説明

開閉装置

【課題】構成の簡素化を図ることができ、製造コストを低減できる開閉装置を提供する。
【解決手段】開閉装置1は、開口部3を開閉する開閉体41を備える。開閉体41は、回動可能な複数の開閉板42を有する。これら複数の開閉板42を連結手段43で連結する。開閉体41の開方向先端側の開閉板42を固定体の固定側被取付部に回動可能に取り付ける。開閉体41の閉方向先端側の開閉板42を可動体の可動側被取付部に回動可能に取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の開閉板を有する開閉体で開口部を開閉する開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載された開閉装置が知られている。
【0003】
この従来の開閉装置は、例えば複数枚のシャッタスラットからなり建物の開口部を開閉する開閉体と、開口部の開口時に開閉体が収納される収納体と、この収納体内に回転可能に設けられ開閉体を巻き戻し可能に巻き取る巻取体と、開閉体の移動時にこの開閉体を案内する左右1対の案内体とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−193769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の開閉装置では、開閉体を収納体内の巻取体で巻き戻し可能に巻き取る構成であるため、構成が複雑となり、製造コストが高くなるおそれがある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、構成の簡素化を図ることができ、製造コストを低減できる開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の開閉装置は、固定側被取付部を有する固定体と、可動側被取付部を有する可動体と、この可動体の動きに基づいて開方向に移動して開口部を開口させ、前記可動体の動きに基づいて閉方向に移動して前記開口部を閉鎖する開閉体とを備え、前記開閉体は、回動可能な複数の開閉板と、これら複数の開閉板を連結する連結手段とを有し、前記開閉体の開方向先端側の開閉板が前記固定側被取付部に回動可能に取り付けられ、前記開閉体の閉方向先端側の開閉板が前記可動側被取付部に回動可能に取り付けられているものである。
【0008】
請求項2記載の開閉装置は、請求項1記載の開閉装置において、互いに離間対向する対をなす回転体を備え、可動体は、前記回転体に掛け渡された回行可能な無端体であるものである。
【0009】
請求項3記載の開閉装置は、請求項2記載の開閉装置において、開閉体の被案内部を案内する案内凹部を有する案内体を備え、無端体の一部が前記案内凹部内に配設されているものである。
【0010】
請求項4記載の開閉装置は、請求項3記載の開閉装置において、開閉体と案内体との間の隙間を覆う隙間カバー体を備えるものである。
【0011】
請求項5記載の開閉装置は、請求項1ないし4のいずれか一記載の開閉装置において、各開閉板は、板面方向一端部を中心として回動可能となっており、連結手段は、複数の連結アームを有し、前記連結アームの長手方向中間部が一の開閉板の板面方向中間部に回動可能に取り付けられ、前記連結アームの長手方向一端部が前記一の開閉板よりも閉方向側に位置する他の開閉板の板面方向一端部に回動可能に取り付けられ、前記連結アームの長手方向他端部が前記一の開閉板よりも開方向側に位置するさらに他の開閉板の板面方向他端部に回動可能に取り付けられているものである。
【0012】
請求項6記載の開閉装置は、請求項1ないし5のいずれか一記載の開閉装置において、開口部の全閉時には複数の開閉板が開閉方向に沿って同一面上に位置し、前記開口部の全開時には前記複数の開閉板が開閉方向に積み重なるように位置し、前記開口部の一部開口時には前記複数の開閉板が互いに離間対向した状態で開閉方向に対して傾斜状に位置するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、従来のような開閉体を収納体内の巻取体で巻き戻し可能に巻き取る構成等に比べて、構成の簡素化を図ることができ、製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態に係る開閉装置の斜視図である。
【図2】同上開閉装置の概略構成図である。
【図3】同上開閉装置の室内側からみた部分斜視図である。
【図4】同上開閉装置の側面図である。
【図5】同上開閉装置の正面図である。
【図6】同上開閉装置の平面図である。
【図7】同上開閉装置の動作説明図であり、(a)が全閉時、(b)が全開時、(c)が一部開口時である。
【図8】図7(a)の全閉時における開閉体の側面図である。
【図9】図7(b)の全開時における開閉体の側面図である。
【図10】図7(c)の一部開口時における開閉体の側面図である。
【図11】本発明の他の実施の形態に係る開閉装置の室内側からみた部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
図1ないし図6において、1は開閉装置で、この開閉装置1は、例えば住宅等の建物2の窓開口部等の開口部3を開閉するパネル式シャッタ装置(ルーバー式雨戸)である。
【0017】
開閉装置1は、互いに離間対向する上下方向長手状の左右1対の案内体(ガイドレール)5と、これら両案内体5の上端部同士を連結する左右方向長手状の開方向先端側ケース体である上ケース体6と、両案内体5の下端部同士を連結する左右方向長手状の閉方向先端側ケース体である下ケース体7とを備えている。
【0018】
案内体5は、図3および図6等に示されるように、開口部3に向かって開口する平面視略コ字状で上下方向長手状の案内凹部11を有している。案内凹部11には、互いに離間対向する平面状の前後1対の案内面12が形成されている。案内体5は、室外側である前側に位置する上下方向長手状の筒状部である前側筒状部13と、室内側である後側に位置する上下方向長手状の筒状部である後側筒状部14とを有している。案内体5は、ねじ等の取付具15にて建物2の躯体2aに固定的に取り付けられている。
【0019】
上ケース体6は、図4および図5等に示されるように、ねじ等の取付具16にて建物2の躯体2aに固定的に取り付けられている。上ケース体6の左右方向両端部内には、図2にも示されるように、左右方向軸線を中心として回転する回転体(例えばスプロケット)17が回転可能に配設されている。回転体17は、上ケース体6の支持板部18に固定された左右方向の支軸19にて回転可能に支持されている。左右1対の回転体17のうちの一方の回転体17には、上ケース体6内に配設された駆動手段である電動モータ20の正逆回転可能な出力回転軸20aが接続部材10を介して接続されている。
【0020】
上ケース体6は、取付具16にて建物2の躯体2aに固定的に取り付けられた左右方向長手状の取付板部である後板部21を有している。後板部21の左右方向両端部には、吊り下げ金具等の固定体22が取付具16にて固定的に取り付けられている。
【0021】
固定体22は、例えば一箇所で直角に折り曲げた板材にて一体に構成されたもので、建物2の躯体2aに対して所定位置に固定されている。固定体22は、上ケース体6の後板部21に固定的に取り付けられた矩形状の取付板部23と、この取付板部23の側端部から前方に向かって突出する略三角形状の突出板部24とを有している。突出板部24の下部の前端部には、孔状の固定側被取付部25が形成されている。つまり、固定体22は、固定側被取付部25を有している。
【0022】
下ケース体7は、図4および図5等に示されるように、ねじ等の取付具26にて建物2の躯体2aに固定的に取り付けられている。下ケース体7の左右方向両端部内には、図2にも示されるように、左右方向軸線を中心として回転する回転体(例えばスプロケット、或いはプーリ等)27が回転可能に配設されている。回転体27は、下ケース体7の支持板部28に固定された左右方向の支軸29にて回転可能に支持されている。左右1対の回転体17は、左右方向長手状で筒状の接続部材である接続パイプ30にて接続されている。つまり、接続パイプ30の長手方向一端部である左端部には左側の回転体27が固着され、接続パイプ30の長手方向他端部である右端部には右側の回転体27が固着されている。接続パイプ30は、下ケース体7内に回転可能に配設されている。なお、接続パイプ30は、上方に配設してもよく、上下両方に配設してもよい。また、接続パイプ30に限らず、左右の無端体31が同期して動作できるものであれば、その構成は任意である。
【0023】
そして、上ケース体6内の回転体17と下ケース体7内の回転体27とが上下に互いに離間対向し、これら対をなす両回転体17,27には、回行可能な無端状の可動体である無端体(例えばチェーン、或いはベルト等)31が掛け渡されている。つまり、無端体31の上端側の円弧状の部分が上ケース体6内の回転体17に巻き掛けられ、無端体31の下端側の円弧状の部分が下ケース体7内の回転体27に巻き掛けられている。
【0024】
無端体31の直線状の往路部(後側の部分)32は、案内体5の案内凹部11内に上下方向(開閉方向)に移動可能に配設されている。無端体31の直線状の復路部(前側の部分)33は、案内体5の前側筒状部13内に上下方向(開閉方向)に移動可能に配設されている(図6参照)。つまり、無端体31の往路部32および復路部33の全体が、案内体5にて覆い隠されている。そして、図2から明らかなように、これら左右1対の無端体31は、1つの電動モータ20から出力される動力に基づいて、同じ方向(a方向またはb方向)に同時に回行する。
【0025】
無端体31の往路部32は、チェーン接続金具等の可動側被取付部35を有している。つまり、左右の各無端体31の往路部32の1箇所のみに、可動側被取付部35が設けられている。この可動側被取付部35は、案内体5の案内凹部11内に上下方向に移動可能に嵌入され、案内凹部11の案内面12に沿ってスライドする。可動側被取付部35は、コ字状の被取付部分36と、この被取付部分36から上下に突出する板状のチェーン連結部分37とにて構成されている。
【0026】
開閉装置1は、無端体31の動き、すなわち例えば無端体31のa方向への回行に基づいて開方向(上方向)に移動して開口部3を開口させ、無端体31の動き、すなわち例えば無端体31のb方向への回行に基づいて閉方向(下方向)に移動して開口部3を閉鎖するルーバー式の開閉体41を備えている。
【0027】
開閉体41は、図1ないし図6等に示されるように、開閉方向に移動可能でかつ左右方向軸線を中心として上下方向に回動可能な左右方向長手状で平板状の複数(例えば6枚)の開閉板(開閉面材)42と、これら複数の開閉板42が一斉に上下方向に回動するようにこれら複数の開閉板42を連結する左右1対の連結手段43とを有している。なお、連結手段43は、開閉板42が回動するときに開閉板42への当接を避けるため、開閉板42の左右の両側端部の外側面に連結されている。
【0028】
そして、開閉体41の開方向先端側の開閉板42、すなわち例えば開口部3の全閉時に開閉体41の上端部に位置する開閉板42の左右方向両端部のみが、左右の固定体22の固定側被取付部25に回動可能に取り付けられている。つまり、上端(開方向先端)の開閉板42の側端部に位置する吊り元部(固定体取付部)44が、トラス小ねじ(取付具)45、スペーサーカラー46およびワッシャ47を介して、固定体22の固定側被取付部25に左右方向の軸(回動支点)48を中心として回動可能に取り付けられている(図5参照)。
【0029】
また、開閉体41の閉方向先端側の開閉板42、すなわち例えば開口部3の全閉時に開閉体41の下端部に位置する開閉板42の左右方向両端部のみが、左右の無端体31の可動側被取付部35に回動可能に取り付けられている。つまり、下端(閉方向先端)の開閉板42の側端部に位置する無端体取付部50が、トラス小ねじ(取付具)51、スペーサーカラー52、ローラ53、ガイドカラー54、連結アーム55およびワッシャ56を介して、無端体31の可動側被取付部35に左右方向の軸部(回動支点)58を中心として回動可能に取り付けられている(図5参照)。
【0030】
ここで、各開閉板42は、従来のシャッタスラットよりも大きくかつ剛性の高いものであり、例えばアルミ板や鋼板等の金属板にて構成されている。開閉板42は、例えば複数箇所で折り曲げた矩形状の板材からなる開閉部材(ルーバー)61と、長手状の板材からなり開閉部材61の左右方向両端部に固着されたアーム状の側端部材(ルーバーエンド)62とにて構成されている。側端部材62の上端部は、開閉部材61の上端部から上方に向かって突出している。しかし、上端の開閉板42についてのみ、側端部材62の上端部が、開閉部材61の上端部から上方に向かって突出していない。つまり、上端の開閉部材61は、その上端の開閉部材61以外の残りの開閉部材61とは形状が異なり、上端の開閉部材61の上端部には延長板部61aが連設されている(図4参照)。なお、上端の開閉板42の両側端部材62の上端部が吊り元部44となっている。下端の開閉板42の両側端部材62の上端部が無端体取付部50となっている。
【0031】
また、各開閉板42は、この開閉板42の板面方向一端部(側面視長手方向一端部)を中心として上下方向に回動可能となっている。つまり、上端の開閉板42は、この開閉板42の板面方向一端部の軸(固定軸)48を中心として上下方向に回動可能となっている。下端の開閉板42は、この開閉板42の板面方向一端部の軸(可動軸)58を中心として上下方向に回動可能となっている。上下端以外の中間の開閉板42は、この開閉板42の板面方向一端部の軸(可動軸)60を中心として上下方向に回動可能となっている。なお、開閉板42の板面方向は、矩形状をなす開閉板42の短手方向である。
【0032】
図2に示されるように、開閉体41の移動時(開閉動作時)に上下方向に移動する複数の可動軸である軸(例えばトラス小ねじの軸部)58,60の外周には、それぞれ円筒状をなすローラ53およびガイドカラー54が回転可能に取り付けられている。そして、案内体5の案内凹部11にて案内されるローラ53は、その案内凹部11内に上下方向に移動可能に嵌入されている。つまり、案内体5の案内凹部11は、開閉体41の移動時にこの開閉体41の被案内部であるローラ53を案内する。なお、ローラ53の外径寸法は、案内凹部11の両案内面12間の離間距離と略同じである。
【0033】
連結手段43は、例えば長手状の板材からなる複数(例えば4本)の連結アーム55と、長手状の板材からなり連結アーム55よりも少し短い複数(例えば2本)の連結短アーム65とにて構成されている。つまり、複数の開閉板42がアーム55,65によってパンタグラフのように連結されている。なお、アーム55,65は、開閉板42が回動するときに開閉板42への当接を避けるため、開閉板42の左右の両側端部の外側面に連結されている。
【0034】
そして、図10等から明らかなように、連結アーム55の長手方向中間部である長手方向中央部が一の開閉板42の板面方向中間部である板面方向中央部に軸66を介して回動可能に取り付けられ、その連結アーム55の長手方向一端部がその一の開閉板42よりも閉方向側に隣り合って位置する他の開閉板42の板面方向一端部に軸58,60を介して回動可能に取り付けられ、その連結アーム55の長手方向他端部がその一の開閉板42よりも開方向側に隣り合って位置する別の他の開閉板42の板面方向他端部に軸67を介して回動可能に取り付けられている。
【0035】
また、下の連結短アーム65の長手方向一端部(下端部)が下端の開閉板42の板面方向中間部である板面方向中央部に軸66を介して回動可能に取り付けられ、その下の連結短アーム65の長手方向他端部(上端部)がその下端の開閉板42よりも開方向側に隣り合って位置する開閉板42の板面方向他端部に軸67を介して回動可能に取り付けられている。
【0036】
さらに、上の連結短アーム65の長手方向他端部(上端部)が上端の開閉板42の板面方向中間部である板面方向中央部に軸66を介して回動可能に取り付けられ、その上の連結短アーム65の長手方向一端部(下端部)がその上端の開閉板42よりも閉方向側に隣り合って位置する開閉板42の板面方向一端部に軸60を介して回動可能に取り付けられている。
【0037】
なお、開閉板42の板面方向中央部に位置する軸66および開閉板42の板面方向他端部に位置する軸67は、開閉板42の板面方向一端部に位置する軸58,60と同様、例えばトラス小ねじ70の軸部にて構成されている。つまり、開閉板42の側端部に位置するアーム取付部が、トラス小ねじ(取付具)70、スペーサーカラー71およびワッシャ72を介して、アーム55,65の被取付部に左右方向の軸66,67を中心として回動可能に取り付けられている。
【0038】
なお、開閉体41を開閉方向に移動させる電動モータ20には、図示しないリモコンユニット等の操作手段が電気的に接続されている。操作手段は、例えば開用操作部、閉用操作部および停止用操作部を有している。
【0039】
また、図4に示されるように、下ケース体7の上部前側には段部75が形成され、開口部3の全閉時には下端の開閉板42の下端部の折曲げ部42aがその段部75内に位置する。同様に、開閉板42の上端部には段部42bが形成され、開口部3の全閉時には隣り合う上方の開閉板42の下端部の折曲げ部42aがその段部42b内に位置する。
【0040】
次に、上記開閉装置1の作用等を説明する。
【0041】
例えば操作手段の閉用操作部を操作すると、電動モータ20が作動し、左右の無端体31がb方向に同時に回行し、これら両無端体31の回行に基づいて開閉体41が閉方向に所定の全閉位置まで移動して開口部3を閉鎖(全閉)する。この開閉体41の閉方向への移動の際、複数の開閉板42は、後端側(基端側)の軸58,60を中心として前端側(先端側)が下降するように一斉に下方回動する。
【0042】
そして、図7(a)および図8に示すように、この開口部3の全閉時には、複数の開閉板42は、開閉方向である上下方向に沿った鉛直姿勢である全閉姿勢となって、互いに近接した状態で上下方向に沿って同一面上に位置する。つまり、開閉体41は、平板状(略平板状を含む)の全閉状態となって開口部3を閉鎖する。
【0043】
なお、各開閉板42が平板状(略平板状を含む)に形成されているため、開閉体41は、平板状の全閉状態となって開口部3を閉鎖する。ただし、各開閉板42やその表面が例えば凹凸状になっていると、開閉体41は、平板状の全閉状態とはならないが、鉛直姿勢である全閉姿勢となる。なお、全閉姿勢になるのは、積み重なった各開閉板42全体の上下方向長さが開口部3の高さと略等しくなるように構成されているためであり、全閉時に下端部に隙間があったり、鉛直姿勢にならなくてもよいのであれば、合計長さと開口部3の高さが必ずしも等しくなくてもよい。
【0044】
また、例えば操作手段の開用操作部を操作すると、電動モータ20が作動し、左右の無端体31がa方向に同時に回行し、これら両無端体31の回行に基づいて開閉体41が開方向に所定の全開位置まで移動して開口部3を開口(全開)させる。この開閉体41の開方向への移動の際、複数の開閉板42は、後端側の軸58,60を中心として前端側が上昇するように一斉に上方回動する。つまり、各開閉板42は、室外側に向かって突出するように上方回動する。
【0045】
そして、図7(b)および図9に示すように、この開口部3の全開時には、複数の開閉板42は、開閉方向に対して直交する水平方向に沿った水平姿勢である全開姿勢となって、互いに近接した状態で上下方向に積み重なるように位置する。つまり、開閉体41は、上ケース体6の下方近傍位置で、直方体状の全開状態となって開口部3を開口させる。
【0046】
なお、開閉体41の移動および回動時において、開閉板42の板面方向一端部、すなわち室内側端部付近に設けられている軸60の外周に取り付けられているローラ53は、案内体5にて上下方向に沿って案内されるため、開閉板42の板面方向一端部は、板面方向他端部である室外側端部とは異なって室内側に大きく突出することはなく略一定であり、案内体よりも後ろ側(室内側)に大きく突出することはない。このため、開閉装置1の室内側に接近させて、例えばサッシ窓等の他の開閉装置を配置することが可能である。
【0047】
さらに、例えば開閉体41の移動途中で操作手段の停止用操作部を操作すると、電動モータ20が停止して開閉体41が任意位置で停止する。その結果、例えば図7(c)および図10に示すような開口部3の閉方向側の一部のみが開口した状態となる。
【0048】
そして、この開口部3の一部開口時には、複数の開閉板42は、隣り合うもの同士が互いに平行に離間対向した状態で、開閉方向である上下方向に対して所望の傾斜角度をもって傾斜状、すなわち前端側に向かって徐々に下り傾斜する前下り傾斜状に位置する。つまり、開閉体41は、階段状の中間状態となって開口部3の一部を開口させる。
【0049】
また、この開口部3の一部開口時には、互いに隣り合う傾斜状の各開閉板42間に通風用間隙77が形成される。このため、開口部3を全開させなくても、それら複数の通風用間隙77があるため、開口部3の略全体を介して十分に風を通すことが可能である。開閉板42の傾斜角度は、例えば0度〜90度の範囲内で任意の角度に設定可能である。なお、本実施の形態は、すべての開閉板42について同じ傾斜角度となる構成であるが、各開閉板42ごとに傾斜角度を調整できるようにしてもよい。
【0050】
さらに、この開口部3の一部開口時には、前下り傾斜状の開閉板42の前端側は、案内体5よりも室外側である前方に向かって突出している。このため、傾斜状の開閉板42は、例えば太陽光(日光)の室内側への入り込みを防止することが可能である。つまり、開閉板42は、オーニング体である日除け体としても機能する。
【0051】
そして、このような開閉装置1によれば、従来のようなシャッタスラットからなる開閉体を収納体内の巻取体で巻き戻し可能に巻き取る構成等に比べて、構成の簡素化を図ることができ、製造コストを低減できる。
【0052】
特に、開閉板42は、従来周知のシャッタ装置のシャッタスラットよりも大きくかつ剛性の高いものであるため、開閉体41を構成する構成部品の点数を少なくでき、構成の簡素化を図ることができ、しかも強風時等のバタツキを防止できる。
【0053】
また、開閉体41を開閉動作途中の任意位置で停止させ、複数の開閉板42をそれらの間に通風用間隙77が形成されるように傾斜状にすることにより、日除け機能および通風機能を実現でき、しかもその構成の簡素さから従来の日除け機能および通風機能を備えたシャッタ装置に比べて安価に製造できる。なお、開閉板42の板面方向長さ寸法(前後方向長さ寸法)を大きくすることで、日除け機能を容易に向上できる。
【0054】
さらに、開閉体41と連動する可動体は両回転体17,27に掛け渡された回行可能な無端体31であるため、構成の簡素化を効果的に図ることができる。
【0055】
また、無端体31の往路部32が案内体5の案内凹部11内に配設されているため、無端体31の往路部32を案内凹部11で覆って保護でき、また、無端体31の復路部33が案内体5の前側筒状部13内に配設されているため、無端体31の復路部33を前側筒状部13で覆って保護できる。
【0056】
次に、図11には、他の実施の形態に係る開閉装置1が示されている。
【0057】
この開閉装置1は、室内側からの外観の向上を図るために、各案内体5に取り付けられ開閉体41の側端部と案内体5との間の隙間を覆う上下方向長手状で板状の目隠し体である隙間カバー体(化粧材)80と、各開閉板42に取り付けられ開閉板42の室内側の面(後面)の全体を覆う左右方向長手状で板状の開閉板カバー体(化粧材)85とを備えている。
【0058】
隙間カバー体80は、例えば2箇所で直角に折り曲げた板材にて一体に構成されたものである。つまり、隙間カバー体80は、案内体5の後側筒状部14に固定的に取り付けられた第1板部81と、この第1板部81の前端部から開口部3側の内側方に向かって突出する第2板部82と、この第2板部82の内側端部から前方に向かって突出する第3板部83とにて構成されている。
【0059】
開閉板カバー体85は、開閉部材61と略同じ大きさのもので、この開閉板カバー体85の室内側の面(後面)の全体が凹凸のない平坦な平面状に形成されている。なお、この開閉装置1のその他の構成は、上記一実施の形態の構成と同じである。
【0060】
なお、上記いずれの実施の形態においても、開閉体41が上下方向に移動可能で開閉方向が上下方向である構成について説明したが、例えば開閉装置1を横置きにして、開閉体41が左右方向に移動可能で開閉方向が左右方向である構成等とすることも可能である。
【0061】
また、例えば安全性向上のために、開閉体41が障害物に当接した際にこの開閉体41を停止させる障害物感知手段を備えるようにしてもよい。
【0062】
さらに、例えば電動モータ20を備えず、人力による手動操作で開閉体41が開閉動作するようにしてもよい。
【0063】
また、可動体は、チェーンやベルト等の無端体31には限定されず、例えば巻き戻しおよび巻き取り可能な線状体等でもよい。
【0064】
さらに、開閉体41を構成する開閉板42の枚数は任意であり、開口部3の大きさに応じて適宜設定される。
【0065】
また、前記実施の形態では、閉方向移動の際、開閉板42は板面方向他端部側が下向きに回動するように構成されているが、例えば、開閉途中で隣り合う開閉板42間の隙間から日差しを入れ易くするため等の目的で、閉方向移動の際、開閉板42は板面方向他端部側が上向きに回動するように構成してもよい。このようにするためには、例えば図10で示す開閉板42に相当する箇所を連結アーム55(または連結短アーム65)に変更し、連結アーム55(または連結短アーム65)に相当する箇所を開閉板42に変更すればよい。ただし、開閉板42が回動するときに開閉板42への当接を避けるため、連結手段43である連結アーム55(または連結短アーム65)は、開閉板42の左右の両側端部の外側面に連結されているようにする必要がある。
【符号の説明】
【0066】
1 開閉装置
3 開口部
5 案内体
11 案内凹部
17,27 回転体
22 固定体
25 固定側被取付部
31 可動体である無端体
35 可動側被取付部
41 開閉体
42 開閉板
43 連結手段
53 被案内部であるローラ
55 連結アーム
80 隙間カバー体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定側被取付部を有する固定体と、
可動側被取付部を有する可動体と、
この可動体の動きに基づいて開方向に移動して開口部を開口させ、前記可動体の動きに基づいて閉方向に移動して前記開口部を閉鎖する開閉体とを備え、
前記開閉体は、
回動可能な複数の開閉板と、
これら複数の開閉板を連結する連結手段とを有し、
前記開閉体の開方向先端側の開閉板が前記固定側被取付部に回動可能に取り付けられ、
前記開閉体の閉方向先端側の開閉板が前記可動側被取付部に回動可能に取り付けられている
ことを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
互いに離間対向する対をなす回転体を備え、
可動体は、前記回転体に掛け渡された回行可能な無端体である
ことを特徴とする請求項1記載の開閉装置。
【請求項3】
開閉体の被案内部を案内する案内凹部を有する案内体を備え、
無端体の一部が前記案内凹部内に配設されている
ことを特徴とする請求項2記載の開閉装置。
【請求項4】
開閉体と案内体との間の隙間を覆う隙間カバー体を備える
ことを特徴とする請求項3記載の開閉装置。
【請求項5】
各開閉板は、板面方向一端部を中心として回動可能となっており、
連結手段は、複数の連結アームを有し、
前記連結アームの長手方向中間部が一の開閉板の板面方向中間部に回動可能に取り付けられ、
前記連結アームの長手方向一端部が前記一の開閉板よりも閉方向側に位置する他の開閉板の板面方向一端部に回動可能に取り付けられ、
前記連結アームの長手方向他端部が前記一の開閉板よりも開方向側に位置するさらに他の開閉板の板面方向他端部に回動可能に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の開閉装置。
【請求項6】
開口部の全閉時には複数の開閉板が開閉方向に沿って同一面上に位置し、
前記開口部の全開時には前記複数の開閉板が開閉方向に積み重なるように位置し、
前記開口部の一部開口時には前記複数の開閉板が互いに離間対向した状態で開閉方向に対して傾斜状に位置する
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一記載の開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−2057(P2013−2057A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131535(P2011−131535)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000239714)文化シヤッター株式会社 (657)
【Fターム(参考)】