説明

長期間データ表示システム

【課題】広範囲に渡って構成される大量の長期間データを手間や時間を掛けることなく表示できる長期間データ表示システムを提供することにある。
【解決手段】長期間データ選択画面記憶部16に格納された長期間データ選択画面は、横軸を時間軸として長期間データ記憶部に格納された長期間データの期間を圧縮して表示する画面であり、長期間データ表示画面記憶部17に格納された長期間データ表示画面は、長期間データ選択画面上で入力装置14により指定された時間軸の長期間データを拡大表示しその他の長期間データを縮小表示する画面であり、長期間データ表示画面表示手段19は、長期間データ表示画面を入力装置13からの指令により表示装置14に表示し、圧縮拡大表示切替手段20は入力装置13の指令により長期間データ表示画面に表示された長期間データの拡大表示及び縮小表示の表示切替を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長期間のデータを情報視覚化して表示する長期間データ表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力会社向けの電力系統監視制御装置においては、大量のデータをトレンドグラフとして画面に表示している、例えば、電力会社間を繋ぐ連系線は、30分単位に将来の10年分の送電計画を管理している。
【0003】
連系線情報は、30分単位の細かいデータが10年という長期に渡る長期間データで構成されるので、表示装置の画面上に表示する際は、予め表示範囲を指定した一部のデータを表示するようにしている。例えば、表示する期間単位を指定して長期間データの一部を表示するようにしている。
【0004】
図10は、従来の長期間データ表示システムでの表示装置へのデータ表示の一例を示す説明図である。図10(a)、(b)に示すように、表示装置の監視画面に表示したい長期間データを選択するための選択入力エリア11を表示し、この選択入力エリア11に表示したい長期間データの日付や要素を入力する。選択入力エリア11には日付選択入力欄12及び要素選択欄13が設けられており、日付選択入力欄12には長期間データの表示したい日付を入力し、要素選択欄13には表示したい連系系統の需給情報を入力する。そして、表示ボタン14をクリックすると表示装置15に対応した日付のデータが表示される。
【0005】
図10(a)では、2010年1月1日の需給情報Aを入力し表示ボタン14をクリックして2010年1月1日の需給情報Aを表示し、図10(b)では、2010年1月2日の需給情報Bを入力し表示ボタン14をクリックして2010年1月2日の需給情報Bを表示した場合を示している。
【0006】
図11は、選択入力エリア11に日付及び要素を連続して3回入力した場合の表示例であり、図11(a)は、選択入力エリア11に、2010年1月1日及び需給情報A、2010年1月2日及び需給情報A、2010年1月3日及び需給情報Aを連続して入力した場合の表示装置14の表示画面の一例であり、
図11(b)は、選択入力エリア11に、2010年1月1日及び需給情報B、2010年1月2日及び需給情報B、2010年1月3日及び需給情報Bを連続して入力した場合の表示装置14の表示画面の一例である。このように、従来の長期間データ表示システムでは、表示する期間単位を指定して長期間データの一部を表示装置に表示するようにしている。
【0007】
ここで、複数の電力系統監視制御装置をネットワークにより接続し、ある電力系統監視制御装置に所属するMMI(マンマシンインターフェース)装置に表示するウィンドウを他の電力系統監視制御装置のウィンドウとして接続を切替え表示し、自装置が管轄する電力系統範囲とあわせて複数の他の電力系統監視制御装置が管轄する電力系統範囲も監視制御するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−146576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、従来の長期間データ表示システムでは、大量の長期間データを表示する際は、表示すべき需給情報や期間などの表示範囲を指定して表示するものであるので、表示すべきデータが広範囲に渡るもの、例えば、期間が長期に渡るもの、期間が不連続であるもの、期間が明確化してないものなどは、何度も期間を指定し直して表示しなければならない。また、この場合、指定を実施する都度、画面表示内容が切り替わるため、切り替え前のデータと切り替え後のデータを相互に比べる際は何度も指定を繰り返すなど手間と時間を要していた。このように、従来の長期間表示システムは、長期間にわたる大量のデータに対して、所望のデータを容易に表示することができないものであった。
【0010】
本発明の目的は、広範囲に渡って構成される大量の長期間データを手間や時間を掛けることなく表示できる長期間データ表示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る長期間データ表示システムは、長期間データを格納した長期間データ記憶部と、横軸を時間軸として前記長期間データ記憶部に格納された長期間データの期間を圧縮して表示し前記長期間データのうち表示すべき長期間データを選択するための長期間データ選択画面を格納した長期間データ選択画面記憶部と、入力装置からの指令により前記長期間データ選択画面を表示装置に表示する長期間データ選択画面表示手段と、前記長期間データ選択画面上で前記入力装置により指定された時間軸の長期間データを拡大表示しその他の長期間データを縮小表示する長期間データ表示画面を格納した長期間データ表示画面記憶部と、前記長期間データ表示画面記憶部に格納された長期間データ表示画面を前記入力装置からの指令により前記表示装置に表示する長期間データ表示画面表示手段と、前記入力装置の指令により前記長期間データ表示画面に表示された長期間データの拡大表示及び縮小表示の表示切替を行う圧縮拡大表示切替手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、広範囲に渡って構成される大量の長期間データを手間や時間を掛けることなく表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る長期間データ表示システムの実施例1の構成図。
【図2】本発明の実施の形態における長期間データ選択画面記憶部に格納された長期間データ選択画面の一例を示す説明図。
【図3】本発明の実施の形態における表示装置に表示された長期間データ表示画面の一例を示す説明図。
【図4】図3に示した長期間データ表示画面の長期データの圧縮拡大表示の切り替えを行った後の長期間データ表示画面の一例を示す説明図。
【図5】複数の要素の長期間データを一度に表示した長期間データ表示画面の一例を示す説明図。
【図6】長期間データDaを拡大表示したまま長期間データDbを拡大表示した場合の長期間データ表示画面の一例を示す説明図。
【図7】本発明の実施の形態に係る長期間データ表示システムの実施例2の構成図。
【図8】本発明の実施例2における長期間データ表示画面の一例を示す説明図。
【図9】本発明の実施例2におけるスライダーバーにより閾値を変更した場合の長期間データ表示画面の一例を示す説明図。
【図10】従来の長期間データ表示システムでの表示装置へのデータ表示の一例を示す説明図。
【図11】従来の長期間データ表示システムでの長期データの表示例の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の実施の形態に係る長期間データ表示システムの実施例1の構成図である。本発明の長期間データ表示システムはコンピュータで構成され、演算制御装置11、記憶装置12、入力装置13及び表示装置14を有している。
【0015】
記憶装置12は、長期間データを格納した長期間データ記憶部15と、長期間データのうち表示すべき長期間データを選択するための長期間データ選択画面を格納した長期間データ選択画面記憶部16と、長期間データを表示するための長期間データ表示画面を格納した長期間データ表示画面記憶部17とを有する。
【0016】
また、演算制御装置11は、入力装置13からの指令により長期間データ選択画面を表示装置14に表示する長期間データ選択画面表示手段18と、入力装置13からの指令により表示装置14に長期間データ表示画面を表示する長期間データ表示画面表示手段19と、入力装置13の指令により長期間データ表示画面に表示された長期間データの拡大表示及び縮小表示の表示切替を行う圧縮拡大表示切替手段20とを有している。
【0017】
まず、長期間データが一つの要素である場合について説明する。例えば、一つの連系線の需給情報Aが長期間データ記憶部15に格納されている場合について説明する。
【0018】
この場合、長期間データ記憶部15には需給情報Aについての長期間データが長期間の時系列データとして格納されている。
【0019】
図2は、長期間データ選択画面記憶部16に格納された長期間データ選択画面の一例を示す説明図である。図2に示すように、長期間データ選択画面21は、横軸を時間軸として長期間データの期間を圧縮して表示される画面である。すなわち、横軸にFish Eye Menuを構成し、魚眼アルゴリズムを適用した情報視覚化技術を適用している。情報視覚化 (Information Visualization)は、大量の抽象的な情報を効果的に表示することでユーザへ情報の理解や操作を助ける新しい概念である。
【0020】
長期間データ選択画面21を表示するにあたっては、入力装置13から演算制御装置11の長期間データ選択画面表示手段18を起動する。長期間データ選択画面表示手段18は起動が掛けられると、図1に示す長期間データ選択画面を長期選択画面記憶部16から取り出し表示装置14に表示する。この長期間データ選択画面は、前述したように横軸を時間軸として長期間データの期間を圧縮して表示される画面であり、操作員は、表示したい期間の長期間データを長期間データ選択画面の時間軸上で入力装置13により指定する。
【0021】
そうすると、長期間データ表示画面表示手段19が起動され、長期間データ表示画面表示手段19は、長期間データ表示画面上に指定された時間軸の長期間データを長期間データ記憶部15から取り出すとともに、長期間データ表示画面記憶部17から長期間データ表示画面を取り出し、長期間データ表示画面上に取り出した長期間データを含ませて表示装置14に表示する。
【0022】
図3は、表示装置14に表示された長期間データ表示画面22の一例を示す説明図である。長期間データ表示画面表示手段19は、図3に示すように、長期間データ表示画面22を表示装置14に表示する際には、入力装置13で指定された時間軸の長期間データD1を拡大表示し、その他の長期間データD2〜Dnを縮小表示する。そして、この状態で、長期間データD2を拡大表示したい場合には、長期間データD2を入力装置13で指定する。
【0023】
これにより、圧縮拡大表示切替手段20が起動され、圧縮拡大表示切替手段20は、図4に示すように、入力装置13で指定された長期間データD2を拡大表示し、長期間データD1及び長期間データD3〜Dnを縮小表示する。
【0024】
以上の説明では、長期間データの要素が連系系統の需給情報である場合について説明したが、基本的に時間軸を横軸に持つ情報に対して有効であり、例えば、降雨量や医療における血圧記録表などにも適用できる。これにより、長期間データの全体の傾向から突出した情報を把握し、詳細な情報を有効に把握することができる。
【0025】
また、以上の説明では、長期間データが一つの要素である場合について説明したが、複数の要素に対しても適用できる。複数の要素の場合には、長期間データ記憶部15には複数の要素ごとの長期間データが格納される。この場合、長期間データ表示画面には複数の要素毎の長期間データが一度に表示されるように長期間データ表示画面を構成する。つまり、入力装置13で指定された要素の長期間データは拡大表示されるように、その他の長期間データは縮小表示されるように長期間データ表示画面は構成される。そして、圧縮拡大表示切替手段20は、入力装置で選択された要素の長期間データの拡大表示及び縮小表示の表示切替を行う。
【0026】
図5は複数の要素の長期間データを一度に表示した長期間データ表示画面22の一例を示す説明図である。図5では、3個の要素の長期データDa、Db、Dcが表示された場合を示している。図3に示した長期間データ表示画面22に対し、長期間データ表示画面22の下部に複数の要素の長期データDb、Dcが縮小表示されている。すなわち、入力装置13で選択された要素の長期間データDaは拡大表示されており、その他の要素の長期データDb、Dcが縮小表示されている。
【0027】
そして、この状態で、長期間データDbを拡大表示したい場合には、長期間データDbを入力装置13で指定する。これにより、圧縮拡大表示切替手段20が起動され、圧縮拡大表示切替手段20は、入力装置13で指定された長期間データDbを拡大表示する。
【0028】
図6は、長期間データDaを拡大表示したまま長期間データDbを拡大表示した場合の長期間データ表示画面22の一例を示す説明図である。長期間データDaを拡大表示したままとするか、長期間データDbを拡大表示した場合には縮小表示するかは、入力装置13からの指令により選択する。2つの長期間データの要素を拡大表示した場合には、それらの要素の長期間データを容易に比較できる。複数の要素(連系線)を比較して表示させることができるので活用範囲が広がる。
【0029】
図7は本発明の実施の形態に係る長期間データ表示システムの実施例2の構成図である。この実施例2は、図1に示した長期間データ表示システムに対し、入力装置13から長期間データの閾値が設定されたとき、長期間データがその閾値を満たす期間を検索するデータ検索手段23を追加して設け、長期間データ表示画面表示手段19は、データ検索手段23で検索された長期間データがその閾値を満たす期間を長期間データ表示画面22上に表示するようにしたものである。
【0030】
図8は実施例2における長期間データ表示画面22の一例を示す説明図である。図8では、複数の要素の長期間データを一度に表示した長期間データ表示画面22を示している。長期間データ表示画面表示手段19は、長期間データ表示画面22上に長期間データの閾値を設定するためのスライダーバー24を表示する。そして、入力装置13からスライダーバー24の操作により長期間データの閾値が設定されたとき、データ検索手段23は拡大表示されている長期間データDaからその閾値を満たす期間を検索する。例えば、長期間データの閾値として連系線の空容量割合(10%)が設定されたとすると、データ検索手段23は拡大表示されている長期間データDaからその連系線の空容量割合(10%)を満たす長期間データの期間を検索する。長期間データ表示画面表示手段19は、データ検索手段23で検索された長期間データがその閾値である連系線の空容量割合(10%)を満たす期間をマーク25として長期間データ表示画面22上に表示する。
【0031】
図9はスライダーバー24により閾値を変更した場合の長期間データ表示画面22の一例を示す説明図である。スライダーバー24により閾値である連系線の空容量割合を10%から3%に変更すると、マーク25は、スライダーバー24と連動した空容量割合に該当する期間を示す。
【0032】
これにより、参照頻度の高い情報をフィルタリングで示すことができ、長期間のデータから目的とする期間を探し出すことができる。例えば、連系線においては、連系線の空容量の有無に対する確認頻度が高く、それをスライダーバー24の操作だけで、空容量に余裕のない連系線の存在や空容量に余裕のない連系線の該当期間を一目で確認することが可能となる。
【0033】
以上述べたように、本発明の実施の形態によれば、長期間にわたる大量のデータに対して、一度にすべての情報を表示することができ、広範囲に渡って構成される大量のデータの確認を手間も時間も掛けずに行える。
【符号の説明】
【0034】
11…演算制御装置、12…記憶装置、13…入力装置、14…表示装置、15…長期間データ記憶部、16…長期間データ選択画面記憶部、17…長期間データ表示画面記憶部、18…長期間データ選択画面表示手段、19…長時間データ表示画面表示手段、20…圧縮拡大表示切替手段、21…長期間データ選択画面、22…長期間データ表示画面、23…データ検索手段、24…スライダーバー、25…マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長期間データを格納した長期間データ記憶部と、横軸を時間軸として前記長期間データ記憶部に格納された長期間データの期間を圧縮して表示し前記長期間データのうち表示すべき長期間データを選択するための長期間データ選択画面を格納した長期間データ選択画面記憶部と、入力装置からの指令により前記長期間データ選択画面を表示装置に表示する長期間データ選択画面表示手段と、前記長期間データ選択画面上で前記入力装置により指定された時間軸の長期間データを拡大表示しその他の長期データを縮小表示する長期間データ表示画面を格納した長期間データ表示画面記憶部と、前記長期間データ表示画面記憶部に格納された長期間データ表示画面を前記入力装置からの指令により前記表示装置に表示する長期間データ表示画面表示手段と、前記入力装置の指令により前記長期間データ表示画面に表示された長期間データの拡大表示及び縮小表示の表示切替を行う圧縮拡大表示切替手段とを備えたことを特徴とする長期間データ表示システム。
【請求項2】
前記長期間データ記憶部は複数の要素ごとの長期間データを格納し、前記長期間データ表示画面は、複数の要素毎の長期間データのうち前記入力装置で指定された要素の長期間データは拡大表示しその他の長期データを縮小表示するように構成され、前記圧縮拡大表示切替手段は、前記入力装置で選択された要素の長期間データの拡大表示及び縮小表示の表示切替を行うことを特徴とする請求項1記載の長時間データ表示システム。
【請求項3】
前記長期間データ表示画面表示手段は、前記長期間データ表示画面上に前記長期間データの閾値を設定するためのスライダバーを表示し、前記入力装置からスライダバーの操作により前記長期間データの閾値が設定されたとき、前記長期間データがその閾値を満たす期間を検索するデータ検索手段を設け、前記長期間データ表示画面表示手段は、前記データ検索手段で検索された前記長期間データがその閾値を満たす期間を前記長期間データ表示画面上に表示することを特徴とする請求項1または2記載の長時間データ表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−197773(P2011−197773A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61107(P2010−61107)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000221096)東芝システムテクノロジー株式会社 (117)
【Fターム(参考)】