説明

閃光放電ランプの駆動装置

【課題】照射光強度が一定となる持続時間を拡大させることを可能とし、しかも光強度が一定値からずれる期間をランプ起動のために必要ななるべく短い時間に制限することを可能とする閃光放電ランプの駆動装置を提供する。
【解決手段】外部トリガー電極を備えた閃光放電ランプと、外部トリガー電極を介して高電圧トリガー信号を閃光放電ランプに与え、その内部に絶縁破壊を生じさせて閃光放電ランプを起動させる高電圧発生手段と、閃光放電ランプの放電開始時に先導放電電流を供給するブースト手段と、閃光放電ランプの放電時に閃光放電ランプに主放電電流を供給して閃光点灯させる主放電電流供給手段と、この主放電電流を定電流化制御する定電流制御手段と、閃光放電ランプの放電時の光強度を検出する光強度検出手段と、この検出された光強度が予め設定された目標光強度になるように定電流制御手段による制御電流をフィードバック制御する光フィードバック手段から構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、太陽電池評価用ソーラーシミュレータの擬似太陽光の光源として好適な閃光
放電ランプの駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽電池のセル特性評価のために、太陽電池セルに対し、閃光放電ランプから擬似太陽光
を照射し、一方、太陽電池セルに調整可能な負荷装置と、出力電圧及び出力電流測定装置
接続し、この擬似太陽光の照射中に負荷を短絡から開放まで変化させたときの、電圧―電流特性を測定することが行なわれている。
【0003】
この太陽電池のセル特性評価のためのソーラーシミュレータとして、例えば特許文献1に
記載のものがある。
この特許文献1のものは、太陽電池セルに太陽光の模擬光を照射する閃光放電ランプと、
外部トリガー電極を介して高電圧トリガー信号をこの閃光放電ランプに与え、その内部に
絶縁破壊を生じさせて閃光放電ランプを起動させる高電圧発生回路と、閃光放電ランプの
放電開始時に先導放電電流を供給するブースト回路と、更には閃光放電ランプの放電時に
閃光放電ランプに定電流を供給して閃光点灯させる定電流電源から構成され、この定電流
供給によって、安定持続した発光を可能として太陽電池セル特性評価のための測定積算回
数を多く取ることを可能とし、また測定データの補正も簡略化できるようにしたものであ
る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−108128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のように、閃光放電ランプの放電時に閃光放電ランプに一定電流を
供給して閃光点灯させるものであっても、一定電流供給開始からの時間経過によって閃光放電ランプからの光強度に変動が生じ、一定の光強度にはならない。即ち、閃光放電ランプの電流が一定電流になった後もその初期の期間では光強度はゆっくりと減少して行き一定の光強度に達する時刻は、一定定電流なった時刻に対し、遅れが生じる。これは、ランプ内の熱的状態が定常状態に達するまで、発光効率などが徐々に変化するためであろうと推測される。
【0006】
このため、定電流供給中であっても、この光強度が大きい期間に、太陽電池セル特性評価のための測定を行なえば、測定データには誤差が生じ、この補正が必要になる。または、この期間中は、その測定を禁止すれば測定期間が短くなり(測定積算回数が少なくなり)測定の精度の低下を招くことになる。
要はなくなる。
【0007】
この発明は、閃光放電ランプに対する放電電流の定電流化制御期間のほぼ全般に亘り、閃光放電ランプからの照射光強度の一定化を可能とすることにより、照射光強度が一定となる持続時間を拡大させ、しかもこの持続時間を拡大しても光強度がこの一定値からずれる期間をランプ起動のために必要な短い期間に抑えることができる閃光放電ランプの駆動装置を提供することを目的とし、太陽電池評価用ソーラーシミュレータにおける太陽電池セルに擬似太陽光を照射する光源として用いたときには、太陽電池セル特性評価のための測定期間の拡大による測定精度の向上を図り、しかも測定期間を拡大しても測定期間中光強度を設定された一定値に持続させて測定データの補正の不要化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の請求項1による閃光放電ランプの駆動装置は、外部トリガー電極を備えた閃光放電ランプと、上記外部トリガー電極を介して高電圧トリガー信号を上記閃光放電ランプに与え、その内部に絶縁破壊を生じさせて上記閃光放電ランプを起動させる高電圧発生手段と、上記閃光放電ランプの放電開始時に先導放電電流を供給するブースト手段と、上記閃光放電ランプの放電時に上記閃光放電ランプに主放電電流を供給して閃光点灯させる主放電電流供給手段と、この主放電電流を定電流化制御する定電流制御手段と、上記閃光放電ランプの放電時の光強度を検出する光強度検出手段と、この検出された光強度が予め設定された目標光強度になるように上記定電流制御手段による制御電流をフィードバック制御する光フィードバック手段から構成される。
【0009】
この発明の請求項2による閃光放電ランプの駆動装置は、請求項1において、上記閃光放電ランプが、太陽電池評価用ソーラーシミュレータにおける太陽電池セルに擬似太陽光を照射する光源を構成したものである。
【0010】
この発明の請求項3による閃光放電ランプの駆動装置は、請求項1または請求項2において、上記閃光放電ランプの放電開始時に少なくても上記ブースト手段から先導放電電流が供給されている所定の期間は、上記定電流制御手段による定電流化制御を禁止して所定の先導放電電流を供給させる遅延手段を備えて構成される。
【0011】
この発明の請求項4による閃光放電ランプの駆動装置は、請求項3において、上記定電流制御手段による定電流化制御を禁止する期間は、上記主放電電流供給手段からの主放電電流の供給開始後の所定期間を含んで設定されている。
【0012】
この発明の請求項5による閃光放電ランプの駆動装置は、請求項3または請求項4において、上記遅延手段は、上記定電流制御手段が上記閃光放電ランプに対する主放電電流のみが流れる回路部分に設けられることにより、少なくても上記ブースト手段からの先導放電電流に対する定電流化制御を禁止するように構成される。
【発明の効果】
【0013】
この発明による閃光放電ランプの駆動装置における閃光放電ランプを、太陽電池評価用ソーラーシミュレータにおける太陽電池セルに擬似太陽光を照射する光源として用いたときには(請求項1及び2)、太陽電池セルに照射される検出された光強度が予め設定された目標光強度になるように上記定電流制御手段による制御電流がフィードバック制御されることにより、照射光強度が一定となる持続時間を拡大させることを可能とし、しかも光強度が一定値からずれる期間をランプ起動のために必要ななるべく短い時間に制限することを可能とする。
【0014】
従って、太陽電池セル特性評価のための測定積算回数を多く取ることを可能として測定精度の向上を図ることができ、しかも測定期間を拡大しても測定期間中光強度を設定された一定値に持続できるため測定データの補正を不要とすることができ測定データ処理装置を簡略化できる。
【0015】
この発明の請求項3による閃光放電ランプの駆動装置によれば、閃光放電ランプに対し先導放電電流が定電流化されることなく所定の先導放電電流を供給でき、閃光放電ランプを安定に起動させることができる。
【0016】
この発明の請求項4による閃光放電ランプの駆動装置によれば、請求項3において、上記主放電電流供給手段からの電流の供給開始後の所定期間も上記定電流制御手段による定電流制御機能を禁止する期間としたため、上記主放電電流供給手段からの電流の供給開始付近の大きい値の電流を閃光放電ランプに与えることができ、閃光放電ランプを更に安定に起動させることができる。
【0017】
この発明の請求項5による閃光放電ランプの駆動装置によれば、定電流制御手段の接続回路位置によって、ブースト手段からの先導放電電流を定電流化制御することはないので、この先導放電電流に対する定電流化制御を禁止させるための遅延手段を特別に考慮する必
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の実施例1を示す電気回路図
【図2】この発明の実施例1の閃光発光を示す波形図
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0019】
図1は、この発明の実施例1の電気回路図を示し、同図中、1は閃光放電ランプで、特許文献1と同様に、内部に放電媒体が充填された気密容器101、この気密容器の両端内部に封支された1対の電極102a,102b及び気密容器101の外周面に巻回され、高電圧のトリガー信号を受けて強い電位傾度を形成し上記放電媒体を絶縁破壊させる外部トリガー電極103を含んで構成されている。
【0020】
上記気密容器101は、両端が封止された例えば石英ガラスなどの放射透過性で気密性の細長い中空管から形成され、放電により発生した光を外部へ導出して被照射体(例えば、太陽電池セル)に照射させる。上記1対の電極102a,102bは、放電電極を構成し、例えばニッケル(Ni)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)及びチタン(Ti)の1種又は複数種の合金などの耐熱性金属から形成される。上記放電媒体は、主として希ガスからなり、アルゴン(Ar)、ネオン(Ne)、クリプトン(Kr)及びキセノン(Xe)の1種又は複数種を混合して使用することができる。また、上記外部トリガー電極103は、細い導線を所定のピッチで気密容器101の外周面に螺旋状に巻回して構成され、上記導線の線径とピッチは、放電アークの安定性と遮光率の兼ね合いを考慮して適切な値に設定される。
【0021】
同図中、2は、上記閃光放電ランプ1の点灯開始時に、上記外部トリガー電極103を介して高電圧トリガー信号を上記閃光放電ランプ1に与え、その内部に絶縁破壊を生じさせて上記閃光放電ランプ1を起動させる高電圧発生回路であり、パルストランス201と、その1次コイルに対する直流電源202からの給電をON.OFF制御する給電制御回路203と、動作開始時にONされるスイッチ204を備え、このスイッチのONによって、給電制御回路203が1次コイルに給電させると共に、この給電を遮断させて2次コイルに高電圧のトリガー信号を発生させ、このトリガー信号は外部トリガー電極103に与えられる。
【0022】
3は、上記閃光放電ランプ1の放電開始時に先導放電電流を供給するブースト回路であり、例えば商用交流電圧をトランスを介して昇圧しこれを全波整流するなどの手段により上記閃光放電ランプ1の放電開始時に先導放電電流の供給を可能とする例えば300V〜400Vの直流出力電圧を発生する第1の充電用の直流電源301と、この直流電源から充電抵抗302を介して充電され、ダイオード303を介して上記閃光放電ランプ1に放電する比較的容量の小さい(例えば数μFの)第1の充放電コンデンサ304を備えて構成されている。なお、第1の直流電源301は、後述の第2の直流電源の電源スイッチ401DのONによって駆動されるものとし、またこの第1の直流電源301の電力容量は、その出力電圧まで第1の充放電コンデンサ304を充電するまでの時間を充分とる事ができる場合には小さい容量のもので対応可能である。
【0023】
4は、上記閃光放電ランプ1の放電時に上記閃光放電ランプ1に設定された定電流を供給して閃光点灯させる定電流電源であり、上記閃光放電ランプ1の放電時に主放電電流を供給する主放電電流供給回路401と、少なくてもこの主放電電流供給回路401からの閃光放電ランプ1に対する主放電電流をその放電電圧の変動にかかわらず定電流化する定電流制御回路402を備えて構成されている。
【0024】
上記主放電電流供給回路401は、閃光放電ランプ1に設定された定電流の供給を可能とする例えば約150Vの直流出力電圧を発生する第2の充電用の直流電源4001と、この直流電源からインダクタ401Dを介して充電され、ダイオード401Eを介して上記閃光放電ランプ1に放電する比較的容量の大きい(例えば数万μFの)第2の充放電コンデンサ401Fを備えて構成されている。ここで、上記第2の充電用の直流電源4001は、商用交流電源401Aの電圧をトランス401Bを介して昇圧し、これを全波整流器401Cを介して直流電圧に変換するように構成されている。なお401Dは電源スイッチである。
【0025】
また、上記定電流制御回路402は、閃光放電ランプ1の放電電流回路に直列に接続された例えばNチャンネルMOSFETからなる半導体スイッチ402Aと、これに直列接続された電流検出用の抵抗402Bと、この検出電流と目標電流Ioとを比較して検出電流が目標電流になるように半導体スイッチ402Aの導通度を制御するオペアンプ402Cと、この検出電流がゼロの状態で半導体スイッチ402Aが完全導通に制御されている状態から閃光放電ランプ1の放電が開始され検出電流が目標電流Ioを超えた状態になっても所定時間定電流化制御を禁止・遅延させる抵抗402D,コンデンサ402Eと、更には定電流化制御の終端時期を検出電流が所定値になってからの所定時間によって計測するタイマ402Fと、このタイマによって目標電流をゼロに設定するトランジスタ402Gを備えて構成されている。
【0026】
なお、上記半導体スイッチ402Aは、大電流に対応するため、FETを複数(多数)並列接続して構成されることが好ましい。また上記第2の直流電源4001の電力容量は、その出力電圧まで第2の充放電コンデンサ401Fを充電するまでの時間を充分採る事ができる場合にはそれほど大きい容量のものでなくても対応可能である。但し、閃光放電ランプ1の定電流放電を継続させるにあたり、第2のコンデンサ401Fの放電電流に加えこの第2の直流電源4001の出力電流をも供給する必要がある場合は、それに応じた電力容量に設定される。
【0027】
5は、上記閃光放電ランプ1の放電時の光強度を検出する光強度検出回路であり、閃光放電ランプ1に対向して設置され、その光強度(例えば、太陽電池セルに照射される光強度)に対応した電流出力を発生するホトダイオードからなる光強度検出素子501と、この電流出力を電圧出力に変換するオペアンプ502、抵抗503を備えている。
【0028】
6は、この検出された光強度が予め設定された目標光強度になるように上記定電流制御回路402による定電流値をフィードバック制御する光フィードバック回路であり、抵抗504を介して与えられる検出光強度と目標光強度設定手段601によって設定された目標光強度との偏差を増幅、積分して検出光強度が目標光強度になるための上記定電流制御回路402の目標電流を発生するオペアンプ602、抵抗603、コンデンサ604及び抵抗606を備えている。
【0029】
次に、このように構成された図1の放電閃光ランプの駆動装置の動作について説明する。
先ず、閃光放電ランプ1の駆動に先立ち、電源スイッチ401DをONさせると、第1の直流電源301と第2の直流電源4001からそれぞれ設定された直流電圧(300V〜400Vと約150V)が発生し、第1、第2の充放電コンデンサ304、401Fがそれぞれ各直流電源の電圧まで充電される。この第1の充放電コンデンサ304の満充電には第1の直流電源301の電力容量とそのコンデンサ容量とによって決まる時間が必要であり、同様に第2の充放電コンデンサ401Fの満充電には第2の直流電源4001の電力容量とそのコンデンサ容量とで決まる時間が必要である。これらコンデンサには必要な容量が決められていることから、これらコンデンサの許容充電時間に対応して第1、第2の直流電源の容量が決められることになる。
【0030】
この充電された状態において、高電圧発生回路2のスイッチ204をONさせると、給電制御回路203により、パルストランス201の1次コイルに直流電源202から給電され、この給電が遮断されることによって2次コイルに高圧のトリガー信号が発生する。このトリガー信号がトリガー電極103に印加されると、閃光放電ランプ1は絶縁破壊を起こして起動する。すると、先ずブースト回路3の第1の充放電コンデンサ304に充電された電荷による電流(先導放電電流)が、ダイオード303及び完全導通状態にある半導体スイッチ405Aを介して閃光放電ランプ1に供給されて閃光放電が開始される。
【0031】
ここで定電流制御回路402、光強度検出回路5及び光フィードバック回路6の電源は、図では明示しないが上記電源スイッチ401D に同期して既に投入されている。上記半導体スイッチ402Aは、上記閃光放電が開始される以前の放電電流ゼロの状態ではオペアンプ402Cからのハイレベル電圧によって充電されたコンデンサ402Eの電圧をゲートに受けて完全導通状態にある。この完全導通の状態で上記閃光放電が開始され、電流検出抵抗402Bの電圧が上昇してオペアンプ402Cの出力がローレベル電圧に反転しても、コンデンサ402Eの電圧は抵抗402Dを介して徐々に放電するため、半導体スイッチ405Aの完全導通から定電流制御の導通度に達するまでに所定時間を要し、この期間定電流電源回路405の定電流化制御機能を禁止・遅延させる。このためブースト回路3の第1の充放電コンデンサ304の充電電荷による先導放電電流は、定電流化されることなく安定した閃光放電を開始させる値で閃光放電ランプ1に供給される。
【0032】
ブースト回路3の第1の充放電コンデンサ304の放電によってその電圧が定電流電源4の第2の充放電コンデンサ401Fの電圧まで低下してくると、この定電流電源4の第2の充放電コンデンサ401Fの電荷によるランプ電流が供給され閃光発光が生じる。この第2のコンデンサ401Fによるランプ電流は電流検出抵抗402Bで検出され、上記定電流制御機能の禁止・遅延時間が終了しておれば、この検出電流と目標電流Ioとを比較するオペアンプ405Cの出力によって半導体スイッチ402Aのゲートを制御することにより、検出電流が目標電流Ioになるように定電流制御される。
【0033】
なお、上記定電流制御機能の禁止・遅延時間が終了するまでは、半導体スイッチ402Aは完全導通乃至定電流制御以上の導通度状態にあり、この間、この第2のコンデンサ401Fからの放電電流も、定電流化されること無く、放電初期の充分大きな値で閃光放電ランプ1に供給されるため、より安定した閃光放電を開始させることができると共に、この大きな放電電流を定電流化する際に半導体スイッチ402Aで消費される大きな電力損失が低減され、半導体スイッチ402Aをその熱破壊から保護することができる。
【0034】
この定電流制御機能の禁止・遅延時間は、これを長くすると太陽電池セル特性評価の測定期間を短くすることになるため、安定した閃光放電を開始させるに必要で、また半導体スイッチ402Aの電力損失を低減させるに必要な範囲のあまり長すぎない期間を考慮して設定される。
【0035】
ここで、上述のごとく閃光放電ランプ1の閃光放電電流を一定電流に制御したとしても、特に閃光放電開始付近の所定時間は光強度が徐々に低下してその後所定の光強度に落ち着く現象があるため、光強度一定の期間が短くなる問題がある。この発明は、この問題を改善すべく、閃光放電ランプからの光強度を検出し、この検出光強度が目標光強度になるように上記定電流電源からの定電流をフィードバック制御する光フィードバック手段を備えている。
【0036】
即ち、実施例1によれば、光検出素子501によって閃光放電ランプ1からの光強度を、それに対応した電流出力として検出し、この電流出力はオペアンプ502と抵抗503により電圧出力に変換される。オペアンプ602、抵抗603、コンデンサ604による回路は、抵抗504を介して与えられるその電圧出力の検出光強度と目標光強度設定手段601によって設定された目標光強度との偏差を増幅、積分して検出光強度が目標光強度になるための上記定電流制御回路402の目標電流を発生し、抵抗606を介して定電流制御回路402の目標電流Ioを設定する。
【0037】
従って、定電流電源4による閃光放電ランプ1の放電電流は、閃光放電ランプ1からの光強度が目標光強度(一定の所定値)になるに必要な電流にフィードバック制御され、ランプ1からの光強度が、ほぼ定電流電源4の定電流化制御期間中に亘り一定の光強度に維持されることになる。
【0038】
タイマ402Fは、定電流化制御の終端時期を決定するものであり、検出電流が所定値になってからの時間によって計測し、それが所定時間に達した終端時期になるまでは、トランジスタ402GをOFFに保ち、終端時期に達するとONさせて目標電流Ioをゼロに設定することにより、放電電流を遮断させ、閃光発光を終了させる。
【0039】
なお、実施例1における閃光放電ランプの駆動装置は、太陽電池評価用ソーラーシミュレ
ータの擬似太陽光の光源として使用され、この場合、太陽電池のセル特性評価のために、太陽電池セルに対して閃光放電ランプ1から擬似太陽光を照射し、一方、太陽電池セルに調整可能な負荷装置と、出力電圧及び出力電流測定装置を接続し、この擬似太陽光の照射中に負荷を短絡から開放まで変化させたときの、電圧―電流特性を測定することが行なわれる。
【0040】
この太陽電池のセル特性評価のために利用された場合、上記のように閃光放電ランプ1からの光強度が、光フィードバック制御によりほぼ定電流電源4の定電流化制御期間中に亘り一定の光強度に維持され、照射光強度が一定となる持続時間を拡大させることを可能として太陽電池セル特性評価のための測定積算回数を多く取ることを可能として測定精度の向上を図ることができ、しかも測定期間を拡大しても測定期間中光強度を設定された一定値に持続できるため測定データの補正を不要とすることができ測定データ処理装置を簡略化できる。
【0041】
図2は、図1の放電閃光ランプの駆動装置における閃光発光を示す波形図であり、波形aは放電電流、波形bは光強度をそれぞれ示している。
時刻T0において高電圧トリガーによって第1の充放電コンデンサ304からの放電が始まり、
その後第2の充放電コンデンサ401Fからの放電に移り、時刻T1において定電流電源回路4の定電流機能が開始する。放電電流bは、光強度aが一定の目標光強度になるようにフィードバック制御されることにより、定電流化制御初期付近では一定電流値(破線)より小さい値に制御されており、この間も光強度は一定に制御されている。
【0042】
なお、光強度aの破線は、放電電流bが一定値(破線)に制御された場合の光強度を参考までに示しており、この場合、時刻T2まで光強度は一定値に対し大きい値を示している。時刻T1から光フィードバック制御により、一定値に制御された光強度は、時刻T3において放電電流値がゼロに制御されることにより、その放電電流と共にゼロになっている。因みに、参考までに図1の実施例1の場合、定電流化制御開始までの起動期間(To〜T1)は約5msec、一定の光強度制御期間(T1〜T3)は約30msecであるが、これは要求仕様に対応して各種の値を採り得る。
【実施例2】
【0043】
上記実施例1において上記半導体スイッチ402Aの完全導通乃至定電流制御以上の導通度を所定時間継続させ、定電流制御回路402の定電流化制御を所定時間禁止・遅延させる半導体スイッチ402Aのゲートとドレインとの間に並列に接続されたコンデンサ402Eは、FETのゲートとドレインとの間の浮遊静電容量を利用することによって省略することができ、この場合放電時定数を決める抵抗402Dの値を適宜大きく設定して所定の遅延時間を与えることになる。
【実施例3】
【0044】
上記実施例1の定電流制御回路402は、第1、第2の充放電コンデンサ304、401Fからの閃光放電ランプ1に対する共通の放電回路部分に設けられているが、第2の充放電コンデンサ401Fの放電電流のみが流れる放電回路部分に設けてもよく、この場合は、第1の充放電コンデンサ304による放電電流を定電流化することはないので、少なくてもこの第1の充放電コンデンサ304の放電電流に対する定電流化制御を禁止させるための遅延手段を特別に考慮する必要はなくなる。なお、この場合この放電電流回路中における定電流制御回路402の接続回路位置構成が、請求項3または4における遅延手段の全部又は一部に対応する。
【産業上の利用可能性】
【0045】
この発明の、閃光放電ランプの駆動装置は、太陽電池評価用ソーラーシミュレータの擬似
太陽光の光源として好適なものであるが、その他、光強度が一定の光の照射を必要とする用途に対し、利用可能である。
【符号の説明】
【0046】
1:閃光放電ランプ 103:外部トリガー電極 2:高電圧発生回路 3:ブースト回路 4:定電流電源 401:主放電電流供給回路 402:定電流制御回路 402A:半導体スイッチ 5:光強度検出回路 6:光フィードバック回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部トリガー電極を備えた閃光放電ランプと、上記外部トリガー電極を介して高電圧トリガー信号を上記閃光放電ランプに与え、その内部に絶縁破壊を生じさせて上記閃光放電ランプを起動させる高電圧発生手段と、上記閃光放電ランプの放電開始時に先導放電電流を供給するブースト手段と、上記閃光放電ランプの放電時に上記閃光放電ランプに主放電電流を供給して閃光点灯させる主放電電流供給手段と、この主放電電流を定電流化制御する定電流制御手段と、上記閃光放電ランプの放電時の光強度を検出する光強度検出手段と、この検出された光強度が予め設定された目標光強度になるように上記定電流制御手段による制御電流をフィードバック制御する光フィードバック手段から構成される閃光放電ランプの駆動装置。
【請求項2】
請求項1において、上記閃光放電ランプが、太陽電池評価用ソーラーシミュレータにおける太陽電池セルに擬似太陽光を照射する光源を構成している閃光放電ランプの駆動装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、上記閃光放電ランプの放電開始時に少なくとも上記ブースト手段から先導放電電流が供給されている所定の期間は、上記定電流制御手段による定電流化制御を禁止して所定の先導放電電流を供給させる遅延手段を備えた閃光放電ランプの駆動装置。
【請求項4】
請求項3において、上記定電流制御手段による定電流制御機能を禁止する期間は、上記主放電電流供給手段からの主放電電流の供給開始後の所定期間を含んで設定されている閃光放電ランプの駆動装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4において、上記遅延手段は、上記定電流制御手段が上記閃光放電ランプに対する主放電電流のみが流れる回路部分に設けられることにより、少なくても上記ブースト手段からの先導放電電流に対する定電流化制御を禁止するように構成されている閃光放電ランプの駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−34762(P2011−34762A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−178982(P2009−178982)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(503442640)ヒメジ理化株式会社 (7)
【Fターム(参考)】