説明

開閉パネルのロック機構

【課題】筐体に取り付けられた開閉パネルを閉鎖した際に、開閉パネルにガタツキが発生するのを防止するようにした開閉パネルのロック機構を提供する。
【解決手段】本発明に係る開閉パネルのロック機構(10)にあっては、開閉パネル(2)に設けられた回転可能なラッチ(11)と、筐体(1)に設けられ、前記開閉パネル(2)の閉鎖時に前記ラッチ(11)を受ける受け部(12)と、前記受け部(12)に設けられ、前記開閉パネル(2)の閉鎖時に前記ラッチ(11)を前記開閉パネル(2)の閉鎖方向に付勢する弾性体(板バネ15c)とを備えるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は筐体に取り付けられた開閉パネルのロック機構に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電子機器等を収容する筐体には、当該電子機器のメンテナンス等を行うための開閉パネル(扉)が取り付けられる(例えば特許文献1参照)。筐体に開閉パネルを取り付ける場合、開閉パネルを閉じた際に開閉パネルを筐体にロックするための機構を設ける必要がある。以下、図8以降を参照し、開閉パネルのロック機構の一例を説明する。
【特許文献1】特開2000−77860号公報
【0003】
図8は、従来技術に係る開閉パネルのロック機構を有する筐体の正面図であり、図9は、図8のIX−IX線断面図である。
【0004】
図8および図9に示すように、筐体100には開閉パネル101が取り付けられる。開閉パネル101は、その一辺が蝶番102を介して筐体100に接続され、蝶番102を回転軸として開き戸式に開閉可能とされる。開閉パネル101によって開放、閉鎖される筐体100の内部空間には、電子機器ユニット103が収容される。また、開閉パネル101には、電子機器ユニット103の操作の実行や運転状態を表示するための液晶表示盤104等の電子機器が取り付けられる。一方、開閉パネル101の開閉端側の一辺は、ロック機構105によって筐体100に係止される。
【0005】
図10は、図8に示すロック機構105付近の拡大図であり、図11は、図9に示すロック機構105付近の拡大図である。
【0006】
図10および図11に示すように、ロック機構105は、開閉パネル101に設けられたラッチ106と、ラッチ106を受ける受け部107とを有する。ラッチ106は開閉パネル101の開閉端付近に設けられた回転軸108に取り付けられる。受け部107は筐体100に設けられ、その形状は上面視においてコの字状を呈する。開閉パネル101は、回転軸108を回転させ、受け部107の内方(対向する面と面の間)にラッチ106を位置させることにより、筐体100に係止される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
開閉パネル101の開閉時にラッチ106の回転動作を円滑に行わせるためには、図11に示すように、ラッチ106と受け部107との間(開閉パネル101の開閉方向)にある程度の間隙を設ける必要がある。従って、上記した従来のロック機構105にあっては、開閉パネル101を閉鎖してラッチ106を受け部107で受けた際も、ラッチ106と受け部107の間には間隙が存在することとなり、ガタツキが生じる原因となっていた。このようなガタツキは、開閉パネル101に液晶表示盤104等の電子機器を取り付ける場合には、それらの保護のため、特に防止する必要がある。
【0008】
従ってこの発明は上記した課題を解決し、筐体に取り付けられた開閉パネルを閉鎖した際に、開閉パネルにガタツキが発生するのを防止するようにした開閉パネルのロック機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するため、本発明に係る開閉パネルのロック機構にあっては、開閉パネルに設けられた回転可能なラッチと、筐体に設けられ、前記開閉パネルの閉鎖時に前記ラッチを受ける受け部と、前記開閉パネルの閉鎖時に前記ラッチを前記受け部に対して前記開閉パネルの閉鎖方向に付勢する弾性体とを備えるように構成した。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る開閉パネルのロック機構にあっては、開閉パネルに設けられた回転可能なラッチと、筐体に設けられ、前記開閉パネルの閉鎖時に前記ラッチを受ける受け部と、前記開閉パネルの閉鎖時に前記ラッチを前記受け部に対して前記開閉パネルの閉鎖方向に付勢する弾性体とを備えるように構成したので、開閉パネルを閉鎖した際に、ラッチを通じて開閉パネルを閉鎖方向に付勢できるため、開閉パネルにガタツキが発生するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る開閉パネルのロック機構を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明に係る開閉パネルのロック機構を有する筐体の正面図であり、図2は、図1のII−II線断面図である。
【0013】
図1および図2に示すように、筐体1の正面には、開閉パネル(扉)2が取り付けられる。尚、図では筐体1の上部に開閉パネル2が1枚取り付けられているが、筐体1の下部や正面全体に開閉パネルを取り付けても良い。また、開閉パネルの枚数も1枚に限定されるものではない。
【0014】
開閉パネル2は、正面視矩形を呈し、その左右の2辺のうち一辺が蝶番3を介して筐体1に接続され、蝶番3を回転軸として開き戸式に開閉可能とされる。開閉パネル2によって開放、閉鎖される筐体1の内部空間には、電子機器ユニット(例えばアンプユニットや無線ユニット)4が収容される。また、開閉パネル2には、電子機器ユニット4の操作の実行や運転状態を表示するための液晶表示盤5等の電子機器が取り付けられる。一方、開閉パネル2の開閉端側の一辺は、ロック機構10によって筐体1に係止(ロック)される。
【0015】
図3は、図1に示すロック機構10付近の拡大図であり、図4は、図2に示すロック機構10付近の拡大図である。また、図5は、図3のV−V線断面図である。
【0016】
図3から図5に示すように、ロック機構10は、開閉パネル2に設けられたラッチ(掛け金具)11と、ラッチ11を受ける受け部(受け金具)12とを有する。ラッチ11は、開閉パネル2の開閉端付近に設けられた回転軸13に取り付けられる。
【0017】
ラッチ11は、図示の如く、開閉パネル2の裏面側に位置する。回転軸13は、開閉パネル2の表面に設けられた鍵穴14と連結しており、かかる鍵穴14に図示しない鍵を挿入し、当該鍵を回転させることで、回転軸13とそれに取り付けられたラッチ11が回転させられる。尚、回転軸13の回転角(即ちラッチ11の回転角)は、図3に示す如く、鉛直方向から水平方向までの90度である。
【0018】
受け部12は筐体1に設けられ、その形状は図4に示す如く上面視においてコの字状を呈する。具体的には、受け部12は、対抗配置された板状部12a,12bと、それらに直交する板状部12cとからなる。
【0019】
受け部12は、具体的には、その板状部12aが筐体1の前面側端部に固定(ネジ止め)され、板状部12bが板状部12aよりも前方(筐体1の前面側)に突出される。板状部12aと板状部12bの離間距離は、板状部12cの幅となる。尚、板状部12bの端部前面は、開閉パネル2を閉鎖した際に開閉パネル2のストッパとしても機能する。
【0020】
受け部12は、上述した回転軸13の側方に位置する。ラッチ11は、開閉パネル2を閉鎖し、回転軸13を鉛直方向から水平方向に90度回転させることにより、板状部12aと板状部12bの間に位置させられる。これにより、開閉パネル2は、筐体1に係止される。尚、ラッチ11の回転動作を円滑に行えるよう、板状部12aと板状部12bの離間距離(板状部12cの幅)は、ラッチ11の厚さよりも十分大きな値に設定される。
【0021】
また、板状部12bの内面(板状部12aと対向する面)には、ラッチ付勢部15が固定(ネジ止め)される。図6は、図3に示すラッチ付勢部15の拡大正面図であり、図7は、図6に示すラッチ付勢部15の側面図である。
【0022】
図6および図7に示すように、ラッチ付勢部15は金属製の板状部材からなる。ラッチ付勢部15には、L字状の切り欠き15aが設けられ、その切り欠き15aによって形成された板片15bを屈曲させることにより、曲線形状の板バネ15cが形成される。
【0023】
図3から図5の説明に戻ると、ラッチ付勢部15は、板バネ15cの屈曲(突出)方向が板状部12aに対抗するように板状部12bに固定される。ラッチ11は、鉛直方向から水平方向に90度回転させられて板状部12aと板状部12bの間に位置させられたとき、板バネ15cの頂部に当接し、開閉パネル2の閉鎖方向に付勢される。
【0024】
上述したように、板状部12bは、開閉パネル2を閉鎖した際に開閉パネル2のストッパとして機能する。従って、開閉パネル2を閉鎖した際に、板バネ15cによってラッチ11を開閉パネル2の閉鎖方向に付勢することで、開閉パネル2がストッパたる板状部12bに押圧され、よって開閉パネル2を閉鎖した際のガタツキを防止することができる。また、板バネ15cは曲線形状を呈しているため、板バネ15cの頂部へのラッチ11の乗り上げおよびその逆の動作を円滑に行うことができ、ラッチ11の回転動作を妨げることがない。
【0025】
以上のように、本発明に係る開閉パネルのロック機構10にあっては、開閉パネル2に設けられた回転可能なラッチ11と、筐体1に設けられ、前記開閉パネル2の閉鎖時に前記ラッチ11を受ける受け部12と、前記受け部12に設けられ、前記開閉パネル2の閉鎖時に前記ラッチ11を前記開閉パネル2の閉鎖方向に付勢する板バネ15cとを備えるように構成したので、開閉パネル2を閉鎖した際に、ラッチ11を通じて開閉パネル2を閉鎖方向に付勢できるため、開閉パネル2にガタツキが発生するのを防止することができる。また、板バネ15cが曲線形状を呈しているため、板バネ15cの頂部へのラッチ11の乗り上げおよびその逆の動作を円滑に行うことができ、ラッチ11の回転動作を妨げることもない。
【0026】
尚、上記実施例において、ラッチ11を付勢する弾性体として板バネ15cを例に挙げたが、ゴムなどの他の弾性体であってもよい。また、受け部12に弾性体を設けるようにしたが、ラッチ11に弾性体を設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る開閉パネルのロック機構を有する筐体の正面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1に示すロック機構付近の拡大図である。
【図4】図2に示すロック機構付近の拡大図である。
【図5】図3のV−V線断面図である。
【図6】図3に示すラッチ付勢部の拡大正面図である。
【図7】図6に示すラッチ付勢部の側面図である。
【図8】従来技術に係る開閉パネルのロック機構を有する筐体の正面図である。
【図9】図8のIX−IX線断面図である。
【図10】図8に示すロック機構付近の拡大図である。
【図11】図9に示すロック機構付近の拡大図である。
【符号の説明】
【0028】
1:筐体、 2:開閉パネル、 10:ロック機構、 11:ラッチ、 12:受け部、 15:ラッチ付勢部、 15c:板バネ(弾性体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に取り付けられた開閉パネルのロック機構であって、
前記開閉パネルに設けられた回転可能なラッチと、
前記筐体に設けられ、前記開閉パネルの閉鎖時に前記ラッチを受ける受け部と、
前記開閉パネルの閉鎖時に前記ラッチを前記受け部に対して前記開閉パネルの閉鎖方向に付勢する弾性体とを備えることを特徴とする開閉パネルのロック機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−156826(P2008−156826A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−343662(P2006−343662)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】