説明

防カビ用エアゾール装置

【課題】防カビ微生物を長期間に亘って有効な状態で保存できるようにし、しかも、防カビ微生物を、防カビ対象物の全体にできるだけムラ無く、かつ、手軽に付着させて高い防カビ効果を容易に得ることができ、さらに、防カビ処理時における人体への安全性も確保する。
【解決手段】防カビ用エアゾール装置1は、所定条件下で芽胞を形づくり、防カビ対象物の表面で増殖して他の菌の増殖を抑制する防カビ微生物と、防カビ微生物が混合される液体と、防カビ微生物及び液体を収容するエアゾール容器2と、エアゾール容器2内に充填された化学反応性の低い不活性な圧縮ガスとを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、浴室等に防カビ処理を施す場合に使用される防カビ用エアゾール装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、浴室等では、カビの発生を防止する防カビ剤をトリガータイプの噴霧器に入れて散布することが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の防カビ剤は、防カビ成分に、撥水性被膜形成成分を混入してなるものであり、散布後に撥水性被膜が形成されることで、防カビ効果が長期間に亘って持続されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−188468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、浴室においては、壁面だけでなく、天井にもカビが発生することがある。従って、特許文献1のようなトリガータイプの噴霧器を浴室で使用する場合には、使用者は、トリガーを何度も操作して壁面から天井まで広範囲に防カビ剤を散布しなければならず、作業が煩雑である。また、特に天井は高い所にあるので、防カビ剤の散布が困難であったり、散布ムラが発生し、使用者が望むような防カビ効果が得られにくいことが考えられる。
【0005】
一方、自然界には様々な微生物が存在しており、その中で、特にバチルス属の菌については次のような性質が知られている。すなわち、バチルス属の菌は、ある物に付着すると、その物の表面で増殖を始める。バチルス属の菌が増殖する過程では、他の菌の栄養源となるものを取り込んで無くし、また、増殖したバチルス属の菌は、その物の表面を覆うように存在し、他の菌がその物へ付着するのを抑制する。これらのことにより、他の菌の増殖が抑制されることになる。
【0006】
そこで、バチルス属の菌が持つ上記性質に着目し、これを防カビ対象物の表面で増殖させることによってカビの発生を抑制することが考えられる。ところが、バチルス属の菌は生物であり、死滅してしまうと効果を発揮できないので、使用時まで、いかにして有効な状態で保つかが課題となる。特に、一般市場で流通させる場合には、使用可能期限は長い方が好ましく、バチルス属の菌を有効な状態で保てる期間は長くしたいという要求が強い。
【0007】
また、防カビ処理は例えば締め切った場所で行われることが多く、処理時における人体への安全性も確保しなければならない。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、バチルス属の菌のように防カビ作用を発揮する防カビ微生物は、ある条件下では芽胞と呼ばれる耐久性のある細胞構造を形づくる点に着目し、この芽胞を形づくる性質を利用して、防カビ効果を得ることができる防カビ微生物を長期間に亘って有効な状態で保存できるようにし、しかも、防カビ微生物を、防カビ対象物の全体にできるだけムラ無く、かつ、手軽に付着させて高い防カビ効果を容易に得ることができ、さらに、防カビ処理時における人体への安全性も確保することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明では、防カビ微生物を所定の圧縮ガスと共にエアゾール容器内に収容しておき、その防カビ微生物を圧縮ガスを利用してエアゾール容器から噴射させるようにした。
【0010】
第1の発明は、
所定条件下で芽胞を形づくり、防カビ対象物の表面で増殖して他の菌の増殖を抑制する防カビ微生物と、
上記防カビ微生物が混合される液体と、
上記防カビ微生物及び液体を収容するエアゾール容器と、
上記エアゾール容器内に大気圧以上で充填された化学反応性の低い不活性な圧縮ガスとを含み、
上記圧縮ガスにより上記防カビ微生物を噴射するように構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
この構成によれば、防カビ微生物がエアゾール容器内に収容されていることで、防カビ微生物にとっては通常の生育環境とは異なる環境下におかれることになり、防カビ微生物は芽胞を形づくる。このとき、エアゾール容器には、防カビ微生物を噴射させるための圧縮ガスとして、化学反応性の低い不活性なガスが充填されている。不活性なガスは防カビ微生物には悪影響を与えることはなく、防カビ微生物の死滅は殆ど起こらない。よって、使用時まで長期間に亘って防カビ微生物を有効な状態で保つことが可能になる。
【0012】
そして、使用時には、防カビ微生物が圧縮ガスによってエアゾール容器から噴射される。従って、従来例のようなトリガータイプの噴霧器を用いる場合に比べて、防カビ微生物を防カビ対象物の表面の略全体にムラの少ない状態で手軽に付着させることが可能になる。防カビ対象物に付着した防カビ微生物は、通常の生育環境下におかれることになるので、発芽して増殖する。これにより、防カビ対象物にカビが発生するのを抑制することが可能になる。
【0013】
また、防カビ微生物を噴射させるガスは化学反応性の低い不活性なガスであるため、引火性が低く、爆発の可能性もなく、しかも、人体への悪影響もない。
【0014】
尚、防カビ微生物が防カビ対象物の表面で増殖することで、カビ以外にも、例えばぬめりの原因となるような菌の繁殖も抑制することが可能である。
【0015】
第2の発明は、第1の発明において、
圧縮ガスは、エアゾール容器の内圧が0.7Mpa以上となるように該容器に充填されていることを特徴とするものである。
【0016】
この構成によれば、エアゾール容器の内圧を0.7Mpa以上としたことで、それ未満の場合に比べて防カビ微生物を勢いよく噴射させて、例えば天井等の防カビ対象物にムラの少ない状態で付着させることが可能になる。
【0017】
第3の発明は、第1または2の発明において、
液体は、防カビ微生物をエアゾール容器内で分散させるための分散液であることを特徴とするものである。
【0018】
この構成によれば、使用前にエアゾール容器を振ったりすることなく、防カビ微生物をエアゾール容器内に分散させておくことが可能になる。よって、防カビ微生物を噴射開始時から終了時まで狙い通りに確実に噴射させることが可能になる。
【0019】
第4の発明は、第3の発明において、
分散液は、水と、水中で分散した状態を維持する膨潤性粘土鉱物とを含んでおり、両者が混合していることを特徴とするものである。
【0020】
この構成によれば、膨潤性粘土鉱物が水を含んで膨潤し、水中で分散した状態を維持し、このとき、チキソトロピー性を持っているので、粘度が高まる。そして、防カビ微生物は、粘土鉱物を構成する粒子間、あるいは粒子上に存在することになるので、防カビ微生物の沈降が粘土鉱物によって抑制され、エアゾール容器の内部に分散させておくことが可能になる。
【0021】
一方、膨潤性粘土鉱物がチキソトロピー性を持っていることで、噴射を始めて分散液に剪断応力が発生すると、粘度が低下し、流動性が良好になる。これにより、膨潤性粘土鉱物が防カビ微生物の噴射の障害になることはない。
【0022】
また、防カビ微生物は粘土鉱物と共にエアゾール容器から噴射されることになる。よって、防カビ微生物は防カビ対象物に粘土鉱物と一緒に付着する。防カビ微生物が粘土鉱物と一緒に付着することで、例えば防カビ対象物に水がかかった場合に、その水と一緒に防カビ微生物が流されてしまうのが粘土鉱物によって抑制され、防カビ微生物の残存性が向上する。
【0023】
第5の発明は、第1から4のいずれか1つの発明において、
エアゾール容器は、防カビ微生物の略全部を1回の操作で噴射するように構成された全量噴射型であることを特徴とするものである。
【0024】
この構成によれば、防カビ処理時において、使用者は、1回の操作を行うだけで防カビ微生物の略全部をエアゾール容器から噴射させることが可能になるので、処理がより一層容易に行える。
【0025】
第6の発明において、
分散液は、膨潤性粘土鉱物として、スメクタイト及び雲母粘土鉱物の少なくとも一方を含んでいることを特徴とするものである。
【0026】
この構成によれば、膨潤性粘土鉱物の中で、スメクタイト及び雲母粘土鉱物は特に膨潤性が高く、かつ、チキソトロピー性が強いので、防カビ微生物をエアゾール容器内で分散させた状態で維持することが長期間に亘って可能になるとともに、噴射する際には粘土鉱物が十分な流動性を示して防カビ微生物の噴射の障害となることはない。
【0027】
第7の発明では、第1から6のいずれか1つの発明において、
エアゾール容器には、低級アルコールが収容されており、
低級アルコールの量は、上記エアゾール容器に収容されている圧縮ガス以外の内容物の合計体積のうち、20%以下の体積を占めるように設定されていることを特徴とするものである。
【0028】
この構成によれば、エアゾール容器内の雑菌が低級アルコールの作用によって殺菌されるので、使用時に異臭の発生が無くなる。そして、この低級アルコールの量を上記のように設定することで、防カビ微生物には悪影響を与えることは殆どなく、防カビ微生物については有効な状態で保つことが可能になる。
【発明の効果】
【0029】
第1の発明によれば、エアゾール容器に防カビ微生物を収容するとともに、化学反応性の低い不活性な圧縮ガスを充填したので、防カビ微生物に芽胞を形づくらせて長期間に亘って有効な状態で保存でき、しかも、防カビ微生物を、防カビ対象物の全体にムラの少ない状態で、かつ、手軽に付着させて高い防カビ効果を容易に得ることができ、さらに、防カビ処理時における人体への安全性も確保できる。
【0030】
第2の発明によれば、エアゾール容器の内圧を0.7Mpa以上としたので、防カビ微生物を防カビ対象物にムラの少ない状態で付着させて防カビ効果を更に高めることができる。
【0031】
第3の発明によれば、防カビ微生物をエアゾール容器内で分散させておくことができるので、防カビ微生物を狙い通りに確実に噴射させることができ、防カビ微生物を防カビ対象物にムラの少ない状態で付着させることができる。
【0032】
第4の発明によれば、分散液が、水と、水中で分散した状態を維持する膨潤性粘土鉱物とを含んでいるので、防カビ微生物の沈降を長期間に亘って抑制できる。また、防カビ微生物は粘土鉱物と一緒に防カビ対象物に付着することになるので、防カビ微生物の残存性を高めることができ、防カビ効果を長期間に亘って継続して得ることができる。
【0033】
第5の発明によれば、エアゾール容器を全量噴射型としたので、防カビ処理をより一層容易に行うことができる。
【0034】
第6の発明によれば、膨潤性粘土鉱物の中で、特に膨潤性が高く、かつ、チキソトロピー性が強い粘土鉱物を用いたので、防カビ微生物を分散させた状態で維持しながら、分散液が噴射の際の障害となるのを回避でき、防カビ処理をより確実に行うことができる。
【0035】
第7の発明によれば、エアゾール容器に低級アルコールを収容し、この低級アルコールの量を20%以下の体積を占めるように設定したので、防カビ微生物に悪影響を与えることなく、他の雑菌を低級アルコールで殺菌できる。これにより、使用時に異臭の発生が抑制されて使用感の良好な防カビ用エアゾール装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態にかかる防カビ用エアゾール装置の斜視図である。
【図2】エアゾール容器に窒素を充填した場合とジメチルエーテルを充填した場合とでエアゾール容器内の菌数の変化を示すグラフである。
【図3】エアゾール容器の内圧と付着菌数との関係を示すグラフである。
【図4】試験室の概略を示す図である。
【図5】エタノールの量を変えた場合のエアゾール容器内の菌数の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0038】
図1は、本発明の実施形態にかかる防カビ用エアゾール装置1の斜視図である。防カビ用エアゾール装置1は、防カビ微生物と、防カビ微生物が混合されて防カビ微生物を分散させて存在させるための分散液(液体)と、防カビ微生物及び分散液が収容されるエアゾール容器2と、エアゾール容器2に充填された圧縮ガスとを有している。
【0039】
上記防カビ用エアゾール装置1は、例えば、浴室や洗面室等で使用することができるものであり、防カビ微生物を圧縮ガスの圧力によってエアゾール容器2から噴射させて防カビ対象物に付着させるように構成されている。防カビ対象物としては、例えば、浴室の場合は、壁、天井、床等である。
【0040】
まず、エアゾール容器2の構造について説明する。エアゾール容器2は、例えば、内面が樹脂等でコーティングされた耐水性を有する耐圧缶3と、耐圧缶3が有する吐出管(図示せず)を覆うように該耐圧缶3に取り付けられたキャップ4とを備えている。耐圧缶3の上端部に上記吐出管が設けられており、従って、キャップ4は耐圧缶3の上部に位置している。耐圧缶3の内容量は、例えば、300ml〜400ml程度とされている。
【0041】
キャップ4は、吐出管を操作するためのボタン5と、吐出管に連通するノズル6とを備えている。ボタン5は、使用者が押すと、吐出管を開方向に操作するように構成されている。また、キャップ4には、押されたボタン5をそのままの状態で保持することができるボタン保持機構が設けられている。つまり、エアゾール容器2は、使用者がボタン5を1回押し操作すると、その後、手を離してもエアゾール容器2内の内容物が圧縮ガスの無くなるまで略全量噴射され続けるように構成された、いわゆる全量噴射型のものである。
【0042】
尚、ボタン保持機構については、従来周知のものを用いることができ、例えば、特開2005-298051号公報に開示されている機構を用いることが可能である。
【0043】
防カビ微生物は、バチルス属の菌である。具体的には、バチルス・ズブチリス菌(Bacillus subtilis)である。納豆菌などが含まれるバチルス・ズブチリス菌は、人体には無害である。また、バチルス・ズブチリス菌は、通常の生育環境とは異なる環境下(所定条件下)では芽胞を形づくる性質を持っている。また、バチルス・ズブチリス菌は、防カビ対象物の表面に付着すると増殖し、他の菌の付着を抑制したり、増殖の過程で他の菌の栄養源となるものを取り込んで無くす性質を持っている。尚、バチルス・ズブチリス菌以外にも所定条件下で芽胞を形づくる菌を防カビ微生物として用いることができ、例えば、バチルス・シンプレクス菌(Bacillus simplex)を用いることができる。
【0044】
分散液は、水と、水中で分散した状態を維持する膨潤性粘土鉱物と、低級アルコールとしてのエタノールとを含んでおり、これらは混合されている。水は、例えばイオン交換水である。
【0045】
水と、水中で分散した状態を維持する膨潤性粘土鉱物とを混合させると、膨潤性粘土鉱物は膨潤して水中で全体に広がった状態となる。そして、膨潤性粘土鉱物がチキソトロピー性を持っていることにより、分散液の粘度が高まる。バチルス・ズブチリス菌は、膨潤性粘土鉱物と一緒に水中で攪拌されると、膨潤性粘土鉱物の粒子間に存在したり、粒子の上に乗った状態で存在する。これにより、バチルス・ズブチリス菌の沈降が抑制され、バチルス・ズブチリス菌をエアゾール容器2の内部に分散させておくことが可能になる。よって、水中で分散した状態を維持する膨潤性粘土鉱物は、バチルス・ズブチリス菌を分散させる分散剤として適している。
【0046】
以下に、水中で分散した状態を維持する膨潤性粘土鉱物がバチルス・ズブチリス菌を分散させる分散剤として適している理由について、実験結果に基づいて説明する。実験結果を表1に示す。
【0047】
【表1】

【0048】
この実験は、各種分散剤を用いて、バチルス・ズブチリス菌の沈降の有無、及び分散剤溶液(分散液)の流動性の有無を確認した実験である。
【0049】
実験方法について説明する。まず、各分散剤を水に溶かした溶液を用意する。分散剤の量は、各分散剤に適した量としている。各溶液中には、バチルス・ズブチリス菌の粉末製剤を0.4重量%加え、十分に攪拌した。そして、所定の容器に収容した後、室温にて約1週間静置し、目視によってバチルス・ズブチリス菌の沈降の有無を確認するとともに、流動性を確認した。
【0050】
その結果、バチルス・ズブチリス菌の沈降が見られたのは、ポリマー分散剤としてポリビニルピロリドン(商品名:ピッツコール)、アニオン系界面活性剤(商品名:シャロール)及びノニオン系界面活性剤(商品名:ノイゲン)の3つである。これら3つについては、各々について、分散剤の量を、1.0重量%、3.0重量%、5.0重量%にして実験してみたが、いずれも、バチルス・ズブチリス菌の沈降が見られた。つまり、これら3つの分散剤は、量を調整したとしても、バチルス・ズブチリス菌の分散剤としては好ましくない。
【0051】
バチルス・ズブチリス菌が沈降すると、凝集して固まった状態となり、エアゾール容器2から噴射できなくなるという問題が生じる。
【0052】
表1中のポリマー分散剤としてアクリル酸(商品名:カーボポール)を用いた場合には、沈降は見られなかった。しかし、流動性が悪く、防カビ用エアゾール装置1に用いるには好ましくない。すなわち、防カビ用エアゾール装置1においては、分散剤もエアゾール容器2から噴射することになるのであるが、カーボポールの場合には、エアゾール容器2から噴射できないくらいに流動性が悪い。カーボポールの量を、0.1重量%、0.5重量%、1.0重量%にして実験をしてみたが、いずれも、噴射できないくらいに流動性が悪かった。
【0053】
表1中の膨潤性粘土鉱物のうち、カオリン(商品名:カオリン)は、親水性を有するのであるが、水中で分離する性状を持っている。従って、バチルス・ズブチリス菌の沈降が見られた。カオリンの量を、1.0重量%、5.0重量%、10.0重量%にして実験をしてみたが、いずれも、バチルス・ズブチリス菌の沈降が見られた。
【0054】
膨潤性粘土鉱物のうち、親水性を有し、かつ、水中で分散した状態を維持する粘土鉱物である、ベントナイト(商品名:クニピア、ベンゲル)、サポナイト(商品名:スメクトン)、ヘクトライト(商品名:ラポナイトB)、合成スメクタイト(ルーセンタイト)及び雲母粘土鉱物(商品名:ソマシフ)を用いた場合には、バチルス・ズブチリス菌の沈降は見られなかった。また、これら膨潤性粘土鉱物は、強い膨潤性を持っているとともに、チキソトロピー性を持っている。チキソトロピー性を持っていることで、噴射を始めて膨潤性粘土鉱物に剪断応力が発生すると粘度が低下し、カーボポールよりも流動性が良くなり、エアゾール容器2からの噴射が容易であった。尚、ベントナイト、サポナイト及びヘクトライトは、スメクタイトの一種である。
【0055】
以上の実験結果より、バチルス・ズブチリス菌の分散剤としては、スメクタイトまたは雲母粘土鉱物が適していることが分かった。スメクタイト及び雲母粘土鉱物のいずれを分散剤として用いてもよく、また、スメクタイト及び雲母粘土鉱物の混合物を分散剤として用いてもよい。また、ベントナイト、サポナイト及びヘクトライトのうち、任意の2種類以上を混合して分散剤として用いてもよい。
【0056】
また、次の表2に示すように、水中で分散した状態を維持する膨潤性粘土鉱物を分散剤として用いると、噴射後に防カビ対象物に付着したバチルス・ズブチリス菌を残存させやすくなる。
【0057】
【表2】

【0058】
この表は、膨潤性粘土鉱物の有無、及びその濃度によってバチルス・ズブチリス菌の残存性がどのように変化するかを実験した結果を示すものである。
【0059】
実験方法は次のとおりである。まず、下表に示す3種類の試験液1〜3を作る。
【0060】
【表3】

【0061】
試験液1は、イオン交換水と、エタノールと、バチルス・ズブチリス菌の粉末製剤とを混合した液である。イオン交換水の量は36mlである。エタノールは、99%合成エタノールであり、量は4mlである。バチルス・ズブチリス菌の粉末製剤は、0.16gである。
【0062】
試験液2は、試験液1に、膨潤性粘土鉱物としてのラポナイトB(商品名)を加えた液である。イオン交換水と、エタノールと、バチルス・ズブチリス菌の粉末製剤の量は、試験液1と同じである。ラポナイトBの量は、0.2gであり、0.5重量%に相当する量である。
【0063】
試験液3は、試験液2のラポナイトBの量を増加した液である。ラポナイトBの量は、0.8gであり、2.0重量%に相当する量である。
【0064】
上記試験液1〜3を、それぞれ、25mm角のタイル及び同寸法のABS製プレートの表面全体に250μl塗布し、これを試験片とした。各試験片のバチルス・ズブチリス菌の数を測定して塗布菌数を得ておく。タイル及びABS製プレートが防カビ対象物であると仮定している。
【0065】
試験片は作製後に一晩静置する。そして、各々の試験片を100mlの生理食塩水に30分間浸けて振り、その後、生理食塩水の中に存在するバチルス・ズブチリス菌の数を測定して試験片から落ちた菌数を得ておく。
【0066】
表2中の残存率は、下記の式に基づいて算出した値を百分率で示した。
【0067】
(塗布菌数−落ちた菌数)/塗布菌数
表2に示すように、膨潤性粘土鉱物を含まない場合には、含む場合に比べてバチルス・ズブチリス菌が試験片から落ちやすく、残存率が低い(残存性が悪い)。また、膨潤性粘土鉱物の濃度が高いと残存率が高まる。これは、膨潤性粘土鉱物がある種の接着剤的な働きをしてバチルス・ズブチリス菌が試験片から落ちるのを抑制しているためと考えられる。特に、ABS製プレートの場合に、膨潤性粘土鉱物による効果が顕著に現れる。
【0068】
次に、圧縮ガスについて説明する。圧縮ガスは、窒素を用いている。その理由を図2に示す実験結果に基づいて説明する。図2は、上記試験液2に相当する液体をエアゾール容器2に収容し、さらに、窒素を充填したもの(図2において三角形の印でプロット)と、ジメチルエーテルを充填したもの(同四角形の印でプロット)とを3ヶ月間放置して1ヶ月毎に菌数を測定した結果を示すグラフである。窒素を充填したエアゾール容器2の内圧と、ジメチルエーテルを充填したエアゾール容器2の内圧とは、0.4Mpaに設定している。また、各エアゾール容器2の雰囲気温度は40℃に設定している。
【0069】
窒素を充填した場合には、バチルス・ズブチリス菌の数の変化は小さい。一方、ジメチルエーテルを充填した場合、バチルス・ズブチリス菌の数は、1ヶ月を経過すると略半分になり、2ヶ月を経過すると略0になった。
【0070】
従って、バチルス・ズブチリス菌を収容するエアゾール容器2には、窒素を充填するのが好ましいことが分かる。窒素は、化学反応性の低い不活性なガスであるため、バチルス・ズブチリス菌には悪影響を与えることはなく、バチルス・ズブチリス菌の死滅は殆ど起こらない。よって、使用時まで長期間に亘ってバチルス・ズブチリス菌を有効な状態で保つことが可能になる。
【0071】
尚、エアゾール容器2に充填するガスは、窒素以外にも、化学反応性の低い不活性なガスであればよく、例えば、二酸化炭素、亜酸化窒素、アルゴン、ヘリウム等でもよい。また、これらガスのうち、任意の2種以上を任意の割合で混合させたものをエアゾール容器2に充填してもよい。化学反応性の低い不活性なガスとは、他の物質と化学反応を起こしにくい化学的に安定したガスのことであり、本明細書では、上記例示したように希ガス族元素以外を含む広い概念で用いる。
【0072】
また、エアゾール容器2の内圧は、0.7Mpa以上が好ましい。0.7Mpa未満であると、0.7Mpa以上の場合と比べて、バチルス・ズブチリス菌の防カビ対象物への付着量が大きく減少してしまうからである。
【0073】
このことを図3及び図4に基づいて説明する。エアゾール容器2に上記試験液2を収容し、窒素を充填した。窒素の充填量を変えることによってエアゾール容器2の内圧を変更し、その内圧が0.6Mpa、0.7Mpa、0.8Mpa、0.9Mpaである4つの防カビ用エアゾール装置1を用意し、それぞれを、図4に示すような試験室で噴射させた。試験室の大きさは一辺が186cmの立方体形状である。試験室の内面が防カビ対象物となる。防カビ用エアゾール装置1は、試験室の床面の略中央部近傍に置き、内容物を略全量噴射させた。試験室の天井には、複数の寒天培地を下に向けて貼り付けている。
【0074】
図3に示すように、内圧が0.6Mpaの場合には寒天培地での菌数は約100cfu/64cmしかないのに対し、0.7Mpaの場合の菌数は、0.6Mpaの場合の3倍以上の約420cfu/64cmにもなった。このように、内圧を0.7Mpa以上とすることで、0.7Mpa未満の場合に比べて、バチルス・ズブチリス菌の防カビ対象物への付着量を大幅に増加させること可能になる。尚、エアゾール容器2の内圧は、高すぎるとエアゾール容器2の耐圧性確保が困難になるので、1.0Mpa以下が好ましい。
【0075】
分散液中のエタノールの量は、エアゾール容器2に収容されている圧縮ガス以外の内容物(水、膨潤性粘土鉱物、バチルス・ズブチリス菌)を合計した体積のうち、20%以下の体積を占めるように設定されている。20%よりも多いと、バチルス・ズブチリス菌が時間の経過と共に減少するからである。このことを図5に基づいて説明する。
【0076】
図5は、エタノール量を、エアゾール容器2に収容されている上記内容物を合計した体積のうち、10%を占める量としたもの(10%エタノール)、同20%を占める量としたもの(20%エタノール)、同40%を占める量としたもの(40%エタノール)を用意して3ヶ月間放置して1ヶ月毎に菌数を測定した結果を示すグラフである。
【0077】
エアゾール容器2には窒素を充填し、内圧は0.7Mpaに設定している。また、各エアゾール容器2の雰囲気温度は40℃に設定している。40%エタノールでは、徐々に菌数が減少していったのに対し、10%エタノール及び20%エタノールでは、菌数の変化は小さい。
【0078】
また、エタノールを一切加えない場合には、エアゾール容器2内の雑菌の存在によって噴射時に異臭が感じられることがある。雑菌を殺菌するためにエタノールを加えた方が好ましく、その最低量としては、エアゾール容器2に収容されている上記内容物を合計した体積のうち、5%を占める量以上が好ましい。
【0079】
上記分散液及びバチルス・ズブチリス菌をエアゾール容器2に収容して、窒素を充填することによって防カビ用エアゾール装置1が得られる。エアゾール容器2に収容されたバチルス・ズブチリス菌は、バチルス・ズブチリス菌にとっては通常の生育環境とは異なる環境下におかれることになる。よって、バチルス・ズブチリス菌は芽胞を形づくる。このとき、エアゾール容器2には、バチルス・ズブチリス菌を噴射させるための圧縮ガスとして、窒素が充填されている。従って、圧縮ガスがバチルス・ズブチリス菌に悪影響を与えることはなく、バチルス・ズブチリス菌の死滅は殆ど起こらない。よって、図2に示すように、使用時まで長期間に亘ってバチルス・ズブチリス菌を有効な状態で保つことが可能になる。
【0080】
また、エタノールの量が上記の如く20%以下に設定されていることによっても、バチルス・ズブチリス菌の減少は回避される。よって、一般市場で流通させるのに適した防カビ用エアゾール装置1となる。
【0081】
次に、上記のように構成された防カビ用エアゾール装置1の使用要領について説明する。例えば、浴室で使用する場合には、防カビ用エアゾール装置1を床面に置く。そして、キャップ4のボタン5を押す。すると、エアゾール容器2の内容物がノズル6から噴射される。押されたボタン5はそのまま保持されるので、放置していても、エアゾール容器2の内容物の略全てが噴出され、防カビ処理が手軽に行える。
【0082】
バチルス・ズブチリス菌はエアゾール容器2内の分散液中の膨潤性粘土鉱物の作用によって沈降することなく、エアゾール容器2内に分散して存在している。このため、使用前にエアゾール容器2を振ったりすることなく、バチルス・ズブチリス菌をエアゾール容器2内に分散させておくことが可能になる。よって、バチルス・ズブチリス菌の噴射開始時から終了時まで、バチルス・ズブチリス菌を狙い通りに確実に噴射させることが可能になる。
【0083】
また、内圧を0.7Mpa以上としているので、バチルス・ズブチリス菌は浴室の天井にも付着する。また、バチルス・ズブチリス菌を噴射させるための圧縮ガスとして窒素を用いているので、引火性はなく、爆発の可能性もなく、また、使用者には悪影響を与えることもなく、安全である。
【0084】
バチルス・ズブチリス菌の噴射時には、膨潤性粘土鉱物が共にエアゾール容器2から噴射されることになる。よって、バチルス・ズブチリス菌は防カビ対象物である浴室の壁面や天井に膨潤性粘土鉱物と一緒に付着する。
【0085】
バチルス・ズブチリス菌が膨潤性粘土鉱物と一緒に防カビ対象物に付着することで、例えば防カビ対象物に水がかかった場合に、その水と一緒にバチルス・ズブチリス菌が流されてしまうのが膨潤性粘土鉱物によって抑制される。これによって、バチルス・ズブチリス菌の残存性が向上する。
【0086】
防カビ対象物に付着したバチルス・ズブチリス菌は、通常の生育環境下におかれることになるので、発芽して増殖を始める。バチルス・ズブチリス菌が増殖する過程では、他の菌の栄養源となるものを取り込んで無くし、また、増殖したバチルス・ズブチリス菌は、防カビ対象物の表面を覆うように存在し、他の菌が防カビ対象物に付着するのを抑制する。これらのことにより、カビの発生が抑制されることになる。
【0087】
以上説明したように、この実施形態にかかる防カビ用エアゾール装置1によれば、エアゾール容器2にバチルス・ズブチリス菌を収容するとともに窒素を充填したので、バチルス・ズブチリス菌に芽胞を形づくらせて長期間に亘って有効な状態で保存でき、しかも、バチルス・ズブチリス菌を、防カビ対象物の全体にムラの少ない状態で、かつ、手軽に付着させて高い防カビ効果を容易に得ることができ、さらに、防カビ処理時における人体への安全性も確保できる。
【0088】
また、エアゾール容器2の内圧を0.7Mpa以上とし、エアゾール容器2を全量噴射型としたので、防カビ処理をより一層容易に行うことができるとともに、バチルス・ズブチリス菌を防カビ対象物にムラの少ない状態で付着させて防カビ効果を更に高めることができる。
【0089】
また、バチルス・ズブチリス菌をエアゾール容器2内で分散させておくことができるので、バチルス・ズブチリス菌を狙い通りに噴射させることができ、防カビ対象物にムラの少ない状態で付着させることができる。
【0090】
また、分散液が水と膨潤性粘土鉱物とを含んでいるので、バチルス・ズブチリス菌の沈降を長期間に亘って抑制できる。また、バチルス・ズブチリス菌は粘土鉱物と一緒に防カビ対象物に付着することになるので、防カビ微生物の残存性を高めることができ、防カビ効果を長期間に亘って継続して得ることができる。
【0091】
また、膨潤性粘土鉱物の中で、特に膨潤性が高く、かつ、チキソトロピー性が強い粘土鉱物を用いることで、バチルス・ズブチリス菌を分散させた状態で維持しながら、分散液が噴射の際の障害となることを回避でき、防カビ処理をより確実に行うことができる。
【0092】
また、エアゾール容器2にエタノールを収容し、このエタノールの量を20%以下の体積を占めるように設定したので、バチルス・ズブチリス菌に悪影響を与えることなく、他の雑菌を殺菌できる。これにより、使用時に異臭の発生が抑制されて使用感の良好な防カビ用エアゾール装置1とすることができる。
【0093】
尚、上記実施形態では、エアゾール容器2にエタノールを収容するようにしているが、これに限らず、低級アルコールであればよい。
【0094】
また、エアゾール容器2に収容するものとしては、上に挙げたもの以外を収容することもできる。
【実施例】
【0095】
以下、本発明の実施例を説明する。
【0096】
エアゾール容器2の内容量は、370mlとした。
【0097】
エアゾール容器2に収容する分散液は、水と膨潤性粘土鉱物としてのラポナイトBとを含んでいる。水はイオン交換水とし、量は、36mlとした。ラポナイトBは0.2g混合した。ラポナイトBの量は、0.5重量%である。また、分散液には、エタノールを混合し、そのエタノールは99%合成エタノールとし、量は4mlとした。分散液には、バチルス・ズブチリス菌の粉末製剤を0.16g混合した。
【0098】
バチルス・ズブチリス菌の個数は、約2×10個/mlであった。
【0099】
圧縮ガスは窒素であり、エアゾール容器2の内圧が0.9Mpaとなるまで充填した。そして、一般の住宅の浴室に防カビ用エアゾール装置1を置いて噴射させた。噴射する直前に、防カビ用エアゾール装置1を振らなかった。その結果を表4に示す。
【0100】
【表4】

【0101】
表4における浴室A〜Eは、実際に上記内容物の噴射を行った浴室であり、それぞれ別の浴室である。カビ発生箇所1、2とは、防カビ処理前にカビが発生していた所、すなわち、カビの発生しやすい所である。尚、防カビ用エアゾール装置1の使用前に、各浴室のカビは除去している。
【0102】
また、表中の「+++」は、略100%の範囲にバチルス・ズブチリス菌の生育が認められることを表し、「++」は、約90%程度の範囲にバチルス・ズブチリス菌の生育が認められることを表し、「+」は、約30%程度の範囲にバチルス・ズブチリス菌の生育が認められることを表す。
【0103】
浴室A〜Eの全てでバチルス・ズブチリス菌の生育が認められた。このような結果が得られたのは、エアゾール容器2の内部でバチルス・ズブチリス菌が有効な状態で保存されていたこと、バチルス・ズブチリス菌がエアゾール容器2内で分散していたことによる。
【0104】
また、使用時には、雑菌の異臭は感じられなかった。これは、エタノールによって雑菌が殺菌されていることによる。
【0105】
浴室A〜Eの各浴室の4箇所(カビ発生箇所1、2、壁、天井)について、上記処理後、1ヶ月後のカビ発生状況を調査した。表5にその結果を示す。
【0106】
【表5】

【0107】
表5の初期欄は、防カビ処理直後を示している。無処理の場合には、当然、バチルス・ズブチリス菌の検出率は0%であった。防カビ処理を行った場合には、バチルス・ズブチリス菌の検出率は100%であった。ここで、バチルス・ズブチリス菌の検出率とは、上記5つの浴室A〜Jの4箇所、即ち20箇所のうち、何箇所からバチルス・ズブチリス菌が検出されたかを割合で示しており、下記の式で算出された値を百分率で示した。
【0108】
バチルス・ズブチリス菌の検出箇所数/20箇所
防カビ処理を行った場合、1ヶ月後のバチルス・ズブチリス菌の検出率は、75%であった。また、1ヶ月後のカビ発生率については、無処理の場合が25%であり、防カビ処理を行った場合には、わずか5%であった。カビ発生率は、下記の式で算出された値を百分率で示した。
【0109】
カビ発生箇所数/20箇所
以上の結果をカビ抑制率で表すと、80%であった。カビ抑制率は、下記の式で算出された値を百分率で示した。
【0110】
(無処理浴室のカビ発生率−防カビ処理浴室のカビ発生率)/無処理浴室のカビ発生率
表5に示すように、防カビ処理後、1ヶ月という長期間が経過したにもかかわらず、80%の高いカビ抑制率が得られることが分かった。これは、防カビ処理の初期にバチルス・ズブチリス菌の付着量が十分であり、かつ、バチルス・ズブチリス菌の残存性が高いためである。
【産業上の利用可能性】
【0111】
以上説明したように、本発明にかかる防カビ処理具は、例えば、住宅の浴室等を処理する場合に適している。
【符号の説明】
【0112】
1 防カビ用エアゾール装置
2 エアゾール容器
3 耐圧缶
4 キャップ
5 ボタン
6 ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定条件下で芽胞を形づくり、防カビ対象物の表面で増殖して他の菌の増殖を抑制する防カビ微生物と、
上記防カビ微生物が混合される液体と、
上記防カビ微生物及び液体を収容するエアゾール容器と、
上記エアゾール容器内に充填された化学反応性の低い不活性な圧縮ガスとを含み、
上記圧縮ガスにより上記防カビ微生物を噴射するように構成されていることを特徴とする防カビ用エアゾール装置。
【請求項2】
請求項1に記載の防カビ用エアゾール装置において、
圧縮ガスは、エアゾール容器の内圧が0.7Mpa以上となるように該容器に充填されていることを特徴とする防カビ用エアゾール装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の防カビ用エアゾール装置において、
液体は、防カビ微生物をエアゾール容器内で分散させるための分散液であることを特徴とする防カビ用エアゾール装置。
【請求項4】
請求項3に記載の防カビ用エアゾール装置において、
分散液は、水と、水中で分散した状態を維持する膨潤性粘土鉱物とを含んでおり、両者が混合していることを特徴とする防カビ用エアゾール装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の防カビ用エアゾール装置において、
エアゾール容器は、防カビ微生物の略全部を1回の操作で噴射するように構成された全量噴射型であることを特徴とする防カビ用エアゾール装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の防カビ用エアゾール装置において、
分散液は、膨潤性粘土鉱物として、スメクタイト及び雲母粘土鉱物の少なくとも一方を含んでいることを特徴とする防カビ用エアゾール装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載の防カビ用エアゾール装置において、
エアゾール容器には、低級アルコールが収容されており、
低級アルコールの量は、上記エアゾール容器に収容されている圧縮ガス以外の内容物の合計体積のうち、20%以下の体積を占めるように設定されていることを特徴とする防カビ用エアゾール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−246358(P2011−246358A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118610(P2010−118610)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(000112853)フマキラー株式会社 (155)
【Fターム(参考)】