説明

門扉の制動装置

【課題】ゴムのように変形しない金属等の硬質製の車輪であっても、車輪がロックして滑走しないように制動する門扉の制動装置を提供する。
【解決手段】制輪子22と回転体21と付勢手段23とを備えており、制輪子22と回転体21とが滑り始めるときの最大制動トルクTmaxが、車輪Wと接地面とが滑り始めるときの最大静止トルクTsmaxよりも小さい。車輪Wと接地面との摩擦力で生じるトルクTsが最大制動トルクTmaxを超えているときに、回転体21が制輪子22に対して摺動回転し、車輪Wがロックして滑走することがない。車輪Wと接地面との摩擦に加えて、摺動回転による摩擦が働くことにより、門扉Gを早期に停止させることができる。門扉Gが支柱や車両等に衝突するおそれがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、門扉の制動装置に関する。さらに詳しくは、地面やレール等の上を転動する車輪を備える門扉に取り付けられ、門扉の移動を制動する制動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
門扉には、その移動を円滑に保つため、また、門扉の重量を支持するために、地面やレール等の上を転動する車輪を備えているものがある。
このような門扉は、車輪を設けたことによって移動が円滑となるが、移動抵抗が小さいため移動速度が高速になるおそれがある。特に、重量が重い門扉の場合、一旦移動しはじめると、慣性力が働いて、停止させるのに大きな力を必要とする。そのため、勢いよく門扉を移動させると、制御ができず、門扉が戸当り柱に衝突して、門扉の破損、故障等を招くおそれがあった。
また一般に、門扉は、閉じた状態、開けた状態において、鎌錠や路面に設けた穴に金属製の棒を挿入する所謂落し錠等で移動しないように固定できるが、施錠をし忘れた場合、特に強風のときに、風圧を受けて門扉が勝手に移動する場合があり、門を通ろうとする人や車両等に衝突したり、門扉が支柱に衝突して破損、故障を招くおそれがあった。
【0003】
そこで、車輪に制動装置を取り付けて、門扉の移動速度が高速にならないようにし、また、門扉を開けた状態でも固定できるようにする技術が考案されている(特許文献1,2,3)。
【0004】
しかるに、従来の制動装置は車輪を完全に停止することを目的としていたため、門扉に働く外力が強いと、車輪がロックした状態で滑走し、門扉の停止までの距離が大きくなり、門扉が支柱や車両等に衝突するおそれがあるという問題がある。これは、門扉に取り付けられる車輪はステンレス製のものが多く、接地面との摩擦が小さいためである。特に雨や雪が降ったときには、さらに車輪と接地面との摩擦が小さくなり、より門扉が滑走しやすくなる。また、接地面との摩擦抵抗を増やす目的から、車輪をゴム材料にて形成したものもあるが、長期間門扉を移動せずに放置しておくと、門扉の自重によって地面と接地する車輪のゴム部分が変形し、門扉の開閉に際して変形した車輪を転動することになり、品質感の悪い動作を呈するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4094579号公報
【特許文献2】特許第4182021号公報
【特許文献3】特許第4374318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、ゴムのように変形しない金属等の硬質製の車輪であっても、車輪がロックして滑走しないように制動する門扉の制動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明の門扉の制動装置は、門扉に取り付けられた車輪を制動する制動装置であって、該制動装置の最大制動トルクが、前記車輪と接地面とが滑り始めるときの最大静止トルクよりも小さく、前記車輪と接地面との摩擦力で生じるトルクが前記最大制動トルクを超えているときに、前記車輪を摺動回転させることを特徴とする。
第2発明の門扉の制動装置は、第1発明において、前記最大制動トルクが、前記車輪と接地面との動摩擦力で生じる動トルクよりも小さいことを特徴とする。
第3発明の門扉の制動装置は、門扉に取り付けられた車輪を制動する制動装置であって、制輪子と、前記車輪の回転に伴って前記制輪子と相対的に回転する回転体と、前記制輪子に前記回転体に対する制動力を付勢する付勢手段とを備えており、前記制輪子と前記回転体とが滑り始めるときの最大制動トルクが、前記車輪と接地面とが滑り始めるときの最大静止トルクよりも小さいことを特徴とする。
第4発明の門扉の制動装置は、第3発明において、前記最大制動トルクが、前記車輪と接地面との動摩擦力で生じる動トルクよりも小さいことを特徴とする。
第5発明の門扉の制動装置は、第3または第4発明において、前記制動力を調整する制動力調整手段を備えることを特徴とする。
第6発明の門扉の制動装置は、第3,第4または第5発明において、前記制動装置の制動を解除する解除手段を備えることを特徴とする。
第7発明の門扉の制御装置は、第3または第4発明において、前記回転体が前記車輪の車軸に固定されており、前記制輪子が前記車軸に回転自在に嵌められており、前記付勢手段がバネであることを特徴とする。
第8発明の門扉の制動装置は、第7発明において、前記バネの前記制輪子と反対側の端部の位置を調整する制動力調整手段を備えることを特徴とする。
第9発明の門扉の制動装置は、第7または第8発明において、前記制輪子は、前記回転体に接するゴム円板と、該ゴム円板に前記バネの付勢を伝達する円筒体とからなることを特徴とする。
第10発明の門扉の制動装置は、第9発明において、前記円筒体に円周方向に終端を有する溝が形成されており、該溝にストッパピンを挿入、抜去する解除手段を備えることを特徴とする。
第11発明の門扉の制動装置は、第10発明において、前記解除手段は、前記ストッパピンと、門扉の把手と、該ストッパピンと該門扉の把手とを接続するコントロールケーブルとを備え、前記門扉の把手の操作によって、前記ストッパピンが前記溝に挿入、抜去されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第1発明によれば、車輪と接地面との摩擦力で生じるトルクが最大制動トルクを超えているときに、車輪を摺動回転させるので、車輪がロックして滑走することがない。また、車輪と接地面との摩擦に加えて、摺動回転による摩擦が働くことにより、門扉を早期に停止させることができる。そのため、門扉が支柱や車両等に衝突するおそれがない。
第2発明によれば、最大制動トルクが動トルクよりも小さいので、一旦車輪がロックして滑走したとしても、すぐに車輪が摺動回転するようになり、滑走し続けることがない。
第3発明によれば、最大制動トルクが、車輪と接地面とが滑り始めるときの最大静止トルクよりも小さいので、車輪と接地面との摩擦力で生じるトルクが最大制動トルクを超えているときに、回転体が制輪子に対して摺動回転し、車輪がロックして滑走することがない。また、車輪と接地面との摩擦に加えて、摺動回転による摩擦が働くことにより、門扉を早期に停止させることができる。そのため、門扉が支柱や車両等に衝突するおそれがない。
第4発明によれば、最大制動トルクが動トルクよりも小さいので、一旦車輪がロックして滑走したとしても、すぐに車輪が摺動回転するようになり、滑走し続けることがない。
第5発明によれば、制動力調整手段により、制動力を調整することによって、最大制動トルクを調整することができる。
第6発明によれば、常時制動状態とすることにより、門扉を開けた状態で固定することができ、風圧を受けて門扉が勝手に移動するおそれがない。また、解除手段で制動を解除することにより、門扉を円滑に移動することができる。
第7発明によれば、車輪と接地面との摩擦力で生じるトルクが最大制動トルクを超えているときに、回転体が制輪子に対して摺動回転し、車輪がロックして滑走することがない。また、車輪と接地面との摩擦に加えて、摺動回転による摩擦が働くことにより、門扉を早期に停止させることができる。そのため、門扉が支柱や車両等に衝突するおそれがない。
第8発明によれば、制動力調整手段でバネの圧縮長を変えることにより、制動力を調整でき、最大制動トルクを調整することができる。
第9発明によれば、ゴム円板が回転体に接することにより、回転体と制輪子との摩擦係数が大きくなる。また、円筒体により、ゴム円板にバネの付勢を均一に伝達することができる。
第10発明によれば、常時ストッパピンを挿入状態とすることにより、制輪子が回転不能となるので、制動状態となり、門扉を開けた状態で固定することができ、風圧を受けて門扉が勝手に移動するおそれがない。また、解除手段でストッパピンを抜去状態とすることにより、制輪子が回転可能となるので、制動が解除され、門扉を円滑に移動することができる。
第11発明によれば、ストッパピンと門扉の把手とがコントロールケーブルで接続されているので、人が門扉の把手を握り門扉を移動しようとすれば、その操作により制動が解除され、人が門扉の把手を離せば、その操作により制動状態となる。そのため、人は意識せずに制動の解除ができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る制動装置の説明図である。
【図2】図1におけるII-II線矢視要部断面図である。
【図3】本発明の一実施形態における門扉の側面図である。
【図4】同門扉の側面図であって、把手部分の拡大図である。
【図5】図4におけるV-V線矢視断面図である。
【図6】本発明の一実施形態における最大制動トルクの説明図である。
【図7】他の実施形態における最大制動トルクの説明図である。
【図8】本発明の一実施形態における門扉の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図8において、符号Gは、引戸形の門扉を示している。この門扉Gの下框11には、複数の車輪Wが取付けられており、この車輪Wを転動させることによって、地面に敷設した2条のレールRに沿って門扉Gを移動することができる。図8は門扉Gの閉状態であり、通路の一側に立設した戸当り支柱Pに門扉Gの縦框12が当接し、図示しない錠によって戸当り支柱Pと門扉Gが施錠可能となっている。門扉Gを開状態とするには、縦框12に設けられた把手40をつかんで、門扉Gを戸当り支柱Pから離れる方向に向けて移動させればよい。このように、門扉Gは通路を開閉可能に移動する。
【0011】
門扉Gに取り付けられた車輪Wの一つには、本発明の一実施形態に係る制動装置Aが取り付けられている。
図1に示すように、門扉の下框11には一対のベアリングユニット13が下向きに取付けられており、そのベアリングユニット13に、両端に車輪Wを有する車軸Sが軸支されている。車軸Sは、両端の車輪Wが2条のレールRに嵌るような長さを有している。
【0012】
制動装置Aは、車軸Sにビス等で固定された円盤状の回転体21と、車軸Sに回転自在に嵌められたゴム円板22aおよび円筒体22bからなる制輪子22とを備えている。ゴム円板22aと円筒体22bの外径寸法は、回転体21と同一であり、回転体21、ゴム円板22a、円筒体22bの順にそれぞれの端面を接した状態で並べられている。
【0013】
車軸Sには、バネ23が挿入されており、バネ23の一端は係止部材24で車軸Sに対して係止されている。したがって、バネ23は円筒体22bと係止部材24との間に挟まれ圧縮されており、バネ23の弾性力により生じる制動力Fによって、制輪子22を回転体21に向かって付勢し、回転体21と制輪子22との摩擦力により制動トルクTが生じるようになっている。
なお、回転体21はゴム円板22aと接するため、回転体21と制輪子22との摩擦係数が大きくなる。また、円筒体22bにより、ゴム円板22aにバネ23の制動力Fを均一に伝達することができる。
【0014】
係止部材24は車軸Sに沿ってスライドすることができ、かつ、ビスを締めれば車軸Sに固定することができるようになっている。そのため、円筒体22bと係止部材24との間隔を調整することで、バネ23の圧縮長を変えることができ、バネ23の制動力Fを調整することができる。
なお、係止部材24は、特許請求の範囲に記載の「制動力調整手段」に相当する。
【0015】
図6に示すように、制動力Fは、回転体21と制輪子22とが滑り始めるときの最大制動トルクTmaxが、車輪WとレールRとの動摩擦力で生じる動トルクTkよりも小さくなるように調整されている。ここで、最大制動トルクTmaxは、制動力Fに比例した一定の値となることが知られている。また、動トルクTkは、車輪WがロックしてレールR上を滑走することにより発生するトルクであって、車輪WとレールRとの動摩擦係数や門扉Gの重量等から一定の値に定まることが知られている。したがって、あらかじめ動トルクTkを計測しておけば、最大制動トルクTmaxが、動トルクTkよりも小さくなるように制動力Fを調整することができる。
【0016】
図2に示すように、円筒体22bのバネ23側端部の外周には、3本の溝25が形成されており、その溝25にストッパピン31の先端が挿入できるようになっている。そのため、ストッパピン31を溝25に挿入すれば、円筒体22bが回転不能となり、溝25から抜去すれば、円筒体22bが回転可能となる。
【0017】
図1に示すように、ストッパピン31は下框11にベース32を介して取り付けられており、その先端が円筒体22bに対して接近離間できるようになっている。また、ストッパピン31にはフランジ33が形成されており、そのフランジ33とベース32の壁面との間にリターンバネ34が挿入されている。ストッパピン31の後端はコントロールケーブル35の内部に通されたワイヤに接続されている。
したがって、ストッパピン31はリターンバネ34の弾性力により、常にその先端が円筒体22bの溝25に挿入されるように付勢されており、コントロールケーブル35内部のワイヤで引かれているときにだけ、その先端が溝25から抜去されるようになっている。
【0018】
図3に示すように、コントロールケーブル35は下框11、縦框12の内部を通って、縦框12に設けられた把手40に接続されている。
図4に示すように、把手40は縦框12の表裏に取り付けられた一対の握持部材41,41を有している。握持部材41,41はC字形をしており、それぞれの内部にL字形のレバー42がピン等で回動自在に取り付けられている。レバー42はL字形の一辺がグリップ42gとなっており、もう一辺の先端に押動片43が取り付けられ、縦框12の内部に挿入されている。また、レバー42は、ねじりコイルバネ等で押動片43が引き上げられるように付勢されている。したがって、常時は、押動片43は引き上げられており、人が握持部材41とともにグリップ42gを握れば、押動片43が下がるようになっている。
【0019】
図5に示すように、縦框12の内部には棒状の受動片44が、その中央付近で回動自在に軸支されている。受動片44の一端は押動片43の下方に位置しており、他端にはコントロールケーブル35が接続されている。よって、押動片43が下がれば、受動片44の一端が押し下げられ、コントロールケーブル35内部のワイヤが引き上げられる。
したがって、人が握持部材41とともにグリップ42gを握れば、コントロールケーブル35内部のワイヤが引かれ、ストッパピン31の先端が円筒体22bの溝25から抜去され、円筒体22bが回転可能となる。また、常時は、ストッパピン31の先端が円筒体22bの溝25に挿入され、円筒体22bが回転不能となっている。すなわち、人が把手40を握り門扉Gを移動しようとすれば、その操作により制動が解除され、人が把手40を離せば、その操作により制動状態となる。そのため、人は意識せずに制動の解除ができる。
なお、これら把手40、コントロールケーブル35、ストッパピン31は、特許請求の範囲に記載の「解除手段」に相当する。
【0020】
つぎに、以上の構成を有する制動装置Aの動作について説明する。
まず、人が把手40を握っておらず、放置している状態では、ストッパピン31の先端が円筒体22bの溝25に挿入され、円筒体22bが回転不能となっている。
図6に示すように、この場合に、門扉Gが風圧等の外力を受けて動こうとすると、車輪WとレールRとの摩擦力により車輪Wが回転しようとするトルクTsが生じるが、回転体21とゴム円板22aとの摩擦力で生じる制動トルクTにより打ち消されて、門扉Gが制動される(図6におけるA領域)。すなわち、門扉Gの開閉状態によらず、常時は門扉Gが制動されて、風圧等を受けて門扉Gが勝手に移動するおそれがない。
【0021】
門扉Gに加わる風圧等の外力が大きくなると、その外力の大きさに比例して、車輪Wが回転しようとするトルクTsが大きくなる。このトルクTsが、最大制動トルクTmaxを超えると、回転体21がゴム円板22aに対して摺動回転するようになる(図6におけるB)。すなわち、車輪Wが回転し、門扉Gが動き出す。
したがって、回転体21が摺動回転することにより、車輪WがロックしてレールR上を滑走することを防ぐことができる。また、車輪WとレールRとの摩擦に加えて、摺動回転による摩擦が働くことにより、車輪Wがロックした場合より、門扉Gを早期に停止させることができる。そのため、門扉Gが支柱や車両等に衝突するおそれがない。
【0022】
つぎに、人が把手40を握れば、ストッパピン31の先端が円筒体22bの溝25から抜去され、円筒体22bが回転可能となる。
この場合に、人が門扉Gを移動させる力を加えると、車輪WとレールRとの摩擦力により車輪Wが回転しようとするトルクTsが生じるが、制輪子22は回転体21とともに回転するため制動トルクTが発生しない。すなわち、制動が解除され、門扉Gを円滑に移動することができる。
【0023】
(その他の実施形態)
前記の実施形態では、制動力Fを、最大制動トルクTmaxが、車輪WとレールRとの動摩擦力で生じる動トルクTkよりも小さくなるように調整したが(図6参照)、これに代えて、図7に示すように、制動力Fを、最大制動トルクTmaxが、車輪WとレールRとが滑り始めるときの最大静止トルクTsmaxよりも小さくなるように調整してもよい。ここで、最大静止トルクTsmaxは動トルクTkよりも大きくなることが知られている。そのため、最大制動トルクTmaxを大きくすることができ、より強く制動することができる。
この場合でも、理論的には、車輪WがロックしてレールR上を滑走することを防ぐことができる。しかし、何らかの原因で、一度車輪Wがロックしてしまうと、すぐにはロック状態から回復することはできない。最大制動トルクTmaxが動トルクTkよりも大きい場合には、車輪Wがロックしても、回転体21が摺動回転しないからである。
この点、最大制動トルクTmaxを動トルクTkよりも小さくすれば、一度車輪Wがロックしたとしても、すぐに回転体21が摺動回転するようになり、滑走し続けることがない。
【0024】
また、本発明は前記実施形態の構成を有する制動装置Aに限られず、その他の種々の構成を有する制動装置にも適用することができる。
例えば、制輪子を直接車輪に接触させる構成を有する制動装置に適用してもよい。この場合には、車輪が回転体と同様の役割を果たす。また、回転体をドラムとし、制輪子をブレーキシューとしたドラムブレーキの構成を有する制動装置に適用してもよい。この場合、ドラムが車輪とともに回転する構成のみならず、ドラムが固定され、ブレーキシューが車輪とともに回転する構成としてもよい。特許請求の範囲に記載の「前記車輪の回転に伴って前記制輪子と相対的に回転する回転体」は、回転体自体が回転する構成のみならず、制輪子が回転する構成も含まれ、制輪子と回転体が相対的に回転する構成を意味する。
要するに、制動装置の構成に限らず、最大制動トルクTmaxが最大静止トルクTsmaxあるいは動トルクTkより小さく設定されており、外力によるトルクが最大制動トルクTmaxを超えると、車輪Wを摺動回転させることができればよい。
【0025】
また、前記実施形態では、複数取り付けられた車輪Wの一つに制動装置Aを取り付けたが、複数の車輪Wに制動装置を取り付ける実施形態としてもよい。
また、解除手段は、コントロールケーブル35を用いた機械式に限らず、電磁石等を用いた電気式としてもよい。
【符号の説明】
【0026】
21 回転体
22 制輪子
22a ゴム円板
22b 円筒体
23 バネ
24 係止部材
25 溝
31 ストッパピン
32 ベース
33 フランジ
34 リターンバネ
35 コントロールケーブル
40 把手
41 握持部材
42 レバー
43 押動片
44 受動片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
門扉に取り付けられた車輪を制動する制動装置であって、
該制動装置の最大制動トルクが、前記車輪と接地面とが滑り始めるときの最大静止トルクよりも小さく、
前記車輪と接地面との摩擦力で生じるトルクが前記最大制動トルクを超えているときに、前記車輪を摺動回転させる
ことを特徴とする門扉の制動装置。
【請求項2】
前記最大制動トルクが、前記車輪と接地面との動摩擦力で生じる動トルクよりも小さい
ことを特徴とする請求項1記載の門扉の制動装置。
【請求項3】
門扉に取り付けられた車輪を制動する制動装置であって、
制輪子と、前記車輪の回転に伴って前記制輪子と相対的に回転する回転体と、前記制輪子に前記回転体に対する制動力を付勢する付勢手段とを備えており、
前記制輪子と前記回転体とが滑り始めるときの最大制動トルクが、前記車輪と接地面とが滑り始めるときの最大静止トルクよりも小さい
ことを特徴とする門扉の制動装置。
【請求項4】
前記最大制動トルクが、前記車輪と接地面との動摩擦力で生じる動トルクよりも小さい
ことを特徴とする請求項3記載の門扉の制動装置。
【請求項5】
前記制動力を調整する制動力調整手段を備える
ことを特徴とする請求項3または4記載の門扉の制動装置。
【請求項6】
前記制動装置の制動を解除する解除手段を備える
ことを特徴とする請求項3,4または5記載の門扉の制動装置。
【請求項7】
前記回転体が前記車輪の車軸に固定されており、
前記制輪子が前記車軸に回転自在に嵌められており、
前記付勢手段がバネである
ことを特徴とする請求項3または4記載の門扉の制御装置。
【請求項8】
前記バネの前記制輪子と反対側の端部の位置を調整する制動力調整手段を備える
ことを特徴とする請求項7記載の門扉の制動装置。
【請求項9】
前記制輪子は、前記回転体に接するゴム円板と、該ゴム円板に前記バネの付勢を伝達する円筒体とからなる
ことを特徴とする請求項7または8記載の門扉の制動装置。
【請求項10】
前記円筒体に円周方向に終端を有する溝が形成されており、
該溝にストッパピンを挿入、抜去する解除手段を備える
ことを特徴とする請求項9記載の門扉の制動装置。
【請求項11】
前記解除手段は、前記ストッパピンと、門扉の把手と、該ストッパピンと該門扉の把手とを接続するコントロールケーブルとを備え、
前記門扉の把手の操作によって、前記ストッパピンが前記溝に挿入、抜去される
ことを特徴とする請求項10記載の門扉の制動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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