説明

間仕切り支柱およびその施工方法

【課題】施工する場所の長さに合わせて長さを自由に調整でき、施工が容易であって、さらにデザイン性にも優れた間仕切り支柱を提供する。
【解決手段】この間仕切り支柱10は、木質により形成される間仕切り支柱10であって、一方面から他方面までの横断面形状が同一である第1支柱20と第2支柱42とからなる一対の支柱と、第1支柱20と第2支柱42とを結合するための結合部材50と、第1支柱20または第2支柱42を第1被固定部たる天側の天井面100および第2被固定部たる地側の床面102にそれぞれ固定するための第1固定部60aおよび第2固定部60bとを含む。第1支柱20および第2支柱42をそれぞれの裏面28における幅方向の略中央には、結合部材50を嵌合するため、ならびに第1固定部60aおよび第2固定部60bを設けるために、一方面から他方面までの長さを有する溝部34が形成される、間仕切り支柱10である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、室内の間仕切りや目隠し等に使用する間仕切り支柱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の間仕切り支柱として、図10に示すように、上下方向に向けられた多数本を1本1本独立して形成した間仕切り支柱200であって、この間仕切り支柱200を構成する支柱本体の端面に取り付ける基板202と、その支持軸を突設してなる受板204とからなり、支持軸が支柱本体内に出入自在に形成すべくアジャスト具206が弾性体により形成される間仕切り支柱200が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−308391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
室内の間仕切りや目隠し等の用途に使用される間仕切り支柱は、室内におけるインテリア等にも利用されることから、間仕切り支柱の外観から生ずる美感(デザイン性)は、間仕切り支柱を構成する重要な項目の1つである。しかしながら、このような従来の間仕切り支柱200では、外観においてアジャスト具206の部材である圧縮スプリング208が視認できる状態で支柱本体の上部および下部に設けられているので、間仕切り支柱200の外観から生じる美感を損なう問題がある。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、施工する場所の長さに合わせて長さを自由に調整でき、施工が容易であって、さらにデザイン性にも優れた間仕切り支柱を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明にかかる間仕切り支柱は、木質により形成される間仕切り支柱であって、一方面から他方面までの横断面形状が同一である第1支柱と第2支柱とからなる一対の支柱と、第1支柱と第2支柱とを結合するための結合部材と、第1支柱または第2支柱を第1被固定部に固定するための第1固定部および第2被固定部に固定するための第2固定部とを含み、第1支柱および第2支柱のそれぞれの裏面における幅方向の略中央には、結合部材を嵌合するため、ならびに第1固定部および第2固定部を設けるために、一方面から他方面までの長さを有する溝部が形成される、間仕切り支柱である。
また、この発明にかかる間仕切り支柱では、第1被固定部は、天側であり、第2被固定部は、地側であることが好ましい。
さらに、この発明にかかる間仕切り支柱では、第1支柱および第2支柱の表面には、Vカット溝が形成された表面板材が貼着されていることが好ましい。
さらにまた、この発明にかかる間仕切り支柱では、第1支柱および第2支柱の表面には、可撓性のシートである表面シートが貼着されていることが好ましい。
また、この発明にかかる間仕切り支柱では、第1支柱および第2支柱には、表面シートを貼り付けた表面板材が貼着されていることが好ましい。
この発明にかかる間仕切り支柱の施工方法では、木質により形成される間仕切り支柱の施工方法であって、第2被固定部に第2固定部を構成する固定部材を接合手段により固定し、第2被固定部に固定された第2固定部を構成する固定部材に対して対向する方向における第1被固定部に、第1固定部を構成する固定部材を接合手段により固定し、第2固定部を構成する固定部材を第1支柱の裏面に形成された溝部の他方端部に接合手段により固定し、第1固定部を構成する固定部材を第1支柱の裏面に形成された溝部の一方端部に接合手段により固定し、第1支柱の溝部に結合部材を接着剤により嵌合し、第1支柱と第2支柱のそれぞれの裏面を接着剤により接合する、間仕切り支柱の施工方法である。
【発明の効果】
【0007】
この発明にかかる間仕切り支柱では、第1支柱および第2支柱の裏面における幅方向の略中央には、溝部が形成されているので、その溝部に結合部材を嵌合させることで、第1支柱および第2支柱を結合する際に、幅方向にずれることなく容易に結合させることができる。
また、この発明にかかる間仕切り支柱では、第1支柱および第2支柱は、その一方面から他方面までの横断面形状が同一に形成されているので、この発明にかかる間仕切り支柱を施工する際に、その施工する場所の長さに合致するように適宜切断することで、自由に長さを調整することができる。
また、この発明にかかる間仕切り支柱では、結合部材を設けることにより、第1支柱と第2支柱とを結合させたときに生じる反りを防止することができる。
さらに、この発明にかかる間仕切り支柱では、溝部の部分に、第1支柱または第2支柱を第1被固定部に固定するための第1固定部および第2被固定部に固定するための第2固定部を設けることができることから、外部から第1固定部および第2固定部が隠れるので、デザイン性にも優れた間仕切り支柱を形成することができる。
また、この発明にかかる間仕切り支柱では、第1支柱および第2支柱の表面に、表面板材または表面シートが貼着されると、第1支柱および第2支柱を保護することができる。
さらにまた、この発明にかかる間仕切り支柱では、第1支柱および第2支柱に、表面シートを貼り付けた表面板材が貼着されると、表面板材は、表面シートにより保護されると共に、第1支柱および第2支柱は、表面板材により保護することができる。
【0008】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明にかかる間仕切り支柱の実施形態を示す斜視図解図である。
【図2】この発明にかかる間仕切り支柱の横断面図である。
【図3】この発明にかかる間仕切り支柱を天井面および床面に取り付けた状態を示す右側面の方向から見た縦断面図である。
【図4】この発明にかかる間仕切り支柱の第1支柱を天井面および床面に取り付けた状態を裏面の方向から見た図である。
【図5】この発明にかかる間仕切り支柱に使用する表面板材の製作過程を示す断面図解図である。
【図6】図4に示す固定部材の変形例たる固定部材を示す斜視図解図である。
【図7】図6に示す表面板材の変形例たる表面板材の製作過程を示す断面図解図である。
【図8】この発明にかかる間仕切り支柱の施工過程を示す分解斜視図である。
【図9】この発明にかかる間仕切り支柱の他の実施形態を示す斜視図解図である。
【図10】従来の間仕切り支柱を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、この発明にかかる間仕切り支柱10の実施形態を示す斜視図解図であり、図2は、間仕切り支柱10における横断面図であり、図3は、間仕切り支柱10を第1被固定部たる天側の天井面100および第2被固定部たる地側の床面102に取り付けた状態を示す右側面30の方向から見た縦断面図である。また、図4は、間仕切り支柱10における第1支柱20を第1被固定部たる天側の天井面100および第2被固定部たる地側の床面102に取り付けた状態を裏面28の方向から見た図である。さらに、図5は、この発明にかかる間仕切り支柱10に使用する表面板材70の製作過程を示す断面図解図である。
【0011】
間仕切り支柱10は、複数の間仕切り支柱10を室内等に施工することで、間仕切り、目隠し、ルーバー、スリット、格子、または化粧間仕切り等に利用されるものである。この間仕切り支柱10は、第1支柱20、第2支柱42、結合部材50、固定部60、表面板材70および表面シート96により構成される。
【0012】
第1支柱20および第2支柱42は、本発明の間仕切り支柱10における芯材の役割を構成するために設けられる。間仕切り支柱10において、第1支柱20および第2支柱42は、結合部材50を介して対向するように構成される。第1支柱20および第2支柱42は、同一の形状に形成され、例えば、PB(パーティクル・ボード)、MDF(中密度繊維板:メディアム・デンシティ・ファイバーボード)、合板、および集成材等により形成される。間仕切り支柱10が施工される際には、第1支柱20および第2支柱42のいずれか一方が、例えば、第1被固定部たる天側の天井面100および第2被固定部たる地側の床面102に対して固定部60により固定される。なお、本実施例においては、第1支柱20に固定部60を設けた状態を説明する。
【0013】
上述したように、第1支柱20および第2支柱42は、同一の形状により構成されることから、ここでは、第1支柱20の構成について説明する。
第1支柱20は、略直方体に形成される。第1支柱20を形成している略直方体において、例えば、第1被固定部たる天側の天井面100と接する一方端側には一方面たる上面22が形成され、および第2被固定部たる地側の床面102と接する他方端側には他方面たる下面24が形成される。これら上面22および下面24は、互いに略平行に形成される。また、第1支柱20を形成している該直方体において、第2支柱42と結合する面の反対側の面には、表面26が形成され、第2支柱42と結合する面には裏面28が形成される。これら表面26および裏面28は、互いに略平行に形成される。さらに、上面22の両端部から下方向に、かつ垂直方向で、また、下面24の両端部から上方向に、かつ垂直方向で、右側面30および左側面32が形成される。また、右側面30は、表面26の右端部側および裏面28の左端部側と垂直に接続しており、また、左側面32は、表面26の左端部側および裏面28の右端部側と垂直に接続している。これら右側面30および左側面32は、互いに略平行に形成される。そして、第1支柱20は、上面22から下面24まで、横断面形状が略同一に形成される。
【0014】
第1支柱20の裏面28における幅方向の略中央には、上面22から下面24までの長さの溝部34が形成される。溝部34は、裏面28に平行に形成された底面34a、裏面28に垂直に形成された第1側面34bおよび第2側面34cの3面により形成される。したがって、溝部34は、断面略矩形に形成され、結果、第1支柱20の断面は、略コ字型に形成される。裏面28における溝部34の両側(すなわち、裏面28において溝部34を除く部分)には、第1結合面36および第2結合面38が形成される。したがって、第1支柱20および第2支柱42を結合させたとき、溝部34により略直方体の空間が形成されるので、固定部60をその溝部34の一方端部34dおよび他方端部34eに固定することで、固定部60を外観から視認されないように、完全に覆い隠すことができる。
【0015】
結合部材50は、第1支柱20および第2支柱42が、左右方向にずれることなく結合させるために設けられる。すなわち、第1支柱20および第2支柱42は、結合部材50を介して結合される。第1支柱20および第2支柱42が結合される際に、結合部材50は、第1支柱20および第2支柱42に形成されるそれぞれの溝部34に嵌合される。結合部材50は、略直方体に形成される。すなわち、結合部材50には、一対の第1嵌合面52および一対の第2嵌合面54が形成される。一対の第1嵌合面52は、互いに略平行に形成され、また、一対の第2嵌合面54も、互いに略平行に形成される。さらに、結合部材50の第1嵌合面52および第2嵌合面54により形成される交線には、面取り部56が形成される。結合部材50が第1支柱20に嵌合される際に、第1嵌合面52は、溝部34の底面34aと接着し、第2嵌合面54は、溝部34の第1側面34bおよび第2側面34cと接着する。また、結合部材50は、例えば、MDF(中密度繊維板:メディアム・デンシティ・ファイバーボード)、PB(パーティクル・ボード)、合板、木材、集成材およびプラスチック等により形成される。
結合部材50を設けることにより、第1支柱20と第2支柱42とを左右方向にずれることなく位置決めした上で、結合させることができる。さらに、第1支柱20および第2支柱42の反りの防止をする機能も有する。
【0016】
固定部60は、例えば、第1支柱20または第2支柱42を第1被固定部たる天側の天井面100および第2被固定部たる地側の床面102に固定するために設けられ、それぞれの固定部60は、第1固定部60aおよび第2固定部60bにより構成される。本実施例においては、第1支柱20を第1被固定部たる天側の天井面100および第2被固定部たる地側の床面102に固定する場合について説明する。第1固定部60aおよび第2固定部60bは、固定部材62および接合手段64により構成される。
【0017】
固定部材62は、支柱取り付け板部62aおよび固定用板部62bにより形成される。固定部材62は、支柱取り付け板部62aと固定用板部62bとが略直交するように、L字型に形成される。固定部材62は、例えば、剛性を有する材料により形成され、好ましくは、金属材料により形成される。
接合手段64は、接合部材64a1,64a2および座金64bにより構成され、例えば、ねじ・ワッシャー等が使用される。支柱取り付け板部62aは、接合部材64a1および座金64bにより第1支柱20の溝部34の一方端部34dに取り付けられる。そのとき、固定用板部62bは、第1支柱20の上面22と略同一平面となるように取り付けられる。同様に、支柱取り付け板部62aは、接合部材64a1および座金64bにより第1支柱20の溝部34の他方端部34eに取り付けられる。そのとき、固定用板部62bは、第1支柱20の下面24と略同一平面となるように取り付けられる。また、固定用板部62bは、接合部材64a2により第1被固定部たる天側の天井面100および第2被固定部たる地側の床面102に取り付けることで固定される。なお、座金64bは、接合部材64a1,64a2の長さの調整、または補強のために用いられるものであり、接合部材64a1,64a2の長さが取り付けに際して適正で、または強度が適正であれば、用いなくてもよい。
【0018】
表面板材70は、第1支柱20および第2支柱42を保護するとともに、以下に説明するように面取り部を設ける事で、間仕切り支柱10のデザイン性を高めるために設けられる。表面板材70は、第1支柱20および第2支柱42を覆い被せるように貼着されて設けられる。すなわち、表面板材70は、第1支柱20および第2支柱42のそれぞれの表面26、右側面30、左側面32、第1結合面36および第2結合面38に貼着される。表面板材70は、表面70aと貼着面70bとが形成されている。表面板材70は、第1表面板材72、第2表面板材74および第3表面板材76により構成される。表面板材70は、例えば、MDF(中密度繊維板:メディアム・デンシティ・ファイバーボード)、PB(パーティクル・ボード)および合板等により形成される。
【0019】
第1表面板材72は、第1支柱20または第2支柱42の表面26の大きさと略同一の大きさの略矩形に形成される。第2表面板材74は、第1支柱20または第2支柱42の左側面32および右側面30の大きさと略同一の大きさの略矩形に形成される。第3表面板材76は、第1支柱20または第2支柱42の第1結合面36および第2結合面38の横方向の幅の半分大きさと略同一の大きさの略矩形に形成される。
【0020】
第1表面板材72および第2表面板材74の境おいて、Vカットを施されて形成された第1折曲溝80が形成される。第2表面板材74および第3表面板材76の境において、Vカットを施されて形成された第2折曲溝90が形成される。すなわち、表面板材70は、平面板として準備され、それぞれVカットが施されて形成された溝(Vカット溝)により区画されることによって、第1表面板材72、第2表面板材74および第3表面板材76が形成される。第1折曲溝80および第2折曲溝90は、同一の構成であることから、以下において、第1折曲溝80の構成について説明する。
【0021】
第1折曲溝80は、表面板材70の貼着面70bから表面70aの方向に向けて施されたVカット加工により形成される。そして、溝底から表面板材70の貼着面70bに向けて延びる第1溝壁82および第2溝壁84のなす角度(θ1)は、例えば、直角に形成される。また、第1溝壁82および第2溝壁84と表面板材70の表面70aとのなす角度(θ2およびθ2)は、左右それぞれ等しくなるように形成される。
【0022】
第1折曲溝80は、第1溝壁82の中間点86aより表面板材70の表面70aに向けて表面板材70の表面70aと直交する第1面取り用溝壁88aと、第2溝壁84の中間点86bより表面板材70の表面70aに向けて表面板材70の表面70aと直交する第2面取り用溝壁88bとを備える。さらに、第1面取り用溝壁88aの表面板材70の表面70a側の溝底より第2溝壁84に向けて伸び、表面板材70の表面を斜交する第3面取り用溝壁88cと、第2面取り用溝壁の表面板材70の表面70a側の溝底より第1溝壁82に向けて伸び、表面板材70の表面を斜交する第4面取り用溝壁88dとを備える。すなわち、第1面取り用溝壁88aと第2面取り用溝壁88bとは、互いに略平行に形成される。
【0023】
第3面取り用溝壁88cと第4面取り用溝壁88dとは、第1折曲溝80の中間で、例えば、直交して、断面形状が略二等辺三角形の第1面取り部92を形成する。このとき、第1面取り用溝壁88aと第3面取り用溝壁88cとのなす角度(θ3)、および第2面取り用溝壁88bと第4面取り用溝壁88dとのなす角度(θ3)は、等しくなるように形成され、いずれも、例えば、45度である。さらに、第1溝壁82と第1面取り用溝壁88aとの鋭角側のなす角度(θ4)、および第2溝壁84と第2面取り用溝壁88bとの鋭角側のなす角度(θ4)は、等しくなるように形成され、いずれも、例えば、45度である。言い換えると、θ3とθ4とは、常に等しくなるように形成される。また、第3面取り用溝壁88cと第4面取り用溝壁88dとのなす角度は、錯角により、θ3の2倍の角度と等しくなるように形成される。
【0024】
第1面取り部92の頂点は、第1溝壁82と第1面取り用溝壁88aとの交点たる中間点86aおよび第2溝壁84と第2面取り用溝壁88bと交点たる中間点86bと、第1折曲溝80を閉着したときに交わる。そして、第1折曲溝80を閉じて、第1溝壁82と第2溝壁84、第1面取り用溝壁88aと第3面取り用溝壁88c、第2面取り用溝壁88bと第4面取り用溝壁88d、それぞれを接し合わせて接着すれば、第1面取り部92の底辺部分で、面取りした形状を構成することができる。すなわち、上述の目的を達成するために、第1面取り部92の一方の斜辺を形成する第3面取り用溝壁88cの長さと、第1面取り用溝壁88aの長さは等しくなるように形成される。また、第1面取り部92の他方の斜辺を形成する第4面取り用溝壁88dの長さと、第2面取り用溝壁88bとの長さは等しくなるように形成される。さらに、第1溝壁82の長さと第2溝壁84の長さも等しくなるように形成される。
【0025】
表面シート96は、表面板材70を保護するとともに、これに模様を施すことで、間仕切り支柱10のデザイン性を高めるために設けられる。表面シート96は、表面板材70を形成する、第1表面板材72、第2表面板材74および第3表面板材76の表面70aに貼着される。すなわち、表面板材70の表面70aに表面シート96が貼着されることで、表面シート96付きの表面板材70である、表面シート付き表面板材78が形成される。表面シート96は、可撓性シートにより形成され、例えば、塩化ビニル、オレフィンなどのプラスチックシート、不織布の表面に天然木の突き板単板を貼着した突き板シート、樹脂含浸紙、ポリエチレン等の樹脂層を挟んだ紙シートが用いられる。表面シート96は、その表面に木目などの印刷模様が施された柔軟な樹脂シートからなる。そして、表面シート96は、丸鋸等で切断することができる材料で構成される。
【0026】
なお、固定部60は、図6に示すような固定部160に変更してもよい。固定部160は、固定部材162および接合部材64a3により構成される。固定部材162は、第1支柱20および第2支柱42を所定の位置に施工するために接合部材64a3により第1被固定部たる天側の天井面100および第2被固定部たる地側の床面102に取り付けられ、この固定部材162を第1支柱20および第2支柱42のそれぞれの溝部34において挟み込まれる。言い換えると、第1支柱20と第2支柱42が結合される際に、固定部材162は、第1支柱20および第2支柱42に形成されるそれぞれの溝部34に嵌合される。この固定部材162は、例えば、略直方体に形成される。すなわち、固定部材162には、一対の第1嵌合面162aおよび一対の第2嵌合面162bが形成される。固定部材162が、第1支柱20に嵌合される際に、第1嵌合面162aは、溝部34の底面34aと接着し、第2嵌合面162bは、溝部34の第1側面34bおよび第2側面34cと接着する。固定部材162は、例えば、MDF(中密度繊維板:メディアム・デンシティ・ファイバーボード)、PB(パーティクル・ボード)、合板、木材、集成材およびプラスチック等により形成される。
この固定部材162を用いると、第1支柱20等に固定部材162を固定する際において、接合部材64a1および座金64bを必要とせず、接着剤のみで固定部材162を第1支柱20等への取り付けが可能となる。
【0027】
また、表面板材70において、第1折曲溝80は、図7に示すような第1折曲溝180を有する表面板材170に変更してもよい。表面板材170は、表面170aと貼着面10bとが形成されている。この第1折曲溝180において、図7に示す表面板材170における第1表面板材172と第2表面板材174との境には、Vカット加工を施されて形成された第1折曲溝180が形成される。また、表面板材170における第2表面板材174と第3表面板材176との境には、Vカット加工を施されて形成された第2折曲溝190が形成される。
【0028】
第1折曲溝180は、第1接合溝180aおよび第2接合溝180bが平行に連続して横並びに設けられている。第1接合溝180aおよび第2接合溝180bは、断面略V字形状に形成されている。第1接合溝180aは、断面略V字の各一辺を形成する第1溝壁182および第2溝壁184により形成され、第2接合溝180bは、断面略V字の各一辺を形成する第3溝壁186および第4溝壁188により形成される。
【0029】
第2溝壁184および第4溝壁188は、第1折曲溝180の中間で直交して、略二等辺三角形状の第1面取り部92を形成する。そして、第1接合溝180aを閉じて、第1溝壁182と第2溝壁184とを接し合わせて接着し、第2接合溝180bを閉じて、第3溝壁186と第4溝壁188とを接し合わせて接着すれば、第1面取り部192の底辺部分で面取りした形状を構成することができる。
そして、表面板材170の表面170aに表面シート96が貼着されることで、表面シート96付きの表面板材170である、表面シート付き表面板材178が形成される。
【0030】
次に、この間仕切り支柱10を施工するための施工方法について説明する。図8は、この発明にかかる間仕切り支柱の施工過程を示す分解斜視図である。
まず、間仕切り支柱10の取り付ける所定の位置の第2被固定部たる地側の床面102に第2固定部60bを構成する固定部材62の固定用板部62bを接合部材64a2により固定することで位置決めを行う。続いて、第2固定部60bを構成する固定部材62の支柱取り付け板部62aの面に沿って上方向に、かつ垂直方向、すなわち、固定部材62に対して対向する方向における第1被固定部たる天側の天井面100の位置に第1固定部60aを構成する固定部材62を接合部材64a2により取り付ける。このとき、第1固定部60aを構成する固定部材62の支柱取り付け板部62aと第2固定部60bを構成する固定部材62の支柱取り付け板部62aとは略同一平面となる。
そして、表面シート付き表面板材78が貼着された第1支柱20の溝部34の他方端部34eに第2固定部60bを構成する固定部材62の支柱取り付け板部62aを接した上で、接合部材64a1および座金64bにより固定する。さらに、表面シート付き表面板材78が貼着された第1支柱20の溝部34の一方端部34dに第1固定部60aを構成する固定部材62の支柱取り付け板部62aを接した上で、接合部材64a1および座金64bにより固定する。なお、座金64bは、接合部材64a1,64a2の長さの調整、または補強のために用いられるものであり、接合部材64a1,64a2の長さが取り付けに際して適正で、または強度が適正であれば、用いなくてもよい。
続いて、表面シート付き表面板材78が貼着された第1支柱20の溝部34の所定の位置に、接着剤を第1嵌合面52および第2嵌合面54に塗布した上で結合部材50を嵌合させる。そして、表面シート付き表面板材78が貼着された第2支柱42と表面シート付き表面板材78が貼着された第1支柱20とにおける互いの裏面28側を接着することで接合させることで、間仕切り支柱10が完成し、施工が終了する。
なお、吊り天井に本発明にかかる間仕切り支柱10を施工する場合は、第1固定部材60aを構成する固定部材62を第1被固定部たる天側の天井面100に取り付けるための横桟が別途必要であることに留意する。
【0031】
本発明にかかる間仕切り支柱10は、固定部60が第1支柱20および第2支柱42の溝部34により形成される空間に取り付けられることから、外部から視認される状態に取り付けられないので、間仕切り支柱10の外観から生じる美感を高めることができる。さらに、本発明にかかる間仕切り支柱10は、第1支柱20および第2支柱42を組み合わせて形成されることから、第2面取り部94により形成される節の形状により、外観のデザイン性を高めることができる。
【0032】
また、この発明にかかる間仕切り支柱10は、表面シート付き表面板材78が貼着された第1支柱20および表面シート付き表面板材78が貼着された第2支柱42における一方面たる上面22から他方面たる下面24までの横断面形状が同一に形成されていることから、第1被固定部たる天側の天井面100と第2被固定部たる地側の床面102との間の長さに応じて切断することで、施工する際に適宜容易に対応することができる。
【0033】
さらに、この発明にかかる間仕切り支柱10は、第1支柱20および第2支柱42に溝部34を設けることで、この溝部34により形成される空間に結合部材50を備えることができることから、第1支柱20に第2支柱42を結合する際に、左右のずれを防止することができ、加えて、反りを防止することができる。
【0034】
また、さらに、この発明にかかる間仕切り支柱10を固定する際には、固定部60を第1被固定部たる天側の天井面100および第2被固定部たる地側の床面102に接合手段64のみにより固定するだけで、容易に施工することができる。
【0035】
なお、本実施例においては、表面板材70を用いているが、これに限られるものではなく、間仕切り支柱10は、第1支柱20、第2支柱42、結合部材50、固定部60および表面シート96により構成されてもよい。すなわち、表面板材70を第1支柱20および第2支柱42に貼着せずに、直接、表面シート96を、第1支柱20および第2支柱42の表面26、右側面30、左側面32、第1結合面36および第2結合面38を覆い被せるように貼着して設けるようにしてもよい。第1支柱20に表面シート96を貼着した例を、図9に示す。また、このとき、第1支柱20および第2支柱42のそれぞれの表面26と右側面30、表面26と左側面32、左側面32と第1結合面36および右側面30と第2結合面38とのそれぞれの交線部分に面取り部40を施すようにしてもよい。さらに、間仕切り支柱10は、第1支柱20、第2支柱42、結合部材50および固定部60のみにより構成されてもよい。
【0036】
また、本実施例においては、第1被固定部を天側とし、第被固定部を地側としたものを示したが、これに限られるものではなく、間仕切り支柱10は、略水平に、すなわち、床面102に対して略平行に施工されるようにしてもよいし、間仕切り支柱10を施工する場所に応じて適切な方向に施工されるようにしてもよい。なお、このとき、第1被固定部および第2被固定部は、例えば、柱や壁等に対応する。
【0037】
また、本実施例における表面板材70,170に施されて形成されているVカット溝(図5および図7参照)に限定されるものではなく、平滑面、丸面の溝、角溝等、種々のVカット溝が施されて形成された表面板材を用いてもよい。
【0038】
また、本実施例においては、第3表面板材76は、第1支柱20または第2支柱42の第1結合面36および第2結合面38の横方向の半分の大きさと略同一の大きさの略矩形に形成されることとしたが、これに限られるものではなく、第3表面板材76は、第1支柱20または第2支柱42の第1結合面36および第2結合面38の大きさと略同一の大きさの略矩形に形成されてもよい。
【0039】
さらに、本実施例において、結合部材50は、略直方体としたが、これに限られるものではなく、例えば、円柱型のダボにより形成されてもよい。この場合、第1支柱20および第2支柱42は、そのダボの形状に対応した溝部34が形成される。
【0040】
また、本実施例においては、第1支柱20および第2支柱42に形成される溝部34の断面形状は、略矩形に形成されるが、これに限られるものではなく、溝部34の断面形状は、三角形、円形、楕円形に形成されてもよい。この場合、結合部材50は、前記の各断面形状に対応した結合部材50の形状が形成される。
【0041】
さらにまた、本実施例において、第1折曲溝80の第3面取り用溝壁88cと第4面取り用溝壁88dとは、第1折曲溝80の中間では直交するとしているが、それに限るものではなく、鋭角に形成されてもよい。
【0042】
さらに、本実施例において、表面板材70には表面シート96が貼着されているが、それに限られるものではなく、表面シート96が貼着されていなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
この発明にかかる間仕切り支柱は、目隠し、化粧間柱(ルーバー)、スリットまたは格子等に利用することができ、種々の間仕切りとして利用できる。
【符号の説明】
【0044】
10 間仕切り支柱
20 第1支柱
22 上面
24 下面
26 表面
28 裏面
30 右側面
32 左側面
34 溝部
34a 底面
34b 第1側面
34c 第2側面
34d 一方端部
34e 他方端部
36 第1結合面
38 第2結合面
40 面取り部
42 第2支柱
50 結合部材
52,162a 第1嵌合面
54,162b 第2嵌合面
56 面取り部
60,160 固定部
60a 第1固定部
60b 第2固定部
62,162 固定部材
62a 支柱取り付け板部
62b 固定用板部
64 接合手段
64a1,64a2,64a3 接合部材
64b 座金
70,170 表面板材
70a,170a 表面
70b,170b 貼着面
72,172 第1表面板材
74,174 第2表面板材
76,176 第3表面板材
78,178 表面シート付き表面板材
80,180 第1折曲溝
82,182 第1溝壁
84,184 第2溝壁
86a,86b 中間点
88a 第1面取り用溝壁
88b 第2面取り用溝壁
88c 第3面取り用溝壁
88d 第4面取り用溝壁
90,190 第2折曲溝
92,192 第1面取り部
94,194 第2面取り部
100 天井面
102 床面
180a 第1接合溝
180b 第2接合溝
186 第3溝壁
188 第4溝壁
200 間仕切り支柱
202 基板
204 受板
206 アジャスト具
208 圧縮スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質により形成される間仕切り支柱であって、
一方面から他方面までの横断面形状が同一である第1支柱と第2支柱とからなる一対の支柱と、
前記第1支柱と前記第2支柱とを結合するための結合部材と、
前記第1支柱または前記第2支柱を第1被固定部に固定するための第1固定部および第2被固定部に固定するための第2固定部とを含み、
前記第1支柱および前記第2支柱のそれぞれの裏面における幅方向の略中央には、前記結合部材を嵌合するため、ならびに前記第1固定部および前記第2固定部を設けるために、前記一方面から前記他方面までの長さを有する溝部が形成される、
間仕切り支柱。
【請求項2】
前記第1被固定部は、天側であり、前記第2被固定部は、地側である、請求項1に記載の間仕切り支柱。
【請求項3】
前記第1支柱および前記第2支柱の表面には、Vカット溝が形成された表面板材が貼着されている、請求項1または請求項2に記載の間仕切り支柱。
【請求項4】
前記第1支柱および前記第2支柱の表面には、可撓性のシートである表面シートが貼着されている、請求項1または請求項2に記載の間仕切り支柱。
【請求項5】
前記第1支柱および前記第2支柱には、表面シートを貼り付けた表面板材が貼着されている、請求項1または請求項2に記載の間仕切り支柱。
【請求項6】
木質により形成される間仕切り支柱の施工方法であって、
第2被固定部に第2固定部を構成する固定部材を接合手段により固定し、
前記第2被固定部に固定された前記第2固定部を構成する固定部材に対して対向する方向における第1被固定部に、第1固定部を構成する固定部材を接合手段により固定し、
前記第2固定部を構成する固定部材を第1支柱の裏面に形成された溝部の他方端部に接合手段により固定し、前記第1固定部を構成する固定部材を第1支柱の裏面に形成された溝部の一方端部に接合手段により固定し、
前記第1支柱の溝部に結合部材を接着剤により嵌合し、
前記第1支柱と第2支柱のそれぞれの裏面を接着剤により接合する、
間仕切り支柱の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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