説明

防犯装置及び防犯システム

【課題】不審者を適切に検出して警報することができる防犯装置及び防犯システムを提供する。
【解決手段】車両Aの防犯動作を行う防犯装置1であって、車両Aの周囲を監視する検知部11と、車両Aの周囲に存在する物体の所有者情報を取得する通信部10と、検知部11の監視結果に基づいて防犯動作を行う判定部12及び制御部13と、を備え、判定部12及び制御部13は、所有者情報に基づいて車両Aの防犯動作の実行態様を変更することを特徴として構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防犯装置及び防犯システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、防犯装置として、電波を用いたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の防犯装置は、車両を監視する防犯装置であって、電波送信手段及び電波受信手段を備え、電波送信手段により送信された電波を電波受信手段で受信し、受信電波の強度の変動を計測して車両に近づく不審者を検知し、警報又は通報を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−18839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の防犯装置にあっては、監視対象車両に近づく人物の全てを不審者として判定するおそれがある。例えば、監視対象車両の周囲に駐車された駐車車両に当該駐車車両の所有者が近づいた場合であっても、不審者が監視対象車両に近づいたと判定して警報する場合がある。
【0005】
そこで、本発明はこのような技術課題を解決するためになされたものであって、不審者を適切に検出して警報することができる防犯装置及び防犯システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明に係る防犯装置は、対象物の防犯動作を行う防犯装置であって、前記対象物の周囲を監視する監視手段と、前記対象物の周囲に存在する物体の所有者情報を取得する所有者情報取得手段と、前記監視手段の監視結果に基づいて防犯動作を行う防犯手段と、を備え、前記防犯手段は、前記所有者情報に基づいて前記対象物の防犯動作の実行態様を変更することを特徴として構成される。
【0007】
本発明に係る防犯装置では、対象物の周囲が監視手段により監視され、対象物の周囲に存在する物体の所有者情報が所有者情報取得手段により取得され、監視手段の監視結果に基づいて防犯手段により行われる防犯動作の実行態様が、対象物の周囲に存在する物体の所有者情報に基づいて変更される。対象物の周囲物体の所有者は、当該周囲物体の利用のために意図せずに対象物に近づく可能性が高い。このため、対象物の周囲の物体の所有者に関する情報を用いて防犯動作の実行態様を変更することにより、例えば不要な警報等を回避することができるので、適切な防犯動作を行うことが可能となる。
【0008】
ここで、前記防犯手段は、前記監視手段によって検出された人物と前記所有者情報とを照合し、検出された人物が前記対象物の周囲に存在する物体の所有者である場合には、警報の実行を行わないこととしてもよい。
【0009】
また、前記防犯手段は、前記監視手段によって検出された人物と前記所有者情報とを照合し、照合結果を前記対象物の周囲に存在する物体へ送信することが好適である。このように構成することで、照合結果が対象物の周囲に存在する物体に共有されるため、例えば、対象物の周囲に存在する物体自身が行う防犯動作に照合結果を活用することができるとともに、対象物の防犯動作を対象物の周囲に存在する物体と連携して行うことが可能となる。
【0010】
また、前記対象物は、車両であり、前記対象物の周囲に存在する物体は、前記車両の周囲に駐停車された車両であってもよい。あるいは、前記対象物は、車両であり、前記対象物の周囲に存在する物体は、前記車両と通信可能な車両であり、前記所有者情報取得手段は、通信を介して前記所有者情報を取得してもよい。
【0011】
また、本発明に係る防犯システムは、対象物の防犯動作を行う防犯システムであって、前記対象物の周囲を監視する監視装置と、前記対象物の周囲に存在する物体の所有者情報を取得する所有者情報取得装置と、前記監視装置の監視結果に基づいて防犯動作を行う防犯装置と、を備え、前記防犯装置は、前記所有者情報に基づいて前記対象物の防犯動作の実行態様を変更することを特徴として構成される。
【0012】
ここで、前記防犯装置は、前記監視装置によって検出された人物と前記所有者情報とを照合し、検出された人物が前記対象物の周囲に存在する物体の所有者である場合には、警報の実行を行わないこととしてもよい。
【0013】
また、前記防犯装置は、前記監視装置によって検出された人物と前記所有者情報とを照合し、照合結果を前記対象物の周囲に存在する物体へ送信してもよい。
【0014】
前記対象物は、車両であり、前記対象物の周囲に存在する物体は、前記車両の周囲に駐停車された車両であってもよい。あるいは、前記対象物は、車両であり、前記対象物の周囲に存在する物体は、前記車両と通信可能な車両であり、前記所有者情報取得装置は、通信を介して前記所有者情報を取得してもよい。
【0015】
本発明に係る防犯システムは、上述した防犯装置と同様の効果を奏する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、不審者を適切に検出して警報することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態に係る防犯装置を備える車両の構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る防犯装置の防犯動作を示すフローチャートである。
【図3】第1実施形態に係る防犯装置の作用効果を説明する概要図である。
【図4】第2実施形態に係る防犯装置を備える車両の構成を示すブロック図である。
【図5】第2実施形態に係る防犯装置を備える車両のコミュニティ形成動作を示すシーケンス図である。
【図6】第2実施形態に係る防犯装置を備える車両の防犯動作を示すシーケンス図である。
【図7】第2実施形態に係る防犯装置を備える車両の防犯動作を示すシーケンス図である。
【図8】第2実施形態に係る防犯装置を備える車両の防犯動作を説明する概要図である。
【図9】第2実施形態に係る防犯装置を備える車両の検知範囲を説明する概要図である。
【図10】第3実施形態に係る防犯装置を備える車両の集団警戒動作又は集団威嚇動作を示すシーケンス図である。
【図11】第3実施形態に係る防犯装置を備える車両の集団警戒動作を説明する概要図である。
【図12】第3実施形態に係る防犯装置を備える車両の集団威嚇動作を説明する概要図である。
【図13】第4実施形態に係る防犯システムの防犯動作を示すシーケンス図である。
【図14】第4実施形態に係る防犯システムの作用効果を説明する概要図である。
【図15】実施形態に係る防犯システムの他の例を説明する概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
(第1実施形態)
本実施形態に係る防犯装置及び防犯システムは、対象物の防犯動作を行う防犯装置であって、例えば、車両の防犯動作に好適に採用されるものである。
【0020】
最初に、本実施形態に係る防犯装置を備える車両の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る防犯装置1を備える車両Aの構成を示すブロック図である。図1に示すように、車両Aは、防犯装置1及び車両装備30を備えており、防犯装置1は、通信部(所有者情報取得手段)10、検知部(監視手段)11、判定部(防犯手段)12及び制御部(防犯手段)13を備えている。なお、以下では防犯装置1の防犯の対象物を車両Aとして説明する。
【0021】
通信部10は、受信部101を備えており、車両Aの周囲に存在する物体と通信可能に構成されている。車両Aの周囲に存在する物体は、例えば、車両Aの周囲に駐停車された他車両である。受信部101は、受信した情報を判定部12へ出力する機能を有している。
【0022】
検知部11は、車両Aへ接近する人物を検知する機能を有している。また、検知部11は、車両Aへのいたずらや攻撃を検知する機能を有している。検知部11は、上記機能を発揮するために検知センサ111を備えている。検知センサ111として、例えば、電波を利用して電子キーと車両とが通信することでドアの施錠・開錠、電源の切替、エンジン始動・停止を行うスマートキーシステムに用いられる電波検知センサ、顔認証機能を有する画像センサ、生体センサ、振動検出センサ、ガラス割れ検出センサ等が用いられる。検知部11は、検知した情報を判定部12へ出力する機能を有している。
【0023】
判定部12は、所有者情報データベース121及び不審者判定部122を備えている。所有者情報データベース121には、自車両のオーナー(所有者)に関する情報が格納されている。また、所有者情報データベース121には、車両Aの周囲に駐停車された他車両の所有者に関する情報が格納されている。車両Aの周囲に駐停車された他車両の所有者に関する情報は、例えば通信部10を介して受信し、所有者情報データベース121に格納される。不審者判定部122は、検知部11により検知された人物の認証を行い、当該人物が車両Aの所有者であるか否かを判定する機能を有している。不審者判定部122は、所有者情報データベース121を参照可能に構成されており、所有者情報データベース121に格納された情報と検知された人物に関する情報とを照合して、検知された人物が車両Aの所有者であるか否かを判定する。また、不審者判定部122は、検知部11により検知された人物が車両Aの所有者で無い場合には、検知された人物が不審者であるか否かを判定する機能を有している。不審者判定部122は、所有者情報データベース121に格納された他車両の所有者情報と検知された人物に関する情報とを照合して、検知された人物が不審者であるか否かを判定する。また、判定部12は、判定結果を制御部13へ出力する機能を有している。
【0024】
制御部13は、状況に応じて車両装備30を制御する機能を有している。車両装備30としては、例えば、ヘッドライト、ホーン、撮像装置、DCM(Data Communication Module)、ドアのロック機構、車内照明又はスピーカ等が用いられる。制御部13は、例えば判定部12により車両Aに近づく人物が車両Aの所有者であると判定された場合には、ドアのロック機構、車内照明又はスピーカ等の車両装備30を制御してウェルカム制御(おもてなし制御)を行う機能を有している。一方、制御部13は、防犯に関する制御を行う防犯制御部131を備えている。防犯制御部131は、例えば判定部12により車両Aに近づく人物が不審者であると判定された場合には、ヘッドライト又はホーン等の車両装備30を用いた音や光による威嚇処理、撮像装置等の車両装備30を用いた不審者の記録処理、又は、DCM等の車両装備30を用いた所有者への通報処理等を行う機能を有している。このように、制御部13は、判定部12の所有者情報を用いた判定結果に基づいて、防犯動作の実行態様を変更可能に構成されている。
【0025】
なお、上述した防犯装置1は、通信部10、検知部11、判定部12及び制御部13を備える1つの装置として説明したが、各構成要素が別の装置として構成されたシステムであってもよい。例えば、通信部10に対応する通信装置(所有者情報取得装置)、検知部11に対応する検知装置(監視装置)、判定部12に対応する判定装置、及び、制御部13に対応する制御装置が独立して存在してもよい。
【0026】
次に、本実施形態に係る防犯装置1の動作について説明する。図2は、本実施形態に係る防犯装置1の防犯動作を示すフローチャートである。図2に示す制御処理は、例えば、イグニッションOFFされたタイミングから開始され、所定の間隔で繰り返し実行される。なお、以下では説明理解の容易性を考慮して、車両Aの周囲に存在する物体を隣接して駐車された他車両として説明する。
【0027】
図2に示すように、受信部101が隣接車両に関する情報を取得する(S10)。S10の処理では、受信部101が隣接車両と通信を行い、隣接車両の所有者情報を取得する。受信部101は、隣接車両の所有者情報として、例えば当該隣接車両の所有者により携帯される電子キーの発信電波を受信する。あるいは、受信部101は、隣接車両の所有者情報として、当該隣接車両の所有者の顔画像を受信する。受信部101は、受信した情報を所有者情報データベース121に格納する。S10の処理が終了すると、自車両エリア検出処理へ移行する(S11)。
【0028】
S11の処理では、検知センサ111が車両Aの周囲の所定範囲に人物が存在するか否かを検知する。例えば、検知センサ111が電磁波を出力し反射波を受信することで車両Aの周囲に存在する人物を検出する。あるいは、検知センサ111が画像を撮像し顔認識することで車両Aの周囲に存在する人物を検出してもよい。S11の処理が終了すると、人物存在判定処理へ移行する(S12)。
【0029】
S12の処理では、判定部12がS11の処理で人物を検出したか否かを判定する。S11の処理で人物を検出していない場合には、隣接車両に関する情報取得処理へ再度移行する(S10)。このように、検知センサ111が車両Aの周囲に存在する人物を検出するまで、S10〜S12の処理を繰り返し実行する。一方、S11の処理で人物を検出した場合には、自車両所有者判定処理へ移行する(S14)。
【0030】
S14の処理では、不審者判定部122が、S11の処理で検出された人物が車両Aの所有者であるか照合する。不審者判定部122は、所有者情報データベース121に格納された車両Aの所有者情報に基づいて、検知された人物が車両Aの所有者であるか照合する。不審者判定部122は、例えば、所有者情報データベース121に格納された車両Aの所有者により携帯される電子キーの発信電波を参照し、検知センサ111により当該電波を検知したか否かによって、検知された人物が車両Aの所有者であるか否かを判定する。また、例えば、不審者判定部122は、所有者情報データベース121に格納された車両Aの所有者の顔画像を参照し、検知センサ111により当該顔を検知したか否かによって、検知された人物が車両Aの所有者であるか否かを判定する。S14の処理において、不審者判定部122が、S11の処理で検出された人物が車両Aの所有者であると判定した場合には、警戒終了処理へ移行する(S18)。
【0031】
S18の処理では、制御部13が警戒動作を終了する。なお、車両Aの所有者が検知されて警戒動作を終了する場合には、制御部13は、車両装備30を制御して車両Aのロック解除や、ライト・音声等によるおもてなし制御を行う。S18の処理が終了すると図2に示す制御処理を終了する。
【0032】
一方、S14の処理において、不審者判定部122が、S11の処理で検出された人物が車両Aの所有者でないと判定した場合には、不審者判定処理へ移行する(S16)。S16の処理では、不審者判定部122が、S11の処理で検出された人物が不審者であるか否かを判定する。不審者判定部122は、所有者情報データベース121に格納された車両Aの周囲に駐車された車両の所有者情報に基づいて、検知された人物が車両Aの周囲に駐車された車両の所有者であるか照合する。不審者判定部122は、例えば、所有者情報データベース121に格納された車両Aの周囲に駐車された車両の所有者により携帯される電子キーの発信電波を参照し、検知センサ111により当該電波を検知したか否かによって、検知された人物が車両Aの周囲に駐車された車両の所有者であるか否かを判定する。また、例えば、不審者判定部122は、所有者情報データベース121に格納された車両Aの周囲に駐車された車両の所有者の顔画像を参照し、検知センサ111により当該顔を検知したか否かによって、検知された人物が車両Aの所有者であるか否かを判定する。S16の処理において、不審者判定部122が、S11の処理で検出された人物が車両Aの周囲に駐車された車両の所有者であると照合した場合には、当該人物は不審者ではないと判定し、警戒終了処理へ移行する(S18)。そして、警戒を終了して図2に示す制御処理を終了する。
【0033】
一方、S16の処理において、不審者判定部122が、S11の処理で検出された人物が車両Aの周囲に駐車された車両の所有者でないと判定した場合には、当該人物は不審者であると判定し、防犯処理へ移行する(S19)。S19の処理では、防犯制御部131が、車両装備30を制御してヘッドライト又はホーン等の音や光による威嚇処理、撮像装置等を用いた不審者の記録処理、又は、DCMを用いた車両Aの所有者への通報処理等を行う。S19の処理が終了すると図2に示す制御処理を終了する。
【0034】
以上で図2に示す制御処理を終了する。図2に示す制御処理を実行することにより、車両Aの周囲に駐停車された他車両の所有者に関する情報を用いて、不審者であるか否かを適切に判定して防犯動作を行うことができる。
【0035】
次に、本実施形態に係る防犯装置1の作用効果について、図3を用いて説明する。図3は、本実施形態に係る防犯装置1の作用効果を説明する概要図である。図3に示すように、車両Aの隣に車両Bが駐車されているとする。この場合、車両Bの所有者Hに関する情報が、車両Bから車両Aへ送信され、車両Aの受信部101により受信されて所有者情報データベース121に格納される。そして、車両Bの所有者Hが、車両Aの検知範囲Lを通過して車両Bに近づく場合、車両Aの検知センサ111により検知され、不審者判定部122により車両Aの所有者でないと判定されるとともに、不審者判定部122により車両Bの所有者であると判定される。そして、車両Bの所有者Hは車両Bの利用のために車両Aに近づいたものであるとして、制御部13により防犯動作は行われずに警戒が終了される。このように、隣接車両の所有者については意図せずに車両Aに近づいていると判定することで、車両Aの所有者以外であっても不審者でないと判定することができる。このため、車両Aに近接する可能性のある全ての人間を登録するという非現実的な対応をすることなく、不必要な防犯動作を行うことを回避することが簡易な構成で実現することが可能となる。さらに、上記動作はインフラと連携していないため、防犯動作を行う場所が限定されることがない。したがって、関係者のみ立ち入ることができる駐車施設を設ける必要もなく、さらに外出先等の駐車場であっても不必要な防犯動作を行うことを回避することができる。このように、不必要な防犯動作を回避することで防犯動作の精度を向上させることが可能となるとともに、防犯動作に伴う車両Aのバッテリーの電力消費を抑えることができ、結果、長期間の監視動作を実行することが可能となる。
【0036】
以上、第1実施形態に係る防犯装置1及び防犯システムによれば、車両Aの周囲が検知センサ111により監視され、車両Aの周囲に存在する車両Bの所有者情報が受信部101により取得され、検知センサ111の監視結果に基づいて制御部13により行われる防犯動作の実行態様が、所有者情報に基づいて変更される。車両Aの周囲物体の所有者は、当該周囲物体の利用のために意図せずに車両Aに近づく可能性が高い。このため、車両Aの周囲の物体の所有者に関する情報を用いて防犯動作の実行態様を変更することにより、不要な警報等を回避することができるので、適切な防犯動作を行うことが可能となる。
【0037】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る防犯装置1及び防犯システムは、第1実施形態に係る防犯装置1及び防犯システムとほぼ同様に構成されており、車両Aの周囲に存在する物体と照合結果等を共有する点が相違する。よって、第2実施形態に係る防犯装置1及び防犯システムでは、第1実施形態に係る防犯装置1及び防犯システムとの相違点を中心に説明し、重複する説明は省略する。また、説明理解の容易性を考慮して、第2実施形態に係る防犯装置1及び防犯システムでは、第1実施形態に係る防犯装置1及び防犯システムと同様に、車両Aの周囲に存在する物体を車両として説明する。
【0038】
図4は、第2実施形態に係る防犯装置1及び防犯システムの構成を示すブロック図である。図4に示すように、第2実施形態に係る防犯装置1及び防犯システムの構成は、第1実施形態に係る防犯装置1及び防犯システムの構成とほぼ同様であり、主に送信部102及び判定情報データベース123を備える点が相違する。
【0039】
受信部101は、車両Aの周囲に存在する近接車両から当該近接車両による照合結果(判定結果)を受信する機能を有している。なお、受信部101は、近接車両が検知した通行人又は不審者等の近接者に関する情報、被害情報又は犯行者に関する情報、後述する警報レベル等を受信してもよい。受信部101は、受信した照合結果等を情報データベース124へ出力する機能を有している。
【0040】
情報データベース124は、所有者情報データベース121及び判定情報データベース123を備えている。判定情報データベース123には、車両Aの周囲に存在する近接車両から得られた当該近接車両による照合結果等が格納される。また、不審者判定部122は、判定情報データベース123を書き込み可能に構成されており、判定結果を判定情報データベース123に格納する機能を有している。さらに、不審者判定部122は、上記の人物照合判定機能だけでなく、車両Aの異常発生を判定する機能を有し、車両Aの異常が発生していることを判定情報データベース123に格納する機能を有していてもよい。
【0041】
制御部13は、判定情報データベース123を参照可能に構成されており、不審者判定部122による判定結果及び判定情報データベース123に格納された照合結果等の少なくとも一方に基づいて、防犯動作の実行態様を変更する機能を有している。また、防犯制御部131は、不審者である可能性又は不審者との距離等に応じて警戒レベルを算出し、警戒レベルに応じて威嚇処理等の程度を変更可能に構成されていてもよい。この場合、制御部13が、判定情報データベース123に算出した警戒レベルを格納してもよい。
【0042】
送信部102は、所有者情報データベース121及び判定情報データベース123に格納された情報を近接車両へ送信する機能を有している。この機能により、車両Aとその周囲に存在する近接車両との間で、所有者情報だけでなく照合結果や警戒レベルが共有される。なお、各車両間の通信は、例えば通信アプリを用いたコミュニティを形成して行われる。
【0043】
その他の構成は第1実施形態に係る防犯装置1の構成と同様である。また、第1実施形態に係る防犯装置1と同様に、本実施形態に係る防犯装置1は、システムとして構築することも可能である。
【0044】
次に、本実施形態に係る防犯装置1の動作について説明する。最初に、本実施形態に係る防犯装置1が情報共有するために必要なコミュニティ形成動作について説明する。図5は、本実施形態に係る防犯装置1を備えた車両A,Aのコミュニティ形成動作を示すシーケンス図である。図5に示す制御処理は、例えば、車両A,AのイグニッションOFFのタイミングから所定の間隔で繰り返し実行される。なお、説明理解の容易性を考慮して、車両Aの参加しているコミュニティに車両Aが参加する場合を説明する。
【0045】
図5に示すように、最初に、車両Aの送信部102が、車両Aの参加しているコミュニティに対して、コミュニティに参加したい旨をブロードキャストする(S20)。このブロードキャストは、定期的に送信されてもよいし、例えばナビゲーション装置と連動し車両Aが駐車場付近に位置したときに送信されてもよい。また、車両Aの運転者により手動で送信されてもよい。車両Aの受信部101が、上記ブロードキャストによる信号を受信すると、車両Aは、通信アプリ等を用いてコミュニティの参加可否を判定し、参加可能な場合にはその旨を車両Aへ送信する(S22)。
【0046】
車両Aの受信部101がコミュニティ参加可能な旨を受信すると、車両Aの送信部102が車両Aのステータス情報(所有者情報、車両情報等)をブロードキャストし、車両Aの動作を終了する(S24)。これにより、車両Aは、車両Aのコミュニティ参加を検出して、車両Aの動作を終了する(S26)。S26の処理が終了すると、図5に示す制御処理を終了する。
【0047】
以上で図5に示す制御動作を終了する。図5に示す制御処理を実行することにより、車両Aは車両Aの参加しているコミュニティに参加できる。
【0048】
次に、本実施形態に係る防犯装置1の防犯動作について説明する。本実施形態に係る防犯装置1の防犯動作は、他車両の判定結果を受信するタイミングにより異なる。最初に、他車両の判定結果を受信する前に不審者を検出した場合を説明する。図6は、本実施形態に係る防犯装置1を備えた車両A,Aの防犯動作を説明するシーケンス図である。図6に示す制御処理は、例えば、車両A,AのイグニッションOFFのタイミングから所定の間隔で繰り返し実行される。なお、説明理解の容易性を考慮して、車両Aが車両Aの所有者を検出する場合を説明する。また、所有者の認証はスマートキーシステムを用いて行うものとする。
【0049】
図6に示すように、最初に、車両Aの防犯装置1が不審者を検出する(S30)。この処理は、図2のS10〜S14の処理と同様である。S30の処理が終了すると、車両Aの制御部13が警戒レベルを算出する(S32)。例えば、防犯制御部131が、不審者である可能性又は不審者との距離等に応じて警戒レベルを算出する。次に、防犯制御部131が、S32の処理で算出した警戒レベルに応じた警戒処理を実行する(S34)。車両Aは、警戒処理として、例えば撮像装置の録画処理を実行させたりセキュリティランプを点灯させたりする。そして、車両Aの送信部102がコミュニティに対してS32の処理で算出した警戒レベルを送信する(S36)。そして、車両Aの検知センサ111が不審者の有無を継続的に検出する(S38)。
【0050】
一方、車両Aの受信部101は、車両Aの送信部102により送信された警戒レベルを受信する。そして、車両Aの検知センサ111が人物を検出し、車両Aの受信部101が車両Aの所有者により携帯されたスマートキーの電波を受信する。そして、車両Aの判定部12が車両Aの所有者であると判定する(S40)。そして、車両Aの送信部102が車両Aの所有者の接近をコミュニティに対して送信する(S42)。S42の処理が終了すると、車両Aの動作を終了する。
【0051】
車両Aの受信部101は、車両Aから車両Aの所有者の接近を受信して判定情報データベース123に格納する。そして、車両Aの不審者判定部122は、判定情報データベース123を参照し、S30の処理で検知された不審者と車両Aから通知された所有者とが同一人物か否かを判定する(S44)。例えば、S30の処理で検知された不審者の位置情報と車両Aから通知された所有者の位置情報とに基づいて同一人物か否かを判定する。そして、不審者判定部122が同一人物であると判定した場合には、制御部13はS32の処理で算出した警報レベルを下げて、警戒動作を停止する(S46、S48)。S48の処理が終了すると、車両Aの動作を終了する。
【0052】
以上で図6に示す制御処理を終了する。図6に示す制御処理を実行することで、車両Aの防犯装置1が検知した人物を不審者であると判別した場合であっても、車両Aの判別結果を用いて不審者でないと判定することができる。
【0053】
次に、他車両の判定結果を受信した後に不審者を検出した場合を説明する。図7は、本実施形態に係る防犯装置1の防犯動作を説明するシーケンス図である。図7に示す制御処理は、例えば、車両A,AのイグニッションOFFのタイミングから所定の間隔で繰り返し実行される。なお、説明理解の容易性を考慮して、車両Aが車両Aの所有者を検出する場合を説明する。また、所有者の認証はスマートキーシステムを用いて行うものとする。
【0054】
図7に示すように、最初に、車両Aの検知センサ111が人物を検出し、車両Aの受信部101が車両Aの所有者により携帯されたスマートキーの電波を受信する。そして、車両Aの判定部12が車両Aの所有者であると判定する(S50)。そして、車両Aの送信部102が車両Aの所有者の接近をコミュニティに対して送信する(S52)。S52の処理が終了すると、車両Aの動作を終了する。
【0055】
一方、車両Aの受信部101は、車両Aから所有者の接近を受信し、判定情報データベース123に格納する。そして、車両Aの防犯装置1が不審者を検出する(S54)。この処理は、図2のS10〜S14の処理と同様である。そして、車両Aの不審者判定部122は、判定情報データベース123を参照し、S54の処理で検知された不審者と車両Aから通知された所有者とが同一人物か否かを判定する(S56)。この処理は、図6のS44の処理と同様である。そして、不審者判定部122が同一人物であると判定した場合には、制御部13は警報レベルを変更することなく、車両Aの動作を終了する(S58)。
【0056】
以上で図7に示す制御処理を終了する。図7に示す制御処理を実行することで、車両Aの防犯装置1が検知した人物を不審者であると判別した場合であっても、車両Aの判別結果を用いて不審者でないと判定することができる。
【0057】
次に、本実施形態に係る防犯装置1の作用効果について説明する。図8は、本実施形態に係る防犯装置1を備えた車両A,Aの動作を説明する概要図である。図8に示すように、車両Aの隣に車両Aが駐車されており、車両Aの所有者である人物Hが車両Aにより検出されたものとする。人物Hは、車両Aにより近接者であると判定されるが、車両Aにより車両Aの所有者であると判定される。そして、所有者情報を用いた判定結果が、車両Aから車両Aへ通知され、個々の車両の判定結果がコミュニティ内で共有される。車両Aは、車両Aの判定結果を利用することで、車両Aの所有者以外であっても警戒する必要が無い(すなわち不審者でない)と判定することができる。このため、車両Aに近接する可能性のある全ての人間を登録するという非現実的な対応をすることなく、不必要な防犯動作を行うことを回避することが簡易な構成で実現することが可能となる。さらに、上記動作はインフラと連携していないため、防犯動作を行う場所が限定されることがない。したがって、関係者のみ立ち入ることができる駐車施設を設ける必要もなく、さらに外出先等の駐車場であっても不必要な防犯動作を行うことを回避することができる。このように、不必要な防犯動作を回避することで防犯動作の精度を向上させることが可能となるとともに、防犯動作に伴う車両Aのバッテリーの電力消費を抑えることができ、結果、長期間の監視動作を実行することが可能となる。
【0058】
また、車両同士がコミュニティを形成し判別結果を共有することで、車両単体で人物の検知を行う場合に比べて検知範囲を広げることができる。検知範囲の拡大について、図9を用いて詳細を説明する。図9は、本実施形態に係る防犯装置1の検知範囲Lを説明する概要図である。図9に示すように、隣接する複数台の車両Aによって1つのコミュニティが形成される。コミュニティに参加している車両間では判定情報が共有されるため、隣接する複数台の車両Aの検知範囲Lに存在する人物の判定情報が共有されることとなる。したがって、個々の車両Aの検知範囲外であっても人物の検知及び判定を行うことが可能となる。
【0059】
以上、第2実施形態に係る防犯装置1及び防犯システムによれば、照合結果が車両Aの周囲に存在する隣接車両へ送信されて共有されるため、車両Aが行う防犯動作に隣接車両の照合結果を活用することができるとともに、隣接車両自身が行う防犯動作に車両Aの照合結果を活用することが可能となる。このように、車両Aの防犯動作を車両Aの周囲に存在する車両と連携して行うことができるので、不必要な防犯動作を回避することを簡易な構成で実現することが可能となる。また、車両自身の所有者であるか否かを当該車両により判定されるため、高い判別精度による判別結果を他車両が活用することができる。よって、誤認識や誤警報を適切に回避することが可能となる。
【0060】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る防犯装置1及び防犯システムは、第2実施形態に係る防犯装置1及び防犯システムとほぼ同様に構成されており、コミュニティを形成した車両が集団で防犯動作を行う点が相違する。よって、第3実施形態に係る防犯装置1及び防犯システムでは、第2実施形態に係る防犯装置1及び防犯システムとの相違点を中心に説明し、重複する説明は省略する。また、説明理解の容易性を考慮して、第3実施形態に係る防犯装置1及び防犯システムでは、第2実施形態に係る防犯装置1及び防犯システムと同様に、車両Aの周囲に存在する物体を車両として説明する。
【0061】
第3実施形態に係る防犯装置1及び防犯システムの構成は、第2実施形態に係る防犯装置1及び防犯システムの構成とほぼ同様であり、制御部13の一部機能が相違する。制御部13は、判定情報データベース123を参照可能に構成されており、判定情報データベース123に格納された照合結果等に基づいて、防犯動作の実行態様を変更する機能を有している。例えば、制御部13は、判定情報データベース123を参照し、他車両にて不審者検知の判定結果を確認した場合には、集団警戒・集団威嚇を行う機能を有している。集団警戒とは、例えば、検知された不審者の行動や風貌を複数の車両が記録・録画等したり、ヘッドライトの点灯、フラッシュ撮影等の光やスピーカ、ホーン、ブザー等を用いて検知された不審者に対して周囲の車両がざわついたり問いかけたりする防犯動作である。また、集団威嚇とは、例えば、不審者の行き先に連動して複数の車両がヘッドライトにより威嚇照射したり、複数の車両が警報音により威嚇したりする防犯動作である。また、制御部13は、集団警戒・集団威嚇を行うか否かを、例えば他車両から通知された警報レベルに応じて判定してもよい。このように、制御部13は、共有された不審者判別情報を利用して集団で防犯動作を行う機能を有している。その他の構成は第2実施形態に係る防犯装置1の構成と同様である。また、第2実施形態に係る防犯装置1と同様に、本実施形態に係る防犯装置1は、システムとして構築することも可能である。
【0062】
次に、本実施形態に係る防犯装置1を備える複数の車両Aの防犯動作について説明する。図10は、本実施形態に係る防犯装置1を備える複数の車両Aの防犯動作を説明するシーケンス図である。図10に示す制御処理は、例えば、車両A,AのイグニッションOFFのタイミングから所定の間隔で繰り返し実行される。なお、説明理解の容易性を考慮して、車両Aが不審者を検出して車両Aへ通知する場合を説明する。
【0063】
図10に示すように、最初に、車両Aの防犯装置1が不審者を検出する(S60)。この処理は、図2のS10〜S14の処理と同様である。S60の処理が終了すると、車両Aの制御部13が警戒レベルを算出する(S62)。この処理は、図6のS32の処理と同様である。次に、防犯制御部131が、S62の処理で算出した警戒レベルに応じた警戒処理又は威嚇処理を実行する(S64)。警戒処理は、図6のS34の処理と同様である。また、威嚇処理としては、不審者へのライト照射やセキュリティアラームをならしたりする。そして、車両Aの送信部102がコミュニティに対してS62の処理で算出した警戒レベルを送信する(S66)。また不審者情報もあわせて送信する。そして、車両Aの検知センサ111が不審者の有無を継続的に検出する(S72)。
【0064】
一方、車両Aの受信部101は、車両Aの送信部102により送信された警戒レベル及び不審者情報を受信し、判定情報データベース123に格納する。そして、制御部13が車両Aの警戒レベルを設定する。例えば、制御部13は、判定情報データベース123に格納された車両Aの警戒レベル、又は不審者と車両Aのとの位置関係等に基づいて、車両Aの警報レベルを設定する(S68)。そして、車両Aの制御部13が集団警戒又は集団威嚇の必要性を判定し、集団警戒又は集団威嚇の必要があると判定した場合には、集団警戒又は集団威嚇を実行する(S70)。例えば、制御部13が、集団警戒として、撮像装置の記録処理を実行したり、セキュリティランプを点灯させたりする。また、制御部13が、集団威嚇として、不審者へのライト照射やセキュリティアラームをならしたりする。
【0065】
一方、車両Aは、S72の処理において不審者がいないことを検知すると、車両Aの警戒処理又は威嚇処理を終了する(S74,S76)。このとき制御部13は、警戒レベルを下げる。そして、車両Aの送信部102がコミュニティに対して警戒レベルの低下を送信する(S78)。S78の処理が終了すると、車両Aの動作を終了する。
【0066】
一方、集団警戒又は集団威嚇を実行中の車両Aの受信部101は、車両Aの送信部102により送信された警戒レベルの低下を受信し、判定情報データベース123に格納する。そして、制御部13が集団警戒又は集団威嚇の停止を判定する(S80)。例えば、車両Aの警戒レベルが所定値よりも小さい場合には、集団警戒又は集団威嚇を停止する(S82)。S82の処理が終了すると、車両Aの動作を終了する。
【0067】
以上で図10に示す制御処理を終了する。図10に示す制御処理を実行することで、不審者の動作や人物情報が複数の車両で共有されるため、駐車場を俯瞰することができる防犯カメラ等の設備を利用することなく、周囲の車両を物色している段階(犯行前)において不審な人物を的確に抽出することができる。また、図10に示す制御処理を実行することで、車両Aの防犯装置1が検知した不審者に対して周囲の車両Aが連携して防犯動作を行うことができる。以下、防犯動作の詳細について、図11,12を用いて説明する。図11は、本実施形態に係る防犯装置1の集団警戒を説明する概要図、図12は、本実施形態に係る防犯装置1の集団威嚇を説明する概要図である。図11に示すように、車両Aが不審者Hを検知した場合には、不審者Hの情報が車両Aから車両Aへ通知され、車両Aの検知センサ111が不審者Hを検知していない場合であっても警戒処理が実行される。また、図12に示すように、車両Aが不審者Hを検知した場合には、不審者Hの情報が車両Aから車両Aへ通知され、車両Aの検知センサ111が不審者Hを検知していない場合であっても、音および光による威嚇処理(図12のA)や、光による威嚇処理(図12のB)が実行される。このように、隣接車両も含めた威嚇、通報、証拠保持が行われるため、初期犯行時の被害を極力抑えたり、犯人特定を容易としたりすることができる。また、コミュニティ内の車両所有者が犯行に及んだ場合には犯人と車両の特定が可能となる。
【0068】
以上、第3実施形態に係る防犯装置1及び防犯システムによれば、第2実施形態に係る防犯装置1及び防犯システムと同様の効果を奏するとともに、コミュニティに参加する車両が集団で防犯動作を行うことができるので、適切な警戒処理、効果的な威嚇処理、確実な証拠保全等を行うことが可能となる。よって、より効果的な防犯動作を行うことができる。
【0069】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る防犯システムは、第3実施形態に係る防犯システムとほぼ同様に構成されており、車両Aがインフラ装置Cと連携する点が相違する。よって、第4実施形態に係る防犯システムでは、第3実施形態に係る防犯システムとの相違点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0070】
第4実施形態に係る防犯システムの構成は、第3実施形態に係る防犯システムの構成とほぼ同様であり、車両Aとインフラ装置Cとが通信可能に構成される点が相違する。インフラ装置Cは、監視対象である車両Aの駐車位置付近に配置されるものであり、通信機能及び認証機能を備えている。通信機能は、例えばコミュニティ内の車両との通信を行う機能であり、認証機能は、例えば画像に基づいた顔認証機能やスマートキーシステムによる認証機能である。インフラ装置Cとしては、例えば、駐車場の出入り口に配置された防犯カメラ等が用いられる。
【0071】
次に、本実施形態に係る防犯システムの防犯動作について説明する。図13は、本実施形態に係る防犯システムの防犯動作を説明するシーケンス図である。図13に示す制御処理は、例えば、車両AのイグニッションOFF及びインフラ装置Cの電源ONのタイミングから所定の間隔で繰り返し実行される。なお、説明理解の容易性を考慮して、インフラ装置Cは、車両Aが駐車された駐車場の出入り口に配置され、駐車した人物の顔画像を登録しているものとする。
【0072】
図13に示すように、最初に、インフラ装置Cは、入場者を検知し、検知された入場者の属性を判定する(S90)。S90の処理では、例えば、インフラ装置Cが入場者の顔の特徴点を抽出する。そして、入場者の顔の特徴点と、登録済みの駐車した人物の顔の特徴点とを照合する(S92)。そして、入場者の顔の特徴点と登録済みの駐車した人物の顔の特徴点とが一致する場合には、インフラ装置Cは、コミュニティに対して所有者が入場する旨を通知する(S94)。
【0073】
一方、車両Aの受信部101は、車両Aから所有者の接近を受信し、判定情報データベース123に格納する。そして、車両Aの防犯装置1が歩行者を検出する(S96)。この処理は、図2のS11の処理と同様である。そして、車両Aの不審者判定部122は、判定情報データベース123を参照し、S96の処理で検知された歩行者とインフラ装置Cから通知された所有者とが同一人物か否かを判定する(S98)。この処理は、図6のS44の処理と同様である。そして、不審者判定部122が同一人物であると判定した場合には、制御部13は警報レベルを変更することなく、車両Aの動作を終了する(S100)。
【0074】
以上で図13に示す制御処理を終了する。図13に示す制御処理を実行することで、車両Aの防犯装置1が検知した人物をインフラ装置Cの判定結果に基づいて不審者でないと判定することができる。
【0075】
次に、本実施形態に係る防犯システムの作用効果について説明する。図14は、本実施形態に係る防犯システムの作用効果を説明する概要図である。図14に示すように、車両Aの隣に車両Aが駐車されており、駐車場の出入り口にはインフラ装置Cが配置されているものとする。そして、車両Aの所有者である人物Hがインフラ装置Cにより検出されたものとする。人物Hは、車両A,Aにより近接者であると判定されるが、インフラ装置Cにより車両Aの所有者であると判定される。そして、所有者情報を用いた判定結果が、インフラ装置Cから車両A,Aへ通知され、コミュニティ内で共有される。車両A,Aは、インフラ装置Cの判定結果を利用することで、車両A,Aの所有者以外であっても警戒する必要が無い(すなわち不審者でない)と判定することができる。このため、車両A,Aに近接する可能性のある全ての人間を登録するという非現実的な対応をすることなく、不必要な防犯動作を行うことを回避することが簡易な構成で実現することが可能となる。このように、不必要な防犯動作を回避することで防犯動作の精度を向上させることが可能となるとともに、防犯動作に伴う車両A,Aのバッテリーの電力消費を抑えることができ、結果、長期間の監視動作を実行することが可能となる。
【0076】
以上、第4実施形態に係る防犯システムによれば、インフラ装置Cによる照合結果がコミュニティに参加している車両Aへ送信されて共有されるため、車両Aが行う防犯動作にインフラ装置Cの照合結果を活用することができるとともに、隣接車両が行う防犯動作にインフラ装置Cの照合結果を活用することが可能となる。このように、車両Aの防犯動作をインフラ装置Cを介して車両Aの周囲に存在する車両と連携して行うことができるので、不必要な防犯動作を回避することを簡易な構成で実現することが可能となる。また、インフラ装置Cを用いることで車両Aの死角であっても防犯動作を行うことができる。
【0077】
なお、上述した各実施形態は本発明に係る防犯装置及び防犯システムの一例を示すものである。本発明に係る防犯装置及び防犯システムは、各実施形態に係る防犯装置及び防犯システムに限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で、各実施形態に係る防犯装置及び防犯システムを変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0078】
例えば、上述した実施形態では、防犯装置が車載される例を説明したが、例えば住居や駐車場等の車外に設置されていてもよい。
【0079】
また、上述した実施形態では、車両Aが通信により他車両の所有者を特定する情報を取得する例を説明したが、他車両の所有者を特定する情報は通信によって取得する場合に限られるものではない。例えば、マンション等の予め各自が駐車可能な駐車区画が決められている場所に駐車した車両Aを監視する場合において、近接駐車区画の所有者を特定する情報を記録したメモリ等を用いて防犯装置1が情報を読み込む場合であってもよい。このような場合であって集団警戒や集団威嚇を行わない場合には、防犯装置1は通信部10を備えなくてもよい。
【0080】
また、上述した実施形態では、車両Aの周囲に存在する物体として、車両Aの周囲に駐車された他車両である例を説明したが、車両Aの周囲に存在する物体は車両に限られるものではなく、自転車、自動二輪車、家屋、土地等、所有者が確定している有体物であればよい。
【0081】
また、上述した実施形態では、コミュニティへの参加条件として通信可能であることを前提としているが、例えば、契約駐車場であれば契約者の車両が決められた位置に駐車されている場合のみコミュニティに参加できるように設定してもよい。また、インフラとして契約駐車場そのものをコミュニティに参加させてもよい。上述した第2実施形態では、コミュニティの参加の可否を車両Aが応答する場合を説明したが、契約駐車場がコミュニティに参加している場合には、契約駐車場がコミュニティの参加の可否を応答してもよい。このように、応答する物体はコミュニティに参加している物体であればよい。
【0082】
また、上述した実施形態では、不審者に関する情報をコミュニティ内で共有する場合を説明したが、例えばセンターサーバ等に不審者に関する情報をアップロードし、ナビゲーションシステムで不審者に関する情報を確認できるシステムとすることで、より最適な防犯ネットワークを構築することができるとともに、不審者の当該地域そのものへの近接を抑止することが可能となる。
【0083】
また、上述した実施形態では、不審者に関する情報をコミュニティ内で共有する場合を説明したが、例えば車両の検知性能又はバッテリー性能に応じた駐車を行うことで、より最適な防犯ネットワークを構築することができる。例えば、車両装備に応じて駐車配置を制御することでより最適な防犯ネットワークを構築することができる。以下、図15を用いて詳細を説明する。図15に示すように、周辺監視カメラを搭載した車両又はプラグインハイブリッド車両である車両A,A、及び、周辺監視カメラを搭載していない車両又はプラグインハイブリッド車両でない車両Aが存在する場合には、車両Aと車両Aとの間に車両Aを駐車させるように誘導することにより、車両Aの検知エリアLを車両A及び車両Aの検知エリアL,L6によりカバーしたり、車両A及び車両Aが隣接車両情報を取得した場合には、車両Aは無駄な検知や情報送信を控えることでバッテリー消費を抑えたりすることができる。このように、センサ性能、又はバッテリー性能もしくは残量に応じて隣接車両情報の取得・送信頻度を制御することで負荷の最適化を図ることが可能となる。なお、車両の駐車誘導に関しては、例えば車両装備の充実した車両の駐車料金を安く設定して所定の駐車場へ誘致してもよい。
【符号の説明】
【0084】
1…防犯装置(防犯システム)、10…通信部(所有者情報取得手段)、11…検知部(監視手段)、12…判定部(防犯手段)、13…制御部(防犯手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の防犯動作を行う防犯装置であって、
前記対象物の周囲を監視する監視手段と、
前記対象物の周囲に存在する物体の所有者情報を取得する所有者情報取得手段と、
前記監視手段の監視結果に基づいて防犯動作を行う防犯手段と、
を備え、
前記防犯手段は、前記所有者情報に基づいて前記対象物の防犯動作の実行態様を変更すること、
を特徴とする防犯装置。
【請求項2】
前記防犯手段は、前記監視手段によって検出された人物と前記所有者情報とを照合し、検出された人物が前記対象物の周囲に存在する物体の所有者である場合には、警報の実行を行わない請求項1に記載の防犯装置。
【請求項3】
前記防犯手段は、前記監視手段によって検出された人物と前記所有者情報とを照合し、照合結果を前記対象物の周囲に存在する物体へ送信する請求項1に記載の防犯装置。
【請求項4】
前記対象物は、車両であり、
前記対象物の周囲に存在する物体は、前記車両の周囲に駐停車された車両である請求項1〜3の何れか一項に記載の防犯装置。
【請求項5】
前記対象物は、車両であり、
前記対象物の周囲に存在する物体は、前記車両と通信可能な車両であり、
前記所有者情報取得手段は、通信を介して前記所有者情報を取得する請求項1〜3の何れか一項に記載の防犯装置。
【請求項6】
対象物の防犯動作を行う防犯システムであって、
前記対象物の周囲を監視する監視装置と、
前記対象物の周囲に存在する物体の所有者情報を取得する所有者情報取得装置と、
前記監視装置の監視結果に基づいて防犯動作を行う防犯装置と、
を備え、
前記防犯装置は、前記所有者情報に基づいて前記対象物の防犯動作の実行態様を変更すること、
を特徴とする防犯システム。
【請求項7】
前記防犯装置は、前記監視装置によって検出された人物と前記所有者情報とを照合し、検出された人物が前記対象物の周囲に存在する物体の所有者である場合には、警報の実行を行わない請求項6に記載の防犯システム。
【請求項8】
前記防犯装置は、前記監視装置によって検出された人物と前記所有者情報とを照合し、照合結果を前記対象物の周囲に存在する物体へ送信する請求項6に記載の防犯システム。
【請求項9】
前記対象物は、車両であり、
前記対象物の周囲に存在する物体は、前記車両の周囲に駐停車された車両である請求項6〜8の何れか一項に記載の防犯システム。
【請求項10】
前記対象物は、車両であり、
前記対象物の周囲に存在する物体は、前記車両と通信可能な車両であり、
前記所有者情報取得装置は、通信を介して前記所有者情報を取得する請求項6〜8の何れか一項に記載の防犯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−251563(P2011−251563A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124886(P2010−124886)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】