説明

開閉窓

【課題】支持アームを枠体に対し容易に取付、位置調整できると共に、枠材の兼用化を図ることもできる開閉窓を提供する。
【解決手段】建物開口部に取付けられる枠体1内に支持アーム3を介して障子2を開閉自在に納めてなり、枠体1を構成する枠材11には支持アーム3を固定するアーム取付板40が長手方向に沿って設けられ、アーム取付板40は、長手方向一端側が枠材11に対してネジまたはビス止め固定され、長手方向他端側が枠材11に形成された受部16に保持されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠体内に支持アームを介して障子を開閉自在に納めた縦辷り出し窓や横辷り出し窓等の開閉窓に関し、特に支持アームを枠体に対してアーム取付板を介して固定する開閉窓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物開口部に対して取付けられた枠体内に、支持アームを介して障子を開閉自在に納めてなる開閉窓が知られており、このような開閉窓としては例えば縦辷り出し窓や横辷り出し窓などが挙げられる。開閉窓の支持アームは、枠体に対して固定される基部と、基部に対して揺動自在に取付けられるアーム部とからなり、アーム部が障子に固定されてこれを開閉自在に保持するようにしている。このような開閉窓としては、例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【特許文献1】特開平7−197732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
支持アームは、枠体に対して直接ネジまたはビス止め固定されるか、あるいは枠体に設けられるアーム取付板に対してネジまたはビス止め固定されていた。支持アームを枠体に対して直接ネジまたはビス止めする場合は、支持アームの取付位置の調整を行うことは困難である。アーム取付板を介して支持アームを枠体に固定すると、アーム取付板の位置調整により支持アームの取付位置の調整を行うことはできるが、枠体にアーム取付板を固定するための保持溝等を形成する必要があって、枠材の製造コストを増大させることとなっていた。また、枠材が開閉窓専用となって、他の種類の窓と兼用できなくなり、このこともコストの増大を招いていた。
【0004】
本発明は、前記課題を解決すべくなされたものであり、支持アームを枠体に対し容易に取付、位置調整できると共に、枠材の兼用化を図ることもできる開閉窓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係る開閉窓は、建物開口部に取付けられる枠体内に支持アームを介して障子を開閉自在に納めてなる開閉窓において、
前記枠体を構成する枠材には前記支持アームを固定するアーム取付板が長手方向に沿って設けられ、該アーム取付板は、長手方向一端側が前記枠材に対してネジまたはビス止め固定され、長手方向他端側が前記枠材に形成された受部に保持されることを特徴として構成されている。
【0006】
また、本発明に係る開閉窓は、前記受部は前記枠材を断面略L字状に切り曲げ加工して形成されることを特徴として構成されている。
【0007】
さらに、本発明に係る開閉窓は、前記受部は前記アーム取付板を保持可能な保持部材を前記枠材に取付けて形成されることを特徴として構成されている。
【0008】
さらにまた、本発明に係る開閉窓は、前記アーム取付板が前記枠材に対してネジまたはビス止め固定される長手方向一端側は、前記障子の戸先側であり、前記アーム取付板が前記枠材に形成された受部に保持される長手方向他端側は、前記障子の吊元側であることを特徴として構成されている。
【0009】
そして、本発明に係る開閉窓は、前記アーム取付板は、長手方向一端側が前記枠材に形成される長孔に対してネジまたはビス止め固定されることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る開閉窓によれば、枠材には支持アームを固定するアーム取付板が長手方向に沿って設けられ、アーム取付板は、長手方向一端側が枠材に対してネジまたはビス止め固定され、長手方向他端側が枠材に形成された受部に保持されることにより、アーム取付板により支持アームを枠材に対して容易に取付、位置調整でき、またアーム取付板を取付けるための構成を枠材自体に設けておかなくてもよいので、枠材の材料費を低減することができると共に、枠材を他の種類の窓にも用いることができるので、部品の共用化によるコストダウンを図ることができる。
【0011】
また、本発明に係る開閉窓によれば、受部は枠材を断面略L字状に切り曲げ加工して形成されることにより、簡易な手段で受部を枠材に形成することができる。
【0012】
さらに、本発明に係る開閉窓によれば、受部はアーム取付板を保持可能な保持部材を枠材に取付けて形成されることにより、保持部材を取付けるだけで受部を枠材に容易に形成することができる。
【0013】
さらにまた、本発明に係る開閉窓によれば、アーム取付板が枠材に対してネジまたはビス止め固定される長手方向一端側は、障子の戸先側であり、アーム取付板が枠材に形成された受部に保持される長手方向他端側は、障子の吊元側であることにより、ネジまたはビス止め作業を障子の戸先側で行うことができるので、アーム取付板の固定及び位置調整を容易にすることができる。
【0014】
そして、本発明に係る開閉窓によれば、アーム取付板は、長手方向一端側が枠材に形成される長孔に対してネジまたはビス止め固定されることにより、アーム取付板を枠材の長手方向に容易に位置調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施形態について、図面に沿って詳細に説明する。図1には本実施形態における開閉窓の縦断面図を、図2には開閉窓の横断面図を、それぞれ示している。これら各図に示すように、本実施形態における開閉窓は、建物開口部に取付けられる枠体1内に支持アーム3を介して障子2を開閉自在に納めてなるものである。障子2は、図2における右側位置に操作ハンドル6を備えている。また、障子2の全体が支持アーム3に支持されており、操作ハンドル6を備えた側が戸先側、それと反対側が吊元側となっている。すなわち、本実施形態の開閉窓は、操作ハンドル6を室外側に向かって押すと、戸先側が室外側に向かって開くようにされた縦辷り出し窓として構成されている。
【0016】
枠体1は、上枠10と下枠11及び左右の縦枠12、12を方形状に枠組みしてなるものである。これら枠材は、金属材に対しその室内側露出部分を覆う樹脂材が配設されてなる複合材によって構成されている。上枠10は、金属材として設けられる金属上枠10aと、樹脂材として設けられる樹脂上枠10bとから構成されている。また同様に下枠11は金属下枠11aと樹脂下枠11bとから、縦枠12は金属縦枠12aと樹脂縦枠12bとから、それぞれ構成されている。
【0017】
障子2は、上框20と下框21及び左右の縦框22、22を方形状に框組みしてなる框体4内にガラス体5を納めてなるものである。框体4を構成する框材は、枠材と同様に金属材に対しその室内側露出部分を覆う樹脂材が配設されてなる複合材によって構成されている。上框20は金属上框20aと樹脂上框20bとから、下框21は金属下框21aと樹脂下框21bとから、縦框22は金属縦框22aと樹脂縦框22bとから、それぞれ構成されている。
【0018】
一方の縦框22の室内面に設けられる操作ハンドル6は、縦框22の外周面に設けられる可動突起部25と連係している。可動突起部25は、操作ハンドル6を回動操作するのに伴って、縦枠12の内周面に設けられるロック部15に対して係脱自在とされており、障子2が閉じた状態において、障子2を枠体1に対して開かないようにロックしておくことができる。操作ハンドル6を回動操作し、可動突起部25のロック部15に対する係合状態を解除した上で、操作ハンドル6を室外側に押圧操作することにより、障子2を開くことができる。
【0019】
次に、上枠10及び下枠11に設けられる支持アーム3について説明する。図3には、支持アーム3の平面図を示している。この図は、障子2が開いた状態における支持アーム3について表している。支持アーム3は、上枠10の内周面及び下枠11の内周面の長手方向に沿ってそれぞれ設けられる。図3に示すように、支持アーム3は、細長状に形成された基部30と、基部30に対して回動自在に取付けられる細板状のアーム部31とからなっている。アーム部31は、さらに障子2を支持する第1アーム部31aと、第1アーム部31aと基部30とを連結する第2アーム部31bとからなっている。以下、下枠11に取付けられる支持アーム3について説明する。なお、上枠10に取付けられる支持アーム3も、同様の構成からなると共に、同様の取付構造を有する。
【0020】
基部30は、長手方向に沿って6箇所の固定孔32を有しており、この固定孔32を用いて下枠11の内周面に対し基部30をネジ止め固定する。また、固定孔32のうち2つは、アーム取付部32aとしても機能し、それぞれ第1アーム部31aと第2アーム部31bを基部30に対して回動自在に取付けることができる。
【0021】
次に、支持アーム3の下枠11に対する取付構造について説明する。図4には、下枠11の断面図を示している。この図に示すように、支持アーム3は下枠11のうち、金属下枠11aの上面に載置されており、該上面の裏側に設けられるアーム取付板40に対してアーム固定ネジ33で固定される。アーム取付板40は、下枠11の長手方向に沿うように、横長の長方形状に形成された薄板からなり、金属下枠11aに形成される受部16に保持される。
【0022】
図5には、下枠11を受部16の位置で切断した斜視図を示している。受部16は、金属下枠11aの上面を切り曲げ加工することによって形成された2つの下方突出部16aによって構成される。これら2つの下方突出部16aは、それぞれが断面略L字状とされると共に、互いが対向するように形成される。下方突出部16aの先端部分は、略同じ高さで対向しており、この先端部分にアーム取付板40を載置することで、これを保持する。
【0023】
また、アーム取付板40は、ネジ止めによっても金属下枠11aに固定される。図6には、支持アーム3が取付けられた下枠11の平面図を示している。なお、左右には縦枠12の断面図も示している。この図に示すように、金属下枠11aの上面の裏側には、長手方向に沿ってアーム取付板40が設けられている。アーム取付板40のうち、障子2が閉じた状態における戸先側の一端部は、取付板固定ネジ41によって金属下枠11aに対し固定されている。
【0024】
一方で、前述の受部16は、金属下枠11aの長手方向に2箇所形成されており、アーム取付板40を、長手方向中央部と、障子2が閉じた状態における吊元側の他端部において、それぞれ保持している。
【0025】
図7には、金属下枠11aの平面図を示している。この図に示すように、金属下枠11aの上面には、支持アーム3の基部30をアーム取付板40に対して固定するためのアーム固定ネジ33を貫通させるための長孔17が、長手方向に沿って6箇所形成されている。また、これら長孔17よりも、障子2が閉じた状態における戸先側に、アーム取付板40をネジ止め固定するための長孔18が形成されている。
【0026】
このように、アーム取付板40は一端部が取付板固定ネジ41によって金属下枠11aの長孔18に対して固定されると共に、他端部が金属下枠11aに形成された受部16に保持されるので、アーム取付板40を下枠11の長手方向に若干移動させることができる。また、支持アーム3は金属下枠11aの長孔17を介してアーム取付板40に対してネジ止め固定されるので、アーム取付板40の長手方向移動に伴って長手方向の位置調整を行うことができる。
【0027】
また、受部16は金属下枠11aの切り曲げ加工によって形成されているので、金属下枠11aに予め保持溝等を形成することなく、アーム取付板40を保持することができる。このため、金属下枠11aの材料費を低減することができると共に、受部16を形成しなければ他の種類の窓にもそのまま同じ枠材を用いることができるので、部品の共用化によるコストダウンも図ることができる。
【0028】
受部16の構成として、これまで金属下枠11aを切り曲げ加工したものについて説明したが、それ以外の手段により受部16を形成してもよい。図8には、他の例の受部16を有した下枠11の断面図を示している。この例では、受部16として機能する保持部材19を、金属下枠11aとは別部材として用意している。保持部材19は、その内側にアーム取付板40を保持することができるように、アーム取付板40の厚みよりも若干高く形成された左右の側壁19aと、アーム取付板40の幅よりも若干幅広に形成された底壁19bとで、断面略コ字状に形成される小片状の部品であり、金属下枠11aに対してネジ止め固定されることで、受部16を構成する。
【0029】
図9には、下枠11の平面図を示している。アーム取付板40は、図7の場合と同じものであって、金属下枠11aにおいて同じ位置に設けられ、一端側は取付板固定ネジ41によって金属下枠11aに対して固定されている。保持部材19は、アーム取付板40の他端部側と中央付近にそれぞれ設けられる。図8に示したのは、アーム取付板40の他端部側に設けられる保持部材19である。
【0030】
アーム取付板40の他端部側に設けられる保持部材19は、アーム取付板40の端部よりもさらに金属下枠11aの端部側の部分において、金属下枠11aに対してネジ止め固定される固定部19cを有している。一方で、アーム取付板40の中央付近に設けられる保持部材19は、他端部側の保持部材19よりも幅広に形成されており、アーム取付板40と干渉しないように、それより側壁19a側に金属下枠11aに対してネジ止め固定される固定部19dを有している。このように、各保持部材19は、保持するアーム取付板40と干渉しないように金属下枠11aに対して取付けられる。
【0031】
このように、金属下枠11aとは別部材として設けられる保持部材19を受部16とすることもでき、この場合にも金属下枠11aに直接受部16が形成されたものと同様、金属下枠11aに予め保持溝等を形成することなく、アーム取付板40を保持することができるので、材料費の低減及び部品の共用化によるコストダウンを図ることができる。
【0032】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用はこれら実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。例えば、本実施形態では、開閉窓として縦辷り出し窓に本発明を適用したものを示したが、横辷り出し窓など他の種類の開閉窓であって、支持アーム3により障子2を支持するものであれば、同様に本発明を適用することができる。
【0033】
また、本実施形態では、枠体1や障子2について、金属材の室内側に樹脂材を配設したものについて示したが、金属材のみからなる窓や、室外側の金属材と室内側の金属材の間に断熱材をブリッジ状に設けた窓についても、同様に本発明を適用することができる。さらに、本実施形態においてネジ止めされている部分は、ビス止めによっても固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本実施形態における開閉窓の縦断面図である。
【図2】本実施形態における開閉窓の横断面図である。
【図3】支持アームの平面図である。
【図4】下枠の断面図である。
【図5】下枠を受部の位置で切断した斜視図である。
【図6】支持アームが取付けられた下枠の平面図である。
【図7】金属下枠の平面図である。
【図8】他の例の受部を有した下枠の断面図である。
【図9】下枠の平面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 枠体
2 障子
3 支持アーム
10 上枠
11 下枠
12 縦枠
16 受部
17 長孔
18 長孔
19 保持部材
30 基部
31 アーム部
32 固定孔
33 アーム固定ネジ
40 アーム取付板
41 取付板固定ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口部に取付けられる枠体内に支持アームを介して障子を開閉自在に納めてなる開閉窓において、
前記枠体を構成する枠材には前記支持アームを固定するアーム取付板が長手方向に沿って設けられ、該アーム取付板は、長手方向一端側が前記枠材に対してネジまたはビス止め固定され、長手方向他端側が前記枠材に形成された受部に保持されることを特徴とする開閉窓。
【請求項2】
前記受部は前記枠材を断面略L字状に切り曲げ加工して形成されることを特徴とする請求項1記載の開閉窓。
【請求項3】
前記受部は前記アーム取付板を保持可能な保持部材を前記枠材に取付けて形成されることを特徴とする請求項1記載の開閉窓。
【請求項4】
前記アーム取付板が前記枠材に対してネジまたはビス止め固定される長手方向一端側は、前記障子の戸先側であり、前記アーム取付板が前記枠材に形成された受部に保持される長手方向他端側は、前記障子の吊元側であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の開閉窓。
【請求項5】
前記アーム取付板は、長手方向一端側が前記枠材に形成される長孔に対してネジまたはビス止め固定されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の開閉窓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−274686(P2008−274686A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−121520(P2007−121520)
【出願日】平成19年5月2日(2007.5.2)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】