説明

間隙領域が縮小した部分を有する光ガイドの緊密な束

【課題】移動中最低または無視しうる力の損失で束へまたは束から放射を収集/分配する非常に有効な光ファイバー束の提供。光学的力の損失を排除するために、束中の間隙領域を縮小または排除し、緊密コア接触部分を形成する。
【解決手段】複数の源から集められてきたかまたは1つ以上の源から複数のサイトに光子エネルギーを交互に分配する光子エネルギーの増強した結合/伝達を提供する光ファイバー束であって、それぞれコアおよびクラッドを有する複数の光ガイド、および該コアの間に緊密な接触が存在する該束の緊密コア接触部分からなり、該コアが、該緊密コア接触部分における該コアの間に存在する間隙領域が最小になるように、該緊密接触部分に沿ってその上のクラッドと接触していないかまたは縮小したその上のクラッドと接触している光ファイバー束。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバー束の分野に関し、特に束ねられている複数の光ファイバーへ、またはそれから放射を集めそして分配するための束の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
光ガイドの束は、通常、コアと異なる屈折率のクラッド材料とを有する光ガイドから製造される。これらの光ガイドが融合されて固体の束になるとき、クラッド材料は、融合した領域内に間隙領域を形成する。コア対クラッド材料の典型的な1:1.1の比では、この領域は、全束の面積の約20%に相当する。図1は、それぞれコア101およびクラッド103を有する複数の光ファイバーからなる典型的な融合した光ファイバー束を示す。クラッド層103は、例えば加熱プレスされそして変形されて固体の束を形成する。
【0003】
このような束は、複数の源例えばダイオードレーザーバーのエミッターからの光を集めそして放射を単一の光ガイド中にカップリングするのに有用である。それらは、また単一の源から光を集めそしてそれを多数の場所に分配するのに有用である。
【0004】
融合した束の末端面を通って光を発する束では、強度(面積あたりの力)は、各ファイバーのクラッドにより形成される間隙領域により低下する。融合した束の末端面を通って光を集める束では、かなりの量の光が、通常、末端面で失われる。それは、それがファイバーのクラッド中にカップリングされるからである。融合したゾーンから通常高い屈折率の材料である被覆を取り去ることは、その中のすべてのモードのクラッドを次に取り除くことになるため、コアの外側の光は失われる。
【0005】
特許文献1は、多数のファイバーがともに融合されて、個々のファイバーの間に小さい領域から無視できる領域を有する固体の束を形成する束を記載している。束内の各ファイバーは、その個々のクラッド材料を有するものと思われ、隣接するファイバー間の光の混合を避けることができる。
【0006】
特許文献2は、ガラスまたはプラスチックのグラディエントインデックス(「GRIN」)ポリマーの光ファイバーを利用する光ファイバー画像化束を開示している。画像化束中の各ミクロファイバーは、ファイバー内の光を出口領域に伝達し、そして画像の1つのピクセルを現す。直径の小さいプラスチックファイバーでは、それらはともに融合され、そして束はポリマーコーティングにより重ねられる。他の特許と同じく、画像化または通信の応用では、束内の隣接するファイバー間の光の混合を避けねばならないことを要する。
【0007】
特許文献3は、光によるデータの伝送のアプリケーションのための光ファイバー束の末端を開示している。クラッドは、ファイバーの末端部分からエッチングされ、そして末端部分は、フェルール内で終わりそしてともに保持される。エッチングによるクラッドの縮小は、ファイバーコアの面積対束の面積の比が増加するため、「パッキングフラクション」を増大させる。クラッドのいくらかまたはすべてが、束ねる前にファイバーからエッチングされると述べられているが、ファイバー間のクロストークを予防しつつ、パッキングフラクションを大きくしそして束の直径を短くするのが本発明の目的である。従って、ファイバーのコア間にクラッド材料が存在することが必要であり、それは、(低屈折率の接着剤によるファイバー間の充填)および/または(放射の各ファイバーを経る誘導そしてクロストークの防止のための各ファイバー上のクラッドの少なくともいくらかの部分の残存)により達成できる。
【0008】
画像化またはデータの伝送のアプリケーションは、明らかに、束内の隣接するファイバー間の光の混合を避けることを必要としているが、光の有効な収集および/または分配は、光の融合した部分における光の有効な混合から利益を得る。特に、均一な光の分配が必要なとき、光の混合が強制的なものになり、それは、隣接するファイバー間のクロストークが意図的に防止されている上記の特許では妨げられている。
【0009】
光を、固体の束中に有効に収集することおよび/または力の損失を最小にしつつ束から分配することのできる光ファイバー束が求められている。本発明は、この要求に応えるものである。
【0010】
【特許文献1】英国特許2191873
【特許文献2】米国特許5881195
【特許文献3】米国特許3912362
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
移動中最低または無視しうる力の損失で束へまたは束から放射を収集/分配する非常に有効な光ファイバー束を提供するのが本発明の目的である。
種々の源から光を収集しそしてその光を1つの明るい好ましくは均一なスポット中に導くことが本発明の他の目的である。
【0012】
大きな開口を経て大きな源から光を取りだしそしてそれを束の入力端で最低の損失で多数の出力チャンネル中に均一に分配することが本発明の他の目的である。
パッキング密度を増大させ、そのため光学的力の損失を排除するために、束中の間隙領域を縮小または排除する非常に有効な光ファイバー束を提供するのが本発明の他の目的である。
【0013】
緊密コア接触部分を形成して光学的力の損失を縮小または排除するために、クラッドのないまたはクラッドの縮小したファイバー部分/末端を形成することにより、束中の間隙領域を縮小させるかまたは排除する非常に有効な光ファイバー束を提供するのが本発明のなお他の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
簡単に言えば、本発明は、光学的放射の非常に有効な収集および/または分配のための1つ以上の光ファイバー束を含む光ファイバー接続システムを提供する。それぞれの束では、該束の各ファイバーの予定された部分に沿って、クラッドは、完全に取り除かれたか、またはファイバーの部分に沿って取り除かれて、クラッドのないまたはクラッドの縮小したファイバー部分または末端を形成し、そしてクラッドのないまたはクラッドが縮小したファイバー部分/末端は、プレスされるかまたは融合されて固体の緊密コア接触部分を形成する。この緊密コア接触部分は、随意に、その外側の周辺をクラッド材料により被覆される。得られた束は、光ファイバーのコアから実質的にまたは排他的に構成され、間隙領域はほとんどないかまたは全くない。本発明の束は、それゆえ、力をほとんどまたは全く失うことなく、光ファイバー束へまたは光ファイバー束からまたはそれらの間に、光学的放射を伝達する能力を提供する。その上、光学的終端は、これら束の末端上に含まれて、束中への入力エネルギーを増大させるか、またはそのエネルギーを他の源に分配する。これらの固体のコアのために、これらの束は、高い温度および放射レベルに抵抗できる。また、複数の光ガイドへまたはそれから放射を分配するために、1つ以上の束を利用する放射分配システムが提供される。放射の結合、収集および分配のシステム、並びにこれらの束の製造方法も提供される。
本発明の上記および他の目的、特徴および利点は、図面と関連しつつ以下の記述を読むことから明らかになるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本明細書で使用されるとき、用語「緊密(intimate)コア接触部分」(「ICCS」)は、ICCSの長さ方向に、クラッド材料がそれぞれのファイバーから実質的にまたは完全に取り除かれている光ファイバーの束の部分を記述する。ICCSは、従って、各ファイバーのコアの間のすべての間隙の空所または材料が、実質的にまたは完全に排除されるように処理されている。この処理は、ファイバーをともに融合またはプレスして各ファイバー間のすべての間隙の空所を除くことにより達成される。ICCSは、束が末端面で終わる末端の部分であるか、またはファイバー/ファイバー束の所定の長さに沿う部分である。
【0016】
本発明の好ましい態様によれば、通常光ファイバーである光ガイドの束は、追加のクラッド材料が適用される固体束中に融合またはプレスされる各光ガイドのコアのみを緊密コア接触部分が有する方法で作られる。そのため、本発明の束の緊密コア接触部分は、クラッド材料または空間の何れかのコア間の間隙空所を有する従来の束の欠点を示さない。
【0017】
本発明の1つの態様では、クラッドの厚さは、緊密コア接触部分における各ファイバーの長さの予定された部分に沿って部分的にまたは実質的に縮小している。好ましい態様では、クラッドは、各ファイバーの長さの特定の部分に沿って完全に除かれて、その部分に沿って各ファイバーの露出されたコアのみを残す。それに沿ってクラッドの厚さが縮小されるかまたは除かれた各光ファイバーの特定の部分は、次に固体の部分にプレスまたは融合される。さらに他の好ましい態様では、ファイバーの長さ方向の特定の部分に沿うクラッドは、ファイバーを束ねることおよびプレス/融合することの後に露出されるコアの表面の部分のみ、そのままで残される。
【0018】
クラッドが各ファイバーの或る部分から取り除かれそして各ファイバーのコアが緊密コア接触部分(ICCS)にプレスまたは融合された後、ICCSは、被覆されないまま残され、ICCSの周囲の雰囲気(例えば空気または真空)は、ICCS内で放射を導きそして制限するクラッドとして働く。空気または他の環境は、コア材料より小さい屈折率を有するので、放射は、或る場合には、束の緊密コア接触部分の周りのクラッドを必要とすることなく、有効に導かれる。
【0019】
他の場合では、空気のクラッドは、緊密コア接触部分(ICCS)内で放射を有効に導くのに十分ではない。好ましい態様では、外部クラッド材料は、ICCSの外部に付着して放射を導くのを助けそして汚染例えば水分、ダストまたは同様物に対する保護として働く。この材料は、コア材料のそれよりも低い屈折率を有する任意の材料である。例えば、その材料は、純粋またはフッ素にドープしたシリカまたはポリマーである。他の態様では、束は、一層標準的なクラッド材料の代わりに鏡または他の屈折する材料により全体を被覆される。フッ素にドープしたクラッドの外部のクラッドは、ファイバーを束に融合している間またはファイバーを束に融合した後の何れかで、融合した部分にわたってフッ素にドープしたシリカの内層を有する管またはフッ素にドープしたシリカの管を破壊することによって付与できる。
【0020】
本発明の好ましい態様の軸に垂直な断面は、図2に示される。従来の束100は、図1に示される。図1で分かるように、コア101そしてその周りのクラッド103を有する複数の光ファイバーは、束中に配置されそしてともにプレスかまたは融合されて間隙空間でコア101間にクラッドを有する。図2では、多数の光ファイバーの部分の特定の長さ方向に沿って、クラッドは完全に除かれ、コア201を露出する。コア201は、次に、好ましくはホットプレス法を使用して、ともにプレスまたは融合されて緊密コア接触部分(ICCS)を形成し、ICCS中に各ファイバーのコア材料間に分離がなく、そしてICCSは、クラッド材料203により全体を被覆される。クラッド材料は、好ましいけれども必須ではないが、各ファイバーの特定の部分から最初に除かれたクラッドと同じ材料から作られる。本発明の束の緊密コア接触部分は、方向について優先はなく、すなわち光はどんな方向にも導かれる。
【0021】
図4は、緊密コア接触部分(ICCS)405の軸に沿ってとられた断面図である。それから分かるように、コアを有する複数の光ファイバー401は、クラッド402によりカバーされている。これらは、光ファイバー束407を形成する。さらに、その上にクラッド402を有する束407とICCS405との間の界面406を通って、放射が有効に導かれることを確実にするために、クラッド材料または同様なものは、管が除かれる前に融合されそしてICCSの末端に付与されて、個々のファイバーがファイバー束407からICCS405へ移動する点に残されたすべての空所を満たすことになる。追加のクラッド材料は、また、一層機械的な安定性をもたらす。
【0022】
図5は、さらに、本発明の他の特徴を示しており、その場合、末端要素508は、ICCSのほぼ直径の長さを有する緊密コア接触部分(ICCS)505に接続される。典型的な形状は、部分505のファイバーの方向に沿って円筒形である。これらの融合した束505中またはそれからのカップリングを改善するために、ICCSの形状は改変できる。カップリングを増強しそして全アセンブリの入口面に対する熱効果を低下させるために、円錐状の要素508は、ICCSの一層小さい直径に向かって集まる入口面で一層大きな直径を有するICCS505上に融合できる。直径の集束の形は、束中にカップリングされる光のプロフィルに依存すると思われる直線状、放物線状または或る他の形状である。
【0023】
他の態様では、クラッドは、図3に示される断面で画かれたように、各ファイバーの或る部分の特定の長さに沿って一部分のみが除かれる。前の態様におけるように、コア301は、ともにプレスまたは融合されて、間隙領域が縮小または排除された束の緊密コア接触部分(ICCS)405を形成する。しかし、クラッド303は、ICCSで互いに接触していると思われるコア301の表面領域のその部分から完全に除かれているに過ぎない。他のコアと接触していない各ファイバーの部分は、束の外部を形成する。クラッド303がこれらの部分から除かれていないため、外部のクラッド層は、ICCSの外部で維持され、そして束のICCS内に放射を導きそして融合した部分を環境上の条件例えば光のガイドを損なう凝縮水または他の物質から保護するように働く。
【0024】
好ましい態様では、光ファイバー束のICCSは、石英またはシリカガラスのコアを有する光ファイバーから形成される。ガラス材料は、それらの高い損傷の閾値、一般に広いスペクトルの全域にわたるそれらの低い減衰、それらの化学的安定性(多くの場合、生物学的適合性)および高い放射力を導く得られる能力のために、好ましい。コアは、例えば、純粋またはドープしたシリカから作ることができる。ドープ剤の例は、ゲルマニウムおよび希土類元素を含む。光ファイバーのクラッドは、コアより低い率を有する任意の材料のものである。好ましい材料は、石英、ガラスおよびポリマー材料である。ガラスクラッド材料の例は、純粋のシリカおよびドープしたシリカ例えばフッ素にドープしたシリカを含む。石英・ポリマーファイバーから作られた束では、これら束の受光角(NA)は、石英・石英光ガイドから作られた束よりもかなり大きい。非常にフッ素化されたポリマー例えばポリエチレンテレフタレートでは、NAは約0.66である。ポリマー材料から作られたコアおよびクラッドを有するファイバーも用意される。
【0025】
好ましい態様では、本発明の緊密コア接触部分(ICCS)を有する束を製造するための方法は、a)各ファイバーのクラッドを除き、b)クラッドのないファイバーのコアを処理して、例えば被覆されていないファイバーのコアを融合またはプレスすることによって、それらの間のすべての間隙空所を除き、c)ICCSとそれらの最初のクラッドおよび/またはコーティングとの間の部分の裸のファイバーを再コーティングし、そして随意にd)好ましいが必須ではなく、同じクラッド材料であるクラッド材料によりICCSを再被覆することからなる。
【0026】
本発明の製造方法は、放射コネクタおよび放射コンバイナの両者を製造するのに応用できる。本発明の他の好ましい製造方法に含まれる一般的な工程は、以下の通りである。
【0027】
a)各光ファイバーの長さに沿って選択された部分から厚いクラッドの完全(または一部)な除去。b)クラッドのない(またはクラッドの縮小した)ファイバー部分の束ね。c)束の少なくとも選択された部分の管(好ましくはガラスまたはポリマー材料から製造された)中への挿入。d)例えばクラッドのない(またはクラッドの縮小した)ファイバー部分の加熱および破壊そしてまた束の周りの管の破壊による、固体の緊密コア接触部分中へのクラッドのない(またはクラッドの縮小した)ファイバー部分の処理。
【0028】
固体の緊密コア接触部分中へのクラッドのない(またはクラッドの縮小した)ファイバー部分の処理は、コア(またはクラッドの縮小したファイバー)をともに溶融かつ融合するのに十分な熱を加えることにより、またはコアまたはファイバーが軟化しそしてそれらをともにプレスすることにより変形する点に単に加熱することにより、達成できる。それらをともにプレスするためのこのような追加の外部の力は、管に低圧(真空)を適用することによって達成できる。
【0029】
ファイバーコアが互いにそして外部の管と融合する熱は、もしファイバーが、低粘度の材料の1つ以上の外層および/または管の1つ以上の内層を有するならば、下げることができる。低粘度の材料は、低温度でファイバー間の間隙ギャップそして管との間隙ギャップを閉じる。ファイバーのための低粘度材料は、好ましくは、例えば同時にフッ素およびゲルマニウムにより外側のシリカ層を適切にドーピングすることにより例えば石英コアについて達成できるコア材料と同じ屈折率を有する。管403の内側のための低粘度材料は、ファイバーのコアと同じ屈折率を有するが、管内にさらに光を導かせるために、それが、より低い屈折率を有することもできる。
【0030】
1つの好ましい態様では、破壊された管をエッチングするかまたは砕き、次にエッチングで取り去り、コア材料の固体の融合またはプレスした緊密コア接触部分(ICCS)を残す。光ファイバー束のICCSは、固体のクラッドなしで残され、空気(または他の雰囲気)が束を通って放射を導く。他の態様では、外部のクラッド層は、管がエッチングで除いた後に、ICCSの外部に付与される。外部のICCSのクラッドは、ICCSを通って個々のファイバーから伝達される放射を制限しそして導くように働き、最大の量の放射がICCS内で導かれそして個々のファイバーへの伝達時の損失を減少させることを確実にする。外部のICCSクラッド材料は、好ましくは、個々のファイバーのクラッドと同じ材料である。例えば、クラッド材料は、純粋のシリカまたはフッ素にドープしたシリカである。さらなる態様では、破壊した管は、処理後除かれないが、束の緊密コア接触部分を覆う外部のクラッドとして維持される。
【0031】
他の好ましい態様では、一群の光ファイバーのための結合/混合ゾーンとして、またはコネクタまたは照明点として光ファイバー束の緊密コア接触部分を製造する方法が提供される。クラッドは、選択された長さに沿って各ファイバーから(少なくとも部分的に)エッチングで除かれ、それはファイバーの1つの末端においてか、またはファイバーの内部の選択された部分に沿っている。クラッドのない(またはクラッドの縮小した)ファイバーの部分は、次に束ねられ、そして束ねられたクラッドのない(またはクラッドの縮小した)ファイバー部分の直径にほぼ等しい内径を好ましくは有する管中に挿入される。直径の長さを近づけることは、管中の細い円錐により最も良く達成できる。管は、好ましくは、ガラスまたはポリマー材料のものである。
【0032】
1つの態様では、管は、束ねられたファイバーの少なくともクラッドのない部分を囲む気密の室を作るか、またはその一部である。室は、次に空気を抜かれ、そしてファイバーのクラッドのない部分を囲む管の長さに沿って加熱される。十分に加熱されると、管の部分およびクラッドのないファイバーの部分は、破壊されて各ファイバー間の空間を圧縮する。
【0033】
緊密コア接触部分(ICCS)の加熱および破壊中またはそれらの後であるが管が除かれる前に実施される随意の追加の工程は、もし必要ならば、任意の間隙空間中に融合したコア材料を注入することからなる。注入された材料は、コア材料により完全に満たされる均一なものを生成するために、ファイバーのコアと同じ材料のものでなければならない。さらに、放射が、束とICCSとの間の界面を通って有効に導かれることを確保するために、追加のクラッド材料は、管が除かれる前にICCSの末端に融合されそして適用されて、個々のファイバーがファイバー束407からICCS405へ移動する点で残った任意の空間を満たす。追加のクラッド材料は、また、高い機械的な安定性をもたらす。
【0034】
本発明の利点は、光ファイバー束のこれらの緊密コア接触部分(ICCS)が、比較的安価な石英・ポリマーファイバーから製造できる事実を含む(石英・石英ファイバーに比べたとき)。他の利点は、本発明の石英・ポリマーの緊密コア接触部分が、従来の束よりも高いNAを有することである。最後に、そして最も重要なことであるが、束中の間隙領域が極めて小さいかまたは存在しないので、これらの間隙領域による従来の束で生ずる損失は、劇的に減少するかまたは完全に除かれる。構造上の損失の低下のために、本発明のICCSから発する強度(面積あたりの力)は、他の束または装置からよりも大きくなる。間隙領域の吸収または間隙領域の材料における散乱としての損失の減少により、束全体は、高い力のレベルおよび高い温度に抵抗できる。ファイバー間のより良好な緊密な接触は、束の断面にわたって一層良好な熱伝導をもたらし、温度安定性をさらに改善する。
【0035】
本発明の有利な応用の1つは、種々の源(例えば、レーザーダイオード、LED、UVランプ)からの光を集め、そして融合した部分でクラッドを含むファイバーの従来の融合した束に比べて断面が小さい単一の出口中にそれを結合する能力である。大きい受光角と小さい間隙領域を有する本発明の束の緊密コア接触部分は、LED、ランプまたは太陽のような明るさの低い光源からの光を集めそして集束するのに特に有用である。
【0036】
本発明は、多数の光ファイバーからの放射を単一の導波物に混合または結合しそして放射を均一かつ均質(空間的およびスペクトル的)に発するかまたは分配するための手段として特に有利である。少なくとも1つの態様では、クラッドが完全に除かれるので、緊密コア接触部分(ICCS)に入る各ファイバーからの放射は、ICCS内で自由に混合し伝播する。これは、放射が均質に結合することを可能にする。これは、或る領域を照明するための源として光ファイバー束を利用する場合、または多数の導波物のなかに放射を均一に分配することが望まれる場合に特に有用である。
【0037】
ICCSにおける光の空間的な混合は、いくつかの(周知の)方法により増強される。これらの方法の1つは、非常に短い距離での混合を可能にする双円錐テーパーである。この方法の欠点は、光を導くために要求される開口の数がテーパー領域で増大することである。束の出入するアームの開口の数に応じて、開口のこのような数の増大は、テーパー部分の汚染を受けやすくさせるコア対空気の光の誘導を除いて、達成することができないだろう。第二の方法は、ICCSの非円形の形状(または一層普通に回対称(rotation−symmetry)のない形状)または以下に記述される形状を利用する。この方法は、ICCSの外部のクラッドと容易に結合できる。
【0038】
本明細書に記述されたのと同様な方法で、コア部分は、マルチモードコア内に埋め込まれたシングルモードコアを有する複合コアである。マルチモードコアは、本明細書で記載されたクラッドを有し、そしてそれは除かれて融合した束の末端を形成する。シングルモードは、マルチモードコア中に中心を合わせて埋め込まれるか、または中心を外れて埋め込まれる。その上、マルチモードコアは、非円形であることができ、そして非対称であることができる。また、マルチモードクラッドが除かれるとき、マルチモードの1つ以上の部分は、また、除かれて融合した末端でファイバー束の断面をさらに狭くする。
【0039】
本発明は、以下の実施例によりさらに説明されるが、それにより制限されるものではない。
【実施例1】
【0040】
(光の分配)
間隙領域の短いサイズのためそして緊密コア接触部分内のクラッド材料の不存在のために、顕著に少ない光が、間隙領域またはクラッドモードで失われる。本発明は、従って、低輝度の光源例えばLED(またはその配列)について特に有用である。本発明は、単一の光源または複数の光源から光を収集しそしてそれを多数の場所に分配するのに有用である。例えば、緊密コア接触部分(ICCS)は、いくつかの太陽電池に向かってサン・コンセントレーターから光を集めるのに使用できる。他の例では、1つ以上の緊密コア接触部分は、強力なレーザーからいくつかの標的領域(例えばレーザー誘導LITT、光力学治療(PDT)または他の光診断または治療のような医学的治療へのファイバーの応用)に放射を分配するのに使用できる。これは、通常のビームスプリッターに基づく装置に比べて非常に効果的である。
【0041】
さらに、もしこのような光分配束のファイバーがシリコーンまたは或る他の低屈折率のポリマーにより被覆されているならば、光は、また、残存するクラッドで導かれ、そのため、束の全体の能率を上げることになる。
【実施例2】
【0042】
本発明の緊密コア接触部分(ICCS)は、また、複数の光ガイドを単一のICCS中に終わらせることにより、多数の源から単一のICCSまたは光ガイド中に放射を集中させるのに有用である。単一の応用では、光源および光ガイドは、同じタイプのものである必要はない。例えば、光源は、異なるタイプのもの例えばレーザー、発光ダイオードまたはランプ特にUVランプであってもよく、そして光ガイドは異なる直径のものでもよい。
【0043】
1つの例では、サン・コレクターは、いくつかのLED源と結合されて、太陽の照射と無関係に照明を行い、十分な照明がたとえ曇りの条件中でも用意される。他の例では、レーザー源は、狙いを定めるためにまたは指し示すためにLED源と結合できる。
【0044】
緊密コア接触部分(ICCS)は、種々の形状を有することができる(凸状の形状に限らず、円、方形、六角形、不規則)。いくつかの高輝度のレーザー源(シングルエミッターまたはバー)からの光は、単一の光ガイド中へのカップリングのための円いICCSに伝達され、そしてレーザー作動メディア例えば棒または薄いディスク、またはディスプレイの(バック)照明のための種々の形状物、照明広告または種々の形状の医学用のディヒューザーとカップリングするための方形のICCSに伝達される。
【0045】
ICCSは、束の主軸に沿って種々の形状をとることができる。収集の能率は、束の他の端に向かって縮小している直径を有する束の入口面で円錐の形状を有することにより増加できる。この円錐状の形状は、適当と思われる形状を有するダイまたは引張りにより融合した束をさらに圧縮することにより形成できる。アセンブリの軸に沿う直径の変化は、直線状(508のように)または放物線状または或る他の形状である。これらの円錐は、また他のシステムへのカップリングを改善するために、出口面に適用できる。小さいスポットへの集中された光の伝達のために、ICCSは、その直径を小さくする。導かれた光のNAが次にクラッド材料の漏れを増大させるとき、この部分のNAを制限することが好ましい。小さいスポットからまたはそれへの能率的なカップリングは、顕微鏡の扱いから周知である屈折率にマッチした液体の小滴を追加することにより達成できる。
【0046】
本発明の緊密コア接触部分(ICCS)は、種々の放射収集および分配システム中に組み込むことができる。これらの緊密コア接触部分の2つは、組み合わされて多数の源から光を集めそしてそれを多数の目標に再分配できる。源の数(N)および目標の数(M)は、等しい必要はない。十分な長さのICCS中間物は、出口の光ガイドの力とスペクトル密度との均等化をもたらす。収集/分配のシステムは、その間に多数の分離光ガイドを有する両端の1つ以上の緊密コア接触部分を有することができる。
【実施例3】
【0047】
(放射収集/分配システム)
図6は、本発明の緊密コア接触部分を利用する放射の収集および分配のシステムの例を示す。入口の緊密コア接触部分601(「入口部分」)の樹枝状分岐が示され、所定の数の入口部分601は、多数の光ガイド603に分裂する。光ガイド603の数は、入口部分601内の光ガイドの数と同じである必要はない。光ガイド603は、単一の中間混合の緊密コア接触部分605(「中間部分」)で終わる。中間部分605は、それぞれの出口の光ガイド607が、等しい力およびスペクトル密度の放射を受容することを確保するのに十分な長さのものである。中間部分605は、多数の出口光ガイド607に分裂するかまたはそれらとカップリングする。出口光ガイド607は、互いにまたは入口光ガイド605と同じ直径または形状である必要はない。出口光ガイド607の所定のサブセットは、次に出口緊密コア接触部分609中に終わる。さらに、多数の入口光ガイド603は、1つより多い中間混合部分605中に延びる。このシステムは、いずれの方向でも利用でき、放射は部分609に導入され、そして部分601を経て分配される。
【0048】
図面を参照して本発明の好ましい態様を記述したが、本発明が精密な態様に制限されるものではなく、そして種々の変化および改変が、請求の範囲で規定された本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、当業者により本発明で実施できることは、理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】それぞれのコアの周りにクラッドを有する典型的な従来の光ファイバー束の断面図である。
【図2】本発明の光ファイバー束の断面図である。
【図3】本発明の束の他の態様の断面図である。
【図4】それに多数の光ファイバーを有する光ファイバー束の側面図である。
【図5】の束の末端面に付着した円錐状の部分を有する光ファイバー束の側面図である。
【図6】本発明による放射収集および分配システムを示す。
【符号の説明】
【0050】
100 従来の束
101 コア
103 クラッド
201 コア
203 クラッド
301 コア
303 クラッド
401 コア
402 クラッド
403 管
405 ICCS
406 402と407との界面
407 光ファイバー束
505 ICCS
508 末端要素
601 入口部分
603 光ガイド
605 中間部分
607 出口光ガイド
609 出口緊密コア接触部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の源から集められてきた光子エネルギー、またはそれとは別に光子エネルギーを1つ以上の源から複数のサイトに分配する光子エネルギーの増強した結合/伝達を提供する光ファイバー束であって、
それぞれコアおよびクラッドを有する複数の光ガイド、および
該コア間に緊密な接触が存在する該束の緊密コア接触部分からなり、
該緊密コア接触部分の該コア間に存在する間隙領域が最小になるように、該コアが、該緊密接触部分に沿って該コア上のクラッドなしで接触しているかまたは縮小した該コア上のクラッドと接触していることを特徴とする光ファイバー束。
【請求項2】
該光ガイドのそれぞれが光ファイバーである請求項1の光ファイバー束。
【請求項3】
該緊密コア接触部分が末端面で終わる請求項1の光ファイバー束。
【請求項4】
該クラッド材料の十分な厚さが、該緊密コア接触部分に沿って少なくとも部分的に縮小されて、「クロストーク」が生ずる領域をもたらす請求項1の光ファイバー束。
【請求項5】
ファイバー束の全体の伝達が、クラッド上へ低屈折率材料例えばフッ素にドープしたシリカ、シリコーンまたはポリエチレンテレフタレートを被覆して、潜在的なクラッドモードのクラッド対被覆の光誘導を可能にすることにより増強される請求項1の光ファイバー束。
【請求項6】
該クラッドが、該ファイバーの表面領域の一部から取り除かれ、そのため該クラッドが該緊密コア接触部分の外部を形成する該ファイバーの部分の上にのみ残り、該クラッドの該部分は、該緊密コア接触部分の周りに外部クラッドを形成する請求項1の光ファイバー束。
【請求項7】
該コアがガラス状材料であり、そして該コアが共に融合されている請求項1の光ファイバー束。
【請求項8】
該クラッド材料がポリマーであり、そして該ガラスが、該ポリマーより高い屈折率を有するシリカである請求項7の光ファイバー束。
【請求項9】
該緊密コア接触部分を囲む外部クラッド材料、および該緊密コア接触部分と各光ガイドのクラッド部分との間の各光ガイド上の部分をさらに含む請求項1の光ファイバー束。
【請求項10】
該コアのそれぞれが、マルチモードコアに埋め込まれたシングルモードコアからなる複合コアであり、そして該クラッドが、該複合コアを囲むマルチモードクラッドである請求項1の光ファイバー束。
【請求項11】
該緊密コア接触部分が円錐の形状を有する請求項2の光ファイバー束。
【請求項12】
該緊密コア接触部分の該円錐の形状が、直線状または放物線状で増大または減少する直径を有する請求項2の光ファイバー束。
【請求項13】
本質的に円錐状の該緊密コア接触部分に付着した末端部分をさらに含む請求項2の光ファイバー束。
【請求項14】
複数の源から集められた光子エネルギーまたは光子エネルギーを1つ以上の源から複数の源に分配する光子エネルギーの増強した結合/伝達をもたらすための1つ以上の束を有する光ファイバー伝達システムであって、
それぞれコアおよびクラッドを有する複数の光ガイド、および
該1つ以上の束の少なくとも1つの緊密コア接触部分からなり、該緊密コア接触部分内の該コア間に緊密な接触が存在し、そして該緊密コア接触部分の該コア間に存在する間隙領域が最小になるように、該コアが該緊密コア接触部分に沿って該コアの上のクラッドなしで接触しているかまたは縮小した該コアの上のクラッドと接触していることを特徴とする光ファイバー伝達システム。
【請求項15】
該光ガイドのそれぞれが光ファイバーである請求項14の光ファイバー伝達システム。
【請求項16】
該緊密コア接触部分が末端面で終わる請求項14の光ファイバー伝達システム。
【請求項17】
該クラッド材料の十分な厚さが、該緊密コア接触部分に沿って少なくとも部分的に縮小して、「クロストーク」が生ずる領域をもたらす請求項14の光ファイバー伝達システム。
【請求項18】
ファイバー束の全体の伝達が、クラッド上へ低屈折率材料例えばフッ素にドープしたシリカ、シリコーンまたはポリエチレンテレフタレートを被覆して、潜在的なクラッドモードのクラッド対被覆の光誘導を可能にすることにより増強される請求項14の光ファイバー伝達システム。
【請求項19】
該クラッドが、該ファイバーの表面領域の一部から取り除かれて、該緊密コア接触部分の外部を形成する部分の該ファイバー上にのみ残り、該クラッドの該部分は、該緊密コア接触部分の周りに外部クラッドを形成する請求項14の光ファイバー伝達システム。
【請求項20】
該コアがガラス状材料であり、そして該コアが共に融合されている請求項14の光ファイバー伝達システム。
【請求項21】
該クラッド材料がポリマーであり、そして該ガラスが、該ポリマーより高い屈折率を有するシリカである請求項14の光ファイバー伝達システム。
【請求項22】
該緊密コア接触部分を囲む外部クラッド材料、および該緊密コア接触部分と各光ガイドのクラッド部分との間の各光ガイド上の部分をさらに含む請求項14の光ファイバー伝達システム。
【請求項23】
該コアのそれぞれが、マルチモードコアに埋め込まれたシングルモードコアからなる複合コアであり、そして該クラッドが、該複合コアを囲むマルチモードクラッドである請求項1の光ファイバー伝達システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−529061(P2008−529061A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−552212(P2007−552212)
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/001570
【国際公開番号】WO2006/078638
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(502359666)セラムオプテック インダストリーズ インコーポレーテッド (20)
【Fターム(参考)】