説明

閉鎖膜付きチューブ容器およびその容器に内容物が充填されたチューブ

【課題】エアーバックが少なく、構成が簡単な閉鎖膜付きチューブ容器およびそれを用いたチューブを提供する。
【解決手段】キャップ9の針体10で穿孔される閉鎖膜5を有する口部2と、筒状の胴部8とを備えた閉鎖膜チューブ容器1において、前記胴部8がアルミニウム層を有し、そのアルミニウム層の肉厚が50μm以下であり、前記キャップ9の針体10の直径及びその針体10によって穿孔される閉鎖膜5の孔の直径が2mm以下であることを特徴とする閉鎖膜付きチューブ容器1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閉鎖膜付きチューブ容器に関し、さらに詳しくはチューブ容器のエアーバックを少なくした閉鎖膜付きチューブ容器およびその容器に内容物が充填されたチューブに関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開平9−202338号
【0003】
従来、クリーム、軟膏等の薬剤等の内容物を充填する一般的なチューブ容器として、図8に示すような合成樹脂あるいはラミネート材からなるチューブ容器50がある。このチューブ容器50は、内容物51を押し出した後、直ちにチューブ容器50の復元力により、エアー52がチューブ容器50内に流入(エアーバック)するため、エアーバックしたエアー52と内容物51が混合し、内容物が劣化するという問題があった。
【0004】
そこで、図9に示すような逆流防止弁付きチューブ容器がある。図中の符号100は容器本体であり、この容器本体100の口部101には、逆流防止弁102が嵌合されている。そして、この逆流防止弁102の球体収納部103内には、球体106が内装され、球体106は、上部の玉止部109と、下部104に形成された突起部108の間を、上下動自在に動く。この容器本体100の口部101には、キャップ107が螺合されることにより、容器本体100の口部101の開口が閉鎖されている。
【0005】
図10に示す逆流防止弁202は、同様に容器本体200の口部201内に、筒部203が嵌合されている。この筒部203の下方には、半径方向中心に向かって突出する底部204と、この底部204と幅の狭い連結部によって一体的に連結されている舌状弁体206が形成されている。そして、これらの容器本体100、200の口部101、201には、通常のキャップ107、207が螺合されている。
【0006】
これらの逆流防止弁が嵌合されたチューブ容器100、200内に、内容物が充填された後、チューブ容器100、200の胴部を押圧すると、球体106又は舌片状弁206を押し上げて、内容物が外部に吐出される。チューブ容器100、200の胴部の押圧を止めると、チューブ容器100、200の胴部の復元力により、球体収納部103又は筒部203内に残留する内容物は、チューブ容器100、200内に引き戻されると同時に、外気を吸い込もうとするが、球体106又は舌片状弁206が、弁孔105、205を塞ぐことにより、一旦球体106又は舌片状弁206より上に注出した内容物が、容器本体100、200内へ逆流するのが防止されると共に、容器本体内100、200内へのエアーバックが防止される。このような逆流防止弁200の文献としては特許文献1がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の閉鎖膜付きチューブ容器にあっては、以下に示す問題があった。
(1)消費者がチューブ容器内の内容物を使用するまでは、エアーに触れないように流通、陳列等の販売段階に置かれるが、閉鎖膜を破り、開封後に内容物を押し出して使用した後は、胴部が弾力的に復元しやすく、また針体で形成した穴径が2.0〜8.0mmと大きいため、エアーがチューブ容器内にエアーバックし、内容物と混合しやすい。そのため、短期間に内容物が劣化する。
(2)逆流防止弁を口部に設けたものは、エアーバックを抑制できるが、製造コストが高くなると共に口部の構造が複雑になる。
【0008】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであり、逆流防止弁を用いることなく、内容物の押出した後、直ちにチューブ容器内にエアーバックするエアーを著しく少なくした、構造が簡単で、製造コストが安価である、開封後の内容物の保存性に優れた閉鎖膜付きチューブ容器およびその容器に内容物が充填されたチューブを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決するため、請求項1記載の発明の解決手段は、キャップの針体で穿孔される閉鎖膜を有する口部と、筒状の胴部とを備えた閉鎖膜チューブ容器において、前記胴部がアルミニウム層を有し、そのアルミニウム層の肉厚が50μm以下であり、前記キャップの針体の直径およびその針体によって穿孔される閉鎖膜の孔の直径が2mm以下であることを特徴とする、閉鎖膜付きチューブ容器である。
【0010】
請求項2記載の発明の解決手段は、前記チューブ本体の胴部のアルミニウム層に代えて、ガスバリア性樹脂層を設けたことを特徴とする、閉鎖膜付きチューブ容器である。
【0011】
請求項3記載の発明の解決手段は、前記いずれかの閉鎖膜付きチューブ容器であって、前記閉鎖膜で閉じられる吐出口の径が閉鎖膜に穿孔された孔より大きく、それにより吐出口内に液溜まり部が形成されており、その液溜まり部の直径が2mm以上で、長さが4mm以上であることを特徴とする閉鎖膜付きチューブ容器である。
【0012】
請求項4の発明の解決手段は、前記いずれかの閉鎖膜付きチューブ容器であって、前記チューブ容器に充填される内容物の粘度が、100〜10000mPa・sであることを特徴とする閉鎖膜付きチューブ容器である。
【0013】
請求項5の発明の解決手段は、前述の閉鎖膜付きチューブ容器と、そのチューブ容器に充填される内容物とからなるチューブである。
【0014】
請求項6の発明の解決手段は、前記内容物が薬効成分を含むものであるチューブである。
【0015】
請求項7の発明の解決手段は、前記内容物の薬効成分が抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、鎮痒剤、抗真菌剤、角質軟化剤、収斂・皮膚保護剤、局所麻酔剤及び保湿剤からなる群より選ばれる1種以上であるチューブである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、閉鎖膜に針体によって形成された孔が吐出口よりかなり小さいため、内容物を押出した後、吐出口内に残る内容物がチューブ容器内に戻りにくい。そのため、チューブ容器内にエアーバックするエアーの量を著しく減少することができ、内容物の保存性に優れる効果を有する。又、逆流防止弁を用いなくてもよいので、構造が簡単で、製造コストが安価である効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
つぎに本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。図1は本発明の第1の実施の形態を示す要部正面断面図、図2は図1のX部拡大断面図、図3は本発明の第2の実施の形態を示す胴部層構造の拡大断面図、図4は本発明の第3の実施の形態を示す胴部層構造を示す拡大断面図、図5は本発明の第4の実施の形態を示す要部正面断面図、図6は本発明の第5の実施の形態を示す要部正面断面図、図7は図6のY部拡大断面図である。
【0018】
図1に本発明の第1の実施の形態の閉鎖膜付きチューブ容器(あるいは内容物が充填されたチューブ)を示す。図中の符号1はチューブ容器である。そのチューブ容器1は先端部に円筒状の口部2を有している。その口部2の上部には、口上部3が設けられており、その口上部3の内部には、内容物を一時的に溜めるための液溜まりを兼ねる吐出口4が形成されている。その吐出口4の下端は閉鎖膜5によって塞がれている。前記口部2の下方には、円錐台状のショルダー部6、7が設けられ、そのショルダー部6、7の下端から下に円筒状の胴部8が延びている。
【0019】
前記閉鎖膜5は、アルミニウム箔又はガスバリア性の樹脂等で構成され、口部2の上端の開口を閉じると共に、口部2およびショルダー部6、7の範囲では、その表面又は裏面に単層又は多層の樹脂層が積層されている。すなわち、その範囲では、閉鎖膜5は内面側の内ショルダー6と外面側のチューブショルダー7によって挟着された形態となっている。チューブショルダー7の樹脂層は、閉鎖膜5の上面を覆い、口上部3を構成している。
【0020】
前記閉鎖膜付チューブ容器に充填される内容物としては、例えば、液剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲルクリーム剤やゲル剤等が挙げられる。液剤、クリーム剤、ゲルクリーム剤及びゲル剤は、通常、アルコール、ゲル化剤、油分、水、及び界面活性剤等を含有する。
【0021】
アルコールは、好ましくは低級アルコール、より好ましくは炭素数1〜3のアルコールが挙げられる。炭素数1〜3のアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール等が挙げられる。ゲル化剤は、例えば、カルボキシビニルポリマー等のアクリル酸系高分子、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース系高分子やポリビニルアルコール等が挙げられる。油分は、例えば、スクワラン、流動パラフィン等の炭化水素類や、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル及びミリスチン酸オクチルドデシル等のエステル類等が挙げられる。
【0022】
界面活性剤としては、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤が挙げられ、好ましくは非イオン性界面活性剤である。非イオン性界面活性剤の具体例としては、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、エチレングリコールモノ脂肪酸エステル、グリセリンモノ脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、メチルグルコシド脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド等の多価アルコール脂肪酸エステル又は多価アルコールアルキルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール、ポリオキシエチレンフィトスタノール、ポリオキシエチレンコレステロール、ポリオキシエチレンコレスタノール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリオキシエチレンエーテル;ポリオキシエチレンモノ脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールジ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンメチルグルコシド脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン植物油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等のエーテルエステル等が挙げられ、特にグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが好ましい。非イオン性界面活性剤のHLBは2〜18が好ましく、特に3〜17が好ましい。例えば、グリセリン脂肪酸エステルのHLBが3〜10が好ましく、特に4〜8が好ましい。ソルビタン脂肪酸エステルのHLBが2〜10が好ましく、特に3〜6が好ましい。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのHLBが9〜18が好ましく、特に14〜17が好ましい。
【0023】
液剤における、アルコールの含有量は、全量に対して通常25〜60質量%、好ましくは30〜55質量%である。ゲル化剤の含有量は、全量に対して通常0〜5質量%、より好ましくは0.05〜5質量%である。油分の含有量は、全量に対して通常0〜10質量%、より好ましくは1〜8質量%である。界面活性剤の含有量は、全量に対して通常0〜10質量%、より好ましくは0〜5質量%である。水の含有量は、全量に対して通常20〜60質量%、より好ましくは30〜50質量%である。
【0024】
クリーム剤における、アルコールの含有量は、全量に対して通常0〜25質量%、好ましくは0〜10質量%である。ゲル化剤の含有量は、全量に対して通常0〜5質量%、より好ましくは0.05〜2質量%である。油分の含有量は、全量に対して通常5〜30質量%、より好ましくは7〜30質量%である。界面活性剤の含有量は、全量に対して通常0.01〜10質量%、より好ましくは0.05〜5質量%である。水の含有量は、全量に対して通常20〜90質量%、より好ましくは40〜80質量%である。
【0025】
ゲルクリーム剤における、アルコールの含有量は、全量に対して通常25〜60質量%、好ましくは30〜50質量%、特に好ましくは30〜40質量%である。ゲル化剤の含有量は、全量に対して通常0.01〜5質量%、より好ましくは0.05〜5質量%、特に好ましくは0.5〜2.5質量%である。油分の含有量は、全量に対して通常5〜30質量%、より好ましくは7〜30質量%、特に好ましくは7〜20質量%である。界面活性剤の含有量は、全量に対して通常0.01〜10質量%、より好ましくは0.05〜5質量%、特に好ましくは0.1〜5質量%である。水の含有量は、全量に対して通常20〜60質量%、より好ましくは30〜50質量%、特に好ましくは40〜50質量%である。
【0026】
ゲル剤における、アルコールの含有量は、全量に対して通常25〜60質量%、より好ましくは30〜50質量%である。ゲル化剤の含有量は、全量に対して通常0.01〜5質量%、好ましくは0.05〜5質量%である。油分の含有量は、全量に対して通常0〜10質量%、より好ましくは1〜8質量%である。界面活性剤の含有量は、全量に対して通常0〜10質量%、より好ましくは0〜5質量%である。水の含有量は、全量に対して通常20〜60質量%、より好ましくは30〜50質量%である。
【0027】
前記チューブ容器に充填される内容物には、薬効成分や各種任意成分(例えば、pH調節剤、保存剤、安定化剤及び湿潤剤等)を所望に応じて含有させることが可能である。
薬効成分としては特に限定されるものではなく、例えば、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、鎮痒剤、抗真菌剤、角質軟化剤、収斂・皮膚保護剤、局所麻酔剤、保湿剤等が挙げられ、これら薬効成分は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
抗ヒスタミン剤としては、例えば、ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、ラウリル硫酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸イソチペジル等が挙げられる。
【0028】
抗炎症剤としては、例えば、酢酸ヒドロコルチゾン、酢酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、吉草酸酢酸プレドニゾロン、ジフルプレドナート、吉草酸酢酸ジフルコルトロン、フルオシノロンアセトニド、フルドキシコルチド、フルオシノニド、ハルシノニド、アムシノニド、ピバル酸フルメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、吉草酸デキサメタゾン、プロピオン酸デキサメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、プロピオン酸ベクロメタゾン、酪酸クロベタゾン、プロピオン酸クロベタゾール、酢酸ジフロラゾン、酪酸プロピオン酸ベタメタゾン、ブフェキサマック、ベンダザック、フルフェナム酸ブチル等のステロイド系抗炎症剤、テノキシカム、インドメタシン、ジクロフェナクナトリウム、フルフェナム酸、ブフェキサマック、ザルトプロフェン、ナプロキセン、イブプロフェン、フルルビプロフェン、ケトチフェン、フルルビプロフェンアキセチル、フェンブフェン、ロキソプロフェンナトリウム、フェルビナク、メフェナム酸、ピロキシカム、アンピロキシカム等の非ステロイド系抗炎症剤が挙げられる。
【0029】
鎮痒剤としては、例えば、クロタミトン、サリチル酸メチル等が挙げられる。
抗真菌剤としては、例えば、硝酸ミコナゾール、ビフォナゾール、塩酸クロコナゾール、クロトリマゾール、硝酸エコナゾール、硝酸イソコナゾール、硝酸オキシコナゾール、硝酸スルコナゾール、ケトコナゾール、塩酸ネチコナゾール、ナイスタチン、ピマリシン、シッカニン、トリコマイシン、バリオチン、トルシクラート、トルナフテート、塩酸ブテナフィン、テルビナフィン、複合ウンデシレン酸、シクロピロクスオラミン、エキサラミド、ハロプロジン、フェニルヨードウンデシレン酸等が挙げられる。
角質軟化剤としては、例えば、サリチル酸、尿素等が挙げられる。
収斂・皮膚保護剤としては、例えば、グアイアズレン、ポビドンヨード、ヘパリン類似物質等が挙げられる。
【0030】
局所麻酔剤としては、例えば、アミノ安息香酸エステル、塩酸オキシブプロカイン、塩酸ジブカイン、塩酸テトラカイン、塩酸パラブチルアミノ安息香酸ジエチルアミノエチル、塩酸ブピバカイン、塩酸プロカイン、塩酸メビバカイン、塩酸ロピバカイン水和物、オキセサゼイン、ピペリジノアセチルアミノ安息香酸エチル、リドカイン、塩酸リドカイン等が挙げられる。
保湿剤としては、例えば、尿素、ヘパリン類似物質、ピロリドンカルボン酸、コラーゲン、γ−オリザノール、γ−リノレイン酸、リノール酸、ビタミンE、ビタミンD、ビタミンA、スクワレン、スクワラン、グリセリン、ポリエチレングリコール、コレステロール、トリグリセリド、セラミド等が挙げられる。
【0031】
pH調節剤としては、クエン酸、リン酸、酒石酸、乳酸等の有機酸、塩酸等の無機酸、水酸化ナトリウム等の水酸化アルカリ金属、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のアミン類等が挙げられる。
保存剤としては、バラオキシ安息香酸エステル類、塩化ベンザルコニウム等が挙げられる。
安定化剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エデト酸塩等が挙げられる。
また、湿潤剤としては、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、オレイルアルコール、1,3−ブチレングリコール、イソプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコールが挙げられる。
なお、液剤、軟膏剤、クリーム剤、クリームゲル剤やゲル剤等の前記チューブ容器に充填される内容物は、公知の方法(例えば、第十五改正日本薬局方 製剤総則等)にしたがって、製造することができる。
【0032】
図1の第1実施の形態のチューブ容器1の胴部8は、チューブショルダー7の下端部の上面に、原反を丸めて巻き付けて溶着されることにより造られる。胴部8を構成する原反は、図2に示すように、内部にアルミニウム箔11からなる中間層(ガスバリア層)を有し、両面を樹脂層12で挟着して構成されるラミネートの原反である。アルミニウム箔11の両側の樹脂層12としては、例えば、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂等のポリエチレン樹脂、エチレンメタクリ酸コポリマー樹脂、複合ナイロン樹脂又はポリエチレンテレフタレート樹脂等から選ばれて構成される多層の樹脂層12が適するが、ポリエチレン樹脂の単層であってもよい。
【0033】
この胴部8のアルミニウム箔11の肉厚(図2に示す寸法t)を50μm以下、好ましくは10〜35μmにすることにより、胴部8が軟らかくなり、胴部8の復元力を低減させることができるので、エアバックを減少できる。なお、10μm未満では、強度が不充分である。又これと併せて、図5に示すように、キャップ9の針体10の直径及び穿孔される閉鎖膜5の孔5aの直径(寸法a)を2mm以下、好ましくは0.8〜1.5mmにすると、内容物を押出した直後に、チューブ容器1内にエアーが入り難いので、エアーバックを減少することができる。1.5mm以下にすると、一層エアーが入りにくくなる。0.8mm未満では、内容物を押し出しにくくなる。また、吐出口4の内径と閉鎖膜5の孔の径の差は0.3〜8.0mm程度が好ましい。図1の第1の実施形態では、針体10の先端が円錐状で、先端近辺の径は根本部の径より細い。
【0034】
従来は、チューブ容器1の内容物を押し出した後、直ちにチューブ容器1内にエアーが多量に流入したが、胴部8のアルミニウム箔11の肉厚を薄く、かつ閉鎖膜5の穿孔される孔5aの直径(寸法a)を小さく限定することで、全体として、スクイズ(押し出し)直後のエアーバック量を減少させることができた。
【0035】
図3は、本発明の第2の実施の形態を示すもので、この実施の形態では、第1の実施の形態における胴部のアルミニウム層に代えて、ガスバリア性樹脂層であるポリエチレンテレフタレート樹脂層21を中間層(ガスバリア層)として採用する。なお、ガスバリア性樹脂層としては、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エチレンビニルアルコール共重合樹脂を用いることもできる。また、ポリエチレンテレフタレート樹脂層21の両側の樹脂層22の層構成については、第1の実施の形態と同様である。本実施の形態においては、胴部18のポリエチレンテレフタレート層21の肉厚を、第1の実施の形態と同様に、50μm以下、好ましくは9〜12μmにすると共に、閉鎖膜5の孔5aの径を2mm以下、好ましくは0.8〜1.5mmにすることにより、胴部18の復元力を低減すると共に、チューブ容器1内に流入するエアーの量を減少することができ、内容物を押し出した直後のエアーバック量を著しく減少させることができた。
【0036】
図4は、本発明の第3の実施の形態を示すもので、第1の実施の形態における胴部のアルミニウム層に代えて、ガスバリア性樹脂層であるナイロン樹脂層31を採用する。ナイロン樹脂層31の両側の樹脂層32の層構成については、第1の実施の形態と同様である。本実施の形態においては、第2の実施の形態と同様に、胴部28のナイロン樹脂層31の肉厚を50μm以下、好ましくは10〜25μmにすると共に、閉鎖膜5の孔5aの直径(寸法a)を2mm以下、好ましくは0.8〜1.5mmにすることにより、胴部28の復元力を低減すると共に、チューブ容器1内に流入するエアーの量を減少することができ、内容物を押し出した直後のエアーバック量を著しく減少させることができた。
【0037】
図5は、本発明の第4の実施形態を示すもので、チューブ容器1の閉鎖膜5の口上部3に形成された吐出口4の内径(寸法b)を針体で穿孔される閉鎖膜5の孔5aの径より大きくすることにより、吐出口4を液溜まりとして機能させている。吐出口の内径は2mm以上、好ましくは2〜3mmとし、長さCを4mm以上、好ましくは4〜10mmとしている。又チューブ容器1に充填される内容物の粘度を、100〜10000mPa・s(B型粘度計、ロータNo.4、回転数60rpm、25℃)にすることで、内容物を押し出した直後のエアーバックを著しく減少させることができる。そして、(1)胴部のアルミニウム層又はガスバリア性樹脂層の肉厚を50μm以下とし、(2)穿孔される閉鎖膜の孔の直径を2mm以下にし、(3)口上部の液溜まり部の直径(寸法b)を2mm以上に形成し、かつ液溜まり部4の寸法Cを4mm以上にし、(4)チューブ容器1内に充填される内容物の粘度を、100〜10000mPa・sの内容物とする場合において、内容物が液溜まり部4に経時的に長く溜まり、内容物が直ちにチューブ容器1内に戻らない。したがって、エアーが直ちにチューブ容器1内にエアーバックするのを一層顕著に防止できる。すなわち、本発明の第1〜3の実施の形態3と、本実施の形態とを組み合わせた発明が、最も効果的にエアーバックを防止できた。
【0038】
図6は、第5の実施の形態を示すもので、チューブショルダー37の直下付近、すなわち胴部38の上端位置に、肉厚の薄い、薄肉部39が形成され、その下方に厚肉部40が形成されている。図7に示すように、薄肉部39は、外周壁又は内周壁のいずれかに段差(寸法S)を設けて形成されればよい。第5の実施形態によれば、チューブショルダー37の直下付近の胴部38を、チューブショルダー37内に容易に折り畳むことが可能になり、胴部38及びチューブショルダー37近傍の内容物を完全に絞り出すことが可能となる。この実施例5においても、上記第1の実施形態から第4の実施形態4までを組み合わせた場合、効果的にエアーバックを防止できることができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、開封前において、閉鎖膜により、外部からのエアーの進入を完全に防止できるだけでなく、開封直後においても、エアーバックを防止することができるので、流通、販売過程のみならず、使用後もエアーバックによる内容物の劣化を、極力防止することができる。したがって、本発明に係るチューブ容器は、医薬品、食品等を充填するのに広く適し、多岐にわたって利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は本発明の第1の実施の形態を示す要部正面断面図である。
【図2】図2は図1のX部拡大断面図である。
【図3】図3は本発明の第2の実施の形態を示す胴部層構造の拡大断面図である。
【図4】図4は本発明の第3の実施の形態を示す胴部層構造を示す拡大断面図である。
【図5】図5は本発明の第4の実施の形態を示す要部正面断面図である。
【図6】図6は本発明の第5の実施の形態を示す要部正面断面図である。
【図7】図7は図6のY部拡大断面図である。
【図8】エアーバックする状態を示す、従来のチューブ容器を示す正面図である。
【図9】従来の逆流防止弁付きチューブ容器を示す断面図である。
【図10】従来の逆流防止弁付きチューブ容器を示す断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 チューブ容器
3 口上部
4 吐出口(液溜まり部)
5 閉鎖膜
5a 孔
8、18、28、38 胴部
9 キャップ
10 針体
11 アルミニウム層
15 内容物
21 ガスバリア性樹脂層(ポリエチレンテレフタレート)
31 ガスバリア性樹脂層(ナイロン)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップの針体で穿孔される閉鎖膜を有する口部と、筒状の胴部とを備えた閉鎖膜チューブ容器において、
前記胴部がアルミニウム層を有し、そのアルミニウム層の肉厚が50μm以下であり、
前記キャップの針体の直径及びその針体によって穿孔される閉鎖膜の孔の直径が2mm以下であることを特徴とする、閉鎖膜付きチューブ容器。
【請求項2】
前記胴部のアルミニウム層に代えて、ガスバリア性樹脂層を設けたことを特徴とする、請求項1記載の閉鎖膜付きチューブ容器。
【請求項3】
前記閉鎖膜で閉じられる吐出口の径が閉鎖膜に穿孔された孔より大きく、それにより吐出口内に液溜まり部が形成されており、
その液溜まり部の直径が2mm以上で、長さが4mm以上であることを特徴とする、請求項1又は2記載の閉鎖膜付きチューブ容器。
【請求項4】
前記チューブ容器に充填される内容物の粘度が、100〜10000mPa・sであることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の閉鎖膜付きチューブ容器。
【請求項5】
請求項1、2、3あるいは4の閉鎖膜付きチューブ容器と、そのチューブ容器に充填される内容物とからなるチューブ。
【請求項6】
前記内容物が薬効成分を含むものである請求項5記載のチューブ。
【請求項7】
前記内容物の薬効成分が抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、鎮痒剤、抗真菌剤、角質軟化剤、収斂・皮膚保護剤、局所麻酔剤及び保湿剤からなる群より選ばれる1種以上である請求項6記載のチューブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−196671(P2009−196671A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−40538(P2008−40538)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(000238614)武内プレス工業株式会社 (72)
【出願人】(000163006)興和株式会社 (618)
【Fターム(参考)】