説明

閉塞管状器官を貫通してナビゲートするための方法およびシステム

【課題】近位端で近位部分に隣接し遠位端で遠位部分に隣接する閉塞部分を有する管状器官の3次元(3D)モデルを生成するための方法の提供。
【解決手段】異なる視点のそれぞれについて、それぞれが前記近位部分および前記遠位部分を含む複数の重ねられた2D画像を生成する処置と、前記重ねられた2D画像中に前記近位部分と前記遠位部分の境界領域を決定する処置と、前記近位部分と前記遠位部分の境界領域の間を補間することによって、前記重ねられた2D画像中に前記閉塞部分の境界領域を決定する処置と、前記重ねられた2D画像から前記管状器官の3Dモデルを生成する処置と、前記近位部分を通り前記閉塞部分を通り前記遠位部分を通って進む、管状器官の3D中央線を決定する処置とを有する前記方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の技術は一般に血管治療装置に関し、詳細には閉塞血管を貫通してナビゲートするための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
血管内でのプラーク固着物の堆積は次第に、血管の封鎖または閉塞につながる。結果として生じる狭窄症として知られる欠陥の異常な狭窄が、いくつかの合併症を引き起こす恐れがある。特に冠状動脈の狭窄症は血管、心臓へまたは心臓からの血流を制限し(すなわち虚血)心臓組織の重篤な損傷を引き起こす恐れがある。動脈管腔内でのプラーク形成による動脈壁の肥大および硬化は、アテローム性動脈硬化として知られている。アテローム性動脈硬化は、狭心症、心不全、心筋梗塞(すなわち心臓発作)ならびに卒中および脚の壊疽など多くの冠状動脈疾患および症候群の原因となる。
【0003】
閉塞した血管の治療は一般に、収縮した血管を物理的に拡張することを目的とする低侵襲性の血管形成治療を包含する。ガイドワイヤに沿ってカテーテルが通過できるように、ガイドワイヤを治療の前に閉塞領域を超えて進めなければならない。ガイドワイヤが封鎖部を超えて配置されると、バルーンまたはステントを有するカテーテルが、ガイドワイヤを超えて血管形成が行われる。一般に、ガイドワイヤをナビゲートするのに医師が使用する閉塞血管の視覚的表示を実現するために、X線透視検査処置(例えば血管造影)が最初に行われる。血管は通常X線画像中で識別可能であるので、このような血管のX線透視画像は、検査する血管に造影剤を注入することによって入手することができ、血管腔を貫通して流れる造影剤の経路を視覚化することができる。血管が一部のみ閉塞しており、ガイドワイヤの通過が可能な十分な空隙が閉塞領域内にある場合、次いで標的領域にガイドワイヤを進め、方向付けおよび支持するためにガイドワイヤを使用して医療処置を行うことが可能である。しかしながら全閉塞の場合、ガイドワイヤは動脈の閉塞領域を通ってこれを超えて進むことができない。全閉塞は、造影剤が血管の閉塞部分を通って流れないという事実により、血管のこの部分はX線透視検査で見ることができないため、医師がX線透視検査画像の閉塞動脈の正確な経路を特定することができない。したがって、閉塞部の全長を横切って、動脈内にガイドワイヤを正確にナビゲートするのに必要な最適な操作を決定することは非常に困難である。ガイドワイヤの不適切な操作は、重篤な合併症、および処置の失敗につながる動脈壁の内膜または内膜下層の局部的切開、さらに動脈壁の完全な穿孔を引き起こす恐れがある。したがって、動脈全閉塞の場合の低侵襲医療処置は、部分的閉塞または動脈狭窄と比較してかなり低い成功比率と、高い合併症が起こる比率とを有する。
【0004】
閉塞血管を通ってガイドワイヤの進行に関する既存の技術は、例えば閉塞部を通るように試みるアテローム切除切開カテーテルを含む。別の知られた技術は、閉塞部の想定経路を基にしてガイドワイヤを閉塞血管に押し込み、全閉塞部の全長を通って止まるように試みることを含む。全閉塞部を通るのに使用されるガイドワイヤは通常剛性を呈し、そこに力が加えられると血管壁を穿孔し、これにより偽管腔を生成することができる。したがって、医師は閉塞血管の実際の経路に従っていることが確実ではないので、このように閉塞部を通ってガイドワイヤを押す力を使用することを躊躇する。閉塞部を超えてガイドワイヤを進めることができない場合、バイパス手術のような高侵襲性の手術が代替として行われることがある。重篤な合併症および患者にとっての外傷となるため、一般にこのような侵襲性治療処置を回避することが好ましい。閉塞部を治療するための他の知られた技術は、レーザ切断、放射線適用、閉塞部を除去する流体の投与を包含する。あるケースでは、ガイドワイヤを中に挿入することができる小さな空洞が閉塞血管中に開放したままであることがある。しかしながら、血管の閉塞部分は実際はX線透視検査画像中で識別できないので、通常医師が血管の中央でCTOワイヤ(剛性のワイヤ)を維持することは非常に困難である。
【0005】
「ドッタリングオーガカテーテルシステム(Dottering auger catheter system)」という名称のフィッシェル(Fischell)による米国特許第5、423、846号は、バルーン血管形成またはアテローム切除などの血管開通処置の前に最初の経路を形成するために、人の体内で血管封鎖(すなわち全閉塞)を貫通するためのカテーテルシステムを対象としている。カテーテルシステムは、センタリングカテーテルおよびドッタリングオーガカテーテル(DAC)を含む。DACは、近位端の鋼管、可撓性カテーテル部、および遠位端の自己タップ式オーガねじを含む。ねじは、鋭利な先端へ向かって先細になる円錐部を有する。鋼管の近位端は、患者の身体の外側に延在する。鋼管の近位端にハンドルが装着されている。センタリングカテーテルは、その遠位端にバルーンを含む。センタリングカテーテルは、DACが挿入される中央管腔、およびバルーンを膨張させるために流体が中を通過することができる第2管腔を有する。
【0006】
患者の動脈内の封鎖を示すために血管造影が行われた後、ガイドワイヤの遠位端が封鎖部の近位面に隣接するまでガイドワイヤが動脈に向けて進められる。次いで、センタリングカテーテルの遠位端が封鎖部の近位面に接触するまでセンタリングカテーテルがガイドワイヤの上に進められる。ガイドワイヤが除去され、センタリングカテーテルのバルーンが膨張することによって、動脈内でセンタリングカテーテルの遠位端がセンタリングされる(およびねじが動脈壁を貫通する可能性を低減する)。動脈のセンタリングカテーテルの位置、および封鎖部の長さを確認するために、センタリングカテーテルの中央管腔内に造影剤が注入される。DACの遠位端が封鎖部の近位面に接触するまでDACがセンタリングカテーテルを通って進められる。ハンドルを介してDACに回転トルクおよび押す力を同時に加えることによって、封鎖部の長さを超えてオーガねじが進められる。オーガねじが除去され、DACが封鎖部を通る経路を形成したことを確認するために、センタリングカテーテルの中央管腔中に造影剤が注入される。別のガイドワイヤがセンタリングカテーテル、および形成された経路を通って進められる。センタリングカテーテルが除去され、バルーン血管形成またはアテローム切除処置が実行される。
【0007】
「血管封鎖のRF再疎通用ガイドワイヤシステム(Guide wire system for RF recanalization of vascular blockages)」という名称のチャンドラセカラン(Chandrasekaran)等による米国特許第6、210、408号は、患者の血管系内の閉塞血管を再疎通する方法およびシステムを対象としている。システムは、センタリングカテーテル、ガイドワイヤ、および高周波(RF)発生器を含む。ガイドワイヤは、遠位端にアブレーションチップを含む。センタリングカテーテルは、ガイドワイヤ管腔を有する細長いカテーテル本体およびセンタリング機構(例えば、細長い膨張可能なバルーン)を含む。ガイドワイヤはRF発生器に接続される。RF発生器はさらに患者の対極板および足踏みスイッチに接続される。
【0008】
標的組織にRFエネルギーを最大限に送達するために患者に対極板(例えば実質的に広い領域を備えたパッド)が装着される。アブレーションチップが全閉塞部に近接して配置されるまで、ガイドワイヤが患者の血管系内に挿入され、これを経由して送られる。センタリング機構(すなわちバルーン)が全閉塞部に隣接して配置されるまで、センタリングカテーテルがガイドワイヤ上に進められる。X線透視検査によりバルーンがより容易に検出できるように、膨張したバルーン内に造影剤が伝達される。膨張媒体がバルーン内に伝達され、バルーンが血管と確実に接触するまでバルーンを膨張させる。アブレーションチップが閉塞部に接触する際ほぼ中心に配置されるように、バルーンは、血管の中央線に沿ってガイドワイヤを維持する。次いで足踏みスイッチを押下することによってRF発生器が作動し、アブレーションチップにRFエネルギーを送達する。放電加工工程を開始するのに十分高い電圧ポテンシャルが生成され、これにより閉塞物質内に包含される液体をイオン化する。イオン化により閉塞物質はプラズマ状態へと変換され、結果として生じる粒状物質は血流に安全に吸収される。放電加工工程の開始後、プラズマ変換を維持するために低電圧ポテンシャルが添加される。RFエネルギーの出力パワーは、アブレーションチップと負荷インピーダンス間の相対的インピーダンスの関数である。閉塞物質を示す負荷インピーダンスに達すると(すなわち、血液または健康な血管組織のインピーダンスを超える)放電加工工程が開始されるように、電圧、インピーダンスおよび電極形状が選択される。アブレーションチップは、アブレーションチップと組織の間の放電を容易にするために、少なくとも1つの非連続の機能(例えば縁部または先端)を含む。RFエネルギーが加えられると、ガイドワイヤは閉塞部の中央を貫通して末端に進められる。センタリングカテーテルは除去され、閉塞部を治療するための治療装置(例えばPCTAカテーテル)がガイドワイヤ上に導入される。
【0009】
「管状構造の表示するための方法および装置(Method and apparatus for displaying images of tubular structures)」という名称のクノプリオック(Knoplioch)等による米国特許第6、643、533号は、医療撮像システムによって得られる血管画像を表示および分析する方法および装置を対象としている。方法は、患者の体内の血管狭窄を表示し、血管の最小断面を判定するのに使用することができる。方法は、血管の中央線を最初に特定するステップを含む。次のステップは、中央線上の局部的中央地点を選択することを包含する。続くステップは、局部的中央地点に対して垂直な断面を得ること、および断面内の血管の外郭を特定することを包含する。次のステップは、それぞれの体節が局部的中央地点と交差する、外郭を横切る種々の体節の長さを順次測定することを包含する。最短の体節は、すべての計測された測定値から特定される。次のステップは、狭窄を示す撮像面を判定することを包含する。撮像面は、最短の体節および局部的中央地点での中央線の局部的軸接線によって形成される。その後、狭窄を示す血管の断面を示す撮像面が表示される。次いで撮像面に対して画像の取得を行うことができる。例えば、撮像面に対する垂線を照準線、局部的中央地点を標的としてX線捕捉を実行することができる。画像のスライスを捕捉するために磁気共鳴(MR)システムを使用することができ、スライスの場所は、撮像面または選択された距離によって撮像面から転換された別の面である。
【0010】
「閉塞もしくは狭窄を横断するためのガイドワイヤ(Guidewire for crossing occlusions or stenosis)」という名称のノリエガ(Noriega)等による米国特許第6、824、550号は、身体管腔内の狭窄、部分閉塞または全閉塞を横断するシステムおよび方法を対象としている。システムは、中空ガイドワイヤ、駆動シャフト、筐体および駆動モータを含む。駆動シャフトは、ガイドワイヤの軸方向通路内に可動式に延在する。駆動モータは駆動シャフトに接続される。駆動モータはさらに、制御システムおよび電源に電気接続される。ガイドワイヤの近位端は、入力装置に装着される筐体に接続される。入力装置は、駆動シャフトの回転および軸方向の動きを制御する。駆動シャフトの遠位端は、成形された外形を有する。形状は、貫通する閉塞のタイプによって最適に形成されてよい。遠位先端は、駆動シャフトの回転が、ガイドワイヤの遠位端の半径より大きい、これと同一、またはこれより小さい経路半径を形成するように、ガイドワイヤの長手軸から成形または偏向されてよい。
【0011】
使用者は、身体管腔に沿って標的部位に中空ガイドワイヤを進める。使用者は、駆動モータを作動して軸方向に後退した位置から軸方向に伸張した位置へ駆動シャフトを回転させ進め、これにより閉塞部を通る経路を形成する。使用者はまた、駆動シャフトを低速回転させるために手動で回転させてよい。遠位先端が回転する際、遠位先端は標的部位で凝血塊を分解し、身体管腔の壁から凝血塊を分離する。使用者は、分解した凝血塊をガイドワイヤの作動チャネルを通って吸い出す、または分解した凝血塊を溶かすために血栓溶解流体を送り込むことができる。ガイドワイヤはさらに標的部位を吸い出す、または中に治療用または診断用物質を注入するために、注入または吸出しカテーテルなどのアクセスまたは支持システムを含んでよい。また、閉塞部の経路内にまたはこれに隣接してアテローム切除装置を進めるために中空ガイドワイヤを使用することができる。駆動シャフトの遠位部分は、X線透視検査によって医師が駆動シャフトの位置をたどることができるように、X線不透過性であってよい。
【0012】
「磁気誘導アテローム切除(Magnetically Guided atherectomy)」という名称のホール(Hall)等による米国特許第6、911、026号は、全閉塞動脈血管系を治療する磁気誘導カテーテルを対象としている。エネルギー源は、カテーテルの遠位先端に接続される。カテーテルの遠位先端は、磁気的な作動要素を含む。カテーテルは、ガイドワイヤおよびシースを介して治療部位に誘導され、これも磁気的要素を含む。カテーテルは、双極または単極構造の高周波源によって加熱される熱カテーテルであってよい。あるいはカテーテルは抵抗加熱またはレーザ加熱される。カテーテルは、閉塞部を視覚化し位置を特定するために(例えば、超音波画像診断法または蛍光分光法を使用して)撮像ワイヤが中に挿入される管腔を含んでよい。シースとカテーテル本体の間に造影剤を注入し、患者の体内でのカテーテルを見ることができるようにしてよい。温度分布を調整するためにカテーテル先端に冷却流体を注入してよい。
【0013】
患者は、術前スキャン(例えばMRI、CT、超音波撮像などを使用して)を受け、術前データがワークステーションコンソールに書き込まれる。治療中、X線装置が、患者のリアルタイムの2方向X線データをワークステーションに提供する。カテーテルは、術前スキャンデータとリアルタイムスキャンデータを合成させる基準マーカーを含む。医師は、ワークステーション上で治療部位の位置を選択することができ、ワークステーションは、選択位置にカテーテルをナビゲートするのに必要な磁場および傾度を計算する。外部磁石がカテーテル先端に磁力を生成し、付加される磁場および傾度が、先端の方向を選択位置へ向けて配向させる。医師(またはロボット要素)は、ガイドワイヤおよびシースを進めるためにカテーテルの近位端を押す。先端の磁気的配向を伴う物理的移動が、カテーテルを選択位置に配置するように機能する。
【0014】
開示の技術は、図面と組み合わせて以下の詳細な説明からより完全に理解され、認識されるであろう。
【発明の開示】
【0015】
開示の技術は、閉塞管状器官の3次元(3D)モデル、3Dモデルに登録される医療用位置決めシステム(MPS)、およびMPS使用可能なガイドワイヤを採用することによって、閉塞管状器官を貫通してナビゲートする方法およびシステムを提供することにより、従来技術の欠点を克服する。閉塞血管の3Dモデルは、例えば異なる視点から血管の複数の2次元(2D)画像を取得し、そこから3Dモデルを再構築することによって生成される。2D画像は血管の近位部分および遠位部分の表示を含むが、閉塞部分の表示は含まない(中を血液が流れていないため)。血管全体の表示は、それぞれ血管の別の部分の表示を含む2つの2DX線透視検査画像を重ねることによって得ることができる。画像処理技術を採用することによって、重ねられた2D画像中に近位部分と遠位部分との境界領域が特定される。取得した画像中で、閉塞部分の境界領域を特定することはできない。したがって、閉塞部分の境界領域の推定値を判定するために近位部分と遠位部分との境界領域が補間される。生成された3Dモデルは次いで、血管の近位部分、閉塞部分および遠位部分の表示を含む。血管の3D中央線は、近位部分、閉塞部分および遠位部分を通り3Dモデル中に決定される。
【0016】
遠位先端に医療用位置決めシステム(MPS)センサを搭載したガイドワイヤが血管内に挿入される。ガイドワイヤの遠位先端の位置決めおよび配向は、血管に沿った複数の位置でMPSによって決定される。3DモデルはMPS3D座標系に登録される。ガイドワイヤ先端は、閉塞部分の一端に接近する。ガイドワイヤ先端は、3D中央線によって画定される安全な軌道に沿って閉塞部分を貫通してナビゲートされる。ガイドワイヤ先端が安全な軌道から外れた場合、リアルタイム指示が生成され、ガイドワイヤの経路が安全でない恐れがあり、安全な軌道に位置合わせするように調整するか、またはガイドワイヤのさらなる進行を中止するべきであることをガイドワイヤを進める使用者に通知する。ガイドワイヤ先端が閉塞部分を超えて配置されると、バルーンまたはステントを含むカテーテルをガイドワイヤを超えて進めることができ、血管形成が実行されうる。
【0017】
参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開番号2005−0197557A1に記載されるように、ガイドワイヤの進行は、人が操作する代わりに、ロボットシステム、またはロボットシステムと人の使用者との組み合わせによって実行されてよいことに留意されたい。さらに、3Dモデルは、3DCT、磁気共鳴画像法(MRI)、3D超音波法等などの他の知られた方法を採用することによって入手できることに留意されたい。このような3Dモデルを使用する場合、3Dモデルは、3D中央線または軌道を生成するために細分化されMPS座標系に登録される。
【0018】
用語「管状器官」は、血管、動脈、心臓腔(例えば心房、心室など)などの伸張した管状形状を有する身体器官を称する。したがって管状器官、血管、動脈などの用語は互換性がある。用語「境界領域」は、取得された2D画像中に現れる際の血管壁を表す領域を称する。用語「使用者」は、医師、ロボットなど記載の医療処置を行う人を称する。用語「カテーテル」は、誘導測定カテーテル(GMC)、診断カテーテル(例えば超音波撮像カテーテル)または治療用カテーテル(例えばステントカテーテルまたはアブレーションカテーテル)などの管状器官に挿入されるように適合された医療用カテーテルを称する。
【0019】
次に図1、2A、2Bおよび2Cを参照する。図1は、開示の技術が適用された閉塞動脈を有する全体を100で示す心臓の3Dモデルの概略図である。図2Aは、図1の心臓の閉塞動脈の近位部分および遠位部分の表示を含む全体を102で示す閉塞領域の重ねられた詳細な2D画像である。図2Bは、図1の心臓の閉塞動脈の近位部分の表示を含む、図2Aの領域の閉塞領域の第1注入2D画像である。図2Cは、図1の心臓の閉塞動脈の遠位部分の表示を含む、図2Aの閉塞領域の第2注入2D画像である。図2Aの重ねられた画像は、図2Bおよび2Cの画像のような心臓100の閉塞動脈の別の部分の表示をそれぞれ含む2つの2D画像(例えばX線透視検査の血管造影によって得られる)を組み合わせることによって生成することができる。心臓100は、閉塞動脈104、非封鎖動脈106および正常なバイパス108を含む。心臓100は、閉塞動脈104の閉塞部分を中に有する閉塞領域102を有する。図2Aを参照すると、閉塞領域102は、その近位端で近位部分110に、およびその遠位端で遠位部分112に近接する閉塞部分114を含む動脈104の一部を中に有する。閉塞部分114はこのように封鎖されているので、中を血液が流れることができない(すなわち、90%から100%の閉塞)。このような病状はまた慢性閉塞(CTO)と称され、通常、血管内の血流のプラーク堆積物の蓄積によって生じる。X線透視検査の血管造影によって得られる閉塞領域102の重ねられた画像ではこの部分を見ることができないにも関わらず、心臓100を治療する医師は、閉塞部分114の存在を認識する。正常なバイパス108は微小な血管(共側性血管)から成り、非封鎖バイパス106から閉塞動脈104の遠位部分112へ血液が流れるようにする。正常なバイパス108の血管は、血管新成(すなわち、既存の血管から新しい血管を形成すること)によって生成される。正常なバイパス108の血管は、例えば心臓の左前下行枝(LAD)の遠位部と、または右冠状動脈(RCA)と閉塞動脈104を結合することができる。
【0020】
異なる視点から、閉塞領域102の複数の2D画像が取得される。例示の医療処置では、閉塞動脈104に第1のX線透視検査の造影剤が投与され近位部分110を貫通して閉塞部分114に接近する際、心臓100の血管造影図が取得される。図2Bを参照すると、第1注入の後、X線透視検査の造影剤が存在する心臓100の血管を示す閉塞領域102の第1注入2D画像103が第1透視画から取得される。放射線送波器が患者の身体の片側に配置され、放射線検知器が身体の反対側に配置される際、第1注入2D画像103が得られる。撮像放射線送波器および放射線検知器は、文字「C」(すなわちC型アーム)の形状を持つ単一の撮像装置に組み込むことができる。撮像放射線送波器と放射線検知器の間に引かれる線は、撮像装置の光学軸を画定する。用語「視点」は本明細書で使用される際、撮像装置の光学軸の空間的配向(すなわちベクトル方向)に関係する(すなわち、患者に対する光学軸の角度)。
【0021】
X線透視検査の造影剤が存在する領域(すなわち血液が流れる場所)は、取得画像中で造影剤がない領域より暗く現れる。したがって、近位部分110は第1注入2D画像103中で識別できる。閉塞部分114の中を血液が流れることができないので、閉塞部分114は第1注入2D画像103中で識別できない。同様に、血液は遠位部分112を通って流れることができないので、これは第1注入2D画像103中で識別できない。しかしながら、正常なバイパス108のような正常バイパス(図示せず)によって、近位部分110を流れる血液を遠位部分112に到達させることができる。このような正常バイパスが存在する場合、遠位部分112は次いで、第1注入2D画像中で識別可能になる。心臓100の血管の3Dモデルの判定を可能にするために、第1注入の後少なくとも別の2D画像が別の視点から取得される。第1透視画と他の視点の差(すなわち、両方の透視画における光学軸のベクトル方向の角度の差)は少なくとも30°である。好ましくは、上記の視点間の差はおよそ90°である。
【0022】
遠位部分112が第1注入2D画像中で識別できない場合、非封鎖動脈106内に第2の対側性X線透視検査の造影剤が投与される。非封鎖動脈106を通って流れる血液は、正常なバイパス108を通って流れ遠位部分112に到達することができる。図2Cを参照すると、第2注入の後、心臓100の血管内のX線透視検査の造影剤の存在を示す閉塞領域102の第2注入2D画像105が第1視点から取得される。この画像において、正常なバイパス108から到達する、X線透視検査の造影剤を包含する血液が中を流れるので遠位部分112は識別可能である。近位部分110は、第2注入の後、中をX線透視検査の造影剤が流れないため、第2注入2D画像105において識別できない。第1注入と同様に、第2注入の後、第2視点から別の2D画像が取得される。第1造影剤注入に続いて2D画像が取得される視点は、第2造影剤注入に続いて2D画像が取得される視点とほぼ同一であることに留意されたい。本明細書に記載の医療処置を行う人は、閉塞動脈104における封鎖の度合いに関する事前の知識を有してよい(例えば、以前の医療撮像などを基にした)ことに留意されたい。この場合医療処置を行う人は、第1注入2D画像を分析せずに第2注入2D画像を取得する(すなわち、第1注入2D画像の結果に拘わらない、無条件な第2注入2D画像の取得)ために第2造影剤を施し撮像装置を使用してよい。
【0023】
検査される管状器官は、2D画像の取得中に動くことがある。より詳細には、管状器官が閉塞動脈104などの冠状動脈である場合、管状器官は、中を流れる圧縮された血流によって生じる心臓サイクルおよび呼吸による周期的な動きを伴う。したがって、各造影剤注入2D画像は、それと同時に取得される(すなわち同期化)それぞれの器官タイミング信号(すなわちECGおよび呼吸データ)と共に取得される。したがって、取得された各2D画像は、心臓サイクル、呼吸サイクル、または両方(すなわち時間標識)の特定の地点に関連する器官タイミング信号読み取り値に関連する。器官タイミング信号は、身体表面電極に適合された心電図(ECG)検知器によって検出することができる。呼吸サイクルは例えば、患者の身体に装着されるMPS基準センサ、またはセンサセットによって検出することができる。
【0024】
近位部分110および遠位部分112が共に造影剤注入後取得される画像中で識別可能になると、画像は、使用されるそれぞれの視点について重ねられた画像を形成するために結合される(例えば第1注入2D画像103および第2注入2D画像105)。重ねられた画像のそれぞれは、閉塞部分114の両端の表示を含む。例えばそれぞれの造影剤注入について2つの異なる視点から2つの画像が取得される場合、次いで2つの重ねられた画像が得られる。
【0025】
次に図3Aおよび3Bを参照する。図3Aは開示の技術の別の実施形態による、近位部分と遠位部分との境界領域が提示されている図1の閉塞領域の重ねられた2D画像である。図3Bは、閉塞部分の境界領域が付加的に提示されている図3Aの画像である。以下の記載は単一の重ねられた2D画像に関する。しかしながら、記載の方法はX線透視検査の造影剤注入後取得される画像から得られるそれぞれの重ねられた2D画像に対して実行される。
【0026】
重ねられた画像に現れる近位部分110の境界領域116および遠位部分112の境界領域118は、画像処理技術を使用することによって判定される。例えば画像処理技術は、隣接領域と異なる特性を有する画像中の特定の部分または領域を判定する縁部検出または分割を含むことができる。重ねられた画像における近位部分110および遠位部分112を示す領域は、周辺領域(すなわちX線透視検査の造影剤のない場所)より暗く現れることから、それらの周辺領域に対して特定される。閉塞領域102の重ねられた画像を使用者(例えば医師)に表示することができる。表示は、重ねられた画像での境界領域116および境界領域118の表示を含む。判定された境界領域が表示画像中の識別可能な境界領域に適合しないように見える場合、使用者は次いでそれらを観察し調整する。
【0027】
図3Bを参照すると、境界領域116と境界領域118の間の補間により、点線で示される閉塞部分114の境界領域120の推定値が提供される。この補間は、重ねられた画像の画像処理よって(例えば画像処理プロセッサによって)、または使用者による手動で実行することができる(例えば使用者入力モジュールによって)。閉塞領域102の重ねられた画像が使用者に表示される際、境界領域120は、境界領域116および境界領域118の表示と異なった表示で表示されてよい(例えば異なる色、異なる線のタイプなどによって)。境界領域の補間が画像処理プロセッサによって実行される場合、使用者は次いで閉塞部分114の補間された境界領域120を検査し必要であればそれを調整することができる。
【0028】
それぞれの造影剤注入について、少なくとも2つの異なる視点から少なくとも2つの画像が取得されるので、少なくとも2つの重ねられた画像が得られる。従来技術に知られた方法によって、少なくとも2つの重ねられた画像を使用して閉塞領域102の3次元モデル(3D)が生成される。3Dモデルは、近位部分110および遠位部分112の両方の表示を含む。3Dモデルが異なる視点から取得される多数の画像を使用して生成される場合、次いで3Dモデルはより正確になり、撮像された身体領域(例えば図1の心臓100)の血管の更なる詳細を含むことができる。
【0029】
開示の技術の別の実施形態によると、閉塞血管の3Dモデルは、4回のX線透視検査の造影剤を採用することによって生成することができる。図1および2をさらに参照すると、第1造影剤が閉塞動脈104に投与され、続いて第1視点から動脈104の近位部分110の第1画像が取得される。第2造影剤が非封鎖動脈106に投与され、続いて第1視点から動脈104の遠位部分112の第1画像が取得される。第3造影剤が閉塞動脈104に投与され、続いて第2視点(例えば第1視点に対して垂直の)から動脈104の近位部分110の第2画像が取得される。4回目の造影剤が非封鎖動脈106に投与され、続いて第2視点から遠位部分112の第2画像が取得される。2つの重ねられた画像は、それぞれの視点から取得される重ねられた2D画像によって得られる。それぞれの重ねられた2D画像は、近位部分110および遠位部分112の両方の表示を含む。上記のように、これらの部分の境界領域の判定、および閉塞部分114の境界領域の補間を実行することができる。続いて、従来技術で知られた方法によって2つの重ねられた画像を使用して閉塞領域102の3Dモデルが決定される。
【0030】
開示の技術の別の実施形態によると、閉塞血管の3Dモデルは、一方が近位部分で他方が遠位部分である2つの3Dモデルを重ねることによって生成することができる。これは、4回のX線透視検査の造影剤、および異なる視点からそれぞれ取得される4つの2D画像を採用することによって実行することができる。図1および2をさらに参照すると、第1造影剤が閉塞動脈104に投与され、続いて第1視点から動脈104の近位部分110の第1画像が取得される。第2造影剤が非封鎖動脈106に投与され、続いて第2視点から動脈104の遠位部分112の第1画像が取得される。第3造影剤が閉塞動脈104に投与され、続いて第3視点(例えば第1視点に対して垂直の)から動脈104の近位部分110の第2画像が取得される。4回目の造影剤が非封鎖動脈106に投与され、続いて第4視点(例えば第2視点に対して垂直の)から遠位部分112の第2画像が取得される。
【0031】
それらの表示を含む2D画像(すなわち閉塞動脈104に造影剤が投与された後取得される2D画像)を使用して、近位部分110の第1の3Dモデルが生成される。それらの表示を含む2D画像(すなわち非封鎖動脈106に造影剤が投与された後取得される2D画像)を使用して、遠位部分112の第2の3Dモデルが生成される。近位部分110の第1の3Dモデルおよび遠位部分112の第2の3Dモデルを組み合わせることによって、閉塞領域102の完全な3Dモデルが生成される。当業者に知られた画像処理技術によって完全な3Dモデルに対して近位部分110および遠位部分112の境界領域の決定、および閉塞部分114の境界領域の補間が実行される。閉塞部分の境界領域は、閉塞部分が実質的に蛇行性でないと想定して決定される。
【0032】
次に図8A、8Bおよび8Cを参照する。図8Aは、開示の技術の別の実施形態による近位3D安全軌道を含む、図1の心臓の閉塞領域の拡大図である。図8Bは、遠位3D安全軌道を含む、図1の心臓の閉塞領域の拡大図である。図8Cは、近位3D安全軌道、遠位3D安全軌道および封鎖3D安全軌道を含む、図1の心臓の閉塞領域の拡大図である。第1誘導測定カテーテル(GMC、図示せず)が、近位部分110から閉塞部分114に接近しながら閉塞動脈104に挿入される。第1GMC先端が近位部分110内を閉塞部分114に向かって進む際、それぞれのGMC関連装置(図示せず)が、近位部分110に沿った複数の位置(図示せず)における第1GMC先端の3D位置および配向を決定する。GMC関連装置はこれにより、第1GMC先端が近位部分110内を通過する連続する近位3D安全軌道250を決定する。GMC関連装置は、例えば第1GMCがその先端にMPSセンサを装備するMPSであってよい(すなわち、図5を参照して以下の本明細書に記載されるシステムのMPSおよびMPSセンサと同様に)。同様に、第2GMC(図示せず)が、遠位部分112から閉塞部分114に接近しながら閉塞動脈104に挿入される。第2GMC先端が遠位部分112内を閉塞部分114に向かって進む際、それぞれのGMC関連装置が、遠位部分112に沿った複数の位置(図示せず)における第2GMC先端の3D位置および配向を決定する。GMC関連装置はしたがって、第2GMC先端が遠位部分112内で通過する連続する遠位3D安全軌道252を決定する。第1GMCも第2GMCも閉塞部分114内を通過しないため、近位3D安全軌道250および遠位3D安全軌道252は交差しない。近位3D安全軌道250と遠位3D安全軌道252間の補間によって、閉塞3D安全軌道254を次いで決定することができる。近位、遠位および閉塞3D安全軌道(それぞれ250、252および254)は閉塞動脈104の3Dモデル(例えば図4A、4Bおよび4Cを参照して記載される3Dモデル)に重ねることができる。このように本明細書に記載の医療処置を行う人に、閉塞部分内の付加的安全軌道情報が与えられる。近位3D安全軌道250および遠位3D安全軌道252は第1および第2GMCがこれらに沿って進む実際の軌道を示すので、付加的安全軌道情報はより信頼できると考えられる。これらの実際の軌道は、動脈に穿孔したり他の動脈損傷を引き起こすことなく、GMCが既にこれらに沿って進んだことから安全なものと考えてよい。
【0033】
次に図4A,4Bおよび4Cを参照する。図4Aは、開示の技術の別の実施形態による、図1の閉塞動脈104と同様の全体を122で示す血管の3Dモデルの概略図である。図4Bは、MPSセンサの位置、および3Dモデルの中央線に整列された配向の表示を含む、図4Aの3Dモデルの概略図である。図4Cは、MPSセンサの位置、および3Dモデルの中央線から外れた配向の表示を含む、図4Aの3Dモデルの概略図である。3Dモデル122は、閉塞血管の近位部分、閉塞部分および遠位部分の境界領域の決定後に生成される(例えば2つの異なる視点から取得される血管の2D画像を使用して)。3Dモデル122は、血管壁124および再構築された3D中央線126を含む。再構築された3D中央線126は、閉塞血管の境界領域によって生成された血管の実際の中央線の推定値である。再構築された3D中央線126は、取得画像中に現れる血管全体について決定され、閉塞血管の近位部分、閉塞部分および遠位部分を通って進む。
【0034】
医療処置が閉塞血管に対して実行される際、ガイドワイヤが血管に挿入され閉塞部分を通って進む。ガイドワイヤ先端による動脈の局所的切開または心臓への穿孔のリスクを回避するために、ガイドワイヤは3D中央線126に沿って閉塞部分の中央を通って進められるべきである。したがって3D中央線126は、ガイドワイヤが中を進むべき3D安全軌道を示す。図2Aを参照すると、ガイドワイヤは、まず近位部分110を貫通してその近位端から閉塞部分114に達することができる。あるいはガイドワイヤは、まず遠位部分112を貫通してその遠位端から114に達することができる。
【0035】
図4Bを参照すると、ガイドワイヤが血管に挿入される。ガイドワイヤは、その遠位先端にMPSセンサを搭載する。MPSセンサの3D位置および3D配向は、患者の身体の外にあるMPSを使用して血管内部にガイドワイヤが進む際、血管に沿った複数の位置で決定される。3Dモデル122はMPSの3D座標系に登録される。ガイドワイヤは閉塞部分(図示せず)の端部に到達し、血管の閉塞部分を貫通して進められる(図2Aの閉塞部分114と同様に)。3Dモデル122に対して、MPSセンサ128およびMPSセンサ配向130の表示が提示される。MPSセンサ位置128は、MPSセンサが血管内の3D中央線126上に位置することを示す。MPSセンサ配向130は、3D中央線126と整列するようにMPSセンサが血管内で進められることを示す。
【0036】
血管を通ってガイドワイヤを進める処置の間、3Dモデル122が使用者に表示される。MPSセンサ配向130が安全軌道と整列すると、MPSセンサ配向130または3D中央線126は次いで、正の関連方法で(例えば緑色記号、または緑色に着色された中央線を使用して)表示され、ガイドワイヤが閉塞部の中央を通り安全軌道に沿って進められることを使用者に示し、動脈の局所的切開または心臓への穿孔のリスクを最小限にする。
【0037】
図4Cを参照すると、ガイドワイヤはさらに閉塞血管内に進められる。MPSセンサ位置132は安全軌道上に配置されている。MPSセンサ配向134は、3D中央線126に画定される安全軌道から外れている。このような場合、ガイドワイヤ先端をさらに進めると、動脈の局所的切開または血管の穿孔を引き起こす恐れがある。このような事態を回避するために、ガイドワイヤが安全軌道から外れていることを使用者に示す通知が生成される。例えばMPSセンサ配向134または3D中央線126を負の関連方法(例えば赤色信号、または赤色に着色された中央線を使用して)で表示することや、音声警告アラームを鳴らすことなどができる。この通知が使用者に届くと、彼女はガイドワイヤが安全軌道に沿って進むようにガイドワイヤの配向を調節することができる。
【0038】
開示の技術の別の実施形態によると、術前CTスキャンを採用することによって閉塞領域のコンピューター断層撮影(CT)3Dを得ることができる。CTによる3Dモデルは、X線透視検査の造影剤注入後生成される3Dモデルに登録することができる。CTによる3Dモデルは、比較的多数の2D画像(例えば64視点から取得される)から生成されるため、閉塞領域の付加的詳細(取得される3Dモデルと相対して)を含むことができる。このような付加的詳細は、例えば閉塞部分の長さ、閉塞部分の幅、閉塞部分の蛇行部などであってよい。これら付加的詳細は、取得された3Dモデルを強化するために、CTによる3Dモデルとの比較後、取得された3Dモデルに重ねることができる。
【0039】
次に開示の技術の別の実施形態によって構築され作動可能であり、全体を150で示す、閉塞した管状器官の3Dモデルを生成し管状器官の閉塞部を貫通してナビゲートするシステムの概略図である図5を参照する。システム150は、医療用撮像システム168、医療用位置決めシステム(MPS)174、器官タイミング信号検知器176、閉塞ナビゲーションプロセッサ178、ガイドワイヤ156、ディスプレイ172およびテーブル154を含む。医療用撮像システム168は、撮像放射線送波器170および撮像放射線検知器166を含む。医療用位置決めシステム174は、MPS送信器160、162および164と、基準センサ180と、MPSセンサ(図示せず)とを含む。医療用撮像システム168は、撮像放射線送波器170がX線源であり、撮像放射線検知器166がX線検知器(例えばフィルム)であるX線撮像システムであってよい。医療用撮像システム168は、全体的に文字「C」の形状(すなわちC型アーム)を有してよい。放射線送波器170と放射線検知器166の間に引かれる線(図示せず)は、医療用撮像システム168の光学軸を画定する。用語「視点」は本明細書で使用される際、撮像装置168の光学軸の空間的配向(すなわちベクトル方向)に関係する(すなわち、患者152に対する光学軸の角度)。
【0040】
閉塞ナビゲーションプロセッサ178は、器官タイミング信号検知器176、撮像放射線検知器166、MPS174およびディスプレイ172に接続される。MPS174は、ガイドワイヤ156に接続される。MPSセンサ(図示せず)は、ガイドワイヤ156の遠位端158に搭載される。MPS送信器160、162および164は、撮像放射線検知器166に接続される。患者152はテーブル154上に配置される。患者152は、例えば閉塞心臓動脈など図1の閉塞動脈104と同様の閉塞管状器官(図示せず)を呈する。MPS174は、MPS送信器160、162および164と、基準センサ180とに対して、3D座標系(以後MPS座標系)における閉塞管状器官に沿った複数の位置でのMPSセンサの位置および配向を決定する。
【0041】
例えば医師によって、第1X線透視検査の造影剤が閉塞管状器官に投与される。医療用撮像システム168は、複数の異なる視点から管状器官の複数の第1注入2D画像を取得する。複数の視点間の差は(すなわち、各視点の光学軸のベクトル方向間の角度差)、少なくとも30°である。好ましくは、視点間の差はおよそ90°である。2D画像の取得と同時に器官タイミング信号検知器176は、管状器官の活動状態を検出する。したがって、それぞれの2D画像は、器官タイミング信号読み取り値と関連する。器官タイミング信号は、患者152の上(例えばその腹部上)に配置される複数の身体表面電極157に適合した心電図(ECG)検知器によって検出することができる。管状器官の閉塞部分により血液が中を流れることができないので、閉塞部分および遠位部分は、第1注入2D画像中に現れない。しかしながら、正常なバイパスは、近位部分に流れる血液を遠位部分に到達させることができる。このような正常バイパスが存在する場合、遠位部分は第1注入2D画像中に現れる(図2B参照)。このような正常バイパスが存在しない場合、遠位部分は第1注入2D画像中に現れないので、次いで第2の対側性の造影剤が投与される(すなわち、別の血管内に)。他の血管を通って流れる血液は、対側性の正常バイパスを通って流れ遠位部分に到達することができる。第2注入後医療用撮像システム168は、患者152の心臓の血管におけるX線透視検査の造影剤の存在を示す異なる視点から閉塞領域の複数の第2注入2D画像を取得する(図2C参照)。X線透視検査の造影剤を包含する血液が中を流れるので、これらの画像中に遠位部分を見ることができる。第2注入によるX線透視検査の造影剤が中を流れないので、これらの画像中に近位部分は現れない。システム150の使用者(例えば医師)は、閉塞血管における封鎖の度合いに関する事前の知識(例えば以前の医療用撮像などを基にした)を有してよいことに留意されたい。この場合、医師は第1注入2D画像を分析せずに、第2注入2D画像を取得するために第2造影剤を投与し、医療用撮像システム168を使用してよい(すなわち、第1注入2D画像の結果に拘わらず、無条件に第2注入2D画像を取得する、)。
【0042】
第1注入および第2注入2D画像それぞれの組は、単一の重ねられた画像を形成するために結合されるので、これら第1注入および第2注入2D画像は、器官タイミングサイクルの同一タイミング地点で取得されなければならない。ビデオ画像が採用される場合、一連の重ねられた画像はシステム150の使用者に連続して繰り返し表示される(すなわち管状器官の反復する周期的動き)。したがって、ビデオの一連の画像が管状器官の周期的動きを正確に表すように、表示の重ねられた各画像は器官タイミングサイクルのそれぞれのタイミング地点に現れる。
【0043】
医療用撮像システム168は、閉塞ナビゲーションプロセッサ178に2D画像を提供する。近位部分および遠位部分が共に取得画像中に現れる場合、閉塞ナビゲーションプロセッサ178は画像を結合し、各視点について重ねられた2D画像を生成する。重ねられた2D画像のそれぞれは、検査する管状器官の閉塞部分の両端の表示を含む。例えば、2つの異なる視点からそれぞれの造影剤注入について2つの画像が取得される場合、閉塞ナビゲーションプロセッサ178は次いで2つの重ねられた2D画像を生成することができる。
【0044】
画像処理技術を使用して、閉塞ナビゲーションプロセッサ178は重ねられた各2D画像中に管状器官の近位部分と遠位部分との境界領域を検出する。閉塞ナビゲーションプロセッサ178は、遠位と近位部分の境界領域の間を補間し閉塞部分の境界領域の推定値を提供する。システム150の使用者(例えば医師)は、閉塞部分の補間された境界領域を観察し、補間された境界領域を手動で再形成してよい(例えば必然的調整のために)。例えば使用者は、彼女が閉塞部分の実際の蛇行部に関して事前の知識を有している場合、補間された境界領域の蛇行部を変えることができる。あるいはシステム150の使用者は、遠位と近位部分の境界領域の間を手動で接合してよい(すなわち手動補間)。例えば使用者は、入力モジュール(図示せず)を介して適合部を見ながら遠位部分と近位部分の間に接続線を引くことによって、閉塞部分の境界領域を示すことができる。ディスプレイ172は、近位部分と遠位部分の境界領域の表示とは異なる表示を有する閉塞部分の境界領域を表示することができる(例えば異なる色、異なる線のタイプなどによって)。
【0045】
閉塞ナビゲーションプロセッサ178は、重ねられた2D画像を使用して管状器官の3Dモデル182を生成する。閉塞ナビゲーションプロセッサ178はさらに、3Dモデル182によって管状器官の3D中央線184の推定値を決定する。3D中央線184は、閉塞管状器官の近位部分、閉塞部分、遠位部分内を通る。ディスプレイ172は、3Dモデル182の視覚的表示および管状器官の3D中央線184の視覚的表示を提供する。ディスプレイ172はさらに、重ねられた画像など管状器官の2D画像に対して重ねられた3Dモデルを表示することができる。閉塞ナビゲーションプロセッサ178は、MPS174のMPS座標系に3Dモデル182を登録する。ディスプレイ172は、3Dモデル182に対するMPSセンサの位置および配向186の視覚的表示を提供する。
【0046】
システム150の使用者は管状器官にガイドワイヤ156を挿入し、その閉塞部分に向けてこれを進める。ガイドワイヤ遠位先端158による局所的切開または心臓の穿孔のリスクを回避するために、システム150の使用者は、閉塞部分の中央線から外れることなく、ガイドワイヤ156を進めるべきである(すなわち、3D中央線184に沿って)。したがって3D中央線184は、ガイドワイヤ遠位先端158が進むべき安全な軌道を表示する。
【0047】
システム150の使用者は、検査する管状器官内にさらにガイドワイヤ156を進める。遠位先端158が3D中央線184に沿って進行する際、ディスプレイ172は、正の関連方法による(例えば緑色の矢印または第1の所定の可聴音を使用して)MPSセンサ位置および配向186の視覚的表示を提供する。この方法において、使用者は閉塞部の中央を通ってガイドワイヤを進めることが安全であると確信し、局所的切開または心臓の穿孔のリスクを最小限にする。
【0048】
ガイドワイヤ156が安全軌道から外れ、使用者がガイドワイヤ遠位先端158をさらに進める場合、ガイドワイヤ遠位先端158は次いで、管状器官の局所的切開または穿孔を引き起こす恐れがある。このような事態を回避するために、閉塞ナビゲーションプロセッサ178が指示を生成し、ガイドワイヤ遠位先端158が安全軌道から外れていることを使用者に知らせる。例えばディスプレイ172が負の関連方法によって(例えば赤い矢印を使用して)MPSセンサの位置および配向186の視覚的表示を提供することや、閉塞ナビゲーションプロセッサ178が音による通知警告音を生成することなどが可能である。指示が使用者に届くと、彼女はガイドワイヤ遠位先端158を安全軌道と整列させる、またはガイドワイヤの進行を止めるためにガイドワイヤ遠位先端158の配向を調節することができる。
【0049】
開示の技術の別の実施形態によって、システム150の使用者はガイドワイヤを進め、医療用撮像装置(MPSを使用せずに)を使用してガイドワイヤ遠位先端を観察する。医療用撮像システムは、閉塞管状器官に加えその中にガイドワイヤの遠位先端を見ることができる画像を生成する。使用者は、閉塞ナビゲーションプロセッサによって再構築される3D中央線(すなわち安全軌道)に沿ってガイドワイヤの遠位先端を進める。医療用撮像システムによって生成される画像は2D画像なので、閉塞ナビゲーションプロセッサは、管状器官の3Dモデルに2D画像を投影するための画像処理技術を採用する。本実施形態によると、ガイドワイヤの遠位先端はMPSセンサを装備せず、使用者は、医療用撮像システムの画像中に現れる際の遠位先端位置にしたがって、管状器官を貫通して遠位先端をナビゲートする。
【0050】
ガイドワイヤ遠位先端158が閉塞管状器官の遠位部分に達すると、使用者は次いで閉塞血管を治療するためにガイドワイヤ上にカテーテルを進めることができる。このようなカテーテルは、誘導測定カテーテル(GMC)、診断カテーテル(例えば超音波撮像カテーテル)またはアブレーションカテーテルであってよい。例えば使用者は、閉塞血管を拡張するために、血管にバルーンカテーテルを挿入し閉塞部分内でバルーンを膨張させることによって血管形成を行うことができる。
【0051】
開示の技術の別の実施形態によって、パラレルワイヤ技術を閉塞管状器官に適用することができる。使用者がガイドワイヤを管状器官に挿入する際、通常閉塞部分の内膜下の空隙にガイドワイヤが偽腔を形成することができる。パラレルワイヤ技術によって、次いでガイドワイヤが偽腔内に残され、第2ガイドワイヤ(図示せず)が第1ガイドワイヤに沿って管状器官に挿入される。第2ガイドワイヤは通常第1ガイドワイヤと異なる形状を有する。第2ガイドワイヤは第1ガイドワイヤが形成した偽腔には進入せず、閉塞管状器官の本来の閉塞管腔(すなわち最終的に閉塞部分の遠位端に導く管腔)を見つけようとする。したがって第1ガイドワイヤは偽腔を示すランドマークとして作用する。両ガイドワイヤは、その遠位先端にMPSセンサを搭載する。したがって、第1ワイヤの進行痕跡は知られており(すなわちそれぞれのMPSセンサのMPS読取値によって)、使用者に表示することができる。第2ガイドワイヤを挿入する際、次いで使用者は偽腔の経路を明確に観察し、第2ガイドワイヤを異なる経路に沿って進め真腔を見つけようと試みることができる。
【0052】
次に開示の技術の別の実施形態による、閉塞管状器官の3D次元(3D)モデルを生成する方法の概略図である図6を参照する。管状器官は、その近位端で近位部分に隣接しその遠位端で遠位部分に隣接する閉塞部分を有する。処置200において、第1造影剤が管状器官に投与し、第1造影剤が閉塞部分の第1端部に接近する。図2Aおよび5を参照すると、医師は、患者152の管状器官(閉塞動脈104など)に第1X線透視検査の造影剤を投与する。X線透視検査の造影剤は近位部分110を貫通して閉塞部分114に接近する。
【0053】
処置202において、異なる視点から管状器官の複数の第1注入2D画像が取得される。画像はさらに、それぞれの器官タイミング信号読取値と共に取得される。図2Bおよび5を参照すると、医療用撮像システム168は、第1造影剤注入後異なる視点角度から管状器官の複数の第1注入2D画像を取得する。第1注入2D画像103は、第1造影剤注入後心臓100の血管内にX線透視検査の造影剤が存在することを示す。第1注入2D画像の取得と同時に、器官タイミング信号検知器176が管状器官の活動状態を検出する。したがって、それぞれ取得された2D画像は器官タイミング信号読取値に関連する。器官タイミング信号は、患者152の上に配置された身体表面電極に適合する心電図(ECG)検知器によって検出することができる。
【0054】
遠位部分が第1注入2D画像中で識別できない場合、次いで図6に記載される方法は、処置202から処置204を続ける。処置204において、第2造影剤が管状器官に投与され、第2造影剤が閉塞部分の他端に接近する。図2A、2Cおよび5を参照すると、遠位部分112が第1注入2D画像中で識別できない場合、医師は次いで、第2の対側性のX線透視検査の造影剤を非封鎖動脈106に投与する。非封鎖動脈106内を流れる血液は、正常なバイパス108を通って流れ遠位部分112に達することができる。
【0055】
処置206において、異なる視点から管状器官の複数の第2注入2D画像が取得される。画像はさらにそれぞれの器官タイミング信号読取値と共に取得される。図5を参照すると、医療用撮像システム168は、第2造影剤注入後異なる視点から管状器官の複数の第2注入2D画像を取得する。図2Cを参照すると、第2注入2D画像105は、第2造影剤注入後心臓100の血管内にX線透視検査の造影剤が存在することを示す。2D画像105において、遠位部分112は見ることができるが近位部分110は見ることができない。第2注入2D画像の取得と同時に、器官タイミング信号検知器176が管状器官の活動状態を検出する。したがってそれぞれ取得された2D画像は、器官タイミング信号読取値に関連する。
【0056】
遠位部分が第1注入2D画像中で識別できない場合、次いで図6に記載される方法は、処置202から処置208を続ける。処置208において、それぞれの造影剤注入後複数の取得された2D画像から複数の重ねられた2D画像が生成される。重ねられた2D画像は、近位部分および遠位部分の表示を含む。図5、2Bおよび2Cを参照すると、医療用撮像システム168は、閉塞ナビゲーションプロセッサ178に対して第1注入および第2注入2D画像(第1注入2D画像103および第2注入2D画像105など)を提供する。近位部分および遠位部が共に取得される画像中に現れると、閉塞ナビゲーションプロセッサ178は、画像を結合し、それぞれの視点について重ねられた2D画像(図2Aの2D画像など)を生成する。それぞれの重ねられた2D画像は、検査される管状器官の閉塞部分の両端の表示を含む。
【0057】
処置210において、近位部分と遠位部分との境界領域が重ねられた2D画像内で決定される。図3Aおよび5を参照すると、閉塞ナビゲーションプロセッサ178は、画像処理技術を使用して、重ねられた2D画像それぞれの管状器官の近位部分(近位部分110の境界領域116など)および遠位部分(遠位部分112の境界領域118など)の境界領域を検出する。
【0058】
処置212において、近位部分と遠位部分の境界領域の間を補間することによって、重ねられた2D画像中に閉塞部の境界領域が決定される。図3Bおよび5を参照すると、閉塞ナビゲーションプロセッサ178が遠位部分と近位部分の境界領域を補間し、閉塞部分の境界領域(閉塞部分114の境界領域120など)の推定値を提供する。あるいは、システム150の使用者は、遠位部分と近位部分の境界領域の間を手動で接合することができる(すなわち手動補間)。例えば使用者は、入力モジュール(図示せず)を介して適合部を見ながら、遠位部分と近位部分の間に接続線を引くことによって閉塞部分の境界領域を示すことができる。
【0059】
処置214において、管状器官の3Dモデルは、重ねられた2D画像および決定された境界領域から生成される。図5を参照すると、閉塞ナビゲーションプロセッサ178は、重ねられた2D画像を使用して管状器官の3Dモデル182を生成する。
【0060】
処置216において、近位部分、閉塞部分および遠位部分を通って進む管状器官の3D中央線が決定される。図5を参照すると、閉塞ナビゲーションプロセッサ178はさらに3Dモデル182によって管状器官の3D中央線184に関する推定値を決定する。3D中央線184は、閉塞管状器官の近位部分、閉塞部分および遠位部分を貫通して進む。
【0061】
次に、開示の技術の別の実施形態によって管状器官を貫通してナビゲートする方法の概略図である図7を参照する。管状器官は、その近位端で近位部分に隣接しその遠位端で遠位部分に隣接する閉塞部分を有する。処理230において、管状器官の3Dモデルが生成される。3Dモデルは、近位部分、閉塞部分および遠位部分を貫通して進む3D中央線を含む。図5を参照すると、閉塞ナビゲーションプロセッサ178は、管状器官の3Dモデル182を生成する。閉塞ナビゲーションプロセッサ178はさらに、3Dモデル182によって管状器官の3D中央線184に関する推定値を決定する。3D中央線184は、閉塞管状器官の近位部分、閉塞部分および遠位部分を通って進む。
【0062】
処置232において、管状器官に挿入されるガイドワイヤ先端の位置および配向は、ガイドワイヤの遠位先端に搭載されるMPSセンサを採用することにより、管状器官に沿った複数の位置で決定される。図5を参照すると、ガイドワイヤ156は管状器官に挿入され、その閉塞部分に接近する。MPS174は、検査される管状器官に対して、MPS送信器160、162および164と、基準センサ180とによって画定されるMPS座標系に対して、遠位先端158に搭載されるMPSセンサの位置および配向を決定する。
【0063】
開示の技術の別の実施形態によると、システム150の使用者はガイドワイヤを進め、医療用撮像システム(MPSを使用しない)を使用してガイドワイヤ遠位先端を観察する。医療用撮像システムは、閉塞管状器官に加えてガイドワイヤを見ることができる画像を生成する。使用者は、閉塞ナビゲーションプロセッサによって再構築される3D中央線(すなわち安全軌道)に沿ってガイドワイヤの遠位先端を進める。医療用撮像システムによって生成される画像は2D画像なので、閉塞ナビゲーションプロセッサは、管状器官の3Dモデルに2D画像を投影するための画像処理技術を採用する。本実施形態によると、ガイドワイヤの遠位先端はMPSセンサを装備せず、使用者は、医療用撮像システムの画像中に現れる際の遠位先端位置によって、管状器官を貫通して遠位先端をナビゲートする。
【0064】
処置234において、ガイドワイヤは閉塞部分を通って進められ、ガイドワイヤ先端は3D中央線によって画定される安全軌道に沿ってナビゲートされる。図5を参照すると、システム150の使用者(例えば医師、ロボットアームなど)は、3D中央線184に画定される安全軌道に沿って検査する管状器官内にガイドワイヤ156をさらに進める。あるいはガイドワイヤはMPSセンサを装備せず、システム150の使用者は医療用撮像システムによって生成される画像中に現れる遠位先端によって、ガイドワイヤの遠位先端をナビゲートする。
【0065】
処置236において、ガイドワイヤ先端が安全軌道から外れた場合、指示が生成される。図5を参照すると、ガイドワイヤ156が安全軌道から外れ、使用者がガイドワイヤ遠位先端158をさらに進める場合、ガイドワイヤ遠位先端158が次いで、管状器官壁の局所的切開または穿孔を引き起こす恐れがある。このような切開または穿孔を回避するために、閉塞ナビゲーションプロセッサが指示を生成し、ガイドワイヤ遠位先端158が安全軌道から外れていることを使用者に知らせる。例えばディスプレイ172が負の関連通知によって(例えば赤い矢印を使用して)MPSセンサの位置および配向186の視覚的表示を提供することや、閉塞ナビゲーションプロセッサ178が音による通知警告音を生成することなどが可能である。
【0066】
当業者は、開示の技術が上記に詳細に示され記載されるものに限定されないことを理解するであろう。むしろ開示の技術の範囲は、上述の特許請求の範囲によってのみ定義される。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】開示の技術が適用される閉塞動脈を有し全体を100で示す心臓の3Dモデルの概略図である。
【図2A】図1の心臓の閉塞動脈の近位部分および遠位部分の表示を含む、全体を102で示す閉塞領域の詳細な重ねられた2D画像の図である。
【図2B】図1の心臓の閉塞動脈の近位部分の表示を含む、図2Aの閉塞領域の第1注入2D画像の図である。
【図2C】図1の心臓の閉塞動脈の遠位部分の表示を含む、図2Aの閉塞領域の第2注入2D画像の図である。
【図3A】開示の技術の別の実施形態による近位部分と遠位部分の境界領域が提示されている図1の閉塞領域の重ねられた2D画像の図である。
【図3B】閉塞部分の境界領域がさらに提示されている図3Aの画像の図である。
【図4A】開示の技術の別の実施形態による、図1の閉塞動脈と同様の全体を122で示す血管の3Dモデルの概略図である。
【図4B】MPSセンサ位置、および3Dモデルの3D中央線と整列する配向の表示を含む、図4Aの3Dモデルの概略図である。
【図4C】MPSセンサ位置、および3Dモデルの3D中央線から外れている配向の表示を含む、図4Aの3Dモデルの概略図である。
【図5】閉塞管状器官の3Dモデルを生成し、管状器官の閉塞部を通ってナビゲートする開示の技術の別の実施形態によって構築され作動可能な全体が150で示されるシステムの概略図である。
【図6】開示の技術の別の実施形態による、閉塞管状器官の3次元(3D)モデルを生成する方法の概略図である。
【図7】開示の技術の別の実施形態による、管状器官を貫通してナビゲートする方法の概略図である。
【図8A】開示の技術の別の実施形態による近位3D安全軌道を含む、図1の心臓の閉塞領域の拡大図である。
【図8B】遠位3D安全軌道を含む、図1の心臓の閉塞領域の拡大図である。
【図8C】近位3D安全軌道、遠位3D安全軌道および閉塞3D安全軌道を含む、図1の心臓の閉塞領域の拡大図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その近位端で近位部分に隣接しその遠位端で遠位部分に隣接する閉塞部分を有する管状器官の3次元(3D)モデルを生成するための方法であって、
前記閉塞部分の第1端部に接近する第1造影剤を前記管状器官に注入する処置と、
異なる視点からそれぞれ前記管状器官の複数の第1注入2次元(2D)画像を取得し、前記第1注入2D画像がさらにそれぞれの器官タイミング信号読取値と共に取得される処置と、
前記閉塞部分の第2端部に接近する第2造影剤を前記管状器官に注入する処置と、
異なる視点からそれぞれ前記管状器官の複数の第2注入2次元(2D)画像を取得し、前記第2注入2D画像がさらにそれぞれの器官タイミング信号読取値と共に取得される処置と、
前記視点のそれぞれについて、それぞれが前記近位部分および前記遠位部分を含む複数の重ねられた2D画像を生成する処置と、
前記重ねられた2D画像中に前記近位部分と前記遠位部分の境界領域を決定する処置と、
前記近位部分と前記遠位部分の境界領域の間を補間することによって、前記重ねられた2D画像中に前記閉塞部分の境界領域を決定する処置と、
前記重ねられた2D画像から前記管状器官の3Dモデルを生成する処置と、
前記近位部分を通り前記閉塞部分を通り前記遠位部分を通って進む、管状器官の3D中央線を決定する処置と
を有する前記方法。
【請求項2】
前記重ねられた2D画像のそれぞれの前記視点が、前記第1注入2D画像および第2注入2D画像を取得する撮像装置の光学軸のベクトル方向に関係し、前記異なる視点間の差が少なくとも30°である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記異なる視点間の差が少なくともおよそ90°である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記閉塞部分の前記第2端部を前記第1注入2D画像中に見ることができない場合、前記第2造影剤を注入する処置、および前記複数の第2注入2D画像を取得する処置が実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
その近位端で近位部分に隣接しその遠位端で遠位部分に隣接する閉塞部分を有する管状器官を貫通してナビゲートする方法であって、
前記近位部分、前記閉塞部分および前記遠位部分を通って進む3D中央線を含む前記管状器官の3Dモデルを生成する処置と、
前記管状器官に沿った複数の位置で、前記管状器官に挿入されるガイドワイヤ先端の位置および配向を決定する処置と、
前記ガイドワイヤを前記閉塞部分を通って進め、前記ガイドワイヤ先端を前記3D中央線によって画定される安全軌道に沿ってナビゲートする処置と、
前記ガイドワイヤ先端が前記安全軌道から外れている場合に指示する処置と
を有する前記方法。
【請求項6】
前記決定する処置が、前記ガイドワイヤ先端に搭載されるMPSセンサを採用することによって実行される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記決定する処置が、前記管状器官の画像中の前記ガイドワイヤ先端の前記位置および配向を観察することによって実行される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記管状器官の前記画像がX線画像を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記3Dモデルの前記ガイドワイヤ先端の位置および配向を連続的に表示する処置をさらに有する、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
その近位端で近位部分に隣接しその遠位端で遠位部分に隣接する閉塞部分を有する患者の管状器官の3Dモデルを生成し、前記管状器官を貫通してナビゲートするシステムであって、
撮像放射線送波器および撮像放射線検知器を含み、異なる視点から前記管状器官の複数の2D画像を取得するための医療用撮像システムと、
前記2D画像の取得と同時に前記管状器官の活動状態を検出するための器官タイミング信号検知器と、
医療用位置決めシステムに接続される複数のMPS送信器、前記患者の身体に接続される基準センサ、および前記ガイドワイヤの先端に接続されるMPSセンサを含み、前記管状器官に沿った複数の位置で、前記管状器官に挿入されるガイドワイヤ先端の位置および配向を決定するための医療用位置決めシステム(MPS)と、
前記医療用撮像システム、前記器官タイミング信号検知器、および前記MPSに接続される閉塞ナビゲーションプロセッサであって、前記視点のそれぞれについて複数の重ねられた2D画像を生成し、前記それぞれの重ねられた2D画像が、前記近位部分および前記遠位部分の表示を含み、前記重ねられた2D画像中の前記近位部分および前記遠位部分の境界領域を決定し、前記近位部分および前記遠位部分の境界領域の間を補間することによって前記重ねられた2D画像中の前記閉塞部分の境界領域を決定し、前記重ねられた2D画像から前記管状器官の3Dモデルを生成し、前記近位部分、前記閉塞部分および前記遠位部分を通って進み、前記管状器官内に安全軌道を画定する前記管状器官の3D中央線を決定する前記閉塞ナビゲーションプロセッサと
を備える前記システム。
【請求項11】
前記閉塞ナビゲーションプロセッサが、前記ガイドワイヤ先端が前記安全軌道から外れている際指示を生成する、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記3D中央線と、前記MPSセンサの位置および配向の視覚的表示を提供するために前記閉塞ナビゲーションプロセッサに接続されるディスプレイをさらに備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記ディスプレイが、前記ガイドワイヤ先端が前記安全軌道から外れている際、前記閉塞ナビゲーションプロセッサによって生成される指示の視覚的表示をさらに提供する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
その近位端で近位部分に隣接しその遠位端で遠位部分に隣接する閉塞部分を有する管状器官を貫通してナビゲートする方法であって、
前記近位部分内で前記近位端に向かう第1誘導測定カテーテル(GMC)の3D位置および配向を決定し、これにより連続する近位3D安全軌道を決定する処置と、
前記遠位部分内で前記遠位端に向かう第2誘導測定カテーテル(GMC)の3D位置および配向を決定し、これにより連続する遠位3D安全軌道を決定する処置と、
前記近位3D安全軌道と前記遠位3D安全軌道の間を補間することによって、前記閉塞部分を通って進む閉塞3D安全軌道を決定する処置と
を有する前記方法。
【請求項15】
前記管状器官内に挿入されるガイドワイヤ先端の位置および配向を決定する処置と、
前記閉塞部分を通って前記ガイドワイヤを進め、前記近位3D安全軌道、前記閉塞3D安全軌道、および前記遠位3D安全軌道の少なくとも1つに沿って前記ガイドワイヤ先端をナビゲートする処置と、
前記近位3D安全軌道、前記閉塞3D安全軌道、および前記遠位3D安全軌道のいずれか1つから前記ガイドワイヤ先端が外れている場合に指示する処置と
をさらに有する請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記決定する処置の少なくとも1つが前記GMCの先端に搭載されるMPSセンサを採用することによって実行される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
ガイドワイヤ先端の位置および配向を決定する前記処置が、前記ガイドワイヤの先端に搭載されるMPSセンサを採用することによって実行される、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【公開番号】特開2008−100055(P2008−100055A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−241248(P2007−241248)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【出願人】(501448314)メディガイド リミテッド (13)
【Fターム(参考)】