説明

間接照明装置

【課題】 照射面の端部に光源が設置される場合であっても、照射面の照明均斉度を高くすることができる間接照明装置1を提供する。
【解決手段】 間接照明装置1は、壁面5または天井面3に照射し、その反射光により照明する間接照明装置1であって、前記壁面5または天井面3の一方の端部にライン状に並べて設けられた複数のLED13からなるLEDライン照明14と、該LEDライン照明14から射出される光の配光を制御する配光レンズ15と、を備え、前記配光レンズ15は、予め算出された配光曲線により前記壁面5または天井面3の照射面照度が均一になるように形成されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コーブ照明及びコーニス照明などのように、光源から室内の天井面や壁面に光を照射して、その反射光により室内を照明する間接照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、グレアを制限しつつ、室内をやわらかい雰囲気にする照明方法として、壁面、床面、又は天井面などの照射面に光を当て、その反射光で室内を照明する間接照明装置が用いられている。このような間接照明装置100の一例としては、例えば、図8に示すように、壁面101と天井面102との境界において、壁面101又は天井面102に光源収納用の溝部103を設けて、光源となる例えば放電灯104を設置し、放電灯104から照射される光Lを壁面101や天井面102などの照射面105で反射させた反射光を被照射空間Sに照射する装置が種々提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−152145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような間接照明装置100においては、光源となる放電灯104と照射面105との間の距離を大きくとることができれば、照射面105における高い照明均斉度を得ることができるが、放電灯104からの直射光を被照射空間Sに漏らすことなく、放電灯104と照射面105との間の距離を大きくとることは不可能である。したがって、通常は照射面の一方の端部の近傍に放電灯104を設置することになり、この放電灯104側の端部付近の照射面105が極めて明るくなる一方、放電灯104から離れるにつれ暗くなり、照射面105の照明均斉度が極めて悪くなる。
【0005】
そこで、本発明は照射面の端部に光源が設置される場合であっても、照射面の照明均斉度を高くすることができる間接照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の間接照明装置は、面体に照射し、その反射光により照明する間接照明装置であって、前記面体の一方の端部にライン状に並べて設けられた複数のLEDからなるLEDライン照明と、該LEDライン照明から射出される光の配光を制御する配光レンズと、を備え、前記配光レンズは、予め算出された配光曲線により前記面体の照射面照度が均一になるように形成されたものであることを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載の間接照明装置は、前記配光曲線は、前記面体に対する入射角をθとし、前記面体に入射する位置の法線照度をEとし、前記面体から光源までの距離をdとし、前記配光レンズを透過した光の光度をIとした場合に、nが1から3の範囲内の変数であって、下記の数1で表されることを特徴としている。
【数1】

【0008】
請求項3に記載の間接照明装置は、異なる色温度に発光する少なくとも2以上のLEDライン照明を備え、いずれか一方のLEDライン照明を発光させることにより、発光色温度を変更可能であることを特徴としている。
【0009】
請求項4に記載の間接照明装置は、天井面を照射するコーブ照明又は壁面を照射するコーニス照明であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の間接照明装置によると、光源が複数のLEDからなるLEDライン照明であるので、寿命や消費電力においてメリットがあるLEDを使用して、照射面の幅方向にムラなく照射することができる。しかも、LEDライン照明からの光を配光レンズにより、面体の照射面照度が均一になるように配光制御するので、照射面の照明均斉度を高くすることができる。
【0011】
請求項2に記載の間接照明装置によると、上述の数式により求められる各入射角θ毎の光度Iを配光曲線として表すことができ、LEDライン照明から射出される光を配光レンズによって制御して、入射角θ毎の光度Iをこの配光曲線に対応するように配光制御することにより、照射面の照明均斉度を高くすることができる。なお、コーブ照明またはコーニス照明としては、変数nが3である場合が最も好ましい。
【0012】
請求項3に記載の間接照明装置によると、色温度が異なる2以上のLEDライン照明の一方を発光させた場合と他方を発光させた場合の変化により、発光色温度を変更することができるので、間接照明装置を設置する部屋の使用目的や時間帯に応じて、より快適な色温度の間接照明にすることができる。
【0013】
請求項4に記載の間接照明装置によると、天井面を照射するコーブ照明又は壁面を照射するコーニス照明であるので、例えば住宅等の居住空間の照明として適切に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】コーニス照明の間接照明装置の設置例を示す簡略断面図。
【図2】間接照明装置の全体構成を説明する斜視図。
【図3】間接照明装置の配光レンズの形状を説明する簡略断面図。
【図4】LEDライン照明から配光レンズに入射した光の配光を説明する断面図。
【図5】縦軸を光度とし、横軸を壁面に対する入射角度とする配光レンズを透過した光の配光曲線を示すグラフ。
【図6】2つのLEDライン照明を有する間接照明装置の変形例を示す簡略断面図。
【図7】コーブ照明の間接照明装置の実施形態を示す簡略断面図。
【図8】従来の間接照明装置の一例を示す簡略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、間接照明装置1の最良の実施形態について、図1から図7を参照しつつ説明する。本実施形態の間接照明装置1は、例えばマンションや住宅等の居住建物の一部屋2に設置される。なお間接照明装置1の設置場所は居住建物の一部屋2に限られるものではなく、例えば廊下や階段などのスペースであっても良く、また、商業施設やオフィスに設置されても良い。間接照明装置1は、図1に示すように、部屋2を構成する天井面3の一辺に沿って形成された長尺の溝4a内に収納される照明ユニットであって、断面C字状に形成された長尺のフレーム11と、このフレーム11内に固定される基板12と、この基板12に複数並べて設置される複数のLED13からなるLEDライン照明14と、このLEDライン照明14の配光を制御する配光レンズ15とにより構成されている。この間接照明装置1は、例えば一端が建物躯体に保持されている支持アーム16によって溝4a内に固定されており、電気配線を通じて電気の供給を受けているが、固定方法はこれに限定されるものではなく、例えば、フレーム11がそのまま建物躯体に図示しないボルト固定されるものであってもよい。
【0016】
フレーム11は図2、図3に示すように、発光するLED13の光を照射方向に集中させるために内面11aが白色又は鏡面状に加工された樹脂または金属製の枠体である。また基板12は、このフレーム11の内部に収納されて固定されており、長手方向にLED13を固定させるための複数のソケットが1列に並んで設置されている。そして、LED13は1又は複数の発光するチップを組み合わせて所望の色温度に発光することが可能に構成した発光ダイオードであって、基板12に設置されたソケットにそれぞれ1列に固定され、LEDライン照明14を構成している。
【0017】
また、配光レンズ15は、フレーム11の開口側に嵌着する透明または半透明の長尺の樹脂体であって、LEDライン照明14が射出する光の配光が所望の配光曲線になるように、その表面が曲線形状に形成されている。すなわち、予めLEDライン照明14から射出される光の配光曲線を測定し、このLEDライン照明14から直接配光レンズ15に入射する光及びフレーム11の内面11aで反射して配光レンズ15に入射する光の配光特性を算出する。そして、配光レンズ15は、これらの入射する光を屈折させて、下記の数2で表される配光曲線となるようにその表面形状が加工されている。LEDライン照明14から射出された光は、図4に示すように、この配光レンズ15を透過する際に配光制御され壁面5に入射し、反射光により部屋2内を照明する。
【0018】
数2は、図4によく示されるように、光の壁面5に対する入射角θ°毎の配光レンズ15を透過した光の光度I(cd)を示す数式であって、壁面5に入射する高さにおける法線照度をE(lx)とし、壁面5から光源までの水平距離をd(mm)としている。また変数nは、本実施形態においては3である。なお、数2から得られる配光曲線は図5の曲線Aに示す通りである。
【数2】

【0019】
配光レンズ15を透過した光は、図5に示すように、壁面5に対する入射角θが0°に近いほど、光度Iが強くなっている。すなわち、入射する高さが床面6に近づき、光源からの距離Hが離れ、入射角θが狭くなるほど、光度Iが強くなっている。したがって、図4の(A)に示すように、光源から遠く又入射角θが比較的狭い床面6近傍には光度Iの強い光を入射させつつ、図4の(B)に示すように、光源から近く又入射角θが比較的広い天井面3近傍には光度Iの弱い光を入射させることで、壁面5の照明均斉度を良くすることができる。
【0020】
なお、数2の変数nは3である場合に壁面5の照明均斉度がもっとも良くなるが、例えば、他の照明環境や居住者の好みなどの要素によっては、nの値を1以上3以下の任意の数値としてもよい。なお、nの値が2の場合配光曲線は図5の曲線Bに示され、nの値が1の場合の配光曲線は図5の曲線Cに示される。
【0021】
本実施形態においては、1つのLEDライン照明14を用いた実施形態を示したが、LEDライン照明14の数を2以上としてもよい。例えばLEDライン照明14の数を2とする場合には、図6に示すように、一方のLEDライン照明14aを構成するLED13を寒色系の色に発光するLED13にするとともに、他方のLEDライン照明14bを暖色系の色に発光するLED13にすることができる。このように構成すると、例えば朝や昼間には寒色系の色に発光するLEDライン照明14aを発光させるとともに、夜間は暖色系の色に発光するLEDライン照明14bを発光させることで、居住者の生活リズムに合わせて快適な色温度に発光する間接照明装置1を実現することができる。なお、例えばLED13そのものは同系色に発光するものを用い、一方の配光レンズ15に色温度を変換するフィルムを貼付する構成としてもよい。なお、寒色系の色に発光するLEDライン照明14aは例えば5000ケルビン程度の色温度に発光するものであって、暖色系の色に発光するLEDライン照明14bは例えば3000ケルビン程度の色温度に発光するものであることが好ましいが、居住者の好みや壁面5の色などによって、最適な色温度を選択するものであればよい。
【0022】
また、本実施形態においては、天井面3の一辺に沿って設けられた溝4a内に収納される照明ユニットであって、壁面5に光を照射するコーニス照明の間接照明装置1について説明したが、壁面5の上端に設けられ、天井面3を照射するコーブ照明の間接照明装置1であってもよい。
【0023】
例えばコーブ照明の場合、壁面5の上端縁に沿って溝4bが形成されており、この溝4b内に間接照明装置1が収納される。この間接照明装置1は、図7に示すように、上述のコーニス照明の場合と同様に、断面C字状に形成された長尺のフレーム11と、このフレーム11内に固定される基板12と、この基板12に複数並べて設置される複数のLED13からなるLEDライン照明14と、このLEDライン照明14の配光を制御する配光レンズ15とにより構成されており、建物躯体に例えば支持アーム16によって固定されている。LEDライン照明14は例えば暖色系と寒色系の2つのLEDライン照明14a,14bが配置されており、部屋2内の演出、居住者の好みなどの要素に応じて、一方または両方のLEDライン照明14a,14bの点灯及び消灯を行う。
【0024】
そして、配光レンズ15は、LEDライン照明14から入射した光を、上述した数式2によって表される配光曲線に、変換可能に形成されている。なお、数2は、このコーブ照明においては、光の天井面3に対する入射角θ°毎の配光レンズ15を透過した光の光度I(cd)を示す数式であって、天井面3に入射する位置における法線照度をE(lx)とし、天井から光源までの鉛直方向の距離をd(mm)としている。また変数nは、上述の実施形態と同様に3である。
【0025】
このように構成することで、配光レンズ15を透過した光は、天井面3に対する入射角θが0°に近いほど、光度Iが強くなっているので、光が入射する位置がこの間接照明装置1が設置された側と反対側にいくほど、光源であるLEDライン照明14からの距離が離れ、入射角θが狭くなるほど、光度Iが強くなる。したがって、入射角θが比較的狭い天井面3の間接照明装置1が設置された側の反対側には光度Iの強い光を入射させつつ、光源から近く又入射角θが比較的広い天井面3の間接照明装置1が設置された側には光度Iの弱い光を入射させることで、壁面5の照明均斉度を良くすることができる。
【0026】
なお、上述の実施形態と同様に、数2の変数nは3である場合に壁面5の照明均斉度がもっとも良くなるが、nの値を1以上3以下の任意の数値としてもよい。
【0027】
なお、本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明に係る間接照明装置1は、コーブ照明やコーニス照明などの部屋2を照明する間接照明装置1として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0029】
1 間接照明装置
3 天井面(面体)
4 壁面(面体)
13 LED
14 LEDライン照明
15 配光レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
面体に照射し、その反射光により照明する間接照明装置であって、
前記面体の一方の端部にライン状に並べて設けられた複数のLEDからなるLEDライン照明と、
該LEDライン照明から射出される光の配光を制御する配光レンズと、を備え、
前記配光レンズは、予め算出された配光曲線により前記面体の照射面照度が均一になるように形成されたものであることを特徴とする間接照明装置。
【請求項2】
前記配光曲線は、
前記面体に対する入射角をθとし、
前記面体に入射する位置の法線照度をEとし、
前記面体から光源までの距離をdとし、
前記配光レンズを透過した光の光度をIとした場合に、
nが1から3の範囲内の変数であって、
下記の数式で表されることを特徴とする請求項1に記載の間接照明装置。
【数1】

【請求項3】
異なる色温度に発光する少なくとも2以上のLEDライン照明を備え、
いずれか一方のLEDライン照明を発光させることにより、発光色温度を変更可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の間接照明装置。
【請求項4】
天井面を照射するコーブ照明又は壁面を照射するコーニス照明であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の間接照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−108496(P2011−108496A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−262419(P2009−262419)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【出願人】(505455945)コイズミ照明株式会社 (65)
【Fターム(参考)】