説明

開閉装置及びその改修方法

【課題】障害物感知部を備えていないシートシャッターなどの開閉装置に対して、後付けで障害物感知部及びその保護シートを低コストで短時間に取り付けることができるようにする。
【解決手段】座板手段を略凸字形状の座板手段43で構成し、この座板手段の閉鎖方向側の平坦部に障害物感知手段64を設け、座板手段の略凸字形状の幅広部分及び障害物感知手段を全体的に覆い包むように座板手段の略凸字形状の幅狭部分に締結部材によって保護シート手段65の両端部を固着するように構成した。このように保護シートを座板手段の略凸字形状の幅狭部分に締結部にて固着することによって締結部が座板手段の略凸字形状の幅広部分の内側に存在するようになるので、開閉体手段の開閉動作時に締結部が何らかの障害物等に接触したりするおそれを極力防止することが可能となる。また、開閉体手段を巻き上げ収納した場合における下側から見た意匠的な見栄えが向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビル、工場、倉庫などの建物を含む構造物躯体の開口部などをシート状の軟性部材を含んで構成された開閉体手段を用いて仕切るように構成された開閉装置及びその改修方法に係り、特に開閉体手段の開閉動作中に障害物を感知することのできる開閉装置及びその改修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
開閉装置は、ビル、工場、倉庫、車庫などの建物を含む構造物躯体の開口部に設置され、開閉体手段であるシートシャッターを移動させることによってその開口部を閉鎖するものである。開閉装置は、開口部の上部から開閉体手段であるシートシャッターを徐々に繰り出し下降させて開口部全体を閉鎖する。このようなシートシャッターからなる開閉装置は、開閉体手段であるシートシャッター自体が比較的軽量で柔軟性のある可撓性シート材料などから構成されているため、閉鎖動作中にシートシャッターが物体などに接触したとしても、その衝撃等は比較的小さく比較的安全である。故に、従来は、シートシャッターの閉鎖方向側先端の障害物等を感知可能な障害物感知装置等は設けられていなかったのが現状である。しかしながら、このシートシャッターの降下(閉鎖)動作中にシートシャッターの下端部である座板などに当接した際の衝撃を一層減らして、より安全性を高めることが望まれている。このように、より安全性を向上させるために、物体感知構造を持つ障害物感知装置を座板に設けるようにしたものとして特許文献1に示すようなものが提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2007−154412号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、開閉体手段の閉鎖方向側先端の座板に障害物感知装置として帯状のテープスイッチなどを設けたものが記載されている。また、特許文献1には、座板に設けたテープスイッチなどの障害物感知部が火災時の火炎や熱により、が焼損してしまったり溶融してしまったり等するのを防ぐために、保護シートで覆い包むようにしたものが記載されている。
【0005】
しかしながら、既存の開閉装置においては、特許文献1に記載のようなテープスイッチなどの障害物感知部が座板に設けられていないので開閉装置に座板部に改修工事等を施して上述のような障害物感知部を取り付けたり、また、座板をこの障害物感知部を取り付け可能なものに変更したり、座板部全体を取り替えるという作業を行なわなければならなかった。このような改修工事を行なうことは、コスト的にも多大な負担となり、改修工事に要する時間も長大となり、コスト及び時間の面で種々の問題を有していた。
【0006】
この発明は、障害物感知部を備えていないシートシャッターなどの開閉装置に対して、後付けで障害物感知部及びその保護シートを低コストで短時間に取り付けることのできる開閉装置及びその改修方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る開閉装置の第1の特徴は、構造物躯体の開口部周縁部に沿って設けられた案内手段に沿って移動することによって前記開口部を開閉する開閉体手段と、前記開閉体手段の開閉動作を制御する開閉制御手段とから構成される開閉装置において、前記開閉体手段の閉鎖方向側先端部に設けられた前記閉鎖方向側が幅広に構成された略凸字形状の座板手段と、前記略凸字形状の座板手段の閉鎖方向側の平坦部に設けられ、障害物と接触することによって感知信号を出力する障害物感知手段と、前記座板手段の略凸字形状の幅広部分及び前記障害物感知手段を覆い包むように前記座板手段の略凸字形状の幅狭部分に締結部材によってその両端部を固着された保護シート手段とを備えたことにある。
ビル、住宅、工場、倉庫等の建物などの構造物躯体における、出入口や窓部、あるいは構造物内部の通路や空間などの開口部などを開閉移動する開閉装置として、開閉体部分をシート状の開閉体手段であるシートシャッターを用いたものがある。開閉体手段が開口部を閉鎖動作しているときに、何らかの障害物等が開閉体手段の先端部である座板等に接触した場合、安全性の観点から開閉体手段の閉動作を停止することが望ましい。そこで、この発明では、座板手段を略凸字形状の座板手段で構成し、この座板手段の閉鎖方向側の平坦部に障害物感知手段を設け、座板手段の略凸字形状の幅広部分及び障害物感知手段を全体的に覆い包むように座板手段の略凸字形状の幅狭部分に締結部材によって保護シート手段の両端部を固着するように構成した。このように保護シートを座板手段の略凸字形状の幅狭部分に締結部にて固着することによって締結部が座板手段の略凸字形状の幅広部分の内側に存在するようになるので、開閉体手段の開閉動作時に締結部が何らかの障害物等に接触したりするおそれを極力防止することが可能となる。
【0008】
本発明に係る開閉装置の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の開閉装置において、前記保護シートが、前記座板手段の幅狭部分から前記幅広部分に変化する箇所に形成される略L字形の凹部に合致するように形成された略L字形状のシート押さえ部材によって前記座板手段に対して挟み込まれるように固着されることにある。この発明では、座板手段が幅狭部分から幅広部分に変化する箇所に形成される略L字形の凹部の形状を利用し、この略L字形の凹部の形状に合致するように形成された略L字形状のシート押さえ部材を用いて保護シート手段を効率良く押えて挟み込むことによって、保護シート手段の糸のほつれなどを抑制し、確実に保護シート手段を座板手段に固定できるという効果がある。
【0009】
本発明に係る開閉装置の改修方法の第1の特徴は、構造物躯体の開口部周縁部に沿って設けられた案内手段に沿って移動することによって前記開口部を開閉する開閉体手段と、前記開閉体手段の開閉動作を制御する開閉制御手段とから構成される開閉装置の改修方法において、前記開閉体手段の閉鎖方向側先端部に設けられる座板手段を前記閉鎖方向側が幅広に構成された略凸字形状の座板手段に交換し、前記略凸字形状の座板手段の閉鎖方向側の平坦部に、障害物と接触することによって感知信号を出力する障害物感知手段を取り付け、前記座板手段の略凸字形状の幅広部分及び前記障害物感知手段を覆い包むように前記座板手段の略凸字形状の幅狭部分に締結部材によって保護シート手段の両端部を固着することにある。これは、開閉体手段の座板手段に障害物感知手段が設けられていない場合に、座板手段を略凸字形状の座板手段に交換し、略凸字形状の座板手段の閉鎖方向側の平坦部に障害物感知手段を設け、座板手段の略凸字形状の幅広部分及び障害物感知手段を全体的に覆い包むように座板手段の略凸字形状の幅狭部分に締結部材によって保護シート手段の両端部を固着するように構成したものである。
【0010】
本発明に係る開閉装置の改修方法の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の開閉装置の改修方法において、前記開閉体手段の閉鎖方向側先端部に既に前記略凸字形状の座板手段が設けられていて、その既存の座板手段に前記障害物感知手段及び前記保護シートを後から取り付ける場合に、前記座板手段に設けられた前記締結部材の複数の中から一部の締結部のみを取り外すことによって、前記座板手段を前記案内手段及び前記開閉体手段から取り外すことなく取り付けるようにしたことにある。これは、既存の座板手段が略凸字形状である場合には、その既存の座板手段を案内手段及び開閉体手段から取り外さなくても障害物感知手段及び保護シートを後から取り付けることができるようにしたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、障害物感知部を備えていないシートシャッターなどの開閉装置に対して、後付けで障害物感知部及びその保護シートを低コストで短時間に取り付けることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態に係る開閉装置の概略構成を示す図である。
【図2】障害物を感知する装置を具備していない開閉装置の略凸字形状の座板部を示す図である。
【図3】図2の略凸字形状の座板部に障害物を感知するテープスイッチを接着固定する手順を示す図である。
【図4】略凸字形状の座板部に座板部材側から不燃性生地の保護シートを取り付ける手順を示す図である。
【図5】略凸字形状の座板部に不燃性生地の保護シートを略L字形鋼の座板スクリーン押さえ板で挟み込んだ状態を示す図である。
【図6】略凸字形状の座板部に不燃性生地の保護シートを略L字形鋼の座板スクリーン押さえ板で挟み込む手順を示す図である。
【図7】略凸字形状の座板部に不燃性生地の保護シートを略L字形鋼の座板スクリーン押さえ板で挟み込んだ状態を示す図である。
【図8】本発明に係る開閉装置の座板部に不燃性生地の保護シートを取り付けた完成形を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態に係るシートシャッターを備えた開閉装置の好ましい実施の形態について説明する。この発明では、障害物感知部を備えていない既存の開閉装置に対して、障害物感知部及びこの障害物感知部を保護するための不燃性生地の保護シートを設ける場合について説明する。
【0014】
図1は、この発明の実施の形態に係る開閉装置の概略構成を示す図である。開閉装置10は、開口部の両側壁部(周縁部)に相対して垂直状に固定された案内手段であるガイドレール2,3と、これらのガイドレール2,3に沿って移動自在、すなわち昇降自在に設けられ、開口部を開閉する開閉体4と、ガイドレール2,3の上部のシャッターケース6内に設けられ、開閉体4を昇降させる開閉機5とを有して構成されている。
【0015】
本明細書中において、開口部とは、建物等の構造物の出入口、非常口、通路等の開口部及び、防火・防煙上の防災区画として閉鎖する必要がある箇所の開口部の総称として用いる。また、ガイドレール2,3は、互いに対向する対向面であって開閉体4の移動方向に沿って開口された挿入口をそれぞれ有し、この相対する挿入口には開閉体4の両側端部に形成された挿入部がそれぞれ昇降自在に挿入されている。
【0016】
開閉体4は、例えば変形可能なシート部材又は弾性部材にて形成され、この部材は、開閉装置10の設置箇所または用途に応じて適宜選択される。たとえば、開閉装置10が防災区画として区画を形成するために閉鎖する必要がある箇所等で防火・防煙の用途として使用される場合や避難口の閉鎖用として使用される場合には、たとえば、ガラスクロス、シリカクロスなどの不燃性生地等にて形成されることが好ましい。また、開閉装置10が、防火・防煙の用途以外の箇所、たとえば、保冷庫、工場等の出入口等で気密保持の用途として使用される場合や人または物品が通過する出入口等の閉鎖用として使用される場合には、たとえば、塩化ビニール、ポリエステル等の合成樹脂製シート、不燃性を有しない生地、スポンジ等の発泡性合成樹脂等にて成型された弾性部材等にて形成されることが好ましい。
【0017】
開閉機5は、開閉体4の上部付近に位置して開口部の天井部内に配設固定されたシャッターケース6内に設けられている。シャッターケース6内には、回転自在に軸架された巻取ドラム7を有する巻取軸8が設けられている。開閉機5は、回転駆動させる正逆回転自在のモータやブレーキ等から構成され、このモータの回転軸に設けられた主動スプロケット51と、巻取軸8の回転軸に設けられた従動スプロケット52とがチェーン53によって連結され、駆動力が伝達されるようになっている。従って、開閉機5の回転駆動力はチェーン53を介して巻取軸8側に伝達され、開閉機5が回転すると、チェーン53を介して巻取軸8が回転し、開閉体4の開閉動作が制御されるようになっている。開閉機5は、制御構成がマイクロコンピュータ構成になっており、図示していない電源ラインを介して電力が供給されている。開閉機5の制御は、開閉体4の動作時に開閉共にブレーキ解除してモーター駆動するのが一般的であるが、開閉体4を閉鎖(降下)させる際にはブレーキ解除をしモータ駆動せずに開閉体4を自重閉鎖させるようにすることも可能である。
【0018】
シャッターケース6は、下面に沿って開口した案内口(図示せず)を有し、この案内口の両端部にガイドレール2,3の上端部がそれぞれ挿入固定されている。また、シャッターケース6の案内口は、ガイドレール2,3の挿入口に連通して開口されると共に開口部に連通して開口しており、この案内口に案内されて開閉体4が昇降移動されるようになっている。
【0019】
巻取ドラム7を有する巻取軸8は、シャッターケース6内に水平状に配置され、その両端部がシャッターケース6内の両側部に設けられた図示しない軸受体にて回転自在に軸架されている。また、巻取軸8の一端部にこの巻取軸8を回転させる従動スプロケット52が固定的に設けられている。
【0020】
開閉機5は、シャッターケース6内に固定され、この開閉機5の出力軸には、従動スプロケット52に対向した主動スプロケット51が固定され、この主動スプロケット51と従動スプロケット52との間には開閉機5の出力軸の回転を従動スプロケット52に伝達するチェーン(無端回行体)53が回行自在に掛け回されている。なお、開閉機5は図示しない制御手段により制御される。
【0021】
座板部43は、開閉体4が閉鎖動作する際に、自重によって開閉体4を下方へ引っ張り、地面や床面等に当接される部材であり、基本カーテン部材42の下端側(閉鎖方向側先端)に、開閉体幅方向の略全長にわたって設けられている。
【0022】
以下、図2〜図8を用いて、障害物感知部を備えていない既存の開閉装置に対して、障害物感知部及びこの障害物感知部を保護するための不燃性生地の保護シートを設ける改修工事の一例を説明する。図2は、障害物を感知する装置を具備していない既存の開閉装置の略凸字形状の座板部43を示す図であり、図2(A)は開閉装置の座板部43を抜き出して示す斜視図であり、図2(B)は、図2(A)の座板部をX方向から見た図を示す。図2から明らかなように、座板部43は、基本カーテン部材42の下端部を折り返すことによって形成された袋状部分に、金属製の平板状の錘44が開閉体幅方向の略全長にわたって挿入されている。
【0023】
平板状錘44の挿入された基本カーテン部材42の袋状部分を両側から挟むように、金属製の座板部材431と座板部材432がボルト600〜604及びナット610〜614によって取り付けられている。座板部431は、床面20に当接されるものであり、床面20と当接する箇所が平坦部となっている。座板部材432は、略L字形をしており、平板状錘44とほぼ同じ幅をしており、平板状錘44の下端部をL字形の内側屈曲部で保持可能に取り付けられている。この座板部材431,432は、平板状錘44と基本カーテン部材42を挿通するように締結されたボルト600〜604及びナット610〜614によって、互いに連結されて一体化されている。図2(B)に示すように、一体化された座板部材431,432は、全体形状が略凸字形状となっており、座板部材431の幅よりも内側にボルト600〜604及びナット610〜614が位置するように構成されている。これは、座板部を構成するボルト600〜604及びナット610〜614が開閉動作時に何らかの障害物等に接触するのを極力防止するためである。なお、ボルト、ナット以外に締結部材としてリベット等の他の部材を用いてもよい。また、この実施の形態では、5組のボルトとナットで連結固定された場合を示しているが、これに限定されるものではない。
【0024】
図3は、図2の略凸字形状の座板部43の床面側平坦部を利用して、障害物感知部を接着固定する手順の一例を示す図であり、図3(A)は、障害物を感知する装置を具備していない開閉装置の座板部43に障害物を感知する装置を取り付ける際の様子を示す斜視図であり、図3(B)図は、図3(A)の座板部をX方向から見た図を示す。まず、開閉装置の開閉体4を開口部の改修作業が行い易い位置、すなわち開口部のほぼ中間位置まで巻き上げる。なお、改修作業性によってはガイドレール2,3から開閉体4を直接取り外して改修作業を行った方がよい場合もあるが、この実施の形態では、開閉体4を取り付けたままで作業を行なう場合について説明する。座板部43を構成する金属製の座板部材431の床面側の平坦部にテープスイッチ64を取り付ける。テープスイッチ64は、開閉体幅方向の略全長にわたって接着剤および両面接着テープ等で接着固定される。なお、接着固定手段としてねじ止め、リベット止め等の他の接着手段を用いてもよい。テープスイッチ64が障害物感知部である。閉鎖中の開閉体4が障害物に当接してテープスイッチ64が障害物によって押圧されると、テープスイッチ64から感知信号が開閉制御手段に出力され、開閉体4の停止、反転動作などの回避制御が行われる。
【0025】
図4は、略凸字形状の座板部43に座板部材431側から不燃性生地の保護シートを取り付ける手順を示す図であり、図4(A)は、座板部43に保護シートを取り付ける際の斜視図を示し、図4(B)は、図4(A)の座板部をX方向から見た図を示す。図4に示すように、保護シートとなる座板用スクリーン65の取り付け方法として、まず、ボルト600〜604及びナット610〜614を緩め、座板部43からナット610〜614のみを取り外す。次に、ボルト600〜604の中からボルト601,603のみを座板部43から抜き取る。すなわち、ボルト600〜604の並びから一つ置きにボルト601,603を抜き取る。これにより座板部43を基本カーテン部材42から分離しなくても以降の改修作業を行なうことができる。なお、ボルト600〜604の中から座板部43が基本カーテン部材42から落下および作業性を落とさない程度であれば、両端のボルト600,604のみを抜き取ってもよい。また、この実施の形態とは逆にボルト601,603のみを残して、これ以外のボルト600,602、604を抜き取ってもよい。
【0026】
図4に示すように、座板部43にはボルト600,602、604が残っているので、これらのボルト600,602、604に対して座板部材431側から座板用スクリーン65の貫通孔(図示せず)を挿通させ、座板用スクリーン65の外側から略L字形鋼の座板スクリーン押さえ板433で座板用スクリーン65を挟み込むようにして、座板スクリーン押さえ板433もボルト600,602,604に挿通される。ボルト600,602,604に挿通された略L字形鋼の座板スクリーン押さえ板433によって、座板用スクリーン65は座板部材431の外形面(L面)に押し付けられ固定される。このとき、ボルト600,602,604が抜け落ちないように注意する。また、抜き取られたボルト601,603を略L字形鋼の座板スクリーン押さえ板433の外側からボルト601,603が抜き取られた箇所に挿通させる。従って、ボルト600,602,604は座板部材432の外側すなわち図4(B)の右側から、ボルト601,603は略L字形鋼の座板スクリーン押さえ板433の外側すなわち図4(B)の左側から、それぞれ座板部材431,432によって形成された略凸字形状の座板部43の幅の狭い箇所を挟み込むようにして挿通された状態を維持する。
【0027】
図5は、略凸字形状の座板部43に不燃性生地の保護シートを略L字形鋼の座板スクリーン押さえ板433で挟み込んだ状態を示す図であり、図5(A)は、座板部43に保護シートが取り付けられた状態の斜視図を示し、図5(B)は、図5(A)の座板部をX方向から見た図を示す。前述のようにして、略L字形鋼の座板スクリーン押さえ板433を取り付けた後、座板部43からボルト600,602,604を抜き取る。これらのボルトを抜き取ったとしても、座板部材431、座板部材432、座板用スクリーン65、略L字形鋼の座板スクリーン押さえ板433はボルト601,603によって、一時的に固定された状態を維持することができる。
【0028】
図6は、略凸字形状の座板部43に不燃性生地の保護シートを略L字形鋼の座板スクリーン押さえ板434で挟み込む手順を示す図であり、図6(A)は、座板部43に保護シートが取り付けられた状態の斜視図を示し、図6(B)、図6(C)は、図6(A)の座板部をX方向から見た図を示す。前述のようにボルト600,602,604が抜き取られた後、保護シートとなる座板用スクリーン65を図6(B)の矢印に示すように、テープスイッチ64の接着固定された座板部材431全体を覆い包むように折り返し、座板用スクリーン65の反対側端部が座板部43の右側でボルト601,603に座板用スクリーン65の端部を挿通させる。ボルト601,603に挿通された座板用スクリーン65に対して、図6(C)に示すように、その右側から略L字形鋼の座板スクリーン押さえ板434を座板部43から突出しているボルト601,603に挿通させて押し付け、座板用スクリーン65を座板部材431,432との間で挟み込み、ナット611,613をボルト601,603に連結させて固定する。
【0029】
図7は、略凸字形状の座板部43に不燃性生地の保護シートを略L字形鋼の座板スクリーン押さえ板433,434で挟み込んだ状態を示す図であり、図7(A)は、座板部43に保護シートが取り付けられた状態の斜視図を示し、図7(B)は、図7(A)の座板部をX方向から見た図を示す。前述のように、ボルト601,603とナット611,613が連結され、座板用スクリーン65が締め付け固定された場合、座板用スクリーン65は座板部材431,432によって形成された略凸字形状の座板部43を覆い包むように設けられている。図7に示すように、座板用スクリーン65を締め付け固定する際には、座板用スクリーン65とテープスイッチ64との間に若干の隙間が出来るように、適度な弛みをもたせるようにすることが好ましい。また、座板用スクリーン65は開閉体4の基本カーテン部材42と同材質の不燃性生地等にて形成するのが好ましく、開閉体幅方向の略全長にわたって設けられることが好ましい。一般的な開閉装置の設置状況では、座板用スクリーン65は全閉時に地面や床面等に当接することが想定されるため、座板用スクリーン65は開閉体4の基本カーテン部材42よりも厚くしたり、撥水コートする等して耐久性向上、汚れ防止等をはかってもよい。
【0030】
図8は、開閉装置の座板部43に不燃性生地の保護シートを取り付けた完成形を示す図であり、図8(A)は、座板部43に保護シートが取り付けられた完成形の斜視図を示し、図7(B)は、図7(A)の座板部をX方向から見た図を示す。図5に示すように、第2作業中に抜き取ったボルト600,602,604を略L字形鋼の座板スクリーン押さえ板434側であって、それぞれ抜き取った箇所から挿通させる。そして、略L字形鋼の座板スクリーン押さえ板433側からそれぞれ突出するボルト600,602,604のネジ部にナット610,612,614を連結して締め付け固定する。なお、図8ではボルト600,601,602,603,604の挿通方向が一つ置きに逆なっているが、最初の図2に示すように同一方向に揃えるようにしてもよい。
【0031】
なお、上述の実施の形態では、座板スクリーン押さえ板433,434として略L字形鋼を用いる場合について説明したが、略平板状のものを用いるようにしてもよい。座板スクリーン押さえ板433,434の形状を略L字形状にすることで座板部43の略凸字形状座板部既存の形状と合致させ、さらに、このL字箇所に座板用スクリーン65を挟み込むことができるので、座板用スクリーン65を確実に固定することができる。テープスイッチ64は図示しないリード線によって接続されており、座板部43に固定された図示しない配線カバーを介して、シャッターケース6内にの制御装置へと配線されている。
【0032】
上述の実施の形態によれば、ボルト600〜604及びナット610〜614によって互いに連結されて一体化された座板部材431,432は、その全体形状が略凸字形状となっており、さらに、座板部431の幅よりも内側にボルト600〜604及びナット610〜614が位置するように構成されている。これは、座板部を構成するボルト600〜604及びナット610〜614が開閉動作時に何らかの障害物等に接触するのを極力防止するためである。この実施の形態では、座板部材431,432の全体形状が略凸字形状の場合について説明したが、既存の座板が略凸字形状でない場合には、実施の形態のような略凸字形状の座板部材431,432に交換することが好ましい。また、上述の実施の形態によれば、開閉装置の略凸字形状座板部の形状を利用し、略L字形の座板スクリーン押さえ板で保護シートを効率良く押え挟み込み糸のほつれなどを抑える効果がある。また、開閉体をシャッターケースに巻き上げ収納した場合でも、下から見上げた意匠的な見栄えも向上するという効果がある。上述の実施の形態では、開閉体巻取り方式の開閉装置を例に説明したが、本発明はオーバーヘッドドア方式や折り畳み収納式のように開閉体を巻き取らないで開閉する開閉装置にも適用することできる。
【符号の説明】
【0033】
10…開閉装置
2,3…ガイドレール
4…開閉体
5…開閉機
6…シャッターケース
7…巻取ドラム
8…巻取軸
51…主動スプロケット
52…従動スプロケット
53…チェーン
42…基本カーテン部材
43…座板部
20…床面
431,432…座板部材
44…平板状錘
600〜604…ボルト
610〜614…ナット
64…テープスイッチ
65…座板用スクリーン
433,434…座板スクリーン押さえ板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物躯体の開口部周縁部に沿って設けられた案内手段に沿って移動することによって前記開口部を開閉する開閉体手段と、
前記開閉体手段の開閉動作を制御する開閉制御手段とから構成される開閉装置において、
前記開閉体手段の閉鎖方向側先端部に設けられた前記閉鎖方向側が幅広に構成された略凸字形状の座板手段と、
前記略凸字形状の座板手段の閉鎖方向側の平坦部に設けられ、障害物と接触することによって感知信号を出力する障害物感知手段と、
前記座板手段の略凸字形状の幅広部分及び前記障害物感知手段を覆い包むように前記座板手段の略凸字形状の幅狭部分に締結部材によってその両端部を固着された保護シート手段と
を備えたことを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
請求項1に記載の開閉装置において、前記保護シートは、前記座板手段の幅狭部分から前記幅広部分に変化する箇所に形成される略L字形の凹部に合致するように形成された略L字形状のシート押さえ部材によって前記座板手段に対して挟み込まれるように固着されることを特徴とする開閉装置。
【請求項3】
構造物躯体の開口部周縁部に沿って設けられた案内手段に沿って移動することによって前記開口部を開閉する開閉体手段と、
前記開閉体手段の開閉動作を制御する開閉制御手段とから構成される開閉装置の改修方法において、
前記開閉体手段の閉鎖方向側先端部に設けられる座板手段を前記閉鎖方向側が幅広に構成された略凸字形状の座板手段に交換し、
前記略凸字形状の座板手段の閉鎖方向側の平坦部に、障害物と接触することによって感知信号を出力する障害物感知手段を取り付け、
前記座板手段の略凸字形状の幅広部分及び前記障害物感知手段を覆い包むように前記座板手段の略凸字形状の幅狭部分に締結部材によって保護シート手段の両端部を固着することを特徴とする開閉装置の改修方法。
【請求項4】
請求項3に記載の開閉装置の改修方法において、前記開閉体手段の閉鎖方向側先端部に既に前記略凸字形状の座板手段が設けられていて、その既存の座板手段に前記障害物感知手段及び前記保護シートを後から取り付ける場合に、前記座板手段に設けられた前記締結部材の複数の中から一部の締結部のみを取り外すことによって、前記座板手段を前記案内手段及び前記開閉体手段から取り外すことなく取り付けるようにしたことを特徴とする開閉装置の改修方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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