説明

開閉装置

【課題】 障害物感知による開閉体閉鎖動作の停止をより俊敏に行う。
【解決手段】 スライドしながら下方へ閉鎖動作可能な開閉体本体11と、開閉体本体11の下端部に接続されて開閉体本体11に相対して上方へ移動可能な可動座板12と、開閉体本体11の閉鎖動作を制動可能なブレーキ機構42と、開閉体本体11に回転可能に支持されるとともに巻取り方向へ付勢された巻取体15と、巻取体15に係合して巻取体15の回転を制動するように設けられた摩擦部材14(係合部)と、巻取体15に一端側を巻き付けるとともにその他端側の張力によりブレーキ機構42を制動操作するように設けられた紐状部材aとを備え、開閉体本体11に相対する可動座板12の上昇により摩擦部材14(係合部)を巻取体15に係合させて紐状部材aに前記張力を生じさせるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閉鎖動作する開閉体がその閉鎖方向側の障害物に接触した際に、該開閉体の閉鎖動作を停止するようにした開閉装置に関し、特に防火用、防煙用などの防災シャッターとして好適な開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本願発明に関連する従来技術として、開閉体の閉鎖動作を障害物感知により停止する発明には、例えば特許文献1に記載された開閉装置がある。
この開閉装置では、閉鎖動作中の開閉体(シャッターカーテン2)が、その閉鎖方向側の障害物に当接した際に、該開閉体の下端の可動座板(下座板101)を障害物からの押圧力により相対的に上昇させ、その可動座板の上昇を感知部(マイクロスイッチ105)により感知し、この感知信号をコード(11a〜11c)により制御装置(8)へ送信し、該制御装置(8)からの制御信号によって開閉機(7)を制御し、開閉体(シャッターカーテン2)の閉鎖動作を停止するようにしている。
このような構造の開閉装置では、火災等に起因する停電が発生した際にも、前記開閉機(7)を制御できるように、通常はバッテリーを具備するが、常時待機させる通常の使用において性能維持のためには定期的なバッテリー交換が一般的には必要で、メンテナンス不良等に起因して前記バッテリーの電力が十分に得られない場合等には、開閉体(シャッターカーテン2)を降下させることができなかったり、降下中の開閉体を障害物感知により停止するのが遅れたり、障害物除去後に開閉体を再降下できなかったり等するおそれがある。
【0003】
そこで、障害物の感知を機械的な構造によって伝達し、開閉体の閉鎖動作を停止するようにした従来技術として例えば特許文献2に開示される発明がある。
この従来の発明では、開閉体本体(11)下端の可動座板(13)に、付勢部材によって巻き取り回転方向へ付勢された巻取体(a2)を支持し、紐状部材(a1)の一端側をブレーキ機構(42)の操作部(a3)に止着するとともに、その他端側を巻取体(a2)に巻き、開閉体本体(11)に相対して可動座板(13)が開放方向へ移動した際に、開閉体本体(11)に巻取体(a2)を摺接させて、巻取体(a2)の回転を停止するとともに紐状部材(a1)に張力を生じさせ、該張力によってブレーキ機構(42)を解除状態から制動状態に操作するようにしている。
【0004】
しかしながら、前記従来技術では、可動座板内に前記巻取体を配設していたため、可動座板内に前記巻取体の装着スペースを確保する必要が生じ、可動座板の大型化や、巻取体の重量等に起因して、可動座板の動作が鈍くなったり開閉体幅方向における偏りを生じたり等するおそれがある。また、巻取体に対するメンテナンス作業がし難くなるおそれもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−308222号公報
【特許文献2】特開2008−208595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、可動座板の動作性を向上すること、可動座板を小型化すること、障害物感知による開閉体閉鎖動作の停止をより俊敏に行うこと、等が本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための技術的手段は、スライドしながら下方へ閉鎖動作可能な開閉体本体と、該開閉体本体の下端部に接続されて該開閉体本体に相対して上方へ移動可能な可動座板と、前記開閉体本体の閉鎖動作を制動可能なブレーキ機構と、前記開閉体本体に回転可能に支持されるとともに巻取り方向へ付勢された巻取体と、該巻取体に係合して該巻取体の回転を制動するように設けられた係合部と、前記巻取体に一端側を巻き付けるとともにその他端側の張力により前記ブレーキ機構を制動操作するように設けられた紐状部材とを備え、前記開閉体本体に相対する前記可動座板の上昇により前記係合部を前記巻取体に係合させて前記紐状部材に前記張力を生じさせるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような作用効果を奏する。
巻取体を可動座板内に具備せず開閉体本体に設けたため、可動座板を小型化できる上、巻取体の重量によって可動座板の動作が鈍くなったり開閉体幅方向に偏ったりするのを防ぐことができ、ひいては、障害物感知による開閉体閉鎖動作の停止をより俊敏に行うことができる。また、巻取体等に対すメンテナンス性を向上することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係わる開閉装置の一例を示す正面図である。
【図2】同開閉装置に用いられる開閉機及び自動閉鎖装置の一例を示す要部構造図である。
【図3】ブレーキ機構及び自動閉鎖装置の作動状態を示す模式図であり、(a)は開閉体の全開停止状態に対応する通常状態を示し、(b)は自動閉鎖装置の作動によりブレーキ機構が解放操作された状態を示し、(c)は紐状部材に作用する張力によってブレーキ機構が制動操作された状態を示す。
【図4】本発明に係わる開閉装置の一例を示す要部斜視図である。
【図5】同開閉装置の要部断面図であり、(a)は開閉体が閉鎖動作中の状態を示し、(b)は開閉体が障害物に当接した状態を示す。
【図6】同開閉装置の要部を模式的に示す正面図であり、ブレーキ機構が解除されて開閉体が閉鎖動作した状態を示す。
【図7】同開閉装置の要部を模式的に示す正面図であり、開閉体が障害物に当接してブレーキ機構が作動した状態を示す。
【図8】本発明に係わる開閉装置の他例を示す要部斜視図である。
【図9】同開閉装置の要部断面図であり、(a)は開閉体が閉鎖動作中の状態を示し、(b)は開閉体が障害物に当接した状態を示す。
【図10】同開閉装置の要部を模式的に示す正面図であり、(a)は開閉体が閉鎖動作中の状態を示し、(b)は開閉体が障害物に当接して係合回動部材が回動した状態を示す。
【図11】揺動部材の一例を示す斜視図である。
【図12】本発明に係わる開閉装置の他例を示す要部斜視図である。
【図13】同開閉装置の要部断面図であり、(a)は開閉体が閉鎖動作中の状態を示し、(b)は開閉体が障害物に当接した状態を示す。
【図14】同開閉装置の要部を模式的に示す正面図であり、(a)は開閉体が閉鎖動作中の状態を示し、(b)は開閉体が障害物に当接して係合回動部材が途中まで回動した状態を示す。
【図15】(c)として係合回動部材が回動しきった状態を示す。
【図16】係合回動部材の一例を示す斜視図である。
【図17】本発明に係わる開閉装置の他例を示す要部斜視図である。
【図18】同開閉装置の要部断面図であり、(a)は開閉体が閉鎖動作中の状態を示し、(b)は開閉体が障害物に当接した状態を示す。
【図19】同開閉装置の要部を模式的に示す正面図であり、(a)は開閉体が閉鎖動作中の状態を示し、(b)は開閉体が障害物に当接して係合回動部材が回動した状態を示す。
【図20】本発明に係る開閉装置の他例を模式的に示す要部正面図であり、(a)は開閉体が閉鎖動作中の状態を示し、(b)は開閉体が障害物に当接して係合回動部材が回動した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための一形態では、スライドしながら下方へ閉鎖動作可能な開閉体本体と、該開閉体本体の下端部に接続されて該開閉体本体に相対して上方へ移動可能な可動座板と、前記開閉体本体の閉鎖動作を制動可能なブレーキ機構と、前記開閉体本体に回転可能に支持されるとともに巻取り方向へ付勢された巻取体と、該巻取体に係合して該巻取体の回転を制動するように設けられた係合部と、前記巻取体に一端側を巻き付けるとともにその他端側の張力により前記ブレーキ機構を制動操作するように設けられた紐状部材とを備え、前記開閉体本体に相対する前記可動座板の上昇により前記係合部を前記巻取体に係合させて前記紐状部材に前記張力を生じさせるようにする。
【0011】
さらに、可動座板と係合部との連動を良好にするとともに係合部の動作性を向上するためには、前記開閉体本体の下端側に、前記可動座板によって下方から押圧されて上方へ揺動するように揺動部材を支持し、この揺動部材の揺動によって前記係合部が前記巻取体に係合するようにする。
ここで、前記係合部は、前記揺動部材に一体に具備されていてもよいし、前記揺動部材とは別体に支持され可動部材の上昇によって巻取体に係合するようにしてもよい。
【0012】
さらに、前記係合部を開閉体幅方向へわたって偏りなく動作させるために、より好ましくは、前記開閉体本体の下端側に、開閉体幅方向へ連続して下方を開口した凹部を設け、この凹部内に、前記揺動部材を、その揺動支点部を開閉体厚さ方向の一端側に支持した状態で開閉体幅方向へわたる長尺状に設け、前記凹部の下端側に、前記可動座板を、開閉体幅方向へわたる長尺状に設けて上下方向へスライドするように係合する。
【0013】
さらに、前記係合部を前記巻取体に係合させる好ましい態様としては、前記係合部を前記巻取体に摺接して、前記巻取体を制動する。
【0014】
また、前記係合部を前記巻取体に係合させる他の好ましい態様としては、前記係合部を前記巻取体に凹凸状に嵌め合わせて、前記巻取体を制動する。
【0015】
さらに、前記係合部と前記巻取体との凹凸状の嵌まり合いを良好にする好ましい態様としては、外周部に前記係合部に嵌め合わせられる凹部及び/又は凸部を有するとともに前記巻取体と同軸且つ一体的に設けられた被係合回転体と、前記開閉体本体に回動可能に支持されるとともにその回動中心部の周りに前記係合部を有する係合回動部材とを備える。
【0016】
特に、前記係合部を前記被係合回転体に比較的強く嵌め合わせる観点から好ましい態様としては、前記係合回動部材は、前記巻取体の繰出し回転に伴い回転する前記被係合回転体の回転方向に対し逆方向に回転して前記被係合回転体に嵌まり合うように設けられている。
【0017】
また、前記係合部を前記被係合回転体に嵌め合わせた後に、その嵌まり合いを解除し易くする観点から好ましい態様としては、前記係合回動部材は、前記巻取体の繰出し回転に伴い回転する前記被係合回転体の回転方向に対し同方向に回転して前記被係合回転体に嵌まり合うように設けられている。
【0018】
さらに、前記係合部を前記被係合回転体に嵌め合わせる際の動作を良好にするため好ましくは、前記係合回動部材における回動支点部を挟んだ前記係合部の逆側に、前記可動座板の上昇力を受ける受圧部を設け、この受圧部は、前記可動座板の上昇による前記係合回動部材の回動に伴い、その受圧位置を前記回動支点部に近づけるように形成する。
【0019】
また、前記被係合回転体をより強く制動するのに好ましい態様としては、前記被係合回転体の外周部に係合して同期回転する補助回転体を備え、前記巻取体は、前記紐状部材を前記補助回転体側から上方へ繰り出すように備え、前記係合回動部材は、前記可動座板の上昇により回動した際に、前記補助回転体と前記被係合回転体との間の下側の谷部分において、これら回転体の両方に嵌まり合うように前記係合部を有する。
【0020】
なお、本明細書中において「開閉体厚さ方向」とは、閉鎖状態の上記開閉体の厚さ方向を意味する。
また、本明細書中において「開閉体幅方向」とは、上記開閉体の開閉方向と略直交する方向であって、該開閉体の厚さ方向ではない方向を意味する。
また、本明細書中において「開閉体開閉方向」とは、上記開閉体が空間を仕切ったり開放したりするためにスライドする方向を意味する。
【0021】
以下、上記形態の好ましい具体例について、図面に基づいて詳細に説明する。
以下に説明する開閉装置は、住宅やビル、倉庫、工場、地下街、トンネル、車両の荷台等の躯体の開口部分や内部に配設され、前記開口部分を開閉したり、躯体内部の空間を仕切ったり開放したりするシャッター装置として適用可能であり、特に好ましい態様として、火災等の非常時に自動閉鎖されて火炎や煙の蔓延を防ぐ防火シャッター装置に適用した一例である。
【0022】
開閉装置1は、閉鎖方向端部をスライドさせて自重閉鎖可能な開閉体10と、該開閉体10の幅方向(図1の左右方向)の端部を囲み開閉方向へ案内するガイドレール20と、開閉体10を巻き取ったり繰出したりする巻取装置30とを備え、閉鎖動作中の開閉体10が障害物Xに接触した場合に、機械的な作動機構により、開閉体10の閉鎖動作を停止する。
【0023】
開閉体10は、横長略矩形状の金属板を曲げ加工してなる所謂スラット11aを、上下に隣接する該スラット11a,11a間で回動するように複数連接することで開閉体本体11を構成し、該開閉体本体11の下端部に、可動座板12を接続している。
【0024】
開閉体本体11の下端側には、開閉体幅方向へ連続して下方を開口した凹部11bが設けられる(図4及び5参照)。そして、この凹部11b内には、前記揺動部材13を、その揺動支点部を開閉体厚さ方向の一端側に支持した状態で開閉体幅方向へわたる長尺状に設けられ、前記凹部11bの下端側には、可動座板12を、開閉体幅方向へわたる長尺状に設けて上下方向へスライドするように係合している。
【0025】
揺動部材13は、可動座板12に押圧されて開閉体開放方向へ揺動し、また自重によって開閉体閉鎖方向へ揺動するように、開閉体本体11の内壁に回転自在に支持されている(図5参照)。
この揺動部材13は、開閉体幅方向の何れの位置であっても可動座板12に対し当接するように、好ましくは開閉体幅方向の略全長にわたって設けられる。
この揺動部材13は、その形状について詳細に説明すれば、揺動端部側の被押圧片部13aと、該被押圧片部13aよりも若干揺動中心側に位置する被押圧曲面部13bとを有する。そして、これら被押圧片部13aと被押圧曲面部13bとの内の一方又は双方が、上下動する可動座板12に対し当接するようになっている。
【0026】
揺動部材13における被押圧片部13aの上面側には、後述する巻取体15に摺接して該巻取体15を制動する摩擦部材14(係合部)が設けられる。摩擦部材14は、摩擦抵抗が大きく且つ耐摩耗性の良好な材料から形成される。
この摩擦部材14(係合部)は、可動座板12の上昇に伴う揺動部材13の揺動により巻取体15の最外周部に摺接し、可動座板12の下降に伴う揺動部材13の逆方向の揺動により巻取体15から離脱する。
この摩擦部材14の開閉体幅方向の寸法は、図6及び図7に示すように、巻取体15の外径よりも短い寸法であって、巻取体15の下端側部分に圧接されるように適宜に設定される。
また、摩擦部材14の突端面は、巻取体15外周部との接触性が良好になるように縦断面湾曲状に形成される(図5参照)。
【0027】
また、可動座板12は、開閉体幅方向の略全長にわたる部材であり、開閉体本体11の下端部から下方へ突出している。この可動座板12は、開閉体本体11に相対して上下方向へ所定量だけ自在に移動する。
図示例の可動座板12は、縦断面略逆T字状に形成され、その上端側の部分を、開閉体本体11の凹部11b内に、上下スライド可能に係合している。
【0028】
上記構成の開閉体本体11における下端側の前記凹部11bの外面には、巻取体15が設けられる。
より詳細に説明すれば、前記凹部11bの上部側であって開閉体厚さ方向の一端寄りの部分には、外部に連通する切欠部11b1(図4参照)が設けられる。巻取体15は、その下側部分を前記切欠部11b1に挿入するようにして配置され、その周囲を覆うカバー部材16に回転自在に支持されている。
【0029】
この巻取体15は、図5に示すように、紐状部材aを巻き取ったり繰り出したりする略円筒状の巻取筒部15aと、該巻取筒部15aの軸方向の一端と他端に固定された枠部15b,15bと、これら巻取筒部15a及び枠部15b,15bを巻取り方向へ付勢するゼンマイ(図示せず)とを具備している。
前記ゼンマイは、好ましくは、外部に露出して開閉体本体11等と干渉することのないように、巻取体15に内蔵される。
枠部15bは、より詳細に説明すれば、巻取筒部15aよりも外径の大きい略円盤状の部材である。開閉体厚さ方向に間隔を置いて並ぶ二つの枠部15b,15bのうち、開閉体本体11面に近い方の枠部15bの最下端部に、摩擦部材14の突端が摺接するようになっている。
【0030】
また、カバー部材16は、巻取体15の前後左右及び上部を覆う箱状の部材であり、開閉体本体11における前記凹部11bの上外面に止着され、巻取体15から繰り出される紐状部材aを上方へ挿通している。
なお、図4に示す一例では、内部構造を明確にするために、カバー部材16の手前側の壁部を省略して図示している。また、図5〜7においても、内部構造を明確にするためにカバー部材16全体を省略して図示している。
このカバー部材16は、開閉体本体11に対し、ねじ止め等の手段により着脱可能に止着されることで、巻取体15等に対するメンテナンス性を良好にしている。
【0031】
また、ガイドレール20は、開閉体10の幅方向の端部を囲む断面略コ字状の部材であり、開閉体10によって着座される着座対象部位P(例えば、床面や地面、枠部材等)と巻取装置30との間にわたって配設されている(図1参照)。
【0032】
また、巻取装置30は、下部側に開閉体10を出没させるための開口部を形成した収納ケース31内に、開閉体10を巻き取ったり繰出したりする巻取軸32と、該巻取軸32をチェーン及びスプロケット等の動力伝達手段33を介して駆動回転させたり制動したりする開閉機40と、該開閉機40を制動解除操作して開閉体10を自重によって閉鎖動作させる自動閉鎖装置50とを具備している(図1参照)。
【0033】
開閉機40は、例えば実開平01−118084号公報に示される周知構造の開閉機に、露出した操作体44を設けてなる。図2は、開閉機40の要部断面図および自動閉鎖装置50の内部構造図である。
この開閉機40は、より詳細に説明すれば、巻取軸32の動力源となるモータ部41と、該モータ部41の一端側(図示例によれば右端側)でモータ部41による回転を制動するブレーキ機構42とを、ケーシング43内に備えている。
【0034】
モータ部41は、直流モータまたは交流モータであり、その回転子41aと一体の駆動軸41bの回転力を、動力伝達手段33(図1参照)を介して巻取軸32へ伝達する。
なお、他例として、自重または手動の開閉でしか用いられない場合等には、開閉機40からモータ部41を省いて、駆動軸41bの回転を制動するブレーキ機構42(および手動駆動機構等)を主体とした構成としてもよい。
【0035】
ブレーキ機構42は、内在する付勢部材42c(図示例によればコイルスプリング)の付勢力に抗して操作体44が一方向(図2によれば右方向)へ押動されることにより、駆動軸41bを回転不能に拘束した制動状態から、駆動軸41bを回転自在に解放した解除状態になるように構成されている。なお、図2は、制動状態を示している。
【0036】
また、自動閉鎖装置50は、開閉機40に固定されたケーシング51内に、操作体44を押動した前進位置(図3(b)に示す位置)と元の初期状態まで後退した復帰位置(図3(a)に示す位置)との間で進退可能な進退部材52と、該進退部材52を前進方向へ付勢する付勢部材53と、後退した際の前記進退部材52を前記復帰位置で係止するとともにその係止状態を閉鎖指令に応じて解放する係脱装置54と、前進した際の進退部材52を手動で復帰位置まで戻す手動復帰部材55とを具備している。
【0037】
進退部材52は、ケーシング51内で前後にスライドするように支持された部材であり、その前端部をケーシング51外の操作体44の方向へ突出させている。この進退部材52は、復帰位置にある際(図3(a)参照)に、ブレーキ機構42の操作体44との間に隙間sを有するように配置されている。前記隙間sは、前進した進退部材52が操作体44に押されて復帰位置に戻り係止されてしまうのを阻む。
また、この進退部材52の後端側には、後述する手動復帰部材55及び操作用の紐状部材aが接続されている。
【0038】
また、付勢部材53は、図示例によれば引っ張りバネであるが、進退部材52を後方側(図3によれば左方向側)から押圧する圧縮バネに置換してもよい。
係脱装置54は、内在する付勢部材(図示せず)の付勢力によって付勢されたプランジャ54aを進退部材52に係止させ、電磁ソレノイドの電磁力によって前記プランジャ54aを後退させて、進退部材52に対する係止を解除する装置である。
手動復帰部材55は、進退部材52の後端側に接続され、ケーシング51後方へ突出した部材(例えば紐状体や棒状体など)であり、前進位置にある進退部材52を手動で復帰位置に戻すために用いられる。
【0039】
上記構成の自動閉鎖装置50によれば、図3(a)に示す初期位置(復帰位置)において電気的な閉鎖指令(防災信号等)を受けると、係脱装置54の電磁ソレノイドが通電され、図3(b)に示すように、係脱装置54による係止状態が解除されて、進退部材52が、付勢部材53の付勢力によって前進して操作部44を押圧操作した前進位置となる。
また、前記前進位置において手動復帰部材55が手動操作で後方(図3によれば左方向)へ引かれた場合には、進退部材52が、係脱装置54によって係止された復帰位置(図3(a)参照)に戻る。
【0040】
なお、係脱装置54は、閉鎖指令により進退部材52を前進させて操作体44を操作し、進退部材52が後方から引っ張られて後退することで、操作体44を元の状態に戻すようにした機構であれば、他の構成としてもよい。
【0041】
そして、上記自動閉鎖装置50における進退部材52の後端側には、張力が生じた際に進退部材52を後方へ牽引するように、紐状部材aが設けられている。
【0042】
紐状部材aは、可動座板12の上方への移動によって張力を上昇するとともにその張力によってブレーキ機構42を制動操作するためのものである。
この紐状部材aは、本実施の形態の好ましい一例によれば、多数の金属線を寄り合わせてなる金属製ワイヤーである。この紐状部材aは、可撓性を有する長尺状の部材であればよく、他例としては、帯状物や、鎖状物、紐等とすることも可能である。更に、この紐状部材aの他例としては、導電性の材料とし、電線としての作用を兼ね備えた構成とすることも可能である。
【0043】
この紐状部材aの一端側は、上方へ延設され、さらに収納ケース31内で滑車部材34により水平方向へ延設されて、その先端部を自動閉鎖装置50の進退部材52に止着される。
また、同紐状部材aの他端側は、下方へ延設されて、開閉体本体11下端側の巻取体15における巻取筒部15aの外周面に止着される。
【0044】
次に、上記構成の開閉装置1について、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
先ず、防災信号のない通常状態では、図3(a)に示すように、ブレーキ機構42がコイルスプリング42c(図2参照)の付勢力によって制動状態に維持され、開閉体10は全開状態で静止している。
【0045】
そして、全開状態にある開閉装置1が防災信号を受けると、図示しない制御部からの電気信号により、自動閉鎖装置50の係脱装置54が励磁して、進退部材52の係止状態が解除される(図3(b)及び図6参照)。
すると、自動閉鎖装置50の進退部材52は、付勢部材53の付勢力によって前進し、操作体44を揺動させて、開閉機40のブレーキ機構42を制動状態(図3(a)に示す状態)から解除状態(図3(b)に示す状態)にする。
【0046】
したがって、開閉機40内部では、駆動軸41bが自由回転可能な状態になる。
そのため、動力伝達手段33を介して駆動軸41bと連動する巻取軸32も自由回転可能な状態となる。
よって、巻取軸32に巻かれて全開状態にあった開閉体10は、自重により巻取軸32から繰り出されて閉鎖動作をし、この閉鎖動作中、紐状部材aが開閉体本体11下端側の巻取体15から繰り出される。
なお、開閉体10の自重による閉鎖動作は、開閉機40に設けられる図示しない調速装置により、所定の速度を超えないように調整される。
【0047】
そして、前記閉鎖動作中、図5(b)及び図7に示すように、可動座板12が障害物Xに当接した場合には、可動座板12が、開閉体本体11に相対して上昇する。そして、揺動部材13の揺動端側が可動座板12に押圧されて上方へ揺動し、該揺動端側の摩擦部材14(係合部)が巻取体15の最外周部に摺接して、巻取体15の繰り出し回転を停止又は抑制する。
【0048】
したがって、紐状部材aに開閉体本体11の重量が加わり、該紐状部材aは下方へ引っ張られる。なお、より詳細に説明すれば、この状態においては、障害物Xが開閉体10に押されて下方へ若干収縮することにより、開閉体本体11及び可動座板12が下方へ若干移動し、紐状部材aが下方へ引っ張られることになる。
そして、この下方向への引張力は、開閉体10の上方側においては滑車部材34により略水平方向の引張力に変換され、進退部材52を引っ張って後退させる。よって、ブレーキ機構42の操作体44は、開閉機40内の付勢部材42cの付勢力によって制動操作方向(図3及び図7における左方向)へ揺動する。
【0049】
よって、開閉機40内では、駆動軸41bの回転がブレーキ機構42によって制動された状態となり、駆動軸41bと連動する巻取軸32の回転が停止し、開閉体10の閉鎖動作も停止する。
【0050】
また、開閉体10の下方から障害物Xが除去された場合には、自重により可動座板12が開閉体本体11に相対して下方へ移動する。
そのため、開閉体本体11下端の揺動部材13及び摩擦部材14(係合部)が下方へ揺動し、巻取体15に対する拘束状態が解除され、巻取体15から紐状部材aが繰り出される。つまり、図5(b)及び図7に示す状態から、図5(a)及び図6に示す状態に戻る。
【0051】
したがって、紐状部材aに対し開閉体本体11の重量が殆ど作用しない状態となり、紐状部材aが弛緩し(換言すれば紐状部材aの張力が下がり)、再び、進退部材52が、付勢部材53の付勢力によって前進し、ブレーキ機構42の操作体44を押し動かす(図3(a)(b)及び図6参照)。
よって、ブレーキ機構42が再び制動状態から解除状態になり、開閉体10の閉鎖動作が自動的に再開することになる。
【0052】
なお、他の好ましい態様では、紐状部材aの途中又は自動閉鎖装置50内にダンパーを設け、該ダンパーの作用により、紐状部材aの弛緩時点から遅延して進退部材52を前進させ、開閉体10の自動閉鎖を再開するようにしてもよい。この態様によれば、障害物Xの除去時点からしばらくして開閉体10が閉鎖動作するため、開閉体10が障害物Xに再度当接するようなことを防ぐことができる。
【0053】
また、自動閉鎖装置50を完全に初期状態(図3(a)に示す状態)に戻す手段は、図示を省略するが、手動又は電動で進退部材52を後退させてプランジャ54aに係止させるようにすればよい。
【0054】
次に、本発明に係わる開閉装置について、他の態様を示す。なお、以下に示す態様は、先に説明した開閉装置の構成を一部変更したものであるため、主に、その変更部分についてのみ詳述し、先に説明した開閉装置と略同様の構成については、同一の符号を用いるとともに、重複する詳細説明を省略する。
【0055】
図8〜10に要部を示す開閉装置2は、上記開閉装置1に対し、摩擦部材14を省き、被係合回転体17、押圧部材18(図9参照)、及び係合回動部材62等を追加した構成となっている。なお、図示を省略しているが、巻取体15及び被係合回転体17の周囲には、上述したカバー部材16と同様のカバー部材が設けられる。
【0056】
被係合回転体17は、巻取体15の軸方向の一端側に配置され、巻取体15と同軸且つ一体的に設けられた円盤状の部材であり、その外周部を、後述する係合回動部材62の係合部62aに凹凸状に嵌め合わせられる略歯車状に形成している。
【0057】
押圧部材18は、揺動部材13先端側の被押圧片部13aの上面側に固定されている(図9参照)。
この押圧部材18は、図示例によれば、縦断面略V字状の部材であり、係合回動部材62の揺動端側を下方から押圧するように、開閉体幅方向へわたる長尺状に形成されている。
なお、他例としては、前記押圧部材18を省いて、揺動部材13先端側により直接的に係合回動部材62を押圧するようにしてもよい。
【0058】
係合回動部材62は、図示例によれば横長片状に形成され、その一端側に、開閉体本体11下端側の凹部11b内に回動自在に支持される回動中心部62bを有し、その他端側であって前記回動中心部62bの周りとなる位置には、被係合回転体17の外周部と係合し合う係合部62aを有する(図10参照)。
係合部62aは、被係合回転体17外周の凹部に噛み合うように形成された上向きの複数(図示例によれば2つ)の突起であり、被係合回転体17外周部に対しその接線に略直角する方向から噛み合うように設けられる。
この係合回動部材62は、巻取体15の繰出し回転に伴い回転する被係合回転体17の回転方向(図10によれば時計方向)に対し逆方向(図10によれば反時計方向)に回転して被係合回転体17に嵌まり合うように配置される。
また、この係合回動部材62は、図10に示す一例について詳細に説明すれば、係合部62aを、被係合回転体17の真下近傍に配置することで、被係合回転体17から外れる際の離脱性を良好にしている。
【0059】
よって、図8〜10に要部を示す開閉装置2によれば、自動閉鎖装置50の作動によりブレーキ機構42が解除された状態では、開閉体10が自重によって下方へ閉鎖動作する。この閉鎖動作中、図9(a)及び図10(a)に示すように、可動座板12は開閉体本体11に相対し下降した位置にあり、揺動部材13及び押圧部材18も下降した状態となり、係合回動部材62の係合部62aは被係合回転体17から離間した状態にある。したがって、巻取体15は、紐状部材aを繰り出し続ける。
【0060】
前記閉鎖動作中、図9(b)及び図10(b)に示すように、可動座板12が障害物Xに当接した場合には、可動座板12が、開閉体本体11に相対して上昇する。そして、揺動部材13の揺動端側が可動座板12に押圧されて上方へ揺動し、該揺動端側の押圧部材18が係合回動部材62を押して回動させ、係合回動部材62先端側の係合部62aが被係合回転体17の外周部に噛み合うため、巻取体15の繰り出し回転が停止する。
【0061】
したがって、紐状部材aに開閉体本体11の重量が加わり、紐状部材aの張力によって自動閉鎖装置50の進退部材52が後退し、ブレーキ機構42の操作体44が制動操作方向(図3における左方向)へ揺動する。
よって、開閉機40内では、駆動軸41bの回転がブレーキ機構42によって制動された状態となり、駆動軸41bと連動する巻取軸32の回転が停止し、開閉体10の閉鎖動作も停止する。
【0062】
また、開閉体10の下方から障害物Xが除去された場合には、自重により可動座板12が開閉体本体11に相対して下方へ移動する。
そのため、開閉体本体11下端の揺動部材13及び押圧部材18が下方へ揺動し、それに伴って係合回動部材62が被係合回転体17から離脱するように回動し、巻取体15に対する拘束状態が解除され、巻取体15から紐状部材aが繰り出される。つまり、図9(b)及び図10(b)に示す状態から、図9(a)及び図10(a)に示す状態に戻る。
よって、ブレーキ機構42が再び制動状態から解除状態になり、開閉体10の閉鎖動作が自動的に再開することになる。
【0063】
なお、上述した開閉装置2の変形例としては、前記係合回動部材62、前記押圧部材18及び前記揺動部材13を、図11に示す揺動部材13’に置換し、この揺動部材13’を直接的に被係合回転体17に係脱させるようにしてもよい。
揺動部材13’は、揺動部材13先端側の被押圧片部13aの上面に、被係合回転体17外周の突起と噛み合い可能な単数又は複数(図示例によれば3つ)の凹部13a1(又は貫通孔)を形成したものである。
【0064】
次に、図12〜16に要部を示す開閉装置3について説明する。
この開閉装置3は、上記開閉装置2に対し、上記係合回動部材62を、係合回動部材63に置換した構成とされる。
【0065】
係合回動部材63は、開閉体本体11下端側の凹部11b内に回動自在に支持される回動中心部63aを有し、この回動中心部63a周りの一端側に、被係合回転体17の外周部と係合し合う係合部63bを有する(図16参照)。
係合部63bは、被係合回転体17外周の凹部に噛み合うように形成された複数(図示例によれば2つ)の上向きの第1及び第2の突起63b1,63b2からなる。第1の突起63b1は、被係合回転体17外周部に対し最初に係合する突起であり、第2の突起63b2よりも若干大きく突出し幅も大きい。
この係合回動部材63は、巻取体15の繰出し回転に伴い回転する被係合回転体17の回転方向(図14によれば時計方向)に対し同方向に回転して、前記第1の突起63b1及び第2の突起63b2を被係合回転体17に嵌め合うように配置され、より具体的には、図14に示すように、被係合回転体17の下半部側であって、紐状部材aの繰出し部分寄りに配置される。
【0066】
また、この係合回動部材63における回動中心部63aを挟んだ前記係合部63bの逆側には、可動座板12の上昇力を、揺動部材13及び押圧部材18を介して受ける第1及び第2の受圧部63c,63dが設けられる(図16参照)。これら第1及び第2の受圧部63c,63dは、可動座板12の上昇による当該係合回動部材63の回動に伴い、その受圧位置を前記回動支点部63aに近づけるように形成されている。
より具体的に説明すれば、第1の受圧部63cは、回動中心部63aを挟んだ前記係合部63bの最逆端側に、下方へ突出する突起状に形成され、上昇した際の押圧部材18に最初に当接する。
第2の受圧部63dは、回動中心部63aを挟んだ前記係合部63bの逆端側であって、前記第1の受圧部63cよりも回動中心部63aに近い位置に配置され、下方向きに若干隆起しており、第1の受圧部63cよりも後に、押圧部材18に当接する。
【0067】
上記構成の開閉装置3について、その特徴的な作用効果を説明すれば、開閉体10の自重降下中(図13(a)及び図14(a)参照)、可動座板12が障害物Xに当接した場合には、可動座板12が、開閉体本体11に相対して上昇する(図13(b)及び図14(b)参照)。そして、揺動部材13の揺動端側が可動座板12に押圧されて上方へ揺動し、該揺動端側の押圧部材18が係合回動部材63を押して回動させる。
【0068】
先ず、係合回動部材63は、回動中心部63aから遠い第1の受圧部63cが作用点となって押されることで、比較的高トルクでゆっくりと回転を始め、被係合回転体17に近い方の第1の突起63b1が、被係合回転体17外周の凹部に噛み合う(図14(b)参照)。
【0069】
次に、係合回動部材63は、第2の受圧部63dが押圧部材18から押圧されることで、比較的低トルクで高速に回転して、第2の突起63b2を被係合回転体17外周の凹部に噛み合わせ、被係合回転体17及び巻取体15を若干巻取り方向(図示の反時計方向)へ回転させる(図15(c)参照)。
この状態では、巻取体15及び被係合回転体17の回転か略拘束された状態となる。したがって、紐状部材aには、前述した被係合回転体17の若干の巻取り方向の回転と、開閉体本体11の重量とによって、張力が生じ、この張力によって、ブレーキ機構42が制動状態となり、開閉体10の閉鎖動作が停止する。
【0070】
このように、前記構成によれば、係合回動部材63と被係合回転体17を、段階的に深く噛み合わせることができる上、その噛み合わせの際に、被係合回転体17及び巻取体15を若干巻取り方向へ回転させるため、紐状部材aの張力を比較的大きく確保し易い。
【0071】
また、開閉体10の下方から障害物Xが除去された場合には、自重により可動座板12が開閉体本体11に相対して下方へ移動するため、揺動部材13及び押圧部材18が下方へ揺動し、それに伴って係合回動部材63の係合部63bが被係合回転体17から離脱するように逆方向へ回動し、巻取体15に対する拘束状態が解除され、巻取体15から紐状部材aが繰り出される。つまり、図13(b)及び図15(c)に示す状態から、図13(a)及び図14(a)に示す状態に戻る。
よって、ブレーキ機構42が再び制動状態から解除状態になり、開閉体10の閉鎖動作が自動的に再開することになる。
【0072】
前記のようにして、係合回動部材63が被係合回転体17から離脱する動きは、係合回動部材63の回転方向と、被係合回転体17の回転方向が逆方向となり、係合回動部材63の係合部63bが被係合回転体17に弾かれるように回動するため、上述した開閉装置2と比較して容易に行われる。
【0073】
よって、図12〜16に示す開閉装置3によれば、係合回動部材63の係合部63bを被係合回転体17に噛み合わせた際の制動力を比較的大きく確保できる上、同係合部63bを被係合回転体17から離脱する際の離脱性も良好に得ることができ、係合回動部材63が被係合回転体17に噛み込みすぎて、解除されないようなことを防ぐことができる。
【0074】
次に、図17〜19に要部を示す開閉装置4について説明する。
開閉装置4は、上記開閉装置2(図8参照)に対し、補助回転体19を追加し、上記係合回動部材62を係合回動部材64に置換した構成とされる。
【0075】
補助回転体19は、被係合回転体17の外周部に係合して同期回転するように設けられる。
この補助回転体19は、図示例についてより詳細に説明すれば、被係合回転体17と略同径の歯車状の円盤であり、被係合回転体17と回転軸を平行させて開閉体幅方向へ並ぶように配置され、被係合回転体17の外周部に噛み合っている。
【0076】
なお、この開閉装置4において、巻取体15は、紐状部材aを前記補助回転体側から上方へ繰り出すように配置される。巻取体15を巻取り方向へ付勢するためのゼンマイ(図示せず)は、外部に露出して開閉体本体11等に干渉することのないように、巻取体15に内蔵されている。
【0077】
また、係合回動部材64は、可動座板12の上昇により上方へ回動した際に、前記補助回転体19と被係合回転体17との間の下側の谷部分において、これら回転体19,17の両方に嵌まり合うように第1及び第2の係合部64a,64bを有する。
詳細に説明すれば、この係合回動部材64は、図示例によれば横長片状に形成され、その一端側に、開閉体本体11下端側の凹部11b内に回動自在に支持される回動中心部64cを有し、その他端側の上部には、補助回転体19の外周部と噛み合い可能な第1の係合部64aを有し、該第1の係合部64aよりも回動中心部64c側の上部には、被係合回転体17の外周部と噛み合い可能な第2の係合部64bを有する(図19参照)。
【0078】
第1の係合部64aは、補助回転体19外周の凹部に噛み合うように形成された上向きの複数(図示例によれば3つ)の突起であり、補助回転体19外周の下側部分に対し、被係合回転体17寄りから噛み合うように設けられる。
第2の係合部64bは、被係合回転体17外周の凹部に噛み合うように形成された上向きの単数もしくは複数(図示例によれば単数)の突起であり、被係合回転体17外周の下側部分に対し、補助回転体19寄りから噛み合うように設けられる。
【0079】
上記構成の開閉装置4について、その特徴的な作用効果を説明すれば、開閉体10の自重降下中は、巻取体15が紐状部材aを繰出しながら回転し、巻取体15と一体の被係合回転体17に噛み合って、補助回転体19が逆方向へ回転する。
そして、開閉体10の下端が障害物Xに当接すると、可動座板12が開閉体本体11に相対して上昇し、揺動部材13の揺動端側が可動座板12に押圧されて上方へ揺動し、該揺動端側の押圧部材18が係合回動部材64を押して上方へ回動させる(図19参照)。
【0080】
したがって、係合回動部材64は、第1の係合部64aを補助回転体19の外周部に噛み合わせるとともに、第2の係合部64bを被係合回転体17に噛み合わせる。この際、係合回動部材64は、補助回転体19と被係合回転体17との間の下側の谷部分に挟まれて、補助回転体19及び被係合回転体17にしっかりと噛み合う。
【0081】
また、開閉体10の下方から障害物Xが除去された場合には、自重により可動座板12が開閉体本体11に相対して下方へ移動するため、揺動部材13及び押圧部材18が下方へ揺動し、それに伴って係合回動部材64が補助回転体19及び被係合回転体17から離脱するように逆方向へ回動し、巻取体15に対する拘束状態が解除され、巻取体15から紐状部材aが繰り出される。つまり、図18(b)及び図19(b)に示す状態から、図18(a)及び図19(a)に示す状態に戻る。
よって、ブレーキ機構42が再び制動状態から解除状態になり、開閉体10の閉鎖動作が自動的に再開することになる。
【0082】
次に、図20に要部を示す開閉装置5について説明する。
開閉装置5は、上記開閉装置4(図19参照)に対し、上記補助回転体19を、巻取体15及び被係合回転体17と左右対称の巻取体15’及び被係合回転体17’に置換した構成とされる。
【0083】
巻取体15’及び被係合回転体17’は、巻取体15及び被係合回転体17と回転軸を平行させて開閉体幅方向へ並ぶようにして左右対称に配置され、被係合回転体17’の外周部を被係合回転体17の外周部に噛み合わせている。
したがって、巻取体15の紐状部材aと、巻取体15’の紐状部材a’は、これら巻取体15,15’の間側から上方へ繰出される。
これら双方の紐状部材a,a’は、収納ケース31内で合流するように接続され、自動閉鎖装置50の進退部材52に止着される。
【0084】
よって、図20に要部を示す開閉装置5によれば、自重降下中の開閉体10が障害物Xに当接した際に、上述した開閉装置4と略同様にして、係合回動部材64を二つの被係合回転体17,17’間の下側の谷部分にしっかりと噛み込ませて、二つの巻取体15,15’を拘束することができ、二つの紐状部材a,a’の張力によって自動閉鎖装置50の進退部材52を引っ張り、ブレーキ機構42を作動させて、開閉体10の自重降下を停止することができる。
また、障害物Xが除去した際には、前記と逆の動作により、開閉体10の自重効果を再開することができる。
【0085】
しかも、紐状部材a,a’を二本具備する構成としているため、紐状部材一本あたりの太さを比較的細くできる上、何れか一方の紐状部材が切れた場合に、他方の紐状部材によってブレーキ機構42を作動及び解除することができる。
【0086】
なお、開閉装置5では、二つの紐状部材a,a’を巻き取るトルクを十分に確保する観点から、巻取体15,15’を巻取方向へ付勢するためのゼンマイ(図示せず)を、二つの巻取体15,15’にそれぞれ内蔵するのが好ましいが、二つの被係合回転体17,17’の係合により二つの巻取体15,15’が連動する構成としているため、一方の巻取体15(又は15’)のみにゼンマイを内蔵した構成とすることも可能である。
また、他例として、被係合回転体17と被係合回転体17’の間を係合しないように離間した構成(つまり、巻取体15と巻取体15’がそれぞれ独立して回転するようにした構成)とすることも可能であり、この場合には、前記ゼンマイを、両巻取体15,15’の各々に内蔵する。
【0087】
また、開閉装置5(図20参照)の変形例としては、紐状部材aと紐状部材a’のうちの一方を弛ませておき、その他方のみを常時用いるようにしてもよい。この構成によれば、通常状態では、前記他方の紐状部材のみを用い、この紐状部材が切れた場合に前記一方の紐状部材を用いることができる。
【0088】
また、上記実施の形態によれば、下降中の開閉体10が障害物Xに当接して可動座板12が相対的に上昇した後、障害物Xが若干収縮することで、開閉体本体11及び可動座板12が若干下降し、紐状部材aが引っ張られるようになっている。
前記のように障害物Xを収縮させなくて済む好ましい態様としては、可動座板12の一部又は全部に、弾性を有する材料(例えば、ゴムや弾性樹脂材料、スプリング等)からなる弾性部を設けるようにしてもよい。特に好ましい態様としては、可動座板の下端面に前記弾性部を設ける。
この構成によれば、障害物Xとの当接により可動座板12が相対的に上昇した後、前記弾性部が収縮することで開閉体本体11が下方へ若干下降し、紐状部材aが引っ張られるため、障害物Xを収縮させずに済み、障害物Xに加わる荷重を軽減することができる。
【0089】
また、障害物Xに加わる荷重を軽減する別例としては、被係合回転体17を具備する態様(開閉装置2〜5)において、被係合回転体17の外周の凹凸部の深さを深めに設定し、最初は該凹凸部に対し係合回動部材62(63又は64)を浅めに係合して被係合回転体17及び巻取体15をロックし、その後、可動座板12の相対的な上昇に伴い係合回動部材62(63又は64)を前記凹凸部に深く係合させるようにしてもよい。
この別例によれば、下降中の開閉体10が障害物Xに当接して可動座板12が相対的に上昇すると、その上昇に伴って係合回動部材62(63又は64)が被係合回転体17に浅めに噛み込んで、被係合回転体17及び巻取体15がロックされ、紐状部材aの繰出しが停止する。その後も、係合回動部材62(63又は64)が被係合回転体17に深く噛み込んでゆくのにしたがって、可動座板12が相対的に上昇する。したがって、可動座板12から障害物Xに加わる荷重を軽減することができる。
【0090】
また、上記実施の形態では、紐状部材aの張力によって自動閉鎖装置50の進退部材52を引っ張って、ブレーキ機構42を制動状態にするようにしたが、他例としては、紐状部材aの張力によって直接的に前記操作体44を引っ張ってブレーキ機構42を制動状態にする構成とすることも可能である。
【0091】
また、ブレーキ機構は、紐状部材aの張力により操作されることで開閉体本体11の閉鎖動作を制動する機構であればよく、例えば、紐状部材aの張力により操作されることで、開閉体本体11や巻取軸32等に摩擦部材(ブレーキパッド等)や係止爪を係合して制動する機構等とすることも可能である。
【0092】
また、上記実施の形態によれば、開閉体10の一例として複数のスラットを連設してなるシャッターカーテンを示したが、この開閉体10の他例としては、単数もしくは複数のパネルや、シート状物、ネット状物を開閉方向へ配設してなる態様、あるいはスラット、パネル、パイプ、シート状物、ネット状物等を適宜に組み合わせてなる態様等としてもよい。
【0093】
また、上記実施の形態によれば、可動座板12によって障害物Xを接触感知しその感知状態を機械的な機構によって伝達する構成としたが、更に、他の方式の障害物感知手段(例えば、可動座板12の上昇を開閉体10内の感知スイッチにより感知しその感知信号を電気的に伝達するようにした手段、可動座板12の上昇をガイドレール内のセンサにより感知しその感知信号を電気的に伝達するようにした手段、光電センサ等により障害物を非接触感知する手段等)を併用することも可能である。
【0094】
また、上記実施の形態によれば、開閉体10を上方側の巻取軸32によって巻き取ったり繰り出したりする態様としたが、他例としては、開閉体10を巻き取ることなく上方へ収納したり上方から繰り出したりする態様とすることも可能である。
【0095】
また、上記実施の形態によれば、被係合回転体17を巻取体15と一体的に構成したが、この被係合回転体17は、巻取体15と一体的に回転する構成であればよく、例えば、巻取体15の回転軸に一体に設けられた構成や、歯車等を解して巻取体15と一体的に回転する構成とすることも可能である。
【0096】
また、被係合回転体17と巻取体15を別体とした好ましい態様としては、被係合回転体17に対して巻取体15を巻取り方向にのみ回転させる構成としてもよい。より具体的には、巻取体15と被係合回転体17の間に回転方向制限手段(例えばワンウェイクラッチやラチェット機構等)を設け、被係合回転体17に対し巻取体15を巻取り方向にのみ回転可能な構成とする。
この構成によれば、上昇中の開閉体10に対し障害物等が当接した場合に、その当接によって紐状部材aが弛むのを防ぐことができる。
すなわち、図示例の開閉装置1〜5によれば、開閉機40の作動により上昇中の開閉体10に対し下方から障害物等が当接した場合には、巻取体15及び被係合回転体17がロックした後、開閉体10の上昇により紐状部材aが弛んでしまう可能性がある。
しかしながら、前記構成によれば、上昇中の開閉体10に障害物等が当接した場合でも、ロックした被係合回転体17に対し巻取体15が巻取り方向へ回転して紐状部材aを巻き取るため、紐状部材aの弛みを生じないで済む。
【0097】
また、上記実施の形態によれば、特に好ましい一例として被係合回転体17を歯車状に形成したが、被係合回転体17の外周部形状は、係合回動部材62の係合部に嵌め合せられる凹部及び/又は凸部を有するものであればよく、他例としては、円筒状外周面に所定間隔置きに凹部を形成した態様や、円筒状外周面に所定間隔置きに凸部を形成した態様等とすることが可能である。
【0098】
また、上記実施の形態によれば、係合回動部材(62,63又は64)を被係合回転体17の外周部に噛み合わせて巻取体15を制動する構造としたが、他例としては、係合回動部材を巻取体15又は被係合回転体17に摺接して、巻取体15を制動する構造とすることも可能である。
【0099】
また、上記実施の形態によれば、特に好ましい態様として、係合部(14,13a1,62a,63b,64a又は64b)と巻取体15又は被係合回転体17との係合箇所を外周部としたが、他例としては、前記係合部を巻取体15又は被係合回転体17の側部に係合する構造や、前記係合部を巻取体15又は被係合回転体17の軸部に係合する構造等とすることも可能である。
【0100】
また、上記実施の形態の開閉装置3(図12〜16参照)によれば、係合回動部材63に第1の受圧部63cと第2の受圧部63dの二つの受圧部を設けたが、この受圧部は、可動座板12の上昇による前記係合回動部材の回動に伴い、その受圧位置を回動支点部に近づけるように形成されていればよく、他例としては、前記のように受圧位置を移動するように形成された3以上の突起からなる態様や、前記のように受圧位置を移動するように湾曲形成された単数の突起からなる態様等とすることも可能である。
【符号の説明】
【0101】
1,2,3,4,5:開閉装置 10:開閉体
11:開閉体本体 12:可動座板
14:摩擦部材(係合部) 13,13’:揺動部材
15:巻取体 17:被係合回転体
19:補助回転体 42:ブレーキ機構
44:操作体 50:自動閉鎖装置
52:進退部材 62:係合回動部材
62a:係合部 63:係合回動部材
63b:係合部 63b1:第1の突起
63b2:第2の突起 63c:第1の受圧部
63d:第2の受圧部 64:係合回動部材
64a:第1の係合部 64b:第2の係合部
a:紐状部材 X:障害物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライドしながら下方へ閉鎖動作可能な開閉体本体と、該開閉体本体の下端部に接続されて該開閉体本体に相対して上方へ移動可能な可動座板と、前記開閉体本体の閉鎖動作を制動可能なブレーキ機構と、前記開閉体本体に回転可能に支持されるとともに巻取り方向へ付勢された巻取体と、該巻取体に係合して該巻取体の回転を制動するように設けられた係合部と、前記巻取体に一端側を巻き付けるとともにその他端側の張力により前記ブレーキ機構を制動操作するように設けられた紐状部材とを備え、前記開閉体本体に相対する前記可動座板の上昇により前記係合部を前記巻取体に係合させて前記紐状部材に前記張力を生じさせるようにしたことを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
前記開閉体本体の下端側に、前記可動座板によって下方から押圧されて上方へ揺動するように揺動部材を支持し、この揺動部材の揺動によって前記係合部が前記巻取体に係合するようにしたことを特徴とする請求項1記載の開閉装置。
【請求項3】
前記開閉体本体の下端側に、開閉体幅方向へ連続して下方を開口した凹部を設け、この凹部内に、前記揺動部材を、その揺動支点部を開閉体厚さ方向の一端側に支持した状態で開閉体幅方向へわたる長尺状に設け、前記凹部の下端側に、前記可動座板を、開閉体幅方向へわたる長尺状に設けて上下方向へスライドするように係合したことを特徴とする請求項2記載の開閉装置。
【請求項4】
前記係合部を前記巻取体に摺接して、前記巻取体を制動するようにしたことを特徴とする請求項1乃至3何れか1項記載の開閉装置。
【請求項5】
前記係合部を前記巻取体に凹凸状に嵌め合わせて、前記巻取体を制動するようにしたことを特徴とする請求項1乃至3何れか1項記載の開閉装置。
【請求項6】
外周部に前記係合部に嵌め合わせられる凹部及び/又は凸部を有するとともに前記巻取体と同軸且つ一体的に設けられた被係合回転体と、前記開閉体本体に回動可能に支持されるとともにその回動中心部の周りに前記係合部を有する係合回動部材とを備えたことを特徴とする請求項5記載の開閉装置。
【請求項7】
前記係合回動部材は、前記巻取体の繰出し回転に伴い回転する前記被係合回転体の回転方向に対し逆方向に回転して前記被係合回転体に嵌まり合うように設けられていることを特徴とする請求項6記載の開閉装置。
【請求項8】
前記係合回動部材は、前記巻取体の繰出し回転に伴い回転する前記被係合回転体の回転方向に対し同方向に回転して前記被係合回転体に嵌まり合うように設けられていることを特徴とする請求項6記載の開閉装置。
【請求項9】
前記係合回動部材における回動支点部を挟んだ前記係合部の逆側に、前記可動座板の上昇力を受ける受圧部を設け、この受圧部は、前記可動座板の上昇による前記係合回動部材の回動に伴い、その受圧位置を前記回動支点部に近づけるように形成されていることを特徴とする請求項8記載の開閉装置。
【請求項10】
前記被係合回転体の外周部に係合して同期回転する補助回転体を備え、
前記巻取体は、前記紐状部材を前記補助回転体側から上方へ繰り出すように備え、
前記係合回動部材は、前記可動座板の上昇により回動した際に、前記補助回転体と前記被係合回転体との間の下側の谷部分において、これら回転体の両方に嵌まり合うように前記係合部を有することを特徴とする請求項6又は8記載の開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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