説明

防犯装置

【課題】 不法侵入者が大きな不安感を抱くような発光形態で威嚇を行って、高い防犯効果を発揮することのできる防犯装置を提供する。
【解決手段】 所定の検知エリアA0 〜An 内の人体Hを検知して検知信号PDを出力するセンサ7と、検知信号PDを受けてそれぞれ異なる光を発光する複数の発光器8,9を有する発光手段12と、複数の発光器8,9を交互に点滅させる点灯制御手段13A,13Bと、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、一般住宅における監視すべき検知エリア内に泥棒などの悪意を持った不法侵入者が侵入した際に、発光手段の発光を、不法侵入者に対し威嚇を与えられるように点灯制御して、不法侵入者に対し速やかに退去するよう促すことにより、犯行を未然に防止する用途に用いられる防犯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば一般住宅の玄関先に設置されるポーチライトのような照明器具には、照明すべき検知エリア内に進入した人体を検知するセンサを具備して、そのセンサによる人体の検知の有無に基づき自動点灯および自動消灯させることにより、節電や利便性の向上を図ったものが存在する。一方、一般的な照明用としての機能に防犯機能を付加した照明装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記防犯機能を付加した照明装置は、センサから人体の検知信号が出力されたときに照明用モードを設定して、予め設定された所定時間が経過するまで照明器(聡明負荷)を連続点灯させるとともに、その所定時間内にセンサから検知信号が連続的または断続的に出力され続けたときに、検知エリア内に存在するのが家人や善意の来訪者ではなく不法侵入者であると判断して、所定時間が経過した時点で照明器を連続点灯から点滅点灯に自動的に切り換える。この点滅点灯により、悪意を持った不法侵入者に対して、不安感を与える威嚇を行い、速やかに退去を促すように図っている。
【0004】
【特許文献1】特開平2003−208990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記防犯機能を付加した照明装置では、家人や善意の来訪者の足元を照らす照明用としての用途に用いている照明器を短時間で点滅を繰り返すように点灯制御することによるフラッシュ機能で不法侵入者を威嚇するように図っているだけであるから、不法侵入者に対する威嚇効果が低い。また、同一色の複数の照明装置を同時に点滅させる防犯装置も存在するが、この防犯装置は、例えば、鉄道の踏切に設置されている警告動作表示灯と同等の点灯制御を行っているだけであって、不法侵入者が普段見慣れている点滅形態であることから、やはり威嚇効果の低いものである。
【0006】
本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたもので、不法侵入者が大きな不安感を抱くような発光形態で威嚇を行って、高い防犯効果を発揮することのできる防犯装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明に係る防犯装置は、所定の検知エリア内の人体を検知して検知信号を出力するセンサと、前記検知信号を受けてそれぞれ異なる光を発光する複数の発光器を有する発光手段と、前記複数の発光器を交互に点滅させる点灯制御手段とを備えている。
【0008】
この構成によれば、センサが不法侵入者を検知したときに、複数の発光器がそれぞれ異なる発光色を発光し、しかも、これら異なる発光色が交互に点滅されるので、同一の発光色を同時に点滅させる場合などとは異なり、不法侵入者に対し、大きな不安感を抱かせて強い心理的圧迫を与えるのに十分な威嚇を行って、退去するよう促すことができるので、高い防犯効果を得ることが期待できる。
【0009】
本発明において、前記発光手段に含まれる発光器の少なくとも1つとして、一定の照明エリアを照明する照明器を用いることが好ましい。この構成によれば、通常時において、センサからの検知信号に基づいて検知エリア内に進入したのが住宅の家人や善意の来訪者などであると判別したときには、照明器を所定時間の間連続点灯して、足元を照らす照明用としての機能をも兼備させることができる。
【0010】
また、本発明において、前記発光手段に含まれる発光器の少なくとも1つとして、前記センサの検知動作を表示する動作表示灯を用いることができる。この構成によれば、照明器と動作表示灯とを備えている既存の防犯用照明装置を活用して、不法侵入者が存在すると判別したときに限り、照明器と動作表示灯を、異なる光を発光させるための発光器として利用して、交互に点滅させるように点灯制御することができる。これにより、既存の防犯用照明装置の一部を改造して製作できるので、安価なものとなる。
【0011】
本発明において、さらに、前記検知信号を受けて威嚇音を発生する威嚇音発生手段を備えていることが好ましい。この構成によれば、それぞれ異なる光を発光する複数の発光器を交互に点滅動作させるのと同時に、威嚇音発生手段から威嚇音が出力されるので、光と音との相乗効果によって不法侵入者を一層効果的に威嚇することができるから、防犯効果が高められる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の防犯装置によれば、センサから出力する検知信号に基づき不法侵入者の存在を検知したときに、複数の発光器からそれぞれ異なる発光色を発光し、しかも、これら異なる発光色を交互に点滅させることにより、不法侵入者に対し、大きな不安感を抱かせて強い心理的圧迫を与えるに十分な威嚇を行うことができ、高い防犯効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係る防犯装置の設置状態の光学的構成を模式的に示す斜視図であり、この実施形態では、通常時に住宅の家人や善意の来訪者の足元を照らす一般照明用としての機能をも兼ね備えた構成を例示している。すなわち、この防犯装置は、一般住宅の門柱、門柱から玄関までのアプローチエリア、カーポート、住宅の裏口または勝手口に面した外壁面などにおける所定高さ位置に取り付けられて、通常時に、家人や善意の来訪者の足元を照らすポーチライトのような照明器具として機能する一方、泥棒などの悪意を持った不法侵入者が侵入したときには、不法侵入者が存在すると判断した時点で点滅動作に移行して、不法侵入者に大きな不安感を与えるような威嚇を行う、防犯機能を発揮する。
【0014】
図2は前記防犯装置を示す斜視図であり、樹脂製のユニットケース1の前面には、その中央部に検知窓2が設けられ、その検知窓2の上方および下方位置に照明窓3および表示窓4がそれぞれ配設されている。検知窓2、照明窓3および表示窓4はユニットケース1と別体の樹脂で形成され、ユニットケース1に嵌め込まれている。ユニットケース1の内部には、人体を検知して検知信号を出力するセンサ7が検知窓2に対向する配置で設けられており、このセンサ7として、この実施形態では受動型赤外線方式(PIR)のものが用いられている。この受動型赤外線方式のセンサ7は、図1に示す人体Hの監視エリアV内に複数の検知エリアA0 〜An を設定するフレネルレンズのような集光光学系およびこの光学系の焦点の近傍に配置された焦電素子を有し、検知エリアA0 〜An 内の人体Hが発する遠赤外線を検知する受動型赤外線検知器と、この赤外線検知器からの受光量を示す電気信号が一定回数以上にわたって所定レベル以上変化したときに人体Hの検知信号を出力する検知回路とを備えた、周知の構成を有している。検知信号はパルスとして出力される。
【0015】
さらに、ユニットケース1の内部には、白色発光ダイオードが照明窓3から出射する配置で配列されてなる照明器8と、赤色発光ダイオードが表示窓4から出射する配置で配列されてなる動作表示灯9とが設けられている。また、ユニットケース1の右側面には音声透過部10が設けられているとともに、この音声透過部10に対向配置したスピーカのような威嚇音発生手段11がユニットケース1に内蔵されている。この威嚇音発生手段11は、騒音または退却を促すような音声を発生する。
【0016】
ところで、従来においても、センサ、照明器およびパイロットランプを有するユニットケースを用いた照明装置が存在しており、センサが人体を検知したときにパイロットランプが例えば2秒程度の間点灯して人体の検知を表示するとともに、照明器が例えば1分程度点灯して検知エリアを通行する人体の足元を照らすようになっている。この実施形態の防犯装置は、前記既存の照明装置に防犯機能を付加するように改造したものであって、ユニットケース1の表示窓4を既存のものよりも大きくし、かつ、パイロットランプに代えて、発光量の大きい前記動作表示灯9を設け、さらに、後述する点灯制御手段をユニットケース1に内蔵したものである。したがって、この防犯装置は、既存の照明装置の基本構成を活用することにより、安価に製作できるものである。
【0017】
図3は前記防犯装置の電気回路を示すブロック図である。発光手段12は、センサ7からの検知信号を受けてそれぞれ異なる光を発光する複数の発光器を有したものであり、これら発光器として、前記照明器8および動作表示灯9が用いられている。
【0018】
点灯制御手段13Aは、センサ7からの検知信号PDを受けて発光手段12の点灯を制御するものであって、検知信号PDを受けて発光手段12を照明用の第1モードで点灯させる第1モード設定部14と、第1モードでの点灯中の所定時間内に設定回数の検知信号PDを受けたときに発光手段12を威嚇用の第2モードで点灯させる第2モード設定部17とを有している。第1モード設定部14は、照明器8および動作表示灯9を、内蔵する点灯時間設定タイマ14aに予め設定された点灯時間の間それぞれ点灯制御する。第2モード設定部17は、照明器8および動作表示灯9を、内蔵する点滅時間設定タイマ17aに予め設定された点滅時間の間交互に点滅させるように制御する。第1モード設定部14および第2モード設定部17からそれぞれ出力される第1モードおよび第2モードの点灯制御信号は、切換手段23の切り換え動作により択一的に発光手段12に供給される。切換手段23は、通常時に図示の接続状態、つまり第1モード設定部14を発光手段12に接続する状態に保持されている。
【0019】
検知ディレータイマ18は、第1モード設定部14から起動信号を受けて所定時間の計時を開始し、タイムアップした時点でハイレベルのカウントアップ信号を出力する。パルスカウンタ19は、センサ7から入力される検知信号をカウントして、そのカウント数が予め設定された回数に達した時点でハイレベルのカウントアップ信号を出力する。第1アンド回路21は、一方の入力端子に反転器22を介して検知ディレータイマ18の出力が入力され、他方の入力端子にパルスカウンタ19の出力が入力される。第1アンド回路21の前記一方の入力端子に、検知ディレータイマ18がタイムアップするまでの間出力されるローレベル信号が反転器22で反転されてなるハイレベル信号が入力している状態において、パルスカウンタ19からハイレベルのカウントアップ信号が他方の入力端子に入力したとき、つまり検知ディレータイマ18が所定時間を計時中においてセンサ7から検知信号PDが設定回数だけ出力される条件が成立したときに、ハイレベル信号を出力する。威嚇ディレータイマ20は、第1アンド回路21からハイレベル信号が入力したときに起動して、予め設定された威嚇遅延時間の計時動作を開始し、タイムアップしたときにハイレベルのタイムアップ信号を出力する。
【0020】
前記威嚇ディレータイマ20から出力されるハイレベルのタイムアップ信号は切換手段23に対し切換信号として入力される。これにより、切換手段23は、発光手段12を第1モード設定部14から第2モード設定部17に接続するように切り換えられて、第2モード設定部17の点灯制御信号を発光手段12に供給する。また、前記威嚇ディレータイマ20から出力されるハイレベルのタイムアップ信号は、第2モード設定部17および威嚇音発生手段11に対しそれぞれ起動信号として供給される。前記パルスカウンタ19は、検知ディレータイマ18からのハイレベルのタイムアップ信号または第1アンド回路21からのハイレベル信号のいずれかが、オア回路25を介してリセット端子Rに入力されたときにリセットされる。また、第2アンド回路24は、第2モード設定部17からハイレベルの第2モード設定信号が一方の入力端子に入力している状態においてセンサ7から検知信号PDが他方の入力端子に入力したときにハイレベル信号を出力する。第2モード設定部17は、前記第2アンド回路24からハイレベル信号が入力されたときに、点滅時間設定タイマ17aをこれがタイムアップしたのち再起動させる。
【0021】
つぎに、図3の電気回路の動作について、そのタイミングチャートである図4を参照しながら説明する。住宅の家人または善意の来訪者が検知エリアA0 〜An 内に進入して、この人体Hを検知したセンサ7からt1時に出力された検知信号PD(図4(a))が第1モード設定部14に起動信号として入力されると、第1モード設定部14は発光手段12に対し照明用の第1モードで点灯させる点灯制御信号を出力する。
【0022】
すなわち、第1モード設定部14は、t1時に起動させた内蔵の点灯時間設定タイマ14aの計時時間に基づいて、赤色の動作表示灯9を予め設定された短い表示時間(例えば2秒)Td の間点灯させて(図4(d))人体を検知したことを表示し、かつ、白色の照明器8を予め設定された照明時間(例えば1分)TL の間連続点灯させて(図4(e))、家人の足元を照らすよう制御する。また、第1モード設定部14は、t1時に検知ディレータイマ18に対し起動信号を供給する。これにより、検知ディレータイマ18は、予め設定された所定時間である検知判定時間TS の計時動作を開始する(図4(b))。なお、第1モードにおいては、動作表示灯9を点灯しないように設定してもよい。
【0023】
前記検知ディレータイマ18に設定されている検知判定時間TS は、検知エリアA0 〜An 内に存在する人体Hが家人または善意の来訪者であるか悪意を持った不法侵入者であるかの判定を行うための時間であり、この検知判定時間TS 内において、人体の動きを検知した検知信号PDの出力回数をパルスカウンタ19がカウントする。この防犯装置では、パルスカウンタ19に検知判定のための設定回数として例えば「10」が設定されており、前記検知判定時間TS が経過する前にパルスカウンタ19のカウント数が「10」に達した時点で不法侵入者であると判定する。
【0024】
家人または善意の来訪者の場合には、通常、検知エリアA0 〜An 内を迅速に通過したのちドアを解錠して検知判定時間TS が経過する前に住宅内に入るので、検知判定時間TS 内にパルスカウンタ19のカウント数が「10」に達することがない。そのため、検知判定時間TS を計時する検知ディレータイマ18がタイムアップするまでは、この検知ディレータイマ18が出力するローレベル信号が反転器22で反転されたハイレベル信号が第1アンド回路21の一方の入力端子に入力されているが、パルスカウント19から第1アンド回路21の他方の入力端子に対しハイレベルのカウントアップ信号が入力されないので、第1アンド回路21から威嚇ディレータイマ20にハイレベルの起動信号が入力することがない。そして、t2時に、検知ディレータイマ18がタイムアップする(図4(b))と、検知ディレータイマ18から出力されるハイレベルのタイムアップ信号によりパルスカウンタ19がリセットされる。第1モード設定部14は、点灯時間設定タイマ14aが照明時間TL を計時し終えた時点で点灯制御信号の出力を停止するので、照明器8が消灯する。
【0025】
つぎに、泥棒のような悪意を持った不法侵入者が検知エリアA0 〜An 内に侵入して、この人体Hを検知したセンサ7からt3時に出力された検知信号PD(図4(a))が第1モード設定部14に起動信号として入力されると、第1モード設定部14は発光手段12に対し照明用の第1モードで点灯させる点灯制御信号を出力するので、上述と同様に、動作表示灯9が表示時間Td の間点灯され(図4(d))、かつ、照明器8が照明時間TL の間連続点灯するよう設定される(図4(e))。また、検知ディレータイマ18は、第1モード設定部14から起動信号を受けて検知判定時間TS の計時動作を開始する(図4(b))。
【0026】
不法侵入者は、通常、家屋内に侵入する前に、周囲の様子を伺うために検知エリアA0 〜An 内を頻繁に移動するから、所定の検知判定時間TS が経過する前にパルスカウンタ19のカウント数が設定回数に達する。
【0027】
そして、検知判定時間TS が経過する前のt4時にセンサ7から設定回数である10個目の検知信号PDが出力されると、検知ディレータイマ18が検知判定時間TS をタイムアップする前であることから、この検知ディレータイマ18から出力されているローレベル信号が反転器22で反転されたハイレベル信号が第1アンド回路21の一方の入力端子に入力されている状態において、パルスカウンタ19からハイレベルのカウントアップ信号が第1アンド回路21の他方の入力端子に入力されるので、威嚇ディレータイマ20は、第1アンド回路21からハイレベルの起動信号を受けて威嚇遅延時間(第1の時間)TD1の計時動作を開始する(図4(c))とともに、パルスカウンタ19が第1アンド回路21からのハイレベル信号をリセット端子Rに受けてリセットされる。
【0028】
威嚇ディレータイマ20がt7時(第1の時点)に威嚇遅延時間TD1をタイムアップする(図4(c))と、この威嚇ディレータイマ20から出力されるハイレベルのタイムアップ信号は、第2モード設定部17および威嚇音発生手段11に対しそれぞれ起動信号として供給されるとともに、切換手段23に対し切換信号として供給される。それにより、切換手段23は、発光手段12を図示の第1モード設定部14への接続状態から第2モード設定部17への接続状態に切り換える。また、第2モード設定部17は、威嚇用の第2モードで点灯させる点灯制御信号を切り換え後の切換手段23を介して発光手段12に供給する。これにより、照明器8および動作表示灯9は、第2モード設定部17から供給される点灯制御により、交互に点滅される(図4(e),(d))。この点滅動作は、第2モード設定部17においてt7時に起動された内蔵の点滅時間設定タイマ17aが予め設定された点滅時間TF をタイムアップするまで継続される。また、威嚇音発生手段11は、予め設定された所定時間TR の間、大きな騒音または音声を発生する。
【0029】
上述のように、この防犯装置では、発光手段12が、白色と赤色との異なる光をそれぞれ発光する照明器8と動作表示灯9との2つの発光器を有しており、これら発光器8,9からそれぞれ発光される2種の発光色が交互に点滅されるので、不法侵入者に対し、大きな不安感を抱かせて強い心理的圧迫を与えるに十分な威嚇を行って、犯行を断念してその場から退去するよう促すことができる。また、発光ダイオード8a,9aは、極めて短い周期でオン・オフさせて激しいフラッシュ動作を行わせるように容易に制御可能であるから、そのように点灯制御することによって一層効果的な威嚇を行うことができる。しかも、発光ダイオード8a,9aは、激しいフラッシュ動作を行わせた場合であっても、長期にわたり品質劣化が少ない利点がある。
【0030】
さらに、この防犯装置では、上述の照明器8および動作表示灯9を交互に点滅させるのと同時に、威嚇音発生手段11も作動させる(図4(f))ので、光と音との相乗効果によって不法侵入者を一層効果的に威嚇することができるから、防犯効果がさらに高められる。
【0031】
また、この防犯装置では、検知判定時間TS 内にセンサ7から検知信号PDが設定回数出力されることにより不法侵入者が存在すると検知判定するので、不法侵入者がどのような挙動で検知エリアA0 〜An 内に侵入した場合であっても、この検知エリア内A0 〜An における不法侵入者の存在を確実に判別できるとともに、その不法侵入者の存在を判別したとき(t4時)から威嚇遅延時間TD1が経過した時点(t7時)で、検知判定時間TS が経過するのを待つことなしに、即座に発光手段12を威嚇用の第2モードの点灯に切り換えるので、この威嚇用の第2モードの点灯への切り換えを不法侵入者の挙動に対しタイムリーに行うことができる。これに対し、既存の照明装置では、センサからの検知信号の出力回数とは無関係に予め設定した所定時間が経過した時点(図4(b)のt8時に相当)まで常に待って点滅による威嚇動作に移行するので、威嚇動作の遅れによって効果的な威嚇を行えないことがある。
【0032】
また、第2モード設定部17が第2モードで照明器8および動作表示灯9を交互に点滅させる制御を行っているとき、つまり第2モード設定部17の点滅時間設定タイマ17aがタイムアップするまでの間に、センサ7から検知信号PDが出力された場合には、第2アンド回路24の一方の入力端子に第2モード設定部17からハイレベルの第2モード設定信号が入力している状態において他方の入力端子に検知信号PDが入力するので、第2アンド回路24が出力するハイレベル信号が第2モード設定部17に対し点滅時間設定タイマ17aの再起動信号として供給される。したがって、不法侵入者が発光手段12が第2モードで点灯制御されることによる威嚇を受けながらもその場から迅速に退去しなかった場合には、照明器8および動作表示灯9が交互に点滅される威嚇動作が継続される。これにより、一層高い防犯効果を得ることができる。
【0033】
前記実施形態では、センサ7から検知信号PDが設定回数出力されて不法侵入者の存在を検知したt4時から威嚇ディレータイマ20を起動して威嚇遅延時間TD1の経過後のt7時まで威嚇動作の実行を遅らせている。これは、家人や善意の来訪者が検知エリアA0 〜An 内を通過する過程において何らかの事情で一旦立ち止まったような場合に、発光手段12を威嚇用の第2モードによる点滅動作に移行するタイミングを、家人または来訪者が検知エリアA0 〜An を通過し終える時点まで遅延させて、不快感を与えるのを防止するためである。
【0034】
但し、威嚇ディレータイマ20は、威嚇遅延時間TD1を15秒以内の範囲内で任意に可変設定できるようになっており、したがって、例えば住宅の勝手口や裏口などのように家人が一旦立ち止まる可能性の少ない場所に設置する場合には、威嚇遅延時間TD1を0秒に設定してもよい。その場合には、図4(d),(e)に2点鎖線で示すように、検知信号PDが設定回数出力されて不法侵入者が存在すると検知判定したt4時に、発光手段12を威嚇用の第2モードで点滅させる威嚇動作に即座に移行でき、設置場所の条件に適応した効果的な防犯機能を得ることができる。また、検知判定時間TS や不法侵入者と判定するための検知信号PDの設定回数などは、設置場所や設置条件に応じて任意に変更することができる。
【0035】
図5は本発明の第2実施形態に係る防犯装置の電気回路を示すブロック図であり、同図において、図3と相違するのは、点灯制御手段13Bが、図3の点灯制御手段13Aの構成に加えて、第1アンド回路21から出力されるハイレベル信号を受けて第1威嚇ディレータイマ20(図3の威嚇ディレータイマ20と同一)の威嚇遅延時間TD1よりも短い威嚇遅延時間TD2を計時する第2威嚇ディレータイマ27と、この第2威嚇ディレータイマ27からハイレベルのタイムアップ信号が入力されている状態においてセンサ7から検知信号PDが入力したときにハイレベル信号を出力する第3アンド回路28と、第1威嚇ディレータイマ20からのハイレベルのタイムアップ信号または第3アンド回路28からのハイレベル信号の何れか一方が入力したときにハイレベル信号を出力するオア回路29とを備えた点のみである。
【0036】
つぎに、図5の電気回路の動作について、そのタイミングチャートである図6を参照しながら説明する。図6において、図4と同一のタイミングに対しては同一の時刻を示す符号を付してある。この実施形態の防犯装置が第1実施形態のものと相違するのは、検知ディレータイマ18が計時する検知判定時間TS が経過する前のt4時にセンサ7から設定回数である10番目の検知信号PDが出力されると、第1アンド回路21から出力されるハイレベル信号を共に起動信号として、第1威嚇ディレータイマ20が威嚇遅延時間(第1の時間)TD1の計時動作を開始し(図6(c))、かつ、第2威嚇ディレータイマ27が威嚇遅延時間TD2の計時動作を開始する(図6(d))。
【0037】
そして、t5時に、第2威嚇ディレータイマ27がタイムアップして出力したハイレベルのタイムアップ信号が第3アンド回路28の一方の入力端子に入力されると、第3アンド回路28は、一方の入力端子にハイレベル信号が入力されている状態において、第1威嚇ディレータイマ20が威嚇遅延時間TD1を計時完了する予定のt7時(第1の時点)よりも前のt5時(第2の時点)からt7時までの間に他方の入力端子に検知信号PDが入力するのを監視する。このとき、t5時を過ぎてt7時になる前のt6時にセンサ7から検知信号PDが出力される(図6(a))と、第3アンド回路28からハイレベルが出力されて、このハイレベル信号がオア回路29を介して切換手段23に対し切換信号として、かつ、第2モード設定部17および威嚇音発生手段11に対し共に起動信号としてそれぞれ供給される。したがって、第2モード設定部17は、第1威嚇ディレータイマ20がタイムアップするt7時よりも前のt6時に威嚇用の第2モードで点灯させる点灯制御信号を切り換え後の切換手段23を介して発光手段12に供給する。これにより、照明器8および動作表示灯9は交互に点滅される(図6(f),(e))。
【0038】
したがって、この実施形態では、泥棒のような悪意を持った不法侵入者が存在すると確実に判別できたt6時に、第1威嚇ディレータイマ20が計時中の威嚇遅延時間TD1の計時完了を待つことなく、その判別できたt6時に即座に威嚇用の第2モードによる点灯に移行することができるから、一層タイムリーな威嚇動作となってさらに高い防犯効果を得ることができる。なお、第2威嚇ディレータイマ27がタイムアップするt5時から第1威嚇ディレータイマ20がタイムアップするt7時までの間にセンサ7から検知信号PDが出力されなかった場合には、第1実施形態と同様に、第1威嚇ディレータイマ20がタイムアップするt7時に、第1威嚇ディレータイマ20が出力するハイレベルのタイムアップ信号により第2モード設定部17が起動されて威嚇用の第2モードによる点灯に移行する。
【0039】
第2実施形態において、第2威嚇ディレータイマ27を省略し、図6(d)に二点鎖線で示すように、t7時(第1の時点)からt9時(第3の時点)までの再検知時間TD3にわたって開動作するゲート回路を設け、この再検知時間TD3の間にさらに検知信号PDを受けたことを条件として発光手段12を第2モードで点灯させ、かつ威嚇音発生手段11を作動させてもよい。この構成によれば、t7時からt9時までの時間帯TD3において不法侵入者が依然として存在すると判断した場合に初めて威嚇用の第2モードによる点灯に移行するので、やはり、誤って第2モードに移行するのが抑制される。
【0040】
なお、前記各実施形態では、単一のユニットケース1の内部にセンサ7、発光手段12および点灯制御手段13A,13Bを収納したが、これとは異なり、センサ7、発光手段12および点灯制御手段13A,13Bを個々のケースに別々に収納された3つのユニットとして構成し、これらユニットを電気的に接続して本発明の防犯装置とすることもできる。
【0041】
また、前記各実施形態では、人体を検知するセンサ7として、受動型赤外線方式のものを採用した場合を例示して説明したが、このセンサ7は、人体を検知して検知信号を出力するものであればよく、例えば、近赤外線を投光して人体から反射する近赤外線を検出する能動型赤外線(AIR)方式のもの、マイクロ波のドップラー効果を利用したドップラーセンサ、超音波または電波を検知線として送受信する送信素子と受信素子を備えた超音波式または電波式の能動型センサなどを用いることができる。また、照明器8および動作表示灯9の点滅動作は、消灯時に完全消灯させずにアナログ的に明暗変化させるように点灯制御してもよく、その場合にはさらに威嚇効果を高めることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1実施形態に係る防犯装置の設置状態の光学的構成を模式的に示す斜視図である。
【図2】同上の防犯装置を示す斜視図である。
【図3】同上の防犯装置の電気回路を示すブロック図である。
【図4】(a)〜(f)は同上の電気回路の動作によるタイミングチャートである。
【図5】本発明の第2実施形態に係る防犯装置の電気回路を示すブロック図である。
【図6】(a)〜(g)は同上の電気回路の動作によるタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0043】
7 センサ
8 照明器(発光器)
9 動作表示灯(発光器)
11 威嚇音発生手段
12 発光手段
13A,13B 点灯制御手段
0 〜An 検知エリア
H 人体
PD 検知信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の検知エリア内の人体を検知して検知信号を出力するセンサと、
前記検知信号を受けてそれぞれ異なる光を発光する複数の発光器を有する発光手段と、 前記複数の発光器を交互に点滅させる点灯制御手段と、
を備えた防犯装置。
【請求項2】
請求項1において、前記発光手段に含まれる発光器の少なくとも1つが一定の照明エリアを照明する照明器である防犯装置。
【請求項3】
請求項1または2において、前記発光手段に含まれる発光器の少なくとも1つが前記センサの検知動作を表示する動作表示灯である防犯装置。
【請求項4】
請求項1,2または3において、さらに、前記検知信号を受けて威嚇音を発生する威嚇音発生手段を備えた防犯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−243823(P2006−243823A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−54763(P2005−54763)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(000103736)オプテックス株式会社 (116)
【Fターム(参考)】