説明

防犯灯及びそれを利用した緊急通報システム

【課題】緊急事態の発生場所を、その発生場所から離れた場所からでも特定しやすい防犯灯及びそれを利用した緊急通報システムを提供する。
【解決手段】防犯灯100が緊急発信器から緊急信号を受信したときは、警報灯120及び矢印表示器140を、緊急事態発生場所の最寄位置であることを示す第1の態様で動作させるとともに、近接する1つ以上の他の防犯灯に緊急事態の発生を通知する伝達信号を送信する。また、前記防犯灯100が、近接する他の防犯灯から伝達信号を受信したときは、その警報灯を前記伝達信号の送信元の警報灯とは異なる第2の態様で動作させるとともに、その矢印表示器によって伝達信号の送信元の防犯灯の方向を表示する。前記緊急発信器が移動型発信器であり、複数の防犯灯で緊急信号を傍受する場合には、各防犯灯における緊急信号の受信強度に応じて、防犯灯の動作態様を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事件,事故などの緊急事態の発生を報知するための防犯灯とそれを利用した緊急通報システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
緊急事態の発生を報知するための防犯灯システムとしては、例えば、下記特許文献1の緊急事態通報システムがある。これは、周囲に人がいない公共の場所や自宅で緊急事態が生じた場合でも、それを通報して救援を求めることができることを目的とするもので、個人宅に設けられた個人専用の通報装置は、個人専用の携帯発信器にのみ応答して緊急を知らせる個人用の音声を通報し、外灯のポールに設けられた公共用の通報装置は、個人専用および公共用の携帯発信器に応答して、緊急を知らせる公共用の音声を通報する。
【0003】
下記特許文献2には、前記特許文献1の技術を改良し、防犯エリア内において携帯電話等から緊急信号が発信されるか、非常用押しボタンが押されたときは、その防犯灯の警報灯を赤色に点滅させるとともに警報音を発報し、更に、近接する他の防犯灯に向けて伝達信号を送信して、他の防犯灯において警報灯を黄色に点滅させ、警報音を発報するようにした防犯灯及び緊急通報システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−37177号公報(第10図)
【特許文献2】国際公開WO2008/102818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した特許文献2記載の技術において、緊急事態が生じた防犯灯の周囲の防犯灯については警報灯が黄色に点滅するが、道路の状況によっては、赤色が点滅している防犯灯を視認することができず、緊急事態の発生場所が必ずしも明瞭とはいえない場合がある。しかし、警報灯が黄色に点滅する位置から、警報灯が赤色に点滅する位置,すなわち緊急事態の発生現場の方向が分かれば、警察官等が現場に駆けつける,事件に巻き込まれないように非難する,といった行動がとりやすくなり、緊急事態に対する迅速な対処が可能となる。
【0006】
本発明は、以上のような点に着目したもので、緊急事態の発生場所を、その発生場所から離れた場所からでも特定しやすい防犯灯及びそれを利用した緊急通報システムを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、緊急事態の発生に伴って緊急信号発信手段から緊急信号が発信されたときに動作する防犯灯であって、防犯灯間で信号の送受信を行う送受信手段,近隣に緊急事態の発生を報知する警報手段,前記緊急事態が生じた方向を示す方向表示手段,いずれの防犯灯よりも近い位置で前記緊急信号発信手段から緊急信号を受信したときは、前記警報手段及び前記方向表示手段の少なくとも一方を、緊急事態発生場所の最寄位置であることを示す第1の態様で動作させるとともに、近接する少なくとも1つの他の防犯灯に対して、緊急事態の発生を通知する伝達信号を前記送受信手段により送信し、他の防犯灯からの伝達信号を受信したときは、前記警報手段を前記第1の態様とは異なる第2の態様で動作させるとともに、前記伝達信号の送信元の防犯灯の方向又はその逆方向を前記方向表示手段に表示する駆動制御手段,を備えたことを特徴とする。
【0008】
主要な形態の一つは、前記他の防犯灯から受信する伝達信号に、緊急信号発信手段から発信された緊急信号強度の情報が含まれており、前記駆動制御手段は、複数の防犯灯で緊急信号を受信したときは、それらの信号強度を前記送受信手段で受信して比較し、自己の信号強度が最も強い場合には、いずれの防犯灯よりも近い位置で前記緊急信号発信手段から緊急信号を受信したと判断することを特徴とする。
【0009】
他の形態の一つは、前記他の防犯灯から受信する伝達信号に、当該防犯灯のIDが含まれており、前記駆動制御手段は、前記第2の態様で動作する際に、前記伝達信号に含まれている他の防犯灯のIDと自己のIDとを比較して、前記送信元の防犯灯の方向又はその逆方向を決定することを特徴とする。
【0010】
他の発明は、前記いずれかの防犯灯を多数含む緊急通報システムであって、
(1)前記防犯灯もしくは前記緊急信号発信手段から警報作動情報を受信したときに、その旨を予め設定した通報先に通知するか、
(2)前記防犯灯もしくは前記緊急信号発信手段から警報作動情報を受信したときに、犯人の逃走予測位置を演算して表示するか、もしくは、
(3)前記防犯灯と通信可能であって、各防犯灯における前記駆動制御手段の動作の少なくとも一部を、各防犯灯に代わって集中して行う、
緊急通報受理機関を含むことを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、最も近い位置で緊急信号を受信した防犯灯では、警報手段及び方向表示手段の少なくとも一方を、緊急事態発生場所の最寄位置であることを示す第1の態様で動作させるとともに、近接する少なくとも1つの他の防犯灯に対して、緊急事態の発生を通知する伝達信号を送信し、伝達信号を受信した他の防犯灯では、警報手段を前記第1の態様とは異なる第2の態様で動作させるとともに、前記伝達信号の送信元の防犯灯の方向又はその逆方向を前記方向表示手段に表示することとしたので、緊急事態の発生場所もしくは避難方向を、離れた位置からでも容易に特定することができる。
【0012】
また、近隣の人々や特定の機関等に緊急事態の発生を報知することとしたので、積極的に救助等を求めることが可能となり、犯人の逃走予測位置を表示することとしたので、犯人の追跡や確保に役立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1の緊急通報システムの全体構成を示す模式図である。
【図2】前記実施例1の防犯灯の駆動制御装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図3】前記実施例1による方向検出の流れを示すフローチャートである。
【図4】前記実施例1の作用を示す図である。
【図5】本発明の実施例2の緊急通報システムの主要部を示す図である。
【図6】本発明の実施例3の緊急通報システムの主要部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
最初に、図1を参照しながら、本発明の実施例の全体構成について説明する。図1は、本発明の防犯灯を利用した緊急通報システムの全体構成を示す模式図である。図1において、複数の防犯灯100は、適宜の距離を置いて道路等に設置されており、支柱102に、街路灯110,警報灯120,警報音発報器130,矢印表示器140,駆動制御回路150をそれぞれ設けた構造となっている。防犯灯100は、歩行者などが携行するワイヤレス防犯ベル200,緊急発信可能な携帯電話202,もしくは、支柱102に設けられている非常ボタン204,あるいは、特定の防犯灯100に対応付けられており、該特定の防犯灯100から所定の範囲内に設置された子機206のいずれかによって警報動作が行われ、更に、警報作動情報が警察本部などの管制局300に送信されるようになっている(矢印F10a参照)。
【0016】
管制局300は、例えば、上述した警察本部や、消防機関,海上保安機関などの緊急通報受理機関であって、交番310,パトカー320,地域協力者330,該当する家族・親族340との間で、無線もしくは有線の通信回線によって接続されており(矢印F20〜F26参照)、管制局300は、必要に応じて該当先にその旨を通知する。前記家族・親族340は、例えば、ワイヤレス防犯ベル200や携帯電話202のような移動型発信器の所有者ごとに、予め連絡先が登録されている。なお、本実施例では、前記管制局300に図示しないメールサーバと連絡先情報が設けられており、前記通知をメール送信により行うことが可能となっている。
【0017】
以上の各部について概略の動作を説明すると、緊急事態が生じて、ワイヤレス防犯ベル200,携帯電話202,非常ボタン204もしくは、子機206のいずれかの緊急発信器が操作されると、防犯灯100の警報灯120が赤色もしくは黄色で点滅するとともに、警報音発報器130から警報音が出力される。また、矢印表示器140は、緊急事態が生じた方向を表示する。一方、管制局300に対して、前記防犯灯100を介して(矢印F10a参照)、あるいは、ワイヤレス防犯ベル200又は携帯電話202から直接警報作動情報が送信されると(矢印F10b,F10c参照)、管制局300は、交番310,パトカー320,あるいは現場付近の地域協力者330に通報して、現場への急行を指示したり(矢印F20〜F24参照)、被害者ないし通報者(ワイヤレス防犯ベル200又は携帯電話202の所有者)の家族・親族340に連絡したりする(矢印F26参照)。このとき、現場に急行する警察官312,パトカー320,地域協力者330は(矢印F30〜F34参照)、防犯灯100の矢印表示器140を見ることで、緊急事態発生場所の方向を簡単に知ることができ、速やかに現場に到着することができる。
【0018】
次に、図2も参照しながら、防犯灯100について詳細な構成を説明する。図2は、防犯灯100の駆動制御回路150のシステム構成を示すブロック図である。前記駆動制御回路150は、制御部156を中心に構成されている。まず、防犯灯100の警報灯120は、前記街路灯110の上方に設置されており、例えば複数の赤色発光ダイオード120aと黄色発光ダイオード120bを光源として構成されている。これら発光ダイオード120a及び120bは、配線を通じて前記制御部156に電気接続されている。次に、前記警報音発報器130は、本実施例では前記街路灯110の下方に設置されており、図2に示すように、配線を介して前記制御部156に電気接続されている。また、前記矢印表示器140は、例えば、青色発光ダイオード140a,赤色発光ダイオード140b,黄色発光ダイオード140cを基板上に多数配列した構造となっており、それぞれのダイオード140a〜140cが、配線を介して前記制御部156に電気接続されている。
【0019】
前記駆動制御回路150は、前記制御部156のほか、受信部152A,送信部152B,信号判別部154,ID付加部(ID付加部)158,方向検出部160,信号強度検出部180を含んでいる。更に、自己の防犯灯100に固有であり、設置位置と関連付けられた識別符号170A,他の防犯灯100に固有の識別符号を自己の防犯灯から見た当該他の防犯灯100の方向と関連付けた方向テーブル170B,また、本実施例では、以上の各要素に加え、強度信号付加部182,信号比較部184が設けられている。以下、各部について順に説明する。なお、通報先情報170C及びメールサーバ190については後述する。
【0020】
前記受信部152Aは、前記ワイヤレス防犯ベル200,携帯電話202,子機206から発信される緊急信号の受信と、他の防犯灯100から電波として送信される伝達信号の受信を行う。また、前記送信部152Bは、近接する他の防犯灯100に向けて伝達信号を送信する。
【0021】
前記信号判別部154は、前記受信部152Aから送られてくる受信信号と、前記非常ボタン204から配線を通じて入力される緊急信号とを受けて、それらの受信信号の出所(種類)を判別するものである。前記制御部156は、前記信号判別部154による判別結果に基づいて、前記送信部152B,警報灯120,警報音発報器130,矢印表示器140を選択的に動作させる機能を有している。
【0022】
前記ID付加部158は、本実施例では、前記送信部152Bに設けられており、自己の防犯灯に固有の識別符号170Aを、近接する他の防犯灯に送信する伝達信号に付加するためのものである。前記方向検出部160は、前記信号判別部154に設けられており、前記方向テーブル170Bを参照して、近接する他の防犯灯から受信した伝達信号に含まれる識別符号から、当該他の防犯灯100が位置する方向を決定する。
【0023】
次に、前記信号強度検出部180は、前記受信部152Aに接続されており、該受信部152Aが、前記ワイヤレス防犯ベル200又は携帯電話202から発信された緊急信号を受信した場合に、その受信強度を検出するものである。前記強度信号付加部182は、前記送信部152Bに設けられており、前記信号強度検出部180によって検出された緊急信号の受信強度を、近接する他の防犯灯100に送信する伝達信号に付加するものである。また、前記信号比較部184は、前記信号判別部154に設けられており、前記緊急信号の自己の受信強度と、近接する他の防犯灯から受信した伝達信号に付加された他の防犯灯における受信強度との比較を行う機能を備えている。
【0024】
従って、前記ワイヤレス防犯ベル200又は携帯電話202から発信される緊急信号と、他の防犯灯100の駆動制御回路150の送信部152Bから発信される伝達信号は、それらの信号波長や波形ないし振動数等が異なるものとしたり、その他の判別のための工夫を施すことにより、前記信号判別部154において、それを判別可能にしておくことが望ましい。例えば、ワイヤレス防犯ベル200,携帯電話202又は子機206と防犯灯100との緊急信号の通信には、比較的短距離(30m程度)での無線通信に適したZigBee網を利用し、防犯灯100間における伝達信号の通信には、それよりも通信距離が長いWiFiなどの無線通信を利用するという具合である。なお、子機206は、特定の防犯灯100に対して複数設置することができるが、それらは同一のZigBee網内に配置されており、これらの子機206から発信される緊急信号は、特定の防犯灯100のみによって受信可能となっている。本実施例では、前記信号判別部154と制御部156は、基板に搭載されて前記駆動制御回路150内に収容されており、前記受信部152A及び送信部152Bは、送受信部152として1つにまとめられて、前記駆動制御回路150内に設置されている。
【0025】
そして、前記信号判別部154に入力される信号が、前記受信部152Aから送られたワイヤレス防犯ベル200,携帯電話202,子機206からの緊急信号であるか、非常ボタン204からの緊急信号である場合には、該信号判別部154からそれに応じた判別信号が前記制御部156に送られる。すると、該制御部156が、前記警報灯120及び矢印表示器140を、緊急事態発生場所の最寄位置としての第1の態様で動作させる。例えば警報灯120を赤色点滅させ、矢印表示器140の全面を赤色点灯させるという具合である。また、前記警報音発報器130から警報音を発報し、更に、前記送信部152Bを起動して、近接する他の防犯灯100に向けて伝達信号を送信する。
【0026】
一方、前記受信部152Aを介して前記信号判別部154に入力された信号が、他の防犯灯100の駆動制御回路150から送信された伝達信号であると判別された場合には、該信号判別部154からの判別信号によって、前記制御部156が、前記警報灯120を、前記伝達信号の発信元の防犯灯とは異なる第2の態様で動作(例えば、黄色点滅)させるとともに、矢印表示器140によって伝達信号の発信元の防犯灯の方向を表示し(例えば、赤色矢印を表示し)、合わせて、前記警報音発報器130から警報音を発報する。これに加え、前記送信部152Bを起動させて、前記伝達信号の送信元とは異なる他の近接する防犯灯100に向けて伝達信号を送信させる。なお、前記信号判別部154の判別結果に応じた警報灯120の第1及び第2の態様や、緊急事態発生場所の最寄位置を示すときの矢印表示器140の表示は一例であり、上述した態様に限定されるものではない。
【0027】
次に、緊急発信器のうちの移動型発信器について説明する。移動型発信器であるワイヤレス防犯ベル200は、ポケットや鞄等に入れて持ち運べる大きさであって、警報音を発報する防犯ブザーとしての機能と、該機能部分に連動して動作し、電波による緊急信号を発信する発信装置としての機能(いずれも図示せず)とを備えるとともに、図2に示すように、自己に固有の識別符号200Aを有している。該ワイヤレス防犯ベル200は、前記防犯ブザーとしての機能を起動させるための引抜き式の操作子201を備えており、該操作子201の引抜き操作により、前記防犯ブザーとしての機能と、発信装置としての機能とが連動するように構成されている。
【0028】
なお、前記操作子201が操作された後、その操作がすぐに解除されても、緊急信号が一定時間発信され続けるように、前記ワイヤレス防犯ベル200を自己保持形として信号発信状態が維持されるように構成することが望ましい。この場合、自己保持の解除は、例えば、発信装置としての機能に組み込んだタイマーによって行うか、ケーシングに設けた図示しない解除スイッチを操作することによって行うことができる。
【0029】
また、移動型発信器としては、前記ワイヤレス防犯ベル200のほかに、同様の緊急発信機能を備えた携帯電話202を利用することが可能である。あるいは、前記管制局300に対する緊急呼発信(図1の矢印F10b参照)に連動して、緊急信号を発信する機能を有する携帯電話202を使用してもよい。この場合、前記携帯電話202に、緊急呼発信と同時に伝播距離の短い微弱電波からなる緊急信号を発信する機能を装備し、前記防犯灯100の駆動制御回路150が該緊急信号を受信することによって、前記警報灯120,警報音発報器130,矢印表示器140を動作させるように構成してもよい。あるいは、前記駆動制御回路150が、前記携帯電話202が緊急呼発信をしたときに使用する周波数帯域の電波信号を緊急信号そのものとして傍受することによって、前記警報灯120,警報音発報器130,矢印表示器140を動作させるようにしてもよい。
【0030】
ここで、前記携帯電話202からの緊急呼発信自体を緊急信号として利用することができれば、前記ワイヤレス防犯ベル200や、専用の通報機能を携帯電話202を用意する必要がないため都合がよい。しかしながら、前記緊急呼発信自体を緊急信号として利用する場合には、携帯電話202の基地局が設置されている間隔に対して、防犯灯100が設置されている間隔の方が極端に狭いことから、複数の防犯灯100が緊急呼発信を傍受する可能性がある。また、ワイヤレス防犯ベル200や携帯電話202で緊急信号を発信しながら移動する場合にも、複数の防犯灯が緊急信号を傍受する可能性がある。この場合は、近接する防犯灯間で警報灯120や矢印表示器140の動作態様が同じになり、緊急事態の発生場所を的確に報知することができなくなる。
【0031】
そこで、本実施例では、複数の防犯灯100が緊急信号を傍受したときには、駆動制御回路150の信号強度検出部180によって、受信した緊急信号(携帯電話202からの緊急呼発信を緊急信号として利用する場合には緊急呼発信)の信号強度IAが検出される。また、検出された信号強度が、前記強度信号付加部182によって、近接する防犯灯への伝達信号に付加され、送信部152Bによって近接する防犯灯100へ送信される。更に、前記伝達信号の送信と同時に、前記防犯灯100では、信号強度検出部180によって、近接防犯灯によって送信された伝達信号から、該近接する防犯灯における緊急信号の信号強度IBも検出される。そして、これら信号強度IA,IBが、前記信号比較部184で比較される。
【0032】
その結果、自己の緊急信号の信号強度IAが、近接する防犯灯における緊急信号の信号強度IBよりも大きいと判断された場合には、前記緊急信号が他の防犯灯よりも自己に近い位置で発信されたものとして、自己の警報灯120及び矢印表示器140の少なくとも一方を、上述した第1の態様で動作させる。一方、緊急信号の受信強度が最も強い防犯灯以外の防犯灯においては、前記第1の態様とは異なる第2の態様でその警報灯120を動作させるとともに、矢印表示器140によって、緊急信号の受信強度が最も強い防犯灯から送信される伝達信号に含まれる識別符号に対応する方向を表示する。
【0033】
次に、緊急発信器のうち、非常ボタン204は、前記支柱102に固定され、前記防犯灯100の駆動制御回路150と図示しない配線を通じて電気接続されている。前記非常ボタン204は、小さい子供でも押圧操作を容易に行うことができる高さに取り付けるのが望ましい。また、緊急発信器のうち、子機206については上述した通りである。なお、前記ワイヤレス防犯ベル200,携帯電話202,非常ボタン204,子機206からの緊急信号の発信が同時に行われた場合には、ワイヤレス防犯ベル200や携帯電話202からの緊急信号が優先されるように設定しておくことが望ましいが、必要に応じて適宜設定を変更できるようにしてよい。ここで、前記防犯灯100を構成する各部は、全て防水構造を有しており、雨水などの浸入によって誤作動したり腐食したりすることがないように構成されていることは言うまでもない。
【0034】
次に、図3及び図4も参照しながら本実施例の作用を説明する。図3は、本実施例における方向検出の流れを示すフローチャートであり、図4は、本実施例の作用を示す図である。防犯灯100は、防犯エリア内において何ら信号を受信しない場合には(図3のステップS10のNo)、警報灯120,警報音発報器130,矢印表示器140を、平常時の態様で動作させる。例えば、警報灯120を消灯し、矢印表示器140を青色点灯するなどである。そして、信号を受信すると(図3のステップS10でYes)、信号判別部154により、緊急発信器から発信された緊急信号か、他の近接する防犯灯100から発信された伝達信号かを判別する(ステップS12)。緊急信号を受信したと判断した場合(ステップS12でYes)には、更に、前記信号判別部154により信号の発信元が移動型発信器かどうか判別する(ステップS14)。
【0035】
そして、移動型発信器からの発信ではないと判断したとき(ステップS14でNo),すなわち、非常ボタン204又は子機206からの緊急信号であると判断したときは、自己の防犯灯100が緊急事態発生場所の最寄位置であると判断し(ステップS18)、当該防犯灯100の警報灯120を第1の態様(例えば、赤色点滅)で動作させるとともに警報音発報器130を動作させる。なお、このとき、矢印表示器140による方向表示は行わない(ステップS20)。このような警報灯120,警報音発報器130,矢印表示器140の動作制御を制御部156により行うと同時に、近接する他の防犯灯100に送信する伝達信号に、自己の防犯灯に固有の識別符号170AをID付加部158によって付加して送信する。
【0036】
また、信号の発信元が移動型発信器,すなわち、ワイヤレス防犯ベル200又は携帯電話202であると信号判別部154により判断した場合(ステップS14のYes)は、信号強度検出部180により、自己の信号受信強度が近接する防犯灯による信号受信強度よりも大きいか否かを判断し、大きいと判断したとき(ステップS16のYes)には、自己の防犯灯が緊急事態発生場所の最寄位置であると判断し、上述したステップS18に進む。一方、自己の信号受信強度が近接する防犯灯よりも小さいと判断した場合(ステップS16でNo)及び前記ステップS12で緊急信号ではなく伝達信号を受信したと判断した場合(ステップS12のNo)には、前記方向検出部160により、近接する防犯灯から受信した伝達信号に含まれる識別符号(ID)を検出し(ステップS22)、前記方向テーブル170Bを参照して、検出した識別符号に該当する他の防犯灯の方向を決定する(ステップS24)。制御部156では、決定された方向に基づいて矢印表示器140によって該当する方向を表示し、かつ、警報灯120が第2の態様(例えば黄色点滅)で動作するように制御する(ステップS26)。
【0037】
図4(A)〜(C)には、ワイヤレス防犯ベル200で緊急信号を発信しながら移動した場合の複数の防犯灯の動作状態が示されている。例えば、ワイヤレス防犯ベル200で緊急信号を発信したときに、緊急信号を受信したのが防犯灯100Bのみであるか、あるいは、複数の防犯灯100A〜100Dが緊急信号を傍受し、かつ、上述したステップS16において、防犯灯100Bにおける信号受信強度が一番強いと判断されたときには、図4(A)に示すように、防犯灯100Bでは警報灯120及び矢印表示器140が第1の態様で動作する。例えば、警報灯120が赤色点灯ないし赤色点滅し、矢印表示器140では矢印を表示せずに全面を赤色点灯する。また、該防犯灯100Bに近接する防犯灯100A,100C,100Dでは、前記防犯灯100Bからの伝達信号に応じて、警報灯120を第2の態様で動作(例えば黄色点灯)させるとともに、防犯灯100Bの方向を示す矢印を矢印表示器140に表示する。例えば、防犯灯100Aの矢印表示器140では、防犯灯100Bの方向(図示の例では右側)を示す矢印142を赤色発光LED140bにより表示し、防犯灯100C及び100Dでは、防犯灯100Bの方向(図示の例では左側)を示す矢印144を赤色発光LED140bにより表示するといった具合である。
【0038】
前記ステップS16による信号受信強度の比較は、移動型発信器からの信号を受信している間は常時行われる。従って、ワイヤレス防犯ベル200や携帯電話202から緊急信号が発信されたまま、その発信元が移動した場合には、前記ステップS16による信号受信強度の比較が行われる。例えば、図4(B)に示すように、防犯灯100Bから防犯灯100Cの間を移動型発信器が移動中のとき、防犯灯100Bにおける信号受信強度が最も強い場合には、防犯灯100Bの警報灯120及び矢印表示器140が第1の態様で動作する。そして、防犯灯100Cにおける信号受信強度が最も強くなる場所まで移動型発信器が移動したときには、図4(C)に示すように、防犯灯100Cが第1の態様で動作し、その他の防犯灯は第2の態様で動作する。
【0039】
同時に、上述した第1の態様で動作する防犯灯100は、該防犯灯100に固有の識別符号170A,ワイヤレス防犯ベル200の識別符号200A,あるいは、携帯電話202の識別符号202Aを緊急事態発生を通知する伝達信号に付与して、有線又は無線の適宜手段により、管制局300に警報作動情報として通報する(図1の矢印F10a参照)。通報を受けた管制局300は、交番310,パトカー320,あるいは現場付近の地域協力者330に通報して、現場への急行を指示したり(矢印F20〜F24参照)、被害者ないし通報者(ワイヤレス防犯ベル200又は携帯電話202の所有者)の家族・親族340に連絡する(矢印F26参照)。このとき、現場に急行する警察官312,パトカー320,地域協力者330は(矢印F30〜F34参照)、防犯灯100の矢印表示器140を見ることで、現場の方向を簡単に知ることができ、速やかに現場に到着することができる。また、どの防犯灯100から緊急通報があったときに、どの地域の地域協力者330に通報するかは、防犯灯100の識別符号170Aに対応する通報先情報を予め管制局300に用意しておけばよい。また、ワイヤレス防犯ベル200又は携帯電話202を通じて防犯灯100に緊急発信があったときに通報する家族・親族340の連絡先も、前記識別符号200A及び202Aや携帯電話番号に対応して予め連絡先を登録しておけばよい。前記管制局300で、前記地域協力者330や家族・親族340への通報を、図示しないメールサーバにより一斉に行うようにしてもよい。
【0040】
このように、実施例1によれば、次のような効果がある。
(1)防犯灯100が緊急発信器から緊急信号を受信したときは、警報灯120及び矢印表示器140を、緊急事態発生場所の最寄位置であることを示す第1の態様で動作させるとともに、近接する1つ以上の他の防犯灯の駆動制御回路150に、緊急事態の発生を通知する伝達信号を送信する。また、前記防犯灯100が、近接する他の防犯灯から伝達信号を受信したときは、その警報灯120を前記伝達信号の送信元の警報灯とは異なる第2の態様で動作させるとともに、その矢印表示器140によって前記伝達信号の送信元の防犯灯の方向を表示することとした。このため、緊急事態の発生場所を、離れた位置からでも特定することが容易となる。
【0041】
(2)前記緊急発信器として、ワイヤレス防犯ベル200や携帯電話202を用いた場合に、該緊急発信器からの緊急信号を複数の防犯灯が傍受したときは、信号の受信強度が最も大きい防犯灯を緊急事態発生場所の最寄位置と判断し、当該防犯灯とそれ以外の防犯灯において、上述したそれぞれの態様によって警報灯及び矢印表示器を動作させることとしたので、移動しながらの通報であっても、現状に即した報知が可能となる。
(3)前記防犯灯100を緊急通報受理機関である管制局300と連動させることにより、近隣の人々や特定の機関等に緊急事態の発生を報知し、積極的に救助等を求めることが可能となる。
【実施例2】
【0042】
次に、図5を参照しながら、本発明の実施例2について説明する。本実施例は、管制局300における管制システム500の実施例である。図5(A)には、管制システム500の主要部が示されている。同図において、上述した防犯灯100などから送信された警報作動情報は、管制システム500の受信部502に受信されるようになっている。受信部502の出力側は通報処理部504に接続されている。この通報処理部504には、通報先データベース506が接続されており、これを参照することで通報先が指定されるようになっている。例えば、図1に矢印F10bで示したように、携帯電話202から警報作動情報を受信したときは、その携帯電話202の持ち主の家族・親族340が通報先として選択されるという具合である。通報処理部504は、通報先データベース506を参照して指定された通報先に、警報作動があったことを、電話回線,無線回線などを通じて通報する機能を備えている。
【0043】
前記受信部502の出力側は、位置確認部508にも接続されている。位置確認部508には、防犯灯設置位置データベース510が接続されており、これを参照することで警報作動情報を送信した防犯灯100の位置を確認できるようになっている。上述したように、警報作動情報には、防犯灯100の識別符号170Aが含まれており、防犯灯100の識別符号170Aと設置位置との対応関係が前記防犯灯設置位置データベース510に集積されているので、これを参照することで、警報作動情報が防犯灯100のいずれから送信されたかを知ることができる。
【0044】
位置確認部508の位置情報出力側は、逃走予測演算部512に接続されている。逃走予測演算部512は、入力された位置情報の防犯灯100を中心として、犯人が逃走したときの逃走予測位置を演算する機能を備えている。例えば、10分後,30分後に犯人が到達すると予測される位置を演算する。例えば、徒歩であれば4km/1時間,自転車であれば15km/1時間,バイクや自動車であれば40km/1時間として計算する。なお、犯人が徒歩,自転車,自動車等のいずれで逃走しているかは、例えば警察官312やパトカー320などからの通報により判明する。不明なときは、徒歩,自転車,自動車等の各場合について演算し、演算結果をすべて表示するか、いずれか選択されたものを表示する。
【0045】
このような逃走予測演算部512の演算出力側は、表示処理部514に接続されている。表示処理部514には、地図データベース516も供給されており、表示処理部514の処理結果の出力側は、表示部518に接続されている。表示処理部514は、逃走予測演算部512から得た情報に基づいて、地図データベース516から該当する地図情報を取得し、表示部518に表示する機能を備えている。具体的には、警報作動情報を送信した防犯灯100の位置を中心とした地図を表示するとともに、この地図上に、予測した逃走予測距離に対応する時間を表示する。なお、ワイヤレス防犯ベル200や携帯電話202から警報作動情報を取得したときは、そのGPS情報を利用して位置を特定するか、対応して動作した防犯灯100の位置を特定する。
【0046】
次に、本実施例の動作を説明する。例えば、非常ボタン204が押されるか、対応する子機206が操作されて、防犯灯100のいずれかから警報作動情報が送信され、管制システム500の受信部502が受信したとすると、通報処理部504は、通報先データベース506から対応する通報先を抽出し、警報が作動したことを通報する。具体的には、近隣の交番310,地域協力者330などに通報する。この動作は、上述した実施例1と同様である。
【0047】
本実施例では、警報作動情報が位置確認部508にも提供され、防犯灯設置位置データベース510を参照して、警報作動情報を送信した防犯灯100の位置が確認される。この防犯灯100の位置情報は、逃走予測演算部512に送られる。逃走予測演算部512は、入力された防犯灯100の位置を中心として犯人の逃走位置を演算し、演算結果は表示処理部514に送られる。表示処理部514は、地図データベース516から、該当する防犯灯100の位置を中心とする地図データを抽出して表示部518に表示するとともに、その地図上に、前記逃走予測の演算結果を重ねて表示する。
【0048】
図5(B)には、表示部518における表示の一例が示されている。同図の例では、幹線道路RA,RBに防犯灯100a〜100fが適宜の間隔で設置されており、そのうち、中心の防犯灯100bで警報が発せられている。警報作動情報を受信してから10分後に犯人が到達すると予測される位置,30分後に犯人が到達すると予測される位置が、それぞれ逃走予測円S10,S30として示されている。また、画面左上に「徒歩」の表示DMがあり、逃走予測円S10,S30が徒歩の場合を想定した予測円であることを示している。
【0049】
以上のように、本実施例によれば、地図上に防犯灯の位置や犯人の逃走予測位置を表示することとしたので、犯人の追跡や確保に役立てることができる。
【実施例3】
【0050】
次に、図6を参照しながら、本発明の実施例3について説明する。上述した実施例では、防犯灯100の駆動制御回路150において警報灯120,警報音発報器130,矢印表示器140に対する出力制御を行ったが、本実施例は、管制局側で出力制御を行う例である。
【0051】
図6に示すように、防犯灯100の駆動制御回路600は、ワイヤレス防犯ベル200,携帯電話202,非常ボタン204,子機206からの緊急信号を受信する緊急信号受信部602を備えており、その出力側は送信部604に接続されている。送信部604には、その駆動制御回路600が設置された防犯灯100の識別符号170A(図2参照)を送信信号に付加するID付加部606が設けられている。これらにより、受信した緊急信号に識別符号170Aが付加されて、管制局650に送信されるようになっている。
【0052】
一方、管制局650からの管制信号は、管制受信部610で受信され、受信した管制信号は出力制御部612に供給されるようになっている。出力制御部612には、警報灯120,警報音発報器130,方向表示器140が接続されており、それらの駆動制御が行われるようになっている。このような駆動制御回路600が複数の防犯灯100にそれぞれ設けられている。
【0053】
次に、本実施例の動作を説明する。ワイヤレス防犯ベル200などから緊急信号が発信されたとすると、該当する防犯灯100の駆動制御回路600の緊急信号受信部602によって受信され、更に、当該防犯灯100の識別符号がID付加部606で付加されて送信部604から管制局650に送信される。管制局650には、受信した緊急信号から、上述した実施例1の処理が行われ、複数の防犯灯100のそれぞれに駆動のための管制信号が送信される。
【0054】
防犯灯100の駆動制御回路600では、管制信号が管制受信部610で受信され、出力制御部612に供給される。出力制御部612では、管制信号に基づいて、上述したような警報灯120,警報音発報器130,矢印表示器140の制御が行われる。すなわち、緊急事態発生場所の最寄位置の防犯灯100では、例えば図4(A)に示したように、警報灯120が赤色点灯ないし点滅し、警報音発報器130から警報音を出力する。また、該防犯灯100に近接する他の防犯灯100では、警報灯120を黄色点灯ないし点滅させるとともに、前記最寄位置の防犯灯の方向を示すように矢印表示器140に矢印を表示する。
【0055】
このように、本実施例によれば、各防犯灯の駆動制御回路で行っていた駆動制御動作を、各防犯灯に代わって管制局で集中して行うこととしたので、各防犯灯における設備の簡略化を図ることができる。
【0056】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例で示した警報灯120,警報音発報器130,矢印表示器140の形状,寸法は一例であり、必要に応じて適宜変更可能である。また、警報音発報器130は必要に応じて設けるようにすればよい。更に、前記実施例では、警報灯120と矢印表示器140を独立した構成としたが、矢印表示器140が警報灯120を兼ねるような構成としてもよい。
【0057】
(2)前記実施例では、警報灯120及び矢印表示器140に、それぞれ複数の発色の発光ダイオードを利用したが、これも一例であり、同様の効果を奏するように適宜設計変更してよい。
(3)前記実施例では、緊急事態発生場所の最寄位置の防犯灯においては、矢印表示器140の表示態様として、矢印を表示せずに全面点灯する例を挙げたが、これも一例であり、赤色矢印を下向きに表示するなど、他の表示態様としてよい。
(4)前記実施例で示した警報音発報器130は一例であり、必要に応じて設けるようにすればよい。また、前記防犯灯100にカメラを併設し、管制局300への通報時に、前記カメラで撮影した画像を一緒に送信してもよい。更に、矢印表示器140に表示される矢印方向に、カメラの撮影方向を向けるようにしてもよい。
【0058】
(5)前記実施例では、管制局300から地域協力者330や家族・親族340に緊急事態の発生を通知することとしたが、これも一例であり、防犯灯100に、前記地域協力者330や家族・親族340等の通報先情報170Cや、メールサーバ190を設け、これらを利用して、防犯灯100から直接、地域協力者330や家族・親族340に緊急事態の発生を報知してもよい。
(6)前記実施例で示したワイヤレス防犯ベル200も一例であり、防犯灯100への緊急信号の発信と同時に、管制局300へ直に通報する(図1の矢印10c)機能を有していてもよい。
(7)前記実施例では、矢印表示器140によって緊急事態の発生場所を示すようにしたが、その逆の方向を示すようにしてもよい。また、緊急事態の状況によっては、一般人は、その逆方向に逃げたほうがよい場合がある。そのような事案の場合は、緊急事態の発生方向を例えば危険であることを示す赤色矢印,その逆の方向を例えば安全であることを示す緑色矢印として、両方表示するようにしてもよい。
(8)前記実施例では、位置情報と関連付けられている防犯灯固有の識別符号と、これを自己の防犯灯から見た他の防犯灯の方向と関連付けた方向テーブルとを用意して、信号を受信した他の防犯灯の方向を決定するようにしたが、他の手段で方向検出を行うことを妨げるものではなく、例えば信号の受信方向から他の防犯灯の方向を検出するなど、公知の各種の方法を用いてよい。
(9)矢印表示器としては、発光ダイオードを用いたもののほか、蛍光灯を用いたものなど、各種のものを用いてよい。また、表示の形態も、単純に矢印形状に点灯させるのみならず、矢印を点滅させる,順次点灯を行って方向を指し示す,液晶による発色によって方向を示す,など、公知の各種の形態としてよい。
(10)防犯灯側と管制局側で、駆動制御の処理をどのように分担するかは、前記実施例に限定されず、必要に応じて適宜設定してよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明によれば、防犯灯が緊急発信器から緊急信号を受信したときは、警報灯及び矢印表示器を、緊急事態発生場所の最寄位置であることを示す第1の態様で動作させるとともに、近接する1つ以上の他の防犯灯の駆動制御装置に、緊急事態の発生を通知する伝達信号を送信する。また、前記防犯灯が、近接する他の防犯灯から伝達信号を受信したときは、その警報灯を前記伝達信号の送信元の警報灯とは異なる第2の態様で動作させるとともに、その矢印表示器によって前記伝達信号の送信元の防犯灯の方向を表示することとした。更に、緊急発信器が移動型発信器の場合には、該移動型発信器の移動に伴い、防犯灯の動作態様を変化させることとしたので、緊急事態の発生場所を、離れた場所から特定するための防犯灯及びそれを利用した緊急通報システムの用途に適用できる。
【符号の説明】
【0060】
100,100A〜100D,100a〜100f:防犯灯
102:支柱
110:街路灯
120:警報灯
120a:赤色発光ダイオード
120b:黄色発光ダイオード
130:警報音発報器
140:矢印表示器
140a:青色発光ダイオード
140b:赤色発光ダイオード
140c:黄色発光ダイオード
142,144:矢印
150:駆動制御回路
152:送受信部
152A:受信部
152B:送信部
154:信号判別部
156:制御部
158:ID付加部
160:方向検出部
170A:識別符号
170B:方向テーブル
170C:通報先情報
180:信号強度検出部
182:強度信号付加部
184:信号比較部
190:メールサーバ
200:ワイヤレス防犯ベル
200A:識別符号
201:操作子
202:携帯電話
202A:識別符号
204:非常ボタン
206:子機
300:管制局
310:交番
312:警察官
320:パトカー
330:地域協力者
340:家族・親族
500:管制システム
502:受信部
504:通報処理部
506:通報先データベース
508:位置確認部
510:防犯灯設置位置データベース
512:逃走予測演算部
514:表示処理部
516:地図データベース
518:表示部
600:駆動制御回路
602:緊急信号受信部
604:送信部
606:ID付加部
610:管制受信部
612:出力制御部
650:管制局
DM:表示
RA,RB:幹線道路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊急事態の発生に伴って緊急信号発信手段から緊急信号が発信されたときに動作する防犯灯であって、
防犯灯間で信号の送受信を行う送受信手段,
近隣に緊急事態の発生を報知する警報手段,
前記緊急事態が生じた方向を示す方向表示手段,
いずれの防犯灯よりも近い位置で前記緊急信号発信手段から緊急信号を受信したときは、前記警報手段及び前記方向表示手段の少なくとも一方を、緊急事態発生場所の最寄位置であることを示す第1の態様で動作させるとともに、近接する少なくとも1つの他の防犯灯に対して、緊急事態の発生を通知する伝達信号を前記送受信手段により送信し、他の防犯灯からの伝達信号を受信したときは、前記警報手段を前記第1の態様とは異なる第2の態様で動作させるとともに、前記伝達信号の送信元の防犯灯の方向又はその逆方向を前記方向表示手段に表示する駆動制御手段,
を備えたことを特徴とする防犯灯。
【請求項2】
前記他の防犯灯から受信する伝達信号に、緊急信号発信手段から発信された緊急信号強度の情報が含まれており、
前記駆動制御手段は、複数の防犯灯で緊急信号を受信したときは、それらの信号強度を前記送受信手段で受信して比較し、自己の信号強度が最も強い場合には、いずれの防犯灯よりも近い位置で前記緊急信号発信手段から緊急信号を受信したと判断することを特徴とする請求項1記載の防犯灯。
【請求項3】
前記他の防犯灯から受信する伝達信号に、当該防犯灯のIDが含まれており、
前記駆動制御手段は、前記第2の態様で動作する際に、前記伝達信号に含まれている他の防犯灯のIDと自己のIDとを比較して、前記送信元の防犯灯の方向又はその逆方向を決定することを特徴とする請求項1又は2記載の防犯灯。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の防犯灯を多数含む緊急通報システムであって、
前記防犯灯もしくは前記緊急信号発信手段から警報作動情報を受信したときに、その旨を予め設定した通報先に通知する緊急通報受理機関を含むことを特徴とする緊急通報システム。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の防犯灯を多数含む緊急通報システムであって、
前記防犯灯もしくは前記緊急信号発信手段から警報作動情報を受信したときに、犯人の逃走予測位置を演算して表示する緊急通報受理機関を含むことを特徴とする緊急通報システム。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の防犯灯を多数含む緊急通報システムであって、
前記防犯灯と通信可能であって、各防犯灯における前記駆動制御手段の動作の少なくとも一部を、各防犯灯に代わって集中して行う緊急通報受理機関を含むことを特徴とする緊急通報システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−113346(P2012−113346A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259289(P2010−259289)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(505122243)
【Fターム(参考)】