説明

閉塞体支持構造

【課題】 貯留ドラム内に収集物を収容する際に、貯留ドラムが有する送りブレードと閉塞体が有する固定ブレードとの間における鬩ぎ合いなどで貯留ドラムの後端部が浮き上がるのを効果的に阻止して、貯留ドラムの回転を安定させる。
【解決手段】 車両の車台1に回転可能に搭載される貯留ドラム2の前端が回転手段4を介して車台1に支持される一方で、貯留ドラム2の後端部21bが外周に有するドラムリング5を車台1の後端部1aにおける左右に配設のローラ6に支持させると共に、貯留ドラム2の後端開口2aが閉塞体3で開放可能に閉塞されてなる収集車にあって、ドラムリング5の外周に一つ以上となる上方ローラ7が車台1の後端部1aにおける左右に配設のローラ6に対向するように隣接されると共に、上方ローラ7を保持する保持手段8が閉塞体3を開閉動作可能に連繋させてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、閉塞体支持構造に関し、特に、塵芥収集などの収集車にあって車台に回転可能に搭載される貯留ドラムの後端開口を開放可能に閉塞する閉塞体の配設に適する閉塞体支持構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
塵芥収集などの収集車にあって車台に回転可能に搭載される貯留ドラムの後端開口を開放可能に閉塞する閉塞体の配設に適する閉塞体支持構造としては、たとえば、特許文献1に開示の提案がある。
【0003】
すなわち、この特許文献1に開示の提案にあって、収集車は、車台に搭載の貯留ドラム内に収容の収集物を車外に排出するときには、貯留ドラムをダンプさせる。
【0004】
そのため、貯留ドラムは、運転席裏の前端が駆動源および支持枠を介して支持されるのに対して、後端部が門形フレームに旋回ベアリングの介在下に支持されるとし、門形フレームは、車台の後端部に後端が枢着される枠の後端部に立設されて、この門形フレームに一体に設けられた旋回ベアリングに支持されている。
【0005】
そして、貯留ドラムの後端開口は、上記の門形フレームにヒンジ構造下に連結される閉塞体で開放可能に閉塞され、また、この閉塞体は、上記の門形フレームに基端側が保持されたシリンダに連結されている。
【0006】
それゆえ、この特許文献1に開示の閉塞体支持構造にあっては、貯留ドラムが前端を持ち上げるようにしてダンプされても、貯留ドラムの後端部が枠から外れず、また、閉塞体も門形フレームに保持された状態で貯留ドラムの後端開口の開放を可能にする。
【0007】
一方、貯留ドラムをダンプさせずに閉塞体を開放させて、貯留ドラム内の収集物を車外に排出する収集車を提案する場合、貯留ドラムの先端は上記と同様の構造で支持されるとしても、貯留ドラムの後端部を上記のような門形フレームおよび旋回ベアリングの介在下に支持する必要はなく、たとえば、特許文献2に開示されているように、貯留ドラムの後端部の外周に連設したドラムリングを台車の後端の左右に配置したローラで支持すれば足りる。
【0008】
そして、この貯留ドラムをダンプさせずに貯留ドラム内の収集物を車外に排出する収集車を提案する場合、貯留ドラムの後端開口を開放可能に閉塞する閉塞体の開閉作動については、前記した特許文献1に開示のように、閉塞体をヒンジ構造下に連繋させながら、たとえば、シリンダの伸縮作動に依れば足りる。
【0009】
それゆえ、貯留ドラムをダンプさせずして収集物を排出する収集車を提案する場合、特許文献2に開示の提案を利用すれば、前記した門形フレームおよび旋回ベアリングを利用しない分、収集車の構成を簡素化でき、収集車における製造コストの低廉化を可能にして、その汎用性の向上を期待できる。
【特許文献1】特開平8‐225104号公報(要約,明細書中の段落0002,同0019,同0022,図1,図2,図5参照)
【特許文献2】特開2001‐335110号公報(明細書中の段落0014から同0017,図1,図2参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、貯留ドラムをダンプさせずして収集物を排出する収集車を提案する場合に、特許文献2に開示の提案を利用すれば、収集車の構成を簡素化でき、収集車における製造コストの低廉化を可能にする点で、基本的に不具合はないが、利用の実際を勘案すると、些か不具合があると指摘される可能性がある。
【0011】
すなわち、貯留ドラムの後端部に連設のドラムリングを下方のローラで支持して貯留ドラムをダンプさせない収集車にあっても、貯留ドラム内に収集物を収容する場合には、たとえば、特許文献2に開示されているように、閉塞体が有するインナーパイプを介して貯留ドラム内に供給された収集物を貯留ドラムが有するドラムブレードと称されることもある送りブレードの旋回で貯留ドラムの奥側へと送り込む。
【0012】
ところが、この送りブレードによる収集物の送り込みの際に、たとえば、貯留ドラム内に収集物が満杯状態に収容されている場合には、貯留ドラムの送りブレードと、閉塞体が有するインナーパイプの外周に連設されて送りブレードとは逆方向の螺旋状に形成の固定ブレードとの間にいわゆる鬩ぎ合いが発現される。
【0013】
そして、この鬩ぎ合いが甚だしくなると、貯留ドラムの後端部がドラムリングを介してローラの上に載置されている状況にあるから、浮き上がる傾向になり、実際に浮き上がる場合には、閉塞体が貯留ドラムの後端開口を完全には閉塞し得なくなり収集物の漏出を招く。
【0014】
すなわち、貯留ドラムがドラムリングを介してローラの上に載置されている状況下では、貯留ドラムの後端開口を開放可能に閉塞する閉塞体は、基本的には、貯留ドラムと分離されて、たとえば、車台側に保持されている。
【0015】
それゆえ、上記したように、貯留ドラムの後端部が上昇するなど変位する場合には、閉塞体が貯留ドラムの後端開口を完全に閉塞できず、したがって、貯留ドラムの後端開口から収集部がいわゆる外部に漏出する。
【0016】
この発明は、このような現状を鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、車台に搭載の貯留ドラムがドラムリングを介してローラの上に載置されている収集車にあって、閉塞体による貯留ドラムの後端開口の完全な閉塞を実現可能にして、その汎用性の向上を期待するのに最適となる閉塞体支持構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記した目的を達成するために、この発明による閉塞体支持構造の構成を、基本的には、車両の車台に回転可能に搭載される貯留ドラムの前端が回転手段を介して車台に支持される一方で、貯留ドラムの後端部が外周に有するドラムリングを車台の後端部における左右に配設のローラに支持させると共に、貯留ドラムの後端開口が閉塞体で開放可能に閉塞されてなる収集車にあって、ドラムリングの外周に一つ以上となる上方ローラが車台の後端部における左右に配設のローラに対向するように隣接されると共に、上方ローラを保持する保持手段が閉塞体を開閉動作可能に連繋させてなるとする。
【発明の効果】
【0018】
それゆえ、この発明にあっては、貯留ドラムにおける後端部の外周に配設されて車台の後端部における左右に配設のローラに支持されるドラムリングが上方ローラの外周への隣接で上記の言わば下方となる左右のローラから離脱すること、すなわち、浮き上がることを阻止されて、貯留ドラムの回転を安定させるから、この貯留ドラムの回転の安定化を実現する上方ローラを保持する保持手段が閉塞体を保持するとき、閉塞体による貯留ドラムの後端開口の完全な閉塞が実現可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、図示した実施形態に基づいて、この発明を説明するが、この発明による閉塞体支持構造は、図示するところでは、シュレッダ車に、すなわち、収集した書類をシュレッダ処理すると共にシュレッダ処理した結果物たるシュレッダ屑を収容して搬送し、搬送先でシュレッダ屑を排出する収集車に具現化される。
【0020】
そのため、このシュレッダ車は、図1に示すように、車両における車台1に回転可能に搭載される貯留ドラム2を有すると共に、この貯留ドラム2における後端開口2aを開放可能に閉塞する閉塞体3を有してなる。
【0021】
車両は、図示するところでは、走行用エンジンEを有して自走するトラックからなるが、この発明が意図するところからすると、車台1を有する限りには、トラックに限定されず、たとえば、図示しないが、トラクタなどに牽引されるトレーラからなるとしても良い。
【0022】
ただ、貯留ドラム2を回転させる回転手段4を構成する駆動源41の駆動を保障する上からは、車両が走行用エンジンEを有するトラックからなる方が有利であろう。
【0023】
貯留ドラム2は、有頭筒状に形成のドラム本体21を有し、このドラム本体21の回転軸でもある図1中に仮想線で示す貯留ドラム2の回転軸2bが車両の軸線方向に沿うとするが、この発明が意図するところからすると、図示しないが、この回転軸2bが車両の幅方向に沿うとしても良い。
【0024】
貯留ドラム2の回転軸2bを車両の軸線方向に沿わせることで、貯留ドラム2の後端開口2aをいわゆる後向きに設定でき、したがって、開閉体3の開閉作業やシュレッダ作業などを車両の横側から行わせる場合に比較して、いわゆる作業の安全性を保障し易くなる。
【0025】
一方、貯留ドラム2は、ドラム本体21の内周に螺旋状に形成されて一対となる送りブレード22を有し、この送りブレード22は、ドラム本体21が、たとえば、車両の後方側から看て、時計方向に回転されるとき、収集物たるシュレッダ屑を図中で左側となるドラム本体21内の奥側に送り込む。
【0026】
そして、このドラム本体21は、上記と反対に反時計方向に回転されるとき、収集物たるシュレッダ屑をドラム本体21の、すなわち、貯留ドラム2の後端開口2aに向けて送り出し、後端開口2aが閉塞体3の開放作動で開放されているとき、シュレッダ屑をいわゆる車外へ排出する。
【0027】
ところで、貯留ドラム2の回転を保障する態勢についてだが、図示するところでは、貯留ドラム2を構成するドラム本体21の前端を形成する頭部21aが回転手段4を介して車台1に支持される一方で、同じくドラム本体21の後端部21bが外周に一体に有するドラムリング5を車台1の後端部1aにおける左右に配設のローラ6(図2参照)に支持させている。
【0028】
回転手段4は、前記した駆動源41を有すると共に、この駆動源41を支える支持機構42を有し、この支持機構42は、詳しくは図示しないが、貯留ドラム2におけるドラム本体21の径が変更されることで、回転軸2bの位置が、すなわち、駆動源41の位置が上下されることに対応できるように形成されている。
【0029】
なお、駆動源41としては、駆動力を保障する上からは、油圧ポンプ41aで駆動される油圧モータが採用されるのが良いが、近年のエコ思想からは、電動モータが採用されるとしても良い。
【0030】
ドラムリング5は、ドラム本体21に比較して高い機械的強度を有する強度部材とされ、文字通りリング状に形成されて(図2参照)、ドラム本体21における後端部21bの外周に一体的に設けられている。
【0031】
それゆえ、このドラムリング5にあっては、ドラム本体21の後端部21bを補強しながら、このドラムリング5が位置決められるところにドラム本体21の後端部21bを位置決めることになる。
【0032】
このことからすると、この発明にあって、ドラムリング5の回転を安定させることでドラム本体21の、すなわち、貯留ドラム2の回転を安定させることが可能になる。
【0033】
そこで、この発明にあっては、このドラムリング5が前記した車台1の後端部1aにおける左右に配設のローラ6に支持されることに鑑み、この態勢を恒久的に維持し得るように構成することで、結果的に貯留ドラム2の回転を安定させ得ることに着目した。
【0034】
そして、その方策として、基本的には、図2に示すように、ドラムリング5の外周に一つ以上となる、すなわち、図示するところでは、二つの上方ローラ7が上記のローラ6、すなわち、車台1の後端部1aにおける左右に配設の言わば下方のローラ6に対向するように隣接されてなるとする。
【0035】
このとき、上方ローラ7は、その作動するところを鑑みると、ドラムリング5の回転中心を通過する水平線位置より上方に位置決められることで、後述するように、下方のローラ6との間にドラムリング5を挟み込む態勢を具現化できる。
【0036】
少し説明すると、図2に示すように、車台1の後端部1aにおける左右に配設の下方のローラ6は、詳しくは図示しないが、車台1の後端部1a上に固着されたブラケットなどに回動可能に保持されている(図7参照)。
【0037】
そして、この下方のローラ6は、ドラムリング5がドラム本体21の回転で回転するときに従動するもので、ドラムリング5の外周に対する接触を保障するために、図示しないが、ドラムリング5の外周における幅より大きい幅の外周を有している。
【0038】
このように、下方のローラ6における外周の幅をドラムリング5における外周の幅より大きく設定することで、ドラム本体21に連設されるドラムリング5の位置がドラム本体21の軸線方向にいわゆる許容誤差の範囲で異なることになってもこれに対応できる。
【0039】
このことからすると、後述する上方ローラ7についても、外周の幅が下方のローラ6と同様に構成されて、ドラムリング5の外周に対する接触が保障されるようにするのが良い。
【0040】
なお、ドラムリング5の外周の幅を各ローラ6,7の外周の幅より大きくしても、両者間における接触を保障し得るが、この場合には、ドラムリング5の重量をいたずらに大きくすることになり、好ましくない。
【0041】
以上からすると、前記した特許文献2に開示されているように、上方ローラ7が配設されずして、貯留ドラム2を構成するドラム本体21が、ドラムリング5を介してであるが、下方のローラ6で支持されるだけの場合には、ドラム本体21の後端部21bが何らかの理由で、たとえば、上昇するようになるとき、これを阻止し得ないことになる。
【0042】
すなわち、前記したように、貯留ドラム2をダンプさせない場合の収集車にあっては、貯留ドラム2を構成するドラム本体21の後端部21bが有するドラムリング5を車台1に保持された下方のローラ6に支持させるだけで足りる。
【0043】
しかしながら、同じく前記したように、貯留ドラム2内、すなわち、ドラム本体21内に収集物を収容する場合には、ドラム本体21が有する送りブレード22と、貯留ドラム2の後端開口2aを閉塞する閉塞体3が有するインナーパイプ31(図1参照)の外周に配設の固定ブレード32(図1参照)との間で鬩ぎ合いが発現されることがある。
【0044】
特に、収集物が書類をシュレッダ処理した後のシュレッダ屑となる場合には、薄くて細かいと言うシュレッダ屑の特性もあって、送りブレード22で容易に移送されない傾向がある。
【0045】
その上、閉塞体3側の固定ブレード32は、送りブレード22と逆向きの螺旋状に形成されているから、ドラム本体21内にシュレッダ屑が満杯状態に送り込まれている場合には、この固定ブレード32と、充分にシュレッダ屑を奥側に移送できない送りブレード22との間でシュレッダ屑を巡って著しい鬩ぎ合い現象を発現する。
【0046】
その結果、ドラム本体21は、両ブレード22,32間におけるの鬩ぎ合いの結果としての逃げを21bにおける自らの上昇と言う形に変換するので、この発明にあっては、強度部材たるドラムリング5を上方ローラ7の配設という方策で下方のローラ6との間に言わばあらかじめ押さえ込むとするものである。
【0047】
それゆえ、この発明にあっては、貯留ドラム2におけるドラム本体21がドラムリング5を介して下方のローラ6と上方ローラ7との間に挟み込まれる状況になるから、ドラム本体21、すなわち、貯留ドラム2の回転が安定される。
【0048】
以上からすると、この発明にあっては、上方ローラ7を設けることに意義があるから、原理的には、その個数については、一つ以上で良く、したがって、図示する実施形態のように、二つ以上に限定されない。
【0049】
ただ、円形となるドラムリング5の外周に同じく円形となる一つの上方ローラ7を隣接させて下方となる二つのローラ6上にドラムリング5を挟み込むようにして安定させるのは容易ではない。
【0050】
そして、実際には、二つ以上の上方ローラ7をドラムリング5の外周に隣接させることで、このドラムリング5を下方の二つのローラ6との間に挟みこむようにして安定させるのが容易となる。
【0051】
そしてまた、この発明にあっては、貯留ドラム2の回転がドラムリング5への上方ローラ7の隣接で安定されるから、この上方ローラ7を保持する保持手段に閉塞体3を開閉動作可能に連繋させることが可能になる。
【0052】
ところで、前記したところであるが、この発明にあっては、上方ローラ7の配設で強度部材たるドラムリング5を下方のローラ6との間に押さえ込み、貯留ドラム2の回転を安定させることを意図している。
【0053】
このことからすると、上方ローラ7は、結果的に、言わば固定的に配設されて、その配設場所から移動しない態勢下にドラムリング5の外周に隣接すれば良く、したがって、この上方ローラ7を固定的に配設させる保持手段については任意の構成を選択できる。
【0054】
このような前提の下に、保持手段の実施形態についてみると、図3に示すところでは、ドラム本体21の軸線を横切る方向とされながらドラムリング5の上方に位置決められて上方ローラ7を両端部に保持する梁材71と、この梁材71を車台1の後端部1a側に牽引する縦材72とを有してなる。
【0055】
このとき、梁材71は、剛体からなるが、縦材72については、梁材71を車台1側に向けて牽引する構造に形成される限りには任意の構成とされて良く、図3に示すところでは、剛体たる柱状体からなり、下半側が上下にヒンジ72a,72bを有するリンク構造を呈している。
【0056】
この柱状体からなる縦材72が下半側にリンク構造を有することで、上方ローラ7の位置と車台1側の連結部とに間にドラム本体21の軸線方向に位置ずれが発現される場合にこれに対処できる。
【0057】
一方、縦材72については、梁材71を車台1側に向けて牽引する構造である以上、必ずしも剛体からなるとしなくても良く、たとえば、図4に示すように、縦材73が剛体から比較すれば可撓体となる鋼索やチェーンなどからなるとしても良い。
【0058】
この縦材73が可撓体となる鋼索やチェーンなどからなる場合には、ドラムリング5が真円に形成されず、したがって、ドラムリング5の回転に伴って上方ローラ7が梁材71と共にドラムリング5上でいわゆる変動するとき、これに対処できる。
【0059】
さらに、図5に示すところは、保持手段が貯留ドラム2におけるドラム本体21の軸線方向に沿って車両における車台1側から延在される桁材74を有してなり、この桁材74が先端部に上方ローラ7を保持してなる。
【0060】
このとき、桁材74は、各上方ローラ7をそれぞれ保持する二本とされ、上方ローラ7を保持する各先端部が所定位置に静止されるように、たとえば、図示しないが、両桁材74の先端部間に梁材などの水平繋ぎ材が配設されるのが好ましく、また、同じく図示しないが、各桁材74の先端部が車台1の後端部1aに柱状体あるいは鋼索やチェーンなどからなる縦繋ぎ材で連結されるのが好ましい。
【0061】
そして、各桁材74の先端部間を梁材からなる水平繋ぎ材で連結するとき、この梁材に上方ローラ7が保持されるとしても良い。
【0062】
それゆえ、上記した実施形態の保持手段による場合には、二つの上方ローラ7を保持する構成が梁材71および縦材72,73、あるいは、桁材74を有してなるから、構成が簡素化され、いたずらな部品点数の増大を招来せず、シュレッダ車たる収集車における製造コストの高騰化を回避できる。
【0063】
前記したように、この発明にあっては、強度部材とされるドラムリング5が下方のローラ6に支持されながら上方ローラ7の隣接によってその回転位置に安定されるから、前記した図1に示す実施形態に戻って、この回転が安定されるドラムリング5に閉塞体3を保持させることが可能になる。
【0064】
このとき、閉塞体3は、図1に示すように、シュレッダ装置Sを有し、したがって、収集車にあっては、このシュレッダ装置Sで収集した書類をシュレッダ処理すると共に、シュレッダ処理された結果のシュレッダ屑を閉塞体3に形成の投入口を介して内側に有するインナーパイプ31の内側に供給し、そこからドラム本体21内に落下させるように供給する。
【0065】
そして、閉塞体3は、この発明にあって、上方ローラ7を保持する保持手段に開閉動作可能に連繋されてなるとし、保持手段は、原理的には、前記したように、梁材71および縦材72,73、あるいは、桁材74を有してなる。
【0066】
そして、閉塞体3を連繋させる保持手段の具体例を図6および図7に示すが、この図6および図7に示すところにあって、保持手段は、フレーム8を有してなり、このフレーム8は、前記した図3に示す梁材71に相当する梁部81と、縦材体に相当する柱部82を有してなる。
【0067】
このとき、フレーム8は、結果的に上方ローラ7を保持した状態を固定的に維持できれば良く、図7に示すように、車両の後方側から看て門形に形成されるとき、梁部81における上端角部を傾斜部81aにするのに代えて、この傾斜部81aを有しないように形成されても良い。
【0068】
ところで、図示するところにあって、梁部81および柱部82は、それぞれ剛体からなるが、柱部82については、下半側が上下にヒンジ82a,82bを有するリンク構造に形成されてなる。
【0069】
このように、柱部82が下半側にリンク構造を有することで、上方ローラ7の位置と車台1側の連結部とに間に図6中で左右方向となるドラム本体21の軸線方向に位置ずれが発現される場合にこれに対処できる。
【0070】
ちなみに、上記の位置ずれに対処する観点からすれば、柱部82が上記した剛体でなく、たとえば、前記した図4に示すように、可撓体たる鋼索やチェーンからなるとしても良い。
【0071】
フレーム8が上記のように形成されているのに対して、閉塞体3は、保持手段たるフレーム8に保持されるのにあって、図6に示すように、ヒンジ構造9およびシリンダ構造10の配在下にフレーム8に連繋されてなり、シリンダ構造10を構成するシリンダ11の伸長で、ヒンジ構造9を構成するピン91を回転中心にして、図中に矢印aで示す方向に回動する。
【0072】
ちなみに、ヒンジ構造9は、図6に示すところでは、一方が閉塞体3に連結されるのに対して、他方が上記のフレーム8における梁部81、すなわち、傾斜部81aに連結されるが、このヒンジ構造9が機能するところからすれば、ヒンジ構造9の他方は、梁部81の言わば水平部に連結されても良い。
【0073】
そして、シリンダ構造10を構成するシリンダ11は、その基端側が上記の傾斜部8bに連結され、先端側が閉塞体3に連結されるが、このシリンダ構造10の機能するところからすれば、シリンダ11の基端側が上記の梁部81の水平部に連結されても良い。
【0074】
前記したところでは、この発明の閉塞体支持構造がシュレッダ車、すなわち、収集した書類をシュレッダ処理すると共にシュレッダ処理した結果物たるシュレッダ屑を収容して搬送し、搬送先でシュレッダ屑を排出する収集車に具現化される場合を例にして説明したが、この発明が意図するところからすると、この発明の具現化に向くのは、シュレッダ車に限定されず、凡そ塵芥を収集して搬送する収集車であって、閉塞体3を開閉動作可能に保持するものであれば、その名称の如何に拘わりなく具現化できる。
【0075】
また、前記したところでは、貯留ドラム2の後端開口2aを開放可能に閉塞する閉塞体3がシュレッダ装置を有するとしたが、この発明が意図するところからすると、シュレッダ装置を有せず、シュレッダ屑の投入口を有するのみとされても良いことはもちろんである。
【0076】
そして、前記したところでは、貯留ドラム2が車台1上に言わば剥き出しに搭載されているとして説明したが、この種の収集車にあっては、多くの場合に、カバー類で覆われていることを勘案すると、上記の貯留ドラム2がカバー類で覆われるとしても良く、その場合に、上方ローラ7がそのカバー類の天頂部を形成する梁材に保持されるとし、また、この梁材に閉塞体3がヒンジ構造9の利用下に連結されるとしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】この発明による閉塞体支持構造を具現化するシュレッダ車を示す概略図である。
【図2】車台側のローラに支持されたドラムリングに上方ローラが隣接された状態を原理的に示す図である。
【図3】上方ローラの保持手段の一実施形態を原理的に示す図である。
【図4】上方ローラの保持手段の他の実施形態を図3と同様に示す図である。
【図5】上方ローラの保持手段のさらに他の実施形態を図3と同様に示す図である。
【図6】貯留ドラムの後端開口を閉塞体で閉塞している状態を側方から看た部分拡大図である。
【図7】図6の状態を車両の後方側から看た部分拡大図である。
【符号の説明】
【0078】
1 車台
1a 後端部
2 貯留ドラム
2a 後端開口
2b 回転軸
3 閉塞体
4 回転手段
5 ドラムリング
6 ローラ
7 上方ローラ
8 保持手段たるフレーム
9 ヒンジ構造
10 シリンダ構造
21 ドラム本体
21b 後端部
22 送りブレード
31 インナーパイプ
32 固定ブレード
71 保持手段を構成する梁材
72,73 保持手段を構成する縦材
74 保持手段を構成する桁材
81 フレームを構成する梁部
82 フレームを構成する柱部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車台に回転可能に搭載される貯留ドラムの前端が回転手段を介して車台に支持される一方で、貯留ドラムの後端部が外周に有するドラムリングを車台の後端部における左右に配設のローラに支持させると共に、貯留ドラムの後端開口が閉塞体で開放可能に閉塞されてなる収集車にあって、ドラムリングの外周に一つ以上となる上方ローラが車台の後端部における左右に配設のローラに対向するように隣接されると共に、上方ローラを保持する保持手段が閉塞体を開閉動作可能に連繋させてなることを特徴とする閉塞体支持構造。
【請求項2】
上方ローラがドラムリングの回転中心を通過する水平線位置より上方に位置決められてなる請求項1に記載の閉塞体支持構造。
【請求項3】
貯留ドラムが内周に螺旋状に形成の送りブレードを有してなると共に、貯留ドラムの後端開口を開放可能に閉塞する閉塞体が有するインナーパイプの外周に固定ブレードを有してなる請求項1または請求項2に記載の閉塞体支持構造。
【請求項4】
貯留ドラムにおける回転軸が車両の軸線方向に沿ってなる請求項1請求項2または請求項3に記載の閉塞体支持構造。
【請求項5】
閉塞体がヒンジ構造およびシリンダ構造の配在下に保持手段に連繋されてなる請求項1、請求項2、請求項3または請求項4に記載の閉塞体支持構造。
【請求項6】
上方ローラが保持手段に保持されると共に、この保持手段が車台側に連結されてなる請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5に記載の閉塞体支持構造。
【請求項7】
保持手段がドラムリングの上方に配設されながら上方ローラを保持する梁材を有すると共に、この梁材を車台に連結する縦材を有してなる請求項6に記載の閉塞体支持構造。
【請求項8】
保持手段が貯留ドラムの軸線方向に配設されながら先端部に上方ローラを保持する桁材を有してなると共に、この桁材が縦材を介して車台に連結されてなる請求項6に記載の閉塞体支持構造。
【請求項9】
ドラムリングの上方に配設されて上方ローラを保持する梁材に、あるいは、貯留ドラムの軸線方向に配設されて上方ローラを保持する桁材に貯留ドラムの後端開口をヒンジ構造下に開放可能に閉塞する閉塞体が連結されてなる請求項7または請求項8に記載の閉塞体支持構造。
【請求項10】
縦材が柱状体あるいは鋼索もしくはチェーンからなる請求項7、請求項8または請求項9に記載の閉塞体支持構造。
【請求項11】
縦材が柱状体からなりながら下半側にリンク構造を有してなる請求項7、請求項8または請求項9に記載の閉塞体支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−196727(P2009−196727A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−37411(P2008−37411)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】