門扉構造
【課題】門扉の縦枠の見付けや見込み寸法の制限を受けることがなく、それ自体が斬新でデザイン性が高いだけでなく、門扉のデザインとうまく融合することができ、しかも安全性と操作性にも優れた錠ユニットと門扉構造とを備えた門扉構造を提供する。
【解決手段】門柱に回動自在に支持された門扉の戸当り側の縦枠8を構成する上部縦枠と下部縦枠との間に錠ケース8cを設けるとともに、該錠ケース8cには上記門扉に連結する連結部を設け、上記錠ケース8cの内側には錠機構を設けた。上記門扉は、両開き門扉であってもよく、あるいは上記門扉のうち一方の門扉は親扉で、他方の門扉は子扉であってもよい。
【解決手段】門柱に回動自在に支持された門扉の戸当り側の縦枠8を構成する上部縦枠と下部縦枠との間に錠ケース8cを設けるとともに、該錠ケース8cには上記門扉に連結する連結部を設け、上記錠ケース8cの内側には錠機構を設けた。上記門扉は、両開き門扉であってもよく、あるいは上記門扉のうち一方の門扉は親扉で、他方の門扉は子扉であってもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイド感に富み、デザインも斬新で洗練され、また風が吹いたりして門扉が揺れてもがたつき音が発生しない門扉を備えた門扉構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、門は門柱に門扉を回動開閉自在に支持したものであり、門のデザインは、門扉にデザインを施すのみであった。例えば、門扉を鋳物から構成し、門扉の外枠やその内側の格子部分をアーチ状に形成したり、一部をねじったり、渦巻き状や矢じり状の立体模様を施すものであった。門は家の顔ともいうべきものであるから、機能よりもデザイン性が求められるようになり、さらに門扉のデザインをより強調したいという要求が強くなった。これに対応するものとして、特に両開き門扉において、2つの門扉に連続する模様を施し、これによって閉扉したときに左右に連続模様が現れるようにしたものが知られている(特許文献1、2参照)。これにより、各門扉に独立にデザインを施すよりも、門扉による開口部が広く見えるという意匠的効果が得られる。
【0003】
また、門の門扉には錠ユニットが設けられている。従来は、門扉用錠の台座は門扉の縦枠の内部に組み込まれる構造であった(特許文献3参照)。そのほか、錠ユニットを縦枠の外側に取り付けたものも知られている(特許文献4参照)。
【0004】
さらに、門扉の戸当り側の縦枠には、落し棒を摺動自在にガイドする落し棒ガイドを取り付け、設置面には落し棒に対応する受けツボが形成されている。そして、閉扉時には上記落し棒ガイドに沿って下方に摺動させた落し棒の下端を受けツボに挿入係合させ、門扉が閉じ状態に保持されるようにしていた(特許文献5参照)。
【特許文献1】特開2004−316301公報
【特許文献2】特開平9−0256761号公報
【特許文献3】特開2001−227269公報
【特許文献4】特開平11−152976号公報
【特許文献5】特開平09−235928号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような連続模様によるワイド感も2枚の門扉の幅分しか得られなかった。そこで、門柱にも門扉の模様と同様の要素を取り入れることにより、門の全体意匠を向上させることも行われているが、従来の門扉のデザインは、あくまでも門柱は門柱、門扉は門扉に限定されていた。このため、時代の変化に対応して新たなデザインが望まれるなかで、斬新なデザインや個性あふれるデザインを採用することが難しかった。
【0006】
また、錠ユニットの台座が外側に露出することはなく、錠ユニットの台座の形状や大きさは、上記縦枠の見付け寸法や見込み寸法によって制限を受けており、錠の台座だけでなく錠自体のデザインもあまり重要視されていなかった。さらに、錠ユニットを縦枠の外側に取り付けたものは、門扉のデザインとの融合性に欠けるほか、見付け面の延長方向に突出すると、門扉自体が小さくなるという問題があった。
そのほか、台座あるいは開閉操作用の操作レバーが門扉面よりも突出した構造であったから、衣服を引っ掛けたりするなど、安全性に対する問題を抱えていた。
【0007】
さらに、落し棒ガイドも落し棒もアルミニウム等の金属から構成されているので、風が吹いて門扉が揺れたり、出入り時に接触するだけで不快な騒音が発生するという問題があった。
【0008】
本発明は従来の門扉が横方向へのデザイン的延長感に乏しかった点に着目し、門扉と門柱の意匠的関連をより一層高めることによってワイド感に富んだ斬新なデザインの門を提供することをその第1の課題とする。
【0009】
また、本発明は、門扉の縦枠の見付けや見込み寸法の制限を受けることがなく、それ自体が斬新でデザイン性が高いだけでなく、門扉のデザインとうまく融合することができ、しかも安全性と操作性にも優れた錠ユニットと門扉構造とを備えた門扉構造を提供することをその第2の課題とする。
【0010】
更に、本発明は、風が吹いたり、出入り時に接触したりして門扉が振れても、不快ながたつき音が発生するのを有効確実に防止することができる門扉構造を提供することを第3の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記第2の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、門柱に回動自在に支持された門扉の戸当り側の縦枠を構成する上部縦枠と下部縦枠との間に錠ケースを設けるとともに、該錠ケースには上記門扉に連結する連結部を設け、上記錠ケースの内側には錠機構を設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1において、上記錠ケースには、上記上部縦枠と下部縦枠とに連結する連結部を設けたことを特徴とする。
【0013】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2において、上記門扉は、両開き門扉であることを特徴とする。
【0014】
請求項4に係る発明は、請求項3において、上記門扉のうち一方の門扉は親扉で、他方の門扉は子扉であることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1(a)は本発明に係る門の正面図、同図(b)は門柱パネルの正面図を示す。この門は2本の門柱100の間に2枚の両開き門扉101、102を配置し、左側門扉101と右側門扉102の吊元側をヒンジ金具106を介して上記門柱100に回動開閉自在に支持したものである。
【0016】
左側門扉101と右側門扉102はアルミニウムの鋳物製で、透かしデザインが施されており、吊元側の縦枠103と戸当り側の縦枠104との間に波形形状の装飾格子105が配置されている。各装飾格子105はゆるやかにうねるような波形形状をなしており、視覚的に左右方向に延びるデザインとして設けられている。左側門扉101の高さは右側門扉102の高さに比べて小さく形成されている。
【0017】
次に、図2に示されるように、門柱100は2種類のアルミニウム製押出型材110、111を前後(正背)方向に結合してそれぞれ左右の側面部112を形成し、左右側面部112の上下端部は、それぞれ前後に同じ押出型材製の上面部113と下面部114とによって連結し、さらに前面(正面)と後面(背面)において上記側面部112と上下面部113、114との間に形成された開口部Aに門柱パネル115を固定したものである。図3に示されるように、上面部113の下端内側と下面部114の上端内側にはそれぞれ段部116が形成されている。すなわち、上記左右側面部112の内側の前後部にはそれぞれ互いに相対する突片117が形成され、突片117の外側にはステンレス製などの補強材118が取り付けられている。
【0018】
門柱パネル115の両側部は、上記側面部112の前後の内側に形成された突片117上の補強材118に係合し、また門柱パネル115の上下端部は上下面部の段部116に係合して位置決めされ、ビス120によって固定されている。なお、門柱パネル115の高さは門扉101、102の高さとほぼ同じに現れている。
【0019】
ところで、門柱パネル115は鋳物製で、透かしデザインが施されており、長方形のパネル枠121の内側に横方向に装飾格子122が設けられている。装飾格子122は、左側門扉101と右側門扉102の装飾格子105の延長上に連続するように設けられている。門柱パネル115の装飾格子122は左右の門柱パネル115において同じで、最上部の装飾格子122aは右下がり、2番目の装飾格子122bは水平、3番目の装飾格子122cは右上がり、同様にして4番目、5番目等の装飾格子122も右上がりか水平か、あるいは右下がりに形成されている。
【0020】
すなわち、門柱パネル115の装飾格子122は左側門扉101と右側門扉102の装飾格子105と関係している。左側門扉101の最上部の装飾格子105aは、図1の左端から少し下がってピークから緩やかに上がり、続いて右側門扉102の最上部の装飾格子105aは続けて緩やかに上がった後、ピークを経て図の右端で少し上がっている。左側門扉101の上から2番目の装飾格子105bは、図の左端から緩やかに下がって底部に至り、さらに右側門扉102の左端から緩やかに上がって右端でピークになるように形成されている。上から3番目の装飾格子105cは、左側門扉101の左端から少し上がって緩やかに下がり、続いて右側門扉102の装飾格子105の左端は緩やかに下がった後、底部から図の右端で少し上がるように形成されている。
【0021】
これに対応して、左側の門柱パネル115の最上部の装飾格子122aは右下がり、上から2番目の装飾格子122bはほぼ水平となり、さらに上から3番目の装飾格子122cは右上がりとなっている。同様に、右側の門柱パネル115の最上部の装飾格子122aは右下がり、上から2番目の装飾格子122bはほぼ水平となり、さらに上から3番目の装飾格子122cは右上がりとなっている。つまり、左右の門柱パネル115は同じ透かしデザインである。
【0022】
また、門柱パネル115の装飾格子122の左端は、右側の門扉102の右端の高さに合わせ、門柱パネル115の装飾格子122の右端は、左側の門扉101の左端の高さに合わせられている。門扉と門柱パネルの4番目以降の装飾格子105、122も同様である。
【0023】
要するに、門柱パネル115の各装飾格子122の左端と右端の高さは、それぞれ両開き門扉の対応する装飾格子105の右端と左端の高さとほぼ等しくなるように設定されている。
【0024】
上記装飾格子構成によって、門柱パネル115の分だけデザインの幅が広がり、デザインの自由度も増しただけでなく、門扉のデザインと門柱100のデザインとが横方向に連続するので、門扉と門柱100の意匠的関連がより一層高められ、これによってワイド感に富んだ斬新なデザインの門を提供することができる。
【0025】
なお、門扉101、102、門柱パネル115ともに鋳物のパネルを用いることにより装飾性が高められるとともに、門柱100にアルミニウムの押出型材を用いたため、門扉のヒンジ金具103の取付性、鋳物パネルの取付性が良い。
【0026】
また、門柱パネル115は左右を兼用することができるので、コストも低く抑えることができる。もちろん、左右の門柱パネル115の装飾格子122のデザインを変えてもよい。同様に、装飾格子105、122は棒状でなく、帯板状であってもよく、また中途部で広くなったり狭くなったりしてもよい。
【0027】
なお、門柱100と門扉101、102とのデザインの連続構成は、必ずしも上述の両開き門扉で両側門柱100に門柱パネル115を配置した態様に限定されない。たとえば、次のような構成でもよい。
(1)図4に示されるように、両開き門扉であるが、一方の門柱100にのみ門柱パネル115が配置され、他方の門柱100aは角柱状に形成されている構成。
(2)図5に示されるように、両門柱100に門柱パネル115が配置され、内側の門扉は両開き門扉であるが、一方が親扉101a、他方が子扉102aとなっている構成。
(3)図6に示されるように、両門柱100に門柱パネル115が配置されているが、内側の門扉101は1枚だけの片開き門扉である構成。
(4)図示しないが、片開き門扉で、一方の門柱100にのみ門柱パネル115が配置され、他方の門柱100bは角柱状に形成されている構成。
(5)上記左右の門柱100の開口部Aに取り付けられる門柱パネル115には、左右対称のデザインが設けられている構成。
(6)図7に示されるように、門柱パネル115が、門扉101、102のデザインに対して左右で上下逆のデザインで対応するようになっている構成。
(7)装飾格子105、122は棒状でなく、帯板状であってもよく、また中途部で広くなったり狭くなったりしてもよい。
【0028】
次に、図8及び図9は本発明に係るアルミニウムの押出型材製門の正面図及び一部の縦断面図で、この門は2本の門柱1の間に2枚の両開き門扉2、3を配置し、各門扉2、3の吊元側をヒンジ金具4を介して上記門柱1に回動開閉自在に支持したものである。門扉2、3は上下枠5、6と吊元側の縦枠7と戸当り側の縦枠8とを方形に枠組みするとともに、内側に縦格子10と横格子11とを配置したものである。なお、左右両側の各門扉2、3の上下枠5、6と縦枠7、8とは断面がほぼ同形状で、連結金具を介して45度の留め切りで連結固定されている。
【0029】
各門扉2、3の戸当り側の縦枠8の中途部には錠ユニットaが設けられている。すなわち、門扉2、3の戸当り側の縦枠8は図10に示されるように、上部縦枠8aと下部縦枠8bとに分割されている。上部縦枠8aと下部縦枠8bとの間には錠ケース8cが設けられ、錠ケース8cには後述のように錠ユニットaが取り付けられている。錠ケース8cの厚さは上部縦枠8aと下部縦枠8bの見込み幅とほぼ同じ寸法に形成されている。また、両門扉2、3の上部縦枠8aと下部縦枠8bと錠ケース8cとは同じ形状、同じ大きさに形成されている。
【0030】
上記縦枠8は断面が略台形の型材から構成され、錠ケース8cは図11〜図13に示されるように、アルミダイキャスト製部材で、半円弧状の枠本体10と枠本体10の上下端から上下方向に突出形成された嵌合軸部11とから形成されている。枠本体10は内側に錠ユニットaを取り付けるための側で、その内周面には凹溝12が形成されている。なお、上部縦枠8aと下部縦枠8bと錠ケース8cの見込み寸法はほぼ同じである。また、門扉2、3と錠ケース8cには裏表がない。錠ケース8cの上端と下端には連結部11が形成され、この連結部11を上部縦枠8aと下部縦枠8bに嵌合しネジ止めすることによって連結固定されている。
【0031】
このとき、上記左右の各門扉2、3の錠ケース8cの枠本体10は門扉2、3の内側に納められ、上部縦枠8aと下部縦枠8bの外側には突出しないように形成されている。
【0032】
次に、錠ケース8cの見込み面内には錠機構を有する錠ユニットaが取り付けられている。錠ユニットaは錠掛け部材13と錠受け部材14とから構成され、一方の錠ケース8cの内側には錠掛け部材13が、他方の錠ケース8cの内側には錠受け部材14が取り付けられている。錠掛け部材13と錠受け部材14とにはそれぞれ錠機構が設けられている。
【0033】
錠掛け部材13は半円状ブロック13aの端面の中間部に軸受け孔15を有する半円状部16が突出形成されているもので、錠ケース8cの内側に嵌り合うように形成されている。錠掛け部材13の外周面に沿って錠ケース8cの内周面の凹溝12に嵌合可能な嵌合凸部17が形成されている。また、錠掛け部材13の内側には上記端面18に開口する収納溝20が形成されている。
【0034】
錠掛け部材13の収納溝20の内部には回転板21が回動自在に収納されている。回転板21はほぼ半円板状に形成され、錠掛け部材13の軸受け孔15に軸受けされた回動軸22に回動自在に支持されている。回転板21の一部には摘み23が形成されている。摘み23から先は錠掛け部24で、常時収納溝20からはみ出るようになっている。また、錠掛け部材13の周縁部の略中間部にはロック用穴25が貫通形成されている。
【0035】
なお、収納溝20の下部には板バネ26が取り付けられている。これに対応し、回転板21の摘み23と反対側の周面には上記板バネ26に係合可能な凹部27が形成されている。そして、上記摘み23が錠掛け部材13の端面に係合しているときは、回転板21の凹部27は上記板バネ26に係合し、この状態が保持されるようになっている。
【0036】
上記構成の錠掛け部材13は、その外周面の嵌合凸部17を一方の錠ケース8cの内周面の凹溝12に嵌合し、固定ネジ27でネジ止めすることによって固定されている。
【0037】
次に、錠受け部材14は半円弧状ブロックで、下半部は内側に突出して錠受け部本体28を構成している。錠受け部材14の外周面に沿っても、錠ケース8cの内周面の凹溝12に嵌合可能な嵌合凸部17が形成され、錠ケース8cの内側に嵌り合うように形成されている。錠受け部本体28には、円弧状の欠け落ち部30が形成されている。錠受け部材14の内周面には凹溝31が形成されている。そして、凹溝31の内側には錠受け部32が嵌合固定されている。錠受け部32は硬質の合成樹脂によって構成され、内部には上方と側方とに開口する受け溝33が形成されている。受け溝33の溝幅は上記回転板21の板厚よりもわずかに大きく、上端には案内面34が形成されている。
【0038】
上記構成の錠受け部材14は、その外周面の嵌合凸部17を他方の錠ケース8cの内周面の凹溝12に嵌合し、固定ネジ35でネジ止めすることによって固定されている。
【0039】
次に、上記構成の錠ユニットaの施錠、解錠について説明すると、まず施錠するときは、左右の門扉2、3を閉じる。このとき、両側の錠ケース8cは図1及び図14に示されるように突合せられて1つの円を構成するとともに、錠受け部材14の錠受け部本体28は、錠掛け部材13の下部に突合せ状に配置される。次に、錠掛け部材13の回転板21の摘み23に手を掛けて回転板21を図11の実線で示されるように回動軸22を中心に回動させる。これによって回転板21の錠掛け部24は錠受け部材14側に回り込み、錠受け部32の受け溝33の内側に挿入される。摘み23が錠受け部32の上端に係合したときに、錠掛け部24は錠受け部32の受け溝33の最も深い位置に係合する。さらに、ロック用穴25を利用して図示しない鍵を掛けることによって回転板21は逆方向に回転することができなくなり、両開き門扉2、3は施錠される。
【0040】
解錠するときは、上記鍵を外して回転板21を逆方向に回転させ、回転板21の凹部27を錠掛け部材13の板バネ26に係合させればよい。回転板21はこの状態が保持され、両開き門扉2、3は開放可能となる。
【0041】
上述のように、上記門扉2、3の戸当り側の縦枠構造によれば、上記左右の各門扉2、3の錠ケース8cの枠本体10は門扉2、3の内側に納められ、上部縦枠8aと下部縦枠8bの外側には突出しないように形成されているので、門扉2、3の縦枠8の見付け寸法に制限を受けることがない。また、特に門扉2、3の縦枠の見込み寸法にも制限を受けることがないので、それ自体が斬新でデザイン性が高いだけでなく、門扉2、3のデザインとうまく融合することができ、しかも安全性と操作性にも優れた錠ユニットaと門扉2、3構造とを備えた門を提供することができる。
【0042】
また、デザイン性を有する錠ケース8cを用いることで、錠ユニットaにも意匠性をもたせることができ、斬新なデザインの門扉2、3を得ることができる。
【0043】
さらに、錠ユニットaの見込み寸法が縦枠の見込み寸法とほぼ同じに形成され、錠ユニットaが縦枠のほぼ見込み面内に納められているので、出入りの際に衣服を引っ掛けたりする問題がない。
【0044】
左右両側の門扉2、3の上部縦枠8aと下部縦枠8bと錠ケース8cとは同じ形状、同じ大きさに形成されているので、門扉2、3の左右の別なく取り付けることができ、規格数を抑えることができ、低コストで製作することができる。
【0045】
錠掛け側と錠受け側の表裏を同一にしたことで、錠ユニットaの左右勝手がなく、現場での対応力が高い。
【0046】
施錠時に、回転板21の錠掛け部24は錠受け部32の受け溝33の内側に挿入されるが、錠受け部32は硬質合成樹脂製であるから、風が吹いたり、出入り時に接触したりして門扉2、3が振れても、金属製の錠掛け部24が合成樹脂製の錠受け部32に係合するので、不快ながたつき音が発生するのを有効確実に防止することができる。
【0047】
なお、錠ケース8cの外形デザインは上述のように半円形に限定されない。楕円形でも、四角形や三角形などの多角形状でもよく、多様な形状にすることができるので、門扉2、3に組み込まれるパネルデザインの創作の自由度が増す。
【0048】
同様に、錠ケース8cの内側に配置される錠掛け部材13や錠受け部材14による錠ユニットの形状や構造も上述のものに限定されない。内掛け錠、レバーハンドル式、シリンダ錠等の錠ユニットでもよい。
【0049】
次に、図8、図9及び図15(a)(b)に示されるように、両開き門扉2、3の戸当り側の縦枠8には、その敷地内側の見付け面に落し棒による施錠装置が設けられている。すなわち、上記縦枠8には落し棒35を摺動自在にガイドする落し棒ガイド36が取り付けられ、これに対応して設置面37には閉扉時に上記落し棒ガイド36に沿って下方に摺動させた落し棒35の下端に係合する受けツボ40が形成されている。
【0050】
縦枠8の下部には取付ブラケット41が縦枠8の見込み面で突合せられて固定されている。
【0051】
上記取付ブラケット41の見付け面には落し棒ガイド36が固定されている。落し棒ガイド36は図16に示されるように、基板部36aの両側縁から湾曲した円弧状の側板部42を突出させた形状をなし、側板部42の先端間には開口溝43が形成されている。また、基板部36aと側板部42との連結部の内側には取付溝44が形成されている。基板部36aは上記取付ブラケット41の突合せ面38にビス止め固定される。
【0052】
また、図17に示されるように、落し棒ガイド36の内側の上部と下部には、それぞれ樹脂ガイド45が取り付けられている。この樹脂ガイド45は、図18(a)(b)及び図19(a)(b)に示されるように、それぞれ上記取付ブラケット41と落し棒ガイド36がアルミニウム製部材であるのに対し、合成樹脂製の部材で、上部の樹脂ガイド45は、下部の断面C字形のガイド部46と、ガイド部46の上部から上方に突出形成された取付板部47と、取付板部47の上端からガイド部46側に直角に屈曲した天端部48とによって形成されている。ガイド部46は落し棒ガイド36の側板部42の内面に当接した状態で嵌合する大きさとし、また天端部48は図17に示されるように、上記落し棒ガイド部36の側板部42の上端を覆い、かつ後述の落し棒35が嵌合可能な大きさのC字形に湾曲し、両側の上端部には凹部50が形成されている。下部の樹脂ガイド45も上部樹脂ガイド45と同じ形状をなし、落し棒ガイド36には上部の樹脂ガイド45を上下逆にした状態で取り付けられる。なお、樹脂ガイド45と落し棒ガイド36とはビス51により共締めされて取付ブラケット41に取り付けられている。
【0053】
上部の樹脂ガイド45を落し棒ガイド36に取り付けるときは、まず樹脂ガイド45の取付板部47を落し棒ガイド36の取付溝44の上端から嵌合して下方にスライドさせ、天端部48が落し棒ガイド36の側板部42の上端に当接した状態でガイド部46を落し棒ガイド36にビス止め固定する。下部の樹脂ガイド45は、同様の要領で、取付板部47を落し棒ガイド36の下端から嵌合して上方にスライドさせ、天端部48が落し棒ガイド36の下端に係合した状態でガイド部46を落し棒ガイド36にビス止め固定すればよい。
【0054】
上記取付ブラケット41の内部には落し棒35が摺動自在に取り付けられている。落し棒35はステンレス等の金属棒材で、上部には摘み23が突出形成されている。落し棒35を取付ブラケット41に取り付けるには、その下端を上部樹脂ガイド45の天端部48から嵌合して下方にスライドさせ、上下部の樹脂ガイド45のガイド部46の内側をスライドさせて下部の樹脂ガイド45の下端の天端部48から挿通させればよい。このとき、落し棒35の摘み23は落し棒ガイド36と樹脂ガイド45の開口溝43から外方に突出する。
【0055】
上記構成によれば、開扉時には落し棒ガイド36は摘み23を落し棒ガイド36の上方まで引き上げ、図15(a)(b)に示されるように、横に90度回動させて樹脂ガイド45の天端部48の凹部50に係合させておく。また、閉扉時には図17に示されるように、摘み23を逆方向に90度回動させて落し棒ガイド36の開口溝43に沿って下方に摺動させ、落し棒35の下端を設置面の受けツボ40に係合させる。
【0056】
開扉時や閉扉時に風が吹いて門扉2、3が振動したとき、落し棒35は落し棒ガイド36内で振れることがあるが、落し棒35は直接には樹脂ガイド45の内面に接触するので、不快な音が発生することがない。
【0057】
また、開扉時には落し棒35の摘み23は樹脂ガイド45の天端部48の凹部50に係合した状態に保持される。この場合も、風が吹いたり、門扉2、3が動いたりしたとき、落し棒35は落し棒ガイド36内で振れることがあるが、落し棒35は直接には樹脂ガイド45の天端部48上に接触しているので、不快な音が発生することがない。
【0058】
さらに、上下の樹脂ガイド45は全く同じ構造のものを利用することができるので、コストを低く抑えることができる。
【0059】
なお、落し棒35の騒音防止構造は上述の形態に限定されるものではない。例えば、落し棒35の周面の一部や摘み23を合成樹脂で覆う構成によっても、騒音の発生を防止することができる。
【0060】
また、上述の実施形態においては、錠ケースが上部縦枠と下部縦枠との間に設けられているが、本発明はこれに限定されない。例えば、錠ケースを上部縦枠又は下部縦枠と一体に形成する構成であってもよい。また、錠ケースを縦枠ではなく、縦枠の近傍に設けられた適宜の部材(例えば中桟)と連結される構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】(a)(b)は本発明に係る門及び門柱パネルを示す正面図
【図2】上記門の門柱部分の横断面図
【図3】上記門の門柱の一部の縦断面図
【図4】上記門の他の形態の正面図
【図5】上記門のさらに他の形態の正面図
【図6】上記門の別の形態の正面図
【図7】上記門の更に別の形態の正面図
【図8】本発明に係る門扉を備えた門の正面図
【図9】上記門の一部の横断面図
【図10】上記門扉の正面図
【図11】本発明に係る錠ユニットの取付態様を示す断面図
【図12】(a)は錠受け部材の取付状態の側面図、(b)は錠掛け部材を回動軸の中心で切断して示した側面図
【図13】錠ユニットの斜視図
【図14】上記錠ユニットを門扉に取り付けた状態で示した位置関係説明図
【図15】(a)(b)は、それぞれ本発明に係る落し棒装置の解錠時の要部の平面図および側面図
【図16】上記落し棒装置の平面の拡大図
【図17】上記落し棒装置の施錠状態の側面の拡大図
【図18】(a)(b)(c)はそれぞれ樹脂ガイドの平面図、正面図及び右側面図
【図19】(a)(b)はそれぞれ図のX−X線及びY−Y線の断面図
【符号の説明】
【0062】
8 縦枠
8a 上部縦枠
8b 下部縦枠
8c 錠ケース
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイド感に富み、デザインも斬新で洗練され、また風が吹いたりして門扉が揺れてもがたつき音が発生しない門扉を備えた門扉構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、門は門柱に門扉を回動開閉自在に支持したものであり、門のデザインは、門扉にデザインを施すのみであった。例えば、門扉を鋳物から構成し、門扉の外枠やその内側の格子部分をアーチ状に形成したり、一部をねじったり、渦巻き状や矢じり状の立体模様を施すものであった。門は家の顔ともいうべきものであるから、機能よりもデザイン性が求められるようになり、さらに門扉のデザインをより強調したいという要求が強くなった。これに対応するものとして、特に両開き門扉において、2つの門扉に連続する模様を施し、これによって閉扉したときに左右に連続模様が現れるようにしたものが知られている(特許文献1、2参照)。これにより、各門扉に独立にデザインを施すよりも、門扉による開口部が広く見えるという意匠的効果が得られる。
【0003】
また、門の門扉には錠ユニットが設けられている。従来は、門扉用錠の台座は門扉の縦枠の内部に組み込まれる構造であった(特許文献3参照)。そのほか、錠ユニットを縦枠の外側に取り付けたものも知られている(特許文献4参照)。
【0004】
さらに、門扉の戸当り側の縦枠には、落し棒を摺動自在にガイドする落し棒ガイドを取り付け、設置面には落し棒に対応する受けツボが形成されている。そして、閉扉時には上記落し棒ガイドに沿って下方に摺動させた落し棒の下端を受けツボに挿入係合させ、門扉が閉じ状態に保持されるようにしていた(特許文献5参照)。
【特許文献1】特開2004−316301公報
【特許文献2】特開平9−0256761号公報
【特許文献3】特開2001−227269公報
【特許文献4】特開平11−152976号公報
【特許文献5】特開平09−235928号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような連続模様によるワイド感も2枚の門扉の幅分しか得られなかった。そこで、門柱にも門扉の模様と同様の要素を取り入れることにより、門の全体意匠を向上させることも行われているが、従来の門扉のデザインは、あくまでも門柱は門柱、門扉は門扉に限定されていた。このため、時代の変化に対応して新たなデザインが望まれるなかで、斬新なデザインや個性あふれるデザインを採用することが難しかった。
【0006】
また、錠ユニットの台座が外側に露出することはなく、錠ユニットの台座の形状や大きさは、上記縦枠の見付け寸法や見込み寸法によって制限を受けており、錠の台座だけでなく錠自体のデザインもあまり重要視されていなかった。さらに、錠ユニットを縦枠の外側に取り付けたものは、門扉のデザインとの融合性に欠けるほか、見付け面の延長方向に突出すると、門扉自体が小さくなるという問題があった。
そのほか、台座あるいは開閉操作用の操作レバーが門扉面よりも突出した構造であったから、衣服を引っ掛けたりするなど、安全性に対する問題を抱えていた。
【0007】
さらに、落し棒ガイドも落し棒もアルミニウム等の金属から構成されているので、風が吹いて門扉が揺れたり、出入り時に接触するだけで不快な騒音が発生するという問題があった。
【0008】
本発明は従来の門扉が横方向へのデザイン的延長感に乏しかった点に着目し、門扉と門柱の意匠的関連をより一層高めることによってワイド感に富んだ斬新なデザインの門を提供することをその第1の課題とする。
【0009】
また、本発明は、門扉の縦枠の見付けや見込み寸法の制限を受けることがなく、それ自体が斬新でデザイン性が高いだけでなく、門扉のデザインとうまく融合することができ、しかも安全性と操作性にも優れた錠ユニットと門扉構造とを備えた門扉構造を提供することをその第2の課題とする。
【0010】
更に、本発明は、風が吹いたり、出入り時に接触したりして門扉が振れても、不快ながたつき音が発生するのを有効確実に防止することができる門扉構造を提供することを第3の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記第2の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、門柱に回動自在に支持された門扉の戸当り側の縦枠を構成する上部縦枠と下部縦枠との間に錠ケースを設けるとともに、該錠ケースには上記門扉に連結する連結部を設け、上記錠ケースの内側には錠機構を設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1において、上記錠ケースには、上記上部縦枠と下部縦枠とに連結する連結部を設けたことを特徴とする。
【0013】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2において、上記門扉は、両開き門扉であることを特徴とする。
【0014】
請求項4に係る発明は、請求項3において、上記門扉のうち一方の門扉は親扉で、他方の門扉は子扉であることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1(a)は本発明に係る門の正面図、同図(b)は門柱パネルの正面図を示す。この門は2本の門柱100の間に2枚の両開き門扉101、102を配置し、左側門扉101と右側門扉102の吊元側をヒンジ金具106を介して上記門柱100に回動開閉自在に支持したものである。
【0016】
左側門扉101と右側門扉102はアルミニウムの鋳物製で、透かしデザインが施されており、吊元側の縦枠103と戸当り側の縦枠104との間に波形形状の装飾格子105が配置されている。各装飾格子105はゆるやかにうねるような波形形状をなしており、視覚的に左右方向に延びるデザインとして設けられている。左側門扉101の高さは右側門扉102の高さに比べて小さく形成されている。
【0017】
次に、図2に示されるように、門柱100は2種類のアルミニウム製押出型材110、111を前後(正背)方向に結合してそれぞれ左右の側面部112を形成し、左右側面部112の上下端部は、それぞれ前後に同じ押出型材製の上面部113と下面部114とによって連結し、さらに前面(正面)と後面(背面)において上記側面部112と上下面部113、114との間に形成された開口部Aに門柱パネル115を固定したものである。図3に示されるように、上面部113の下端内側と下面部114の上端内側にはそれぞれ段部116が形成されている。すなわち、上記左右側面部112の内側の前後部にはそれぞれ互いに相対する突片117が形成され、突片117の外側にはステンレス製などの補強材118が取り付けられている。
【0018】
門柱パネル115の両側部は、上記側面部112の前後の内側に形成された突片117上の補強材118に係合し、また門柱パネル115の上下端部は上下面部の段部116に係合して位置決めされ、ビス120によって固定されている。なお、門柱パネル115の高さは門扉101、102の高さとほぼ同じに現れている。
【0019】
ところで、門柱パネル115は鋳物製で、透かしデザインが施されており、長方形のパネル枠121の内側に横方向に装飾格子122が設けられている。装飾格子122は、左側門扉101と右側門扉102の装飾格子105の延長上に連続するように設けられている。門柱パネル115の装飾格子122は左右の門柱パネル115において同じで、最上部の装飾格子122aは右下がり、2番目の装飾格子122bは水平、3番目の装飾格子122cは右上がり、同様にして4番目、5番目等の装飾格子122も右上がりか水平か、あるいは右下がりに形成されている。
【0020】
すなわち、門柱パネル115の装飾格子122は左側門扉101と右側門扉102の装飾格子105と関係している。左側門扉101の最上部の装飾格子105aは、図1の左端から少し下がってピークから緩やかに上がり、続いて右側門扉102の最上部の装飾格子105aは続けて緩やかに上がった後、ピークを経て図の右端で少し上がっている。左側門扉101の上から2番目の装飾格子105bは、図の左端から緩やかに下がって底部に至り、さらに右側門扉102の左端から緩やかに上がって右端でピークになるように形成されている。上から3番目の装飾格子105cは、左側門扉101の左端から少し上がって緩やかに下がり、続いて右側門扉102の装飾格子105の左端は緩やかに下がった後、底部から図の右端で少し上がるように形成されている。
【0021】
これに対応して、左側の門柱パネル115の最上部の装飾格子122aは右下がり、上から2番目の装飾格子122bはほぼ水平となり、さらに上から3番目の装飾格子122cは右上がりとなっている。同様に、右側の門柱パネル115の最上部の装飾格子122aは右下がり、上から2番目の装飾格子122bはほぼ水平となり、さらに上から3番目の装飾格子122cは右上がりとなっている。つまり、左右の門柱パネル115は同じ透かしデザインである。
【0022】
また、門柱パネル115の装飾格子122の左端は、右側の門扉102の右端の高さに合わせ、門柱パネル115の装飾格子122の右端は、左側の門扉101の左端の高さに合わせられている。門扉と門柱パネルの4番目以降の装飾格子105、122も同様である。
【0023】
要するに、門柱パネル115の各装飾格子122の左端と右端の高さは、それぞれ両開き門扉の対応する装飾格子105の右端と左端の高さとほぼ等しくなるように設定されている。
【0024】
上記装飾格子構成によって、門柱パネル115の分だけデザインの幅が広がり、デザインの自由度も増しただけでなく、門扉のデザインと門柱100のデザインとが横方向に連続するので、門扉と門柱100の意匠的関連がより一層高められ、これによってワイド感に富んだ斬新なデザインの門を提供することができる。
【0025】
なお、門扉101、102、門柱パネル115ともに鋳物のパネルを用いることにより装飾性が高められるとともに、門柱100にアルミニウムの押出型材を用いたため、門扉のヒンジ金具103の取付性、鋳物パネルの取付性が良い。
【0026】
また、門柱パネル115は左右を兼用することができるので、コストも低く抑えることができる。もちろん、左右の門柱パネル115の装飾格子122のデザインを変えてもよい。同様に、装飾格子105、122は棒状でなく、帯板状であってもよく、また中途部で広くなったり狭くなったりしてもよい。
【0027】
なお、門柱100と門扉101、102とのデザインの連続構成は、必ずしも上述の両開き門扉で両側門柱100に門柱パネル115を配置した態様に限定されない。たとえば、次のような構成でもよい。
(1)図4に示されるように、両開き門扉であるが、一方の門柱100にのみ門柱パネル115が配置され、他方の門柱100aは角柱状に形成されている構成。
(2)図5に示されるように、両門柱100に門柱パネル115が配置され、内側の門扉は両開き門扉であるが、一方が親扉101a、他方が子扉102aとなっている構成。
(3)図6に示されるように、両門柱100に門柱パネル115が配置されているが、内側の門扉101は1枚だけの片開き門扉である構成。
(4)図示しないが、片開き門扉で、一方の門柱100にのみ門柱パネル115が配置され、他方の門柱100bは角柱状に形成されている構成。
(5)上記左右の門柱100の開口部Aに取り付けられる門柱パネル115には、左右対称のデザインが設けられている構成。
(6)図7に示されるように、門柱パネル115が、門扉101、102のデザインに対して左右で上下逆のデザインで対応するようになっている構成。
(7)装飾格子105、122は棒状でなく、帯板状であってもよく、また中途部で広くなったり狭くなったりしてもよい。
【0028】
次に、図8及び図9は本発明に係るアルミニウムの押出型材製門の正面図及び一部の縦断面図で、この門は2本の門柱1の間に2枚の両開き門扉2、3を配置し、各門扉2、3の吊元側をヒンジ金具4を介して上記門柱1に回動開閉自在に支持したものである。門扉2、3は上下枠5、6と吊元側の縦枠7と戸当り側の縦枠8とを方形に枠組みするとともに、内側に縦格子10と横格子11とを配置したものである。なお、左右両側の各門扉2、3の上下枠5、6と縦枠7、8とは断面がほぼ同形状で、連結金具を介して45度の留め切りで連結固定されている。
【0029】
各門扉2、3の戸当り側の縦枠8の中途部には錠ユニットaが設けられている。すなわち、門扉2、3の戸当り側の縦枠8は図10に示されるように、上部縦枠8aと下部縦枠8bとに分割されている。上部縦枠8aと下部縦枠8bとの間には錠ケース8cが設けられ、錠ケース8cには後述のように錠ユニットaが取り付けられている。錠ケース8cの厚さは上部縦枠8aと下部縦枠8bの見込み幅とほぼ同じ寸法に形成されている。また、両門扉2、3の上部縦枠8aと下部縦枠8bと錠ケース8cとは同じ形状、同じ大きさに形成されている。
【0030】
上記縦枠8は断面が略台形の型材から構成され、錠ケース8cは図11〜図13に示されるように、アルミダイキャスト製部材で、半円弧状の枠本体10と枠本体10の上下端から上下方向に突出形成された嵌合軸部11とから形成されている。枠本体10は内側に錠ユニットaを取り付けるための側で、その内周面には凹溝12が形成されている。なお、上部縦枠8aと下部縦枠8bと錠ケース8cの見込み寸法はほぼ同じである。また、門扉2、3と錠ケース8cには裏表がない。錠ケース8cの上端と下端には連結部11が形成され、この連結部11を上部縦枠8aと下部縦枠8bに嵌合しネジ止めすることによって連結固定されている。
【0031】
このとき、上記左右の各門扉2、3の錠ケース8cの枠本体10は門扉2、3の内側に納められ、上部縦枠8aと下部縦枠8bの外側には突出しないように形成されている。
【0032】
次に、錠ケース8cの見込み面内には錠機構を有する錠ユニットaが取り付けられている。錠ユニットaは錠掛け部材13と錠受け部材14とから構成され、一方の錠ケース8cの内側には錠掛け部材13が、他方の錠ケース8cの内側には錠受け部材14が取り付けられている。錠掛け部材13と錠受け部材14とにはそれぞれ錠機構が設けられている。
【0033】
錠掛け部材13は半円状ブロック13aの端面の中間部に軸受け孔15を有する半円状部16が突出形成されているもので、錠ケース8cの内側に嵌り合うように形成されている。錠掛け部材13の外周面に沿って錠ケース8cの内周面の凹溝12に嵌合可能な嵌合凸部17が形成されている。また、錠掛け部材13の内側には上記端面18に開口する収納溝20が形成されている。
【0034】
錠掛け部材13の収納溝20の内部には回転板21が回動自在に収納されている。回転板21はほぼ半円板状に形成され、錠掛け部材13の軸受け孔15に軸受けされた回動軸22に回動自在に支持されている。回転板21の一部には摘み23が形成されている。摘み23から先は錠掛け部24で、常時収納溝20からはみ出るようになっている。また、錠掛け部材13の周縁部の略中間部にはロック用穴25が貫通形成されている。
【0035】
なお、収納溝20の下部には板バネ26が取り付けられている。これに対応し、回転板21の摘み23と反対側の周面には上記板バネ26に係合可能な凹部27が形成されている。そして、上記摘み23が錠掛け部材13の端面に係合しているときは、回転板21の凹部27は上記板バネ26に係合し、この状態が保持されるようになっている。
【0036】
上記構成の錠掛け部材13は、その外周面の嵌合凸部17を一方の錠ケース8cの内周面の凹溝12に嵌合し、固定ネジ27でネジ止めすることによって固定されている。
【0037】
次に、錠受け部材14は半円弧状ブロックで、下半部は内側に突出して錠受け部本体28を構成している。錠受け部材14の外周面に沿っても、錠ケース8cの内周面の凹溝12に嵌合可能な嵌合凸部17が形成され、錠ケース8cの内側に嵌り合うように形成されている。錠受け部本体28には、円弧状の欠け落ち部30が形成されている。錠受け部材14の内周面には凹溝31が形成されている。そして、凹溝31の内側には錠受け部32が嵌合固定されている。錠受け部32は硬質の合成樹脂によって構成され、内部には上方と側方とに開口する受け溝33が形成されている。受け溝33の溝幅は上記回転板21の板厚よりもわずかに大きく、上端には案内面34が形成されている。
【0038】
上記構成の錠受け部材14は、その外周面の嵌合凸部17を他方の錠ケース8cの内周面の凹溝12に嵌合し、固定ネジ35でネジ止めすることによって固定されている。
【0039】
次に、上記構成の錠ユニットaの施錠、解錠について説明すると、まず施錠するときは、左右の門扉2、3を閉じる。このとき、両側の錠ケース8cは図1及び図14に示されるように突合せられて1つの円を構成するとともに、錠受け部材14の錠受け部本体28は、錠掛け部材13の下部に突合せ状に配置される。次に、錠掛け部材13の回転板21の摘み23に手を掛けて回転板21を図11の実線で示されるように回動軸22を中心に回動させる。これによって回転板21の錠掛け部24は錠受け部材14側に回り込み、錠受け部32の受け溝33の内側に挿入される。摘み23が錠受け部32の上端に係合したときに、錠掛け部24は錠受け部32の受け溝33の最も深い位置に係合する。さらに、ロック用穴25を利用して図示しない鍵を掛けることによって回転板21は逆方向に回転することができなくなり、両開き門扉2、3は施錠される。
【0040】
解錠するときは、上記鍵を外して回転板21を逆方向に回転させ、回転板21の凹部27を錠掛け部材13の板バネ26に係合させればよい。回転板21はこの状態が保持され、両開き門扉2、3は開放可能となる。
【0041】
上述のように、上記門扉2、3の戸当り側の縦枠構造によれば、上記左右の各門扉2、3の錠ケース8cの枠本体10は門扉2、3の内側に納められ、上部縦枠8aと下部縦枠8bの外側には突出しないように形成されているので、門扉2、3の縦枠8の見付け寸法に制限を受けることがない。また、特に門扉2、3の縦枠の見込み寸法にも制限を受けることがないので、それ自体が斬新でデザイン性が高いだけでなく、門扉2、3のデザインとうまく融合することができ、しかも安全性と操作性にも優れた錠ユニットaと門扉2、3構造とを備えた門を提供することができる。
【0042】
また、デザイン性を有する錠ケース8cを用いることで、錠ユニットaにも意匠性をもたせることができ、斬新なデザインの門扉2、3を得ることができる。
【0043】
さらに、錠ユニットaの見込み寸法が縦枠の見込み寸法とほぼ同じに形成され、錠ユニットaが縦枠のほぼ見込み面内に納められているので、出入りの際に衣服を引っ掛けたりする問題がない。
【0044】
左右両側の門扉2、3の上部縦枠8aと下部縦枠8bと錠ケース8cとは同じ形状、同じ大きさに形成されているので、門扉2、3の左右の別なく取り付けることができ、規格数を抑えることができ、低コストで製作することができる。
【0045】
錠掛け側と錠受け側の表裏を同一にしたことで、錠ユニットaの左右勝手がなく、現場での対応力が高い。
【0046】
施錠時に、回転板21の錠掛け部24は錠受け部32の受け溝33の内側に挿入されるが、錠受け部32は硬質合成樹脂製であるから、風が吹いたり、出入り時に接触したりして門扉2、3が振れても、金属製の錠掛け部24が合成樹脂製の錠受け部32に係合するので、不快ながたつき音が発生するのを有効確実に防止することができる。
【0047】
なお、錠ケース8cの外形デザインは上述のように半円形に限定されない。楕円形でも、四角形や三角形などの多角形状でもよく、多様な形状にすることができるので、門扉2、3に組み込まれるパネルデザインの創作の自由度が増す。
【0048】
同様に、錠ケース8cの内側に配置される錠掛け部材13や錠受け部材14による錠ユニットの形状や構造も上述のものに限定されない。内掛け錠、レバーハンドル式、シリンダ錠等の錠ユニットでもよい。
【0049】
次に、図8、図9及び図15(a)(b)に示されるように、両開き門扉2、3の戸当り側の縦枠8には、その敷地内側の見付け面に落し棒による施錠装置が設けられている。すなわち、上記縦枠8には落し棒35を摺動自在にガイドする落し棒ガイド36が取り付けられ、これに対応して設置面37には閉扉時に上記落し棒ガイド36に沿って下方に摺動させた落し棒35の下端に係合する受けツボ40が形成されている。
【0050】
縦枠8の下部には取付ブラケット41が縦枠8の見込み面で突合せられて固定されている。
【0051】
上記取付ブラケット41の見付け面には落し棒ガイド36が固定されている。落し棒ガイド36は図16に示されるように、基板部36aの両側縁から湾曲した円弧状の側板部42を突出させた形状をなし、側板部42の先端間には開口溝43が形成されている。また、基板部36aと側板部42との連結部の内側には取付溝44が形成されている。基板部36aは上記取付ブラケット41の突合せ面38にビス止め固定される。
【0052】
また、図17に示されるように、落し棒ガイド36の内側の上部と下部には、それぞれ樹脂ガイド45が取り付けられている。この樹脂ガイド45は、図18(a)(b)及び図19(a)(b)に示されるように、それぞれ上記取付ブラケット41と落し棒ガイド36がアルミニウム製部材であるのに対し、合成樹脂製の部材で、上部の樹脂ガイド45は、下部の断面C字形のガイド部46と、ガイド部46の上部から上方に突出形成された取付板部47と、取付板部47の上端からガイド部46側に直角に屈曲した天端部48とによって形成されている。ガイド部46は落し棒ガイド36の側板部42の内面に当接した状態で嵌合する大きさとし、また天端部48は図17に示されるように、上記落し棒ガイド部36の側板部42の上端を覆い、かつ後述の落し棒35が嵌合可能な大きさのC字形に湾曲し、両側の上端部には凹部50が形成されている。下部の樹脂ガイド45も上部樹脂ガイド45と同じ形状をなし、落し棒ガイド36には上部の樹脂ガイド45を上下逆にした状態で取り付けられる。なお、樹脂ガイド45と落し棒ガイド36とはビス51により共締めされて取付ブラケット41に取り付けられている。
【0053】
上部の樹脂ガイド45を落し棒ガイド36に取り付けるときは、まず樹脂ガイド45の取付板部47を落し棒ガイド36の取付溝44の上端から嵌合して下方にスライドさせ、天端部48が落し棒ガイド36の側板部42の上端に当接した状態でガイド部46を落し棒ガイド36にビス止め固定する。下部の樹脂ガイド45は、同様の要領で、取付板部47を落し棒ガイド36の下端から嵌合して上方にスライドさせ、天端部48が落し棒ガイド36の下端に係合した状態でガイド部46を落し棒ガイド36にビス止め固定すればよい。
【0054】
上記取付ブラケット41の内部には落し棒35が摺動自在に取り付けられている。落し棒35はステンレス等の金属棒材で、上部には摘み23が突出形成されている。落し棒35を取付ブラケット41に取り付けるには、その下端を上部樹脂ガイド45の天端部48から嵌合して下方にスライドさせ、上下部の樹脂ガイド45のガイド部46の内側をスライドさせて下部の樹脂ガイド45の下端の天端部48から挿通させればよい。このとき、落し棒35の摘み23は落し棒ガイド36と樹脂ガイド45の開口溝43から外方に突出する。
【0055】
上記構成によれば、開扉時には落し棒ガイド36は摘み23を落し棒ガイド36の上方まで引き上げ、図15(a)(b)に示されるように、横に90度回動させて樹脂ガイド45の天端部48の凹部50に係合させておく。また、閉扉時には図17に示されるように、摘み23を逆方向に90度回動させて落し棒ガイド36の開口溝43に沿って下方に摺動させ、落し棒35の下端を設置面の受けツボ40に係合させる。
【0056】
開扉時や閉扉時に風が吹いて門扉2、3が振動したとき、落し棒35は落し棒ガイド36内で振れることがあるが、落し棒35は直接には樹脂ガイド45の内面に接触するので、不快な音が発生することがない。
【0057】
また、開扉時には落し棒35の摘み23は樹脂ガイド45の天端部48の凹部50に係合した状態に保持される。この場合も、風が吹いたり、門扉2、3が動いたりしたとき、落し棒35は落し棒ガイド36内で振れることがあるが、落し棒35は直接には樹脂ガイド45の天端部48上に接触しているので、不快な音が発生することがない。
【0058】
さらに、上下の樹脂ガイド45は全く同じ構造のものを利用することができるので、コストを低く抑えることができる。
【0059】
なお、落し棒35の騒音防止構造は上述の形態に限定されるものではない。例えば、落し棒35の周面の一部や摘み23を合成樹脂で覆う構成によっても、騒音の発生を防止することができる。
【0060】
また、上述の実施形態においては、錠ケースが上部縦枠と下部縦枠との間に設けられているが、本発明はこれに限定されない。例えば、錠ケースを上部縦枠又は下部縦枠と一体に形成する構成であってもよい。また、錠ケースを縦枠ではなく、縦枠の近傍に設けられた適宜の部材(例えば中桟)と連結される構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】(a)(b)は本発明に係る門及び門柱パネルを示す正面図
【図2】上記門の門柱部分の横断面図
【図3】上記門の門柱の一部の縦断面図
【図4】上記門の他の形態の正面図
【図5】上記門のさらに他の形態の正面図
【図6】上記門の別の形態の正面図
【図7】上記門の更に別の形態の正面図
【図8】本発明に係る門扉を備えた門の正面図
【図9】上記門の一部の横断面図
【図10】上記門扉の正面図
【図11】本発明に係る錠ユニットの取付態様を示す断面図
【図12】(a)は錠受け部材の取付状態の側面図、(b)は錠掛け部材を回動軸の中心で切断して示した側面図
【図13】錠ユニットの斜視図
【図14】上記錠ユニットを門扉に取り付けた状態で示した位置関係説明図
【図15】(a)(b)は、それぞれ本発明に係る落し棒装置の解錠時の要部の平面図および側面図
【図16】上記落し棒装置の平面の拡大図
【図17】上記落し棒装置の施錠状態の側面の拡大図
【図18】(a)(b)(c)はそれぞれ樹脂ガイドの平面図、正面図及び右側面図
【図19】(a)(b)はそれぞれ図のX−X線及びY−Y線の断面図
【符号の説明】
【0062】
8 縦枠
8a 上部縦枠
8b 下部縦枠
8c 錠ケース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
門柱に回動自在に支持された門扉の戸当り側の縦枠を構成する上部縦枠と下部縦枠との間に錠ケースを設けるとともに、該錠ケースには上記門扉に連結する連結部を設け、上記錠ケースの内側には錠機構を設けたことを特徴とする門扉構造。
【請求項2】
上記錠ケースには、上記上部縦枠と下部縦枠とに連結する連結部を設けたことを特徴とする、請求項1に記載の門扉構造。
【請求項3】
上記門扉は、両開き門扉であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の門扉構造。
【請求項4】
上記門扉のうち一方の門扉は親扉で、他方の門扉は子扉であることを特徴とする、請求項3に記載の門扉構造。
【請求項1】
門柱に回動自在に支持された門扉の戸当り側の縦枠を構成する上部縦枠と下部縦枠との間に錠ケースを設けるとともに、該錠ケースには上記門扉に連結する連結部を設け、上記錠ケースの内側には錠機構を設けたことを特徴とする門扉構造。
【請求項2】
上記錠ケースには、上記上部縦枠と下部縦枠とに連結する連結部を設けたことを特徴とする、請求項1に記載の門扉構造。
【請求項3】
上記門扉は、両開き門扉であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の門扉構造。
【請求項4】
上記門扉のうち一方の門扉は親扉で、他方の門扉は子扉であることを特徴とする、請求項3に記載の門扉構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2008−190126(P2008−190126A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−22382(P2007−22382)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】
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