。
【0224】
再び図45Aおよび45Bを参照すると、1対のカートリッジユニット案内装置131が、カートリッジユニット10を架台ユニット12の中へ受け入れかつ案内するのを補助するために、端板111に装着される。案内装置131は、カートリッジユニット10が架台ユニット12に対して正確に向けられるようにカートリッジユニット10の表面を受け入れるように角度が付けられている。
【0225】
印刷機構と印字ヘッド組立体22のIC 50との動作を制御するための制御電子素子が、プリント回路基板(PCB)132の上に設けられる。図45Aに示されているように、PCB 132の一方の面は、SoPEC装置133と、外部源から受け取ったデータおよび電力を受け取りかつ分配するための関連構成要素134とを含み、他方ではPCBの他方の面が、その下方縁に沿って電気接点135の横列を含み、この接点は、印字ヘッド組立体22のノズルを制御するために可撓PCB 79の上の対応する電気接点に電力およびデータ信号を送信する手段を設ける。
【0226】
図47に分離して示されているように、PCB 132は、PCB組立体140の一部を形成し、2本のアーム136の間に取り付けられ、これらのアームのそれぞれがPCB 132を定位置に受け入れかつ保持するために鈎爪部137を有する。図48に示されているように、各アーム136は、その上方部分の中に形成された、張力ばね142の鈎状部を受け入れるための溝141を有するが、この張力ばねの目的は下で説明される。
【0227】
PCB 132が2本のアーム136の間に取り付けられるとき、このPCBに安定性を与えるために、支持体棒138が、SoPEC装置133および関連構成要素134を含む面側に、PCB 132の底縁に沿って、アーム136およびPCBに固定される。支持体棒138は、その下方表面に沿って複数の星形車139を有する。図45Aに示されているように、PCB組立体140が端板111に取り付けられるとき、星形車は、これらの星形車が出口ローラ114の表面を把持するために支持体棒の下方表面に対して移動できるようにばね押しされる。
【0228】
図49Aに示されているように、熱遮蔽体143が、SoPEC装置133を実質的に覆い、プリンタユニット2の近傍の内部に存在し得るEMIのいずれからもSoPEC装置を保護するようにPCB 132に装着される。熱遮蔽体143はまた、その内部に設けられ、図49Aに示されているように、蓋組立体11を閉鎖位置に固定するために蓋組立体の上に設けられたクリップと嵌め合うラッチ機構144を有する。
【0229】
PCB組立体140は、アーム136の底に設けられた枢動点141で端板111に枢支される。この配置では、PCB組立体140は、電気接点135が可撓PCB 79の電気接点から隔たり、かつカートリッジユニット10が架台ユニット12から容易に取り外され得る開放位置と、電気接点135が、印字ヘッド組立体22のノズルから、印刷を円滑にする制御データおよび電力を送信するために、可撓PCB 79上に設けられた電気接点と作用的に接触している閉鎖位置との間で、その枢動点141回りに揺動することができる。
【0230】
図49Bに示されているように、遊びローラ組立体145が、架台ユニット12の後部で端板111に固定され、駆動ローラ113の表面に接触しかつそれと一緒に回転するように位置決めされる複数のローラ車146を含む。遊びローラ組立体145は、プリンタユニット2の取り上げ器機構9から印刷機構1に渡される媒体がいずれも、印刷のためにカートリッジユニット10の印字ヘッド組立体22を通過して輸送するために、駆動ローラ113と遊びローラ組立体1145のローラ車146との間に把持されることを保証する。
【0231】
蓋組立体11が、その閉鎖位置で図49Aおよび49Bに示されており、端板111に、その上方後部で枢支される。1対の装着板147が、蓋組立体をピン148によって端板111に装着するために蓋組立体11から延びる。装着板147は、ピン148を越えて延び、その内部には穴が形成されており、その穴の中へ図48に関連して先に論じられた張力ばね142の自由端が受け入れられる。
【0232】
蓋組立体11が、図49Bに示されているように閉鎖位置にあるとき、このばねは完全緊張の状態にあり、それは、次に、図50Aに断面で示されているように、PCB組立体40を閉鎖位置に向かって枢動させる。この位置では、PCB 132の電気接点135は印字ヘッド組立体22の可撓PCB 79の対応する電気接点と作用的に接触しており、電力およびデータ信号が、これらの接点間で移送され得るようになっている。
【0233】
蓋組立体が、図49Cに示されているように、その開放位置に移動されるとき、装着板147が架台組立体の前面に向かって枢動し、それによってばね142の中の緊張が解放され、ばねを緩んだ状態にさせる。これは、次に、PCB組立体が、離れるように図50Bに示された開放位置へ枢動することを可能とする。当該位置では、PCB 132の電気接点135は、印字ヘッド組立体22の可撓PCB 79の対応する接点から切り離れ、それによってカートリッジユニット10が架台ユニット12から取り外されるのを可能とする。
【0234】
この点に関して、蓋組立体11の開/閉動作はまた、カートリッジユニット10と架台ユニット12との間の電気接続の切/入機能を実行する。
【0235】
再び図49A〜49Cを参照すると、蓋組立体11が、その上表面の中に形成された幾つもの合体口149を含む。図示された実施形態では、5つの合体口149が存在しており、各合体口がインク貯蔵モジュール45の1つに対応する。各合体口149は、補充インクをインク貯蔵モジュール45に供給するためにインク補充ユニットを受け入れるように形作られている上向きに突出するリップ部分を有する。図49Cにさらに明白に示されているように、各合体口149には、大きな、実質的に円形の開口151と2つの小さい円形開口152とが内部に設けられており、これらは、インクの送達が、インク補充ユニットとカートリッジユニット10との間で、下に説明される様態で行われることを可能とする。
【0236】
4つのT字形開口182が、補充容器上のバッグ締付け器駆動部を受け入れるために、各合体部分149のかどに位置決めされる。これらは、インク貯蔵モジュール45に関連して上で簡単に論じられたが、下でさらに詳細に論じられる。
【0237】
補充ユニット
図51A〜51Cは、補充インクをカートリッジユニット10に供給するためのインク補充ユニット155を示す。インク補充ユニット155は、内部インク補充構成要素を収容する基部組立体156と、この基部組立体156の上に嵌る蓋157とを備えるユニットとして提供される。基部組立体および蓋は、プラスチック材料から成形可能であり、基部組立体156は単体としてまたは部分で成形されてもよい。
【0238】
基部組立体156の下側が、図51Bにさらに詳細に示されており、インク補充ユニットを合体位置に保持するために、この基部組立体から突出し、蓋組立体11の中に形成された合体口149と嵌め合う畝部分160を含む。実質的に円筒形のインク放出口158も、インクをカートリッジユニット10の中へ送達するために、基部組立体の下側から突出する。2つの弁駆動ピン159も、インク貯蔵モジュール45の注入口弁および放出口弁をそれぞれ駆動するために、基部組立体156の下側から突出する。図示された実施形態では、2つの弁駆動ピン159は、適切な一方向曲がり抵抗および座屈強度のために三角星形断面を有する。QAチップ161も、基部組立体156の下側から突出するように設けられ、その上に複数のQAチップ接点162が露出されており、これらの接点は、インク補充ユニット155が蓋組立体11と合体されるとき、この蓋組立体の中に設けられたQAチップ読み取り器によって読み取られる。
【0239】
締付け器駆動部190が、基部組立体156の各かどに隣接するところから突出する。締付け器駆動部190は、それらの端部が僅かに弓形になり、丸味が付けられている。カートリッジユニット10の頂部42の中の締付け器口60(図14参照)は、それに対応して弓形である。丸味が付けられた端部および弓形断面は、使用者が1つの締付け器駆動部190をその対応する口60と容易に位置合わせすることを可能とし、湾曲した表面は、その他の締付け器駆動部190をそれらの各々の口60と位置合わせ状態に直感的に案内する。これは、迅速にかつ使用者による最小限の細かい位置決めによって、補充ユニットを接合面61と合体する助けとなる。図51Bに最も適切に示されているように、各締付け器駆動部190は、控補強材191を有する。これは、使用者が補充ユニットを合体口と位置合わせするときに過剰な力を印加する場合に大きな横方向の力に耐えるために、締付け器駆動部190に高い曲げ強さを与える。
【0240】
図12を参照して上で説明されたように、締付け器駆動部190は、インク貯蔵モジュール45のバッグ締付け器43を駆動する。
【0241】
基部組立体156はまた、充填口192を有する。バッグ163は、この口を介してその最初のインク充填量を収容し、この口は、次いでプラスチック封止球193によって封止される。
【0242】
図51Cの分解組立図を参照すると、インクバッグ163が、その内部に補充インクを貯蔵するために基部組立体156の内表面に封止され、インクがインク補充ユニット155に供給され/そこから取り出されるとき、インクバッグ163が拡張し/潰れることを可能とする変型可能な材料から作製される。インク送達針164が、バッグ163と基部組立体156との間に設けられた空間の中に延び、インクが放出口158に流れるための通路を設ける。インク送達針164の端部は、円筒形放出口158の中へ延び、円筒形放出口158の開放端の内部の圧縮ばね166によってばね押しされる封止体リング165によって包囲される。インク補充ユニット155がカートリッジユニット10と合体されていないとき、送達針は封止体リング165によって保護される。さらなる予防策として、プラスチックキャップ187が、放出口に被るように滑らされ、僅かな干渉嵌めによって定位置に保持される。
【0243】
インク水準表示器167もインク補充ユニット155の蓋157の内部に設けられる。インク水準表示器167は、着色区間などの表示部分168を有する柔軟な細片を備える。この細片は、バッグ163の内部のインク供給量が消耗されるとき、すなわち、バッグが実質的に空であるとき、表示部分168が蓋157の頂部表面中に設けられた透明な窓169と位置合わせされるように、その細片の端部が変形可能なインクバッグ163の上表面に、かつその中心が蓋157の下側に付着される。この点に関して、他の任意の時点で、すなわち、バッグが実質的に空ではないとき、表示部分が視野から隠される。
【0244】
インクが定量分配されるとき、インクバッグ材料の性質が、非均一様態でバッグを変形させかつ潰れさせる。バッグの上表面の各縁は同じ率で潰れる可能性は低い。したがって、インク水準表示器167の長さは、一旦、変形可能なバッグの上表面のすべての縁が完全に潰れたら、表示器部分168のみが蓋157の中の窓169と位置合わせすることを保証する。インク水準表示器細片282は、最初に折り畳まれた状態にあり、表示部分168は、バッグ163が満杯のとき、窓169から隠されるように細片282の上に配置されている。細片167は、両端が、バッグの上表面の対向する縁に付着される。これらの端部の中間の点(図示せず)が、透明な窓169の下方に固定される。バッグ46が完全に潰れるとき、細片167は長くなりかつ広がる。これによって、以前には隠されていた表示部分168が、窓169を介して視野に入る。インク水準表示器167の使用は、1つの補充ユニット155が完全には消耗されていない場合に、その補充ユニットが反復補充動作のために使用され得ることを意味する。これは、1回の動作でカートリッジユニット10の対応するインク貯蔵モジュール45を補充するのに必要なインクの量が、補充ユニットの容量よりも少ないときに行われ得る。
【0245】
蓋157は、インクバッグ163およびインク水準表示器167を封入するために基部組立体156の一部の上に嵌る。同様に、U字形の合体止め具183が、合体されるときに、その脚部がカートリッジユニット10に係合するために基部組立体156を越えて延びるように蓋157の上に嵌る。止め具183の対向脚部のクリップ170が、カートリッジユニット10の側面上にスナップ固締する。これによって、インクを確実にかつ効率的に移送するために、補充ユニット155を蓋組立体11に対して実質的に固着された状態で保持する。
【0246】
1対の対向する板ばね184が、蓋157の側面を押し付けるためにU字形止め具の各脚部の内側から延びる。各板ばねに隣接して、枢軸185が、蓋157の側面上の支点棚部186に係合するように設計される。この板ばねは脚部を外向きに押すが、枢軸185が支点186に係合すると、クリップは、カートリッジユニット10との係合を維持するように内向きに梃子によって動かされる。
【0247】
標識パネル188が、止め具183の外表面に取り付けられる。標識パネル188は、商標および他の情報を表示することができる。そのパネルまた、補充容器内部のインクと一致するように色分けされ得る。標識パネル188はまた、各脚部上に指掛かりパッド189を有する。指掛かりパッド189は、これらの箇所における指の圧力が、クリップ170をカートリッジユニット10との係合から切り離すために、板ばね184の力に打ち勝つように位置決めされる。次いで、補充ユニット155は、蓋組立体11の合体口149から引き離される。
【0248】
図52は、カートリッジユニット10のインク貯蔵モジュール組立体11の接合面61の1つと直接合体された補充ユニット155を示す。蓋組立体11および架台ユニットの他の部分は、明瞭にするために割愛されている。補充ユニット155は、それが1つの特定の向きのみで合体口149の内部に受け入れられるように形作られるか、または「キー止めされる」。U字形止め具183の各脚部の端部は、使用者がユニット155を後ろ前に合体しようとする可能が低いようにかなり幅が異なる。円筒形インク放出口158は、同様に補充ユニット155を後ろ前に合体しないように防護するために、横断中心線からずらされている。先に論じられたように、合体口149の基部は、円筒形インク放出口158が中へ受け入れられる大きな円形開口151と、弁駆動部159が中へ受け入れられる2つのより小さい開口152とを有する。これらの相互作用要素のそれぞれの断面は、特定の各インク貯蔵モジュール45を補充するために、適正に色分けされたインク補充ユニットのみが適正な向きで使用され得るように形作られている。例えば、弁駆動部159の2つの三角星形断面はそれぞれが、対応する三角星形口のみと嵌る数多くの組合せを与え、各組合せが一致する回転向きを有するように回転され得る。
【0249】
補充ユニット155のQAチップ161のQAチップ接点162と嵌め合い、かつQAチップに格納された情報の読み取りおよび受け取りを行うために、QAチップ読み取り器172も合体口149の基部の中に設けられる。このような情報には、補充ユニット155の貯蔵容量(例えば、約30から約50ml)、補充ユニット155の内部に収容されたインクの色、およびインク補充ユニット155の内部に収容されたインクの供給元が含まれ得る。この情報は、補充ユニット155が合体口149の内部の定位置に合体されるとき、架台ユニット12の制御回路に直ちに転送され得る。例えば、架台ユニット12の制御回路は、補充を容易にするために、インク貯蔵モジュール45のどれが補充を必要としているか、ならびに補充ユニット155がインクの適正な種類/色および分量を収容しているかどうかを判断することができる。
【0250】
図53にさらに明白に示されているように、各インク貯蔵モジュール45(図10参照)の弁挿入体49は、インク注入口15が、合体口149の中に形成された大きな円形開口151と位置合わせされ、かつインク注入口および放出口弁16および18(三角星開口152によって不明瞭になっている)が、より小さい円形開口152と位置合わせされるようにそれぞれ配置される。インク補充ユニット155が合体口149の内部で定位置に置かれるとき、補充ユニット155のインク放出口158は、インク貯蔵組立体45のインク注入口15に接触し、弁駆動部ピン159は、インク注入口弁16およびインク放出口弁18のそれぞれに接触する。
【0251】
当該位置では、インク送達針164は、ばね押し封止体リング165が、インク注入口15の表面周囲に緊密な封止体を形成するように円筒形インク放出口158内部に後退するとき、弁挿入体49のインク注入口15を突き通す。封止体リング165は、インク送達針164に「乗り」上げることが可能であり、補充ユニット155が合体口149から取り外されると、この封止体リングは、封止体ばね166によってその保護位置に戻される。
【0252】
先に論じられたように、インク貯蔵モジュール45のインクバッグ46の内部に保持されたインクは、インクバッグ46に一定の拡張力を印加するばね要素54により一定の負の圧力状態にある。これはインクの中に負の圧力または背圧を生成し、それによってインクが印字ヘッド組立体22のノズルから漏出するのを防止する。この背圧はまた、補充ユニットが定位置に合体されるとき、補充インクを補充ユニット155から引き込む簡素な手段を設ける。補充ユニット155のインクバッグ(大気圧にある)とインク貯蔵モジュール45のインクバッグとの間の圧力勾配により、インク送達針164がインク注入口15を突き通すとき、補充インクは、単に補充ユニット155からインク貯蔵モジュール45のインクバッグ46の中へ流入するだけである。
【0253】
補充動作と印刷動作とを交互に行うために、かつインクが補充時にノズルから漏出しないように印字ヘッド組立体22の中のインクを一定の背圧状態に維持するために、上で論じられたように、弁16および18が弁挿入体の中に設けられる。両方の弁は、補充ユニットが合体口149と定位置に合体されるとき、弁駆動部ピン159によって制御される。これらの弁が制御される様態が、図54A〜54Dに関連して示される。
【0254】
図54Aおよび54Bは、図53の線A−Aおよび線B−Bの各々に沿った異なる断面図を示し、補充前の弁配置の状態を例示し、図54Cおよび54Dは、補充中の弁配置の状態を例示する図54Aおよび54Bの図をそれぞれ示す。
【0255】
図54Aおよび54Bに示されているように、補充前では、インク注入口弁16が閉鎖位置にあり、それによってインクまたは空気の通路がインク注入口15に進入しかつインクバッグ46の中へ進むことを防止する。これが図54Bに示されているが、その図では、インク注入口15とインク注入口弁16との間の通路の中に存在するインクはいずれも当該空間の中に留まる。Oリング封止体が、補充ユニット155のインク送達針164の周囲に気密封止体を維持するためにインク注入口15に設けられる。この状態では、インク放出口弁18が開放位置になり、それによってインクがインク放出口52から流出し、インク縦樋30を下降して、印字ヘッド組立体22に達するように通路を設ける。論じられたように、ばね要素54は、インクバッグ46の内部に背圧の状態を確立し、印字ヘッド22は、印刷中に当該背圧に対抗してインクをインクバッグ46から引き出す。
【0256】
図54Cおよび54Dに示されているように、補充中では、インク補充ユニット155は、インク放出口158が弁挿入体49のインク注入口15と係合され、かつ弁駆動部ピン159が弁16および18と係合するように合体口149の中へ合体される。図54Cに示されているように、弁駆動部ピンがインク放出口弁18と接触すると、この弁18が押下させられて閉じ、それによってインクがインク放出口52から印字ヘッド組立体22にそれ以上流れるのを防止する。この点に関して、閉じたインク放出口弁18から印字ヘッド組立体22に至る通路の中に存在するインクは、インク放出口弁18が開くまで静止状態に留まる。
【0257】
図54Dにさらに明白に示されているように、弁駆動部ピン159が、インク注入口弁16に接触して弁を押下するときに、弁が開いて、インクが補充ユニット155からインクバッグ46に流れるための通路を可能とする。インクバッグ46の中に存在する背圧により、インクは差圧によりインクバッグの中へ引き込まれ、インクバッグ46が満杯になってインクで拡張するとき、ばね要素54は、インクバッグ46と保持要素55との間に一定の力を維持し、それによって、インクバッグ46の中のインク内部の一定の背圧も維持する。これは、インクバッグ46がその最大容量に達し、それによってインクバッグ46の中に存在するインクの圧力が補充ユニット155のインクの圧力と均等化し、それ以上のインクが補充ユニット155から引き込まれなくなるまで続く。
【0258】
バッグ締付け器駆動部190が、側部パネル58を内側に曲げてバッグ46を締め付けるために、上方締付け器襟部59を下方締付け器襟部57に向かって押すように開口60を貫通する。図12を参照して上で論じられたように、バッグ締付け器43は、補充ユニットが取り外されるとき、締付けを解除することによってインクバッグ46中の負の圧力を再確立する。
【0259】
本発明が、その典型的な実施形態を参照して例示および説明されたが、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、様々な変更が当業者には明白であり、かつ当業者によって様々な変更が容易に実施され得る。したがって、本明細書に添付された特許請求の範囲を本明細書に記載された説明に限定することが企図されているのではなく、その請求範囲が広く解釈されることを企図するものである。
【0260】
以下のパラグラフの組(A)および(B)は、本出願の開示に関連する様々な態様を説明する。これらは、特許請求された主題の一部を形成するものと解釈されるべきではない。
【0261】
パラグラフの組(A)
1.基板の表側に形成された、基板に沿って長手方向へ延びる横列で配置され、それぞれが各々のノズル注入口を有する複数のノズルと、
基板の裏側に沿って長手方向へ延び、それぞれがインクを裏側からノズル注入口の対応する少なくとも1つの横列に供給するように構成されている複数のインク供給流路と、を備え、
各インク供給流路は、その長さに沿って1つまたは複数の横断ブリッジによって中断される印字ヘッド集積回路。
2.流路区間が、各インク供給流路に沿って離間された複数の横断ブリッジによって画定される、パラグラフ1に説明された印字ヘッド集積回路。
3.各横断ブリッジ間の長手方向距離が少なくとも1000ミクロンである、パラグラフ3に説明された印字ヘッド集積回路。
4.各横断ブリッジは、各流路区間が、その隣接する流路区間から封止されるように構成される、パラグラフ2に説明された印字ヘッド集積回路。
5.各横断ブリッジは、インクが隣接する流路区間と流路区間との間を長手方向へ流れるように構成される、パラグラフ2に説明された印字ヘッド集積回路。
6.ノズルは、横列の対で配置され、それぞれの対になった横列が表側に沿って長手方向へ延び、各インク供給流路は、裏側に沿って長手方向へ延び、かつインクを裏側からノズル注入口の対応する対になった横列に供給するように構成されている、パラグラフ1に説明された印字ヘッド集積回路。
7.各インク供給流路は少なくとも50ミクロンの幅寸法を有する、パラグラフ1に説明された印字ヘッド集積回路。
8.各インク供給流路は少なくとも70ミクロンの幅寸法を有する、パラグラフ1に説明された印字ヘッド集積回路。
9.各インク供給流路は4:1未満の縦横比を有し、縦横比は、流路深さと流路幅との比によって画定される、パラグラフ1に説明された印字ヘッド集積回路。
10.各インク供給流路は2:1未満の縦横比を有する、パラグラフ9に説明された印字ヘッド集積回路。
11.基板は100から500ミクロンの範囲内の厚さを有する、パラグラフ1に説明された印字ヘッド集積回路。
12.基板は120から250ミクロンの範囲内の厚さを有する、パラグラフ1に説明された印字ヘッド集積回路。
13.パラグラフ1に説明された複数の印字ヘッド集積回路を備えるページ幅インクジェット印字ヘッド。
14.基板の表側に形成された、基板に沿って長手方向へ延びる横列で配置され、それぞれが各々のノズル注入口を有する複数のノズルと、
基板の裏側に沿って長手方向へ延び、それぞれがインクを裏側からノズル注入口の対応する横列に供給するように構成されている複数のインク供給流路と、を備え、
各インク供給流路は、その長さに沿って1つまたは複数の横断ブリッジによって中断されるページ幅インクジェット印字ヘッド。
15.パラグラフ14に説明された印字ヘッドと、
それぞれがインク供給流路と位置合わせされる複数の放出口を有する、印字ヘッドの裏側に接着された成形インクマニホールドと、を備えるページ幅インクジェット印字ヘッド組立体。
16.印字ヘッドは、印字ヘッドとインクマニホールドとの間でサンドイッチ状に挟まれた接着薄膜によって、インクマニホールドに接着される、パラグラフ15に説明された印字ヘッド組立体。
17.複数の穴が接着薄膜の中に画定され、各穴は、インクが該放出口の1つからインク供給流路に流れることを可能とするように位置決めされる、パラグラフ16に説明された印字ヘッド組立体。
18.各放出口および各穴は、インクがインクマニホールドから横断ブリッジの両側の2つの流路区間に供給されるように、横断ブリッジにわたして位置決めされる、パラグラフ17に説明された印字ヘッド組立体。
19.パラグラフ15に従う印字ヘッド組立体を備えるプリンタ。
20.ページ幅インクジェットプリンタである、パラグラフ19に説明されたプリンタ。
【0262】
パラグラフの組(B)
1.基板の表側に形成された、基板に沿って長手方向へ延びる横列で配置され、それぞれが各々のノズル注入口を有する複数のノズルと、
基板の裏側に沿って長手方向へ延び、それぞれがインクを裏側からノズル注入口の対応する少なくとも1つの横列に供給するように構成されている複数のインク供給流路と、を備え、
各インク供給流路は、その長さに沿って1つまたは複数の横断ブリッジによって中断される印字ヘッド集積回路。
2.流路区間が、各インク供給流路に沿って離間された複数の横断ブリッジによって画定される、パラグラフ1に説明された印字ヘッド集積回路。
3.各横断ブリッジ間の長手方向距離が少なくとも1000ミクロンである、パラグラフ3に説明された印字ヘッド集積回路。
4.各横断ブリッジは、各流路区間が、その隣接する流路区間から封止されるように構成される、パラグラフ2に説明された印字ヘッド集積回路。
5.各横断ブリッジは、インクが隣接する流路区間と流路区間との間を長手方向へ流れるように構成される、パラグラフ2に説明された印字ヘッド集積回路。
6.ノズルは、横列の対で配置され、それぞれの対になった横列が表側に沿って長手方向へ延び、各インク供給流路は、裏側に沿って長手方向へ延び、かつインクを裏側からノズル注入口の対応する対になった横列に供給するように構成されている、パラグラフ1に説明された印字ヘッド集積回路。
7.各インク供給流路は少なくとも50ミクロンの幅寸法を有する、パラグラフ1に説明された印字ヘッド集積回路。
8.各インク供給流路は少なくとも70ミクロンの幅寸法を有する、パラグラフ1に説明された印字ヘッド集積回路。
9.各インク供給流路は4:1未満の縦横比を有し、縦横比は、流路深さと流路幅との比によって画定される、パラグラフ1に説明された印字ヘッド集積回路。
10.各インク供給流路は2:1未満の縦横比を有する、パラグラフ9に説明された印字ヘッド集積回路。
11.基板は100から500ミクロンの範囲内の厚さを有する、パラグラフ1に説明された印字ヘッド集積回路。
12.基板は120から250ミクロンの範囲内の厚さを有する、パラグラフ1に説明された印字ヘッド集積回路。
13.請求項1に説明された複数の印字ヘッド集積回路を備えるページ幅インクジェット印字ヘッド。
14.基板の表側に形成された、基板に沿って長手方向へ延びる横列で配置され、それぞれが各々のノズル注入口を有する複数のノズルと、
基板の裏側に沿って長手方向へ延び、それぞれがインクを裏側からノズル注入口の対応する横列に供給するように構成されている複数のインク供給流路と、を備え、
各インク供給流路は、その長さに沿って1つまたは複数の横断ブリッジによって中断されるページ幅インクジェット印字ヘッド。
15.請求項14に説明された印字ヘッドと、
それぞれがインク供給流路と位置合わせされる複数の放出口を有する、印字ヘッドの裏側に接着された成形インクマニホールドと、を備えるページ幅インクジェット印字ヘッド組立体。
16.印字ヘッドは、印字ヘッドとインクマニホールドとの間でサンドイッチ状に挟まれた接着薄膜によって、インクマニホールドに接着される、パラグラフ15に説明された印字ヘッド組立体。
17.複数の穴が接着薄膜の中に画定され、各穴は、インクが該放出口の1つからインク供給流路に流れることを可能とするように位置決めされる、パラグラフ16に説明された印字ヘッド組立体。
18.各放出口および各穴は、インクがインクマニホールドから横断ブリッジの両側の2つの流路区間に供給されるように、横断ブリッジにわたして位置決めされる、パラグラフ17に説明された印字ヘッド組立体。
19.パラグラフ15に説明された印字ヘッド組立体を備えるプリンタ。
20.ページ幅インクジェットプリンタである、パラグラフ19に説明されたプリンタ。
【図面の簡単な説明】
【0263】
【図1】入力トレイの中に用紙を備え、回収トレイが引き出されているプリンタを示す正面斜視図である。
【図2】内部を露出するために筐体が開放されている、図1のプリンタユニット(入力トレイに用紙はなく、回収トレイが引っ込めてある)を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る印刷システムにおける文書データの流れを示す模式図である。
【図4】図3の印刷システムで使用されるアーキテクチャを示すさらに詳細な模式図である。
【図5】図3の印刷システムで使用される制御電子機器の実施形態を示すブロック図である。
【図6】開いている蓋組立体を備える架台と、そこから取り外されたカートリッジユニットを示す斜視図である。
【図7】蓋組立体がその閉鎖位置にある、図6の架台ユニットを示す図である。
【図8】図6のカートリッジユニットを示す正面斜視図である。
【図9】図8のカートリッジユニットを示す分解組立斜視図である。
【図10】図9に示されたカートリッジユニットの主要本体を示す分解組立正面斜視図である。
【図11】図9に示された主要本体中に位置するインク貯蔵モジュール組立体を示す底面斜視図である。
【図12】図11に示されたインク貯蔵モジュールの1つを示す分解組立斜視図である。
【図13】図12に示されたインク貯蔵モジュールの底面斜視図である。
【図14】図12に示されたインク貯蔵モジュールの上面斜視図である。
【図15】図9に示された印字ヘッド組立体を示す上面斜視図である。
【図16】図15に示された印字ヘッド組立体を示す分解組立図である。
【図17】図15に示された印字ヘッド組立体を示す逆転した分解組立図である。
【図18】図15の印字ヘッド組立体を示す断面端面図である。
【図19】図16から18に示された印字ヘッド集積回路モジュールの下がった三角形端を示す拡大部分斜視図である。
【図20】図16から19に示された2つの印字ヘッド集積回路モジュール間の接合箇所を示す拡大斜視図である。
【図21A】図19に示された印字ヘッド集積回路を示す裏面図である。
【図21B】図21Aに示されたインク流路を示す斜視横断面図である。
【図22A】図15の印字ヘッド組立体を示す透明上面図を示す図であり、特に、インクを印字ヘッド集積回路に供給するインク導管を示す。
【図22B】図22Aの部分拡大図である。
【図23】本発明に使用するための、最初の状態におけるインク噴射用の単一ノズルを示す垂直断面図である。
【図24】最初の駆動局面時における、図23のノズルを示す垂直断面図である。
【図25】駆動局面後の、図24のノズルを示す垂直断面図である。
【図26】図25に示された駆動状態における、図23のノズルを示す斜視部分垂直断面図である。
【図27】インクが割愛されている、図23のノズルを示す斜視垂直断面図である。
【図28】図27のノズルを示す垂直断面図である。
【図29】図24に示された駆動状態における、図23のノズルを示す斜視部分垂直断面図である。
【図30】図23のノズルを示す平面図である。
【図31】明瞭にするためにレバーアームおよび可動式ノズルが除去されている、図23のノズルを示す平面図である。
【図32】図23に示された種類の複数のノズル配置を組み込む印字ヘッドチップの一部を示す斜視垂直断面図である。
【図33】気泡形成加熱器要素駆動部型のインク噴射インク用の単一ノズルのインクチャンバを通る模式的な断面図である。
【図34A】熱曲げ駆動部の基本的な動作原理を示す図である。
【図34B】熱曲げ駆動部の基本的な動作原理を示す図である。
【図34C】熱曲げ駆動部の基本的な動作原理を示す図である。
【図35】図34に従って構成された単一のインクジェットノズル配置を示す3次元図である。
【図36】図35に示されたノズル配置のアレイを示す図である。
【図37】本発明のプリンタに使用するためのCMOS駆動装置および制御ブロックを示す模式図である。
【図38】図37のCMOSブロックにおけるノズル列とドットシフトレジスタとの間の関係を示す模式図である。
【図39】ユニットセルと、図38のノズル列とドットシフトレジスタに対するその関係とを示すさらに詳細な模式図である。
【図40】本発明のプリンタ中の単一のプリンタノズルに関する論理回路を示す回路図である。
【図41】図9に示されたカートリッジユニットの保守組立体を示す正面斜視図である。
【図42】図41の保守組立体を示す分解組立正面斜視図である。
【図43】図41の保守組立体の下側を示す分解組立正面斜視図である。
【図44】着蓋状態にある、本発明のカートリッジユニットに作用的に取り付けられた保守組立体を示す断面図である。
【図45A】本発明の一実施形態に係る架台ユニットの枠組構成を示す正面および背面斜視図である。
【図45B】本発明の一実施形態に係る架台ユニットの枠組構成を示す正面および背面斜視図である。
【図46A】図45Aおよび45Bの枠組構成から離されている、本発明の保守駆動部組立体を示す左側および右側斜視図である。
【図46B】図45Aおよび45Bの枠組構成から離されている、本発明の保守駆動部組立体を示す左側および右側斜視図である。
【図47】PCB組立体に組み付けられた、図45Aおよび45Bの支持体棒組立体を示す斜視図である。
【図48】蓋組立体に関連するばね要素に連結された、図47の支持体棒組立体のアームを示す斜視側面図である。
【図49A】本発明の一実施形態に係る架台ユニットを示す様々な図である。
【図49B】本発明の一実施形態に係る架台ユニットを示す様々な図である。
【図49C】本発明の一実施形態に係る架台ユニットを示す様々な図である。
【図50A】蓋組立体がそれぞれ閉鎖位置および開放位置にある架台ユニットを示す断面側面図である。
【図50B】蓋組立体がそれぞれ閉鎖位置および開放位置にある架台ユニットを示す断面側面図である。
【図51A】本発明の一実施形態に係るインク補充ユニットを示す上面および下面斜視図である。
【図51B】本発明の一実施形態に係るインク補充ユニットを示す上面および下面斜視図である。
【図51C】図51Aおよび51Bのインク補充ユニットを示す分解組立図である。
【図52】蓋組立体の合体口と合体された、図51Aおよび51Bのインク補充ユニットを示す斜視図である。
【図53】カートリッジが内側にあり、かつ蓋が閉鎖された架台を示す平面図である。
【図54A】図53の線A−Aに沿ったインク補充ユニットおよび印刷機構を示す断面図である。
【図54B】図53の線B−Bに沿ったインク補充ユニットおよび印刷機構を示す断面図である。
【図54C】図53の線C−Cに沿った、印刷機構との合体位置にあるインク補充ユニットを示す断面図である。
【図54D】図53の線D−Dに沿った、印刷機構との合体位置にあるインク補充ユニットを示す断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表側に形成された複数のノズルであって、各ノズルがノズル注入口を有する、当該複数のノズルと、
複数のインク供給流路であって、各インク供給流路が、前記基板の裏側から、対応するノズル注入口のグループにインクを供給するように構成されている、当該複数のインク供給流路と、
を備え、
各インク供給流路は、成形インクマニホールド中の1つまたは複数の放出口からインクを受け取るように寸法決めされている、
印字ヘッド集積回路。
【請求項2】
前記ノズルは横列で配置され、各横列は前記表側に沿って長手方向へ延び、
各インク供給流路は、前記裏側に沿って長手方向へ延び、かつ、インクを前記裏側からノズル注入口の対応する少なくとも1つの横列に供給するように構成されている、請求項1に記載の印字ヘッド集積回路。
【請求項3】
前記ノズルは横列の対で配置され、それぞれの対になった横列は、前記表側に沿って長手方向へ延び、
各インク供給流路は、前記裏側に沿って長手方向へ延び、かつ、インクを前記裏側からノズル注入口の対応する対になった横列に供給するように構成されている、請求項1に記載の印字ヘッド集積回路。
【請求項4】
各インク供給流路は少なくとも50ミクロンの幅寸法を有する、請求項3に記載の印字ヘッド集積回路。
【請求項5】
各インク供給流路は少なくとも70ミクロンの幅寸法を有する、請求項3に記載の印字ヘッド集積回路。
【請求項6】
各インク供給流路は、長さ方向に沿って1つまたは複数の横断ブリッジによって中断される、請求項3に記載の印字ヘッド集積回路。
【請求項7】
流路区間が、各インク供給流路に沿って離間された複数の横断ブリッジによって画定される、請求項6に記載の印字ヘッド集積回路。
【請求項8】
各横断ブリッジ間の前記長さ方向に沿った距離が少なくとも1000ミクロンである、請求項7に記載の印字ヘッド集積回路。
【請求項9】
各横断ブリッジは、各流路区間が該流路区間に隣接する流路区間から封止されるように構成されている、請求項7に記載の印字ヘッド集積回路。
【請求項10】
各横断ブリッジは、隣接する流路区間の間をインクが前記長さ方向に沿って流れるように構成されている、請求項7に記載の印字ヘッド集積回路。
【請求項11】
各インク供給流路は4:1未満の縦横比を有し、前記縦横比は流路深さと流路幅との比によって画定される、請求項1に記載の印字ヘッド集積回路。
【請求項12】
各インク供給流路は2:1未満の縦横比を有する、請求項11に記載の印字ヘッド集積回路。
【請求項13】
前記基板は100ミクロン〜500ミクロンの範囲内の厚さを有する、請求項1に記載の印字ヘッド集積回路。
【請求項14】
前記基板は120ミクロン〜250ミクロンの範囲内の厚さを有する、請求項1に記載の印字ヘッド集積回路。
【請求項15】
請求項1に記載の複数の印字ヘッド集積回路を備えるページ幅インクジェット印字ヘッド。
【請求項16】
基板の表側に形成された、それぞれが各々のノズル注入口を有する複数のノズルと、
それぞれがインクを前記基板の裏側からノズル注入口の対応するグループに供給するように構成される複数のインク供給流路と、を備え、
各インク供給流路は、インクを成形インクマニホールド中の1つまたは複数の放出口から受け取るように寸法決めされるページ幅インクジェット印字ヘッド。
【請求項17】
請求項16に記載の前記印字ヘッドと、
それぞれがインク供給流路と位置合わせされる複数の放出口を有する、前記印字ヘッドの前記裏側に接着された成形インクマニホールドと、を備えるページ幅インクジェット印字ヘッド組立体。
【請求項18】
前記印字ヘッドは、前記印字ヘッドと前記インクマニホールドとの間でサンドイッチ状に挟まれた接着薄膜によって、前記インクマニホールドに接着される、請求項17に記載の印字ヘッド組立体。
【請求項19】
複数の穴が前記接着薄膜中に画定され、各穴は、インクが前記放出口の1つからインク供給流路に流れることを可能とするように位置決めされる、請求項18に記載の印字ヘッド組立体。
【請求項20】
各放出口および各穴は、インクが前記インクマニホールドから横断ブリッジの両側の2つの流路区間に供給されるように、前記横断ブリッジにわたして位置決めされる、請求項19に記載の印字ヘッド組立体。
【請求項21】
請求項17に記載の前記印字ヘッド組立体を備えるプリンタ。
【請求項22】
ページ幅インクジェットプリンタである、請求項21に記載のプリンタ。
【請求項1】
基板の表側に形成された複数のノズルであって、各ノズルがノズル注入口を有する、当該複数のノズルと、
複数のインク供給流路であって、各インク供給流路が、前記基板の裏側から、対応するノズル注入口のグループにインクを供給するように構成されている、当該複数のインク供給流路と、
を備え、
各インク供給流路は、成形インクマニホールド中の1つまたは複数の放出口からインクを受け取るように寸法決めされている、
印字ヘッド集積回路。
【請求項2】
前記ノズルは横列で配置され、各横列は前記表側に沿って長手方向へ延び、
各インク供給流路は、前記裏側に沿って長手方向へ延び、かつ、インクを前記裏側からノズル注入口の対応する少なくとも1つの横列に供給するように構成されている、請求項1に記載の印字ヘッド集積回路。
【請求項3】
前記ノズルは横列の対で配置され、それぞれの対になった横列は、前記表側に沿って長手方向へ延び、
各インク供給流路は、前記裏側に沿って長手方向へ延び、かつ、インクを前記裏側からノズル注入口の対応する対になった横列に供給するように構成されている、請求項1に記載の印字ヘッド集積回路。
【請求項4】
各インク供給流路は少なくとも50ミクロンの幅寸法を有する、請求項3に記載の印字ヘッド集積回路。
【請求項5】
各インク供給流路は少なくとも70ミクロンの幅寸法を有する、請求項3に記載の印字ヘッド集積回路。
【請求項6】
各インク供給流路は、長さ方向に沿って1つまたは複数の横断ブリッジによって中断される、請求項3に記載の印字ヘッド集積回路。
【請求項7】
流路区間が、各インク供給流路に沿って離間された複数の横断ブリッジによって画定される、請求項6に記載の印字ヘッド集積回路。
【請求項8】
各横断ブリッジ間の前記長さ方向に沿った距離が少なくとも1000ミクロンである、請求項7に記載の印字ヘッド集積回路。
【請求項9】
各横断ブリッジは、各流路区間が該流路区間に隣接する流路区間から封止されるように構成されている、請求項7に記載の印字ヘッド集積回路。
【請求項10】
各横断ブリッジは、隣接する流路区間の間をインクが前記長さ方向に沿って流れるように構成されている、請求項7に記載の印字ヘッド集積回路。
【請求項11】
各インク供給流路は4:1未満の縦横比を有し、前記縦横比は流路深さと流路幅との比によって画定される、請求項1に記載の印字ヘッド集積回路。
【請求項12】
各インク供給流路は2:1未満の縦横比を有する、請求項11に記載の印字ヘッド集積回路。
【請求項13】
前記基板は100ミクロン〜500ミクロンの範囲内の厚さを有する、請求項1に記載の印字ヘッド集積回路。
【請求項14】
前記基板は120ミクロン〜250ミクロンの範囲内の厚さを有する、請求項1に記載の印字ヘッド集積回路。
【請求項15】
請求項1に記載の複数の印字ヘッド集積回路を備えるページ幅インクジェット印字ヘッド。
【請求項16】
基板の表側に形成された、それぞれが各々のノズル注入口を有する複数のノズルと、
それぞれがインクを前記基板の裏側からノズル注入口の対応するグループに供給するように構成される複数のインク供給流路と、を備え、
各インク供給流路は、インクを成形インクマニホールド中の1つまたは複数の放出口から受け取るように寸法決めされるページ幅インクジェット印字ヘッド。
【請求項17】
請求項16に記載の前記印字ヘッドと、
それぞれがインク供給流路と位置合わせされる複数の放出口を有する、前記印字ヘッドの前記裏側に接着された成形インクマニホールドと、を備えるページ幅インクジェット印字ヘッド組立体。
【請求項18】
前記印字ヘッドは、前記印字ヘッドと前記インクマニホールドとの間でサンドイッチ状に挟まれた接着薄膜によって、前記インクマニホールドに接着される、請求項17に記載の印字ヘッド組立体。
【請求項19】
複数の穴が前記接着薄膜中に画定され、各穴は、インクが前記放出口の1つからインク供給流路に流れることを可能とするように位置決めされる、請求項18に記載の印字ヘッド組立体。
【請求項20】
各放出口および各穴は、インクが前記インクマニホールドから横断ブリッジの両側の2つの流路区間に供給されるように、前記横断ブリッジにわたして位置決めされる、請求項19に記載の印字ヘッド組立体。
【請求項21】
請求項17に記載の前記印字ヘッド組立体を備えるプリンタ。
【請求項22】
ページ幅インクジェットプリンタである、請求項21に記載のプリンタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図22A】
【図22B】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34(A)】
【図34(B)】
【図34(C)】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45A】
【図45B】
【図46A】
【図46B】
【図47】
【図48】
【図49A】
【図49B】
【図49C】
【図50A】
【図50B】
【図51A】
【図51B】
【図51C】
【図52】
【図53】
【図54A】
【図54B】
【図54C】
【図54D】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図22A】
【図22B】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34(A)】
【図34(B)】
【図34(C)】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45A】
【図45B】
【図46A】
【図46B】
【図47】
【図48】
【図49A】
【図49B】
【図49C】
【図50A】
【図50B】
【図51A】
【図51B】
【図51C】
【図52】
【図53】
【図54A】
【図54B】
【図54C】
【図54D】
【公表番号】特表2008−524033(P2008−524033A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547078(P2007−547078)
【出願日】平成17年4月4日(2005.4.4)
【国際出願番号】PCT/AU2005/000481
【国際公開番号】WO2006/066306
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(303024600)シルバーブルック リサーチ ピーティワイ リミテッド (150)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月4日(2005.4.4)
【国際出願番号】PCT/AU2005/000481
【国際公開番号】WO2006/066306
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(303024600)シルバーブルック リサーチ ピーティワイ リミテッド (150)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]