説明

開閉案内機構

【課題】 凹所に収容される接続部を外部から視認できないように覆うカバー体に用いられる開閉案内機構であって、外観における美感を向上させることのできる開閉案内機構を提供する。
【解決手段】 開閉案内機構1は、電子機器2に設けられる接続端子3を露出させた状態で電子機器2に装着される意匠カバー本体11と、意匠カバー本体11に閉鎖位置と開放位置とにわたって変位自在に設けられる操作カバー片22と、操作カバー片22の一表面から突出し、操作カバー片22を閉鎖位置および開放位置間にわたって開閉空間Sよりも側方の予め定める位置を回転中心L0として変位するように案内する案内溝24が形成される案内レール片23と、意匠カバー本体11に設けられ、案内レール片23の案内溝24に嵌合する嵌合突起17aを有し、案内レール片23をその長手方向に沿って変位自在に保持するレール案内部17とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹所に収容される外部入力端子等の接続部を外部から視認できないように覆うおよびゴミやホコリの侵入を防ぐカバー体において用いられる開閉案内機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
VTR(Video Tape Recorder)アダプタ等の外部入力端子が前面に備えられている電子機器に対し、外観の意匠性を向上させるために、電子機器本体に意匠カバーが装着される。このような意匠カバーは、外部入力端子を外部に露出させるための開口部を有しており、さらに、前記開口部を覆い、開閉可能に設けられる開閉カバーを有している。
【0003】
外部入力端子を使用する場合、すなわち外部機器と前記電子機器とを接続する場合には、開閉カバーを閉鎖位置から変位させることによって、外部入力端子が外部に露出する状態とされる。逆に、外部入力端子を使用しない場合には、開閉カバーを閉鎖位置に配置することによって、外部入力端子が外部から視認できない状態となる。この状態では、開閉カバーは外観における美観の向上に寄与する。
【0004】
【特許文献1】特開平5−246112号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の開閉カバーは、回転軸に回転可能に取り付けられる構造であった。このような開閉カバーを有する意匠カバーでは、開閉カバーの変位に起因する意匠カバーと開閉カバーとの干渉を防止するために、意匠カバーに干渉防止用の隙間を設ける必要があった。このような隙間は、意匠カバー全体の美観を損ねてしまうという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、外観における美感を向上させることのできる開閉案内機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明(1)は、電子機器本体に設けられる接続部を露出させた状態で、前記電子機器本体に装着されるカバー本体と、
前記カバー本体に、カバー本体の前記接続部が露出する開閉空間を覆う閉鎖位置と、前記開閉空間から上方へ変位して開閉空間を開放した開放位置とにわたって変位自在に設けられる操作カバー片と、
操作カバー片の一表面から突出し、操作カバー片を前記閉鎖位置および開放位置間にわたって前記開閉空間よりも側方の予め定める位置を回転中心として変位するように案内する案内溝が形成される案内レール片と、
前記カバー本体に設けられ、前記案内レールの案内溝に嵌合する嵌合突起を有し、案内レールをその長手方向に沿って変位自在に保持する保持手段とを含むことを特徴とする開閉案内機構である。
【発明の効果】
【0008】
本発明(1)によれば、開閉カバーの開閉による周囲との干渉を防止するための隙間の幅を可及的に狭くすることができるので、外観における美観を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、本発明の実施の形態の開閉案内機構1を示す断面図である。図2は、図1の切断面線II−IIから見た断面図であり、レール案内部17を示す図である。図3は、意匠カバー本体11の一部を示す正面図である。図4は、操作カバー本体21を示す正面図である。なお、図1におけるX1方向を上方向,X2方向を下方向、X方向を上下方向と記し、Y1方向を左方向、Y2方向を右方向、Y方向を左右方向、Z1方向を前方向、Z2方向を後方向、Z方向を前後方向と記す場合がある。また、図1におけるA1方向を開放方向、A2方向を閉鎖方向、A方向を開閉方向と記す場合がある。
【0010】
本発明の実施の形態の開閉案内機構1は、たとえば車両のインストルメントパネル(以下「インパネ」と略す)などに取り付けられ、かつ前面2aに外部機器との接続用の端子(以下「接続端子」と記す)3が設けられる電子機器2に対し、その電子機器2の前面2aを覆って装着される意匠カバー4において用いられる。
【0011】
このような電子機器2は、たとえばデジタルビデオカメラおよびポータブルDVD(
Digital Versatile Disc)プレイヤーなどの外部機器との接続が可能なVTRアダプタであり、VTRアダプタは音声および映像などを入力するための接続端子3を有する。VTRアダプタは、モニタとともに用いられ、専用のケーブルを介して外部機器と接続することにより、外部機器に記録または表示されている情報をモニタに出力させることができる。本実施の形態では、電子機器2は3つの接続端子3を有し、3つの接続端子3は、電子機器2の前面2aにおける左下角近傍において、左右方向に並んで前面2aから突出して設けられている。
【0012】
意匠カバー4は、電子機器2の前面2aを覆うように装着され、意匠カバー4の前方側の端部である前端部4aに形成される前面意匠によって、高級感を演出するなどの見栄えを良くすることを実現している。同時に、外部機器との接続に必要な接続端子3を外部に露出させることができるように構成されている。
【0013】
このような意匠カバー4は、接続端子3を露出させるための凹部14によって形成される開閉空間S内において接続端子3を露出させた状態で、電子機器2の前面2aを覆うように装着される意匠カバー本体11と、接続端子3が露出している開閉空間Sを覆うように意匠カバー本体11に取り付けられる操作カバー本体21とによって構成される。
【0014】
先ず意匠カバー本体11について説明する。意匠カバー本体11には、凹部14と、開閉空間Sを覆う操作カバー片22が嵌合する嵌合部16が形成されている。本実施の形態では、凹部14および嵌合部16は、意匠カバー本体11の前端部における左下角近傍において形成され、この位置は、意匠カバー4を電子機器2へ装着したときに、電子機器2の前面2aから突出する接続端子3の位置に対応する。
【0015】
凹部14は、上壁部14a、下壁部14b、左壁部14c、右壁部14d、および底部14eとから成り、有底矩形筒状に形成されている。また、底部14eには、接続端子3を挿通させる貫通孔(本実施の形態では3つの貫通孔)14fが形成されている。したがって、貫通孔14fを挿通した接続端子3を、各壁部14a〜14eと嵌合部16に嵌合された操作カバー片22とによって囲まれる開閉空間S内に収容させることができる。
【0016】
操作カバー片22が、嵌合部16に嵌合されている状態にあるときは、接続端子3は外部から視認することができないが、操作カバー片22を嵌合部16から変位させることによって、接続端子3を外部に露出させることができる。
【0017】
凹部14には、上壁部14aおよび底部14eと左壁部14bまたは右壁部14cとによって形成される各上方角部付近に、レール案内部17がそれぞれ形成される。以下、右側に形成されるレール案内部17について説明する。なお、左側に形成されるレール案内部17は、開閉空間Sの重心を含むXZ平面に平行な仮想一平面に対して右側レール案内部17と面対称に形成されるため説明を省略する。
【0018】
右側レール案内部17は、嵌合突起17aと、第1案内部分17bと、第2案内部分17cとを含む。嵌合突起17aは、略円錐台状の凸条であり、右壁部14dから突出して設けられ、右壁部14dから左壁部14cに向かって半径が減少する方向に傾斜する側壁部18aと側壁部18aに連なる先端部18bとを有する。
【0019】
第2案内部分17cは、Z方向に延び、XY平面に平行な仮想一平面で切断した断面において、略L字状の形状をしている。第2案内部分17cは、右壁部14dにおいて嵌合突起17aよりも下方の部分から右壁部14dに対して垂直に立設する矩形板状の第1壁部18cと、第1壁部18cの先端部から上壁部14aに向かって第1壁部18cに対して垂直に立設する矩形板状の第2壁部18dとを有する。第1案内部分17bは、Z方向に延びる矩形板状であり、上壁部14aにおいて第2案内部分17cの第1壁部18cに対向する位置に、上壁部14aから突出して設けられる。
【0020】
さらに、底部14eにおいて、第1案内部分17b、第2案内部分17c、上壁部14a、および右壁部14cによって囲まれる領域をZ方向に投影した部分には、レール貫通孔19が形成されており、案内レール片23が挿通可能である。
【0021】
次に、操作カバー本体21について説明する。操作カバー本体21は、操作カバー片22と一対の案内レール片23とを含む。操作カバー片22は、Y方向に延び、XZ平面に平行な仮想一平面で切断した断面において、前方側が凸である略「く」の字状の形状をしている板状部材であって、意匠カバー本体11に形成される嵌合部16に嵌合するように形成されている。意匠カバー本体11において嵌合部16の左右両側は、XZ平面に平行な仮想一平面で切断した断面において、前方側が凸である略「く」の字状の形状をしており、嵌合部16に操作カバー片22が嵌合された状態では、意匠カバー本体11と操作カバー本体21とによって、左右方向に連続した形状が形成されている。
【0022】
操作カバー片22の前方端部22aには、左右方向の中央付近であって、かつ凸条に形成される頂部22cよりも下部に形成される凹所から成る操作部22dが設けられる。本実施の形態では、操作カバー片22は、後述するように上方へ変位するように構成されているので、このような操作部22dを設けることによって、操作部22dに指が係合され易くなり、操作部22dに係合している指で操作カバー片22を上方に押圧することによって、閉鎖位置にある操作カバー片22を容易に上方へ変位させることができる。
【0023】
一対の案内レール片23は、操作カバー片22の後方端部22bから突出して設けられる。後方端部22bにおいて、一対の案内レール片23が設けられる位置は、閉鎖位置に配置された操作カバー片22においてレール貫通孔19に対向する位置である。以下、右側に形成される案内レール片23について説明する。なお、左側に形成される案内レール片23は、操作カバー片22の重心を含むXZ平面に平行な仮想一平面に対して案内レール片23と面対称に形成されるため説明を省略する。
【0024】
案内レール片23は、操作カバー片22側の一端部23aから他端部23bにわたって、架空点L0を中心として同一の曲率を持って湾曲して延びる板状部材である。案内レール片23は、中心L0が、操作カバー片22の略上方に位置するように形成されており、したがって、下向きに凸の円弧状に形成されている。案内レール片23は、一端部23aから他端部23bにわたって同一の幅W1を有しており、この幅W1は、レール案内部17における第1案内部分17bと第2案内部分17cの第1壁部18cとの間の寸法D1よりも僅かに短くなるように決定されている。
【0025】
また、案内レール片23には、厚み方向(左右方向)の一方側であって、当該案内レール片23が挿通されるレール案内部17における嵌合突起17aが接触する側(右側案内レール片23においては右側)に、案内溝24および組込み案内溝26が形成されている。案内溝24は、一端部23a近傍から他端部23b近傍にわたって延びる第1区間L1に形成される凹条の溝であり、組込み案内溝26は、第1区間L1に連なる第2区間L2と、第2区間L2に連なり、他端部23bまで延びる第3区間L3とにわたって形成される凹条の溝である。案内溝24および組込み案内溝26は、後述する第1および第2嵌合凹所25a,25bが形成される部分を除き、同一の溝幅W2を有する。また、案内溝24の溝深S1は、組込み案内溝26の溝深S2よりも大きい。
【0026】
さらに、案内レール片23には、案内溝24の開放方向上流側の端部に連なって、嵌合突起17aが着脱自在に嵌り込んで係止される第1嵌合凹所25aが形成され、開放方向下流側の端部に連なって、嵌合突起17aが着脱自在に嵌り込んで係止される第2嵌合凹所25bが形成される。第1および第2嵌合凹所25a,25bは、直径W3の直円筒の内周面の一部によって形成され、案内溝24と同一の溝深S1を有する。また、第1および第2嵌合凹所25a,25bは、その直径W3が、案内溝24および組込み案内溝26の溝幅W2よりも大きくなるように形成されている。
【0027】
さらに、第2嵌合凹所25bには、第2嵌合凹所25b内の底面から隆起し、第2嵌合凹所25bに嵌合した嵌合突起17aの先端部18bを支持する隆起部27が形成される。
【0028】
このような意匠カバー本体および操作カバー本体は、たとえばポリカーボネートとABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂のアロイであるポリカABSによって形成される。
【0029】
以下、レール案内部17に取り付けられた案内レール片23において嵌合突起17aが嵌合している位置に応じて場合分けをして説明を行う。
【0030】
案内レール片23において案内溝24が形成される第1区間L1に嵌合突起17aが嵌合されている場合、嵌合突起17aの側壁部18aと案内溝24の上端部24aとが互いに接触した状態で、案内レール片23は、案内溝24に沿って摺動する。このとき、嵌合突起17aの先端部18bと案内溝24の底面とは間を空けて離間している。また、第2案内部分17cの第2壁部18dと嵌合突起17aとの間に挟まれる案内レール片23は、押圧力が作用することによって保持されている。嵌合突起17aにおいて案内溝24の溝幅W2と同一の直径W2を有する断面を含む仮想一平面と第2壁部18dとの間の距離T2が、案内レール片23の板厚T1よりも短く(すなわち、T1>T2)なるように、案内レール片23の第1区間L1が形成されているので、案内レール片23に対し押圧力が作用する。このような押圧力が作用することによって、操作カバー本体21を開閉区間に相当する第1区間L1の任意の位置において、意匠カバー本体11に対して操作カバー本体21を保持することができる。
【0031】
図1および図2に示すように案内レール片23の第1嵌合凹所25aに嵌合突起17aが嵌合されている場合、すなわち操作カバー片22が開放位置に配置されている場合、嵌合突起17aの側壁部18aと第1嵌合凹所25aの上端部とが互いに接触した状態で、嵌合突起17aが第1嵌合凹所25aに係止されている。このとき、嵌合突起17aの先端部18bと第1嵌合凹所25aの底面とは間を空けて離間している。この場合、第1嵌合凹所25aの直径W3が、案内溝24および組込み案内溝26の溝幅W2よりも大きくなっているので、案内溝24における場合と比較して、嵌合突起17aは、より大きく嵌合されている。このとき、嵌合突起17aは、第1嵌合凹所25aに連なる案内溝24および組込み案内溝26の上端部によって係止される。したがって、開放位置にある操作カバー本体21には、車両の振動によって大きな回転トルクが作用することになるが、嵌合突起17aを第1嵌合凹所25aに嵌合させることによって大きな係止力を発生させることができるので、操作カバー本体21を勝手に変位させないようにすることができる。
【0032】
案内レール片23において組込み案内溝26が形成される第2区間L2に嵌合突起17aが位置する場合、嵌合突起17aの先端部18bが組み込み案内溝26の底面と当接している状態で、案内レール片23は、組込み案内溝26に沿って摺動する。このとき、第2案内部分17cの第2壁部18dと嵌合突起17aの先端部18bとの間に挟まれる案内レール片23は、前述する案内溝24の場合に作用していた押圧力よりも強い押圧力が作用することによって保持されている。嵌合突起17aの先端部18bと第2壁部18dとの間の距離T3よりも組込み案内溝26の底面部における案内レール片23の厚さT4(=T1−S2)が大きくなり、かつT4−T3>T1−T2となるように案内レール片23の第2区間L2が形成されているので、案内レール片23に対し強い押圧力が作用する。
【0033】
このように第2区間L2にも組込み案内溝26を形成することにより、開放位置にある操作カバー片21に大きな外力が作用した場合でも、組込み案内溝26が形成されない場合と比較して、操作カバー本体21を容易に開放方向へ変位させることができる。したがって、操作カバー片22と接触した場合の安全性が向上されるとともに、操作カバー本体21が損壊してしまうことを防止することができる。また、案内溝24の場合に作用していた押圧力よりも強い押圧力が作用することになるので、開放位置にある操作カバー片22が不用意に開放方向へ変位することを防止することができる。
【0034】
案内レール片23において組込み案内溝26が形成される第3区間L3に嵌合突起17aが位置する場合も、嵌合突起17aの先端部18bが組み込み案内溝26の底面と当接している状態で、案内レール片23は、組込み案内溝26に沿って摺動する。この第3区間L3は、他端部23bに向かって板厚が減少するように形成されているので、板厚の減少に伴って作用する押圧力も減少する。したがって、嵌合突起17aが第2区間L2から第3区間L3に向かうように案内レール片23が摺動すると、案内レール片23をレール案内部17から容易に離脱させることができる。また、操作カバー本体21が意匠カバー本体11から離脱した場合でも、案内レール片23の第3区間L3が先細に、かつ組込み案内溝26が形成されているので、案内レール片23をレール案内部17に容易に挿通させることができ、操作カバー本体21を容易に意匠カバー本体11に取り付けることができる。
【0035】
案内レール片23の第2嵌合凹所25bに嵌合突起17aが嵌合されている場合、すなわち操作カバー片22が閉鎖位置に配置されている場合、嵌合突起17aの側壁部18aと第2嵌合凹所25aの上端部とが互いに接触し、さらに嵌合突起17aの先端部18bと第2嵌合凹所25aの底面から隆起する隆起部27とが互いに接触した状態で、嵌合突起17aが第2嵌合凹所25bに係止されている。この場合、第2嵌合凹所25bの直径W3が、案内溝24溝幅W2よりも大きくなっているので、案内溝24における場合と比較して、嵌合突起17aは、より大きく嵌合されている。このとき、嵌合突起17aは、第2嵌合凹所25bに連なる案内溝24の上端部によって係止される。このように、嵌合突起17aを第2嵌合凹所25bに嵌合させることによって大きな係止力を発生させることができるので、車両の振動等によって操作カバー本体21を勝手に変位させないようにすることができる。さらに、隆起部27によって嵌合突起27aの先端部28bを支持しているので、車両の振動等による操作カバー本体21のがたつきを可及的に低減することができる。
【0036】
以下、操作カバー本体21の開閉動作について説明する。図1は、操作カバー片22が開放位置にある状態を示している。図1に示すように、本実施の形態では、操作カバー片22は、閉鎖位置から架空点L0を中心とし、案内レール片23によって決定される円周軌道に沿って上方の開放位置まで変位可能に構成されている。
【0037】
架空点L0の位置は、案内レール片23の形状および寸法を決定することによって、予め定めることができる。この架空点L0を、図1に示すように、操作カバー片22の略上方に設定することで、操作カバー片22を閉鎖位置から開放方向へ変位させる場合に、略Z1方向に変位を開始させることができる。したがって、操作カバー片22の開閉動作に伴う操作カバー片22と周囲の構造体との干渉を防止するために設けられる干渉防止用の隙間の隙間幅を可及的に低減させることによって、隙間を可及的に目立たなくさせ、意匠カバー4の外観における美観を向上させることができる。
【0038】
本実施の形態の意匠カバー本体11は、凹部14の上方に前面パネル12が装着される。前面パネル12は、文字などの情報の表示が可能な矩形板状のパネルであり、意匠カバー本体11において左右方向に延びて形成されるパネル嵌合部13aに嵌合させることによって、意匠カバー本体11に装着される。
【0039】
前面パネル12と嵌合部16に嵌合される操作カバー片22との間には干渉防止用隙間30が設けられる。この干渉防止用隙間30は、操作カバー片22の開閉動作に伴う操作カバー片22の上端部22eと前面パネル12の下端部12aとの干渉を防止するために設けられる。本発明によれば、操作カバー片22を閉鎖位置から開放位置まで変位させる場合に、操作カバー片22が閉鎖位置から略Z1方向に変位が開始されるので、操作カバー片22の上端部22eと前面パネル12の下端部12aとの間の距離、すなわち干渉防止用隙間30の溝幅を可及的に低減させることができる。したがって、意匠カバー4の前方側の端部である前端部4aに形成される前面意匠において、隙間を可及的に目立たなくさせることができるので、意匠カバー4の外観における美感を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態の開閉案内機構1を示す断面図である。
【図2】図1の切断面線II−IIから見た断面図である。
【図3】意匠カバー本体11の一部を示す正面図である。
【図4】操作カバー本体21を示す正面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 開閉案内機構
2 電子機器
3 接続端子
4 意匠カバー
11 意匠カバー本体
14 凹部
17 レール案内部
17a 嵌合突起
21 操作カバー本体
22 操作カバー片
23 案内レール片
24 案内溝
25a 第1嵌合凹所
25b 第2嵌合凹所
26 組込み案内溝
27 隆起部
S 開閉空間
L0 回転中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器本体に設けられる接続部を露出させた状態で、前記電子機器本体に装着されるカバー本体と、
前記カバー本体に、カバー本体の前記接続部が露出する開閉空間を覆う閉鎖位置と、前記開閉空間から上方へ変位して開閉空間を開放した開放位置とにわたって変位自在に設けられる操作カバー片と、
操作カバー片の一表面から突出し、操作カバー片を前記閉鎖位置および開放位置間にわたって前記開閉空間よりも側方の予め定める位置を回転中心として変位するように案内する案内溝が形成される案内レール片と、
前記カバー本体に設けられ、前記案内レール片の案内溝に嵌合する嵌合突起を有し、案内レール片をその長手方向に沿って変位自在に保持する保持手段とを含むことを特徴とする開閉案内機構。
【請求項2】
前記案内レール片には、案内溝の開放方向上流側の端部に連なって、前記嵌合突起が着脱自在に嵌り込んで係止される第1嵌合凹所が形成されることを特徴とする請求項1に記載の開閉案内機構。
【請求項3】
前記案内レール片には、案内溝の開放方向下流側の端部に連なって、前記嵌合突起が着脱自在に嵌り込んで係止される第2嵌合凹所が形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の開閉案内機構。
【請求項4】
前記案内レール片には、前記第1嵌合凹所から開放方向上流側に延び、嵌合突起の先端部が当接して案内される組込み案内溝が形成されることを特徴とする請求項2に記載の開閉案内機構。
【請求項5】
前記案内レール片には、前記第2嵌合凹所内の底面から隆起し、第2嵌合凹所に嵌合した嵌合突起の先端部を支持する隆起部が形成されることを特徴とする請求項3に記載の開閉案内機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−272257(P2009−272257A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−124065(P2008−124065)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】