説明

間詰め舗装法

【課題】人孔蓋を設置する場合、舗装を先行させ、舗装完了後その舗装高に合わせて人孔蓋の受け枠を設置する工法(AL工法)に伴う間詰舗装における締め固め不良を改善する。
【解決手段】締め固めをくさび状の適当な強度を持つ挿入物を挿入することにより投入した加熱アスファルト合材を十分な密度まで締め固め、挿入物も舗装の一部とすることによる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
人孔蓋を設置する場合、舗装を先行させ、舗装完了後その舗装高に合わせて人孔蓋の受け枠を設置する工法(AL(After Leveling)工法と呼ぶ)において、受け枠を設置完了時に、受け枠外周面と周辺舗装との間に残る空隙に充填材として加熱アスファルト合材を投入、締め固めを行う間詰め舗装の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
AL工法で人孔蓋を設置した場合、受け枠外周面と既設舗装との間に残る空隙に容易で確実に、十分な密度まで充填材の加熱アスファルト合材を締め固めることは困難であった。
【0003】
よって、車両交通により施工後沈下して段差が発生し、振動騒音の増加、さらに、その振動により舗装の崩壊を促進してしまうことがあった。
【0004】
これに対して、コンクリート系充填材や硬化する樹脂系接着剤を加えた充填材で変形に対する強度を向上させたものが使用されている。しかし、これらは長時間の硬化時間が必要であり、材料単価も高価なもので施工費を上昇させていた。
【0005】
本発明は、上記のような問題を解決し容易で安価な間詰め舗装を提供するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
AL工法で人孔蓋を設置する場合、受け枠を設置完了時に、設置した受け枠外周面と周辺舗装との間に残る空隙を安価な加熱アスファルト合材を充填し、舗装作業による騒音振動の発生を抑制し、容易に十分な密度のアスファルト舗装盤を設置する施工方法を提供する。
【0007】
現在は適当な流動性のコンクリート系材料を充填材とし、その流動性で空隙を十分充填する方法や硬化する樹脂系接着剤を充填材に加え、硬化後の剛性で沈下や変形を防止する方法が行われている。
【0008】
しかし、これらの材料は長い硬化時間が必要であり材料価格も高価であるため工程全体のコストを押し上げていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
AL工法で人孔蓋を設置する場合、受け枠を設置完了時に設置した受け枠外周面と周辺舗装との間に残る空隙に充填材を充填する間詰め舗装を行う場合において、充填材として加熱アスファルト合材を投入し、その加熱アスファルト合材の締め固めは挿入方向に断面幅が次第に小さくなる、断面がくさび状の適当な強度を持つ挿入物を加熱アスファルト合材に挿入することにより投入した加熱アスファルト合材を十分な密度まで締め固め、挿入物も舗装の一部とすることによる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば人孔蓋周辺の狭隘な空隙も容易で確実に締め固めが可能となり、舗装の耐久性、平坦性が向上、作業が簡便になる等の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】挿入物をセットし挿入を開始する状態の断面図
【図2】間詰め舗装(挿入)完了時の断面図
【図3】挿入物の平面図
【図4】挿入方向を下にした挿入物の断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明における効果的な実施の形態について一例を説明する。
【実施例】
【0013】
AL工法で人孔蓋を設置する場合における本発明の施行例を説明する。
【0014】
蓋受け枠を周辺の舗装に合わせて高さと傾斜を調整(レベリング)して、固定すると受け枠(12)の外周面と周辺舗装(9)との間が空隙として残る。
【0015】
受け枠固定用ボルト(15)に圧縮版(5)に圧力を加えるための反力を受けるボルト(反力ボルト)(1)を適当な長さのナット(14)を介して取り付ける。
【0016】
受け枠の外周面と周辺舗装との間の空隙に加熱アスファルト合材(10)を投入、敷き均す。
【0017】
転圧は挿入方向に断面幅が次第に小さくなる断面がくさび状の適当な強度を持つ挿入物(6)を加熱アスファルト合材の上に載せる。
【0018】
挿入物上に挿入力圧力を伝えるため十分な強度の圧縮版を反力ボルトを貫通させ挿入物の上に設置する。この圧縮版の幅は挿入物の上面より外にせり出し、内外周径は挿入物の挿入により余剰になった加熱アスファルト合材が発生した場合はその合材を上部に排出できるような隙間が構成される幅である。
【0019】
反力ボルトにワッシャー(8)、締め付けナット(7)を取り付ける。
【0020】
周辺舗装の変形防止版(4)を反力ボルトを介して設置固定する。
【0021】
締め付けナット(7)を締め付けて圧縮版を介して挿入物に圧力を加えて加熱アスファルト合材の中に挿入物を所定の位置まで挿入する。
【0022】
変形防止版、反力ボルト、圧力版を除去する。
【0023】
余剰の加熱アスファルト合材は周辺舗装と圧縮版外周面、受枠外周面と圧縮版内周面のそれぞれの間から上部に排除されるので加熱した転圧棒等で除去、転圧して完了となる。このとき、表面が荒れている場合はシールコートをして仕上げる。
【0024】
以上が本発明の作業手順である。ここで、挿入物に圧力をかける手段は路面転圧用プレートによることもできる。また、この挿入物が交通振動等による離脱を防止するため反力ボルトを撤去した跡の穴とナット(14)を介してボルトで離脱防止器具を装着することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明によればAL工法により設置した路面構造物周辺舗装の締め固めが確実で容易にできるので路面の平坦性の向上、耐久性向上、作業騒音振動の削減が可能であり、総合的にコスト削減ができる。
【符号の説明】
【0026】
2、3は周辺舗装の変形防止版を固定するワッシャーとナット、10は空隙に投入されたゆるい状態の加熱アスファルト合材、11は蓋、13は受け枠の高さ調整材、16、17は受け枠を固定するナットとワッシャー、18は反力ボルトを除去した跡に充填した充填材、19は締め固められた加熱アスファルト合材、20は反力ボルトを通すための切り込み。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人孔蓋を設置する場合、舗装を先行させ、舗装完了後その舗装高に合わせて人孔蓋の受け枠を設置する工法において、受け枠設置完了時、受け枠外周面と周辺舗装との間に残る空隙に充填材を充填舗装する場合、充填材として加熱アスファルト合材をその空隙に投入し、その締め固めは挿入方向に断面幅が次第に小さくなる断面がくさび状の適当な強度を持つ挿入物を挿入することにより投入した加熱アスファルト合材を十分な密度まで締め固め、その挿入物も舗装の一部とすることを特徴とする間詰め舗装方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−2051(P2012−2051A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−153401(P2010−153401)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(593177446)
【Fターム(参考)】