説明

長繊維又はテープ状物含有模様紙

【課題】抄紙工程における長繊維やテープ状物の突き刺さりや引っかかりを原因とする表面不良がなく、しかも所望の位置に長繊維が配置されている模様紙の提供。
【解決手段】本発明は、木材パルプを主成分とする表面層および裏面層で構成された模様紙であって、前記表面層および裏面層の接合面に、長さ5〜200mm、直径10〜100μmの長繊維、および長さ5〜200mm、幅0.5〜15mmのテープ状物から選ばれた少なくとも1種が、1m2当り10〜500,000本の繊維密度で分散していることを特徴とする模様紙を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は銀行券、株券、商品券、入場券、その他の有価証券といった偽造防止を必要とする印刷用紙あるいは便箋、封筒、包装紙といった装飾用紙等の模様紙、並びにそのような模様紙を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
銀行権、株券といった有価証券など、金銭的価値を有する紙類は偽造防止、改ざん防止が必要とされる。特に近年のカラーコピーやカラースキャナー等による複製技術の進歩に伴い、各種の有価証券類が簡単に偽造される危険性が高まってきている。また、便箋、封筒、包装紙などの装飾紙は美観をさらに高めるための様々な工夫が行われている。偽造・改ざん防止や美観の向上のためには、例えば印刷用紙を構成する基材繊維に磁気を帯びた繊維、着色繊維、蛍光繊維、ガラス繊維等といった特殊繊維を混在させる方法が試みられている。これらを混抄するには紙料調合時に混合して抄造する方法がある(例えば、特許文献1)。
【0003】
従来から行われている同一抄紙機にてパルプと長繊維の混合スラリーを円網にて抄き上げる方式では、円網シリンダーメッシュに長繊維が突き刺さったり引っかかったりして、その箇所にパルプ繊維が乗りにくくなり、製品の表面性に悪影響をきたし、製品の均質性が得られない欠点がある。また、パルプと長繊維を混合して抄き上げる方式は、抄紙機の全幅方向(抄き幅)に長繊維が散乱して抄き込まれ、長繊維の配置の規則性を得ることができない。さらに、用紙全体を必要寸法に断裁した時に、用紙端面(抄紙流れ方向)から長繊維の飛び出しが認められることがあり、用紙を素手で揃えたりする際、飛び出た長繊維で手を負傷してしまうことがある。特許文献2では繊維の配置に規則性をもたせるため、繊維の抄き込み位置、抄き込み幅、繊維の量を制御して抄造を行っている。しかしながら、この方法でも同一抄紙機においてパルプ試料に長繊維の供給を行っており、円網シリンダーメッシュにおける長繊維の突き刺さりや引っかかりは避けられないと考えられる。
【0004】
【特許文献1】特開平4−174793号公報
【特許文献2】特開平5−098055号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
抄紙工程における長繊維やテープ状物(以下、まとめて「長繊維等」と称する場合もある)の突き刺さりや引っかかりを原因とする表面不良がなく、しかも所望の位置に長繊維が配置されている模様紙を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明においては、同一抄紙機にてパルプと金属繊維のような長繊維等の混合スラリーを抄き上げる代わりに、パルプ使用抄紙機と長繊維等抄き上げ抄紙機を分けることにより、抄紙工程の際の長繊維等の突き刺さりや引っかかりを解消し、製品表面性への悪影響をなくすとともに、用紙サイズに合わせてテープ状物の投入ノズル位置を変えることにより、用紙の所望の位置に長繊維等を抄き込むことが可能となり、例えば用紙端面からの長繊維等の飛び出しの解消が図られる。
【0007】
本願は以下の発明を包含する。
[1]木材パルプを主成分とする表面層および裏面層で構成された模様紙であって、前記表面層および裏面層の接合面に、長さ5〜200mm、直径10〜100μmの長繊維、および長さ5〜200mm、幅0.5〜15mmのテープ状物から選ばれた少なくとも1種が、1m2当り10〜500,000本の繊維密度で分散していることを特徴とする模様紙。
[2]前記長繊維の比重が1〜10である[1]の模様紙。
[3]前記長繊維が、天然繊維、合成繊維、金属繊維、磁気繊維、導電性繊維および無機繊維から選ばれた少なくとも1種である[1]または[2]の模様紙。
[4]模様紙全体に対する前記長繊維および/またはテープ状物の含有量が、0.1〜16質量%である[1]〜[3]のいずれかの摸様紙。
[5]前記表面層および/または裏面層を構成する紙層が、多層抄き合されたものである[1]の模様紙。
[6]木材パルプを主成分とする表面層を抄紙する表面層抄紙工程、木材パルプを主成分とする裏面層を抄紙する裏面層抄紙工程、前記表面層抄紙工程と裏面層抄紙工程との間に、長さ5〜200mm、直径10〜100μmの長繊維、および長さ5〜200mm、幅0.5〜15mmのテープ状物から選ばれた少なくとも1種を含む分散体を抄紙機のヘッドに供給する供給工程、前記分散体中の分散媒を除去する分散媒除去工程、および前記表面層および/または裏面層との接合面に前記分散物を1m2当り10〜500,000本の繊維密度で抄き合せる工程を含むことを特徴とする模様紙の製造方法。
[7]前記抄き合せ工程が、円網抄紙機、短網抄紙機および傾斜ワイヤー抄紙機から選ばれた少なくとも1種により抄き合せるものである[6]の模様紙の製造方法。
[8]前記分散体の供給方式が、複数の投入ノズルによる方式、ダイヘッド方式およびダム方式から選ばれた少なくとも1種である[6]または[7]の模様紙の製造方法。
[9]前記表面層および/または裏面層を構成する紙層が、多層抄き合せたものである[6]の模様紙の製造方法。
[10]前記供給工程が、抄紙幅方向の所定の位置で、分散体が連続的に供給されるものである[6]〜[9]のいずれかの模様紙の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
表面が均質であり、所望の位置に長繊維等が配置された模様紙が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係る模様紙には、長繊維等で模様の施されたあらゆる紙類が含まれ、例えば紙幣、株券、商品券、小切手・手形用紙といった有価証券、各種権利書、プリペイドカード、クレジットカード、入場券、各種交通手段の搭乗券、通行券、旅券、身分証明書、保険証など、金銭的価値を有する又は身分・権利を保証する重要な用途の書類やカードであって、長繊維等により施された模様によりその真正さが証明されるものや、主として装飾目的で長繊維等により模様の施されたもの、例えば便箋、封筒、包装紙、紙袋、などが挙げられるが、特にそれに限定されるものではない。
【0010】
本発明に用いる紙を製造するために用いられるパルプは、通常の印刷用紙、情報記録用紙、包装用紙などに使用されるパルプであれば特に制限はない。KP、SPのような化学パルプ、SGP、RGP、BCTMP、CTMP等の機械パルプや、ECFパルプやTCFパルプ等の塩素フリーパルプ、脱墨パルプのような古紙パルプのいずれでも良く、これらが混合して配合されたものであっても良い。また、必要に応じて、合成繊維、無機繊維などが混合されていても良い。森林資源保護の点より、森林認証された認証林、植林木又は間伐材のチップから得たパルプが好ましく使用出来る。
【0011】
紙状基材中には、必要に応じて填料、歩留向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤、定着剤、内添サイズ剤、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙用内添助剤や細分化した植物繊維、ICチップ等を適宜配合することができる。なお、填料としては、特に限定するものではないが、一般に上質紙に用いられる各種の顔料、例えばカオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、タルク、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、ホワイトカーボン、ベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スメクタイト等の鉱物質顔料や、ポリスチレン系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂等の有機顔料系の密実型、微小中空型、貫通孔型の粒子を挙げることが出来る。
【0012】
本発明に使用する長繊維又はテープ状物は紙中に良好に分散させることのできる形状のものあればよく、その種類は特に制限されず、目的に応じ様々なものであってもよく、例えばセルロース等の天然繊維、レーヨン等の再生繊維、ポリエステルやポリアミド等の合成繊維、鉄、ニッケル、クロム、各種の鋼材、銅、銀、亜鉛、アルミニウムなど金属繊維、磁気繊維、導電性繊維、ガラスやセラミック等の無機繊維、炭素繊維など、またはそれらの混合物であってよい。長繊維等の長さは3〜250mm程度、好ましくは5〜200mm程度である。長さが3mm未満であると、装飾性が劣ることがあり、好ましくなく、また長さが250mmを越えると、繊維同士の絡まりが発生することがあり、好ましくない。また、長繊維の場合、その直径は5〜120μm程度、好ましくは10〜100μm程度である。直径が5μm未満であると、装飾性が劣ることがあり、好ましくなく、また直径が120μmより大きいと、模様紙の平滑性が劣ることがあり、好ましくない。また、テープ状物の場合、その幅は0.3〜20mm程度、好ましくは0.5〜15mm程度である。その幅が0.3mm未満であると、テープが切断することがあり、好ましくなく、また幅が20mmを越えると、模様紙の平滑性が劣ったり、またパルプ同士の層間の接着を阻害することがあり、好ましくない。
【0013】
本発明の模様紙に配合される長繊維又はテープ状物の量は特に制限されるものではなく、用紙単位において少なくとも1本含まれていればその目的は達成されるが、通常は用紙1m2当たり1本〜1,000,000本、好ましくは10本〜500,000本程度である。用紙1m2当たりの本数が多すぎると、長繊維又はテープ状物密度が高すぎてしまい、紙の諸性質、例えば外観、平滑性が損なわれることがある。
【0014】
本発明の模様紙の製造は、パルプ使用抄紙機と長繊維やテープ状物抄き上げ抄紙機を分けることを特徴とする。詳しくは、本発明の模様紙は、
(1)木材パルプを主成分とする表面層を抄紙する表面層抄紙工程、
(2)木材パルプを主成分とする裏面層を抄紙する裏面層抄紙工程、
(3)前記表面層抄紙工程と裏面層抄紙工程との間に、長繊維及び/またはテープ状物を含む分散体を抄紙機のヘッドに供給する供給工程、
(4)前記分散体中の分散媒を除去する分散媒除去工程、および
(5)前記表面層および/または裏面層との接合面に前記分散物を抄き合せる工程;
を含むことを特徴とする模様紙の製造方法により製造される。
【0015】
上記方法において、工程(1)〜(3)は独立の槽の中で行われる。工程(1)及び(2)を行う順番には特に制限はなく、工程(1)、(2)のいずれを先に行ってもよいが、工程(3)は必ず工程(1)と(2)との間で行われるようにする。このような順番とすることで、表面層と裏面層の間に長繊維又はテープ状物を抄き込むことが可能となる。また、工程(1)と(2)の間に、工程(3)ではない抄紙工程を含ませ、さらなる紙層を模様紙の表面層と裏面層の間に設けてもよい。これにより表面層及び/又は裏面層を構成する紙層が多層抄き合せたものにすることができる。
【0016】
図1は本発明の実施例を示す概略図である。第一槽1において表面層抄紙工程(1)が実施され、第二槽2において長繊維等を含む分散体が供給ノズル4で供給される。第三槽3において裏面層抄紙工程(3)が実施され、その後乾燥ゾーン、サイズプレス、乾燥ゾーン(図示せず)に送られ、長繊維等の抄き込まれた模様紙が製造される。図2は長繊維等含む分散体の供給槽を示す。
図2において、5は円網槽であり、6は円網、4は長繊維等を含有する紙料を流し込むノズル、7は長繊維等を含有する紙料を送り込むホースである。
【0017】
長繊維等を含有する分散体の流量を調整し、余分な分散体はオーバーフロー管を通って排出される。流量の調整された分散体は、ホース7を通り、分散体を流し込むノズル4から円網槽5の円網6へ流し込まれる。この時、ノズル4及びその分散体を送り込むホース7の内径並びに分散体の流量を調整することにより、長繊維等の抄き込み位置や幅を自由に制御することができる。分散体を円網上に直接、ほぼ水平方向に供給されると、長繊維やテープ状物が円網に刺さることが無く好ましい。円網は、通常、抄紙の流れ方向に対して順転をなすことが好ましい。
分散体に使用する分散媒は特に制限されるものではなく、水などであってよい。また、他の抄紙機槽と同様に、パルプが混入してよいが、その濃度は他の槽と比べ希薄である方が好ましい。
【0018】
紙層の抄紙方法については特に限定するものではなく、例えば抄紙pHが4.5付近である酸性抄紙法、また中性サイズ剤および/または炭酸カルシウム等のアルカリ性填料を主成分として含み、抄紙pH約6の弱酸性から抄紙pH約9の弱アルカリ性の中性抄紙法等、全ての抄紙方法に適用することができ、抄紙機も長網抄紙機、短網抄紙機、傾斜ワイヤー抄紙機、円網抄紙機等の、当業界公知の抄紙機を単独、または適宜、組合せて使用することができる。上述の方法によって、得られた模様紙は、シルクスクリーン、パッド、オフセット、レタープレス、フレキソ、グラビア等の印刷方式はもとより、インクジェット方式、電子写真方式や熱転写方式等のノンインパクトプリンティング方式の画像記録用紙として用いることも出来る。
【実施例】
【0019】
実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこの例によってなんら限定されるものではない。
【0020】
実施例1
直径12ミクロンのニッケル繊維(ベカルトS.A.製。商品名:BEKIPOR ST Nickel)を長さ50mmに断裁し、攪拌機で攪拌しながら水中に均一分散し、0.5質量%相当の水分散液を得た。
この分散液を図1又は更に詳しくは図2に示す長繊維分散液供給機の3本の投入ノズル4を用いて、4槽式円網多筒抄紙機の第3槽目の円網5上に直接供給した。
円網抄紙機の第2、4槽目(図1の槽1、3に相当)には、次に示す原料パルプを供給し、通常の抄紙法で紙層を形成し、第2、3、4槽目(図1の槽1、2、3に相当)の順で抄き合わせ、乾燥ゾーン、サイズプレス、乾燥ゾーンを通過させ、長繊維を抄き込んだ模様紙を得た。第1槽目は使用しなかった。
LBKP(広葉樹) 80質量部
NBKP(針葉樹) 20質量部
ロジン系サイズ剤 0.3質量部
硫酸バンド 1.8質量部
このときのCSF(Canadian Standard of Freeness)は500mlに調整。
この際、サイズプレスでは以下のサイズ剤を両面合せて乾燥質量で2g/m2になるように塗工した。
でんぷん(王子コーンスターチ(株)製。商品名:エースA) 6.5質量%溶液
得られた模様紙を幅方向2枚になるようにシート状に断裁した後、23℃、50%RH環境下に24時間調湿した。この模様紙の質量は104.2g/m2であった。
別に、第2、4槽目で形成された紙層のみを抄き合わせずに採取して、乾燥、シート化後、23℃、50%RH環境下に24時間調湿して質量を測定したところ、それぞれ51g/m2であった。
【0021】
実施例2
実施例1の長繊維分散液供給機のヘッドの部分の投入ノズルを3本から2本に変更し、抄紙後の模様紙を幅方向2枚のシートに断裁する際に、幅方向端部にあたる部分には長繊維が抄き込まれないように調整した以外は、実施例1と同様にして模様紙を得た。
実施例2ではシートの流れ方向に並行な端部を触るとニッケル繊維のほつれが生じなかった。
【0022】
実施例3
厚さ25ミクロンのアルミ蒸着PETフィルム((株)麗光製。商品名:ダイアラスター)を幅2mmにスリットしたものを長さ15mmに断裁し、攪拌機で攪拌しながら水中に均一分散し、0.15質量%相当の水分散液とした。
この分散液を図3に示す長繊維分散液供給機にてスライス状ヘッド9を用い、4槽式円網多筒抄紙機の第3槽(図1の槽2に相当)目の円網上に直接供給した。
それ以外は実施例1と同様にして模様紙を得た。
【0023】
実施例4
実施例3の第1槽(図1には示していない)目にも第2、4槽(図1の槽1、3に相当)目と同じパルプ原料を供給し、通常の抄紙法で紙層を形成し、第1、2、3、4槽目の順で抄き合わせ、乾燥ゾーン、サイズプレス、乾燥ゾーンを通過させ、模様紙を得た。但し第1、2、4槽で形成される紙層はそれぞれ34g/m2に調整した。
【0024】
比較例1
実施例1の長繊維分散液供給機からの長繊維分散液の供給を第3槽(図1の槽2に相当)の槽内とし、第3槽には第2、4槽(図1の槽1、3に相当)と同様の原料パルプを供給し、第2、3、4槽目の順で抄き合わせ、乾燥ゾーン、サイズプレス、乾燥ゾーンを通過させ、模様紙を得た。但し、第2、3、4槽で形成される紙層はそれぞれ34g/m2に調整した。
この方法では抄紙開始後から第2槽中の長繊維が第2槽の円網に刺さり始め、その長繊維に原料パルプがからんで剥離せず、抄紙された模様紙に目玉状の欠陥部分を発生した。
【0025】
比較例2
実施例1の第4槽目も使用せず、第2、3槽目の順で抄き合わせて模様紙を得た。
【0026】
実施例1〜4、比較例1及び2で得られた模様紙を下記評価方法で評価した。
【0027】
[操業性]
原料パルプと長繊維等が混在して抄き上げる場合、下記のように評価した。
良:円網に長繊維等の刺さりが無い、または刺さったものが抜けやすく、模様紙に欠陥部が発生せず、操業上問題ない。
不良:円網に長繊維等の刺さり、または刺さったものが抜け難く、模様紙にピンホール白抜け、目玉や長繊維のヨレ等が発生し、厚さ不良や平滑不良が発生し、操業上も問題あり。
【0028】
[印刷品質]
UVオフセット印刷機MVF18B型(ミヤコシ社製)でUVインキRMC(T&KTOKA製)を用い、23℃、50%RHの環境下で墨、藍、紅、黄の順で120m/minの印刷速度で、模様紙の表面を500m印刷後、裏面を500m印刷した。印刷したUVインキは、UVランプの照射量160w/cmの条件で、硬化させた。得られた印刷物の品質を、下記の評価基準で評価した。
良:両面とも目立った印刷欠陥が観られない。
不良:白抜けが発生し、実用上問題がある。
【0029】
[断裁面の長繊維のほつれ]
得られた模様紙を所定の寸法に断裁する際に、断裁紙端面からの長繊維等の飛び出しの有無を評価した。
無し:断裁紙端面からの長繊維等の飛び出しが無く、良好。
有り:断裁紙端面からの長繊維等の飛び出しが有り、長繊維等のほつれが発生。
【0030】
以上の評価結果を表1に示す。
【0031】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る長繊維の紙層間への抄き合わせ方法を示す。
【図2】長繊維分散液供給機からの長繊維分散液の供給を行う槽を示す。
【図3】スライス状ヘッドから分散液を供給する状況を示す。
【図4】スライス状ヘッドの側面図。
【符号の説明】
【0033】
1 第一槽
2 第二槽
3 第三槽
4 ノズル
5 円網槽
6 円網
7 ホース
8 分散体供給口
9 スライス状ヘッド
10 分散体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材パルプを主成分とする表面層および裏面層で構成された模様紙であって、前記表面層および裏面層の接合面に、長さ5〜200mm、直径10〜100μmの長繊維、および長さ5〜200mm、幅0.5〜15mmのテープ状物から選ばれた少なくとも1種が、1m2当り10〜500,000本の繊維密度で分散していることを特徴とする模様紙。
【請求項2】
前記長繊維の比重が1〜10である請求項1記載の模様紙。
【請求項3】
前記長繊維が、天然繊維、合成繊維、金属繊維、磁気繊維、導電性繊維および無機繊維から選ばれた少なくとも1種である請求項1または2記載の模様紙。
【請求項4】
模様紙全体に対する前記長繊維および/またはテープ状物の含有量が、0.1〜16質量%である請求項1〜3のいずれか1項記載の摸様紙。
【請求項5】
前記表面層および/または裏面層を構成する紙層が、多層抄き合されたものである請求項1記載の模様紙。
【請求項6】
木材パルプを主成分とする表面層を抄紙する表面層抄紙工程、木材パルプを主成分とする裏面層を抄紙する裏面層抄紙工程、前記表面層抄紙工程と裏面層抄紙工程との間に、長さ5〜200mm、直径10〜100μmの長繊維、および長さ5〜200mm、幅0.5〜15mmのテープ状物から選ばれた少なくとも1種を含む分散体を抄紙機のヘッドに供給する供給工程、前記分散体中の分散媒を除去する分散媒除去工程、および前記表面層および/または裏面層との接合面に前記分散物を1m2当り10〜500,000本の繊維密度で抄き合せる工程を含むことを特徴とする模様紙の製造方法。
【請求項7】
前記抄き合せ工程が、円網抄紙機、短網抄紙機および傾斜ワイヤー抄紙機から選ばれた少なくとも1種により抄き合せるものである請求項6記載の模様紙の製造方法。
【請求項8】
前記分散体の供給方式が、複数の投入ノズルによる方式、ダイヘッド方式およびダム方式から選ばれた少なくとも1種である請求項6または7記載の模様紙の製造方法。
【請求項9】
前記表面層および/または裏面層を構成する紙層が、多層抄き合せたものである請求項6記載の模様紙の製造方法。
【請求項10】
前記供給工程が、抄紙幅方向の所定の位置で、分散体が連続的に供給されるものである請求項6〜9のいずれか1項記載の模様紙の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−303034(P2007−303034A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−133725(P2006−133725)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【出願人】(000191320)王子特殊紙株式会社 (79)
【出願人】(000122298)王子製紙株式会社 (2,055)
【Fターム(参考)】