説明

間欠尿道留置カテーテルセット

間欠尿道留置カテーテルセット10は、カテーテルユニット1と、消毒ケース2と、キャップ3とを備えている。カテーテルユニット1は、カテーテル本体11と、カテーテル本体11の先端部に膨縮自在に取り付けられたバルーン12と、カテーテル本体11の導尿通路111の上部内腔に挿入された補強チューブ18とを有している。キャップ3は、カテーテル本体11の上部に着脱自在に嵌合し排出口を開閉する。
本発明により、カテーテル本体の可撓性により尿道への挿入が困難であり、キャップの着脱操作に指先の力及び巧緻性を要するという課題が解決され、体力の消耗、衰弱した使用者がより簡便に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、間欠的に尿道にカテーテルを留置して、導尿を行うことのできる間欠尿道留置カテーテルセットに関し、特に体力の消耗した使用者または衰弱した使用者が自ら使用するのに適した間欠尿道留置カテーテルセットに関するものである。
【背景技術】
従来の排尿管理を目的としたカテーテルには、その先端にバルーンを取り付けたものがある。尿道への挿入時には、バルーンがカテーテル本体に密着しており、また、膀胱留置時にはカテーテル本体の基端から滅菌水をバルーン内に注入し、バルーンを膨張させてカテーテルの先端が膀胱から脱落することを防止している。このようなカテーテルを長時間使用すると尿路感染症を起す場合があり、また、使用者の行動を拘束する。
そこで、尿路感染を防止し、使用者の行動の自由をある程度保証した自己導尿法に用いるネラトンカテーテルが開発された。このネラトンカテーテルは、先端にバルーンが取り付けられていないので、カテーテルを尿道に長時間留置しておくことはできない。使用者は、ネラトンカテーテルを消毒液の入ったケースに入れて常時持ち運び、必要なときにネラトンカテーテルをケースから取り出し、それを自分で尿道から膀胱まで挿入し、排尿をしている。
このネラトンカテーテルは、常時持ち運ばなければならないので、不便である。脊髄損傷患者、脳血管障害患者、または先天性尿路奇形に伴う排尿障害患者等は、本人が覚醒しているとき、または介護者が身近にいるときには、カテーテルの留置は不要である。一方、介護者等が身近にいないときには、カテーテルの留置が必要になる。
本出願人は、従来のバルーン付きカテーテルのもつ留置機能と、従来のバルーンなしカテーテル(ネラトンカテーテル)のもつ自己導尿機能とを兼ね備えた間欠尿道留置カテーテルセットを得るために、先に「間欠尿道留置カテーテルセット」(実用新案登録公報第2587642号)を提案した。この間欠尿道留置カテーテルセットは、カテーテルユニットと、消毒ケースと、キャップとからできている。カテーテルユニットは、長手方向にそって互いに独立して導尿通路および導水通路を有するカテーテル本体と、カテーテル本体の先端部に膨縮自在に取り付けられていて導水通路に連通したバルーンと、カテーテル本体の中間部に取り付けられた弾性栓と、弾性栓の上方においてカテーテル本体から分岐しかつ導水通路に連通した分岐管と、分岐管の自由端に膨縮自在に取り付けられていて滅菌水を貯留するリザーバと、分岐管の中間部に取り付けられた開閉弁とを含む。消毒ケースは、弾性栓に着脱自在に密封嵌合しかつ弾性栓よりも下方にあるカテーテル本体の下部を収容するとともに消毒液を貯留する。キャップは、弾性栓の上方に着脱自在に嵌合し、弾性栓の上方にあるカテーテル本体の上部、分岐管、開閉弁、リザーバを被覆する。
この間欠尿道留置カテーテルセットは、当初の目的を達成してはいるが、特に体力の消耗した使用者または衰弱した使用者が自ら使用するさいには、いまだ十分であるとは言えない。その理由は、カテーテル本体が可撓性に富んでいるので尿道に挿入し難いこと、キャップの着脱操作および開閉弁の開閉操作に指先の巧緻性および若干の力を要すること等である。
一方、本出願人は、先に「人体留置医療器具用キャップ」(特開平9−206370号公報)を提案した。この人体留置医療器具用キャップは、例えば、女性で残尿を有する排尿困難例、または膀胱瘻またはおむつ排尿を行っている尿失禁例、手の巧緻性が不良な症例にも適用でき、尿の排泄および蓄尿等の操作が簡単にでき、尿の結晶により凹凸が出来ても簡単に尿漏れの生じないことを目的にして構成されている。
この人体留置医療器具用磁気キャップは、接続プラグ本体に丁番部をかいして蓋体を連結したキャップにおいて、接続プラグ本体、丁番部、蓋体を同一合成樹脂材料から一体に成形し、蓋体の内面中央に可撓性材料からなる係合部材を取り付け、蓋体の一端に引きひもを取り付けた構成になっている。
この人体留置医療器具用磁気キャップは、上述の間欠尿道留置カテーテルセットに応用できる可能がある。
【発明の開示】
そこで、本発明の目的は、従来のバルーン付きカテーテルのもつ留置機能と、従来のバルーンなしカテーテル(ネラトンカテーテル)のもつ自己導尿機能とを兼ね備え、かつ、特に体力の消耗した使用者または衰弱した使用者が自ら使用するのに適した間欠尿道留置カテーテルセットを得ることにある。
上記の目的を達成するために、本発明の間欠尿道留置カテーテルセットは、カテーテルユニットと、消毒ケースと、キャップとを備えている。カテーテルユニットは、長手方向にそって互いに独立した導尿通路および導水通路を有するカテーテル本体と、カテーテル本体の先端部に膨縮自在に取り付けられていて導水通路に連通したバルーンと、カテーテル本体の中間部に取り付けられた弾性栓と、弾性栓の上方においてカテーテル本体から分岐しかつ導水通路に連通した分岐管と、分岐管の自由端に膨縮自在に取り付けられていて滅菌水を貯留するリザーバと、分岐管の中間部に取り付けられた開閉弁と、カテーテル本体の導尿通路の上部内腔に挿入された補強チューブとを含む。消毒ケースは、弾性栓に着脱自在に密封嵌合しかつ弾性栓よりも下方にあるカテーテル本体の下部を収容するとともに消毒液を貯留する。キャップは、カテーテル本体の上部に着脱自在に嵌合し排出口を開閉する。開閉弁は、リザーバとバルーンとの間で滅菌水が流通する通路を開閉する。分岐管がカテーテル本体に着脱自在に装着されてもよい。
キャップは、接続プラグ本体、丁番部、蓋体を同一合成樹脂材料から一体に成形され、蓋体の内面中央に可撓性材料からなる係合部材が取り付けられ、蓋体の一端に引きひもが取り付けられる。接続プラグ本体上面に環状磁石が固定され、蓋体内面上で係合部材を取り囲んで環状磁石が固定されてもよい。
開閉弁は、弁本体と、プランジャと、引きひもとを含む。弁本体は、プランジャを往復移動可能ではあるが摩擦抵抗を与えて支持する凹部と、リザーバに連通する枝管と、分岐管に連通する枝管とを含む。プランジャは、弁本体の凹部に往復移動可能ではあるが摩擦抵抗を与えて係合するプランジャ本体と、フランジ部と、連通孔とを含む。引きひもは、プランジャのフランジ部に結ばれてフープを形成する。
消毒ケースの上部出口付近に吸収材を設け、吸収材に消毒液を吸着させてもよい。カテーテル本体の先端を湾曲形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の間欠尿道留置カテーテルセットの縦断面図である。
図2は、図1のカテーテルセットの分解縦断面図である。
図3Aは、本発明のカテーテルセットに用いられる開閉弁の縦断面図であって、開閉弁が閉鎖されている状態を示す。
図3Bは図3Aと同様な図面であって、開閉弁が開放されている状態を示す。
図4は、本発明にもとづくカテーテルセットの構成要素の1つである消毒ケースの別の実施例を示す縦断面図である。
図5は、本発明にもとづくカテーテルセットの構成要素の1つである消毒ケースのさらに別の実施例を示す縦断面図である。
図6Aは、本発明にもとづくカテーテルセットの構成要素の1つである分岐管の別の実施例を示す側面図であって、分岐管がカテーテル本体から分離されている状態を示す。
図6Bは、図6Aと同様な図面であって、分岐管がカテーテル本体に結合された状態を示す。
図7Aは、本発明にもとづくカテーテルセットの構成要素の1つであるキャップの縦断面図であって、キャップの閉鎖状態を示す。
図7Bは図7Aと同様な図面であって、キャップが開放された状態を示す。
図8は、本発明のカテーテルセットの構成要素の1つである別のキャップの縦断面図であって、キャップの開放状態を示す。
図9は、本発明にもとづくカテーテルセットの構成要素の1つであるカテーテル本体先端部の平面図であって、その変更例を示す。
図10Aは、本発明のカテーテルセットの使用例を示す説明図であって、カテーテル本体が膀胱に挿入された直後の状態を示す。
図10Bは図10Aと同様な図面であって、カテーテル本体が膀胱に留置されている状態を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
図面を参照して、本発明の間欠尿道留置カテーテルセットの実施例について説明する。図1、2に示すように、本発明の間欠尿道留置カテーテルセット10は、カテーテルユニット1と、消毒ケース2と、キャップ3とを含む。
カテーテルユニット1は、長手方向にそって互いに独立した導尿通路111および導水通路112を有するカテーテル本体11と、カテーテル本体11の先端部に膨縮自在に取り付けられていて導水通路112に連通したバルーン12と、カテーテル本体11の中間部に取り付けられた弾性栓13と、弾性栓13の上方においてカテーテル本体11から分岐しかつ導水通路112に連通した分岐管14と、分岐管14の自由端に膨縮自在に取り付けられていて滅菌水15を貯留するリザーバ16と、分岐管14の中間部に取り付けられた開閉弁17と、カテーテル本体11の導尿通路111の上部内腔に挿入された補強チューブ18とを含む。
消毒ケース2は、弾性栓13に着脱自在に密封嵌合しかつ栓13よりも下方にあるカテーテル本体11の下部を収容するとともに、消毒液21を貯留する。
キャップ3は、カテーテル本体11の頂部に着脱自在に嵌合し、導尿通路111の開閉機能を有している。キャップ3は、前述した「人体留置医療器具用キャップ」(特開平9−206370号公報)を利用する。キャップ3の詳細な構造については、図7A、7B、8を参照して後述する。
弾性栓13は、ゴム、可撓性樹脂等からつくられる。リザーバ16は、PVC、ポリウレタン等の可撓性樹脂からつくられる。カテーテル本体11およびバルーン12は従来の材料からつくられる。補強チューブ18は、カテーテル本体11よりは比較的硬い材料(例えば、ポリテトラフルオロエチレン等)からつくられる。
滅菌水15は、通常の生理食塩水等でよい。消毒液21は、塩化ベンゼトニウム、例えば、三共製薬株式会社製のハイアミン(Hyamine:登録商標)液と滅菌グリセリン液との混合液、塩化ベンザルコニウム、例えば、日本製薬株式会社および武田薬品工業株式会社製のオスバン(osvan:登録商標)、またはポビドンヨード、例えば、明治製菓株式会社製のイソジン(Isodine:登録商標)液等が好ましい。
開閉弁17の一例を図3Aおよび図3Bに示す。開閉弁17は、弁本体171と、プランジャ172と、引きひも173とを含む。弁本体171は、プランジャ172を往復移動可能ではあるが摩擦抵抗を与えて支持する凹部1711と、リザーバ16に連通する枝管1712と、分岐管14に連通する枝管1713とを含む。プランジャ172は、弁本体171の凹部1711に往復移動可能ではあるが摩擦抵抗を与えて係合するプランジャ本体1721と、フランジ部1722と、連通孔1723とを含む。引きひも173は、プランジャ172のフランジ部1722に結ばれてフープを形成している。
開閉弁17は、常態では、図3Aに示すように、プランジャ本体1721が弁本体171の凹部1711内最奥まで押し込まれていて、プランジャ本体1721は枝管1712と枝管1713との連通を遮断している。図3Bに示すように、引きひも173を引っ張ったとき、プランジャ本体1721が弁本体171の凹部1711から最大限引き出され、プランジャ本体1721の連通孔1723は枝管1712と枝管1713とを連通させる。滅菌水15は、枝管1712、連通孔1723、枝管1713をかいしてリザーバ16とバルーン12との間で流通できる。
消毒ケース2は、図4に示すように、上部出口付近にスポンジ等の吸収材22を設け、そこに消毒液21を吸着させていてもよい。カテーテル本体11を消毒ケース2に対して出入れするさいに、カテーテル本体11が吸収材21を擦って、カテーテル本体11が消毒される。このようにすれば、消毒ケース2内に消毒液を予め入れておく必要はない。また、図5に示すように、消毒ケース2をU字形状にしてもよい。このようにすれば、カテーテルセット10自体の収納および携行に便利である。図5に示すU字形状消毒ケース2の上部出口付近に図4に示す吸収材21を設けてもよい。
図6A、図6Bに示すように、分岐管14は、たけの子型コネクタ141によってカテーテル本体11に着脱自在に連結できるように構成してもよい。
カテーテル本体11の先端は、図9に示すように、わずかに湾曲させて形成してもよい。このようにすれば、カテーテル本体11を尿道に挿入する操作がより容易になる。
図7A、図7B、図8を参照して、キャップ3の構造を詳細に説明する。図7Aおよび図7Bは、キャップ3の第1実施例を示す。キャップ3は、接続プラグ本体31に丁番部33をかいして蓋体32を連結した構成になっている。キャップ3においては、接続プラグ本体31、丁番部33、蓋体32を同一合成樹脂材料から一体に成形し、蓋体32の内面中央に可撓性材料(例えば、シリコンゴム、ポリエチレン等)からなる係合部材34を取り付け、蓋体32の一端に引きひも35を取り付けた構成になっている。
丁番部33は、図7Aおよび図7Bに示すように、接続プラグ本体31と蓋体32とを単に連結する部分33aと、弾性変形部分33bとを含む。弾性変形部分33bは、蓋体32が所定の角度範囲内では蓋体32を弾性復元力によって閉じるように作用するが、その範囲を越えると、部分33bがバックリングを起して、逆に蓋体32を全開位置に戻すように作用する(図7B参照)。
係合部材34は、図7Aに示すように、蓋体32が接続プラグ本体31上に閉じられたとき、本体31の排出口311の周縁に弾性変形を伴って係合するので、排出口311の気密または液密は保持される。
手、指を自由に動かせない使用者であっても、手の掌または指のいずれかの部分で引きひも35を引っ掛ければ、蓋体32の開閉は自由に行われる。
キャップ3は、例えば、図1および図2に示すように使用される。図1は、間欠尿道留置カテーテルセット10のカテーテル本体11の外部排出口にキャップ3が装着された例を示す。図1および図2に示す接続プラグ本体31の例では、相手方の接続口内側に装着されているが、接続口外側に装着される構造になっていてもよい。
図8は、キャップ3の第2実施例を示す。本実施例においては、接続プラグ本体31の上面に環状磁石36を固定し、蓋体32内面上で係合部材34を取り囲んで、環状磁石37を固定している。両磁石36、37の直径を5―15mm、厚みを0.5―5.0mmに設定し、その磁束密度を100―2000ガウスに設定し、両磁石36、37の接触面の磁極を互いに逆に設置してある。図示例では、環状磁石36の上面をS極にし、下面をN極にし、また、環状磁石37の上面をN極にし、下面をS極にしている。両環状磁石36、37のうちのいずれか一方を強磁性体の材料(例えば、鉄、サマリュウム、ニッケル、コバルト、フェライト等)からなる環状強磁性体に置き換えることもできる。
図8に示すように、キャップ3を開いている状態においては、環状磁石36が接続プラグ本体31の排出口311を開放し、また、環状磁石37も本体31から遠く離れている。次いで、図7Aの場合と同様に、キャップ3を閉じたとき、両磁石36、37が互いに接触し、磁力によって吸着を持続する。両磁石36、37が接触する直前においては、互いの吸引力によって、両磁石36、37の中心軸が自然にほぼ一致した後に接触する。万が一若干ずれたとしても、前述したように、係合部材34がそのずれを自動的に修正する。
キャップ3が、図1に示すように閉じられているときには、接続プラグ本体31の排出口311を係合部材34が封鎖している。両磁石36、37が吸引結合したさい、環状磁石37の内側の係合部材34が環状磁石36の内径上縁および排出口311の周縁に接触し、キャップ3の気密および液密封止を向上させることができる。また、係合部材34は、両磁石36、37が相互結合するさいの案内としても作用する。
本発明の間欠尿道留置カテーテルセット10の使用例について図10Aおよび図10Bを参照して説明する。まず、カテーテルユニット1を消毒ケース2から取り出し、カテーテル本体11を尿道から膀胱5内に挿入する(図10A)。このとき、バルーン12は収縮している。カテーテル本体11の上部は補強チューブ18によって補強されているので、カテーテル本体11の基端側はあまりふらつかず、使用者はカテーテル本体11を簡単に操作できる。
次いで、開閉弁17の引きひも173を引っ張り、開閉弁を開く(図3B)。手動でリザーバを加圧することによって、リザーバ16内にある滅菌水15をバルーン12内に注入し、バルーン12を膨張させる(図10B)。次いで開閉弁17のプランジャ172を弁本体171内に手動で押し込み、開閉弁17を閉じる(図3A)。その結果、バルーン12の膨張が維持される。
バルーン12の膨張により、カテーテルユニット1は膀胱5に留置される。次に、キャップ3の引きひも35を引っ張って、キャップ3の排出口311を開放する。膀胱内の尿はカテーテル本体11の導尿通路111(図1)をかいして排出口311から排出される。
留置が不要になったとき、開閉弁17を開いて滅菌水15をバルーン12からリザーバ16内に戻し、バルーン12を収縮し、再び開閉弁17を閉じればよい。使用後のカテーテルユニット1は消毒ケース2内に戻し、キャップ3を閉じて、保管することができる。
キャップ3に対しては、手の巧緻性が不良の患者でも、引きひも35を手の指または掌に引っ掛けて、引きひも35を接続プラグ本体31の方向に引っ張ったとき、丁番部33の弾性復元力によって蓋体32が接続プラグ本体31上を覆い、係合部材34が接続プラグ本体31の排出口311の周縁に気密係合する。このとき、蓋体32が多少曲がって動いたとしても、蓋体32の内面上の係合部材34が接続プラグ本体31の排出口311に案内されて蓋体32を正規の位置に係合させる。したがって、蓋体32が接続プラグ本体31に確実に係合するとともに、両者の接触面に隙間ができても、係合部材34が排出口311に気密状に係合するので、漏れを防止できる。
蓋体32を開ける場合には、引きひも35を前述とは逆の方向に引っ張れば、丁番部33の弾性抵抗力に抗して蓋体32が引き開けられ、所定の角度を越えると、丁番部33のバックリングによって蓋体32は完全に開いた状態に維持される。したがって、使用者は蓋体32を開放状態に意識的に維持する必要はない。
本発明の間欠尿道留置カテーテルセットによれば、例えば半日(日中または夜間)、カテーテルユニットを膀胱に留置しておくことができるので、その間はおむつ、排尿に要する看護、介助等が不要になる。一方、操作がより簡便になったので、自己導尿も可能となり、使用者の行動範囲を拘束することはない。留置時間は比較的短いので、尿路感染のおそれもない。
【産業上の利用可能性】
本発明の間欠尿道留置カテーテルセットは、脊髄損傷患者、脳血管障害患者、先天性尿路奇形に伴う排尿障害患者等の使用に適している。
【図1】

【図2】


【図4】

【図5】



【図8】

【図9】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルユニットと、消毒ケースと、キャップとを備え、
前記カテーテルユニットは、長手方向にそって互いに独立した導尿通路および導水通路を有するカテーテル本体と、カテーテル本体の先端部に膨縮自在に取り付けられていて導水通路に連通したバルーンと、カテーテル本体の中間部に取り付けられた弾性栓と、弾性栓の上方においてカテーテル本体から分岐しかつ導水通路に連通した分岐管と、分岐管の自由端に膨縮自在に取り付けられていて滅菌水を貯留するリザーバと、分岐管の中間部に取り付けられた開閉弁と、カテーテル本体の導尿通路の上部内腔に挿入された補強チューブとを含み、
前記消毒ケースは、弾性栓に着脱自在に密封嵌合しかつ該弾性栓よりも下方にあるカテーテル本体の下部を収容するとともに消毒液を貯留し、
前記キャップは、前記カテーテル本体の上部に着脱自在に嵌合し排出口を開閉し、
前記開閉弁は、前記リザーバと前記バルーンとの間で滅菌水が流通する通路を開閉する、
間欠尿道留置カテーテルセット。
【請求項2】
前記分岐管が前記カテーテル本体に着脱自在に装着される、請求項1記載のカテーテルセット。
【請求項3】
前記キャップは、接続プラグ本体、丁番部、蓋体を同一合成樹脂材料から一体に成形され、蓋体の内面中央に可撓性材料からなる係合部材が取り付けられ、蓋体の一端に引きひもが取り付けられている、請求項1記載のカテーテルセット。
【請求項4】
前記接続プラグ本体上面に環状磁石が固定され、前記蓋体内面上で前記係合部材を取り囲んで環状磁石が固定された、請求項3に記載のカテーテルセット。
【請求項5】
前記開閉弁は、弁本体と、プランジャと、引きひもとを含み、該弁本体は、プランジャを往復移動可能ではあるが摩擦抵抗を与えて支持する凹部と、リザーバに連通する枝管と、分岐管に連通する枝管とを含み、前記プランジャは、前記弁本体の凹部に往復移動可能ではあるが摩擦抵抗を与えて係合するプランジャ本体と、フランジ部と、連通孔とを含み、前記引きひもは、前記プランジャの前記フランジ部に結ばれてフープを形成している、請求項1記載のカテーテルセット。
【請求項6】
消毒ケースの上部出口付近に吸収材を設け、該吸収材に消毒液を吸着させた、請求項1に記載のカテーテルセット。
【請求項7】
前記カテーテル本体の先端を湾曲形成した、請求項1に記載のカテーテルセット。

【国際公開番号】WO2005/018714
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【発行日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−508185(P2005−508185)
【国際出願番号】PCT/JP2003/010563
【国際出願日】平成15年8月21日(2003.8.21)
【出願人】(591129025)株式会社塚田メディカル・リサーチ (8)
【Fターム(参考)】