防蟻装置、及び防蟻工法
【課題】防蟻剤を用いずに、従来よりも更に確実に白蟻を防除できる技術を提供する。
【解決手段】蟻の進行を抑制する板状の蟻ストッパの一部を収容する収容部と、該収容部の開口部に設けられる板状のフランジ部とを有し、前記建物の下部を形成するコンクリート部に接続されるストッパ受けと、前記ストッパ受けの収容部に挿入する挿入部と、該挿入部と連設し、該挿入部を前記ストッパ受けの収容部に挿入した際、前記建物の外側面から外側に向けて突出する突出部と、を有する前記蟻ストッパと、前記コンクリート部を施工する際、前記蟻ストッパに代えて前記収容部に挿入する板状の仮スペーサと、を備える。
【解決手段】蟻の進行を抑制する板状の蟻ストッパの一部を収容する収容部と、該収容部の開口部に設けられる板状のフランジ部とを有し、前記建物の下部を形成するコンクリート部に接続されるストッパ受けと、前記ストッパ受けの収容部に挿入する挿入部と、該挿入部と連設し、該挿入部を前記ストッパ受けの収容部に挿入した際、前記建物の外側面から外側に向けて突出する突出部と、を有する前記蟻ストッパと、前記コンクリート部を施工する際、前記蟻ストッパに代えて前記収容部に挿入する板状の仮スペーサと、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防蟻装置、及び防蟻工法に関する。
【背景技術】
【0002】
白蟻を防除する技術として、所定の薬剤(防蟻剤)を用いる処理が知られている。所定の薬剤を用いる処理には、建物の基礎の内側などの白蟻が通過する恐れのある土壌を薬剤処理するもの、木材表面に薬剤を吹付けるものがある。また、防蟻剤を用いずに白蟻を防除する技術として特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1に記載には、帯板状のアンカープレートをコンクリートで支持させ、このアンカープレートに防蟻板を支持させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−100913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
防蟻剤を用いずに白蟻を防除する技術として、帯板状のアンカープレートをコンクリートで支持させ、このアンカープレートに防蟻板を支持させる技術が開示されている。この従来技術では、型枠の内側に両面粘着テープを介してアンカープレートを設置し、コンクリート打設後に両面粘着テープを剥がし、アンカープレートが有する挿入溝に防蟻板を挿入する。この従来技術では、アンカープレートの挿入溝の開口部が両面粘着テープで覆われていることから、コンクリート打設の際に挿入溝内にコンクリートが侵入することを抑制することができる。しかしながら、この従来技術では、アンカープレートが周囲のコンクリートからの圧力によって変形し、挿入溝の一部が塞がるなどの原因により、防蟻板を挿入することができなくなる虞がある。また、挿入溝の一部が塞がると、防蟻板が完全に挿入できなくなる場合もある。その結果、挿入溝内に隙間が形成され、その隙間が、結果として白蟻の蟻道となってしまうことも懸念される。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、従来よりも更に確実に白蟻を防除できる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため、以下の手段を採用する。すなわち、本発明は、蟻の進行を抑制する板状の蟻ストッパの一部を収容する収容部と、該収容部の開口部に設けられる板状のフランジ部とを有し、建物の下部を形成するコンクリート部に接続されるストッパ受けと、前記ストッパ受けの収容部に挿入する挿入部と、該挿入部と連設し、該挿入部を前記ストッパ受けの収容部に挿入した際、前記建物の外側面から外側に向けて突出する突出部と、を有する前記蟻ストッパと、前記コンクリート部を施工する際、前記蟻ストッパに代えて前記収容部に挿入する板状の仮スペーサと、を備える。
【0007】
本発明によれば、仮スペーサを備えることで、コンクリート部を打設する際、収容部へのコンクリートの侵入を抑制することができる。また、コンクリート圧によって、ストッパ受け、特に収容部が変形することを抑制することができる。その結果、防蟻剤を用いずに、従来よりも更に確実に蟻を防除することが可能となる。例えば、建物下の土壌から蟻が侵入しようとする場合、蟻は、コンクリート部の外側面に沿って建物内に侵入することが想定される。本発明では、コンクリート部にストッパ受けが接続されていることから、
コンクリート部の外側面に沿って進行する蟻の進路が、ストッパ受けに沿って進行するように規制される。また、ストッパ受けには、蟻ストッパが収容されていることから、ストッパ受けに沿って進行してきた蟻は、次に蟻ストッパに沿って進行することになる。蟻ストッパは、建物の外側面から外側に向けて突出しており、建物下の土壌から建物内への蟻の侵入が発生していることを外部から視認することが可能となる。換言すると、目視できないところで蟻が建物内に侵入するのを抑制することができる。なお、建物下の土壌から建物内への蟻の侵入が確認された場合には、従来の種々の駆除方法によって蟻を駆除すればよい。なお、蟻ストッパには、突出部に、蟻の進行をより効果的に抑制する返し部を設けることが好ましい。返し部を設けることで、蟻の進行を遅らせることができ、より効果的に蟻の進行を抑制することができる。
【0008】
本発明に係る防蟻装置は、蟻、特に白蟻を防除する装置として好適に用いることができる。防蟻装置の材質は、コンクリート部の打設時や、施工後のコンクリート圧に耐えうるものであればよい。本発明に係る防蟻装置は、建物の下部に形成されるコンクリート部、例えば、建物の基礎を構成する基礎コンクリートの立ち上がり部に好適に用いることができる。基礎コンクリートの立ち上がり部に防蟻装置を設置することで、建物下の土壌から建物内に侵入しようとする蟻(特に白蟻)の進行を効果的に抑制することができる。基礎コンクリートには、ベタ基礎、布基礎が例示される。
【0009】
蟻ストッパの挿入部の外側の形状とストッパ受けの収容部の内側の形状は、同形状とすることが好ましい。これにより、蟻ストッパの挿入部を収容部に挿入した際、挿入部と収容部との間に隙間が形成されることを抑制することができる。換言すると、蟻道の形成を抑制することができる。なお、仮スペーサは、上記のようにコンクリート部を施工する際、収容部へのコンクリートの侵入や、コンクリート圧によって、ストッパ受け、特に収容部が変形することを抑制する。従って、仮スペーサについても、収容部に挿入する部分の外側の形状は、収容部の内側の形状と同形状とすることが好ましい。なお、仮スペーサは、コンクリート部の施工後において、容易に収容部から引き出せることが好ましい。従って、仮スペーサは、収容部から引き出す際に把持可能な把持部を更に備えることが好ましい。但し、把持部が突出しているとコンクリート打設の際、特に型枠を建て込む際に障害となる虞がある。従って、把持部は、外側に突出しない形状、例えば、仮スペーサの端部を折り曲げ、平板状とすることが好ましい。
【0010】
ここで、近年では、建物に断熱材を設けることが主流となっている。断熱材を設けることで建物内における冷房や暖房のエネルギー効率を高めることができる。しかしながら、断熱材を設ける場合、コンクリート部と断熱材との間に隙間が形成され、この隙間が蟻道となることが懸念される。また、断熱材の中が蟻道となることも懸念される。
【0011】
そこで、建物がその外側表面に断熱材からなる断熱部を有する場合、ストッパ受けの収容深さ方向における長さを少なくとも断熱部の厚さ方向における長さよりも長く形成すればよい。ストッパ受けの収容深さが断熱部の厚さを上回ることで、建物が断熱部を有する場合でも、蟻ストッパをコンクリート部に接続することができる。その結果、建物の外側から視認可能である蟻ストッパに、蟻を確実に導くことが可能となり、蟻の防除効果を実現することができる。従って、本発明に係る防蟻装置は、このような断熱材を有する建物にも好適に用いることができる。
【0012】
また、本発明に係る防蟻装置は、前記コンクリート部の施工の際、前記断熱部と該断熱部の外側に設置される型枠とを挟み込んで固定する断熱固定枠を更に備える構成でもよい。断熱固定枠を備えることで、施工性が向上する。
【0013】
また、上述した本発明に係る防蟻装置は、上記蟻ストッパを覆うストッパカバーを更に
備える構成でもよい。例えば、蟻ストッパを薄い鋼板で形成した場合であっても、端部も含めてストッパカバーで覆うことで安全性をより向上することができる。
【0014】
ここで、本発明に係る防蟻装置は、上記以外の態様として、以下に説明する態様としてもよい。
【0015】
具体的には、本発明に係る防蟻装置において、前記ストッパ受けは、前記建物の下部の周囲に渡って、複数の該ストッパ受けが連続して前記コンクリート部に接続され、前記蟻ストッパは、前記ストッパ受け同士の継目を覆うように、前記挿入部が前記ストッパ受けの収容部に収容されるようにしてもよい。隣接するストッパ受け同士の継目と収容される蟻ストッパ同士の継目が重ならないようにすることで、仮にストッパ受け同士の間や蟻ストッパ同士の間に隙間が生じたとしても、ストッパ受けと蟻ストッパのうち少なくとも何れか一方が必ずコンクリート部に達することになる。その結果、ストッパ受け同士の間や蟻ストッパ同士の間の隙間からの、蟻の建物への侵入が抑制される。換言すると、蟻を建物の外部に導くことができ、建物下の土壌から建物内への蟻の侵入が発生していることを外部から視認することが可能となる。
【0016】
また、本発明は、更に以下の態様としてもよい。上述した態様では、本発明に係る防蟻装置は、仮スペーサを備えることで、コンクリート部を打設する際、コンクリート圧によって、ストッパ受け、特に収容部が変形することが抑制される。ここで、例えば、収容部の長さを、コンクリート部と接触しない長さとすることでコンクリート部を打設する際のストッパ受けに対する負荷を低減することができる。但し、収容部を含め、ストッパ受けの全てがコンクリート部に接続される構成では、建物内への蟻の侵入の防止を実現することができない。
【0017】
そこで、本発明に係る防蟻装置は、前記ストッパ受けが、前記収容部と接続され、前記建物の下部を形成するコンクリート部に接続される板状部を更に有し、前記建物が前記コンクリート部の外側に断熱材からなる断熱部を有する場合、前記ストッパ受けの収容部の収容深さ方向における長さが、前記断熱部の厚さ方向における長さよりも短い構成とすることができる。この場合、蟻ストッパの挿入部は、収容部に合わせて断熱部の厚さ方向における長さよりも短い構成とすることが好ましい。なお、収容部の収容深さ方向における長さを短くすることで、ストッパ受けに使用する材料を削減することができる。また、収容部の収容深さ方向における長さを短くすることに合わせて、仮スペーサ、蟻ストッパ、ストッパカバーにおける各挿入部の長さを短くすることができる。その結果、防蟻装置全体として、使用する材料を削減することが可能となる。
【0018】
本発明に係る防蟻装置では、板状部がコンクリート部に接続されることから、先に説明した防蟻装置と同じく、建物内への蟻の侵入を抑制することができる。つまり、本発明に係る防蟻装置においても、コンクリート部にストッパ受け(本態様では、板状部)が接続されていることから、コンクリート部の外側面に沿って進行する蟻の進路が、ストッパ受けに沿って進行するように規制される。また、ストッパ受けには、蟻ストッパが収容されていることから、ストッパ受けに沿って進行してきた蟻は、次に蟻ストッパに沿って進行することになる。蟻ストッパは、建物の外側面から外側に向けて突出しており、建物下の土壌から建物内への蟻の侵入が発生していることを外部から視認することが可能となる。換言すると、目視できないところで蟻が建物内に侵入するのを抑制することができる。
【0019】
なお、本発明に係る防蟻装置において、前記ストッパ受けは、前記建物の下部の周囲に渡って、複数の該ストッパ受けが連続して前記コンクリート部に接続され、前記防蟻装置は、前記ストッパ受けの板状部同士の継目を覆うカバー部を更に備える構成とすることができる。隣接するストッパ受け同士の継目を覆うカバー部を設けることで、ストッパ受け
同士の間の隙間からの、蟻の建物への侵入が抑制される。カバー部は、ストッパ受けの板状部同士の継目を覆う必要があることから、カバー部の収容深さ方向における長さは、板状部の収容深さ方向における長さと同じとすることが好ましい。換言すると、カバー部の収容深さ方向における長さは、コンクリート部に達する長さを有していることが好ましい。
【0020】
ここで、本発明は、上述した防蟻装置を用いた防蟻工法でもよい。すなわち、本発明は、建物の下部を形成するコンクリート部を覆う型枠を設置する型枠設置工程と、前記建物内への蟻の侵入を抑制する防蟻装置を設置する防蟻装置設置工程と、前記型枠設置工程及び前記防蟻装置設置工程の終了後、前記コンクリート部のコンクリートを打設するコンクリート打設工程と、前記コンクリート打設工程の終了後、前記型枠を解体する型枠解体工程と、を備える。防蟻装置には、上述した防蟻装置を用いることができる。そして、前記防蟻装置設置工程では、前記ストッパ受けの開口部と反対側の奥側端部が前記コンクリート部に達するように、前記仮ストッパが収容されるストッパ受けを設置する。ストッパ受けは、建物の下部の周囲に渡って切れ目なく配置することが好ましい。隣接するストッパ受け同士の継目と隣接する仮ストッパ同士の継目は、重ならないように設置することが好ましい。そして、前記防蟻工法は、前記型枠解体工程の終了後に実行される工程であって、前記ストッパ受けの収容部に、前記仮スペーサに代えて前記蟻ストッパを挿入するストッパ差替工程を更に備える。ストッパ差替え工程では、蟻ストッパを、ストッパ受け同士の継目を覆うように、挿入部をストッパ受けの収容部に収容することが好ましい。すなわち、隣接するストッパ受け同士の継目と隣接する蟻ストッパ同士の継目が、重ならないように蟻ストッパを設置することが好ましい。
【0021】
本発明に係る防蟻工法では、防蟻装置設置工程において仮スペーサが収容されるストッパ受けが設置され、コンクリート打設工程及び型枠解体工程の終了後に実行されるストッパ差替工程において仮スペーサに代えて前記蟻ストッパが挿入される。その結果、コンクリート部を打設する際、収容部へのコンクリートの侵入を抑制することができ、また、コンクリート圧によって、ストッパ受け、特に収容部が変形することを抑制することができる。従って、防蟻剤を用いずに、従来よりも更に確実に白蟻を防除することが可能となる。
【0022】
なお、上述したように、本発明に係る防蟻装置は、断熱材を有する建物にも好適に用いることができる。断熱材を有する建物に防蟻装置を用いる場合、以下のように施工すればよい。すなわち、前記建物が前記コンクリート部の外側に断熱材からなる断熱部を有する場合、前記ストッパ受けの収容部の収容深さ方向における長さは、断熱部の厚さ方向における長さよりも長くする。前記防蟻装置設置工程では、前記型枠と前記コンクリート部との間に、第一断熱材を配置し、該第一断熱材の上に、前記仮スペーサが収容部に収容されたストッパ受けの奥側端部が前記コンクリート部に達するように配置し、更に該ストッパ受けの上に第二断熱材を配置する。
【0023】
これにより、断熱材を有する建物についても、容易かつ確実に防蟻装置を設置することができる。すなわち、断熱材を設置する際に、第一断熱材と第二断熱材との間に防蟻装置を挟むだけでよい。換言すると、本発明では、防蟻装置を設置せずに断熱材のみを設置する場合と殆ど同じ作業負担で防蟻装置を設置することができる。なお、防蟻装置は、コンクリート部まで達しているので、建物下の土壌から建物内へ侵入しようとする蟻を確実に防蟻装置に導くことができる。その結果、蟻の防除効果を実現することができる。
【0024】
なお、本発明は、上述した防蟻装置を含む防蟻構造、若しくは上述した防蟻工法によって施工される防蟻構造とすることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、従来よりも更に確実に白蟻を防除できる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第一実施形態に係る防蟻装置を示す。
【図2】第一実施形態に係るコンクリート部施工時における防蟻構造の断面図を示す。
【図3】第一実施形態に係る完成後における防あり構造の断面図を示す。
【図4】第一実施形態に係るストッパ受けの斜視図を示す。
【図5】第一実施形態に係る蟻ストッパの斜視図を示す。
【図6】第一実施形態に係る仮スペーサの斜視図を示す。
【図7】第一実施形態に係る断熱固定枠の斜視図を示す。
【図8】第一実施形態に係るストッパカバーの斜視図を示す。
【図9】第一実施形態に係る防蟻工法の工程フローを示す。
【図10A】第一実施形態に係る型枠が設置された状態を示す。
【図10B】第一実施形態に係る第一断熱材が設置された状態を示す。
【図10C】第一実施形態に係るストッパ受けが第一断熱部材上に設置された状態を示す。
【図10D】第一実施形態に係るストッパ受け上に第二断熱材が設置された状態を示す。
【図10E】第一実施形態に係るコンクリートが打設された状態を示す。
【図10F】第一実施形態に係る型枠が解体された状態を示す。
【図10G】第一実施形態に係る仮スペーサに代えて蟻ストッパが挿入される状態を示す。
【図10H】第一実施形態に係るコーキング剤が充填された状態を示す。
【図11】第二実施形態に係る防蟻装置を示す。
【図12】第二実施形態に係るコンクリート部の施工時における防蟻構造の断面図を示す。
【図13】第二実施形態に係る完成後における防蟻構造の断面図を示す。
【図14】第二実施形態に係るストッパ受けの斜視図を示す。
【図15】第二実施形態に係るジョイントカバーの斜視図を示す。
【図16A】第二実施形態に係る型枠が設置された状態を示す。
【図16B】第二実施形態に係る第一断熱材が設置された状態を示す。
【図16C】第二実施形態に係るストッパ受けが第一断熱部材上に設置された状態を示す。
【図16D】第二実施形態に係るジョイントカバーによってストッパ受けの継目を覆った状態を示す。
【図16E】第二実施形態に係るストッパ受け上に第二断熱材が設置された状態を示す。
【図16F】第二実施形態に係るコンクリートが打設された状態を示す。
【図16G】第二実施形態に係る型枠が解体された状態を示す。
【図16H】第二実施形態に係る仮スペーサに代えて蟻ストッパが挿入される状態を示す。
【図17A】従来の蟻返しの設置例の一例を示す断面図である。
【図17B】従来の蟻返しの設置例の一例を示す平面図である。
【図18A】実施形態に係る防蟻装置の設置例の一例を示す断面図である。
【図18B】実施形態に係る防蟻装置の設置例の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明の防蟻装置及び防蟻工法の実施形態について図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、断熱部8を有する建物のコンクリート部(本態様では、ベタ基礎)に対して防蟻装置100を適用する場合を例に説明する。但し、本発明の防蟻装置及び防蟻工法は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。本発明の防蟻装置及び防蟻工法は、断熱部を有さない建物にも適用可能である。また、コンクリート部は、例えば、布基礎でもよい。
【0028】
[第一実施形態]
<防蟻装置>
図1は、第一実施形態に係る防蟻装置100を示す。また、図2は、コンクリート部の施工時における防蟻構造の断面図を示し、図3は、完成後における防蟻構造の断面図を示す。第一実施形態に係る防蟻装置100は、ストッパ受け1、蟻ストッパ2、仮スペーサ3、断熱固定枠5、ストッパカバー5を備える。防蟻装置100は、いずれも表面に塗装が施された鉄製の薄板によって構成されている。なお、防蟻装置100は、ステンレス製としてもよい。以下、各構成について説明する。
【0029】
(ストッパ受け)
図4は、ストッパ受け1の斜視図を示す。ストッパ受け1は、白蟻の進行を抑制する板状の蟻ストッパの挿入部21を収容する収容部11と、収容部11の開口部14に設けられる板状のフランジ部10とを有する。ストッパ受け1は、鉄製の薄板を折り曲げることで、収容部11とフランジ部10が一体的に形成されている。収容部11の収容深さは、断熱部8の厚みよりも長くなるよう設計されている。これにより、収容部11の奥側端部15をコンクリート部6の立ち上がり部61に埋設することが可能となる(図2、図3参照。)収容部11の奥側端部15をコンクリート部6の立ち上がり部61に埋設することで、立ち上がり部61の外側面(コンクリート部6の外側であり、図3において、断熱部8の左側に相当する)に沿って進行する白蟻や断熱部8内を進行する白蟻の進路をストッパ受け1に沿うよう変更することが可能となる。そして、最終的に白蟻を外部から視認可能である蟻ストッパ2の返し部24に導いて、白蟻が見えないところで建物内へ侵入するのを抑制することができる。また、返し部24により白蟻の進行を遅らせることができ、白蟻の建物内への進行を抑制することが可能となる。ストッパ受け1の収容部11の内側の厚み(開口部14の厚み)は、蟻ストッパ2の挿入部21の厚みと同じとなるように設計されている。これにより、蟻ストッパ2を挿入した際、ストッパ受け1の収容部11内に隙間が形成されることを抑制できる。なお、ストッパカバー4を設置する場合、ストッパ受け1の収容部11の内側の厚みは、ストッパカバー4の挿入カバー部41の厚みを考慮して設計することが好ましい。ストッパ受け1の幅は、施工性を考慮して適宜設計すればよい。
【0030】
フランジ部10は、上フランジ12と下フランジ13を有する。フランジ部10は、収容部11と直交している。フランジ部10と収容部11との間に形成される角部に断熱部8の角部を合わせることでストッパ受け1の位置決めを容易に行うことができる。
【0031】
(蟻ストッパ)
図5は、蟻ストッパ2の斜視図を示す。蟻ストッパ2は、挿入部21と突出部20を有する。蟻ストッパ2も、鉄製の薄板を折り曲げることで、挿入部21と突出部20が一体的に形成されている。挿入部21は、上述した収容部11に挿入するものであり、収容部11の内側の形状に合わせて設計されている。突出部20は、建物の外側に突出しており、このような建物の外側に突出する蟻ストッパ2に白蟻を導くことで、建物内の見えないところで白蟻が建物内に侵入することを抑制することができる。具体的には、突出部20は、挿入部21と連接し下側に向けて傾斜する傾斜部22、傾斜部22と連接しかつ挿入部21と直交する垂直部23、垂直部23の下端と連接し、内側(建物側)の上方に向け
て屈折する返し部24を有する。傾斜部22によれば、雨が建物内に浸入するのを抑制できる。また、返し部24を設けることで安全性を向上することができる。また、上記のような傾斜や向きが異なる領域が連続して設けられた突出部20により、白蟻の進行を遅らせることができ、その結果、建物内への白蟻の進行を抑制することができる。なお、蟻ストッパ2の幅は、施工性を考慮して適宜設計すればよい。
【0032】
(仮スペーサ)
図6は、仮スペーサ3の斜視図を示す。仮スペーサ3は、仮挿入部31、把持部32を有する。仮スペーサ3は、コンクリート部6を施工する際、蟻ストッパ2に代えて収容部11に挿入する。これにより、コンクリート部6を打設する際、収容部11へのコンクリートの侵入を抑制することができる。また、コンクリート圧によって、ストッパ受け1、特に収容部11が変形することを抑制することができる。仮スペーサ3も、鉄製の薄板を折り曲げることで、仮挿入部31と把持部32が一体的に形成されている。仮挿入部31は、コンクリート部6を施工する際に、蟻ストッパ2に代えて収容部11に挿入するものであり、蟻ストッパ2の挿入部21と同じく、収容部11の内側の形状に合わせて設計されている。把持部32は、コンクリート部6の施工完了後、仮スペーサ3を収容部11から引き抜く場合に把持される。第一実施形態に係る把持部32は、仮挿入部31と直交するよう、仮スペーサ3の端部が屈折することで形成されている。仮スペーサ3の幅は、施工性を考慮して適宜設計すればよい。
【0033】
(断熱固定枠)
図7は、断熱固定枠5の斜視図を示す。断熱固定枠5は、コンクリート部6の施工の際、断熱部8と断熱部8の外側に設置される型枠7とを挟み込んで固定する。第一実施形態に係る断熱固定枠5は、ベース部51と内側側板部52、外側側板部53(以下、両者を纏めて単に側板部50ともいう)とを有する。断熱固定枠5も、鉄製の薄板を折り曲げることで、ベース部51と側板部50が一体的に形成されている。ベース部51は、断熱部8の上端又は下端と接触する。一方、側板部50は、外側側板部52と内側側板部53からなり、外側板部53は、外側型枠71の外側面と接触し、内側側板部52は、断熱部8の内側面と接触する。なお、外側側板部53と内側側板部52との間隔は、断熱部8厚さと外側型枠7の厚さの和と同じになるように設計されている。断熱固定枠5の幅は、施工性を考慮して適宜設計すればよい。
【0034】
(ストッパカバー)
図8は、ストッパカバー4の斜視図を示す。ストッパカバー4は、蟻ストッパ2を覆うものであり、蟻ストッパ2の返し部24も含めて覆うことで、防蟻装置100の安全性を向上させる。第一実施形態に係るストッパカバー4は、挿入部21を覆う挿入カバー部41、傾斜部22を覆う傾斜カバー部42、垂直部23を覆う垂直カバー部43、返し部24を覆う返しカバー部45を有する。ストッパカバー4も、鉄製の薄板を折り曲げることで、挿入カバー部41、傾斜カバー部42、垂直カバー部43、返しカバー部45が一体的に形成されている。ストッパカバー4は、基本的には蟻ストッパ2の形状と同じであるが、蟻ストッパ2を覆うよう、蟻ストッパ2よりも大きく形成されている。ストッパカバー4の幅は、施工性を考慮して適宜設計すればよい。なお、ストッパカバー4は、蟻ストッパ2のうち、建物の外部に露出している部分をカバーできればよい。従って、挿入カバー部41の挿入方向における長さは、ストッパ受け1に対する固定力を確保できる長さを有していればよく、挿入部21の挿入方向における長さよりも短くてもよい。
【0035】
<防蟻工法>
次に第一実施形態に係る防蟻工法について説明する。図9は、防蟻工法の工程フローを示す。型枠設置工程(ステップS01)では、通常のベタ基礎の施工と同じく、地盤の転圧、砕石の敷設、いわゆる捨てコンクリート9の打設が行われた後、建物の下部を形成す
るコンクリート部(本態様では、ベタ基礎)6を覆う型枠が設置される。より具体的には、コンクリート部6の鉄筋組立て後、捨てコンクリート9上に、内側型枠71と外側型枠72が設置される(図10A参照)。この際、内側型枠71と外側型枠72との間隔は、コンクリート部6と断熱部8の厚さに基づいて設計する。内側型枠71と外側型枠72とは、例えばセパレータによって固定する。型枠設置工程が終了すると、防蟻装置設置工程へ進む。
【0036】
防蟻設置工程(ステップS02)では、防蟻装置100が設置される。具体的には、まず、外側型枠72の内側に第一断熱部材81が設置される(図10B参照)。第一断熱部材81や第二断熱部材82には、既存の断熱材(例えば、グラスウール)を用いることができる。外側型枠72と第一断熱部材81は、断熱固定枠5によって固定される。なお、第一断熱部材81は、コンクリート部6の周囲に連続して設置される。次に、防蟻装置100のストッパ受け1が第一断熱部材81の上に設置される(図10C参照)。ストッパ受け1も、コンクリート部6の周囲に連続して設置される。なお、隣接するストッパ受け1同士の継目と収容される仮スペーサ3同士の継目が重ならないようにする。ストッパ受け1同士の継目と仮スペーサ3同士の継目をずらすことで、仮にストッパ受け1内にコンクリートが侵入しても、仮スペーサ3によって蟻ストッパ2を挿入する際の収容スペースを確保することができる。ストッパ受け1の収容部11には、予め仮スペーサ3を挿入してもよく、また、ストッパ受け1の設置後、仮スペーサを挿入してもよい。ストッパ受け1は、ストッパ受け1の奥側端部15がコンクリート部6の立ち上がり部61に埋設されるように設置される。続いて、ストッパ受け1の上に第二断熱部82が設置される(図10D参照)。外側型枠72と第二断熱部材82は、断熱固定枠5によって固定される。防蟻装置100の設置が終了すると、コンクリート打設工程へ進む。
【0037】
コンクリート打設工程(ステップS03)では、コンクリート部6のコンクリートが打設される(図10E参照)。コンクリート打設工程終了後、コンクリート部6の養生が一定期間行われ、型枠解体工程へ進む。
【0038】
型枠解体工程(ステップS04)では、型枠7が解体される(図10F参照)。具体的には、断熱固定枠5が取り外され、内側型枠71及び外側型枠72が解体される。型枠解体工程が終了すると、ストッパ差替工程へ進む。
【0039】
ストッパ差替工程(ステップS05)では、ストッパ受け1の収容部11に、仮スペーサ3に代えて蟻ストッパ2が挿入される(図10G参照)。具体的には、仮スペーサ3の把持部32を把持して仮スペーサ3が収容部11から引き抜かれる。次に、蟻ストッパ2同士の間に隙間が生じないよう、コンクリート部6の周囲に連続して蟻ストッパ2が収容部11に挿入される。ストッパ差替工程が終了すると、仕上工程へ進む。
【0040】
仕上工程(ステップS06)では、コンクリート部6の施工の仕上げが行われる。具体的には、いわゆるセパ穴の補修や、蟻ストッパ2と断熱部8との間に隙間(特に第二断熱部材82と下端と蟻ストッパ2との間の隙間)がある場合には、コーキング剤Aの充填等が行われる(図10H参照)。また、必要に応じて、ストッパカバー4が設置される。
【0041】
以上説明した第一実施形態に係る防蟻装置及び防蟻工法によれば、仮スペーサ3を備えることで、コンクリート部6を打設する際、収容部11へのコンクリートの侵入を抑制することができる。また、コンクリート圧によって、ストッパ受け1、特に収容部11が変形することを抑制することができる。その結果、防蟻剤を用いずに、従来よりも更に確実に白蟻を防除することが可能となる。また、上述したように断熱部8を有する建物についても、容易かつ確実に防蟻装置を設置することができる。すなわち、断熱部8(第一断熱材81、第二断熱材82)を設置する際に、第一断熱材81と第二断熱材82との間にス
トッパ受け1を挟むだけでよい。換言すると、防蟻装置100を設置せずに断熱材のみを設置する場合と殆ど同じ作業負担で防蟻装置100を設置することができる。なお、防蟻装置100は、コンクリート部8まで達しているので、建物下の土壌から建物内へ侵入しようとする白蟻を確実に防蟻装置100の蟻ストッパ2に導くことができる。その結果、見えないところで白蟻が建物内に侵入するのを抑制することができる。つまり、白蟻の防除効果を実現することができる。
【0042】
[第二実施形態]
<防蟻装置>
図11は、第二実施形態に係る防蟻装置100aを示す。また、図12は、第二実施形態に係るコンクリート部の施工時における防蟻構造の断面図を示し、図13は、第二実施形態に係る完成後における防蟻構造の断面図を示す。第二実施形態に係る防蟻装置100aは、ストッパ受け1a、蟻ストッパ2a、仮スペーサ3a、断熱固定枠5、ストッパカバー4a、ジョイントカバー18を備える。防蟻装置100aは、いずれも表面に塗装が施された鉄製の薄板によって構成されている。なお、防蟻装置100aは、ステンレス製としてもよい。なお、第一実施形態に係る防蟻装置100と同様の構成については、同様の符号を付し、詳細な説明は省略する。また、第二実施形態に係る防蟻装置では、符号の数字の後にアルファベット「a」を付した。このアルファベットは、説明の便宜上付したものであり、同様の数字が付された構成は、基本的には、同様の機能を有し、また、同様の作用効果を有するものとする。以下、第一実施形態に係る防蟻装置との相違点を中心に説明するものとする。
【0043】
(ストッパ受け)
図14は、ストッパ受け1aの斜視図を示す。ストッパ受け1aは、白蟻の進行を抑制する板状の蟻ストッパの挿入部21aを収容する収容部11aと、収容部11aの開口部14aに設けられる板状のフランジ部10aと、収容部11aと接続される板状の板状部19aとを有する。ストッパ受け1aは、第一実施形態に係るストッパ受け1と同じく、鉄製の薄板を折り曲げることで一体的に形成されている。収容部11aの収容深さは、断熱部8の厚みよりも短くなるよう設計されている。これにより、収容部11aに対するコンクリート圧などによる負荷が低減される。第二実施形態に係るストッパ受け1aは、上記のように、収容部11aの収容深さが短く形成されているが、これに代えて、板状部19aが設けられている。そして、板状部19aの収容深さが、断熱部8の厚みよりも長くなるよう設計されている。その結果、板状部19aの奥側に設けられた奥側フランジ19a2をコンクリート部6の立ち上がり部61に埋設することが可能となる。その結果、立ち上がり部61の外側面(コンクリート部6の外側であり、図13において、断熱部8の左側に相当する)に沿って進行する白蟻や断熱部8内を進行する白蟻の進路をストッパ受け1aに沿うよう変更することが可能となる。そして、最終的に白蟻を外部から視認可能である蟻ストッパ2aの返し部24aに導いて、白蟻が見えないところで建物内へ侵入するのを抑制することができる。また、返し部24aにより白蟻の進行を遅らせることができ、白蟻の建物内への進行を抑制することが可能となる。なお、ストッパ受け1aの収容部11aの内側の厚みは、蟻ストッパ2aの挿入部21aの厚みと同じとなるように設計されている。なお、ストッパカバー4aを設置する場合、ストッパ受け1aの収容部11aの内側の厚みは、ストッパカバー4aの挿入カバー部41aの厚みを考慮して設計することが好ましい。ストッパ受け1aの幅は、施工性を考慮して適宜設計すればよい。
【0044】
(蟻ストッパ)
第二実施形態に係る蟻ストッパ2aは、第一実施形態に係る蟻ストッパ2と同じく、挿入部21aと突出部20aを有する。但し、第二実施形態に係る蟻ストッパ2aの挿入部21aは、収容部11aの内側の形状に合わせて設計され、第一実施形態に係る挿入部21よりも短く形成されている。第二実施形態に係る蟻ストッパ2aは、挿入部21aが短
く形成されている点以外は、第一実施形態に係る蟻ストッパ2の構成と同じである。従って、詳細な説明は、省略する。
【0045】
(ジョイントカバー)
図15は、第二実施形態に係るジョイントカバーの斜視図を示す。第二実施形態に係る防蟻装置100aは、ジョイントカバー(本発明のカバー部に相当する)18を更に備えることを特徴とする。ジョイントカバー18は、鉄製の薄板によって構成されているが、ステンレス製としてもよい。ジョイントカバー18は、ストッパ受け1aの板状部19a同士の継目を覆う。従って、ジョイントカバー18の収容深さ方向における長さは、板状部19aの収容深さ方向における長さと同じとすることが好ましい。換言すると、ジョイントカバー18の収容深さ方向における長さは、コンクリート部6に達する長さを有している必要がある。
【0046】
(仮スペーサ)
第二実施形態に係る仮スペーサ3aは、第一実施形態に係る仮スペーサ3と同じく、仮挿入部31a、把持部32aを有する。但し、第二実施形態に係る仮スペーサ3aの仮挿入部31aは、収容部11aの内側の形状に合わせて設計され、第一実施形態に係る仮挿入部31よりも短く形成されている。なお、第二実施形態に係る防蟻装置100aでは、ストッパ受け1aの収容部11aの深さが短いことから、施工する際の収容部11aへの負荷も小さい。従って、仮スペーサ3aの使用を控えるようにしてもよい。第二実施形態に係る仮スペーサ3aは、仮挿入部31aが短く形成されている点以外は、第一実施形態に係る仮スペーサ3の構成と同じである。従って、詳細な説明は、省略する。
【0047】
(断熱固定枠)
第二実施形態に係る断熱固定枠5は、第一実施形態に係る断熱固定枠5と同じであるので、説明は省略する。
【0048】
(ストッパカバー)
第二実施形態に係るストッパカバー4aは、第一実施形態に係るストッパカバー4と同じく、蟻ストッパ2aを覆うものであり、挿入部21aを覆う挿入カバー部41a、傾斜部22aを覆う傾斜カバー部42a、垂直部23aを覆う垂直カバー部43a、返し部24aを覆う返しカバー部45aを有する。なお、挿入カバー部41aは、ストッパ受け1aの挿入部11aに合わせて設計されており、第一実施形態に係る挿入カバー部41よりも短い。
【0049】
<防蟻工法>
次に第二実施形態に係る防蟻工法について説明する。第二実施形態に係る防蟻工法の基本的な手順は、第一実施形態に係る防蟻工法と同じである(図9参照)。まず、型枠設置工程(ステップS01)では、通常のベタ基礎の施工と同じく、地盤の転圧、砕石の敷設、いわゆる捨てコンクリート9の打設が行われた後、建物の下部を形成するコンクリート部(本態様では、ベタ基礎)6を覆う型枠が設置される(図16A参照)。
【0050】
次に、防蟻設置工程(ステップS02)では、防蟻装置100aが設置される。具体的には、まず、外側型枠72の内側に第一断熱部材81が設置される(図16B参照)。外側型枠72と第一断熱部材81は、断熱固定枠5によって固定される。なお、第一断熱部材81は、コンクリート部6の周囲に連続して設置される。次に、防蟻装置100aのストッパ受け1aが第一断熱部材81の上に設置される(図16C参照)。なお、ストッパ受け1aの設置高さは、ストッパ受け1aが周囲に同じレベルで構造物の周囲に渡って設置できる低い位置とすることが好ましい。また、ストッパ受け1aも、コンクリート部6の周囲に連続して設置される。その際、ストッパ受け1aの継目を覆うように、ジョイン
トカバー18が設置される(図16D参照)。続いて、ストッパ受け1aの上に第二断熱部82が設置される(図16E参照)。外側型枠72と第二断熱部材82は、断熱固定枠5によって固定される。防蟻装置100aの設置が終了すると、コンクリート打設工程へ進む。
【0051】
コンクリート打設工程(ステップS03)では、コンクリート部6のコンクリートが打設される(図16F参照)。次に、型枠解体工程(ステップS04)では、型枠7が解体される(図16G参照)。
【0052】
次に、ストッパ差替工程(ステップS05)では、ストッパ受け1aの収容部11aに、仮スペーサ3aに代えて蟻ストッパ2aが挿入される(図16H参照)。なお、第二実施形態では、仮スペーサ3aの使用を控えてもよく、この場合いは、ストッパ差替工程では、単に蟻ストッパ2aの挿入が行われる。
【0053】
その後、仕上工程(ステップS06)では、コンクリート部6の施工の仕上げが行われる。
【0054】
以上説明した第二実施形態に係る防蟻装置及び防蟻工法によれば、断熱部8を有する建物において、容易かつ確実に防蟻装置を設置することができる。すなわち、断熱部8(第一断熱材81、第二断熱材82)を設置する際に、第一断熱材81と第二断熱材82との間にストッパ受け1を挟むだけでよい。換言すると、防蟻装置100aを設置せずに断熱材のみを設置する場合と殆ど同じ作業負担で防蟻装置100aを設置することができる。なお、防蟻装置100aのストッパ受け1aの板状部19aは、コンクリート部8まで達しているので、建物下の土壌から建物内へ侵入しようとする白蟻を確実に防蟻装置100aの蟻ストッパ2に導くことができる。その結果、見えないところで白蟻が建物内に侵入するのを抑制することができる。つまり、白蟻の防除効果を実現することができる。また、ストッパ受け1aの継目上には、ジョイントカバー18が設けられていることから、ストッパ受け1aの継目からの白蟻の進行も確実に防止することができる。更に、仮スペーサ3aを用いた場合には、施工時において、ストッパ受け1a、特に収容部11aが変形することを抑制することができる。また、収容部11aの収容深さ方向における長さを短くすることで、ストッパ受け1aに使用する材料を削減することができる。また、収容部11aの収容深さ方向における長さを短くすることに合わせて、仮スペーサ3aの仮挿入部31a、蟻ストッパ2aの挿入部21a、ストッパカバー4aの挿入カバー部41aの長さを短くすることができる。その結果、防蟻装置100a全体として、使用する材料を削減することが可能となる。
【0055】
[実施例]
ここで、上述した実施形態に係る防蟻装置100、100aの設置例と、従来の蟻返しの設置例との比較例について説明する。図17Aは、従来の蟻返しの設置例の一例を示す断面図である。図17Bは、従来の蟻返しの設置例の一例を示す平面図である。また、図18Aは、実施形態に係る防蟻装置の設置例の一例を示す断面図である。また、図18Bは、実施形態に係る防蟻装置の設置例の一例を示す平面図である。各図における矢印は、白蟻の侵入路を示す。
【0056】
従来では、蟻返しが基礎より高い位置に設置されていたため、蟻返しよりも低い位置にある基礎と土間との間から白蟻が建物内に侵入する虞があった。また、蟻返しが基礎より高い位置に設置されることで建物の形状の影響を受けてしまい、蟻返しを建物の周囲に継目なく設置することができなかった。例えば、玄関などの土間が基礎よりも外側に突出している場合、土間が設けられる部分において白蟻が侵入してしまうことが懸念された。
【0057】
これに対し実施形態に係る防蟻装置100、100aは、基礎(コンクリート部6に相当)にストッパ受け1、1aを接続することで、防蟻装置100、100aを、建物の周囲に継目なく設置することが可能となる。その結果、より確実に白蟻の建物内への侵入を抑制することができる。
【0058】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明に係る防蟻装置はこれらに限らず、可能な限りこれらの組合せを含むことができる。
【符号の説明】
【0059】
1、1a・・・ストッパ受け
2、2a・・・蟻ストッパ
3、3a・・・仮スペーサ
4、4a・・・ストッパカバー
5・・・断熱固定枠
6・・・コンクリート部
7・・・型枠
8・・・断熱部
61・・・立ち上がり部
11、11a・・・収容部
18・・・ジョイントカバー
20、20a・・・突出部
21、21a・・・挿入部
31、31a・・・仮挿入部
32、32a・・・把持部
71・・・内側型枠
72・・・外側型枠
81・・・第一断熱材
82・・・第二断熱材
100、100a・・・防蟻装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、防蟻装置、及び防蟻工法に関する。
【背景技術】
【0002】
白蟻を防除する技術として、所定の薬剤(防蟻剤)を用いる処理が知られている。所定の薬剤を用いる処理には、建物の基礎の内側などの白蟻が通過する恐れのある土壌を薬剤処理するもの、木材表面に薬剤を吹付けるものがある。また、防蟻剤を用いずに白蟻を防除する技術として特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1に記載には、帯板状のアンカープレートをコンクリートで支持させ、このアンカープレートに防蟻板を支持させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−100913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
防蟻剤を用いずに白蟻を防除する技術として、帯板状のアンカープレートをコンクリートで支持させ、このアンカープレートに防蟻板を支持させる技術が開示されている。この従来技術では、型枠の内側に両面粘着テープを介してアンカープレートを設置し、コンクリート打設後に両面粘着テープを剥がし、アンカープレートが有する挿入溝に防蟻板を挿入する。この従来技術では、アンカープレートの挿入溝の開口部が両面粘着テープで覆われていることから、コンクリート打設の際に挿入溝内にコンクリートが侵入することを抑制することができる。しかしながら、この従来技術では、アンカープレートが周囲のコンクリートからの圧力によって変形し、挿入溝の一部が塞がるなどの原因により、防蟻板を挿入することができなくなる虞がある。また、挿入溝の一部が塞がると、防蟻板が完全に挿入できなくなる場合もある。その結果、挿入溝内に隙間が形成され、その隙間が、結果として白蟻の蟻道となってしまうことも懸念される。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、従来よりも更に確実に白蟻を防除できる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため、以下の手段を採用する。すなわち、本発明は、蟻の進行を抑制する板状の蟻ストッパの一部を収容する収容部と、該収容部の開口部に設けられる板状のフランジ部とを有し、建物の下部を形成するコンクリート部に接続されるストッパ受けと、前記ストッパ受けの収容部に挿入する挿入部と、該挿入部と連設し、該挿入部を前記ストッパ受けの収容部に挿入した際、前記建物の外側面から外側に向けて突出する突出部と、を有する前記蟻ストッパと、前記コンクリート部を施工する際、前記蟻ストッパに代えて前記収容部に挿入する板状の仮スペーサと、を備える。
【0007】
本発明によれば、仮スペーサを備えることで、コンクリート部を打設する際、収容部へのコンクリートの侵入を抑制することができる。また、コンクリート圧によって、ストッパ受け、特に収容部が変形することを抑制することができる。その結果、防蟻剤を用いずに、従来よりも更に確実に蟻を防除することが可能となる。例えば、建物下の土壌から蟻が侵入しようとする場合、蟻は、コンクリート部の外側面に沿って建物内に侵入することが想定される。本発明では、コンクリート部にストッパ受けが接続されていることから、
コンクリート部の外側面に沿って進行する蟻の進路が、ストッパ受けに沿って進行するように規制される。また、ストッパ受けには、蟻ストッパが収容されていることから、ストッパ受けに沿って進行してきた蟻は、次に蟻ストッパに沿って進行することになる。蟻ストッパは、建物の外側面から外側に向けて突出しており、建物下の土壌から建物内への蟻の侵入が発生していることを外部から視認することが可能となる。換言すると、目視できないところで蟻が建物内に侵入するのを抑制することができる。なお、建物下の土壌から建物内への蟻の侵入が確認された場合には、従来の種々の駆除方法によって蟻を駆除すればよい。なお、蟻ストッパには、突出部に、蟻の進行をより効果的に抑制する返し部を設けることが好ましい。返し部を設けることで、蟻の進行を遅らせることができ、より効果的に蟻の進行を抑制することができる。
【0008】
本発明に係る防蟻装置は、蟻、特に白蟻を防除する装置として好適に用いることができる。防蟻装置の材質は、コンクリート部の打設時や、施工後のコンクリート圧に耐えうるものであればよい。本発明に係る防蟻装置は、建物の下部に形成されるコンクリート部、例えば、建物の基礎を構成する基礎コンクリートの立ち上がり部に好適に用いることができる。基礎コンクリートの立ち上がり部に防蟻装置を設置することで、建物下の土壌から建物内に侵入しようとする蟻(特に白蟻)の進行を効果的に抑制することができる。基礎コンクリートには、ベタ基礎、布基礎が例示される。
【0009】
蟻ストッパの挿入部の外側の形状とストッパ受けの収容部の内側の形状は、同形状とすることが好ましい。これにより、蟻ストッパの挿入部を収容部に挿入した際、挿入部と収容部との間に隙間が形成されることを抑制することができる。換言すると、蟻道の形成を抑制することができる。なお、仮スペーサは、上記のようにコンクリート部を施工する際、収容部へのコンクリートの侵入や、コンクリート圧によって、ストッパ受け、特に収容部が変形することを抑制する。従って、仮スペーサについても、収容部に挿入する部分の外側の形状は、収容部の内側の形状と同形状とすることが好ましい。なお、仮スペーサは、コンクリート部の施工後において、容易に収容部から引き出せることが好ましい。従って、仮スペーサは、収容部から引き出す際に把持可能な把持部を更に備えることが好ましい。但し、把持部が突出しているとコンクリート打設の際、特に型枠を建て込む際に障害となる虞がある。従って、把持部は、外側に突出しない形状、例えば、仮スペーサの端部を折り曲げ、平板状とすることが好ましい。
【0010】
ここで、近年では、建物に断熱材を設けることが主流となっている。断熱材を設けることで建物内における冷房や暖房のエネルギー効率を高めることができる。しかしながら、断熱材を設ける場合、コンクリート部と断熱材との間に隙間が形成され、この隙間が蟻道となることが懸念される。また、断熱材の中が蟻道となることも懸念される。
【0011】
そこで、建物がその外側表面に断熱材からなる断熱部を有する場合、ストッパ受けの収容深さ方向における長さを少なくとも断熱部の厚さ方向における長さよりも長く形成すればよい。ストッパ受けの収容深さが断熱部の厚さを上回ることで、建物が断熱部を有する場合でも、蟻ストッパをコンクリート部に接続することができる。その結果、建物の外側から視認可能である蟻ストッパに、蟻を確実に導くことが可能となり、蟻の防除効果を実現することができる。従って、本発明に係る防蟻装置は、このような断熱材を有する建物にも好適に用いることができる。
【0012】
また、本発明に係る防蟻装置は、前記コンクリート部の施工の際、前記断熱部と該断熱部の外側に設置される型枠とを挟み込んで固定する断熱固定枠を更に備える構成でもよい。断熱固定枠を備えることで、施工性が向上する。
【0013】
また、上述した本発明に係る防蟻装置は、上記蟻ストッパを覆うストッパカバーを更に
備える構成でもよい。例えば、蟻ストッパを薄い鋼板で形成した場合であっても、端部も含めてストッパカバーで覆うことで安全性をより向上することができる。
【0014】
ここで、本発明に係る防蟻装置は、上記以外の態様として、以下に説明する態様としてもよい。
【0015】
具体的には、本発明に係る防蟻装置において、前記ストッパ受けは、前記建物の下部の周囲に渡って、複数の該ストッパ受けが連続して前記コンクリート部に接続され、前記蟻ストッパは、前記ストッパ受け同士の継目を覆うように、前記挿入部が前記ストッパ受けの収容部に収容されるようにしてもよい。隣接するストッパ受け同士の継目と収容される蟻ストッパ同士の継目が重ならないようにすることで、仮にストッパ受け同士の間や蟻ストッパ同士の間に隙間が生じたとしても、ストッパ受けと蟻ストッパのうち少なくとも何れか一方が必ずコンクリート部に達することになる。その結果、ストッパ受け同士の間や蟻ストッパ同士の間の隙間からの、蟻の建物への侵入が抑制される。換言すると、蟻を建物の外部に導くことができ、建物下の土壌から建物内への蟻の侵入が発生していることを外部から視認することが可能となる。
【0016】
また、本発明は、更に以下の態様としてもよい。上述した態様では、本発明に係る防蟻装置は、仮スペーサを備えることで、コンクリート部を打設する際、コンクリート圧によって、ストッパ受け、特に収容部が変形することが抑制される。ここで、例えば、収容部の長さを、コンクリート部と接触しない長さとすることでコンクリート部を打設する際のストッパ受けに対する負荷を低減することができる。但し、収容部を含め、ストッパ受けの全てがコンクリート部に接続される構成では、建物内への蟻の侵入の防止を実現することができない。
【0017】
そこで、本発明に係る防蟻装置は、前記ストッパ受けが、前記収容部と接続され、前記建物の下部を形成するコンクリート部に接続される板状部を更に有し、前記建物が前記コンクリート部の外側に断熱材からなる断熱部を有する場合、前記ストッパ受けの収容部の収容深さ方向における長さが、前記断熱部の厚さ方向における長さよりも短い構成とすることができる。この場合、蟻ストッパの挿入部は、収容部に合わせて断熱部の厚さ方向における長さよりも短い構成とすることが好ましい。なお、収容部の収容深さ方向における長さを短くすることで、ストッパ受けに使用する材料を削減することができる。また、収容部の収容深さ方向における長さを短くすることに合わせて、仮スペーサ、蟻ストッパ、ストッパカバーにおける各挿入部の長さを短くすることができる。その結果、防蟻装置全体として、使用する材料を削減することが可能となる。
【0018】
本発明に係る防蟻装置では、板状部がコンクリート部に接続されることから、先に説明した防蟻装置と同じく、建物内への蟻の侵入を抑制することができる。つまり、本発明に係る防蟻装置においても、コンクリート部にストッパ受け(本態様では、板状部)が接続されていることから、コンクリート部の外側面に沿って進行する蟻の進路が、ストッパ受けに沿って進行するように規制される。また、ストッパ受けには、蟻ストッパが収容されていることから、ストッパ受けに沿って進行してきた蟻は、次に蟻ストッパに沿って進行することになる。蟻ストッパは、建物の外側面から外側に向けて突出しており、建物下の土壌から建物内への蟻の侵入が発生していることを外部から視認することが可能となる。換言すると、目視できないところで蟻が建物内に侵入するのを抑制することができる。
【0019】
なお、本発明に係る防蟻装置において、前記ストッパ受けは、前記建物の下部の周囲に渡って、複数の該ストッパ受けが連続して前記コンクリート部に接続され、前記防蟻装置は、前記ストッパ受けの板状部同士の継目を覆うカバー部を更に備える構成とすることができる。隣接するストッパ受け同士の継目を覆うカバー部を設けることで、ストッパ受け
同士の間の隙間からの、蟻の建物への侵入が抑制される。カバー部は、ストッパ受けの板状部同士の継目を覆う必要があることから、カバー部の収容深さ方向における長さは、板状部の収容深さ方向における長さと同じとすることが好ましい。換言すると、カバー部の収容深さ方向における長さは、コンクリート部に達する長さを有していることが好ましい。
【0020】
ここで、本発明は、上述した防蟻装置を用いた防蟻工法でもよい。すなわち、本発明は、建物の下部を形成するコンクリート部を覆う型枠を設置する型枠設置工程と、前記建物内への蟻の侵入を抑制する防蟻装置を設置する防蟻装置設置工程と、前記型枠設置工程及び前記防蟻装置設置工程の終了後、前記コンクリート部のコンクリートを打設するコンクリート打設工程と、前記コンクリート打設工程の終了後、前記型枠を解体する型枠解体工程と、を備える。防蟻装置には、上述した防蟻装置を用いることができる。そして、前記防蟻装置設置工程では、前記ストッパ受けの開口部と反対側の奥側端部が前記コンクリート部に達するように、前記仮ストッパが収容されるストッパ受けを設置する。ストッパ受けは、建物の下部の周囲に渡って切れ目なく配置することが好ましい。隣接するストッパ受け同士の継目と隣接する仮ストッパ同士の継目は、重ならないように設置することが好ましい。そして、前記防蟻工法は、前記型枠解体工程の終了後に実行される工程であって、前記ストッパ受けの収容部に、前記仮スペーサに代えて前記蟻ストッパを挿入するストッパ差替工程を更に備える。ストッパ差替え工程では、蟻ストッパを、ストッパ受け同士の継目を覆うように、挿入部をストッパ受けの収容部に収容することが好ましい。すなわち、隣接するストッパ受け同士の継目と隣接する蟻ストッパ同士の継目が、重ならないように蟻ストッパを設置することが好ましい。
【0021】
本発明に係る防蟻工法では、防蟻装置設置工程において仮スペーサが収容されるストッパ受けが設置され、コンクリート打設工程及び型枠解体工程の終了後に実行されるストッパ差替工程において仮スペーサに代えて前記蟻ストッパが挿入される。その結果、コンクリート部を打設する際、収容部へのコンクリートの侵入を抑制することができ、また、コンクリート圧によって、ストッパ受け、特に収容部が変形することを抑制することができる。従って、防蟻剤を用いずに、従来よりも更に確実に白蟻を防除することが可能となる。
【0022】
なお、上述したように、本発明に係る防蟻装置は、断熱材を有する建物にも好適に用いることができる。断熱材を有する建物に防蟻装置を用いる場合、以下のように施工すればよい。すなわち、前記建物が前記コンクリート部の外側に断熱材からなる断熱部を有する場合、前記ストッパ受けの収容部の収容深さ方向における長さは、断熱部の厚さ方向における長さよりも長くする。前記防蟻装置設置工程では、前記型枠と前記コンクリート部との間に、第一断熱材を配置し、該第一断熱材の上に、前記仮スペーサが収容部に収容されたストッパ受けの奥側端部が前記コンクリート部に達するように配置し、更に該ストッパ受けの上に第二断熱材を配置する。
【0023】
これにより、断熱材を有する建物についても、容易かつ確実に防蟻装置を設置することができる。すなわち、断熱材を設置する際に、第一断熱材と第二断熱材との間に防蟻装置を挟むだけでよい。換言すると、本発明では、防蟻装置を設置せずに断熱材のみを設置する場合と殆ど同じ作業負担で防蟻装置を設置することができる。なお、防蟻装置は、コンクリート部まで達しているので、建物下の土壌から建物内へ侵入しようとする蟻を確実に防蟻装置に導くことができる。その結果、蟻の防除効果を実現することができる。
【0024】
なお、本発明は、上述した防蟻装置を含む防蟻構造、若しくは上述した防蟻工法によって施工される防蟻構造とすることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、従来よりも更に確実に白蟻を防除できる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第一実施形態に係る防蟻装置を示す。
【図2】第一実施形態に係るコンクリート部施工時における防蟻構造の断面図を示す。
【図3】第一実施形態に係る完成後における防あり構造の断面図を示す。
【図4】第一実施形態に係るストッパ受けの斜視図を示す。
【図5】第一実施形態に係る蟻ストッパの斜視図を示す。
【図6】第一実施形態に係る仮スペーサの斜視図を示す。
【図7】第一実施形態に係る断熱固定枠の斜視図を示す。
【図8】第一実施形態に係るストッパカバーの斜視図を示す。
【図9】第一実施形態に係る防蟻工法の工程フローを示す。
【図10A】第一実施形態に係る型枠が設置された状態を示す。
【図10B】第一実施形態に係る第一断熱材が設置された状態を示す。
【図10C】第一実施形態に係るストッパ受けが第一断熱部材上に設置された状態を示す。
【図10D】第一実施形態に係るストッパ受け上に第二断熱材が設置された状態を示す。
【図10E】第一実施形態に係るコンクリートが打設された状態を示す。
【図10F】第一実施形態に係る型枠が解体された状態を示す。
【図10G】第一実施形態に係る仮スペーサに代えて蟻ストッパが挿入される状態を示す。
【図10H】第一実施形態に係るコーキング剤が充填された状態を示す。
【図11】第二実施形態に係る防蟻装置を示す。
【図12】第二実施形態に係るコンクリート部の施工時における防蟻構造の断面図を示す。
【図13】第二実施形態に係る完成後における防蟻構造の断面図を示す。
【図14】第二実施形態に係るストッパ受けの斜視図を示す。
【図15】第二実施形態に係るジョイントカバーの斜視図を示す。
【図16A】第二実施形態に係る型枠が設置された状態を示す。
【図16B】第二実施形態に係る第一断熱材が設置された状態を示す。
【図16C】第二実施形態に係るストッパ受けが第一断熱部材上に設置された状態を示す。
【図16D】第二実施形態に係るジョイントカバーによってストッパ受けの継目を覆った状態を示す。
【図16E】第二実施形態に係るストッパ受け上に第二断熱材が設置された状態を示す。
【図16F】第二実施形態に係るコンクリートが打設された状態を示す。
【図16G】第二実施形態に係る型枠が解体された状態を示す。
【図16H】第二実施形態に係る仮スペーサに代えて蟻ストッパが挿入される状態を示す。
【図17A】従来の蟻返しの設置例の一例を示す断面図である。
【図17B】従来の蟻返しの設置例の一例を示す平面図である。
【図18A】実施形態に係る防蟻装置の設置例の一例を示す断面図である。
【図18B】実施形態に係る防蟻装置の設置例の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明の防蟻装置及び防蟻工法の実施形態について図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、断熱部8を有する建物のコンクリート部(本態様では、ベタ基礎)に対して防蟻装置100を適用する場合を例に説明する。但し、本発明の防蟻装置及び防蟻工法は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。本発明の防蟻装置及び防蟻工法は、断熱部を有さない建物にも適用可能である。また、コンクリート部は、例えば、布基礎でもよい。
【0028】
[第一実施形態]
<防蟻装置>
図1は、第一実施形態に係る防蟻装置100を示す。また、図2は、コンクリート部の施工時における防蟻構造の断面図を示し、図3は、完成後における防蟻構造の断面図を示す。第一実施形態に係る防蟻装置100は、ストッパ受け1、蟻ストッパ2、仮スペーサ3、断熱固定枠5、ストッパカバー5を備える。防蟻装置100は、いずれも表面に塗装が施された鉄製の薄板によって構成されている。なお、防蟻装置100は、ステンレス製としてもよい。以下、各構成について説明する。
【0029】
(ストッパ受け)
図4は、ストッパ受け1の斜視図を示す。ストッパ受け1は、白蟻の進行を抑制する板状の蟻ストッパの挿入部21を収容する収容部11と、収容部11の開口部14に設けられる板状のフランジ部10とを有する。ストッパ受け1は、鉄製の薄板を折り曲げることで、収容部11とフランジ部10が一体的に形成されている。収容部11の収容深さは、断熱部8の厚みよりも長くなるよう設計されている。これにより、収容部11の奥側端部15をコンクリート部6の立ち上がり部61に埋設することが可能となる(図2、図3参照。)収容部11の奥側端部15をコンクリート部6の立ち上がり部61に埋設することで、立ち上がり部61の外側面(コンクリート部6の外側であり、図3において、断熱部8の左側に相当する)に沿って進行する白蟻や断熱部8内を進行する白蟻の進路をストッパ受け1に沿うよう変更することが可能となる。そして、最終的に白蟻を外部から視認可能である蟻ストッパ2の返し部24に導いて、白蟻が見えないところで建物内へ侵入するのを抑制することができる。また、返し部24により白蟻の進行を遅らせることができ、白蟻の建物内への進行を抑制することが可能となる。ストッパ受け1の収容部11の内側の厚み(開口部14の厚み)は、蟻ストッパ2の挿入部21の厚みと同じとなるように設計されている。これにより、蟻ストッパ2を挿入した際、ストッパ受け1の収容部11内に隙間が形成されることを抑制できる。なお、ストッパカバー4を設置する場合、ストッパ受け1の収容部11の内側の厚みは、ストッパカバー4の挿入カバー部41の厚みを考慮して設計することが好ましい。ストッパ受け1の幅は、施工性を考慮して適宜設計すればよい。
【0030】
フランジ部10は、上フランジ12と下フランジ13を有する。フランジ部10は、収容部11と直交している。フランジ部10と収容部11との間に形成される角部に断熱部8の角部を合わせることでストッパ受け1の位置決めを容易に行うことができる。
【0031】
(蟻ストッパ)
図5は、蟻ストッパ2の斜視図を示す。蟻ストッパ2は、挿入部21と突出部20を有する。蟻ストッパ2も、鉄製の薄板を折り曲げることで、挿入部21と突出部20が一体的に形成されている。挿入部21は、上述した収容部11に挿入するものであり、収容部11の内側の形状に合わせて設計されている。突出部20は、建物の外側に突出しており、このような建物の外側に突出する蟻ストッパ2に白蟻を導くことで、建物内の見えないところで白蟻が建物内に侵入することを抑制することができる。具体的には、突出部20は、挿入部21と連接し下側に向けて傾斜する傾斜部22、傾斜部22と連接しかつ挿入部21と直交する垂直部23、垂直部23の下端と連接し、内側(建物側)の上方に向け
て屈折する返し部24を有する。傾斜部22によれば、雨が建物内に浸入するのを抑制できる。また、返し部24を設けることで安全性を向上することができる。また、上記のような傾斜や向きが異なる領域が連続して設けられた突出部20により、白蟻の進行を遅らせることができ、その結果、建物内への白蟻の進行を抑制することができる。なお、蟻ストッパ2の幅は、施工性を考慮して適宜設計すればよい。
【0032】
(仮スペーサ)
図6は、仮スペーサ3の斜視図を示す。仮スペーサ3は、仮挿入部31、把持部32を有する。仮スペーサ3は、コンクリート部6を施工する際、蟻ストッパ2に代えて収容部11に挿入する。これにより、コンクリート部6を打設する際、収容部11へのコンクリートの侵入を抑制することができる。また、コンクリート圧によって、ストッパ受け1、特に収容部11が変形することを抑制することができる。仮スペーサ3も、鉄製の薄板を折り曲げることで、仮挿入部31と把持部32が一体的に形成されている。仮挿入部31は、コンクリート部6を施工する際に、蟻ストッパ2に代えて収容部11に挿入するものであり、蟻ストッパ2の挿入部21と同じく、収容部11の内側の形状に合わせて設計されている。把持部32は、コンクリート部6の施工完了後、仮スペーサ3を収容部11から引き抜く場合に把持される。第一実施形態に係る把持部32は、仮挿入部31と直交するよう、仮スペーサ3の端部が屈折することで形成されている。仮スペーサ3の幅は、施工性を考慮して適宜設計すればよい。
【0033】
(断熱固定枠)
図7は、断熱固定枠5の斜視図を示す。断熱固定枠5は、コンクリート部6の施工の際、断熱部8と断熱部8の外側に設置される型枠7とを挟み込んで固定する。第一実施形態に係る断熱固定枠5は、ベース部51と内側側板部52、外側側板部53(以下、両者を纏めて単に側板部50ともいう)とを有する。断熱固定枠5も、鉄製の薄板を折り曲げることで、ベース部51と側板部50が一体的に形成されている。ベース部51は、断熱部8の上端又は下端と接触する。一方、側板部50は、外側側板部52と内側側板部53からなり、外側板部53は、外側型枠71の外側面と接触し、内側側板部52は、断熱部8の内側面と接触する。なお、外側側板部53と内側側板部52との間隔は、断熱部8厚さと外側型枠7の厚さの和と同じになるように設計されている。断熱固定枠5の幅は、施工性を考慮して適宜設計すればよい。
【0034】
(ストッパカバー)
図8は、ストッパカバー4の斜視図を示す。ストッパカバー4は、蟻ストッパ2を覆うものであり、蟻ストッパ2の返し部24も含めて覆うことで、防蟻装置100の安全性を向上させる。第一実施形態に係るストッパカバー4は、挿入部21を覆う挿入カバー部41、傾斜部22を覆う傾斜カバー部42、垂直部23を覆う垂直カバー部43、返し部24を覆う返しカバー部45を有する。ストッパカバー4も、鉄製の薄板を折り曲げることで、挿入カバー部41、傾斜カバー部42、垂直カバー部43、返しカバー部45が一体的に形成されている。ストッパカバー4は、基本的には蟻ストッパ2の形状と同じであるが、蟻ストッパ2を覆うよう、蟻ストッパ2よりも大きく形成されている。ストッパカバー4の幅は、施工性を考慮して適宜設計すればよい。なお、ストッパカバー4は、蟻ストッパ2のうち、建物の外部に露出している部分をカバーできればよい。従って、挿入カバー部41の挿入方向における長さは、ストッパ受け1に対する固定力を確保できる長さを有していればよく、挿入部21の挿入方向における長さよりも短くてもよい。
【0035】
<防蟻工法>
次に第一実施形態に係る防蟻工法について説明する。図9は、防蟻工法の工程フローを示す。型枠設置工程(ステップS01)では、通常のベタ基礎の施工と同じく、地盤の転圧、砕石の敷設、いわゆる捨てコンクリート9の打設が行われた後、建物の下部を形成す
るコンクリート部(本態様では、ベタ基礎)6を覆う型枠が設置される。より具体的には、コンクリート部6の鉄筋組立て後、捨てコンクリート9上に、内側型枠71と外側型枠72が設置される(図10A参照)。この際、内側型枠71と外側型枠72との間隔は、コンクリート部6と断熱部8の厚さに基づいて設計する。内側型枠71と外側型枠72とは、例えばセパレータによって固定する。型枠設置工程が終了すると、防蟻装置設置工程へ進む。
【0036】
防蟻設置工程(ステップS02)では、防蟻装置100が設置される。具体的には、まず、外側型枠72の内側に第一断熱部材81が設置される(図10B参照)。第一断熱部材81や第二断熱部材82には、既存の断熱材(例えば、グラスウール)を用いることができる。外側型枠72と第一断熱部材81は、断熱固定枠5によって固定される。なお、第一断熱部材81は、コンクリート部6の周囲に連続して設置される。次に、防蟻装置100のストッパ受け1が第一断熱部材81の上に設置される(図10C参照)。ストッパ受け1も、コンクリート部6の周囲に連続して設置される。なお、隣接するストッパ受け1同士の継目と収容される仮スペーサ3同士の継目が重ならないようにする。ストッパ受け1同士の継目と仮スペーサ3同士の継目をずらすことで、仮にストッパ受け1内にコンクリートが侵入しても、仮スペーサ3によって蟻ストッパ2を挿入する際の収容スペースを確保することができる。ストッパ受け1の収容部11には、予め仮スペーサ3を挿入してもよく、また、ストッパ受け1の設置後、仮スペーサを挿入してもよい。ストッパ受け1は、ストッパ受け1の奥側端部15がコンクリート部6の立ち上がり部61に埋設されるように設置される。続いて、ストッパ受け1の上に第二断熱部82が設置される(図10D参照)。外側型枠72と第二断熱部材82は、断熱固定枠5によって固定される。防蟻装置100の設置が終了すると、コンクリート打設工程へ進む。
【0037】
コンクリート打設工程(ステップS03)では、コンクリート部6のコンクリートが打設される(図10E参照)。コンクリート打設工程終了後、コンクリート部6の養生が一定期間行われ、型枠解体工程へ進む。
【0038】
型枠解体工程(ステップS04)では、型枠7が解体される(図10F参照)。具体的には、断熱固定枠5が取り外され、内側型枠71及び外側型枠72が解体される。型枠解体工程が終了すると、ストッパ差替工程へ進む。
【0039】
ストッパ差替工程(ステップS05)では、ストッパ受け1の収容部11に、仮スペーサ3に代えて蟻ストッパ2が挿入される(図10G参照)。具体的には、仮スペーサ3の把持部32を把持して仮スペーサ3が収容部11から引き抜かれる。次に、蟻ストッパ2同士の間に隙間が生じないよう、コンクリート部6の周囲に連続して蟻ストッパ2が収容部11に挿入される。ストッパ差替工程が終了すると、仕上工程へ進む。
【0040】
仕上工程(ステップS06)では、コンクリート部6の施工の仕上げが行われる。具体的には、いわゆるセパ穴の補修や、蟻ストッパ2と断熱部8との間に隙間(特に第二断熱部材82と下端と蟻ストッパ2との間の隙間)がある場合には、コーキング剤Aの充填等が行われる(図10H参照)。また、必要に応じて、ストッパカバー4が設置される。
【0041】
以上説明した第一実施形態に係る防蟻装置及び防蟻工法によれば、仮スペーサ3を備えることで、コンクリート部6を打設する際、収容部11へのコンクリートの侵入を抑制することができる。また、コンクリート圧によって、ストッパ受け1、特に収容部11が変形することを抑制することができる。その結果、防蟻剤を用いずに、従来よりも更に確実に白蟻を防除することが可能となる。また、上述したように断熱部8を有する建物についても、容易かつ確実に防蟻装置を設置することができる。すなわち、断熱部8(第一断熱材81、第二断熱材82)を設置する際に、第一断熱材81と第二断熱材82との間にス
トッパ受け1を挟むだけでよい。換言すると、防蟻装置100を設置せずに断熱材のみを設置する場合と殆ど同じ作業負担で防蟻装置100を設置することができる。なお、防蟻装置100は、コンクリート部8まで達しているので、建物下の土壌から建物内へ侵入しようとする白蟻を確実に防蟻装置100の蟻ストッパ2に導くことができる。その結果、見えないところで白蟻が建物内に侵入するのを抑制することができる。つまり、白蟻の防除効果を実現することができる。
【0042】
[第二実施形態]
<防蟻装置>
図11は、第二実施形態に係る防蟻装置100aを示す。また、図12は、第二実施形態に係るコンクリート部の施工時における防蟻構造の断面図を示し、図13は、第二実施形態に係る完成後における防蟻構造の断面図を示す。第二実施形態に係る防蟻装置100aは、ストッパ受け1a、蟻ストッパ2a、仮スペーサ3a、断熱固定枠5、ストッパカバー4a、ジョイントカバー18を備える。防蟻装置100aは、いずれも表面に塗装が施された鉄製の薄板によって構成されている。なお、防蟻装置100aは、ステンレス製としてもよい。なお、第一実施形態に係る防蟻装置100と同様の構成については、同様の符号を付し、詳細な説明は省略する。また、第二実施形態に係る防蟻装置では、符号の数字の後にアルファベット「a」を付した。このアルファベットは、説明の便宜上付したものであり、同様の数字が付された構成は、基本的には、同様の機能を有し、また、同様の作用効果を有するものとする。以下、第一実施形態に係る防蟻装置との相違点を中心に説明するものとする。
【0043】
(ストッパ受け)
図14は、ストッパ受け1aの斜視図を示す。ストッパ受け1aは、白蟻の進行を抑制する板状の蟻ストッパの挿入部21aを収容する収容部11aと、収容部11aの開口部14aに設けられる板状のフランジ部10aと、収容部11aと接続される板状の板状部19aとを有する。ストッパ受け1aは、第一実施形態に係るストッパ受け1と同じく、鉄製の薄板を折り曲げることで一体的に形成されている。収容部11aの収容深さは、断熱部8の厚みよりも短くなるよう設計されている。これにより、収容部11aに対するコンクリート圧などによる負荷が低減される。第二実施形態に係るストッパ受け1aは、上記のように、収容部11aの収容深さが短く形成されているが、これに代えて、板状部19aが設けられている。そして、板状部19aの収容深さが、断熱部8の厚みよりも長くなるよう設計されている。その結果、板状部19aの奥側に設けられた奥側フランジ19a2をコンクリート部6の立ち上がり部61に埋設することが可能となる。その結果、立ち上がり部61の外側面(コンクリート部6の外側であり、図13において、断熱部8の左側に相当する)に沿って進行する白蟻や断熱部8内を進行する白蟻の進路をストッパ受け1aに沿うよう変更することが可能となる。そして、最終的に白蟻を外部から視認可能である蟻ストッパ2aの返し部24aに導いて、白蟻が見えないところで建物内へ侵入するのを抑制することができる。また、返し部24aにより白蟻の進行を遅らせることができ、白蟻の建物内への進行を抑制することが可能となる。なお、ストッパ受け1aの収容部11aの内側の厚みは、蟻ストッパ2aの挿入部21aの厚みと同じとなるように設計されている。なお、ストッパカバー4aを設置する場合、ストッパ受け1aの収容部11aの内側の厚みは、ストッパカバー4aの挿入カバー部41aの厚みを考慮して設計することが好ましい。ストッパ受け1aの幅は、施工性を考慮して適宜設計すればよい。
【0044】
(蟻ストッパ)
第二実施形態に係る蟻ストッパ2aは、第一実施形態に係る蟻ストッパ2と同じく、挿入部21aと突出部20aを有する。但し、第二実施形態に係る蟻ストッパ2aの挿入部21aは、収容部11aの内側の形状に合わせて設計され、第一実施形態に係る挿入部21よりも短く形成されている。第二実施形態に係る蟻ストッパ2aは、挿入部21aが短
く形成されている点以外は、第一実施形態に係る蟻ストッパ2の構成と同じである。従って、詳細な説明は、省略する。
【0045】
(ジョイントカバー)
図15は、第二実施形態に係るジョイントカバーの斜視図を示す。第二実施形態に係る防蟻装置100aは、ジョイントカバー(本発明のカバー部に相当する)18を更に備えることを特徴とする。ジョイントカバー18は、鉄製の薄板によって構成されているが、ステンレス製としてもよい。ジョイントカバー18は、ストッパ受け1aの板状部19a同士の継目を覆う。従って、ジョイントカバー18の収容深さ方向における長さは、板状部19aの収容深さ方向における長さと同じとすることが好ましい。換言すると、ジョイントカバー18の収容深さ方向における長さは、コンクリート部6に達する長さを有している必要がある。
【0046】
(仮スペーサ)
第二実施形態に係る仮スペーサ3aは、第一実施形態に係る仮スペーサ3と同じく、仮挿入部31a、把持部32aを有する。但し、第二実施形態に係る仮スペーサ3aの仮挿入部31aは、収容部11aの内側の形状に合わせて設計され、第一実施形態に係る仮挿入部31よりも短く形成されている。なお、第二実施形態に係る防蟻装置100aでは、ストッパ受け1aの収容部11aの深さが短いことから、施工する際の収容部11aへの負荷も小さい。従って、仮スペーサ3aの使用を控えるようにしてもよい。第二実施形態に係る仮スペーサ3aは、仮挿入部31aが短く形成されている点以外は、第一実施形態に係る仮スペーサ3の構成と同じである。従って、詳細な説明は、省略する。
【0047】
(断熱固定枠)
第二実施形態に係る断熱固定枠5は、第一実施形態に係る断熱固定枠5と同じであるので、説明は省略する。
【0048】
(ストッパカバー)
第二実施形態に係るストッパカバー4aは、第一実施形態に係るストッパカバー4と同じく、蟻ストッパ2aを覆うものであり、挿入部21aを覆う挿入カバー部41a、傾斜部22aを覆う傾斜カバー部42a、垂直部23aを覆う垂直カバー部43a、返し部24aを覆う返しカバー部45aを有する。なお、挿入カバー部41aは、ストッパ受け1aの挿入部11aに合わせて設計されており、第一実施形態に係る挿入カバー部41よりも短い。
【0049】
<防蟻工法>
次に第二実施形態に係る防蟻工法について説明する。第二実施形態に係る防蟻工法の基本的な手順は、第一実施形態に係る防蟻工法と同じである(図9参照)。まず、型枠設置工程(ステップS01)では、通常のベタ基礎の施工と同じく、地盤の転圧、砕石の敷設、いわゆる捨てコンクリート9の打設が行われた後、建物の下部を形成するコンクリート部(本態様では、ベタ基礎)6を覆う型枠が設置される(図16A参照)。
【0050】
次に、防蟻設置工程(ステップS02)では、防蟻装置100aが設置される。具体的には、まず、外側型枠72の内側に第一断熱部材81が設置される(図16B参照)。外側型枠72と第一断熱部材81は、断熱固定枠5によって固定される。なお、第一断熱部材81は、コンクリート部6の周囲に連続して設置される。次に、防蟻装置100aのストッパ受け1aが第一断熱部材81の上に設置される(図16C参照)。なお、ストッパ受け1aの設置高さは、ストッパ受け1aが周囲に同じレベルで構造物の周囲に渡って設置できる低い位置とすることが好ましい。また、ストッパ受け1aも、コンクリート部6の周囲に連続して設置される。その際、ストッパ受け1aの継目を覆うように、ジョイン
トカバー18が設置される(図16D参照)。続いて、ストッパ受け1aの上に第二断熱部82が設置される(図16E参照)。外側型枠72と第二断熱部材82は、断熱固定枠5によって固定される。防蟻装置100aの設置が終了すると、コンクリート打設工程へ進む。
【0051】
コンクリート打設工程(ステップS03)では、コンクリート部6のコンクリートが打設される(図16F参照)。次に、型枠解体工程(ステップS04)では、型枠7が解体される(図16G参照)。
【0052】
次に、ストッパ差替工程(ステップS05)では、ストッパ受け1aの収容部11aに、仮スペーサ3aに代えて蟻ストッパ2aが挿入される(図16H参照)。なお、第二実施形態では、仮スペーサ3aの使用を控えてもよく、この場合いは、ストッパ差替工程では、単に蟻ストッパ2aの挿入が行われる。
【0053】
その後、仕上工程(ステップS06)では、コンクリート部6の施工の仕上げが行われる。
【0054】
以上説明した第二実施形態に係る防蟻装置及び防蟻工法によれば、断熱部8を有する建物において、容易かつ確実に防蟻装置を設置することができる。すなわち、断熱部8(第一断熱材81、第二断熱材82)を設置する際に、第一断熱材81と第二断熱材82との間にストッパ受け1を挟むだけでよい。換言すると、防蟻装置100aを設置せずに断熱材のみを設置する場合と殆ど同じ作業負担で防蟻装置100aを設置することができる。なお、防蟻装置100aのストッパ受け1aの板状部19aは、コンクリート部8まで達しているので、建物下の土壌から建物内へ侵入しようとする白蟻を確実に防蟻装置100aの蟻ストッパ2に導くことができる。その結果、見えないところで白蟻が建物内に侵入するのを抑制することができる。つまり、白蟻の防除効果を実現することができる。また、ストッパ受け1aの継目上には、ジョイントカバー18が設けられていることから、ストッパ受け1aの継目からの白蟻の進行も確実に防止することができる。更に、仮スペーサ3aを用いた場合には、施工時において、ストッパ受け1a、特に収容部11aが変形することを抑制することができる。また、収容部11aの収容深さ方向における長さを短くすることで、ストッパ受け1aに使用する材料を削減することができる。また、収容部11aの収容深さ方向における長さを短くすることに合わせて、仮スペーサ3aの仮挿入部31a、蟻ストッパ2aの挿入部21a、ストッパカバー4aの挿入カバー部41aの長さを短くすることができる。その結果、防蟻装置100a全体として、使用する材料を削減することが可能となる。
【0055】
[実施例]
ここで、上述した実施形態に係る防蟻装置100、100aの設置例と、従来の蟻返しの設置例との比較例について説明する。図17Aは、従来の蟻返しの設置例の一例を示す断面図である。図17Bは、従来の蟻返しの設置例の一例を示す平面図である。また、図18Aは、実施形態に係る防蟻装置の設置例の一例を示す断面図である。また、図18Bは、実施形態に係る防蟻装置の設置例の一例を示す平面図である。各図における矢印は、白蟻の侵入路を示す。
【0056】
従来では、蟻返しが基礎より高い位置に設置されていたため、蟻返しよりも低い位置にある基礎と土間との間から白蟻が建物内に侵入する虞があった。また、蟻返しが基礎より高い位置に設置されることで建物の形状の影響を受けてしまい、蟻返しを建物の周囲に継目なく設置することができなかった。例えば、玄関などの土間が基礎よりも外側に突出している場合、土間が設けられる部分において白蟻が侵入してしまうことが懸念された。
【0057】
これに対し実施形態に係る防蟻装置100、100aは、基礎(コンクリート部6に相当)にストッパ受け1、1aを接続することで、防蟻装置100、100aを、建物の周囲に継目なく設置することが可能となる。その結果、より確実に白蟻の建物内への侵入を抑制することができる。
【0058】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明に係る防蟻装置はこれらに限らず、可能な限りこれらの組合せを含むことができる。
【符号の説明】
【0059】
1、1a・・・ストッパ受け
2、2a・・・蟻ストッパ
3、3a・・・仮スペーサ
4、4a・・・ストッパカバー
5・・・断熱固定枠
6・・・コンクリート部
7・・・型枠
8・・・断熱部
61・・・立ち上がり部
11、11a・・・収容部
18・・・ジョイントカバー
20、20a・・・突出部
21、21a・・・挿入部
31、31a・・・仮挿入部
32、32a・・・把持部
71・・・内側型枠
72・・・外側型枠
81・・・第一断熱材
82・・・第二断熱材
100、100a・・・防蟻装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蟻の進行を抑制する板状の蟻ストッパの一部を収容する収容部と、該収容部の開口部に設けられる板状のフランジ部とを有し、建物の下部を形成するコンクリート部に接続されるストッパ受けと、
前記ストッパ受けの収容部に挿入する挿入部と、該挿入部と連設し、該挿入部を前記ストッパ受けの収容部に挿入した際、前記建物の外側面から外側に向けて突出する突出部と、を有する前記蟻ストッパと、
前記コンクリート部を施工する際、前記蟻ストッパに代えて前記収容部に挿入する板状の仮スペーサとを備える防蟻装置。
【請求項2】
前記建物が前記コンクリート部の外側に断熱材からなる断熱部を有する場合、前記ストッパ受けの収容部の収容深さ方向における長さは、前記断熱部の厚さ方向における長さよりも長い、請求項1に記載の防蟻装置。
【請求項3】
前記コンクリート部の施工の際、前記断熱部と該断熱部の外側に設置される型枠とを挟み込んで固定する断熱固定枠を更に備える、請求項2に記載の防蟻装置。
【請求項4】
前記蟻ストッパを覆うストッパカバーを更に備える、請求項1から3の何れか一に記載の防蟻装置。
【請求項5】
前記ストッパ受けは、前記建物の下部の周囲に渡って、複数の該ストッパ受けが連続して前記コンクリート部に接続され、
前記蟻ストッパは、前記ストッパ受け同士の継目を覆うように、前記挿入部が前記ストッパ受けの収容部に収容される、請求項1から4の何れか一に記載の防蟻装置。
【請求項6】
建物の下部を形成するコンクリート部を覆う型枠を設置する型枠設置工程と、
前記建物内への蟻の侵入を抑制する防蟻装置を設置する防蟻装置設置工程と、
前記型枠設置工程及び前記防蟻装置設置工程の終了後、前記コンクリート部のコンクリートを打設するコンクリート打設工程と、
前記コンクリート打設工程の終了後、前記型枠を解体する型枠解体工程と、を備え、
前記防蟻装置は、
蟻の進行を抑制する板状の蟻ストッパの一部を収容する収容部と、該収容部の開口部に設けられる板状のフランジ部とを有し、前記建物の下部を形成するコンクリート部に接続されるストッパ受けと、
前記ストッパ受けの収容部に挿入する挿入部と、該挿入部と連設し、該挿入部を前記ストッパ受けの収容部に挿入した際、前記建物の外側面から外側に向けて突出する突出部と、を有する前記蟻ストッパと、
前記コンクリート部を施工する際、前記蟻ストッパに代えて前記収容部に挿入する板状の仮スペーサと、を有し、
前記防蟻装置設置工程では、前記ストッパ受けの開口部と反対側の奥側端部が前記コンクリート部に達するように、前記仮ストッパが収容されるストッパ受けを設置し、
前記防蟻工法は、
前記型枠解体工程の終了後に実行される工程であって、前記ストッパ受けの収容部に、前記仮スペーサに代えて前記蟻ストッパを挿入するストッパ差替工程を更に備える、防蟻工法。
【請求項7】
前記建物が前記コンクリート部の外側に断熱材からなる断熱部を有する場合、前記ストッパ受けの収容部の収容深さ方向における長さは、断熱部の厚さ方向における長さよりも長く、
前記防蟻装置設置工程では、前記型枠と前記コンクリート部との間に、第一断熱材を配置し、該第一断熱材の上に、前記仮スペーサが収容部に収容されたストッパ受けの奥側端部が前記コンクリート部に達するように配置し、更に該ストッパ受けの上に第二断熱材を配置する、請求項6に記載の防蟻工法。
【請求項8】
蟻の進行を抑制する板状の蟻ストッパの一部を収容する収容部と、該収容部の開口部に設けられる板状のフランジ部とを有し、建物の下部を形成するコンクリート部に接続されるストッパ受けと、
前記ストッパ受けの収容部に挿入する挿入部と、該挿入部と連設し、該挿入部を前記ストッパ受けの収容部に挿入した際、前記建物の外側面から外側に向けて突出する突出部と、を有する前記蟻ストッパと、を備え、
前記ストッパ受けは、前記建物の下部の周囲に渡って、複数の該ストッパ受けが連続して前記コンクリート部に接続され、
前記蟻ストッパは、前記ストッパ受け同士の継目を覆うように、前記挿入部が前記ストッパ受けの収容部に収容される、防蟻装置。
【請求項1】
蟻の進行を抑制する板状の蟻ストッパの一部を収容する収容部と、該収容部の開口部に設けられる板状のフランジ部とを有し、建物の下部を形成するコンクリート部に接続されるストッパ受けと、
前記ストッパ受けの収容部に挿入する挿入部と、該挿入部と連設し、該挿入部を前記ストッパ受けの収容部に挿入した際、前記建物の外側面から外側に向けて突出する突出部と、を有する前記蟻ストッパと、
前記コンクリート部を施工する際、前記蟻ストッパに代えて前記収容部に挿入する板状の仮スペーサとを備える防蟻装置。
【請求項2】
前記建物が前記コンクリート部の外側に断熱材からなる断熱部を有する場合、前記ストッパ受けの収容部の収容深さ方向における長さは、前記断熱部の厚さ方向における長さよりも長い、請求項1に記載の防蟻装置。
【請求項3】
前記コンクリート部の施工の際、前記断熱部と該断熱部の外側に設置される型枠とを挟み込んで固定する断熱固定枠を更に備える、請求項2に記載の防蟻装置。
【請求項4】
前記蟻ストッパを覆うストッパカバーを更に備える、請求項1から3の何れか一に記載の防蟻装置。
【請求項5】
前記ストッパ受けは、前記建物の下部の周囲に渡って、複数の該ストッパ受けが連続して前記コンクリート部に接続され、
前記蟻ストッパは、前記ストッパ受け同士の継目を覆うように、前記挿入部が前記ストッパ受けの収容部に収容される、請求項1から4の何れか一に記載の防蟻装置。
【請求項6】
建物の下部を形成するコンクリート部を覆う型枠を設置する型枠設置工程と、
前記建物内への蟻の侵入を抑制する防蟻装置を設置する防蟻装置設置工程と、
前記型枠設置工程及び前記防蟻装置設置工程の終了後、前記コンクリート部のコンクリートを打設するコンクリート打設工程と、
前記コンクリート打設工程の終了後、前記型枠を解体する型枠解体工程と、を備え、
前記防蟻装置は、
蟻の進行を抑制する板状の蟻ストッパの一部を収容する収容部と、該収容部の開口部に設けられる板状のフランジ部とを有し、前記建物の下部を形成するコンクリート部に接続されるストッパ受けと、
前記ストッパ受けの収容部に挿入する挿入部と、該挿入部と連設し、該挿入部を前記ストッパ受けの収容部に挿入した際、前記建物の外側面から外側に向けて突出する突出部と、を有する前記蟻ストッパと、
前記コンクリート部を施工する際、前記蟻ストッパに代えて前記収容部に挿入する板状の仮スペーサと、を有し、
前記防蟻装置設置工程では、前記ストッパ受けの開口部と反対側の奥側端部が前記コンクリート部に達するように、前記仮ストッパが収容されるストッパ受けを設置し、
前記防蟻工法は、
前記型枠解体工程の終了後に実行される工程であって、前記ストッパ受けの収容部に、前記仮スペーサに代えて前記蟻ストッパを挿入するストッパ差替工程を更に備える、防蟻工法。
【請求項7】
前記建物が前記コンクリート部の外側に断熱材からなる断熱部を有する場合、前記ストッパ受けの収容部の収容深さ方向における長さは、断熱部の厚さ方向における長さよりも長く、
前記防蟻装置設置工程では、前記型枠と前記コンクリート部との間に、第一断熱材を配置し、該第一断熱材の上に、前記仮スペーサが収容部に収容されたストッパ受けの奥側端部が前記コンクリート部に達するように配置し、更に該ストッパ受けの上に第二断熱材を配置する、請求項6に記載の防蟻工法。
【請求項8】
蟻の進行を抑制する板状の蟻ストッパの一部を収容する収容部と、該収容部の開口部に設けられる板状のフランジ部とを有し、建物の下部を形成するコンクリート部に接続されるストッパ受けと、
前記ストッパ受けの収容部に挿入する挿入部と、該挿入部と連設し、該挿入部を前記ストッパ受けの収容部に挿入した際、前記建物の外側面から外側に向けて突出する突出部と、を有する前記蟻ストッパと、を備え、
前記ストッパ受けは、前記建物の下部の周囲に渡って、複数の該ストッパ受けが連続して前記コンクリート部に接続され、
前記蟻ストッパは、前記ストッパ受け同士の継目を覆うように、前記挿入部が前記ストッパ受けの収容部に収容される、防蟻装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図10F】
【図10G】
【図10H】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図16E】
【図16F】
【図16G】
【図16H】
【図17A】
【図17B】
【図18A】
【図18B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図10F】
【図10G】
【図10H】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図16E】
【図16F】
【図16G】
【図16H】
【図17A】
【図17B】
【図18A】
【図18B】
【公開番号】特開2011−21457(P2011−21457A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−201471(P2009−201471)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【出願人】(509174406)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【出願人】(509174406)
【Fターム(参考)】
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