説明

閉鎖型スプリンクラヘッド

【課題】感熱板の特定方向の感度を他の方向のそれより高くする。
【解決手段】閉鎖型スプリンクラヘッドSPの下方に、可溶合金20を収容した感熱板18の感熱翼18aが取付けられる閉鎖型スプリンクラヘッドにおいて;該感熱翼18aの形状を長方形、三角形、又は、楕円形に形成する。
感熱板の特定方向の感度を他の方向のそれより高くする。
閉鎖型スプリンクラヘッドSPの下方に、可溶合金20を収容した感熱板18の感熱翼18aが取付けられる閉鎖型スプリンクラヘッドにおいて;該感熱翼18aの形状を長方形、三角形、又は、楕円形に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、消火用の閉鎖型スプリンクラヘッドに関するもので、更に述べると、特定方向の感度が他の方向のそれよりも高く設計されている閉鎖型スプリンクラヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の閉鎖型スプリンクヘッドの下端には、火災を感知するための感熱板が設けられている。この感熱板は、円板形状に形成され、全方向、即ち360度どの方向で火災が発生しても、火災の熱気流からの熱量が等しければ、感熱板の中央にある可溶合金(半田)には、等しい熱量が届き、火災方向によって作動時間が変化することはない(例えば、特許文献1、参照)。
【0003】
【特許文献1】特許第3356862号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
閉鎖型スプリンクラヘッドの設置環境によっては、ガスコンロ等の加熱器具が設置されている調理室等のように、特定方向に可燃物が多く火源となりうる可能性が高くなるような環境がある。この様な環境では、その可燃物が多い方向に対して、スプリンクラヘッドの感度を向上させることが望まれる。
ところが、従来の閉鎖型スプリンクラヘッドでは、前述の通り、全方向均一の感度であるので、上記要望を満たすことができない。
【0005】
この発明は、上記事情に鑑み、感熱板の特定方向の感度を他の方向のそれより高くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、スプリンクラヘッドの下方に、感熱体を収容した感熱板が取付けられる閉鎖型スプリンクラヘッドにおいて;該感熱板の形状を多角形、又は、楕円形にしたことを特徴とする。
【0007】
この発明は、スプリンクラヘッドの下方に、感熱体を収容した感熱板が取付けられる閉鎖型スプリンクラヘッドにおいて;該感熱板の重心をヘッド本体の中心軸からずらして取り付けたことを特徴とする。
【0008】
この発明は、スプリンクラヘッドの下方に、感熱体を収容した感熱板が取付けられる閉鎖型スプリンクラヘッドにおいて;該感熱板の一部に、前記感熱体へ伝わる熱の流れを遮断する断熱手段を設けたことを特徴とする。
【0009】
この発明は、スプリンクラヘッドの下方に、感熱体を収容した感熱板が取付けられる閉鎖型スプリンクラヘッドにおいて;前記感熱板及び消火水を分散せしめるデフレクタを、長方形に形成すると共に、前記感熱板の長辺とデフレクタの長辺とが直交する様に設けたことを特徴とする。
【0010】
この発明の感熱板とデフレクタの中心点が、ヘッド本体の中心軸上に位置し、前記感熱板の長方形状の火災感知領域と前記デフレクタの長方形状の散水領域とが一致することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明は、以上の様に構成したので、感熱板の感度は、全方向均一ではなく、特定方向が他の方向に比べ高い。そのため、例えば、特定方向に可燃物が多く火源となりうる可能性が高くなるような環境では、その可燃物の多い方向、即ち特定方向、の熱を早期に感知し、消火することができる。
【0012】
この発明の感熱板及びデフレクタを長方形に形成すると共に、前記感熱板の長辺とデフレクタの長辺とが直交する様に設けたので、感熱板の長方形状の火災監視領域とデフレクタの長方形状の散水領域とを一致させることができる。そのため、このスプリンクラヘッドを長方形状の場所、例えば、廊下や複合用途ビルのコア周りに配設する場合には、従来例のスプリンクラヘッド、即ち、円形状の感熱板及びデフレクタを有し、円形状の火災監視領域及び散水領域を有するスプリンクラヘッド、と異なり、無駄な散水を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本件発明者は、感熱板の特定方向の感度を他の方向のそれより高くするには、感熱板の形状、取付位置、構造に工夫を施せば良い、と考え研究実験を重ねた。その結果、次のことがわかった。
(1)感熱板を長方形、三角形等の多角形、又は、楕円形にすること、
(2)感熱板の取付位置をヘッド本体の中心軸から偏らせること、
(3)感熱板の一部に断熱手段を設けること。この断熱手段として、例えば、感熱板の特定方向に断熱部材を設けたり、又は、方向によって熱伝導率の異なる感熱板同士を接合する、
(4)感熱板及びデフレクタをそれぞれ長方形状に形成し、前記両者の長辺が互いに直交するようにするとともに、それらの重心をヘッド中心軸上に位置させること。
この発明は、前記知見に基づいてなされたものである。
【実施例】
【0014】
この発明の第1実施例を図1〜図8により説明する。
調理室Rの窓W側には、ガスコンロGが設けられ、その天井F裏には、図示しない給水配管が設けられ、又、前記天井Fの表面中央部近傍には、前記給水配管に接続された閉鎖型スプリンクラヘッドSPが設けられている。このスプリンクラヘッドSPは、所謂フラッシュ型であり、スプリンクラヘッドの下方には、可溶合金である感熱体を収容した感熱板が取り付けられている。
【0015】
このスプリンクラヘドSPのヘッド本体1は、消火水を放出する放水路2と、円筒フレーム4が螺着される鍔部3と、を備えている。前記放水路2の放水口は、弁体5により封鎖されている。前記円筒フレーム4は、周側壁に荷重調整用スリットと、ストッパリング10の着座部を有する底板と、を備えている。前記ストッパリング10は、円筒フレーム4内を摺動落下する、デフレクタ8の連結棒9の上端縁に取り付けられている。
【0016】
アームガイド11の中央部に、上記弁体5の下面に設けた突起を嵌挿し、前記弁体5と前記アームガイド11とを一体にする。なお、ストッパリング10は環状の板体に形成され、その環状の板体に切り込みを入れて複数個の舌片を折曲形成し、アームガイド11を常時下方に付勢する板ばねの働きをする。
【0017】
感熱分解のリンク機構LSは、弁体5を放水口に押圧し封鎖せしめるが、この機構LSは、次の様に構成されている。アームガイド11の蓋体の下面にバランサ12が配設されている。このバランサ12は、基板の中央部に設けた支点受溝と、その両側縁部を内方に折曲した側板と、を備えている。バランサ12は、弁体5の突起を支点受溝で支承しているが、このバランサ12の基板は、一対のアーム13の頭部により支持されている。このアーム13は、上記円筒フレーム4の荷重調整用スリットに懸架されている。
【0018】
両アーム13、13の肩部間にリンク押さえ板14を架設してアーム13を支持する。該リンク押え板14をピストンロッド15の上端部に固定し、該ピストンロッド15の下端部をシリンダ22に遊装する。このシリンダ22の下端部は、金属製感熱板18に固定された金属製有底筒体19であるが、この筒体19は、外形が長辺19Lと短辺19Sを有する長方形状体であり、その中央部には円形の収納穴19hが形成されている。この有底筒体19の外周部には、上下一対の感熱翼18a、18aと椀状の感熱翼兼カバー18bとが設けられている。前記短辺19Sと長辺19Lとの比19S/19Lは、例えば、1/2、に形成されている。
【0019】
感熱翼18a、18aは、気流空間tを介して対向する、合同な長方形状板体であり、前記感熱翼18a、18aの重心(中心点)Pは、スプリンクラヘッドSPの軸心C上に位置している。前記感熱翼18a、18aの長辺18Lは、前記筒体19の長辺19Lと平行であり、又、前記感熱翼18a、18aの短辺18Sは、前記筒体19の短辺19Sと平行である。前記短辺18Sと長辺18Lとの比18S/18Lは、例えば、1/4に形成されている。
【0020】
感熱翼18aの面積は、有底筒体19の上面の面積より大きく、例えば、10倍の大きさである。前記長辺18Lと長辺19Lとの間隔W1は、前記短辺18Sと短辺19Sとの間隔L1より短い。そのため、長辺側が、短辺側に比べ可溶合金20に近く、又、熱を受ける辺の長さも長いので、長辺側で火災が発生すると、短辺側よりも早く可溶合金20を溶かすことができる。従って、長辺側が短辺側より感度が良い。
【0021】
有底筒体19の収納穴19hには、円柱状の可溶合金20が充填され、その上にはセラミックの断熱材21が重合されている。該断熱材21は上記ピストンロッド15により押圧されている。
【0022】
シリンダ22は、上部にフランジが設けられている。このフランジとアーム支持板23との間にセラミックの断熱材を介在させ、有底筒体19の感熱翼18aでとらえた熱が、ピストンロッド15やアーム支持板23に逃げるのを防止している。デフレクタ8の衝突板の周縁部は、平面に対し、ほぼ5〜20度上方へ折曲している。
【0023】
次に、この実施例の作動について説明する。
閉鎖型スプリンクラヘッドSPは、調理室Rの中央部に配設され、感熱板18の感熱翼18aは、一方の長辺18LがガスコンロG側を向き、他方の長辺18Lは、ガスコンロGと反対側を向いている。
【0024】
ガスコンロGを使用中に、火災が発生すると、感熱翼18a,18aが感熱し、その熱は可溶合金20を溶かす。この時、長辺18Lは、短辺18Sより可溶合金20に近く(W1<L1)、更に、短辺18Sより長く熱気流に触れやすいので、長辺18L側からの熱は早く可溶合金20に到達し、溶融を開始させる。即ち、長辺側方向が短辺側方向より感度が高く、ガスコンロGの火災を早く感知できる。
【0025】
可溶合金20が、溶融すると、ピストンロッド15が摺動してアーム13、アーム支持板23、リンク押え板14、バランサ12,感熱板18が落下するとともに、弁体5はアームガイド11に案内されながらフレーム4内を落下する。そして、該アームガイド11がデフレクタに当接すると、弁体5は落下を停止し、図4に示す状態となる。なお、デフレクタ8はストッパリング10がフレームの底部に当接すると、落下が停止する。
【0026】
消火水Wは、放水路2を通り放水口から弁体5に向かって放出されると共に、デフレクタ8により分散されながら散布される。
【0027】
この発明の第2実施例を図9、図10により説明するが、図1〜図8と同一図面符号はその名称も機能も同一である、。
この実施例と第1実施例との相違点は、次の通りである。
(1)感熱板18IIの感熱翼18a、18aは、長方形であるが、短辺18
Sと長辺18Lとの比18S/18Lは、第1実施例よりも大きく、例えば、5/8である。
【0028】
(2)有底筒体19IIは、感熱翼18aの中央部に円形の収納穴19hを有
するが、その外形は、円形であるので、所謂円筒体である。
この実施例においては、長辺18L側が短辺18S側に比べ、感度が高い。
【0029】
この発明の第3実施例を図11〜図14により説明するが、図1〜図8と同一図面符号はその名称も機能も同一である。
この実施例と第1実施例との相違点は、次の通りである。
(1)感熱板18IIIの感熱翼18a、18aは、三角形であること。この三
角形は二等辺三角形であるが、必ずしも二辺が等しくなくても良い。
【0030】
(2)有底筒体19IIIは、円形の収納穴19hを有するが、その外形は、感
熱翼18aと相似な三角形である。この外形は、必ずしも前記の様に相似な三角形にする必要はない。前記有底筒体19IIIと感熱翼18aの重心Pは、ヘッ
ド本体1の中心軸C上に位置している。
【0031】
この実施例では、感熱翼18aの頂角18dが可溶合金20から最も離れているので、この方向での火災感知が最も遅くなる。従って、スプリンクラヘッドSPを配設する際には、この頂角18d側を火災発生の危険性の少ない方向に向けることが好ましい。
【0032】
この発明の第4実施例を図15、図16により説明するが、図1〜図8と同一面符号はその名称も機能も同一である。
この実施例と第1実施例との相違点は、次の通りである。
(1)感熱板18IVの感熱翼18a、18aは、楕円形であること。この楕
円の大きさ等は、必要に応じて適宜選択される。
【0033】
(2)有底筒体19IVは、円形の収納穴19hを有するが、その外形は、円
形であり、所謂円筒体である。この有底筒体19IVと感熱板18IVの重心(中
心)Pは、ヘッド本体1の中心軸C上に位置している。
この実施例では、長円弧18e側が、短円弧18f側より可溶合金20に近いので、長円弧側方向が短円弧側方向に比べ、感度が高い。
【0034】
この発明の第5実施例を図17〜図20により説明するが、図1〜図8と同一図面符号はその名称も機能も同一である。
この実施例と第1実施例との相違点は、次の通りである。
(1)感熱板18Vの感熱翼18a、18aは、円形であること。この円の
大きさ等は、必要に応じて適宜選択される。
【0035】
(2)有底筒体19Vは、円形の収納穴19hを有するが、その外形は、楕
円形であること。
この実施例では、有低筒体19vの長円弧19e側が、短円弧19f側より可溶合金20に近いので、長円弧19e側の感度が短円弧19f側より高い。
【0036】
この発明の第6実施例を図21〜図24により説明するが、図17〜図20と同一図面符号はその名称も機能も同一である。
この実施例と第5実施例との相違点は、有底筒体19VIの外形が、楕円形の
代わりに、長方形であること。
この実施例では、有底筒体19VIの長辺19L側が短辺19S側に比べ、可
溶合金20に近く、且つ、熱を受ける辺が長いので、感度が高い。
【0037】
この発明の第7実施例を図25〜図29により説明するが、図1〜図8と同一図面符号はその名称も機能も同一である。
この実施例と第1実施例との相違点は、感熱板18VIIの感熱翼18a、18
aの重心(中心)P1と、有底筒体19VIIの重心P2と、収納穴19hの中心
P0とが、それぞれ異なった位置にあること。中心P0は、ヘッド本体1の中心軸C上に位置しているが、感熱板18VIの感熱翼18a、18aと有底筒体
19VIIは、ヘッド本体1の中心軸Cからずれている。
【0038】
この様に偏心させると、感熱板18VII長辺18Lの左側部分18LLが右側部分18LRに比べ、可溶合金20との距離が近くなるので、この左側部分18LL方向の感度が高い。
【0039】
この発明の第8実施例を図30〜図32により説明するが、図9、図10と同一図面符号はその名称も機能も同一である。
この実施例と第2の相違点は、次の通りである。
(1)感熱板18VIIIの感熱翼18aが、円形であること。
【0040】
(2)下側の感熱翼18aの上面には、上向規制部30が設けられている。
この規制部30は、有底筒体19IIの左側及び右側に円弧状に設けられ、複
数の円弧状片30aから構成されている。この円弧状片30aは、円周方向に隙間t1をおいて複数配設されている。
【0041】
上側の感熱翼18aの下面には、下向規制部31が設けられている。この規制部31は、有底筒体19IIの左側及び右側に円弧状に設けられ、複数の円弧
状片31aから構成されている。この円弧状片30aは、円周方向に隙間t1をおいて複数配設されている。前記規制部30と規制部31は、隙間t0をおいて対向している。
【0042】
この実施例では、火災により発生する熱気流は、上下の感熱翼18a,18a間の隙間tに入るが、紙面の左右方向からの熱気流に対しては、規制部30,31により流れを規制され、前記熱気流は、前記隙間tよりも狭い隙間t0、t1を通って有底筒体IIに向う。一方、前記規制部30,31の存在しない
部分(自由部分)では、前記隙間t内を自由に熱気流が流れるので、この方向の熱気流は規制部30,31のある部分(規制部分)の熱気流より早く可溶合金20に伝わるので、感度が高くなる。
【0043】
この発明の第9実施例を図33により説明するが、図30〜図32と同一図面符号はその名称も機能も同一である。
この実施例と第8実施例との相違点は、感熱翼に規制部を設ける代わりに、断熱材35を設けたことである。この断熱材35は、断面方形状に形成され、感熱板18IXの上下の感熱翼18a、18aに挟まれ、かつ、有底筒体19II
に接して設けられているが、その形状、配設位置等は、必要に応じて適宜選択される。この実施例では、断熱材35の設けられている方向の熱伝達が悪くなるので、この方向の感度は、断熱材35を設けない方向のそれより悪くなる。
【0044】
この発明の第10実施例を図34により説明するが、図33と同一図面符号はその名称も機能も同一である。
この実施例と第9実施例との相違点は、断熱材を設ける代わりに、特定方向を向いている感熱板18Xの感熱翼の部分18gを、他の部分18hより熱伝
導率の良い材料で形成したことである。この実施例では、特定方向の感度が、他の方向のそれより高くなる。
【0045】
なお、感熱翼を、均一な熱伝導率を有する金属で形成し、特定方向に熱伝導率の異なる他の材料を張り合わせたり、又は、コーテイングして、特定方向の感度を他の方向と異なるようにしてもよい。
【0046】
この発明の第11実施例を図35〜図37により説明するが、図1〜図8と同一面符号はその名称も機能も同一である。
この実施例と第1実施例との相違は、デフレクタ40が、円形の変わりに、長方形である点である。
【0047】
このデフレクタ40の短辺40Sは、例えば、感熱翼18aの短辺18Sとほぼ等しく、又、その長辺40Lは、前記感熱翼18aの長辺18Lよりも長く、例えば、約2倍、である。前記両者40,18の長辺40L、18Lは直交しており、その重心Pは、それぞれヘッド本体1の中心軸C上に位置している。
【0048】
図37に示す様に、調理室Rを2つの長方形部屋R1,R2に等分割し、各長方形部屋R1,R2の中央部上方にそれぞれ閉鎖型スプリンクラヘッドSPを配設する。この時、前記感熱翼18aの一方の長辺18Lは、ガスコンロG側を向いており、又、デフレクタ40の一方の短辺40Sは、ガスコンロG側を向き、その長辺40Lは前記感熱翼18aの長辺18Lと直交している。
【0049】
感熱板18の感熱翼18aは、長方形部屋R1,R2の火災監視を行っているが、長方形に形成されているので、その火災監視領域18Kは、長方形部屋R1,R2と同形の長方形である。又、デフレクタ40は、長方形なので、その散水領域40Wは長方形である。この火災監視領域18Kと散水領域40Wは、同形であり、長方形部屋R1,R2の形状と一致している。
【0050】
この火災監視領域18Kと散水領域40Wの形状が一致するということについて、より詳細に説明する。
まず、感熱板18は、今まで説明したように、可溶合金までの距離及び熱気流との接触面積の大きさから、長辺18L側が短辺18S側よりも感度が高く火災を早期に検知できる。このことをいい換えると、長辺18L側の方がより遠方の火災を検知することが可能であり、逆に、短辺18S側では、ヘッド近傍の火災しか検知できない。このため、この様な矩形の感熱板18の長辺18L側が長く、短辺18S側が短い長方形状のエリアとなる。
【0051】
続いて、矩形のデフレクタ40について説明する。
放水口から放水された水は、デフレクタ40上に沿って放水される。この短辺40S方向に向って流れる水は、デフレクタ40上を流れる距離が長いため、火災が発生すると、感熱翼18aのガスコンロG側の長辺18Lが長いことから、より遠方まで放水され、逆に長辺40L方向に向って流れる水は、デフレクタ40上を流れる距離は短いので、近傍にしか散水できない。このため、デフレクタ40による散水領域40Wは、デフレクタ40の短辺40s側が長く、長辺40L側が短い長方形状のエリアとなる。即ち、感熱板18の長辺とデフレクタ40の長辺とが直交するように設けることで、その火災監視領域18Kと散水領域40Wはほぼ同じ形状となり、一致する。
【0052】
ガスコンロG近傍で火災が発生すると、感熱板18aのガスコンロG側の長辺18Lが感熱し、可溶合金を溶融させる。そうすると、該スプリンクライヘッドの放水口が開き、消火水がデフレクタ40により分散されながら散水領域40Wに散布される。
【0053】
この時、このデフレクタ40の散水領域40Wは、長方形部屋R1,R2と同形の長方形なので、消火水は該部屋R1、R2だけに満遍なく散布される。従って、従来例のような円形散水領域と異なり、隣接する消火領域の一部を重ねなくても、自己の担当する散水領域に満遍なく散水することができるので、消火水の無駄使いを防止することができる。
【0054】
本実施の形態においては、同じ形状の2枚の感熱翼を備えた感熱板を用いて説明したが、感熱翼は1枚又は3枚以上であってもかまわない。また、2枚の感熱翼は異なる形状のものを使用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本件発明の第1実施例を示す正面図である。
【図2】本件発明の第1実施例を示す底面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】開弁状態を示す縦断面図である。
【図5】感熱翼の平面図である。
【図6】図5のVI−VI線断面図である。
【図7】図5のVII−VII線断面図である。
【図8】スプリンクラヘッドの配置を示す図である。
【図9】本件発明の第2実施例を示す平面図である。
【図10】図9のX−X線断面図である。
【図11】本件発明の第3実施例を示す正面図である。
【図12】本件発明の第3実施例を示す底面図である。
【図13】本件発明の第3実施例の感熱翼を示す正面図である。
【図14】図13のXIII− XIII線断面図である。
【図15】本件発明の第4実施例を示す平面図である。
【図16】図15のXVI− XVI線断面図である。
【図17】本件発明の第5実施例を示す平面図である。
【図18】図17のXVIII− XVIII線断面図である。
【図19】図17のXIX−XIX線断面図である。
【図20】図19のXX−XX線断面図である。
【図21】本件発明の第6実施例を示す平面図である。
【図22】図21のXXII−XXII線断面図である。
【図23】図21のXXIII−XXIII線断面図である。
【図24】図23のXXIV−XXIV線断面図である。
【図25】本件発明の第7実施例を示す正面図である。
【図26】本件発明の第7実施例を示す底面図である。
【図27】感熱翼の平面図である。
【図28】図27のXXVIII−XXVIII線断面図である。
【図29】図27のXXIX−XXIX線断面図である。
【図30】本件発明の第8実施例を示す正面図である。
【図31】図30のXXXI−XXXI線断面図である。
【図32】図31のXXXII−XXXII線断面図である。
【図33】本件発明の第9実施例を示す縦断面図である。
【図34】本件発明の第10実施例を示す縦断面図である。
【図35】本件発明の第11実施例を示す平面図である。
【図36】本件発明の第11実施例を示す正面図である。
【図37】スプリンクラヘッドの配置を示す平面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 ヘッド本体
5 弁体
8 デフレクタ
18 感熱板
18a 感熱翼
18L 長辺
18S 短辺
19 有底筒体
30 規制部
SP 閉鎖型スプリンクラヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプリンクラヘッドの下方に、感熱体を収容した感熱板が取付けられる閉鎖型スプリンクラヘッドにおいて;
該感熱板の形状を多角形、又は、楕円形にしたことを特徴とする閉鎖型スプリンクラヘッド。
【請求項2】
スプリンクラヘッドの下方に、感熱体を収容した感熱板が取付けられる閉鎖型スプリンクラヘッドにおいて;
該感熱板の重心をヘッド本体の中心軸からずらして取り付けたことを特徴とする閉鎖型スプリンクラヘッド。
【請求項3】
スプリンクラヘッドの下方に、感熱体を収容した感熱板が取付けられる閉鎖型スプリンクラヘッドにおいて;
該感熱板の一部に、前記感熱体へ伝わる熱の流れを遮断する断熱手段を設けたことを特徴とする閉鎖型スプリンクラヘッド。
【請求項4】
スプリンクラヘッドの下方に、感熱体を収容した感熱板が取付けられる閉鎖型スプリンクラヘッドにおいて;
前記感熱板及び消火水を分散せしめるデフレクタを、それぞれ長方形に形成すると共に、前記感熱板の長辺とデフレクタの長辺とが直交する様に設けたことを特徴とする閉鎖型スプリンクラヘッド。
【請求項5】
感熱板とデフレクタの重心が、ヘッド本体の中心軸上に位置し、前記感熱板の長方形状の火災監視領域と前記デフレクタの長方形状の散水領域とが一致することを特徴とする請求項4記載の閉鎖型スプリンクラヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2006−239007(P2006−239007A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−56145(P2005−56145)
【出願日】平成17年3月1日(2005.3.1)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】