説明

開口部調節機能付きサーバラック

【課題】
サーバ機器を搭載するサーバラックにおいて、サーバラック内の温度調節を安価に行うことができるサーバラックを提供することにある。
【解決手段】
サーバラック100内に具備した温度センサー101および騒音センサー102が検知する温度や騒音の情報をもとに、ドア開閉制御部203は、フロントドア103、リアドア104の開口機構部201、202を開閉移動させることで、サーバラック100内の温度調節を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバラックに関し、特に、ラック内部に具備された温度センサー、騒音センサーの情報からフロントドア、リアドアの開口部面積を変化させることを可能としたサーバラックに関する。
【背景技術】
【0002】
サーバラックの温度調節における背景技術として、特許文献1および特許文献2がある。
【0003】
【特許文献1】特開2003−233883
【特許文献2】特開2004−309007
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の各背景技術の方法では、専用の温度調節用機器を搭載する必要があり、機器の価格や維持コストが高くなってしまうという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、サーバ機器を搭載するラックにおいて、ラック内の温度調節ができるサーバラックを安価に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、サーバラックに内部温度を検知するセンサー、騒音値を検知するセンサーおよび開口部面積を変化させることができるフロントドア、リアドアを具備することにより実現できる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ラック内に具備した温度センサー、騒音センサーの情報からフロントドア、リアドアの開口部を変化させることでラック内の温度調節ができるサーバラックを安価に実現することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の一実施形態について各図を用いて説明する。
【0009】
図1、図2は本発明の構成である。サーバラック100は、温度センサー101および騒音センサー102をラック内に配置する。図1に示すように、温度センサー101および騒音センサー102は、ラック内の温度差、騒音差を考慮し、サーバラックの各隅8個に配置するものとする。また、開口部面積を変化させることのできるフロントドア103およびリアドア104を、サーバラック100の前面と背面に配置する。なお、現在のサーバ機器のほとんどは、前面吸気、後面排気となっているため、本実施形態では、サイドパネル105には開口部面積が変更できないものとしてあるが、必要に応じて、サイドパネル105にも、フロントドア103と同様に、開口部面積を変化させることができる構成を採用しても良い。
【0010】
サーバラック100は、図2に示すように、フロントドア103およびリアドア104の開閉動作を行うフロントドア開閉機構部201、リアドア開閉機構部202を備える。ドア開閉制御部203は、フロントドア開閉機構部201、リアドア開閉機構部202を制御するものとし、事前に各センサーに対して設定された温度および騒音値の設定値により、フロントドア103およびリアドア104開閉動作を行うものとする。ドア開閉制御部203は、これら温度および騒音値の基準値(上限値及び下限値)を、ドア開閉制御部203内の記憶部(図示せず)に予め記憶しておく構成とする。また、これらの情報を管理サーバ等に送信するための通信制御部204が備えられている。
【0011】
図3は、サーバラック100の具体的な処理フローを示す。まず、各センサーに対して開閉を行う基準値を設定する(ステップ11)。具体的には、温度センサー101の上限値および下限値を設定する。この上限値とはこの温度を超えたら必ず開口部を開けるとする設定値であり、下限値とはこの温度を下回ったら必ず開口部を閉めるとする設定値である。なお、この基準値は、オペレータによって、サーバ外部から入力装置(図示せず)によって入力される。
【0012】
次に、騒音センサー102に開閉の基準値を設定する(ステップ12)。サーバ機器の安定稼動を最優先するため、この騒音設定値は、ラック内温度が上記の上限値と下限値の間にある場合にのみ有効とする。この騒音設定値は、基準値を超えたら開口部を閉め、下回ったら開口部を開けるとする設定値である。
【0013】
上記の各設定値が設定された後、ドア開閉制御部203は、温度センサー101が検知した温度が上限値を超えていないか確認し(ステップ14)、上限値を超えていた場合は(ステップ11:Yes)、ドア開閉制御部203は、フロントドア103、リアドア104の開口部を開ける(ステップ15)。ステップ14において、上限値を超えていない場合は(ステップ11:Yes)、ドア開閉制御部203は、次に温度センサー101検知した温度が下限値を下回っていないかを確認し(ステップ16)、下限値を下回っている場合は(ステップ16:Yes)、ドア開閉制御部203は、フロントドア103、リアドア104の開口部を閉める(ステップ17)。
【0014】
ステップ16において、温度センサー101が検知した温度が下限値を下回っていない場合(ステップ16:No)、つまり温度センサー101が検知した温度が上限値と下限値の間である場合には、ドア開閉制御部203は、騒音センサー102が検知した値を確認し(ステップ18)、基準値を超えている場合は(ステップ18:Yes)、ドア開閉制御部203は、フロントドア103、リアドア104の開口部を閉める。ステップ18において、基準値を超えていない場合は(ステップ18:No)、ドア開閉制御部203は、サーバラック100のフロントドアおよびリアドアの現在の開閉状態を維持する(ステップ19)。
【0015】
図4は、フロンドドアおよびリアドアの開閉例である。以降、フロントドアを例にとって説明すると、図4(a)は、フロントドア開閉機構部201が、フロントドア面と平行に移動してフロントドア103が開閉する構成である。図4(b)は、フロントドア開閉機構部201が、フロントドア面と垂直に移動してフロントドア103が開閉する構成である。図4(c)は、フロントドア開閉機構部201が、フロントドア面に対して回転移動してフロントドア103が開閉する構成である。
【0016】
以上により、ラック内に具備した温度センサー、騒音センサーの情報からフロントドア、リアドア、サイドパネルの開口部を変化させることでラック内の温度調節ができるサーバラックを安価に実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例の機器構成概略図
【図2】実施例の機器構成ブロック図
【図3】実施例の運用フローチャート
【図4】実施例のフロンドドアおよびリアドアの開閉例
【符号の説明】
【0018】
100・・・サーバラック
101・・・温度センサー
102・・・騒音センサー
103・・・フロントドア
104・・・リアドア
105・・・サイドパネル
201・・・フロントドア開閉機構部
202・・・リアドア開閉機構部
203・・・ドア開閉制御部
204・・・通信制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバを搭載するサーバラックにおいて、
前記サーバラック内の温度を検知する温度センサーと、
前記サーバラック内の温度の上限値および下限値を記憶するドア開閉制御部と、
前記サーバラックを覆うフロントドアおよびリアドアと、
前記フロントドアを開閉するフロントドア開閉機構部と、
前記リアドアを開閉するリアドア開閉機構部とを備え、
前記ドア開閉制御部は、前記温度センサーが検知した温度が前記記憶した上限値を超えているか否かを判断し、上限値を超えた場合は、前記フロントドア開閉機構部またはリアドア開閉機構部を制御して、前記フロントドアまたはリアドアを開閉することを特徴とするサーバラック。
【請求項2】
前記サーバラックはさらに、
前記サーバラック内の音量を検知する騒音センサーとを備え、
前記ドア開閉制御部は、前記サーバラック内の音量の上限値および下限値を記憶し、
前記ドア開閉制御部は、前記温度センサーが検知した温度が前記記憶した上限値と下限値の間である場合は、前記騒音センサーが検知した音量が前記記憶した上限値または下限値を超えているか否かを判断し、超えていない場合は、前記フロントドア開閉機構部またはリアドア開閉機構部を制御して、前記フロントドアまたはリアドアを開閉することを特徴とする請求項1記載のサーバラック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−97163(P2008−97163A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−275939(P2006−275939)
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】