説明

防護柵

【課題】支柱下段における落石の通過を防止することができる防護柵を提供する。
【解決手段】左右に所定の間隔で3本以上の支柱2A,2Aを設け、支柱2A,2A間に横ロープ材を多段に設けた防護柵において、下段の横ロープ材7,7を支柱2A,2Aに固定したから、下段の横ロープ材7,7が捲れ上がって落石が通過することを防止できる。また、中間の支柱2Aに固定用ロープ材22を設け、この固定用ロープ材22を下段の横ロープ材7,7の途中に添わせ、間隔をおいて配置した複数のクリップ23により、両ロープ材22,7を固定したから、固定用ロープ材22を介して横ロープ材7,7の途中を中間支柱2Aに固定することができる。また、下段の前記横ロープ材7,7の間隔は、上段側で上下に隣合う横ロープ材の間隔より狭く設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雪崩・落石等における防護柵に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の防護柵として、地上に間隔を置き建て込んだ端末パイプ支柱及び中間パイプ支柱に複数段のケーブルとともに金網を張設したものや、適宜の間隔を置き建て込んだH型鋼の端末支柱及び中間支柱と、これら支柱間に張設した複数段のケーブル及び金網とを備えた防護柵(例えば特許文献1)が知られている。
【0003】
また、ロープ材を保持する保持解除装置を備え、この保持解除装置は、常時または積雪の雪圧のような長期間にわたって作用する比較的小さい横力に対しては、中間ロープ材を中間支柱に保持した状態を維持し、かつ落石が衝突した時のような雪圧より大きい横力が作用した場合には中間ロープ材の保持を解除して中間ロープ材を落石等の衝突物の進入側と反対側に向けた大きな移動を許容する防護柵(例えば特許文献2)がある。
【0004】
また、支柱間に設ける横ロープ材を把持し、該横ロープ材に加わる張力を横ロープ材の摩擦摺動により吸収するロープ用緩衝具(例えば特許文献3)が提案されており、この緩衝具はUボルトを備え、このUボルトを連結する連結部を、前記支柱に設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−197423号公報
【特許文献2】特開2007−077672号公報
【特許文献3】特開2003−313828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように支柱間にロープ材を複数段に設け、前記ロープ材の両端を端末支柱に固定し、中間支柱においてはスライドを許容する防護柵では、下方に落石を受けると、最下段のロープ材が捲れあがったりして落石が通過する虞がある。
【0007】
また、中間支柱にロープ用緩衝具により横ロープ材を連結するものでも、横ロープ材が緩衝具に摩擦摺動すると、横ロープ材が撓むため、同様に落石が通過する虞がある。
【0008】
そこで、本発明は上述した問題点に鑑み、支柱下段における落石の通過を防止することができる防護柵を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、左右に所定の間隔で3本以上の支柱を設け、前記支柱間に横ロープ材を多段に設けた防護柵において、下段の前記横ロープ材を前記支柱のうち3本以上の支柱に固定したことを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に係る発明は、下段の前記横ロープ材を前記各支柱に固定したことを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に係る発明は、中間の前記支柱に固定用ロープ材を設け、この固定用ロープ材に前記下段の横ロープ材の途中を固定したことを特徴とする。
【0012】
また、請求項4に係る発明は、中間の支柱に連結部を設け、この連結部の左右に前記固定用ロープ材をそれぞれ連結したことを特徴とする。
【0013】
また、請求項5に係る発明は、前記横ロープ材を前記支柱間ごとに分割した分割横ロープ材を形成し、前記分割横ロープ材の端部を前記支柱に固定したことを特徴とする。
【0014】
また、請求項6に係る発明は、前記分割横ロープ材の端部を位置調整手段により前記支柱に固定したことを特徴とする。
【0015】
また、請求項7に係る発明は、前記分割横ロープ材の端部を連結具により前記支柱に固定し、前記支柱両側の前記連結具を連結ロープ材により連結したことを特徴とする。
【0016】
また、請求項8に係る発明は、前記分割横ロープ材の端部を連結具により前記支柱に固定し、前記支柱一側の前記連結具と前記支柱とを連結ロープ材により連結したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の請求項1の構成によれば、下段の横ロープ材を3本以上の支柱に固定することにより、落石時に下段の横ロープ材が捲れ上がって落石が通過することを防止できる。
【0018】
また、本発明の請求項2の構成によれば、下段の横ロープ材を各支柱に固定することにより、落石時に下段の横ロープ材が捲れ上がって落石が通過することを防止できる。
【0019】
また、本発明の請求項3の構成によれば、固定用ロープ材を介して横ロープ材の途中を中間支柱に固定することができ、横ロープ材を分割せずに中間支柱に固定することができる。
【0020】
また、本発明の請求項4の構成によれば、左右の固定用ロープ材に横ロープ材の途中を連結して中間支柱に固定することができる。
【0021】
また、本発明の請求項5の構成によれば、分割横ロープ材を支柱間毎に固定することができる。
【0022】
また、本発明の請求項6の構成によれば、端部の位置を調整して分割横ロープ材を所定の張力で張設することができる。
【0023】
また、本発明の請求項7の構成によれば、連結具の取付部分などの破損による部材の飛散および落石の通過を防止することができる。
【0024】
また、本発明の請求項8の構成によれば、連結具の取付部分などの破損による部材の飛散および落石の通過を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施例の実施例1を示す防護柵の側面図である。
【図2】同上、防護柵の正面図である。
【図3】同上、中間支柱の平断面図である。
【図4】同上、挟持具の分解正面図である。
【図5】同上、端末支柱の正面図である。
【図6】同上、端末支柱の平断面図である。
【図7】同上、衝撃吸収装置の要部の平面図である。
【図8】本実施例の実施例2を示す中間支柱の断面図である。
【図9】同上、連結部の要部の正面図である。
【図10】本実施例の実施例3を示す防護柵の正面図である。
【図11】同上、防護柵の平面図である。
【図12】同上、中間支柱の縦断面図である。
【図13】同上、中間支柱の平断面図である。
【図14】同上、端末支柱の縦断面図である。
【図15】同上、端末支柱の平断面図である。
【図16】本実施例の実施例4を示す防護柵の説明正面図である。
【図17】同上、下段の横ロープ材に5箇所の固定箇所を設けた防護柵の説明正面図である。
【図18】同上、下段の横ロープ材に3箇所の固定箇所を設けた防護柵の説明正面図である。
【図19】本実施例の実施例5を示す中間支柱の縦断面図である。
【図20】同上、中間支柱の平断面図である。
【図21】同上、取付体を示し、図21(A)は取付体の側面図、図21(B)は一部切欠き平面図である。
【図22】同上、連結ロープ材の正面図である。
【図23】同上、端末支柱の縦断面図である。
【図24】同上、端末支柱の平断面図である。
【図25】同上、連結ロープ材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明の防護柵の実施例1について説明する。
【実施例1】
【0027】
図1〜図7に示すように、同図に示すように、衝撃吸収柵である落石防護柵は、設定場所である斜面下部の地面1に複数の支柱2,2A,2A,2を立設する。尚、端末支柱2,2の間に複数の中間支柱2A,2Aが配置されている。前記支柱2,2Aは、H型鋼,コンクリート柱,鋼管あるいはコンクリート充填鋼管などからなり、この例では鋼管を用い、その下端を前記地面1に建て込んで固定している。
【0028】
前記支柱2,2A,2A,2間には横ロープ材3,3が上下段に設けられている。また、支柱2,2A,2A,2の間は金網9により遮蔽されている。また、金網9は結合コイルなどの結合材により横ロープ材3,7に結合されている。また、横ロープ材3,7を縦方向の間隔保持材10にそれぞれ係止し、この間隔保持材10により落石が衝突した場合でも、上下のロープ材の間隔が開いて落石が通過しないようになっている。尚、支柱2,2A,2A,2は上記のように下部を地中に建て込んで固定してもよいし、コンクリート基礎等に固定してもよいし、下部を斜面などに位置固定すると共に、山側と谷側の控えロープ材により固定してもよい。また、中間支柱2Aには、前記ロープ材3を係止する係止部4が設けられ、前記係止部4は、横ロープ材3を係止する係止用フックなどにより構成され、横ロープ材3の長さ方向の移動を許容する。
【0029】
前記横ロープ材3は、その両端を前記端末支柱2に連結し、その途中を前記中間の支柱2Aに横方向移動可能に係止している。具体的には、前記横ロープ材3の端部3Tに連結具5により横杆6を連結し、この横杆6を衝撃吸収装置11により前記端末支柱2に連結している。図5〜図7に示すように、前記衝撃吸収装置11は、鋼管などからなるリング材12と、このリング材12を外周両側から挟むように配置される載荷部材たる載荷板13,13と、それら載荷板13,支柱2,リング材12及び載荷板13に挿通する前記横杆6と、この横杆6に設ける端末定着具たるナット14とを備え、前記横杆6にはナット14を螺合する雄ねじ部が形成されている。尚、前記載荷板13,13のリング材12の外周に当接する側の面が、載荷面13M,13Mであり、前記載荷面13Mは、前記リング材12の長さ方向の幅とほぼ同一の幅を有し、又は大きな幅を有し、一方、リング材12の長さ方向の幅Wは、該リング材12の直径D寸法より小さい。また、前記リング材12はその中心軸を縦方向に向けているから、上下にスペースを取らずに配置することができる。また、前記端末支柱2内には前記横杆6を挿通する管材15が設けられ、この管材15には鋼管などが用いられ、その管材15の端部を溶接などにより端末支柱2に固着している。
【0030】
そして、横ロープ材3に引張力が発生し、ナット14が支柱2側に移動すると、載荷面13M,13Mによりリング材12が押し潰され、これにより衝撃エネルギーを吸収し、対向する内面が当接するまでリング材12が潰れた後は、横ロープ材3が伸びることにより衝撃エネルギーを吸収することができる。
【0031】
前記支柱2,2A,2A,2の下段には、横ロープ材7が2段に設けられ、前記横ロープ材7の両端は端末支柱2,2に固定されている。図1に示したように、下段の前記横ロープ材7,7の間隔Kは、上段側で上下に隣合う前記横ロープ材3,3の間隔K1より狭く設定されている(K<K1)。また、前記横ロープ材7の上部に位置する2段の前記横ロープ材3,3の間隔K2と上下に隣合う前記横ロープ材3,7の間隔K3は略等しく、且つ前記間隔K1より狭く、前記間隔Kより広く設定されている(K<K2=K3<K1)。さらに、最下段の横ロープ材7は、前記間隔Kより狭い間隔で地面1と近接して配置されている。
【0032】
次に、前記中間支柱2Aにおける前記横ロープ材7の固定構造について説明する。図3に示すように、前記中間支柱の前部に連結部21を設け、この連結部21に固定用ロープ材22の略中央を固定し、この固定用ロープ材22の両側を前記横ロープ材7の途中に固定し、この固定に用いる挟持具は、図4に示すように、間隔をおいて設けた複数のクリップ23が用いられる。尚、横ロープ材7を固定用ロープ材22の略全長に添わせ、両者を複数のクリップ23により挟着固定している。前記クリップ23は、開口部を有するUボルト23Aと、このUボルト23Aの両端を挿通する本体23Bと、前記Uボルト23Aの両端に螺合するナット23Cを備え、前記Uボルト23A内に前記ロープ材7,22を挿入し、前記Uボルト23Aの両端を本体23Bの挿通孔23Dに挿通し、ナット23Cを締めることにより、前記ロープ材7,22をUボルト23Aと本体23Bにより挟着固定する。この場合、複数のクリップ23を用いて、現場で簡便に横ロープ材7の途中を中間支柱2Aに固定することができる。
【0033】
このように本実施例では、請求項1に対応して、左右に所定の間隔で3本以上の支柱2,2A,2を設け、支柱2,2A,2間に横ロープ材3,7,7を多段に設けた防護柵において、下段の横ロープ材7,7を支柱2,2A,2のうち3本以上の支柱2,2A,2に固定したから、落石時に下段の横ロープ材7,7が捲れ上がって落石が通過することを防止できる。
【0034】
また、このように本実施例では、請求項2に対応して、下段の横ロープ材7,7を各支柱2,2A,2に固定したから、落石時に下段の横ロープ材7,7が捲れ上がって落石が通過することを防止できる。
【0035】
また、このように本実施例では、請求項3に対応して、中間の支柱2Aに固定用ロープ材22を設け、この固定用ロープ材22に下段の横ロープ材7,7の途中を固定したから、固定用ロープ材22を介して横ロープ材7,7の途中を中間支柱2Aに固定することが、横ロープ材7を分割せずに中間支柱2Aに固定することができる。
【0036】
また、実施例上の効果として、横ロープ材7を固定用ロープ材22の略全長に添わせ、両者を固定具たる複数のクリップ23により挟着固定したから、現場での作業を簡便に行うことができる。
【実施例2】
【0037】
図8及び図9は、本発明の実施例2を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。この例では、左右の固定用ロープ材22L,22Rを備え、これら左右の固定用ロープ材22L,22Rの端部には、輪部24が設けられている。また、連結部25は平面略T字型をなし、その連結部25の左右両端に、コ字型の受け部26を設け、この受け部26に前記輪部24を挿入し、これら受け部26と輪部24に連結軸たるボルト27を挿通し、このボルト27にナット28を螺合して連結部に固定用ロープ材22L,22Rを連結する。
【0038】
そして、間隔をおいて設けた複数のクリップ23により、左右の固定用ロープ材22L,22Rと横ロープ材7の途中を挟着固定する。
【0039】
このように本実施例では、請求項4に対応して、中間の支柱2Aに連結部25を設け、この連結部25の左右に固定用ロープ材22,22をそれぞれ連結したから、左右の固定用ロープ材に横ロープ材の途中を連結して中間支柱に固定することができる。
【実施例3】
【0040】
図10〜図15は、本発明の実施例3を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。この例では、前記横ロープ材7を前記支柱2,2A,2A,2の間隔に対応して複数の分割横ロープ材8,8,8,8を形成し、この分割横ロープ材8の両端部に輪部8W,8Wを設ける。
【0041】
図12及び図13に示すように、前記中間支柱2Aにおける固定構造は、前記中間支柱2Aに横杆31を左右方向に貫通して設け、この横杆31はねじ棒などからなり、前記横杆31は、前後方向中央より前側(山側)に位置し、中間支柱2Aから外部に出た端部31Tに、テーパライナ32を挿通すると共に、ナット33を螺合して中間支柱2Aに横杆31を固定する。尚、前記中間支柱2A内には前記横杆31を挿通する管材38が設けられ、この管材38には鋼管などが用いられ、その管材38の端部を溶接などにより中間支柱2Aに固着している。
また、前記テーパライナ32は前記中間支柱2Aの外面に係合する湾曲状の内面を有する。
【0042】
前記横杆31の端部31Tには、取付体34が左右方向位置決め可能に設けられている。この取付体34は、前後方向の板材からなる横杆連結部35と左右方向の板材からなるロープ材連結部36とを一体に備え、平面略L字形をなし、その横杆連結部35に前記横杆31を挿通する挿通孔35Aを穿設し、この挿通孔35Aの上下位置で前記ロープ材連結部36に連結孔36A,36Aをそれぞれ穿設してなる。また、前記取付体34の前記ロープ材連結部36に前記2段の分割横ロープ材8,8を連結する。この連結には、連結具たるシャックル37が用いられる。このシャックル37は、端部に開口部を有するU字型の本体37Aと、この本体37Aの開口部に着脱自在に設けるボルト37B,ナット37Cを備え、前記本体37Aを前記輪部8Wに係止し、ロープ材連結部36を本体37Aの端部により挟んだ状態で、ボルト37Bを連結孔36Aに挿通すると共に、ボルト37Bを本体37Aの端部に挿通し、そのボルト37Bにナット37Cを螺合することにより、取付体34に分割横ロープ材8を回動自在に連結する。このように取付体34に複数本(2本)の分割横ロープ材8,8を連結し、挿通孔35Aに横杆31の端部31Tを挿通し、この端部31Tにナット31Nを螺合することにより、分割横ロープ材8を中間支柱2Aに位置調整可能に連結することができる。
【0043】
図14及び図15に示すように、前記端末支柱2の固定構造は、前記端末支柱2に前記横杆31を左右方向に貫通して設け、前記横杆31は、前後方向中央に位置し、端末支柱2から防護柵の外部に出た端部31Tに、座板41を挿通し、この座板41を端末支柱2に溶着し、その端部31Tに前記ナット31Nを螺合している。一方、端末支柱2から防護柵の内部に出た端部31Tには、前記取付体34を連結し、これにより2段の分割横ロープ材8,8の端部を端末支柱2に連結する。
【0044】
このように本実施例では、上記各実施例と同様な作用・効果を奏する。
【0045】
このように本実施例では、請求項5に対応して、横ロープ材8を支柱2,2A,2間ごとに分割した分割横ロープ材8を形成し、分割横ロープ材8の端部を支柱2,2A,2に固定したから、分割横ロープ材8を支柱2,2A,2間毎に固定することができる。
【0046】
このように本実施例では、請求項6に対応して、分割横ロープ材8の端部を位置調整手段たる取付体34により支柱2,2A,2に固定したから、端部の位置を調整して分割横ロープ材8を所定の張力で張設することができる。
【0047】
また、実施例上の効果として、取付体34に複数本の分割横ロープ材8,8を連結したから、複数本の分割横ロープ材8,8の中間支柱2Aへの固定構造を簡略化することができる。
【実施例4】
【0048】
図16〜図18は、本発明の実施例4を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。同図は、下段の横ロープ材7を3本以上の支柱に固定する例を示し、前記横ロープ材3の端部3Tは連結手段81により端末支柱2に連結され、前記連結手段81には、落石のエネルギーを吸収する前記衝撃収集装置11や、端部3Tを端末支柱2に固定するものなどが用いられる。
【0049】
図16では、右側の端末支柱2と、この端末支柱2と1本の中間支柱2Aを間に置いた中間支柱2Aと、この中間支柱2Aと1本の中間支柱2Aを間に置いた中間支柱2Aに横ロープ材7を固定し、これにより横ロープ材7を4本の支柱2,2A,2A,2に固定している。尚、符号82は固定箇所を示し、上記各実施例で示した固定構造や他の固定構造を採用できる。そして、このように落石が横ロープ材7を捲り上げて通過することのない範囲で固定箇所82の間隔を大きくすることにより、横ロープ材7における落石エネルギーの吸収効果を高めることができる。
【0050】
図17では、隣り合う5本の中間支柱2A,2A,2A,2A,2Aに横ロープ材7を固定している。この図17では、端末支柱2側が落石を受けない場合に適する。
【0051】
図18では、1本の中間支柱2Aを間に置いた中間支柱2A,2A,2Aに横ロープ材7を固定しており、これら図16〜図18に示すように、適宜3本以上の支柱を組み合わせて横ロープ材7を固定することができる。
【0052】
このように本実施例では、請求項1に対応して、左右に所定の間隔で3本以上である7本の支柱2,2A,2A,2A,2A,2A,2を設け、支柱2,2A,2A,2A,2A,2A,2間に横ロープ材3,7を多段に設けた防護柵において、下段の横ロープ材7を3本以上の支柱2,2Aに固定したから、落石時に下段の横ロープ材7が捲れ上がって落石が通過することを防止できる。
【実施例5】
【0053】
図19〜図25は、本発明の実施例5を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付す。
【0054】
上記実施例2では、横ロープ材8を支柱2,2A,2間ごとに分割した分割横ロープ材8を形成し、分割横ロープ材8の端部を支柱2,2A,2に固定したから、分割横ロープ材8を支柱2,2A,2間毎に固定することができ、落石時に下段の横ロープ材8が捲れ上がって落石が通過することを防止できる。
【0055】
ところで、設計条件を超える落石を分割横ロープ材8が受けると、取付材34などが破損し飛散することや、それにより落石が通過することが想定される。
【0056】
そこで、中間支柱2Aにおいて、両側のシャックル37,37を連結ロープ材により連結する構成を採用し、以下、連結ロープ材を中心に説明する。
【0057】
図20〜図22に示すように、前記中間支柱2Aにおける固定構造は、前記中間支柱2Aに前記横杆31を左右方向に貫通して設け、この横杆31はねじ棒などからなり、前記横杆31は、前後方向中央に位置し、中間支柱2Aから外部に出た端部31Tに、ナット33を螺合して中間支柱2Aに横杆31を固定する。
【0058】
前記横杆31の左右の端部31T,31Tには、左右の取付体134,134がそれぞれ左右方向位置決め可能に設けられている。この取付体134は、前後方向の板材からなる横杆連結部135と左右方向の板材からなるロープ材連結部136とを一体に備え、前記横連結部135の中央に前記ロープ連結部136を固着して平面略T字形をなし、また、前記取付体134の上下には、平面略三角形をなす補強リブ137がそれぞれ設けられ、その補強リブ137は横杆連結部135とロープ連結部136に溶着され、さらに、前記取付体134の前側中央には、補強リブ138が設けられ、この補強リブ138は、横杆連結部135の前側とロープ連結部136の前面とに溶着されている。
【0059】
また、前記横杆連結部135の後方に前記横杆31を挿通する挿通孔135Aを穿設し、この挿通孔135Aの上下位置で前記ロープ材連結部136に連結孔136A,136Aをそれぞれ穿設してなる。また、前記ロープ材連結部136に前記2段の分割横ロープ材8,8を各段2本ずつ連結する。この連結には、連結具たる前記シャックル37が用いられる。
【0060】
このように取付体34に複数本(4本)の分割横ロープ材8,8を連結し、挿通孔135Aに横杆31の端部31Tを挿通し、この端部31Tにナット31Nを螺合することにより、分割横ロープ材8を中間支柱2Aに位置調整可能に連結することができる。
【0061】
前記中間支柱2Aを挟んだ左右のシャックル37,37は、連結ロープ材101により連結されている。この連結ロープ材101は、両端を連結手段たるアルミニウムクランプ102により加締めて環状に形成されており、前記連結ロープ材101の端部の輪部101W,101Wを左右それぞれのシャックル37,37に挿通し、中間支柱2Aの前側に沿ってほぼ水平に配置されている。また、上側の左右のクランプ37,37間と、下側の左右のクランプ37,37間にそれぞれ連結ロープ材101,101が設けられ、これら連結ロープ材101,101は、落石を受ける側である山側に設置されている。
【0062】
図23〜図25に示すように、前記端末支柱2の固定構造は、前記端末支柱2に前記横杆31を左右方向に貫通して設け、前記横杆31は、前後方向中央に位置し、端末支柱2から防護柵の内部に出た端部31Tに前記取付体134を連結し、中間支柱2Aと同様にシャックル37,37により2段の分割横ロープ材8,8の端部を各段2本ずつ端末支柱2に連結する。
【0063】
また、前記連結ロープ材101を端末支柱2に巻き付け、一方の端部の輪部101Wに他方の輪部101Wを挿通し、この挿通した他方の輪部101Wを前記シャックル37に挿通し、端末支柱2とシャックル37とを連結ロープ材101により連結している。
【0064】
このように本実施例では、上記各実施例と同様な作用・効果を奏する。
【0065】
また、このように本実施例では、請求項7に対応して、分割横ロープ材8の端部を連結具たるシャックル37により支柱たる中間支柱2Aに固定し、中間支柱2A両側のシャックル37を連結ロープ材101により連結したから、シャックル37の取付部分である取体体134などの破損による部材の飛散やそれによる落石の通過を防止することができる。
【0066】
また、このように本実施例では、請求項8に対応して、分割横ロープ材8の端部を連結具たるシャックルにより支柱たる端部支柱2に固定し、端部支柱2一側のシャックル37と端部支柱2とを連結ロープ材101により連結したから、シャックル37の取付部分である取体体134などのなどの破損による部材の飛散やそれによる落石の通過を防止することができる。
【0067】
また、実施例上の効果として、連結ロープ材101を環状に形成し、連結状態で環状となる連結具であるャックル37に連結したから、連結作業を簡便に行うことができると共に、強固に連結することができる。さらに、端末支柱2に連結ロープ材37を巻き付けて連結したから、連結作業を容易に行うことができる。また、各段に2本の分割ロープ材8,8を前後に位置して張設したから、一層、分割ロープ材8の捲れ上がりを防止できる。
【0068】
尚、本発明は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、端末支柱に連結する下段の横ロープ材は、下段の横ロープ材の伸び以外は伸びないように連結されることが好ましい。
【符号の説明】
【0069】
1 地面(設置場所)
2 端末支柱
2A 中間支柱
3 横ロープ材
7 横ロープ材
8 分割横ロープ材
21 連結部
22 固定用ロープ材
25 連結部
34 取付体(位置調整手段)
37 シャックル(連結具)
101 連結ロープ材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に所定の間隔で3本以上の支柱を設け、前記支柱間に横ロープ材を多段に設けた防護柵において、下段の前記横ロープ材を前記支柱のうち3本以上の支柱に固定したことを特徴とする防護柵。
【請求項2】
下段の前記横ロープ材を前記各支柱に固定したことを特徴とする請求項1記載の防護柵。
【請求項3】
中間の前記支柱に固定用ロープ材を設け、この固定用ロープ材に前記下段の横ロープ材の途中を固定したことを特徴とする請求項1又は2記載の防護柵。
【請求項4】
中間の支柱に連結部を設け、この連結部の左右に前記固定用ロープ材をそれぞれ連結したことを特徴とする請求項3記載の防護柵。
【請求項5】
前記横ロープ材を前記支柱間ごとに分割した分割横ロープ材を形成し、前記分割横ロープ材の端部を前記支柱に固定したことを特徴とする請求項1又は2記載の防護柵。
【請求項6】
前記分割横ロープ材の端部を位置調整手段により前記支柱に固定したことを特徴とする請求項5記載の防護柵。
【請求項7】
前記分割横ロープ材の端部を連結具により前記支柱に固定し、前記支柱両側の前記連結具を連結ロープ材により連結したことを特徴とする請求項5又は6記載の防護柵。
【請求項8】
前記分割横ロープ材の端部を連結具により前記支柱に固定し、前記支柱一側の前記連結具と前記支柱とを連結ロープ材により連結したことを特徴とする請求項5又は6記載の防護柵。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−52404(P2012−52404A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267672(P2010−267672)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000228785)日本サミコン株式会社 (41)
【Fターム(参考)】