説明

開封機能付き紙容器

【課題】容器本体とその胴部外側に貼着される外装体から構成され、外装体を容器本体から剥ぎ取ることの出来る容器において、予定された開口部に合わせて確実に開封を行うことの出来る開封機能付き紙容器を提供すること。
【解決手段】開封開始部から容器本体の開口部に向かって開封方向に順次設けられている開封用の切れ目は、開封開始部側の切れ目の上端よりも次に設けられる切れ目の下端が容器本体の底部側に設けられ、開封開始部から容器本体の底部に向かって開封方向に順次設けられている開封用の切れ目は、開封開始部側の切れ目の下端よりも次に設けられる切れ目の上端が容器本体の開口部側に設けられることを特徴とする開封機能付き紙容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体とその胴部外側に貼着される外装体から構成される容器であって、外装材を容器本体から剥ぎ取ることの出来る容器に関し、たとえば、懸賞応募、真贋判定、流通経路把握、および抽選番号などとして景品提供を行うことで販売促進等に用いることができる隠蔽情報を含む開封機能付き容器に関するものである。そして、この容器は、熱湯を注いで調理するインスタント食品等の断熱性容器としても用いられる。
【背景技術】
【0002】
従来から、食品等の包装分野においては、食品等の内容物の販売促進を目的に、食品等の内容物を包装する包装体などに懸賞機能を付与する手段が用いられている。この手段の一つとしては、例えば、隠蔽性を有する包装体内に、カップ状容器内に当たり券等を収納し、カップ状容器を開封して、隠蔽情報としての「当たり外れ」等の情報を確認できるようになっているものがある。この場合、当たり券は別途用意する必要があると共にこれをカップ状容器内に入れる作業が必要となるなど、結構手間がかかるという問題がある。
【0003】
また、菓子や食品分野で包装容器に個別の情報を印字して購買証明等とする手法は、広く行われている。例えば、一般紙器類では、紙器箱の内面へ個別情報の印字、また、軟包装袋では袋の内側へ個別情報の印字、さらには、飲料缶などに、二重シールで個別情報を隠蔽した個別情報隠蔽ラベルなどを貼付する手法が採られている。個別情報とは、数桁から十数桁の数字であったり、携帯電話で読み取ることができるQRコード等の二次元バーコードであることが多い。
【0004】
しかしながら、特に食品等の包装分野において熱湯を注いで調理するインスタント食品等の容器の場合、容器内面に印刷インキ層からなる個別情報を設けることは印刷インキ層からの残留溶剤やインキ成分が食品に溶出する等の衛生上・安全性上の問題がある。
【0005】
この問題に対して、特許文献1では、少なくとも容器本体と、該容器本体の外側を覆うように貼着されて一体として組み合わされた外装体とからなる容器であって、 前記容器本体の胴部外側周壁もしくは前記外装体の内面に隠蔽情報層を形成し、前記外装体に設けた開口開始手段としての摘み部から切れ目線に沿って開口することにより、開口後、前記容器本体の胴部外側周壁もしくは前記外装体の内面に設けられた前記隠蔽情報を容易に視認することができることを特徴とする隠蔽情報付き容器が提案されている。
【0006】
容器本体とその外側を覆うように組み合わされた外装体とからなる容器については、主に容器の断熱性を高めることを目的として従来からいくつか提案されてきている(特許文献2、3、4)。
【0007】
特許文献1で提案されている容器は上記の構造を利用して容器本体と外装体の間のそのままでは見えない空間に隠蔽された情報を記録しておき、印刷インキ層からの残留溶剤やインキ成分が食品に溶出する等の問題を回避しつつ、必要な場合に簡単に隠蔽されていた情報を利用できる構造として画期的なものであり、さらには容器本体と外装体を分割して廃棄する場合にも活用できる点で優れたものではあるが、外装体を剥ぎ取る場合に予定した形状で剥ぎ取ることが出来ないことがあることが判明した。
【0008】
ここで、外装体を予定した形状で剥ぎ取ることが出来ない場合の具体的な一例を示す。
【0009】
図5は、特許文献1の隠蔽情報付き容器の一例を図解的に示すものであって、(a)は
紙製外装体の未開封状態を示す外観斜視図であり、(b)は開封開始手段としての摘み部から開封して開封領域を形成し、紙製外装体の開封領域内面に設けた隠蔽情報の一部がようやく視認される程度の紙製外装体の開封状態を示す外観斜視図である。
【0010】
図5の(a)に示した開封機能付き容器1は、紙製外装体20に形成された開封開始部20aを手指で摘んで開封することにより複数条の切れ目20b,20bに沿って紙製容器本体10の開封部方向と底部方向に漸次広がるように紙製外装体が開封し、開封領域20cを形成し、紙製外装体の裏面に設けられた開封領域の隠蔽情報30を確認することができる。
【0011】
この場合、開封領域は隠蔽情報を視認できる形状に予定されており、正常に開封すれば、紙製外装体上下の複数条の切れ目の間で切れ目に沿って開封して結果として隠蔽情報の全体が視認できるようになるはずであった。
【0012】
図5の(b)に示した紙製外装体の開封状態は、切れ目から外れた位置で開封された結果、隠蔽情報の一部しか視認できない開封状態を示している。
【0013】
このように、たとえば、傾きのある円筒状の容器に図5の(a)のように設けられた切れ目に沿って開封しようとする場合、容器底側に向けて並ぶように設けられた切れ目は開封時に容器胴部に対しての横方向に対する力が強くかかるために、容器底方向に向けて力がかからず連続して切れ目が引裂かれずその結果切れ目に沿って開封できない場合があった。
【0014】
切れ目に沿って開封できない上記の現象は、容器本体の開口部側の外装体に設けられた切れ目でも同様に起きる場合があり、切れ目の形状をY字状やL字状にした場合でも同様に起きる場合があった。
【0015】
この結果、予定された開封部に合わせて確実に開封することが出来ないために、外装体を容器本体から剥がすことが出来ず、容易に容器を解体することが出来ない場合があった。
【0016】
また、容器本体の胴部に隠蔽情報を設けた場合には容易には情報を視認することが出来ず、外装体の裏面に隠蔽情報を設けた場合には外装体が破れてしまい情報を確認することが出来なくなってしまうという結果を招来する場合があった。
【特許文献1】特願2007−301393号公報
【特許文献2】特開平8−48375号公報
【特許文献3】特開2000−16419号公報
【特許文献4】特開2000−142837号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の課題は、容器本体とその胴部外側に貼着される外装体から構成され、外装体を容器本体から剥ぎ取ることの出来る容器において、予定された開封部に合わせて確実に開封を行うことの出来る開封機能付き紙容器を提供することにある
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の請求項1の発明は、少なくとも容器本体と、該容器本体の外側を覆うように貼着されて一体として組み合わされた外装体とからなる開封機能付き紙容器において、
外装体には切れ目からなる開封開始部、開封開始部から容器本体の開口部及び底部に向かって開封方向に開封用の切れ目が設けられている開封機能付き紙容器であって、
開封開始部から容器本体の開口部に向かって開封方向に順次設けられている開封用の切れ目は、開封開始部側の切れ目の上端よりも次に設けられる切れ目の下端が容器本体の底部側に設けられ、開封開始部から容器本体の底部に向かって開封方向に順次設けられている開封用の切れ目は、開封開始部側の切れ目の下端よりも次に設けられる切れ目の上端が容器本体の開口部側に設けられることを特徴とする開封機能付き紙容器である。
【0019】
本発明の請求項2の発明は、開封開始部が丸みを有した切れ目からなることを特徴とする請求項1に記載の開封機能付き紙容器である。
【0020】
本発明の請求項3の発明は、開封開始部が外装体の高さの半分以上の高さの位置に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の開封機能付き紙容器である。
【0021】
本発明の請求項4の発明は、開封開始部から容器本体の底部に向かって開封方向に順次設けられている開封用の切れ目に連続するように横切れ目が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の開封機能付き紙容器である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の開封機能付き紙容器は、切れ目で開封領域を形成したので、外装体を容器本体に安定して貼着して形成することができる。
【0023】
また、隠蔽情報は容器本体の胴部外側周壁もしくは外装体の内面に設けるので、当たり券等を別途用意する必要もなく、容器内に入れるという作業も排除できる。
【0024】
さらに、開封領域を開封開始手段としての摘み部から切れ目に沿って容易に開封することができて容器本体の胴部外側周壁もしくは外装体の内面に設けた隠蔽情報を容易に確認することができる。
【0025】
これにより、懸賞応募、真贋判定、流通経路把握、および抽選番号等として景品提供を行うことで販売促進等に用いることができる隠蔽情報を設けた開封機能付き紙容器を提供することができる。
【0026】
本発明の開封機能付き紙容器は、外装体には切れ目からなる開封開始部(摘み部)、開封開始部から容器本体の開口部及び底部に向かって開封方向に開封用の切れ目が設けられている開封機能付き紙容器であって、開封開始部から容器本体の開口部に向かって開封方向に順次設けられている開封用の切れ目は、開封開始部側の切れ目の上端よりも次に設けられる切れ目の下端が容器本体の底部側に設けられ、開封開始部から容器本体の底部に向かって開封方向に順次設けられている開封用の切れ目は、開封開始部側の切れ目の下端よりも次に設けられる切れ目の上端が容器本体の開口部側に設けられることによって、予定された開封部の輪郭から外れることなく予定された開封部に合わせて確実に開封を行うことの出来る開封機能付き紙容器を提供することが出来る。
【0027】
その結果、外装体の開封部が予定された位置と異なる、あるいは予定された大きさよりも小さい場合に生じる、外装体の内側に記録された隠蔽情報の視認の制限や容器胴部外面に記録された隠蔽情報の視認の制限が起こらずに、必要な記録情報全体を容易に視認あるいは読み取りをすることが可能になる。
【0028】
本発明の開封機能付き紙容器は、開封開始部(摘み部)が丸みを有した切れ目からなることによって、開封開始時に指先で摘みやすい構造となっている。
【0029】
本発明の開封機能付き紙容器は、開封開始部(摘み部)が外装体の高さの半分以上の高
さの位置に設けられていることによって、開封するときに指先から外装体にかかる力がかけ易く確実に開封予定部に沿って開封出来る。
【0030】
本発明の開封機能付き紙容器は、開封開始部(摘み部)から容器本体の底部に向かって開封方向に順次設けられている開封用の切れ目に連続するように横方向の切れ目が設けられていることによって、底部まで開封する必要がない場合には必要な部分だけ軽い力で開封できる。
【0031】
本発明の開封機能付き紙容器は、紙製容器本体と、この紙製容器本体の外側を覆うように貼着されて一体として組み合わされた外装体を紙製外装体とすることで、熱湯を注いで調理するインスタント食品等の断熱性容器として使用することもできる。
【0032】
さらに、また本発明の開封機能付き紙容器は、材料に紙を使用することにより、使用後は紙製品として廃棄され、また、減容化が容易であるので廃棄処理性が良好であり、さらに、リサイクルも可能であるので、環境負荷の低減に貢献することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態の一例として紙製断熱カップを例示して本発明の開封機能付き紙容器について図面を参照して説明する。
【0034】
図1は本発明の開封機能付き紙容器の一例を図解的に示す外観斜視図であり、(a)は、紙製外装体の未開封状態を示す外観斜視図である。(b)は、開封開始手段としての摘み部から切れ目に沿って開封して開封領域を形成し、紙製外装体の開封領域内面に設けた隠蔽情報が容易に視認される紙製外装体の開封状態を示す外観斜視図である。
【0035】
図2は、図1で示す本発明の開封機能付き紙容器の一例を図解的に示す断面図である。
【0036】
図3は、本発明の開封機能付き紙容器の他の例を図解的に示すものであって、(a)は、紙製外装体の未開封状態を示す外観斜視図である。(b)は、開封開始手段としての摘み部から切れ目に沿って開封して開封領域を形成し、紙製外装体の開封領域内面に設けた隠蔽情報が容易に視認される紙製外装体の開封状態を示す外観斜視図である。
【0037】
図4は、本発明の開封機能付き紙容器のさらに別の例を図解的に示すものであって、(a)は、紙製外装体の未開封状態を示す外観斜視図である。(b)は、開封開始手段としての摘み部から切れ目に沿って開封して開封領域を形成し、紙製外装体の開封領域内面に設けた隠蔽情報が容易に視認される紙製外装体の開封状態を示す外観斜視図である。
【0038】
図5は従来の開封機能付き紙容器の一例を図解的に示す外観斜視図であって、(a)は、紙製外装体の未開封状態を示す外観斜視図である。(b)は、開封開始手段としての摘み部から開封して開封領域を形成し、紙製外装体の開封領域内面に設けた隠蔽情報が部分的に視認される状態を示す外観斜視図である。
【0039】
図6(a)は、図5で示す従来の開封機能付き紙容器に用いる紙製外装体の展開ブランク板を概略的に示す平面図であり図6(b)は図1で示す本発明の開封機能付き紙容器に用いる紙製外装体の展開ブランク板を概略的に示す平面図である。
【0040】
図1(a)で示すように、本発明の開封機能付き紙容器1Aは、カップ状紙製容器本体10と、この紙製容器本体10の胴部10a外側周壁を覆うように、前記紙製容器本体10の外巻開口縁部からなるフランジ部10b下端の貼着部(図示せず)と紙製容器本体10の底部10c外側周壁の貼着部(図示せず)に貼着された一体に組み合わされた紙製外装体20とからなり、紙製外装体20の内面と紙製容器本体10の胴部10a外側周壁との間に断熱空間が形成された2層構成の開封機能付き紙容器である。
【0041】
さらに、紙製外装体20の上端縁の所要位置から底部方向に向かう所要位置まで「く」の字状に複数条の切れ目20b,20bが設けられ、「く」の字先端に開封開始手段としての丸みを有した丸みを有した切れ目からなる摘み部20aが区画形成されている。
【0042】
そして、前記複数条の切れ目20b,20bで区画される開封領域となる予定の紙製外装体20の内面に隠蔽情報30が設けられている。
【0043】
図1(b)で示すように、前記紙製外装体20に設けた開封開始部に設けられた丸みを有した切れ目からなる摘み部20aから切れ目20b,20bに沿って開封することにより、開封後、紙製外装体20の内面に設けられた開封領域20cの前記隠蔽情報30を容易に視認することができる。
【0044】
紙製容器本体10の胴部外側周壁10aと紙製外装体20の内側側壁との間に空間を設けることによって、断熱効果を高めると共に、丸みを有した切れ目からなる摘み部20aから複数条の切れ目20b,20bに沿って開封し易くなり、容易に開封領域20cを形成することができ隠蔽情報30を容易に視認できるという効果もある。図1では、前記紙製外装体20の内面に隠蔽情報30を設けた場合を例示したが、隠蔽情報30は、前記紙製容器本体10の胴部10a外側周壁に設けてもよい。
【0045】
これに対して、従来の開封機能付き紙容器の一例を図解的に示したのが図5であり、さらに従来の開封機能付き紙容器に用いる紙製外装体の展開ブランク板と本発明の開封機能付き紙容器に用いる紙製外装体の展開ブランク板を比較するための概略的な平面図を図6に示している。
【0046】
図5(a)に示した従来の開封機能付き紙容器と図1(a)に示した本発明の開封機能付き紙容器とでは切れ目の配置のみが異なる。図5(a)の開封開始部20aから開封領域が外装体上部に向かう場合は開封開始部20aの上端の高さ、すなわち図6(a)のX2、に対して次の切れ目の下端の高さが略同一になるように設けられており、さらにこの切れ目の上端の高さX1に対して次の切れ目の下端の高さが略同一になるように設けられている。
【0047】
図6(a)では開封開始部20aから開封領域が外装体底部に向かう場合は開封開始部20aの下端の高さX3に対して次の切れ目の上端の高さが略同一になるように設けられており、さらにこの切れ目の下端の高さX4に対して次の切れ目の上端の高さが略同一になるように繰り返し配置されており、この関係が開封予定部分底部の所要高さまで隣接した切れ目の間で継続されている。
【0048】
図6(a)のブランク板を用いて成形した開封機能付き紙容器の開封前の外観斜視図を図5(a)に、開封後の外観斜視図を図5(b)に示した。
【0049】
図5(b)では開封開始部20aからの右方向への開裂痕が次の切れ目と連続しないために、上下両方の途中部分で予定した所要の開封領域よりも内側に入り込み、開封領域20cが狭くなった結果、必要な隠蔽情報30の一部しか視認できない状態を示している。
【0050】
このように、開裂の予定方向に隣接した切れ目に沿って開裂しなかったために予定開封領域が正常に開封せず必要な情報の確認が出来ないという障害は切れ目の形状にかかわらず上記の切れ目の配列では避けることが出来なかった。
【0051】
本発明の開封機能付き紙容器においては切れ目の配列を変更することによって、隣接した切れ目に沿って開裂させることが容易に出来るようになった。すなわち、図1(a)の開封開始部20aから開封領域が外装体上部に向かう場合は開封開始部20aの上端の高さX2に対して次の切れ目の下端の高さが低くなるように設けられており、さらにこの切れ目の上端の高さX1に対して次の切れ目の下端の高さが低くなるように設けられている(図6(b))。
【0052】
図6(b)では開封開始部20aから開封領域が外装体底部に向かう場合は開封開始部20aの下端の高さX3に対して次の切れ目の上端の高さが高くなるように設けられておりさらにこの切れ目の下端の高さX4に対して次の切れ目の上端の高さが高くなるように繰り返し配置されており、開封予定部分底部の所要高さまで隣接した切れ目の間でこの関係が継続されている。
【0053】
隣接した切れ目の配列を上記のように変更することによって、外装体の開封時に開封のための力を加える方向のばらつきや紙目の違い等により、開裂方向が予定された方向(隣接する切れ目の方向)から外れて開封されることを防止でき、図1の(b)に示すような開封領域20cを容易に形成して、必要な隠蔽情報を簡単に視認できるようになった。
【0054】
本発明の他の例としての開封機能付き紙容器を図3に示す。図3(a)は、紙製外装体の未開封状態を示す外観斜視図であり、(b)は、開封開始手段としての丸みを有した切れ目からなる摘み部から切れ目に沿って開封して開封領域を形成し、紙製外装体の開封領域内面に設けた隠蔽情報が容易に視認される紙製外装体の開封状態を示す外観斜視図である。
【0055】
この開封機能付き紙容器は、容器本体10と、この容器本体10の外側を覆うように貼着されて一体として組み合わされた外装体20とからなる容器であって、前記容器本体10の胴部外側周壁もしくは前記外装体20の内面に隠蔽情報層30を形成し、前記外装体20に設けた開封開始手段としての丸みを有した切れ目からなる摘み部20aから切れ目20bと容器の開口部下側外装体に設けた切れ目20eに沿って外装体が漸次広がるように開封領域を形成する開封機能付き紙容器1Bである。
【0056】
このように、容器の開口部下側外装体の横方向に切れ目を設けることにより開封時により容易に必要な領域のみを軽い力で確実に開封できるようになる。
【0057】
さらに、本発明の他の例としての開封機能付き紙容器を図4に示す。図4(a)は、紙製外装体の未開封状態を示す外観斜視図であり、(b)は、開封開始手段としての丸みを有した切れ目からなる摘み部から切れ目に沿って開封して開封領域を形成し、紙製外装体の開封領域内面に設けた隠蔽情報が容易に視認される紙製外装体の開封状態を示す外観斜視図である。
【0058】
この開封機能付き紙容器は、容器本体10と、この容器本体10の外側を覆うように貼着されて一体として組み合わされた外装体20とからなる容器であって、前記容器本体10の胴部外側周壁もしくは前記外装体20の内面に隠蔽情報層30を形成し、前記外装体20に設けた開封開始手段としての丸みを有した切れ目からなる摘み部20aから切れ目20bと容器の底部上側外装体に設けた切れ目20dに沿って外装体が漸次広がるように開封領域を形成する開封機能付き紙容器1Cである。
【0059】
このように、容器の底部上側外装体の横方向に切れ目を設けることにより開封時により容易に必要な領域のみを軽い力で確実に開封できるようになる。この横方向の切れ目の高
さは所要開封領域によって決まり、図4のように底部近辺である必要はない。
【0060】
上記の容器の開口部下側外装体もしくは容器の底部上側外装体に設ける上記の横方向の切れ目を容器開口部下側外装体もしくは底部上側外装体全周に設けることもできる。このように切れ目を設けることにより、外装体を容器本体から取り外すこともできる。容器本体と外装体の材料が異なる時に分別廃棄が必要となる場合に便利である。
【0061】
尚、本発明の実施形態の一例として紙製断熱カップを例示したが、本発明における容器本体は、紙基材以外にもプラスチック基材を使用することができる。また、本発明における外装体は、紙基材以外にもプラスチック基材を使用することができる。
【0062】
上記の本発明の開封機能付き紙容器の断面を図2に図解的に示す。この紙製容器1は、一方の面にポリエチレン樹脂層を形成した略扇形状のポリエチレン塗工紙を前記ポリエチレン樹脂層面が内側となるように端縁を重ね合わせて接合して断面が台形状の筒状となした胴部10a材の大きい方の開口部の周縁を外側にカールさせて外巻開口縁部からなるフランジ部10bを形成する。
【0063】
それと共に、小さい方の開口部に一方の面にポリエチレン樹脂層を形成した円形状のポリエチレン塗工紙を前記ポリエチレン樹脂層が凸側の面となるように成形した周壁を備えた断面がコの字形状の底材10dを挿入し、胴部10a材の小さい方の開口部の端縁を前記底材10dの周壁を被覆して熱接着した有底状の紙製容器本体10と、大きい方の開口部の周縁を内側に折り込む所定の幅の内側折込部20dを延設してなる略扇形状の厚紙の前記内側折込部20dを内側に折込み、両端縁を重ね合わせて接合して断面が台形状の筒状になすと共に、前記紙製容器本体10の外巻開口縁部からなるフランジ部11b下端外周壁と前記内側折込部20dと、さらに前記紙製容器本体10の底部10c外側周壁と紙製外装体20の小さい方の開口部端縁で熱接着して、前記紙製容器本体10と紙製外装体20とを一体に組み合わせて紙製外装体20の内面と紙製容器本体10の胴部10a外側周壁との間に断熱空間が形成された2層構成の開封機能付き紙容器としたものである。
【0064】
本発明における紙製容器本体10の材料としては、紙を基材層として少なくとも内面にポリオレフィン系樹脂を積層した積層体を使用している。紙としては主にカップ原紙を使用し、その坪量は、150〜450g/m2程度である。そのカップ原紙の内面には、20〜80μmの範囲で低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、線状低密度ポリエチレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂層が押出しコートされて形成される。このポリオレフィン系樹脂層は、内容物の板紙への浸透防止、内容物保護適性の向上の他に、カップ成形性をよくし、蓋材(図示せず)のヒートシールによる封緘性をも良好にする効果をもたらしている。
【0065】
図6(b)は、本発明の開封機能付き紙容器に用いる紙製外装体20を展開したブランク板を概略的に示す展開図であって、このブランク板20’は、大きい方の開口部の周縁を内側に折り込む所定の幅の内側折込部20dを延設してなる略扇形状の厚紙からなり、前記ブランク板20’の一方の大きい方の開口部の端縁の所要位置から他方の小さい方の開口部の端縁に向かう所要位置まで「く」の字状に複数条の切れ目20b,20bが設けれ、そして「く」の字先端に開封開始手段としての丸みを有した切れ目からなる摘み部20aが区画形成されている。そして、前記複数条の切れ目20b,20bで区画される開封領域の紙製外装体20の裏面に隠蔽情報30が設けられている。
【0066】
上記の紙製外装体20の材料としては、坪量200〜450g/m2のカード系、コートボール系等の板紙を使用することができる。坪量が、この限度未満であると紙製外装体20の剛性が低くなり過ぎて、特に高熱時に撓みが大きくなりすぎて充分な断熱性を失い
、またこの限度を越えると、剛性は高くなるが、内側折込片20dの折込加工適正が悪化し、材料コストも高くなるので好ましくない。
【0067】
本発明における隠蔽情報30としては、文字、数字、QRコード等の2次元バーコードやシリアル情報等が挙げられる。例えば、懸賞応募、真贋判定、流通経路把握、および抽選番号などとして景品提供を行うことで販売促進等に用いることができる。
【0068】
上記の文字、数字、QRコード等の2次元バーコードやシリアル情報等の隠蔽情報30は、例えば、通常のインキ組成物を使用してオフセット印刷、グラビア印刷、その他等の通常の印刷方法等によって形成することができる。さらには、インクジェット記録方式により印字することもできる。
【0069】
本発明における切れ目20bおよび切れ目20c,20dは、切れ目線もしくはハーフカット線等で形成することができる。通常は、複数条の切れ目を施す。そして、切れ目の形状は、直線状、略Z字状、あるいは変形切れ目であってもよく、その形状は特に特定されるものではない。
【0070】
次に、開封機能付き紙容器1Aを例示して、本発明の開封機能付き紙容器の製造方法について簡単に説明する。まず、紙製外装体20用の厚紙の表面には絵柄、表示などの印刷を、裏面には、紙製外装体20の開封領域、即ち開封した際に視認できる所定の位置に文字、数字、QRコード等の2次元バーコードやシリアル情報等の隠蔽情報30の印刷を行なう。つぎに、扇状に打ち抜くと共に、前述の丸みを有した切れ目からなる摘み部20aを含む切れ目20bの加工も同時に行い、紙製外装体20のブランク板20’を作成する。
【0071】
一方、カップ成形機によって、カップ状の紙製容器本体10用のブランク板(図示せず)から逆円錐台形状の胴部10aを成形し、胴部10aの下部を底板10dで巻き締めして底部10cを成形し、上部開口部の周縁を外側にカールさせて外巻開口縁部からなるフランジ部10bを成形し、カップ状の紙製容器本体20を製造する。
【0072】
一方において、紙製外装体20用の内側に折り込む所定の幅の内側折込部20dを延設してなる略扇形状の厚紙からなるブランク板20’から、内側折込部20dを内側に折り込み逆円錐台形状の紙製外装体20を成形し、スタッキングしておく。最後に、この紙製外装体20を成形された紙製容器本体10に対して両者が互いに当接する、外巻開口縁部からなるフランジ部11b下端外周壁と前記内側折込部20dと、さらに前記紙製容器本体10の底部10c外側周壁と紙製外装体20の小さい方の開口部端縁で熱接着により貼着して、前記紙製容器本体10と紙製外装体20とを一体に組み合わせて紙製外装体20の内面と紙製容器本体10の胴部10a外側周壁との間に断熱空間が形成された2層構成の開封機能付き紙容器が得られる。
【0073】
上記のように構成された本発明の開封機能付き紙容器1Aは、前記紙製外装体20に形成された前記丸みを有した切れ目からなる摘み部20aを手指で摘んで開口することにより前記複数条の切れ目20b,20bに沿って紙製容器本体10の開口部方向と底部方向に紙製外装体が漸次広がるように開封し、開封領域20cを形成し、前記紙製外装体20の裏面に設けられた開封領域20cの隠蔽情報を確認することができる。
【0074】
そして、本発明の開封機能付き紙容器は、外装体の開裂方向がばらついても隣接する切れ目に沿って開裂するように切れ目の配置を行ったことにより、開封領域を開封開始部の先端丸みを有した切れ目からなる摘み部から切れ目に沿って確実に開封することができて容器本体の胴部周壁もしくは紙製外装体の内面に設けた隠蔽情報を容易に確認することが
でき、懸賞応募、真贋判定、流通経路把握、および抽選番号等として景品提供を行うことで販売促進等に用いることができる。
【0075】
さらにまた、本発明の開封機能付き紙容器は、使用後は紙製品として廃棄され、リサイクルも可能であるので、環境負荷の低減に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の開封機能付き容器の一例を図解的に示すものであって、(a)は、紙製外装体の未開封状態を示す外観斜視図である。(b)は、開封開始手段としての丸みを有した切れ目からなる摘み部から切れ目に沿って開封して開封領域を形成し、紙製外装体の開封領域内面に設けた隠蔽情報が容易に視認される紙製外装体の開封状態を示す外観斜視図である。
【図2】図1で示す本発明の開封機能付き紙容器の一例を図解的に示す断面図である。
【図3】本発明の開封機能付き紙容器の他の例を図解的に示すものであって、(a)は、紙製外装体の未開封状態を示す外観斜視図である。(b)は、開封開始手段としての丸みを有した切れ目からなる摘み部から切れ目に沿って開封して開封領域を形成し、紙製外装体の開封領域内面に設けた隠蔽情報が容易に視認される紙製外装体の開封状態を示す外観斜視図である。
【図4】本発明の開封機能付き紙容器のさらに別の例を図解的に示すものであって、(a)は、紙製外装体の未開封状態を示す外観斜視図である。(b)は、開封開始手段としての丸みを有した切れ目からなる摘み部から切れ目に沿って開封して開封領域を形成し、紙製外装体の開封領域内面に設けた隠蔽情報が容易に視認される紙製外装体の開封状態を示す外観斜視図である。
【図5】従来の開封機能付き紙容器の一例を図解的に示す外観斜視図であって、(a)は、紙製外装体の未開封状態を示す外観斜視図である。(b)は、開封開始手段としての丸みを有した切れ目からなる摘み部から開封して開封領域を形成し、紙製外装体の開封領域内面に設けた隠蔽情報が部分的に視認される状態を示す外観斜視図である。
【図6】図6(a)は図5で示す従来の開封機能付き紙容器に用いる紙製外装体の展開ブランク板を概略的に示す平面図であり、図6(b)は図1で示す本発明の開封機能付き紙容器に用いる紙製外装体の展開ブランク板を概略的に示す平面図である。
【符号の説明】
【0077】
1…開封機能付き紙容器
1A…開封機能付き紙容器
1B…開封機能付き紙容器
1C…開封機能付き紙容器
1D…従来の開封機能付き紙容器
10…紙製容器本体
10a…胴部
10b…外巻開口縁部(フランジ部)
10c…底部
10d…底材
20…紙製外装体
20a…開封開始部(摘み部)
20b…切れ目
20c…紙製外装体の開封部
20d…内側折込片
20e…切れ目
20f…切れ目
30…隠蔽情報
20’…紙製外装体用ブランク板
20’’…紙製外装体用ブランク板
X1…切れ目上端位置
X2…開封開始部(丸みを有した切れ目からなる摘み部)上端位置
X3…開封開始部(丸みを有した切れ目からなる摘み部)下端位置
X4…切れ目下端位置
X5…切れ目下端位置
X6…切れ目下端位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも容器本体と、該容器本体の外側を覆うように貼着されて一体として組み合わされた外装体とからなる開封機能付き紙容器において、
外装体には切れ目からなる開封開始部、開封開始部から容器本体の開口部及び底部に向かって開封方向に開封用の切れ目が設けられている開封機能付き紙容器であって、
開封開始部から容器本体の開口部に向かって開封方向に順次設けられている開封用の切れ目は、開封開始部側の切れ目の上端よりも次に設けられる切れ目の下端が容器本体の底部側に設けられ、開封開始部から容器本体の底部に向かって開封方向に順次設けられている開封用の切れ目は、開封開始部側の切れ目の下端よりも次に設けられる切れ目の上端が容器本体の開口部側に設けられることを特徴とする開封機能付き紙容器。
【請求項2】
開封開始部が丸みを有した切れ目からなることを特徴とする請求項1に記載の開封機能付き紙容器。
【請求項3】
開封開始部が外装体の高さの半分以上の高さの位置に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の開封機能付き紙容器。
【請求項4】
開封開始部から容器本体の底部に向かって開封方向に順次設けられている開封用の切れ目に連続するように横切れ目が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の開封機能付き紙容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−126209(P2010−126209A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−304044(P2008−304044)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】