防犯センサー用導電性フイルム、防犯センサー及び導電性フイルム
【課題】導電部材の一部分が切断されても高精度に検知することができ、しかも、視認されにくく(目立たず)、外観上不快感を与えにくい防犯センサー用導電性フイルム、防犯センサー及び導電性フイルムを提供する。
【解決手段】支持体と、該支持体の一方の主面に形成され、+側電極14aと−側電極14bとに電気的に接続される導電部16とを有し、導電部16は、+側電極14aとの第1接続部分20aと−側電極14bとの第2接続部分20bにかけて形成された所定の形状の検知ブロック22を有し、検知ブロック22は、外部からの攻撃による該検知ブロック22内の電気的変化を検出可能なものであり、検知ブロック22は、その最長の辺の長さが20mm以下である。
【解決手段】支持体と、該支持体の一方の主面に形成され、+側電極14aと−側電極14bとに電気的に接続される導電部16とを有し、導電部16は、+側電極14aとの第1接続部分20aと−側電極14bとの第2接続部分20bにかけて形成された所定の形状の検知ブロック22を有し、検知ブロック22は、外部からの攻撃による該検知ブロック22内の電気的変化を検出可能なものであり、検知ブロック22は、その最長の辺の長さが20mm以下である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓ガラス等に貼着される防犯センサー用導電性フイルム、防犯センサー及び導電性フイルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、建物等に空き巣等の不審者や侵入者が侵入することを抑止するため、窓ガラス等の侵入口にされやすい箇所を補強したり、窓ガラス等の破壊等の異常を検知する防犯センサーを取り付けたりすることが行われている。
【0003】
例えば、ガラスが破壊されても破片の飛散を防止するための手段として、ガラスの内部に金網を埋め込んだ金網入りガラスや、PETフイルムを粘着加工して窓ガラス等に貼着できるようにした飛散防止フイルムがある。
【0004】
また、窓ガラスやテント用シート等の破壊等の異常を検知する防犯センサーとしては、例えば特許文献1及び2に記載されているように、検出回路に接続された導電性ワイヤー等からなる検知線をガラスやテント用シート等に設け、検知線の切断等を電気的に検知することによってガラスやシート等の異常を検知する防犯センサーがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭60−34685号公報
【特許文献2】特開2005−338917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の構成では、製作時に導電部材の一部分が欠落すると、抵抗変化を読み取れないおそれがある。
【0007】
また、特許文献2の構成では、導電部材の一部分の切断では抵抗変化が十分ではなく、検知の感度が低くなり、誤動作や検知漏れ等するおそれがある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、導電部材の一部分が切断されても高精度に検知することができ、しかも、視認されにくく(目立たず)、外観上不快感を与えにくい防犯センサー用導電性フイルム及び防犯センサーを提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明の他の目的は、防犯センサーの検知部(検知回路)に用いて好適な導電性フイルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[1] 第1の本発明に係る防犯センサー用導電性フイルムは、支持体と、前記支持体の一方の主面に形成され、+側電極と−側電極とに電気的に接続される導電部とを有し、前記導電部は、前記+側電極との第1接続部分と前記−側電極との第2接続部分にかけて形成された所定の形状の検知ブロックを有し、前記検知ブロックは、外部からの攻撃による該検知ブロック内の電気的変化を検出可能なものであり、前記検知ブロックは、その最長の辺の長さが20mm以下であることを特徴とする。
【0011】
これにより、+側電極から−側電極に向けて電流を流した状態で、例えば導電性フイルムに対する攻撃あるいは破壊行為が行われて、例えば検知ブロックの導通がとれなくなると、+側電極と−側電極との間の抵抗値が変化することから、これを電気的に検出することで、例えば窓ガラスに対して攻撃あるいは破壊行為が行われたことを検出することができる。しかも、例えば経時変化等による微小な断線では、抵抗値はほとんど変化しないため、誤って侵入を目的とした攻撃や破壊行為として検出(誤検出)するということがない。
【0012】
また、検知ブロックの最長の辺の長さは、上述したように、20mm以下が好ましいが、さらに好ましくは、上限値が15mm以下、10mm以下、8mm以下であり、下限値が5mm以上、7mm以上である。辺の長さが上記下限値未満の場合には、検知感度が高くなりすぎるため、例えば経時変化に伴う1mm程度の断線でも検出してしまい、頻繁に警告音が発生するおそれがある。もちろん、検知感度を高めたい場合は、5mm以下でも構わない。他方、上記上限値を越えると、反対に検知感度が低下し、侵入を目的とした攻撃や破壊(5mm以上の断線)を検出できなくなるおそれがある。従って、上記範囲にあることで、侵入を目的とした攻撃や破壊(5mm以上の断線)を確実に検出することが可能となる。
【0013】
[2] 第1の本発明において、前記検知ブロックは、金属細線からなるメッシュが多数配列されたメッシュパターンにて構成されていてもよい。これにより、視認されにくく(目立たず)、外観上不快感を与えにくい。
【0014】
メッシュパターンの線幅Waは100μm以下が好ましく、さらに好ましくは、上限値が80μm以下、50μm以下、30μm以下、21μm以下、14μm以下、7μm以下、下限値が1μm以上、3μm以上、5μm以上である。線幅が上記下限値未満の場合には、導電性が不十分となるため、導電性フイルムを防犯センサーの検知部(検知回路)に使用した場合に、検知感度が不十分となる。他方、上記上限値を越えると、金属細線が目立つようになり、視認性が悪くなる。従って、上記範囲にあることで、検知感度及び視認性が良好となる。
【0015】
[3] 第1の本発明において、前記検知ブロックは電気的な接続方向に10個以上が配列していてもよい。これにより、広範囲な部分を検知部として構成することができ、侵入を目的とした窓ガラス等へ攻撃あるいは破壊行為を検出することができる。
【0016】
[4] 第1の本発明において、前記導電部は、2以上のセグメントに分離され、各前記セグメントは、前記第1接続部分と前記第2接続部分とをそれぞれ有し、前記第1接続部分から前記第2接続部分にかけて10個以上の前記検知ブロックが配列されていてもよい。
【0017】
[5] この場合、各前記セグメントの前記第1接続部分はそれぞれ前記+側電極に共通に接続され、各前記セグメントの前記第2接続部分はそれぞれ前記−側電極に共通に接続され、2以上の前記セグメントが並列接続されていてもよい。これにより、セグメント単位で、侵入を目的とした攻撃や破壊を確実に検出することができ、大幅な電圧変化による回路系の負担を回避することができる。これは、検出回路の小型化、コストの低減化にもつながる。
【0018】
[6] また、各前記セグメントは、それぞれ導電方向に延びる複数のエクステントを有し、各前記エクステントは、10個以上の前記検知ブロックが配列されていてもよい。
【0019】
[7] この場合、各前記セグメント内の前記複数のエクステントは、それぞれ中継配線を介して直列接続されていてもよい。
【0020】
[8] [2]において、前記検知ブロックは、前記メッシュパターンに形成された蛇行形状の電気的絶縁ラインによって形作られる検知帯を有するようにしてもよい。これにより、検知帯を抵抗体として構成することができ、検知帯が断線すると、検知帯の抵抗値が変化し、この変化が電気的変化(電圧変化)として検出可能となる。蛇行形状としては、渦巻状や波状(ジグザグ状)等が挙げられる。
【0021】
[9] この場合、前記検知帯の幅は、3mm以下であることが好ましい。さらに好ましくは、上限値が2mm以下、1.4mm以下であり、下限値が0.5mm以上、1mm以上である。
【0022】
[10] また、前記電気的絶縁ラインの幅は、100μm以下であることが好ましい。さらに好ましくは、上限値が80μm以下、50μm以下、30μm以下、21μm以下、14μm以下、7μm以下、下限値が1μm以上、3μm以上、5μm以上である。
【0023】
[11] 第1の本発明において、前記検知ブロックによる2以上の微小抵抗体が直列接続されて1つの抵抗体が構成され、2以上の前記抵抗体が直列接続されて1つの抵抗体群が構成され、前記抵抗体群の一端が前記+側電極に電気的に接続される前記第1接続部分であり、前記抵抗体群の他端が前記−側電極に電気的に接続される前記第2接続部分であってもよい。
【0024】
[12] この場合、2以上の前記抵抗体群の各前記第1接続部分が前記+側電極に共通に接続され、2以上の前記抵抗体群の各前記第2接続部分が前記−側電極に共通に接続され、2以上の前記抵抗体群が並列接続されていることが好ましい。これにより、抵抗体群単位で、侵入を目的とした攻撃や破壊を確実に検出することができ、大幅な電圧変化による回路系の負担を回避することができる。これは、検出回路の小型化、コストの低減化にもつながる。
【0025】
[13] 第2の本発明に係る防犯センサーは、上述した第1の本発明に係る防犯センサー用導電性フイルムの前記検知ブロックにて構成される検知回路と、前記+側電極と前記−側電極に接続され、前記防犯センサー用導電性フイルムの前記検知ブロックの抵抗値変化を検出する検出回路とを有することを特徴とする。
【0026】
[14] 第2の本発明において、前記検知回路が並列回路であってもよい。
【0027】
[15] 第2の本発明において、前記検出回路は、前記検知ブロックの切断及び前記検知ブロックの抵抗値変化のうち、いずれか1つ以上を検出するようにしてもよい。
【0028】
[16] 第3の本発明に係る導電性フイルムは、支持体と、前記支持体の一方の主面に形成され、+側電極と−側電極とに電気的に接続される導電部とを有し、前記導電部は、前記+側電極との第1接続部分と前記−側電極との第2接続部分にかけて形成された所定の形状の検知ブロックを有し、前記検知ブロックは、外部からの攻撃による該検知ブロック内の電気的変化を検出可能なものであり、前記検知ブロックは、その最長の辺の長さが20mm以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、本発明に係る防犯センサー用導電性フイルム及び防犯センサーによれば、導電部材の一部分が切断されても高精度に検知することができ、しかも、視認されにくく(目立たず)、外観上不快感を与えにくい。
【0030】
また、本発明に係る導電性フイルムによれば、防犯センサーの検知部(検知回路)に用いることで、導電部材の一部分が切断されても高精度に検知することができ、しかも、視認されにくく(目立たず)、外観上不快感を与えにくい防犯センサーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本実施の形態に係る導電性フイルムの構成を一部省略して示す断面図である。
【図2】導電性フイルムにおける導電部の構成を一部省略して示す平面図である。
【図3】導電部の一部(検知帯の形状が渦巻状)を拡大して示す平面図である。
【図4】検知ブロック及び検知帯の構成を示す平面図である。
【図5】図5Aは図4におけるVAで示す領域の構成を示す平面図であり、図5Bは図4におけるVBで示す領域の構成を示す平面図であり、図5Cは図4におけるVCで示す領域の構成を示す平面図である。
【図6】導電部の一部(検知帯の形状が波状(ジグザグ状))を拡大して示す平面図である。
【図7】+側電極からのセンス電流の導通方向を一部省略して示す説明図である。
【図8】−側電極に向かうセンス電流の導通方向を一部省略して示す説明図である。
【図9】図9Aは各検知ブロックによる微小抵抗体を示す回路図であり、図9Bは各エクステントによる抵抗体を示す回路図である。
【図10】導電部の構成を示す等価回路図である。
【図11】図11Aは防犯センサーの構成を示すブロック図であり、図11Bは防犯センサーの検出回路の一構成を示すブロック図である。
【図12】変形例に係る導電性フイルムの導電部の構成を一部省略して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係る防犯センサー用導電性フイルム、防犯センサー及び導電性フイルムの実施の形態例を図1〜図12を参照しながら説明する。なお、本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。
【0033】
本実施の形態に係る導電性フイルム10は、図1に示すように、透明性の支持体12と、該支持体12の一方の主面12aに形成され、+側電極14aと−側電極14bとに電気的に接続される導電部16とを有する。+側電極14a及び−側電極14b等も支持体12の一方の主面12aに形成してもよい。
【0034】
導電部16は、図2に示すように、それぞれ電気的に絶縁された2以上のセグメントSGを有する。図2の例では、6つのセグメントSG(第1セグメントSG1〜第6セグメントSG6)が横方向に配列された形態を示す。
【0035】
各セグメントSGは、+側電極14aに第1周辺配線18aを介して電気的に接続される第1接続部分20aと、−側電極14bに第2周辺配線18bを介して電気的で接続される第2接続部分20bと、第1接続部分20aと第2接続部分20bにかけて形成された複数の所定形状の検知ブロック22を有する。すなわち、各セグメントSGの第1接続部分20aはそれぞれ+側電極14aに共通に接続され、各セグメントSGの第2接続部分20bはそれぞれ−側電極14bに共通に接続され、2以上のセグメントSGが並列接続された形態となっている。図2の例では、各セグメントSGにおいて、それぞれ複数の検知ブロック22が例えばマトリクス状に配列された例を示している。
【0036】
各検知ブロック22は、図3及び図4に示すように、一定の幅を有する1つの検知帯24が蛇行した形状を有する。検知帯24は、図5Aに示すように、金属細線26からなるメッシュ28が多数配列されたメッシュパターン30にて構成されている。メッシュ28の形状は四角形に限定されず、六角形などの幾何学形状をとることができる。蛇行形状としては、例えば図3に示す渦巻状や図6に示す波状(ジグザグ状)等がある。
【0037】
特に、本実施の形態では、さらに、1つのセグメントSGを複数の領域(エクステントEX)に分け、各エクステントEXに含まれる複数の検知ブロック22の検知帯24が導通するように配線されている。図2の例では、1つのセグメントSG(例えば第1セグメントSG1)を7つのエクステントEX(第1エクステントEX1〜第7エクステントEX7)に分けた例を示し、各エクステントEXは、縦方向に延びる長方形状を有し、横方向に1つの検知ブロック22、縦方向に30個の検知ブロック22が配列されている。
【0038】
隣接するエクステントEX間には、金属細線26を電気的に絶縁する縦方向に延びる絶縁ライン32(図3参照)が形成されている。また、各エクステントEXに含まれる検知ブロック22を構成する検知帯24間にも金属細線26を電気的に絶縁する蛇行形状の絶縁ライン32が形成され、これにより、蛇行形状の検知帯24が形づくられている。
【0039】
従って、1つのエクステントEXについて、一方の端部の検知ブロック22を構成する検知帯24の一端から電気を流すことで、当該エクステントEXにおける他方の端部の検知ブロック22を構成する検知帯24の他端まで電気が導通することになる。
【0040】
隣接するエクステントEX間は、図2及び図3に示すように、周囲に形成された中継配線34によって電気的に接続される。第1セグメントSG1についてみると、図2に示すように、第1接続部分20aが位置する下辺36aについては、第1エクステントEX1における検知帯24の一端(第1接続部分20a)に第1周辺配線18aを介して+側電極14aが接続され、第2エクステントEX2と第3エクステントEX3における各検知帯24の一端が第1中継配線34aによって電気的に接続され、第4エクステントEX4と第5エクステントEX5における各検知帯24の一端が第2中継配線34bによって電気的に接続され、第6エクステントEX6と第7エクステントEX7における各検知帯24の一端が第3中継配線34cによって電気的に接続されている。同様に、第2接続部分20bが位置する上辺36bについては、第7エクステントEX7における検知帯24の他端(第2接続部分20b)に第2周辺配線18bを介して−側電極14bが接続され、第1エクステントEX1と第2エクステントEX2における各検知帯24の他端が第4中継配線34dによって電気的に接続され、第3エクステントEX3と第4エクステントEX4における各検知帯24の他端が第5中継配線34eによって電気的に接続され、第5エクステントEX5と第6エクステントEX6における各検知帯24の他端が第6中継配線34fによって電気的に接続されている。これらの接続関係は、他のセグメントSG(第2セグメントSG2〜第6セグメントSG6)についても同様である。
【0041】
従って、+側電極14aから−側電極14bに向けてセンス電流iaを流すことで、図2、図7及び図8に示すように、各セグメントSGにおいて、センス電流iaは、第1接続部分20aから検知帯24の蛇行に沿って進むこととなる。すなわち、センス電流iaは、第1接続部分20a→第1エクステントEX1→第4中継配線34d(上辺36b)→第2エクステントEX2→第1中継配線34a(下辺36a)→第3エクステントEX3→第5中継配線34e(上辺36b)→第4エクステントEX4→第2中継配線34b(下辺36a)→第5エクステントEX5→第6中継配線34f(上辺36b)→第6エクステントEX6→第3中継配線34c(下辺36a)→第7エクステントEX7→第2接続部分20bの経路で流れ、各エクステントEXでは、それぞれ検知帯24の蛇行に沿ってセンス電流が流れることになる。これらの動作(センス電流の流れ)が各セグメントSGにおいてほぼ同時に行われる。
【0042】
各検知ブロック22は、金属細線26のメッシュパターン30による蛇行形状の検知帯24にて構成されていることから、図9Aに示すように、1つの微小抵抗体38を構成する。従って、検知ブロック22の一部あるいは全部が断線すると、検知ブロック22自体の抵抗値が変化し、この変化が電気的変化(電圧変化)として検出可能となる。
【0043】
同様に、各エクステントEXは、図9Bに示すように、複数の検知ブロック22(微小抵抗体38)が直列に配列された1つの抵抗体40を構成することから、例えば1以上の検知ブロック22の一部が断線すると、エクステントEX自体の抵抗値が変化し、この抵抗値変化が電気的変化(電圧変化)として検出可能となる。
【0044】
各セグメントSGの等価回路としては、図10に示すように、第1接続部分20aと第2接続部分20bとの間に複数の抵抗体40が直列に接続された回路構成となり、導電部16は、上述の回路構成を有する複数のセグメントSG(SG1〜SG6)が並列接続された検知回路42を構成することになる。これにより、セグメント単位で、侵入を目的とした攻撃や破壊を確実に検出することができ、大幅な電圧変化による回路系の負担を回避することができる。これは、後述する検出回路の小型化、コストの低減化にもつながる。
【0045】
ここで、導電性フイルム10が適用される防犯センサー50の構成について図11A及び図11Bを参照しながら説明する。
【0046】
防犯センサー50は、図11Aに示すように、導電性フイルム10による検知回路42と、+側電極14aと−側電極14bに接続され、導電性フイルム10の導電部16(検知帯24、検知ブロック22、エクステントEX、セグメントSG)の抵抗値変化を検出する検出回路52とを有する。
【0047】
検出回路52は、+側電極14aから−側電極14bに向けてセンス電流を流し、+側電極14aと−側電極14b間の電圧を検出する。そして、例えば導電性フイルム10に対する攻撃あるいは破壊行為によって、例えば1つの検知ブロック22の導通がとれなくなると、該検知ブロック22が含まれるエクステントEX及びセグメントSGが導通できなくなる。その結果、検知回路42の合成抵抗が大きくなり、それに伴い、+側電極14a及び−側電極14b間の電圧も高くなる。この電圧変化を検出することで、例えば窓ガラスに対して攻撃あるいは破壊行為が行われたことを検出することができる。
【0048】
検出回路52は、例えば図11Bに示すように、+側電極14a及び−側電極14b間の電圧Vin(電極間電圧)と基準電圧Vbとを比較するコンパレータ54と、コンパレータ54の出力電圧に基づいて警告音等を出力する警告出力部56とを有するようにしてもよい。基準電圧Vbは、導電性フイルム10に対する攻撃あるいは破壊行為によって、1以上の検知ブロック22にわたる範囲の切断や破壊が行われた場合の電極間電圧よりも僅かに低い電圧に設定する。これにより、導電性フイルム10の検知帯24が断線していない場合あるいは経時変化等による微小な断線の場合においては、コンパレータ54から−側の電源電圧−Vdが出力され、警告出力部56からは警告音等は出力されない。そして、導電性フイルム10に対する攻撃や破壊行為によって、1以上の検知ブロック22にわたる範囲の切断や破壊が行われた場合に、電極間電圧Vinが基準電圧Vbよりも高くなるため、コンパレータ54から+側の電源電圧Vdが出力され、これにより、警告出力部56から警告音等が出力されることとなる。
【0049】
ここで、検知帯24を構成するメッシュパターン30の好ましい態様について説明する。
【0050】
先ず、メッシュパターン30の線幅Wa(図5B参照)は100μm以下が好ましく、さらに好ましくは、上限値が80μm以下、50μm以下、30μm以下、21μm以下、14μm以下、7μm以下、下限値が1μm以上、3μm以上、5μm以上である。線幅が上記下限値未満の場合には、導電性が不十分となるため、導電性フイルム10を防犯センサー50の検知部(検知回路42)に使用した場合に、検知感度が不十分となる。他方、上記上限値を越えると、金属細線26が目立つようになり、視認性が悪くなる。従って、上記範囲にあることで、検知感度及び視認性が良好となる。
【0051】
絶縁ライン32の幅Wb(図5B参照)も、メッシュパターン30の線幅Waと同様に、100μm以下が好ましく、さらに好ましくは、上限値が80μm以下、50μm以下、30μm以下、21μm以下、14μm以下、7μm以下、下限値が1μm以上、3μm以上、5μm以上である。また、検知帯24の幅Wc(図5B参照)は3mm以下が好ましく、さらに好ましくは、上限値が2mm以下、1.4mm以下であり、下限値が0.5mm以上、1mm以上である。
【0052】
メッシュパターン30の全光線透過率は50%以上が好ましく、さらに好ましくは、55%以上、60%以上、62%以上、68%以上、76%以上、82%以上である。これにより、透明性を良好に保つことが可能となる。
【0053】
メッシュパターン30のメッシュ28の配列ピッチは、1000μm以下が好ましく、さらに好ましくは、上限値が200μm以下、190μm以下、150μm以下、下限値が100μm以上、120μm以上である。配列ピッチが上記範囲である場合には、さらに透明性を良好に保つことが可能であり、窓ガラス等にとりつけた際に、金属細線26が目立つことがなく、違和感がない。
【0054】
また、検知ブロック22の辺のうち、最長の辺の長さLa(図4参照)は20mm以下が好ましく、さらに好ましくは、上限値が15mm以下、10mm以下、8mm以下であり、下限値が5mm以上、7mm以上である。辺の長さが上記下限値未満の場合には、検知感度が高くなりすぎるため、例えば経時変化の金属細線の劣化に伴う1mm程度の断線でも検出してしまい、警告音の誤報が発生するおそれがある。もちろん、検知感度を高めたい場合は、5mm以下でも構わない。他方、上記上限値を越えると、反対に検知感度が低下し、侵入を目的とした攻撃や破壊(5mm以上の断線)を検出できなくなるおそれがある。従って、上記範囲にあることで、侵入を目的とした攻撃や破壊(5mm以上の断線)を確実に検出することが可能となる。
【0055】
特に、侵入を目的とした攻撃や破壊(5mm以上の断線)を確実に検出して、それ以外の微小な断線を検出しないようにするために、以下のような構成を採用することが好ましい。
【0056】
すなわち、図5Cに示すように、例えば横方向の切断において、検知ブロック22の辺(横方向)の長さLa×検知帯24の幅Wcに相当する大きさを切断することで、1つの検知ブロック22の導通を遮断することができるが、検知帯24の幅Wcが極端に狭いと、簡単に検知ブロック22の導通が遮断されてしまい、誤って侵入を目的とした攻撃や破壊行為として検出(誤検出)するおそれがある。
【0057】
そこで、検知帯24のメッシュパターン30は、図5Cに示すように、検知帯24の幅Wc内において、金属細線26の電流の導通方向(導電方向da)に直交する方向dbに3個以上のメッシュ28が存在していることが好ましい。さらに好ましくは、導電方向daに直交する方向dbに3個以上10個以下のメッシュ28が存在していることであり、より好ましくは、導電方向daに直交する方向dbに3個以上5個以下のメッシュ28が存在していることである。
【0058】
これにより、侵入を目的とした攻撃や破壊を確実に検出し、それ以外の微小な断線を検出しないようにすることができる。
【0059】
また、図5Aに示すように、メッシュパターン30の水平方向に対する角度θとしては、30°〜60°を採用することができ、この場合、角度θを45°にしてもよいし、それ以外の角度にしてもよい。45°以外の角度を採用することで、横方向及び縦方向に延びる絶縁ライン32によるメッシュパターン30の切断形状に規則性がなくなり、メッシュパターン30をさらに目立たなくさせることができる。本実施の形態では、角度θを35°としている。
【0060】
上述した例では、図2に示すように、導電部16を6つのセグメントSG(SG1〜SG6)に分け、各セグメントSGに含まれる検知ブロック22を同数(横方向に7個、縦方向に30個)とし、下辺36aに第1接続部分20aを位置させ、上辺36bに第2接続部分20bを位置させるようにしたが、セグメントSGの数は1つでもよいし、6つ以外でもよい。また、各セグメントSGに含まれる検知ブロック22の個数も異なるようにしてもよい。また、上辺36bに第1接続部分20aを位置させ、下辺36aに第2接続部分20bを位置させるようにしてもよいし、左辺(又は右辺)に第1接続部分20aを位置させ、右辺(又は左辺)に第2接続部分20bを位置させるようにしてもよい。図12に、1つの変形例に係る導電性フイルム10を示す。この変形例に係る導電性フイルム10は、導電部16を5つのセグメントSG(第1セグメントSG1〜第5セグメントSG5)に分け、第1セグメントSG1〜第4セグメントSG4に含まれる検知ブロック22を同数(横方向に9個、縦方向に31個)とし、第5セグメントSG5に含まれる検知ブロック22の個数を横方向に7個、縦方向に31個とし、上辺36bに第1接続部分20aを位置させ、下辺36aに第2接続部分20bを位置させるようにしている。
【0061】
次に、上述した導電性フイルム10の各層の構成について説明する。
【0062】
[支持体]
導電性フイルム10の支持体12としては、プラスチックフイルム、プラスチック板等を挙げることができる。上記プラスチックフイルム及びプラスチック板の原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、EVA等のポリオレフィン類;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂;その他、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)等を用いることができる。製造される導電性フイルム10に透過性が要求される場合には、全可視光透過率は70〜100%であることが好ましく、85〜100%であることがより好ましく、90〜100%であることがさらに好ましく、PET、PC、アクリル樹脂を好適に用いることができる。また、加工性の観点からはPETを好適に用いることができる。支持体12は、目的に応じて着色されていてもよい。
【0063】
上記プラスチックフイルム及びプラスチック板は、単層で用いることもできるが、2層以上を組合わせた多層フイルムとして用いることもできる。
【0064】
支持体12には、該支持体12に対して導電部16を強固に接着させる目的で、予め、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザ処理、混酸処理、オゾン酸処理等の表面活性処理を施しておくことが好ましい。
【0065】
例えば、後述するように、支持体12上にハロゲン化銀含有乳剤層を設け、この乳剤層を露光、現像して金属銀部よりなる導電部16を形成する場合には、支持体12と導電部16との接着性(密着性)を確保するために、(1)前記表面活性処理を施した後、該表面上に直接ハロゲン化銀含有乳剤層を設ける方法、(2)一旦、前記表面活性処理を施した後、下塗り層を設け、該下塗り層上にハロゲン化銀含有乳剤層を設ける方法、が挙げられる。中でも、前記方法(2)により、支持体12と導電部16との密着性をより高めることができる。
【0066】
上記下塗り層は、単層でもよく2層以上でもよい。下塗り層は、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ブタジエン、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸等の中から選ばれた単量体を出発原料とする共重合体からなってもよく、ポリエチレンイミン、エポキシ樹脂、グラフト化ゼラチン、ニトロセルロース、ゼラチンからなってもよいが、ゼラチンを含むことが好ましい。下塗り層は、支持体12を膨潤させる化合物としてレゾルシンとp−クロルフェノールを含んでもよい。また、下塗り層がゼラチンを含む場合には、該下塗り層は、ゼラチン硬化剤としてクロム塩(クロム明ばん等)、アルデヒド類(ホルムアルデヒド、グルタールアルデヒド等)、イソシアネート類、活性ハロゲン化合物(2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジン等)、エピクロルヒドリン樹脂、活性ビニルスルホン化合物等を含んでもよい。また、下塗り層は、マット剤として、SiO2、TiO2、無機物微粒子又はポリメチルメタクリレート共重合体微粒子を含んでもよい。
【0067】
[導電部]
導電性フイルム10は、上述したように、支持体12に導電部16が設けられている。導電部16を構成する導電膜は、支持体12の片面に設けられていてもよいし、両面に設けられていてもよい。当該導電膜は、支持体12上に塗設されたハロゲン化銀及びバインダーを含有する銀塩含有乳剤層を所望のパターンで露光及び現像処理することで形成することができる。前記パターンを金属細線26からなる多数の格子の交点を有するメッシュパターン30とすることで、導電部16を構成する導電膜を形成させることができ、これにより、導電部16の光透過性を向上させることもできる。また、当該導電膜は、銀塩含有乳剤層の全面に露光し、現像処理することで形成してもよい。
【0068】
上記銀塩含有乳剤層は、ハロゲン化銀とバインダーの他、溶媒や染料等の添加剤を含んでもよい。上記銀塩含有乳剤層は1層でもよく、2層以上設けてもよい。乳剤層の厚さは、好ましくは0.05〜20μm、より好ましくは0.1〜10μmである。
【0069】
(銀塩)
上記銀塩含有乳剤層における銀塩はハロゲン化銀である。本実施の形態においては、光センサーとしての特性に優れるハロゲン化銀を用いることが好ましく、ハロゲン化銀に関する銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等で用いられる技術は、本実施の形態においても用いることができる。
【0070】
上記ハロゲン化銀に含有されるハロゲン元素は、塩素、臭素、ヨウ素及びフッ素のいずれであってもよく、これらの組み合わせでもよい。例えば、AgCl、AgBr、AgIを主体としたハロゲン化銀を好適に用いることができる。また、塩臭化銀、沃塩臭化銀、沃臭化銀を主体としたハロゲン化銀も好適に用いることができる。ここで、「AgBrを主体としたハロゲン化銀」とは、ハロゲン化銀組成物中に占める臭化物イオンのモル分率が50%以上のハロゲン化銀をいう。すなわち、AgBrを主体としたハロゲン化銀粒子は、臭化物イオンのほかに、沃化物イオン、塩化物イオンを含有してもよい。他のハロゲン化銀(AgCl、AgI等)を主体としたハロゲン化銀についても、上記「AgBr」を当該他のハロゲン化銀に置き換えて解釈する。
【0071】
銀塩含有乳剤層中のハロゲン化銀の含有量に特に制限はないが、銀に換算して0.1〜40g/m2であることが好ましく、0.5〜25g/m2であることがより好ましく、さらに3〜25g/m2、特に5〜20g/m2、さらに7〜15g/m2であることが好ましい。
【0072】
(バインダー)
上記銀塩含有乳剤層には、ハロゲン化銀粒子を均一に分散させ、且つ、銀塩含有乳剤層と支持体12との密着を補助する目的でバインダーが含まれる。当該バインダーとしては、非水溶性ポリマー及び水溶性ポリマーのいずれを用いてもよいが、水溶性ポリマーを用いることが好ましい。具体的には、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロース及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリサッカライド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース等を銀塩含有乳剤層のバインダーとして用いることができる。
【0073】
本実施の形態においては、上記銀塩含有乳剤層のバインダーとして、ゼラチンが好適に用いられる。
【0074】
上記銀塩含有乳剤層中のバインダーの含有量に特に制限はなく、分散性と密着性を発揮し得る範囲で適宜決定することができるが、銀(Ag)/バインダー(体積比)で1/1〜4/1であることが好ましく、1.5/1〜4/1であることがより好ましい。上記銀塩含有乳剤層中の銀/バインダー(体積比)を上記範囲内とすることで、成形後の金属銀部の破断をより確実に抑えることができる。
【0075】
(溶媒)
上記銀塩含有乳剤層の形成に用いられる溶媒に特に制限はなく、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、酢酸エチル等のエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。
【0076】
上記銀塩含有乳剤層に用いられる溶媒の含有量は、銀塩含有乳剤層に含有される溶媒以外の成分の合計100質量部に対して30〜90質量部の範囲であり、50〜80質量部の範囲であることが好ましい。
【0077】
(アクリル系ラテックス)
上記銀塩含有乳剤層には、支持体12との密着性を向上させる観点からアクリル系ラテックスを含有させることができる。アクリル系ラテックスとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、アセトキシエチルアクリレート等から選ばれる少なくとも1種のアクリル系モノマーを含む重合体の水系媒体中の分散物が挙げられる。
【0078】
上記銀塩含有乳剤層におけるラテックス/ゼラチン(質量比)は0.15/1〜2.0/1であることが好ましく、0.5/1〜1.0/1であることがより好ましい。
【0079】
(その他の添加剤)
上記銀塩含有乳剤層には、さらに各種添加剤が含まれてもよい。当該添加剤として、例えば、増粘剤、酸化防止剤、マット剤、滑剤、帯電防止剤、造核促進剤、分光増感色素、界面活性剤、カブリ防止剤、硬膜剤、黒ポツ防止剤等を挙げることができる。
【0080】
[保護層]
導電性フイルム10には、導電部16上に保護層が設けられていてもよい。保護層を設けることで、導電性フイルム10からの導電部16(導電膜)の脱落をより抑制することができる。保護層は、ゼラチンや高分子ポリマー等からなることが好ましい。保護層の厚みは0.02〜0.2μmであることが好ましく、0.05〜0.1μmであることがより好ましい。また、保護層は、導電部16上に直接設けられていてもよいし、導電部16上に下塗り層を設けてからその上に設けてもよい。
【0081】
次に、導電性フイルム10の作製について説明する。
【0082】
[導電性フイルムの作製]
導電性フイルム10は、支持体12上に設けられた銀塩含有乳剤層を所望のパターンに露光した後現像処理し、該支持体12上に、所望の形状の金属銀部を含む導電膜を形成させることで得られる。
【0083】
支持体12上にメッシュパターン30を形成する場合は、露光、現像処理によって、メッシュ状で、且つ、直線が略直交した形態の直線格子パターンや、交差部間の導電部分が少なくとも1つの湾曲を有する波線格子パターン等を形成することが好ましい。導電部16の金属銀部の形状がメッシュパターン30である場合において、メッシュパターン30のピッチ(金属銀部の線幅と開口部の幅の合計)は、1000μm以下であることが好ましい。
【0084】
(パターン露光)
銀塩含有乳剤層をパターン状に露光する方法は、フォトマスクを利用した面露光で行ってもよいし、レーザビームによる走査露光で行ってもよい。この際、レンズを用いた屈折式露光でも反射鏡を用いた反射式露光でもよく、コンタクト露光、プロキシミティー露光、縮小投影露光、反射投影露光等の露光方式を用いることができる。
【0085】
(現像処理)
銀塩含有乳剤層は、露光がなされた後、さらに現像処理が施される。現像処理は、銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の現像処理の技術を用いることができる。
【0086】
本実施の形態では、露光及び現像処理を行うことによって、露光部分に導電部分(金属銀部)が形成されると共に、未露光部に開口部(光透過性部)が形成される。乳剤層への現像処理は、未露光部の銀塩を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を含むことができる。乳剤層に対する定着処理は、銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる定着処理の技術を用いることができる。
【0087】
(レーザエッチング)
導電性フイルム10の導電部16(導電膜)に対して、絶縁ライン32となる部分にレーザ光を照射し、この部分の金属を選択的に除去する。ここで用いる条件として、レーザ波長の選択は特に重要である。レーザ波長として400nm以上を選択することにより、支持体12への損傷なく、導電膜のエッチングが可能であり、さらには500nm以上が好ましい。導電膜に照射するレーザ光としては、YAGレーザ、炭酸ガスレーザ等を用いることができる。導電膜に対するレーザ光の照射は、コンピュータによって制御されるXY方向のスキャン機構を具備したレーザ照射装置により行うことができる。この場合、例えばオフラインティーチングによって、予め設定された絶縁ライン32のパターン形状の情報をコンピュータのメモリに入力しておき、レーザ照射装置の駆動時にメモリからパターン形状の情報を読み出して、読み出した情報に基づいてスキャン機構を制御しながらレーザ光を導電膜に照射して導電膜に絶縁ライン32を形成するようにしてもよい。
【0088】
上述したレーザエッチングを行って絶縁ライン32を形成する場合、導電膜の厚みは、5μm以下が好ましい。厚すぎるとエッチングに必要なレーザ光の出力を大きくしなければならず、支持体12に損傷を生じさせるおそれがあるため好ましくない。
【0089】
なお、導電性フイルム10の作製に関しては、下記表1及び表2に記載の公開公報及び国際公開パンフレットの技術と適宜組合わせて使用することができる。「特開」、「号公報」、「号パンフレット」等の表記は省略する。
【0090】
【表1】
【0091】
【表2】
【0092】
本実施の形態において、導電性向上、成型性向上のため、蒸気処理、カレンダー処理、キセノン照射処理を行うことが望ましい。
【0093】
<キセノン照射>
現像処理を終えた金属銀部に対してキセノンフラッシュランプからのパルス光を照射することができる。照射量は、1パルスあたり1J以上、1500J以下とすることが好ましく、100J以上1000J以下とすることがより好ましく、500J以上800J以下とすることがさらに好ましい。照射量は、一般的な紫外線照度計を用いて測定することができる。一般的な紫外線照度計は、例えば300〜400nmに検出ピークを有する照度計を用いることができる。
【0094】
金属銀部に照射する光は、紫外線、電子ビーム、X線、γ線、赤外線等の輻射線等が挙げられる。汎用性の点から、紫外線が好ましい。紫外線を照射する光源としては、特に制限はないが、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、フラッシュランプ(例えばキセノンフラッシュランプ)等が挙げられる。本実施の形態においては、金属銀の導電性及び成型性を向上させることと、汎用性の点から、キセノンフラッシュランプが好ましく、例えばウシオ電器社製のキセノンフラッシュランプ等が挙げられる。
【0095】
パルス光の照射回数は1回以上、50回以下が好ましく、1回以上、30回以下が好ましい。
【0096】
キセノン照射処理は、相対湿度5%以上、且つ、結露しない調湿条件下の湿熱雰囲気中で行われる。導電性/成型性が向上する理由についてはまだ定かではないが、少なくとも一部の水溶性バインダーが湿度の上昇とともに微小移動しやすくなり、金属(導電性物質)同士の結合部位が増加しているものと考えられる。
【0097】
湿熱雰囲気中の相対湿度は、好ましくは5%〜100%であり、より好ましくは40%〜100%であり、さらに好ましくは60%〜100%であり、特に好ましくは80%〜100%である。
【0098】
<平滑化処理(カレンダー処理)>
現像後に、金属銀部を平滑化処理する平滑化処理を行うことで、金属銀部における金属粒子同士の結合部分が増加し、金属銀部の導電性、成型性が顕著に増大する。
【0099】
平滑化処理は、例えばカレンダーロールにより行うことができる。カレンダーロールは、通常、一対のロールにて構成される。以下、カレンダーロールを用いた平滑化処理をカレンダー処理と記す。
【0100】
カレンダー処理に用いられるロールとしては、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等のプラスチックロール又は金属ロールが用いられる。特に両面に銀塩乳剤層を有する場合は、金属ロール同士で処理することが好ましい。片面に銀塩乳剤層を有する場合は、シワ防止の点から金属ロールとプラスチックロールの組み合わせとすることもできる。線圧力の下限値は、好ましくは1960N/cm(200kgf/cm)以上、さらに好ましくは2940N/cm(300kgf/cm)以上である。線圧力の上限値は、好ましくは6860N/cm(700kgf/cm)以下である。ここで、線圧力(荷重)とは、カレンダー処理されるフイルム試料1cm当たりにかかる力である。
【0101】
カレンダーロールで代表されるカレンダー処理の適用温度は、10℃(温調なし)〜100℃が好ましく、より好ましい温度は、金属メッシュ状パターンや金属配線パターンの画線密度や形状、バインダー種によって異なるが、おおよそ10℃(温調なし)〜50℃の範囲である。
【0102】
<温水処理又は蒸気処理>
支持体12上に現像銀で構成された銀メッシュ層(メッシュパターン30)を形成した後、温水ないしはそれ以上の温度の加熱水に浸漬させる温水処理か、又は水蒸気に接触させる蒸気処理を行うことが好ましい。これにより短時間で簡便に導電性及び成型性を向上させることができる。水溶性バインダーの一部が除去されて現像銀(導電性物質)同士の結合部位が増加しているものと考えられる。
【0103】
本プロセスは、現像処理後に実施できるが、平滑化処理後に行うことが望ましい。
【0104】
温水処理で使用される温水の温度は好ましくは60℃以上100℃以下であり、より好ましくは80℃〜100℃である。また、蒸気処理で使用される水蒸気の温度は、1気圧で100℃以上140℃以下が好ましい。温水処理又は蒸気処理の処理時間は、使用する水溶性バインダーの種類によって異なるが、支持体12のサイズが60cm×1mの場合、約10秒間〜約5分間程度が好ましく、約1分間〜約5分間がさらに好ましい。
【実施例】
【0105】
以下に、本発明の実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例に示される材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0106】
実施例1〜28について、メッシュパターン30のメッシュ28の配列ピッチ、メッシュパターン30の線幅を変えたときの1検知ブロック、1エクステント、1セグメント、全体の抵抗値と、1箇所を切断して、1つのセグメントに含まれる1つの検知帯の導通ができなくなったときの抵抗変化(以下、1箇所切れたときの抵抗変化と記す)、並びに透過率を確認した。
【0107】
(実施例1)
[乳剤の調製]
・1液:
水 750mL
フタル化処理ゼラチン 20g
塩化ナトリウム 3g
1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−チオン 20mg
ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 10mg
クエン酸 0.7g
・2液:
水 300mL
硝酸銀 150g
・3液:
水 300mL
塩化ナトリウム 38g
臭化カリウム 32g
ヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム
(0.005%KCl 20%水溶液) 5mL
ヘキサクロロロジウム酸アンモニウム
(0.001%NaCl 20%水溶液) 7mL
3液に用いるヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム(0.005%KCl 20%水溶液)及びヘキサクロロロジウム酸アンモニウム(0.001%NaCl 20%水溶液)は、それぞれの錯体粉末をそれぞれKCl20%水溶液、NaCl20%水溶液に溶解し、40℃で120分間加熱して調製した。
【0108】
38℃、pH4.5に保たれた1液に、2液と3液の各々90%に相当する量を攪拌しながら同時に20分間にわたって加え、0.16μmの核粒子を形成した。続いて下記4液、5液を8分間にわたって加え、さらに、2液と3液の残りの10%の量を2分間にわたって加え、0.21μmまで成長させた。さらに、ヨウ化カリウム0.15gを加え5分間熟成し粒子形成を終了した。
【0109】
・4液:
水 100mL
硝酸銀 50g
・5液:
水 100mL
塩化ナトリウム 13g
臭化カリウム 11g
黄血塩 5mg
その後、常法に従ってフロキュレーション法によって水洗した。具体的には、温度を35℃に下げ、硫酸を用いてハロゲン化銀が沈降するまでpHを下げた(pH3.6±0.2の範囲であった)。次に、上澄み液を約3リットル除去した(第一水洗)。さらに3リットルの蒸留水を加えてから、ハロゲン化銀が沈降するまで硫酸を加えた。再度、上澄み液を3リットル除去した(第二水洗)。第二水洗と同じ操作をさらに1回繰り返して(第三水洗)、水洗・脱塩行程を終了した。水洗・脱塩後の乳剤をpH6.4、pAg7.5に調整し、安定剤として1,3,3a,7−テトラアザインデン100mg、防腐剤としてプロキセル(商品名、ICI Co.,Ltd.製)100mgを加えた。最終的に塩化銀を70モル%、沃化銀を0.08モル%含む平均粒子径0.22μm、変動係数9%のヨウ塩臭化銀立方体粒子乳剤を得た。最終的に乳剤として、pH=6.4、pAg=7.5、電導度=4000μS/cm、密度=1.4×103kg/m3、粘度=20mPa・sとなった。
【0110】
[乳剤層塗布液の調製]
上記乳剤に下記化合物(Cpd−1)8.0×10−4モル/モルAg、1,3,3a,7−テトラアザインデン1.2×10−4モル/モルAgを添加しよく混合した。次いで、膨潤率調製のため必要により、下記化合物(Cpd−2)を添加し、クエン酸を用いて塗布液pHを5.6に調整した。
【0111】
【化1】
【0112】
[支持体]
支持体12として、上面から見て長方形状で、厚さが100μmのPETフイルムの両面にコロナ放電処理を行い、表面親水化処理したものを用いた。
【0113】
[感光フイルムの調製]
上記のコロナ放電処理PETフイルムに、上記の乳剤層塗布液をAg7.8g/m2、ゼラチン1.0g/m2になるように塗布した。
【0114】
得られた感光フイルムは、乳剤層の銀/バインダー体積比率(銀/GEL比(vol))が1/1であった。
【0115】
[露光・現像処理]
次いで、上記感光フイルムにライン/スペース=100μm/900μmの現像銀像を与えうる格子状のフォトマスクライン/スペース=900μm/100μm(ピッチ1000μm)の、スペースが格子状であるフォトマスクを介して高圧水銀ランプを光源とした平行光を用いて露光した。このとき、+側電極14a及び−側電極14b、中継配線34等を形成するための露光も併せて行った。その後、定着、水洗、乾燥という工程を含む処理を行った。
【0116】
(現像液の組成)
現像液1リットル中に、以下の化合物が含まれる。
ハイドロキノン 15g/L
亜硫酸ナトリウム 30g/L
炭酸カリウム 40g/L
エチレンジアミン・四酢酸 2g/L
臭化カリウム 3g/L
ポリエチレングリコール2000 1g/L
水酸化カリウム 4g/L
pH10.5に調整
【0117】
(定着液の組成)
定着液1リットル中に、以下の化合物が含まれる。
チオ硫酸アンモニウム(75%) 300ml
亜硫酸アンモニウム・一水塩 25g/L
1,3-ジアミノプロパン・四酢酸 8g/L
酢酸 5g/L
アンモニア水(27%) 1g/L
ヨウ化カリウム 2g/L
pH6.2に調整
【0118】
これにより、導電部16を有する導電性フイルム10、すなわち、導電部16がメッシュパターン30を有する検知帯24、検知ブロック22、エクステントEX、セグメントSGにより区画され、+側電極14a及び−側電極14b、中継配線34等を有する導電性フイルム10を得た。メッシュパターン30の厚みは2μm、メッシュパターン30の線幅Waは100μm、メッシュ28の配列ピッチは1000μmである。
【0119】
[レーザエッチング]
上述した導電性フイルム10の導電部16(導電膜)にレーザエッチングを行って、図2〜図4に示すように、渦巻状の絶縁ライン32と、複数のエクステントEX並びに複数のセグメントSGに区分するための直線状の絶縁ライン32を形成して、図2に示すように、第1セグメントSG1〜第6セグメントSG6、第1エクステントEX1〜第7エクステントEX7、複数の検知ブロック22及び検知帯24を有する実施例1に係る導電性フイルムを作製した。レーザエッチングは、レーザ光のスポット径が30μm、すなわち、絶縁ライン32の幅Wbが30μmとなるように、レーザ光を照射して行った。
【0120】
(レーザエッチング:加工機)
レーザ:スペクトラフィジックス製HIPPO532−11W機
ガルバノスキャナ:YE−DATA製
fθレンズ:F=100
【0121】
(加工条件)
周波数:30kHz
加工点出力:140mW
走査速度:300mm/sec
繰り返し走査:1回
【0122】
(実施例2〜4)
実施例2、3、4は、メッシュパターン30の線幅Waを80μm、50μm、30μmとした点以外は、上述した実施例1と同様の方法で作製した。
【0123】
(実施例5)
実施例5は、メッシュパターン30のメッシュ28の配列ピッチを300μmとし、メッシュパターン30の線幅Waを80μmとした点以外は、上述した実施例1と同様の方法で作製した。
【0124】
(実施例6〜8)
実施例6、7、8は、メッシュパターン30の線幅Waを50μm、30μm、21μmとした点以外は、上述した実施例5と同様の方法で作製した。
【0125】
(実施例9)
実施例9は、メッシュパターン30のメッシュ28の配列ピッチを200μmとし、メッシュパターン30の線幅Waを50μmとした点以外は、上述した実施例1と同様の方法で作製した。
【0126】
(実施例10〜12)
実施例10、11、12は、メッシュパターン30の線幅Waを30μm、21μm、14μmとした点以外は、上述した実施例9と同様の方法で作製した。
【0127】
(実施例13)
実施例13は、メッシュパターン30のメッシュ28の配列ピッチを190μmとし、メッシュパターン30の線幅Waを30μmとした点以外は、上述した実施例1と同様の方法で作製した。
【0128】
(実施例14〜16)
実施例14、15、16は、メッシュパターン30の線幅Waを21μm、14μm、7μmとした点以外は、上述した実施例13と同様の方法で作製した。
【0129】
(実施例17)
実施例17は、メッシュパターン30のメッシュ28の配列ピッチを150μmとし、メッシュパターン30の線幅Waを21μmとした点以外は、上述した実施例1と同様の方法で作製した。
【0130】
(実施例18〜20)
実施例18、19、20は、メッシュパターン30の線幅Waを14μm、7μm、5μmとした点以外は、上述した実施例17と同様の方法で作製した。
【0131】
(実施例21)
実施例21は、メッシュパターン30のメッシュ28の配列ピッチを120μmとし、メッシュパターン30の線幅Waを21μmとした点以外は、上述した実施例1と同様の方法で作製した。
【0132】
(実施例22〜24)
実施例22、23、24は、メッシュパターン30の線幅Waを14μm、7μm、5μmとした点以外は、上述した実施例21と同様の方法で作製した。
【0133】
(実施例25)
実施例25は、メッシュパターン30のメッシュ28の配列ピッチを100μmとし、メッシュパターン30の線幅Waを14μmとした点以外は、上述した実施例1と同様の方法で作製した。
【0134】
(実施例26〜28)
実施例26、27、28は、メッシュパターン30の線幅Waを7μm、5μm、3μmとした点以外は、上述した実施例25と同様の方法で作製した。
【0135】
なお、上述した実施例1〜28において、検知帯24の幅Wcを1mm以上3mm以下の範囲となるように、且つ、検知帯24の幅Wc内において、金属細線26の導電方向daに直交する方向dbに3個以上10個以下のメッシュ28が存在するように調整した。また、検知ブロック22の辺のうち、最長の辺の長さLa(図4参照)が5mm以上20mm以下となるように調整した。
【0136】
[評価]
(抵抗)
実施例1〜28について、1検知ブロック22の抵抗値、1エクステントEXの抵抗値、1セグメントSGの抵抗値を測定し、さらに、全体の抵抗値を求めた。
【0137】
1検知ブロック22の抵抗値は、1検知ブロック22を構成する検知帯24の一端と他端との間の抵抗値を測定し、1エクステントEXの抵抗値は、1エクステントEXにおける下辺36a側の検知帯24の一端と上辺36b側の検知帯24の他端との間の抵抗値を測定した。1セグメントSGの抵抗値は、1セグメントSGの第1接続部分20aと第2接続部分20bとの間の抵抗値を測定した。全体の抵抗値は、+側電極14aと−側電極14b間の抵抗値を測定した。
【0138】
(1箇所切れたときの抵抗変化)
並列接続された6つのセグメントのうち、1つのセグメントが切断した場合の+側電極14aと−側電極14b間の抵抗値を測定し、この抵抗値と、切断前の全体の抵抗値との差を抵抗変化とした。
【0139】
(光透過率)
実施例1〜28について光透過率を測定した。
【0140】
[評価結果]
評価結果を表3に示す。
【0141】
【表3】
【0142】
表3から、実施例1〜28のいずれも透過率が50%以上であった。特に、実施例3、4、8、12、15、16、19、20、23、24、26〜28は、透過率が76%以上であり、その中でも、実施例4、16、20、28は透過率が82%以上であった。
【0143】
また、1箇所切れたときの抵抗変化は、例えば実施例5の6.8kオームが最も低く、例えば実施例4及び28の56kオームが最も高かった。例えばセンサ電流として、1mAの電流を流した場合、電圧変化としては、実施例5が6.8V、実施例4及び28が56Vとなる。通常、コンパレータの入力段には、TTLレベル(5V以下)のFET(電界効果トランジスタ)が接続されていることから、該トランジスタのゲート耐圧を考慮すると、コンパレータの入力側に降圧回路を設置するか、あるいは、トランジスタとして高電圧トランジスタを使用する必要があり、検出回路の大型化が懸念される。そこで、センス電流として例えば0.5mA以下の電流を流すようにすれば、小型で安価なコンパレータを使用することが可能となる。しかも、消費電力(待機時消費電力)も大幅に低減させることができる。例えば実施例5の6.8kオームの場合は、0.5mAのセンス電流を流すことで、3.4Vの電圧変化となり、実施例4及び28の56kオームの場合は、0.08mAのセンス電流を流すことで、4.48Vの電圧変化となり、小型で安価なコンパレータを使用することが可能となる。もちろん、複数個所の切断を考慮して、センス電流の電流値をさらに小さくしてもよい。
【0144】
なお、本発明に係る防犯センサー用導電性フイルム、防犯センサー及び導電性フイルムは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0145】
10…導電性フイルム 12…支持体
14a…+側電極 14b…−側電極
16…導電部 18a…第1周辺配線
18b…第2周辺配線 20a…第1接続部分
20b…第2接続部分 22…検知ブロック
24…検知帯 26…金属細線
28…メッシュ 30…メッシュパターン
32…絶縁ライン 34…中継配線
34a〜34f…第1中継配線〜第6中継配線
38…微小抵抗体 40…抵抗体
42…検知回路 50…防犯センサー
52…検出回路 54…コンパレータ
56…警告出力部
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓ガラス等に貼着される防犯センサー用導電性フイルム、防犯センサー及び導電性フイルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、建物等に空き巣等の不審者や侵入者が侵入することを抑止するため、窓ガラス等の侵入口にされやすい箇所を補強したり、窓ガラス等の破壊等の異常を検知する防犯センサーを取り付けたりすることが行われている。
【0003】
例えば、ガラスが破壊されても破片の飛散を防止するための手段として、ガラスの内部に金網を埋め込んだ金網入りガラスや、PETフイルムを粘着加工して窓ガラス等に貼着できるようにした飛散防止フイルムがある。
【0004】
また、窓ガラスやテント用シート等の破壊等の異常を検知する防犯センサーとしては、例えば特許文献1及び2に記載されているように、検出回路に接続された導電性ワイヤー等からなる検知線をガラスやテント用シート等に設け、検知線の切断等を電気的に検知することによってガラスやシート等の異常を検知する防犯センサーがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭60−34685号公報
【特許文献2】特開2005−338917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の構成では、製作時に導電部材の一部分が欠落すると、抵抗変化を読み取れないおそれがある。
【0007】
また、特許文献2の構成では、導電部材の一部分の切断では抵抗変化が十分ではなく、検知の感度が低くなり、誤動作や検知漏れ等するおそれがある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、導電部材の一部分が切断されても高精度に検知することができ、しかも、視認されにくく(目立たず)、外観上不快感を与えにくい防犯センサー用導電性フイルム及び防犯センサーを提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明の他の目的は、防犯センサーの検知部(検知回路)に用いて好適な導電性フイルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[1] 第1の本発明に係る防犯センサー用導電性フイルムは、支持体と、前記支持体の一方の主面に形成され、+側電極と−側電極とに電気的に接続される導電部とを有し、前記導電部は、前記+側電極との第1接続部分と前記−側電極との第2接続部分にかけて形成された所定の形状の検知ブロックを有し、前記検知ブロックは、外部からの攻撃による該検知ブロック内の電気的変化を検出可能なものであり、前記検知ブロックは、その最長の辺の長さが20mm以下であることを特徴とする。
【0011】
これにより、+側電極から−側電極に向けて電流を流した状態で、例えば導電性フイルムに対する攻撃あるいは破壊行為が行われて、例えば検知ブロックの導通がとれなくなると、+側電極と−側電極との間の抵抗値が変化することから、これを電気的に検出することで、例えば窓ガラスに対して攻撃あるいは破壊行為が行われたことを検出することができる。しかも、例えば経時変化等による微小な断線では、抵抗値はほとんど変化しないため、誤って侵入を目的とした攻撃や破壊行為として検出(誤検出)するということがない。
【0012】
また、検知ブロックの最長の辺の長さは、上述したように、20mm以下が好ましいが、さらに好ましくは、上限値が15mm以下、10mm以下、8mm以下であり、下限値が5mm以上、7mm以上である。辺の長さが上記下限値未満の場合には、検知感度が高くなりすぎるため、例えば経時変化に伴う1mm程度の断線でも検出してしまい、頻繁に警告音が発生するおそれがある。もちろん、検知感度を高めたい場合は、5mm以下でも構わない。他方、上記上限値を越えると、反対に検知感度が低下し、侵入を目的とした攻撃や破壊(5mm以上の断線)を検出できなくなるおそれがある。従って、上記範囲にあることで、侵入を目的とした攻撃や破壊(5mm以上の断線)を確実に検出することが可能となる。
【0013】
[2] 第1の本発明において、前記検知ブロックは、金属細線からなるメッシュが多数配列されたメッシュパターンにて構成されていてもよい。これにより、視認されにくく(目立たず)、外観上不快感を与えにくい。
【0014】
メッシュパターンの線幅Waは100μm以下が好ましく、さらに好ましくは、上限値が80μm以下、50μm以下、30μm以下、21μm以下、14μm以下、7μm以下、下限値が1μm以上、3μm以上、5μm以上である。線幅が上記下限値未満の場合には、導電性が不十分となるため、導電性フイルムを防犯センサーの検知部(検知回路)に使用した場合に、検知感度が不十分となる。他方、上記上限値を越えると、金属細線が目立つようになり、視認性が悪くなる。従って、上記範囲にあることで、検知感度及び視認性が良好となる。
【0015】
[3] 第1の本発明において、前記検知ブロックは電気的な接続方向に10個以上が配列していてもよい。これにより、広範囲な部分を検知部として構成することができ、侵入を目的とした窓ガラス等へ攻撃あるいは破壊行為を検出することができる。
【0016】
[4] 第1の本発明において、前記導電部は、2以上のセグメントに分離され、各前記セグメントは、前記第1接続部分と前記第2接続部分とをそれぞれ有し、前記第1接続部分から前記第2接続部分にかけて10個以上の前記検知ブロックが配列されていてもよい。
【0017】
[5] この場合、各前記セグメントの前記第1接続部分はそれぞれ前記+側電極に共通に接続され、各前記セグメントの前記第2接続部分はそれぞれ前記−側電極に共通に接続され、2以上の前記セグメントが並列接続されていてもよい。これにより、セグメント単位で、侵入を目的とした攻撃や破壊を確実に検出することができ、大幅な電圧変化による回路系の負担を回避することができる。これは、検出回路の小型化、コストの低減化にもつながる。
【0018】
[6] また、各前記セグメントは、それぞれ導電方向に延びる複数のエクステントを有し、各前記エクステントは、10個以上の前記検知ブロックが配列されていてもよい。
【0019】
[7] この場合、各前記セグメント内の前記複数のエクステントは、それぞれ中継配線を介して直列接続されていてもよい。
【0020】
[8] [2]において、前記検知ブロックは、前記メッシュパターンに形成された蛇行形状の電気的絶縁ラインによって形作られる検知帯を有するようにしてもよい。これにより、検知帯を抵抗体として構成することができ、検知帯が断線すると、検知帯の抵抗値が変化し、この変化が電気的変化(電圧変化)として検出可能となる。蛇行形状としては、渦巻状や波状(ジグザグ状)等が挙げられる。
【0021】
[9] この場合、前記検知帯の幅は、3mm以下であることが好ましい。さらに好ましくは、上限値が2mm以下、1.4mm以下であり、下限値が0.5mm以上、1mm以上である。
【0022】
[10] また、前記電気的絶縁ラインの幅は、100μm以下であることが好ましい。さらに好ましくは、上限値が80μm以下、50μm以下、30μm以下、21μm以下、14μm以下、7μm以下、下限値が1μm以上、3μm以上、5μm以上である。
【0023】
[11] 第1の本発明において、前記検知ブロックによる2以上の微小抵抗体が直列接続されて1つの抵抗体が構成され、2以上の前記抵抗体が直列接続されて1つの抵抗体群が構成され、前記抵抗体群の一端が前記+側電極に電気的に接続される前記第1接続部分であり、前記抵抗体群の他端が前記−側電極に電気的に接続される前記第2接続部分であってもよい。
【0024】
[12] この場合、2以上の前記抵抗体群の各前記第1接続部分が前記+側電極に共通に接続され、2以上の前記抵抗体群の各前記第2接続部分が前記−側電極に共通に接続され、2以上の前記抵抗体群が並列接続されていることが好ましい。これにより、抵抗体群単位で、侵入を目的とした攻撃や破壊を確実に検出することができ、大幅な電圧変化による回路系の負担を回避することができる。これは、検出回路の小型化、コストの低減化にもつながる。
【0025】
[13] 第2の本発明に係る防犯センサーは、上述した第1の本発明に係る防犯センサー用導電性フイルムの前記検知ブロックにて構成される検知回路と、前記+側電極と前記−側電極に接続され、前記防犯センサー用導電性フイルムの前記検知ブロックの抵抗値変化を検出する検出回路とを有することを特徴とする。
【0026】
[14] 第2の本発明において、前記検知回路が並列回路であってもよい。
【0027】
[15] 第2の本発明において、前記検出回路は、前記検知ブロックの切断及び前記検知ブロックの抵抗値変化のうち、いずれか1つ以上を検出するようにしてもよい。
【0028】
[16] 第3の本発明に係る導電性フイルムは、支持体と、前記支持体の一方の主面に形成され、+側電極と−側電極とに電気的に接続される導電部とを有し、前記導電部は、前記+側電極との第1接続部分と前記−側電極との第2接続部分にかけて形成された所定の形状の検知ブロックを有し、前記検知ブロックは、外部からの攻撃による該検知ブロック内の電気的変化を検出可能なものであり、前記検知ブロックは、その最長の辺の長さが20mm以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、本発明に係る防犯センサー用導電性フイルム及び防犯センサーによれば、導電部材の一部分が切断されても高精度に検知することができ、しかも、視認されにくく(目立たず)、外観上不快感を与えにくい。
【0030】
また、本発明に係る導電性フイルムによれば、防犯センサーの検知部(検知回路)に用いることで、導電部材の一部分が切断されても高精度に検知することができ、しかも、視認されにくく(目立たず)、外観上不快感を与えにくい防犯センサーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本実施の形態に係る導電性フイルムの構成を一部省略して示す断面図である。
【図2】導電性フイルムにおける導電部の構成を一部省略して示す平面図である。
【図3】導電部の一部(検知帯の形状が渦巻状)を拡大して示す平面図である。
【図4】検知ブロック及び検知帯の構成を示す平面図である。
【図5】図5Aは図4におけるVAで示す領域の構成を示す平面図であり、図5Bは図4におけるVBで示す領域の構成を示す平面図であり、図5Cは図4におけるVCで示す領域の構成を示す平面図である。
【図6】導電部の一部(検知帯の形状が波状(ジグザグ状))を拡大して示す平面図である。
【図7】+側電極からのセンス電流の導通方向を一部省略して示す説明図である。
【図8】−側電極に向かうセンス電流の導通方向を一部省略して示す説明図である。
【図9】図9Aは各検知ブロックによる微小抵抗体を示す回路図であり、図9Bは各エクステントによる抵抗体を示す回路図である。
【図10】導電部の構成を示す等価回路図である。
【図11】図11Aは防犯センサーの構成を示すブロック図であり、図11Bは防犯センサーの検出回路の一構成を示すブロック図である。
【図12】変形例に係る導電性フイルムの導電部の構成を一部省略して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係る防犯センサー用導電性フイルム、防犯センサー及び導電性フイルムの実施の形態例を図1〜図12を参照しながら説明する。なお、本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。
【0033】
本実施の形態に係る導電性フイルム10は、図1に示すように、透明性の支持体12と、該支持体12の一方の主面12aに形成され、+側電極14aと−側電極14bとに電気的に接続される導電部16とを有する。+側電極14a及び−側電極14b等も支持体12の一方の主面12aに形成してもよい。
【0034】
導電部16は、図2に示すように、それぞれ電気的に絶縁された2以上のセグメントSGを有する。図2の例では、6つのセグメントSG(第1セグメントSG1〜第6セグメントSG6)が横方向に配列された形態を示す。
【0035】
各セグメントSGは、+側電極14aに第1周辺配線18aを介して電気的に接続される第1接続部分20aと、−側電極14bに第2周辺配線18bを介して電気的で接続される第2接続部分20bと、第1接続部分20aと第2接続部分20bにかけて形成された複数の所定形状の検知ブロック22を有する。すなわち、各セグメントSGの第1接続部分20aはそれぞれ+側電極14aに共通に接続され、各セグメントSGの第2接続部分20bはそれぞれ−側電極14bに共通に接続され、2以上のセグメントSGが並列接続された形態となっている。図2の例では、各セグメントSGにおいて、それぞれ複数の検知ブロック22が例えばマトリクス状に配列された例を示している。
【0036】
各検知ブロック22は、図3及び図4に示すように、一定の幅を有する1つの検知帯24が蛇行した形状を有する。検知帯24は、図5Aに示すように、金属細線26からなるメッシュ28が多数配列されたメッシュパターン30にて構成されている。メッシュ28の形状は四角形に限定されず、六角形などの幾何学形状をとることができる。蛇行形状としては、例えば図3に示す渦巻状や図6に示す波状(ジグザグ状)等がある。
【0037】
特に、本実施の形態では、さらに、1つのセグメントSGを複数の領域(エクステントEX)に分け、各エクステントEXに含まれる複数の検知ブロック22の検知帯24が導通するように配線されている。図2の例では、1つのセグメントSG(例えば第1セグメントSG1)を7つのエクステントEX(第1エクステントEX1〜第7エクステントEX7)に分けた例を示し、各エクステントEXは、縦方向に延びる長方形状を有し、横方向に1つの検知ブロック22、縦方向に30個の検知ブロック22が配列されている。
【0038】
隣接するエクステントEX間には、金属細線26を電気的に絶縁する縦方向に延びる絶縁ライン32(図3参照)が形成されている。また、各エクステントEXに含まれる検知ブロック22を構成する検知帯24間にも金属細線26を電気的に絶縁する蛇行形状の絶縁ライン32が形成され、これにより、蛇行形状の検知帯24が形づくられている。
【0039】
従って、1つのエクステントEXについて、一方の端部の検知ブロック22を構成する検知帯24の一端から電気を流すことで、当該エクステントEXにおける他方の端部の検知ブロック22を構成する検知帯24の他端まで電気が導通することになる。
【0040】
隣接するエクステントEX間は、図2及び図3に示すように、周囲に形成された中継配線34によって電気的に接続される。第1セグメントSG1についてみると、図2に示すように、第1接続部分20aが位置する下辺36aについては、第1エクステントEX1における検知帯24の一端(第1接続部分20a)に第1周辺配線18aを介して+側電極14aが接続され、第2エクステントEX2と第3エクステントEX3における各検知帯24の一端が第1中継配線34aによって電気的に接続され、第4エクステントEX4と第5エクステントEX5における各検知帯24の一端が第2中継配線34bによって電気的に接続され、第6エクステントEX6と第7エクステントEX7における各検知帯24の一端が第3中継配線34cによって電気的に接続されている。同様に、第2接続部分20bが位置する上辺36bについては、第7エクステントEX7における検知帯24の他端(第2接続部分20b)に第2周辺配線18bを介して−側電極14bが接続され、第1エクステントEX1と第2エクステントEX2における各検知帯24の他端が第4中継配線34dによって電気的に接続され、第3エクステントEX3と第4エクステントEX4における各検知帯24の他端が第5中継配線34eによって電気的に接続され、第5エクステントEX5と第6エクステントEX6における各検知帯24の他端が第6中継配線34fによって電気的に接続されている。これらの接続関係は、他のセグメントSG(第2セグメントSG2〜第6セグメントSG6)についても同様である。
【0041】
従って、+側電極14aから−側電極14bに向けてセンス電流iaを流すことで、図2、図7及び図8に示すように、各セグメントSGにおいて、センス電流iaは、第1接続部分20aから検知帯24の蛇行に沿って進むこととなる。すなわち、センス電流iaは、第1接続部分20a→第1エクステントEX1→第4中継配線34d(上辺36b)→第2エクステントEX2→第1中継配線34a(下辺36a)→第3エクステントEX3→第5中継配線34e(上辺36b)→第4エクステントEX4→第2中継配線34b(下辺36a)→第5エクステントEX5→第6中継配線34f(上辺36b)→第6エクステントEX6→第3中継配線34c(下辺36a)→第7エクステントEX7→第2接続部分20bの経路で流れ、各エクステントEXでは、それぞれ検知帯24の蛇行に沿ってセンス電流が流れることになる。これらの動作(センス電流の流れ)が各セグメントSGにおいてほぼ同時に行われる。
【0042】
各検知ブロック22は、金属細線26のメッシュパターン30による蛇行形状の検知帯24にて構成されていることから、図9Aに示すように、1つの微小抵抗体38を構成する。従って、検知ブロック22の一部あるいは全部が断線すると、検知ブロック22自体の抵抗値が変化し、この変化が電気的変化(電圧変化)として検出可能となる。
【0043】
同様に、各エクステントEXは、図9Bに示すように、複数の検知ブロック22(微小抵抗体38)が直列に配列された1つの抵抗体40を構成することから、例えば1以上の検知ブロック22の一部が断線すると、エクステントEX自体の抵抗値が変化し、この抵抗値変化が電気的変化(電圧変化)として検出可能となる。
【0044】
各セグメントSGの等価回路としては、図10に示すように、第1接続部分20aと第2接続部分20bとの間に複数の抵抗体40が直列に接続された回路構成となり、導電部16は、上述の回路構成を有する複数のセグメントSG(SG1〜SG6)が並列接続された検知回路42を構成することになる。これにより、セグメント単位で、侵入を目的とした攻撃や破壊を確実に検出することができ、大幅な電圧変化による回路系の負担を回避することができる。これは、後述する検出回路の小型化、コストの低減化にもつながる。
【0045】
ここで、導電性フイルム10が適用される防犯センサー50の構成について図11A及び図11Bを参照しながら説明する。
【0046】
防犯センサー50は、図11Aに示すように、導電性フイルム10による検知回路42と、+側電極14aと−側電極14bに接続され、導電性フイルム10の導電部16(検知帯24、検知ブロック22、エクステントEX、セグメントSG)の抵抗値変化を検出する検出回路52とを有する。
【0047】
検出回路52は、+側電極14aから−側電極14bに向けてセンス電流を流し、+側電極14aと−側電極14b間の電圧を検出する。そして、例えば導電性フイルム10に対する攻撃あるいは破壊行為によって、例えば1つの検知ブロック22の導通がとれなくなると、該検知ブロック22が含まれるエクステントEX及びセグメントSGが導通できなくなる。その結果、検知回路42の合成抵抗が大きくなり、それに伴い、+側電極14a及び−側電極14b間の電圧も高くなる。この電圧変化を検出することで、例えば窓ガラスに対して攻撃あるいは破壊行為が行われたことを検出することができる。
【0048】
検出回路52は、例えば図11Bに示すように、+側電極14a及び−側電極14b間の電圧Vin(電極間電圧)と基準電圧Vbとを比較するコンパレータ54と、コンパレータ54の出力電圧に基づいて警告音等を出力する警告出力部56とを有するようにしてもよい。基準電圧Vbは、導電性フイルム10に対する攻撃あるいは破壊行為によって、1以上の検知ブロック22にわたる範囲の切断や破壊が行われた場合の電極間電圧よりも僅かに低い電圧に設定する。これにより、導電性フイルム10の検知帯24が断線していない場合あるいは経時変化等による微小な断線の場合においては、コンパレータ54から−側の電源電圧−Vdが出力され、警告出力部56からは警告音等は出力されない。そして、導電性フイルム10に対する攻撃や破壊行為によって、1以上の検知ブロック22にわたる範囲の切断や破壊が行われた場合に、電極間電圧Vinが基準電圧Vbよりも高くなるため、コンパレータ54から+側の電源電圧Vdが出力され、これにより、警告出力部56から警告音等が出力されることとなる。
【0049】
ここで、検知帯24を構成するメッシュパターン30の好ましい態様について説明する。
【0050】
先ず、メッシュパターン30の線幅Wa(図5B参照)は100μm以下が好ましく、さらに好ましくは、上限値が80μm以下、50μm以下、30μm以下、21μm以下、14μm以下、7μm以下、下限値が1μm以上、3μm以上、5μm以上である。線幅が上記下限値未満の場合には、導電性が不十分となるため、導電性フイルム10を防犯センサー50の検知部(検知回路42)に使用した場合に、検知感度が不十分となる。他方、上記上限値を越えると、金属細線26が目立つようになり、視認性が悪くなる。従って、上記範囲にあることで、検知感度及び視認性が良好となる。
【0051】
絶縁ライン32の幅Wb(図5B参照)も、メッシュパターン30の線幅Waと同様に、100μm以下が好ましく、さらに好ましくは、上限値が80μm以下、50μm以下、30μm以下、21μm以下、14μm以下、7μm以下、下限値が1μm以上、3μm以上、5μm以上である。また、検知帯24の幅Wc(図5B参照)は3mm以下が好ましく、さらに好ましくは、上限値が2mm以下、1.4mm以下であり、下限値が0.5mm以上、1mm以上である。
【0052】
メッシュパターン30の全光線透過率は50%以上が好ましく、さらに好ましくは、55%以上、60%以上、62%以上、68%以上、76%以上、82%以上である。これにより、透明性を良好に保つことが可能となる。
【0053】
メッシュパターン30のメッシュ28の配列ピッチは、1000μm以下が好ましく、さらに好ましくは、上限値が200μm以下、190μm以下、150μm以下、下限値が100μm以上、120μm以上である。配列ピッチが上記範囲である場合には、さらに透明性を良好に保つことが可能であり、窓ガラス等にとりつけた際に、金属細線26が目立つことがなく、違和感がない。
【0054】
また、検知ブロック22の辺のうち、最長の辺の長さLa(図4参照)は20mm以下が好ましく、さらに好ましくは、上限値が15mm以下、10mm以下、8mm以下であり、下限値が5mm以上、7mm以上である。辺の長さが上記下限値未満の場合には、検知感度が高くなりすぎるため、例えば経時変化の金属細線の劣化に伴う1mm程度の断線でも検出してしまい、警告音の誤報が発生するおそれがある。もちろん、検知感度を高めたい場合は、5mm以下でも構わない。他方、上記上限値を越えると、反対に検知感度が低下し、侵入を目的とした攻撃や破壊(5mm以上の断線)を検出できなくなるおそれがある。従って、上記範囲にあることで、侵入を目的とした攻撃や破壊(5mm以上の断線)を確実に検出することが可能となる。
【0055】
特に、侵入を目的とした攻撃や破壊(5mm以上の断線)を確実に検出して、それ以外の微小な断線を検出しないようにするために、以下のような構成を採用することが好ましい。
【0056】
すなわち、図5Cに示すように、例えば横方向の切断において、検知ブロック22の辺(横方向)の長さLa×検知帯24の幅Wcに相当する大きさを切断することで、1つの検知ブロック22の導通を遮断することができるが、検知帯24の幅Wcが極端に狭いと、簡単に検知ブロック22の導通が遮断されてしまい、誤って侵入を目的とした攻撃や破壊行為として検出(誤検出)するおそれがある。
【0057】
そこで、検知帯24のメッシュパターン30は、図5Cに示すように、検知帯24の幅Wc内において、金属細線26の電流の導通方向(導電方向da)に直交する方向dbに3個以上のメッシュ28が存在していることが好ましい。さらに好ましくは、導電方向daに直交する方向dbに3個以上10個以下のメッシュ28が存在していることであり、より好ましくは、導電方向daに直交する方向dbに3個以上5個以下のメッシュ28が存在していることである。
【0058】
これにより、侵入を目的とした攻撃や破壊を確実に検出し、それ以外の微小な断線を検出しないようにすることができる。
【0059】
また、図5Aに示すように、メッシュパターン30の水平方向に対する角度θとしては、30°〜60°を採用することができ、この場合、角度θを45°にしてもよいし、それ以外の角度にしてもよい。45°以外の角度を採用することで、横方向及び縦方向に延びる絶縁ライン32によるメッシュパターン30の切断形状に規則性がなくなり、メッシュパターン30をさらに目立たなくさせることができる。本実施の形態では、角度θを35°としている。
【0060】
上述した例では、図2に示すように、導電部16を6つのセグメントSG(SG1〜SG6)に分け、各セグメントSGに含まれる検知ブロック22を同数(横方向に7個、縦方向に30個)とし、下辺36aに第1接続部分20aを位置させ、上辺36bに第2接続部分20bを位置させるようにしたが、セグメントSGの数は1つでもよいし、6つ以外でもよい。また、各セグメントSGに含まれる検知ブロック22の個数も異なるようにしてもよい。また、上辺36bに第1接続部分20aを位置させ、下辺36aに第2接続部分20bを位置させるようにしてもよいし、左辺(又は右辺)に第1接続部分20aを位置させ、右辺(又は左辺)に第2接続部分20bを位置させるようにしてもよい。図12に、1つの変形例に係る導電性フイルム10を示す。この変形例に係る導電性フイルム10は、導電部16を5つのセグメントSG(第1セグメントSG1〜第5セグメントSG5)に分け、第1セグメントSG1〜第4セグメントSG4に含まれる検知ブロック22を同数(横方向に9個、縦方向に31個)とし、第5セグメントSG5に含まれる検知ブロック22の個数を横方向に7個、縦方向に31個とし、上辺36bに第1接続部分20aを位置させ、下辺36aに第2接続部分20bを位置させるようにしている。
【0061】
次に、上述した導電性フイルム10の各層の構成について説明する。
【0062】
[支持体]
導電性フイルム10の支持体12としては、プラスチックフイルム、プラスチック板等を挙げることができる。上記プラスチックフイルム及びプラスチック板の原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、EVA等のポリオレフィン類;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂;その他、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)等を用いることができる。製造される導電性フイルム10に透過性が要求される場合には、全可視光透過率は70〜100%であることが好ましく、85〜100%であることがより好ましく、90〜100%であることがさらに好ましく、PET、PC、アクリル樹脂を好適に用いることができる。また、加工性の観点からはPETを好適に用いることができる。支持体12は、目的に応じて着色されていてもよい。
【0063】
上記プラスチックフイルム及びプラスチック板は、単層で用いることもできるが、2層以上を組合わせた多層フイルムとして用いることもできる。
【0064】
支持体12には、該支持体12に対して導電部16を強固に接着させる目的で、予め、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザ処理、混酸処理、オゾン酸処理等の表面活性処理を施しておくことが好ましい。
【0065】
例えば、後述するように、支持体12上にハロゲン化銀含有乳剤層を設け、この乳剤層を露光、現像して金属銀部よりなる導電部16を形成する場合には、支持体12と導電部16との接着性(密着性)を確保するために、(1)前記表面活性処理を施した後、該表面上に直接ハロゲン化銀含有乳剤層を設ける方法、(2)一旦、前記表面活性処理を施した後、下塗り層を設け、該下塗り層上にハロゲン化銀含有乳剤層を設ける方法、が挙げられる。中でも、前記方法(2)により、支持体12と導電部16との密着性をより高めることができる。
【0066】
上記下塗り層は、単層でもよく2層以上でもよい。下塗り層は、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ブタジエン、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸等の中から選ばれた単量体を出発原料とする共重合体からなってもよく、ポリエチレンイミン、エポキシ樹脂、グラフト化ゼラチン、ニトロセルロース、ゼラチンからなってもよいが、ゼラチンを含むことが好ましい。下塗り層は、支持体12を膨潤させる化合物としてレゾルシンとp−クロルフェノールを含んでもよい。また、下塗り層がゼラチンを含む場合には、該下塗り層は、ゼラチン硬化剤としてクロム塩(クロム明ばん等)、アルデヒド類(ホルムアルデヒド、グルタールアルデヒド等)、イソシアネート類、活性ハロゲン化合物(2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジン等)、エピクロルヒドリン樹脂、活性ビニルスルホン化合物等を含んでもよい。また、下塗り層は、マット剤として、SiO2、TiO2、無機物微粒子又はポリメチルメタクリレート共重合体微粒子を含んでもよい。
【0067】
[導電部]
導電性フイルム10は、上述したように、支持体12に導電部16が設けられている。導電部16を構成する導電膜は、支持体12の片面に設けられていてもよいし、両面に設けられていてもよい。当該導電膜は、支持体12上に塗設されたハロゲン化銀及びバインダーを含有する銀塩含有乳剤層を所望のパターンで露光及び現像処理することで形成することができる。前記パターンを金属細線26からなる多数の格子の交点を有するメッシュパターン30とすることで、導電部16を構成する導電膜を形成させることができ、これにより、導電部16の光透過性を向上させることもできる。また、当該導電膜は、銀塩含有乳剤層の全面に露光し、現像処理することで形成してもよい。
【0068】
上記銀塩含有乳剤層は、ハロゲン化銀とバインダーの他、溶媒や染料等の添加剤を含んでもよい。上記銀塩含有乳剤層は1層でもよく、2層以上設けてもよい。乳剤層の厚さは、好ましくは0.05〜20μm、より好ましくは0.1〜10μmである。
【0069】
(銀塩)
上記銀塩含有乳剤層における銀塩はハロゲン化銀である。本実施の形態においては、光センサーとしての特性に優れるハロゲン化銀を用いることが好ましく、ハロゲン化銀に関する銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等で用いられる技術は、本実施の形態においても用いることができる。
【0070】
上記ハロゲン化銀に含有されるハロゲン元素は、塩素、臭素、ヨウ素及びフッ素のいずれであってもよく、これらの組み合わせでもよい。例えば、AgCl、AgBr、AgIを主体としたハロゲン化銀を好適に用いることができる。また、塩臭化銀、沃塩臭化銀、沃臭化銀を主体としたハロゲン化銀も好適に用いることができる。ここで、「AgBrを主体としたハロゲン化銀」とは、ハロゲン化銀組成物中に占める臭化物イオンのモル分率が50%以上のハロゲン化銀をいう。すなわち、AgBrを主体としたハロゲン化銀粒子は、臭化物イオンのほかに、沃化物イオン、塩化物イオンを含有してもよい。他のハロゲン化銀(AgCl、AgI等)を主体としたハロゲン化銀についても、上記「AgBr」を当該他のハロゲン化銀に置き換えて解釈する。
【0071】
銀塩含有乳剤層中のハロゲン化銀の含有量に特に制限はないが、銀に換算して0.1〜40g/m2であることが好ましく、0.5〜25g/m2であることがより好ましく、さらに3〜25g/m2、特に5〜20g/m2、さらに7〜15g/m2であることが好ましい。
【0072】
(バインダー)
上記銀塩含有乳剤層には、ハロゲン化銀粒子を均一に分散させ、且つ、銀塩含有乳剤層と支持体12との密着を補助する目的でバインダーが含まれる。当該バインダーとしては、非水溶性ポリマー及び水溶性ポリマーのいずれを用いてもよいが、水溶性ポリマーを用いることが好ましい。具体的には、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロース及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリサッカライド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース等を銀塩含有乳剤層のバインダーとして用いることができる。
【0073】
本実施の形態においては、上記銀塩含有乳剤層のバインダーとして、ゼラチンが好適に用いられる。
【0074】
上記銀塩含有乳剤層中のバインダーの含有量に特に制限はなく、分散性と密着性を発揮し得る範囲で適宜決定することができるが、銀(Ag)/バインダー(体積比)で1/1〜4/1であることが好ましく、1.5/1〜4/1であることがより好ましい。上記銀塩含有乳剤層中の銀/バインダー(体積比)を上記範囲内とすることで、成形後の金属銀部の破断をより確実に抑えることができる。
【0075】
(溶媒)
上記銀塩含有乳剤層の形成に用いられる溶媒に特に制限はなく、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、酢酸エチル等のエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。
【0076】
上記銀塩含有乳剤層に用いられる溶媒の含有量は、銀塩含有乳剤層に含有される溶媒以外の成分の合計100質量部に対して30〜90質量部の範囲であり、50〜80質量部の範囲であることが好ましい。
【0077】
(アクリル系ラテックス)
上記銀塩含有乳剤層には、支持体12との密着性を向上させる観点からアクリル系ラテックスを含有させることができる。アクリル系ラテックスとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、アセトキシエチルアクリレート等から選ばれる少なくとも1種のアクリル系モノマーを含む重合体の水系媒体中の分散物が挙げられる。
【0078】
上記銀塩含有乳剤層におけるラテックス/ゼラチン(質量比)は0.15/1〜2.0/1であることが好ましく、0.5/1〜1.0/1であることがより好ましい。
【0079】
(その他の添加剤)
上記銀塩含有乳剤層には、さらに各種添加剤が含まれてもよい。当該添加剤として、例えば、増粘剤、酸化防止剤、マット剤、滑剤、帯電防止剤、造核促進剤、分光増感色素、界面活性剤、カブリ防止剤、硬膜剤、黒ポツ防止剤等を挙げることができる。
【0080】
[保護層]
導電性フイルム10には、導電部16上に保護層が設けられていてもよい。保護層を設けることで、導電性フイルム10からの導電部16(導電膜)の脱落をより抑制することができる。保護層は、ゼラチンや高分子ポリマー等からなることが好ましい。保護層の厚みは0.02〜0.2μmであることが好ましく、0.05〜0.1μmであることがより好ましい。また、保護層は、導電部16上に直接設けられていてもよいし、導電部16上に下塗り層を設けてからその上に設けてもよい。
【0081】
次に、導電性フイルム10の作製について説明する。
【0082】
[導電性フイルムの作製]
導電性フイルム10は、支持体12上に設けられた銀塩含有乳剤層を所望のパターンに露光した後現像処理し、該支持体12上に、所望の形状の金属銀部を含む導電膜を形成させることで得られる。
【0083】
支持体12上にメッシュパターン30を形成する場合は、露光、現像処理によって、メッシュ状で、且つ、直線が略直交した形態の直線格子パターンや、交差部間の導電部分が少なくとも1つの湾曲を有する波線格子パターン等を形成することが好ましい。導電部16の金属銀部の形状がメッシュパターン30である場合において、メッシュパターン30のピッチ(金属銀部の線幅と開口部の幅の合計)は、1000μm以下であることが好ましい。
【0084】
(パターン露光)
銀塩含有乳剤層をパターン状に露光する方法は、フォトマスクを利用した面露光で行ってもよいし、レーザビームによる走査露光で行ってもよい。この際、レンズを用いた屈折式露光でも反射鏡を用いた反射式露光でもよく、コンタクト露光、プロキシミティー露光、縮小投影露光、反射投影露光等の露光方式を用いることができる。
【0085】
(現像処理)
銀塩含有乳剤層は、露光がなされた後、さらに現像処理が施される。現像処理は、銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の現像処理の技術を用いることができる。
【0086】
本実施の形態では、露光及び現像処理を行うことによって、露光部分に導電部分(金属銀部)が形成されると共に、未露光部に開口部(光透過性部)が形成される。乳剤層への現像処理は、未露光部の銀塩を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を含むことができる。乳剤層に対する定着処理は、銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる定着処理の技術を用いることができる。
【0087】
(レーザエッチング)
導電性フイルム10の導電部16(導電膜)に対して、絶縁ライン32となる部分にレーザ光を照射し、この部分の金属を選択的に除去する。ここで用いる条件として、レーザ波長の選択は特に重要である。レーザ波長として400nm以上を選択することにより、支持体12への損傷なく、導電膜のエッチングが可能であり、さらには500nm以上が好ましい。導電膜に照射するレーザ光としては、YAGレーザ、炭酸ガスレーザ等を用いることができる。導電膜に対するレーザ光の照射は、コンピュータによって制御されるXY方向のスキャン機構を具備したレーザ照射装置により行うことができる。この場合、例えばオフラインティーチングによって、予め設定された絶縁ライン32のパターン形状の情報をコンピュータのメモリに入力しておき、レーザ照射装置の駆動時にメモリからパターン形状の情報を読み出して、読み出した情報に基づいてスキャン機構を制御しながらレーザ光を導電膜に照射して導電膜に絶縁ライン32を形成するようにしてもよい。
【0088】
上述したレーザエッチングを行って絶縁ライン32を形成する場合、導電膜の厚みは、5μm以下が好ましい。厚すぎるとエッチングに必要なレーザ光の出力を大きくしなければならず、支持体12に損傷を生じさせるおそれがあるため好ましくない。
【0089】
なお、導電性フイルム10の作製に関しては、下記表1及び表2に記載の公開公報及び国際公開パンフレットの技術と適宜組合わせて使用することができる。「特開」、「号公報」、「号パンフレット」等の表記は省略する。
【0090】
【表1】
【0091】
【表2】
【0092】
本実施の形態において、導電性向上、成型性向上のため、蒸気処理、カレンダー処理、キセノン照射処理を行うことが望ましい。
【0093】
<キセノン照射>
現像処理を終えた金属銀部に対してキセノンフラッシュランプからのパルス光を照射することができる。照射量は、1パルスあたり1J以上、1500J以下とすることが好ましく、100J以上1000J以下とすることがより好ましく、500J以上800J以下とすることがさらに好ましい。照射量は、一般的な紫外線照度計を用いて測定することができる。一般的な紫外線照度計は、例えば300〜400nmに検出ピークを有する照度計を用いることができる。
【0094】
金属銀部に照射する光は、紫外線、電子ビーム、X線、γ線、赤外線等の輻射線等が挙げられる。汎用性の点から、紫外線が好ましい。紫外線を照射する光源としては、特に制限はないが、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、フラッシュランプ(例えばキセノンフラッシュランプ)等が挙げられる。本実施の形態においては、金属銀の導電性及び成型性を向上させることと、汎用性の点から、キセノンフラッシュランプが好ましく、例えばウシオ電器社製のキセノンフラッシュランプ等が挙げられる。
【0095】
パルス光の照射回数は1回以上、50回以下が好ましく、1回以上、30回以下が好ましい。
【0096】
キセノン照射処理は、相対湿度5%以上、且つ、結露しない調湿条件下の湿熱雰囲気中で行われる。導電性/成型性が向上する理由についてはまだ定かではないが、少なくとも一部の水溶性バインダーが湿度の上昇とともに微小移動しやすくなり、金属(導電性物質)同士の結合部位が増加しているものと考えられる。
【0097】
湿熱雰囲気中の相対湿度は、好ましくは5%〜100%であり、より好ましくは40%〜100%であり、さらに好ましくは60%〜100%であり、特に好ましくは80%〜100%である。
【0098】
<平滑化処理(カレンダー処理)>
現像後に、金属銀部を平滑化処理する平滑化処理を行うことで、金属銀部における金属粒子同士の結合部分が増加し、金属銀部の導電性、成型性が顕著に増大する。
【0099】
平滑化処理は、例えばカレンダーロールにより行うことができる。カレンダーロールは、通常、一対のロールにて構成される。以下、カレンダーロールを用いた平滑化処理をカレンダー処理と記す。
【0100】
カレンダー処理に用いられるロールとしては、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等のプラスチックロール又は金属ロールが用いられる。特に両面に銀塩乳剤層を有する場合は、金属ロール同士で処理することが好ましい。片面に銀塩乳剤層を有する場合は、シワ防止の点から金属ロールとプラスチックロールの組み合わせとすることもできる。線圧力の下限値は、好ましくは1960N/cm(200kgf/cm)以上、さらに好ましくは2940N/cm(300kgf/cm)以上である。線圧力の上限値は、好ましくは6860N/cm(700kgf/cm)以下である。ここで、線圧力(荷重)とは、カレンダー処理されるフイルム試料1cm当たりにかかる力である。
【0101】
カレンダーロールで代表されるカレンダー処理の適用温度は、10℃(温調なし)〜100℃が好ましく、より好ましい温度は、金属メッシュ状パターンや金属配線パターンの画線密度や形状、バインダー種によって異なるが、おおよそ10℃(温調なし)〜50℃の範囲である。
【0102】
<温水処理又は蒸気処理>
支持体12上に現像銀で構成された銀メッシュ層(メッシュパターン30)を形成した後、温水ないしはそれ以上の温度の加熱水に浸漬させる温水処理か、又は水蒸気に接触させる蒸気処理を行うことが好ましい。これにより短時間で簡便に導電性及び成型性を向上させることができる。水溶性バインダーの一部が除去されて現像銀(導電性物質)同士の結合部位が増加しているものと考えられる。
【0103】
本プロセスは、現像処理後に実施できるが、平滑化処理後に行うことが望ましい。
【0104】
温水処理で使用される温水の温度は好ましくは60℃以上100℃以下であり、より好ましくは80℃〜100℃である。また、蒸気処理で使用される水蒸気の温度は、1気圧で100℃以上140℃以下が好ましい。温水処理又は蒸気処理の処理時間は、使用する水溶性バインダーの種類によって異なるが、支持体12のサイズが60cm×1mの場合、約10秒間〜約5分間程度が好ましく、約1分間〜約5分間がさらに好ましい。
【実施例】
【0105】
以下に、本発明の実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例に示される材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0106】
実施例1〜28について、メッシュパターン30のメッシュ28の配列ピッチ、メッシュパターン30の線幅を変えたときの1検知ブロック、1エクステント、1セグメント、全体の抵抗値と、1箇所を切断して、1つのセグメントに含まれる1つの検知帯の導通ができなくなったときの抵抗変化(以下、1箇所切れたときの抵抗変化と記す)、並びに透過率を確認した。
【0107】
(実施例1)
[乳剤の調製]
・1液:
水 750mL
フタル化処理ゼラチン 20g
塩化ナトリウム 3g
1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−チオン 20mg
ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 10mg
クエン酸 0.7g
・2液:
水 300mL
硝酸銀 150g
・3液:
水 300mL
塩化ナトリウム 38g
臭化カリウム 32g
ヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム
(0.005%KCl 20%水溶液) 5mL
ヘキサクロロロジウム酸アンモニウム
(0.001%NaCl 20%水溶液) 7mL
3液に用いるヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム(0.005%KCl 20%水溶液)及びヘキサクロロロジウム酸アンモニウム(0.001%NaCl 20%水溶液)は、それぞれの錯体粉末をそれぞれKCl20%水溶液、NaCl20%水溶液に溶解し、40℃で120分間加熱して調製した。
【0108】
38℃、pH4.5に保たれた1液に、2液と3液の各々90%に相当する量を攪拌しながら同時に20分間にわたって加え、0.16μmの核粒子を形成した。続いて下記4液、5液を8分間にわたって加え、さらに、2液と3液の残りの10%の量を2分間にわたって加え、0.21μmまで成長させた。さらに、ヨウ化カリウム0.15gを加え5分間熟成し粒子形成を終了した。
【0109】
・4液:
水 100mL
硝酸銀 50g
・5液:
水 100mL
塩化ナトリウム 13g
臭化カリウム 11g
黄血塩 5mg
その後、常法に従ってフロキュレーション法によって水洗した。具体的には、温度を35℃に下げ、硫酸を用いてハロゲン化銀が沈降するまでpHを下げた(pH3.6±0.2の範囲であった)。次に、上澄み液を約3リットル除去した(第一水洗)。さらに3リットルの蒸留水を加えてから、ハロゲン化銀が沈降するまで硫酸を加えた。再度、上澄み液を3リットル除去した(第二水洗)。第二水洗と同じ操作をさらに1回繰り返して(第三水洗)、水洗・脱塩行程を終了した。水洗・脱塩後の乳剤をpH6.4、pAg7.5に調整し、安定剤として1,3,3a,7−テトラアザインデン100mg、防腐剤としてプロキセル(商品名、ICI Co.,Ltd.製)100mgを加えた。最終的に塩化銀を70モル%、沃化銀を0.08モル%含む平均粒子径0.22μm、変動係数9%のヨウ塩臭化銀立方体粒子乳剤を得た。最終的に乳剤として、pH=6.4、pAg=7.5、電導度=4000μS/cm、密度=1.4×103kg/m3、粘度=20mPa・sとなった。
【0110】
[乳剤層塗布液の調製]
上記乳剤に下記化合物(Cpd−1)8.0×10−4モル/モルAg、1,3,3a,7−テトラアザインデン1.2×10−4モル/モルAgを添加しよく混合した。次いで、膨潤率調製のため必要により、下記化合物(Cpd−2)を添加し、クエン酸を用いて塗布液pHを5.6に調整した。
【0111】
【化1】
【0112】
[支持体]
支持体12として、上面から見て長方形状で、厚さが100μmのPETフイルムの両面にコロナ放電処理を行い、表面親水化処理したものを用いた。
【0113】
[感光フイルムの調製]
上記のコロナ放電処理PETフイルムに、上記の乳剤層塗布液をAg7.8g/m2、ゼラチン1.0g/m2になるように塗布した。
【0114】
得られた感光フイルムは、乳剤層の銀/バインダー体積比率(銀/GEL比(vol))が1/1であった。
【0115】
[露光・現像処理]
次いで、上記感光フイルムにライン/スペース=100μm/900μmの現像銀像を与えうる格子状のフォトマスクライン/スペース=900μm/100μm(ピッチ1000μm)の、スペースが格子状であるフォトマスクを介して高圧水銀ランプを光源とした平行光を用いて露光した。このとき、+側電極14a及び−側電極14b、中継配線34等を形成するための露光も併せて行った。その後、定着、水洗、乾燥という工程を含む処理を行った。
【0116】
(現像液の組成)
現像液1リットル中に、以下の化合物が含まれる。
ハイドロキノン 15g/L
亜硫酸ナトリウム 30g/L
炭酸カリウム 40g/L
エチレンジアミン・四酢酸 2g/L
臭化カリウム 3g/L
ポリエチレングリコール2000 1g/L
水酸化カリウム 4g/L
pH10.5に調整
【0117】
(定着液の組成)
定着液1リットル中に、以下の化合物が含まれる。
チオ硫酸アンモニウム(75%) 300ml
亜硫酸アンモニウム・一水塩 25g/L
1,3-ジアミノプロパン・四酢酸 8g/L
酢酸 5g/L
アンモニア水(27%) 1g/L
ヨウ化カリウム 2g/L
pH6.2に調整
【0118】
これにより、導電部16を有する導電性フイルム10、すなわち、導電部16がメッシュパターン30を有する検知帯24、検知ブロック22、エクステントEX、セグメントSGにより区画され、+側電極14a及び−側電極14b、中継配線34等を有する導電性フイルム10を得た。メッシュパターン30の厚みは2μm、メッシュパターン30の線幅Waは100μm、メッシュ28の配列ピッチは1000μmである。
【0119】
[レーザエッチング]
上述した導電性フイルム10の導電部16(導電膜)にレーザエッチングを行って、図2〜図4に示すように、渦巻状の絶縁ライン32と、複数のエクステントEX並びに複数のセグメントSGに区分するための直線状の絶縁ライン32を形成して、図2に示すように、第1セグメントSG1〜第6セグメントSG6、第1エクステントEX1〜第7エクステントEX7、複数の検知ブロック22及び検知帯24を有する実施例1に係る導電性フイルムを作製した。レーザエッチングは、レーザ光のスポット径が30μm、すなわち、絶縁ライン32の幅Wbが30μmとなるように、レーザ光を照射して行った。
【0120】
(レーザエッチング:加工機)
レーザ:スペクトラフィジックス製HIPPO532−11W機
ガルバノスキャナ:YE−DATA製
fθレンズ:F=100
【0121】
(加工条件)
周波数:30kHz
加工点出力:140mW
走査速度:300mm/sec
繰り返し走査:1回
【0122】
(実施例2〜4)
実施例2、3、4は、メッシュパターン30の線幅Waを80μm、50μm、30μmとした点以外は、上述した実施例1と同様の方法で作製した。
【0123】
(実施例5)
実施例5は、メッシュパターン30のメッシュ28の配列ピッチを300μmとし、メッシュパターン30の線幅Waを80μmとした点以外は、上述した実施例1と同様の方法で作製した。
【0124】
(実施例6〜8)
実施例6、7、8は、メッシュパターン30の線幅Waを50μm、30μm、21μmとした点以外は、上述した実施例5と同様の方法で作製した。
【0125】
(実施例9)
実施例9は、メッシュパターン30のメッシュ28の配列ピッチを200μmとし、メッシュパターン30の線幅Waを50μmとした点以外は、上述した実施例1と同様の方法で作製した。
【0126】
(実施例10〜12)
実施例10、11、12は、メッシュパターン30の線幅Waを30μm、21μm、14μmとした点以外は、上述した実施例9と同様の方法で作製した。
【0127】
(実施例13)
実施例13は、メッシュパターン30のメッシュ28の配列ピッチを190μmとし、メッシュパターン30の線幅Waを30μmとした点以外は、上述した実施例1と同様の方法で作製した。
【0128】
(実施例14〜16)
実施例14、15、16は、メッシュパターン30の線幅Waを21μm、14μm、7μmとした点以外は、上述した実施例13と同様の方法で作製した。
【0129】
(実施例17)
実施例17は、メッシュパターン30のメッシュ28の配列ピッチを150μmとし、メッシュパターン30の線幅Waを21μmとした点以外は、上述した実施例1と同様の方法で作製した。
【0130】
(実施例18〜20)
実施例18、19、20は、メッシュパターン30の線幅Waを14μm、7μm、5μmとした点以外は、上述した実施例17と同様の方法で作製した。
【0131】
(実施例21)
実施例21は、メッシュパターン30のメッシュ28の配列ピッチを120μmとし、メッシュパターン30の線幅Waを21μmとした点以外は、上述した実施例1と同様の方法で作製した。
【0132】
(実施例22〜24)
実施例22、23、24は、メッシュパターン30の線幅Waを14μm、7μm、5μmとした点以外は、上述した実施例21と同様の方法で作製した。
【0133】
(実施例25)
実施例25は、メッシュパターン30のメッシュ28の配列ピッチを100μmとし、メッシュパターン30の線幅Waを14μmとした点以外は、上述した実施例1と同様の方法で作製した。
【0134】
(実施例26〜28)
実施例26、27、28は、メッシュパターン30の線幅Waを7μm、5μm、3μmとした点以外は、上述した実施例25と同様の方法で作製した。
【0135】
なお、上述した実施例1〜28において、検知帯24の幅Wcを1mm以上3mm以下の範囲となるように、且つ、検知帯24の幅Wc内において、金属細線26の導電方向daに直交する方向dbに3個以上10個以下のメッシュ28が存在するように調整した。また、検知ブロック22の辺のうち、最長の辺の長さLa(図4参照)が5mm以上20mm以下となるように調整した。
【0136】
[評価]
(抵抗)
実施例1〜28について、1検知ブロック22の抵抗値、1エクステントEXの抵抗値、1セグメントSGの抵抗値を測定し、さらに、全体の抵抗値を求めた。
【0137】
1検知ブロック22の抵抗値は、1検知ブロック22を構成する検知帯24の一端と他端との間の抵抗値を測定し、1エクステントEXの抵抗値は、1エクステントEXにおける下辺36a側の検知帯24の一端と上辺36b側の検知帯24の他端との間の抵抗値を測定した。1セグメントSGの抵抗値は、1セグメントSGの第1接続部分20aと第2接続部分20bとの間の抵抗値を測定した。全体の抵抗値は、+側電極14aと−側電極14b間の抵抗値を測定した。
【0138】
(1箇所切れたときの抵抗変化)
並列接続された6つのセグメントのうち、1つのセグメントが切断した場合の+側電極14aと−側電極14b間の抵抗値を測定し、この抵抗値と、切断前の全体の抵抗値との差を抵抗変化とした。
【0139】
(光透過率)
実施例1〜28について光透過率を測定した。
【0140】
[評価結果]
評価結果を表3に示す。
【0141】
【表3】
【0142】
表3から、実施例1〜28のいずれも透過率が50%以上であった。特に、実施例3、4、8、12、15、16、19、20、23、24、26〜28は、透過率が76%以上であり、その中でも、実施例4、16、20、28は透過率が82%以上であった。
【0143】
また、1箇所切れたときの抵抗変化は、例えば実施例5の6.8kオームが最も低く、例えば実施例4及び28の56kオームが最も高かった。例えばセンサ電流として、1mAの電流を流した場合、電圧変化としては、実施例5が6.8V、実施例4及び28が56Vとなる。通常、コンパレータの入力段には、TTLレベル(5V以下)のFET(電界効果トランジスタ)が接続されていることから、該トランジスタのゲート耐圧を考慮すると、コンパレータの入力側に降圧回路を設置するか、あるいは、トランジスタとして高電圧トランジスタを使用する必要があり、検出回路の大型化が懸念される。そこで、センス電流として例えば0.5mA以下の電流を流すようにすれば、小型で安価なコンパレータを使用することが可能となる。しかも、消費電力(待機時消費電力)も大幅に低減させることができる。例えば実施例5の6.8kオームの場合は、0.5mAのセンス電流を流すことで、3.4Vの電圧変化となり、実施例4及び28の56kオームの場合は、0.08mAのセンス電流を流すことで、4.48Vの電圧変化となり、小型で安価なコンパレータを使用することが可能となる。もちろん、複数個所の切断を考慮して、センス電流の電流値をさらに小さくしてもよい。
【0144】
なお、本発明に係る防犯センサー用導電性フイルム、防犯センサー及び導電性フイルムは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0145】
10…導電性フイルム 12…支持体
14a…+側電極 14b…−側電極
16…導電部 18a…第1周辺配線
18b…第2周辺配線 20a…第1接続部分
20b…第2接続部分 22…検知ブロック
24…検知帯 26…金属細線
28…メッシュ 30…メッシュパターン
32…絶縁ライン 34…中継配線
34a〜34f…第1中継配線〜第6中継配線
38…微小抵抗体 40…抵抗体
42…検知回路 50…防犯センサー
52…検出回路 54…コンパレータ
56…警告出力部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、
前記支持体の一方の主面に形成され、+側電極と−側電極とに電気的に接続される導電部とを有し、
前記導電部は、前記+側電極との第1接続部分と前記−側電極との第2接続部分にかけて形成された所定の形状の検知ブロックを有し、
前記検知ブロックは、外部からの攻撃による該検知ブロック内の電気的変化を検出可能なものであり、
前記検知ブロックは、その最長の辺の長さが20mm以下であることを特徴とする防犯センサー用導電性フイルム。
【請求項2】
請求項1記載の防犯センサー用導電性フイルムにおいて、
前記検知ブロックは、金属細線からなるメッシュが多数配列されたメッシュパターンにて構成されていることを特徴とする防犯センサー用導電性フイルム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の防犯センサー用導電性フイルムにおいて、
前記検知ブロックは電気的な接続方向に10個以上が配列していることを特徴とする防犯センサー用導電性フイルム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の防犯センサー用導電性フイルムにおいて、
前記導電部は、2以上のセグメントに分離され、
各前記セグメントは、前記第1接続部分と前記第2接続部分とをそれぞれ有し、
前記第1接続部分から前記第2接続部分にかけて10個以上の前記検知ブロックが配列されていることを特徴とする防犯センサー用導電性フイルム。
【請求項5】
請求項4記載の防犯センサー用導電性フイルムにおいて、
各前記セグメントの前記第1接続部分はそれぞれ前記+側電極に共通に接続され、
各前記セグメントの前記第2接続部分はそれぞれ前記−側電極に共通に接続され、
2以上の前記セグメントが並列接続されていることを特徴とする防犯センサー用導電性フイルム。
【請求項6】
請求項4又は5記載の防犯センサー用導電性フイルムにおいて、
各前記セグメントは、それぞれ導電方向に延びる複数のエクステントを有し、
各前記エクステントは、10個以上の前記検知ブロックが配列されていることを特徴とする防犯センサー用導電性フイルム。
【請求項7】
請求項6記載の防犯センサー用導電性フイルムにおいて、
各前記セグメント内の前記複数のエクステントは、それぞれ中継配線を介して直列接続されていることを特徴とする防犯センサー用導電性フイルム。
【請求項8】
請求項2記載の防犯センサー用導電性フイルムにおいて、
前記検知ブロックは、
前記メッシュパターンに形成された蛇行形状の電気的絶縁ラインによって形作られる検知帯を有することを特徴とする防犯センサー用導電性フイルム。
【請求項9】
請求項8記載の防犯センサー用導電性フイルムにおいて、
前記検知帯の幅は、3mm以下であることを特徴とする防犯センサー用導電性フイルム。
【請求項10】
請求項8又は9記載の防犯センサー用導電性フイルムにおいて、
前記電気的絶縁ラインの幅は、100μm以下であることを特徴とする防犯センサー用導電性フイルム。
【請求項11】
請求項1記載の防犯センサー用導電性フイルムにおいて、
前記検知ブロックによる2以上の微小抵抗体が直列接続されて1つの抵抗体が構成され、
2以上の前記抵抗体が直列接続されて1つの抵抗体群が構成され、
前記抵抗体群の一端が前記+側電極に電気的に接続される前記第1接続部分であり、
前記抵抗体群の他端が前記−側電極に電気的に接続される前記第2接続部分であることを特徴とする防犯センサー用導電性フイルム。
【請求項12】
請求項11記載の防犯センサー用導電性フイルムにおいて、
2以上の前記抵抗体群の各前記第1接続部分が前記+側電極に共通に接続され、
2以上の前記抵抗体群の各前記第2接続部分が前記−側電極に共通に接続され、
2以上の前記抵抗体群が並列接続されていることを特徴とする防犯センサー用導電性フイルム。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の防犯センサー用導電性フイルムの前記検知ブロックにて構成される検知回路と、
前記+側電極と前記−側電極に接続され、前記防犯センサー用導電性フイルムの前記検知ブロックの抵抗値変化を検出する検出回路と、
を有することを特徴とする防犯センサー。
【請求項14】
請求項13記載の防犯センサーにおいて、
前記検知回路が並列回路であることを特徴とする防犯センサー。
【請求項15】
請求項13又は14記載の防犯センサーにおいて、
前記検出回路は、前記検知ブロックの切断及び前記検知ブロックの抵抗値変化のうち、いずれか1つ以上を検出することを特徴とする防犯センサー。
【請求項16】
支持体と、
前記支持体の一方の主面に形成され、+側電極と−側電極とに電気的に接続される導電部とを有し、
前記導電部は、前記+側電極との第1接続部分と前記−側電極との第2接続部分にかけて形成された所定の形状の検知ブロックを有し、
前記検知ブロックは、外部からの攻撃による該検知ブロック内の電気的変化を検出可能なものであり、
前記検知ブロックは、その最長の辺の長さが20mm以下であることを特徴とする導電性フイルム。
【請求項1】
支持体と、
前記支持体の一方の主面に形成され、+側電極と−側電極とに電気的に接続される導電部とを有し、
前記導電部は、前記+側電極との第1接続部分と前記−側電極との第2接続部分にかけて形成された所定の形状の検知ブロックを有し、
前記検知ブロックは、外部からの攻撃による該検知ブロック内の電気的変化を検出可能なものであり、
前記検知ブロックは、その最長の辺の長さが20mm以下であることを特徴とする防犯センサー用導電性フイルム。
【請求項2】
請求項1記載の防犯センサー用導電性フイルムにおいて、
前記検知ブロックは、金属細線からなるメッシュが多数配列されたメッシュパターンにて構成されていることを特徴とする防犯センサー用導電性フイルム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の防犯センサー用導電性フイルムにおいて、
前記検知ブロックは電気的な接続方向に10個以上が配列していることを特徴とする防犯センサー用導電性フイルム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の防犯センサー用導電性フイルムにおいて、
前記導電部は、2以上のセグメントに分離され、
各前記セグメントは、前記第1接続部分と前記第2接続部分とをそれぞれ有し、
前記第1接続部分から前記第2接続部分にかけて10個以上の前記検知ブロックが配列されていることを特徴とする防犯センサー用導電性フイルム。
【請求項5】
請求項4記載の防犯センサー用導電性フイルムにおいて、
各前記セグメントの前記第1接続部分はそれぞれ前記+側電極に共通に接続され、
各前記セグメントの前記第2接続部分はそれぞれ前記−側電極に共通に接続され、
2以上の前記セグメントが並列接続されていることを特徴とする防犯センサー用導電性フイルム。
【請求項6】
請求項4又は5記載の防犯センサー用導電性フイルムにおいて、
各前記セグメントは、それぞれ導電方向に延びる複数のエクステントを有し、
各前記エクステントは、10個以上の前記検知ブロックが配列されていることを特徴とする防犯センサー用導電性フイルム。
【請求項7】
請求項6記載の防犯センサー用導電性フイルムにおいて、
各前記セグメント内の前記複数のエクステントは、それぞれ中継配線を介して直列接続されていることを特徴とする防犯センサー用導電性フイルム。
【請求項8】
請求項2記載の防犯センサー用導電性フイルムにおいて、
前記検知ブロックは、
前記メッシュパターンに形成された蛇行形状の電気的絶縁ラインによって形作られる検知帯を有することを特徴とする防犯センサー用導電性フイルム。
【請求項9】
請求項8記載の防犯センサー用導電性フイルムにおいて、
前記検知帯の幅は、3mm以下であることを特徴とする防犯センサー用導電性フイルム。
【請求項10】
請求項8又は9記載の防犯センサー用導電性フイルムにおいて、
前記電気的絶縁ラインの幅は、100μm以下であることを特徴とする防犯センサー用導電性フイルム。
【請求項11】
請求項1記載の防犯センサー用導電性フイルムにおいて、
前記検知ブロックによる2以上の微小抵抗体が直列接続されて1つの抵抗体が構成され、
2以上の前記抵抗体が直列接続されて1つの抵抗体群が構成され、
前記抵抗体群の一端が前記+側電極に電気的に接続される前記第1接続部分であり、
前記抵抗体群の他端が前記−側電極に電気的に接続される前記第2接続部分であることを特徴とする防犯センサー用導電性フイルム。
【請求項12】
請求項11記載の防犯センサー用導電性フイルムにおいて、
2以上の前記抵抗体群の各前記第1接続部分が前記+側電極に共通に接続され、
2以上の前記抵抗体群の各前記第2接続部分が前記−側電極に共通に接続され、
2以上の前記抵抗体群が並列接続されていることを特徴とする防犯センサー用導電性フイルム。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の防犯センサー用導電性フイルムの前記検知ブロックにて構成される検知回路と、
前記+側電極と前記−側電極に接続され、前記防犯センサー用導電性フイルムの前記検知ブロックの抵抗値変化を検出する検出回路と、
を有することを特徴とする防犯センサー。
【請求項14】
請求項13記載の防犯センサーにおいて、
前記検知回路が並列回路であることを特徴とする防犯センサー。
【請求項15】
請求項13又は14記載の防犯センサーにおいて、
前記検出回路は、前記検知ブロックの切断及び前記検知ブロックの抵抗値変化のうち、いずれか1つ以上を検出することを特徴とする防犯センサー。
【請求項16】
支持体と、
前記支持体の一方の主面に形成され、+側電極と−側電極とに電気的に接続される導電部とを有し、
前記導電部は、前記+側電極との第1接続部分と前記−側電極との第2接続部分にかけて形成された所定の形状の検知ブロックを有し、
前記検知ブロックは、外部からの攻撃による該検知ブロック内の電気的変化を検出可能なものであり、
前記検知ブロックは、その最長の辺の長さが20mm以下であることを特徴とする導電性フイルム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−88989(P2013−88989A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228368(P2011−228368)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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