説明

防火・防煙シャッターの自重降下制御システム

【課題】危害防止用連動中継器を用いずに防火・防煙シャッターの自重降下制御システムを提供する。
【解決手段】
防災盤6から出力される起動信号の入力により開閉機のブレーキを解放させるように作動して、シャッターカーテン1を自重降下させる自動閉鎖装置8と、非常作動スイッチ90を備えた手動閉鎖装置9と、シャッターカーテン1の自重降下時に障害物を検知した場合に障害物検知信号を出力する障害物検知手段1b、1c、10と、を備え、手動閉鎖装置9は、バッテリを備えており、前記バッテリを電源として、自動閉鎖装置8に作動信号を送信可能となっており、防災盤6からの起動信号の出力後における自重降下するシャッターカーテン1の停止・再降下は、手動閉鎖装置9から自動閉鎖装置8に送信される作動信号によって行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防火・防煙シャッターの自重降下制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
防火・防煙シャッターは、火災時に建物内に区画を形成して火災の延焼を防止するために設置される。防火・防煙シャッターは、開口部全開状態では開閉機のブレーキによってシャッターカーテンの自重降下が規制されているが、感知器が火災を検知すると、防災盤からの信号に基づいて前記ブレーキを解放することで、シャッターカーテンを全閉状態まで自重降下させて区画を形成する。防火・防煙シャッターには、火災時にシャッターカーテンを自重降下させると共に、自重降下中のシッターカーテンに避難者が接触したような場合にシャッターカーテンの自重降下を停止させるために、いわゆる危害防止用連動中継器が設けられる。
【0003】
図1、図2に示すように、危害防止用連動中継器は、火災時に防災盤からの信号を当該危害防止用連動中継器が受信すると、当該危害防止用連動中継器から自動閉鎖装置に信号を送信して当該自動閉鎖装置を作動させてブレーキを解放してシャッターカーテンを自重降下させる一方、自重降下するシャッターカーテンが障害物(例えば避難者)に接触して生成される障害物検知信号を当該危害防止用連動中継器が受信すると、ブレーキを復帰させてシャッターカーテンの自重降下を停止させるように構成されている。
【0004】
より具体的には、図1に示すように、従来の防火・防煙シャッターの自重降下制御システムは、開口部を開閉するシャッターカーテン1と、開口部両側に設けたガイドレール2と、を備え、シャッターカーテン1は、幅方向両端部をガイドレール2に案内された状態で上下昇降可能となっており、通常時は開口部上方の天井裏3内の巻取シャフト(図示せず)に巻装されて開口部を開放する収納姿勢にあり、火災時に自重降下し、シャッターカーテン1の最下端の座板1aが着床して開口部を閉鎖する閉鎖姿勢となる。開閉機4には、煙感知器5の火災検知に基づいて、防災盤6から起動信号を受信した危害防止用連動中継器7が出力する信号を受信してシャッターカーテン1を自重降下させる自動閉鎖装置8が設けてある。ガイドレール2の側方に位置する壁には手動操作部9´が配設されている。シャッターカーテン1の最下端に設けた座板1aは、座板スイッチを有しており、自重下降中のシャッターカーテン1の下方に障害物が存在する場合に、これを座板スイッチで検出し、障害物検知信号を信号線1bによって出力する。座板スイッチに接続される信号線1bは、開口部上端に位置して取り付けられたコードリール10内に巻き取り方向への付勢力を保持して巻装される。
【0005】
また、防火・防煙シャッターの自重降下制御システムは、火災時に感知器からの信号を待たずに、手動でもシャッターカーテンを自重降下できるように、手動操作部9´に手動閉鎖手段を備えている。手動閉鎖手段としては、特許文献2に示すような機械式手動閉鎖装置の他に、特許文献3に示すような電気式手動閉鎖装置も知られている。電気式の場合には、非常作動スイッチを押すことで、無電圧接点信号が生成されて、予備電源装置からブレーキ解放信号を出力する。従来の電動シャッターの手動操作部9´には、手動でシャッターカーテンを降下・上昇・停止させるための押しボタンスイッチが設けてあるが、手動操作部9´に電源は備わっていない。
【0006】
防災盤6、自動閉鎖装置8、上記有線式の障害物検知手段は、天井裏4に配設された危害防止用連動中継器7にケーブルを介してそれぞれ電気的に接続されている。危害防止用連動中継器7は、火災時には、煙検知器5の検知に基づく防災盤6からの信号(DC24V)に基づいて作動信号を自動閉鎖装置8に出力することで、自動閉鎖装置8を作動させて開閉機4のブレーキを解放し、シャッターカーテン1を自重降下させて火災の延焼を防止し、シャッターカーテン1の降下中に障害物を検知した場合には、上記有線式の障害物検知手段からの信号に基づいて、自動閉鎖装置8にブレーキ復帰信号を送信し、開閉機4のブレーキを復帰してシャッターカーテン1の降下を停止させる。従来の危害防止機構は、例えば、特許文献1に記載されている。
【0007】
従来の防火・防煙シャッターの自重降下制御システムでは、危害防止用連動中継器を経由して制御が行われていた。危害防止用連動中継器は、停電時であっても電源を出力して自動閉鎖装置を作動させるためにバッテリを搭載しているが、バッテリ寿命による不作動が起きないように定期的にバッテリ交換が必要となる。しかしながら、危害防止用連動中継器は天井内にあるため、点検口からの作業が必要となって、設置環境によってはバッテリ交換作業が困難となることもある。また、現行では危害防止用連動中継器は、専用バッテリ(汎用ではないニッケル・カドミウム蓄電池)を必要としていることから、簡単なバッテリ交換の妨げとなっていた。
【特許文献1】特開2008−31714号
【特許文献2】特開2001−254580号
【特許文献3】特開2002−81281号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、危害防止用連動中継器を用いずに防火・防煙シャッターの自重降下制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明が採用した技術手段は、
防災盤から出力される起動信号の入力により開閉機のブレーキを解放させるように作動して、シャッターカーテンを自重降下させる自動閉鎖装置と、
手動でシャッターカーテンを自重降下させるための非常作動スイッチを備えた手動閉鎖装置と、
シャッターカーテンの自重降下時に障害物を検知した場合に障害物検知信号を出力する障害物検知手段と、
を備え、
前記手動閉鎖装置は、信号を送受信可能なように前記自動閉鎖装置と電気的に接続されており、
前記手動閉鎖装置は、前記障害物検知信号を受信可能なように前記障害物検知手段と電気的に接続されており、
前記手動閉鎖装置は、バッテリを備えており、前記バッテリを電源として、前記自動閉鎖装置に作動信号を送信可能となっており、防災盤からの起動信号の出力後における自重降下するシャッターカーテンの停止・再降下は、当該手動閉鎖装置から前記自動閉鎖装置に送信される作動信号によって行われる、防火・防煙シャッターの自重降下制御システム、である。
後述する実施形態では、作動信号は、ブレーキ解放信号、ブレーキ復帰信号であり、自動閉鎖装置は、手動閉鎖装置からブレーキ解放信号を受信するとブレーキを解放させるように作動し、ブレーキ復帰信号を受信するとブレーキを復帰させるように作動する。
1つの態様では、前記手動閉鎖装置は、前記非常作動スイッチの押し操作によって、前記バッテリを電源として、前記自動閉鎖装置に作動信号としてのブレーキ解放信号を送信し、
前記ブレーキ解放信号を受信した自動閉鎖装置が、開閉機のブレーキを解放させるように作動して、シャッターカーテンを自重降下させ、
前記非常作動スイッチの押し操作により自重降下するシャッターカーテンの停止・再降下は、当該手動閉鎖装置から前記自動閉鎖装置に送信される作動信号によって行われる。
【0010】
1つの態様では、前記手動閉鎖装置は前記障害物信号を受信した時に、前記自動閉鎖装置に作動信号としてのブレーキ復帰信号を送信し、
前記ブレーキ復帰信号を受信した自動閉鎖装置が、開閉機のブレーキを復帰させるように作動して、自重降下するシャッターカーテンを停止させ、
前記手動閉鎖装置は、障害物非検知状態となると、前記自動閉鎖装置にブレーキ解放信号を送信し、
作動信号としてのブレーキ解放信号を受信した自動閉鎖装置が、開閉機のブレーキを解放させるように作動して、停止しているシャッターカーテンを再降下させる。
【0011】
1つの態様では、前記自動閉鎖装置が開閉機のブレーキを解放させるように作動した時には、作動確認信号が当該自動閉鎖装置から前記手動閉鎖装置に送信される。
1つの態様では、作動確認信号は、自動閉鎖装置の作動機構の可動要素が開閉機のブレーキを解放させるように移動したことを、当該可動要素に機械的に接触するスイッチがONとなることによって出力される。
1つの態様では、前記手動閉鎖装置は、前記起動信号出力後に、前記自動閉鎖装置から作動確認信号が受信されない時には、当該手動閉鎖装置から前記自動閉鎖装置に作動信号としてのブレーキ解放信号を送信する。
1つの態様では、前記手動閉鎖装置から前記自動閉鎖装置への作動信号としてのブレーキ解放信号の送信は、当該手動閉鎖装置が前記作動確認信号を受信した時に停止される。前記手動閉鎖装置から前記自動閉鎖装置へのブレーキ解放信号が送信される場合としては、自重降下後に一旦停止したシャッターカーテンを再降下させる場合、起動信号出力後に、手動閉鎖装置が自動閉鎖装置からの作動確認信号を受信できない場合、非常作動スイッチが押された場合、がある。
【0012】
1つの態様では、前記手動閉鎖装置は通常時にはスリープモードにあり、前記防災盤から出力される前記起動信号あるいは当該起動信号に基づく信号を受信することでスリープモードから作動モードとなる。
1つの態様では、前記起動信号あるいは当該起動信号に基づく信号は、前記自動閉鎖装置を介して前記手動閉鎖装置に送信される。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、手動閉鎖装置から自動閉鎖装置に送信される作動信号(後述する実施形態では、ブレーキ解放信号、ブレーキ復帰信号)によって自重降下するシャッターカーテンの降下停止・再降下を行うことで、危害防止用連動中継器を不要とした。
手動閉鎖装置は操作し易い高さに位置して設けてあるので、バッテリ交換(汎用バッテリを用いるように設計することができる)を容易に手元で行うことができ、メンテナンス性を向上することができる。
従来の手動閉鎖装置に改良を加えることで、本発明に係る手動閉鎖装置を構成することができるため、危害防止用連動中継器を設ける場合に比べて、部品点数の削減、低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来の防火・防煙シャッターの自重降下制御システムを示す斜視図である。
【図2】従来の防火・防煙シャッターの自重降下制御システムを示すブロック図である。
【図3】本発明に係る防火・防煙シャッターの自重降下制御システムを示す概略図である。
【図4】本発明に係る防火・防煙シャッターの自重降下制御システムを示すブロック図である。
【図5】手動閉鎖装置と自動閉鎖装置の電気的接続を示すブロック図である。
【図6】自動閉鎖装置の内部を示す概略斜視図である。
【図7】図6に示す概略斜視図の内部を示す部分図である。
【図8】本発明に係る防火・防煙シャッターの自重降下制御システムの第1の制御フローを示すフローチャートである。
【図9】本発明に係る防火・防煙シャッターの自重降下制御システムの第2の制御フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[A]制御システムの全体構成
本発明に係る防火・防煙シャッターの自重降下制御システムについて、図3、図4を参照しつつ説明する。図3は本発明に係る制御システムの概略図であり、図4は本発明に係る制御システムのブロック図である。防火・防煙シャッター自体の基本構成は従来技術に記載したものと同様である。図3に示すように、防火・防煙シャッターは、開口部を開閉するシャッターカーテン1と、開口部両側に設けたガイドレール2と、を備え、シャッターカーテン1は、幅方向両端部をガイドレール2に案内された状態で上下昇降可能となっており、通常時は開口部上方の天井裏内の巻取シャフト(図示せず)に巻装されて開口部を開放する収納姿勢にあり、火災時に自重降下し、シャッターカーテン1の最下端の座板1aが着床して開口部を閉鎖する閉鎖姿勢となる。開閉機4には、煙感知器5の火災検知により防災盤6から出力される起動信号に基づいてシャッターカーテン1を自重降下させる自動閉鎖装置8が設けてある。防災盤6は非停電時には商用電源を電源とし、停電時には非常用バッテリを電源として、起動信号を出力する。
【0016】
シャッターカーテン1の最下端に設けた座板1aは、座板スイッチ1cを有しており、自重下降中のシャッターカーテン1の下方に障害物が存在する場合に、これを座板スイッチ1cで検出し、障害物検知信号を信号線1bによって出力する。座板スイッチ1cに接続される信号線1bは、開口部上端に位置して取り付けられたコードリール10内に巻き取り方向への付勢力を保持して巻装される。
【0017】
火災時には、煙検知器5の検知に基づいて防災盤6からの起動信号(DC24V)が生成され、自動閉鎖装置8が起動信号を受信して作動することで開閉機4のブレーキを解放し、シャッターカーテン1を自重降下させて開口部を閉鎖して火災の延焼を防止する。
【0018】
手動閉鎖装置9は、手動でシャッターカーテン1を自重降下させるための非常作動スイッチ90を備えている。手動閉鎖装置9は、緊急時に迅速かつ容易に非常作動スイッチ90を押すことができるように、開口部近傍の壁面の操作し易い高さに位置して設置されている。手動閉鎖装置9は、信号を送受信可能なようにケーブルを介して自動閉鎖装置8と電気的に接続されている。手動閉鎖装置9は、障害物検知信号を受信可能なようにケーブルを介して障害物検知手段のコードリール10と電気的に接続されている。手動閉鎖装置9は、交換可能な汎用バッテリを備えており、バッテリを電源として、自動閉鎖装置8に作動信号(DC24V)を送信可能となっている。
【0019】
自動閉鎖装置8は、防災盤6からの起動信号を受信する入力部と、防災盤6からの起動信号を手動閉鎖装置9に送信する出力部と、ブレーキ解放機構が作動した時に作動確認信号を手動閉鎖装置9に送信する出力部と、手動閉鎖装置9からの作動信号(ブレーキ解放信号、ブレーキ復帰信号)を受信する入力部と、信号の入出力を制御する制御部と、を備える。
【0020】
手動閉鎖装置9は、自動閉鎖装置8から起動信号を受信する入力部と、自動閉鎖装置8から作動確認信号を受信する入力部と、障害物検知手段から障害物検知信号を受信する入力部と、自動閉鎖装置8に作動信号(ブレーキ解放信号、ブレーキ復帰信号)を送信する出力部と、信号の入出力を制御する制御部と、を備える。
【0021】
手動閉鎖装置9は通常時はスリープモードにありバッテリの消耗を低減させている。手動閉鎖装置9がスリープモードにある時には、作動信号は出力されない。防災盤6からの起動信号(DC24V)は、自動閉鎖装置8を経由して手動閉鎖装置9に送信され、起動信号(DC24V)を受信した手動閉鎖装置9は、スリープモードから作動モードとなる。防災盤6から一旦起動信号(DC24V)が出力された後において、自重降下するシャッターカーテンの停止・再降下の制御は、バッテリを搭載した手動閉鎖装置9を介して行われる。なお、本実施形態では、手動閉鎖装置9を用いて自重降下制御を行うが、手動閉鎖装置9とは別体で手動閉鎖装置9と類似の高さに位置して壁体に設けた自重降下制御部を用いて自重降下制御を行ってもよい。この場合、自重降下制御部の説明には、手動閉鎖装置9の説明を援用することができる。
【0022】
シャッターカーテン1の自重降下中に障害物を検知した場合には、有線式の障害物検知手段からの障害物検知信号が手動閉鎖装置9に入力され、手動閉鎖装置9からブレーキ復帰信号としての作動信号を自動閉鎖装置8に出力することで、自動閉鎖装置8によるブレーキ解放保持が解かれ、開閉機4のブレーキが復帰して、シャッターカーテン1の降下を停止させる。障害物が取り除かれた後は、手動閉鎖装置9からブレーキ解放信号としての作動信号を自動閉鎖装置8に出力することで、自動閉鎖装置8が作動して開閉機4のブレーキを解放させることで、シャッターカーテン1は再び降下を開始する。シャッターカーテン1が継続して自重降下して、シャッターカーテン1の下端の座板1aが着床して開口部が閉鎖される。なお、障害物検知手段は、本実施形態で説明した有線式の障害物検知手段に限定されるものではない。
【0023】
[B]自動閉鎖装置
感知器5が火災を検知すると、火災検知信号が防災盤6に送信され、防災盤6からの起動信号に基づくDC24V信号が自動閉鎖装置8に入力されると、自動閉鎖装置8が作動し、自動閉鎖装置8のブレーキ解放機構によって開閉機4のブレーキ部を解放させることでシャッターカーテン1が降下して防火区域を区画する。自動閉鎖装置8は、モータ80の回転に連動して作動する複数の機械要素によって開閉機4のブレーキ部を解放させ、ブレーキ解放後には、直ちにモータ80への通電を遮断する。自重降下するシャッターカーテン1が障害物に当たったことを座板スイッチ1cが検知すると、コードリール10から障害物検知信号を受信した手動閉鎖装置9からブレーキ復帰信号としての作動信号が自動閉鎖装置8に送信されて、開閉機4のブレーキを復帰させて自重降下するシャッターカーテン1を停止させる。
【0024】
図6、図7に示すように、自動閉鎖装置8は、箱型のケーシングを備えており、ケーシング内には、以下の機械要素が設けられている。
第1の方向あるいは第2の方向に正逆回転可能なモータ軸を備えたモータ80;
モータ軸が第1の方向に回転した時にのみ当該モータ軸と回転伝達状態となる駆動軸を備え、モータ軸の第2の方向の回転により該回転伝達状態が解除されるように構成されたワンウェイクラッチ81;
ワンウェイクラッチ81の駆動軸と一体で回転するピニオン82;
ピニオン82と噛合され、ピニオン82の回転と共に往復動可能なラック83;
ブレーキを解放する方向あるいはブレーキを復帰させる方向に往復動可能であるブレーキ解放体84;
ラック83及びブレーキ解放体84の往復動を案内するための主軸85;
ブレーキ解放体84を挟んでそれぞれ主軸85に外装された2本の圧縮バネ(緩衝用スプリング86A、復帰用スプリング86B);
ブレーキ解放体84がブレーキ解放方向に移動してブレーキを解放した時にモータへの通電を遮断する手段(ブレーキ解放レバー解放後に入る3つのマイクロスイッチ87A、87B、87C)。
【0025】
自動閉鎖装置8を開閉機4に取り付けた状態において、開閉機4のブレーキ部を解放するブレーキ解放レバー40が自動閉鎖装置8の外部から面部8Aに形成された長孔80a内に延びており、ブレーキ解放レバー40の先端は自動閉鎖装置8のケーシング内に延出している。
【0026】
自動閉鎖装置8にはブレーキ解放信号が入力される。ブレーキ解放信号の発信元としては、防災盤6と手動閉鎖装置9とがある。例えば、火災時には、煙感知器5から検知信号を受信した防災盤6からDC24Vが自動閉鎖装置8に送信される。手動閉鎖装置9の非常作動スイッチ90を押した時には、手動閉鎖装置9からDC24Vが自動閉鎖装置8に送信される。ブレーキ解放信号によりモータ80が第1の方向に回転することで、モータ軸の回転がワンウェイクラッチ81の駆動軸に伝達されて、駆動軸の回転に伴ってピニオン82が回転し、ピニオン82の回転によって、ピニオン82と噛合しているラック83がブレーキ解放方向に直進移動することで、ブレーキ解放体84が主軸85に沿ってブレーキ解放方向に移動して、開閉機4のブレーキ解放レバー40を押して開閉機4のブレーキ解放を行う。
【0027】
3つのマイクロスイッチ87A、87B、87Cは制御回路88の構成要素であるリレー基板に電気的に接続されており、ラック83の移動に伴ってブレーキ解放体84と共に移動するスイッチレバー89Aが接触することでスイッチが入る。ブレーキ解放体84が所定量移動すると、ブレーキ解放体84と一体で移動するスイッチレバー89Aとの接触によってマイクロスイッチ87Aが入ることで、手動閉鎖装置9への出力(作動確認信号の送信)が行われ、マイクロスイッチ87Bが入ることで、防災盤6等の外部機器への出力が行われ、マイクロスイッチ87Cが入ることで、モータ80への通電が遮断される。
【0028】
自動閉鎖装置8のモータ80への通電が遮断された状態において、ワンウェイクラッチ81の駆動軸がモータ80のモータ軸と回転伝達状態にあり、かつ、モータ80(減速機付きモータ)の増速起動トルクが、復帰用スプリング86Bのバネ力及びブレーキ解放レバー40(開閉機に内蔵された図示しない復帰用スプリング)の復帰力に打ち勝って、ピニオン82の回転、ラック83の移動は規制されており、ブレーキ解放状態が保持される。
【0029】
自動閉鎖装置8にはブレーキ復帰信号が入力される。ブレーキ復帰信号は、障害物検知手段が障害物を検知した時に、手動閉鎖装置9から自動閉鎖装置8に送信される。ブレーキ復帰信号によりモータ80が第2の方向に回転することで、モータ軸とワンウェイクラッチ81の駆動軸との回転伝達状態が解除されて、当該駆動軸がモータ軸から独立してフリーとなって回転可能となり、ブレーキ解放状態の保持状態の時に圧縮されていた復帰用スプリング86Bの力でブレーキ解放体84及びラック83が主軸に沿ってブレーキ復帰方向に押されて移動して、瞬時に元の位置に戻る。開閉機に内蔵された復帰スプリング(図示せず)によって、開閉機ブレーキ解放レバー40も復帰してブレーキが復帰する。
【0030】
本実施形態に係る自動閉鎖装置8は、ブレーキ開放後には、直ちにモータ80への通電が遮断され、自動閉鎖装置8のモータへの通電が遮断された後も、電気がかからない非通電状態で、開閉機4のブレーキ解放状態が保持される点に特徴を有する自動閉鎖装置8を示したが、本発明に適用し得る自動閉鎖装置は限定されない。本実施形態では、単発的(ワンショット)の信号により作動して、ブレーキ解放状態を保持できる自動閉鎖装置を示したが(バッテリの消耗が少なく有利である)、自動閉鎖装置は、連続的に出力される信号により作動して、ブレーキ解放状態を保持するものでもよい。後者の場合、例えば、手動閉鎖装置から自動閉鎖装置へ継続して作動信号が送信されている間はブレーキ解放状態が保持され、障害物検知信号に基づいて作動信号の送信が停止されると自動閉鎖装置はブレーキ解放状態からブレーキ復帰状態となる。
【0031】
[C]手動閉鎖装置
手動閉鎖装置9は、開口部近傍の壁面の操作し易い高さに位置して、取り付けないし埋設された箱状のケーシングを備え、ケーシング内には市販の汎用バッテリが交換可能に設けられる。手動閉鎖装置9の前面パネルには、非常作動スイッチ90、復旧スイッチ、電源容量点検スイッチ、異常表示灯91が配設されている。ケーシング前面には蓋92が設けてあり、復旧スイッチ(図3には図示せず)、電源容量点検スイッチ(図3には図示せず)は、蓋92を開放することで押し操作が可能となっている。なお、図3において、符号93は鍵孔である。非常作動スイッチ90は蓋92が閉鎖された状態で押し操作可能であり、異常表示灯91は蓋体92に設けた透明窓から蓋92が閉鎖された状態で視認可能である。
【0032】
非常作動スイッチ90は、防災盤6から起動信号入力に基づく自動閉鎖装置8の作動に先立ってシャッターカーテン1を直ちに自重降下させたいような場合に用いられる。非常作動スイッチ90を押すことで、手動閉鎖装置9に内蔵されたバッテリを電源として、ブレーキ解放信号としての作動信号(DC24V)が自動閉鎖装置8に送信される。また、非常作動スイッチ90を押すことで、手動閉鎖装置9は、スリープモードから作動モードになる。ブレーキ解放信号を受信した自動閉鎖装置8は開閉機のブレーキを解放させるように作動して、シャッターカーテン1を自重降下させる。自動閉鎖装置8がブレーキ解放作動を行ったことをマイクロスイッチ87Aにより検知することで、自動閉鎖装置8から手動閉鎖装置9に作動確認信号が送信される。手動閉鎖装置9は、自動閉鎖装置8から作動確認信号を受信すると、自動閉鎖装置8に対する作動信号(DC24V)の出力を停止する。
【0033】
復旧スイッチを押すことで、バッテリを電源として自動閉鎖装置8に復旧出力(ブレーキ復帰信号)を所定時間(例えば3秒間)行う。復旧スイッチの押し操作によるブレーキ復帰信号の送信は、例えば、シャッター装置のメンテナンス時(自重降下中のシャッターカーテンを停止させたい場合)に用いられる。復旧スイッチを押してから所定時間経過後(例えば10秒間)、手動閉鎖装置9がスリープモードとなる。
【0034】
手動閉鎖装置9は、手動閉鎖装置9に内蔵されたバッテリの電圧状態を判定する手段を備えており、電源容量点検スイッチの押圧操作によって、バッテリの電圧状態の判定が行われ、異常表示灯(LED)が点灯または点滅してバッテリ電源の電圧状態を表示する。復旧スイッチを長押しすることで電源容量点検スイッチを兼用させてもよい。手動閉鎖装置9は、コードリールの断線を監視する手段を備えており、バッテリ消耗時及びコードリールの断線を異常表示灯に表示させる。一つの表示灯が、バッテリ電源の電圧状態、コードリールの断線を、点灯または点滅によりそれぞれ異なる表示形態で発光するように構成されている。本実施形態では、バッテリ消耗時にはLED点滅、コードリール断線時にはLED点灯とする。
【0035】
手動閉鎖装置9は、自動閉鎖装置8から起動信号(防災盤6から出力された起動信号)を受信する入力部と、自動閉鎖装置8から作動確認信号を受信する入力部と、自動閉鎖装置8にバッテリを電源として作動信号(ブレーキ解放信号、ブレーキ復帰信号)を送信する出力部と、を備えており、自動閉鎖装置8との間で信号を送受信可能なようにケーブルを介して自動閉鎖装置8と電気的に接続されている。
【0036】
通常、自動閉鎖装置のモータは、防災盤6からの起動信号の作動電圧であるDC24Vで作動するように設計されている。1つの態様では、手動閉鎖装置9は、昇圧回路を備えており、手動閉鎖装置9に内蔵されたバッテリで得られる電圧から自動閉鎖装置8のモータの作動電圧DC24Vを生成して、自動閉鎖装置8へ出力するようにしている。他の態様では、より低い電圧(例えば、DC12V)で自動閉鎖装置8のモータが作動できるように、自動閉鎖装置8側に作動電圧の調整手段(降圧回路等)を設けてもよい。自動閉鎖装置8をより低い電圧で作動できれば、自動閉鎖装置9側のバッテリで得られる電圧で昇圧回路を用いることなく自動閉鎖装置8のモータを作動させること、また、手動閉鎖装置9のバッテリの消耗を抑えることもできる。バッテリは充電可能な電池から構成してもよく、商用電源を用いてバッテリを充電可能としてもよい。
【0037】
手動閉鎖装置9は、障害物検知手段が障害物検知状態となったことを障害物検知信号として受信する入力部を備えており、障害物検知信号を受信可能なようにケーブルを介して障害物検知手段(コードリール10)と電気的に接続されている。障害物検知状態・障害物非検知状態は、コードリール10を介して入力される座板スイッチ1cの信号を用いて、座板スイッチ1cのON・OFF状態を判定して出力を行う。座板スイッチ1cのON・OFFは、抵抗値を監視することで判定することができる。座板スイッチ1cがON(手動閉鎖装置9が障害物検知信号を受信する)となると、瞬時に手動閉鎖装置9からバッテリを電源としてブレーキ復帰信号(DC24V)が自動閉鎖装置8に送信される。自動閉鎖装置8がブレーキ復帰信号を受信すると、ブレーキ解放保持が解かれ、開閉機4のブレーキが復帰して、シャッターカーテン1の降下を停止させる。座板スイッチ1cがOFF(障害物が取り除かれた障害物非検知状態)に復帰すると、所定時間(例えば、10秒後)に手動閉鎖装置9からバッテリを電源としてブレーキ解放信号(DC24V)が自動閉鎖装置8に送信される。自動閉鎖装置8がブレーキ解放信号を受信すると、ブレーキ解放状態となり、シャッターカーテン1が再降下して、開口部を閉鎖する。
【0038】
防災盤6から出力された起動信号(DC24V)は、自動閉鎖装置8を経由して手動閉鎖装置9に送信され、起動信号(DC24V)を受信した手動閉鎖装置9は、スリープモードから作動モードとなる。なお、スリープモードにある手動閉鎖装置9を作動モードとする信号は、起動信号(DC24V)である必要はなく、起動信号(DC24)を受信した自動閉鎖装置8から出力される他の信号でもよい。手動閉鎖装置9が作動モードとなった後に、自動閉鎖装置8から作動確認信号が受信されない場合には、手動閉鎖装置9は、バッテリを電源としてブレーキ解放信号(DC24V)を自動閉鎖装置8に送信する。1つの態様では、作動確認信号が受信の有無は、自動閉鎖装置8を経由して手動閉鎖装置9に供給される起動信号が継続している間に作動確認信号が受信されなかった場合に、「作動確認信号が受信されない」と判定する。手動閉鎖装置9は、当該手動閉鎖装置9に起動信号が入力された時点、当該手動閉鎖装置9への起動信号の供給が止まった時点を取得し、その間における作動確認信号の受信の有無に基づいて、受信「無」の場合に、バッテリを電源としてブレーキ解放信号(DC24V)を自動閉鎖装置8に送信する。あるいは、タイマーを用いて、手動閉鎖装置9に起動信号が入力されてから所定時間内に作動確認信号が受信されない場合に、受信「無」と判定してもよい。
【0039】
[D]制御フロー
図8に基づいて本実施形態に係るシャッターカーテンの自重降下の制御について説明する。火災時に、感知器5が熱・煙を検知すると防災盤6から起動信号(DC24V)が出力される。防災盤6から出力された起動信号は、直接自動閉鎖装置8に送信され、自動閉鎖装置8が起動信号を受信すると、モータ80が第1の方向に回転し、ラック83がブレーキ解放方向に移動して、ブレーキ解放体84が開閉機4のブレーキ解放レバー40を揺動させることで、開閉機4のブレーキが解放され、シャッターカーテン1が自重降下を開始する。自動閉鎖装置8がブレーキ解放作動すると、当該自動閉鎖装置8から手動閉鎖装置9に作動確認信号が送信される。
【0040】
防災盤6により出力された起動信号は、手動閉鎖装置9にも送信される。1つの態様では、起動信号は自動閉鎖装置8を経由して手動閉鎖装置9に送信される。手動閉鎖装置9は、起動信号を受信すると、スリープモードから作動モードとなる。手動閉鎖装置9が作動モードとなった後に、自動閉鎖装置8からの作動確認信号が受信されない場合には、手動閉鎖装置9は、バッテリを電源としてブレーキ解放信号としての作動信号(DC24V)を自動閉鎖装置8に送信する。自動閉鎖装置8が起動信号を受信して作動して、開閉機のブレーキが解放され、シャッターカーテン1が自重降下を開始する。手動閉鎖装置9が、自動閉鎖装置8から作動確認信号を受信すると、自動閉鎖装置8への作動信号の出力が停止される。
【0041】
シャッターカーテン1の自重降下中に、障害物検知手段により障害物検知が行われなかった場合には、シャッターカーテンは座板1aが着床するまで降下を継続して開口部を全閉する。障害物検知手段が着床を検出することで、手動閉鎖装置から自動閉鎖装置にブレーキ復帰信号としての作動信号(DC24V)が送信され、ブレーキ復帰信号によりモータ80が第2の方向に回転することで、モータ軸とワンウェイクラッチ81の駆動軸との回転伝達状態が解除されて、復帰用スプリング86Bの力でブレーキ解放体84及びラック83がブレーキ復帰方向に押されて移動して、瞬時に元の位置に戻る。開閉機4に内蔵された復帰スプリング(図示せず)によって、開閉機ブレーキ解放レバー40が戻ってブレーキが復帰する。復旧スイッチを押すことで、手動閉鎖装置はスリープ状態に移行する。
【0042】
シャッターカーテン1の自重降下中に、障害物検知手段により障害物検知が行われた場合には、座板スイッチから検知信号が手動閉鎖装置9に送信され、検知信号を受信した手動閉鎖装置9から自動閉鎖装置8に所定時間、例えば、0.5秒から1秒程度、ブレーキ復帰信号としての作動信号(DC24V)が送信される。ブレーキ復帰信号によりモータ80が第2の方向に回転することで、モータ軸とワンウェイクラッチ81の駆動軸との回転伝達状態が解除されて、復帰用スプリング86Bの力でブレーキ解放体84及びラック83がブレーキ復帰方向に押されて移動して、瞬時に元の位置に戻る。開閉機4に内蔵された復帰スプリング(図示せず)によって、開閉機ブレーキ解放レバー40が戻ってブレーキが復帰し、自重降下するシャッターカーテン1が停止する。
【0043】
障害物が除去されると、手動閉鎖装置9は、障害物が除去されたことを、座板スイッチを介して検知する。障害物が除去されたことを検知した後、所定時間、例えば、10秒後に、手動閉鎖装置9から自動閉鎖装置8にブレーキ解放信号としての作動信号(DC24V)が送信される。自動閉鎖装置8が作動信号を受信して作動(モータ80が第1の方向に回転し、ラック83がブレーキ解放方向に移動して、ブレーキ解放体84が開閉機4のブレーキ解放レバー40を揺動させる)して、開閉機のブレーキが再び解放され、シャッターカーテン1が自重降下を再開する。
【0044】
シャッターカーテンは座板1aが着床するまで降下を継続して開口部を全閉する。障害物検知手段が着床を検出することで、手動閉鎖装置から自動閉鎖装置にブレーキ復帰信号としての作動信号(DC24V)が送信され、開閉機のブレーキレバーが戻る。復旧スイッチを押すことで、手動閉鎖装置はスリープ状態に移行する。
【0045】
このように、防災盤6から一旦起動信号(DC24V)が生成された後は、当該起動信号を受信してスリープモードから作動モードとなった手動閉鎖装置9を介して制御が行われる。
【0046】
図9に基づいて、手動閉鎖装置9の非常作動スイッチ90を押すことによるシャッターカーテン1の自重降下の制御について説明する。手動閉鎖装置9の非常作動スイッチ90を押すと、手動閉鎖装置9はスリープモードから作動モードに移行し、手動閉鎖装置9に内蔵されたバッテリを電源としてブレーキ解放信号としての作動信号(DC24V)が自動閉鎖装置8に送信される。自動閉鎖装置8が作動信号を受信すると、モータ80が第1の方向に回転し、ラック83がブレーキ解放方向に移動して、ブレーキ解放体84が開閉機4のブレーキ解放レバー40を揺動させることで、開閉機4のブレーキが解放され、シャッターカーテン1が自重降下を開始する。自動閉鎖装置8がブレーキ解放作動すると、当該自動閉鎖装置8から手動閉鎖装置9に作動確認信号が送信され、作動確認信号を受信した手動閉鎖装置9は、作動信号の送信を停止する。
【0047】
シャッターカーテン1の自重降下中に、障害物検知手段により障害物検知が行われなかった場合には、シャッターカーテンは座板1aが着床するまで降下を継続して開口部を全閉する。障害物検知手段が着床を検出することで、手動閉鎖装置から自動閉鎖装置にブレーキ復帰信号としての作動信号(DC24V)が送信され、ブレーキ復帰信号によりモータ80が第2の方向に回転することで、モータ軸とワンウェイクラッチ81の駆動軸との回転伝達状態が解除されて、復帰用スプリング86Bの力でブレーキ解放体84及びラック83がブレーキ復帰方向に押されて移動して、瞬時に元の位置に戻る。開閉機4に内蔵された復帰スプリング(図示せず)によって、開閉機ブレーキ解放レバー40が戻ってブレーキが復帰する。復旧スイッチを押すことで、手動閉鎖装置はスリープ状態に移行する。
【0048】
シャッターカーテン1の自重降下中に、障害物検知手段により障害物検知が行われた場合には、座板スイッチから検知信号が手動閉鎖装置9に送信され、検知信号を受信した手動閉鎖装置9から自動閉鎖装置8に所定時間、例えば、0.5秒から1秒程度、ブレーキ復帰信号としての作動信号(DC24V)が送信される。ブレーキ復帰信号によりモータ80が第2の方向に回転することで、モータ軸とワンウェイクラッチ81の駆動軸との回転伝達状態が解除されて、復帰用スプリング86Bの力でブレーキ解放体84及びラック83がブレーキ復帰方向に押されて移動して、瞬時に元の位置に戻る。開閉機4に内蔵された復帰スプリング(図示せず)によって、開閉機ブレーキ解放レバー40が戻ってブレーキが復帰し、自重降下するシャッターカーテン1が停止する。
【0049】
障害物が除去されると、手動閉鎖装置9は、障害物が除去されたことを、座板スイッチを介して検知する。障害物が除去されたことを検知した後、所定時間、例えば、10秒後に、手動閉鎖装置9から自動閉鎖装置8にブレーキ解放信号としての作動信号(DC24V)が送信される。自動閉鎖装置8が作動信号を受信して作動(モータ80が第1の方向に回転し、ラック83がブレーキ解放方向に移動して、ブレーキ解放体84が開閉機4のブレーキ解放レバー40を揺動させる)して、開閉機のブレーキが再び解放され、シャッターカーテン1が自重降下を再開する。
【0050】
シャッターカーテンは座板1aが着床するまで降下を継続して開口部を全閉する。障害物検知手段が着床を検出することで、手動閉鎖装置から自動閉鎖装置にブレーキ復帰信号としての作動信号(DC24V)が送信され、開閉機のブレーキレバーが戻る。復旧スイッチを押すことで、手動閉鎖装置はスリープ状態に移行する。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、電動式・手動式を問わず、防火・防煙シャッターに用いることができ、特に、通常時は開閉操作が行われずに常時開口部を開放した姿勢にあり、火災時にのみ自重降下して所定区画を閉鎖するような手動式防火・防煙シャッター(シャッターカーテンを手動で巻き上げる)に利用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 シャッターカーテン
1a 座板
1b 信号線
1c 座板スイッチ
4 開閉機
8 自動閉鎖装置
9 手動閉鎖装置
90 非常作動スイッチ
10 コードリール


【特許請求の範囲】
【請求項1】
防災盤から出力される起動信号の入力により開閉機のブレーキを解放させるように作動して、シャッターカーテンを自重降下させる自動閉鎖装置と、
手動でシャッターカーテンを自重降下させるための非常作動スイッチを備えた手動閉鎖装置と、
シャッターカーテンの自重降下時に障害物を検知した場合に障害物検知信号を出力する障害物検知手段と、
を備え、
前記手動閉鎖装置は、信号を送受信可能なように前記自動閉鎖装置と電気的に接続されており、
前記手動閉鎖装置は、前記障害物検知信号を受信可能なように前記障害物検知手段と電気的に接続されており、
前記手動閉鎖装置は、バッテリを備えており、前記バッテリを電源として、前記自動閉鎖装置に作動信号を送信可能となっており、防災盤からの起動信号の出力後における自重降下するシャッターカーテンの停止・再降下は、当該手動閉鎖装置から前記自動閉鎖装置に送信される作動信号によって行われる、防火・防煙シャッターの自重降下制御システム。
【請求項2】
前記手動閉鎖装置は、前記非常作動スイッチの押し操作によって、前記バッテリを電源として、前記自動閉鎖装置に作動信号としてのブレーキ解放信号を送信し、
前記ブレーキ解放信号を受信した自動閉鎖装置が、開閉機のブレーキを解放させるように作動して、シャッターカーテンを自重降下させ、
前記非常作動スイッチの押し操作により自重降下するシャッターカーテンの停止・再降下は、当該手動閉鎖装置から前記自動閉鎖装置に送信される作動信号によって行われる、請求項1に記載の防火・防煙シャッターの自重降下制御システム。
【請求項3】
前記手動閉鎖装置は前記障害物信号を受信した時に、前記自動閉鎖装置に作動信号としてのブレーキ復帰信号を送信し、
前記ブレーキ復帰信号を受信した自動閉鎖装置が、開閉機のブレーキを復帰させるように作動して、自重降下するシャッターカーテンを停止させ、
前記手動閉鎖装置は、障害物非検知状態となると、前記自動閉鎖装置に作動信号としてのブレーキ解放信号を送信し、
作動信号としてのブレーキ解放信号を受信した自動閉鎖装置が、開閉機のブレーキを解放させるように作動して、停止しているシャッターカーテンを再降下させる、請求項1、2いずれかに記載の防火・防煙シャッターの自重降下制御システム。
【請求項4】
前記自動閉鎖装置が開閉機のブレーキを解放させるように作動した時には、作動確認信号が当該自動閉鎖装置から前記手動閉鎖装置に送信される、請求項1〜3いずれか1項に記載の防火・防煙シャッターの自重降下制御システム。
【請求項5】
前記手動閉鎖装置は、前記起動信号出力後に、前記自動閉鎖装置から作動確認信号が受信されない時には、当該手動閉鎖装置から前記自動閉鎖装置に作動信号としてのブレーキ解放信号を送信する、請求項4に記載の防火・防煙シャッターの自重降下制御システム。
【請求項6】
前記手動閉鎖装置から前記自動閉鎖装置への作動信号としてのブレーキ解放信号の送信は、当該手動閉鎖装置が前記作動確認信号を受信した時に停止される、請求項4、5いずれかに記載の防火・防煙シャッターの自重降下制御システム。
【請求項7】
前記手動閉鎖装置は通常時にはスリープモードにあり、前記防災盤から出力される前記起動信号あるいは当該起動信号に基づく信号を受信することでスリープモードから作動モードとなる、請求項1〜6いずれか1項に記載の防火・防煙シャッターの自重降下制御システム。
【請求項8】
前記起動信号あるいは当該起動信号に基づく信号は、前記自動閉鎖装置を介して前記手動閉鎖装置に送信される、請求項7に記載の防火・防煙シャッターの自重降下制御システム。
【請求項9】
防災盤から出力される起動信号の入力により開閉機のブレーキを解放させるように作動して、シャッターカーテンを自重降下させる自動閉鎖装置と、
シャッターカーテンの自重降下時に障害物を検知した場合に障害物検知信号を出力する障害物検知手段と、
前記自動閉鎖装置及び前記障害物検知手段と電気的に接続されており、壁体に設置された自重降下制御部と、
を備え、
前記自重降下制御部は、バッテリを備えており、前記バッテリを電源として、前記自動閉鎖装置に作動信号を送信可能となっており、
前記自重降下制御部は、通常時にはスリープモードにあり、前記起動信号あるいは当該起動信号に基づく信号を受信することでスリープモードから作動モードとなり、防災盤からの起動信号の出力後における自重降下するシャッターカーテンの停止・再降下は、作動モードに移行した当該自重降下制御部から前記自動閉鎖装置に送信される作動信号によって行われる、防火・防煙シャッターの自重降下制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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