開閉装置
【課題】 巻取軸に巻かれたスラットがずれて軸受ブラケットに当接し該軸受ブラケットを損傷させてしまうようなことを阻む。
【解決手段】 開閉方向に接続されたスラット11aを有する開閉体10と、該開閉体10を巻き取ったり繰り出したりする巻取軸32と、該巻取軸32をその軸方向の端部側で回転可能に支持する軸受ブラケット33とを備えた開閉装置において、軸受ブラケット33に、巻取軸32に巻かれたスラット11aが開閉体幅方向へ移動した場合にそのスラット11aに当接して軸受ブラケット33を保護する保護部材36を設けるとともに、該保護部材36を巻取軸32と同芯状に回転するように保持した。
【解決手段】 開閉方向に接続されたスラット11aを有する開閉体10と、該開閉体10を巻き取ったり繰り出したりする巻取軸32と、該巻取軸32をその軸方向の端部側で回転可能に支持する軸受ブラケット33とを備えた開閉装置において、軸受ブラケット33に、巻取軸32に巻かれたスラット11aが開閉体幅方向へ移動した場合にそのスラット11aに当接して軸受ブラケット33を保護する保護部材36を設けるとともに、該保護部材36を巻取軸32と同芯状に回転するように保持した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スラットを有する開閉体を、巻取軸によって巻き取ったり繰り出したりする開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の開閉装置は、例えば特許文献1に記載されるもののように、複数のスラット(3)を開閉方向へ接続してなる開閉体と、該開閉体を繰り出し可能に巻き付けた巻取体(巻取シャフト9)と、該巻取体の中心側に固定された軸本体(主軸8)と、該軸本体の端部側を回転自在に保持する軸受部材(軸受7)と、該軸受部材を支持する軸受ブラケット(ブラケット5)とを具備したものがある。この開閉装置では、限られた設置スペースの中で前記開閉体の幅方向寸法を十分に確保するように、前記開閉体の幅方向端部を前記巻取体の幅方向端部よりも突出させている。
この開閉装置によれば、開閉動作時の振動等に起因して、開閉方向に接続されたスラットの一部が開閉体幅方向へわずかにずれる場合があり、このような現象が長期間繰り返されると、前記一部のスラットが他のスラットよりも開閉体幅方向の一方へ大きく突出し、ひいては、そのスラットの突出部分が、前記軸受ブラケットに干渉し、該軸受ブラケットを損傷させてしまうおそれがある。
そこで、特許文献2に記載された発明では、巻取体の端部側に、巻取体の外周面から径方向へ突出する円盤状部材(横ずれ防止手段:61)を設け、この円盤状部材に横ずれしたスラットを当接させるようにしている。
【0003】
ところで、後者の従来技術の構造では、前記円盤状部材を開閉体幅方向の外側寄りに配置するのに伴って、前記巻取体の軸方向寸法が拡大し、該巻取体の端部が前記軸受ブラケットに接近することになる。
しかしながら、前記軸受ブラケットには、軸受部材が設けられているため、この軸受部材に巻取体の端部が干渉しないように、軸受部材を巻取体内に挿入する等の煩雑な構造が必要になってくる。また、前記軸受ブラケットには、前記軸受部材の他、リミットスイッチや、安全装置、開閉機(駆動モータ)等が設けられるため、巻取体の端部が軸受ブラケットに近接することにより、前記軸受周りの部材に対するメンテナンス性を損ねてしまうおそれもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平4−125399号公報
【特許文献2】特開2010−156115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、巻取軸に巻かれたスラットがずれて軸受ブラケットに当接し該軸受ブラケットを損傷させてしまうようなことを阻むこと、巻取体の幅方向寸法を増加しないこと、巻取体と軸受部材の干渉を避けること、軸受周りのメンテナンス性を損ねないこと等、が本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための技術的手段は、開閉方向に接続されたスラットを有する開閉体と、該開閉体を巻き取ったり繰り出したりする巻取軸と、該巻取軸をその軸方向の端部側で回転可能に支持する軸受ブラケットとを備えた開閉装置において、前記軸受ブラケットに、前記巻取軸に巻かれた前記スラットが開閉体幅方向へ移動した場合にそのスラットに当接して前記軸受ブラケットを保護する保護部材を設けるとともに、該保護部材を前記巻取軸と同芯状に回転するように保持したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような作用効果を奏する。
巻取軸に巻かれたスラットが、振動等に起因して開閉体幅方向へ移動した場合、そのスラットの幅方向端部は、保護部材に当接することになる。したがって、前記スラットの幅方向端部が軸受ブラケットに当接して、軸受ブラケットを損傷させてしまうのを阻むことができる。しかも、保護部材が回転するように保持されているため、前記保護部材自体が軸受ブラケットとの摩擦により損傷することも防ぐことができる。
さらには、巻取体の幅方向寸法を増加しないこと、巻取体と軸受部材の干渉を避けること、軸受周りのメンテナンス性を損ねないこと等の目的を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の開閉装置の一例を示す正面図である。
【図2】同開閉装置の要部を上方側から視た構造図である。
【図3】図2における(III)-(III)線断面図である。
【図4】本発明の開閉装置の他例を示す要部断面図である。
【図5】本発明の開閉装置の他例を上方側から視た構造図である。
【図6】図5における(VI)-(VI)線断面図である。
【図7】本発明の開閉装置の他例を示す要部斜視図である。
【図8】同開閉装置から一部の部材を省いた状態を示す斜視図である。
【図9】本発明の開閉装置の他例を上方側から視た構造図である。
【図10】図10における(X)-(X)線断面図である。
【図11】保護部材構成片の一例を示す側面図である。
【図12】保護部材構成片の一例を示す側面図である。
【図13】ベース板の一例を示す側面図である。
【図14】本発明の開閉装置の他例を上方側から視た構造図である。
【図15】図14における(XV)-(XV)線断面図である。
【図16】保護部材構成片の一例を示す側面図である。
【図17】ベース板の一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための一形態は、開閉方向に接続されたスラットを有する開閉体と、該開閉体を巻き取ったり繰り出したりする巻取軸と、該巻取軸をその軸方向の端部側で回転可能に支持する軸受ブラケットとを備えた開閉装置において、前記軸受ブラケットに、前記巻取軸に巻かれた前記スラットが開閉体幅方向へ移動した場合にそのスラットに当接して前記軸受ブラケットを保護する保護部材を設けるとともに、該保護部材を前記巻取軸と同芯状に回転するように保持した。
【0010】
更に、前記保護部材の回転を良好に行うためには、前記軸受ブラケットには、前記巻取軸の軸方向の端部側を回転自在に保持する略環状の軸受部材が設けられ、前記保護部材は、前記軸受部材の外周面に沿って回転するように環状に設けられる。
【0011】
更に、前記保護部材の組み付け作業性を良好にする手段としては、前記保護部材は、前記巻取軸の周方向に沿って設けられた複数の部材を接続して構成される。
【0012】
また、前記保護部材の組み付け作業性を良好にする他の手段としては、前記保護部材には、前記巻取軸の端部側を径方向の内外へ挿通可能な切欠部が設けられる。
【0013】
更に、前記保護部材が軸受ブラケットから離れないようにする手段としては、前記保護部材を、磁石によって前記軸受ブラケットに吸着保持する。
【0014】
更に、前記保護部材の回転抵抗を軽減する手段としては、前記保護部材と前記軸受ブラケットとの間に、回転自在なベアリング部材を介在する。
【0015】
更に、前記保護部材の回転抵抗を軽減する他の手段としては、前記軸受ブラケットに回動自在なローラを設け、該ローラの外周面によって前記保護部材の外周面を支持する。
【0016】
また、前記保護部材が軸受ブラケットから離れないようにする他の手段としては、前記軸受ブラケットに、前記保護部材に対しその外周側及び反軸受ブラケット側から近接又は接触する保持部を設ける。
【0017】
更に、前記軸受ブラケットの磨耗を軽減するとともに、前記保護部材の回転を良好にするためには、前記保護部材と前記軸受ブラケットとの間に、ベース板を配置するとともに該ベース板を前記軸受ブラケットに固定する。
【0018】
更に、前記ベース板を容易に固定する手段としては、前記ベース板を磁石によって前記軸受ブラケットに吸着保持する。
【0019】
更に、前記ベース板を回転不能に保持するための手段としては、前記軸受ブラケットに、前記巻取軸の端部側を径方向の内外へ挿入可能な切欠部を設け、前記ベース板に、前記切欠部に係止される係止部を設ける。
【0020】
なお、本明細書中において「開閉体厚さ方向」とは、閉鎖状態における上記開閉体の厚みの方向を意味する。
また、本明細書中において「開閉体幅方向」とは、上記開閉体の開閉方向と略直交する方向であって、上記開閉体の厚さ方向ではない方向を意味する。
また、本明細書中において「開閉体開閉方向」とは、上記開閉体が空間を仕切ったり開放したりするためにスライドする方向を意味する。
また、本明細書中において「ガイドレール底部」とは、ガイドレールにおいて、上記開閉体の幅方向の端部に対向する部分を意味する。
【0021】
以下、上記形態の好ましい具体例を図面に基づいて説明する。
この開閉装置1は、住宅やビル、倉庫、工場、地下街、トンネル、車両の荷台等の躯体の開口部分や内部に配設され、前記開口部分を開閉したり、躯体内部の空間を仕切ったり開放したりするシャッター装置である。
【0022】
この開閉装置1は、図1に示すように、開閉方向に接続された複数のスラット11aを有する開閉体10(シャッターカーテン)と、該開閉体10の幅方向端部囲んで開閉方向へ案内するガイドレール20と、開閉体10をその開放方向側で収納したり繰り出したりする収納部30とを備え、収納部30内の巻取軸32に巻かれたスラット11aが、巻取軸32を支持する軸受ブラケット33に当接するのを、巻取軸32と同芯状に回転可能な保護部材36によって阻むようにしている。
【0023】
開閉体10は、横長略矩形状の金属板を曲げ加工してなる所謂スラット11aを、開閉体開閉方向へ複数接続することで開閉体本体11を構成し、該開閉体本体11の閉鎖方向端部側(図示例によれば下端側)に、床面や地面、枠部材等の着座対象部位aに当接させるための座板12を接続している。
この開閉体10の開放方向側の端部は、巻取軸32の巻取体32a外周面に止着され、開閉体10の幅方向側の端部は、図示例によれば、巻取体32aの軸方向の端部から所定量突出している。
なお、本発明は、開閉体10の幅方向端部が巻取体32aの軸方向端部から突出していない構成であっても、開閉体10のスラット11aが開閉体幅方向へ移動して巻取体32aの軸方向端部から突出して軸受ブラケット33に当接するおそれがある場合には、有効に適用することができる。
【0024】
各スラット11aは、開閉体幅方向へ連続する縦断面略凹状の部材であり、開閉体開閉方向の一端側に他のスラット11aに接続するためのカール状もしくはフック状等の接続部(図示せず)を有するとともに、その他端側には、他のスラット11aの前記接続部と掛合する被接続部(図示せず)を有する。
開閉方向に隣り合う二つのスラット11a,11aは、前記接続部と前記被接続部の接続によって、その一方が他方に対し回動可能であるとともに、その一方に対し他方を開閉体幅方向へスライドさせることが可能である。
【0025】
ガイドレール20は、開閉体10の幅方向の端部を横断面略コの字状に囲む部材であり、開閉体10の開放方向側の収納部30と着座対象部位aとの間にわたって長尺状に配設されている。
このガイドレール20の開閉体開放方向側の端部には、傾斜板状のスラット矯正部21を有する。このスラット矯正部21は、スラット11aが開閉体幅方向へずれた場合であって、そのずれたスラット11aがガイドレール20に挿入される場合に、そのスラット11aの幅方向端部を傾斜面に沿わせて元の位置に矯正し、ガイドレール20内へ導く。したがって、複数のスラット11aのうち、ガイドレール20に挿入されないスラット11a(つまり巻取軸32近傍のスラット11a)は、前記スラット矯正部21によって矯正することができない。
通常、ずれたスラット11aは、保護部材36に当接する前に、スラット矯正部21により矯正されてガイドレール20に挿入されるのが好ましい。そのため、保護部材36は、図1に示すように、スラット矯正部21よりも軸受ブラケット33側に位置するのが好ましい。しかし、他例としては、保護部材36をスラット矯正部21と同等の位置とした態様や、保護部材36をスラット矯正部21よりも巻取軸32側に配置した態様とすることも可能である。
なお、前記スラット矯正部21は、他の態様のもの(例えば、特開平9−88457号公報参照)であってもよい。
【0026】
収納部30は、収納ケース31内に、開閉体10を巻き取ったり繰り出したりする巻取軸32と、該巻取軸32を軸受部材35等を介して回転自在に支持する軸受ブラケット33と、巻取軸32を、その軸方向の一端側に設けられたチェーン34a、スプロケット34b及び開閉機(図示しないモータ)等によって駆動回転する駆動装置34(図3参照)と、スラット11aが開閉体幅方向へ所定量以上ずれた場合に、そのスラット11aの幅方向端部に当接して軸受ブラケット33を保護する保護部材36とを具備している。
【0027】
巻取軸32は、外周面に開閉体10の開放方向側端部を止着した略円筒状の巻取体32aと、該巻取体32aの中心側に固定されるとともに両端側がそれぞれ軸受ブラケット33及び軸受部材35によって回転自在に支持された軸本体32bとからなる。
【0028】
軸受ブラケット33は、端部側に補強のための曲げ部分を有する平板状部材であり、その中央側の貫通孔(図示せず)に巻取軸32の軸本体32bを挿通するとともに、前記貫通孔の周囲に装着した軸受部材35によって軸本体32bを回転自在に支持する。この軸受ブラケット33は、磁性体(例えば、亜鉛鋼板や、磁性を有するステンレス鋼、その他の磁性鋼板)によって形成される。
この軸受ブラケット33には、その開閉体厚さ方向の一方側から巻取軸32の軸本体32bを挿入するための切欠部33a(図7及び図8参照)が設けられる。
【0029】
軸受部材35は、巻取軸32の軸本体32bを挿入して、該軸本体32bを回転自在に支持する略円筒状の部材であり、所謂ボールベアリングあるいはスラストベアリング等を用いた構成とすればよい。この軸受部材35は、軸受ブラケット33における巻取軸32を挿通している貫通孔の周りに固定され、軸受ブラケット33の内面から巻取体32a側へ突出している。
【0030】
保護部材36は、軸本体32b周りへの装着作業を容易にするために、周方向に並ぶ複数の保護部材構成片36aを接続して環状に構成される(図3参照)。
この保護部材36の内径は、該保護部材36が軸受部材35周りで回転可能となるように、軸受部材35の外周面に近接又は摺接し、且つ、巻取軸32の巻取体32a外径よりも小さく設定されている。
また、この保護部材36の外径は、該保護部材36が横滑りした際のスラット11aを受けるように、開閉体10が全閉した状態で巻取軸32に巻き残されたスラット11aの外径よりも大きく設定され、本実施の形態の好ましい一例によれば、少なくとも巻取軸32に巻かれた一周目のスラット11aの外径よりも大きく設定される。
なお、保護部材36の外径は、一周目のスラット11aの外径よりも大きく、さらに開閉体10が全開したときの最大巻径と同等か、これよりも大きくしてもよい。
【0031】
各保護部材構成片36aは、軸受部材35の外周面に沿う扇形状に形成され、その周方向の両端部各々に、他の保護部材構成片36aに接続するための凹凸部36a1を有する。この保護部材構成片36aの材質は、スラット11aの当接によって容易に磨耗しないような材質であればよく、例えば、鋼板等の金属材料とすればよいが、セラミックや、樹脂、ゴム、木材等とすることも可能である。
【0032】
また、保護部材36における前記保護部材構成片36aには、磁石36b(永久磁石)が埋め込まれている。この磁石36bは、図示例によれば、円筒状に形成され、各保護部材構成片36aに形成された貫通孔もしくは凹部に嵌合されている。この磁石36bは、磁力によって、保護部材36が軸受ブラケット33から軸方向へ離間しないようにする。
なお、この磁石36bの他例としては、平板状に形成され、保護部材36における各保護部材構成片36aの軸受ブラケット33側の面に止着されるようにしてもよい。
【0033】
上記複数の保護部材構成片36aは、軸受部材35の周りで組み立てられ、図示しないネジ等によって分離しないように固定されことで、円環状の保護部材36を構成する。この保護部材36は、磁石36bの吸着力によって軸受ブラケット33に吸着保持される。この磁石36bの吸着力は、保護部材36が軸受ブラケット33に吸着された状態で外力によって回転可能な程度に適宜に調整されている。
【0034】
よって、上記構成によれば、図1及び図2に示すように、ガイドレール20のスラット矯正部21によって矯正されない巻取軸32周りのスラット11a(特に一周目のスラット11a)が、開閉時の振動等に起因して開閉体幅方向へずれたとしても、そのスラット11aの幅方向端部は、保護部材36に当接する。そして、保護部材36は、スラット11aの回転に伴って、軸受部材35の外周を回転することになる。よって、軸受ブラケット33がスラット11aの当接によって磨耗損傷するのを阻むことができる上、保護部材36自体が磨耗損傷するのも防ぐことができる。
【0035】
次に、本発明に係わる開閉装置の他例について説明する。なお、以下に示す開閉装置は、上述した開閉装置1の一部分を変更したものであるため、主にその変更部分についてのみ詳細に説明し、上述した開閉装置1と略同様の構成については、開閉装置1と同一の符号を用いるとともに、重複する詳細説明を省略する。
【0036】
図4に要部を示す開閉装置2は、上述した開閉装置1に対し、保護部材36を略C字状の保護部材36’に置換したものである。
この保護部材36’は、周方向の一部分に、巻取軸32端部側の軸本体32bを径方向の内外へ挿通可能な切欠部36c’が設けられる。
この切欠部36c’の幅wは、軸本体32bの外径よりも大きく、且つ、該切欠部36c’内にスラット11aが入り込むことのないように、スラット11aの開閉体開閉方向の寸法よりも小さく設定される。
この保護部材36’には、上記保護部材構成片36aと略同様にして、複数の磁石36bが配設される。
そして、この保護部材36’は、前記切欠部36c’に軸本体32bを挿通するようにして軸本体32b周りに環状に配置され、軸受ブラケット33側に寄せられて、軸受部材35の外周に回転可能に嵌め合わせられる。
【0037】
よって、この保護部材36’を具備した開閉装置2によれば、上述した保護部材36と略同様に、巻取軸32周りのスラット11aが開閉時の振動等に起因して開閉体幅方向へずれたとしても、そのスラット11aの幅方向端部は、保護部材36’に当接する。そして、保護部材36は、スラット11aの回転に伴って、軸受部材35の外周を回転することになる。よって、軸受ブラケット33がスラット11aの当接によって損傷するのを阻むことができる上、保護部材36自体の磨耗損傷も防ぐことができる。
【0038】
次に、図5及び図6に要部を示す開閉装置3は、図1の開閉装置1に対し、保護部材36を保護部材37に置換し、この保護部材37をベアリング部材38及び保持部39によって回転自在に保持している。
【0039】
保護部材37は、略円環板状に形成された部材であり、保護部材36と略同様に、軸受部材35周りで回転可能であって、且つ横滑りした際のスラット11aを受けるように、その内外径が設定されている。
この保護部材37における軸受ブラケット33側の面には、周方向に所定間隔を置いて複数の凹部37aが設けられ、各凹部37aには、回転自在に略球状のベアリング部材38が設けられる。ベアリング部材38は、保護部材37と軸受ブラケット33の間に介在して、これらの間の摩擦抵抗を低減する。
【0040】
保持部39は、保護部材37の周囲に周方向の間隔を置いて配設され、軸受ブラケット33の内側面(巻取体32a側面)に溶接やネジ止め等の止着手段によって固定されている。
各保持部39は、保護部材37に対しその外周側及び反軸受ブラケット側(換言すれば巻取体32a側)から近接又は摺接するとともに、保護部材37を回転可能に保持する。
この保持部39は、図示例によれば、軸受ブラケット33の内側面へ向かって突出する突片部39aと該突片部39aの突端から軸心方向へ延設された側片部39bとを有する断面略L字状に形成され、突片部39aを保護部材37の外周面に対し近接又は摺接するとともに、側片部39bを保護部材37の反軸受ブラケット33側の側面に対し近接又は摺接する。
【0041】
よって、図5及び図6に示す開閉装置3によれば、保護部材37を軸受ブラケット33から離れない状態に保持しながら、よりスムーズに回転させることができ、この保護部材37によって、横ずれしたスラット11aにより軸受ブラケット33が磨耗損傷するのを阻むことができる上、保護部材37自体がスラット11aによって磨耗損傷するようなことも防ぐことができる。
【0042】
なお、開閉装置3の変形例としては、保持部39を省くとともに、保護部材37に磁石を埋め込み、該磁石の磁力によって、保護部材37を軸受ブラケット33面に吸引させるようにしてもよい。
また、複数の凹部37aに置換して、保護部材37内面の全周にわたる環状凹部を設け、該環状凹部内に複数のベアリング部材38を設けるようにしてもよい。
また、図示例の保護部材37は、一体の円環状に形成されるが、軸受部材35周りへの装着作業を容易にするために、上記保護部材36と同様に複数の保護部材構成片を円環状に接続してなる態様としてもよい。
【0043】
次に、図7〜8に示す開閉装置4は、図1の開閉装置1に対し、保護部材36を保護部材41に置換するとともに、ベース板50を追加した構成とされる。
【0044】
保護部材41は、複数(図示例によれば2つ)の保護部材構成片41aを、両端の凹凸部分を嵌め合い、ネジ止め等の止着手段により固定してなり、上記保護部材36と略同形状の環状に構成される。
【0045】
ベース板50は、巻取軸32の奥側に設けられる一つの奥側ベース部51と、巻取軸32の手前側において軸受ブラケット33の切欠部33aの上下に配設される二つの手前側ベース部52,53とから構成される。
奥側ベース部51は、ベース本体51aと、該ベース本体51aにおける巻取体32a側面の内周側に回動自在に支持されたベアリング部材50aと、同面の外周側に回動自在に支持されたローラ50bと、同面の更に外周側に設けられた保持部50cと、同面の中央側に埋め込まれた磁石50d(永久磁石)とを具備している。
【0046】
ベース本体51aは、略半円環状の金属製板である。このベース本体51aの他例としては、樹脂やセラミック等とすることも可能である。
【0047】
ベアリング部材50aは、巻取体32a側へ突出して回転自在なボールと、該ボールを出没可能に付勢するスプリングと、これらボール及びスプリングを覆い保持するとともにベース本体51aに螺合された筒部とから構成される所謂ボールプランジャである。
【0048】
ローラ50bは、略円筒状に形成され、保護部材41の外周面に沿って自在に転動するように、ベース本体51aに支持されている。
【0049】
保持部50cは、上記保持部39と略同構成の部材であり、ベース本体51aに対し固定されている。
【0050】
磁石50dは、図示例によれば矩形状の永久磁石である。この磁石50dの他例としては、上述した円柱状の磁石36bや、奥側ベース部51の軸受ブラケット33側の面に重ねられる平板状の磁石等とすることも可能である。
【0051】
上側の手前側ベース部52は、略扇方形状のベース本体52aに、ベアリング部材50a及びローラ50bを装着してなり、保持部50cがネジ止め等によって後付される。
同様に、下側の手前側ベース部53も、略扇方形状のベース本体53aに、ベアリング部材50a及びローラ50bを装着してなり、保持部50cがネジ止め等によって後付される。
【0052】
次に、上記構成の保護部材41及び奥側ベース部51について、その組み立て手順を説明する。
先ず、奥側ベース部51は、巻取軸32の奥側で軸受部材35(図8参照)の外周面に沿うように配設され、磁石50dの磁力によって軸受ブラケット33に吸着保持される。
【0053】
次に、一方の手前側ベース部52は、巻取軸32の手前側における切欠部33aの上側で、奥側ベース部51の上端に接続されるとともに軸受部材35(図8参照)の外周面に沿うようにして配設される。
他方の手前側ベース部53は、巻取軸32の手前側における切欠部33aの下側で、奥側ベース部51の下端に接続されるとともに軸受部材35の外周面に沿うようにして配設される。
【0054】
そして、これら手前側ベース部52,53は、止着ブラケット54によって軸受ブラケット33に対し不動に固定される。止着ブラケット54は、両端部分を手前側ベース部52,53に係合した状態で、軸受ブラケット33の外側面(図7によれば裏面)に固定された安全装置55(例えば急降下防止装置等)にネジ止めされる。
【0055】
次に、前記ベース板50に重ね合わせられるとともに、軸受部材35(図8参照)の周囲に位置するようにして、2つの保護部材構成片41aからなる保護部材41が一体に組み付けられる。この状態で、保護部材41は、周囲に配置された複数のローラ50bに支持される。
【0056】
次に、手前側ベース部52,53の各々に対し保持部50cが止着される。したがって、保護部材41は、周囲の保持部50cによって反軸受ブラケット33側へ移動しないように保持される。
【0057】
よって、図7〜8に示す開閉装置4によれば、保護部材37を保持部50cによって軸受ブラケット33から離れないように保持できるとともに、ベアリング部材50a及びローラ50bによってスムーズに回転させることができ、ひいては、横ずれしたスラット11aによって軸受ブラケット33が磨耗損傷するのを阻むことができる上、保護部材37自体がスラット11aによって磨耗損傷するようなことも防ぐことができる。
【0058】
また、図9〜13に示す開閉装置5は、図1の開閉装置1に対し、保護部材36を保護部材42に置換するとともに、ベース板61を追加した構成とされる。
【0059】
保護部材42は、2つの保護部材構成片42a,42bを、重ね合わせることで、上述した保護部材36と略同形状の環状に構成される。
一方の保護部材構成片42aは、切欠部42a1を有する略C字の平板状に形成され、その内周面には、2つの凹欠部42a2,42a2を有する。
切欠部42a1は、巻取軸32の軸本体32b及び後述する磁石42b2を挿通する幅を有する切れ目状に形成される。
凹欠部42a2は、保護部材構成片42bの磁石42b2を挿通するように、保護部材構成片42aの内周部を凹状に切欠してなる(図11参照)。
【0060】
他方の保護部材構成片42bは、前記保護部材構成片42aと同様の略C字平板状に形成され、巻取軸32の軸本体32b及び後述する磁石42b2を挿通するための切欠部42a1を有するとともに、巻取体32a側の面に周方向に間隔を置いて円柱状の磁石42b2を固定している。
【0061】
ベース板61は、巻取軸32の軸本体32bを挿通するための切欠部61aを有する略C字平板状に形成され、前記切欠部61aの内縁部分を折り曲げることで、該折り曲げ部分を、軸受ブラケット33の切欠部33aに係止するための係止部61bとしている。
【0062】
保護部材構成片42a,42b及びベース板61の材質は、本実施の形態の一例によれば、SUS304(オーステナイト系ステンレス:非磁性体)とされる。
【0063】
上記保護部材構成片42a,42b及びベース板61の組み立て手順について説明すれば、先ず、ベース板61が軸受部材35の外周に装着される。この際、ベース板61は、その係止部61bを軸受ブラケット33の切欠部33aに嵌め合わせることで周り止めされる。
【0064】
次に、上記他方の保護部材構成片42bが、その磁石42b2を巻取体32a側へ向けて、軸受部材35の外周に回転自在に装着される。この保護部材構成片42bは、磁石42b2の磁力によって軸受ブラケット33に吸着される。すなわち、磁石42b2の磁界は、非磁性体である保護部材構成片42b及びベース板61を透過して軸受ブラケット33に及ぶ。
【0065】
次に、前記他方の保護部材構成片42bに対し前記一方の保護部材構成片42aが重ね合わせられる。この際、三つの磁石42b2のうちの二つは、凹欠部42a2,42a2に嵌め合わせられるとともに、他の一つの磁石42b2が切欠部42a1に挿通され、切欠部42a1,42b1同士が重なり合わない配置とされる(図10参照)。
そして、二枚の保護部材構成片42a,42bは、接着剤や両面テープ等により接着されて一体状の保護部材42を構成する。
【0066】
よって、図9〜13に示す開閉装置5によれば、保護部材42を軸受ブラケット33から離れない状態に保持しながら回転させることができ、この保護部材42によって、横ずれしたスラット11aにより軸受ブラケット33が磨耗損傷するのを阻むことができる上、保護部材42自体がスラット11aによって磨耗損傷するようなことも防ぐことができる。
この開閉装置5は、突出する磁石42b2が、巻取体32aに巻かれたスラット11aの内周側に位置するようにしているため、特に、巻取体32aの外径が軸受部材35に相対して比較的大きい場合に採用するのに適している。
【0067】
なお、上記構成において、ベース板61を磁性体とすることも可能であるが、このようにした場合、磁石42b2による吸着力が弱まることを本願発明者は実験的に確認しており、そのため、上記形態では、磁石42b2による吸着力を効果的に得るために、ベース板61を非磁性体とした。
【0068】
次に、図14〜17に示す開閉装置6は、図1の開閉装置1に対し、保護部材36を保護部材43に置換するとともに、ベース板62を追加した構成とされる。
【0069】
保護部材43は、2つの保護部材構成片43a,43aを、重ね合わせることで、上述した保護部材36と略同形状の環状に構成される。
各保護部材構成片43aは、略C字の平板状に形成され、巻取軸32の軸本体32bを挿通するための切欠部43a1を有する(図16参照)。
【0070】
ベース板62は、図17に示すように、巻取軸32の軸本体32bを挿通するための切欠部62aを有する略C字平板状に形成され、前記切欠部62aの内縁部分を折り曲げることで、該折り曲げ部分を、軸受ブラケット33の切欠部33aに係止するための係止部62bとしている。このベース板62の材質は、本実施の形態の一例によれば、SUS304(オーステナイト系ステンレス:非磁性体)とされる。
このベース板62の外周端側(図示例によれば上下端側)には、適宜に間隔を置いて円柱状の磁石62cが装着されている。また、同外周端側における前記磁石62cに干渉しない位置には、保護部材43に対しその外周側及び反軸受ブラケット側から近接又は接触するとともに、該保護部材43を回転可能に保持する複数(図示例によれば二つ)の保持部62dが設けられている。図示例の保持部62dは、ベース板62の外周端側を曲げ加工することで断面略コ字状に形成される。
【0071】
上記構成の保護部材構成片43a,43a及びベース板62の組み立て手順について説明すれば、先ず、ベース板62が軸受部材35の外周に装着される。この際、ベース板62は、その係止部62bを軸受ブラケット33の切欠部33aに嵌め合わせることで周り止めされるとともに、磁石62cの磁力によって軸受ブラケット33の巻取体側面に吸着する。
【0072】
そして、二つの保護部材構成片43a,43aが、軸受部材35の外周に回転自在に装着される。この際、各保護部材構成片43aは、その外周側端部が保持部62dに嵌め合わせられる。そして、これら二つの保護部材構成片43a,43aは、切欠部43a1同士を重ね合わせないようにして、接着剤や両面テープ等により一体に接合されて保護部材43を構成する。
【0073】
よって、図14〜17に示す開閉装置6によれば、保護部材43を軸受ブラケット33から離れない状態に保持しながら回転させることができ、この保護部材43によって、横ずれしたスラット11aにより軸受ブラケット33が磨耗損傷するのを阻むことができる上、保護部材43自体がスラット11aによって磨耗損傷するようなことも防ぐことができる。
この開閉装置6は、突出する磁石62cが、巻取体32aに巻かれたスラット11aの外周側に位置するようにしているため、特に、巻取体32aの外径が軸受部材35に相対して比較的小さい場合に採用するのに適している。
【0074】
なお、巻取軸32は、上記実施の形態によれば、回転自在に支持された軸本体32bと一体的に巻取体32aを有する態様としたが、他例としては、回転不能に支持された軸本体の周囲を巻取体が回転自在に回転する態様とすることも可能である。
【0075】
また、図3又は図4に示す開閉装置1,2では、保護部材に磁石を設けたが、他例としては、保護部材の磁石に代えて、軸受ブラケットに磁石を設け、該磁石の磁力によって、保護部材を軸受ブラケットに吸着するようにしてもよい。この場合、前記磁石は、軸受ブラケットの反巻取体側の面に固定してもよいし、軸受ブラケットに凹部又は貫通孔を形成して埋め込むようにしてもよい。
【0076】
また、図7に示す開閉装置4、又は図14〜16に示す開閉装置6では、ベース板に磁石を設けたが、他例としては、ベース板の磁石に代えて、軸受ブラケットに磁石を設け、該磁石の磁力によって、ベース板を軸受ブラケットに吸着するようにしてもよい。この場合、前記磁石は、前記ベース板の反巻取体側の面に固定してもよいし、軸受ブラケットに凹部又は貫通孔を形成して埋め込むようにしてもよい。
【0077】
また、保護部材36,36’,37,41,42(42a+42b),43(43a+43b)は、図1等に示されるように、通常はスラット11aに当接するおそれを少なくするために、なるべく軸受ブラケット33側に配置するのが好ましいが、他例としては、軸受ブラケット33からある程度離間した態様とすることも可能である。
【0078】
また、保護部材36,36’,37,41,42(42a+42b),43(43a+43b)は、その厚みを任意の寸法とすることが可能であるが、特に、軸受部材35の外周から脱落するのを防ぐとともに軸受部材35の外周に沿ってスムーズに回転するようにするためには、軸受部材35の厚みよりも薄くするのが好ましい。
【符号の説明】
【0079】
1〜6:開閉装置 10:開閉体
11:開閉体本体 11a:スラット
32:巻取軸 32a:巻取体
32b:軸本体 33:軸受ブラケット
33a:切欠部 35:軸受部材
36,36’,37,41,42,43:保護部材
36b,42b2,62c:磁石 38,50a:ベアリング部材
39,50c,62d:保持部 50,61,62:ベース板
50b;ローラ 61b,62b:係止部
【技術分野】
【0001】
本発明は、スラットを有する開閉体を、巻取軸によって巻き取ったり繰り出したりする開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の開閉装置は、例えば特許文献1に記載されるもののように、複数のスラット(3)を開閉方向へ接続してなる開閉体と、該開閉体を繰り出し可能に巻き付けた巻取体(巻取シャフト9)と、該巻取体の中心側に固定された軸本体(主軸8)と、該軸本体の端部側を回転自在に保持する軸受部材(軸受7)と、該軸受部材を支持する軸受ブラケット(ブラケット5)とを具備したものがある。この開閉装置では、限られた設置スペースの中で前記開閉体の幅方向寸法を十分に確保するように、前記開閉体の幅方向端部を前記巻取体の幅方向端部よりも突出させている。
この開閉装置によれば、開閉動作時の振動等に起因して、開閉方向に接続されたスラットの一部が開閉体幅方向へわずかにずれる場合があり、このような現象が長期間繰り返されると、前記一部のスラットが他のスラットよりも開閉体幅方向の一方へ大きく突出し、ひいては、そのスラットの突出部分が、前記軸受ブラケットに干渉し、該軸受ブラケットを損傷させてしまうおそれがある。
そこで、特許文献2に記載された発明では、巻取体の端部側に、巻取体の外周面から径方向へ突出する円盤状部材(横ずれ防止手段:61)を設け、この円盤状部材に横ずれしたスラットを当接させるようにしている。
【0003】
ところで、後者の従来技術の構造では、前記円盤状部材を開閉体幅方向の外側寄りに配置するのに伴って、前記巻取体の軸方向寸法が拡大し、該巻取体の端部が前記軸受ブラケットに接近することになる。
しかしながら、前記軸受ブラケットには、軸受部材が設けられているため、この軸受部材に巻取体の端部が干渉しないように、軸受部材を巻取体内に挿入する等の煩雑な構造が必要になってくる。また、前記軸受ブラケットには、前記軸受部材の他、リミットスイッチや、安全装置、開閉機(駆動モータ)等が設けられるため、巻取体の端部が軸受ブラケットに近接することにより、前記軸受周りの部材に対するメンテナンス性を損ねてしまうおそれもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平4−125399号公報
【特許文献2】特開2010−156115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、巻取軸に巻かれたスラットがずれて軸受ブラケットに当接し該軸受ブラケットを損傷させてしまうようなことを阻むこと、巻取体の幅方向寸法を増加しないこと、巻取体と軸受部材の干渉を避けること、軸受周りのメンテナンス性を損ねないこと等、が本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための技術的手段は、開閉方向に接続されたスラットを有する開閉体と、該開閉体を巻き取ったり繰り出したりする巻取軸と、該巻取軸をその軸方向の端部側で回転可能に支持する軸受ブラケットとを備えた開閉装置において、前記軸受ブラケットに、前記巻取軸に巻かれた前記スラットが開閉体幅方向へ移動した場合にそのスラットに当接して前記軸受ブラケットを保護する保護部材を設けるとともに、該保護部材を前記巻取軸と同芯状に回転するように保持したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような作用効果を奏する。
巻取軸に巻かれたスラットが、振動等に起因して開閉体幅方向へ移動した場合、そのスラットの幅方向端部は、保護部材に当接することになる。したがって、前記スラットの幅方向端部が軸受ブラケットに当接して、軸受ブラケットを損傷させてしまうのを阻むことができる。しかも、保護部材が回転するように保持されているため、前記保護部材自体が軸受ブラケットとの摩擦により損傷することも防ぐことができる。
さらには、巻取体の幅方向寸法を増加しないこと、巻取体と軸受部材の干渉を避けること、軸受周りのメンテナンス性を損ねないこと等の目的を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の開閉装置の一例を示す正面図である。
【図2】同開閉装置の要部を上方側から視た構造図である。
【図3】図2における(III)-(III)線断面図である。
【図4】本発明の開閉装置の他例を示す要部断面図である。
【図5】本発明の開閉装置の他例を上方側から視た構造図である。
【図6】図5における(VI)-(VI)線断面図である。
【図7】本発明の開閉装置の他例を示す要部斜視図である。
【図8】同開閉装置から一部の部材を省いた状態を示す斜視図である。
【図9】本発明の開閉装置の他例を上方側から視た構造図である。
【図10】図10における(X)-(X)線断面図である。
【図11】保護部材構成片の一例を示す側面図である。
【図12】保護部材構成片の一例を示す側面図である。
【図13】ベース板の一例を示す側面図である。
【図14】本発明の開閉装置の他例を上方側から視た構造図である。
【図15】図14における(XV)-(XV)線断面図である。
【図16】保護部材構成片の一例を示す側面図である。
【図17】ベース板の一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための一形態は、開閉方向に接続されたスラットを有する開閉体と、該開閉体を巻き取ったり繰り出したりする巻取軸と、該巻取軸をその軸方向の端部側で回転可能に支持する軸受ブラケットとを備えた開閉装置において、前記軸受ブラケットに、前記巻取軸に巻かれた前記スラットが開閉体幅方向へ移動した場合にそのスラットに当接して前記軸受ブラケットを保護する保護部材を設けるとともに、該保護部材を前記巻取軸と同芯状に回転するように保持した。
【0010】
更に、前記保護部材の回転を良好に行うためには、前記軸受ブラケットには、前記巻取軸の軸方向の端部側を回転自在に保持する略環状の軸受部材が設けられ、前記保護部材は、前記軸受部材の外周面に沿って回転するように環状に設けられる。
【0011】
更に、前記保護部材の組み付け作業性を良好にする手段としては、前記保護部材は、前記巻取軸の周方向に沿って設けられた複数の部材を接続して構成される。
【0012】
また、前記保護部材の組み付け作業性を良好にする他の手段としては、前記保護部材には、前記巻取軸の端部側を径方向の内外へ挿通可能な切欠部が設けられる。
【0013】
更に、前記保護部材が軸受ブラケットから離れないようにする手段としては、前記保護部材を、磁石によって前記軸受ブラケットに吸着保持する。
【0014】
更に、前記保護部材の回転抵抗を軽減する手段としては、前記保護部材と前記軸受ブラケットとの間に、回転自在なベアリング部材を介在する。
【0015】
更に、前記保護部材の回転抵抗を軽減する他の手段としては、前記軸受ブラケットに回動自在なローラを設け、該ローラの外周面によって前記保護部材の外周面を支持する。
【0016】
また、前記保護部材が軸受ブラケットから離れないようにする他の手段としては、前記軸受ブラケットに、前記保護部材に対しその外周側及び反軸受ブラケット側から近接又は接触する保持部を設ける。
【0017】
更に、前記軸受ブラケットの磨耗を軽減するとともに、前記保護部材の回転を良好にするためには、前記保護部材と前記軸受ブラケットとの間に、ベース板を配置するとともに該ベース板を前記軸受ブラケットに固定する。
【0018】
更に、前記ベース板を容易に固定する手段としては、前記ベース板を磁石によって前記軸受ブラケットに吸着保持する。
【0019】
更に、前記ベース板を回転不能に保持するための手段としては、前記軸受ブラケットに、前記巻取軸の端部側を径方向の内外へ挿入可能な切欠部を設け、前記ベース板に、前記切欠部に係止される係止部を設ける。
【0020】
なお、本明細書中において「開閉体厚さ方向」とは、閉鎖状態における上記開閉体の厚みの方向を意味する。
また、本明細書中において「開閉体幅方向」とは、上記開閉体の開閉方向と略直交する方向であって、上記開閉体の厚さ方向ではない方向を意味する。
また、本明細書中において「開閉体開閉方向」とは、上記開閉体が空間を仕切ったり開放したりするためにスライドする方向を意味する。
また、本明細書中において「ガイドレール底部」とは、ガイドレールにおいて、上記開閉体の幅方向の端部に対向する部分を意味する。
【0021】
以下、上記形態の好ましい具体例を図面に基づいて説明する。
この開閉装置1は、住宅やビル、倉庫、工場、地下街、トンネル、車両の荷台等の躯体の開口部分や内部に配設され、前記開口部分を開閉したり、躯体内部の空間を仕切ったり開放したりするシャッター装置である。
【0022】
この開閉装置1は、図1に示すように、開閉方向に接続された複数のスラット11aを有する開閉体10(シャッターカーテン)と、該開閉体10の幅方向端部囲んで開閉方向へ案内するガイドレール20と、開閉体10をその開放方向側で収納したり繰り出したりする収納部30とを備え、収納部30内の巻取軸32に巻かれたスラット11aが、巻取軸32を支持する軸受ブラケット33に当接するのを、巻取軸32と同芯状に回転可能な保護部材36によって阻むようにしている。
【0023】
開閉体10は、横長略矩形状の金属板を曲げ加工してなる所謂スラット11aを、開閉体開閉方向へ複数接続することで開閉体本体11を構成し、該開閉体本体11の閉鎖方向端部側(図示例によれば下端側)に、床面や地面、枠部材等の着座対象部位aに当接させるための座板12を接続している。
この開閉体10の開放方向側の端部は、巻取軸32の巻取体32a外周面に止着され、開閉体10の幅方向側の端部は、図示例によれば、巻取体32aの軸方向の端部から所定量突出している。
なお、本発明は、開閉体10の幅方向端部が巻取体32aの軸方向端部から突出していない構成であっても、開閉体10のスラット11aが開閉体幅方向へ移動して巻取体32aの軸方向端部から突出して軸受ブラケット33に当接するおそれがある場合には、有効に適用することができる。
【0024】
各スラット11aは、開閉体幅方向へ連続する縦断面略凹状の部材であり、開閉体開閉方向の一端側に他のスラット11aに接続するためのカール状もしくはフック状等の接続部(図示せず)を有するとともに、その他端側には、他のスラット11aの前記接続部と掛合する被接続部(図示せず)を有する。
開閉方向に隣り合う二つのスラット11a,11aは、前記接続部と前記被接続部の接続によって、その一方が他方に対し回動可能であるとともに、その一方に対し他方を開閉体幅方向へスライドさせることが可能である。
【0025】
ガイドレール20は、開閉体10の幅方向の端部を横断面略コの字状に囲む部材であり、開閉体10の開放方向側の収納部30と着座対象部位aとの間にわたって長尺状に配設されている。
このガイドレール20の開閉体開放方向側の端部には、傾斜板状のスラット矯正部21を有する。このスラット矯正部21は、スラット11aが開閉体幅方向へずれた場合であって、そのずれたスラット11aがガイドレール20に挿入される場合に、そのスラット11aの幅方向端部を傾斜面に沿わせて元の位置に矯正し、ガイドレール20内へ導く。したがって、複数のスラット11aのうち、ガイドレール20に挿入されないスラット11a(つまり巻取軸32近傍のスラット11a)は、前記スラット矯正部21によって矯正することができない。
通常、ずれたスラット11aは、保護部材36に当接する前に、スラット矯正部21により矯正されてガイドレール20に挿入されるのが好ましい。そのため、保護部材36は、図1に示すように、スラット矯正部21よりも軸受ブラケット33側に位置するのが好ましい。しかし、他例としては、保護部材36をスラット矯正部21と同等の位置とした態様や、保護部材36をスラット矯正部21よりも巻取軸32側に配置した態様とすることも可能である。
なお、前記スラット矯正部21は、他の態様のもの(例えば、特開平9−88457号公報参照)であってもよい。
【0026】
収納部30は、収納ケース31内に、開閉体10を巻き取ったり繰り出したりする巻取軸32と、該巻取軸32を軸受部材35等を介して回転自在に支持する軸受ブラケット33と、巻取軸32を、その軸方向の一端側に設けられたチェーン34a、スプロケット34b及び開閉機(図示しないモータ)等によって駆動回転する駆動装置34(図3参照)と、スラット11aが開閉体幅方向へ所定量以上ずれた場合に、そのスラット11aの幅方向端部に当接して軸受ブラケット33を保護する保護部材36とを具備している。
【0027】
巻取軸32は、外周面に開閉体10の開放方向側端部を止着した略円筒状の巻取体32aと、該巻取体32aの中心側に固定されるとともに両端側がそれぞれ軸受ブラケット33及び軸受部材35によって回転自在に支持された軸本体32bとからなる。
【0028】
軸受ブラケット33は、端部側に補強のための曲げ部分を有する平板状部材であり、その中央側の貫通孔(図示せず)に巻取軸32の軸本体32bを挿通するとともに、前記貫通孔の周囲に装着した軸受部材35によって軸本体32bを回転自在に支持する。この軸受ブラケット33は、磁性体(例えば、亜鉛鋼板や、磁性を有するステンレス鋼、その他の磁性鋼板)によって形成される。
この軸受ブラケット33には、その開閉体厚さ方向の一方側から巻取軸32の軸本体32bを挿入するための切欠部33a(図7及び図8参照)が設けられる。
【0029】
軸受部材35は、巻取軸32の軸本体32bを挿入して、該軸本体32bを回転自在に支持する略円筒状の部材であり、所謂ボールベアリングあるいはスラストベアリング等を用いた構成とすればよい。この軸受部材35は、軸受ブラケット33における巻取軸32を挿通している貫通孔の周りに固定され、軸受ブラケット33の内面から巻取体32a側へ突出している。
【0030】
保護部材36は、軸本体32b周りへの装着作業を容易にするために、周方向に並ぶ複数の保護部材構成片36aを接続して環状に構成される(図3参照)。
この保護部材36の内径は、該保護部材36が軸受部材35周りで回転可能となるように、軸受部材35の外周面に近接又は摺接し、且つ、巻取軸32の巻取体32a外径よりも小さく設定されている。
また、この保護部材36の外径は、該保護部材36が横滑りした際のスラット11aを受けるように、開閉体10が全閉した状態で巻取軸32に巻き残されたスラット11aの外径よりも大きく設定され、本実施の形態の好ましい一例によれば、少なくとも巻取軸32に巻かれた一周目のスラット11aの外径よりも大きく設定される。
なお、保護部材36の外径は、一周目のスラット11aの外径よりも大きく、さらに開閉体10が全開したときの最大巻径と同等か、これよりも大きくしてもよい。
【0031】
各保護部材構成片36aは、軸受部材35の外周面に沿う扇形状に形成され、その周方向の両端部各々に、他の保護部材構成片36aに接続するための凹凸部36a1を有する。この保護部材構成片36aの材質は、スラット11aの当接によって容易に磨耗しないような材質であればよく、例えば、鋼板等の金属材料とすればよいが、セラミックや、樹脂、ゴム、木材等とすることも可能である。
【0032】
また、保護部材36における前記保護部材構成片36aには、磁石36b(永久磁石)が埋め込まれている。この磁石36bは、図示例によれば、円筒状に形成され、各保護部材構成片36aに形成された貫通孔もしくは凹部に嵌合されている。この磁石36bは、磁力によって、保護部材36が軸受ブラケット33から軸方向へ離間しないようにする。
なお、この磁石36bの他例としては、平板状に形成され、保護部材36における各保護部材構成片36aの軸受ブラケット33側の面に止着されるようにしてもよい。
【0033】
上記複数の保護部材構成片36aは、軸受部材35の周りで組み立てられ、図示しないネジ等によって分離しないように固定されことで、円環状の保護部材36を構成する。この保護部材36は、磁石36bの吸着力によって軸受ブラケット33に吸着保持される。この磁石36bの吸着力は、保護部材36が軸受ブラケット33に吸着された状態で外力によって回転可能な程度に適宜に調整されている。
【0034】
よって、上記構成によれば、図1及び図2に示すように、ガイドレール20のスラット矯正部21によって矯正されない巻取軸32周りのスラット11a(特に一周目のスラット11a)が、開閉時の振動等に起因して開閉体幅方向へずれたとしても、そのスラット11aの幅方向端部は、保護部材36に当接する。そして、保護部材36は、スラット11aの回転に伴って、軸受部材35の外周を回転することになる。よって、軸受ブラケット33がスラット11aの当接によって磨耗損傷するのを阻むことができる上、保護部材36自体が磨耗損傷するのも防ぐことができる。
【0035】
次に、本発明に係わる開閉装置の他例について説明する。なお、以下に示す開閉装置は、上述した開閉装置1の一部分を変更したものであるため、主にその変更部分についてのみ詳細に説明し、上述した開閉装置1と略同様の構成については、開閉装置1と同一の符号を用いるとともに、重複する詳細説明を省略する。
【0036】
図4に要部を示す開閉装置2は、上述した開閉装置1に対し、保護部材36を略C字状の保護部材36’に置換したものである。
この保護部材36’は、周方向の一部分に、巻取軸32端部側の軸本体32bを径方向の内外へ挿通可能な切欠部36c’が設けられる。
この切欠部36c’の幅wは、軸本体32bの外径よりも大きく、且つ、該切欠部36c’内にスラット11aが入り込むことのないように、スラット11aの開閉体開閉方向の寸法よりも小さく設定される。
この保護部材36’には、上記保護部材構成片36aと略同様にして、複数の磁石36bが配設される。
そして、この保護部材36’は、前記切欠部36c’に軸本体32bを挿通するようにして軸本体32b周りに環状に配置され、軸受ブラケット33側に寄せられて、軸受部材35の外周に回転可能に嵌め合わせられる。
【0037】
よって、この保護部材36’を具備した開閉装置2によれば、上述した保護部材36と略同様に、巻取軸32周りのスラット11aが開閉時の振動等に起因して開閉体幅方向へずれたとしても、そのスラット11aの幅方向端部は、保護部材36’に当接する。そして、保護部材36は、スラット11aの回転に伴って、軸受部材35の外周を回転することになる。よって、軸受ブラケット33がスラット11aの当接によって損傷するのを阻むことができる上、保護部材36自体の磨耗損傷も防ぐことができる。
【0038】
次に、図5及び図6に要部を示す開閉装置3は、図1の開閉装置1に対し、保護部材36を保護部材37に置換し、この保護部材37をベアリング部材38及び保持部39によって回転自在に保持している。
【0039】
保護部材37は、略円環板状に形成された部材であり、保護部材36と略同様に、軸受部材35周りで回転可能であって、且つ横滑りした際のスラット11aを受けるように、その内外径が設定されている。
この保護部材37における軸受ブラケット33側の面には、周方向に所定間隔を置いて複数の凹部37aが設けられ、各凹部37aには、回転自在に略球状のベアリング部材38が設けられる。ベアリング部材38は、保護部材37と軸受ブラケット33の間に介在して、これらの間の摩擦抵抗を低減する。
【0040】
保持部39は、保護部材37の周囲に周方向の間隔を置いて配設され、軸受ブラケット33の内側面(巻取体32a側面)に溶接やネジ止め等の止着手段によって固定されている。
各保持部39は、保護部材37に対しその外周側及び反軸受ブラケット側(換言すれば巻取体32a側)から近接又は摺接するとともに、保護部材37を回転可能に保持する。
この保持部39は、図示例によれば、軸受ブラケット33の内側面へ向かって突出する突片部39aと該突片部39aの突端から軸心方向へ延設された側片部39bとを有する断面略L字状に形成され、突片部39aを保護部材37の外周面に対し近接又は摺接するとともに、側片部39bを保護部材37の反軸受ブラケット33側の側面に対し近接又は摺接する。
【0041】
よって、図5及び図6に示す開閉装置3によれば、保護部材37を軸受ブラケット33から離れない状態に保持しながら、よりスムーズに回転させることができ、この保護部材37によって、横ずれしたスラット11aにより軸受ブラケット33が磨耗損傷するのを阻むことができる上、保護部材37自体がスラット11aによって磨耗損傷するようなことも防ぐことができる。
【0042】
なお、開閉装置3の変形例としては、保持部39を省くとともに、保護部材37に磁石を埋め込み、該磁石の磁力によって、保護部材37を軸受ブラケット33面に吸引させるようにしてもよい。
また、複数の凹部37aに置換して、保護部材37内面の全周にわたる環状凹部を設け、該環状凹部内に複数のベアリング部材38を設けるようにしてもよい。
また、図示例の保護部材37は、一体の円環状に形成されるが、軸受部材35周りへの装着作業を容易にするために、上記保護部材36と同様に複数の保護部材構成片を円環状に接続してなる態様としてもよい。
【0043】
次に、図7〜8に示す開閉装置4は、図1の開閉装置1に対し、保護部材36を保護部材41に置換するとともに、ベース板50を追加した構成とされる。
【0044】
保護部材41は、複数(図示例によれば2つ)の保護部材構成片41aを、両端の凹凸部分を嵌め合い、ネジ止め等の止着手段により固定してなり、上記保護部材36と略同形状の環状に構成される。
【0045】
ベース板50は、巻取軸32の奥側に設けられる一つの奥側ベース部51と、巻取軸32の手前側において軸受ブラケット33の切欠部33aの上下に配設される二つの手前側ベース部52,53とから構成される。
奥側ベース部51は、ベース本体51aと、該ベース本体51aにおける巻取体32a側面の内周側に回動自在に支持されたベアリング部材50aと、同面の外周側に回動自在に支持されたローラ50bと、同面の更に外周側に設けられた保持部50cと、同面の中央側に埋め込まれた磁石50d(永久磁石)とを具備している。
【0046】
ベース本体51aは、略半円環状の金属製板である。このベース本体51aの他例としては、樹脂やセラミック等とすることも可能である。
【0047】
ベアリング部材50aは、巻取体32a側へ突出して回転自在なボールと、該ボールを出没可能に付勢するスプリングと、これらボール及びスプリングを覆い保持するとともにベース本体51aに螺合された筒部とから構成される所謂ボールプランジャである。
【0048】
ローラ50bは、略円筒状に形成され、保護部材41の外周面に沿って自在に転動するように、ベース本体51aに支持されている。
【0049】
保持部50cは、上記保持部39と略同構成の部材であり、ベース本体51aに対し固定されている。
【0050】
磁石50dは、図示例によれば矩形状の永久磁石である。この磁石50dの他例としては、上述した円柱状の磁石36bや、奥側ベース部51の軸受ブラケット33側の面に重ねられる平板状の磁石等とすることも可能である。
【0051】
上側の手前側ベース部52は、略扇方形状のベース本体52aに、ベアリング部材50a及びローラ50bを装着してなり、保持部50cがネジ止め等によって後付される。
同様に、下側の手前側ベース部53も、略扇方形状のベース本体53aに、ベアリング部材50a及びローラ50bを装着してなり、保持部50cがネジ止め等によって後付される。
【0052】
次に、上記構成の保護部材41及び奥側ベース部51について、その組み立て手順を説明する。
先ず、奥側ベース部51は、巻取軸32の奥側で軸受部材35(図8参照)の外周面に沿うように配設され、磁石50dの磁力によって軸受ブラケット33に吸着保持される。
【0053】
次に、一方の手前側ベース部52は、巻取軸32の手前側における切欠部33aの上側で、奥側ベース部51の上端に接続されるとともに軸受部材35(図8参照)の外周面に沿うようにして配設される。
他方の手前側ベース部53は、巻取軸32の手前側における切欠部33aの下側で、奥側ベース部51の下端に接続されるとともに軸受部材35の外周面に沿うようにして配設される。
【0054】
そして、これら手前側ベース部52,53は、止着ブラケット54によって軸受ブラケット33に対し不動に固定される。止着ブラケット54は、両端部分を手前側ベース部52,53に係合した状態で、軸受ブラケット33の外側面(図7によれば裏面)に固定された安全装置55(例えば急降下防止装置等)にネジ止めされる。
【0055】
次に、前記ベース板50に重ね合わせられるとともに、軸受部材35(図8参照)の周囲に位置するようにして、2つの保護部材構成片41aからなる保護部材41が一体に組み付けられる。この状態で、保護部材41は、周囲に配置された複数のローラ50bに支持される。
【0056】
次に、手前側ベース部52,53の各々に対し保持部50cが止着される。したがって、保護部材41は、周囲の保持部50cによって反軸受ブラケット33側へ移動しないように保持される。
【0057】
よって、図7〜8に示す開閉装置4によれば、保護部材37を保持部50cによって軸受ブラケット33から離れないように保持できるとともに、ベアリング部材50a及びローラ50bによってスムーズに回転させることができ、ひいては、横ずれしたスラット11aによって軸受ブラケット33が磨耗損傷するのを阻むことができる上、保護部材37自体がスラット11aによって磨耗損傷するようなことも防ぐことができる。
【0058】
また、図9〜13に示す開閉装置5は、図1の開閉装置1に対し、保護部材36を保護部材42に置換するとともに、ベース板61を追加した構成とされる。
【0059】
保護部材42は、2つの保護部材構成片42a,42bを、重ね合わせることで、上述した保護部材36と略同形状の環状に構成される。
一方の保護部材構成片42aは、切欠部42a1を有する略C字の平板状に形成され、その内周面には、2つの凹欠部42a2,42a2を有する。
切欠部42a1は、巻取軸32の軸本体32b及び後述する磁石42b2を挿通する幅を有する切れ目状に形成される。
凹欠部42a2は、保護部材構成片42bの磁石42b2を挿通するように、保護部材構成片42aの内周部を凹状に切欠してなる(図11参照)。
【0060】
他方の保護部材構成片42bは、前記保護部材構成片42aと同様の略C字平板状に形成され、巻取軸32の軸本体32b及び後述する磁石42b2を挿通するための切欠部42a1を有するとともに、巻取体32a側の面に周方向に間隔を置いて円柱状の磁石42b2を固定している。
【0061】
ベース板61は、巻取軸32の軸本体32bを挿通するための切欠部61aを有する略C字平板状に形成され、前記切欠部61aの内縁部分を折り曲げることで、該折り曲げ部分を、軸受ブラケット33の切欠部33aに係止するための係止部61bとしている。
【0062】
保護部材構成片42a,42b及びベース板61の材質は、本実施の形態の一例によれば、SUS304(オーステナイト系ステンレス:非磁性体)とされる。
【0063】
上記保護部材構成片42a,42b及びベース板61の組み立て手順について説明すれば、先ず、ベース板61が軸受部材35の外周に装着される。この際、ベース板61は、その係止部61bを軸受ブラケット33の切欠部33aに嵌め合わせることで周り止めされる。
【0064】
次に、上記他方の保護部材構成片42bが、その磁石42b2を巻取体32a側へ向けて、軸受部材35の外周に回転自在に装着される。この保護部材構成片42bは、磁石42b2の磁力によって軸受ブラケット33に吸着される。すなわち、磁石42b2の磁界は、非磁性体である保護部材構成片42b及びベース板61を透過して軸受ブラケット33に及ぶ。
【0065】
次に、前記他方の保護部材構成片42bに対し前記一方の保護部材構成片42aが重ね合わせられる。この際、三つの磁石42b2のうちの二つは、凹欠部42a2,42a2に嵌め合わせられるとともに、他の一つの磁石42b2が切欠部42a1に挿通され、切欠部42a1,42b1同士が重なり合わない配置とされる(図10参照)。
そして、二枚の保護部材構成片42a,42bは、接着剤や両面テープ等により接着されて一体状の保護部材42を構成する。
【0066】
よって、図9〜13に示す開閉装置5によれば、保護部材42を軸受ブラケット33から離れない状態に保持しながら回転させることができ、この保護部材42によって、横ずれしたスラット11aにより軸受ブラケット33が磨耗損傷するのを阻むことができる上、保護部材42自体がスラット11aによって磨耗損傷するようなことも防ぐことができる。
この開閉装置5は、突出する磁石42b2が、巻取体32aに巻かれたスラット11aの内周側に位置するようにしているため、特に、巻取体32aの外径が軸受部材35に相対して比較的大きい場合に採用するのに適している。
【0067】
なお、上記構成において、ベース板61を磁性体とすることも可能であるが、このようにした場合、磁石42b2による吸着力が弱まることを本願発明者は実験的に確認しており、そのため、上記形態では、磁石42b2による吸着力を効果的に得るために、ベース板61を非磁性体とした。
【0068】
次に、図14〜17に示す開閉装置6は、図1の開閉装置1に対し、保護部材36を保護部材43に置換するとともに、ベース板62を追加した構成とされる。
【0069】
保護部材43は、2つの保護部材構成片43a,43aを、重ね合わせることで、上述した保護部材36と略同形状の環状に構成される。
各保護部材構成片43aは、略C字の平板状に形成され、巻取軸32の軸本体32bを挿通するための切欠部43a1を有する(図16参照)。
【0070】
ベース板62は、図17に示すように、巻取軸32の軸本体32bを挿通するための切欠部62aを有する略C字平板状に形成され、前記切欠部62aの内縁部分を折り曲げることで、該折り曲げ部分を、軸受ブラケット33の切欠部33aに係止するための係止部62bとしている。このベース板62の材質は、本実施の形態の一例によれば、SUS304(オーステナイト系ステンレス:非磁性体)とされる。
このベース板62の外周端側(図示例によれば上下端側)には、適宜に間隔を置いて円柱状の磁石62cが装着されている。また、同外周端側における前記磁石62cに干渉しない位置には、保護部材43に対しその外周側及び反軸受ブラケット側から近接又は接触するとともに、該保護部材43を回転可能に保持する複数(図示例によれば二つ)の保持部62dが設けられている。図示例の保持部62dは、ベース板62の外周端側を曲げ加工することで断面略コ字状に形成される。
【0071】
上記構成の保護部材構成片43a,43a及びベース板62の組み立て手順について説明すれば、先ず、ベース板62が軸受部材35の外周に装着される。この際、ベース板62は、その係止部62bを軸受ブラケット33の切欠部33aに嵌め合わせることで周り止めされるとともに、磁石62cの磁力によって軸受ブラケット33の巻取体側面に吸着する。
【0072】
そして、二つの保護部材構成片43a,43aが、軸受部材35の外周に回転自在に装着される。この際、各保護部材構成片43aは、その外周側端部が保持部62dに嵌め合わせられる。そして、これら二つの保護部材構成片43a,43aは、切欠部43a1同士を重ね合わせないようにして、接着剤や両面テープ等により一体に接合されて保護部材43を構成する。
【0073】
よって、図14〜17に示す開閉装置6によれば、保護部材43を軸受ブラケット33から離れない状態に保持しながら回転させることができ、この保護部材43によって、横ずれしたスラット11aにより軸受ブラケット33が磨耗損傷するのを阻むことができる上、保護部材43自体がスラット11aによって磨耗損傷するようなことも防ぐことができる。
この開閉装置6は、突出する磁石62cが、巻取体32aに巻かれたスラット11aの外周側に位置するようにしているため、特に、巻取体32aの外径が軸受部材35に相対して比較的小さい場合に採用するのに適している。
【0074】
なお、巻取軸32は、上記実施の形態によれば、回転自在に支持された軸本体32bと一体的に巻取体32aを有する態様としたが、他例としては、回転不能に支持された軸本体の周囲を巻取体が回転自在に回転する態様とすることも可能である。
【0075】
また、図3又は図4に示す開閉装置1,2では、保護部材に磁石を設けたが、他例としては、保護部材の磁石に代えて、軸受ブラケットに磁石を設け、該磁石の磁力によって、保護部材を軸受ブラケットに吸着するようにしてもよい。この場合、前記磁石は、軸受ブラケットの反巻取体側の面に固定してもよいし、軸受ブラケットに凹部又は貫通孔を形成して埋め込むようにしてもよい。
【0076】
また、図7に示す開閉装置4、又は図14〜16に示す開閉装置6では、ベース板に磁石を設けたが、他例としては、ベース板の磁石に代えて、軸受ブラケットに磁石を設け、該磁石の磁力によって、ベース板を軸受ブラケットに吸着するようにしてもよい。この場合、前記磁石は、前記ベース板の反巻取体側の面に固定してもよいし、軸受ブラケットに凹部又は貫通孔を形成して埋め込むようにしてもよい。
【0077】
また、保護部材36,36’,37,41,42(42a+42b),43(43a+43b)は、図1等に示されるように、通常はスラット11aに当接するおそれを少なくするために、なるべく軸受ブラケット33側に配置するのが好ましいが、他例としては、軸受ブラケット33からある程度離間した態様とすることも可能である。
【0078】
また、保護部材36,36’,37,41,42(42a+42b),43(43a+43b)は、その厚みを任意の寸法とすることが可能であるが、特に、軸受部材35の外周から脱落するのを防ぐとともに軸受部材35の外周に沿ってスムーズに回転するようにするためには、軸受部材35の厚みよりも薄くするのが好ましい。
【符号の説明】
【0079】
1〜6:開閉装置 10:開閉体
11:開閉体本体 11a:スラット
32:巻取軸 32a:巻取体
32b:軸本体 33:軸受ブラケット
33a:切欠部 35:軸受部材
36,36’,37,41,42,43:保護部材
36b,42b2,62c:磁石 38,50a:ベアリング部材
39,50c,62d:保持部 50,61,62:ベース板
50b;ローラ 61b,62b:係止部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉方向に接続されたスラットを有する開閉体と、該開閉体を巻き取ったり繰り出したりする巻取軸と、該巻取軸をその軸方向の端部側で回転可能に支持する軸受ブラケットとを備えた開閉装置において、
前記軸受ブラケットに、前記巻取軸に巻かれた前記スラットが開閉体幅方向へ移動した場合にそのスラットに当接して前記軸受ブラケットを保護する保護部材を設けるとともに、該保護部材を前記巻取軸と同芯状に回転するように保持したことを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
前記軸受ブラケットには、前記巻取軸の軸方向の端部側を回転自在に保持する略環状の軸受部材が設けられ、
前記保護部材は、前記軸受部材の外周面に沿って回転するように環状に設けられていることを特徴とする請求項1記載の開閉装置。
【請求項3】
前記保護部材は、前記巻取軸の周方向に沿って設けられた複数の部材を接続して構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の開閉装置。
【請求項4】
前記保護部材には、前記巻取軸の端部側を径方向の内外へ挿通可能な切欠部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の開閉装置。
【請求項5】
前記保護部材は、磁石によって前記軸受ブラケットに吸着保持されていることを特徴とする請求項1乃至4何れか1項記載の開閉装置。
【請求項6】
前記保護部材と前記軸受ブラケットとの間に、回転自在なベアリング部材を介在したことを特徴とする請求項1乃至5何れか1項記載の開閉装置。
【請求項7】
前記軸受ブラケットに回動自在なローラを設け、該ローラの外周面によって前記保護部材の外周面を支持したことを特徴とする請求項6記載の開閉装置。
【請求項8】
前記軸受ブラケットに、前記保護部材に対しその外周側及び反軸受ブラケット側から近接又は接触する保持部を設けたことを特徴とする請求項1乃至7何れか1項記載の開閉装置。
【請求項9】
前記保護部材と前記軸受ブラケットとの間に、ベース板を配置するとともに該ベース板を前記軸受ブラケットに固定したことを特徴とする請求項1乃至8何れか1項記載の開閉装置。
【請求項10】
前記ベース板を磁石によって前記軸受ブラケットに吸着保持したことを特徴とする請求項9記載の開閉装置。
【請求項11】
前記軸受ブラケットに、前記巻取軸の端部側を径方向の内外へ挿入可能な切欠部を設け、前記ベース板に、前記切欠部に係止される係止部を設けたことを特徴とする請求項9又は10記載の開閉装置。
【請求項1】
開閉方向に接続されたスラットを有する開閉体と、該開閉体を巻き取ったり繰り出したりする巻取軸と、該巻取軸をその軸方向の端部側で回転可能に支持する軸受ブラケットとを備えた開閉装置において、
前記軸受ブラケットに、前記巻取軸に巻かれた前記スラットが開閉体幅方向へ移動した場合にそのスラットに当接して前記軸受ブラケットを保護する保護部材を設けるとともに、該保護部材を前記巻取軸と同芯状に回転するように保持したことを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
前記軸受ブラケットには、前記巻取軸の軸方向の端部側を回転自在に保持する略環状の軸受部材が設けられ、
前記保護部材は、前記軸受部材の外周面に沿って回転するように環状に設けられていることを特徴とする請求項1記載の開閉装置。
【請求項3】
前記保護部材は、前記巻取軸の周方向に沿って設けられた複数の部材を接続して構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の開閉装置。
【請求項4】
前記保護部材には、前記巻取軸の端部側を径方向の内外へ挿通可能な切欠部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の開閉装置。
【請求項5】
前記保護部材は、磁石によって前記軸受ブラケットに吸着保持されていることを特徴とする請求項1乃至4何れか1項記載の開閉装置。
【請求項6】
前記保護部材と前記軸受ブラケットとの間に、回転自在なベアリング部材を介在したことを特徴とする請求項1乃至5何れか1項記載の開閉装置。
【請求項7】
前記軸受ブラケットに回動自在なローラを設け、該ローラの外周面によって前記保護部材の外周面を支持したことを特徴とする請求項6記載の開閉装置。
【請求項8】
前記軸受ブラケットに、前記保護部材に対しその外周側及び反軸受ブラケット側から近接又は接触する保持部を設けたことを特徴とする請求項1乃至7何れか1項記載の開閉装置。
【請求項9】
前記保護部材と前記軸受ブラケットとの間に、ベース板を配置するとともに該ベース板を前記軸受ブラケットに固定したことを特徴とする請求項1乃至8何れか1項記載の開閉装置。
【請求項10】
前記ベース板を磁石によって前記軸受ブラケットに吸着保持したことを特徴とする請求項9記載の開閉装置。
【請求項11】
前記軸受ブラケットに、前記巻取軸の端部側を径方向の内外へ挿入可能な切欠部を設け、前記ベース板に、前記切欠部に係止される係止部を設けたことを特徴とする請求項9又は10記載の開閉装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−193496(P2012−193496A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56024(P2011−56024)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000239714)文化シヤッター株式会社 (657)
【出願人】(398057396)文化シヤッターサービス株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000239714)文化シヤッター株式会社 (657)
【出願人】(398057396)文化シヤッターサービス株式会社 (7)
【Fターム(参考)】
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