説明

開閉扉装置

【課題】良好な閉鎖性を確保するとともに、現場の状況に応じて閉鎖性の調整を迅速、且つ容易に行う開閉扉装置の提供。
【解決手段】扉体11の幅方向端部と当該端部と対面する部位との間に、隙間の間隔を任意に調整可能な隙間調整手段を備えた。隙間調整手段は、戸先側縦枠部21に配設された移動調整部Aであり、扉体の戸先部10Aへ向かい幅方向に移動する移動側部材A1と、戸先側縦枠部21に形成された固定側部材A2と、移動側部材A1の移動調整を行う複数個の螺合部材A3とから構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折戸や引戸、あるいは、両開き戸や片開き戸等の各種開閉扉における良好な閉鎖性の確保に好適な開閉扉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、折戸や引戸、あるいは、両開き戸や片開き戸等の各種開閉扉装置においては、扉体の戸先及び戸後と縦枠との間や、折戸や両開き戸等の複数の扉体からなる開閉扉装置における戸先同士の間には、例えば、特許文献1の図2に表されているように、製造時における寸法誤差や組立て時の誤差により生じる隙間、あるいは、開閉扉の開閉時における接触抵抗の軽減のために意識的に確保される隙間が、開閉扉装置の閉鎖性を損ねる要因となっていた。
すなわち、開閉扉装置の閉鎖性は、当該扉体で閉鎖される空間に対する気密性・水密性・防塵性等を確保するとともに、秘密保持、すなわち第三者によって故意に覗かれるようことを防ぐという機能を確保するという極めて重要な機能であるため、良好な閉鎖性を備えた開閉扉装置が望まれている。
【特許文献1】特開平11−236787号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで本発明は、開閉扉装置の良好な閉鎖性を確保するとともに、現場の状況に応じて閉鎖性の調整を迅速、且つ容易に行うことを課題とし、この課題を解決した開閉扉装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために本発明が採用した第1発明は、扉体の幅方向端部と当該端部と対面する部位との間に生じる隙間の大きさを任意に調整可能な隙間調整手段を備えた開閉扉装置にしたことである。
【0005】
ここでいう開閉扉装置は、折戸・両開き戸・片開き戸・回転ドア・バランスドア等の扉体を回動させながら、戸枠により開口された開口部を開閉する構成や、引き戸やスライドドア等の扉体を幅方向に移動させながら戸枠により開口された開口部を開閉する構成を含む。
また、前記幅方向とは、前記扉体により開閉される開口部の横幅に沿う方向である。
また、隙間調整手段は、扉体側に設けても良いし、扉体の幅方向端部と対面する部位側に設けても良い。
また、扉体の幅方向端部とは、扉体の戸先及び戸後を意味し、当該端部と対面する部位とは、扉体の戸先及び戸後と対面する戸枠における縦枠や、折戸・両開き戸等の複数の扉体からなるものである場合、一方の扉体における戸先又は戸後と対面する他方の扉体の戸先又は戸後を意味する。
【0006】
また、前記隙間調整手段は、隙間の大きさの調整が可能な構成であればよく、例えば、第2発明のように、隙間調整手段が、扉体の幅方向端部又は当該端部と対面する部位の一方に設定される被調整部に向かって幅方向へ移動する移動調整部を備えてなり、当該移動調整部が対面する被調整部に対して近接・離間するようにした構成が挙げられる。
【0007】
また、隙間の大きさの調整作業を、現場において容易、且つ迅速に行うという観点から、第3発明では、移動調整部を、移動調整部が対面する被調整部へ向かい幅方向に移動する移動側部材と、当該移動側部材を支持する固定側部材と、これら移動側部材と固定側部材に亘って係合され、移動側部材の外側から移動操作することにより、移動側部材を支持しながら幅方向に移動させる調整部材とを有した構成にした。
【0008】
また、移動側部材と被調整部との隙間の大きさの調整をより正確に行うという観点から、第4発明のように前記調整部材を扉体の縦方向に複数個備えることが好ましい。
ここで複数個とは、2個以上を意味し、扉体の縦方向の高さに応じてその個数を増減することが好ましい。
また、扉体の縦方向とは、幅方向と交差する高さ方向に沿う方向を意味する。
【0009】
また、前記調整部材における移動側部材に対する移動操作の具体的構成として、例えば、第5発明のように、調整部材に備えられた調整操作部の先端面が、移動側部材の被調整部側面に対して略同面とする位置又は被調整部側面から没入する位置に在るようにした構成が挙げられる。
【0010】
前記調整部材の具体的構成として、例えば、第6発明のように、調整部材が螺子部材であり、当該螺子部材が移動側部材に対して周方向に回動可能に貫通するとともに、移動側部材を幅方向に移動可能に支持し、且つ固定側部材に対して螺合してなる構成が挙げられる。
【0011】
また、第6発明の場合、移動調整部の配設時における作業容易性の向上という観点から、第7発明のように、移動側部材に前記螺合部材に嵌合する嵌合空間部を形成し、当該嵌合空間部を固定側部材にあらかじめ螺合された前記螺子部材に対して引っ掛けるようにすることが好ましい。
【0012】
また、移動側部材の位置の保持機能の向上、移動側部材に対する衝撃を吸収するという観点から、第8発明のように、固定側部材と移動側部材とに亘って、当該移動側部材を被調整部に近接させる方向へ付勢する付勢手段を装着することが好ましい。
ここで付勢手段とは、コイルスプリングや板ばね等の各種ばね類、あるいは、弾性を有するゴム材、弾性合成樹脂材、更には、互いに反発し合う磁石等の押し圧力に対して反発力が作用するようなものが挙げられる。
【0013】
また、より良好な閉鎖性を確保するという観点から、第9発明のように、移動調整部又は被調整部に、可撓性を有する素材からなる接触部材を設け、当該接触部材を移動調整部又は被調整部に接触させて隙間を塞ぐようにしても良い。
ここで可撓性を有する素材とは、例えば、モヘアや軟質の繊維からなる不織布等の各種繊維素材、あるいはゴム材、軟質の合成樹脂材、スポンジ材、発泡材等の軟質の素材が挙げられる。
更に、第10発明のように、移動調整部又は被調整部に扉体の閉鎖状態において隙間を隠す目隠しを設けても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、以上の構成により、下記の優れた効果が期待できる。
第1発明によれば、隙間調整手段の調整により、扉体の幅方向端部と当該端部と対面する部位との間に生じる隙間の間隔を必要最小限にすることができる。
その上、隙間調整手段の調整を現場の状況により迅速、且つ容易に行うことができる。
更に、開閉扉装置の長期間に亘る使用によりずれ等が生じても、調整手段を調整することにより、ずれ等を補正することができる。
したがって、開閉扉装置の良好な閉鎖性を確保するとともに、現場の状況に応じて閉鎖性の調整を迅速、且つ容易に行うことができる。
【0015】
また、第2発明によれば、隙間調整手段を具体的に提供することができる。
また、第3発明によれば、調整部材を移動側部材の外側から移動操作するので、隙間の調整作業を、現場において容易、且つ迅速に行うことができる。
また、第4発明によれば、調整部材を扉体の縦方向に複数個備えているので、現場の状況に応じて調整部材の調整量を夫々変えることにより、移動側部材と被調整部との隙間の間隔調整をより正確に行うことができる。
【0016】
また、第5発明によれば、前記調整部材における移動側部材に対する移動操作の具体的構成を提供することができる。
また、第6発明によれば、前記調整部材を具体的に提供することができる。
また、第7発明によれば、固定側部材に螺合された螺合部材に移動側部材を引っ掛けるようにしているので、移動調整部の配設時における作業容易性が向上する。
【0017】
また、第8発明によれば、移動側部材が付勢手段により被調整部に近接させる方向へ付勢されているので、移動側部材の位置の保持機能の向上が図れるとともに、移動側部材に対する衝撃を吸収することができる。
【0018】
また、第9発明によれば、可撓性を有する接触部材が移動調整部又は被調整部に接触するため、移動調整部又は被調整部に対して傷付けることなく、扉体の開閉ができるとともに、閉鎖時における隙間を塞ぐことができるので、より良好な閉鎖性を確保する点において有効である。
また、第10発明によれば、移動調整部又は被調整部に扉体の閉鎖状態において隙間を隠す目隠しを設けているので、特に、第三者によって故意に覗かれるような隙間が形成されてしまうのを防ぐ点において有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の開閉扉装置を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
本発明に係る開閉扉装置は、住宅やビル、倉庫、工場、地下街、トンネル、車両の荷台等の構築・構造物において開閉される出入り口等の部分に配設されるものである。
また、本発明に係る開閉扉装置は、折戸・両開き戸・片開き戸・回転ドア・バランスドア等の扉体を回動させながら、戸枠により開口された開口部を開閉する構成や、引き戸やスライドドア等の扉体を幅方向に移動させながら戸枠により開口された開口部を開閉する構成等について適用可能であるが、本形態では、特に好ましい形態として折戸とした開閉扉装置を例示する。
【0020】
前記開閉扉装置1は、図1に示すように、連設された複数枚(図示では2枚)の扉体11,12からなる折戸部10と、三方枠構造の戸枠部20と、折戸部10の戸後側を回動可能に支持する基軸部30と、扉体11を回動および開口部幅方向(図1における左右方向)へ移動するように支持した移動支持機構40と、扉体11の戸先部10Aと戸枠部20の戸先側縦枠部21との間に配設された隙間調整手段とを備えている。
【0021】
前記折戸部10は、連設されて隣り合う扉体11,12の一方を他方に対して双方向へ回動するように接続してなる。
なお、図示例によれば、折戸部10は、二つの扉体11,12により構成しているが、3以上の扉体を前記と同様に接続するようにしてもよい。
【0022】
前記扉体11は、その上端部が、後述する移動支持機構40によって吊持されることで、回動可能かつ開口部幅方向へ移動可能に支持されている。
この扉体11の戸先側における表部及び/又は裏部には、取手部11Aが設けられている。
取手部11Aは、扉体11に対し離間するように固定された軸部11A1に、回動自在に把持筒部11A2を環装してなる。
この取手部11Aによれば、扉体11を開閉操作する操作者が、手首を返すことなく、把持筒部11A2を回動させながら扉体11を回動させることができるため、その操作性が良好である。
また、扉体11の戸後側の端部は、蝶番や歯車、リンク部材等の回動機構を介して、扉体12の戸先側端部に対し回動自在に接続されている。
なお、図中符号11A3は、ガラスや透明合成樹脂材料等の透明部材からなる窓部である。
また、図中符号13は、扉体11の戸後側端部と、扉体12の戸先側端部との各々に設けられ、これら扉体11,12間に物等が挟まれるのを防ぐ、挟み防止部材13であり、ゴムや弾性樹脂材料等から中空状に形成されている。
【0023】
前記扉体12は、前記基軸部30によって双方向へ回動するように支持されるとともに、同基軸部30の付勢緩衝機構32における付勢機構より閉鎖回動方向へ付勢されるとともに、同付勢緩衝機構32内のダンパー機構によって全閉状態の手前で閉鎖速度が低下するようになっている。
【0024】
この扉体12における表部又は裏部には、前記付勢機構32の調整部を露出させるように調整窓部12A,12Bが設けられている。
一方の調整窓部12A(又は12B)は、付勢緩衝機構32の前記付勢機構を調整するための窓部であり、他方の調整窓部12B(又は12A)は、同付勢緩衝機構32の前記ダンパー機構を調整するための窓部である。
これら調整窓部12A,12Bは、使用時以外はカバー部材等により覆うようにすればよいが、カバー部材等を設けずに付勢緩衝機構32が露出される構成とすることも可能である。
【0025】
前記枠体20は、全閉時の折戸部10の戸先部10Aに対向する戸先側縦枠部21と、全閉時の折戸部10の戸後部10Bに対向する戸後側縦枠部22と、これら戸後側縦枠部材22間をその上端側で連結する上枠部23とからなる三方枠構造のものであり、中空状の上枠部23内には、移動支持機構40が内装されている。
なお、本形態で例示した枠体は、三方枠構造のものであるが、折戸部10の四方を囲む四方枠としてもよい。
【0026】
前記基軸部30は、折戸部10の最戸後側における上端側を回動自在に支持する枢支部材31と、同戸後側の下端側を支持する付勢緩衝機構32とから構成され、戸後側の扉体12を回動可能に支持している。
枢支部材31は、その上端側の部分が上枠部23に固定されるとともに、その下端側の部分を扉体12に対し回動自在に係合させている。
【0027】
前記付勢緩衝機構32は、扉体12をスプリング等の弾性体の弾性力により閉鎖回動方向へ付勢する付勢機構と、同扉体12の閉鎖動作を全閉状態の手前で減速するダンパー機構とを備えた周知の機構である。
なお、前記ダンパー機構は、扉体12が勢いよく開放された際等に、全開時の衝撃を緩和する機構に置換することも可能である。
【0028】
前記移動支持機構40は、開口部幅方向へ移動するように設けられるとともに、戸先側の扉体11を回動自在に吊持する移動支持部41と、該移動支持部41を開口部幅方向へ導くガイドレール42とを備えている。
【0029】
本形態で例示する前記隙間調整手段は、戸先側縦枠部21に配設された移動調整部Aであり、被調整部とする折戸部10の戸先部10Aに対して近接・離間する方向に移動可能に構成されたものである。
【0030】
前記移動調整部Aは、前記戸先部10Aへ向かい幅方向に移動する移動側部材A1と、戸先側縦枠部21に形成された固定側部材A2と、移動側部材A1の移動調整を行う複数個(図示例では3個)の調整部材である螺合部材A3とから構成されている(図3乃至図5参照)。
尚、本形態における移動調整部Aは、戸先側縦枠部21に配設された形態で例示されているが、本発明における移動調整部Aは、戸後側縦枠部22に配設した形態としてもよく、この場合、固定側部材A2が戸後側縦枠部22を兼用するようにしてもよい。
又、移動側調整部Aは、扉体11の戸先部10に配設した形態としてもよく、この場合、固定側部材A2が扉体11の戸先部10を兼用するようにしてもよい。
又、移動側調整部Aは、扉体11の戸後部に配設した形態としてもよく、この場合、固定側部材A2が扉体11の戸後部を兼用するようにしてもよい。
【0031】
移動側部材A1は、平面視略コ型状とするとともに、戸先側縦枠部21と略同長に形成され、その平面視略コ型状の開放側を固定側部材A2に対向させ、閉鎖側を被調整部側面A11として戸先部10Aに対向させている。
また、被調整部側面A11は、その縦方向全長に亘り、両端部(図において上下)から略中央部へ固定側部材側に凹むように傾斜させてなる略凹部としている。
すなわち、移動側部材A1を戸先部10A方向へ移動させることにより、戸先部10Aが略凹部とした被調整部側面A11に入り込むような状態となるため、被調整部側面A11と戸先部10Aとの隙間を、正面視において被調整部側面A11おける両端部で隠すことができる(図5(c)参照)。
また、被調整部側面A11には、前記螺合部材A3と略同軸線上に操作孔部A12が開孔されており、この操作孔部A12からドライバー等の治具Bを挿入して螺合部材A3の正逆回転操作を行うようにしている(図5(b)参照)。
【0032】
また、符号A14は、前記操作孔部A12に着脱可能に嵌合される弾性を有する軟質ゴム製のキャップ部材である。
前記キャップ部材A14の周囲には、前記操作孔部A12の周囲縁が嵌合する嵌合溝A141が形成され、嵌合溝A141の両側には操作孔部A12の周囲縁を挟持する鍔部A142、A143が形成されている。
また、固定側部材側の鍔部A142は、略先細り形状に形成されており、後述するキャップ部材A14の操作孔部A12に対する装着動作を行い易くしている。
すなわち、キャップ部材A14を操作孔部A12に装着する際において、その鍔部A142の先端側を操作孔部A12に略正対させて押し込むと、嵌合溝A141と正対する操作孔部A12の内径部に略先細り形状の鍔部A142の周面が接触し、鍔部A142に対する押し込み圧を徐々に大きくしながら鍔部A142を変形させるとともに、操作孔部A12を通過させることができる。
このようなキャップ部材A14を操作孔部A12に対して装着するには、前記したように、キャップ部材A14の押し込みで鍔部A142を変形させて操作孔部A12を通過させることにより、嵌合溝A141に操作孔部A12の周囲縁を嵌合させて装着する。
また、キャップ部材A14を操作孔部A12から取り外すには、鍔部A143を引っ張り、その引張り力で鍔部A142を変形させて操作孔部A12から引き抜いて取り外す。
このゴム製のキャップ部材A14によって、操作孔部A12を塞ぐことができるので、意匠を損ねることも無く、その弾性による緩衝効果も期待できる。
【0033】
また、移動側部材A1の開放側には、前記螺合部材A3で支持される支持板A31が固着されている。
支持板A31は、略方形状の平板状に形成され、移動側部材A1の上方及び下方、並びに中央の3箇所に配設されている。
また、支持板A31には、後述する構成で固定側部材A2に螺合される螺合部材A3に掛止されるスリットA32が形成されている。
スリットA32は、支持板A31の下端縁から支持板A31の中心部へ向かうように切欠き形成されており、前記螺合部材A3の上方にスリットA32の開放部を位置させて、そのまま移動側部材A1を下方へ下げることにより、スリットA32が螺合部材A3に嵌合され、この嵌合により移動側部材A1を固定側部材A3に連結することができ、この掛止状態から移動側部材A1を上方へ持ち上げることにより、移動側部材A1を固定側部材A2から取り外すことができる。
【0034】
本形態における固定側部材A2は、戸先側縦枠部21が兼用しており、移動側部材A1と対向する対向面に、移動側部材A1が幅方向に出没可能に嵌合される嵌合凹部21Aが、戸先側縦枠部21の縦方向の略全域に亘って形成されている。
また、前記嵌合凹部21Aにおける底面部21Bには前記螺合部材A3が螺合されている。
【0035】
前記螺合部材A3は、固定側部材A2に螺合されるとともに、前記スリットA32を掛止する螺子部A33の端部に前記治具Bが係合して回転操作される係合部A34を有した略ビス状のものであり、固定側部材A2に対して幅方向移動可能に螺合されている。
また、螺子部A33には、前記支持板A31を支持するためのナット部材A35が螺合され、当該ナット部材A35と前記係合部A34とで支持板A31が挟持されるように、ナット部材A35と前記係合部A34の間に位置する螺子部A33に前記スリットA32を嵌合することにより、前記移動側部材A1と固定側部材A2とが連結されるとともに、螺合部材A3の回転操作によって移動側部材A1を幅方向へ移動させることができる状態となる。
【0036】
また、螺合部材A3は、支持板A31と対向するように、移動側部材A1の上方及び下方、並びに中央の3箇所に螺合され、固定側部材に対する移動量を夫々変えることによって、移動側部材A1を幅方向に傾斜させることができるようにしている。
すなわち、戸先側縦枠部21や戸先部10Aの製造誤差や取り付け誤差等により垂直がずれたとしても、3箇所の螺合部材A3の移動量を夫々変えることによって、移動側部材A1を戸先部10Aに対して平行状にすることができるため、移動側部材A1と戸先部10Aとの隙間の間隔調整をより正確に行うことができる。
【0037】
本形態の開閉扉装置によれば、移動調整部Aを構成する際において、支持板A31を固定側部材A2に螺合された螺合部材A3に対して引っ掛けることによって、移動側部材A1と固定側部材A2とが連結され、移動調整部Aが構成される。
そして、移動側部材A1の外側から操作孔部A12を介して螺合部材A3を回転操作することによって、移動側部材A1を戸先部10Aに対して近接・離間させながら必要最小限の隙間になるように調整できる(図5(a)〜(c)参照)。
【0038】
尚、本形態の螺合部材A3は、その係合部A34が移動側部材A1の内部に位置する形態を例示しているが、係合部A34の先端面を移動側部材A1の被調整部側面A12と略同面とする形態にしても良い(図示せず)。
【0039】
図6に示す形態は、移動側部材A1を前記螺合部材A3の移動に伴って移動させる他の形態を示している。
本形態では、前記ナット部材A35に換えて付勢手段の一例であるコイルスプリングA36を、前記支持板A31と前記嵌合凹部における底面部22Bとの間に、前記螺子部A33に圧縮状に環装して、移動側部材A1を戸先部10A方向に付勢するようにしている。
すなわち、本形態のコイルスプリングA36によれば、移動側部材A1を戸先部10A方向に付勢しているので、螺合部材A3を締め付け方向に回転させることにより、移動側部材A1がコイルスプリングA36の付勢力に抗して固定側部材A2方向に移動し、螺合部材A3を緩める方向に回転させることにより、移動側部材A1がコイルスプリングA36の付勢力で戸先部10A方向へ移動するので、移動側部材A1と戸先部10Aとの隙間の調整を行うことができる。
【0040】
また、本形態におけるコイルスプリングA36は、移動側部材A1に対して外方から衝撃力等が作用した際に、移動側部材A1に作用する固定側部材A2方向への移動力を収縮することにより吸収するので、移動側部材A1の破損や変形等を防ぐ緩衝材としても機能するものである。
更に、本形態におけるコイルスプリングA36は、移動側部材A1を戸先部10A方向に付勢することにより、固定側部材A2に螺合された螺合部材A3における係合部A34と支持板A31との接触力を高めているので、固定側部材A2に螺合された螺合部材A3の緩みを防ぐ緩み止め材としても機能するものである。
尚、本発明における付勢手段は、例示したコイルスプリング以外の板ばね等の各種ばね類、あるいは、弾性を有するゴム材、弾性合成樹脂材、更には、互いに反発し合う磁石等の押し圧力に対して反発力が作用するような手段でもよい。
又、付勢手段は、前記移動部材A1を戸先部10A方向に付勢可能な部位であれば、例示した螺子部A33以外の部位に設けてもよく、例えば、コイルスプリングA36を付勢手段として用いる場合、その一端を嵌合凹部21Aにおける底面部21Bに当接させ、他端を被調整部側面A11の裏側に当接するように設けることで例示した形態と同様の作用効果を得られる。
【0041】
図7に示す形態は、より良好な閉鎖性を確保するための接触部材Cを配設した形態を示している。
尚、前記で例示した各形態と重複する部位については、同符号を付すことにより、説明は省略する。
【0042】
本形態の接触部材Cは、モヘア材を用いたものであり、前記キャップ部材A14の鍔部A143の先端面に、折戸の閉鎖状態において戸先部10Aに接触するように固着されている。
具体的には、接触部材Cは、ゴム材等の軟質材を用いて前記移動側部材A1の縦方向の全長と略同長に形成した固着板C1の表面全域に、接触部としてモヘア材C2を貼り付けてなるものであり、この接触部材Cを3個のキャップ部材A14における鍔部A143の先端面に対して架渡すように固着している。
すなわち、本形態の接触部材Cによれば、移動側部材A1と戸先部10Aとの隙間をモヘア材C2が塞ぐため、より良好な閉鎖性を確保することができる。
また、モヘア材C2という軟質の繊維を用いているので、開閉動作する折戸部10における戸先部10Aに対する傷付き等を防ぐことができる。
尚、本形態では、前記移動調整部を備えた上で接触部材Cを配設した形態を例示しているが、移動調整部を備えない開閉扉装置に接触部材Cを配設した場合、隙間の調整は不可能であるものの、隙間を塞ぎ閉鎖性を確保するという点について有効なものである。
又、本形態では、キャップ部材A14により操作孔部A12を隠すようにしているが、このキャップ部材A14を省略し、モヘア材C2を被調整部側面A11に貼り付けるようにして操作孔部A12を隠し、又移動側部材A1と戸先部10Aとの隙間を塞ぐようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る開閉扉装置の一例を示す正面図。
【図2】同開閉扉装置における扉体の動作を示す断面図。
【図3】本発明に係る開閉扉装置の要部拡大断面図。
【図4】本発明に係る開閉扉装置の要部拡大断面図。
【図5】本発明に係る開閉扉装置の隙間調整動作を示す断面図で、(a)は調整前、(b)は調整作業、(c)は調整後を夫々示す。
【図6】本発明に係る開閉扉装置の他例を示す要部断面図。
【図7】本発明に係る開閉扉装置の他例を示す要部断面図。
【符号の説明】
【0044】
1:開閉扉装置
11:扉体
10A:戸先部
21:戸先側縦枠部
A:移動調整部(隙間調整手段)
A1:移動側部材
A2:固定側部材
A3:螺合部材(調整部材)
A12:操作孔部
A14:キャップ部材
A31:支持板
A32:スリット
A36:コイルスプリング
C:接触部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉体の幅方向端部と当該端部と対面する部位との間に生じる隙間の大きさを任意に調整可能な隙間調整手段を備えた開閉扉装置。
【請求項2】
隙間調整手段が、扉体の幅方向端部又は当該端部と対面する部位の一方に設定される被調整部に向かって幅方向へ移動する移動調整部を備えてなり、当該移動調整部が対面する被調整部に対して近接・離間するようにしている請求項1に記載の開閉扉装置。
【請求項3】
移動調整部を、前記被調整部へ向かい幅方向に移動する移動側部材と、当該移動側部材を支持する固定側部材と、これら移動側部材と固定側部材に亘って係合され、移動側部材の外側から移動操作することにより、移動側部材を支持しながら幅方向に移動させる調整部材とを有してなる請求項2に記載の開閉扉装置。
【請求項4】
前記調整部材を扉体の縦方向に複数個備えている請求項3に記載の開閉扉装置。
【請求項5】
前記調整部材に備えられた調整操作部の先端面が、移動側部材の被調整部側面に対して略同面とする位置又は被調整部側面から没入する位置に在るようにしている請求項3又は請求項4に記載の開閉扉装置。
【請求項6】
前記調整部材が螺子部材であり、当該螺子部材が移動側部材に対して周方向に回動可能に貫通するとともに、移動側部材を幅方向に移動可能に支持し、且つ固定側部材に対して螺合してなる請求項3乃至請求項5いずれか1項に記載の開閉扉装置。
【請求項7】
移動側部材に前記螺合部材に嵌合する嵌合空間部を形成し、当該嵌合空間部を固定側部材にあらかじめ螺合された前記螺子部材に対して掛止するようにしている請求項6に記載の開閉扉装置。
【請求項8】
前記固定側部材と移動側部材とに亘って、当該移動側部材を被調整部に近接させる方向へ付勢する付勢手段を装着している請求項3乃至請求項7いずれか1項に記載の開閉扉装置。
【請求項9】
前記移動調整部又は被調整部に、可撓性を有する素材からなる接触部材を設け、当該接触部材を移動調整部又は被調整部に接触させて隙間を塞ぐようにしている請求項2乃至請求項8いずれか1項に記載の開閉扉装置。
【請求項10】
前記移動調整部又は被調整部に、扉体の閉鎖状態において隙間を隠す目隠しを設けている請求項2乃至請求項9いずれか1項に記載の開閉扉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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