説明

関節装具

【課題】関節の伸展と回旋のタイミングを細かく調整可能であって安価に製造可能な関節装具を提供する。
【解決手段】本実施形態に係る関節装具1は、内側支持部材10と外側支持部材20とを有し、関節部分に装着される関節装具1であって、内側支持部材10又は外側支持部材20の少なくとも一方は、第一軸12,22と第一ガイド溝14,24とが形成された第一アーム11,21と、第二軸16,26と第二ガイド溝19,29とが形成された第二アームと15,25、を備え、第一軸12,22と第二ガイド溝19,29とから構成される第一カム機構と、第二軸16,26と第一ガイド溝14,24とから構成される第二カム機構とにより、第一アームと第二アームとが回動時に全長が伸縮しながら相対的に回動可能に連結されると共に、回動時に全長が伸縮するように構成された伸縮支持部材である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体の四肢の機能を補助したり矯正したりするために用いる装具に関し、特に、関節を補助・矯正するための関節装具に関する。
【背景技術】
【0002】
変形性膝関節症や膝前十字靱帯損傷等、膝関節に障害を有する者のために、膝関節の機能を補助する多数の硬性関節装具が提供されており、例えば、下記特許文献1乃至5に開示されている。
【0003】
特に、特許文献1,2,5においては、脚の横方向から力を加えて、膝関節の伸展と回旋のタイミングを適切に矯正するための硬性膝装具が開示されており、さらに、特許文献1及び5においては、ギヤとラックを組合せて関節の伸展と回旋のタイミングを調整することで適切な補助・矯正を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−159267号公報
【特許文献2】特開2006−175143号公報
【特許文献3】特表2006−512178号公報
【特許文献4】特開2007−283116号公報
【特許文献5】特開2010−69059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ギヤとラックを用いた関節装具では、歯車を用いているために、伸展と回旋のタイミングを細かく調整することが困難であり、各人の膝関節の症状に最適な矯正を行うための膝関節装具を製造することが困難であった。また、歯車を用いた関節装具は、強度の問題から金属製の関節装具とする必要があり、製造にあたって溶接等の工程も必要となるため、製造コストが高くなってしまう。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、関節の伸展と回旋のタイミングを細かく調整可能であって安価に製造可能な関節装具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る関節装具は、内側支持部材と外側支持部材とを有し、第一の骨と第二の骨とを連結する関節部分に装着される関節装具において、前記内側支持部材又は前記外側支持部材の少なくとも一方は、前記第一の骨側に装着固定される第一アームであって、第一軸と第一ガイド溝とが形成された第一アームと、前記第二の骨側に装着固定される第二アームであって、第二軸と第二ガイド溝とが形成された第二アームと、を備え、前記第一軸と前記第二ガイド溝とから構成される第一カム機構と、前記第二軸と前記第一ガイド溝とから構成される第二カム機構とにより、前記第一アームと前記第二アームとが相対的に回動可能に連結されると共に、回動時に全長が伸縮するように構成された伸縮支持部材であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、関節の伸展と回旋のタイミングを細かく調整可能であって安価に製造可能な関節装具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、実施形態に係る右足用の膝関節装具の構成を示す斜正面図である。
【図2】図2は、実施形態に係る内側支持部材の内側第一アームの構成を示す図である。
【図3】図3は、実施形態に係る内側支持部材の内側第二アームの構成を示す図である。
【図4】図4は、実施形態に係る内側支持部材が伸展している状態の側面図である。
【図5】図5は、実施形態に係る内側支持部材が屈曲している状態の側面図である。
【図6】図6は、実施形態に係る外側支持部材の外側第一アームの構成を示す図である。
【図7】図7は、実施形態に係る外側支持部材の外側第二アームの構成を示す図である。
【図8】図8は、実施形態に係る外側支持部材が伸展している状態の側面図である。
【図9】図9は、実施形態に係る外側支持部材が屈曲している状態の側面図である。
【図10】図10は、実施形態に係る膝関節装具の屈曲状態を示す斜正面図である。
【図11】図11は、実施形態に係る膝関節装具を右膝関節部分に装着した状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る硬性関節装具について説明する。本実施形態では、膝関節に装着される関節装具を例に挙げて説明する。図1は、本実施形態に係る右足用の膝関節装具の構成を示す斜正面図である。
【0011】
図1に示すように、膝関節装具1は、内側支持部材10、外側支持部材20、内側支持部材10と外側支持部材20とを上部側で接続する第一接続部材30、内側支持部材10と外側支持部材20とを下部側で接続する第二接続部材31を備えている。
【0012】
また、内側支持部材10は、図中上側に位置する内側第一アーム11と、図中下側に位置する内側第二アーム15を備え、外側支持部材20は、図中上側に位置する外側第一アーム21と、図中下側に位置する外側第二アーム25とを備える。
【0013】
なお、図1の膝関節装具1は、右足用であり、図1の奥側に膝が向いた状態の右足に装着されることになり、装着状態では、外側支持部材20が右足の外側側面に、内側支持部材10が右足の内側側面に位置することになる。
【0014】
なお、本実施形態では、互いに連結される内側第一アーム11の下端及び内側第二アーム15の上端を連結端と称し、他方の内側第一アーム11の上端及び内側第二アーム15の下端を自由端と称する。
【0015】
続いて、図2乃至図5を参照しながら、内側支持部材10の構成について説明する。図2は、内側支持部材の内側第一アームの構成を示す図であり、図2(a)は、内側第一アームの側面図、図2(b)は、図2(a)のA−A線による断面図である。
【0016】
図3は、内側支持部材の内側第二アームの構成を示す図であり、図3(a)は、内側第二アームの側面図、図3(b)は、図3(a)のB−B線による断面図である。図4は、内側支持部材が伸展している状態の側面図であり、図5は、内側支持部材が屈曲している状態の側面図である。
【0017】
図2に示すように、内側支持部材10の内側第一アーム11には、後述する内側第二アーム15の第二ガイド溝19に嵌る第一軸12と、略円弧形状の第一ガイド溝14が形成されている。また、第一軸12の先端には、第一軸12が第二ガイド溝19から抜けるのを防止するためのナット等の締結部材13が設けられている。なお、図2(a)では、第一軸12を点線で示している。
【0018】
図3に示すように、内側支持部材10の内側第二アーム15には、上記内側第一アーム11の第一ガイド溝14に嵌る第二軸16と、直線形状の第二ガイド溝19が形成されている。また、第二軸16の先端には、第二軸16が第一ガイド溝14から抜けるのを防止するための締結部材17が設けられている。なお、図3(a)では、第二軸16を点線で示している。
【0019】
そして、図1等に示すように、内側第一アーム11と内側第二アーム15とを、それぞれ軸12,16が設けられた面同士を向かい合わせて、第一軸12が第二ガイド溝19に、第二軸16が第一ガイド溝14に嵌るように連結することで、内側支持部材10が構成される。
【0020】
続いて、内側支持部材10の動きについて、図4及び図5を参照しながら説明する。まず、内側第一アーム11の第一軸12は、第一ガイド溝14の上端部(自由端側端部)近傍に設置されている。したがって、内側第二アーム15の第二軸16が第一ガイド溝14の上端部(自由端側端部)に位置して、内側支持部材10が伸展している状態では、図4に示すように、第一軸12は、内側第二アーム15の第二ガイド溝19の上端部(連結端側端部)に位置することになり、内側第二アーム15は、第一軸12に対して最も突き出た状態となる。
【0021】
一方、上述した内側支持部材10が伸展している状態から、第一軸12及び第二軸16がガイド溝19,14内を案内されながら、内側第二アーム15が内側第一アーム11に対して図中時計回りに回転すると、図5に示すように、内側第二アーム15の第二軸16が第一ガイド溝14の下端部(連結端側端部)に位置して、内側支持部材10が屈曲した状態となる。この屈曲状態では、第一軸12は、内側第二アーム15の第二ガイド溝19の下端部(自由端側端部)に位置することになり、内側第二アーム15は、第一軸12に対して最も引っ込んだ状態となる。
【0022】
ここで、第一軸12及び第二軸16は、内側第一アーム11と内側第二アーム15が相対的に回転する時の回転軸として作用しているが、カムフォロワとしても機能している。すなわち、第一軸(カムフォロワ)12と第二ガイド(カム)溝19からなる第一カム機構と、第二軸(カムフォロワ)16と第一ガイド(カム)溝14からなる第二カム機構とのダブルカム機構により、内側第一アーム11と内側第二アーム15とが回動自在に連結されている。
【0023】
以上の通り、本実施形態では、内側第一アーム11と内側第二アーム15とが相対的に回動して内側支持部材10が伸展したり屈曲したりする際に、内側第二アーム15が突き出したり引っ込んだりするように機能する。具体的には、内側支持部材10においては、内側第一アーム11の自由端から連結部を介して内側第二アーム15の自由端までの全長が屈曲角に応じて伸縮しており、伸展時に最も全長が長くなり、屈曲時に最も全長が短くなるように構成されている。
【0024】
次に、図6乃至図9を参照しながら、外側支持部材20の構成について説明する。図6は、外側支持部材の外側第一アームの構成を示す図であり、図6(a)は、外側第一アームの側面図、図6(b)は、図6(a)のC−C線による断面図である。
【0025】
図7は、外側第二アームの構成を示す図であり、図7(a)は、外側第二アームの側面図、図7(b)は、図7(a)のD−D線による断面図である。図8は、外側支持部材が伸展している状態の側面図であり、図9は、外側支持部材が屈曲している状態の側面図である。
【0026】
図6に示すように、外側支持部材20の外側第一アーム21には、後述する外側第二アーム25の第二ガイド溝29に嵌る第一軸22と、略円弧形状の第一ガイド溝24が形成されている。また、第一軸22の先端には、第一軸22が第二ガイド溝29から抜けるのを防止するためのナット等の締結部材23が設けられている。なお、図6(a)では、第一軸22を点線で示している。
【0027】
図7に示すように、外側支持部材の20の外側第二アーム25には、上記外側第一アーム21の第一ガイド溝24に嵌る第二軸26と、直線形状の第二ガイド溝29が形成されている。また、第二軸26の先端には、第二軸26が第一ガイド溝24から抜けるのを防止するための締結部材27が設けられている。なお、図7(a)では、第二軸26を点線で示している。
【0028】
そして、図1等に示すように、外側第一アーム21と外側第二アーム25とを、それぞれ軸22,26が設けられた面同士を向かい合わせて、第一軸22が第二ガイド溝29に、第二軸26が第一ガイド溝24に嵌るように連結することで、外側支持部材20が構成される。
【0029】
続いて、外側支持部材20の動きについて、図8及び図9を参照しながら説明する。まず、外側第一アーム21の第一軸22は、第一ガイド溝24の下端部(連結端側端部)近傍に設置されており、上記内側第一アーム11の第一軸12の第一ガイド溝14に対する設置場所とは逆側に設置されている。
【0030】
したがって、外側第二アーム25の第二軸26が第一ガイド溝24の上端部(自由端側端部)に位置して、外側支持部材20が伸展している状態では、図8に示すように、第二軸22は、外側第二アーム25の第二ガイド溝29の下端部(自由端側端部)に位置することになり、外側第二アーム25は、第一軸22に対して最も引っ込んだ状態となる。
【0031】
一方、上述した外側支持部材20が伸展している状態から、第一軸22及び第二軸26がガイド溝29,24内を案内されながら、外側第二アーム25が外側第一アーム21に対して図中時計回りに回転すると、図9に示すように、外側第二アーム25の第二軸26が第一ガイド溝24の下端部(連結端側端部)に位置して、外側支持部材20が屈曲した状態となる。この屈曲状態では、第一軸22は、外側第二アーム25の第二ガイド溝29の上端部(連結端側端部)に位置することになり、外側第二アーム25は、第一軸22に対して最も突き出した状態となる。
【0032】
ここで、第一軸22及び第二軸26は、外側第一アーム21と外側第二アーム25が相対的に回転する時の回転軸として作用しているが、カムフォロワとしても機能している。すなわち、第一軸(カムフォロワ)22と第二ガイド(カム)溝29からなる第一カム機構と、第二軸(カムフォロワ)26と第一ガイド(カム)溝24からなる第二カム機構とのダブルカム機構により、外側第一アーム21と外側第二アーム25とが回動自在に連結されている。
【0033】
以上の通り、本実施形態では、外側第一アーム21と外側第二アーム25とが相対的に回動して外側支持部材20が伸展したり屈曲したりする際に、外側第二アーム25が突き出したり引っ込んだりするように機能する。具体的には、外側支持部材20においては、外側第一アーム21の自由端から連結部を介して外側第二アーム25の自由端までの全長が屈曲角に応じて伸縮しており、伸展時に最も全長が短くなり、屈曲時に最も全長が長くなるように構成されている。
【0034】
以上、内側支持部材10及び外側支持部材20の構成及び作用について説明したが、本実施形態においては、内側支持部材10と外側支持部材20とで、第一アーム11,21の第一軸12,22の位置が大きく異なり、内側支持部材10の第一軸12が、第一ガイド溝14の自由端側端部の近傍に位置しているのに対して、外側支持部材20の第一軸22は、第一ガイド溝24の連結端側端部近傍に位置している。
【0035】
このため、内側支持部材10は、図4に示した伸展時に全長が最も長くなり、図5に示した屈曲時に全長が最も短くなるように伸縮するのに対して、外側支持部材20は、逆に、図8に示した伸展時に最も全長が短くなり、図9に示した屈曲時に全長が最も長くなる。
【0036】
ここで、図1及び図10を参照しながら、膝関節装具1の内側と外側での伸縮の違いについて説明する。図10は、本実施形態に係る膝関節装具の屈曲状態を示す斜正面図である。一方、上述した図1は、膝関節装具1の伸展状態を示している。
【0037】
図10に示す膝関節装具1の屈曲状態では、内側支持部材10は縮んでおり、外側支持部材20は伸びた状態となっている。両支持部材10,20が、この屈曲状態から徐々に伸展し始めると、内側支持部材10は徐々に長く伸び始め、外側支持部材20は、徐々に短く縮み始める。そして、図1に示す膝関節装具1の伸展状態では、内側支持部材10は最も伸びた状態、外側支持部材20は最も縮んだ状態となっている。
【0038】
続いて、膝関節装具1の使用時の作用について、図11を参照しながら説明する。図11は、本実施形態に係る膝関節装具を右膝関節部分に装着した状態を示す正面図であり、膝を伸ばした状態を示している。
【0039】
大腿骨と脛骨とを連結する右膝関節部分に膝関節装具1を装着する際には、第一接続部材30を大腿部(大腿骨)に装着固定すると共に、第二接続部材31を下腿部(脛骨)に装着固定する。これにより、第一アーム11,21の自由端側を大腿骨に対して固定できると共に、第二アーム15,25の自由端側を脛骨に対して固定することができる。
【0040】
膝関節装具1を装着した状態で、右膝関節を屈曲状態から伸展状態となるように右足を伸ばすと、膝関節装具1においては、伸展しながら内側支持部材10が伸びて外側支持部材20が縮む。したがって、膝関節装具1の装着者が膝を伸ばす際には、右足の膝下が外側(外側支持部材20側)に傾けられるように牽引される。
【0041】
このような機能を発揮する膝関節装具1は、変形性膝関節症の障害を有する者に対して有用である。変形性膝関節症では、直立した時に大腿骨が外旋し、脛骨が相対的に内旋したポジションとなり、痛み等が発生してしまうが、この膝関節装具1を装着することで、膝の回旋がサポートされると共に、膝関節の伸展時に膝下が外側に牽引され、上記症状が矯正されることで、痛みの緩和にもつながる。
【0042】
このとき、略円弧形状の第一ガイド溝14,24の湾曲形状を変えることで、膝関節装具1の屈曲角度に対する内外支持部材10,20のそれぞれの伸縮量を調整することが可能であり、各人の症状に応じて伸展と回旋のタイミングを矯正することができる。
【0043】
なお、上記実施形態においては、右足用の膝関節装具1について説明したが、左足用の膝関節装具についても同様の構成となる。但し、左足用の場合には、牽引方向を逆にする必要があるため、内側支持部材と外側支持部材は、右足用の物と互いに構成を入れ替えた物となる。
【0044】
以上、本実施形態に係る膝関節装具について詳細に説明したが、本実施形態によれば、内側支持部材10と外側支持部材20とからなる膝関節装具1において、伸展・屈曲時に内外の支持部材10,20に所定の伸縮を発生させることができ、膝関節に対して最適な補助及び矯正を行うことが可能である。
【0045】
もちろん、伸展・屈曲時の支持部材10,20の伸縮量や、各支持部材10,20の伸展時に伸びるか縮むかの設定を適宜変更することで、前十字靱帯損傷等の他の様々な膝疾患に対応することが可能である。
【0046】
また、ダブルカム機構により第一アーム11,21と第二アーム15,25とを相対的に回動可能に連結する本実施形態によれば、ギヤやラック等を用いる金属製の関節装具と比べて、プラスチック、複合材料、木等の比較的軟らかい材料を用いることも可能である。よって、溶接等を不要として製造工程を簡略化することも可能となるので、製造コストを下げることができる。
【0047】
また、第一ガイド溝14,24の湾曲形状を適宜所望の形状に形成することで、膝関節装具1の屈曲角度に対する内外支持部材10,20のそれぞれの伸縮量をオーダーメイドで調整することができ、各人に最適な膝関節装具1を提供することができる。
【0048】
以上、本実施形態について詳細に説明したが、本発明の実施の形態は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、ガイド溝を貫通させた開口としているが、有底のガイド溝としても良い。
【0049】
また、上記実施形態では、第一ガイド溝を直線形状、第二ガイド溝を湾曲形状(略円弧形状)としているが、双方のガイド溝を湾曲形状としても良い。双方を湾曲形状とすることで、支持部材の屈曲角度と伸縮量との関係をより自由に設定することが可能となる。但し、一方のガイド溝が直線形状であれば、設計を容易に行うことができる。
【0050】
また、上記実施形態では、第一アーム及び第二アームを平板とし、ガイド溝を二次元の溝としたが、第一アーム及び第二アームを曲面板にする等して、ガイド溝を三次元構造の溝とすることで、より動きの自由度の高い関節装具とすることができる。
【0051】
また、上記実施形態では、第一アームと第二アームを貼り合わせるような構成としたが、第一ガイド溝と同じ形状のガイド溝が形成された補助板と第一アームとにより第二アームを挟むような構成としても良い。このように挟み込む構成とすることで、動きの安定した丈夫な膝関節装具を提供することができる。
【0052】
また、上記実施形態では、内側支持部材及び外側支持部材の双方を伸展・屈曲時に伸縮する支持部材としたが、内側又は外側の一方のだけの支持部材を伸縮支持部材とし、他方は非伸縮の支持部材としても良い。
【0053】
また、上記実施形態では、膝関節部分に装着するための関節装具を例に挙げて説明したが、第一の骨と第二の骨とを連結する肘、手首、足首等の他の関節用の関節装具としても使用できるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0054】
1 膝関節装具
10 内側支持部材
11 内側第一アーム
12 第一軸
14 第一ガイド溝
15 内側第二アーム
16 第二軸
19 第二ガイド溝
20 外側支持部材
21 外側第一アーム
22 第一軸
24 第一ガイド溝
25 外側第二アーム
26 第二軸
29 第二ガイド溝
30 第一接続部材
31 第二接続部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側支持部材と外側支持部材とを有し、第一の骨と第二の骨とを連結する関節部分に装着される関節装具において、
前記内側支持部材又は前記外側支持部材の少なくとも一方は、
前記第一の骨側に装着固定される第一アームであって、第一軸と第一ガイド溝とが形成された第一アームと、前記第二の骨側に装着固定される第二アームであって、第二軸と第二ガイド溝とが形成された第二アームと、を備え、
前記第一軸と前記第二ガイド溝とから構成される第一カム機構と、前記第二軸と前記第一ガイド溝とから構成される第二カム機構とにより、前記第一アームと前記第二アームとが相対的に回動可能に連結されると共に、回動時に全長が伸縮するように構成された伸縮支持部材であることを特徴とする関節装具。
【請求項2】
前記伸縮支持部材は、前記第一ガイド溝及び前記第二ガイド溝の一方が直線形状であり、他方が湾曲形状であることを特徴とする請求項1記載の関節装具。
【請求項3】
前記内側支持部材は、屈曲時に全長が短くなり、伸展時に全長が長くなる伸縮支持部材であり、前記外側支持部材は、屈曲時に全長が長くなり、伸展時に全長が短くなり伸縮支持部材であることを特徴とする請求項1又は2記載の関節装具。
【請求項4】
前記伸縮支持部材は、前記直線形状のガイド溝が形成された一方のアームにおいて、前記内側支持部材と前記外側支持部材とで前記ガイド溝の形状及び前記軸の位置が同じであると共に、前記湾曲形状のガイド溝が形成された他方のアームにおいて、前記内側支持部材と前記外側支持部材とで前記ガイド溝の形状及び前記軸の位置が異なるように構成されていることを特徴とする請求項3記載の関節装具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−85756(P2012−85756A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234057(P2010−234057)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(504147254)国立大学法人愛媛大学 (214)
【Fターム(参考)】